特許第6366982号(P6366982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366982
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】低温療法用パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   A61F7/10 300H
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-76185(P2014-76185)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-196001(P2015-196001A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】松原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 照巳
(72)【発明者】
【氏名】関口 豊
(72)【発明者】
【氏名】若林 啓介
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−534160(JP,A)
【文献】 特表2005−518836(JP,A)
【文献】 特表2013−535295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の体表面に装着されるシート状のパッド本体を備え、このパッド本体の内部に所定の温度に調節された循環流体を循環させ、熱交換により人体の体温を所望の温度に調節する低温療法用パッドであって、
前記パッド本体は、
前記循環流体の流通流路を形成する複数の凸部を一方の面に有する裏面層と、
この裏面層の前記一方の面上に積層され、各前記凸部の上面に貼着されて前記凸部間の上部を閉鎖して前記流通流路を形成する閉鎖層と、
この閉鎖層上に設けられる熱拡散層と、
前記熱拡散層の表面を被覆し、人体の体表面に接触する表面層と、を有し、
前記閉鎖層は、前記裏面層の各前記凸部の前記上面に対して熱融着されており、
前記流通経路には、該流通経路に前記循環流体を流入する流入口と、該流通流路から前記循環流体を流出する流出口と、が互いに隣接して配置され、
前記流通流路は、前記流入口から延びる2本の流入流路と、該2本の流入流路の間に配置されて該2本の流入流路を合流させて前記流出口まで延びる1本の流出流路と、を有しており、
前記流入流路の上流側と前記流出流路の下流側とが隣接して配置され、
前記流入流路の下流側と前記流出流路の上流側とが隣接して配置されていることを特徴とする低温療法用パッド。
【請求項2】
前記裏面層は発泡ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1に記載の低温療法用パッド。
【請求項3】
前記閉鎖層はエチレン酢酸ビニル樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の低温療法用パッド。
【請求項4】
前記熱拡散層はハイドロゲルからなり、前記表面層は、前記熱拡散層の粘着性により該熱拡散層に全面が接着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の低温療法用パッド。
【請求項5】
前記流入口が2つ設けられ、前記流出口が1つ設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の低温療法用パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温療法に用いられ、患者の体表を冷却または復温する低温療法用パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、術後や受傷後の急性期などに患者を低体温に冷却維持する低温療法が行われている。低温療法では、酸素消費量を抑制させ、また脳代謝を低下させることにより、脳神経細胞死の抑制、脳浮腫の進行防止が期待される。この低温療法において、特に新生児仮死に対する有効性が注目されている。
【0003】
低温療法における冷却方法としては、血管内に冷却水や輸液を注入する(血管内冷却、静脈内冷却)などの侵襲的方法、胃管を用いて冷却水を注入する(胃部冷却)などの低侵襲的方法、氷嚢や冷却パッド、冷却ヘルメットなどで体表や頭蓋を冷却する(体表冷却、頭蓋冷却)などの非侵襲的方法とがあり、いずれも急速な冷却や特定の臓器に集中した局部的な冷却などが可能であることなどが望まれる。
【0004】
例えば特許文献1には、軟性膜で体表面の所定領域を被覆し、軟性膜と体表面との間に流体循環空間を形成して負圧で熱交換流体を循環させることにより、局部的に身体を冷却する装置が提案されている。この装置では、熱交換流体が体表面に直接接触して循環されるので、体毛のある部分においても効率のよい熱交換が可能とされている。
【0005】
特許文献2には、体表面に接触するパッドの内部に循環液(温水や冷水)を循環させる温冷治療器が開示されている。この装置では、構造や製造工程が簡素化のため、給排用チューブおよびパッド内の循環経路が温水と冷水とで共通化されている。また、循環液をパッド全体に行き渡らせることにより、治療の効率の向上が図られている。
【0006】
特許文献3では、媒体として温水と冷水を準備しておき、これらを適切な比率で混合することにより冷却体の温度を速やかに調節することが提案されている。また、冷媒槽または温媒槽に殺菌処理部を設け、紫外線照射、殺菌剤添加、フィルタ濾過などによって媒体に対して殺菌処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4808366号公報
【特許文献2】特開平11−197174号公報
【特許文献3】特開2011−200386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような低温療法において、パッドの温度は、所望の温度に調節された水などの循環流体をパッドの内部に形成した流路に流通させることにより調節することができる。この場合、速やかに患者を所望の体温まで冷却するために、体表面に接触させるパッドの表面の温度分布を均一にするとともに、体表面に対して無駄なく密着させつつ、特に表皮の薄い新生児などを考慮して肌に対する負担が小さいことが求められる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、体表面に対して密着させることができ、肌に対する負担が小さい低温療法用パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、人体の体表面に装着されるシート状のパッド本体を備え、このパッド本体の
内部に所定の温度に調節された循環流体を循環させ、熱交換により人体の体温を所望の温度に調節する低温療法用パッドであって、前記パッド本体は、前記循環流体の流通流路を形成する複数の凸部を一方の面に有する裏面層と、この裏面層の前記一方の面上に積層され、各前記凸部の上面に貼着されて前記凸部間の上部を閉鎖して前記流通流路を形成する閉鎖層と、この閉鎖層上に設けられる熱拡散層と、前記熱拡散層の表面を被覆し、人体の体表面に接触する表面層と、を有し、前記閉鎖層は、前記裏面層の各前記凸部の前記上面に対して熱融着されており、前記流通経路には、該流通経路に前記循環流体を流入する流入口と、該流通流路から前記循環流体を流出する流出口と、が互いに隣接して配置され、前記流通流路は、前記流入口から延びる2本の流入流路と、該2本の流入流路の間に配置されて該2本の流入流路を合流させて前記流出口まで延びる1本の流出流路と、を有しており、前記流入流路の上流側と前記流出流路の下流側とが隣接して配置され、前記流入流路の下流側と前記流出流路の上流側とが隣接して配置されている。
【0011】
この低温療法用パッドによれば、熱拡散層によってパッド本体の温度分布が均一となり、表面層によって肌に対する負担を抑えることができるので、新生児の肌を傷めずに迅速な体温調節が可能となる。
【0012】
この低温療法用パッドにおいて、前記裏面層は発泡ポリエチレンからなることが好ましい。発泡ポリエチレンは柔軟で断熱性を有するので、パッド本体の裏面における循環流体の伝熱を防止し、循環流体と体表面との熱交換をより効率よく行うことができる。
【0013】
この低温療法用パッドにおいて、前記閉鎖層はエチレン酢酸ビニル樹脂からなることが好ましい。エチレン酢酸ビニル樹脂は柔軟で強度が高いので、裏面層との間に循環流体を確実に保持し、循環流体と体表面との熱交換をより効率よく行うことができる。
【0014】
この低温療法用パッドにおいて、前記熱拡散層はハイドロゲルからなり、前記表面層は、前記熱拡散層の粘着性により該熱拡散層に全面が接着されていることが好ましい。ハイドロゲルは、熱伝導性が高く、柔軟で粘着性を有するので、閉鎖層に密着し、循環流体との間および表面層を介した体表面との間での熱交換を高効率で行うことができる。
【0015】
この低温療法用パッドにおいて、前記表面層はウレタンからなることが好ましい。柔軟で伸縮性が高く低刺激性であり、医療用テープなどにも用いられるウレタンで表面層を形成して熱拡散層を被覆することにより、熱拡散層が直接肌に張り付くことを効果的に防止し、新生児を対象とした場合にも肌を傷めることなく体温調節することができる。
この低温療法用パッドにおいて、前記流入口が2つ設けられ、前記流出口が1つ設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の低温治療用パッドによれば、体表面に対して密着させることができ、肌に対する負担が小さい低温療法用パッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の低温療法用パッドを備える低温療法用装置を示す斜視図である。
図2】掛け用のパッド本体を備える低温療法用パッド(循環パッド)を示す斜視図である。
図3】頭用のパッド本体を備える循環パッドを示す斜視図である。
図4】循環パッドを示す平面図である。
図5】パッド本体の構造を示す断面図である。
図6】パッド本体の裏面層の一部分を示す斜視図である。
図7】循環パッドのパッドコネクタ部を示す、図4のA−A線に沿う断面図である。
図8】循環パッドのパッドコネクタ部を示す、図7のB−B線に沿う平面矢視図である。
図9】循環パッドのパッドコネクタ部を示す、図7のC−C線に沿う平面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る低温療法用パッドの実施形態について、図を参照しながら説明する。図1に、低温療法に用いられる低温療法用装置10を示す。この低温療法用装置10は、循環流体Wを所望の温度に調節しながら供給・回収する装置本体20と、装置本体20に接続されて循環流体Wを流通させる中継ホース部30と、中継ホース部30を通じて装置本体20によって供給・回収される循環流体Wが内部を循環する低温療法用パッド(以下、循環パッド)40とを備える。本実施形態では、循環流体Wとして水が用いられる。
【0019】
装置本体20は、循環流体Wを保持するタンク(図示略)、循環流体Wの温度を調節する温度調節ユニット(図示略)、循環流体Wの供給・回収を行う循環ユニット(図示略)、各ユニットを制御する制御部(図示略)などを内蔵し、監視用センサ(図示せず)によって循環流体Wの温度や患者体温、循環パッド40の表面温度などを監視しながら、そのモニタリング結果に応じて循環流体Wを冷却または加熱して適切な温度に調節し、中継ホース部30を通じて循環流体Wを循環パッド40と装置本体20との間で循環させることができる。
【0020】
中継ホース部30は、装置本体20と循環パッド40との間を接続する供給管31と回収管32とが1つにまとめられ、その両端部にコネクタ33部を備える構成である。
【0021】
この低温療法用装置10には、患者の冷却部位に応じた形状の複数種のパッド、すなわち、患者の体の下に敷かれて患者の全身を下側から冷却する全身用の敷きパッドとしてのパッド本体50を備える循環パッド40、患者の体の上に掛けられて患者の全身を上側から冷却する全身用の掛けパッドとしてのパッド本体50Aを有する循環パッド40A、患者の頭部に巻かれて患者の頭部を冷却する頭部用のパッド本体50Bを有する循環パッド40Bなどが備えられている(図1〜3参照)。これら循環パッド40,40A,40Bのいずれかひとつまたは複数を選択して中継ホース部30を介して装置本体20に接続することにより、患者の体表面の各部位を必要に応じて効率よく冷却することができる。
【0022】
循環パッド40は、図1および図4に示すように、シート状のパッド本体50と、パッド本体50の端部に固定されたパッドコネクタ部60とを備える。掛け用の循環パッド40Aおよび頭部用の循環パッド40Bにはそれぞれ、循環パッド40のものと同一のパッドコネクタ部60が設けられている。パッド本体50A,50Bの各形状がパッド本体50と異なる点以外は、循環パッド40Aおよび循環パッド40Bの構造は、循環パッド40と同様である。
【0023】
図4に、パッドコネクタ部60が取り付けられていない状態のパッド本体50の裏面を示す。以下、パッド本体50においては、患者の体表面に触れない側を「裏面」、患者の体表面に触れる側を「表面」と呼ぶ。
【0024】
図4図6を参照して、パッド本体50について説明する。パッド本体50は、循環流体Wの流通流路51を形成する複数の凸部501a,501b,501cを一方の面(パッド本体50の表面側)に有する裏面層501と、この裏面層501の一方の面上(表面側)に積層され、各凸部501aの上面に貼着されて凸部501a間の上部を閉鎖して流通流路51を形成する閉鎖層502と、閉鎖層502上に設けられる熱拡散層503と、熱拡散層503の表面を被覆し、人体の体表面に接触する表面層504とを有する。
【0025】
裏面層501は、遮水性を有し熱伝達性の低い、例えば発泡ポリエチレンにより形成され、図4〜6に示すように略帯状の凸部501a、略円柱状の凸部501b、および外周縁を縁取る周状の凸部501cが、一方の面に設けられている。より具体的には、凸部501cによって囲まれた面方向内側部分において、多数の略円柱状の凸部501bが全面に設けられているとともに、略帯状の凸部501aが中央部に設けられている。これにより、凸部501a,501b,501c間に、凸部501a,501b,501cの高さに応じた流路面積を有し面方向に延びる流通流路51が形成される。
【0026】
この裏面層501の表面側に貼着される閉鎖層502は、遮水性を有する例えばエチレン酢酸ビニル樹脂(EVA樹脂)により形成され、熱融着によって凸部501a,501b,501cの各上面に接着されている。これら裏面層501と閉鎖層502との間に、流通流路51が形成されている。
【0027】
この閉鎖層502の表面側に設けられる熱拡散層503は、熱拡散性に優れ、軟質で肌に沿いやすい、例えばハイドロゲルにより形成されている。ハイドロゲルは親水性を有し、人の皮膚に密着しやすいので循環流体Wと体表面との熱交換には有利であるが、表皮の薄い新生児の場合などには、直接接触させると剥がすときに皮膚を損傷させてしまうおそれがある。
【0028】
このため、このパッド本体50においては、熱拡散層503の表面側を表面層504が被覆している。表面層504は、過度の粘着性がなく柔軟で熱伝達性に優れる、肌に対する負担が小さい材質、例えば薄く柔軟なシート状のウレタン樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン等(本実施形態ではウレタン樹脂)により形成されており、熱拡散層503の粘着性により熱拡散層503に全面が接着されている。これにより、表面層504が熱拡散層503の表面側を被覆してパッド本体50における最表面をなし、熱拡散層503の粘着性を抑制することができるので、乳幼児の皮膚を損傷することなく、循環流体Wと体表面との間の確実な熱交換が可能となる。
【0029】
このパッド本体50内に形成される流通流路51は、図4に示すように、凸部501cによって囲まれた内部が帯状の凸部501aによって区切られることにより、2つの流入口52からそれぞれ延びる2本の流入流路(上流部)53とこれら上流部53を合流させて1つの流出口54まで延びる1本の流出流路(下流部)55とが連続するように形成されている。この流通流路51の全体に略円柱状の凸部501aが設けられていることにより、裏面層501と閉鎖層502との間隔が所定の大きさに保持されている。
【0030】
この流通流路51は、2本の上流部53の間に下流部55が配置されており、上流部53と下流部55とが凸部501aを介して並ぶ部分では流通方向が逆方向となっている。流通流路51に対する循環流体Wの出入口である2つの流入口52および流出口54は、互いに隣接して、パッド本体50の裏面の端部に開口している。パッド本体50の裏面には、これら流入口52および流出口54に接続するパッドコネクタ部60が取り付けられている。
【0031】
なお、この循環パッド40と同様に、図2に示す循環パッド40Aの流通流路51Aも、2つの流入口からそれぞれ延びる2本の流入流路53Aと、これら流入流路53Aを合流させ、1つの流出口まで延びる1本の流出流路55Aとが連続してなり、2本の流入流路53Aの間に流出流路55Aが配置された形状となっている。また、図3に示す循環パッド40Bの流通流路51Bも、2つの流入口からそれぞれ延びる2本の流入流路53Bと、これら流入流路53Bを合流させ、1つの流出口まで延びる1本の流出流路55Bとが連続してなり、2本の流入流路53Bの間に流出流路55Bが配置された形状となっている。
【0032】
図7〜9にパッドコネクタ部60を示す。図7図4におけるA−A線に沿う矢視断面図、図8図7におけるB−B線に沿う矢視図、図9図7におけるC−C線に沿う矢視図である。
【0033】
パッドコネクタ部60は、中継ホース部30の供給管31が接続される供給接続管71、中継ホース部30の回収管32が接続される回収接続管72、および中継ホース部30のコネクタ部33に連結される中継ホース接続部73を備える接続ホース部70(図4参照)と、接続ホース部70の供給接続管71が接続される供給ポート81、パッド本体50の各流入口52に接続される各供給口82、および各供給口82と供給ポート81との間に形成され2つの流入口52に連通する供給管分岐部83を有する供給部80と、接続ホース部30の回収接続管72が接続される回収ポート91、パッド本体50の流出口54に接続される回収口92、および回収口92と回収ポート91との間に形成された管部93を有する回収部90とを備えている。
【0034】
供給部80は、供給管分岐部83に2つの供給口82が設けられていることにより、供給ポート81を通じて供給された循環流体Wを2つの流入口52に流入させることができる。各供給口82には、流路中に設けられたボス84(図8)と流路を覆うように設けられたかご状の突出部85(図9)とが形成されており、これらボス84と突出部85とによって、循環流体Wを流通させるとともに制菌剤Tを保持する制菌剤保持部86が構成されている。制菌剤Tは、例えば略球状のヨウ素などであって、循環流体Wに触れることにより循環流体W中の菌の増殖を抑えることができる。なお、突出部85は、パッド本体50の流入口52に入り込み、パッド本体50の流入流路53を厚さ方向に確保する。
【0035】
また、回収部90の回収口92にも同様に、流路中に設けられたボス94(図8)と流路を覆うように設けられたかご状の突出部95(図9)が形成されており、これらボス94と突出部95とによって、循環流体Wを流通させるとともに制菌剤Tを保持する制菌剤保持部96が構成されている。また突出部95は、パッド本体50の流出口54に入り込み、パッド本体50の流出流路55を厚さ方向に確保するように固定される。
【0036】
このような構成を備える低温療法用装置10において、循環流体Wは、装置本体20内にて温度調節され、中継ホース部30を通じて循環パッド40に供給される。循環パッド40において循環流体Wは、中継ホース部30からパッドコネクタ部60を通じて、パッド本体50の裏面に設けられた2つの流入口52から2本の上流部(流入流路)53に分かれて流通流路51内を流通し、1本の下流部(流出流路)55に合流した後、1つの流出口54からパッドコネクタ部60および中継ホース部30を通じて装置本体20に回収され、再び温度調節されて循環パッド40に供給される。また、パッドコネクタ部60の制菌剤保持部86,96を通過することにより、循環流体W中の菌の繁殖が抑制される。
【0037】
この低温療法用装置10の循環パッド(低温療法用パッド)40によれば、流入流路53が2本設けられているので流入口52での配管抵抗が低減され、装置本体20の小型化等が可能となる。また、流入流路53が2本設けられていることにより、流入口52から流出口54までの流路長が短くなり、パッド本体50の表面の温度分布が均一になる。
【0038】
なお、循環流体Wの循環には、装置本体20から押し出す圧送ポンプではなく、循環パッド40から吸引する吸引ポンプを用いることが好ましい。吸引ポンプを用いることにより、パッド本体50を膨張させないので、パッド本体50の変形や、裏面層501と閉鎖層502との接合が外れるなどの破損を抑えることができる。また、万が一パッド本体50が破損した場合にも、循環流体Wの漏れを小さく抑えることができる。
【0039】
また、この循環パッド40の流通流路51は、2本の流入流路53の間に流出流路55が配置されているので、流入流路53と流出流路55との間で熱交換が行われやすく、パッド本体50の表面の温度分布がより均一になる。
【0040】
さらに、この循環パッド40は、2つの流入口52および流出口54が隣接して設けられているとともに、2つの流入口52に連通する供給管分岐部83、この供給管分岐部83に接続する1つの供給ポート81、および流出口54に連通する回収ポート91が形成されたパッドコネクタ部60を備えることにより、パッド本体50内に循環流体Wを流通させるための接続ポートがパッドコネクタ部60にまとめられるので、装置本体20からの循環流体Wをパッド本体50へ供給するための供給管31とパッド本体50から回収された循環流体Wを装置本体20へ戻すための回収管32とをまとめ、一体に取り回すことができる。
【0041】
また、このパッド本体50のパッドコネクタ部60に対応して、供給管31の供給ポートと回収管32の回収ポートとが設けられているコネクタ部33を備える、コネクタ一体型の中継ホース部30が用いられることにより、供給管と回収管とが束ねられるので取り回しがさらに容易であり、コネクタ部33とパッドコネクタ部60との脱着により各管の脱着をより容易にでき、また誤接続を確実に防止できる。
【0042】
また、この循環パッド40では、パッドコネクタ部60において流入口52、および流出口54に、循環流体Wを流通させるとともに制菌剤Tを保持する制菌剤保持部86,96が設けられているので、パッド本体50の交換の都度、新たに制菌剤Tを循環流体W中に供給でき、制菌剤保持部86,96のメンテナンスも不要である。
【0043】
そして、このように循環流体Wが内部を循環する循環パッド40は、パッド本体50の熱拡散層503の表面を表面層504が被覆しているので、熱拡散層503によってパッド本体50の温度分布が均一になり、循環流体Wと体表面との間で高効率の熱交換が可能であるとともに、表面層504によって体表面に対する熱拡散層503の粘着を防止でき、肌に対する負担が小さい。したがって、新生児などについても、循環パッド40の装着によって肌を傷めることなく、低温療法を施すことができる。
【0044】
以上説明したように、本発明の低温治療用パッドによれば、温度分布を均一にして効果的に患者の体温を調節できるとともに、肌に対する負担が小さいので、新生児などに対しても低温療法を施すことができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
低温療法用パッドにおいて、体表面に対して密着させることができ、肌に対する負担が小さい低温療法用パッドを提供することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 低温療法用装置
20 装置本体
30 中継ホース部
31 供給管
32 回収管
33 コネクタ部
40,40A,40B 低温療法用パッド(循環パッド)
50,50A,50B パッド本体
501 裏面層
501a,501b,501c 凸部
502 閉鎖層
503 熱拡散層
504 表面層
51 流通流路
52 流入口
53 上流部(流入流路)
54 流出口
55 下流部(流出流路)
60 パッドコネクタ部
70 接続ホース部
71 供給接続管
72 回収接続管
73 中継ホース接続部
80 供給部
81 供給ポート
82 供給口
83 供給管分岐部
84 ボス
85 突出部
86 制菌剤保持部
90 回収部
91 回収ポート
92 回収口
93 管部
94 ボス
95 突出部
96 制菌剤保持部
T 制菌剤
W 循環流体(水)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9