【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明に係る水中油型乳化化粧料はこれらの実施例に限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0042】
[実施例1〜5、比較例1〜6: 乳化化粧料]
表1に示す組成の水中油型の乳化化粧料を、次の方法で調製した。
水相成分(成分(10)〜(13)、(15))を75〜80℃で加熱溶解し、同じく油相成分(成分(1)〜(9))を75〜80℃で加熱溶解したものを加えながらホモミキサーで攪拌し、乳化した。乳化後、攪拌しながら室温まで冷却し、中和が必要なものは成分(14)を添加して中和し、実施例1〜5及び比較例1〜6の乳化化粧料を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1〜5及び比較例1〜6の乳化化粧料を、以下の方法により閉塞性、使用感、及び乳化安定性の評価を行った。
【0045】
[閉塞性試験]
直径3.9cmに切ったニトロセルロースメンブランフィルター(GSWP04700)を、直径3.3cmの穴の開いたキャップに挟んだものを用いて、容量120mLの容器に蓋をした。フィルターの露出部(直径3.3cm)に試料0.1gを均一に塗布し、乾燥させた。容器に水を60mL入れ、再度蓋をし、温度40℃、湿度20〜25%の恒温槽中に放置し、初期、3時間後、及び20時間後の重量を測定し、水分蒸散量を算出した。なお、測定はキャップを外して行った。試料を塗布していないものをブランクとし、以下の式で水分蒸散率を求めた。
水分蒸散率(%)=(試料を塗布した場合の水分蒸散量/ブランクの水分蒸散量)×100
各試料について3回ずつ試験を行い、平均値を求めた。水分蒸散率の値は小さいほど蒸散を抑制していることを表す。閉塞性試験の結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示す結果は、以下の評価基準にしたがって区分し、表3に示す。
(閉塞性の評価基準)
◎・・「閉塞性3時間」及び「閉塞性20時間」の少なくとも一方の結果が50%未満
○・・「閉塞性3時間」及び「閉塞性20時間」の両方の結果が70%未満
△・・「閉塞性3時間」及び「閉塞性20時間」のいずれか一方の結果が70%以上
×・・「閉塞性3時間」及び「閉塞性20時間」の両方の結果が70%以上
【0048】
[実使用試験]
20〜40才の女性パネラー計10名に、実施例1〜5及び比較例1〜6の乳化化粧料をブラインドにて使用させ、塗布後の「みずみずしさ」、「のびのよさ」、「肌なじみのよさ」、「べたつき感」、及び「保湿感」の5項目について官能評価させた。
【0049】
(みずみずしさの評価)
「みずみずしさ」については、「非常にみずみずしい」、「みずみずしい」、及び「みずみずしくない」のいずれに該当するかパネラーが判定した結果を、以下の基準に従って評価した。
◎・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が9名以上
○・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が7〜8名
△・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が4〜6名
×・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が3名以下
【0050】
(のびのよさの評価)
「のびのよさ」については、「非常にのびがよい」、「のびがよい」、及び「のびが悪い」のいずれに該当するか判定し、その結果を以下の基準に従って評価した。
◎・・「非常にのびがよい」又は「のびがよい」と評価した人が9名以上
○・・「非常にのびがよい」又は「のびがよい」と評価した人が7〜8名
△・・「非常にのびがよい」又は「のびがよい」と評価した人が4〜6名
×・・「非常にのびがよい」又は「のびがよい」と評価した人が3名以下
【0051】
(肌なじみのよさの評価)
「肌なじみのよさ」については、「非常に肌なじみがよい」、「肌なじみがよい」、「肌なじみが悪い」のいずれに該当するかパネラーが判定した結果を、以下の基準に従って評価した。
◎・・「非常に肌なじみがよい」又は「肌なじみがよい」と評価した人が9名以上
○・・「非常に肌なじみがよい」又は「肌なじみがよい」と評価した人が7〜8名
△・・「非常に肌なじみがよい」又は「肌なじみがよい」と評価した人が4〜6名
×・・「非常に肌なじみがよい」又は「肌なじみがよい」と評価した人が3名以下
【0052】
(べたつきの評価)
「べたつき感」については、「べたつかない」、「べたつきが感じられる」、「べたつく」のいずれに該当するかパネラーが判定した結果を、以下の基準に従って評価した。
◎・・「べたつかない」と評価した人が9名以上
○・・「べたつかない」と評価した人が7〜8名
△・・「べたつかない」と評価した人が4〜6名
×・・「べたつかない」と評価した人が3名以下
【0053】
(保湿感の評価)
保湿感については、「非常にある」、「ある」、及び「ない」のいずれに該当するかパネラーが判定した結果を、以下の基準に従って評価した。
◎・・「非常にある」又は「ある」と評価した人が9名以上
○・・「非常にある」又は「ある」と評価した人が7〜8名
△・・「非常にある」又は「ある」と評価した人が4〜6名
×・・「非常にある」又は「ある」と評価した人が3名以下
【0054】
[安定性試験]
実施例1〜5及び比較例1〜6の乳化化粧料を製造して1日後、室温でTVB−10M形粘度計(東機産業製)(ローターNo.4)にて各化粧料の粘度を測定し、初期粘度とした。続いて、各化粧料を50℃の恒温槽に一ヶ月保管した後に室温まで冷却し、一ヵ月後の外観状態を観察すると共に、粘度測定をして保管後の粘度を初期粘度と比較した。外観状態と粘度に変化がない場合は「○」、やや粘度に変化がみられる場合は「△」、分離している場合は「×」と評価した。
【0055】
閉塞性試験、実使用試験、及び安定性試験の結果を、表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
閉塞性評価の結果としては、表2及び表3から明らかなように、実施例1〜5については高い閉塞性が認められた。また、ワセリンを配合した比較例6も閉塞性が認められた。しかし、比較例1〜5の全てに閉塞性が確認されなかった。
【0058】
実使用テストの結果は、表3に示されるように、実施例1〜5は全ての項目について良好な結果が得られた。比較例1〜5についても使用感に対しては良好な結果だったが、ワセリンを配合した比較例6は肌なじみ、べたつき感のなさで良好な結果が得られなかった。
【0059】
安定性評価の結果としては、実施例1〜5及び比較例1〜5については乳化状態の変化が認められず、安定性に優れることが示された。比較例6は分離が認められた。
【0060】
以上のように、実施例1〜5は閉塞性、使用感、及び安定性の全ての項目において優れる結果となった。これに対し、アルキルグルコシド、常温で固体の高級アルコール、ロウ類、及び両親媒性高分子の4成分のうち3成分しか含有しない比較例1〜5は、使用感は良好であったが、閉塞性が認められなかった。ワセリンを含有する比較例6は、閉塞性に優れるが使用感及び安定性が劣る結果となった。従って、アルキルグルコシド、常温で固体の高級アルコール、ロウ類、及び両親媒性高分子を組み合わせて水中油型乳化化粧料を調製することで、閉塞性、使用性、及び安定性の全てに優れた化粧料を得ることができることが明らかとなった。
【0061】
[実施例6: 乳液]
以下に示す組成の水中油型の乳液を、成分(6)〜(9)に成分(10)を加え均一溶解し加熱したものに、成分(1)〜(5)をあらかじめ加熱溶解したものを加えてホモミキサーにて乳化し、冷却することにより調製した。
(組成) (質量%)
(1)MONTANOV L 2.5
(2)ミツロウ 3.0
(3)エチルヘキサン酸セチル 3.0
(4)トリエチルヘキサノイン 3.0
(5)スクワラン 7.0
(6)グリセリン 3.0
(7)BG 5.0
(8)フェノキシエタノール 0.3
(9)サンジェロース 60L 0.2
(10)水 73.0
【0062】
[実施例7: スキンクリーム]
以下に示す組成の水中油型のスキンクリームを次のように調製した。成分(6)〜(9)を成分(11)に均一溶解し、加熱したものに、成分(1)〜(5)をあらかじめ加熱溶解したものを加えてホモミキサーにて乳化した。冷却後、成分(10)を加え、中和した。
(組成) (質量%)
(1)MONTANOV 202※1 3.50
(2)カルナウバロウ 3.50
(3)オレイン酸フィトステリル 0.40
(4)スクワラン 18.00
(5)ジメチコン 4.00
(6)グリセリン 2.00
(7)BG 5.00
(8)フェノキシエタノール 0.30
(9)Carbopol 1342※2 0.25
(10)水酸化ナトリウム 0.15
(11)水 62.90
※1:アラキルグルコシド、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール
※2:(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー
【0063】
[実施例8: ボディクリーム]
以下に示す組成の水中油型のボディクリームを、次のように調製した。成分(6)〜(11)を成分(13)に均一溶解し、加熱したものに、成分(1)〜(5)をあらかじめ加熱溶解したものを加えてホモミキサーにて乳化した。冷却後、成分(12)を加え、中和した。
(組成) (質量%)
(1)MONTANOV 68※3 3.00
(2)キャンデリラロウ 3.50
(3)ジメチコン 6.00
(4)トリエチルヘキサノイン 7.00
(5)スクワラン 5.00
(6)グリセリン 2.00
(7)ジグリセリン 1.00
(8)BG 5.00
(9)トルナーレ※4 2.00
(10)フェノキシエタノール 0.30
(11)PEMULEN TR−1 0.20
(12)水酸化ナトリウム 0.04
(13)水 64.95
※3:セテアリルグルコシド、セテアリルアルコール
※4:グリコシルトレハロース 、加水分解水添デンプン 、水
【0064】
[実施例9: 保湿クリームパック]
以下に示す組成の水中油型の保湿クリームパックを、次のように調製した。成分(7)〜(10)を成分(12)に均一溶解し、加熱したものに、成分(1)〜(6)をあらかじめ加熱溶解したものを加えてホモミキサーにて乳化した。冷却後、成分(11)を加え、中和し、成分(13)、(14)を加え均一混合した。
(組成) (質量%)
(1)MONTANOV L 3.00
(2)ミツロウ 2.50
(3)トリエチルヘキサノイン 2.00
(4)スクワラン 14.00
(5)テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 2.00
(6)エルデュウAPS−307※5 0.30
(7)グリセリン 3.00
(8)BG 5.00
(9)フェノキシエタノール 0.30
(10)PEMULEN TR−1 0.30
(11)水酸化ナトリウム 0.08
(12)水 67.37
(13)加水分解ヒアルロン酸 0.05
(14)加水分解コラーゲン 0.10
※5:ミリストイルメチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)
【0065】
実施例6〜9の水中油型乳化化粧料においても、良好な使用感、閉塞性、安定性を得ることができた。