(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記関係図上の所定の位置に対するユーザによる入力部を介した所定の入力指示があると、前記所定の位置の前記組合せに対応する前記画像処理後の画像データにもとづく画像を記表示部に表示させる画像出力部、
をさらに備えた請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
前記関係図上で隣接する前記評価指標値の差が最も大きい前記関係図上の位置を検出し、この検出した位置を前記関係図上で強調表示する画像を前記関係図に重畳表示させる推奨設定提示部、
をさらに備えた請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
前記一連の複数種の画像処理は前記医用3次元画像データに含まれる部位の領域を抽出するための画像処理であって、前記複数種の画像処理は少なくとも閾値処理、収縮処理および膨張処理を含む、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る医用画像処理装置およびパラメータ設定支援方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る医用画像処理装置10の一構成例を示すブロック図である。
【0011】
医用画像処理装置10は、
図1に示すように、表示部11、入力部12、記憶部13、ネットワーク接続部14および制御部15を有する。
【0012】
表示部11は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、制御部15の制御に従って医用画像などの各種画像を表示する。
【0013】
入力部12は、少なくともポインティングデバイスを含み、たとえばマウス、トラックボール、キーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を制御部15に出力する。
【0014】
記憶部13は、モダリティ100から出力される医療用のボリュームデータ(医用3次元画像データ)や再構成画像データを記憶する。モダリティ100は、たとえばX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、X線診断装置などの医用画像診断装置であって、被検体(患者)の撮像により得られた投影データにもとづいてボリュームデータ(3次元画像データ)を生成可能な装置により構成することができる。
【0015】
また、記憶部13は、一連の複数種の画像処理の各画像処理に対応するパラメータの値の組合せ(以下、パラメータ組合せという)と、各パラメータ組合せに対応する一連の画像処理後の画像データと、各画像処理後の画像データの評価指標値と、を互いに関連付けて記憶する。
【0016】
ネットワーク接続部14は、ネットワーク101の形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続部14は、この各種プロトコルに従って医用画像処理装置10と他の電気機器とを接続する。ここでネットワーク101とは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、病院基幹LAN(Local Area Network)などの無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0017】
医用画像処理装置10は、ネットワーク101を介して接続されたモダリティ100や画像サーバ102からボリュームデータを受けてもよい。ネットワーク101を介して受信したボリュームデータもまた、記憶部13に記憶される。なお、医用画像処理装置10は、モダリティ100の構成要件としてモダリティ100に内包されてもよい。
【0018】
画像サーバ102は、たとえばPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像保管通信システム)に備えられる画像の長期保管用のサーバであり、ネットワーク101を介して接続されたX線CT(Computed Tomography)装置、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置などのモダリティ100で生成された再構成画像やボリュームデータなどを記憶する。
【0019】
制御部15は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って医用画像処理装置10の動作を制御する。
【0020】
制御部15のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたパラメータ設定支援プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って、ボリュームデータに対する画像処理のパラメータ値の設定を支援するための処理を実行する。
【0021】
制御部15のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。制御部15のROMをはじめとする記憶媒体は、医用画像処理装置10の起動プログラム、パラメータ設定支援プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る医用画像処理装置10の制御部15のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0023】
図2に示すように、制御部15のCPUは、パラメータ設定支援プログラムによって、少なくとも画像取得部21、組合せ設定部22、実行部23、指標化部24、関係図生成部25および画像出力部26として機能する。この各部21〜26は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。
【0024】
画像取得部21は、モダリティ100により生成されたボリュームデータを取得し、記憶部13に記憶させる。
【0025】
ここで、従来の一連の複数種の画像処理方法について簡単に説明する。以下の説明では、一連の複数種の画像処理がボリュームデータに含まれる血管(管状構造物)領域を抽出するための画像処理であって、複数種の画像処理が少なくとも閾値処理、収縮処理および膨張処理を含む場合の例について示す。
【0026】
図3は、従来の血管領域抽出方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図3において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。また、
図4は、
図3に示す手順のうちステップS103、S104、S106で実行される画像処理結果の画像例を示す説明図である。
【0027】
従来の手順では、まず、ボリュームデータを取得し(ステップS101)、パラメータ値の組合せのユーザによる設定を受け付ける(ステップS102)。
【0028】
以下の説明では、一連の複数種の画像処理の各画像処理に対応するパラメータの値の組合せ(パラメータ組合せ)が閾値処理、収縮処理および膨張処理のパラメータ値の組合せである場合の例について示す。この場合、ステップS102でユーザは、閾値処理、収縮処理および膨張処理のためのパラメータ(閾値パラメータ、収縮パラメータおよび膨張パラメータ)の値の組合せを設定する。
【0029】
一連の複数種の画像処理として、まず閾値パラメータにもとづいてボリュームデータに対して閾値処理が実行される(ステップS103、
図4参照)。たとえば閾値パラメータが、強度が所定の強度(たとえば強度が0−100で表現されるとき、50など)以下のボクセルを削除するためのパラメータである場合、閾値処理では所定の強度以下のボクセルが削除される。
【0030】
次に、セグメンテーション処理によりユーザが注目する領域(たとえば血管など)の連結領域が抽出される(ステップS104、
図4参照)。セグメンテーション処理の起点は、閾値処理後の最大連結体積を有する部位を自動的に抽出してもよいし、ユーザにより入力装置を介して指示されてもよい。
【0031】
次に、収縮パラメータにもとづいて閾値処理後の画像データに対して収縮処理が実行される(ステップS105)。
【0032】
指定領域に接する対象の画素をひとまわりはぎとる処理を収縮(erosion)という。収縮処理の過程で本来は連結されるべきでない領域同士の連結を分割することができる。収縮パラメータは、はぎとる回数(1回ごとのはぎとる画素数を1とした場合ははぎとる画素数に同じ)を示す情報である。ステップS105の収縮処理により、本来連結していないはずの領域を切り離すことができる。
【0033】
次に、収縮処理後の画像データに対してセグメンテーション処理を実行することにより、収縮処理で切り離された領域を削除する(ステップS106、
図4参照)。
【0034】
次に、膨張パラメータにもとづいて画像データに対して膨張処理が実行される(ステップS107)。
【0035】
指定領域に接する対象の画素に、画素をひとまわり加える処理を膨張(dilation)という。膨張処理により、収縮処理ではぎとられた画素を再度修復することができる。膨張パラメータは、画素を加える回数(1回ごとの加える画素数を1とした場合は加える画素数に同じ)を示す情報である。
【0036】
同じ回数だけ収縮したのち膨張する処理をオープニング(opening)といい、オープニングを実行することで画像の小さな連結部分を除くことができることが知られている。なお、本実施形態に係る一連の複数種の画像処理では、収縮回数と膨張回数は同一であるとは限らない。たとえば血管領域を抽出する場合であって、ユーザにとって外壁情報が不要である場合には、内壁まで画素を剥ぎとった画像がユーザにとっての所望の画像となる。この場合、ユーザにとっての所望の画像を得るためには、膨張回数に比べ収縮回数のほうが多いことになる。
【0037】
続いて、膨張処理後の画像データに対してセグメンテーション処理を実行する(ステップS108)。この結果得られる画像データは、ユーザが設定したパラメータ組合せを用いた一連の複数種の画像処理により抽出された領域の画像データである。
【0038】
そして、この画像データに基づく画像を表示装置に表示し、ユーザに確認させる(ステップS109)。ユーザは、表示装置に表示された画像を確認し、所望の領域が抽出されたか否かを判断する。所望の領域が抽出された場合は一連の手順は終了となる。一方、所望の領域が抽出されているとはいえないと判断した場合、ユーザは、再度ステップS102に戻ってパラメータ組合せを調整し、再度一連の複数の画像処理を実行させて画像表示させることを繰り返す。
【0039】
このように、従来、ユーザはパラメータ組合せを入力し、入力したパラメータ組合せを用いた画像処理後の画像を視認し、パラメータ組合せを調整することを繰り返すことにより、ようやく最適な画像を与えるパラメータ組合せにたどりついていた。このため、従来の手順では、たとえ熟練したユーザであっても、従来の方法では最適なパラメータ組合せを得ることが難しい。
【0040】
そこで、本実施形態に係る医用画像処理装置10の制御部15は、複数のパラメータ組合せごとの画像処理後の画像データの評価指標値をあらかじめ算出しておき、ユーザにパラメータ組合せと評価指標値との関係図を提示することで、ユーザによるボリュームデータに対する画像処理のパラメータ値の設定を支援する。
【0041】
このために、まず、組合せ設定部22は、ボリュームデータに対して実行される一連の複数種の画像処理の各画像処理に対応するパラメータ組合せについて、複数のパラメータ組合せを自動設定する。上記の領域抽出の例では、パラメータ組合せは閾値パラメータ、収縮パラメータおよび膨張パラメータにより構成される。
【0042】
たとえば、閾値パラメータが所定の強度閾値以下のボクセルを削除するためのパラメータであって、たとえば0−100の範囲で5刻みの値をとり、収縮パラメータおよび膨張パラメータが0−20回で1回刻みの値を取る場合を考える。この場合、組合せ設定部22により自動設定されるパラメータ組合せは、閾値が0−100で21とおり、収縮パラメータおよび膨張パラメータが0−20で21とおりの合計21×21×21=9261とおりである。
【0043】
実行部23は、ボリュームデータに対してパラメータ組合せのそれぞれで一連の複数種の画像処理(
図3のステップS103−S108参照)を実行することにより、パラメータ組合せごとに対応する画像処理後の画像データを生成する。また、実行部23は、この画像処理後の画像データとパラメータ組合せとを関連付けて記憶部13に記憶させる。
【0044】
指標化部24は、パラメータ組合せのそれぞれに対応する画像処理後の画像データの評価指標値を求め、記憶部13に記憶された画像処理後の画像データとパラメータ組合せに対してさらにこの評価指標値を関連付けて記憶させる。
【0045】
図5は、画像処理後の画像データの評価指標値の一例としてのボクセルデータ率について説明するための図である。
【0046】
本実施形態に係る指標化部24は、
図5に示すように、画像処理後の画像データの評価指標値として、ボクセル率を求める。ボクセル率は、一連の複数種の画像処理を実行する前のボリュームデータに含まれるボクセル量に対する、画像処理後の画像データに含まれるボクセル量の割合を示す。ボクセル率は、その値が低いほど画像処理によりボリュームデータから多くの画素値が削除されていることを表す。
【0047】
図6は、ボクセル率とパラメータ組合せとの関係図の一例を示す説明図である。
図6には、関係図がボクセル率と、収縮パラメータと、閾値パラメータとの関係を示す図である場合の例について示した。
【0048】
関係図生成部25は、ボクセル率とパラメータ組合せとの関係を示す関係図を生成する。
図6に示す関係図において、座標(x、y)は(収縮パラメータ値、閾値パラメータ値)を示す。また、各座標には、ボクセル率に応じた情報が表示される。ボクセル率に応じた情報としては、ボクセル率に応じた色相、輝度、階調、数値などのいずれかまたはこれらの組合せなどを用いることができる。
【0049】
図6のy軸(縦軸)は、閾値パラメータが強度閾値以下のボクセルを削除するためのパラメータである場合における強度閾値を表している。この例では、y軸の上方ほど、強度閾値が高くなりより多くのボクセルが削除されてボクセル率が低下する。
【0050】
図7は、ボクセル率とパラメータ組合せとの関係図の他の例を示す説明図である。
図7(a)は
図6と同様に関係図がボクセル率と収縮パラメータと閾値パラメータとの関係を示す図であるとともに、関係図と膨張パラメータの数値受付画像とを並列表示する場合の一例を示す説明図である。
図7(b)は、関係図がボクセル率と膨張パラメータと閾値パラメータとの関係を示す図であるとともに、関係図と収縮パラメータの設定受付画像とを並列表示する場合の一例を示す説明図である。
図7(c)は、関係図がボクセル率と収縮パラメータと膨張パラメータとの関係を示す図であるとともに、関係図と閾値パラメータの設定受付画像とを並列表示する場合の一例を示す説明図である。
【0051】
図7に示すように、関係図生成部25は、関係図に直接表示されないパラメータについてはユーザから数値を受け付けるための数値受付画像を表示し、ユーザから受け付けた数値に応じた関係図を生成するようにしてもよい。
【0052】
また、
図7(c)に示すように、閾値パラメータは、強度閾値以下を削除するためのパラメータであってもよいし(
図6参照)、強度閾値以上を削除するためのパラメータであってもよいし、所定の強度範囲のみを残すためのパラメータであってもよい。所定の強度範囲のみを残すためのパラメータである場合は、所定の強度範囲は複数設定されてもよい(
図7(c)参照)。
【0053】
ユーザは、この
図7に示す関係図を用いて容易にパラメータ組合せとボクセル率との関係を把握することができる。
【0054】
たとえば、ユーザはまず関係図として収縮パラメータと閾値パラメータとパラメータ組合せの関係を示す図を表示させる(
図7(a)参照)。また、ユーザは膨張パラメータの数値受付画像を介して膨張パラメータについて収縮パラメータと同一の値に指定したと仮定する。このとき、ユーザはこの関係図から、パラメータ組合せとボクセル率との関係を容易に把握することができる。
【0055】
さらに、上記例において
図7(a)を確認したユーザが最適なパラメータ組合せ(収縮、閾値)を(3回、65)だと考えた場合、ユーザは次に、関係図として
図7(c)に示す収縮パラメータと膨張パラメータとパラメータ組合せの関係を示す図を表示させる。そして、ユーザは、閾値パラメータの数値受付画像を介して閾値パラメータが65以下を削除するためのパラメータとなるよう指定し、収縮パラメータが3回であるボクセル率を確認することで、最適なパラメータ組合せ(収縮、閾値、膨張)を容易に把握することができる。
【0056】
図8は、関係図に対するユーザ指示に応じて画像処理後の画像を表示する際の様子の一例を示す説明図である。
【0057】
画像出力部26は、関係図上の所定の位置に対するユーザによる入力部12を介したクリックなどの所定の入力指示があると、この入力指示位置のパラメータ組合せに対応する画像処理後の画像データを記憶部13から取得する。そして、画像出力部26は、この画像データにもとづく画像を生成して表示部11に表示させる。
【0058】
このとき、画像出力部26は、画像とともにパラメータ組合せの各パラメータ値を表示してもよい。また、画像の表示領域を複数設け、複数のパラメータ組合せのそれぞれに対応する画像を並列表示することによりユーザによる比較を容易にしてもよい。さらに、ユーザの入力指示位置に対応する画像に加え、ユーザの入力指示位置の周囲の位置に対応する画像も、あわせて(たとえば9個や25個など)表示させてもよい。
【0059】
ユーザは、関係図上の様々な位置でクリックして画像を表示させることで、容易に所望の画像を与える最適なパラメータ組合せを確認することができる。たとえば、上記例において
図7(c)でユーザは、収縮パラメータが3回である関係図上の位置を次々にクリックして対応する画像を表示し比較することにより、容易に最適な膨張パラメータを確認することができる。
【0060】
また、画像出力部26は、ポインタのホバー操作(マウスオーバー操作)に応じて、ポインタのホバー位置に対応する画像処理後の画像をサムネイル表示させてもよい。
【0061】
次に、本実施形態に係る医用画像処理装置の動作の一例について説明する。
【0062】
図9は、
図1に示す医用画像処理装置10のCPUにより、ボリュームデータに対する画像処理のパラメータ値の設定を支援する際の手順を示すフローチャートである。
図9において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0063】
まず、ステップS1において、画像取得部21は、モダリティ100により生成されたボリュームデータを取得し、記憶部13に記憶させる。
【0064】
次に、ステップS2において、組合せ設定部22は、ボリュームデータに対して実行される一連の複数種の画像処理の各画像処理に対応するパラメータ組合せについて、複数のパラメータ組合せを自動設定する。たとえば、組合せ設定部22は、閾値処理、収縮処理および膨張処理の複数のパラメータ組合せを自動設定する。
【0065】
次に、ステップS3において、実行部23は、ボリュームデータに対してパラメータ組合せのそれぞれで一連の複数種の画像処理(
図3のステップS103−S108参照)を実行することにより、パラメータ組合せごとに、対応する画像処理後の画像データを生成する。
【0066】
次に、ステップS4において、指標化部24は、パラメータ組合せのそれぞれに対応する画像処理後の画像データの評価指標値(
図5参照)を求める。
【0067】
次に、ステップS5において、関係図生成部25は、評価指標値とパラメータ組合せとの関係を示す関係図を生成する。
【0068】
次に、ステップS6において、関係図生成部25は、生成した関係図を表示部11に表示させる(
図6参照)。
【0069】
以上の手順により、ボリュームデータに対する画像処理のパラメータ値の設定を支援することができる。
【0070】
図10は、関係図に対するユーザの入力指示に応じて、入力指示位置のパラメータ組合せに対応するユーザ画像処理後の画像を表示する際の手順の一例を示すフローチャートである。
図10において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0071】
この手順は、
図9に示す手順が実行されて関係図生成部25により表示部11に関係図が表示されてスタートとなる。
【0072】
ステップS11において、画像出力部26は、関係図上の所定の位置に対するユーザによる入力部12を介したクリックなどの所定の入力指示があると、この入力指示位置のパラメータ組合せに対応する画像処理後の画像データを記憶部13から取得する。
【0073】
そして、ステップS12において、画像出力部26は、この画像データにもとづく画像を生成して表示部11に表示させる。
【0074】
以上の手順により、関係図に対するユーザの入力指示に応じて、入力指示位置のパラメータ組合せに対応する画像処理後の画像を表示することができる。
【0075】
本実施形態に係る医用画像処理装置10は、一連の複数種の画像処理の各画像処理に対応するパラメータの値の組合せ(パラメータ組合せ)のそれぞれの画像処理後の画像データの評価指標値を求め、この評価指標値とパラメータ組合せの関係を示す関係図を表示することができる。このため、ユーザはこの関係図から、パラメータ組合せとボクセル率との関係を容易に把握することができる。
【0076】
たとえば、領域抽出処理では、ユーザが所望する画像は、抽出対象領域が最大となるとともに抽出対象領域以外の物体が全く表示されていない画像である。すなわち、ユーザの所望する画像を与える最適なパラメータ組合せは、ボクセル率と相関があるといえる。たとえば、ユーザの所望の画像を与えるパラメータ組合せは、関係図上で隣り合う領域のボクセル率の差が最大となる境界のうちボクセル率が小さい位置に対応するパラメータ組合せであると考えられる。
【0077】
したがって、ユーザは、関係図からパラメータ組合せとボクセル率との関係を容易に把握することにより、複数のパラメータ値からなるパラメータ組合せにおいて最適なパラメータ組合せを容易に把握することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、ユーザは関係図に対する入力指示により入力指示位置のパラメータ組合せに対応する画像処理後の画像を容易に確認することができる。このため、ユーザは各パラメータ組合せによる画像処理後の画像を容易に比較することができ、最適なパラメータ組合せを容易に確認することができる。
【0079】
また、関係図は、たとえば一連の画像処理において収縮させることなく閾値のみを変更する場合に最適な閾値を求める際にも有効である。たとえば、ユーザは注目する血管の周囲の血管であって実際には連結されていない血管も一緒に表示した状態の画像を所望することもある。このような場合であっても、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、ユーザは、たとえば
図6に示す例ではx座標が0の付近を確認することで容易に最適な閾値を確認することができる。
【0080】
なお、本実施形態においてはユーザの指示を受けることなくパラメータ組合せを全て自動設定する場合の例について示したが、ユーザによる指示にもとづいてパラメータ組合せを自動設定してもよい。たとえば、
図9のステップS2の前に、ユーザから入力部12を介して1つのパラメータ組合せの設定を受けてもよい。
【0081】
この場合、
図9のステップS2で組合せ設定部22はユーザに設定されたパラメータ組合せの各パラメータ値のそれぞれを所定範囲で変更した複数のパラメータ組合せ(近傍組合せ)を自動設定するとよい。このとき、ステップS3で実行部23はユーザにより設定された組合せおよび近傍組合せのそれぞれの画像処理後の画像データを生成する。また、ステップS4で指標化部24はこれらの画像データのボクセル率を求め、ステップS5およびS6で関係図生成部25は、このボクセル率とユーザにより設定された組合せおよび近傍組合せとの関係を示す関係図を生成し、表示部11に表示させればよい。
【0082】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る医用画像処理装置の第2実施形態について説明する。
【0083】
図11は、第2実施形態に係る医用画像処理装置10の制御部15AのCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0084】
この第2実施形態に示す制御部15Aは、関係図に対して推奨パラメータ組合せの位置を示す画像(推奨設定提示画像)を重畳表示する点で第1実施形態に示す制御部15と異なる。他の構成および作用については
図1に示す医用画像処理装置10と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図11に示すように、制御部15AのCPUは、パラメータ設定支援プログラムによって、少なくとも画像取得部21、組合せ設定部22、実行部23、指標化部24、関係図生成部25、画像出力部26および推奨設定提示部31として機能する。この各部21〜26および31は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。
【0086】
図12は、推奨設定提示部31により表示される推奨設定提示画像40の一例を示す説明図である。
【0087】
上述のとおり、領域抽出処理では、ユーザが所望する画像は、抽出対象領域が最大となるとともに抽出対象領域以外の物体が全く表示されていない画像である。したがって、ユーザの所望の画像を与えるパラメータ組合せは、関係図上で隣り合う領域のボクセル率の差が最大となる境界のうちボクセル率が小さい位置に対応するパラメータ組合せであると考えられる。
【0088】
そこで、推奨設定提示部31は、記憶部13からパラメータ組合せと評価指標値とを取得し、隣接する評価指標値の差が最も大きい関係図上の位置を検出する。そして、推奨設定提示部31は、この検出した位置のうちボクセル率が小さい側の位置を強調表示する画像である推奨設定提示画像40を生成して関係図に重畳表示させる。
【0089】
また、推奨設定提示部31は、推奨設定提示画像40を重畳させる位置に対応する画像処理後の画像を生成して表示部11に並列表示させてもよい(
図12の右参照)。
【0090】
また、推奨設定提示部31は、隣接する評価指標値の差が所定の差よりも大きい関係図上の位置を複数検出し、これらの検出した位置のうち差が大きい順に第1、第2、第3候補位置として、これらの位置のそれぞれについてボクセル率が小さい側の位置を強調表示するよう推奨設定提示画像40を生成して関係図に重畳表示させてもよい。このとき、評価指標値の差の大きい順を示す情報(たとえばそれぞれが第1、第2、第3候補位置である旨の情報)も重畳表示させてもよい。
【0091】
図13は、関係図に対して推奨設定提示画像40を重畳表示する際の手順の一例を示すフローチャートである。
【0092】
この手順は、
図9に示す手順が実行されて関係図生成部25により表示部11に関係図が表示されてスタートとなる。
【0093】
ステップS21において、推奨設定提示部31は、記憶部13からパラメータ組合せと評価指標値とを取得し、関係図上で隣接する評価指標値の差が所定の差よりも大きい関係図上の位置を検出する。
【0094】
次に、ステップS22において、推奨設定提示部31は、検出した位置のうちボクセル率が小さい側の位置を強調表示するよう推奨設定提示画像40を生成して、関係図に重畳表示させる(
図12参照)。
【0095】
以上の手順により、関係図に対して推奨設定提示画像40を重畳表示することができる。また、
図13に示す推奨設定提示画像40の表示手順の後、
図10に示す手順を実行することができる。
【0096】
第2実施形態に係る医用画像処理装置10は、第1実施形態に係る医用画像処理装置10と同様の効果を奏する。また、第2実施形態に係る医用画像処理装置10は、ユーザの所望の画像を与えるパラメータ組合せの位置を示す推奨設定提示画像40を関係図上に重畳表示することができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、ユーザはより容易に所望の画像を与えるパラメータ組合せを把握することができる。
【0097】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。