(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鋼帯に対して冷却水を噴霧する場合、鋼帯の表面が水で酸化したり、水によって鋼帯の表面に沸騰膜が形成され、品質の劣化や十分な冷却が行えないという課題がある。一方、鋼帯に対して冷却空気を吹き付ける場合、冷却による収縮で鋼帯が凹む、ひずむ等で変形したり、鋼帯の表面が冷却空気中の酸素で酸化したりする、また、十分な冷却速度が得られないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成及び鋼帯の変形を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる、鋼帯の冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
鋼帯の冷却装置であって、
前記鋼帯を移送する鋼帯移送部材と、
前記鋼帯移送部材によって移送されている前記鋼帯に対して、液化二酸化炭素を噴射する、ガスノズルと、を備えており、
前記ガスノズルは、前記鋼帯を挟んで所定の隙間を有して、両側に対向するよう一対として設けられていることを特徴とする。
【0007】
液化二酸化炭素によって鋼帯を冷却するので、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる。液化二酸化炭素を噴射することによって鋼帯を冷却するので、鋼帯が凹凸を有する場合でも、鋼帯を均一に冷却できる。また、鋼帯を挟んで両側から液化二酸化炭素を噴射するので、鋼帯の冷却効果を向上させることができ、また、冷却による鋼帯の変形を抑制できる。
また、ガスノズルと鋼帯との間に所定の隙間を設けることによって、ガスノズルから噴射された液化二酸化炭素が気化し、またその気化熱で一部が凝固して、ドライアイスを含む二酸化炭素ガスが鋼帯に吹き付けられることとなる。その結果、鋼帯の表面に液化二酸化炭素の沸騰膜ができても、その沸騰膜をドライアイスの粒によって破壊することができ、鋼帯の冷却効果を向上させることができる。
【0008】
本発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記冷却装置は、前記ガスノズルから噴射された液化二酸化炭素に向けて一酸化炭素ガスを噴射するようになっている。
(2)前記冷却装置は、前記ガスノズルの下方に粉粒体を収容する流動層を備えており、
前記鋼帯移送部材は、前記流動層の上方に設けられ、前記鋼帯を上方から前記粉粒体内に導入し、前記粉粒体から上方に向けて前記鋼帯を取り出すようになっており、
前記流動層は、前記ガスノズルから噴射された液化二酸化炭素が凝固したドライアイスの一部を回収可能となっている。
【0009】
前記構成(1)によれば、一酸化炭素ガスを噴射することによって、噴射雰囲気の酸素ポテンシャルを低下させ、また噴射雰囲気を還元性雰囲気とすることができ、その結果、鋼帯の酸化を防止することができる。
【0010】
前記構成(2)によれば、ガスノズルから噴射された液化二酸化炭素が凝固したドライアイスを流動層で回収することによって、流動層内の粉粒体をさらに冷却することができ、粉粒体による鋼帯の冷却効果をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
要するに、本発明によると、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる、鋼帯の冷却装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る鋼帯の冷却装置10の概略図である。冷却装置10は、鋼帯Sを上方から下方に向けて移送する鋼帯移送部材2と、超低温の液化二酸化炭素をスプレーする液化二酸化炭素スプレー装置11と、を備えている。
【0014】
鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを連続的に移送するために、液化二酸化炭素スプレー装置11が鋼帯Sに対してスプレーする箇所の上方に少なくとも1つの案内ローラ21と、上記箇所の下方に少なくとも1つの案内ローラ22と、を備えている。鋼帯移送部材2は、案内ローラ21、22によって、鋼帯Sを、鉛直方向において上方から下方に向けて移送するようになっている。
【0015】
液化二酸化炭素スプレー装置11は、液化二酸化炭素を収容するタンクやボンベ等の第1収容容器12と、第1収容容器12に連結され、鋼帯移送部材2によって鉛直方向下方に移送されている鋼帯Sに対して液化二酸化炭素を噴射する第1ガスノズル13と、を備えている。
【0016】
第1ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んで左右両側に対向するよう一対として設けられている。そして、各第1ガスノズル13と鋼帯Sとの間には所定の隙間が形成されている。所定の隙間は、すくなくとも10mm程度の空間を有している。なお、一対の第1ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んでそれぞれ、鋼帯Sから等距離の位置に配置されている。
【0017】
液化二酸化炭素スプレー装置11は、さらに、第1ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素に向けて一酸化炭素ガスを噴射するようになっている、第2ガスノズル14と、第2ガスノズル14に連結され、一酸化炭素ガスを収容する第2収容容器15と、を備えている。
【0018】
前記構成の冷却装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0019】
(1)液化二酸化炭素によって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sの酸化や沸騰膜の形成を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる。
【0020】
(2)液化二酸化炭素を噴射することによって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sが凹凸を有する場合でも、鋼帯を均一に冷却できる。
【0021】
(3)鋼帯Sを挟んで左右両側から液化二酸化炭素を噴射するので、鋼帯Sの冷却効果を向上させることができ、また、冷却によって鋼帯Sが一方向にたわんで変形することを抑制できる。
【0022】
(4)第1ガスノズル13と鋼帯Sとの間に所定の隙間を設けることによって、第1ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素が気化し、またその気化熱で一部が凝固して、ドライアイスを含む二酸化炭素ガスが鋼帯に吹き付けられることとなる。その結果、鋼帯Sの表面に液化二酸化炭素の沸騰膜ができても、その沸騰膜をドライアイスの粒によって破壊することができ、鋼帯Sの冷却効果を向上させることができる。
【0023】
(5)一対の第1ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んでそれぞれ、鋼帯Sから等距離の位置に配置されているので、鋼帯Sの表裏が均等に冷却され、冷却による鋼帯Sの熱変形を抑制することができる。
【0024】
(6)冷却装置10は、第1ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素に向けて、第2ガスノズル14から一酸化炭素ガスを噴射するようになっているので、噴射された一酸化炭素ガスによって、噴射雰囲気の酸素ポテンシャルを低下させ、また噴射雰囲気を還元性雰囲気とすることができ、その結果、鋼帯Sの酸化を防止することができる。
【0025】
上記別の実施形態では、第1ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んで左右両側に対向するよう一対として設けられているが、さらに、第1ガスノズル13は、鋼帯Sの移送方向(鉛直方向下方)に沿って複数対設けられていても良い。さらに、第1ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んでそれぞれ、鋼帯Sの移送方向に直交する方向(左右方向)に所定間隔をおいて、鋼帯Sの全幅に亘って複数設けられていても、スリット形状を有していても良い。このように第1ガスノズル13を配置することによって、鋼帯Sを全体にわたって均一に冷却することができる。
【0026】
(別の実施形態)
上記実施形態に加え、冷却装置10は、鋼帯Sに液化二酸化炭素をスプレー後、流動層内に収容された粉粒体で鋼帯Sを冷却する、流動層を備えていても良い。
【0027】
図2は、本発明に係る別の実施形態であって、鋼帯に液化二酸化炭素をスプレー後、流動層内に収容された粉粒体で鋼帯を冷却する、鋼帯の冷却装置の概略図である。別の実施形態は、鋼帯を冷却する粉粒体を収容する流動層を有している点で上記実施形態と異なっており、その他の構成は上記実施形態と同じである。このため、別の実施形態の説明においては、上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
図3は、
図2に示される流動層の上面図である。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、冷却装置10は、粉粒体を収容する流動層1と、流動層1の上方及び流動層1内に設けられ、鋼帯Sを上方から粉粒体内に導入し、粉粒体から上方に向けて鋼帯を取り出す、鋼帯移送部材2と、流動層1の下部に設けられ、粉粒体の下部から上方へ向けてガスを噴射する第3ガスノズル3と、流動層1の底壁及び側壁に取り付けられ、粉粒体を冷却する冷却部材41、42と、を備えている。
【0029】
流動層1には、粉粒体として、具体的にはドライアイス粉粒体が収容されている。ドライアイス粉粒体の粒径は50〜500μmであり、硬度は60Hv(モース硬度2)以下となっている。
【0030】
鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを連続的に移送するために、少なくとも流動層1外であって流動層1の上方に3つの案内ローラ21、22、24と、流動層1内に1つの案内ローラ23と、を備えている。鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを、流動層1の上方から鉛直方向下方に向けて流動層1の内部へ、流動層1の端部から離れた領域に導入し、流動層1の端部から離れた領域から、鉛直方向から若干傾斜させて、上方に取り出すようになっている。したがって、鋼帯Sは、流動層1内において、流動層1の端部近傍に位置しないようになっている。
【0031】
第3ガスノズル3は、流動層1の底壁の両端部に設けられており、流動層1内において、鉛直方向上方にむけてガスを噴射するようになっている。したがって、第3ガスノズル3から噴射されるガスは、粉粒体内の鋼帯Sに直接は衝突しないようになっている。また、第3ガスノズル3から噴射されたガスは、流動層1に収容された粉粒体を流動層1内で循環させるようになっている。
【0032】
図3に示されるように、冷却部材41は、第3ガスノズル3に挟まれるように、流動層1の底壁の内壁に取り付けられており、鋼帯Sは、冷却部材41の内側で、流動層1内に導入され、流動層1から取り出されるようになっている。また、冷却部材42は、第3ガスノズル3を囲むように、流動層1の側壁の内壁に取り付けられており、冷却部材42の下端部は、流動層1内を移送される鋼帯Sの下端位置よりも下方に位置するようになっている。
【0033】
流動層1は、第1ガスノズル13及び第2ガスノズル14の下方に配置されており、第1ガスノズル13から鋼帯Sに噴射された液化二酸化炭素、及び、第2ガスノズル14から噴射された一酸化炭素ガスの一部を回収可能となっている。
【0034】
前記構成の冷却装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0035】
(1)流動層1内を流動する粉粒体によって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sの酸化や沸騰膜の形成を防止でき、また、空気で冷却する場合のように鋼帯を変形させることもなく、冷却性能を向上させることができる。
【0036】
(2)粉粒体によって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sが凹凸を有する場合でも、冷媒を鋼帯表面に接触させることができ、鋼帯を均一に冷却できる。さらに、第3ガスノズル3から噴射されるガスによっても粉粒体を冷却できるので、粉粒体による鋼帯Sの冷却効果を向上させることができる。
【0037】
(3)流動層1内で第3ガスノズル3から噴射されたガスが上昇しながら鋼帯Sに接触するとその部分に境膜が生じ熱伝導の効率が低下する。それに加えて、ガスが空気の場合、空気の比熱は小さく、流動層内の空気による泡はランダムに発生するので、この泡が鋼帯Sに接触すると鋼帯Sの温度分布に悪い影響を与える。ここで、流動層1内で、第3ガスノズル3から噴射されるガスを鋼帯に直接衝突させないことによって、境膜の形成による熱伝導の効率の低下やガスの鋼帯への直接接触による鋼帯の温度分布の変動の問題が生じることを防止できる。
【0038】
(4)流動層1の内壁には、粉粒体を冷却する冷却部材41、42が設けられているので、冷却部材41、42によって、粉粒体の冷却を促進することができ、その結果、鋼帯Sの冷却も促進できる。
【0039】
(5)第3ガスノズル3は、流動層1の底板の端部に設けられており、冷却部材42は、第3ガスノズル3の上方であって、流動層1の側壁に設けられているので、流動層1の底板の端部に設けられた第3ガスノズル3から噴射されたガスによって、流動層1の下部の端部に位置する粉粒体が、流動層1の上部の端部に移動し、第3ガスノズル3の上方であって流動層1の側壁に設けられている冷却部材42で冷却される。したがって、冷却部材42で冷却された粉粒体が鋼帯S近傍に位置することとなり、粉粒体による鋼帯Sの冷却効果をさらに向上させることができる。
【0040】
(6)冷媒が粉粒体、すなわち固体粉粒体で構成されているので、熱容量の大きい液体や泥状(スラリー状)のものを用いるよりも、熱伝導率が向上し、冷却効率を向上させることができる。
【0041】
(7)粉粒体の粒径は50〜500μmであり、その硬度は60Hv(モース硬度2)以下という特定の性質を有するので、粉粒体の粒径と硬度が所定の範囲で均一に構成されることによって、粉粒体の熱伝導率を向上させ、また、粉粒体が鋼帯に接触することによる鋼帯への物理的影響を低減することができる。
【0042】
(8)超低温の粉粒体であるドライアイスを用いることによって、鋼帯の冷却速度を速くすることができる。
【0043】
(9)鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを、鉛直方向下方に向けて流動層1に導入するようになっているので、鋼帯Sの導入による流動層1内の粉粒体の抵抗を小さくすることができる。
【0044】
(10)鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを、鉛直方向から若干傾斜させて上方に取り出すようになっているので、鋼帯Sの取り出しによる流動層1内の粉粒体の乱れを小さくすることができる。
【0045】
(11)冷却装置10は、第1ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素が凝固したドライアイスを流動層1で回収することによって、流動層1内の粉粒体をさらに冷却することができ、粉粒体による鋼帯Sの冷却効果をさらに向上させることができる。
【0046】
上記別の実施形態では、流動層1内に収容された粉粒体で鋼帯Sを冷却する前に、鋼帯Sに液化二酸化炭素をスプレーするようになっているが、流動層内に収容された粉粒体で鋼帯を冷却した後、鋼帯に液化二酸化炭素をスプレーしても良い。この場合、鋼帯を冷却するだけでなく、鋼帯に付着した粉粒体を、液化二酸化炭素のスプレーによって効果的に除去することができる。また、第2ガスノズルは第1ガスノズルに内蔵されても良く、あらかじめ二酸化炭素と一酸化炭素を混合したガスを第1ガスノズルから噴射しても良い。
【0047】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記実施形態に対して各種変形及び変更を行うことも可能である。