(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
スプレー乾燥された金属ラクテートの製造の為の本発明に従うスプレー乾燥方法は、スプレー乾燥プロセスを含み、ここで、
10〜45重量%の金属ラクテートを含むフィード溶液又はスラリーは噴霧(霧化、atomize)され、そして該噴霧された小滴が、100〜300℃の温度を有する加熱された気体と接触させられ、その結果、固体のスプレー乾燥された金属ラクテートの形成を生じ、続いて、該気体から該固体粒子の分離が行われ、ここで該金属はマグネシウムである。
【0015】
該フィード溶液又はフィードスラリーは、約10〜70重量%の金属ラクテートを含みうる。溶液を言及する場合、約10〜45重量%の濃度範囲が適用可能である。
【0016】
該スプレー乾燥プロセスは、該加熱されたガス及び該噴霧された金属ラクテート溶液若しくはスラリーが並流的に、向流的に、該乾燥機中の混合された流としてなど、流れるところの種々のよく知られた市販入手可能なスプレー乾燥設備及び装置において行われうる。
【0017】
該加熱された気体、例えば空気など、は100℃〜約300℃の温度、及び/又は、大気圧より0.1〜10mbar低い減圧、そしてより好ましくは大気圧より0.5〜5mbar低い減圧(すなわち、0.995〜0.9995bar)を有しうる。該加熱されたガスは、該スプレーされた小滴の蒸発又は乾燥の為に用いられる。該乾燥プロセスは、1段階で(該乾燥機を1回通過することを意味する)又は複数段階で実施されうる。
【0018】
該溶液又はスラリーがポンプ送りされ及び噴霧されるノズルは、該乾燥機の上に、底に又は横に配置されうる。種々のタイプのノズルが可能である。本発明の好ましい実施態様において、該ノズルは上に配置され、そして該加熱された空気は主に上から導入されて、該小滴(droplets)のスプレーと並流的に流れる。
【0019】
該噴霧は、ロータリーアトマイザー、高圧ノズル若しくは二流体ノズル、又はこれらの組合せを用いることにより実施されてよく、ノズルの全タイプが当業者によく知られている。乳酸マグネシウムの溶液及びスラリーは二流体ノズル及び圧縮蒸気の使用により最もよく噴霧され、一方で乳酸亜鉛は好ましくは約80〜250、より好ましくは100〜200barの圧力で高圧ノズルにより噴霧されることが発見された。
【0020】
スプレー乾燥プロセスの為のフィード(feed)として用いられる、該スプレー乾燥された金属ラクテート溶液又はスラリーは、種々の手段により、例えば反応又は結晶化/沈殿により得られうる。
【0021】
該スプレー乾燥された金属ラクテートフィード溶液又はスラリーは例えば、水の存在下における、水性乳酸溶液と金属水酸化物若しくは金属酸化物の粉若しくは懸濁物との反応により得られうる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様において、スラリーが該スプレー塔に供給される前に粉砕工程を受ける結晶を含むスラリーが得られる。この様式で、或る所望の粒子サイズ分布を有し及び前に作られた結晶と比較していくぶんよりよく形づくられた粒子を含むスラリーが得られうる。
【0023】
さらにより良い結果は、この粉砕工程が該結晶化工程に統合された場合に得られる。
【0024】
本発明の他の好ましい実施態様は、該スプレー塔への該フィード流溶液又はスラリーの製造を含み、ここで該製造は、流動プロファイルに関する乱流条件下での水と、乳酸と関係する金属水酸化物若しくは金属酸化物との混合を含み、ここで、中和反応が非常に迅速に行われ及び核生成が過飽和条件で行われる。その結果は、高度に過飽和の準安定溶液であり、これは結晶生成器(a crystallizer)に直接に供給され、ここでさらなる結晶成長が行われる。この結晶生成器からでてくる安定な結晶スラリーが次に、該スプレー塔に供給される。
【0025】
該過飽和溶液はまた、結晶生成器の代わりに該スプレー塔直接に供給されてもよい。
【0026】
該乱流プロファイル条件及び混合手段は、ボルテックスミキサー又は同等の装置部分を用いることにより達成されてよく、ここで該混合手段は、該装置中に導入される流の方向及びサイズの操作により、並びに、該装置の配置により達成されうる。金属ラクテートの過飽和溶液を得る為のこのプロセス又は方法は、「Vortex mixer and method of obtaining a supersaturated solution」と題名が付けられた欧州特許出願番号08101405.2において詳細に記載されており、これは引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0027】
該ボルテックスミキサー中の圧力は少なくとも0.3bar(大気圧より上)、好ましくは少なくとも0.5barであることが好ましい。すなわち、典型的には攪拌された容器又は結晶生成器中の該過飽和溶液を集めることにより、該結晶について所望の粒子サイズ分布に至る為に要求される時間は著しく減少される。もちろん、該圧力は、用いられる該ミキサーの機械的強度により、例えば5又は10barに制限される。
【0028】
該ボルテックスミキサーの出口で、非常に高い乾燥固形分含有量、例えば25重量%超又は30重量%超及び例えば50重量%まで、を有する高度に過飽和の溶液が、なお低い粘度の場合で生成されうる。この場合の該ボルテックスミキサーの利益は、大量の小さな結晶を含むスラリーが形成される前に、混合が行なわれることである。大量の小さい結晶を含むこれらのスラリーは、高い乾燥固形分濃度でのそれらの高い粘度についてよく知られている。低い粘度での液体の混合は、高い粘度の液体又はスラリーの混合よりも、はるかに速く且つより少ないエネルギー消費である。すなわち、該ボルテックスミキサーを用いることにより、非常に高い乾燥固形分濃度を有するスラリーを生成することが可能であり、これは攪拌されたタンク反応器構成において得ることは困難であろうか若しくは不可能であろう。
【0029】
実際のスプレー乾燥工程の前のこの調製工程の故に、本発明に従うスプレー乾燥プロセスの結果物は、非常に安定であり、且つ例えば粒子サイズ分布(約5〜100μmの範囲のサイズ)、流動性、溶解、埃っぽさ及び粘着性に関する非常に有利な特性を有する粉である。さらに、この調製は、10〜70重量%の金属ラクテート、より好ましくは10〜45重量%の高度に濃厚なスラリーをスプレー乾燥することを可能にする。この様式において達成される該ハイスループット及び追加の粉砕工程の節約(saving)が、スプレー乾燥プロセスのコストにおける著しい減少をもたらす。
【0030】
良い結果が、約5〜50μmの平均サイズ(d
50(μm))を有する粒子を含む乳酸亜鉛フィード流により得られ、そして、特に良い結果が、5〜25μmの平均粒子サイズを有する粒子を含む乳酸亜鉛フィード流により得られた。スプレー乾燥後に得られた該新規粉は例えば、非常に良い溶解速度及び流動性を示し、これは該粉を種々の用途にとって非常に適するものとし、特には該特性が重要な役割を果たす用途において、例えば化粧料用途及びパーソナルケア用途(口腔ケア用途を含む)において及び制御された放出の用途において、該粉を非常に適するものとする。
【0031】
同様の結果が、乳酸マグネシウムについて見られた。
【0032】
本発明に従うスプレー乾燥プロセスの好ましい実施態様において、該スプレーされた小滴は、該加熱された空気により乾燥されながら落下する。この第一の乾燥段階の後、該粒子は、第二の乾燥段階を通らされてよく、該第二の乾燥段階は、該スプレー塔の底の部分に組み込まれうる。そのときは、該底の部分は、統合された床(an integrated bed)を含み、これを通って、加熱された空気が、該粒子のさらなる乾燥の為に流れる。この乾燥ステップは、別の乾燥装置において、外部的に実施されてもよい。
【0033】
該粒子は、該第一及び/又は第二の乾燥ステップの後に、その後さらに、振とう床(a shaking bed)又は振動床(a vibrating bed)により運ばれる。この振とう床又は振動床は、さらなる調整の為に、例えば該粒子の冷却の為に従事する。次に、該粒子は、もし該粒子サイズのより細かい調整が要求されるならば、ふるい及びミルを含む分類システムを通らされうる。ミリング後の微粒子は、該スプレー塔のスプレー部へと戻されて再度循環されうる。
【0034】
新規金属ラクテート生成物を提供することが本発明のさらなる目的である。該方法は、金属ラクテート生成物、例えば乳酸亜鉛及び乳酸マグネシウム、をもたらし、これは、市販入手可能なスプレー乾燥された金属ラクテート生成物とは対照的に、自由流動的であり、(制御可能に)より
埃りっぽくなく及びより粘着性でなく、並びにこれは見事にほぼ円形の又は球状の粒子を含む。これらの後者の生成物は、立方体又は錐体の形のブロックのようにより見える多くのへりを有する粒子又は中間の形の粒子を含む。これらのロッド形又は立方体形の粒子は、該粒子が結晶化プロセスにより作られていることのしるしである。該本発明の見事に球形のスプレー乾燥された金属ラクテート粒子は、市販入手可能な金属ラクテートと比較して、はるかにより狭い粒子サイズ分布を有する。粒子サイズは操られることができ、及び5〜1000μmでありうる。該金属ラクテートが用いられるべき用途によって、該粒子は適切な粒子サイズ分布を与えられうる。
【0035】
本発明の新規金属ラクテート生成物は、新規の構造的特徴を有し、該特徴が、非常に高い流動性を結果し、及び、市販入手可能な金属ラクテート粉よりも、すでに目に見えて観察可能なより少ない埃っぽさの金属ラクテート生成物を結果する。本発明の金属ラクテート粉状生成物は、最大で1.18のハウスナー比(Hausner ratio:流動性の程度を表し又は示すよく知られたパラメータ)を有する。これは、輸送すること及び取り扱うことがより容易であること及びその凝結傾向(the caking tendency)が市販入手可能な金属ラクテートよりも少ないことを意味する。本発明に従うスプレー乾燥方法により作られた乳酸亜鉛は、約1.18のハウスナー比を示した。1.4より高いハウスナー比は、粉体の技術分野の当業者に知られているとおり、該粉が、凝集性があり、そしてすなわち、適切な取扱い及び輸送にとってより困難であるか又は適さないことを意味する。市販入手可能な乳酸亜鉛は、約2のハウスナー比を有する。二流体ノズルを用いたスプレー乾燥により作られた乳酸亜鉛は、1.14のハウスナー比を示し、高圧ノズルを用いたスプレー乾燥により作られた乳酸亜鉛は、1.09のハウスナー比を有することを示しさえした。本発明に従うスプレー乾燥方法により作られた乳酸マグネシウムは、1.13のハウスナー比を有し、これは、1.62のハウスナー比により表される非常に乏しい流動性を有すると測定された結晶化により作られた市販入手可能な乳酸マグネシウムとは対照的に良い流動性を示す。
【0036】
本発明に従うスプレー乾燥方法により得られた金属ラクテート粉はさらに、(乳酸亜鉛粉及び乳酸マグネシウム粉の両方について)12%以下〜約8%さえの圧縮率を有する。この低い圧縮率係数は、本発明の金属ラクテート粉の、とりわけタブレット化にとっての適合性を示す。市販入手可能な乳酸亜鉛は、約50%の圧縮率を有する。市販入手可能な乳酸マグネシウムもまた、本発明に従うスプレー乾燥方法により作られた乳酸マグネシウムよりも、約三倍高い(38%)の非常に乏しい圧縮率を示した。
【0037】
さらに、本発明のスプレー乾燥金属ラクテート粉(乳酸マグネシウム及び乳酸亜鉛の両方)は、それぞれ37度以下及び40度〜34度以下さえの安息角及びスパチュラ角を有する。両方の角が、該粉の流動性を表す為の手段である。粉体の技術分野の当業者がよく知っているとおり、これらの角がより小さく又はより険しくあるほど、該粉の流動性はより良い。40度より低い安息角及び、スパチュラ角について45度未満は、良い流動性を示す。34度又はそれより低いスパチュラ角は、かなりよい〜非常に良い流動性を示す。市販入手可能な乳酸マグネシウムは、48度の安息角および82度のスパチュラ角を有する。市販入手可能な乳酸亜鉛は、約60の安息角及び88のスパチュラ角を示す。
【0038】
本発明の新規生成物は、約112mL/sの動的流動速度を示し(及び当業者に知られているとおり、とりわけその粒子サイズによって、より高い)、一方で、市販入手可能な金属ラクテート粉、例えばPuramex Zn(商標)などは、それが測定装置の詰まりの故に連続的に問題を引き起こすので、首尾一貫した及び測定可能な動的流動速度を有することを示さなかった。
【0039】
本発明に従うスプレー乾燥方法は、乳酸亜鉛粒子のサイズ及びサイズ分布によって、水における約1重量%のスプレー乾燥された乳酸亜鉛粒子若しくは顆粒についての約50〜100そして5〜50秒さえの溶解時間(周囲の室温で)を有する乳酸亜鉛粉を製造することを示した。結晶化により作られた市販入手可能な乳酸亜鉛粒子若しくは顆粒によって、室温で水中へ溶解するのに、1重量%について、約225〜485秒かかる。この有意な違いは、市販入手可能な乳酸亜鉛が十分早く溶解しなかった故に用いられ得なかった又は用いられることが有利でなかった多くの新規用途を作る。
【0040】
市販入手可能な乳酸マグネシウムは、本発明に従う方法により作られた乳酸マグネシウムと比較して、2倍より遅い溶解速度を示した。
【0041】
上記言及された該有利な粉の特性に起因して、本発明により得られたスプレー乾燥された金属ラクテート粉は、種々の製品用途、例えば化粧料用途及びパーソナルケア用途、歯のケア若しくは口腔ケアの用途及び技術的用途など、にとって非常に適していることが分かった。
【0042】
さらに、本発明に従うスプレー乾燥された金属ラクテート粉、及び特にはスプレー乾燥された乳酸マグネシウムは、一般的には、食品の分野におけるさまざまな製品においてさらに用いられてよく、特にはビタミン及びミネラルのサプリメントにおいて並びに飲料において用いられてよい。
【0043】
本発明に従うスプレー乾燥された金属ラクテート粉はさらに、タブレットを作る為に非常に適しているとわかった。これはさらに、市販入手可能な金属ラクテート粉が適さない故に金属ラクテート粉が以前は用いられることができなかった新たな用途を作る。
【0044】
以下の非限定的な実施例が本発明を説明する。
【実施例1】
【0045】
乳酸亜鉛をスプレー乾燥する第1の実施例
【0046】
乳酸亜鉛を含むスラリーフィードが、水性環境における乳酸と酸化亜鉛との反応により作られる。任意的に、該フィード流は粉砕工程(a milling step)を通過させられる。
【0047】
平均約40μm(d
(0.5))の結晶を有する約35重量%の乳酸亜鉛を含むスラリーフィードが、並流の市販入手可能なSTORK(商標)ワイドボディースプレー乾燥機に供給された。該溶液は、二流体タイプのノズル(該塔の上に配置される)を通って100〜120℃の温度で供給され、そして、該試験の間に約10から6へと変えられた圧力下で蒸気の適用により噴霧された。小滴の噴霧が、約165〜200℃の入口温度を有する加熱された空気(主に該スプレー乾燥塔において上から導入される)との接触に付された。出口温度は約90〜110℃であった。
【0048】
スプレー乾燥された粒子が、該塔の底で集められ、そして、冷却の為の振とう床により運ばれた。
【0049】
8barでの試験において及び6barでの試験において得られたスプレー乾燥された乳酸亜鉛粉(本明細書以下でそれぞれZnLスラリーSC10−CL−NoFR−100及びZnLスラリーSC06−CL−NoFR−100と呼ばれる)は、約9.3重量%の平均水分含有量を有した。ZnLスラリーSC10−CL−NoFR−100は、以下の粒子サイズ分布を示した:d
0.1(μm):15.3、d
0.5(μm):61.5、d
0.9(μm):185.8(スパン=2.77)。
【0050】
ZnLスラリーSC06−CL−NoFR−100は、以下の粒子サイズ分布を示した:d
0.1(μm):11.9、d
0.5(μm):51.6、d
0.9(μm):131.98(スパン=2.33)。
【0051】
微粒子の排出及び該ノズルへの微粒子の再循環で、約10barの圧力及び約120℃の該フィードの温度で、約3.5%の水分含有量及び約179〜194マイクロメーターの平均粒子サイズを示す粉が得られた。この粉(本明細書以下において、ZnLスラリーSC10−CL−FR−120と呼ばれる)は、以下の粒子サイズ分布を有すると測定された:d
0.1(μm):67.4、d
0.5(μm):120.2、d
0.9(μm):203.3(スパン=1.13)。
【0052】
該二流体ノズルが高圧ノズルに交換された場合、約100barの圧力が用いられ、そして、微粒子の再循環の適用無く、約2.2〜2.8重量%の平均水分含有量を有する粉が得られた。この粉(本明細書以下において、ZnLスラリーHP100−CL−NoFR−120と呼ばれる)は、以下の粒子サイズ分布を示した:d
0.1(μm):17.5、d
0.5(μm):47.4、d
0.9(μm):107.0(スパン=1.89)。
【実施例2】
【0053】
乳酸亜鉛をスプレー乾燥する第2の実施例
【0054】
酸化亜鉛が約80℃の脱塩水中に懸濁された。92重量%の乳酸溶液が、連続的な攪拌下で、該溶液のpHが約5.34になるまで添加された。
【0055】
得られた約16重量%乳酸亜鉛含有溶液が、スプレー乾燥塔に供給された。該スラリーは、高圧タイプノズル(該塔の上に置かれる)を通って供給され、そして噴霧された(用いられた圧力〜100bar)。小滴の噴霧が、約220〜245℃の入口温度を有する加熱された空気(主に該スプレー乾燥塔において上から導入される)との接触に付された。出口温度は約80〜120℃であった。
【0056】
該スプレー乾燥粒子がバックフィルター(back-filter)に送られ、そこで該粒子と空気が分離された。該粒子は次に、ふるい及びミルを有する分類システムを通らされた。
【0057】
結果物は、約3〜4重量%の水分含有量を有する、自由流動性の、視覚的に著しく埃っぽくなく且つ粘着性でない乳酸亜鉛粉であった。
【実施例3】
【0058】
乳酸マグネシウムをスプレー乾燥する第1の実施例
【0059】
乳酸マグネシウムを含むスラリーフィードが、水性環境における乳酸と酸化マグネシウムとの反応により作られる。
【0060】
約42μm(d0.5)の平均サイズの結晶を有する約35重量%乳酸マグネシウムを含むスラリーフィードが、並流の市販入手可能なSTORK(商標)ワイドボディースプレー乾燥機に供給された。該溶液は、二流体タイプノズル(該塔の上に置かれる)を通って、約100℃の流入温度で供給され、そして、約10bar(後の試験において約6barに低められた)の圧力下で蒸気の適用により噴霧された。小滴の噴霧が、約165〜200℃の入口温度を有する加熱された空気(主に該スプレー乾燥塔において上から導入される)との接触に付された。出口温度は約90〜110℃であった。
【0061】
該スプレー乾燥された粒子は、該塔の底で集められ、そして、冷却のための振とう床により運ばれた。
【0062】
得られたスプレー乾燥された乳酸マグネシウム粉は、約14重量%の平均水分含有量及び52マイクロメーターの平均粒子サイズを有した。粒子サイズ分布は以下のとおりであった:
<40マイクロメーター:44.8%
40〜63マイクロメーター:33.1%
63〜100マイクロメーター:19.9%
>100マイクロメーター:2.2%
【0063】
いくつかの試験において、微粒子排出そして微粒子の再循環は該ノズルへと戻された。
【0064】
得られた粉は、約14.7%の水分含有量及び約190〜200マイクロメーターの平均粒子サイズを示した。粒子サイズ分布は以下のとおりであった:
<75マイクロメーター:5.1〜7.6%
75〜106マイクロメーター:31.2〜20.9%
106〜180マイクロメーター:36.2〜34.8%
180〜250マイクロメーター:17.3〜22.1%
250〜425マイクロメーター:9.3〜12.8%
425〜850マイクロメーター:0.9〜1.8%
>850マイクロメーター:0.1%
【0065】
圧力を約6barに低めたときに、得られた乳酸マグネシウム粉はより粗かった。
【実施例4】
【0066】
乳酸マグネシウムをスプレー乾燥する第2の実施例
【0067】
約24μm(d
50(μm))の平均サイズの粒子を有する約30重量%の乳酸マグネシウムを含むスラリーが、スプレー乾燥塔に供給された。該スラリーは二流体タイプノズル(該塔の上に置かれる)を通って送られ、そして、約8〜10barの圧力下で蒸気の適用により噴霧された。小滴の噴霧が、約230〜245℃の入口温度を有する加熱された空気(主にスプレー乾燥塔において上から導入される)との接触に付された。出口温度は約100〜120℃であった。
【0068】
該スプレー乾燥された粒子はさらに、さらなる乾燥のために該塔の低い部分に組み込まれた固定床(static bed)中に導入され、そして次に、冷却の為の振とう床により運ばれた。該粒子は次に、ふるい及びミルを有する分類システムを通らされた。
【0069】
結果物は、約15重量%の水分含有量を有する、自由流動性の、視覚的に著しく埃っぽくなく且つ非粘着性の乳酸マグネシウム粉であった。
【0070】
得られた粉は、以下の粒子サイズ分布を有する:d
0.1(μm):6.2、d
0.5(μm):57.5、d
0.9(μm):174.7(スパン=2.9)。
【0071】
市販入手可能な乳酸マグネシウム(PURAMEX MgL(商標))は、以下の粒子サイズ分布を有する:d
0.1(μm):3.5、d
0.5(μm):34.9、d
0.9(μm):161.5(スパン=4.5)。
【実施例5】
【0072】
SEM写真
【0073】
本発明に従う方法により得られたスプレー乾燥された組成物のSEM写真は、
図1(乳酸マグネシウム)及び
図3(乳酸亜鉛)に示されるとおり、市販入手可能な乳酸マグネシウム及び乳酸亜鉛粉(例えばPURAMEX MgL(商標)(
図2)及びPURAMEX ZnL(商標)(
図4)、いずれもPURAC Biochem B.V.から得られた)と対照的に、ほとんど完全に円形又は球状の形の粒子を示した。
【0074】
溶解速度の測定
【0075】
198.0グラムの脱塩水が、250mlガラスビーカーへと秤量されて、そこへマグネチック攪拌バー(4cm)が加えられる。該ビーカーは、マグネチックスターラー上に置かれ、そして、該溶液は500rpmで攪拌される。伝導度測定器及び温度計が挿入される。2.00±0.02グラム(1%(w/w))の金属ラクテート試料が添加され、そして、伝導度が自動的に5秒毎に1回測定され、コンピューターにより記録される。20分後、伝導度の測定が止められる。時間内の伝導度測定から、溶解速度が、以下の式を用いて計算される:
Dt=Ct/Cend・100
ここで、Dtは、所定時間(t)での溶解速度(%)であり、Ctは所定時間(t)での伝導度(mS/cm)であり、Cendは測定の終わり(t)での伝導度(mS/cm)である。
【0076】
最初の試験で、すべての試料が容易に溶解することが分かった。それ故に、すべての試料は1200秒以内で溶解するであろうことが予測される。すなわち、溶解速度は、1200秒での伝導度についての値を用いた、伝導度測定からのデータにより計算される。溶解時間は、98%溶解速度で決定される。測定値は、以下の表に表示される。
【0077】
【表1】
【0078】
粉体の技術分野の当業者が知るとおり、溶解時間は、粒子サイズ及び粒子サイズ分布に依存する。それ故に、測定された溶解時間は、5秒の溶解時間を有する粉と約50秒の溶解時間を有する粉との間で変化した。
【0079】
(1)これらの乳酸亜鉛粒子は、上記記載された、乳酸亜鉛をスプレー乾燥する第二の実施例に従い、16重量%含有する乳酸亜鉛溶液をスプレー乾燥することにより作られた。
(2)これらの乳酸マグネシウム粒子は、上記記載された、乳酸マグネシウムをスプレー乾燥する第二の実施例に従い、30重量%の乳酸マグネシウムフィード流をスプレー乾燥することにより作られた。
【0080】
ハウスナー比、圧縮率、安息角及びスパチュラ角の測定
【0081】
これらは、粉体及びそれらの特性についての種々のテキスト及びハンドブックに記載されたすべて標準的な測定である。種々の測定が、Hosokawa Micron International Inc.からのMicron Powder Characteristics Tester(商標)(モデル PT−N)を用いて行われた。
【0082】
ハウスナー比は、タップされた(tapped)及びタップされていない(untapped)(又は通気した)かさ密度(bulk density)の測定により決定される。
圧縮率は、タップされた又はパックされた及びタップされていない密度の測定によってもまた決定される。
安息角は、ガラス漏斗を通して粉を注ぐことにより形成される該粉の錐体の角度の測定により決定される。
スパチュラ角は、粉の角度(容器の底にスパチュラを有し且つ該粉で満たされた容器が下げられ及び該スパチュラが同じ高さにあるときに、スパチュラ上に残る粉の角度)と、該スパチュラが重量によりタップされた後の該スパチュラ上の粉の角度における差の測定により決定される。
【0083】
結果が以下の表にまとめられる。
【0084】
【表2】
【0085】
表3は、結晶化により作られた乳酸マグネシウム(市販入手可能な乳酸マグネシウムPURAMEX MgL(商標))及び本発明に従う方法により作られたスプレー乾燥された乳酸マグネシウムの種々のパラメーターについての測定された値を示す。
【0086】
【表3】
【0087】
「Carrクラス」は、圧縮に基づく既知の指標又は尺度であり(R.I. Carr, 1965, Evaluation of flow properties of solids)、そして、種々の粉体の流動性を互に比較するために用いられる。この尺度についての表現「良い」および「かなり良い」は、本発明の乳酸マグネシウム粉及び乳酸亜鉛粉が、市販入手可能な乳酸マグネシウム又は乳酸亜鉛の粉と対照的に、非常によく自由流動的であることを示す。それはさらに、該粉(例えば大きなバッグに詰められた粉)の取扱い及び輸送において、該粉が有意に圧縮されないことを示す。結果として、該大きなバッグは、それらが消費者に届いたときに、突然に「半分が空」にならない。
【0088】
流動性
【0089】
流動性もまた、動的流動速度の測定により表されることができ、これはよく知られた標準化された方法でもある。動的流動速度は、600mlの粉体製品にとっての、2cmオリフィスのチューブと通って流れる為の時間を測定することにより測定される。50超、及び好ましくは70超又は80超ml/sの動的流動速度が、通常の取扱い及び輸送活動にとって適した粉の点で許容される。動的流動速度が高ければ高いほど、時間及び後に残る粉の損失の点で、粉の取扱い及び輸送がより容易になり及びより効率的になるであろう。
【0090】
動的流動速度は、ZnLスラリーSC10−CL−FR−120について111.5ml/sであると測定された。市販入手可能な乳酸亜鉛(Puramex ZN Fines(商標))の動的流動速度は、該乳酸亜鉛が該チューブの穴に詰まるので測定されることができなかった。
【0091】
圧縮挙動
【0092】
本発明に従うスプレー乾燥方法により作られた乳酸マグネシウムの圧縮挙動と結晶化により作られた市販入手可能な乳酸マグネシウムの圧縮挙動における違いがさらに、2つの異なる測定により決定された。
【0093】
タブレットが上記言及された粉から作られ、そして、種々の強度のタブレットを得る為に、該粉が種々の圧縮力、すなわち3kN、4kN及び5kN、で圧縮された。タブレット化方法の為に、Instron(商標)機械及び10mmの直径を有する円筒形型が用いられた。
これらのタブレットの強度が、動的破壊強度(DFS)を測定することにより測定された。それは、5kgの荷重セル(loading cell)を用いてTexture Analyser(商標)により測定される。圧縮圧力が円筒形のタブレットにかけられ、その側面に位置された。最初の破壊が現れる該力が測定される。結果は、破損力(the force at failure)として表され、そして、表4に一覧にされる。
【0094】
【表4】
【0095】
該表中の結果は、本発明に従うスプレー乾燥方法により得られた乳酸マグネシウムから作られたタブレットは、同じ圧縮力の下で作られた一方でPurac Biochem B.V.からの市販入手可能な乳酸マグネシウムPuramex Mg(商標)から作られたタブレットと比較して、より高い動的破壊強度値を有する。すなわち、本発明の粉から作られた該タブレットはより強力である。より大きな力が、該タブレットを破壊する為に必要とされる。
【0096】
市販入手可能な粉の強度及び本発明に従う方法により得られた粉の強度が、よく知られたKawakita試験(参考文献M. Celik, Overview of compaction data analysis techniques, Drug development and industrial pharmacy 18 (1992) 767)により測定された。この試験において、該粉の強度が、それぞれ100、200及び300mgの種々の粉床の高さを有する粉に対する圧縮力の施与により測定される。これは、Instron(商標)機械及び、上記記載されたタブレット化試験についてのものと同じ型枠を用いて測定され、ここで最大の圧縮力は5kNに設定された。
この試験の間、該床の変位(displacement)の関数としての該圧力が得られる。この曲線から、該粉の降伏応力及び粉の単層の降伏応力が計算される。
【0097】
【表5】
【0098】
本発明のスプレー乾燥された乳酸マグネシウムのより低い降伏応力値は、Purac Biochem B.V.からの市販入手可能な乳酸マグネシウムPuramex Mg(商標)と比較して、本発明の物質のより良い圧縮特性を示す。