(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
  実施の形態1
  ここでは、不揮発性メモリを備えた半導体装置の第1例について説明する。
 
【0014】
  図1および
図2に示すように、半導体基板SUBの表面では、メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCR(第1領域)と、ゲートコンタクト領域GCR(第2領域)等が規定されている。メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRでは、素子分離領域EIRによって素子形成領域EFRが規定されている。また、ゲートコンタクト領域GCRでは、メモリセルアレイ領域MCR等に形成される素子分離領域EIRのパターンに準じたパターンをもって素子分離領域EIRが形成されて、ダミー素子形成領域DEFRが規定されている。
 
【0015】
  メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRでは、素子形成領域EFRにおける所定の部分上に、トンネル絶縁膜TGFを介在させてフローティングゲート電極FGが形成されている。ゲートコンタクト領域GCRでは、ダミー素子形成領域DEFRにおける所定の部分上に、トンネル絶縁膜TGFを介在させてダミーフローティングゲート電極DFGが形成されている。ダミーフローティングゲート電極DFGは、平面視的にダミー素子形成領域DEFRに部分的に重なるように配置されている。なお、平面視的とは、平面レイアウトを意図する。
 
【0016】
  後述するように、ダミーフローティングゲート電極DFGは、半導体基板SUB面内におけるフローティングゲート電極FGの加工精度を均一にするために、メモリセルアレイ領域MCR等に形成されるフローティングゲート電極FGのパターンに準じたパターンをもって形成されている。フローティングゲート電極FGおよびダミーフローティングゲート電極DFGの上にONO膜TFを介在させて、ワード線WLが形成されている。ONO膜TFは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜からなる積層膜である。ワード線WLはX方向に延在している。ゲートコンタクト領域GCRでは、ワード線WLは、ダミーフローティングゲート電極DFGを横切るように形成されている。
 
【0017】
  ワード線WLでは、フローティングゲート電極FGと平面視的に重なる部分がコントロールゲート電極CGとなる。ワード線WLに対して、Y方向(正)側に位置する素子形成領域EFRのそれぞれの部分にはドレイン領域DRが形成され、Y方向(負)側に位置する素子形成領域EFRのそれぞれの部分にはソース領域SRが形成されている。フローティングゲート電極FG、コントロールゲート電極CG、ソース領域SRおよびドレイン領域DRによって、メモリセルトランジスタMTRが構成される。
 
【0018】
  そのメモリセルトランジスタMTRを覆うように、アンドープの酸化膜によって第1層間絶縁膜IL1が形成されている。ゲートコンタクト領域GCRに位置する第1層間絶縁膜IL1の部分には、第1層間絶縁膜IL1を貫通してワード線WLに達するコンタクトホールCHが形成されている。そのコンタクトホールCHに、ワード線WLに電気的に接続されるコンタクトプラグCPが形成されている。コンタクトプラグCPは、平面視的にダミー素子形成領域DEFRに部分的に重なるように配置されている。
 
【0019】
  メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRに位置する第1層間絶縁膜IL1の部分に表面には、ビット線BLが形成されている。ビット線BLは、ワード線WLと交差するようにY方向に延在する。ゲートコンタクト領域GCRに位置する第1層間絶縁膜IL1の部分の表面には、コンタクトプラグCPに電気的に接続される配線AHが形成されている。ビット線BLおよび配線AHは、アルミニウム膜等によって形成されている。
 
【0020】
  ビット線BLおよび配線AH等を覆うように、アンドープの酸化膜によって第2層間絶縁膜IL2が形成されている。ゲートコンタクト領域GCRに位置する第2層間絶縁膜IL2の部分には、第2層間絶縁膜IL2を貫通して配線AHに達するヴィアホールVHが形成されている。ヴィアホールVHには、配線AHに電気的に接続されるヴィアVAが形成されている。第2層間絶縁膜IL2の表面には、ヴィアVAに電気的に接続されるワード線シャント配線WSLが形成されている。ワード線シャント配線WSLはX方向に延在する。半導体装置の主要部分は、上記のように構成される。
 
【0021】
  次に、上述した不揮発性メモリを備えた半導体装置の製造方法について説明する。まず、
図3および
図4に示すように、半導体基板の表面に分離溝TCを形成し、その分離溝TC内に素子分離絶縁膜EIFを充填することにより素子分離領域EIRが形成される。素子分離領域EIRによって、素子形成領域EFRが規定される。ゲートコンタクト領域GCRでは、メモリセルアレイ領域MCRと同様に、素子分離領域EIRが形成されて、素子形成領域EFRが規定される。
 
【0022】
  次に、熱酸化処理を施すことによって、素子形成領域EFRの表面にトンネル絶縁膜TGF(膜厚約10nm)が形成される(
図6参照)。次に、トンネル絶縁膜TGFを覆うように、膜厚約100nmのポリシリコン膜(図示せず)が形成される。次に、所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことによって、
図5および
図6に示すように、フローティングゲート電極となるポリシリコン膜パターンPPが形成される。ポリシリコン膜パターンPPのパターニング精度と、後に形成される第1層間絶縁膜等の平坦性を確保するために、ゲートコンタクト領域GCRにおいても、ポリシリコン膜パターンPPが形成される。
 
【0023】
  次に、ポリシリコン膜パターンPPを覆うように、シリコン酸化膜(膜厚約3〜5nm)、シリコン窒化膜(膜厚約6〜10nm)およびシリコン酸化膜(膜厚約3〜5nm)を連続して堆積することによってONO膜TF(
図8参照)が形成される。次に、
図7および
図8に示すように、ONO膜TFを覆うように、ワード線となるポリシリコン膜PSI(膜厚約100〜200nm)が形成される。
 
【0024】
  次に、ポリシリコン膜PSIに所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことによって、
図9、
図10および
図11に示すように、ワード線WLが形成される。このとき、ワード線とワード線との間に露出しているポリシリコン膜パターンPPの部分にもエッチング処理が施されて、そのポリシリコン膜パターンPPの部分が除去される。こうして、メモリセルアレイ領域MCRでは、フローティングゲート電極FGが形成される。ゲートコンタクト領域GCRでは、ダミーフローティングゲート電極DFGが形成される。ワード線WLでは、平面視的にフローティングゲート電極FGと重なる部分がコントロールゲート電極CGとなる。また、ダミーフローティングゲート電極DFGは、平面視的にダミー素子形成領域DEFRに部分的に重なるように形成される。
 
【0025】
  次に、
図12および
図13に示すように、ソース領域を含むソース配線が形成される領域に位置する素子形成領域EFRおよび素子分離絶縁膜EIFを露出し、他の領域を覆うレジストパターンRPが形成される。次に、レジストパターンRPをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことにより、
図14および
図15に示すように、露出した素子分離絶縁膜EIFが除去されて分離溝TCの側壁等が露出する。その後、レジストパターンがRPが除去される。
 
【0026】
  次に、
図16および
図17に示すように、ワード線WLを注入マスクとして、たとえば、ヒ素(As)等の高濃度の不純物が注入される。これにより、ワード線WLに対して一方の側に露出した素子形成領域EFRおよび分離溝TCの側壁等のそれぞれの部分にヒ素等が導入されて、ソース領域SRを含むソース配線SLが形成される。ワード線WLに対して他方の側に露出した素子形成領域EFRのそれぞれの部分にヒ素等が導入されて、ドレイン領域DRが形成される。こうして、コントロールゲート電極CG、フローティングゲート電極FG、ソース領域SRおよびドレイン領域DRを含むメモリセルトランジスタMTRが形成される。
 
【0027】
  次に、
図18および
図19に示すように、メモリセルトランジスタMTRを覆うように、たとえば、化学的気相成長法等によって、アンドープの酸化膜の第1層間絶縁膜IL1が形成される。次に、第1層間絶縁膜IL1に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、ゲートコンタクト領域GCRにワード線WLを露出するコンタクトホールCHが形成される。このとき、コンタクトホールCHは、平面視的に素子形成領域EFRに部分的に重なるように形成される。次に、そのコンタクトホールCH内にコンタクトプラグCPが形成される。これにより、コンタクトプラグCPは、平面視的に素子形成領域EFRに部分的に重なることになる。
 
【0028】
  次に、第1層間絶縁膜IL1を覆うように、たとえば、スパッタ法等によってアルミニウム膜(図示せず)が形成される。次に、そのアルミニウム膜に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、
図20および
図21に示すように、メモリセルアレイ領域MCRでは、ビット線BLが形成される。ビット線BLは、ワード線WLと略直交するように形成される。ゲートコンタクト領域GCRでは、コンタクトプラグCPに電気的に接続される配線AHが形成される。
 
【0029】
  次に、
図22に示すように、ビット線BLおよび配線AHを覆うように、たとえば、化学的気相成長法等によって、アンドープの酸化膜の第2層間絶縁膜IL2が形成される。次に、第2層間絶縁膜IL2に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、ヴィアホールVHが形成される。次に、そのヴィアホールVHにヴィアVA(
図24参照)が形成される。次に、第2層間絶縁膜IL2を覆うように、スパッタ法等により、アルミニウム膜(図示せず)が形成される。
 
【0030】
  次に、アルミニウム膜に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、
図23および
図24に示すように、ヴィアVAに電気的に接続されるワード線シャント配線WSLが形成さ
れる。ワード線シャント配線WSLはX方向に延在する。こうして、不揮発性メモリを備えた半導体装置の主要部分が完成する。
 
【0031】
  上述した不揮発性メモリを備えた半導体装置では、ゲートコンタクト領域GCRに、メモリセルアレイ領域MCR等に形成される素子分離領域EIRのパターンに準じたパターンをもって素子分離領域EIRが形成されている。これにより、ヴィア等を開口する際のチャージアップに起因した、不揮発性メモリセルの不具合を解消することができる。このことについて、比較例に係る半導体装置と比較しながら説明する。
 
【0032】
  図25および
図26に示すように、比較例に係る半導体装置では、半導体基板CSUBの表面に、メモリセルアレイ領域CMCR、ゲートコンタクト領域CGCRおよびソースコンタクト領域CSCR等が規定されている。メモリセルアレイ領域CMCRおよびソースコンタクト領域CSCRでは、素子分離領域CEIRによって素子形成領域CEFRが規定されている。一方、ゲートコンタクト領域CGCRでは、ゲートコンタクト領域CGCRの全体にわたり素子分離領域CEIRが形成されている。
 
【0033】
  なお、これ以外の構成については、
図1および
図2に示す半導体装置と実質的に同様であるので、簡単に説明する。
 
【0034】
  メモリセルアレイ領域CMCRおよびソースコンタクト領域CSCRにおける素子形成領域CEFRには、フローティングゲート電極CFG、ONO膜CTF、コントロールゲート電極CCG、ソース領域CSRおよびドレイン領域CDRを含むメモリセルトランジスタCMTRが形成されている。一方、ゲートコンタクト領域GCRには、ダミーフローティングゲート電極CDFGが形成されている。
 
【0035】
  メモリセルトランジスタCMTRを覆うように、第1層間絶縁膜CIL1が形成されている。ゲートコンタクト領域GCRでは、ワード線CWLに達するコンタクトホールCCHにコンタクトプラグCCPが形成されている。第1層間絶縁膜CIL1の表面には、コンタクトプラグCCPに電気的に接続される配線CAHと、ビット線CBLとが形成されている。
 
【0036】
  ビット線CBLおよび配線CAH等を覆うように、第2層間絶縁膜CIL2が形成されている。ゲートコンタクト領域CGCRに位置する第2層間絶縁膜CIL2の部分には、配線CAHに達するヴィアホールCVHが形成されている。ヴィアホールCVHにヴィア
CVAが形成されている。第2層間絶縁膜CIL2の表面には、ワード線シャント配線CWSLが形成されている。
 
【0037】
  次に、比較例に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、
図27および
図28に示すように、半導体基板CSUBの表面に分離溝を形成し、その分離溝内に素子分離絶縁膜CEIFを充填することにより素子分離領域CEIRが形成される。素子分離領域CEIRによって、素子形成領域CEFRが規定される。一方、ゲートコンタクト領域CGCRでは、ゲートコンタクト領域CGCRの全体にわたり、素子分離領域CEIRが形成される。
 
【0038】
  次に、
図5〜
図21に示す工程と実質的に同様の工程を経た後、
図29に示すように、ビット線CBLおよび配線CAHを覆うように、第2層間絶縁膜CIL2が形成される。次に、第2層間絶縁膜CIL2に、所定の写真製版処理とエッチング処理を施すことによって、ゲートコンタクト領域CGCRに位置する第2層間絶縁膜CIL2の部分に、配線CAHを露出するヴィアホールCVHが形成される。その後、ヴィアホールCVHにヴィアCVAを形成し、ワード線シャント配線CWSLを形成することで、比較例に係る半導体装置の主要部分が完成する。
 
【0039】
  次に、フローティングゲート電極の電位について説明する。まず、一般論について説明する。フローティングゲート電極とコントロールゲート電極を有する不揮発性の半導体メモリでは、ソース・ドレイン間に電流を流すためのコントロールゲート電極に印加するしきい値電圧は、フローティングゲート電極に電荷が蓄積されているか否かによって変わることになる。
 
【0040】
  ここで、
図30に示すように、フローティングゲート電極FGと半導体基板SUBとの間の容量をCsubとし、フローティングゲート電極FGとコントロールゲート電極CGとの間の容量をCcgとする。フローティングゲート電極FGとソース領域との間の容量をCsとし、フローティングゲート電極FGとドレイン領域との間の容量をCdとする。フローティングゲート電極FGの電位をVfgとし、コントロールゲート電極CGの電位をVcgとし、半導体基板の電位をVsubとする。
 
【0041】
  そうすると、フローティングゲート電極FGの電荷Qは、次の式によって表される。
  Q=Ccg×(Vcg−Vfg)+Cd×(Vd−Vfg)
      +Cs×(Vs−Vfg)+Csub×(Vsub−Vfg)
  この関係式から、以下の2つの関係式、
  Ctotal=Ccg+Cd+Cs+Csub
  Ccg>Cd+Cs+Csub
を用いて、フローティングゲート電極FGの電位Vfgについて解くと、次の関係式が得られる。
 
【0042】
  Vfg≒Q/Ctotal+Ccg×Vcg/Ctotal      (式1)
  上記のように、メモリセルトランジスタMTRをオンさせるために、コントロールゲート電極CGに印加すべき電位(電圧)Vcgは、フローティングゲート電極FGに電荷が蓄積されているか否かによって変わる。一方、メモリセルトランジスタMTRをオンさせるために、フローティングゲート電極FGに印加すべき電圧Vfgは、フローティングゲート電極が、通常のMOSトランジスタのゲート電極に対応することを考慮すると、電荷の蓄積の有無にかかわらず変わらないといえる。
 
【0043】
  そこで、まず、フローティングゲート電極FGに電荷が蓄積されていない状態(Q=0)において、メモリセルトランジスタMTRをオンさせるために、コントロールゲート電極CGに印加すべき電圧をVthiとする。そうすると、式1から、次の関係式が得られる。
 
【0044】
  Vfg=Ccg×Vthi/Ctotal      (式2)
  次に、フローティングゲート電極FGに電荷が蓄積されている状態(Q>0)において、メモリセルトランジスタMTRをオンさせるために、コントロールゲート電極CGに印加すべき電圧(電位)VcgをVthとする。そうすると、式1から、次の関係式が得られる。
 
【0045】
  Vfg=Q/Ctotal+Ccg×Vth/Ctotal      (式3)
  フローティングゲート電極FGに印加すべき電圧Vfgは、電荷の蓄積の有無にかかわらず変わらないことから、次の関係式が得られる。
 
【0046】
  Ccg×Vthi/Ctotal=Q/Ctotal+Ccg×Vth/Ctotal
  これを、Qについて解き、全容量Ctotalとの関係から、次の関係式が得られる。
 
【0047】
  Vfg=Cr(Vcg−ΔVth)      (式4)
  ここで、Cr=Ccg/Ctotal、ΔVth=Vth−Vthiである。Crはカップリング比と称されている。また、ΔVthは、フローティングゲート電極への電荷(電子)の有無に伴うしきい値電圧の変動を表す。
 
【0048】
  次に、メモリセルアレイ領域CMCRに形成されたフローティングゲート電極CFGの電位と、ゲートコンタクト領域CGCRに形成されたダミーフローティングゲート電極CDFGの電位について、
図31に基づいて説明する。
 
【0049】
  まず、フローティングゲート電極CFGでは、カップリング比Crの値は、約0.7前後となることが知られている。一方、ダミーフローティングゲート電極CDFGでは、ソース領域とドレイン領域が形成されていないために、容量Cs=容量Cd=0となる。また、ダミーフローティングゲート電極CDFGは、ゲートコンタクト領域CGCRの全体に形成された素子分離絶縁膜CEIF上に配置されているため、容量Csub≒0になる。これにより、ダミーフローティングゲート電極CDFGのカップリング比Crの値は、1に近い値となる。
 
【0050】
  このことは、式4から、コントロールゲート電極CCGの電位Vcgに対して、ダミーフローティングゲート電極CDFGの電位が、フローティングゲート電極CFGの電位とは異なってくることを意味する。たとえば、半導体装置の製造工程中において、プラズマによるチャージアップによって、コントロールゲート電極CCGがバイアスされた状態になった場合には、ダミーフローティングゲート電極CDFGの電位は、フローティングゲート電極CFGの電位とは異なる電位となる。
 
【0051】
  プラズマに晒される工程として、たとえば、コンタクトホールを形成する工程やヴィアホールを形成する工程等がある。これらの工程では、絶縁膜(第1層間絶縁膜CIL1、第2層間絶縁膜CIL2)にエッチング処理が施される。この場合、
図32に示すように、コンタクトホールまたはヴィアホールを形成する際に、プラズマに晒された絶縁膜の表面は、電子と正イオンとの平均自由
行程の違いにより、マイナスにチャージアップする。そして、電子が絶縁膜の表面にトラップされやすくなること(遮蔽効果)によって、
図33に示すように、電子は、コンタクトホールまたはヴィアホールの底には到達しにくくなり、底には、主に正イオンが到達することになる。
 
【0052】
  このため、コンタクトホールCCH、CHが形成された後では、コンタクトホールCCH、CHの底がプラスにチャージされた状態で、後の工程の処理が行われる。また、ヴィアホールCVH、VHが形成された後では、ヴィアホールCVH、VHの底がプラスにチャージされた状態で、後の工程の処理が行われる。
 
【0053】
  コンタクトホールCCH、CHが形成された後、アルミニウム膜によってビット線CBL、BLが形成されるまでには、比較的高い温度のもとで処理が行われる工程があり、コンタクトホールCCH、CHの底に蓄積されたチャージは抜けやすくなる。一方、ヴィアホールCVH、VHが形成された後の製造工程では、すでに、ビット線CBL、BL等が形成されているために、低温度(最高約400℃程度)のもとで処理を行う必要がある。このため、ヴィアホールCVH、VHの底に蓄積されたチャージは抜けにくい。
 
【0054】
  ヴィアホールCVH、VHに形成されるヴィアCVA、VAは、配線CAH、AHおよびコンタクトプラグCCP、CPを介してワード線CWL(コントロールゲート電極CCG)に電気的に接続されている。このため、ヴィアホールCVH、VHの底に蓄積されたプラスのチャージによって、ワード線CWL、WLの電位が上昇することになる。
 
【0055】
  比較例に係る半導体装置において、ワード線CWL(コントロールゲート電極CCG)の電位Vcgが上昇すると、式4によれば、ダミーフローティングゲート電極CDFGの電位が、フローティングゲート電極CFGの電位よりも高くなる。すなわち、ダミーフローティングゲート電極DFGがプラスにチャージされた状態で、後の処理が行われることになる。
 
【0056】
  ウェハプロセス(前工程)が完了すると、ウェハテストが行われる。ウェハテストでは、不揮発性メモリに対して書き込みや消去等の動作のテストに加えて、ベーク処理が行われる。ベーク処理は、たとえば、約250℃程度の温度条件のもとで行われる。このとき、第1層間絶縁膜CIL1中の、たとえば、ナトリウム等の可動イオン(プラスイオン)が、熱によって動きやすい状態になる。
 
【0057】
  そうすると、
図34に示すように、プラスにチャージされているダミーフローティングゲート電極DFGの近傍では、ダミーフローティングゲート電極DFGと可動イオンとの間に斥力が生じ、可動イオンが、ゲートコンタクト領域CGCRの近傍に位置するメモリセルアレイ領域CMCRの部分に集中することになる。
 
【0058】
  このため、ゲートコンタクト領域CGCRの近傍に位置するメモリセルアレイ領域CMCRの部分(部分A)と、ゲートコンタクト領域CGCRから十分に離れたメモリセルアレイ領域CMCRの部分(部分B)とでは、可動イオンの密度が変わり、部分Aにおける可動イオンの密度が、部分Bにおける可動イオンの密度よりも高くなる。その結果、ウェハテストにおいて誤判定が生じることになる。このことについて説明する。
 
【0059】
  まず、通常、書き込み動作を行う前に消去動作を行い、フローティングゲート電極から電子の引き抜きが行われる。たとえば、コントロールゲート電極に−10V程度(Vcg)、ドレイン領域に0V(Vd)、ソース領域に0V(Vs)および半導体基板に約10V程度を印加することで、フローティングゲート電極から半導体基板へ向かって電子が引き抜かれる。
 
【0060】
  次に、書き込み動作では、
図35に示すように、フローティングゲート電極へ電子の注入が行われる。たとえば、コントロールゲート電極に10V程度(Vcg)、ドレイン領域に4〜5V程度(Vd)、ソース領域に0V(Vs)を印加することで、フローティングゲート電極へ電子が注入される。このとき、部分Aに位置するメモリセルAと、部分Bに位置するメモリセルBとで、フローティングゲート電極への電子の注入のさ
れ方は同程度である。
 
【0061】
  書き込み動作を行った後、ベークが行われる。ベークでは、たとえば、約250℃の温度条件のもとで、フローティングゲート電極に電子が注入された状態が維持されるかどうかがテストされる。このベークの熱によって、第1層間絶縁膜CIL1中の可動イオン(プラスイオン)は動きやすくなる。このとき、メモリセルAの周辺には、メモリセルBの周辺に比べて、より多くの可動イオンが存在する。
 
【0062】
  このため、可動イオン(プラスイオン)が、メモリセルAのフローティングゲート電極へ向かって引き寄せられる確率が高くなり、メモリセルAのフローティングゲート電極のマイナスバイアスが一部キャンセルされ、見かけ上、蓄積されている電子の数が、メモリセルBのフローティングゲート電極に蓄積されている電子の数よりも、少なくなったのと同じ状態となる。その結果、メモリセルAのしきい値電圧が、メモリセルBのしきい値電圧に比べて低くなり、メモリセルAでは、実際にはデータが保持されているにもかかわらず、データが抜けてしまったと判定(リテンション不良)されることになる。
 
【0063】
  次に、消去動作では、
図36に示すように、フローティングゲート電極から電子の引き抜きが行われる。たとえば、コントロールゲート電極に−10V程度(Vcg)、ドレイン領域に0V(Vd)、ソース領域に0V(Vs)、半導体基板に約10V程度を印加することで、フローティングゲート電極から半導体基板へ向かって電子が引き抜かれることになり、フローティングゲート電極はプラスに帯電する。
 
【0064】
  ただし、メモリセルAとメモリセルBとで、同じしきい値電圧(Vth)まで消去する(しきい値電圧Vthを下げる)場合、メモリセルAのフローティングゲート電極の周辺にはプラスの可動イオンが存在するため、メモリセルAでは、メモリセルBと比べて、フローティングゲート電極自体のプラス帯電量は少なくなる。
 
【0065】
  消去動作を行った後、ベークが行われる。ベークでは、たとえば、約250℃の温度条件のもとで、フローティングゲート電極から電子が引き抜かれた状態が維持されるかどうかがテストされる。このとき、メモリセルAのフローティングゲート電極では、プラスに帯電した状態となったフローティングゲート電極と可動イオンとの間に斥力が作用し、ベークの熱によって動きやすくなった可動イオンが、フローティングゲート電極から離れてしまう。
 
【0066】
  そうすると、メモリセルAでは、可動イオンが引き寄せられることで、見かけ上のプラス帯電量が同じ状態とされていたが、可動イオンが離れることで、メモリセルAのフローティングゲート電極のプラス帯電量は、メモリセルBのフローティングゲート電極のプラス帯電量と比べて少なくなる。このため、メモリセルAのしきい値電圧が、メモリセルBのしきい値電圧に比べて高くなり、メモリセルAでは、データが消去されていないと誤判定(リテンション不良)されることになる。
 
【0067】
  こうして、比較例に係る半導体装置では、ゲートコンタクト領域CGCRの近傍に位置するメモリセルAについて、実際には正常に機能するメモリセルであっても、リテンション不良であると誤判定される傾向が高くなる。
 
【0068】
  なお、プラズマによるチャージアップとして、プラスにチャージアップする場合を例に挙げて説明した。プラズマに晒される工程としては、コンタクトホールやヴィアホールを形成する工程の他に、たとえば、プラズマCVD法によって、絶縁膜を形成する工程等もある。この場合には、ワード線がマイナスにチャージされることで、ダミーフローティングゲート電極がマイナスにチャージされた状態になることも想定される。
 
【0069】
  この場合には、可動イオンがゲートコンタクト領域に集中して、ダミーフローティングゲート電極がプラスにチャージされた場合とは逆の現象が起こることが考えられる。その場合にも、ゲートコンタクト領域の近傍に位置するメモリセルについて、リテンション不良であると誤判定される傾向が高くなることが考えられる。
 
【0070】
  また、このような可動イオンの動きに起因するリテンション不良は、第1層間絶縁膜IL1(CIL1)および第2層間絶縁膜IL2(CIL2)として、アンドープの酸化膜を適用したことによって発生したことが、発明者によってはじめて明らかにされた。
 
【0071】
  次に、実施の形態に係る半導体装置について説明する。比較例に係る半導体装置では、ゲートコンタクト領域CGCRの全体にわたり素子分離領域CEIRが形成されているのに対して、実施の形態に係る半導体装置におけるゲートコンタクト領域GCRでは、メモリセルアレイ領域MCR等に形成される素子分離領域EIRのパターンに準じたパターンをもって素子分離領域EIRが形成されて、ダミー素子形成領域DEFRが規定されている。ダミーフローティングゲート電極DFGは、平面視的にダミー素子形成領域DEFRに部分的に重なるように配置されている。また、ダミー素子形成領域DEFRでは、ソース領域とドレイン領域は形成されていない。さらに、コンタクトプラグCPも、平面視的にダミー素子形成領域DEFRに部分的に重なるように配置されている。
 
【0072】
  このため、ゲートコンタクト領域GCRでは、容量Csおよび容量Cdの値は0であるが、
図37に示すように、ダミーフローティングゲート電極DFGと半導体基板SUBとの間に容量Csubを有することになる。これにより、ダミーフローティングゲート電極DFGのカップリング比Crの値は、容量Csubの値がほぼ0とされる比較例の場合に比べて、メモリセルアレイ領域MCRに位置するフローティングゲート電極FGのカップリング比Crの値に近づけることができる。
 
【0073】
  そうすると、式4から、コントロールゲート電極CGの電位Vcgに対して、ダミーフローティングゲート電極DFGの電位(Vdfg)とフローティングゲート電極FGの電位(Vfg)とは、ほぼ同じ電位(Vdfg≒Vfg)になる。
 
【0074】
  このため、ヴィアホールVHの底に蓄積されたプラスのチャージによって、ワード線WLの電位が上昇したとしても、フローティングゲート電極FGの電位に対して、ダミーフローティングゲート電極DFGがプラスにチャージされた状態になることが解消されるかまたは軽減されることになる。そうすると、比較例に係る半導体装置のように、第1層間絶縁膜IL1中の可動イオンが、ゲートコンタクト領域GCRの近傍に位置するメモリセルアレイ領域MCRの部分に集中することが抑制されて、
図38に示すように、可動イオンは、ほぼ均一に分布することになる。これにより、メモリセルの誤判定を抑制することができる。
 
【0075】
  まず、書き込み動作では、
図39に示すように、たとえば、コントロールゲート電極に10V程度(Vcg)、ドレイン領域に4〜5V程度(Vd)、ソース領域に0V(Vs)を印加することで、フローティングゲート電極へ電子が注入される。このとき、ゲートコンタクト領域GCRの近傍に位置するメモリセルAと、ゲートコンタクト領域GCRから十分に離れたところに位置するメモリセルBとで、フローティングゲート電極への電子の注入のさ
れ方は同程度である。
 
【0076】
  書き込み動作を行った後、約250℃の温度条件のもとでベークが行われる。このとき、可動イオンが動きやすくなったとしても、可動イオンが均一に分布していることで、メモリセルAのしきい値電圧Vthaは、メモリセルBのしきい値電圧Vthbとほぼ同じ電圧(Vtha≒Vthb)になり、メモリセルAについて、データが抜けてしまったと判定(リテンション不良)されることが抑制される。
 
【0077】
  次に、消去動作では、
図40に示すように、たとえば、コントロールゲート電極に−10V程度(Vcg)、ドレイン領域に0V(Vd)、ソース領域に0V(Vs)、半導体基板に約10V程度を印加することで、フローティングゲート電極から半導体基板へ向かって電子が引き抜かれる。
 
【0078】
  消去動作を行った後、約250℃の温度条件のもとでベークが行われる。このとき、メモリセルAとメモリセルBとでは、フローティングゲート電極FGに注入された電子が、完全に半導体基板に引き抜かれた状態にある。また、可動イオンはほぼ均一に分布している。このため、可動イオンが動きやすくなったとしても、メモリセルAのしきい値電圧Vthaは、メモリセルBのしきい値電圧Vthbとほぼ同じ電圧(Vtha≒Vthb)になり、メモリセルAについて、データが消去されていないと判定(リテンション不良)されることが抑制される。
 
【0079】
  こうして、実施の形態に係る半導体装置では、比較例に係る半導体装置と比べて、ゲートコンタクト領域GCRの近傍に位置するメモリセルAが、リテンション不良であると誤判定されるのを抑制することができる。
 
【0080】
  実施の形態2
  ここでは、不揮発性メモリを備えた半導体装置の第2例について説明する。
 
【0081】
  図41、
図42および
図43に示すように、半導体基板SUBの表面では、メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRと、ゲートコンタクト領域GCR等とが規定されている。メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRでは、素子分離領域EIRによって素子形成領域EFRが規定されている。ゲートコンタクト領域GCRでは、ゲートコンタクト領域GCRの全体にわたり、素子分離領域EIRが形成されている。
 
【0082】
  メモリセルアレイ領域MCRでは、メモリセルトランジスタMTRが形成されている。ゲートコンタクト領域GCRでは、ダミーゲート電極DGEが形成されている。メモリセルトランジスタMTRを覆うように、アンドープの酸化膜の第1層間絶縁膜IL1が形成されている。ゲートコンタクト領域GCRに位置する第1層間絶縁膜IL1の部分には、第1層間絶縁膜IL1およびワード線WLを貫通して素子分離領域EIRに達するコンタクトホールCHが形成されている。
 
【0083】
  コンタクトホールCHに、コンタクトプラグCPが形成されている。ダミーゲート電極DGEは、コンタクトプラグCPを介して、ワード線WLに電気的に接続されている。なお、これ以外の構成については、
図1および
図2に示す半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
 
【0084】
  次に、上述した半導体装置の製造方法の一例について説明する。まず、
図44および
図45に示すように、半導体基板の表面に所定の分離溝TCを形成し、その分離溝TC内に素子分離絶縁膜EIFを充填することにより素子分離領域EIRが形成される。素子分離領域EIRによって、素子形成領域EFRが規定される。ゲートコンタクト領域GCRでは、ゲートコンタクト領域GCRの全体にわたり、素子分離領域EIRが形成される。
 
【0085】
  次に、
図5および
図6に示す工程と同様の工程により、メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRではフローティングゲート電極FG(
図46参照)となり、ゲートコンタクト領域GCRではダミーゲート電極DGE(
図46参照)となるポリシリコン膜パターン(図示せず)が形成される。次に、
図7〜
図17に示す工程と同様の工程を経て、ワード線WLを含むメモリセルトランジスタMTR等が形成された後、メモリセルトランジスタMTRを覆うように、アンドープの酸化膜等の第1層間絶縁膜IL1(
図46等参照)が形成される。
 
【0086】
  次に、
図46および
図47に示すように、第1層間絶縁膜IL1に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、ゲートコンタクト領域GCRに、ワード線WLおよびダミーゲート電極DGEを露出するコンタクトホールCHが形成される。次に、
図48、
図49および
図50に示すように、コンタクトホールCH内にコンタクトプラグCPが形成される。これにより、ダミーゲート電極DGEとワード線WLとが、コンタクトプラグCPを介して電気的に短絡される。次に、メモリセルアレイ領域MCRでは、ビット線BLが形成され、ゲートコンタクト領域GCRでは、配線AHが形成される。
 
【0087】
  次に、
図51に示すように、ビット線BLおよび配線AHを覆うように、アンドープの酸化膜の第2層間絶縁膜IL2が形成される。次に、第2層間絶縁膜IL2に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、ヴィアホールVHが形成される。次に、そのヴィアホールVHにヴィアVA(
図42参照)が形成される。その後、第2層間絶縁膜IL2の表面に、ヴィアVAに電気的に接続されるワード線シャント配線WSLが形成されて、
図41および
図42に示す、不揮発性メモリを備えた半導体装置の主要部分が完成する。
 
【0088】
  上述した、不揮発性メモリを備えた半導体装置では、コンタクトプラグCPを介して、ダミーゲート電極DGEとコントロールゲート電極CGとが電気的に短絡されている。このため、コンタクトプラグCPに電気的に接続されている配線AHを露出するヴィアホールを形成する際に、ヴィアホールVHの底にプラスにチャージされてコントロールゲート電極CG(ワード線WL)の電位が上昇したとしても、プロセスが終了した時点でダミーゲート電極DGEのチャージが抜けることになる。すなわち、ダミーゲート電極DGEについて、比較例の場合のように、カップリング比Crの値が1に近い値になることによるチャージアップを防止することができる。
 
【0089】
  これにより、熱処理によって可動イオンが動きやすくなったとしても、比較例の場合のように、ダミーゲート電極DGEの電位に起因して、特定の箇所に集中するようなことは抑制されて、
図52に示すように、可動イオンは、ほぼ均一に分布することになる。その結果、実施の形態1において説明したように、書き込み動作を行った後のベークにおいて、メモリセルAについて、データが抜けてしまったと判定(リテンション不良)されることが抑制される。また、消去動作を行った後のベークでは、メモリセルAについて、データが消去されていないと判定(リテンション不良)されることが抑制される。
 
【0090】
  なお、上述した、不揮発性メモリを備えた半導体装置では、実施の形態1において説明したように、プラズマによっては、コントロールゲート電極CG(ワード線WL)がマイナスにチャージされることも想定される。このような場合にも、ダミーゲート電極DGEとワード線WLとが電気的に短絡していることで、プロセスが終了した時点でダミーゲート電極DGEのチャージが抜けることになる。
 
【0091】
  その結果、書き込み動作を行った後のベークにおいて、メモリセルAについて、データが抜けてしまったと判定(リテンション不良)されることが抑制される。また、消去動作を行った後のベークでは、メモリセルAについて、データが消去されていないと判定(リテンション不良)されることが抑制される。
 
【0092】
  こうして、実施の形態2に係る半導体装置では、実施の形態1において説明した比較例に係る半導体装置と比べて、ゲートコンタクト領域GCRの近傍に位置するメモリセルAが、リテンション不良であると誤判定されるのを抑制することができる。
 
【0093】
  実施の形態3
  ここでは、不揮発性メモリを備えた半導体装置の第3例について説明する。
 
【0094】
  図53および
図54に示すように、半導体基板SUBの表面では、メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRと、ゲートコンタクト領域GCR等とが規定されている。メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRでは、素子分離領域EIRによって素子形成領域EFRが規定されている。ゲートコンタクト領域GCRでは、ゲートコンタクト領域GCRの全体にわたり、素子分離領域EIRが形成されている。
 
【0095】
  メモリセルアレイ領域MCRでは、メモリセルトランジスタMTRが形成されている。ゲートコンタクト領域GCRでは、ダミーゲート電極DGEが形成されている。ダミーゲート電極DGEとワード線WL(コントロールゲート電極CG)とは、互いに直接接触している。メモリセルトランジスタMTRを覆うように、アンドープの酸化膜の第1層間絶縁膜IL1が形成されている。ゲートコンタクト領域GCRに位置する第1層間絶縁膜IL1の部分には、第1層間絶縁膜IL1およびワード線WLを貫通して素子分離領域EIRに達するコンタクトホールCHが形成されている。
 
【0096】
  コンタクトホールCHに、コンタクトプラグCPが形成されている。ダミーゲート電極DGEは、コンタクトプラグCPを介して、ワード線WLに電気的に接続されている。なお、これ以外の構成については、
図1および
図2に示す半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
 
【0097】
  次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。
図44および
図45に示す工程および
図5および
図6に示す工程と同様の工程を経て、
図55に示すように、メモリセルアレイ領域MCRおよびソースコンタクト領域SCRでは、フローティングゲート電極FGとなるポリシリコン膜パターンPPが形成される。ゲートコンタクト領域GCRでは、ダミーゲート電極DGEとなるポリシリコン膜パターンPPが形成される。
 
【0098】
  次に、ポリシリコン膜パターンPPを覆うように、ONO膜TFが形成される。次に、ONO膜TFに所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことによって、
図56に示すように、ゲートコンタクト領域GCRに位置するONO膜TFの部分が除去される。次に、
図7〜
図22に示す工程と同様の工程を経て、
図57に示すように、第2層間絶縁膜IL2に所定の写真製版処理およびエッチング処理を施すことにより、ヴィアホールVHが形成される。
 
【0099】
  次に、そのヴィアホールVHにヴィアVA(
図54参照)が形成される。その後、第2層間絶縁膜IL2の表面に、ヴィアVAに電気的に接続されるワード線シャント配線WSLが形成されて、
図53および
図54に示す、不揮発性メモリを備えた半導体装置の主要部分が完成する。
 
【0100】
  上述した、不揮発性メモリを備えた半導体装置では、ダミーゲート電極DGEとワード線WL(コントロールゲート電極CG)とは互いに直接接触しており、電気的に短絡されている。このため、コンタクトプラグCPに電気的に接続されている配線AHを露出するヴィアホールを形成する際に、ヴィアホールVHの底にプラスにチャージされてコントロールゲート電極CG(ワード線WL)の電位が上昇したとしても、プロセスが終了した時点でダミーゲート電極DGEのチャージが抜けることになる。すなわち、ダミーゲート電極DGEについて、比較例の場合のように、カップリング比Crの値が1に近い値になることによるチャージアップを防止することができる。
 
【0101】
  これにより、熱処理によって可動イオンが動きやすくなったとしても、比較例の場合のように、ダミーゲート電極DGEの電位に起因して、特定の箇所に集中するようなことは抑制されて、
図58に示すように、可動イオンは、ほぼ均一に分布することになる。その結果、実施の形態1において説明したように、書き込み動作を行った後のベークにおいて、メモリセルAについて、データが抜けてしまったと判定(リテンション不良)されることが抑制される。また、消去動作を行った後のベークでは、メモリセルAについて、データが消去されていないと判定(リテンション不良)されることが抑制される。
 
【0102】
  なお、上述した、不揮発性メモリを備えた半導体装置では、実施の形態1において説明したように、プラズマによっては、コントロールゲート電極CG(ワード線WL)がマイナスにチャージされることも想定される。このような場合にも、ダミーゲート電極DGEとワード線WLとが電気的に短絡していることで、プロセスが終了した時点でダミーゲート電極DGEのチャージが抜けることになる。
 
【0103】
  その結果、書き込み動作を行った後のベークにおいて、メモリセルAについて、データが抜けてしまったと判定(リテンション不良)されることが抑制される。また、消去動作を行った後のベークでは、メモリセルAについて、データが消去されていないと判定(リテンション不良)されることが抑制される。
 
【0104】
  こうして、実施の形態3に係る半導体装置では、実施の形態1において説明した比較例に係る半導体装置と比べて、ゲートコンタクト領域GCRの近傍に位置するメモリセルAが、リテンション不良であると誤判定されるのを抑制することができる。
 
【0105】
  なお、各実施の形態においてそれぞれ説明した半導体装置は、必要に応じて適宜組み合わせるようにしてもよい。
 
【0106】
  以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。