(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
<着色金属顔料>
本発明の着色金属顔料は、金属顔料と、該金属顔料の表面に形成された非晶質酸化珪素膜層と、該非晶質酸化珪素膜層の表面に形成された金属粒子担持層と、該金属粒子担持層の表面に形成された金属粒子と、を少なくとも含み、該金属粒子担持層は、金属層および酸化珪素以外の金属酸化物からなる金属酸化物層のうちいずれか一方または両方であり、該金属粒子は、該金属粒子担持層の一部を直接被覆するように形成されており、該非晶質酸化珪素膜層は、その厚みが500nmを超えることを特徴とする。
【0019】
すなわち、本発明の着色金属顔料においては、金属粒子が金属粒子担持層、換言すれば基材である金属顔料、を完全に覆う層としては形成されていないため、金属粒子で被覆されている部位と被覆されていない部位とが存在する。このように、金属粒子が基材である金属顔料を部分的に覆うように形成されていることにより、金属顔料からの反射光のうち金属粒子の粒子間を抜けた反射光のみが可視光として認識される。その結果、金属顔料からの反射明度が弱められることになり、彩度、すなわち色が発現する。さらに本発明の着色金属顔料においては、基材である金属顔料の表面からの反射光と金属粒子表面からの反射光の干渉により、彩度の高い干渉色が発現されるとともに、非晶質酸化珪素膜層の厚みが厚いことから見る角度による色調の変化が極めて大きいという特徴を有する。
【0020】
また、本発明においては金属粒子が金属粒子担持層の一部を直接被覆するように形成されるため、金属粒子担持層と金属粒子との良好な密着性により金属粒子の剥落が防止され、多様な色彩と変化に富む干渉色とが発現された着色金属顔料を安定的に得ることができる。
【0021】
本発明の着色金属顔料は、金属顔料の表面に非晶質酸化珪素膜層、金属粒子担持層ならびに金属粒子を少なくとも形成することにより得られるため、比較的簡便な手段で製造でき、良好な仕上がり外観が付与される点で有利である。
【0022】
本発明の着色金属顔料は、各種の塗料やインキ等に使用することにより仕上がり外観に優れる樹脂組成物を形成することができる。該着色金属顔料は特に水性の塗料やインキに対して好適に用いられる。また、本発明の着色金属顔料は、化粧料に使用することにより、鮮明な色合いが得られる化粧料を提供することが可能となる。このように本発明の着色金属顔料は、産業上極めて有用に利用されるものである。
【0023】
<金属顔料>
本発明で使用される金属顔料としては、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛、チタン、鉄、ニッケル、クロムおよびこれらの合金、あるいは金属被覆フレーク状ガラスその他の金属被覆無機顔料等が好ましく例示でき、このうちアルミニウムが意匠性の点で特に好ましく用いられる。アルミニウムを用いた場合、非晶質酸化珪素膜層を形成し、さらに金属粒子を重ねることによって、干渉色を呈する多彩な着色金属顔料が得られる点で有利である。
【0024】
金属顔料の好ましい平均粒径としては2〜300μmの範囲内が例示できる。平均粒径が2μm以上である場合、コーティング膜に良好な仕上がり外観や良好な隠蔽力を与える着色金属顔料を得ることができ、300μm以下である場合、着色金属顔料の分散不良によるコーティング膜の仕上がり外観の低下等を防止可能な着色金属顔料を得ることができる。該平均粒径は5〜100μmの範囲内とされることがさらに好ましい。なお本明細書における金属顔料の平均粒径とは平均長径を意味する。このような平均粒径は、レーザー回折法により測定することができる。
【0025】
金属顔料の形状は、特に限定されず、球形、粒状、多角形、不定形、塊状、フレーク状等各種の形状を取り得るが、良好な意匠性や多彩な色彩が得られるという観点から、フレーク状が好ましい。
【0026】
金属顔料の形状がフレーク状の場合、その好ましい厚み(平均厚み)としては、0.01〜5μmの範囲内が例示できる。厚みが0.01μm以上である場合、塗膜の耐光性および耐候性を損なうことなく仕上がり外観を良好に維持することが可能な着色金属顔料が得られ、5μm以下である場合、塗膜に良好な意匠性と多様な色彩を与える着色金属顔料を得ることができる。該厚みは、0.02〜1μmの範囲内とされることがさらに好ましい。このような厚みは、水面拡散面積法(水面拡散面積=Scm
2/gとすると、厚み=4000/Sμm)により測定することができる。
【0027】
このように金属顔料の好ましい形状としては、フレーク状(すなわち鱗片状)であることが好ましく、平均粒径Aと平均厚みBとの比A/Bが5〜1000の範囲内であるものが好ましく例示できる。上記の比A/Bが5以上である場合、塗膜の意匠性が良好で、より多彩な色彩の発現が可能であり、1000以下である場合、着色金属顔料の製造時における金属顔料の変形や、樹脂組成物中での着色金属顔料の分散性の低下が生じ難い点で好ましい。比A/Bは、15〜500の範囲内とされることがより好ましい。金属顔料の形状としては、表面が平滑で丸みを帯びた端面を有するコイン状の形状が特に好ましい。
【0028】
本発明において使用される金属顔料は、たとえばアトマイズ法粉末や、金属薄片を湿式ボールミル法(すなわちホール法)または乾式ボールミル法で粉砕した粉末等として得られる。あるいは、フィルム等に金属薄膜を蒸着した後剥離および粉砕することによっても得られる。また、金属被覆フレーク状ガラスやその他の金属被覆顔料は、フレーク状ガラス、マイカ、アルミナ、シリカ、酸化チタン等のフレーク状あるいは粒状の無機基材に無電解めっき、蒸着、スパッタリング等の手法により、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Cr、Snなどの単体あるいは合金を層状に形成することによって得られる。
【0029】
なお、金属顔料は、非晶質酸化珪素膜層を形成する前に、モリブデン化合物、燐化合物、過酸化水素水などにより下地層が形成されていても良い。このように金属顔料の表面に下地層が形成されている場合であっても、本発明においては、非晶質酸化珪素膜層が金属顔料の表面に形成されると表現するものとする。また、金属粒子の上に耐候被膜層がさらに形成されていても良い。該耐候被膜層としては、アルミニウム、珪素、およびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む酸化物、水酸化物、水和物の単独膜または混合物膜、または樹脂被覆層が例示される。
【0030】
<非晶質酸化珪素膜層>
本発明の着色金属顔料においては、金属顔料の表面に層厚みが500nmを超える非晶質酸化珪素膜層(非晶質酸化珪素により構成される層)が形成されている。この非晶質酸化珪素膜層は、金属顔料の表面の全面に形成されることが好ましいが、金属顔料の表面の一部において非晶質酸化珪素膜層が形成されていない部分が含まれていても、本発明の効果を示す限り本発明の範囲を逸脱するものではない。このような非晶質酸化珪素膜層は金属顔料の表面に直接形成されても良いが、金属顔料と非晶質酸化珪素膜層との間に他の層を下地層として介在させることが好ましい。下地層としては、後述するような、モリブデン、リン、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物、水酸化物、水和物の少なくともいずれかの単独膜または混合物膜からなる層が例示できるが、これに限定されない。また、該下地層は1層または2層以上とされることができ、2層以上の場合は組成の異なる層を積層しても良い。
【0031】
本発明においては、非晶質酸化珪素膜層が形成されることにより任意の屈折率が与えられ、干渉色が発現するという効果が得られる。また、500nmを超える層厚みとすることで、従来よりも色調の変化が大きくなる。非晶質酸化珪素膜層の形成方法としては、たとえば金属顔料と、有機珪素化合物を含む溶液とを、塩基性または酸性に保ちながらスラリー状態またはペースト状態で撹拌または混練する方法等が採用でき、これにより金属顔料の表面、または下地層が表面に形成された金属顔料の表面に非晶質酸化珪素膜層を形成することができる。
【0032】
上記の有機珪素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等およびそれらの縮合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が例示される。
【0033】
また、有機珪素化合物を含む溶液とするための珪素化合物を溶解させる溶剤としては、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトン等の親水性溶剤を用いることが好ましい。また、該溶剤に、アルコキシシランを加水分解するのに充分な水をさらに配合することが望ましい。
【0034】
このように非晶質酸化珪素膜層は、金属顔料を分散させた親水性溶剤を主成分とする溶剤中で、有機珪素化合物を加水分解して非晶質酸化珪素を金属顔料上に析出させることにより、金属顔料の表面に形成することができる。
【0035】
非晶質酸化珪素膜層の厚みは、500nmを超える必要がある。該厚みが500nmを超える場合、干渉作用を発現するための光路差が長くなるので、従来より高い彩度および大きな色調変化を呈する塗膜を形成することができる。上限は特に限定されないが、あまり厚みが厚いと非晶質酸化珪素膜層の形成に長時間を要し生産性が悪くなったり、着色金属顔料全体の厚みが大きくなるため得られる塗膜の平滑性を損なうおそれがある。そのような観点から厚みは、1000nm以下とすることが好ましい。なお、非晶質酸化珪素膜層の厚みは、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察により測定することができる。この場合、任意の着色金属顔料50個についてこのような測定を行ない、その平均値を非晶質酸化珪素膜層の厚みとする。
【0036】
このように、本発明の着色金属顔料においては、非晶質酸化珪素膜層の厚みを500nmを超える範囲とすると、後述の金属粒子の平均粒径を50nm以下とすることと相俟って、特に彩度の高い干渉色および大きな色調変化が発現されるという効果を得ることができる。
【0037】
なお、非晶質酸化珪素膜層の「非晶質」とは、X線回折法による結晶構造分析において酸化珪素に由来する明確な回折ピークが検出されない状態にあることをいう。
【0038】
<金属粒子担持層>
本発明において、上記の非晶質酸化珪素膜層の表面には、金属粒子担持層が形成される。この金属粒子担持層は、非晶質酸化珪素膜層の表面の全面に形成されることが好ましいが、非晶質酸化珪素膜層の表面の一部において金属粒子担持層が形成されていない部分が含まれていても、本発明の効果を示す限り本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0039】
このような金属粒子担持層は、金属層および酸化珪素以外の金属酸化物からなる金属酸化物層のうちいずれか一方または両方からなる。金属層および金属酸化物層の両方からなる場合、その積層順序は特に限定されない。すなわち、非晶質酸化珪素膜層の表面に金属層が積層され、その金属層の表面に金属酸化物層が積層される構成であっても良いし、非晶質酸化珪素膜層の表面に金属酸化物層が積層され、その金属酸化物層の表面に金属層が積層される構成であっても良い。また、金属粒子担持層は、金属層および金属酸化物層のそれぞれを2層以上含むこともでき、その場合の積層順序も特に限定されない。
【0040】
以下、金属層および金属酸化物層のそれぞれについて詳述する。
<金属層>
本発明における金属粒子が、水溶性金属塩を使用して無電解めっきにより形成される場合、金属層は、該無電解めっきの前処理として用いられる方法を用いて形成されることができる。無電解めっきの前処理としては、一般的にキャタリスト(キャタライジングとも称する)−アクセレータ(アクセレーティングとも称する)法と、センシタイジング−アクチベーティング法があり、どちらの方法を用いても良い。また、キャタリストのみまたはセンシタイジングのみを行なっても良い。
【0041】
キャタリスト−アクセレータ法とは、Snと、Pd,Pt,Auのいずれかとを含む混合溶液をキャタリストとし、非晶質酸化珪素膜層を形成した金属顔料を該キャタリストに浸漬して、該非晶質酸化珪素膜層の表面にPd,Pt,AuのいずれかとSnとの錯体化合物等を吸着させた後、硫酸、塩酸等の酸溶液または水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ溶液をアクセレータとし、該アクセレータに上記の金属顔料を浸漬し、Snを除去してPd,Pt,Auのいずれかを活性化する方法である。
【0042】
センシタイジング−アクチベーティング法とは、Sn溶液をセンシタイジング液とし、非晶質酸化珪素膜層を形成した金属顔料を該センシタイジング液に浸漬して、該非晶質酸化珪素膜層の表面にSnを吸着させた後、Pd,Pt,Auのいずれかを含む溶液をアクチベーティング液とし、Pd,Pt,Auのいずれかを上記の非晶質酸化珪素膜層の表面に担持させる方法である。
【0043】
センシタイジング法とは、Sn溶液をセンシタイジング液とし、非晶質酸化珪素膜層を形成した金属顔料を該センシタイジング液に浸漬して、該非晶質酸化珪素膜層の表面にSnを吸着させることによりSnを該非晶質酸化珪素膜層の表面に担持させる方法である。
【0044】
無電解めっきの前処理として用いられる方法で形成される金属層の金属源としては、Sn,Pd,Pt,Auのいずれかを含む水溶性金属塩を使用することができる。具体的な金属塩としては、塩化錫、シュウ酸錫、硫酸錫、臭化錫、酢酸錫、ほう弗化錫、弗化錫、錫酸ナトリウム、錫酸カリウム、メタンスルホン酸錫、硫化錫、ケイ弗化錫、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、臭化パラジウム、水酸化パラジウム、硝酸パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム、臭化金、塩化金、塩化白金、酸化白金等が例示できる。
【0045】
上記のような方法により、Sn,Pd,Pt,Au等の触媒層が本発明における金属層として担持される。この後、該金属層の表面に無電解めっきによって金属粒子を形成することができる。金属層が形成された金属顔料を無電解めっき溶液に浸漬すると、金属層の触媒活性により、めっき液中の還元剤が該金属層の表面で酸化される。このとき放出される電子によって無電解めっき溶液中の金属イオンが還元され、金属層の表面に金属が析出し、金属粒子が生成する。
【0046】
このような金属層は、上記のように、Sn、Pd、Pt、およびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0047】
本発明において、金属層の厚みは30nm以下とされることが好ましい。この場合、得られる着色金属顔料により良好な彩度と干渉色が付与される。金属層の厚みは、さらに0.1〜10nmの範囲内とされることが好ましい。金属層の厚みは、たとえば透過型電子顕微鏡(TEM)における300万倍程度の高倍率観察において、非晶質酸化珪素膜層と金属粒子との間に形成される金属の層として確認することができる。また、局部EDS(エネルギー分散型X線分光:Energy−dispersive X−ray spectroscopy)により元素の存在を確認することも可能である。金属層は、典型的には粒子の集合体が連続した層をなすことにより形成される。
【0048】
なお、金属層は非晶質酸化珪素膜層(または後述の金属酸化物層)の表面に均一に析出していても不均一に析出していても良い。また、例えばTEMで観察できない程度に金属層の厚さが薄い場合であっても、金属層が析出している場合には金属粒子を緻密かつ均一に析出させることが可能である。
【0049】
<金属酸化物層>
本発明においては、非晶質酸化珪素膜層の表面(金属層が先に形成される場合は、金属層の表面、以下において同じ)に、酸化珪素以外の金属酸化物からなる金属酸化物層が形成される。この金属酸化物層は、非晶質酸化珪素膜層の表面の全面に形成されることが好ましいが、非晶質酸化珪素膜層の表面の一部において金属酸化物層が形成されていない部分が含まれていても、本発明の効果を示す限り本発明の範囲を逸脱するものではない。このような金属酸化物層が形成されることにより、後述の金属粒子と金属酸化物層との良好な吸着状態により、金属粒子を一定の間隔を隔てて緻密かつ均一に析出させ、彩度の高い干渉色を発現させることができる。
【0050】
このような金属酸化物層は、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)、およびCe(セリウム)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含むことが好ましく、中でも、Sn、Zn、Ti、Ceのいずれか1種の金属酸化物を含むことが好ましい。
【0051】
金属酸化物層の形成方法は特に限定されないが、たとえば、金属酸化物層を構成する金属のアルコキシドをゾル−ゲル法により加水分解して非晶質酸化珪素膜層上に析出させる方法、金属酸化物層を構成する金属の金属塩溶液にアルカリを加えて金属酸化物を中和析出させる方法、有機溶媒中に有機金属化合物を溶解した溶液に非晶質酸化珪素膜層を形成した金属顔料を接触させ熱処理により酸化することにより非晶質酸化珪素膜層上に金属酸化物層を形成する方法等が好適である。
【0052】
加水分解して析出させる方法において使用される金属アルコキシドとしては、テトラエトキシ錫、テトラブトキシチタンなどが例示でき、該金属アルコキシドを分散させたコロイド溶液を好ましく使用することができる。また金属アルコキシドの加水分解触媒としては、アンモニア水、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヒドラジン、尿素などが例示できる。
【0053】
中和析出させる方法において使用される金属塩としては、塩化錫、フッ化錫、塩化亜鉛、硫酸チタニル、硝酸セリウム、酢酸セリウム等が例示できる。また金属塩の中和剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが例示できる。また反応溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルプロピレングリコール、ブチルセロソルブなどが例示できる。
【0054】
有機金属化合物を使用する方法において使用される有機金属化合物としては、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ジルコニウム、ジブチル錫ジラウレートなどの脂肪酸金属塩が例示され、有機金属化合物を溶解する溶媒としては、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブなど、該有機金属化合物が溶解可能な、あらゆる有機溶剤が使用できる。有機金属化合物を分解して酸化させる熱処理温度としては200℃〜500℃が好ましい。200℃以下では有機金属化合物を酸化することが困難で、500℃以上では金属顔料の凝集を生じ易く、さらに発火の危険性も大きくなる。
【0055】
本発明における金属粒子が、水溶性金属塩を使用して無電解めっきにより形成される場合、金属酸化物層の上に、該無電解めっきの前処理として一般的に用いられる、Sn、Pt、Au、Pd、Znなどを含む層を形成しても良い。これらの層が形成される場合であっても、本発明においては、金属粒子が金属酸化物層(金属粒子担持層)を直接被覆するようにして形成されると表現するものとする。
【0056】
本発明においては、非晶質酸化珪素膜層と無電解めっきの前処理層の間に金属酸化物層を設けることにより、金属粒子の付着力が、従来技術に比べて強固になっており、機械的、熱的、化学的な攻撃に対する色調安定性に優れている。また、金属酸化物層を非晶質酸化珪素膜層の上に形成することにより、従来技術とは異なった発色を得ることが可能となる。
【0057】
本発明において、金属酸化物層の厚みは30nm以下とされることが好ましい。この場合、得られる着色金属顔料により良好な彩度と干渉色が付与される。金属酸化物層の厚みは、さらに0.1〜10nmの範囲内とされることが好ましい。なお、金属酸化物層は非晶質酸化珪素膜層の表面に均一に析出していても不均一に析出していても良い。金属酸化物層が厚すぎる場合は得られる着色金属顔料の厚みも厚くなり、隠蔽力が低下する。また、薄すぎる場合は、十分な効果が得られず、色調が安定しない。なお、金属酸化物層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察により測定することができる。
【0058】
<金属粒子>
本発明の着色金属顔料においては、金属粒子が金属粒子担持層の表面に形成される。そして、この金属粒子は、金属粒子担持層の表面の一部を直接被覆するように形成されることを特徴とする。
【0059】
本発明の着色金属顔料は金属粒子が形成されていない部位、すなわち金属粒子によって被覆されていない部位を有する。これにより、金属粒子の表面からの反射光と、非晶質酸化珪素膜層を通過する、基材である金属顔料表面からの反射光との干渉が生じ、彩度の高い干渉色を呈する着色金属顔料が得られる。また金属粒子担持層の表面に直接金属粒子が形成されることにより金属粒子担持層と金属粒子との密着性が良好となり、多様な色彩と変化に富む干渉色を有する着色金属顔料を確実に得ることができる。
【0060】
本発明における金属粒子としては、たとえばAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Sn(スズ)、Pt(白金)、Au(金)およびこれらの合金からなる群より選ばれる1種以上を含む粒子が好ましく例示できる。金属粒子がこれらの金属および金属合金から選ばれる1種以上を含む場合、彩度の高い干渉色を呈する着色金属顔料が得られる。特に好ましい金属粒子としては、Cu、Ni、およびAgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む粒子が挙げられる。
【0061】
このような金属粒子は、その平均粒径が50nm以下であることが好ましい。この場合、金属粒子が形成されている部位と該金属粒子が形成されていない部位とを有する着色金属顔料表面の表面形態が比較的平滑であり、仕上がり外観に優れるメタリック膜を与えることができる着色金属顔料が得られる。金属粒子の平均粒径は、30nm以下とされることがより好ましい。なお、金属粒子の平均粒径の下限は特に限定されないが、1nm以上とすることが好ましい。1nm未満であると光が金属粒子を透過してしまうため、金属粒子層からの反射光が少なくなり、光干渉による着色効果が弱まるため、得られた着色金属顔料の彩度が低下する場合があるからである。
【0062】
さらに、本発明の着色金属顔料においては、非晶質酸化珪素膜層の厚みが500nmを超え1000nm以下の範囲内であり、かつ金属粒子の平均粒径が50nm以下であることが特に好ましい。この場合、特に彩度の高い干渉色が得られるとともに見る角度に応じて大きな色調の変化が発現される。
【0063】
本発明の着色金属顔料において形成される金属粒子は、金属粒子担持層を完全に覆うことなく、該金属粒子担持層の一部を覆うように形成されるが、より高彩度の着色金属顔料が得られる点で、金属粒子同士の間隔が10nm以下とされることが好ましい。この場合、10nm以下とされる金属粒子間の間隔が、上記でいう金属粒子によって被覆されていない部位に相当する。この場合、該間隔の下限値は0.1nm以上とすることが好ましい。
【0064】
また本発明においては、金属粒子が金属粒子担持層の上に2粒子以上重なって析出していても良いが、単独粒子として1層で析出していることが好ましい。この場合、金属粒子からの反射光と、基材の金属顔料から反射し金属粒子間を抜けた反射光との干渉により彩度の高い干渉色が付与される。さらに、各々の金属粒子が互いに接触することなく金属粒子担持層の上に析出していることが好ましい。最も典型的には、各々の金属粒子が互いに接触することなく、かつ金属粒子同士の間隔が10nm以下となるように金属粒子担持層の上に1層で析出していることが好ましい。
【0065】
なお、金属粒子の析出状態、平均粒径および金属粒子同士の間隔は、たとえば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察により評価することができる。この場合、観察用の試料作製としては、金属粒子が形成された着色金属顔料の断面を、FIB(Focused Ion Beam)加工する方法が好ましく採用できる。この方法は、走査型イオン顕微鏡(SIM:Scanning Ion Microscopy)像を見ながら加工箇所を決定できるため、試料中の特定の個所を加工することができる。上記のような方法で加工を行ない、金属粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて30〜300万倍で観察する。
【0066】
金属粒子の形成方法は特に限定されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解めっき法などが好適である。これらの方法のうち、無電解めっき法は金属粒子を上記のような所定の間隔を隔てて均一に析出させることができ、良好な彩度が得られるため、特に好適である。
【0067】
<耐候被膜層等>
本発明においては、金属粒子の上に、下記に示すような耐候被膜層等が形成されていても良い。
【0068】
1) 酸化物、水酸化物、水和物の単独膜または混合物膜からなる耐候被膜層
酸化物、水酸化物、水和物の少なくともいずれかの単独膜または混合物膜からなる耐候被膜層がさらに形成されていることが好ましい。該耐候被膜層を形成することにより、本発明に係る着色金属顔料を配合した塗膜に変色防止効果が付与され、塗膜の耐候性を向上させることができる。特に金属粒子として銀や銅など、酸化反応や硫化反応を起こしやすい金属を使用した場合には、耐候被膜層を形成することにより耐候性が付与されるため有効である。特に、アルミニウム、珪素、セリウムから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物、水酸化物、水和物を含む層が好ましい。
【0069】
2) カップリング剤
金属粒子または上記の耐候被膜層を形成する場合には該耐候被膜層が、カップリング剤、特に珪素および/またはチタンを含むカップリング剤でさらに処理されていることが好ましい。この場合、本発明の着色金属顔料と塗料樹脂等とを含有する樹脂組成物から塗膜を形成する際に着色金属顔料と塗料樹脂との親和性が向上すること等によって、塗膜の密着性の向上効果が得られる。カップリング剤としてはたとえばシランカップリング剤(珪素を含むカップリング剤)が好ましい。シランカップリング剤としては、R
A−Si(OR
B)
3、またはR
A−SiR
B(OR
B)
2(R
A:炭素数2〜18のアルキル基またはアリール基またはアルケニル基、R
B:炭素数1〜3のアルキル基)等が好ましく例示できる。また上記式中のR
Aが官能基を有することも好ましい。該官能基としては、アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、スルフィド基、ビニル基、メタクリロキシ(メタクリル)基、アクリロキシ(アクリル)基、メルカプト基、ケチミノ基等が挙げられる。
【0070】
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、n−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エポキシ−シラン)、n−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シランなど、およびこれらの縮合物などが挙げられる。
【0071】
チタンカップリング剤(チタンを含むカップリング剤)はシランカップリング剤に比べ種類は少ないものの本発明におけるカップリング剤として好ましく用いられ得る。チタンカップリング剤は、一般に親水基の加水分解性基と疎水基の側鎖有機官能基とを有する。典型的には、親水基の加水分解性基としてアルコキシル基、疎水基の側鎖有機官能基としてアルキルリン酸エステル基、アミノ基、スルフィド基等が含まれる。チタンカップリング剤の好ましい市販品の例としては、味の素ファインテクノ(株)製のプレンアクトKR46B等が挙げられる。例えばプレンアクトKR46Bの場合、加水分解性基としてC
8H
17O−、側鎖有機官能基としてHO−P−(OC
13H
27)
2,C
8H
17O−がTiに配位した構造を有する。
【0072】
3) 樹脂被覆層
本発明の着色金属顔料に、最外層として樹脂被覆層を形成することにより、該着色金属顔料を配合した塗膜の耐薬品性、耐候性、耐水性、耐湿性等の性能を向上させることができる。これは、本発明の着色金属顔料と塗料樹脂とを配合した樹脂組成物を用いて塗膜を形成する際に、着色金属顔料と塗料樹脂との密着性が向上し、塗膜物性が良好になるためである。
【0073】
樹脂被覆層を構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、たとえば、カルボキシル基および/または燐酸基を有する反応性モノマーおよび3官能以上の多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および/または、ベンゼン核を有する重合性モノマー、を含む少なくとも2種類以上のモノマーから合成された共重合体が例示できる。
【0074】
カルボキシル基および/または燐酸基を有する反応性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジ−2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、トリ−2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジ−2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、トリ−2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、ジオクチル−2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、2−メタクリロイロキシプロピルアッシドフォスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、ジアリルジブチルホスホノサクシネート等が挙げられる。
【0075】
3官能以上の多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーの例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0076】
これらの多官能(メタ)アクリル酸エステルモノマーは樹脂の三次元架橋に寄与し、有機溶剤および水に対し、樹脂被覆層を不溶化する効果を有する。
【0077】
ベンゼン核を有する重合性モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、フェニルビニルケトン、フェニルビニルエーテル、ジビニルベンゼンモノオキサイドフェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
【0078】
上記の他に、下記のようなモノマーを用いて共重合させても良い。これらのモノマーを共重合させることにより、本発明の着色金属顔料を用いた塗膜の耐湿性、耐候性、密着性などの性能をさらに改善することができる。
【0079】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、その他の不飽和カルボン酸(たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸など)のエステル。
【0080】
本発明の着色金属顔料の主な構成について以上に説明したが、該着色金属顔料においては金属粒子担持層と金属粒子とが直接接して形成されていれば良く、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記で説明したもの以外の層や粒状物等がさらに形成されていても構わない。
【0081】
<樹脂組成物>
本発明はまた、上記の着色金属顔料を少なくとも含有する、塗料またはインキなどの樹脂組成物に関する。なお、本発明における樹脂組成物には、たとえば着色金属顔料を含む塗料およびその塗膜、樹脂成形品あるいはインキおよびその印刷物が包含される。特に色調の変化が非常に大きいので、例えば、真贋判定を行なうために物品に塗布あるいは形成される樹脂組成物にも用いることができる。塗料およびインキとしては有機溶剤型、水性のいずれも採用可能である。
【0082】
樹脂組成物における着色金属顔料の配合量は、使用用途により異なり特に限定されないが、樹脂組成物の0.1〜30質量%の範囲内とされることが好ましい。該配合量が0.1質量%以上である場合メタリック効果等の装飾効果が良好であり、30質量%以下である場合樹脂組成物の耐候性、耐食性、機械強度等が良好である。樹脂組成物における着色金属顔料の配合量は、樹脂組成物の1〜20質量%の範囲内とされることがより好ましい。なお、樹脂成形品の場合は、使用上問題ない限りは30質量%を超える含有量としてもよい。
【0083】
樹脂組成物は、たとえば本発明の着色金属顔料に塗料樹脂を適宜配合して得られる。塗料樹脂としては、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂等が例示できる。
【0084】
本発明の樹脂組成物には、着色金属顔料および塗料樹脂に加え、着色金属顔料以外の着色顔料、体質顔料、染料等を併用しても良い。併用される着色顔料としては、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ペリレン、アゾレーキ、酸化鉄、黄鉛、カーボンブラック、酸化チタン、パールマイカ等が例示できる。
【0085】
なお本発明の樹脂組成物には、上記の成分の他、添加剤として、水、有機溶剤、界面活性剤、硬化剤、紫外線吸収剤、静電気除去剤、増粘剤等も適宜配合され得る。
【0086】
本発明の樹脂組成物を用いて塗膜を形成する場合、電着塗装等による下塗り層や中塗り層の上に該塗膜を形成しても良く、また本発明の樹脂組成物による塗膜の上にトップコート層がさらに形成されても良い。
【0087】
<塗布物>
本発明は、上記の樹脂組成物のいずれかを基体に塗布した塗布物にも関する。このような塗布物を構成する基体の素材は、特に限定されず、例えば金属、樹脂、木材、紙、皮革等を挙げることができる。
【0088】
そして、このような塗布物としては、例えば自動車、バイクなどの車体;蓋材、包装材、雑誌、ポスターなどの印刷物;紙幣、パスポート、免許証、金券などの真贋判定が求められる、セキュリティー性が必要な塗布物等を挙げることができる。
【0089】
<化粧料>
本発明はまた、上記の着色金属顔料を少なくとも含有する化粧料に関する。
【0090】
従来化粧料に光沢感や光輝感を付与するためパール顔料やアルミニウム顔料が用いられているが、パール顔料については隠蔽性に乏しく、アルミニウム顔料についてはグレー色を呈するため着色顔料を配合しても鮮明な色合いが得られないという問題が有った。アルミニウム顔料についてはさらに水と反応しやすいため、水を含有する化粧料には使用できないという問題も有った。
【0091】
本発明の着色金属顔料を配合することにより、優れた隠蔽力を有し、かつ鮮明な色合いが得られる化粧料が得られる。さらに、本発明の着色金属顔料は水を含む化粧料に使用しても反応しないという特性(安定性)を有する。
【0092】
本発明の着色金属顔料を配合した化粧料は特に限定されないが、具体的な実施の形態としては以下のような化粧料が挙げられる。
【0093】
<化粧料の実施の形態>
1)化粧料の種類としては以下のようなものが挙げられる。
メーキャップ化粧料(口紅、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、ネイルエナメルなど)、毛髪化粧料(ヘアージェル、ヘアワックス、ヘアトリートメント、シャンプー、ヘアマニキュアジェルなど)、基礎化粧料(下地クリーム)。
【0094】
2)化粧料を構成する構成成分としては本発明の着色金属顔料以外には以下のようなものが挙げられる。
【0095】
<油分>
油脂(オリーブ油、ひまし油等)、ロウ類(ミツロウ、カルナバロウ、ラノリンなど)、炭化水素油(流動パラフィン、スクワラン、ポリブテンなど)、脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、アジピン酸ジイソプロピル、トリミリスチン酸グリセリルなど)、高級脂肪酸(オレイン酸、イソステアリン酸など)、高級アルコール(イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなど)、シリコーン油(ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、フッ素化合物(パーフルオロポリエーテルなど)。
【0096】
<その他>
界面活性剤、保湿剤、多価アルコール、水溶性高分子、皮膜形成剤、非水溶性高分子、高分子エマルション、粉末、顔料、染料、レーキ、低級アルコール、紫外線吸収剤、ビタミン類、酸化防止剤、抗菌剤、香料、水。
【0097】
<配合量>
化粧料中に着色金属顔料を0.1〜99質量%、好ましくは1〜80質量%配合する。
【0098】
3)調合方法
特に限定されず通常の化粧料の製造方法が適用できる。
【0099】
分散方法としては、ディスパー、ロールミル等が好適である。
<着色金属顔料の製造方法>
本発明の着色金属顔料は、たとえば以下の製造工程に従って製造され得る。すなわち、金属顔料を分散させた親水性溶剤を主成分とする溶剤中で、有機珪素化合物を加水分解して非晶質酸化珪素を金属顔料上に析出させることにより、金属顔料の表面に非晶質酸化珪素膜層を形成する工程(非晶質酸化珪素膜層形成工程)と、該非晶質酸化珪素膜層の表面に金属粒子担持層を析出させることにより金属粒子担持層を形成する工程(金属粒子担持層形成工程)と、無電解めっき法等により該金属粒子担持層の表面に金属粒子を形成する工程(金属粒子形成工程)とを含む、製造方法により製造することができる。
【0100】
また、本発明において金属顔料と非晶質酸化珪素膜層との間に下地層が形成される場合には、まず金属顔料の表面に下地層を形成する。典型的には、金属顔料とモリブデン化合物および/またはリン化合物とを含む溶液とを、スラリー状態またはペースト状態で撹拌または混練して、金属顔料に、モリブデンおよびリンから選ばれる少なくとも1種の元素を含む水和膜を形成し、その後加熱により下地層とする方法等が採用され得る。
【0101】
続いて、上記のように下地層を形成する場合は、その下地層の上に、非晶質酸化珪素膜層を形成する(非晶質酸化珪素膜層形成工程)。下地層を形成した金属顔料を分散させた親水性溶剤を主成分とする溶剤中で、有機珪素化合物を加水分解して非晶質酸化珪素を金属顔料(下地層)上に析出させることにより、金属顔料(下地層)の表面に非晶質酸化珪素膜層を形成する。親水性溶剤としては、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトン等を用いることができる。有機珪素化合物としては、たとえばメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等およびそれらの縮合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等を用いることができる。
【0102】
親水性溶剤としてアルコールを用いる場合、金属顔料(下地層)表面にアルコキシシリケートを形成し、加水分解、脱水縮合することにより非晶質酸化珪素膜層を形成する。なお、上記の加水分解反応の触媒としては酸または塩基が好ましく用いられる。
【0103】
なお、本発明において、500nmを超える厚い非晶質酸化珪素膜層を形成するにあたっては、非晶質酸化珪素膜層形成工程において窒素を含む有機化合物(好ましくはアミノ基を含む有機化合物)を反応系中に含ませておくことが好ましい。
【0104】
この非晶質酸化珪素膜層形成工程において形成途中の非晶質酸化珪素膜層表面に当該化合物が吸着(あるいは結合)する。また、当該化合物が形成途中の非晶質酸化珪素膜層表面に存在することで当該化合物を起点に有機珪素化合物が吸着し、形成途中の非晶質酸化珪素膜層表面に非晶質酸化珪素膜が形成されやすくなる。この理由は定かではないが、金属顔料表面に形成された非晶質酸化珪素膜の表面にさらに当該化合物が吸着あるいは結合していくことで、非晶質酸化珪素膜層形成工程において非晶質酸化珪素膜層中に当該化合物が取り込まれ、取り込まれた当該化合物が金属顔料表面に形成された非晶質酸化珪素の接着剤的な役割をも果たし、これにより非晶質酸化珪素膜層の厚みを500nmを超える厚みとすることができるものと推測される。特に当該化合物としてアミノ基を有するものを用いた場合、当該化合物中のアミノ基が有機珪素化合物の加水分解触媒としての役割も果たし、金属顔料表面への非晶質酸化珪素膜層の形成を促す。
【0105】
窒素を含む有機化合物としては、たとえば酸アミド(尿素、ジメチルホルムアミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等)、アミノ酸(2−アミノ安息香酸、N−メチルグリシン、シスチン、フェニルアラニン等)、脂肪族アミン(2−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等)、アルカノールアミン(2−ジメチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ニトロ化合物(2−ニトロプロパン、ニトロセルロース等)、アミノ基含有カップリング剤(アミノフェニルシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、N,N−メチルエチルアミノチタネート等)、ピペラジン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセタミド等を挙げることができる。これらの窒素を含む有機化合物のうち、前述のとおり、アミノ基を含むものが好ましい。
【0106】
続いて、上記の方法で非晶質酸化珪素膜層により被覆された金属顔料の表面に金属粒子担持層を形成する。以下では、金属層と金属酸化物層とに分けて、それぞれ説明する。
【0107】
まず、金属層の形成(金属層形成工程)について説明する。金属層は、後述の金属粒子形成工程の前工程として行なわれることができる。すなわち、後工程である金属粒子形成工程で金属粒子を析出させる際の活性点を形成し得る金属種として、たとえばSn、Pd、Pt、Auから選ばれる少なくとも1種を含む金属のアルコキシドをゾル−ゲル法により加水分解析出させる方法や、これらの金属を含む金属塩溶液にアルカリを加えて中和析出させる方法等により、非晶質酸化珪素膜層を形成した金属顔料の表面に金属層を形成する。
【0108】
一方、非晶質酸化珪素膜層により被覆された金属顔料の表面に金属酸化物層を形成する工程(金属酸化物層形成工程)も、後述の金属粒子形成工程の前工程として行なうことができる。すなわち、後工程である金属粒子形成工程で金属粒子を析出させる際の活性点を形成し得る金属種として、たとえばMg、Sn、Zn、Co、Ni、Fe、Zr、Ti、およびCeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属のアルコキシドをゾル−ゲル法により加水分解析出させる方法や、これらの金属を含む金属塩溶液にアルカリを加えて中和析出させる方法、これらの金属を含む有機金属化合物溶液に接触させる方法等により、非晶質酸化珪素膜層を形成した金属顔料の表面に金属酸化物層を形成する。なお、この工程の詳細は、上記の金属酸化物層の説明において述べたとおりである。また、このようにして形成される金属酸化物層は、Mg、Sn、Zn、Co、Ni、Fe、Zr、Ti、およびCeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含むことが好ましい。
【0109】
金属層形成工程と金属酸化物層形成工程とを共に用いる場合、金属層形成工程と金属酸化物層形成工程はどちらを先に行なってもよい。
【0110】
続いて、上記のように形成された金属粒子担持層(すなわち金属層または金属酸化物層)の表面に、無電解めっき法等により金属粒子を均一なナノ粒子状物として形成する(金属粒子形成工程)。無電解めっきは、たとえば、金属粒子担持層を形成した金属顔料を、水を分散媒としてスラリー化した後、無電解めっき液を添加することにより反応させる方法で行なうことができる。無電解めっき液は、典型的には、主に金属粒子形成のもとになる金属源、還元剤、錯化剤を少なくとも含んで構成される。
【0111】
金属源としては、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Pt、Auのいずれかを含む水溶性金属塩を使用することができる。水溶性塩としては、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩、乳酸塩、スルファミン酸塩、フッ化物、ヨウ化物、シアン化物等が使用され得る。
【0112】
還元剤としては、次亜リン酸、ホルムアルデヒド、水素化ボロン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジン、ブドウ糖、酒石酸やそのアルカリ金属塩等が使用され得る。
【0113】
錯化剤としては、コハク酸等のカルボン酸、クエン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸、グリシン、EDTA、アミノ酢酸等の有機酸およびこれらの酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等が使用され得る。これらの錯化剤を用いることにより安定して金属粒子を形成することが可能となる。
【0114】
このような方法を採用することにより、金属粒子を金属粒子担持層(すなわち金属層または金属酸化物層)上に上記のような所定の間隔を隔てて均一に析出させること(すなわち金属粒子担持層(金属層または金属酸化物層)の一部を直接被覆するように形成させること)ができる。
【0115】
なお、金属粒子形成工程の前に、前処理として金属粒子担持層(すなわち金属層または金属酸化物層)の上に、Sn、Pt、Pd、Au等を含む溶液による表面活性化処理を行なってもよい。
【0116】
また、本発明においては、金属粒子の上に有機化合物または界面活性剤の少なくともいずれかの単独膜または混合物膜からなる腐食抑制層が形成されていることが好ましい。腐食抑制層がアルミニウムおよび/または珪素を含む場合、非晶質酸化珪素膜層および金属粒子が少なくとも形成された金属顔料を親水性溶媒中に懸濁させたスラリー状態またはペースト状態の懸濁液にアルミニウムおよび/または珪素を含む化合物を加えて、攪拌または混練することにより、上記の金属顔料の表面にアルミニウムおよび/または珪素を含む化合物が付着することにより、腐食抑制層を形成することができる。
【0117】
本発明においては、金属粒子形成工程の後に耐候被膜層を形成する工程(耐候被膜層形成工程)が含まれることが好ましい。耐候被膜層がアルミニウムおよび/または珪素を含む場合、前述のように、金属粒子が少なくとも形成された金属顔料と、アルミニウムおよび/または珪素を含む溶液とをスラリー状態またはペースト状態で撹拌または混練することにより水和膜を形成し、その後加熱によりアルミニウムおよび/または珪素の酸化物、水酸化物、水和物の少なくともいずれかの単独膜または混合物膜からなる耐候被膜層を形成することができる。また耐候被膜層がセリウムを含む場合には、酢酸セリウム、硝酸セリウム、セリウムアルコキシド、セリウムゾル等を溶解または分散した溶液中に、金属粒子が少なくとも形成された金属顔料を加え、塩基性雰囲気を保ちながら加熱攪拌または混練することによって、セリウムの酸化物、水酸化物、水和物の少なくともいずれかの単独膜または混合物膜からなる耐候被膜層を形成することができる。
【0118】
上記の耐候被膜層が形成される場合には、カップリング処理工程がさらに組み合わされることが好ましい。カップリング処理は、たとえば耐候被膜層がアルミニウムおよび/または珪素を含む場合は、金属粒子が形成された後の金属顔料と、アルミニウムおよび/または珪素を含む溶液とをスラリー状態またはペースト状態で攪拌または混練した後にカップリング剤を添加する方法等により行なわれ、耐候被膜層がセリウムを含む場合は、セリウム化合物の溶液または分散液に、金属粒子が形成された後の金属顔料を加え、塩基性雰囲気を保ちながら加熱攪拌または混練した後にカップリング剤を添加する方法等により行なわれる。また、耐候被膜層が形成された後の金属顔料をイソプロピルアルコール等の溶媒に分散させてスラリー化し、該スラリーにカップリング剤を添加する方法等も採用され得る。
【0119】
本発明においては、金属粒子形成工程の後に、樹脂被覆層(耐候被膜層としても作用する)を形成する工程(樹脂被覆層形成工程)を含めても良い。樹脂被覆層を形成する工程は、金属粒子が少なくとも形成された金属顔料をミネラルスピリット、ヘプタン、オクタン、イソパラフィンなどの非極性溶媒に分散し、さらに前述したモノマーを加え、不活性雰囲気下、50〜150℃、より好ましくは70〜100℃で攪拌混合しながら、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を添加する。その後、モノマーが十分重合するまで攪拌を継続し(1〜20時間、より好ましくは3〜10時間)、反応終了後スラリーを固液分離してペースト状組成物とすることにより、樹脂被覆層を形成することができる。
【0120】
上記のような方法で本発明の着色金属顔料を調製することができる。さらに、得られた着色金属顔料を塗料樹脂や必要に応じて他の着色顔料、体質顔料、染料、添加剤等と従来公知の方法で混合することにより、本発明の樹脂組成物を調製することができる。また、従来公知の方法により、本発明の着色金属顔料を含有した化粧料を調製することができる。
【実施例】
【0121】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
<実施例1>
過酸化水素30質量%を含む過酸化水素水3gに金属モリブデン粉末0.3gを少しずつ加え、反応させて得られた溶液をイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)500gに溶解し、さらに、金属顔料として市販のアルミニウム顔料(フレーク状アルミニウム、商品名:「5422NS」(東洋アルミニウム(株)製)、固形分:75質量%、平均粒径:19μm、平均厚み:1μm)を40g(すなわちアルミニウム分として30g)加え、75℃で1時間攪拌混合してスラリーを得た。このようにして、下地層としてモリブデン酸化物がその表面に形成された金属顔料を得た。
【0123】
その後、上記スラリーにアンモニア水と水80gとを加えスラリーのpH値を10.0に調整した。pHを調整したスラリー(すなわち下地層を形成した金属顔料を分散させた親水性溶剤を主成分とする溶剤)に、有機珪素化合物としてテトラエトキシシラン12gとIPA12gとを徐々に添加した。
【0124】
その後、温度を75℃に保持したまま、さらに、テトラエトキシシランを172gと、IPA172gとを徐々に添加し、同時にN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン3gとIPA100gとを徐々に添加し、最初のテトラエトキシシランの添加開始から合計6時間撹拌混合することにより、有機珪素化合物を加水分解して非晶質酸化珪素膜を金属顔料(の下地層)上に析出させた。その後、スラリーをフィルターで固液分離し、金属顔料の表面に非晶質酸化珪素膜層を形成した(非晶質酸化珪素膜層形成工程)。以下、この状態の金属顔料を「シリカコートアルミニウム顔料」という。
【0125】
次いで、上記で得られたシリカコートアルミニウム顔料10gを、塩化錫40gおよび塩酸2gを含む水溶液300gに攪拌分散し、スラリー温度を30℃に保ちながら、10%水酸化ナトリウム水溶液をpH値が7.0になるまで少しずつ滴下し、滴下終了後1時間攪拌を続けた。得られたスラリーを再度固液分離し水洗して、シリカコートアルミニウム顔料の表面に酸化錫層を析出させることにより金属粒子担持層(金属酸化物層)として酸化錫層を形成した(金属粒子担持層(金属酸化物層)形成工程)。以下、この状態の金属顔料を「金属粒子担持層被覆アルミニウム顔料」という。
【0126】
続いて、上記で得られた金属粒子担持層被覆アルミニウム顔料10gを、硝酸銀3g、ホルムアルデヒド2g、アンモニア水10gを含む無電解銀めっき液800gに分散し、30℃で1時間保持することにより、無電解めっき法によって金属粒子担持層の表面に金属粒子(銀粒子)を形成した(金属粒子形成工程)。以下、この状態の金属顔料を「金属粒子付着アルミニウム顔料」という。この金属粒子付着アルミニウム顔料は、金属粒子担持層上に金属粒子が一定の間隔を隔てて均一に形成されるもの(すなわち金属粒子が金属粒子担持層の一部を直接被覆するように形成されてなるもの)であった。
【0127】
このようにして得られた金属粒子付着アルミニウム顔料を固液分離し、乾燥することにより、本発明に係る着色金属顔料である着色アルミニウム顔料を得た。該着色アルミニウム顔料を目視で観察したところ、見る角度によってピンク色から緑色に変化する干渉色を呈し、かつ良好なメタリック感を有していた。
【0128】
このようにして得られた着色アルミニウム顔料50個の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、非晶質酸化珪素膜層の厚みの平均値は627nmであった。また、透過型電子顕微鏡を用いてこの着色アルミニウム顔料を観察したところ、金属粒子担持層(金属酸化物層)の厚みは2nmであり、金属粒子はその平均粒径が5nmであり、それが0.5nmの間隔を隔てて金属粒子担持層(金属酸化物層)上に均一に形成されていた。
【0129】
<比較例1>
特開2012−031232号公報(特許文献2)の実施例1と全く同様の方法により着色金属顔料を作製した。
【0130】
過酸化水素30質量%を含む過酸化水素水3gに金属モリブデン粉末0.3gを少しずつ加え、反応させて得られた溶液をイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)500gに溶解し、さらに、金属顔料として市販のアルミニウム顔料(フレーク状アルミニウム、商品名:「5422NS」(東洋アルミニウム(株)製)、固形分:75質量%、平均粒径:19μm、平均厚み:1μm)を40g(すなわちアルミニウム分として30g)加え、75℃で1時間攪拌混合してスラリーを得た。このようにして、下地層としてモリブデン酸化物がその表面に形成された金属顔料を得た。
【0131】
その後、上記スラリーにアンモニア水と水80gとを加えスラリーのpH値を10.0に調整した。pHを調整したスラリー(すなわち下地層を形成した金属顔料を分散させた親水性溶剤を主成分とする溶剤)に、有機珪素化合物としてテトラエトキシシラン40gを40gのIPAに溶解したものを徐々に滴下し、さらに75℃で2時間攪拌混合することにより、有機珪素化合物を加水分解して非晶質酸化珪素を金属顔料(下地層)上に析出させた。その後、スラリーをフィルターで固液分離し、金属顔料の表面に非晶質酸化珪素膜層を形成した(非晶質酸化珪素膜層形成工程)。以下、この状態の金属顔料を「シリカコートアルミニウム顔料」という。
【0132】
次いで、上記で得られたシリカコートアルミニウム顔料10gを、塩化錫40gおよび塩酸2gを含む水溶液300gに攪拌分散し、スラリー温度を30℃に保ちながら、10%水酸化ナトリウム水溶液をpH値が7.0になるまで少しずつ滴下し、滴下終了後1時間攪拌を続けた。得られたスラリーを再度固液分離し水洗して、シリカコートアルミニウム顔料の表面に酸化錫層を析出させることにより金属酸化物層として酸化錫層を形成した(金属酸化物層形成工程)。以下、この状態の金属顔料を「金属酸化物層被覆アルミニウム顔料」という。
【0133】
続いて、上記で得られた金属酸化物層被覆アルミニウム顔料10gを、硝酸銀3g、ホルムアルデヒド2g、アンモニア水10gを含む無電解銀めっき液800gに分散し、30℃で1時間保持することにより、無電解めっき法によって金属酸化物層の表面に金属粒子(銀粒子)を形成した(金属粒子形成工程)。以下、この状態の金属顔料を「金属粒子付着アルミニウム顔料」という。この金属粒子付着アルミニウム顔料は、金属酸化物層上に金属粒子が一定の間隔を隔てて均一に形成されるもの(すなわち金属粒子が金属酸化物層の一部を直接被覆するように形成されてなるもの)であった。
【0134】
このようにして得られた金属粒子付着アルミニウム顔料を固液分離し、乾燥することにより、青着色アルミニウム顔料を得た。該着色アルミニウム顔料を目視で観察したところ、見る角度によって青紫色から濃茶色に変化する干渉色を呈し、かつ良好なメタリック感を有していた。
【0135】
このようにして得られた着色アルミニウム顔料50個の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、非晶質酸化珪素膜層の厚みの平均値は70nmであった。また、透過型電子顕微鏡を用いてこの着色アルミニウム顔料を観察したところ、金属酸化物層の厚みは2nmであり、金属粒子はその平均粒径が5nmであり、それが0.5nmの間隔を隔てて金属酸化物層上に均一に形成されていた。
【0136】
<色調評価>
実施例1で得られた着色アルミニウム顔料をパウダー状にしたもの5gとニトロセルロースラッカー(商品名:「NCクリヤーTY」、斉藤塗料株式会社製)45gとを攪拌機(装置名:「MAZERUSTAR」、倉敷紡績株式会社製)を用いて混合し測色用の塗料を調製した。上記塗料を9milのドクターブレードを用いて、アート紙にドローダウンし測色用の塗紙を作製した。比較例1で得られた着色アルミニウム顔料についても同様にして測色用の塗紙を作製した。
【0137】
塗紙が乾燥した後、変角測色システム(商品名:「GCMS−4型」)および変角分光光度計システム(商品名:「GSP-2型」)(いずれも村上色彩技術研究所製)を用いて、上記塗紙についてそれぞれ測色を行なった。
【0138】
なお、測色は、入射角45°の時の受光角がそれぞれ40°、50°、60°、70°、80°の時のL
*a
*b
*表色系のa
*値、b
*値を測定した。その結果を表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
表1より明らかなように、実施例1と比較例1との結果を比較すると、受光角40°の場合のa
*値と、受光角80°の場合のa
*値とでは、実施例1の方がa
*値の変化が比較例1よりもかなり大きくなっている。このため、実施例1の方が見る角度による色調の変化が大きくなっていることがわかる。これは実施例1の非晶質酸化珪素膜層の厚みが500nmを超えていることによるものと推察される。
【0141】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0142】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。