特許第6367114号(P6367114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367114導光部材用樹脂組成物、およびそれを成形して得られる導光部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367114
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】導光部材用樹脂組成物、およびそれを成形して得られる導光部材
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180723BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20180723BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F21S2/00 401
   C08F210/02
   C08J5/18CES
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-509205(P2014-509205)
(86)(22)【出願日】2013年4月4日
(86)【国際出願番号】JP2013060328
(87)【国際公開番号】WO2013151131
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年2月15日
【審判番号】不服2017-7984(P2017-7984/J1)
【審判請求日】2017年6月2日
(31)【優先権主張番号】特願2012-87364(P2012-87364)
(32)【優先日】2012年4月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174862
【氏名又は名称】三井・デュポンポリケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】礒川 素朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正史
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 中川 真一
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−112935(JP,A)
【文献】 特開2011−257438(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/079737(WO,A1)
【文献】 特開2011−236329(JP,A)
【文献】 特開昭63−208009(JP,A)
【文献】 特開2011−073155(JP,A)
【文献】 特開2006−035848(JP,A)
【文献】 特開2004−211087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
C08J 5/18
C08L 23/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂を含む導光部材用樹脂組成物であって、
前記合成樹脂のみからなる厚さ1mmのシートにおける、
JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率(A)が80%以上であり、
前記全光線透過率(A)に対するJIS K7136に準拠して測定したヘイズ(B)の比で定義される発光指数(B/A)が、1.2×10−2以上3.0×10−1以下であり、
前記合成樹脂は、エチレンおよび不飽和カルボン酸を共重合成分として含むエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体中の前記不飽和カルボン酸の共重合量が5質量%以上25質量%以下である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記不飽和カルボン酸が、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、さらに不飽和カルボン酸エステルを共重合成分として含み、
前記不飽和カルボン酸エステルの共重合量が5質量%以上25質量%以下である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記不飽和カルボン酸エステルが、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記アイオノマー樹脂を構成する金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、およびアルミニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のカルボキシル基の中和度が10モル%以上90モル%以下である、導光部材用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の導光部材用樹脂組成物を成形して得られる、導光部材。
【請求項9】
シート形状または板形状である、請求項8に記載の導光部材。
【請求項10】
発光ダイオードまたは有機エレクトロルミネセンスに使用される、請求項8または9に記載の導光部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材用樹脂組成物、およびそれを成形して得られる導光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として、発光ダイオードなどの光源からの光を導光部材に入射して発光させるものが知られている。このような照明装置に使用される導光部材には、高い光線透過率を有する透明樹脂が用いられている。
【0003】
特許文献1(特開2009−298994号公報)には、レンズ、導光体、光ディスクなどの光学部材として、特定の構造で表される繰り返し単位を有し、スズ含有量が0.5ppm以下であるポリカーボネート共重合体を含むポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。
このポリカーボネート樹脂組成物を用いると、高温下での成形で発生する黄変や耐久性試験での変色が低減された、成形品を得ることができると記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2009−244873号公報)には、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)が分散してなり、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対しブロック共重合体(B)が1〜80質量部であるメタクリル系樹脂組成物からなる導光体が記載されている。
この導光体は、成形加工性に優れるメタクリル系樹脂組成物を用いることから出射面および反出射面への微細な光散乱パターンの転写率の高い賦形が容易であり、かつ透明性すなわち導光性能、表面硬度、耐熱性、剛性が良好であると記載されている。
【0005】
また、特許文献3(特開2006−342211号公報)には、光学用途向けの透明熱可塑性樹脂組成物として、透明熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、平均粒径5〜20μm、アスペクト比5〜300の薄片状のシリカガラスからなるシリカフレーク(B)0.001〜0.01質量部を含有してなる透明熱可塑性樹脂組成物であって、該シリカフレーク(B)が平均粒径10〜300nmのチタニア粒子(C)を分散内包する透明熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
この透明熱可塑性樹脂組成物は、高い光拡散性と高い光線透過率を有し、耐光性、熱安定性、および成形性などの品質や生産性に優れていると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−298994号公報
【特許文献2】特開2009−244873号公報
【特許文献3】特開2006−342211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、照明装置の高輝度化や低消費電力化の要求から、導光部材には、入射した光を効率良く均一に(面)発光させる特性が求められている。
【0008】
上記特許文献1〜3に記載されているような、ポリカーボネート系樹脂や(メタ)アクリル系樹脂を用いた導光部材は光の透過性には優れていたが、(面)発光性が不十分であった。そのため、光散乱性の無機フィラーや有機フィラーを添加することにより、導光部材内部で光散乱を起こさせ、(面)発光性を向上させる必要があった。
【0009】
ところが、無機フィラーや有機フィラーを添加すると、光源近傍で散乱する光の割合が多くなり、導光部材端部まで透過する光の割合が少なくなってしまう。そうすると、導光部材全体にわたって均一に光を(面)発光させることが困難となる。
さらに、無機フィラーや有機フィラーは可視光域の光を吸収するため、輝度が低下してしまうという課題もあった。
【0010】
そのため、上記特許文献1〜3に記載されているような、ポリカーボネート系樹脂や(メタ)アクリル系樹脂は、導光部材として満足するものではなかった。
【0011】
そこで、本発明は、入射した光を高輝度で、かつ、導光部材全体にわたって均一に(面)発光できる導光部材を実現できる、導光部材用樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するための設計指針についてさらに鋭意検討した。その結果、本発明者らが考案した発光指数という尺度がこうした設計指針として有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
本発明によれば、
合成樹脂を含む導光部材用樹脂組成物であって、
上記合成樹脂のみからなる厚さ1mmのシートにおける、
JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率(A)が80%以上であり、
上記全光線透過率(A)に対するJIS K7136に準拠して測定したヘイズ(B)の比で定義される発光指数(B/A)が、1.2×10−2以上3.0×10−1以下であり、
上記合成樹脂は、エチレンおよび不飽和カルボン酸を共重合成分として含むエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂である、導光部材用樹脂組成物が提供される。
【0014】
さらに本発明によれば、
上記導光部材用樹脂組成物を成形して得られる、導光部材が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入射した光を高輝度で、かつ、導光部材全体にわたって均一に(面)発光できる導光部材を実現できる、導光部材用樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0017】
図1】本発明の発光指数の技術的意義を説明するための図である。
図2】実施例および比較例で得られた導光部材シートの発光性を比較する写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明における実施の形態について説明する。
【0019】
本実施形態における導光部材用樹脂組成物は、下記の要件を満たす合成樹脂を含んでいる。合成樹脂からなる厚さ1mmのシートを作製したときのJIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率(A)が80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上である。全光線透過率(A)に対するJIS K7136に準拠して測定したヘイズ(B)の比で定義される発光指数(B/A)が、1.2×10−2以上であり、好ましくは2.0×10−2以上であり、より好ましくは3.0×10−2以上であり、とくに好ましくは5.0×10−2以上である。また、発光指数(B/A)が、3.0×10−1以下であり、好ましくは2.5×10−1以下であり、より好ましくは2.0×10−1以下であり、特に好ましくは1.0×10−1以下である。
【0020】
本実施形態における導光部材用樹脂組成物は、上記全光線透過率(A)が80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上である。上記全光線透過率(A)が上記下限値以上であると、導光部材全体にわたって均一に(面)発光できる導光部材を得ることができる。
【0021】
(発光指数)
つづいて、本発明の発光指数(B/A)の技術的意義について説明する。図1は、発光指数の技術的意義を説明するための図である。
【0022】
本実施形態における導光部材用樹脂組成物は、上記発光指数(B/A)が1.2×10−2以上であり、好ましくは2.0×10−2以上であり、より好ましくは3.0×10−2以上であり、とくに好ましくは5.0×10−2以上である。上記発光指数B/Aが上記下限値以上であると、高輝度の導光部材を得ることができる。
【0023】
また、本実施形態における導光部材用樹脂組成物は、上記発光指数(B/A)が3.0×10−1以下であり、好ましくは2.5×10−1以下であり、より好ましくは2.0×10−1以下であり、特に好ましくは1.0×10−1以下である。上記発光指数(B/A)が上記上限値以下であると、導光部材全体にわたって均一に発光できる導光部材を得ることができる。
【0024】
上述したように、従来の導光部材には、入射した光を高輝度で発光することと、導光部材全体にわたって均一に発光することの間にはトレードオフの関係が存在し、そのトレードオフの関係はフィラーの添加だけでは改善できなかった。
【0025】
そこで、本発明者らは、使用する合成樹脂の種類を変更しながら、導光部材の発光性について鋭意検討を重ねた。その結果、上記発光指数(B/A)が特定の範囲を満たす合成樹脂を用いたときに、上記トレードオフの関係を改善でき、入射した光を高輝度で、かつ、導光部材全体にわたって均一に発光できる導光部材を実現できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0026】
(合成樹脂)
つぎに、本実施形態における導光部材用樹脂組成物に含まれる合成樹脂について説明する。上記合成樹脂としては、上述した全光線透過率および発光指数が本発明の範囲を満たす樹脂ならばとくに限定されないが、エチレンおよび不飽和カルボン酸を共重合成分として含むエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂であることが好ましい。ここで、アイオノマー樹脂とは、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体をベースポリマーとし、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体中のカルボキシル基を金属イオンで中和したものをいう。
【0027】
「エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体」
上記アイオノマー樹脂のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体としては、透明性と機械物性のバランスの点から、不飽和カルボン酸の共重合量が好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは6質量%以上23質量%以下であり、とくに好ましくは7質量%以上20質量%以下である共重合体を用いるのが好ましい。
【0028】
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリマーの生産性、衛生性などの観点から、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
なお、これら不飽和カルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の二元共重合体のみならず、他の単量体が任意に共重合された多元共重合体であってもよい。
【0030】
上記任意に共重合されていてもよい他の共重合成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル;一酸化炭素;二酸化硫黄などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは不飽和カルボン酸エステルであり、とくに好ましくはアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である。なお、これら他の共重合成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、共重合成分として、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステルをさらに含むと、導光部材の柔軟性が向上する点で好ましい。また、共重合成分として、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステルをさらに含むと、導光部材の発光性をより向上させることができる。上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸エステルをさらに含む場合、不飽和カルボン酸エステルの共重合量は、好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは8質量%以上23質量%以下であり、とくに好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
【0032】
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(JIS K7210−1999に準拠)が、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下であり、より好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下である。MFRが上記範囲内であると、成形性・加工性の点で好ましい。
【0033】
このようなアイオノマー樹脂のベースポリマーとなる上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は一般的に公知の方法により製造することができ、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸を高温、高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。
また、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は市販品を用いてもよい。
【0034】
「アイオノマー樹脂」
本実施形態におけるアイオノマー樹脂は、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のカルボキシル基の中和度が、好ましくは10モル%以上90モル%以下であり、より好ましくは15モル%以上85モル%以下であり、とくに好ましくは20モル%以上80モル%以下である。中和度が上記範囲内であると、得られる導光部材の透明性がより一層優れる。
【0035】
上記アイオノマー樹脂を構成する金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオンなどの多価金属のイオンなどが挙げられる。
これらの中でも、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオンが好ましく、導光部材の発光性をより向上させることができる観点から、ナトリウムイオン、亜鉛イオンがより好ましく、亜鉛イオンが特に好ましい。これら金属イオンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
上記アイオノマー樹脂は、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体と上記金属イオンを含む酸化物、水酸化物、炭酸塩などとを反応させることによって得ることができる。
また、上記アイオノマー樹脂は市販品を用いてもよい。
【0037】
なお、本実施形態において、アイオノマー樹脂としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
「添加剤」
本実施形態における導光部材用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、老化防止剤、光拡散剤、可塑剤、有機色素、染料、顔料、滑剤、耐衝撃改良剤などの添加剤を1種単独含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0039】
(導光部材用樹脂組成物の製造方法)
本実施形態における導光部材用樹脂組成物は、例えば、上記合成樹脂と、必要に応じて上記添加剤と、を同時または逐次的にドライブレンドまたはメルトブレンドすることにより得られる。
ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの各種ミキサーを用いることができる。
また、メルトブレンドする場合は、1軸または2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの混練装置を用いることができ、例えば、130℃以上230℃以下程度の温度で溶融混練する。
【0040】
(導光部材)
本実施形態における導光部材は、例えば、上記導光部材用樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形、中空成形などの公知の成形方法により、シート形状、フィルム形状、板形状、それ以外の立体形状などの各種形状に成形することにより得られる。
【0041】
導光部材の形状は、その使用形態により適宜決定されるためとくに限定されないが、発光性を十分に発揮できる点でシート形状または板形状が好ましい。
シート形状または板形状の導光部材の厚みはとくに限定されないが、通常0.2mm以上5.0mm以下であり、好ましくは0.8mm以上2.2mm以下である。大きさはとくに限定されないが、公知の照明装置などで採用されている大きさを任意に適用することができる。
【0042】
また、本実施形態における導光部材は、本発明の効果を損なわない範囲内において、その表面に無機または有機化合物によるハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理、電磁遮蔽処理などをおこなってもよい。これらの処理は、導光部材の表面に蒸着、スパッタリング、ディッピング、熱転写などによりおこなうことができる。
【0043】
本実施形態における導光部材は、光源より入射した光を高輝度で、かつ、導光部材全体にわたって均一に発光することができる。そのため、室内照明、床照明、壁照明、卓上照明などの一般照明;透過型看板、舞台用照明、アミューズメント機器、ゲーム機器、パチンコ機、パチスロ機、玩具、自動販売機などの広告宣伝・レジャー・遊具用装飾照明;交通標識、案内板、街路灯、自転車用反射板、傘の柄などの交通・安全用照明;自動車用テールランプ、自動車室内用照明などの自動車用照明;野菜栽培用、工場内目視検査用などの農業・工業用照明、冷蔵ケース用照明、ショーケース用照明などの流通用照明;テレビなどの家電製品用装飾照明;電線被覆材などに好適に用いることができる。
【0044】
また、本実施形態における導光部材は、プラズマ発光照明装置、発光ダイオード照明装置、有機エレクトロルミネセンス照明装置、フィールドエミッション照明装置などの光源などに好適に用いることができる。これらの中でも、発光ダイオード照明装置および有機エレクトロルミネセンス照明装置にとくに好適に用いることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0046】
以下に、本実施形態を実施例および比較例により説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0047】
[使用した合成樹脂]
実施例および比較例では以下の合成樹脂を使用した。
【0048】
アイオノマー1:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸5.7モル%)、Na中和度45モル%、MFR4.5g/10分
アイオノマー2:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸5.4モル%)、Na中和度54モル%、MFR0.9g/10分
アイオノマー3:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸5.4モル%)、Na中和度30モル%、MFR2.8g/10分
【0049】
アイオノマー4:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸5.4モル%)、Zn中和度59モル%、MFR0.9g/10分
アイオノマー5:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸5.4モル%)、Zn中和度23モル%、MFR5.0g/10分
アイオノマー6:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸3.8モル%、アクリル酸イソブチル2.7モル%)、Zn中和度70モル%、MFR1.0g/10分
【0050】
アイオノマー7:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸3.2モル%、アクリル酸イソブチル4.6モル%)、Zn中和度65モル%、MFR2.5g/10分
アイオノマー8:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸3.2モル%、アクリル酸イソブチル4.6モル%)、Na中和度55モル%、MFR2.2g/10分
アイオノマー9:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸5.4モル%)、Mg中和度54モル%、MFR0.7g/10分
【0051】
アクリルゴム(メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体、クラレ社製、クラリティ、MFR1.5g/10分)
【0052】
[実施例1]
合成樹脂として上記アイオノマー1を用いて、JIS K6924−2の圧縮成型条件を基にし、新JIS対応全自動プレス成形機(インテスコ社製)にて、成型温度180℃、平均冷却速度15℃/min、成形品取り出し温度40℃、全圧10MPa、加圧時間5分、余熱時間はサンプルの融点に応じて5分から15分で実施し、1mm厚の導光部材シートを作製した。
【0053】
[実施例2〜9および比較例1]
実施例2〜9および比較例1は、使用した樹脂を表1に示した樹脂に変えた以外は、実施例1と同様にして導光部材シートを作製した。
【0054】
[導光部材シートの評価]
得られた導光部材シートは、以下の評価をそれぞれおこなった。
【0055】
(1)全光線透過率(A)およびヘイズ(B)の測定
全光線透過率(A)は、JIS K7361−1に準拠して、ヘイズ・透過率計(HM−150、村上色彩社製)を用いて測定した。
ヘイズ(B)は、JIS K7136に準拠して、ヘイズ・透過率計(HM−150、村上色彩社製) を用いて測定し、以下の式から算出した。
ヘイズ(B)(%)=(全光線透過率(A)―平行線透過率)/全光線透過率(A)
なお、ヘイズ・透過率計の光源に垂直になるよう(導光部材シートへの入射光角度0度の状態)にして導光部材シートを立てて設置した状態で測定した。
【0056】
(2)イエローインデックス(YI)の測定
JIS K7373に準拠して、カラーコンピューター(SM−7−1S−2B、スガ試験機社製)を用いて、反射光のYI値を測定した。標準板としては、JIS Z8722に準拠する白色標準板(X=83.77、Y=85.69、Z=99.00)を用いた。
【0057】
[発光ダイオード(LED)による導光部材シートの発光性評価]
実施例5〜6、実施例8〜9および比較例1で使用した樹脂をそれぞれ用いて、JIS K7110に準じてIzod試験用射出成型片(6.4mm厚み、長さ64mm、幅12.7mm)をそれぞれ作製した。作製した射出成型片をサンプルとして暗所にそれぞれ設置し、サンプルの面積の最も小さい部分からLED光(エスコ社製、LEDライト、EA758GH−4(18ルーメン))をサンプル中に導光させ、発光性を目視にてそれぞれ観察した。
【0058】
[評価結果]
以上の評価結果を表1にまとめた。また、LEDによる導光部材シートの発光性評価の結果を図2に示す。図2は、実施例および比較例で得られた導光部材シートの発光性を比較する写真である。図2から分かるように、発光指数(B/A)が、本発明の範囲内にある導光部材シートは、入射した光を高輝度で、かつ、導光部材シート全体にわたって均一に発光できていることが確認できた。
【0059】
【表1】
【0060】
この出願は、2012年4月6日に出願された日本特許出願特願2012−087364を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
合成樹脂を含む導光部材用樹脂組成物であって、
前記合成樹脂からなる厚さ1mmのシートにおける、
JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率(A)が80%以上であり、
前記全光線透過率(A)に対するJIS K7136に準拠して測定したヘイズ(B)の比で定義される発光指数(B/A)が、1.2×10−2以上3.0×10−1以下である、導光部材用樹脂組成物。
2.
1.に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記合成樹脂は、エチレンおよび不飽和カルボン酸を共重合成分として含むエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂である、導光部材用樹脂組成物。
3.
2.に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体中の前記不飽和カルボン酸の共重合量が5質量%以上25質量%以下である、導光部材用樹脂組成物。
4.
2.または3.に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記不飽和カルボン酸が、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、導光部材用樹脂組成物。
5.
2.乃至4.いずれか一つに記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、さらに不飽和カルボン酸エステルを共重合成分として含み、
前記不飽和カルボン酸エステルの共重合量が5質量%以上25質量%以下である、導光部材用樹脂組成物。
6.
5.に記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記不飽和カルボン酸エステルが、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である、導光部材用樹脂組成物。
7.
2.乃至6.いずれか一つに記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記アイオノマー樹脂を構成する金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、およびアルミニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、導光部材用樹脂組成物。
8.
2.乃至7.いずれか一つに記載の導光部材用樹脂組成物において、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のカルボキシル基の中和度が10モル%以上90モル%以下である、導光部材用樹脂組成物。
9.
1.乃至8.いずれか一つに記載の導光部材用樹脂組成物を成形して得られる、導光部材。
10.
シート形状または板形状である、9.に記載の導光部材。
11.
発光ダイオードまたは有機エレクトロルミネセンスに使用される、9.または10.に記載の導光部材。
図1
図2