【実施例】
【0025】
以下、実施例
、参考例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0026】
実施例
2〜12、14〜16、
参考例1、13、比較例1〜24
表1−1の実施例
、参考例及び比較例の各欄に示す材料を用いて熱処理用セッターを作製した。
アルミナ質材料の場合、アルミナ含有量97.0wt%、比表面積4.1m
2/gのアルミナ粉体を、水を溶媒としてアルミナ質のポットミルで粉砕・分散・混合し、濃度50wt%の分散スラリーを調製した。
ジルコニア質材料の場合、ジルコニア含有量99.5wt%、比表面積5.7m
2/gのジルコニア粉体と、イットリア含有量99.9wt%、比表面積3.8m
2/gのイットリア粉体を、ジルコニアとイットリアの合計含有量及びジルコニアに対するイットリアの割合が、表1−1の実施例
、参考例及び比較例の各欄に示す値となるように、水を溶媒としてジルコニア質のポットミルで粉砕・分散・混合し、濃度50wt%の分散スラリーを調製した。
得られたアルミナ質材料又はジルコニア質材料の分散スラリーに、バインダーとして公知のパラフィンワックスエマルジョンを添加し、篩通しで整粒した表1−1に示す各平均粒子径のアクリル樹脂の球状粒子を、表1−1に示す各量添加し、スプレードライヤーで乾燥して成形用粉体を作製した。
得られた成形用粉体を金型プレスで平板状に成形し、表1−1に示す各焼成温度で焼成して得られた焼結体の上下面を研削加工して、表1−2の実施例
、参考例及び比較例の各欄に示す厚みの、100mm角のセッターを作製した。
得られた各セッターの焼結体特性を表1−2に示す。
また、実施例8の焼結体のSEM観察写真を
図2に示す。
【0027】
比較例1〜24の詳細は以下のとおりである。
・比較例1は、焼結体気孔率が50%未満となる量のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性の低下がみられた。
・比較例2は、焼結体気孔率が70%を超える量のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性、耐食性の低下がみられた。
・比較例3は、焼結体の平均気孔径が50μm未満となる平均粒子径のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性の低下がみられた。
・比較例4は、焼結体の平均気孔径が180μmを超える平均粒子径のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性、耐食性の低下がみられた。
・比較例5は、アルミナ含有量が95.8wt%のアルミナ粉体を配合に使用したため、焼結体のアルミナ含有量が96.0wt%未満となり、耐食性の低下がみられた。
・比較例6は、焼結体の気孔率、平均気孔径、セッターの厚みを調節し、気孔率×平均気孔径/セッターの厚みで示される式の値が80.0×10
2を超えるものとしたため、耐熱衝撃抵抗性、耐食性の低下がみられた。
・比較例7は、焼結体の気孔率、平均気孔径、セッターの厚みを調節し、気孔率×平均気孔径/セッターの厚みで示される式の値が1.8×10
2未満のものとしたため、焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性の低下がみられた。
・比較例8は、セッターの厚みが1.0mmよりも薄くなるまで上下面研削加工を行ったため、焼結体に著しい強度低下がみられ、実用に耐えないものとなった。
・比較例9は、上下面研削加工したセッターの厚みが20.0mmを超えたため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性の低下がみられた。
・比較例10は、比表面積15m
2/gのアルミナ粉体を配合原料として使用し、凝集したスラリーにアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の気孔分布に偏析が生じ、通気性が低下し、加熱冷却の繰り返しに対する耐久性及び脱脂性の低下がみられた。
・比較例11は、焼結体の平均気孔径が50μm未満となる平均粒子径のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性の低下がみられた。
・比較例12は、焼結体の平均気孔径が180μmを超える平均粒子径のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性、耐食性の低下がみられた。
・比較例13は、焼結体気孔率が50%未満となる量のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性の低下がみられた。
・比較例14は、焼結体気孔率が70%を超える量のアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性、耐食性の低下がみられた。
・比較例15は、ジルコニア含有量が99.0wt%のジルコニア粉体を配合原料として使用したため、焼結体のジルコニアとイットリアの合計含有量が99.0wt%未満となり、耐食性の低下がみられた。
・比較例16は、ジルコニアに対してのイットリアの添加量が12mol%を超えるように配合したため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性の低下がみられた。
・比較例17は、ジルコニアに対してのイットリアの添加量が6mol%未満となるように配合したため、焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性及び耐食性の低下がみられた。
・比較例18は、比表面積16m
2/gのジルコニア粉体を配合原料として使用し、凝集したスラリーにアクリル樹脂の球状粒子を添加したため、焼結体の気孔分布に偏析が生じ、通気性が低下し、加熱冷却の繰り返しに対する耐久性及び脱脂性の低下がみられた。
・比較例19は、焼結体の気孔率、平均気孔径、セッターの厚みを調節し、気孔率×平均気孔径/セッターの厚みで示される式の値が1.8×10
2未満のものとしたため、焼結体の加熱冷却の繰り返しに対する耐久性の低下がみられた。
・比較例20は、焼結体の気孔率、平均気孔径、セッターの厚みを調節し、気孔率×平均気孔径/部材の厚みで示される式の値が80.0×10
2よりも大きくなるようにしたため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性及び耐食性の低下がみられた。
・比較例21は、セッターの厚みが1.0mmよりも薄くなるまで上下面研削加工を行ったため、焼結体に著しい強度低下がみられ、実用に耐えないものとなった。
・比較例22は、上下面研削加工したセッターの厚みが20.0mmを超えたため、焼結体の耐熱衝撃抵抗性の低下がみられた。
・比較例23は、コーディエライト粉体を配合に使用したため、焼結体の耐食性の低下がみられた。
・比較例24は、ムライト粉体を配合に使用したため焼結体の耐食性の低下がみられた。
【0028】
<圧力損失時間の評価>
前記100mm角の各セッターを40mm角に加工して試験用サンプルセッターとし、これを
図1に示す構造の圧力ホールド試験装置〔PMI社製パームポロメーター(Perm−Porometer
)〕にセットし、
図1の内径25mmの空間に導入された空気により試験用サンプルセッター(
図1のセッターサンプル)の片面に加えられた300kPaの空気圧が0kPaとなるまでの時間(秒)を圧力損失時間として測定した。
【0029】
<耐熱衝撃抵抗性及び耐久性の評価>
耐火物の上に各セッターを載せて1000℃に加熱保持した電気炉内に挿入し、30分加熱保持した後、耐火物に載せたまま即座に炉外に取り出し、室温下で冷却してクラックの発生を確認し、耐熱衝撃抵抗性を評価した。
前記加熱冷却操作を1回の試験として、1回目の試験でクラックが発生しなかったセッターについて、クラックが発生するまで試験を繰り返し、その試験回数により、耐久性を評価した。
試験回数1回でクラックが発生したものは耐熱衝撃抵抗性が不合格であり、17回未満でクラックが発生したものは耐久性が不合格である。
【0030】
<BaTiO
3に対する耐食性の評価>
圧電体材料のBaTiO
3の合成を想定し、酸化チタン粉体と炭酸バリウム粉体を、ポットミルで溶媒に水を用いて分散・混合し乾燥させて混合粉体とし、この混合粉体を直径25mm、厚さ5mmに成形した。この成形体を各セッターの上に載せ、更に、成形体に1kPaの応力をかけた状態で、1300℃、5時間保持を2サイクル行い、テスト後の焼結体断面を鏡面仕上げし、EDX(エネルギー分散型X線)分析装置(堀場製作所製、EMAXEvolution)により侵食深さを測定した。侵食深さが1mm以上のものは耐食性が不合格である。
【0031】
<脱脂性(有機物の分解ガスの放出性)の評価>
アルミナ含有量99.9wt%、比表面積6.7m
2/gのアルミナ粉体を、水を溶媒としてアルミナ質のポットミルで粉砕・分散・混合し、濃度50wt%の分散スラリーを調製した。このスラリーに公知のアクリル樹脂系バインダーを添加し、スプレードライヤーで乾燥してプレス成形用アルミナ粉体を作製した。このアルミナ粉体をプレス成形し、80mm角で厚みが10mmの板状成形体を得た。
この板状成形体を前記各セッターで挟み込んだものを10セット用意し、800℃で焼成して、焼成後に割れが発生した板状成形体の枚数により脱脂性を評価した。板状成形体
の割れた枚数が1枚以下のものを合格とした。
【0032】
実施例17〜22
表2の実施例及び比較例の各欄に示す材料を用いて熱処理用部材を作製した。
アルミナ質材料の場合、アルミナ含有量99.5wt%、比表面積3.5m
2/gのアルミナ粉体を、水を溶媒としてアルミナ質のポットミルで粉砕・分散・混合し、濃度50wt%の分散スラリーを調製した。
ジルコニア質材料の場合、ジルコニア含有量99.9wt%、比表面積6.1m
2/gのジルコニア粉体と、イットリア含有量99.9wt%、比表面積3.8m
2/gのイットリア粉体を、ジルコニアに対するイットリアの割合が8mol%となるように、水を溶媒としてジルコニア材質のポットミルで粉砕・分散・混合し、濃度50wt%の分散スラリーを調製した。
得られたアルミナ質材料又はジルコニア質材料の分散スラリーに、バインダーとして公知のパラフィンワックスエマルジョンを添加し、更にアルミナ質材料の場合には実施例3と同等の、ジルコニア質材料の場合には実施例16と同等の気孔率、平均気孔径となるように、それぞれ実施例3、実施例16と同じ平均粒子径及び量のアクリル樹脂の球状粒子を添加し、スプレードライヤーで乾燥して成形用粉体を作製した。
得られた成形用粉体を金型プレスで平板状に成形し、表2に示す各焼成温度で焼成して得られた焼結体の上下面を研削加工して100mm角のセッターを作製した。セッターの厚みは、アルミナ質材料の場合、1.4mm、ジルコニア質材料の場合、1.0mmとした。
得られた各セッターの焼結体特性を表2に示す。
【0033】
<鉛に対する耐食性の評価>
前記実施例17〜22の100mm角の各セッターを30mm角に加工して試験用サンプルセッターとした。腐食性の強い鉛を含有するPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の焼成を想定し、市販の二酸化鉛粉体(和光純薬社製)を直径25mm、厚さ5mmに成形した成形体を、前記30mm角に加工した各試験用サンプルセッターの上に載せ、更に二酸化鉛成形体に1kPaの応力をかけた状態で、1000℃、5時間保持を2サイクル行い、焼成前後での各セッターの重量変化率を測定した。重量変化率が1.5%以下のセッターは鉛に対する耐食性があるといえる。
【0034】
【表1-1】
【表1-2】
【0035】
【表2】