特許第6367028号(P6367028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367028
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】支持部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 7/00 20060101AFI20180723BHJP
   E04D 5/12 20060101ALI20180723BHJP
   E04D 5/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   E04D7/00 G
   E04D7/00 Z
   E04D5/12 G
   E04D5/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-142475(P2014-142475)
(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公開番号】特開2016-17376(P2016-17376A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 真梨
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 実公平03−052323(JP,Y2)
【文献】 特開平10−071661(JP,A)
【文献】 特開2013−049980(JP,A)
【文献】 特開平11−280211(JP,A)
【文献】 特開平08−093111(JP,A)
【文献】 米国特許第05644882(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 5/00−12/00
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に防水層が設けられる躯体に対して物品を支持するための支持部材を前記防水層から突出する状態で取り付けるようにした支持部材の取付構造であって、
前記支持部材は、前記物品が支持される支持部と、前記支持部の基端部に設けられる取付部とを備え、前記取付部を介して前記躯体の表面に取り付けられるものであり、
前記取付部は、前記躯体に取り付けられるベースプレートと、前記ベースプレートの表面に前記支持部が貫通する状態で配設されるカバー部材とを備えたものであり、前記カバー部材において前記支持部の周囲となる部位に、前記支持部の基端部側の全周にわたってシーリング材が充填される充填部が形成され、
前記防水層は、前記充填部にシーリング材を充填した後、前記支持部の基端部側に充填したシーリング材を覆う状態で補強材を配設し、さらに前記補強材に樹脂を含浸させたものであり、含浸させた樹脂が前記支持部の周囲全周において前記シーリング材の表面に接触した状態で前記樹脂を硬化させたことを特徴とする支持部材の取付構造。
【請求項2】
前記取付部の周囲において前記躯体の表面との間にシーリング材を塗布することにより前記取付部の表面から前記躯体の表面までの間を傾斜面で連続させたことを特徴とする請求項1に記載の支持部材の取付構造。
【請求項3】
前記取付部の周囲に、前記躯体に近接するに従って漸次外方に傾斜する傾斜面を一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の支持部材の取付構造。
【請求項4】
前記躯体の表面において前記取付部を取り付ける位置に隣接して面材を配設し、さらに前記面材と前記取付部との間に隙間を埋める充填材を充填したことを特徴とする請求項1に記載の支持部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材の取付構造に関するもので、特に、表面に防水層が設けられる躯体に対して物品を支持するための支持部材を防水層から突出する状態で取り付けるようにした支持部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引き違い窓等の建具(以下、「主建具」という)に対して、その室外側となる部分にルーバーや格子といった外装用の建具(以下、「外装建具」という)を設ける場合、あるいはバルコニーやベランダ等の外装用構造体を設ける場合には、主建具の開口枠に対してその周囲となる部位に支持部材を取り付けるようにしている。支持部材は、基端部に取付部を備えており、取付部を介して躯体に取付ネジを螺合させることによって躯体に取り付けられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−4406号公報
【特許文献2】特開平11−43989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、家屋等の建造物には、主建具の下枠よりも下方となる部分に防水層を設けるようにしたものがある。防水層としては、例えば、ガラス繊維等の補強材に樹脂を含浸・硬化させることによって構成したFRP防水層と称されるものがある。こうした防水層が設けられた外壁に対しては、単に表面から取付部を介して躯体に取付ネジを螺合させた場合、硬化後の防水層樹脂に貫通孔が形成され、その防水性に大きな影響を及ぼすおそれがある。一方、躯体の表面に取付部を取り付けた後、取付部の表面を含めて躯体の表面に防水層を構成した場合には、支持部材が貫通する防水層の孔の周囲が取付部に接着された状態となるため、防水性の点で有利となる。
【0005】
しかしながら、支持部材を躯体に取り付けるための取付部は、強度を考慮した場合、金属によって構成されるのが一般的であり、防水層を構成する樹脂とは熱膨張率が相違する。このため、日射等の影響によって温度が上昇した場合には、熱伸び量の違いに起因して取付部と防水層樹脂との間に剥離が生じ、FRP防水層の防水性に影響を与えるおそれがある。また、外装建具の障子を開閉する等して支持部材に外力が加えられた場合には、支持部材や取付部に微少な弾性変形を来すことになる。この場合、硬化した後の防水層樹脂は、接着状態を維持したまま支持部材や取付部の微少な変形に追従することが困難であるため、取付部との間に剥離が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、支持部材が外力を受けた場合や防水層樹脂に熱伸びが生じた場合にも防水層の防水性を確保することのできる支持部材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る支持部材の取付構造は、表面に防水層が設けられる躯体に対して物品を支持するための支持部材を前記防水層から突出する状態で取り付けるようにした支持部材の取付構造であって、前記支持部材は、前記物品が支持される支持部と、前記支持部の基端部に設けられる取付部とを備え、前記取付部を介して前記躯体の表面に取り付けられるものであり、前記取付部は、前記躯体に取り付けられるベースプレートと、前記ベースプレートの表面に前記支持部が貫通する状態で配設されるカバー部材とを備えたものであり、前記カバー部材において前記支持部の周囲となる部位に、前記支持部の基端部側の全周にわたってシーリング材が充填される充填部が形成され、前記防水層は、前記充填部にシーリング材を充填した後、前記支持部の基端部側に充填したシーリング材を覆う状態で補強材を配設し、さらに前記補強材に樹脂を含浸させたものであり、含浸させた樹脂が前記支持部の周囲全周において前記シーリング材の表面に接触した状態で前記樹脂を硬化させたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、防水層樹脂を支持部の基端部側の周囲全周に位置するシーリング材の表面に接着させるようにしているため、支持部の周囲を伝って防水層の内部に水が浸入するおそれがない。しかも、熱膨張率の違いや外力を受けた場合の微少な変形の影響をシーリング材によって吸収することができ、防水層樹脂の剥離によって防水性が損なわれるおそれがない。
【0010】
この発明によれば、支持部材の取付部を互いに別体となるベースプレートとカバー部材とによって構成しているため、充填部を容易に形成することができる。
【0011】
また本発明は、上述した支持部材の取付構造において、前記取付部の周囲において前記躯体の表面との間にシーリング材を塗布することにより前記取付部の表面から前記躯体の表面までの間を傾斜面で連続させたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、躯体の表面と取付部の表面との間の段差がなくなるため、防水層の施工作業を容易に行うことができる。
【0013】
また本発明は、上述した支持部材の取付構造において、前記取付部の周囲に、前記躯体に近接するに従って漸次外方に傾斜する傾斜面を一体に形成したことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、取付部の周囲にシーリング材を塗布することなく、躯体の表面と取付部の表面との間の段差がなくなるため、防水層の施工作業をより一層容易に行うことができる。
【0015】
また本発明は、上述した支持部材の取付構造において、前記躯体の表面において前記取付部を取り付ける位置に隣接して面材を配設し、さらに前記面材と前記取付部との間に隙間を埋める充填材を充填したことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、防水層を形成する表面の段差を小さくしたりなくすことができるため、防水層の施工作業が容易となるばかりでなく、外観品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、防水層樹脂を支持部の基端部側の周囲全周に位置するシーリング材の表面に接着させるようにしているため、支持部の周囲を伝って防水層の内部に水が浸入するおそれがない。しかも、防水層樹脂が接着したシーリング材は弾性を有したものである。従って、熱膨張率の違いや外力を受けた場合の微少な変形の影響をシーリング材によって吸収することができ、防水層樹脂の剥離によって防水性が損なわれるおそれがないため、防水層の防水性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1である取付構造を適用して取り付けた支持部材を示した要部縦断面図である。
図2図2は、図1に示した支持部材を適用して取り付けたルーバーの縦断面図である。
図3図3は、図1に示した支持部材の取付構造を分解して示す要部斜視図である。
図4図4は、図1に示した支持部材の取付構造を分解して示す要部縦断面図である。
図5図5は、図1に示した支持部材の取付構造においてシーリング材を充填した状態の要部斜視図である。
図6図6は、図1に示した支持部材の取付構造においてシーリング材を充填した状態の要部縦断面図である。
図7図7は、図1に示した支持部材の取付構造において補強材を配設した状態の要部斜視図である。
図8図8は、図1に示した支持部材の取付構造において防水層が施工された状態の要部縦断面図である。
図9図9は、図1に示した支持部材に物品である外装下枠を支持させる状態を分解して示す縦断面図である。
図10図10は、本発明に係る支持部材の取付構造の変形例を示す要部縦断面図である。
図11図11は、本発明の実施の形態2である支持部材の取付構造を示すもので、防水層を省略した要部斜視図である。
図12図12は、図11に示した支持部材の取付構造の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る支持部材の取付構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である取付構造を適用して家屋の躯体に取り付けた支持部材を示したものである。ここで例示する支持部材は、図2に示すように、躯体Bの開口に設置した引き違い窓等の主建具20に対して、その室外側となる部分に日除け用のルーバー30を取り付ける場合に適用されるものである。ルーバー30の取付対象となる家屋には、FRP防水層40が構成してある。FRP防水層40は、ガラス繊維(補強材)40aに樹脂を含浸・硬化させることによって構成したもので、躯体Bの表面から床下地Cの表面にわたる部位を連続して覆うように設けてある。尚、防水層としては、必ずしもガラス繊維40aを補強材としたFRP防水層40に限らない。また、以下においては主建具20の構成要素とルーバー30の構成要素とを区別するため、ルーバー30の構成要素には「外装」という語を付与することとする。
【0021】
ルーバー30は、内外2枚の外装障子31,32を左右方向にスライド可能に配設することによって構成したものである。本実施の形態1では、外装上枠33に内外2本のレール33a,33bを備えるとともに、個々の外装障子31,32の上端に戸車31a,32aを備え、戸車31a,32aを介してそれぞれの外装障子31,32を外装上枠33に吊り下げ支持したルーバー30を示している。ルーバー30の外装障子31,32は、複数の羽板38を框に支持させたもので、戸車31a,32aをレール33a,33bに沿って走行させることで、主建具20の外表面を覆う位置と主建具20を外部に露出させる位置とに移動することが可能である。
【0022】
室内側に配設した外装障子31には、下端部にガイドアーム34が設けてある。ガイドアーム34は、主建具20の下枠21よりも下方となる部位に設けた外装下枠(物品)35をガイドとして外装障子31の下端部を案内するためのものである。外装下枠35は、水平方向に沿った長尺部材であり、FRP防水層40から突出した支持ロッド10を介して躯体Bに取り付けてある。尚、図には明示していないが、支持ロッド10は、外装下枠35の長手方向に沿った複数位置に設けてある。複数の支持ロッド10は、それぞれ同一の構成を有したものであるため、以下においては便宜上、そのうちの一つについて説明を行う。
【0023】
支持ロッド10は、図3に示すように、外周面にネジ溝を有した円柱状を成すもので、基端部にベースプレート11を備えている。ベースプレート11は、外形が矩形の板状部材であり、図3において左右方向の中央となる位置にネジ孔11aを有し、このネジ孔11aに支持ロッド10を螺合することによって支持ロッド10と連結してある。支持ロッド10とベースプレート11とを強固に取り付ける必要がある場合には、支持ロッド10とベースプレート11との間を溶接することによって連結するようにしても良い。これら支持ロッド10及びベースプレート11は、いずれもステンレス鋼等の金属によって成形してある。ベースプレート11に螺合した支持ロッド10には、さらにナット部材12が螺合してある。ナット部材12は、長手方向に沿った寸法が支持ロッド10よりも短い円柱状を成すもので、一方の端面がベースプレート11に当接し、かつ支持ロッド10の先端部を外部に露出させた状態で支持ロッド10に装着してある。本実施の形態1においては、支持ロッド10及びナット部材12が、請求項に記載した支持部に相当する構成である。
【0024】
ベースプレート11には、ネジ孔11aよりも上方となる位置に左右方向に沿って3つのネジ挿通孔11b,11c,11dが形成してある。ベースプレート11の最も左側となる位置に形成したネジ挿通孔(以下、「左方ネジ挿通孔11b」という)は、断面が円形の開口であり、ベースプレート11を貫通するように形成してある。ベースプレート11の最も右側となる部位に形成したネジ挿通孔(以下、「右方ネジ挿通孔11d」という)は、上下方向に沿った長孔であり、左方ネジ挿通孔11bと同様、ベースプレート11を貫通するように形成してある。右方ネジ挿通孔11dの左右方向に沿った幅は、左方ネジ挿通孔11bの内径とほぼ等しい幅を有している。ベースプレート11の中央部において支持ロッド10よりも上方となる位置に形成したネジ挿通孔(以下、「中央ネジ挿通孔11c」という)は、断面が円形の貫通孔であり、左方ネジ挿通孔11bよりも大きな内径を有するように形成してある。
【0025】
このベースプレート11には、図1及び図3に示すように、その表面にカバー部材13が接着してある。カバー部材13は、PA6(Polyamide 6)等の樹脂材によって成形したもので、ベースプレート11の表面全域を覆うことのできるように、ベースプレート11よりもわずかに大きな寸法の矩形状を成している。カバー部材13の一方の表面には、ベースプレート11を装着することができるように、凹部13aが設けてある。
【0026】
このカバー部材13には、ベースプレート11のネジ挿通孔11b,11c,11dに対応する部位及び支持ロッド10に対応する部位にそれぞれ透孔13b,13c,13d,13eが設けてある。左方ネジ挿通孔11bに対応した透孔(以下、「左方透孔13b」という)及び右方ネジ挿通孔11dに対応した透孔(以下、「右方透孔13d」という)は、個々のネジ挿通孔11b,11dを外部に露出させることができるように、それぞれのネジ挿通孔11b,11dよりも一回り大きな寸法に形成してある。中央ネジ挿通孔11cに対応した透孔(以下、「中央透孔13c」という)は、中央ネジ挿通孔11cにボルト部材14cを螺合させる場合に適用するボックスレンチのソケット(図示せず)が挿通可能となる大きさに形成してある。支持ロッド10に対応した透孔(以下、「水密用透孔(充填部)13e」という)は、ナット部材12の周囲全周に予め設定した接着幅を確保するように形成してある。本実施の形態1では、カバー部材13の上下寸法を小型化するため、水密用透孔13eが中央透孔13cと連続しているが、必ずしも水密用透孔13eを中央透孔13cと連続させる必要はない。本実施の形態1においては、ベースプレート11及びカバー部材13が、請求項に記載した取付部に相当する構成である。すなわち、本実施の形態1においては、支持ロッド10、ナット部材12、ベースプレート11及びカバー部材13が、請求項に記載した支持部材に相当する構成となる。
【0027】
上述した支持部材は、FRP防水層40を構成する以前の段階で躯体Bの表面に直接取り付けるようにしている。以下、支持部材を取り付ける際の手順について図4図9を参照しながら説明し、併せて本発明の特徴部分について詳述する。
【0028】
まず、図4に示すように、予めベースプレート11、支持ロッド10、ナット部材12及びカバー部材13を組み立てて一体化し、この状態からベースプレート11を躯体Bの表面に配置し、カバー部材13の透孔13b,13c及びベースプレート11のネジ挿通孔11b,11dを介してそれぞれネジ部材14b,14dを躯体Bに螺合させることにより、ベースプレート11及びカバー部材13を躯体Bに仮保持させる。
【0029】
この状態においては、ベースプレート11の右方ネジ挿通孔11dが上下に沿った長孔となっているため、ネジ部材14b,14dを緩めに螺合させることで左方ネジ挿通孔11bのネジ部材14bを中心としてベースプレート11及びカバー部材13を回転させることが可能である。従って、ベースプレート11及びカバー部材13を適宜回転させることによって複数位置に設けた支持ロッド10の水平面からの高さを調整することが可能となる。高さ調整が終了した後にネジ部材14b,14dを締め付ければ、調整後のベースプレート11及びカバー部材13が不用意に移動することはない。
【0030】
支持ロッド10の高さを調整したベースプレート11及びカバー部材13に対しては、左右のネジ挿通孔11b,11dに螺合したネジ部材14b,14dよりも太くて長い荷重受け用のボルト部材14cを、透孔13c及び中央ネジ挿通孔11cを介して躯体Bに螺合させる。中央ネジ挿通孔11cにボルト部材14cを螺合した後においては、左方ネジ挿通孔11bに螺合したネジ部材14bとの協働によって躯体Bに対するベースプレート11及びカバー部材13の移動が阻止され、支持ロッド10の位置が固定される。
【0031】
この状態から、図5及び図6に示すように、カバー部材13に設けたそれぞれの透孔13b,13c,13d,13eにシーリング材15を充填して密閉する。充填するシーリング材15としては、硬化した後においても弾性を呈するものを適用することが好ましい。尚、カバー部材13を設ける手順としては、必ずしも予めベースプレート11に取り付けておく必要はない。例えば、ベースプレート11、支持ロッド10及びナット部材12を予め組み立てて躯体Bに取り付けた後、ベースプレート11にカバー部材13を取り付けるようにしても構わない。また、躯体Bにベースプレート11を取り付けた後にカバー部材13を取り付ける場合には、カバー部材13には支持ロッド11及びナット部材12を挿通させる水密用透孔13eのみを形成すれば良い。
【0032】
次いで、躯体Bの表面から床下地Cの表面にわたる部位の全面にプライマーを塗布し、さらに図7及び図8に示すように、布状のガラス繊維40aを配設する。このとき、カバー部材13から突出する支持ロッド10及びナット部材12が貫通して外部に突き抜けるとともに、ナット部材12の周囲に充填したシーリング材15の全周に接触するように形を整えてガラス繊維40aを配設する。
【0033】
FRP防水層40の施工作業を行う際には、図1に示すように、ガラス繊維40aを配設する以前の工程で予めカバー部材13の周囲において躯体Bの表面との間にシーリング材16を塗布することにより、カバー部材13の表面から躯体Bの表面までの間を傾斜面16aで連続させることが好ましい。この状態であれば、ガラス繊維40aを配設し、ガラス繊維40aに対して後述するポリエステル樹脂等の樹脂材を含浸、硬化させてFRP防水層40を構成した場合に躯体Bとの間に隙間が生じることがなく、施工精度を容易に向上させることが可能となる。本実施の形態1では、カバー部材13の上縁部及び左右両側縁部にそれぞれシーリング材16によって傾斜面16aを形成する一方、カバー部材13の下縁部には床下地Cとの間の段差をなくすように予めシーリング材17を充填するようにしている。
【0034】
図7に示す状態からガラス繊維40aにポリエステル樹脂等の樹脂材を含浸し、この樹脂が支持ロッド10に螺合したナット部材12の周囲全周に位置するシーリング材15の表面に接触した状態で樹脂を硬化させれば、図9に示すように、躯体Bの表面から床下地Cの表面にわたる部位を連続して覆うようにFRP防水層40が構成されることになる。ナット部材12の周囲と硬化したFRP防水層40の防水層樹脂との間には、シーリング材18を塗布して隙間を埋めておく。尚、FRP防水層40に対しては、表面に仕上げ用樹脂を塗布したり、着色を施すためのトップコートを塗布してももちろん良い。
【0035】
上記のようにしてFRP防水層40を構成した場合には、図1に示すように、ガラス繊維40aに含浸・硬化させたFRP防水層40の防水層樹脂がナット部材12の周囲全周に充填したシーリング材15の表面に接着されることになる。しかも、水密用透孔13eに充填したシーリング材15とナット部材12の周面との間も密着された状態となっている。従って、FRP防水層40の防水層樹脂とカバー部材13との隙間や支持ロッド10に螺合したナット部材12の周囲を伝ってFRP防水層40の内部に水が浸入するおそれがない。また、カバー部材13に設けた透孔13b,13c,13d,13eは、すべてがシーリング材15によって密閉されている。従って、これらの透孔13b,13c,13d,13eを通過して水が浸入するおそれもない。
【0036】
さらに、FRP防水層40の防水層樹脂が接着した水密用透孔13eのシーリング材15は弾性を有したものである。従って、日射等の影響によって温度が上昇し、熱膨張率の違いから熱伸びしたFRP防水層40の防水層樹脂とカバー部材13との間に相対的な位置ずれが生じたとしても、水密用透孔13eのシーリング材15が適宜変形することによってFRP防水層40の防水層樹脂との接着部分に剥離が生じる事態を防止することができる。同様に、支持ロッド10に外力が加えられることに起因したナット部材12の微少変形についても、水密用透孔13eのシーリング材15の変形によって吸収されるため、FRP防水層40の防水層樹脂との接着部分に剥離が生じるおそれがない。
【0037】
これらの結果、図9に示すように、外装下枠35を支持ロッド10の先端部に装着した後に支持ロッド10に固定用ナット36を螺合すれば、FRP防水層40の防水性を確保した状態で支持ロッド10の先端部に外装下枠35を支持することができるようになる。
【0038】
このとき、ナット部材12の端面と外装下枠35との間に介在させるワッシャ37の数を調整することにより、図2に示すように、外装上枠33が配置される外壁材Sと、外装下枠35を支持するための支持部材が取り付けられるFRP防水層40の立上り面との段差を吸収し、ルーバー30を鉛直方向に沿った状態で家屋に取り付けることが可能である。尚、ナット部材12の端面と外装下枠35との間にワッシャ37を介在させる代わりに、予め用意した長さの異なる複数種類のナット部材から適宜対応するものを選択することで調整することも可能である。
【0039】
尚、上述した実施の形態1では、カバー部材13の周囲にシーリング材16によって傾斜面16aを設けるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えばカバー部材13の周囲に予め傾斜面を一体に設けるようにしても同様の作用効果を奏することが可能である。すなわち、図10に示す変形例のように、カバー部材13の周囲に、躯体Bに近接するに従って漸次外方に傾斜する傾斜面13fを一体に形成すれば、防水層の施工作業を容易化することが可能となる。尚、図10の変形例において図1図9に示した実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略している。
【0040】
(実施の形態2)
図11及び図12は、本発明の実施の形態2である取付構造を適用して家屋の躯体に取り付けた支持部材を示したものである。ここで例示する支持部材は、実施の形態1と同様、躯体Bの開口に設置した引き違い窓等の主建具20に対して、その室外側となる部分に日除け用のルーバー30を取り付ける場合に適用されるものである。また、ルーバー30の取付対象となる家屋において躯体Bの表面から床下地Cの表面にわたる部分にFRP防水層40が設けてある点も実施の形態1と同様であり、取付部であるベースプレート11及びカバー部材13の両側に、構造用合板やケイ酸カルシウム板等の面材50を設ける点でのみ実施の形態1と相違する。以下、実施の形態2において支持部材を取り付ける際の手順について説明を行う。尚、躯体Bの表面にベースプレート11に接着したカバー部材13の透孔13b,13c,13d,13eにシーリング材15を充填するまでの手順については実施の形態1と同様であるため省略することとする。
【0041】
本実施の形態2の取付構造では、ベースプレート11及びカバー部材13の両側にそれぞれ面材50を設けるようにしている。面材50は、躯体Bの表面からカバー部材13の表面までの距離と等しい板厚を有したものであり、隣接するベースプレート11及びカバー部材13の相互間を埋めるように配設してある。面材50を設ける手順としては、必ずしもベースプレート11及びカバー部材13を取り付けた後である必要はなく、ベースプレート11及びカバー部材13を取り付ける位置を避けて先に面材50を配設するようにしても良い。
【0042】
この状態からベースプレート11の周囲において面材50によって囲まれる領域にシーリング材(充填材)19を充填して隙間を塞げば、カバー部材13の表面との間に段差がなくなることになり、その後、プライマーを塗布する工程、並びに布状のガラス繊維40aを配設する工程等、FRP防水層40の施工作業をきわめて容易に行うことが可能となる。
【0043】
この実施の形態2においても、ガラス繊維40aにポリエステル樹脂等の樹脂材を含浸し、この樹脂が支持ロッド10に螺合したナット部材12の周囲全周に位置するシーリング材15の表面に接触した状態で樹脂を硬化させれば、硬化後のFRP防水層40が、ナット部材12の周囲全周に充填したシーリング材15の表面に接着される。しかも、水密用透孔13eに充填したシーリング材15とナット部材12の周面との間も密着された状態となっている。従って、FRP防水層40の防水層樹脂とカバー部材13との隙間や支持ロッド10に螺合したナット部材12の周囲を伝ってFRP防水層40の内部に水が浸入するおそれがない。また、カバー部材13に設けた透孔13b,13c,13d,13eは、すべてがシーリング材15によって密閉されている。従って、これらの透孔13b,13c,13d,13eを通過して水が浸入するおそれもない。
【0044】
さらに、FRP防水層40の防水層樹脂が接着した水密用透孔13eのシーリング材15は弾性を有したものである。従って、日射等の影響によって温度が上昇し、熱膨張率の違いから熱伸びしたFRP防水層40の防水層樹脂とカバー部材13との間に相対的な位置ずれが生じたとしても、水密用透孔13eのシーリング材15が適宜変形することによってFRP防水層40の防水層樹脂との接着部分に剥離が生じる事態を防止することができる。同様に、支持ロッド10に外力が加えられることに起因したナット部材12の微少変形についても、水密用透孔13eのシーリング材15の変形によって吸収されるため、FRP防水層40の防水層樹脂との接着部分に剥離が生じるおそれがない。
【0045】
これらの結果、外装下枠35を支持ロッド10の先端部に装着した後に支持ロッド10に固定用ナット36を螺合すれば、FRP防水層40の防水性を確保した状態で支持ロッド10の先端部に外装下枠35を支持することができるようになる。
【0046】
尚、上述した実施の形態2では、適用する面材50として躯体Bの表面からカバー部材13の表面までの距離と等しいものを適用しているため、FRP防水層40の施工作業をより一層容易化することが可能であるが、必ずしも面材50の板厚が、躯体Bの表面からカバー部材13の表面までの距離と等しいものである必要はない。
【0047】
また、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、下枠21よりも下方に位置する部位からほぼ水平となるように支持ロッド10を設けるようにした例を示したが、本発明は必ずしもこれに限定されず、支持ロッド10を設ける方向は垂直等、その他の方向であっても適用することが可能である。尚、支持部としては、必ずしも外周面にネジ溝を有したロッド状を成すものに限らず、また外周部にナット部材12を螺合したものである必要もない。
【0048】
さらに、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、シーリング材15を充填する充填部として、カバー部材13を貫通するように形成した水密用透孔13eを例示しているが、必ずしも充填部がカバー部材13を貫通している必要はなく、例えば支持ロッド10に螺合したナット部材12を貫通させる孔の開口端部にのみ座繰り加工を施して充填部を形成しても同様の作用効果を奏することが可能である
【0050】
尚、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、ナット部材12の周囲と硬化したFRP防水層40の防水層樹脂との間にシーリング材18を塗布するようにしているため、シーリング材18が1次シールとして機能するが、シーリング材18は必ずしも塗布する必要はない。
【0051】
また、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、カバー部材として樹脂材によって成形したものを例示しているが、充填部を形成することができれば、必ずしも樹脂材によって成形する必要はなく、金属や木材によってカバー部材を成形しても良い。また、樹脂材によってカバー部材を成形する場合には、防水層との接着性を考慮すると同じ材質の樹脂材によって成形することが好ましいが、材質の異なる樹脂材によってカバー部材を成形してももちろん良い。
【0052】
さらに、上述した実施の形態1及び実施の形態2において適用するシーリング材としては、硬化後においても弾性を呈するものが好ましいが、FRP防水層40との接着性が良く、熱膨張や外形変形に追従可能、かつ止水性に優れたものを適用するとさらに良い。例えば、接着剤として流通しているものであっても、上述の性質を有するものであれば、本発明のシーリング材として適用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 支持ロッド、11 ベースプレート、12 ナット部材、13 カバー部材、13e 水密用透孔、13f 傾斜面、15 シーリング材、16 シーリング材、16a 傾斜面、19 シーリング材、35 外装下枠、40 FRP防水層、40a ガラス繊維、50 面材、B 躯体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12