(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
観測装置によって観測された事象を表す事象情報と、前記事象に応じて水処理設備においてなされた操作を表す操作情報と、前記事象が観測された時刻である観測時刻とが対応付けられた履歴情報を取得し、前記事象情報における変化量を、複数の時刻について算出する算出部と、
算出された変化量に基づいて、前記変化量が算出される対象の時刻である対象時刻の間隔を変化させる時間帯を特定する特定部と、
特定された時間帯の前記対象時刻の間隔を、前記特定された時間帯以外の前記対象時刻の間隔よりも短くするよう、前記算出部を制御する変更部と、
前記特定された時間帯について、前記事象情報と、前記操作情報と、前記観測時刻又は前記対象時刻との組を含む提示用情報を、前記履歴情報に基づいて作成する作成部と、
を備え、
前記特定部は、前記事象が発生した場所から前記水処理設備までの距離に応じて、前記時間帯の開始時刻を定める、
情報作成装置。
観測装置によって観測された事象を表す事象情報と、前記事象に応じて水処理設備においてなされた操作を表す操作情報と、前記事象が観測された時刻である観測時刻とが対応付けられた履歴情報を取得し、前記事象情報における変化量を、複数の時刻について算出する算出部と、
算出された変化量に基づいて、前記変化量が算出される対象の時刻である対象時刻の間隔を変化させる時間帯を特定する特定部と、
特定された時間帯の前記対象時刻の間隔を、前記特定された時間帯以外の前記対象時刻の間隔よりも短くするよう、前記算出部を制御する変更部と、
前記特定された時間帯について、前記事象情報と、前記操作情報と、前記観測時刻又は前記対象時刻との組を含む提示用情報を、前記履歴情報に基づいて作成する作成部と、
前記提示用情報を表示する表示部と、
前記履歴情報を記憶するデータベースと、
を備え、
前記特定部は、前記事象が発生した場所から前記水処理設備までの距離に応じて、前記時間帯の開始時刻を定める、
情報作成システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の情報作成装置、情報作成システム、及び情報作成方法を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の情報作成システム1aの構成を示す図である。情報作成システム1aは、対象設備10と、制御装置20と、第1観測装置30と、第2観測装置31と、第3観測装置32と、中継装置40と、情報作成装置50と、情報端末60とを備える。
【0008】
情報作成装置50と情報端末60は、例えば、情報作成システム1aの中央操作室に備えられる。情報作成システム1aは、以下に説明する処理によって履歴情報(ヒストリカル・トレンドデータ)を作成する。情報作成システム1aは、作成した履歴情報に基づいて、マニュアル(手引書)として使用可能な提示用情報を作成する。提示用情報は、対象設備10の事象情報(トレンドデータ)と操作情報と時刻との組を、時系列に並べた情報である。情報作成システム1aは、作成した提示用情報を、対象設備10の運転員(オペレータ)などに提示する。
【0009】
事象情報は、対象設備10の敷地内や敷地外において、各種の観測装置によって観測された事象を表す情報である。これら観測された事象は、例えば、雨雲に含まれる水分の量、局地的な豪雨による降雨量、原水の濁度、取水元の河川の水位、対象設備10における水位、又は、原水の温度である。これらの事象は、連続値や離散値で表現されてもよい。また、操作情報は、対象設備10において運転員によってなされた操作を表す情報である。
【0010】
対象設備10は、情報作成装置50によって監視される対象の設備である。対象設備10は、どのような設備でもよく、特定の設備に限定されない。例えば、対象設備10は、浄水場、下水処理場、又は産業排水処理設備でもよい。第1の実施形態では、対象設備10は、一例として、浄水場である。対象設備10は、取水ゲート11と、沈砂池12と、水位計13と、着水井14と、濁度計15と、ポンプP1と、フロック形成池16と、沈澱池17と、ポンプP2と、ろ過池18と、混和池19と、浄水池CWと、バルブBLとを備える。
【0011】
取水ゲート11は、開度に応じて原水を通過させることにより、沈砂池12に原水を供給する。
沈砂池12は、原水に含まれる土砂などを沈殿させて、土砂などを原水から除くための池である。
水位計13は、沈砂池12の水位を測定する。水位計13は、沈砂池12の水位を表す情報を、制御装置20に出力する。水位を表す情報は、例えば、メートル単位で表される値である。
【0012】
着水井14は、フロック形成池16に供給する水の量を調整するための池である。
濁度計15は、着水井14の水の濁度を測定する。濁度計15は、着水井14の水の濁度を表す情報を、制御装置20に出力する。濁度を表す情報は、例えば、ホルマジン標準液を用いて規定される単位(FTU:Formazin Turbidity Unit) で表される値、NTU(Nephelometric Turbidity Unit)単位で表される値である。
【0013】
ポンプP1は、制御装置20による制御に応じて、着水井14の水をフロック形成池16に供給する。ポンプP1は、運転員による手動操作に応じて、着水井14の水をフロック形成池16に供給してもよい。
フロック形成池16は、注入された凝集剤によって、供給された水に含まれる土砂等から濁質の塊(フロック)を形成する。
【0014】
沈澱池17は、形成された濁質の塊を沈澱させるための池である。
ポンプP2は、制御装置20による制御に応じて、沈澱池17の水をろ過池18に供給する。ポンプP2は、運転員による手動操作に応じて、沈澱池17の水をろ過池18に供給してもよい。
【0015】
ろ過池18では、沈澱池17で形成された濁質の塊を、ろ過砂がろ過する。
混和池19では、注入された薬品が、ろ過された水を消毒する。この薬品は、例えば、塩素やオゾンである。
浄水池CWは、混和池19で消毒された水を溜める。
バルブBLは、制御装置20による制御に応じて、浄水池CWの水を対象設備10の外に供給する。バルブBLは、運転員による手動操作に応じて、浄水池CWの水を対象設備10の外に供給してもよい。
【0016】
制御装置20は、情報作成装置50から中継装置40を介して受信した操作情報に基づいて、対象設備10を制御する。制御装置20は、通信部21と、制御部22と、データベース23とを備える。通信部21と、制御部22との一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0017】
通信部21は、対象設備10の事象情報を、対象設備10から取得する。対象設備10の事象情報は、例えば、対象設備10の敷地内の雨の量を表す情報、沈砂池12の水位情報、着水井14の水の濁度情報や、管渠の水の流量情報である。
【0018】
通信部21は、第1観測装置30から中継装置40を介して、第1観測装置30が観測した事象を表す情報を受信する。第1観測装置30が観測した事象を表す情報は、例えば、対象設備10の敷地外の上空の雨雲に含まれている水分の水分量情報である。
【0019】
通信部21は、第2観測装置31から中継装置40を介して、第2観測装置31が観測した事象を表す情報を受信する。第2観測装置31が観測した事象を表す情報は、例えば、第1の取水元における水位情報である。
【0020】
通信部21は、第3観測装置32から中継装置40を介して、第3観測装置32が観測した事象を表す情報を受信する。第3観測装置32が観測した事象を表す情報は、例えば、第2の取水元における水位情報である。
【0021】
通信部21は、情報作成装置50から中継装置40を介して、操作情報を受信する。通信部21は、検索要求情報を、情報作成装置50から中継装置40を介して受信する。検索要求情報は、履歴情報を検索した結果である検索結果を要求する情報である。履歴情報は、対象設備10の事象情報と操作情報と時刻との組の履歴を含む。対象設備10の事象情報は、第1観測装置30、第2観測装置31、又は第3観測装置32が観測した事象を表す情報を含んでもよい。通信部21は、制御部22から取得した検索結果を、中継装置40に送信する。
【0022】
制御部22は、情報作成装置50から中継装置40を介して受信した操作情報を、通信部21から取得する。操作情報は、凝集剤などの薬品の注入量を定める情報、紫外線の照射量を定める情報、取水ゲート11の開度を定める情報、ポンプP1の運転情報、ポンプP2の運転情報や、バルブBLの開度を定める情報等を含んでもよい。操作情報は、対象設備10の操作モードが自動又は手動のいずれであるかを表す情報等を含んでもよい。
【0023】
制御部22は、受信した操作情報に基づいて、通信部21を介して対象設備10に制御情報を出力する。制御情報は、対象設備10を制御する情報である。制御情報は、機器を駆動するための電力の電圧値や電流値を表す情報を含んでもよい。
【0024】
制御部22は、対象設備10に関する事象が、第1観測装置30、第2観測装置31又は第3観測装置32によって観測された場合、対象設備10の事象情報を、通信部21から取得する。制御部22は、対象設備10に関する事象が、水位計13又は濁度計15によって観測された場合、対象設備10の事象情報を、通信部21から取得する。制御部22は、対象設備10の事象情報と操作情報と時刻との組に基づいて、履歴情報を作成する。制御部22は、作成された履歴情報を、データベース23に記憶させる。
【0025】
制御部22は、情報作成装置50から中継装置40を介して受信した検索要求情報を、通信部21から取得する。制御部22は、データベース23に記憶されている履歴情報を、検索要求情報に応じて検索する。制御部22は、この検索結果を、通信部21と中継装置40を介して、情報作成装置50に送信する。
【0026】
制御部22は、第1観測装置30が観測した事象を表す情報と、第2観測装置31が観測した事象を表す情報と、第3観測装置32が観測した事象を表す情報とを、通信部21から取得する。制御部22は、大雨などの異常時では、平常時と比較して相対的に短い時刻の間隔で第1観測装置30が観測した事象を表す情報を、相対的に短い時刻の間隔で繰り返し取得してもよい。制御部22は、第1観測装置30、第2観測装置31、又は第3観測装置32が観測した事象を表す情報を時刻に対応付けて、履歴情報を作成してもよい。制御部22は、作成された履歴情報をデータベース23に記憶させる。
【0027】
制御部22は、特定個所を表す印を、履歴情報に付与する。特定個所を表す印は、例えば、キーワードで表されてもよい。キーワードは、例えば、「自動」、「手動」、「開始」、「変更」、「閾値」、「最大値」や「最小値」などである。キーワードは、対象設備10の操作情報の勘所(ポイント)を表す単語として、予め定められる。キーワードは、対象設備10の異常を表す単語として、予め定められてもよい。制御部22は、検索要求情報に応じた特定個所を表す印が付与された情報を、履歴情報から検索可能である。制御部22は、検索結果を通信部51に送信する。
【0028】
制御部22は、データベース23の空き容量が所定容量以下になった場合、通信部21を介して、情報作成装置50と情報端末60にアラームを送信してもよい。制御部22は、データベース23の空き容量が所定容量以下になった場合、データベース23が記憶している履歴情報の少なくとも一部を、不揮発性の記憶媒体に保存してもよい。この記憶媒体は、例えば、光ディスクである。
【0029】
データベース23は、作成された履歴情報を記憶する。データベース23は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ(非一時的な記憶媒体)を有してもよい。したがって、データベース23は、停電しても履歴情報を保持することができる。また、この不揮発性メモリは、制御部22がプロセッサである場合、制御部22を動作させるためのプログラムを記憶してもよい。
以下、単位時間あたりの変化量を「変化量」という。
【0030】
図2は、第1の実施形態における、履歴情報の例を示す図である。履歴情報の項目は、年月日、時刻、事象及び操作である。
図2に示す履歴情報では、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t1」と、事象「第1観測装置が観測した雨量の変化量は、閾値ΔR1以上」とが対応付けられている。また、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t2」と、事象「第2観測装置が観測した濁度の変化量は、閾値ΔN1以上」とが対応付けられている。
【0031】
図2に示す履歴情報では、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t3」と、事象「第3観測装置が観測した濁度の変化量は、閾値ΔN2以上」とが対応付けられている。また、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t4」と、事象「濁度計が観測した濁度の変化量は、閾値ΔN3以上。水位計が観測した水位は、閾値L0以上」とが対応付けられている。
【0032】
図2に示す履歴情報では、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t5」と、操作「ポンプP1が運転を開始」と、事象「濁度計が観測した濁度は、N4」とが対応付けられている。また、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t7」と、事象「水位計が観測した水位は、L1」とが対応付けられている。また、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t9」と、事象「濁度計が観測した濁度の変化量は、閾値ΔN4以下」とが対応付けられている。
【0033】
図2に示す履歴情報では、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t10」と、操作「運転員は、取水ゲートを閉じた」とが対応付けられている。また、年月日「2014年12月1日」と、時刻「t12」と、事象「水位計が観測した水位は、閾値L0未満」とが対応付けられている。
【0034】
図1に戻り、情報作成システム1aの構成の説明を続ける。第1観測装置30は、対象設備10の敷地外に予め定められたエリアの事象を観測し、観測した事象を表す事象情報を中継装置40に出力する。例えば、第1観測装置30は、雨量計である場合、定められたエリアに振った雨の量を観測してもよい。また、例えば、第1観測装置30は、雨量レーダである場合、定められたエリアに雨が降る前の雨雲の水分の量を観測してもよい。第1観測装置30は、大雨などの異常時では、事象を観測する時刻の間隔を、平常時と比較して短い時刻の間隔としてもよい。なお、第1観測装置30は、平常時である異常時であるかにかかわらず、固定の時刻の間隔で事象を観測してもよい。
【0035】
第2観測装置31は、対象設備10の敷地外に予め定められたエリアの事象を観測し、観測した事象を表す事象情報を中継装置40に出力する。例えば、第2観測装置31は、濁度計である場合、定められたエリアに振った雨の濁度を観測してもよい。第2観測装置31は、大雨などの異常時では、事象を観測する時刻の間隔を、平常時と比較して短い時刻の間隔としてもよい。第3観測装置32についても同様である。なお、第2観測装置31と第3観測装置32は、平常時である異常時であるかにかかわらず、固定の時刻の間隔で事象を観測してもよい。
【0036】
第1観測装置30と、第2観測装置31と、第3観測装置32とのうち、観測対象の事象が発生した場所から対象設備10までの距離が最も長い装置は、一例として、第1観測装置30である。したがって、第1観測装置30が事象を観測してから、その事象による影響が対象設備10に生じるまでの遅延時間D1は、第2観測装置31の遅延時間D2と、第3観測装置32の遅延時間D3のそれぞれと比較して最も長い。対象設備10の運転員は、履歴情報に基づいて、遅延時間D1とD2とD3とを定めることができる。
【0037】
また、第1観測装置30と、第2観測装置31と、第3観測装置32とのうち、観測対象の事象が発生した場所から対象設備10までの距離が最も短い装置は、一例として、第3観測装置32である。したがって、第3観測装置32が事象を観測してから、その事象による影響が対象設備10に生じるまでの遅延時間D3は、第2観測装置31の遅延時間D2と、第1観測装置30の遅延時間D1とのそれぞれと比較して最も短い。
【0038】
中継装置40は、第1観測装置30が観測した事象を表す事象情報を、通信回線を介して第1観測装置30から取得する。中継装置40は、第1観測装置30が観測した事象を表す事象情報を、制御装置20に転送する。
【0039】
中継装置40は、第2観測装置31が観測した事象を表す事象情報を、通信回線を介して第2観測装置31から取得する。中継装置40は、第2観測装置31が観測した事象を表す事象情報を、制御装置20に転送する。
【0040】
中継装置40は、第3観測装置32が観測した事象を表す事象情報を、通信回線を介して第3観測装置32から取得する。中継装置40は、第3観測装置32が観測した事象を表す事象情報を、制御装置20に転送する。
【0041】
中継装置40は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して、制御装置20、情報作成装置50や情報端末60との通信を実行する。中継装置40は、情報作成装置50から取得した操作情報を、制御装置20に転送する。中継装置40は、情報作成装置50から取得した検索要求情報を、制御装置20に転送する。中継装置40は、情報作成装置50から取得した提示用情報を、制御装置20に転送する。中継装置40は、情報作成装置50から取得した提示用情報を、情報端末60に転送してもよい。情報端末60については後述する。
【0042】
中継装置40は、制御装置20から取得した対象設備10の事象情報を、情報作成装置50に転送する。中継装置40は、制御装置20から取得した履歴情報を、情報作成装置50に転送する。中継装置40は、制御装置20から取得した検索結果を、情報作成装置50に転送する。
【0043】
情報作成装置50(HIS:Human Interface Station)は、提示用情報を作成する。情報作成装置50は、通信部51と、操作部52と、記憶部53と、制御部54と、表示部55とを備える。
【0044】
通信部51は、制御部54から取得した操作情報を、中継装置40に送信する。通信部51は、制御部54から取得した検索要求情報を、中継装置40に送信する。通信部51は、制御部54から取得した提示用情報を、中継装置40に送信する。
【0045】
通信部51は、第1観測装置30が観測した事象を表す事象情報を、中継装置40から取得する。通信部51は、第2観測装置31が観測した事象を表す事象情報を、中継装置40から取得する。通信部51は、第3観測装置32が観測した事象を表す事象情報を、中継装置40から取得する。通信部51は、対象設備10の敷地外の事象情報を、中継装置40に送信する。通信部51は、対象設備10の事象情報を、中継装置40から取得する。通信部51は、対象設備10の事象情報を、制御部54に送信する。通信部51は、中継装置40から取得した履歴情報を、制御部54に送信する。
【0046】
操作部52は、運転員による操作を受け付ける。操作部52は、運転員による操作に応じた操作信号を、制御部54に出力する。運転員による操作に応じた操作信号は、例えば、提示用情報を作成する対象とする時間帯を表す信号である。操作部52は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルである。操作部52は、タッチパネルである場合、表示部55と一体でもよい。
【0047】
記憶部53は、RAM(Random Access Memory)やレジスタ等の揮発性メモリを有する。記憶部53は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ(非一時的な記憶媒体)を有してもよい。この不揮発性メモリは、CPU等のプロセッサを動作させるためのプログラムを記憶する。
【0048】
また、記憶部53は、時間帯の開始時刻を定める条件と、時間帯の終了時刻を定める条件とを記憶する。この時間帯とは、制御部54が履歴情報から特定する時間帯である。制御部54が履歴情報から時間帯を特定する処理については後述する。
【0049】
図3は、第1の実施形態における、時間帯の開始時刻を定める条件を示す図である。時間帯の開始時刻を定める条件には、事象と、遅延時間と、設定とがある。
図3に示す事象は、時間帯の開始時刻を定める条件となる事象である。
図3に示す遅延時間は、観測された事象が発生した場所から対象設備10までの距離に応じて定められる。例えば、観測された事象が発生した場所から対象設備10までの距離が長いほど、その事象が対象設備10に影響を与える時刻は遅れるからである。
図3に示す設定は、時間帯の開始時刻を定める条件が有効であるか無効であるかを事象ごとに指定する設定情報である。この設定は、例えば、作業員に操作された操作部52を介して、有効又は無効に定められる。
【0050】
図4は、第1の実施形態における、時間帯の終了時刻を定める条件を示す図である。時間帯の終了時刻を定める条件には、事象と、遅延時間と、設定とがある。
図4に示す事象は、時間帯の終了時刻を定める条件となる事象である。
図4に示す遅延時間は、観測された事象が発生した場所から対象設備10までの距離に応じて定められる。例えば、観測された事象が発生した場所から対象設備10までの距離が長いほど、その事象が対象設備10に影響を与える時刻は遅れるからである。
図4に示す設定は、時間帯の終了時刻を定める条件が有効であるか無効であるかを事象ごとに指定する設定情報である。この設定は、例えば、作業員に操作された操作部52を介して、有効又は無効に定められる。
【0051】
制御部54は、監視部540と、算出部541と、特定部542と、変更部543と、作成部544とを備える。監視部540と、算出部541と、特定部542と、変更部543と、作成部544との一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0052】
監視部540は、通信部51を介して、対象設備10の事象情報を取得する。監視部540は、現在の対象設備10の事象情報を、表示部55に表示させる。これにより、運転員は、現在の対象装置10の事象情報を監視することができる。監視部540は、現在の対象設備10の事象情報を、特定の事象ごとに表示部55に表示させてもよい。これにより、運転員は、現在の対象装置10の事象情報の情報量が多い場合でも、現在の対象装置10の事象情報を、特定の事象ごとに監視することができる。特定の事象は、例えば、対象装置10に発生した異常を表す事象や、対象装置10の運転状態を表す事象である。監視部540は、対象装置10に発生した異常を作業員に通知するため、表示部55にアラームを表示させる。
【0053】
監視部540は、通信部51から取得した検索結果を、表示部55に表示させてもよい。監視部540は、運転員による操作に応じた操作信号に基づいて、検索要求情報を通信部51に送信する。監視部540は、制御装置20のデータベース23に記憶されている履歴情報を、制御装置20の制御部22と同様に、検索要求情報に応じて検索してもよい。
【0054】
監視部540は、運転員が操作部52を操作した場合、通信部51を介して、制御装置20の制御部22に検索要求情報を送信する。制御部22は、検索要求情報に応じた特定個所を表す印が付与された情報を、履歴情報から検索する。制御部22は、検索結果を通信部51に送信する。これにより、対象設備10の運転員は、過去に発生した大雨などの異常時の履歴情報を、データベース23から容易に呼び出すことができる。
【0055】
図5は、第1の実施形態における、履歴情報のグラフ画像551の例を示す図である。
図5に示す履歴情報のグラフは、
図2に示す履歴情報をグラフ化したものである。
図5に示す履歴情報のグラフの横軸は、時刻を示す。
図5に示す履歴情報のグラフの縦軸は、事象情報又は操作情報を示す。履歴情報のグラフ画像551は、例えば、表示部55に表示される。
【0056】
グラフ画像551は、履歴情報のグラフと、開始時刻指定領域552と、終了時刻指定領域553を含む。開始時刻指定領域552は、操作部52を介して、時間帯の開始時刻を作業員が特定部542に指定するための領域である。終了時刻指定領域553は、操作部52を介して、時間帯の終了時刻を作業員が特定部542に指定するための領域である。操作部52は、これらの領域に作業員が時間帯を指定した場合には、時間帯情報を表す信号を特定部542に出力する。
【0057】
図5に示す例では、上段から1段目の事象情報は、第1観測装置30が観測した雨量を表す情報である。雨量を表す情報は、例えば、ミリメートル単位で表される値である。上段から2段目の事象情報は、第2観測装置31が観測した濁度を表す情報である。上段から3段目の事象情報は、第3観測装置32が観測した濁度を表す情報である。上段から4段目の事象情報は、水位計13が観測した沈砂池12の水位を表す情報である。上段から5段目の事象情報は、濁度計15が観測した着水井14の水の濁度を表す情報である。上段から6段目の操作情報は、ポンプP1の運転状態を表す情報である。ポンプP1は、一例として、時刻t5に運転を開始した。上段から7段目の操作情報は、取水ゲート11の運転状態の情報である。取水ゲート11は、一例として、時刻t10に閉じられた。
【0058】
算出部541は、事象が観測された時刻である観測時刻から所定時間が経過した以降に、履歴情報をデータベース23から取得する。この所定時間とは、例えば、1日間、1週間、又は1カ月間である。したがって、算出部541は、観測された事象が収束してから、履歴情報をデータベース23から取得してもよい。算出部541は、この取得した履歴情報に含まれている事象情報における変化量(時間微分された値)を、複数の時刻について算出する。
【0059】
図5に示す例では、算出部541は、観測された事象に応じた曲線の変化量を、時刻t0からt13の順に、それぞれの時刻について算出する。
図5に示す例では、一例として、第1観測装置30が観測した事象に応じた曲線の変化量(傾き)は、時刻t1に閾値ΔR1以上となった。また、一例として、第2観測装置31が観測した事象に応じた曲線の変化量(傾き)は、時刻t2に閾値ΔR2以上となった。また、一例として、第3観測装置32が観測した事象に応じた曲線の変化量(傾き)は、時刻t3に閾値ΔR3以上となった。また、一例として、濁度計15が観測した濁度に応じた曲線の変化量(傾き)は、時刻t4に閾値ΔN3以上となった。また、一例として、濁度計15が観測した濁度に応じた曲線の変化量(傾き)は、時刻t9に閾値ΔN4未満となった。
【0060】
特定部542は、
図3に示す時間帯の開始時刻を定める各条件を、記憶部53から取得する。特定部542は、時間帯の開始時刻を定める各条件のうち、設定が有効である条件を抽出する。特定部542は、抽出した条件の少なくとも一つを算出部541によって算出された変化量が満たす場合、履歴情報に含まれた時間帯の開始時刻を特定する。
【0061】
図5に示す履歴情報のグラフ画像551の例では、特定部542は、事象「第1観測装置が観測した雨量の変化量が、閾値ΔR1以上」を満たした時刻t1から、遅延時間D1が経過した時刻t4を、時間帯の開始時刻と特定する。この時刻t4は、第1観測装置30が観測した雨量が対象設備10に影響を与えたと予想される時刻である。
【0062】
また、特定部542は、事象「第2観測装置が観測した濁度の変化量が、閾値ΔN1以上」を満たした時刻t2から、遅延時間D2が経過した時刻t4を、時間帯の開始時刻と特定してもよい。この時刻t4は、第2観測装置31が観測した濁度が対象設備10に影響を与えたと予想される時刻である。
【0063】
特定部542は、事象「第3観測装置が観測した濁度の変化量が、閾値ΔN2以上」を満たした時刻t3から、遅延時間D3が経過した時刻t4を、時間帯の開始時刻と特定してもよい。また、特定部542は、事象「濁度計が観測した濁度の変化量が、閾値ΔN3以上」を満たした時刻t4から、遅延時間0が経過した時刻t4を、時間帯の開始時刻と特定してもよい。なお、特定部542は、事象「水位計が観測した水位が、閾値L0以上」を満たした時刻t4から、遅延時間0が経過した時刻t4を、時間帯の開始時刻と特定してもよい。
【0064】
特定部542は、
図4に示す時間帯の終了時刻を定める各条件を、記憶部53から取得する。特定部542は、時間帯の終了時刻を定める各条件のうち、設定が有効である条件を抽出する。特定部542は、抽出した条件の少なくとも一つを算出部541によって算出された変化量が満たす場合、履歴情報に含まれた時間帯の終了時刻を特定する。
【0065】
図5に示す履歴情報のグラフ画像551の例では、特定部542は、事象「濁度計が観測した濁度の変化量は、閾値ΔN4未満」を満たした時刻t9から、遅延時間D4が経過した時刻t12を、時間帯の終了時刻と特定する。また、特定部542は、事象「濁度計が観測した濁度の変化量が閾値ΔN4未満、かつ、水位計が観測した水位が閾値L0未満」を満たした時刻t12から、遅延時間0が経過した時刻t12を、時間帯の終了時刻と特定してもよい。
【0066】
なお、特定部542は、開始時刻指定領域552と終了時刻指定領域553とに作業員が時間帯を指定した場合には、時間帯情報を表す信号を操作部52から取得し、取得した時間帯情報に基づいて時間帯を特定してもよい。
【0067】
変更部543は、特定された時間帯について変化量が算出される対象の時刻である対象時刻の間隔T2を、特定された時間帯以外について変化量が算出される対象の時刻である対象時刻の間隔T1よりも短くするよう、算出部541を制御する。例えば、変更部543は、異常時を表すトリガー信号に応じて特定された時間帯では、データをサンプリングする周期を、特定された時間帯以外(通常時)よりも短くしてもよい。
図5に示す例では、特定された時間帯以外の時刻t0からt3までは、算出部541は、事象に応じた曲線の変化量(傾き)を、間隔T1である時刻t0、t1、t2、t3のそれぞれについて算出する。これに対し、特定された時間帯の時刻t4からt12までは、算出部541は、事象に応じた曲線の変化量(傾き)を、間隔T1よりも短い間隔T2である時刻t4からt12のそれぞれについて算出する。
【0068】
作成部544は、特定部542によって特定された時間帯の履歴情報を、通信部51を介して、制御装置20から取得する。作成部544は、特定部542によって特定された時間帯について、所定条件を満たす事象情報と、操作情報と、観測時刻又は対象時刻との組を、履歴情報から抽出する。この所定条件は、どのような条件でもよく、特定の条件に限定されない。例えば、この所定条件は、特定個所を表す印が付与されている事象情報であるという条件である。例えば、作成部544は、特定個所を表す印としてのキーワードが付与されている事象情報と操作情報と時刻との組を、履歴情報から抽出する。キーワードは、例えば、「自動」、「手動」、「開始」、「変更」、「閾値」、「最大値」や「最小値」などである。
【0069】
作成部544は、事象情報を表す値と閾値との大小関係に基づいて、事象情報と時刻との組を履歴情報から抽出してもよい。作成部544は、事象情報を表す値が所定時間帯における最大値である否かに基づいて、履歴情報から事象情報と時刻との組を抽出してもよい。
【0070】
作成部544は、抽出された事象情報と操作情報と時刻との組に基づいて、提示用情報を作成する。例えば、作成部544は、抽出された事象情報と操作情報と時刻との組を時系列に並べることによって、提示用情報を作成する。作成部544は、提示用情報を表示部55に出力する。この提示用情報は、表示部55に表示される。作成部544は、通信部51を介して、提示用情報を情報端末60に送信してもよい。この提示用情報は、情報端末60の表示部65に表示される。作成部544は、通信部51を介して、提示用情報を制御装置20に送信してもよい。この提示用情報は、制御装置20のデータベース23に記憶される。
【0071】
図6は、第1の実施形態における、提示用情報の例を示す図である。提示用情報は、特定された時間帯(時刻t4からt12まで)における履歴情報を、時刻の間隔T1よりも短い時刻の間隔T2で含んでいる。このため、提示用情報は、対象設備10の事象情報と操作情報の勘所(ポイント)を含み、対象設備10のマニュアル(手引書)として使用可能である。また、提示用情報は、履歴情報と比較して情報量が少ないため、データベース23の容量が小さい場合でも、データベース23に長期間記憶させておくことができる。
【0072】
図1に戻り、情報作成システム1aの構成の説明を続ける。表示部55は、表示装置である。表示部55は、画面を備える。表示部55は、提示用情報を表示する。表示部55は、現在の対象設備10の事象情報を表示する。表示部55は、対象設備10の履歴情報を表示する。表示部55は、対象設備10の履歴情報のグラフ画像551を表示する。表示部55は、履歴情報から特定個所を検索した結果を表示する。表示部55は、現在の対象設備10の事象情報のグラフと、現在の操作情報のグラフとを、グラフ画像551と同様に表示してもよい。
【0073】
情報端末60は、情報作成装置50と同様に対象設備10を監視する装置である。情報端末60は、通信部61と、操作部62と、記憶部63と、制御部64と、表示部65とを備える。通信部61は、情報作成装置50の通信部51と同じ構成を有してもよい。操作部62は、情報作成装置50の操作部52と同じ構成を有してもよい。記憶部63は、情報作成装置50の記憶部53と同じ構成を有してもよい。制御部64は、情報作成装置50の制御部54と同じ構成を有してもよい。表示部65は、情報作成装置50の表示部55と同じ構成を有してもよい。表示部65は、情報作成装置50の表示部55が表示している事象情報とは異なる事象情報について、現在の対象装置10の事象情報を表示してもよい。
【0074】
次に、情報作成システム1aの動作を説明する。
図7は、第1の実施形態における、情報作成システム1aの動作を示す図である。
算出部541は、観測された事象を表す事象情報と、対象設備10においてなされた操作を表す操作情報と、時刻とが対応付けられた履歴情報を取得する(ステップS101)。
算出部541は、履歴情報に含まれている事象情報における変化量を、履歴情報に含まれている時刻について算出する(ステップS102)。
【0075】
特定部542は、算出された変化量が時間帯の開始時刻の条件を満たすか否かを判定する(ステップS103)。算出された変化量が時間帯の開始時刻の条件を満たさない場合(ステップS103:NO)、特定部542は、履歴情報について変化量が算出される対象の時刻である対象時刻を、時刻の間隔T1だけ進める(ステップS104)。
【0076】
算出された変化量が時間帯の開始時刻の条件を満たす場合(ステップS103:YES)、特定部542は、変化量を算出した直近の時刻を、提示情報を作成する対象の時間帯の開始時刻とする(ステップS105)。
算出部541は、履歴情報に含まれている事象情報における変化量を算出する(ステップS106)。
【0077】
特定部542は、算出された変化量が時間帯の終了時刻の条件を満たすか否かを判定する(ステップS107)。算出された変化量が時間帯の終了時刻の条件を満たさない場合(ステップS107:NO)、特定部542は、履歴情報について変化量が算出される対象の時刻である対象時刻を、時刻の間隔T2だけ進める(ステップS108)。
【0078】
算出された変化量が時間帯の終了時刻の条件を満たす場合(ステップS107:YES)、特定部542は、変化量を算出した直近の時刻を、提示情報を作成する対象の時間帯の終了時刻とする(ステップS109)。
【0079】
作成部544は、開始時刻と終了時刻によって特定された時間帯について、事象情報と、操作情報と、観測時刻又は対象時刻との組を、履歴情報から抽出する(ステップS110)。
作成部544は、抽出した組を時系列に並べた提示用情報を作成する(ステップS111)。
【0080】
以上のように、第1の実施形態の情報作成装置50は、算出部541と、特定部542と、変更部543と、作成部544とを持つ。算出部541は、観測装置によって観測された事象を表す事象情報と、事象に応じて対象設備10においてなされた操作を表す操作情報と、事象が観測された時刻である観測時刻とが対応付けられた履歴情報を取得し、事象情報における変化量を、複数の時刻について算出する。特定部542は、算出された変化量に基づいて、時刻の間隔を変化させる時間帯を特定する。変更部543は、特定された時間帯の対象時刻の間隔を、特定された時間帯以外の対象時刻の間隔よりも短くするよう、算出部541を制御する。作成部544は、特定された時間帯について、事象情報と、操作情報と、観測時刻又は対象時刻との組を含む提示用情報を、履歴情報に基づいて作成する。
【0081】
これにより、第1の実施形態の情報作成装置50、情報作成システム1a、及び情報作成方法は、対象設備10に関する履歴情報の活用をより容易にできる。すなわち、第1の実施形態の情報作成装置50、情報作成システム1a、及び情報作成方法は、対象設備10に関する履歴情報から抽出した提示用情報を、特定の時間帯について詳細に残すことができる。
【0082】
第1の実施形態の情報作成装置50、情報作成システム1a、及び情報作成方法は、対象設備10の操作情報を含む提示用情報(手引書)を、演算量を抑えて履歴情報から作成することができる。この結果、対象設備10の運転員は、台風、豪雨や洪水が発生した場合でも、マニュアル(手引書)として使用可能な提示用情報(
図6を参照)に基づいて、対象設備10を安全に運転することができる。
【0083】
第1の実施形態のデータベース23のハードディスクドライブは、履歴情報と、他のデータとを区別して、それぞれ別の記憶領域に記憶してもよい。これにより、第1の実施形態のデータベース23は、ハードディスクドライブの記憶領域が満杯になって、古い他のデータが消去されても、異常時の重要な履歴情報を記憶し続けることができる。
【0084】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、対象施設が下水処理場である点が、第1の実施形態と相違する。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0085】
図8は、第2の実施形態における、情報作成システム1bの構成を示す図である。情報作成システム1bは、対象設備70と、制御装置20と、第1観測装置30と、第2観測装置31と、第3観測装置32と、中継装置40と、情報作成装置50と、情報端末60とを備える。
【0086】
情報作成装置50と情報端末60は、例えば、情報作成システム1bの中央操作室に備えられる。情報作成システム1bは、以下に説明する処理によって履歴情報(ヒストリカル・トレンドデータ)を作成する。情報作成システム1bは、作成した履歴情報に基づいて、マニュアル(手引書)として使用可能な提示用情報を作成する。提示用情報は、対象設備70の事象情報(トレンドデータ)と操作情報と時刻との組を、時系列に並べた情報である。情報作成システム1bは、作成した提示用情報を、対象設備70の運転員(オペレータ)などに提示する。
【0087】
事象情報は、対象設備70の敷地内や敷地外において、各種の観測装置によって観測された事象を表す情報である。これら観測された事象は、例えば、雨雲に含まれている水分の量、局地的な豪雨による降雨量、管渠又は対象設備70における水位である。これらの事象は、連続値や離散値で表現されてもよい。また、操作情報は、対象設備70において運転員によってなされた操作を表す情報である。
【0088】
対象設備70は、情報作成装置50によって監視される対象の設備である。対象設備70は、どのような設備でもよく、特定の設備に限定されない。第2の実施形態では、対象設備70は、一例として、下水処理場である。対象設備70は、流入ゲート71と、除塵機72と、沈砂池73と、ポンプP3と、最初沈殿池74と、反応槽75と、ブロワ76と、ポンプP4と、最終沈殿池77と、塩素接触槽78と、ポンプP5と、発電設備79と、水位計721とを備える。
【0089】
流入ゲート71は、開度に応じて下水を通過させることにより、除塵機72に下水を供給する。
除塵機72は、所定の大きさ以上の材木やゴミを、下水から取り除く。除塵機72は、複数でもよい。大雨の場合、全ての除塵機72が運転されてもよい。除塵機72の水位は、水位計721によって観測される。水位計721は、観測した水位情報を通信部21に出力する。
【0090】
沈砂池73は、下水に含まれる土砂類を沈殿させる。
ポンプP3は、制御装置20による制御に応じて、沈砂池73の水を最初沈殿池74に供給する。
最初沈殿池74(第一沈澱池)は、下水に含まれる汚れを沈殿させる。
【0091】
反応槽75は、微生物の作用によって、下水に含まれる汚泥を塊にする。
ブロワ76(blower)は、反応槽75の水に空気を供給する。
ポンプP4は、制御装置20による制御に応じて、反応槽75の水を最終沈殿池77に供給する。
最終沈殿池77(第二沈澱池)は、ポンプP4から供給された水を、処理済の水と汚泥とに分離する。
塩素接触槽78では、注入された塩素が水を消毒する。
発電設備79は、発電した電力を、情報作成システム1bの各部に供給する。
ポンプP5は、塩素接触槽78の水を、河川などに放流する。
【0092】
制御装置20は、情報作成装置50から中継装置40を介して受信した操作情報に基づいて、対象設備70を制御する。
表示部55は、提示用情報を表示する。表示部55は、現在の対象設備70の事象情報を表示する。表示部55は、対象設備70の履歴情報を表示する。表示部55は、対象設備70の履歴情報のグラフを表示する。
【0093】
第2観測装置31は、対象設備10の敷地外に予め定められたエリアの事象を観測し、観測した事象を表す事象情報を中継装置40に出力する。例えば、第2観測装置31は、水位計である場合、予め定められたエリアにおける下水管の水位を観測してもよい。第3観測装置32についても同様である。
【0094】
図9は、第2の実施形態における、時間帯の開始時刻を定める条件を示す図である。
図3に示す条件と相違する点は、第2観測装置31が観測する対象が水位である点と、第3観測装置32が観測する対象が水位である点とである。
【0095】
図10は、第2の実施形態における、時間帯の終了時刻を定める条件を示す図である。
図4に示す条件と相違する点は、濁度の代わりに、水位に基づいて終了時刻を定める点である。水位に基づいて時間帯を定める理由は、下水処理場では、原水の濁度による影響よりも、水位による影響が大きいからである。
【0096】
以上のように、第2の実施形態の情報作成装置50は、算出部541と、特定部542と、変更部543と、作成部544とを持つ。算出部541は、観測装置によって観測された事象を表す事象情報と、事象に応じて対象設備70においてなされた操作を表す操作情報と、事象が観測された時刻である観測時刻とが対応付けられた履歴情報を取得し、事象情報における変化量を、複数の時刻について算出する。特定部542は、算出された変化量に基づいて、時刻の間隔を変化させる時間帯を特定する。変更部543は、特定された時間帯の対象時刻の間隔を、特定された時間帯以外の対象時刻の間隔よりも短くするよう、算出部541を制御する。作成部544は、特定された時間帯について、事象情報と、操作情報と、観測時刻又は対象時刻との組を含む提示用情報を、履歴情報に基づいて作成する。
【0097】
これにより、第2の実施形態の情報作成装置50、情報作成システム1b、及び情報作成方法は、対象設備70に関する履歴情報の活用をより容易にできる。すなわち、第2の実施形態の情報作成装置50、情報作成システム1b、及び情報作成方法は、対象設備70に関する履歴情報から抽出した提示用情報を、特定の時間帯について詳細に残すことができる。
【0098】
第2の実施形態の情報作成装置50、情報作成システム1b、及び情報作成方法は、対象設備70の操作情報を含む提示用情報(手引書)を、演算量を抑えて履歴情報から作成することができる。対象設備70の運転員は、台風、豪雨や洪水が発生した場合でも、提示用情報に基づいて、対象設備70を安全に運転することができる。
【0099】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、特定された時間帯について、事象情報と、操作情報と、観測時刻又は対象時刻との組を含む提示用情報を履歴情報に基づいて作成する作成部を持つことにより、水処理設備に関する履歴情報の活用をより容易にできる。
【0100】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。