(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上部が開口となっていて下部に底面を有し、内部に錘を収納可能な空間が形成されており、グランドの整備を行う際の進行方向を向いたときの左右方向の辺が長辺となる箱型をなす鉄製の整備器具本体と、
前記整備器具本体の前記進行方向に向く面を前面とし、当該前面とは反対側の面を後面としたとき、前記後面における前記底面の側に前記整備器具本体の長辺に沿って取りつけられている鉄製のベースプレートと、当該ベースプレートに溶接によって固定され、土を掻き起こすための鉄製の複数の掻き起こし歯とを有する掻き起こし機構部と、
を備え、
前記複数の掻き起こし歯の各掻き起こし歯は、前記ベースプレートから下方に突出している部分が3角形状をなす鋸歯状の配列で前記整備器具本体の長辺に沿って前記ベースプレートに溶接によって固定されていることを特徴とするグランド整備器具。
【背景技術】
【0002】
学校の校庭、保育園及び幼稚園などの園庭、さらには、野球、サッカー、陸上競技などの各種競技を行う競技場を整備する整備器具は従来から種々提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。なお、この明細書においては、学校の校庭、保育園及び幼稚園などの園庭、さらには、野球、サッカー、陸上競技などの各種競技を行う競技場を広い意味で「グランド」と呼ぶことにする。このため、当該グランドを整備する整備器具を「グランド整備器具」と呼ぶことにする。
【0003】
図9は、特許文献1に記載されているグランド整備器具800を説明するために示す図である。特許文献1に記載されているグランド整備器具800は、
図9に示すように、長方形の網板810と、当該網板810の前方側長辺から、例えば、前方斜め下方に伸びている掬い板820と、掬い板820のさらに前方側に回転自在に設けられている車輪830と、網板810の後方側長辺よりも後方側に設けられているブラシローラー840と、整備員が把持するための把持棒850を有している。なお、把持棒850は車両などにも取り付け可能となっている。
【0004】
特許文献1に記載されているグランド整備器具800は、グランド上において整備員が把持棒850を引っ張ることにより、掬い板820がグランドの表面の土を削り、削り取られた土は、網板810上に集積されて行く。なお、削り取られた土には、小石が含まれている場合があるが、これら小石は網板810上に留まり、土や砂は網板810を通過してグランドの表面に戻される。グランドの表面に戻された土や砂は、ブラシローラー840によって均される。
【0005】
なお、特許文献1には、掬い板820の前方側にもブラシローラーを設けることが可能であり、また、網板810の後方側は、ブラシローラーではなく、グランドを圧接可能なローラー(均しローラー)を設けることも可能であり、また、掬い板820は、多数の細い棒状の掬い棒とすることも可能であるなど、幾つかの変形例も記載されている。
【0006】
図10は、特許文献2に記載されているグランド整備器具900を説明するために示す図である。なお、
図10は特許文献2に記載されているグランド整備器具900を裏面(グランドに接する側の面)から見た図である。
【0007】
特許文献2に記載されているグランド整備器具900は、
図10に示すように、外形が長方形状をなす枠体910を有し、当該枠板910には、複数本の梁920が設けられている。そして、梁920の裏面には多数の突起930が突設されている。このように構成されているグランド整備器具900は、車両(図示せず。)によって牽引してグランド上を引き回すことにより、突起930がグランドの土を掻き起こすとともに、掻き起こした土を梁920によって均して行くというものである。
【0008】
なお、特許文献2に記載されているグランド整備器具900は、200kgの重量があることが当該特許文献2に記載されている。このため、特許文献2に記載されているグランド整備器具900は、人力ではなく車両などによって牽引することを想定しているものと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されているグランド整備器具800は、車両などによっても牽引可能である旨の記載はなされているが、主に、人力によってグランド整備器具を引き回すことを想定したものであるため、特許文献1に記載されているグランド整備器具800は、人力によって引き回すことができる程度の重量であると考えられる。このため、特許文献1に記載されているグランド整備器具800は比較的、柔らかいグランドの整備用として好適なものと考えられる。
【0011】
しかしながら、グランドによっては、土が硬くなり過ぎている場合もあり、特許文献1に記載されているグランド整備器具800では、土が硬くなり過ぎているグランドには対応できない場合もある。すなわち、人力によって引き回すことができる程度の重量であると、土が硬くなり過ぎているグランドにおいては、掬い板820で土を掻き起こすことができず、単にグランドの表面を撫でて行く程度となってしまうこととなりかねない。仮に、土が硬くなり過ぎているグランドの土を掻き起こすことができたとしても、特許文献1に記載されているグランド整備器具800は、当該グランド整備器具800が前方に進行すると、掬い板820は、進行方向斜めに土に突き刺さるようにして土を掻き起こすこととなり、掬い板820には大きな負荷がかかる。このため、掬い板820は折れ曲がりなどの破損が生じ易く、耐久性の面で課題がある。
【0012】
一方、特許文献2に記載のグランド整備器具900は、当該グランド整備器具900そのもの重量(自重)が200kgと重いため、土が硬くなり過ぎているグランドであっても、突起930が土に喰い込んで、土を掻き起こすことができると考えられる。しかし、特許文献2に記載のグランド整備器具900は、グランド整備器具900は重いため、倉庫などの保管場所に収納したり、保管場所から出したりする作業が容易ではなく、また、トラックなどの車両の荷台に載せたり、荷台から降ろしたりする作業も容易ではない。このように、特許文献2に記載のグランド整備器具900は、持ち運びが容易ではなく取り扱いのし易さに課題がある。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、土が硬くなりすぎているグランドに対しても確実に土を掻き起こすことができ、しかも、グランド整備器具そのものの重量(自重)がそれほど重くならないようにすることにより、グランド整備器具の持ち運びが容易で、取り扱いのし易いグランド整備器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[1]本発明のグランド整備器具は、上部が開口となっていて下部に底面を有し、内部に錘を収納可能な空間が形成されており、グランドの整備を行う際の進行方向を向いたときの左右方向の辺が長辺となる箱型をなす鉄製の整備器具本体と、前記整備器具本体の前記進行方向に向く面を前面とし、当該前面とは反対側の面を後面としたとき、前記後面における前記底面の側に前記整備器具本体の長辺に沿って取りつけられている鉄製のベースプレートと、当該ベースプレートに溶接によって固定され、土を掻き起こすための鉄製の複数の掻き起こし歯とを有する掻き起こし機構部と、を備え、前記複数の掻き起こし歯の各掻き起こし歯は、前記ベースプレートから下方に突出している部分が3角形状をなす鋸歯状の配列で前記整備器具本体の長辺に沿って前記ベースプレートに溶接によって固定されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のグランド整備器具においては、整備器具本体は、内部に錘を収納可能な空間が形成された箱状をなしているため、整備を行う際には、整備器具本体に適宜錘を収納して、整備に必要な重量とした状態で使用することができる。また、各掻き起し歯は、ベースプレートから下方に突出している部分が3角形状をなす鋸歯状の配列で整備器具本体の長辺に沿ってベースプレートに溶接によって固定されている。このことから、本発明のグランド整備器具によれば、整備器具本体を整備に必要な重量とした状態で車両などによって牽引することにより、土が硬くなりすぎたグランドであっても、各掻き起こし歯によって確実に土を掻き起すことができる。
【0016】
また、本発明のグランド整備器具によれば、整備器具本体は、内部に錘を収納可能な空間が形成された箱状をなしているため、整備器具本体に錘を入れない状態では、グランド整備器具そのものの重量(自重)はそれほど大きくはならない。このため、本発明のグランド整備器具は、当該グランド整備器具を倉庫などの保管場所に収納したり、保管場所から出したりする作業が容易であり、また、トラックなどの車両の荷台に載せたり、荷台から降ろしたりする作業も容易である。このように、本発明のグランド整備器具は、持ち運びが容易で取り扱いのし易いグランド整備器具とすることができる。
【0017】
[2]本発明のグランド整備器具においては、前記各掻き起こし歯は、SN490C規格の鋼材が用いられていることが好ましい。
【0018】
このように、掻き起こし歯としてSN490C規格の鋼材が用いられていることから、掻き起こし歯は耐久性に優れたものとなり、それによって本発明のグランド整備器具は、耐久性に優れたものとなる。すなわち、SN490C規格の鋼材は、一般的な鋼材(例えば、SS400規格の鋼材)よりも引っ張り応力が高く、かつ、溶接性にも優れた鋼材であるとされている。このため、掻き起こし歯としてSN490C規格の鋼材が用いられていることから、掻き起こし歯は耐久性に優れたものとなる。なお、掻き起こし歯は、SN490C規格の板厚が9mmのものが好適である。
【0019】
[3]本発明のグランド整備器具においては、前記各掻き起こし歯は、菱形状をなしていることが好ましい。
【0020】
このように、各掻き起こし歯が菱形状をなしていることにより、各掻き起こし歯の角部が下方(グランドに向く方向)に突出するように各掻き起こし歯をベースプレートに並べた状態で当該ベースプレートに溶接すると、ベースプレートに並べられた各々の掻き起こし歯は、鋸歯状の配列となる。また、掻き起こし歯が菱形状であることにより、掻き起こし歯をベースプレートに溶接する際の溶接作業がし易くなる。すなわち、掻き起こし歯が菱形状であると、隣り合う掻き起こし歯のそれぞれの溶接対象辺との間に大きな空間が形成されるため、溶接作業がし易くなる。
【0021】
[4]本発明のグランド整備器具においては、前記掻き起こし機構部は、前記整備器具本体の後面にボルト及びナットによって取り付けられていることが好ましい。
【0022】
このように、掻き起こし機構部は、ボルトとナットによって整備器具本体に取り付けられているため、仮に、掻き起こし歯の交換が必要となった場合には、掻き起こし機構部ごとの交換が可能である。これにより、本発明のグランド整備器具は、長期間の使用が可能であり、仮に、掻き起こし歯が劣化したり破損したりした場合であっても、グランド整備器具全体を買い替える必要がないため、経済的なグランド整備器具となる。
【0023】
[5]本発明のグランド整備器具においては、前記ボルトは、前記各掻き起こし歯の表面の側から当該各掻き起こし歯と前記ベースプレートと前記整備器具本体の後面とを貫通して、当該前記整備器具本体の後面側の内壁面で前記ナットによって固定されていることが好ましい。
【0024】
このように、ボルトは各掻き起こし歯とベースプレートと整備器具本体の後面とを貫通して、当該前記整備器具本体の後面側の内壁面でナットにより固定されているため、各掻き起こし歯はベースプレートに対して溶接による接合だけはなく、ボルトによってもベースプレートに接合されているため、ベースプレートとの接合はより強固なものとなる。
【0025】
[6]本発明のグランド整備器具においては、前記整備器具本体は、当該整備器具本体の内部の空間を仕切るための仕切り板が設けられていることが好ましい。
【0026】
このような仕切り板を設けることにより、当該仕切り板の存在により、整備器具本体内に収納した錘が整備器具本体内でむやみに動いてしまうことを防止でき、錘を収納したときの整備器具本体の重量のバランスを適切に保持できる。
【0027】
[7]本発明のグランド整備器具においては、前記整備器具本体の底面は、当該整備器具本体の前面及び後面が前記グランドの表面に垂直となるように当該グランド上に置いた場合に、当該グランドの表面とのなす角度が、10度〜30度の範囲に設定されていることが好ましい。
【0028】
整備器具本体の底面がこのような傾斜面となっていることにより、掻き起こし歯が土を掻き起こして行く動作を行う際に、掻き起こし歯が土の抵抗を受けることによって整備器具本体が進行方向にある程度傾倒したとしても、整備器具本体が進行方向によほど大きく傾倒しない限り、整備器具本体の底面と水平面(グランドの表面)との間には空間が形成されることとなる。このように、整備器具本体の底面とグランドの表面との間に空間が形成された状態で整備器具本体が進行することにより、土の掻き起こしをスムーズに行うことができ、かつ、掻き起こされた土が整備器具本体の底面とグランドの表面との間に溜まりにくくなり、効率よく土の掻き起こしが行える。
【0029】
[8]本発明のグランド整備器具においては、前記整備器具本体の前記前面には、当該整備器具本体を車両によって牽引する際のワイヤーの取り付けが可能な前面側ワイヤー取り付け部が設けられていることが好ましい。
【0030】
このような前面側ワイヤー取り付け部が設けられていることにより、本発明のグランド整備器具を車両によって牽引することができる。
【0031】
[9]本発明のグランド整備器具においては、前記整備器具本体の前記後面には、当該整備器具本体が補助整備器具を牽引する際のワイヤーの取り付けが可能な後面側ワイヤー取り付け部が設けられていることが好ましい。
【0032】
このような後面側ワイヤー取り付け部が設けられていることにより、本発明のグランド整備器具は、補助整備器具を牽引することができる。
【0033】
[10]本発明のグランド整備器具においては、前記補助整備器具は、前記掻き起こし歯によって掻き起こされた土の中に混じる小石を収集する小石収集器具であって、当該小石収集器具は、前記グランドの整備を行う際の進行方向に直交するとともに前記グランドの表面に沿う方向に見たときの断面がL字型をなし、前記左右方向の辺の長さが前記整備器具本体の長辺とほぼ同じ長さを有する鉄製のL字型プレートと、前記L字型プレートのL字を形成する縦方向板体と横方向板体のうち前記縦方向板体の前記左右方向の辺に沿って取りつけられており、前記小石の通過を阻止し、前記土の通過を可能とする小石収集用網板と、を有することが好ましい。
【0034】
このような小石収集器具を牽引しながらグランド整備を行うことにより、グランドの表面の土が掻き起こされるだけでなく、掻き起こした土を均すことができるとともに、掻き起こすことによって小石が掘り起こされた場合には、掘り起こされた小石は、小石収集器具の小石収集用網板に堆積されて行く。このため、当該小石収集器具を牽引しながらグランド整備を行うことによって、グランドの土は適度にほぐされて均された状態となるとともに、小石などが取り除かれたものとなる。
【0035】
[11]本発明のグランド整備器具においては、補助整備器具を牽引する際のワイヤーには、前記整備器具本体と前記小石収集器具との間隔を調整可能とするためのワイヤー長さ調整器が設けられていることが好ましい。
【0036】
このようなワイヤー長さ調整器が設けられていることにより、ワイヤーの長さの調整(整備器具本体と小石収集器具との間隔)を調整することができ、それによって、小石収集用網板の後方側への傾き角度が適切な傾き角度となるよう調節することができる。なお、ワイヤー長さ調整器によるワイヤーの長さの調整は、作業を行っている過程で、均しが適切に行われているか否か(均し具合)と、小石の収集が適切に行われているか否か(小石収集具合)を観察しながら適宜行うことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0039】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るグランド整備器具10Aを説明するために示す図である。
図2は、
図1に示すグランド整備器具10Aを側面及び平面から見た場合を示す図である。なお、
図2(a)はy軸に沿って側面側を見た場合を示す側面図であり、
図2(b)はz軸に沿って上部開口面側を見た場合を示す平面図である。
図3は、
図1及び
図2の要部(掻き起こし機構部200とその周辺の一部)を拡大して示す図である。
図3(a)は矢印yに沿って側面側を見た場合を示す図であり、
図3(b)は矢印xに沿って後面側を見た場合を示す図である。
【0040】
図1〜
図3を参照して実施形態1に係るグランド整備器具10Aを説明する。実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、
図1に示すように、当該実施形態1に係るグランド整備器具10Aを用いてグランドを整備する際の進行方向(x軸に沿った矢印x’方向とする。)に進行方向を向いたときの左右方向(y軸に沿った)辺111が長辺となるような箱型をなす鉄製の整備器具本体100と、当該整備器具本体100の進行方向を向く面(前面という。)110aとは反対側の面(後面という。)110bの下端部に設けられている掻き起こし機構部200と、を備えている。
【0041】
整備器具本体100の前面110aには、実施形態1に係るグランド整備器具10Aを車両が牽引する際に牽引用ワイヤーを取り付けるための前面側ワイヤー取り付け部120(
図2参照。)が設けられており、整備器具本体100の側面110c,110dには、実施形態1に係るグランド整備器具10Aを例えば人手によって車両(軽四輪トラックなど)に載せたり、人手によって運んだりする際の運搬用取っ手130が設けられている。また、整備器具本体100の後面110bには、補助整備器具(後述する。)を牽引する際のワイヤーを取り付ける後面側ワイヤー取り付け部140が設けられている。
【0042】
整備器具本体100は、上部が開口となっている。また、整備器具本体100の下部は底面110eを有し、当該底面110eは、前面110aの側から後面110bの側に向かって下り坂となるような傾斜面となっており、内部に錘(おもり)を収納可能な空間が形成されている。
【0043】
また、当該整備器具本体100の内部に形成される空間部には、鉄製の仕切り板150が設けられている。実施形態1に係るグランド整備器具10Aにおいては、仕切り板150は、等間隔に3箇所設けられている。このため、整備器具本体100の空間部は、実施形態1に係るグランド整備器具10Aにおいては4つに分割され、4つの部屋R1〜R4が形成される。これら4つの部屋R1〜R4は、錘(工事用のウエイト、砂袋など)を収納するために使用することができる。以下では、4つの部屋R1〜R4を錘収納室R1〜R4という場合もある。
【0044】
このような仕切り板150を設けることにより、錘を錘収納室R1〜R4に収納した際に、錘が整備器具本体100内でむやみに動いてしまうことを防止でき、錘を収納したときの整備器具本体100の重量のバランスを適切に保持できる。
【0045】
このように構成されている整備器具本体100は、「SS400規格」の鋼材が用いられており、当該鋼材の板厚t1は4.5mmのものを用いている。また、整備器具本体100の各部の寸法は、進行方向に直交する辺111(長辺111ともいう。)の長さL1が約1800mm、前面110aの高さH1が約200mm、後面110bの高さH2が約280mm、前面110aと後面110bとの間の幅W1が約300mmとなっている。
【0046】
また、底面110eの傾斜角度θ1(グランドG(
図4及び
図5参照。)の表面に対する傾斜角度で表すものとする。)は、当該整備器具本体100の前面110a及び後面110bがグランドGの表面に垂直となるようにグランド上に置いた場合に、グランドの表面とのなす角度が、15度に設定されている。なお、底面110eの傾斜角度θ1が15度であれば、後面110bと底面110eとのなす角度(θ2とする。)は、θ2=75度である。
これらの各寸法は、上記した値に限定されるものではなく、適宜変更可能である。ただし、底面110eの傾斜角度θ1は、10度〜30度の範囲に収めることが好ましい。
【0047】
また、前面側ワイヤー取り付け部120、運搬用取っ手130、後面側ワイヤー取り付け部140及び仕切り板150は、整備器具本体100と同様に、それぞれ「SS400規格」の鋼材が用いられており、これら前面側ワイヤー取り付け部120、運搬用取っ手130、後面側ワイヤー取り付け部140及び仕切り板150は、整備器具本体100に溶接によって取り付けられている。なお、仕切り板150の板厚t2は、整備器具本体100と同様に4.5mmである。
【0048】
次に、掻き起こし機構部200について説明する。掻き起こし機構部200は、
図1〜
図3に示すように、整備器具本体100の長辺111と同様の長さを有するベースプレート210と、土を掻き起こすための複数の掻き起こし歯220とを有している。なお、ベースプレート210は、整備器具本体100と同様に、SS400規格の鋼材が用いられているが、板厚t3が9mmのものを用いている。
【0049】
また、複数の掻き起こし歯220の各掻き起こし歯220は、SS400規格のものよりも引っ張り応力の高い「SN490C規格」の鋼材が用いられており、板厚t4が約9mmのものを用いている。SN490C規格の鋼材は、SS400規格の鋼材に比べて、引っ張り応力が高いだけでなく、溶接性にも優れた鋼材であるとされている。
【0050】
各掻き起こし歯220は、グランドG(
図4及び
図5参照。)に接触する側の端部が三角形をなす鋸歯状の配列で整備器具本体100の長辺111に沿ってベースプレート210に溶接によって固定されている。具体的には、各掻き起こし歯220は菱形状をなし、菱形の1つの角部が下方向(グランドGに向く方向)に突出するようにベースプレート210に溶接によって接合されている。
図3において、灰色で塗りつぶした部分Cが溶接されている部分である。なお、以下では、「各掻き起こし歯220」の「各」を省略して「掻き起こし歯220」と表記する場合もある。
【0051】
このように、掻き起こし歯220が菱形状をなし、かつ、菱形の1つの角部が下方向(グランドGに向く方向)に突出するようにベースプレート210に溶接によって接合することにより、各掻き起し歯220は、ベースプレート210から下方に突出している部分が3角形状をなす鋸歯状の配列となる。また、掻き起こし歯220が菱形状であることにより、掻き起こし歯220をベースプレート210に溶接する際の溶接作業がし易くなる。すなわち、掻き起こし歯220が菱形状であると、隣り合う掻き起こし歯220のそれぞれの溶接対象辺(例えば、
図3(b)において灰色で塗りつぶした部分Cに対応する辺)との間に大きな空間が形成されるため、溶接作業がし易くなる。
【0052】
実施形態1に係るグランド整備器具10Aにおいては、掻き起こし歯220は、対角間の長さD1,D2がそれぞれ約110mmである。このため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aにおいては、掻き起こし歯220は正方形となっている。そして、掻き起こし歯220は、対角間の長さの1/2よりもわずかに短い長さD3(D3≒50mmとする。)がベースプレート210から下方向に突出するようにベースプレート210に取り付けられている。
【0053】
このように、SN490C規格と呼ばれている鋼材を用いた掻き起こし歯220は、ベースプレート210に溶接することによって接合されていることから、溶接による硬化により、強度がより高いものとなる。このため、土が硬くなりすぎたグランドに対しても耐久性に優れ、長期間の使用にも耐え得るものとなる。ちなみに、ベースプレート210にSN490C規格の鋼材を用いて、当該ベースプレート210そのものに掻き起こし歯220を形成したものよりも、強度が高いものとなり、より耐久性に優れたものとなる。
【0054】
ところで、ベースプレート210と掻き起こし歯220とからなる掻き起こし機構部200は、整備器具本体100にボルト230とナット240とによって取り付けられている。実施形態1に係るグランド整備器具10Aにおいては、
図3に示すように、ボルト230は各掻き起こし歯220とベースプレート210と整備器具本体100の後面110bとを貫通して、当該整備器具本体100の後面110b側の内壁面でナット240により固定されている(
図3参照。)。これにより、各掻き起こし歯220はベースプレート210に対して溶接による接合だけはなく、ボルト230よってもベースプレート210に接合されているため、ベースプレート210との接合はより強固なものとなる。
【0055】
このように構成されている実施形態1に係るグランド整備器具10Aの重量(整備器具本体100と掻き起こし機構部200とを合わせた重量)は約50kgである。このため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aの持ち運びは、二人の大人がそれぞれ運搬用取っ手130を持つことにより容易に行うことができる。このため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、当該グランド整備器具10Aを倉庫などの保管場所に収納したり、保管場所から出したりする作業が容易であり、また、トラックなどの車両の荷台に載せたり、荷台から降ろしたりする作業も容易である。このように、本発明のグランド整備器具は、持ち運びが容易で取り扱いのし易いグランド整備器具とすることができる。
【0056】
図4は、実施形態1に係るグランド整備器具10Aを用いてグランド整備を行っている様子を示す図である。実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、
図4に示すように、整備器具本体100の前面110aに設けられている前面側ワイヤー取り付け部120にワイヤー160の一端側を結ぶとともに、当該ワイヤー160の他端側を車両(軽四輪トラックとする。)500の荷台のフック510などに結んだ状態として使用する。このとき、グランドの土の固さなどに応じて、適宜、錘を整備器具本体100の錘収納室R1〜R4に収納する。なお、
図4においては、錘は図示されていない。
【0057】
例えば、錘として、1個10kg程度の重量を有する工事用のウエイトを、4つの錘収納室R1〜R4にそれぞれ数個ずつ、できるだけ均等に収納することにより、錘(工事用のウエイト)と整備器具本体100との合計の重量を200kg程度とすることができる。勿論、錘の数を増やせば、錘と整備器具本体100との合計の重量をより重くすることができる。なお、工事用のウエイトは様々な種類が知られているが、例えば、フェンスや看板などが転倒しないように、当該フェンスや看板の脚部を支持するためのコンクリート製又は鉄製のウエイトもその一つである。
【0058】
このように、グランドの土の固さなどに応じて、適宜、錘を整備器具本体100の錘収納室R1〜R4に収納した状態で、軽四輪トラック500を走行させることにより、実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、軽四輪トラック500に牽引されて軽四輪トラック500とともに進行する。このとき、整備器具本体100の各錘収納室R1〜R4には、錘が収納されており、錘と整備器具本体100との合計の重量が例えば200kg程度となっている。このため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、掻き起こし機構部200の掻き起こし歯220がグランドGの土に食い込んだ状態で、軽四輪トラック500とともに矢印x’方向に進行して行く。
【0059】
図5は、
図4の要部(グランド整備器具10Aの部分)を拡大して示す図である。
図5に示すように、実施形態1に係るグランド整備器具10Aの整備器具本体100が軽四輪トラック500とともに矢印x’方向に進行すると、掻き起こし機構部200の掻き起こし歯220は、グランドGの土に食い込んだ状態で、矢印x’方向に進行することとなる。これによって、グランドGの土は、掻き起こし歯220によって掻き起こされて行く。
【0060】
なお、実施形態1に係るグランド整備器具10Aが軽四輪トラック500とともに進行する際においては、整備器具本体100の前面110a及び後面110bが、グランドGの表面に対してほぼ垂直となるようにワイヤー160の長さ及びワイヤー160の車両における取り付け高さを調節することが好ましい。
【0061】
このようにすることにより、掻き起こし機構部200の掻き起こし歯220がグランドGの表面に対してほぼ垂直方向に食い込んだ状態となり、かつ、整備器具本体100における底面110eのグランドGの表面(xy平面)に対する傾斜角度θ1が所定の角度(この場合、約15度)を有する傾斜面となる。このような状態で、整備器具本体100が軽四輪トラック500とともに進行すると、整備器具本体100の底面110eとグランドGの要面との間には、空間が形成された状態で整備器具本体100が進行する。
【0062】
すなわち、掻き起こし歯220が土を掻き起こして行く動作を行う際に、掻き起こし歯220が土の抵抗を受けて、整備器具本体100が進行方向にある程度傾倒したとしても、整備器具本体100の底面110eが傾斜面となっていることにより、整備器具本体100が進行方向によほど大きく傾倒しない限り、整備器具本体100の底面110eとグランドGの表面との間に形成されている空間は保持されることとなる。
【0063】
このように、整備器具本体100の底面110eとグランドGの表面との間に形成されている空間が保持された状態で整備器具本体100が進行することにより、土の掻き起こしがスムーズに行え、かつ、掻き起こされた土が整備器具本体100の底面110eとグランドGの表面との間に溜まりにくくなり、効率よく土の掻き起こしが行えることが実験によりわかった。
【0064】
このような動作を土が硬くなりすぎた状態となっているグランド全体又は所望とする範囲について行うことにより、当該グランド全体又は所望とする範囲は、グランド表面の土が掻き起こされた状態となり、硬くなりすぎたグランドは、土が適度にほぐされた状態となる。
【0065】
なお、実施形態1に係るグランド整備器具10Aによって、土を掻き起こしたあとにおいては、必要に応じて、当該グランド整備器具10Aとは別に用意したグランド整備用のローラーなどを用いて、土を均すようにしてもよい。また、当該グランド整備器具10Aにおける整備器具本体100の後面110bに設けられている後面側ワイヤー取り付け部140に、何らかの補助整備具(整備器具本体100に連結可能で、かつ、均しが可能な器具など)を連結した状態で、
図4に示すような動作を行うようにしてもよい。これにより、グランドG表面の土が掻き起こす動作と均す動作とを一度に行うことができる。
【0066】
以上説明したように、実施形態1に係るグランド整備器具10Aによれば、整備器具本体100は、上部が開口となっている箱型をなしているため、グランドの固さに応じて、適宜、錘を収納することができ、様々な硬さのグランドに対応することができる。
【0067】
また、実施形態1に係るグランド整備器具10Aによれば、掻き起こし機構部200は、ベースプレート210と掻き起こし歯220とを有し、掻き起こし歯220は、SS400規格の鋼材よりも引っ張り応力の高い「SN490C規格」の鋼材が用いられており、かつ、ベースプレート210に溶接によって接合されている。このため、掻き起こし歯220は、溶接によってより硬化されて、強度がより高いものとなる。このため、土が硬くなりすぎているグランドに対しても確実に土を掻き起こすことができ、しかも、耐久性に優れ、長期間の使用にも耐え得るものとなる。
【0068】
また、実施形態1に係るグランド整備器具10Aによれば、整備器具本体100の底面110eの傾斜角度θ1(グランドGの表面に対する傾斜角度θ1)は、約15度としているため、掻き起こし機構部200の掻き起こし歯220がグランド表面に対してほぼ垂直方向に食い込んだ状態で、グランド整備器具10Aが軽四輪トラック500とともに進行する。これにより、土の掻き起こしがスムーズに行え、かつ、掻き起こされた土が整備器具本体100の底面110eとグランドGの表面との間に溜まりにくくなり、効率よく土の掻き起こしが行える。
【0069】
また、実施形態1に係るグランド整備器具10Aによれば、整備器具本体100と掻き起こし機構部200とを合わせた重量(錘を載せない状態の重量)は約50kgであるため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aの持ち運びは、二人の大人がそれぞれ運搬用取っ手130を持つことにより容易に行うことができる。このため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、当該グランド整備器具10Aを倉庫などの保管場所に収納したり、保管場所から出したりする作業が容易であり、また、トラックなどの車両の荷台に載せたり、荷台から降ろしたりする作業も容易である。このように、実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、持ち運びが容易で取り扱いのし易いグランド整備器具とすることができる。
【0070】
また、実施形態1に係るグランド整備器具10Aによれば、ベースプレート210と掻き起こし歯220とからなる掻き起こし機構部200は、ボルト230とナット240によって整備器具本体100に取り付けられている。このため、実施形態1に係るグランド整備器具10Aの使用頻度が高く、かつ、過酷な使用によって掻き起こし歯220の交換が必要となった場合には、掻き起こし機構部200ごとの交換が可能である。これにより、実施形態1に係るグランド整備器具10Aは、長期間の使用が可能であり、仮に、掻き起こし歯220が劣化したり破損したりした場合であっても、グランド整備器具10A全体を買い替える必要がないため、経済的なグランド整備器具となる。
【0071】
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係るグランド整備器具10Bを説明するために示す図である。実施形態2に係るグランド整備器具10Bが、実施形態1に係るグランド整備器具10Aと異なる点は、土が掻き起こされることにより出てくる小石などを効率よく収集するための小石収集器具300を補助整備器具として備えている点である。なお、整備器具本体100及び掻き起こし機構部200の構成は、基本的には実施形態1に係るグランド整備器具10Aと同様であるため説明は省略する。
【0072】
小石収集器具300は、
図6に示すように、進行方向(矢印x’方向)に直交する方向でかつグランドG(
図7参照。)の表面に沿う方向に見たときの断面、すなわち、y軸に沿って見たときの断面がL字型をなす鉄製のL字型プレート310と、当該L字型プレート310に取り付けられている小石収集用網板320とを有している。
【0073】
L字型プレート310は、整備器具本体100と同様に、SS400規格の鋼材(板厚t5は6mmとしている。)をL字型に折り曲げたものであり、z軸に沿った方向に延出した縦方向板体311とx軸に沿った方向に延出した横方向板体312とからなる。そして、L字型プレート310にける縦方向板体311の縦方向(z軸方向)の延出長さL4及び横方向板体312の横方向(x軸方向)の延出長さL5はそれぞれ75mmとしている。また、L字型プレート310の左右方向の長さ(y軸に沿った方向の長さ)L6は、整備器具本体100における長辺111の長さL1(約1800mm)とほぼ同じ長さとしている。
【0074】
また、L字型プレート310の縦方向板体311には、2本のワイヤー341,342が所定間隔を置いて取り付けられている。これら2本のワイヤー341,342の各先端部には、鉤型のフック351,352が取り付けられている。このため、小石収集器具300は、当該フック351,352を整備器具本体100の後面に設けられている後面側ワイヤー取り付け部140に引っ掛けることにより、整備器具本体100に簡単に連結することができる。また、フック351,352を外すことにより、小石収集器具300を整備器具本体100から簡単に取り外すこともできる。
【0075】
なお、ワイヤー341,342のそれぞれの中途部には、整備器具本体100と小石収集器具300との間隔を調整可能とするために、ワイヤー160の長さが調整可能なワイヤー長さ調節部(例えば、ターンバックル)361,362が設けられている。
【0076】
小石収集用網板320は、エキスパンドメタルと呼ばれている鉄製の網板を好ましく用いることができる。このエキスパンドメタルは、個々の網目が菱形をなしており、建設材などとして市販されている。そして、網目の粗さは様々なものがあるが、小石を効率的に収集でき、かつ、土は個々の網目を通してグランドGに戻すことができるようにするものが好ましい。実施形態2に係るグランド整備器具10Bにおいては、この点を考慮して、XS31規格のエキスパンドメタルを用いている。当該XS31規格のエキスパンドメタルは、菱形をなす個々の網目の一方の対角の長さa1が約30mmであり、他方の対角の長さa2が約12mmである(
図6における破線枠320a内を参照。)。
【0077】
このような小石収集用網板(エキスパンドメタル)320は、L字型プレート310の縦方向板体311に溶接によって固定されている。そして、小石収集用網板320のy軸に沿った長さL7はL字型プレート310のy軸に沿った方向の長さL6と同じとしている。また、小石収集用網板320のz軸に沿った突出長さ(高さ)H3は、実施形態2に係るグランド整備器具においては、175mmとしている。なお、小石収集用網板320のy軸に沿った長さL7及びz軸に沿った突出長さ(高さ)H3は、このような値に限定されるものではない。
【0078】
図7は、実施形態2に係るグランド整備器具10Bを用いてグランド整備を行っている様子を示す図である。実施形態2に係るグランド整備器具10Bは、
図7に示すように、整備器具本体100が小石収集器具300を牽引した状態とする。このような状態とするには、小石収集器具300に接続されているワイヤー341,342のフック351,352を整備器具本体100の後面110bに設けられている後面側ワイヤー取り付け部140に引っ掛ければよい。
【0079】
そして、整備器具本体100を軽四輪トラック500の荷台にワイヤー160によって連結する。このとき、実施形態1に係るグランド整備器具10Aと同様に、グランドの土の固さなどに応じて、適宜、錘を整備器具本体100の錘収納室R1〜R4に収納する。この状態で、軽四輪トラック500を走行させることにより、グランド整備器具10Bは軽四輪トラック500に牽引されて進行する。
【0080】
図8は、
図7の要部(グランド整備器具10Bの部分)を拡大して示す図である。
図8に示すように、実施形態2に係るグランド整備器具10Bが軽四輪トラック500(
図7参照。)に牽引されて矢印x’方向に進行すると、掻き起こし機構部200の掻き起こし歯220は、グランドGの土に食い込んだ状態で、矢印x’方向に進行することとなる。このため、グランドGの土は掻き起こし歯220によって掻き起こされて行く。
【0081】
また、実施形態2に係るグランド整備器具10Bにおいては、整備器具本体100には小石収集器具300が連結されているため、整備器具本体100の進行に伴って小石収集器具300が追従してくる。このとき、小石収集器具300は、小石収集用網板320が、
図8に示すように、例えば、グランドGに対する垂線Vに対して後方側に所定の傾斜角度θ3を有して傾斜するように、ワイヤー341の長さを調整することが好ましい。なお、「傾斜角度θ3」は30度〜80度程度であることが好ましい。
【0082】
また、小石収集器具300を整備器具本体100に連結するためのワイヤー341,342の長さ(整備器具本体100と小石収集器具300との間隔)の調整は、ワイヤー長さ調節具(ターンバックル)361,362によって容易に行うことができる。なお、ワイヤー341,342の長さ(整備器具本体100と小石収集器具300との間隔)の調整は、作業を行っている過程で、均しが適切に行われているか否か(均し具合)と、小石の収集が適切に行われているか否か(小石収集具合)を観察しながら適宜行うことが好ましい。
【0083】
このようにして、実施形態2に係るグランド整備器具10Bが軽四輪トラック500(
図7参照。)に牽引されて矢印x’方向に進行すると、掻き起こし歯220によって掻き起こされた土は、小石収集器具300のL字型プレート310によって、寄せ集められながら均されて行く。なお、
図8において矢印Aで示す部分は、土が寄せ集められている様子を示すものである。
【0084】
また、実施形態2に係るグランド整備器具10Bが軽四輪トラック500(
図7参照。)に牽引されて矢印x’方向に進行しているときに、掻き起こされた土に小石Sなどが混じっていると、当該小石Sは小石収集器具300におけるL字型プレート310で跳ね上げられて、小石収集用網板(エキスパンドメタル)320上に堆積して行く。なお、土も一部は跳ね上げられて小石収集用網板320に堆積されるが、堆積された土は小石収集用網板320の網目を通過してグランドG上に戻されて行く。小石収集用網板320上に堆積した小石は、ある程度の量が堆積したら、小石収集用網板320から小石を取り除くようにすればよい。
【0085】
図7及び
図8に示すような作業を土が硬くなりすぎた状態となっているグランド全体又は所望とする範囲について行うことにより、当該グランド全体又は所望とする範囲は、グランドGの表面の土が掻き起こされ、かつ、均されたた状態となるとともに、掻き起こすことによって掘り起こされた小石などは、小石収集用網板320に堆積されて行く。このため、実施形態2に係るグランド整備器具10Bが通ったあとのグランドGは、土が適度にほぐされるとともに均されたた状態となり、しかも、小石などが取り除かれた快適なグランドとなる。
【0086】
なお、実施形態2に係るグランド整備器具10Bにおいても、実施形態1に係るグランド整備器具10Aと同様に、整備器具本体100が軽四輪トラック500とともに進行する際においては、整備器具本体100の前面110a及び後面110bが、グランドGの表面に対してほぼ垂直となるようにワイヤー160の長さを調節することが好ましい。
【0087】
実施形態2に係るグランド整備器具10Bによれば、実施形態1に係るグランド整備器具10Aで得られる効果と同様の効果が得られるとともに、実施形態2に係るグランド整備器具10Bにおいては、小石収集器具300を牽引しながらグランド整備を行うことによる効果が得られる。すなわち、実施形態2に係るグランド整備器具10Bによれば、グランドの表面の土が掻き起こされ、かつ、均されたた状態となるとともに、掻き起こすことによって掘り起こされた小石などは、小石収集器具の小石収集用網板に堆積されて行く。このため、当該小石収集器具を牽引しながらグランド整備を行うことによって、土が適度にほぐされるとともに均されたた状態となり、しかも、小石などが取り除かれた快適なグランドとすることができるといった効果が得られる。
【0088】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0089】
(1)上記各実施形態において示した各部の寸法などを示す数値は一例であって、このような数値に限定されるものではなく、整備対象となるグランドの広さなどに適した大きさのグランド整備器具とすることも可能である。
【0090】
(2)上記各実施形態においては、掻き起こし歯220は、対角間の長さが等しい菱形(正方形)としたが、正方形である必要はなく、対角間の長さが異なる菱形であってもよい。
【0091】
(3)上記各実施形態においては、整備器具本体には、錘として工事用のウエイトを錘用いた場合を例示したが、工事用のウエイトではなく砂袋を用いてもよく、砂袋と工事用のウエイトを併用してもよい。なお、砂袋を用いる場合、当該砂袋の大きさによってよっては錘収納室R1〜R4に収納できない場合もあるが、この場合には、各仕切り板150の上に架け渡すように載置してもよい。また、錘としては、工事用のウエイト、砂袋に限定されるものではなく、重量が大きく、かつ、整備器具本体100に載せることができるものであれば様々なものを使用することができる。
また、仕切り板150は、着脱自在としてもよい。このように、仕切り板150は、着脱自在とすることにより、錘の大きさや錘の種類などに応じた広さを有する空間の形成が可能となる。