特許第6367111号(P6367111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367111
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】基板穴明け装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/00 20060101AFI20180723BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20180723BHJP
   B23B 47/00 20060101ALI20180723BHJP
   B26F 1/16 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B26F1/00 A
   B23B41/00 D
   B23B47/00 C
   B26F1/16
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-262144(P2014-262144)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120563(P2016-120563A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大田 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 啓一
(72)【発明者】
【氏名】角 博文
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−050309(JP,A)
【文献】 特開昭58−155107(JP,A)
【文献】 特開平05−104373(JP,A)
【文献】 実開平05−028533(JP,U)
【文献】 特開平06−246693(JP,A)
【文献】 特開平05−329733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00
B23B 41/00
B23B 47/00
B26F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルと受渡しをするドリルを一時的に保持するツールポストが加工テーブル上に設置された基板穴明け装置において、前記スピンドルが降下して当該スピンドルにドリルが保持されていれば当該ドリルによって遮られる光軸を発生する発光器と、当該発光器からの光を感知する第一センサと、ドリルを前記ツールポストから前記スピンドルに移そうとする場合に前記第一センサにおいて光を感知できなければ警報を出す制御部とを備えることを特徴とする基板穴明け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板穴明け装置において、前記スピンドルは複数設けられ、前記光軸は前記複数のスピンドルに対して共通であり、前記スピンドルの各々に対応して設けられ当該スピンドルが保持するドリルの刃先の存在を検知する第二センサを備え、前記制御部は前記第一センサにおいて光を感知できなければ刃先を検知した前記第二センサに対応するスピンドルを指示して警報を出すことを特徴とする基板穴明け装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板穴明け装置において、前記発光器と前記第一センサは前記スピンドルが可動的に搭載されるコラムに取付けられていることを特徴とする基板穴明け装置。
【請求項4】
スピンドルと受渡しをするドリルを一時的に保持するツールポストが加工テーブル上に設置された基板穴明け装置の制御方法において、前記スピンドルが降下して当該スピンドルにドリルが保持されていれば当該ドリルによって遮られる光軸を発生させ、ドリルを前記ツールポストから前記スピンドルに移そうとする場合、前記光軸が遮られているかどうかを判定し、前記光軸が遮られてる場合に警報を出すことを特徴とする基板穴明け装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板穴明け装置の制御方法において、前記スピンドルは複数存在し、前記光軸は前記複数のスピンドルに対して共通であり、前記光軸が遮られてる場合、ドリルの刃先を検知したスピンドルを指示して警報を出すことを特徴とすることを基板穴明け装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板に穴明けを行うためのドリルを交換する場合等において、ドリルを一時的に保持するためのツールポストが設けられる基板穴明け装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板穴明け装置においては、ドリルを交換する場合等において、ドリルカセットから取出した新しいドリルをスピンドルに移そうとする前に一時的に保持しておくための供給用ツールポストが備えられるものがある。
このような基板穴明け装置においては、何らかの要因で、供給用ツールポストから新しいドリルをスピンドルに移そうとする場合にスピンドルに古いドリルが残っていたりしたら、供給用ツールポストでドリル同士がぶつかり、供給用ツールポストやスピンドルを破損するおそれがある。
【0003】
特許文献1には、供給用ツールポストが備えられる基板穴明け装置が開示されているが、上記の如き供給用ツールポストやスピンドルの破損についての言及はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3038114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、ドリルを供給用ツールポストからスピンドルに移そうとする場合における供給用ツールポストやスピンドルの破損を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の基板穴明け装置においては、スピンドルと受渡しをするドリルを一時的に保持するツールポストが加工テーブル上に設置された基板穴明け装置において、前記スピンドルが降下して当該スピンドルにドリルが保持されていれば当該ドリルによって遮られる光軸を発生する発光器と、当該発光器からの光を感知する第一センサと、ドリルを前記ツールポストから前記スピンドルに移そうとする場合に前記第一センサにおいて光を感知できなければ警報を出す制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の基板穴明け装置においては、請求項1に記載の基板穴明け装置において、前記スピンドルは複数設けられ、前記光軸は前記複数のスピンドルに対して共通であり、前記スピンドルの各々に対応して設けられ当該スピンドルが保持するドリルの刃先の存在を検知する第二センサを備え、前記制御部は前記第一センサにおいて光を感知できなければ刃先を検知した前記第二センサに対応するスピンドルを指示して警報を出すことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の基板穴明け装置においては、請求項1に記載の基板穴明け装置において、前記発光器と前記第一センサは前記スピンドルが可動的に搭載されるコラムに取付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の基板穴明け装置の制御方法においては、スピンドルと受渡しをするドリルを一時的に保持するツールポストが加工テーブル上に設置された基板穴明け装置の制御方法において、前記スピンドルが降下して当該スピンドルにドリルが保持されていれば当該ドリルによって遮られる光軸を発生させ、ドリルを前記ツールポストから前記スピンドルに移そうとする場合、前記光軸が遮られているかどうかを判定し、前記光軸が遮られてる場合に警報を出すことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の基板穴明け装置の制御方法においては、請求項4に記載の基板穴明け装置の制御方法において、前記スピンドルは複数存在し、前記光軸は前記複数のスピンドルに対して共通であり、前記光軸が遮られてる場合、ドリルの刃先を検知したスピンドルを指示して警報を出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドリルを供給用ツールポストからスピンドルに移そうとする場合における供給用ツールポストやスピンドルの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例となる基板穴明け装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施例において、スピンドルと光軸との位置関係を示す図である。
図3】本発明の一実施例において、加工開始時にスピンドルでドリルを新たに保持する場合のフローチャートである。
図4】本発明の一実施例において、加工途中でドリルを交換する場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
以下、本発明の一実施例について説明する。
図1は本発明の一実施例となる基板穴明け装置の概略構成図である。図1において、1は装置のベースとなる装置基台、2は装置基台上で図示しない駆動機構によりX方向に駆動される加工テーブルである。被加工物となるプリント基板3は加工テーブル2の上にここでは2個であるが複数個載置される。4は装置基台1の上に据え付けられた門型コラムで、加工テーブル2を跨ぐように配置され、門型コラム4の垂直面の一つには図示しない駆動機構によりY方向に駆動されるクロススライド5が搭載されている。このクロススライド5には、加工テーブル2の上に載置されたプリント基板3の各々に対応してスピンドル6が搭載されており、スピンドル6は門型コラム4に可動的に搭載されている。これら複数のスピンドル6は図示しない駆動機構により互いに同期してZ方向に駆動される。7はスピンドル6に保持されてプリント基板3を加工するためのドリルである。8はスピンドル6に取付けられ、スピンドル6と共にZ方向に移動するサブチャックである。9、10はそれぞれ加工テーブル2の上に設置された供給用ツールポスト、排出用ツールポスト、11は新しいドリルと古いドリルが区別して収納されるドリルカセットで加工テーブル2の上に設置されている。12はスピンドル6が保持しているドリル7の長さや径の確認や刃先の有無を検出する機能を有するCCDセンサで、ドリル7を上方から挿入することによって動作させるものである。供給用ツールポスト9、排出用ツールポスト10、ドリルカセット11及びCCDセンサ12は、スピンドル6に対応してそれぞれ一つづつ、加工すべきプリント基板3の近くに設置されている。16はオペレータに各種の情報を伝える役目をする表示部である。20は装置各部の制御を行う全体制御部で、例えばプログラム制御の処理装置によって実現されるものである。
以上のように、複数のスピンドル6が門型コラム4に搭載され、ツールポスト等がスピンドル6に対応して配置される構造は、一度の加工量を増やすためのもので、多軸型基板穴明け装置として一般的に知られている。
【0014】
13は例えばレーザを発する発光器、14は発光器13からのレーザを感知するセンサで、発光器13とセンサ14は門型コラム4の両端に設置されている。発光器13によって作られる光軸15はY軸方向に向き、そのX座標は複数のスピンドル6に保持されるドリル7のX座標と一致するようになっている。これにより、図2に示すように、ル6を下降させた場合、いずれかのスピンドル6にドリル7が保持されていれば、ドリル7のシャンク部が光軸15を遮るようになっている。
【0015】
図1の基板穴明け装置は、全体制御部20の制御の下に以下のように動作する。
先ず、加工開始時においてスピンドル6でドリル7を新たに保持する場合を説明する。図3にフローを示すように、先ずスピンドル6をX1、Y1(この座標位置を以下位置Aと呼ぶ)に移動させ、次にスピンドル6を所定位置まで降下させる。この後、ステップAでセンサ14がレーザを感知するかどうか判定する。センサ14がレーザを感知(オン)しなければ、いずれかのスピンドル6にドリル7が残っていることを意味するので、スピンドル6をCCDセンサ12上に移動させ、しかる後所定位置まで降下させる。この後、ステップAでCCDセンサ12がドリル7の刃先を検知(オン)するかどうか判定する。CCDセンサ12がドリル7の刃先を検知したら、そのCCDセンサ12に対応するスピンドル6にドリル7が残っていることを意味するので、「Aスピンドルにドリルが保持されています。取除いて下さい」なるエラーメッセージ(警報)を表示部16に表示し、ドリル7が残っているスピンドル6がいずれのものかが識別できるようにして、不要なドリルの取除き作業を促す。そして、オペレータによるドリルの除去作業が行われた後、オペレータからの再スタート指示を受けてステップCに行く。
【0016】
一方、ステップAでセンサ14がレーザを感知すれば、いずれのスピンドル6にもドリル7が残っていないことを意味するので正常と見做し、図3での図示を省略するがスピンドル6を適宜移動させ、ステップCに行ってサブチャック7によりドリルカセット11から新しいドリル7を取出してそれを供給用ツールポスト9に置き、その後で供給用ツールポスト9にあるドリル7をスピンドル6に保持させ、スピンドル6の回転をスタートさせる。
【0017】
次に、加工途中でドリルを交換する場合を説明する。図4にフローを示すように、先ずスピンドル6の回転を停止させ、図4での図示を省略するがスピンドル6を適宜移動させ、サブチャック7によりドリルカセット11から新しいドリル7を取出してそれを供給用ツールポスト9に置き、その後でスピンドル6が保持していたドリル7を排出用ツールポスト10に置く。
【0018】
次にスピンドル6を位置Aに移動させ、この後、スピンドル6を所定位置まで降下させ、ステップDでセンサ14がレーザを感知するかどうか判定する。センサ14がレーザを感知しなければ、いずれかのスピンドル6にドリル7が残っていることを意味するので、スピンドル6をCCDセンサ12上に移動させ、しかる後所定位置まで降下させる。この後、ステップEでCCDセンサ12がドリル7の刃先を検知(オン)するかどうか判定する。CCDセンサ12がドリル7の刃先を検知したら、そのCCDセンサ12に対応するスピンドル6にドリル7が残っていることを意味するので、「Bスピンドルにドリルが保持されています。取除いて下さい」なるエラーメッセージ(警報)を、ドリル7が残っているスピンドル6がいずれのものかが識別できるようにして、不要なドリルの取除き作業を促す。そして、オペレータによるドリルの除去作業が行われた後、オペレータからの再スタート指示を受けてステップFに行く。
【0019】
一方、ステップDでセンサ12がレーザを感知すれば、いずれのスピンドル6にもドリル7が残っていないことを意味するので正常と見做し、図4での図示を省略するがスピンドル6を適宜移動させ、ステップFに行って供給用ツールポスト9にあるドリル7をスピンドル6で保持し、その後でサブチャック7により排出用ツールポスト10にあるドリル7をドリルカセット11へ収納し、スピンドル6の回転をスタートさせる。
【0020】
なお、最後のステップGにおけるスピンドル6の回転のスタートは、排出用ツールポスト10にあるドリル7をドリルカセット11へ収納する動作の前に行っても良い。この方が加工を中断してからの加工動作を早く再開始でき、効率が向上する。
【0021】
上記実施例によれば、供給用ツールポスト8から新しいドリルをスピンドル6に移そうとする場合にスピンドル6に古いドリルが残っていたりしたら、エラーメッセージ(警報)を出すようにしたので、供給用ツールポスト8でドリル同士がぶつかり、供給用ツールポスト8やスピンドル6を破損するおそれをなくすことができる。
また複数のスピンドル6が搭載される多軸型基板穴明け装置において、ドリルが残っているスピンドル6を識別できるようにしてエラーメッセージ(警報)を出すので、オペレータによる不要なドリルの取除き作業の作業性を向上できる。
【0022】
なお上記実施例では、図1に示すように、発光器13とセンサ14は門型コラム4において互いに対抗して設けてあるが、センサ13を発光器14に共に実装して片側に取付け、反対側には反射板を設置するような回帰反射形のものでも良い。
また上記実施例では、多軸型基板穴明け装置の場合を説明したが、スピンドル6が一つしかない単軸型の場合でも、本発明を適用できることは明らかである。
【符号の説明】
【0023】
1:装置基台、2:加工テーブル、3:プリント基板、4:門型コラム、
5:クロススライド、6:スピンドル、7:ドリル、8:サブチャック、
9:供給用ツールポスト、10:排出用ツールポスト、11:ドリルカセット、
12:CCDセンサ、13:発光器、14:センサ、15:光軸、16:表示部、
20:全体制御部
図1
図2
図3
図4