(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
打ち込み具打撃用のドライバを備えた打撃ピストンを電動モータを駆動源とするピストン駆動部により初期位置から上死点に上動させ、これにより発生する打撃ピストン上室の圧縮気体により前記打撃ピストンを下動させて打ち込み具を打ち込む打ち込み工具であって、
前記打撃ピストン上室の圧縮気体とは別に、前記打撃ピストンの下動により生成される圧縮気体を前記打撃ピストン上室に補充するポンプ部を備えた打ち込み工具。
請求項2記載の打ち込み工具であって、前記打撃ピストンの下死点での衝撃を吸収するための下死点ダンパを備えており、該下死点ダンパに前記打撃ピストンが接触した時点で、前記打撃ピストンの下動により圧縮気体を生成する補充気体生成室が形成される打ち込み工具。
請求項1記載の打ち込み工具であって、前記ポンプ部はポンプピストンを備え、前記打撃ピストンの下動に伴う該ポンプピストンの下動により圧縮気体を生成して前記打撃ピストン上室に補充する構成とした打ち込み工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来の打ち込み工具では、圧縮エア補充用のエアタンクを交換する必要があり、この点で当該打ち込み工具のメンテナンス性あるいは使い勝手をより一層高める必要があった。本発明は、打ち込み工具のメンテナンス性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は以下の各発明により解決される。第1の発明は、打ち込み具打撃用のドライバを備えた打撃ピストンを電動モータを駆動源とするピストン駆動部により初期位置から上死点に上動させ、これにより発生する打撃ピストン上室の圧縮気体により打撃ピストンを下動させて打ち込み具を打ち込む打ち込み工具であって、打撃ピストン上室の圧縮気体とは別に、打撃ピストンの下動により生成される圧縮気体を打撃ピストン上室に補充するポンプ部を備えた打ち込み工具である。第1の発明によれば、打撃ピストンの下動によりポンプ部において新たに圧縮空気が生成されて打撃ピストン上室に補充される。このことから、従来のエアタンク交換の手間がないので、そのメンテナンス性が高められるとともに、そのランニングコストを低減することができる。また、従来のエアタンクを省略することができるので、打ち込み工具のコンパクト化若しくは小型化を図ることができる。圧縮気体には、通常のエア(空気)のほか、窒素ガス等が用いられる。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、ポンプ部はポンプピストンを備え、このポンプピストンとして打撃ピストンを機能させる構成とした打ち込み工具である。第2の発明によれば、打撃ピストン自体がポンプピストンとして下動することにより圧縮空気が生成されることから、別途専用のポンプピストンを設ける必要がなく、この点で当該ポンプ部の構成の簡略化を図ることができる。
【0007】
第3の発明は、第2の発明において、打撃ピストンの下死点での衝撃を吸収するための下死点ダンパを備えており、この下死点ダンパに打撃ピストンが接触した時点で、前記打撃ピストンの下動により圧縮気体を生成する補充気体生成室が形成される打ち込み工具である。第3の発明によれば、打撃ピストンの下動途中において当該打撃ピストンが下死点ダンパに接触した時点で、当該打撃ピストンと下死点ダンパとシリンダとの間に気密な補充気体生成室が形成される。補充気体生成室が形成された後、打撃ピストンがさらに下動することにより当該補充気体生成室内に圧縮空気が生成され、これが打撃ピストン上室に補充される。このように第3の発明によれば、打撃ピストン自体がポンプ部のポンプピストンとして機能することから別途専用のポンプピストンを設ける必要がなく、この点で簡易な構成のポンプ部を実現できる。また、第3の発明によれば、下死点ダンパにポンプ部の機能の一部を持たせることができるので、ポンプ部の構成を一層簡略化することができる。
【0008】
第4のは発明は、第3の発明において、打撃ピストンのボス部がダンパの内周面に接触した時点で前記補充気体生成室が形成される打ち込み工具である。第4の発明によれば、打撃ピストンの形状を効率よく活用して補充気体生成室を形成することができ、この点でもポンプ部の構成の簡略化を図ることができる。
【0009】
第5の発明は、第1の発明において、ポンプ部はポンプピストンを備え、打撃ピストンの下動に伴うポンプピストンの下動により圧縮気体を生成して打撃ピストン上室に補充する構成とした打ち込み工具である。第5の発明によれば、ポンプ部において新たに圧縮気体が生成されて、これが打撃ピストン上室に補充される構成であるので、従来の補充用のエアタンクのように交換する必要がなく、ほぼ恒久的に圧縮気体の補充がポンプ部でなされる。
【0010】
第6の発明は、第1〜5の何れか一つの発明において、ポンプ部は、打ち込み動作に連動して作動する構成とした打ち込み工具である。第6の発明によれば、打ち込み動作に連動して圧縮気体が自動的に生成されて打撃ピストン上室に補充されることから、打撃ピストン上室の圧力低下を未然に防止して常時適性な打撃力を得ることができる。このようにポンプ部で新たに補充用の圧縮気体が生成されるので、従来のエアタンクを一切必要とせず、その交換等のメンテナンス作業をほぼ恒久的に必要としないことから当該打ち込み工具のメンテナンス性を高めることができる。
【0011】
第7の発明は、第1〜6の何れか一つの発明において、ポンプ部は、打撃ピストンの打ち込み方向への下動動作により作動する構成とした打ち込み工具である。第7の発明によれば、打撃ピストンが下動する度に、ポンプ部が自動的に作動して圧縮気体が打撃ピストン上室に補充されることから、当該打撃ピストン上室の圧力低下を未然に防止して常時適性な打撃力を得ることができる。このようにポンプ部で新たに補充用の圧縮気体が生成されるので、従来のエアタンクを一切必要とせず、その交換等のメンテナンス作業をほぼ恒久的に必要としないことから当該打ち込み工具のメンテナンス性を高めることができる。
【0012】
第8の発明は、第1〜6の何れか一つの発明において、ポンプ部は、ピストン駆動部の動作に連動して作動する構成とした打ち込み工具である。第8の発明によれば、ピストン駆動部が動作する度にポンプ部が自動的に作動して打撃ピストン上室に圧縮気体が補充されることから、当該打撃ピストン上室の圧力低下を未然に防止して常時適正な打撃力を得ることができる。このようにポンプ部で新たに補充用の圧縮気体が生成されるので、従来のエアタンクを一切必要とせず、その交換等のメンテナンス作業をほぼ恒久的に必要としないことから当該打ち込み工具のメンテナンス性を高めることができる。
【0013】
第9の発明は、第8の発明において、ポンプ部は、ピストン駆動部のモータ動力を駆動源とするクランク機構を介してポンプピストンの往復動に変換する構成とした打ち込み工具である。第9の発明によれば、ピストン駆動部が作動すると、これに連動してポンプ部が作動する。ポンプ部では、クランク機構を介してポンプピストンが往復動することにより圧縮気体が生成されてピストン上室に補充される。
【0014】
第10の発明は、第1〜9の何れか一つの発明において、ポンプ部は、ピストン駆動部の電動モータとは別のポンプモータを駆動源として作動する構成とした打ち込み工具である。第10の発明によれば、打撃ピストンの作動とは関係なく、ポンプを作動させて打撃ピストン上室に圧縮気体を補充することができ、これにより過剰なエア補充を回避して当該打ち込み工具の耐久性を高めることができる。ポンプモータの作動(エア補充)は、圧力センサにより検知される打撃ピストン上室の気体圧の変動に基づいて作動させる構成とすることができる他、別途設けたスイッチ操作によりピストン駆動部の動作とは切り離して作動させる構成とすることができる。
【0015】
第11の発明は、打ち込み具打撃用のドライバを備えた打撃ピストンを電動モータを駆動源とするピストン駆動部により初期位置から上死点に上動させ、これにより発生する打撃ピストン上室の圧縮気体により打撃ピストンを下動させて打ち込み具を打ち込む打ち込み工具であって、打撃ピストン上室に圧縮気体を補充するための外部圧縮気体供給装置を接続するための接続口を備えた打ち込み工具である。第11の発明によれば、ピストン上室の気体圧低下により打撃力が低下した場合に、外部の圧縮気体供給装置を接続口に接続して打撃ピストン上室に圧縮気体を補充することができる。第1〜第10の発明では、打撃ピストン上室に圧縮気体を補充するポンプ部を内装する構成に対して、第11の発明では、係るポンプ部を内装せず、別途用意した外部の圧縮気体供給装置を接続して打撃ピストン上室に圧縮気体を補充する構成となっている。第11の発明では、ポンプ部を内装しない結果、当該打ち込み工具の構成の簡略化及び軽量化を図ることができる。
【0016】
第12の発明は、第11の発明において、接続口を内部に収容した打ち込み工具である。第12の発明によれば、外部圧縮気体供給装置を接続するための接続口が、外部にはみ出す状態ではなく例えば工具本体内に収容されていることから、当該接続口の損傷を防止できるとともに、当該打ち込み工具の取り扱い性を高めることができる。
【0017】
第13の発明は、第1〜第12の何れか一つの発明において、ピストン上室の圧縮気体を大気開放して打撃ピストン上室の気体圧を一定圧に保持するためのリリーフ弁を備えた打ち込み工具である。第13の発明によれば、ピストン上室の気体圧の過剰な上昇を規制して常時適正な気体圧に保持することができ、これにより常時適正な打撃力を得ることができるとともに、シール各部の損傷等を未然に防止して当該打ち込み工具の耐久性を高めることができる。
【0018】
第14の発明は、第13の発明において、リリーフ弁を使用者が把持するハンドル部に内装した打ち込み工具である。第14の発明によれば、リリーフ弁が、外部にはみ出す状態ではなく、ハンドル部に内装されていることから、当該リリーフ弁の損傷を防止できるとともに、当該打ち込み工具の取り扱い性を高めることができる。
【0019】
第15の発明は、第1〜第14の何れか一つの発明において、打撃ピストン上室の気体圧を検知するための圧力センサを備えた打ち込み工具である。第15の発明によれば、エア洩れ等による打撃ピストン上室の気体圧の低下が圧力センサで検知され、これに基づいて打撃ピストン上室に圧縮気体を補充することにより、打撃ピストン上室の圧力低下を未然に防止して常時適正な打撃力を得ることができる。このようにポンプ部で新たに補充用の圧縮気体が生成され、若しくは外部圧縮気体供給装置から圧縮気体が補充されるので、従来のエアタンクを一切必要とせず、その交換等のメンテナンス作業をほぼ恒久的に必要としないことから当該打ち込み工具のメンテナンス性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが上動途中に位置する状態を示している。
【
図2】第1実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが上死点に位置する状態を示している。
【
図3】第1実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが下死点に至る直前の状態であって打撃ピストンが下死点ダンパに接触し始めた段階の状態を示している。
【
図4】第1実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが下死点に至った状態を示している。
【
図5】
図1の(V)-(V)線断面矢視図であって、ピストン駆動部の上動途中における横断面図である。
【
図6】
図2の(VI)矢視図であって、ピストン駆動部の上死点状態における平面図である。
【
図7】
図4の(VII)矢視図であって、ピストン駆動部の下死点状態における平面図である。
【
図8】ピストン駆動部の作動状態を示す図である。上段は上動途中位置、中断は上死点、下段は下死点に対応する状態をそれぞれ示している。
【
図9】第2実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが上動途中に位置する状態を示している。
【
図10】第2実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが上死点に位置する状態を示している。
【
図11】第2実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが下死点に位置する状態を示している。
【
図12】第3実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが上死点に位置する状態を示している。
【
図13】
図12の(XIII)-(XIII)線断面矢視図であって、ピストン駆動部の上死点状態における横断面図である。
【
図14】第3実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが下死点に位置する状態を示している。
【
図15】
図14の(XV)-(XV)線断面矢視図であって、ピストン駆動部の下死点状態における横断面図である。
【
図16】第4実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図ば、打撃ピストンが上死点に位置する状態を示している。
【
図17】
図16の(XVII)-(XVII)線断面矢視図であって、ピストン駆動部の上死点状態における横断面図である。
【
図18】第4実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図は、打撃ピストンが下死点に位置する状態を示している。
【
図19】
図18の(XIX)-(XIX)線断面矢視図であって、ピストン駆動部の下死点状態における横断面図である。
【
図20】第5実施形態の打ち込み工具の縦断面図である。本図ば、打撃ピストンが上死点に位置する状態を示している。
【
図21】
図20の(XXI)-(XXI)線断面矢視図であって、ピストン駆動部の上死点状態における横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を
図1〜
図21に基づいて説明する。
図1〜
図5は、第1実施形態の打ち込み工具10を示している。この打ち込み工具10は、工具本体部11と、使用者が把持するハンドル部12と、多数の打ち込み具を装填可能なマガジン13を備えている。
【0022】
工具本体部11の本体ハウジング14にシリンダ15が内装され、シリンダ15に打撃ピストン16が上下に往復動可能に内装されている。打撃ピストン16の下面中心には打ち込み具nを打撃するためのドライバ17が取り付けられている。ドライバ17の先端部は、工具本体部11の下部に設けたノーズ部18の打ち込み通路18a内に進入している。ノーズ部18には、マガジン13の先端部が結合されている。打ち込み動作に連動してマガジン13から打ち込み具nが1本ずつ打ち込み通路18a内に供給される。
【0023】
ハンドル部12は、工具本体部11の側部から側方へ突き出す状態に設けられている。ハンドル部12の基部下面側にトリガ形式のスイッチレバー19が設けられている。使用者がハンドル部12を把持した手の指先でこのスイッチレバー19を上方へ引き操作するとスイッチ本体20がオンする。スイッチ本体20のオン操作により、後述するピストン駆動部30が起動する。スイッチレバー19の引き操作は、ノーズ部18に沿って設けたコンタクトレバー21の上動操作がなされた状態のみ有効になる。
図1に示すようにコンタクトレバー21は、その先端部をノーズ部18の先端部よりも僅かに突き出す方向にばね付勢されており、ノーズ部18の打ち込み材Wに対する押し付け操作により相対的に上動する。
【0024】
ハンドル部12の先端側には、バッテリ取り付け部23が設けられている。このバッテリ取り付け部23に、電源としてのバッテリパック22が装着される。バッテリパック22は、バッテリ取り付け部23から取り外して、別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。
【0025】
ハンドル部12の基部には、リリーフ弁24が内装されている。工具本体部11のピストン上室25内の気体圧が一定圧以上になると、このリリーフ弁24が開いてエア抜き(大気開放)がなされる。このリリーフ弁24によってピストン上室25の気体圧が適正な圧力に保持されることにより、シール各部の損傷が未然に防止される。
【0026】
打撃ピストン16は、ピストン上室25内の気体圧により下動する。打撃ピストン16の下動によりドライバ17が打ち込み通路18a内を下動する。マガジン13から打ち込み通路18a内に供給された1本の打ち込み具nの頭部がドライバ17で打撃されることにより、この打ち込み具nがノーズ部18の先端から打ち出されて打ち込み材Wに打ち込まれる。
【0027】
打撃ピストン16が下動して下死点に至る過程で打ち込み具nが打ち込まれる。打撃ピストン16が下死点に至る過程において、ポンプ部40が作動する。打撃ピストン16の下動によりポンプ部40において圧縮気体が生成され、これが打撃ピストン上室25に補充される。本発明は、このポンプ部40を備える点に大きな特徴を有している。このポンプ部40の詳細については後述する。
【0028】
打撃ピストン16は、ピストン駆動部30の作動によるピストンワイヤ26の巻き上げにより上死点に上動する。
図1は打撃ピストン16が上動途中の状態を示し、
図2は打撃ピストン16が上死点に戻された状態を示している。ピストンワイヤ26は、本体ハウジング14と駆動部ハウジング31とを気密に区画する区画壁29を貫通して、打撃ピストン上室25内から駆動部ハウジング31内に至っている。
【0029】
ピストン駆動部30は、工具本体部11の上部に設けた駆動部ハウジング31に内装されている。
図5に示すようにピストン駆動部30は、駆動源としての電動モータ32と、作動ホイール33と、巻き上げホイール34と、上記ピストンワイヤ26を備えている。電動モータ32の出力軸32aに取り付けた駆動ギヤ35は、中間ギヤ36に噛み合わされている。中間ギヤ36は支軸36aを介して駆動部ハウジング31に回転自在に支持されている。中間ギヤ36は作動ギヤ37に噛み合わされている。作動ギヤ37は、軸受け38a,38bを介して駆動部ハウジング31に回転自在に支持された作動軸38に支持されている。作動軸38には二面幅部38cが設けられている。作動ギヤ37は、この二面幅部38cに支持されている。このため、作動ギヤ37の回転により作動軸38が一体で回転する。作動軸38の二面幅部38cには、作動ギヤ37と上記作動ホイール33が支持されている。このため、作動ホイール33は、作動軸38の二面幅部38cを介して作動ギヤ36と一体で回転する。また、作動ホイール33は、二面幅部38cを介して軸方向に平行移動可能に支持されている。作動ホイール33と作動ギヤ37との間には、圧縮ばね39が介装されている。この圧縮ばね39により、作動ホイール33は巻き上げホイール34側に付勢されている。
【0030】
巻き上げホイール34は、軸受け34aを介して作動軸38に対して相対回転可能な状態で当該作動軸38に支持されている。作動ギヤ37と作動ホイール33と巻き上げホイール34は同軸に支持されている。巻き上げホイール34は、軸方向へ変位不能な状態で作動軸38に支持されている。
【0031】
電動モータ32が起動すると、駆動ギヤ35と中間ギヤ36との噛み合わせ、中間ギヤ36と作動ギヤ37との噛み合わせを経て作動軸38が回転する。作動軸38の回転により作動ホイール33が一体で回転する。作動ホール33の回転により巻き上げホイール34がピストンワイヤ26の巻き上げ方向(
図1において時計回り方向)に回転し、その後作動ホイール33との係合状態が解除されることにより巻き上げ方向とは逆方向(ピストンワイヤ26の繰り出し方向)に回転可能な状態となる。巻き上げホイール34がピストンワイヤ26の繰り出し方向(
図1において反時計回り方向)に回転可能な状態となることにより、打撃ピストン16が打撃ピストン上室25の気体圧により下動する。
【0032】
作動ホイール33は、その一方向への回転により、巻き上げホイール34を巻き上げ方向へ回転させ、その後繰り出し方向への回転を許容する機能(巻き上げ機構)を有している。作動ホイール33の巻き上げ機構の詳細が
図6〜
図8に示されている。
【0033】
作動ホイール33の対向面(巻き上げホイール34に対向する側)には、作動凸部33aと係合凸部33bが設けられている。作動凸部33aは係合凸部33bに対して外周側に設けられている。外周側の作動凸部33aに対応して、駆動ハウジング31には作動ブロック31aが設けられている。内周側の係合凸部33bに対応して、巻き上げホイール34には、巻き上げ凸部34bが設けられている。
【0034】
図1,5及び
図8の上段に示す位置では、作動凸部33aが作動ブロック31aに係合していない状態であり、従って作動ホイール33が巻き上げホイール34に接近した状態となっている。この位置において、スイッチレバー19の引き操作により電動モータ32を起動させると、
図6に示すように作動ホイール33の1回転中において、作動凸部33aが作動ブロック31aに係合されることにより当該作動ホイール33が巻き上げホイール34から離間する方向(
図6において上方)に徐々に後退する。この間、
図8の中段に示すように係合凸部33bが巻き上げ凸部34bに係合して巻き上げホイール34が
図8中矢印で示す巻き上げ方向に回転し、これによりピストンワイヤ26が巻き上げられて打撃ピストン16が
図2に示すように上死点に移動する。打撃ピストン16の上死点への移動は、打撃ピストン上室25の気体圧に抗してなされる。
【0035】
打撃ピストン16が上死点に移動した後、さらに作動ホイール33が回転して、
図7及び
図8の下段に示すように作動凸部33aが作動ブロック31aの頂点に乗り上げると、巻き上げホイール34に対する作動ホイール33の後退距離が最大になる。その手前の段階で、係合凸部33bの巻き上げ凸部34bに対する回転方向の係合状態が解除されて、巻き上げホイール34の繰り出し方向への回転が許容された状態となる。
【0036】
巻き上げホイール34の繰り出し方向への回転が許容された状態となった瞬間に、
図3,4に示すように打撃ピストン上室25の気体圧によりピストン16が下動して打ち込みがなされる。打ち込みがなされた後、作動ホイール33がさらに回転することにより作動凸部33aが作動ブロック31aから外れて作動ホイール33が圧縮ばね39の付勢力によって巻き上げホイール34側へ戻される。その後、さらに作動ホイール33が回転することにより係合凸部33bが係合凸部34bに係合し、この係合状態で引き続き作動ホイール33が巻き上げホイール34と一体で回転することによりピストンワイヤ26が巻き上げられて打撃ピストン16が
図1に示す初期位置に上動される。打撃ピストン16に対して上死点に戻すための巻上げ力が作用せず、下動させるための圧縮気体も作用しない初期状態(非作動状態)では、打撃ピストン16は
図1に示すように上死点でもなく、下死点でもない中途位置に保持される。
【0037】
第1実施形態では、以上説明した一連の打ち込み動作のうち、打撃ピストン16が下死点に至る過程においてポンプ部40が作動して、打撃ピストン上室25に圧縮気体が補充されるようになっている。
図1〜
図4に示すようにシリンダ15の下部内周には、ダンパホルダ41が設けられている。このダンパホルダ41の内周側に、打撃ピストン16の下死点での衝撃を吸収するための下死点ダンパ27が装着されている。下死点ダンパ27の内周側(内周孔27a)は打ち込み通路18aを経て大気に連通されている。また、シリンダ15の下部であって下死点ダンパ27の側方には逆止弁42が設けられている。
【0038】
打撃ピストン16が
図1に示す初期位置から
図2に示す上死点に戻された後、ピストン駆動部30の作動により打撃ピストン16が打撃ピストン上室25の圧縮気体により下動する。打撃ピストン16が下動して下動端に至る直前において、
図3に示すように打撃ピストン16のボス部16aが下死点ダンパ27の内周孔27aに接触する。打撃ピストン16のボス部16aが下死点ダンパ27の内周孔27aに接触した時点で、当該打撃ピストン16と下死点ダンパ27とシリンダ15とにより気密に囲まれた補充気体生成室43が形成される。
【0039】
こうして打撃ピストン16の下動過程において補充気体生成室43が形成された後、打撃ピストン16がさらに下動して
図4に示す下動端に至ることにより、補充気体生成室43に圧縮気体が生成される。補充気体生成室43内で生成された圧縮気体は、逆止弁42を経てシリンダ15の外周側に排気される。本体ハウジング14とシリンダ15との間には、補充気体生成室43内で生成された圧縮気体を打撃ピストン上室25内に還流させるための補充気体還流通路44が設けられている。補充気体生成室43内で生成された圧縮気体は、逆止弁42を経て補充気体還流通路44内に流入する。補充気体還流通路44内に流入した圧縮気体(補充気体)は、打撃ピストン上室25内に補充される。
【0040】
以上のように構成した第1実施形態の打ち込み工具10によれば、打撃ピストン16が下死点に至って打ち込み動作がなされる度に、ポンプ部40が作動して打撃ピストン上室25内に圧縮気体が自動的に補充されることから、従来の補充用のエアタンクを内装する必要がない。このため、第1実施形態の打ち込み工具10によれば、従来のようなエアタンク交換の手間をかける必要がないので、そのメンテナンス性が高められるとともに、そのランニングコストを低減することができる。
【0041】
また、従来のエアタンクを内装する必要がないので、当該打ち込み工具10の小型化若しくはコンパクト化を図ることができる。
【0042】
さらに、第1実施形態の打ち込み工具10によれば、打撃ピストン16自体がポンプ部40のポンプピストンを構成し、かつ打撃ピストン16と下死点ダンパ27とシリンダ15によって補充気体生成室43が形成される構成となっている。このため、新たな部材を追加することなく補充気体を打撃ピストン上室25に補充するためのポンプ部40を構成することができ、これにより当該ポンプ部40の構成の簡略化及びコンパクト化、さらには低コスト化を図ることができる。
【0043】
また、第1実施形態の打ち込み工具10によれば、打撃ピストン上室25に設けたリリーフ弁24により、打撃ピストン上室25に対する過剰なエア補充はハンドル部12の内部ひいては大気に開放され、これにより打撃ピストン上室25は常時適正な気体圧に維持され、ひいては打撃ピストン16の適正な打ち込み力が確保される。
【0044】
以上説明した第1実施形態には種々変更を加えることができる。第1実施形態では、打撃ピストン16自体がポンプ部40のポンプピストンとして機能する構成を例示したが、打撃ピストン16とは別に特別のポンプピストン52を用いてポンプ部50を構成することもできる。
図9〜
図11には、第2実施形態に係るポンプ部50が示されている。第1実施形態と同様の構成及び部材については同位の符号を用いてその説明を省略する。
【0045】
図9〜
図11に示すようにシリンダ15の下部には、ダンパホルダ51が内装されている。このダンパホルダ51の内周側に、打撃ピストン16の下死点での衝撃を吸収するための下死点ダンパ27が装着されている。ダンパホルダ51とシリンダ15との間に、円筒形のポンプピストン52が介装されている。ポンプピストン52の内周面とダンパホルダ51の外周面との間はシールゴム52aにより気密にシールされ、ポンプピストン52の外周面とシリンダ15の内周面との間はシールゴム52bにより気密にシールされている。ポンプピストン52は、圧縮ばね53により上方へ変位する方向に付勢されている。
【0046】
ダンパホルダ51の周囲であって、シリンダ15とポンプピストン52とダンパホルダ51との間に円環形状の気密な補充気体生成室56が形成されている。この補充気体生成室56は、シリンダ15の下部に設けた排気用の逆止弁54と、ダンパホルダ51の下部に設けた吸気用の逆止弁55を備えている。逆止弁54を経て、補充気体生成室56が排気方向についてのみシリンダ15が外周側であって打撃ピストン上室25に連通される。逆止弁55を経て、補充気体生成室56が吸気方向についてのみ打撃ピストン下室28であって大気側に連通される。
【0047】
図11に示すように打撃ピストン16が下動して下死点に至ると、打ち込み動作がなされるとともに、ポンプピストン52が打撃ピストン16により下方へ押し下げられる。ポンプピストン52は圧縮ばね53の付勢力に抗して下方へ押し下げられる。ポンプピストン52が下動すると、補充気体生成室56内において圧縮気体が生成される。生成された圧縮気体は、逆止弁54を経てシリンダ15の外周側に排気される。第1実施形態と同様、本体ハウジング14とシリンダ15との間には、圧縮気体還流通路57が設けられている。逆止弁54から排気された圧縮気体は、圧縮気体還流通路57内に流入する。圧縮気体還流通路57内に流入した圧縮気体(補充気体)が打撃ピストン上室25内に補充される。打撃ピストン16が下死点から上動すると、ポンプピストン52が圧縮ばね53の付勢力により上方へ戻される。ポンプピストン52が上方へ戻されて補充気体生成室56が負圧になる結果、逆止弁55が開かれて当該補充気体生成室56内に打撃ピストン下室28ひいては大気側から吸気される。補充気体生成室56内に吸気された気体は、次に打撃ピストン16が下動することによりポンプピストン52が下動して圧縮気体に生成され、その後逆止弁54及び補充気体還流通路57を経て打撃ピストン上室25内に補充される。
【0048】
以上のように構成した第2実施形態の打ち込み工具10によれば、打撃ピストン16が下死点に至って打ち込み動作がなされる度に、ポンプピストン52が下動してポンプ部50が作動し、これにより打撃ピストン上室25内に圧縮気体が自動的に補充される。このように、第2実施形態の打ち込み工具10によっても、打撃ピストン16の打ち込み方向への下動動作に連動してポンプ部50が作動して打撃ピストン上室25に圧縮気体が自動的に補充されることから、従来の補充用のエアタンクを内装する必要がない。このことから、第2実施形態によれば、従来のようなエアタンク交換の手間がないので、そのメンテナンス性が高められるとともに、そのランニングコストを低減することができる。
【0049】
また、第1実施形態と同様、打撃ピストン上室25にはリリーフ弁24が設けられている。このリリーフ弁24により、打撃ピストン上室25に対する過剰なエア補充はハンドル部12の内部ひいては大気に開放され、これにより打撃ピストン上室25は常時適正な気体圧に維持され、ひいては打撃ピストン16の適正な打ち込み力が確保される。
【0050】
さらに、第2実施形態の打ち込み工具10によっても、打撃ピストン上室25に圧縮気体が自動的に補充されることから、従来のエアタンクを内装する必要がなく、これにより当該打ち込み工具10の小型化若しくはコンパクト化を図ることができる。
【0051】
以上説明した第1、第2実施形態にはさらに変更を加えることができる。例えば、第2実施形態では、補充エア生成手段として打撃ピストン16の下動動作に連動して作動するポンプ部50を例示したが、これに代えて例えば
図12〜
図15に示す第3実施形態のポンプ部60を設けることができる。第3実施形態はこのポンプ部60に特徴を有するものであり、その他の基本的構成等第1、第2実施形態と同様で足りる構成及び部材については同位の符号を用いてその説明を省略する。
【0052】
第3実施形態のポンプ部60は、ピストン駆動部30の電動モータ32を共通の駆動源としている。
図13及び
図15に示すように、電動モータ32の駆動ギヤ35には、前記した中間ギヤ36に加えてもう一つの中間ギヤ61が噛み合わされている。この中間ギヤ61は、軸受け61aを介して駆動部ハウジング31に回転自在に支持されている。この中間ギヤ61に作動ギヤ62が噛み合わされている。この作動ギヤ62は、軸受け62a,62bを介して駆動ハウジング31に回転可能に支持された作動軸63に支持されている。作動軸63の一端側には作動円板68が取り付けられている。作動円板68には、支軸64aを解して作動ロッド64の一端側が回転可能に結合されている。支軸64aは、作動円板68の回転中心である作動軸63に対して一定寸法偏芯している。
【0053】
作動ロッド64の他端側には、ポンプピストン65が支軸64bを介して相対回転可能な状態で結合されている。ポンプピストン65は、区画壁29に設けたポンプシリンダ部29a内に往復動可能かつ気密に内装されている。ポンプピストン65には、その上面側であるポンプピストン上室(駆動部ハウジング31内)と、その下面側であるポンプピストン下室との間を連通する通気路65aが設けられている。この通気路65aは逆止弁66により気密にシールされている。この逆止弁66は、ポンプピストン上室からポンプピストン下室への圧縮気体の流れを許容し、その逆方向の圧縮気体の流れをシールする。
【0054】
ポンプシリンダ部29aにも逆止弁67が設けられている。この逆止弁67は、ポンプピストン下室からピストン上室25内への圧縮気体の流れを許容し、その逆方向の圧縮気体の流れをシールする。
【0055】
前記したように電動モータ32が起動すると、ピストン駆動部30が作動して打撃ピストン16が上死点に移動されるとともに、ポンプ部60が作動する。電動モータ32が起動すると、中間ギヤ61及び作動ギヤ62を経て作動軸63がその軸回りに回転し、従って作動円板68が回転する。作動円板68が作動軸63の軸心回りに回転すると、作動ロッド64が上下にクランク運動する。作動ロッド64のクランク運動によりポンプピストン65がポンプシリンダ部29a内を上下に往復動する。第3実施形態では、打撃ピストン16の1回の往復動作中(1回の打ち込み動作中)に、ポンプピストン65が複数回往復動するよう、中間ギヤ61及び作動ギヤ65の歯数が設定されている。
【0056】
ポンプピストン65がポンプシリンダ部29a内を上動する段階では、ポンプピストン下室側が負圧になるため、通気路65a及び逆止弁66を経て駆動部ハウジング31内からポンプピストン下室内へ圧縮気体が吸気される。ポンプピストン65がポンプシリンダ部29a内を下動する段階では、ポンプピストン下室内の圧縮気体が逆止弁67を経てピストン上室25内に排気(補充)される。
【0057】
このように、第3実施形態に係る打ち込み工具10によれば、ポンプ部60がピストン駆動部30の動作に連動して作動してピストン上室25内に圧縮気体が自動的に補充される。このため、第3実施形態においても、従来の補充用のエアタンクを内装する必要がないので、当該打ち込み工具10のメンテナンス性が高められるとともに、そのランニングコストを低減することができる。
【0058】
上記第3実施形態の打ち込み工具10にはさらに変更を加えることができる。例えば、第3実施形態では、ピストン駆動部30の電動モータ32を共通の駆動源としてポンプ部60を作動させる構成を例示したが、ポンプ部独自の駆動源を用いる構成としてもよい。第4実施形態に係るポンプ部70を備えた打ち込み工具10が
図16〜
図19に示されている。図示するように第4実施形態に係るポンプ部70の駆動系は、ピストン駆動部30の駆動系とは切り離されている。第1〜第3実施形態と同様の部材及び構成については同位の符号を用いてその説明を省略する。
【0059】
第4実施形態のポンプ部70も駆動部ハウジング31内に設けられている。第4実施形態のポンプ部70は、その駆動源として独自の電動モータ71を備えている。電動モータ71の出力軸71aに取り付けた駆動ギヤ71bは、作動ギヤ72に噛み合わされている。この作動ギヤ72に作動ロッド64の一端側が結合されている。作動ロッド64の一端側は、支軸64aを介して作動ギヤ72に回転可能に結合されている。作動ロッド64の一端側の回転中心(支軸64a)は、作動ギヤ72の回転中心に対して一定寸法偏心している。作動ロッド64の他端側には第3実施形態と同様のポンプピストン65が支軸64bを介して回転可能に取り付けられている。ポンプピストン65は、第3実施形態と同じく区画壁29に設けたポンプシリンダ部29a内を上下に往復動可能かつ気密に収容されている。
【0060】
区画壁29には、圧力センサ73が取り付けられている。この圧力センサ73によって打撃ピストン上室25の気体圧が検知される。この圧力センサ73により検知される打撃ピストン上室25内の気体圧が一定圧よりも小さくなるとポンプ部70の電動モータ71が起動する。電動モータ71の起動により、ポンプピストン65がポンプシリンダ29a内を往復動することにより、圧縮気体が打撃ピストン上室25に補充される。圧縮気体の補充により打撃ピストン上室25内の気体圧が一定圧に達すると、これが圧力センサ73に検知され、これにより電動モータ71が停止してポンプ部70のエア補充動作が停止される。
【0061】
以上説明した第4実施形態の打ち込み工具10によれば、打撃ピストン上室25内の気体圧が圧力センサ73で検知され、これに基づいてポンプ部70が作動して当該打撃ピストン上室25内に圧縮気体が補充される。このため、従来のエアタンクを省略しつつ打撃ピストン16の適正な打撃力を確保することができ、これにより当該打ち込み工具10のメンテナンス性を確保でき、またランニングコストの低減を図ることができる。
【0062】
図20及び
図21には、第5実施形態の打ち込み工具10が示されている。この第5実施形態においても、ピストン駆動部30その他の打ち込み工具10としての基本的構成は前記各実施形態と同様の構成を備えている。第1〜第4実施形態と同様で足りる部材及び構成については同位の符号を用いてその説明を省略する。
【0063】
第5実施形態の打ち込み工具10は、前記第1〜第4実施形態の打ち込み工具10のポンプ部40,50,60,70に代えて、外部コンプレッサやエア注入器具等の外部圧縮気体供給装置80を接続するための接続口81を備えており、打撃ピストン上室25に圧縮気体を補充するための手段が異なっている。
【0064】
接続口81は、区画壁29に設けられている。駆動部ハウジング31には蓋部82が設けられている。
図20中この蓋部82を開放した状態が二点鎖線で示されている。蓋部82を開放することにより、接続口81にエアホース83を介して外部圧縮気体供給装置80を接続することができる。外部圧縮気体供給装置80のエアホース83を接続口81に接続した状態で、外部圧縮気体供給装置80を稼働させることにより打撃ピストン上室25に圧縮気体を補充することができる。打撃ピストン上室25内の気体圧が一定圧に達した時点で過剰な圧縮気体はリリーフ弁24を経て外部に放出される。このため、外部圧縮気体供給装置80による過剰な圧縮気体の補充があっても過剰分はリリーフ弁24から放出されるので、打撃ピストン上室25の気体圧は常時適正な気体圧に維持され、これにより各シール部等の損傷を未然に防止して当該打ち込み工具10の耐久性を高めることができる。
【0065】
以上のように構成した第5実施形態の打ち込み具10によれば、打撃ピストン上室25の気体圧が低下して打撃ピストン16の十分な打撃力が得られなくなった場合には、蓋部82を開けて外部圧縮気体供給装置80をエアホース83を介して接続口81に接続することにより、打撃ピストン上室25内に圧縮気体を補充することができる。このため、従来のカセット式のエアタンクを省略して当該打ち込み工具10のメンテナンス性を高め、ランニングコストを低減することができる。
【0066】
接続口81は、駆動部ハウジング31ではなく、本体ハウジング14内に配置する構成としてもよい。駆動部ハウジング31内若しくは本体ハウジング14内に、外部圧縮気体供給装置80の接続口81を内装した構成とすることにより、当該接続口81の損傷若しくは汚損を回避でき、また当該打ち込み工具10の取り扱い性を高めることができる。
以上説明した第5実施形態は、「打ち込み具打撃用のドライバを備えた打撃ピストンを電動モータを駆動源とするピストン駆動部により初期位置から上死点に上動させ、これにより発生する打撃ピストン上室の圧縮気体により前記打撃ピストンを下動させて打ち込み具を打ち込む打ち込み工具であって、前記打撃ピストン上室に圧縮気体を補充するための外部圧縮気体供給装置を接続するための接続口を備えた打ち込み工具」と捉えることができる。より具体的には、「前記接続口を打ち込み工具の内部に備えた打ち込み工具」と捉えることができる。