(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367001
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】表示装置及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20180723BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20180723BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20180723BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/1368
G02F1/13357
G09F9/00 324
G09F9/00 336G
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-108205(P2014-108205)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-225114(P2015-225114A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 理
【審査官】
廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/094645(WO,A1)
【文献】
特開2013−235141(JP,A)
【文献】
特開2010−198940(JP,A)
【文献】
特開2010−066437(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0188615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13357
G02F 1/1368
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、
前記表示パネルは、前記バックライトと対向する基板を有し、前記基板の前記表示面と平行な面において、画素毎に波長変換層を有し、前記波長変換層と波長変換層の間に光散乱層を有し、
前記波長変換層は蛍光体を有し、
前記光散乱層は微粒子を有し、
前記波長変換層の前記バックライト側は反射層を有し、
前記光散乱層の前記表示面側は反射層を有し、
前記波長変換層のバックライト側の反射層は、前記バックライトから出射する光を前記バックライト側へ反射し、
前記波長変換層は前記光散乱層から入射した光の波長を変換することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記波長変換層の断面は、前記表示面側の幅が前記バックライト側の幅よりも大きい、
台形であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光散乱層は、前記表示面側で光散乱が大きく、前記バックライト側で光散乱が小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光散乱層における前記微粒子の濃度は、前記表示面側で大きく、前記バックライト側で小さいことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光散乱層には、レジストに第1の微粒子を分散させた第1の光散乱層が前記表示面側に形成され、前記レジストに第2の微粒子を分散させた第2の光散乱層が前記バックライト側に形成されており、
前記レジストの屈折率と前記第1の微粒子の屈折率の差は、前記レジストの屈折率と前記第2の微粒子の屈折率の差よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光散乱層の前記表示面側の前記反射層は、画素を区画するように、格子状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
表示面を有する表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、
前記表示パネルは、前記バックライトと対向する基板を有し、前記基板の前記表示面と平行な面において、赤色を発光する波長変換層と、緑色を発光する波長変換層と、光透過層を有し、
前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記光透過層の間には光散乱層が形成され、
前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記光透過層の前記バックライト側は反射層を有し、
前記光散乱層は前記表示面側に反射層を有し、
前記バックライトの光源は青色発光LEDであり、
前記波長変換層のバックライト側の反射層は、前記バックライトから出射する前記青色発光LEDの光を前記バックライト側へ反射し、
前記波長変換層は前記光散乱層から入射した光の波長を変換することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
表示面を有する表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、
前記表示パネルは、前記バックライトと対向する基板を有し、前記基板の前記表示面と平行な面において、赤色を発光する波長変換層と、緑色を発光する波長変換層と、青色を発光する波長変換層を有し、
前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記青色を発光する波長変換層の間には光散乱層が形成され、
前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記青色を発光する波長変換層の前記バックライト側は反射層を有し、
前記光散乱層は前記表示面側に反射層を有し、
前記バックライトの光源は紫外線発光LEDであり、
前記波長変換層のバックライト側の反射層は、前記バックライトから出射する前記紫外線発光LEDの光を前記バックライト側へ反射し、
前記波長変換層は前記光散乱層から入射した光の波長を変換することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
第1の基板と第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルとバックライトを有する液晶表示装置であって、
前記第2の基板は、前記バックライトと対向し、
前記第1の基板には走査配線と信号配線に囲まれた領域に画素が形成され、
前記画素にはTFTと接続した画素電極が形成され、
前記第2の基板には前記画素に対応して波長変換層が形成され、
前記波長変換層と前記波長変換層の間には光散乱層が形成され、
前記波長変換層は蛍光体を有し、
前記波長変換層の前記バックライト側には反射層が形成され、
前記光散乱層の前記液晶層側には反射層が形成され、
前記波長変換層のバックライト側の反射層は、前記バックライトから出射する光を前記バックライト側へ反射し、
前記波長変換層は前記光散乱層から入射した光の波長を変換することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
第1の基板と第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルとバックライトを有する液晶表示装置であって、
前記第1の基板には走査配線と信号配線に囲まれた領域毎に赤画素、緑画素、青画素が形成され、
前記赤画素、前記緑画素、前記青画素にはTFTと接続した画素電極が形成され、
前記第2の基板は、前記バックライトと対向し、
前記第2の基板には前記赤画素、前記緑画素、前記青画素に対応して赤色を発光する波長変換層、緑色を発光する波長変換層、光透過層が形成され、
前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記光透過層の前記バックライト側には光反射層が形成され、
前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記光透過層の間には光散乱層が形成され、
前記光散乱層の前記液晶層側には反射層が形成され、
前記バックライトの光源は青色を発光するLEDであり、
前記波長変換層のバックライト側の光反射層は、前記バックライトから出射する前記LEDの光を前記バックライト側へ反射し、
前記波長変換層は前記光散乱層から入射した光の波長を変換することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
前記赤色を発光する波長変換層の前記液晶層側には赤カラーフィルタが配置し、前記緑色を発光する波長変換層には黄色カラーフィルタが配置していることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
第1の基板と第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルとバックライトを有する液晶表示装置であって、
前記第1の基板には走査配線と信号配線に囲まれた領域毎に赤画素、緑画素、青画素が形成され、
前記赤画素、前記緑画素、前記青画素にはTFTと接続した画素電極が形成され、
前記第2の基板は、前記バックライトと対向し、
前記第2の基板には前記赤画素、前記緑画素、前記青画素に対応して赤色を発光する波長変換層、緑色を発光する波長変換層、青色を発光する波長変換層が形成され、
前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記青色を発光する波長変換層の前記バックライト側には光反射層が形成され、
前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記青色を発光する波長変換層の間には光散乱層が形成され、
前記光散乱層の前記液晶層側には反射層が形成され、
前記バックライトの光源は紫外線を発光するLEDであり、
前記波長変換層のバックライト側の光反射層は、前記バックライトから出射する前記LEDの光を前記バックライト側へ反射し、
前記波長変換層は前記光散乱層から入射した光の波長を変換することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
前記第1の基板の前記走査配線、前記信号配線、前記TFTとオーバーラップして反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記液晶表示パネルはIPS方式であることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に蛍光体を用いたバックライトを有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に使用される液晶表示パネルは、画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
現在市販されている液晶表示装置にはフィールドシーケンシャル方式も一部含まれるが、大多数は白色光源からの白色光をカラーフィルタで吸収してカラー表示を行うカラーフィルタ方式である。色再現範囲の拡大と共にカラーフィルタの透過率が低減する傾向にあり、カラーフィルタはカラーフィルタ方式の液晶表示装置におけるエンルギー変換効率低下の主要因である。
【0004】
カラーフィルタ方式以外のカラー表示方法として、前述のフィールドシーケンシャル方式の他にも蛍光体による波長変換を利用した方式がある。すなわち、光源に青色光源もしくは近紫外光源を用い、波長変換層で光源光を吸収し、蛍光を発光して光源光をより長波長の光に変換する。波長変換層には蛍光体を用いることから、蛍光体による波長変換を用いた表示装置をこの明細書では蛍光体表示装置と呼ぶこともある。
【0005】
このような表示装置を記載したものとして、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、画素毎に蛍光体を含む単色層が形成され、蛍光体を含む単色層と蛍光体を含む単色層の間に光吸収層が形成され、蛍光体を含む単色層と光吸収層の間に反射膜が形成されている構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−246303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蛍光体を用いてカラ表示を行う表示装置において、蛍光体は高い内部量子効率持つことが特長であるが、その活用には外部量子効率の向上が課題である。即ち蛍光は等方的に伝播するので、何も工夫しなければ使用者の観察する前方に出射する割合は極めて低い。層内や後方に向かう蛍光の方向を前方に変えて外部量子効率を向上するための構造は光取出し構造と呼ばれるが、光取出し構造によっては波長変換層の開口率が低下することがある。また、波長変換層を励起するバックライト光源に高いコリメート性が求められることがあるが、コリメート性の高いバックライト光源は効率が低いので好ましくない。
【0008】
コリメートバックライトを使わずに蛍光体表示装置の外部量子効率を向上するには、光取出し構造に工夫が必要であり、更には蛍光体表示装置全体の構成を最適化する必要がある。本発明の課題はこの様な蛍光体表示装置における外部量子効率を向上する構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以上に述べた課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)表示面を有する表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、
前記表示パネルは、前記表示面と平行な面において、画素毎に波長変換層を有し、前記波長変換層と波長変換層の間に光散乱層を有し、前記波長変換層は蛍光体を有し、前記光散乱層は微粒子を有し、前記波長変換層の前記バックライト側は反射層を有し、前記光散乱層の前記表示面側は反射層を有することを特徴とする表示装置。
【0011】
(2)前記波長変換層の断面は、前記表示面側の幅が前記バックライト側の幅よりも大きい、台形であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0012】
(3)前記光散乱層は、前記表示面側で光散乱が大きく、前記バックライト側で光散乱が小さいことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0013】
(4)前記光散乱層における前記微粒子の濃度は、前記表示面側で大きく、前記バックライト側で小さいことを特徴とする(3)に記載の表示装置。
【0014】
(5)前記光散乱層には、レジストに第1の微粒子を分散させた第1の光散乱層が前記表示面側に形成され、前記レジストに第2の微粒子を分散させた第2の光散乱層が前記バックライト側に形成されており、前記レジストの屈折率と前記第1の微粒子の屈折率の差は、前記レジストの屈折率と前記第2の微粒子の屈折率の差よりも大きいことを特徴とする(3)に記載の表示装置。
【0015】
(6)前記光散乱層の前記表示面側の前記反射層は、画素を区画するように、格子状に形成されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0016】
(7)表示面を有する表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、前記表示パネルは、前記表示面と平行な面において、赤色を発光する波長変換層と、緑色を発光する波長変換層と、光透過層を有し、前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記光透過層の間には光散乱層が形成され、前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記光透過層の前記バックライト側は反射層を有し、前記光散乱層は前記表示面側に反射層を有し、前記バックライトの光源は青色発光LEDであることを特徴とする表示装置。
【0017】
(8)表示面を有する表示パネルとバックライトを有する表示装置であって、前記表示パネルは、前記表示面と平行な面において、赤色を発光する波長変換層と、緑色を発光する波長変換層と、青色を発光する波長変換層を有し、前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記青色を発光する波長変換層の間には光散乱層が形成され、前記赤色を発光する波長変換層と、前記緑色を発光する波長変換層と、前記青色を発光する波長変換層の前記バックライト側は反射層を有し、前記光散乱層は前記表示面側に反射層を有し、前記バックライトの光源は紫外線発光LEDであることを特徴とする表示装置。
【0018】
(9)第1の基板と第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルとバックライトを有する液晶表示装置であって、前記第1の基板には走査配線と信号配線に囲まれた領域に画素が形成され、前記画素にはTFTと接続した画素電極が形成され、前記第2の基板には前記画素に対応して波長変換層が形成され、前記波長変換層と前記波長変換層の間には光散乱層が形成され、前記波長変換層は蛍光体を有し、前記波長変換層の前記バックライト側には反射層が形成され、前記光散乱層の前記液晶層側には反射層が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0019】
(10)第1の基板と第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルとバックライトを有する液晶表示装置であって、前記第1の基板には走査配線と信号配線に囲まれた領域毎に赤画素、緑画素、青画素が形成され、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素にはTFTと接続した画素電極が形成され、前記第2の基板には前記赤画素、前記緑画素、前記青画素に対応して赤色を発光する波長変換層、緑色を発光する波長変換層、光透過層が形成され、前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記光透過層の前記バックライト側には光反射層が形成され、前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記光透過層の間には光散乱層が形成され、前記光散乱層の前記液晶層側には反射層が形成され、前記バックライトの光源は青色を発光するLEDであることを特徴とする液晶表示装置。
【0020】
(11)前記赤色を発光する波長変換層の前記液晶層側には赤カラーフィルタが配置し、前記緑色を発光する波長変換層には黄色カラーフィルタが配置していることを特徴とする(10)に記載の液晶表示装置。
【0021】
(12)第1の基板と第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルとバックライトを有する液晶表示装置であって、前記第1の基板には走査配線と信号配線に囲まれた領域毎に赤画素、緑画素、青画素が形成され、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素にはTFTと接続した画素電極が形成され、前記第2の基板には前記赤画素、前記緑画素、前記青画素に対応して赤色を発光する波長変換層、緑色を発光する波長変換層、青色を発光する波長変換層が形成され、前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記青色を発光する波長変換層の前記バックライト側には光反射層が形成され、前記赤色を発光する波長変換層、前記緑色を発光する波長変換層、前記青色を発光する波長変換層の間には光散乱層が形成され、前記光散乱層の前記液晶層側には反射層が形成され、前記バックライトの光源は紫外線を発光するLEDであることを特徴とする液晶表示装置。
【0022】
(13)前記第1の基板の前記走査配線、前記信号配線、前記TFTとオーバーラップして反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0023】
(14)前記液晶表示パネルは、IPS方式液晶表示装置であることを特徴とする(9)乃至
(13)のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、エネルギー効率の高い表示装置を実現することができる。エネルギー効率が高いことにより、高精細の画面としても、画面輝度を確保することが出来る。また、エネルギー効率が高いことによって、表示装置の電池駆動時間を長くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の波長変換構造の斜視図を
図1に示す。基板SU上に光散乱層SCと波長変換層WCが近接して交互に形成され、光散乱層SCと光変換層WCの断面は方形である。光散乱層SCは頂部に頂部反射層RUを備え、光変換層WCは底部に底部反射層RDを備える。以下に
図1の構造を実現するプロセスを示す。
【0028】
平均径が約2μmの微粒子SPをネガレジストに20重量%混合し、これを基板SU上に厚さ20μmで塗布した。微粒子にはアルミナ、酸化チタン等の高屈折率の透明金属酸化物が適用可能である。これを露光、現像して
図1に示したようにストライプ状にパターンニングして光散乱層SCとした。光散乱層SCの幅と間隙はいずれも25μmにし、光散乱層SCの高さは50μmにした。これにアルミニウムを蒸着すると、該アルミニウムは、光散乱層SCの頂部と間隙は平坦なため200nmの厚さで製膜され、光散乱層SCの側面はほぼ垂直なため前者よりも薄い100nmの厚さで成膜される。
【0029】
これをウエットエッチングすると、光散乱層SCの頂部、間隙、側面のいずれのアルミニウム膜もほぼ同じ速度でエッチングされる。光散乱層SCの側面のアルミニウム膜が完全に消失するまでエッチングすると、光散乱層SCの頂部と間隙にはいずれも100nm程度の厚さのアルミニウム膜を残すことができる。100nm程度の厚さのアルミニウム膜は約85%の反射率を示し、これを反射層RLとした。反射層RLには高反射率の金属膜が好ましく、アルミニウムの外にも銀などが適用可能である。
【0030】
スクリーン印刷用の透明インキに蛍光体FMを混合し、これを光散乱層SCの間隙に塗布して波長変換層WCとした。蛍光体FMにはクマリン6を用い、スクリーン印刷用の透明インキに0.3重量%混合した。クマリン6は有機低分子であり、透明インキ中に溶解して単分子分散するため、透明インキとクマリン6の混合物は透明である。即ち近接して交互に配置された光散乱層SCと波長変換層WCは、前者は光散乱性であるのに対し後者は透明である。
【0031】
波長変換層WCに用いる蛍光体FMは、透明インキ等の透明媒体と蛍光体の混合物を透明にするために有機低分子若しくは量子ドットが適している。量子ドットとは、半導体の微粒子のことで、粒子の大きさを変えることによって発光の波長を変えることができる。尚ここで透明とは、光散乱性がなく光の直進性が良好なことを意味している。
【0032】
波長変換層WCは蛍光体FMを含んでおり、蛍光体FMは可視波長の特定波長において吸収を示すため波長変換層WCは透明であっても無色透明ではない。有機低分子若しくは量子ドットは透明インキ中で集合体を形成してもその大きさが可視波長よりも十分に小さければ波長変換層WCは透明になるが、濃度消光による内部量
子効率の低下を防ぐためには単一の分子に分かれた状態で分散している方が好ましい。ここで、濃度消光とは、粒子の濃度が高すぎた場合に、発光効率が低下する現象である。また、内部量子効率とは、蛍光体内部における発光効率をいう。
【0033】
図2に示したように青色LED(Light Emitting Diode)BLEDを側面に備えたバックライトBLの上に本発明の波長変換構造を配置し、バックライトBLを点灯したところ緑色の蛍光が得られた。本発明の波長変換構造を上面に向けて発した蛍光の全光束量と、バックライトBLを前方に向けて発した光源光の全光束量を計測して比較したところ、前者は後者に対して約70%であった。
【0034】
図2において、バックライトBLは、青色LED(BLED)が側面に配置された導光板LGの上にプリズムシートPRが載置されている。この他に拡散シート等も配置されるが、
図2では省略されている。導光板の下に反射シートが配置している。
【0035】
図2に示すように、導光板から出た光の一部EX1は底部反射層RDで反射するが、プリズムシートで再び反射され、光散乱層SCに入射し、その後光変換層WCに入射する。他の光EX2は光散乱層SCで一度後方散乱を受けるが、導光板LGの下の反射シートで反射し、再び光散乱層SCに入射し、その後光変換層WCに入射する。なお、反射はプリズムシートPR、反射シートのみでなく、導光板LG、拡散シート等の界面においても生ずる。
【0036】
図3は、光散乱層SCに入射した光EX3、EX4が散乱を受けながら波長変換層に入射する様子を示す断面模式図である。
図4は、波長変換層WCにおいて、蛍光体FMによって波長変換を受けた光が表示面方向に出射する状態を示す断面模式図である。蛍光体FMからは色々な方向に光が放射される。FL1は、蛍光体FMからバックライト側に放射される光が底部反射層RDにおいて反射し、表示面方向に出て行く様子を示している。FL2は、蛍光体FMから光散乱層SC側に放射された光が光散乱層SCで散乱され、表示面方向に出射する様子を示している。FL3は、蛍光体FMから直接、表示面方向に光が出射する様子を示している。
【実施例2】
【0037】
実施例1の波長変換構造において、微粒子SPを混合したネガレジストの露光量を2倍に増大して光散乱層SCの断面形状を
図5に示したように台形にした。光散乱層SCと波長変換層WCは断面がそれぞれ順テーパ、逆テーパとなり光散乱層SCと波長変換層WCの界面に傾斜を付与した。波長変換層WC内で生じた蛍光成分で側面に向かった成分は光散乱層SCに入射するが、光散乱層SCと波長変換層WCの界面が傾斜していることにより、平均的な出射方向が法線方向に偏る効果が得られる。
【0038】
本発明の波長変換構造を用いる際、保護のため上面に透明媒体を積層して用いる場合がある。透明媒体と空気の界面では屈折が生じるが、例えば透明媒体の屈折率を1.5程度とすると、透明媒体の外側に出射するためには空気界面に対する入射角が45度以下であればよい。ここで入射角は、空気界面の法線を0度として定義した。本実施例では光散乱層SCと波長変換層WCを出る光の平均的な出射方向が法線方向に偏るので、透明媒体の外側に出射する割合が高まり効率が向上する。
【実施例3】
【0039】
実施例1の波長変換構造において、
図6に示したように光散乱層を第一の光散乱層SC1と第二の光散乱層SC2の積層体とし、第二の光散乱層SC2を基板SUから離れた側に配置し、第一の光散乱層SC1を基板SUに近接する側に配置した。光散乱層を第一の光散乱層SC1と第二の光散乱層SC2の積層体とするには、微粒子SPの混合比の異なるネガレジストを複数用意し、初めに混合比の低いネガレジストを塗布し、その上に混合比の高いネガを塗布し、その後一括して露光現像する。例えば微粒子SPの混合比が15重量%と30重量%のネガレジストを用意し、これを順次塗布しても良い。
【0040】
ネガレジスト中の微粒子SPの混合比が高いほど光拡散性が増大するが、これと共に後方散乱も増大する傾向にある。後方散乱とは光が入射側に散乱される現象であり、本発明の場合光は基板SU側から光散乱層SCに入射するため後方散乱により再び基板SU側に戻されることになる。本発明の波長変換構造には光リサイクル効果があるが、一回で光散乱層SC中に入射できればより効率が向上する。本実施例では入射側に相当する基板SU側の光散乱性を低くしたことにより一回で光散乱層SC中に入射し易くし、光散乱層SC中の奥まで入射した後に光散乱性のより高い層で散乱されて光変換層WCに向かう。以上により基板SUから光散乱層SCに光が入射する段階での入射効率が向上することにより、波長変換効率が向上する。
【0041】
あるいはまた、光散乱層を第一の光散乱層SC1と第二の光散乱層SC2と第三の光散乱層SC3の3層としても良い。これは、例えば微粒子SPの混合比が10重量%と20重量%と30重量%のネガレジストを用意し、これを順次塗布して露光することにより作成できる。
【実施例4】
【0042】
実施例1の波長変換構造において、
図7に示したように光散乱層を第一の光散乱層SC1と第二の光散乱層SC2の積層体とした。具体的には、第一の光散乱層SC1にはネガレジストとの屈折率差が大きい第一の微粒子SP1を混合し、その第二の光散乱層SC2にはネガレジストとの屈折率差が小さい第二の微粒子SP2を混合した。
【0043】
第一の微粒子SP1と第二の微粒子SP2の組合せは、例えばシリカとアルミナでもよ
く、あるいはまたシリカと酸化チタンであっても良い。このような光散乱層を作成するには、初めに微粒子SP2を混合したネガレジストを塗布し、その上に第一の微粒子SP1を混合したネガレジストを塗布し、その後一括して露光現像する。
【0044】
微粒子とネガレジストとの屈折率差が大きいほど光拡散性が増大するが、これと共に後方散乱も増大する傾向にある。本実施例では入射側に相当する基板SU側の光散乱性を低くしたことにより一回で光散乱層SC中に入射し易くし、光散乱層SC中の奥まで入射した後に光散乱性のより高い層で散乱されて光変換層WCに向かう。
【0045】
以上により基板SUから光散乱層に光が入射する段階での入射効率が向上することにより、波長変換効率が向上する。また、実施例3と異なり微粒子の混合比は一定でもよいので、微粒子を含有する複数のネガレジストの粘度はほぼ一定であり、塗布条件を変えることなく複数のネガレジストを塗布できるため光散乱層の作成が容易である。
【0046】
本実施例は、複数の層におけるネガレジストと微粒子の屈折率の差を利用するものであるから、レジストを第1層と第2層とで必ずしも同一にする必要は無く、レジストを第1層と第2層とで別な材料を使用してもよい。例えば、第1のレジストの屈折率と第1の微粒子の屈折率の差を第2のレジストと第2の微粒子の屈折率の差よりも大きくすることによって、以上で説明した本実施例と同様な効果を得ることができる。
【実施例5】
【0047】
実施例2の波長変換構造において、
図8に示したように波長変換層を赤色波長変換層RWC、緑色波長変換層GWCで構成した。また、赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCの他に光透過層TRを新たに配置し、赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCと光透過層TRを繰り返し配列した。赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCと光透過層TRは、スクリーン印刷により所定の光散乱層間の間隙のみに分布するように形成した。この他にも、ホトレジスト中に蛍光体を混合したものを塗布し、マスク露光を用いて所定の部分にのみ残るように露光して、その後現像してパターンニングしても良い。
【0048】
緑色波長変換層GWCには実施例1の波長変換層WCと同様に蛍光体GFMとして、クマリン6を0.3重量%混合し、赤色波長変換層RWCには赤蛍光体RFMとして、DCMを0.3重量%混合した。また、光透過層TRには透明インキをそのまま用いた。光透過層
TRは赤色波長変換層RWC、緑色波長変換層GWCと同様に光散乱層SCに近接しているが、光散乱層SC内から光透過層TRに移った時点で青色光は拡散光になっているため、赤色波長変換層RWCの赤色蛍光、緑色波長変換層GWCの緑色蛍光と同様の角度分布を有する。尚且つ、光透過層TRでは波長変換されないためバックライトの青色光がそのままの色相で出射される。赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCと光透過層TRからそれぞれ赤色、緑色、青色の光を出射することにより、青色のバックライト光
を白色光に変換することができた。尚且つ、各色ともほぼ同様の角度分布を有するため広い視野角の白色光が得られた。
【0049】
ここで、青色光は波長変換しないため蛍光体の内部量子効率による損失がなく、青色光が他の色の光よりも強くなる場合があり、白色光が青みを帯びる。その場合には例えば光透過層TRの占める面積を赤色波長変換層RWC、緑色波長変換層GWCよりも小さくすれば、白色光をより無彩色にすることができる。
【実施例6】
【0050】
実施例5の波長変換構造において、光散乱層SCの平面分布を
図9に示したように格子状とし、格子の中に赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCと光透過層TRを繰り返し配列した。実施例5において赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCと光透過層TRはストライプ状の配置であり、ストライプの伸長方向を含む方位とその垂直方向を含む方位では蛍光の極角分布に若干の違いが見られた。即ちこれは、ストライプの伸長方向の垂直方向では
図2中にFL2で示した光散乱層SCによる後方散乱効果があるが、ストライプの伸長方向では光散乱層SCによる後方散乱効果がないために生じる。
【0051】
本実施例では光散乱層SCの平面分布を格子状にしたことにより、いずれの方位でも光散乱層SCによる後方散乱効果が生じるようにした。これにより、ストライプの伸長方向を含む方位とその垂直方向を含む方位の蛍光の極角分布蛍光をほぼ同一にすることができた。
【実施例7】
【0052】
本実施例では、実施例6の波長変換構造を液晶表示装置に適用した。本実施例の液晶表示装置は
図10に示したように主に第一の基板SU1と第二の基板SU2が液晶層LCを挟持して成り、第一の基板の周囲には周辺回路を有し、更にSU1には駆動用の回路が接続されている。本実施例の液晶表示装置の一画素の平面図を
図11に示す。
図11中に記載したBB’における断面図を
図12に示す。
【0053】
図12はアクティブ素子を含む断面であり、
図10は
図11中のAA’断面図である。
図10および
図12において、第一の基板SU1上には液晶層LCに近接する側より第一の配向膜AL1、ソース電極SE、第一の絶縁膜IL1、コモン電極CE、平坦化膜を兼ねた有機パッシベーション膜PAS、第二の絶縁膜IL2、信号配線SL、第三の絶縁膜IL3、走査配線GL、第四の絶縁膜IL4、ポリシリコン層PS、第一のアンダーコート膜UC1、第二のアンダーコート膜UC2を有する。第二の絶縁膜IL2は省略される場合もある。
【0054】
第二の基板SU2上には液晶層LCに近接する側より第二の配向膜AL2、第一の平坦化膜OC1、偏光層WGP、第二の平坦化膜OC2、波長変換構造が順次形成されている。波長変換構造は実施例6と同様の構成である。
【0055】
ソース電極SEとコモン電極CEは何れもITO(Indium Tin Oxide)から成り、両者は窒化珪素膜である第一の絶縁膜IL1を介して積層されており、ソース電極SEとコモン電極CEの重畳部は保持期間中において液晶層LCの電位を一定に保つ保持容量を形成する。ソース電極SEは一画素内に2本の櫛歯状構造を有し、コモン電極CEはべた平面状で、両者は窒化珪素膜である第一の絶縁膜IL1で隔てられており、ソース電極SEとコモン電極CEの間にはフリンジ電界が形成される。
【0056】
このような方式の液晶表示装置はFFS(Fringe Field Switching)方式と呼ばれているが、FFSも液晶層LCの層平面に平行な方向に電界を印加する点で、IPS(In Plane Swiching)方式の一種である。IPS方式では、液晶層を駆動するための電極は第一の基板SU1上にのみ形成し、波長変換構造を備えた第二の基板SU2の構造をより簡略化できる。ソース電極SEはポリシリコン層PS、台座膜CAL、コンタクトホールCHを介して信号配線SLに接続されており、画像信号に応じた電位を液晶層LCに印加する。尚、台座膜CALは信号配線SLと同層である。
【0057】
図11において、走査配線GLが第1の方向に延在して第2の方向に配列している。また、信号配線SLが第2の方向に延在して第1の方向に配列している。走査配線GLと信号配線SLで囲まれた領域に画素が形成されている。信号配線SLと走査配線GLは交差しており、その交差部近傍にポリシリコン層PSが形成されアクティブ素子として機能する。尚、第一の絶縁膜IL1とコモン電極CEは画素内においてコンタクトホールの近傍を除く全域に分布するため、
図11において第一の絶縁膜IL1とコモン電極CEはコンタクトホールの周囲の空孔部をそれぞれ実線SINと一点鎖線CEで記載してある。
【0058】
液晶層LCは配向方向の誘電率がその垂直方向よりも大きい正の誘電率異方性を有し、高抵抗で尚且つ室温を含む広い温度範囲でネマチック相を示す。液晶層LCの電圧無印加時における配向状態はホモジニアス配向であり、
図10中にその電圧無印加時における配向方向を円筒状の液晶分子LCMを用いて模式的に示してある。コモン電極CEとソース電極SEによるフリンジ電界が印加されると、液晶層LCの配向状態は方位が回転するように変化する。第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2は、ラビング法もしくは光配向法で配向処理する。液晶層LCには配向方向の誘電率がその垂直方向よりも小さい負の誘電率異方性の液晶も適用可能で、この場合は配向処理方向を
図10中に記載した方向から90度ずらすべきである。
【0059】
第一の基板SU1の上層には偏光板PLが配置され、偏光板PLと偏光層WGPの透過軸は液晶パネルの法線方向から観察して直交するように設定されている。尚且つ、偏光層WGPの透過軸は液晶層LCの配向方向に平行である。以上のような偏光板PLと偏光層WGPと液晶層LCの軸配置により、電圧無印加時に暗表示が、電圧印加時に明表示が得られる。偏光板PLは異方性配向した色素を含み、偏光層WGPは50μmピッチの金属細線からなるワイヤーグリット型の偏光子である。
【0060】
第二の基板SU2上の波長変換構造は第一の基板SU1の画素と整合配置されている。
図10の破線は画素境界を示しており、この破線上に光散乱層SCと信号配線SLが位置している。即ち波長変換構造中で光を発しない光散乱層SCは第一の基板SU1上の信号配線SLの直下に位置しており、赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCと光透過層TRはそれぞれ赤色画素RPXと緑色画素GPXと青色画素GPXのソース電極SEの直下に位置している。尚ここで赤色画素RPX、緑色画素GPX、青色画素GPXとは、それぞれ赤色、緑色、青色の画像信号に対応する電圧が印加される画素である。
【0061】
第二の基板SU2の下方には青色LED(Light Emitting Diode)BLEDを側面に備えたバックライトBLを配置しており、赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCはこれを赤色光と緑色光に変換し、光透過層TRは波長を変換しないで青色光のまま透過する。第一の基板SU1上の画素の横幅と縦幅はそれぞれ17μm、51μmであるが、第二の基板SU2上の波長変換構造も繰返し周期もこれと同様にしており、
図10に示したように両者が整合するように第一の基板SU1と第二の基板SU2を配置する。
図10では整合する画素と赤色波長変換層RWC、緑色波長変換層GWC、光透過層TRを各一例ずつ破線で結んで示してある。これにより、赤色波長変換層RWC、緑色波長変換層GWC、光透過層TRを発した光は対応する画素に選択的に照射される。
【0062】
このように本実施例の液晶表示装置は青色の光源光を波長変換して色表示するため、カラーフィルタを用いて白色光を着色する液晶表示装置に比較して高い効率が得られる。また、本実施例の波長変換構造は光リサイクル効果を有しており、光源光の角度分布にも特段の制限がなくコリメート性も必要としない。
【実施例8】
【0063】
実施例7の液晶表示装置において、第一の基板SU1の信号配線SL、ゲート配線GLに反射防止層RFを形成した。実施例7の液晶表示装置では信号配線SLや走査配線GLで外光が反射されてコントラスト比が低下する場合がある。またポリシリコン層PSに外光が入射すると光電流が発生する場合があり、本来黒表示であるはずの画素に電圧が印加されるため、この場合にもコントラスト比が低下する。
【0064】
本実施例の液晶表示装置の一画素の平面図を
図13に示す。
図13中に破線で示したように、反射防止層RFは信号配線SLと走査配線GLとポリシリコン層PSを覆うように分布する。反射防止層RFは例えば
図16の断面図に示したように信号配線SLと走査配線GLとポリシリコン層PSよりも第一の基板SU1に近接する側に配置した酸化クロム層を有するクロム膜であっても良く、あるいはまた炭素粒子を分散しても良い。これにより、晴天時の屋外などの明るい環境での視認性が向上する効果が得られる。この他にも、信号配線SLや走査配線GLの第一の基板SU1に近接する面上に反射防止層を形成しても同様の効果が得られる。
【実施例9】
【0065】
実施例7の液晶表示装置において、外部から入射した光による蛍光の発生を防ぐための外光励起防止層を配置した。本発明の波長変換層は第一の偏光板PL、液晶層LC及び第二の偏光板WGPの下方に位置する。そのため、外部からの光が波長変換層に入射する場合、第一の偏光板PL1、液晶層LC及び第二の偏光層WGPを通過するので、画像情報に対応した強度で入射する。しかしながら、赤色波長変換層RWCと緑色波長変換層GWCは蛍光を発光するのに対し光透過層TRは蛍光を発光しないため、日中の屋外などでは外光入射により色相の変化等の画質劣化が生じる場合がある。
【0066】
本実施例の液晶表示装置の断面図を
図14に示す。緑色波長変換層GWCの上層には黄色カラーフィルタYCを積層し、赤色波長変換層RWCの上層には赤色カラーフィルタRCを積層した。緑色波長変換層GWCは青色の光で励起されるが、その上に青色の光を吸収する黄色カラーフィルタYCを積層したことにより青色光の入射による励起を防止することができる。赤色波長変換層RWCは青色と緑色の光で励起されるが、その上に青色と緑色の光を吸収する赤色カラーフィルタRCを積層したことにより青色と緑色の光の入射による励起を防止することができる。これにより、日中の屋外などでも画質の劣化を防ぐことができる。
【実施例10】
【0067】
図15は本実施例を示す断面図である。本実施例では、実施例7の液晶表示装置において、バックライトBLに近紫外光を発するLED(UVLED)を用いた。光透過層TRの代わりに青色蛍光体BFMを含有する青色波長変換層BWCを用い、青色波長変換層BWCで光源光を波長変換して青色光を表示した。実施例5のように青色光を波長変換しない場合には青色光のみ蛍光体の内部量子効率による損失がないため、青色光が他の色の光よりも強くなる場合があった。本実施例では青色光も波長変換するため、青色波長変換層BWCと緑色波長変換層GWCと赤色波長変換層RWCの面積比を等しくしても白を無彩色に近づけることができる。
【符号の説明】
【0068】
WC…波長変換層、 RWC…赤色波長変換層、 GWC…緑色波長変換層、 BWC…青色波長変換層、 FM…蛍光体、 SC…光散乱層、 SP…微粒子、 RD…底部反射層、 RU…頂部反射層、 BL…バックライト、 BLED…青LED、 UVLED…紫外線放射LED、 LG…導光板、 PR…プリズムシート、 TR…光透過層、 RPX…赤色画素、 GPX…緑画素、 BPX…青色画素、 PL…偏光板、 WGP…偏光層、 PS…ポリシリコン、 第1アンダーコート膜 UC1…第1アンダーコート膜、 UC2…第2アンダーコート膜、 SL…信号配線、 SE…画素電極、 CE…コモン電極、 CAL…台座膜、 GL…走査線、 IL1…第一絶縁膜、 SIN…第1絶縁膜のホール、 IL2…第2絶縁膜、 IL3…第3絶縁膜、 IL4…第4絶縁膜、 PAS…有機パッシベーション膜、 CH…コンタクトホール、 LC…液晶層、 LCM…液晶分子、 AL1…第1の配向膜、 AL2…第2の配向膜、 OC1…第1のオーバーコート膜、 OC2…第2のオーバーコート膜、 RF…反射防止層、 RC…赤色カラーフィルタ、 YC…黄色カラーフィルタ