特許第6367173号(P6367173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367173制御出力回路、演算装置、電子端末装置及び接点入力回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367173
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】制御出力回路、演算装置、電子端末装置及び接点入力回路
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20180723BHJP
   B61L 19/06 20060101ALI20180723BHJP
   G06F 11/08 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G06F13/00 301E
   B61L19/06
   G06F11/08
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-224872(P2015-224872)
(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-91453(P2017-91453A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋介
【審査官】 田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−148729(JP,A)
【文献】 特開平02−173852(JP,A)
【文献】 特開平06−180657(JP,A)
【文献】 特開2011−237956(JP,A)
【文献】 特開平06−012270(JP,A)
【文献】 米国特許第04305556(US,A)
【文献】 特開平08−328973(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3075635(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
B61L 19/06
G06F 11/07−11/10
G06F 11/22−11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算装置から入力される制御データをリレーユニットへ出力し、当該出力した制御データを前記演算装置にリードバックする制御出力回路であって、
出力ポート、入力ポート及びバッファの組み合わせでなるブロックであり、同一の出力選択信号で前記出力ポート及び前記バッファが選択されて、データバスのうちの共用ビットラインに伝送される制御データを前記出力ポートが出力するとともに前記共用ビットラインとは異なる他ビットラインに伝送されるチェックコードを前記バッファが記憶し、同一の入力選択信号で前記入力ポート及び前記バッファが選択されて、前記リードバックする制御データを前記入力ポートが前記共用ビットラインに伝送するとともに前記バッファが記憶しているチェックコードを前記他ビットラインに伝送する複数のブロックと、
データ出力時にアドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記出力ポート及び前記バッファを選択する前記出力選択信号を出力する出力用アドレスデコーダと、
リードバック時に前記アドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記入力ポート及び前記バッファを選択する前記入力選択信号を出力する入力用アドレスデコーダと、
を備え、前記出力選択信号で選択された出力ポートのブロックと、前記入力選択信号で選択された入力ポートのブロックとが同一の場合、前記データ出力時に前記他ビットラインに伝送されたチェックコードと同一のチェックコードが前記リードバック時に前記他ビットラインに伝送される、
制御出力回路。
【請求項2】
前記ブロックには、
前記データバスのうちの上位側を前記共用ビットラインとし、下位側を前記他ビットラインとする系統と、
前記データバスのうちの下位側を前記共用ビットラインとし、上位側を前記他ビットラインとする系統と、
の2系統の回路ブロックがある、請求項1に記載の制御出力回路。
【請求項3】
前記系統別に複数の前記ブロックがあり、
前記リレーユニットへの出力段に、各系統毎に、当該系統に含まれる各出力ポートの出力値が一致した場合に当該出力値を出力する出力回路を更に備えた、
請求項2に記載の制御出力回路。
【請求項4】
前記出力用アドレスデコーダ及び前記入力用アドレスデコーダは、前記アドレス信号が示す値の増加に対して前記ブロックの特定順序が逆となるようにデコード設定がなされている、
請求項1〜3の何れか一項に記載の制御出力回路。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の制御出力回路を制御する前記演算装置であって、
前記データ出力時に第1のアドレス信号を前記制御出力回路に出力して前記出力用アドレスデコーダに選択させた出力ポートのブロックと同一のブロックに属する入力ポートを、前記リードバック時に前記入力用アドレスデコーダに選択させる第2のアドレス信号を前記制御出力回路に出力することと、
前記第1のアドレス信号を出力した前記データ出力時に前記他ビットラインに伝送したチェックコードと、前記第2のアドレス信号を出力した前記リードバック時に前記他ビットラインに伝送されているチェックコードとが一致するか否かを判定することと、
を実行する演算装置。
【請求項6】
前記データ出力の度に、異なる前記チェックコードを生成する生成手段、
を更に備えた請求項5に記載の演算装置。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか一項に記載の制御出力回路と、
当該制御出力回路を制御する請求項5又は6に記載の演算装置と、
を具備した電子端末装置。
【請求項8】
外部入力される接点信号を演算装置へ出力する接点入力回路であって、
入力ポート及びバッファの組み合わせでなるブロックであり、出力選択信号で前記バッファが選択されて、データバスのうちの信号入力用ラインとは異なる他ビットラインに伝送されるチェックコードを前記バッファが記憶し、同一の入力選択信号で前記入力ポート及び前記バッファが選択されて、前記接点信号のデータ(以下「接点信号データ」という)を前記入力ポートが前記信号入力用ラインに伝送するとともに前記バッファが記憶しているチェックコードを前記他ビットラインに伝送する複数のブロックと、
バッファ書込時にアドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記バッファを選択する前記出力選択信号を出力する出力用アドレスデコーダと、
接点信号データ入力時に前記アドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記入力ポート及び前記バッファを選択する前記入力選択信号を出力する入力用アドレスデコーダと、
を備え、前記出力選択信号で選択されたバッファのブロックと、前記入力選択信号で選択された入力ポートのブロックとが同一の場合、前記バッファ書込時に前記他ビットラインに伝送されたチェックコードと同一のチェックコードが前記接点信号データ入力時に前記他ビットラインに伝送される、接点入力回路。
【請求項9】
前記ブロックには、
前記データバスのうちの上位側を前記信号入力用ラインとし、下位側を前記他ビットラインとする系統と、
前記データバスのうちの下位側を前記信号入力用ラインとし、上位側を前記他ビットラインとする系統と、
の2系統のブロックがある、請求項8に記載の接点入力回路。
【請求項10】
前記出力用アドレスデコーダ及び前記入力用アドレスデコーダは、前記アドレス信号が示す値の増加に対して前記ブロックの特定順序が逆となるようにデコード設定がなされている、
請求項8又は9に記載の接点入力回路。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一項に記載の接点入力回路を制御する前記演算装置であって、
前記バッファ書込時に第1のアドレス信号を前記接点入力回路に出力して前記出力用アドレスデコーダに選択させたバッファのブロックと同一のブロックに属する入力ポートを、前記接点信号データ入力時に前記入力用アドレスデコーダに選択させる第2のアドレス信号を前記接点入力回路に出力することと、
前記第1のアドレス信号を出力した前記バッファ書込時に前記他ビットラインに伝送したチェックコードと、前記第2のアドレス信号を出力した前記接点信号データ入力時に前記他ビットラインに伝送されているチェックコードとが一致するか否かを判定することと、
を実行する演算装置。
【請求項12】
前記バッファ書込の度に、異なる前記チェックコードを生成する生成手段、
を更に備えた請求項11に記載の演算装置。
【請求項13】
請求項8〜10の何れか一項に記載の接点入力回路と、
当該接点入力回路を制御する請求項11又は12に記載の演算装置と、
を具備した電子端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子連動装置の電子端末装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の信号保安装置に用いられる電子連動装置において、信号機や転てつ機、軌道回路等の現場機器との入出力回路として使用される電子端末装置では、制御出力回路の故障検知のため、出力ポートそれぞれの出力をフィードバックするための入力ポートを備えることで、リードバック診断の機能を有する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−148729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入出力ポートに対するアクセス回数を減らし処理能力を向上させるため、データバスを、特許文献1の電子端末装置のような従来の8ビットバスから32ビットバスに拡張した電子端末装置の開発にあたり、入出力ポートを指定するアドレスデコーダが故障した場合、従来のリードバック診断では検知できない場合があることがわかった。また、電子連動装置の接点入力回路の同様の開発にあたっても同様の課題があることがわかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入出力ポートを指定するアドレスデコーダの故障を確実に検知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
演算装置から入力される制御データをリレーユニットへ出力し、当該出力した制御データを前記演算装置にリードバックする制御出力回路であって、
出力ポート、入力ポート及びバッファの組み合わせでなるブロックであり、同一の出力選択信号で前記出力ポート及び前記バッファが選択されて、データバスのうちの共用ビットラインに伝送される制御データを前記出力ポートが出力するとともに前記共用ビットラインとは異なる他ビットラインに伝送されるチェックコードを前記バッファが記憶し、同一の入力選択信号で前記入力ポート及び前記バッファが選択されて、前記リードバックする制御データを前記入力ポートが前記共用ビットラインに伝送するとともに前記バッファが記憶しているチェックコードを前記他ビットラインに伝送する複数のブロックと、
データ出力時にアドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記出力ポート及び前記バッファを選択する前記出力選択信号を出力する出力用アドレスデコーダと、
リードバック時に前記アドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記入力ポート及び前記バッファを選択する前記入力選択信号を出力する入力用アドレスデコーダと、
を備え、前記出力選択信号で選択された出力ポートのブロックと、前記入力選択信号で選択された入力ポートのブロックとが同一の場合、前記データ出力時に前記他ビットラインに伝送されたチェックコードと同一のチェックコードが前記リードバック時に前記他ビットラインに伝送される、制御出力回路である。
【0007】
この第1の発明によれば、制御データをリレーユニットへ出力する制御出力回路において、出力用アドレスデコーダ、及び、入力用アドレスデコーダの故障を確実に検知することができる。すなわち、出力用アドレスデコーダ、及び、入力用アドレスデコーダが、ともに正常ならば、あるデコーダチェック用バッファから読み出したチェックコードは、その前に当該バッファに記憶させたチェックコードと一致する。しかし、例えば、出力用アドレスデコーダが故障している場合、当該デコーダからは、入力したアドレス信号に対応する出力選択信号とは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファとは別のバッファに、チェックコードが記憶されることになる。また、入力用アドレスデコーダが故障している場合も同様であり、当該デコーダからは、入力したアドレス信号に対応する入力選択信号とは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファとは別のバッファに記憶されているチェックコードが読み出されることになる。
【0008】
従って、あるブロックについて、出力用アドレスデコーダに、当該ブロックのデコーダチェック用バッファを選択するようにアドレス信号を出力して記憶させたチェックコードと、入力用アドレスデコーダに、当該ブロックのデコーダチェック用バッファを選択するようにアドレス信号を出力して読み出したチェックコードと、が一致するかを判定することで、出力用アドレスデコーダによる、当該バッファを選択する出力選択信号のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダによる、当該バッファを選択する入力選択信号のデコード動作が正常であるかを判定することができる。
【0009】
第2の発明として、第1の発明の制御出力回路であって、
前記ブロックには、
前記データバスのうちの上位側を前記共用ビットラインとし、下位側を前記他ビットラインとする系統と、
前記データバスのうちの下位側を前記共用ビットラインとし、上位側を前記他ビットラインとする系統と、
の2系統の回路ブロックがある、
制御出力回路を構成しても良い。
【0010】
この第2の発明によれば、データバスのうちのチェックコードの伝送に使用されるビットが系統毎に異なるため、データバスの健全性を確認することができる。
【0011】
第3の発明として、第2の発明の制御出力回路であって、
前記系統別に複数の前記ブロックがあり、
前記リレーユニットへの出力段に、各系統毎に、当該系統に含まれる各出力ポートの出力値が一致した場合に当該出力値を出力する出力回路を更に備えた、
制御出力回路を構成しても良い。
【0012】
この第3の発明によれば、系統別に複数のブロックがあり、ある系統の各出力ポートの出力値が一致した場合に当該出力値を出力する構成の制御出力回路を実現できる。仮に、同じ系統内で出力ポートの出力選択信号が入れ替わるという故障が生じても、ブロック別に、デコーダチェック用バッファを選択してチェックコードの記憶/読み出しを行うため、この故障を検知できる。なお、この故障は、同じ系統内で出力ポートが入れ替わって選択されるため、リレーユニットへの制御データの出力としては意図しない出力とはならないため、出力用アドレスデコーダの潜在故障といえる。この潜在故障は、従来のリードバック診断では検知できない。
【0013】
第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明の制御出力回路であって、
前記出力用アドレスデコーダ及び前記入力用アドレスデコーダが、前記アドレス信号が示す値の増加に対して前記ブロックの特定順序が逆となるようにデコード設定がなされている、
制御出力回路を構成しても良い。
【0014】
この第4の発明によれば、アドレスバスに生じたビット故障を検知することができる。すなわち、出力用アドレスデコーダと入力用アドレスデコーダとは、同一のアドレスバスを介してアドレス信号を入力するため、アドレスバスにビット故障が発生すると、アドレスバスに伝送されるべきアドレス信号と、各アドレスデコーダに入力されるアドレス信号とが異なる可能性がある。そこで、出力用アドレスデコーダ、及び、入力用アドレスデコーダにおいて、アドレス信号に対するブロックの特定順序が逆になるように設定すると、アドレスバスにビット故障が発生した場合には、ある同じブロックの出力ポート及び入力ポートを選択したときに実際に選択される出力ポートのブロックと入力ポートのブロックとが異なるため、読み出したチェックコードは、記憶させたチェックコードと一致しない。
【0015】
第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明の制御出力回路を制御する前記演算装置であって、
前記データ出力時に第1のアドレス信号を前記制御出力回路に出力して前記出力用アドレスデコーダに選択させた出力ポートのブロックと同一のブロックに属する入力ポートを、前記リードバック時に前記入力用アドレスデコーダに選択させる第2のアドレス信号を前記制御出力回路に出力することと、
前記第1のアドレス信号を出力した前記データ出力時に前記他ビットラインに伝送したチェックコードと、前記第2のアドレス信号を出力した前記リードバック時に前記他ビットラインに伝送されているチェックコードとが一致するか否かを判定することと、
を実行する演算装置を構成しても良い。
【0016】
この第5の発明によれば、第1〜第4の何れかの発明の効果を有する制御出力回路を制御して、リレーユニットへの制御データの出力を行わせるとともに、出力用アドレスデコーダ、及び、入力用アドレスデコーダの故障を検知する演算装置を実現できる。
【0017】
第6の発明として、第5の発明の演算装置であって、
前記データ出力の度に、異なる前記チェックコードを生成する生成手段、
を更に備えた演算装置を構成しても良い。
【0018】
この第6の発明によれば、データ出力毎に、異なるチェックコードをデコーダチェック用バッファに記憶させるため、読み出したチェックコードから、デコーダチェック用バッファの固定故障を検知することができる。
【0019】
第7の発明として、
第1〜第4の何れかの発明の制御出力回路と、
当該制御出力回路を制御する第5又は第6の発明の演算装置と、
を具備した電子端末装置を構成しても良い。
【0020】
この第7の発明によれば、制御出力回路と、これを制御する演算装置とを具備する電子端末装置であって、第1〜第6の何れかの発明の効果を有する電子端末装置を実現できる。
【0021】
第8の発明は、
外部入力される接点信号を演算装置へ出力する接点入力回路であって、
入力ポート及びバッファの組み合わせでなるブロックであり、出力選択信号で前記バッファが選択されて、データバスのうちの信号入力用ラインとは異なる他ビットラインに伝送されるチェックコードを前記バッファが記憶し、同一の入力選択信号で前記入力ポート及び前記バッファが選択されて、前記接点信号のデータ(以下「接点信号データ」という)を前記入力ポートが前記信号入力用ラインに伝送するとともに前記バッファが記憶しているチェックコードを前記他ビットラインに伝送する複数のブロックと、
バッファ書込時にアドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記バッファを選択する前記出力選択信号を出力する出力用アドレスデコーダと、
接点信号データ入力時に前記アドレスバスを介して入力されるアドレス信号に基づき、特定の前記ブロックの前記入力ポート及び前記バッファを選択する前記入力選択信号を出力する入力用アドレスデコーダと、
を備え、前記出力選択信号で選択されたバッファのブロックと、前記入力選択信号で選択された入力ポートのブロックとが同一の場合、前記バッファ書込時に前記他ビットラインに伝送されたチェックコードと同一のチェックコードが前記接点信号データ入力時に前記他ビットラインに伝送される、接点入力回路である。
【0022】
この第8の発明によれば、接点信号を演算装置に入力する接点入力回路において、入力用アドレスデコーダ、及び、出力用アドレスデコーダの故障を確実に検知することができる。すなわち、出力用アドレスデコーダ、及び、入力用アドレスデコーダが、ともに正常ならば、あるデコーダチェック用バッファから読み出したチェックコードは、その前に当該バッファに記憶させたチェックコードと一致する。しかし、例えば、出力用アドレスデコーダが故障している場合、当該デコーダからは、入力したアドレス信号に対応する出力選択信号とは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファとは別のバッファに、チェックコードが記憶されることになる。また、入力用アドレスデコーダが故障している場合にも同様であり、当該デコーダからは、入力したアドレス信号に対応する入力選択信号とは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファとは別のバッファに記憶されているチェックコードが読み出されることになる。
【0023】
従って、あるブロックについて、出力用アドレスデコーダに、当該ブロックのデコーダチェック用バッファを選択するようにアドレス信号を出力して記憶させたチェックコードと、入力用アドレスデコーダに、当該ブロックのデコーダチェック用バッファを選択するようにアドレス信号を出力して読み出したチェックコードと、が一致するかを判定することで、出力用アドレスデコーダによる、当該バッファを選択する出力選択信号のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダによる、当該バッファを選択する入力選択信号のデコード動作が正常であるかを判定することができる。
【0024】
第9の発明として、第8の発明の接点入力回路であって、
前記ブロックには、
前記データバスのうちの上位側を前記信号入力用ラインとし、下位側を前記他ビットラインとする系統と、
前記データバスのうちの下位側を前記信号入力用ラインとし、上位側を前記他ビットラインとする系統と、
の2系統のブロックがある、
接点入力回路を構成しても良い。
【0025】
この第9の発明によれば、第2の発明と同様に、データバスのうちのチェックコードの伝送に使用されるビットが系統毎に異なるため、データバスの健全性を確認することができる。
【0026】
第10の発明として、第8又は第9の発明の接点入力回路であって、
前記出力用アドレスデコーダ及び前記入力用アドレスデコーダは、前記アドレス信号が示す値の増加に対して前記ブロックの特定順序が逆となるようにデコード設定がなされている、
接点入力回路を構成しても良い。
【0027】
この第10の発明によれば、第4の発明と同様に、アドレスバスに生じたビット故障を検知することができる。
【0028】
第11の発明として、
第8〜第10の何れかの発明の接点入力回路を制御する前記演算装置であって、
前記バッファ書込時に第1のアドレス信号を前記接点入力回路に出力して前記出力用アドレスデコーダに選択させたバッファのブロックと同一のブロックに属する入力ポートを、前記接点信号データ入力時に前記入力用アドレスデコーダに選択させる第2のアドレス信号を前記接点入力回路に出力することと、
前記第1のアドレス信号を出力した前記バッファ書込時に前記他ビットラインに伝送したチェックコードと、前記第2のアドレス信号を出力した前記接点信号データ入力時に前記他ビットラインに伝送されているチェックコードとが一致するか否かを判定することと、
を実行する演算装置を構成しても良い。
【0029】
この第11の発明によれば、第8〜第10の何れかの発明の効果を有する接点入力回路を制御して、接点信号を入力させるとともに、入力用アドレスデコーダ、及び、出力用アドレスデコーダの故障を検知する、演算装置を実現できる。
【0030】
第12の発明として、第11の発明の演算装置であって、
前記バッファ書込の度に、異なる前記チェックコードを生成する生成手段、
を更に備えた演算装置を構成しても良い。
【0031】
この第12の発明によれば、データ出力毎に、異なるチェックコードをデコーダチェック用バッファに記憶させるため、読み出したチェックコードから、デコーダチェック用バッファの固定故障を検知することができる。
【0032】
第13の発明として、
第8〜第10の何れかの発明の接点入力回路と、
当該接点入力回路を制御する第11又は第12の発明の演算装置と、
を具備した電子端末装置を構成しても良い。
【0033】
この第13の発明によれば、接点入力回路と、これを制御する演算装置とを具備する電子端末装置であって、第8〜第10の何れかの発明の効果を有する電子端末装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態の電子端末装置の構成図。
図2】制御出力回路の回路図。
図3】アドレスデコーダのデコード動作の説明図。
図4】データバスの各ビットの使用例。
図5】演算装置の機能構成図。
図6】出力時データバス設定テーブルのデータ構成例。
図7】チェックコードデータのデータ構成例。
図8】入力時データバス設定テーブルのデータ構成例。
図9】出力制御処理のフローチャート。
図10】第2実施形態の電子端末装置の構成図。
図11】接点入力回路の回路構成図。
図12】アドレスデコーダのデコード動作の説明図。
図13】データバスの各ビットの使用例。
図14】演算装置の機能構成図。
図15】出力時データバス設定テーブルのデータ構成例。
図16】入力時データバス設定テーブルのデータ構成例。
図17】入力制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
<装置構成>
図1は、第1実施形態における電子端末装置2の概略構成を示すブロック図である。電子端末装置2は、演算装置3と、制御出力回路4と、を有して構成される。演算装置3と制御出力回路4とは、3ビット幅のアドレスバス10、及び、32ビット幅のデータバス20によって接続されている。電子端末装置2は、演算装置3が、連動論理部1からの制御データに基づき、制御出力回路4を介して、32個の外部リレー1R〜32Rを有するリレーユニット5に対する接点制御出力を行う。
【0036】
<制御出力回路>
図2は、制御出力回路4の構成を示す回路図である。制御出力回路4は、出力用アドレスデコーダ11と、入力用アドレスデコーダ12と、4つの回路ブロック21−1〜21−4と、を有する。回路ブロック21−1〜21−4それぞれは、出力ポート22−1〜22−4、入力ポート23−1〜23−4、及び、デコーダチェック用バッファ24−1〜24−4、を有する。回路ブロック21−1〜21−4は、制御データの下位16ビットを外部リレー1R〜16Rに出力する系統1の回路ブロック21−1,21−3と、制御データの上位16ビットを外部リレー17R〜32Rに出力する系統2の回路ブロック21−2,21−4と、に分けられる。
【0037】
出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12は、演算装置3と、アドレスバス10を介して共通接続されている。また、出力ポート22−1〜22−4、入力ポート23−1〜23−4、及び、デコーダチェック用バッファ24−1〜24−4は、演算装置3と、データバス20を介して共通接続されている。
【0038】
出力用アドレスデコーダ11は、ライト信号WRが入力されることで、アドレスバス10から入力される3ビットのアドレス信号をデコードして、出力ポート22−1〜22−4、及び、デコーダチェック用バッファ24−1〜24−4のそれぞれを選択する出力選択信号WR1〜WR4を出力する。
【0039】
入力用アドレスデコーダ12は、リード信号RDが入力されることで、アドレスバス10から入力される3ビットのアドレス信号をデコードして、入力ポート23−1〜23−4、及び、デコーダチェック用バッファ24−1〜24−4のそれぞれを選択する入力選択信号RD1〜RD4を出力する。
【0040】
図3は、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12のデコード動作を示す図である。入力されるアドレス信号の各ビット値(A0−A2)と、出力される出力選択信号WR1〜WR4、及び、入力選択信号RD1〜RD4との対応関係を示している。出力用アドレスデコーダ11と、入力用アドレスデコーダ12とは、アドレス信号に対する回路ブロック21の選択順が逆に設定されている。すなわち、アドレス信号の値の増加に対して、出力選択信号は、回路ブロック21−1〜21−4(出力ポート22−1〜22−4)の順(昇順)に選択するように設定されているが、入力選択信号は、逆に、回路ブロック21−4〜21−1(入力ポート23−4〜23−1)の順(降順)に選択するように設定されている。
【0041】
出力ポート22−1〜22−4それぞれは、対応する出力選択信号WR1〜WR4が入力されることで、データバス20から入力される16ビットの制御データを、出力段のリレー出力回路25−1〜25−4の各リレーに出力する。出力ポート22−1,22−3は、データバス20の下位16ビット(D0−D15)のデータを入力し、出力ポート22−2,22−4は、データバス20の上位16ビット(D16−D31)のデータを入力する。
【0042】
リレー出力回路25−1は、16個のリレー1ROR〜16RORを有し、リレー出力回路25−2は、16個のリレー17ROR〜32RORを有する。リレー出力回路25−3は、16個のフォトモスリレー1FMR〜16FMRを有し、これらのフォトモスリレー1FMR〜16FMRそれぞれは、リレー1ROR〜16RORそれぞれの接点を介して外部リレー1R〜16Rと接続されている。リレー出力回路25−4は、16個のフォトモスリレー17FMR〜32FMRを有し、これらのフォトモスリレー17FMR〜32FMRそれぞれは、リレー17ROR〜32RORそれぞれの接点を介して外部リレー17R〜32Rと接続されている。
【0043】
入力ポート23−1〜23−4それぞれは、対応する出力ポート22−1〜22−4の出力データを演算装置3へリードバックするために設けられ、対応する入力選択信号RD1〜RD4が入力されることで、リレー入力回路26−1〜26−4の各接点の開閉状態を示す16ビットのデータを、データバス20に出力する。入力ポート23−1,23−3は、データバス20の下位16ビット(D0−D15)にデータを出力し、入力ポート23−2,23−4は、データバス20の上位16ビット(D16−D31)にデータを出力する。
【0044】
リレー入力回路26−1は、16個のリレー1ROR〜16RORの接点を有し、リレー入力回路26−2は、16個のリレー17ROR〜32RORの接点を有する。リレー入力回路26−3は、16個のフォトカプラ1FMRM〜16FMRMを有し、リレー入力回路26−4は、16個のフォトカプラ17FMRM〜32FMRMを有する。
【0045】
デコーダチェック用バッファ24−1〜24−4それぞれは、対応する出力選択信号WR1〜WR4が入力されることで、データバス20から入力される8ビットのチェックコードを記憶する。また、対応する入力選択信号RD1〜RD4が入力されることで、記憶している8ビットのチェックコードを、データバス20に出力する。すなわち、デコーダチェック用バッファ24−1は、出力選択信号WR1が入力される制御出力時に、データバス20のうちのビットD16−D23の8ビットからデータを取り込んで記憶し、入力選択信号RD1が入力されるリードバック時に、記憶していたデータを同じビットD16−D23に出力する。デコーダチェック用バッファ24−2は、出力選択信号WR2が入力される制御出力時に、データバス20のうちのビットD0−D7の8ビットからデータを取り込んで記憶し、入力選択信号RD2が入力されるリードバック時に、記憶していたデータを同じビットD0−D7に出力する。デコーダチェック用バッファ24−3は、出力選択信号WR3が入力される制御出力時に、データバス20のうちのビットD24−D31の8ビットからデータを取り込んで記憶し、入力選択信号RD3が入力されるリードバック時に、記憶していたデータを同じビットD24−D31に出力する。デコーダチェック用バッファ24−4は、出力選択信号WR4が入力される制御出力時に、データバス20のうちのビットD8−D15の8ビットからデータを取り込んで記憶し、入力選択信号RD3が入力されるリードバック時に、記憶していたデータを同じビットD8−D15に出力する。
【0046】
<動作>
制御出力回路4は、演算装置3の制御のもと、(A)制御データに基づく外部リレー1R〜32Rへの制御出力を行いつつ、(B)出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12の故障検知を行うことができる。
【0047】
(A)制御出力
外部リレー1R〜32Rに対する32点の制御出力は、16点ずつの2回の制御出力に分けて行われる。すなわち、系統1の出力ポート22−1,22−3によって、制御データの下位16ビットに従った外部リレー1〜16に対する制御出力を行い、系統2の出力ポート22−2,22−4によって、制御データの上位16ビットに従った外部リレー17R〜32Rに対する制御出力を行う。
【0048】
より具体的には、系統1においては、制御データの下位16ビットに基づき、出力ポート22−1によるリレー1ROR〜16RORそれぞれに対する制御出力が行われ、且つ、出力ポート22−3によるフォトモスリレー1FMR〜16FMRそれぞれに対する制御出力が行われる。そして、リレー1ROR〜16ROR及びフォトモスリレー1FMR〜16FMRにおいて、対応する両方のリレーが同一動作した場合に同一の制御出力がなされることで、外部リレー1R〜16Rに対する制御出力がなされる。このとき、出力選択信号WR1,WR3によって出力ポート22−1,22−3それぞれが指定されているが、出力用アドレスデコーダ11の故障によって出力選択信号WR1,WR3が出力されない場合には、出力ポート22−1,22−3が指定されずに制御出力が行われない。
【0049】
系統2においても同様に、制御データの上位16ビットに基づき、出力ポート22−2によるリレー17ROR〜32RORそれぞれに対する制御出力が行われ、且つ、出力ポート22−4によるフォトモスリレー17FMR〜32FMRに対する制御出力が行われる。そして、リレー17ROR〜32ROR及びフォトモスリレー17FMR〜32FMRにおいて、対応する両方のリレーが同一動作した場合に同一の制御出力がなされることで、外部リレー17R〜32Rに対する制御出力がなされる。このとき、出力選択信号WR2,WR4によって出力ポート22−2,2−4それぞれが指定されているが、出力用アドレスデコーダ11の故障によって出力選択信号WR2,WR4が出力されない場合には、出力ポート22−4,22−4が指定されずに制御出力が行われない。
【0050】
(B)デコーダの故障検知
出力用アドレスデコーダ11は、アドレス信号をデコードして、4つの出力ポート22−1〜22−4それぞれを指定する出力選択信号WR1〜WR4を出力し、入力用アドレスデコーダ12は、アドレス信号をデコードして、4つの入力ポート23−1〜23−4それぞれを指定する入力選択信号RD1〜RD4を出力する。そこで、4つのデコーダチェック用バッファ24−1〜24−4を用いて、出力用アドレスデコーダ11による出力選択信号WR1〜WR4のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダ12による入力選択信号RD1〜RD4デコード動作が正常に行われているかを判定する。
【0051】
具体的には、出力用アドレスデコーダ11に、デコーダチェック用バッファ24−1を指定するアドレス信号を入力するともに、データバス20にチェックコードを出力して、デコーダチェック用バッファ24−1にチェックコードを記憶させる。次いで、入力用アドレスデコーダ12に、デコーダチェック用バッファ24−1を指定するアドレス信号を入力して、デコーダチェック用バッファ24−1に記憶されているデータを読み出す。出力用アドレスデコーダ11による出力選択信号WR1のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダ12による入力選択信号RD1のデコード動作がともに正常であれば、読み出したデータは記憶させたデータと同一であり、チェックコードと一致する。
【0052】
デコーダチェック用バッファ24−2〜24−4についても同様である。すなわち、出力用アドレスデコーダ11に、デコーダチェック用バッファ24−2〜24−4それぞれを指定するアドレス信号を入力するとともに、データバス20にチェックコードを出力して、デコーダチェック用バッファ24−2〜24−4それぞれにチェックコードを記憶させる。次いで、入力用アドレスデコーダ12に、デコーダチェック用バッファ24−2〜24−4を指定するアドレス信号を入力して、デコーダチェック用バッファ24−2〜24−4それぞれに記憶されているデータを読み出す。出力用アドレスデコーダ11による出力選択信号WR2〜WR4のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダ12による入力選択信号RD2〜RD4のデコード動作がともに正常であれば、読み出したデータは記憶させたデータと同一であり、チェックコードと一致する。このとき、チェックコードは、デコーダチェック用バッファ24毎に、つまり出力ポート22毎に異なる値とし、記憶させる度に異なる値とする。
【0053】
(C)データバス20の使用
リレーユニット5に対する制御出力と、デコーダの故障検知とは、回路ブロック21を単位として行う。具体的には、出力ポート22を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力するとともに、制御データ、及び、チェックコードをデータバス20に出力して、制御データに従った制御出力を出力ポート22に行わせるとともに、デコーダチェック用バッファ24にチェックコードを記憶させる。次いで、入力ポート23を指定するアドレス信号をアドレスバスに出力して、入力ポート23から出力ポート22の出力データを読み出す(リードバックする)とともに、デコーダチェック用バッファ24に記憶されているチェックコードを読み出す。つまり、データバス20に、制御出力のための制御データと、デコーダの故障検知のためのチェックコードと、を同時に出力することになる。
【0054】
図4は、データバス20へのデータの割り当ての一例を示す図である。図4では、上から順に、出力ポート22−1〜22−4、及び、入力ポート23−1〜23−4のそれぞれを指定した場合について、データバス20の各ビットへの、制御データ及びチェックコードの割り当てを示している。
【0055】
32ビット幅のデータバス20は、制御データの制御出力に用いられる16ビット分の共用ビットラインと、チェックコードの書き込み/読み出しに用いられる16ビット分の他ビットラインと、の2つのラインに分けられ、両者は系統別に切り替えられる。すなわち、系統1である回路ブロック21−1,21−3については、データバス20の下位16ビット(D0−D15)を共用ビットラインとし、上位16ビット(D16−D31)を他ビットラインとして使用する。また、系統2である回路ブロック21−2,21−4については、系統1とは逆に、データバス20の上位16ビット(D16−D31)を共用ビットラインとし、下位16ビット(D0−D15)を他ビットラインとして使用する。
【0056】
更に、回路ブロック21毎に、他ビットラインのうちのチェックコードの割り当てビットが異なるように定められている。すなわち、系統1である回路ブロック21−1については、他ビットラインの下位側の8ビット(D16−D23)にチェックコードを割り当て、回路ブロック21−3については、上位側の8ビット(D24−D31)にチェックコードを割り当てる。また、系統2である回路ブロック21−2については、他ビットラインの下位側8ビット(D0−D7)にチェックコードを割り当て、回路ブロック21−4については、上位側8ビット(D8−D15)にチェックコードを割り当てる。
【0057】
<演算装置>
図5は、演算装置3の機能構成図である。演算装置3は、処理部100と、記憶部200とを備えて構成されるコンピュータ装置である。なお、図示していないが、演算装置3は、ボタンスイッチ等の入力部や、LED等の表示部、故障判定結果の通知先である外部装置との通信を実行する通信部を備える。
【0058】
処理部100は、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサであり、記憶部200に記憶された制御プログラムを実行することで、制御出力回路4に、制御データに従ったリレーユニット5に対する制御出力を行わせる。また、処理部100は、チェックコード生成部101と、出力制御部102と、入力制御部103と、デコーダ故障判定部104と、リードバック診断部105と、を有する。
【0059】
チェックコード生成部101は、8ビットのチェックコードを生成する。すなわち、出力制御部102による出力ポート22の指定毎に、例えば、直前に生成したチェックコードに「1」を加算することで、毎回異なるチェックコードを生成する。
【0060】
出力制御部102は、回路ブロック21別に、制御データに従った制御出力を行わせるよう制御する。すなわち、当該回路ブロック21の出力ポート22を指定するアドレス信号を、アドレスバス10に出力する。それとともに、出力時データバス設定テーブル202を参照し、指定した出力ポート22に応じて、当該出力ポート22から出力させる制御データ、及び、チェックコード生成部101によって生成されたチェックコードを設定したデータ信号を生成し、データバス20に出力する。そして、データバス20に出力したチェックコードを、当該回路ブロック21のデコーダチェック用バッファ24に対応付けて、チェックコードデータ205を更新する。
【0061】
図6は、出力時データバス設定テーブル202のデータ構成の一例を示す図である。出力時データバス設定テーブル202は、出力ポート22それぞれに、当該出力ポートを指定するときにデータバス20の各ビットに設定するデータの種類を対応付けて格納している。
【0062】
チェックコードデータ205は、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12がともに正常である場合に、デコーダチェック用バッファ24に記憶されていると想定されるチェックコードのデータである。図7に、チェックコードデータ205のデータ構成の一例を示す。チェックコードデータ205は、デコーダチェック用バッファ24それぞれに、記憶されているはずのチェックコードを対応づけて格納している。
【0063】
入力制御部103は、回路ブロック21別に、出力ポート22が出力する出力データをリードバックさせる制御を行う。すなわち、当該回路ブロック21の入力ポート23を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力し、そのときにデータバス20に出力される(伝送される)データを取り込む。そして、入力時データバス設定テーブル203を参照し、指定した入力ポート23に応じて、取り込んだデータ信号に設定されている、当該入力ポート23から出力されたデータ(すなわち、出力ポート22が出力した制御データに対するリードバックデータ)と、デコーダチェック用バッファ24から読み出されたデータ(すなわち、当該デコーダチェック用バッファ24に記憶させたチェックコード)と、を抽出する。
【0064】
図8は、入力時データバス設定テーブル203のデータ構成の一例を示す図である。入力時データバス設定テーブル203は、入力ポート23それぞれに、当該入力ポート23を指定したときに、データバス20のデータ信号の各ビットに設定されているデータの種類を対応付けて格納している。
【0065】
デコーダ故障判定部104は、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12の故障を判定する。すなわち、回路ブロック21毎に、入力制御部103が当該回路ブロック21の入力ポート23を指定してデータバス20から読み出したチェックコードが、出力制御部102が当該回路ブロック21の出力ポート22を指定したときにデータバス20に出力したチェックコード、つまり、当該回路ブロック21のデコーダチェック用バッファ24に記憶されているはずのチェックコードに一致するかを判定する。デコーダチェック用バッファ24に記憶されているはずのチェックコードは、チェックコードデータ205を参照して判断する。
【0066】
そして、全ての回路ブロック21について、チェックコードが一致すると判定したならば、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12は「正常」と判定する。一方、一つでも一致しないと判定したならば、出力用アドレスデコーダ11の、一致しないと判定した回路ブロック21の出力ポート22を指定する出力選択信号RWのデコード動作、或いは、一致しないと判定した回路ブロック21の入力ポート23を指定する入力選択信号RDのデコード動作の故障と判定する。
【0067】
リードバック診断部105は、回路ブロック21別に、制御データのリードバック診断を行う。すなわち、入力制御部103が当該回路ブロック21の入力ポート23を指定してデータバス20から読み出した当該入力ポート23の出力データが、出力制御部102が当該回路ブロック21の出力ポート22を指定したときにデータバス20に出力した制御データ、つまり、当該出力ポート22が出力したはずの制御データに一致しているかを判定する。
【0068】
記憶部200は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリで構成され、出力制御プログラム201と、出力時データバス設定テーブル202と、入力時データバス設定テーブル203と、制御データ204と、チェックコードデータ205と、を記憶する。
【0069】
<処理の流れ>
図9は、演算装置3が実行する出力制御処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部100が出力制御プログラム201に従って実行する処理であり、所定時間(例えば、数百ミリ秒)毎に、繰り返し行われる。
【0070】
出力制御処理では、先ず、チェックコード生成部101が、チェックコード1を生成する(ステップA1)。次いで、出力制御部102が、出力ポート22−1を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力するとともに、制御データの下位16ビット、及び、生成したチェックコード1を設定したデータ信号を、データバス20に出力する(ステップA3)。これにより、出力ポート22−1が、制御データの下位16ビットに従ったリレー1ROR〜16RORに対する制御出力を行うとともに、デコーダチェック用バッファ24−1が、チェックコード1を記憶する。
【0071】
続いて、チェックコード生成部101が、チェックコード2を生成する(ステップA5)。そして、出力制御部102が、出力ポート22−2を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力するとともに、制御データの上位16ビット、及び、生成したチェックコード2を設定したデータ信号を、データバス20に出力する(ステップA7)。これにより、出力ポート22−2が、制御データの上位16ビットに従ったリレー17ROR〜32RORに対する制御出力を行うとともに、デコーダチェック用バッファ24−2が、チェックコード2を記憶する。
【0072】
続いて、チェックコード生成部101が、チェックコード3を生成する(ステップA9)。次いで、出力制御部102が、出力ポート22−3を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力するとともに、制御データの下位16ビット、及び、生成したチェックコード3を設定したデータ信号を、データバス20に出力する(ステップA11)。これにより、出力ポート22−3が、制御データの下位16ビットに従ったフォトモスリレー1FMR〜16FMRそれぞれに対する制御出力を行うことで、外部リレー1R〜16Rそれぞれに対して、制御データの下位16ビットに従った制御出力がなされる。それとともに、デコーダチェック用バッファ24−3が、チェックコード3を記憶する。
【0073】
チェックコード生成部101が、チェックコード4を生成する(ステップA13)。出力制御部102が、出力ポート22−4を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力するとともに、制御データの上位16ビット、及び、生成したチェックコード4を設定したデータ信号を、データバス20に出力する(ステップA15)。これにより、出力ポート22−4が、制御データの上位16ビットに従ったフォトモスリレー17FMR〜32FMRに対する制御出力を行うことで、外部リレー17R〜32Rに対する制御出力がなされる。それとともに、デコーダチェック用バッファ24−4が、チェックコード4を記憶する。
【0074】
続いて、入力制御部103が、入力ポート23−1を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力して、データバス20のデータ信号を読み出す(ステップA17)。次いで、デコーダ故障判定部104が、読み出したデータ信号中のチェックコードが、デコーダチェック用バッファ24−1に記憶させたチェックコード1に一致するか否かを判定する(ステップA19)。
【0075】
入力制御部103が、入力ポート23−2を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力して、データバス20のデータ信号を読み出す(ステップA21)。次いで、デコーダ故障判定部104が、読み出したデータ信号中のチェックコードが、デコーダチェック用バッファ24−2に記憶させたチェックコード2に一致するか否かを判定する(ステップA23)。
【0076】
入力制御部103が、入力ポート23−3を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力して、データバス20のデータ信号を読み出す(ステップA25)。次いで、デコーダ故障判定部104が、読み出したデータ信号中のチェックコードが、デコーダチェック用バッファ24−3に記憶させたチェックコード3に一致するか否かを判定する(ステップA27)。
【0077】
入力制御部103が、入力ポート23−4を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力して、データバス20のデータ信号を読み出す(ステップA29)。次いで、デコーダ故障判定部104が、読み出したデータ信号中のチェックコードが、デコーダチェック用バッファ24−4に記憶させたチェックコード4に一致するか否かを判定する(ステップA31)。
【0078】
その後、デコーダ故障判定部104が、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12の故障判定として、デコーダチェック用バッファ24−1〜24−4それぞれについてのチェックコードの一致判定の結果が全て一致ならば、ともに「正常」と判定し、1つでも一致しないならば、「故障」と判定する(ステップA33)。
【0079】
また、リードバック診断部105が、入力ポート23−1を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力し、そのときのデータバス20のデータ信号から、入力ポート23−1の出力データ、すなわち、リレー1ROR〜16RORそれぞれの接点データを読み出す。次いで、入力ポート23−2を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力し、そのときのデータバス20のデータ信号から、入力ポート23−2の出力データ、すなわち、リレー17ROR〜32RORそれぞれの接点データを読み出す。そして、リレー1ROR〜32RORそれぞれの接点データが、制御データに一致するかを判定するリードバック診断を行う(ステップA35)。
【0080】
また、リードバック診断部105は、入力ポート23−3を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力し、そのときのデータバス20のデータ信号から、入力ポート23−3の出力データ、すなわち、フォトモスリレー1FMR〜16FMRそれぞれの出力データを読み出す。次いで、入力ポート23−4を指定するアドレス信号をアドレスバス10に出力し、そのときのデータバス20のデータ信号から、入力ポート23−4の出力データ、すなわち、フォトモスリレー17FMR〜32FMRそれぞれの出力データを読み出す。そして、フォトモスリレー1FMR〜32FMRそれぞれの出力データが、制御データに一致するかを判定するリードバック診断を行う(ステップA37)。
【0081】
その後、デコーダ故障判定、及び、リードバック診断の結果を、例えば外部装置に出力する(ステップA39)。
【0082】
<作用効果>
このように、第1実施形態の電子端末装置2によれば、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12の故障を確実に検知することができる。すなわち、出力用アドレスデコーダ11、及び、入力用アドレスデコーダ12が、ともに正常ならば、あるデコーダチェック用バッファ24から読み出したチェックコードは、その前に当該デコーダチェック用バッファ24に記憶させたチェックコードと一致する。
【0083】
しかし、例えば、出力用アドレスデコーダ11が故障している場合、当該出力用アドレスデコーダ11からは、入力したアドレス信号に対応する出力選択信号WRとは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファ24とは別のバッファにチェックコードが記憶されることになる。また、入力用アドレスデコーダ12が故障している場合にも同様であり、当該入力用アドレスデコーダ12からは、入力したアドレス信号に対応する入力選択信号RDとは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファ24とは別のバッファに記憶されているチェックコードが読み出されることになる。
【0084】
従って、ある回路ブロック21について、出力用アドレスデコーダ11に、当該回路ブロック21のデコーダチェック用バッファ24を選択するようにアドレス信号を出力して記憶させたチェックコードと、入力用アドレスデコーダ12に、当該回路ブロック21のデコーダチェック用バッファ24を選択するようにアドレス信号を出力して読み出したチェックコードと、が一致するかを判定することで、出力用アドレスデコーダ11による、当該デコーダチェック用バッファ24を選択する出力選択信号のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダ12による、当該デコーダチェック用バッファ24を選択する入力選択信号のデコード動作が正常であるかを判定することができる。
【0085】
また、従来のリードバック診断のみでは検知できないデコーダの故障検知が可能となる。具体的には、出力用アドレスデコーダ11の故障として、系統1の出力ポート22−1,22−3それぞれを選択する出力選択信号WR1,WR3が入れ替わる故障や系統2の出力ポート22−2,22−4それぞれを選択する出力選択信号WR2,WR4が入れ替わる故障がある。この故障は、同じ系統内で出力選択信号が入れ替わるために、リレーユニット5に対して意図しない制御出力とならないため、出力用アドレスデコーダ11の潜在故障といえる。この故障は、従来のリードバック診断では検知できないが、第1実施形態の電子端末装置2では、デコーダチェック用バッファ24毎にチェックコードの記憶/読み出しを行って一致を判定するため、検知することができる。
【0086】
また、4つの回路ブロック21−1〜21−4毎に、データバス20のうちのチェックコードを伝送する信号ライン(ビット)が異なる。これにより、データバス20の健全性を確認することができる。すなわち、データバス20のビットに故障が生じると、この故障ビットの値に起因して、演算装置3がデータバス20に出力したチェックコードと、デコーダチェック用バッファ24に入力されるチェックコードとが異なることになる。第1実施形態の電子端末装置2では、演算装置3において、データバス20に出力したチェックコードと、データバス20を介してデコーダチェック用バッファ24から読み出したチェックコードとの一致を判定するため、データバス20のビット故障を検知することができる。
【0087】
[第2実施形態]
<装置構成>
図10は、第2本実施形態における電子端末装置6の概略構成を示すブロック図である。電子端末装置6は、演算装置7と、接点入力回路8と、を有して構成される。演算装置7と接点入力回路8とは、3ビット幅のアドレスバス30、及び、32ビット幅のデータバス40によって接続されている。電子端末装置6は、演算装置7が、リレーユニット9が有する32個の外部リレー1RI〜32RIそれぞれの接点の開閉状態を示す接点データを、接点入力回路8を介して入力する。
【0088】
図11は、接点入力回路8の構成を示す回路図である。接点入力回路8は、出力用アドレスデコーダ31と、入力用アドレスデコーダ32と、2つの回路ブロック41−1,41−2と、出力ポート45と、を有する。回路ブロック41−1,41−2それぞれは、入力ポート42−1,42−2、及び、デコーダチェック用バッファ43−1,43−2、を有する。回路ブロック41−1,41−2は、外部リレー1RI〜16RIの接点データを入力する系統1の回路ブロック41−1と、外部リレー17RI〜32RIの接点データを入力する系統2の回路ブロック41−2と、に分けられる。
【0089】
出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32は、アドレスバス30を介して、演算装置7と共通接続されている。入力ポート42−1,42−2、及び、デコーダチェック用バッファ43−1,43−2は、データバス40を介して、演算装置7と共通接続されている。
【0090】
出力用アドレスデコーダ31は、アドレスバス30から入力されるアドレス信号をデコードして、デコーダチェック用バッファ43−1,43−2それぞれを選択する出力選択信号WR1,WR2と、出力ポート45を選択するチェック信号CHKと、を出力する。
【0091】
入力用アドレスデコーダ32は、アドレスバス30から入力されるアドレス信号をデコードして、入力ポート42−1,42−2、及び、デコーダチェック用バッファ43−1,2それぞれを選択する入力選択信号RD1,RD2を出力する。
【0092】
図12は、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32のデコード動作を示す図である。入力されるアドレス信号の各ビット値(A0−A2)と、出力される出力選択信号WR1,WR2、及び、入力選択信号RD1,RD2との対応関係を示している。出力用アドレスデコーダ31と、入力用アドレスデコーダ32とは、アドレス信号に対する回路ブロック41の選択順が逆に設定されている。すなわち、アドレス信号の値の増加に対して、出力選択信号は、回路ブロック41−2,41−1(デコーダチェック用バッファ43−2,43−1)の順(降順)に選択するように設定されているが、入力選択信号は、逆に、回路ブロック41−1,41−2(入力ポート42−1,42−2)の順(昇順)に選択するように設定されている。
【0093】
入力ポート42−1,42−2それぞれは、対応する入力選択信号RD1,RD2が入力されることで、リレー入力回路44−1,44−2を介して、外部リレー1RI〜32RIそれぞれの接点の開閉状態を示す16ビットのデータを、データバス40に出力する。入力ポート42−1は、外部リレー1RI〜16RIの接点の開閉状態を示すデータ(接点データ)をデータバス40の下位16ビット(D0−D15)に出力し、入力ポート42−2は、外部リレー17RI〜32RIの接点の開閉状態を示すデータ(接点データ)をデータバス40の上位16ビット(D16−D31)に出力する。
【0094】
デコーダチェック用バッファ43−1,43−2それぞれは、対応する出力選択信号WR1,WR2が入力されることで、データバス40から入力される16ビットのチェックコードを記憶する。また、対応する入力選択信号RD1,RD2が入力されることで、記憶している16ビットのチェックコードを、データバス40に出力する。すなわち、デコーダチェック用バッファ43−1は、出力選択信号WR1が入力されると、データバス40の上位16ビット(D16−D31)のデータを取り込んで記憶し、入力選択信号RD1が入力される接点入力時に、記憶していたデータをデータバス40の同じ上位16ビット(D16−D31)に出力する。デコーダチェック用バッファ43−2は、出力選択信号WR2が入力されると、データバス40の下位16ビット(D0−D15)のデータを取り込んで記憶し、入力選択信号RD2が入力される接点入力時に、記憶していたデータをデータバス40の同じ下位16ビット(D0−D15)に出力する。
【0095】
出力ポート45は、チェック信号CHKが入力されることで、パルス信号である照査信号を出力する。
【0096】
<動作>
接点入力回路8は、演算装置7の制御のもと、(A)外部リレー1RI〜32RIの接点入力を行いつつ、(B)出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32の故障検知と、を行うことができる。
【0097】
(A)接点入力
外部リレー1RI〜32RIの32点の接点入力は、16点ずつの2回の接点入力に分けて行われる。すなわち、系統1の入力ポート42−1によって、外部リレー1RI〜16RIの接点入力を行い、系統2の入力ポート42−2によって、外部リレー16RI〜32RIの接点入力を行う。このとき、外部リレー1RI〜32RIそれぞれの接点入力は、出力ポート45から照査信号が出力されることで、入力ポート42−1,42−2それぞれに入力される。
【0098】
(B)デコーダの故障検知
出力用アドレスデコーダ31は、アドレス信号をデコードして、2つのデコーダチェック用バッファ43−1,43−2それぞれを指定する出力選択信号WR1,WR2を出力し、入力用アドレスデコーダ32は、アドレス信号をデコードして、2つの入力ポート42−1,42−2それぞれを指定する入力選択信号RD1,RD2を出力する。そこで、2つのデコーダチェック用バッファ43−1,43−2それぞれを用いて、2つのバッファ選択信号WR1,WR2、及び、2つの入力選択信号RD1,RD2それぞれのデコード動作が正常に行われているかを判定する。
【0099】
具体的には、出力用アドレスデコーダ31に、デコーダチェック用バッファ43−1を指定するアドレス信号を入力するとともに、データバス40にチェックコードを出力して、デコーダチェック用バッファ43−1にチェックコードを記憶させる。次いで、入力用アドレスデコーダ32に、デコーダチェック用バッファ43−1を指定するアドレス信号を入力して、デコーダチェック用バッファ43−1に記憶されているデータを読み出す。出力用アドレスデコーダ31による出力選択信号WR1のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダ32による入力選択信号RD1のデコード動作がともに正常であれば、読み出したデータは記憶させたデータと同一であり、チェックコードと一致する。
【0100】
デコーダチェック用バッファ43−2についても同様である。すなわち、出力用アドレスデコーダ31に、デコーダチェック用バッファ43−2を指定するアドレス信号を入力するとともに、データバス40にチェックコードを出力して、デコーダチェック用バッファ43−2にチェックコードを記憶させる。次いで、入力用アドレスデコーダ32に、デコーダチェック用バッファ43−2を指定するアドレス信号を入力して、デコーダチェック用バッファ43−2に記憶されているデータを読み出す。出力用アドレスデコーダ31による出力選択信号WR2のデコード動作、及び、入力用アドレスデコーダ32による入力選択信号RD2のデコード動作がともに正常であれば、読み出したデータは記憶させたデータと同一であり、チェックコードと一致する。このとき、チェックコードは、デコーダチェック用バッファ43−1,43−2毎に異なる値とし、記憶させる度に異なる値とする。
【0101】
(C)データバス40の使用
リレーユニット9からの接点入力と、デコーダの故障検知とは、回路ブロック41を単位として行う。具体的には、デコーダチェック用バッファ43を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力するとともに、チェックコードをデータバス40に出力して、指定したデコーダチェック用バッファ43にチェックコードを記憶させる。次いで、入力ポート42を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力して、入力ポート42によって外部リレーRIの接点データを入力するとともに、デコーダチェック用バッファ43に記憶されているチェックコードを読み出す。つまり、データバス40に、接点入力のための接点データと、デコーダの故障検知のためのチェックコードと、を同時に出力することになる。
【0102】
図13は、データバス40へのデータの割り当ての一例を示す図である。図13では、上から順に、デコーダチェック用バッファ43−1,43−2、入力ポート42−1,42−2のそれぞれを指定した場合について、データバス40の各ビットへの接点データ、及び、チェックコードの割り当てを示している。
【0103】
32ビット幅のデータバス40は、接点入力に用いられる16ビット分の信号入力ラインと、チェックコードの書き込み/読み出しに用いられる16ビット分の他ビットラインと、の2つのラインに分けられ、両者は系統後別に切り替えられる。すなわち、系統1である回路ブロック41−1については、データバス40の下位16ビット(D0−D15)を信号入力ラインとし、下位16ビット(D16−D32)を他ビットラインとして使用する。また、系統2である回路ブロック41−2については、データバス40の上位16ビット(D16−D32)を信号入力ラインとし、下位16ビットを(D0−D15)を他ビットラインとして使用する。
【0104】
<演算装置>
図14は、演算装置7の機能構成図である。演算装置7は、処理部300と、記憶部400とを備えて構成されるコンピュータ装置である。なお、図示していないが、演算装置7は、ボタンスイッチ等の入力部や、LED等の表示部、故障判定結果の通知先である外部装置との通信を実行する通信部を備える。
【0105】
処理部300は、チェックコード生成部301と、出力制御部302と、入力制御部303と、デコーダ故障判定部304と、を有する。
【0106】
チェックコード生成部301は、16ビットのチェックコードを生成する。すなわち、出力制御部302による、デコーダチェック用バッファ43の指定毎に、例えば、直前に生成したチェックコードに「1」を加算することで、毎回異なるチェックコードを生成する。
【0107】
出力制御部302は、デコーダチェック用バッファ43へのチェックコードの書き込みを制御する。すなわち、デコーダチェック用バッファ43を指定するアドレス信号を、アドレスバス30に出力する。それとともに、出力時データバス設定テーブル202を参照し、指定したデコーダチェック用バッファ43に応じて、チェックコード生成部301によって生成されたチェックコードを設定したデータ信号を生成し、データバス40に出力する。そして、データバス40に出力したチェックコードを、指定したデコーダチェック用バッファ43に対応付けて、チェックコードデータ405を更新する。
【0108】
図15は、出力時データバス設定テーブル402のデータ構成の一例を示す図である。出力時データバス設定テーブル402は、デコーダチェック用バッファ43それぞれに、当該デコーダチェック用バッファ43を指定するときにデータバス40の各ビットに設定するデータの種類を対応付けて格納している。
【0109】
チェックコードデータ405は、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32がともに正常である場合に、デコーダチェック用バッファ43に記憶されていると想定されるチェックコードのデータである。
【0110】
入力制御部303は、リレーユニット9の接点入力を制御する。すなわち、入力ポート42を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力し、そのときにデータバス40に出力されているデータ信号を取り込む。そして、入力時データバス設定テーブル403を参照し、指定した入力ポート42に応じて、取り込んだデータ信号から、入力ポート42から出力されたデータ(すなわち、外部リレーRIの接点データ)と、デコーダチェック用バッファ43から読み出されたデータ(すなわち、デコーダチェック用バッファ43に記憶されていたチェックコード)と、を抽出する。
【0111】
図16は、入力時データバス設定テーブル403のデータ構成の一例を示す図である。入力時データバス設定テーブル403は、入力ポート42それぞれに、当該入力ポート42を指定したときに、データバス40のデータ信号の各ビットに設定されているデータの種類を対応付けて格納している。
【0112】
デコーダ故障判定部304は、出力用アドレスデコーダ31、及び、及び入力用アドレスデコーダ32の故障を判定する。すなわち、回路ブロック41毎に、当該回路ブロック41の入力ポート42を指定してデータバス40から読み出したチェックコードが、当該回路ブロック41のデコーダチェック用バッファ43を指定したときにデータバス40に出力したチェックコード、つまり、当該デコーダチェック用バッファ43に記憶されているはずのチェックコードに一致するかを判定する。デコーダチェック用バッファ43に記憶されているはずのチェックコードは、チェックコードデータ405を参照して判断する。
【0113】
そして、全ての回路ブロック41について、チェックコードが一致すると判定したならば、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32は、「正常」と判定する。一方、1つでも一致しないと判定したならば、出力用アドレスデコーダ31の、一致しないと判定した回路ブロック41のデコーダチェック用バッファ43を指定する出力選択信号WRのデコード動作、或いは、入力用アドレスデコーダ32の、一致しないと判定した回路ブロック41の入力ポート42を指定する入力選択信号RDのデコード動作、の故障と判定する。
【0114】
記憶部400には、入力制御プログラム401と、出力時データバス設定テーブル402と、入力時データバス設定テーブル403と、入力接点データ404と、チェックコードデータ405と、が記憶される。
【0115】
<処理の流れ>
図17は、演算装置7が実行する入力制御処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部300が、入力制御プログラム401に従って実行する処理であり、所定時間(例えば、数百ミリ秒)毎に、繰り返し行われる。
【0116】
入力制御処理では、先ず、チェックコード生成部301が、チェックコード1を生成する(ステップB1)。出力制御部302が、デコーダチェック用バッファ43−1を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力するとともに、生成したチェックコード1を設定したデータ信号を、データバス40に出力する(ステップB3)。これにより、デコーダチェック用バッファ43−1が、チェックコード1を記憶する。
【0117】
続いて、チェックコード生成部301が、チェックコード2を生成する(ステップB5)。出力制御部302が、デコーダチェック用バッファ43−2を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力するとともに、生成したチェックコード2を設定したデータ信号を、データバス40に出力する(ステップB7)。これにより、デコーダチェック用バッファ43−2が、チェックコード2を記憶する。
【0118】
次いで、入力制御部303が、入力ポート42−1を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力して、データバス40の信号を読み出す(ステップB9)。デコーダ故障判定部304が、読み出したデータ信号中のチェックコードが、デコーダチェック用バッファ43−1に記憶させたチェックコード1に一致するか否かを判定する(ステップB11)。
【0119】
続いて、入力制御部303が、入力ポート42−2を指定するアドレス信号をアドレスバス30に出力して、データバス40の信号を読み出す(ステップB13)。デコーダ故障判定部304が、読み出したデータ信号中のチェックコードが、デコーダチェック用バッファ43−2に記憶させたチェックコード2に一致するか否かを判定する(ステップB15)。
【0120】
その後、デコーダ故障判定部304が、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32の故障判定として、デコーダチェック用バッファ43−1,43−2それぞれについてのチェックコードの一致判定結果が全て一致ならば、ともに「正常」と判定し、1つでも一致しないならば、「故障」と判定する(ステップB17)。そして、このデコーダの故障判定の結果を、例えば外部装置に出力する(ステップB19)。
【0121】
<作用効果>
このように、第2実施形態の電子端末装置6によれば、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32の故障を確実に検知することができる。すなわち、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32が、ともに正常ならば、あるデコーダチェック用バッファ43から読み出したチェックコードは、その前に当該デコーダチェック用バッファ43に記憶させたチェックコードと一致する。
【0122】
しかし、例えば、入力用アドレスデコーダ32が故障している場合、当該入力用アドレスデコーダ32からは、入力したアドレス信号に対応する入力選択信号RDとは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファ43とは別のバッファからチェックコードが読み出されることになる。また、出力用アドレスデコーダ31が故障している場合にも同様であり、当該出力用アドレスデコーダ31からは、入力したアドレス信号に対応する出力選択信号WRとは異なる信号が出力されることになり、選択したはずのデコーダチェック用バッファ43とは別のバッファにチェックコードを記憶させることになる。
【0123】
従って、ある回路ブロック41について、出力用アドレスデコーダ31に、当該回路ブロック41のデコーダチェック用バッファ43を選択するようにアドレス信号を出力して記憶させたチェックコードと、入力用アドレスデコーダ32に、当該回路ブロック41のデコーダチェック用バッファ43を選択するようにアドレス信号を出力して読み出したチェックコードと、が一致するかを判定することで、出力用アドレスデコーダ31、及び、入力用アドレスデコーダ32が正常であるかを判定することができる。
【0124】
例えば、出力用アドレスデコーダ31の故障として、チェック信号CHKが「L」に固定される故障或いは信号そのものが出力されないといった故障がある。この故障は、リレーユニット9の外部リレー1RI〜32RIの全ての接点入力が「閉(OFF)」と判定されることになる。フェールセーフであるが、出力用アドレスデコーダ31の潜在故障となる。この潜在故障を、第2実施形態の電子端末装置6では、デコーダチェック用バッファ43毎にチェックコードの記憶/読み出しを行って一致を判定するため、検知することができる。
【0125】
また、2つの回路ブロック41−1,41−2毎に、データバス40のうちのチェックコードを伝送する信号ライン(ビット)が異なる。これにより、データバス40の健全性を確認することができる。すなわち、データバス40のビットに故障が生じると、この故障ビットの値に起因して、演算装置7がデータバス40に出力したチェックコードと、デコーダチェック用バッファ43に入力されるチェックコードとが異なることになる。第2実施形態の電子端末装置6では、演算装置7において、データバス40に出力したチェックコードと、データバス40を介してデコーダチェック用バッファ43から読み出したチェックコードとの一致を判定するため、データバス40のビット故障を検知することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 連動論理部
2 電子端末装置
3 演算装置
100 処理部
101 チェックコード生成部
102 出力制御部、103 入力制御部
104 デコーダ故障判定部、105 リードバック診断部
200 記憶部
201 出力制御プログラム
202 出力時データバス設定テーブル、203 入力時データバス設定テーブル
204 制御データ、205 チェックコードデータ
4 制御出力回路
10 アドレスバス
11 出力用アドレスデコーダ、12 入力用アドレスデコーダ
20 データバス
21 回路ブロック
22 出力ポート、23 入力ポート、24 デコーダチェック用バッファ
25 リレー出力回路、26 リレー入力回路
5 リレーユニット、1R〜32R 外部リレー
6 電子端末装置
7 演算装置
300 処理部
301 チェックコード生成部、302 出力制御部
303 入力制御部、304 デコーダ故障判定部
400 記憶部
401 入力制御プログラム
402 出力時データバス設定テーブル、403 入力時データバス設定テーブル
404 入力接点データ、405 チェックコードデータ
8 接点入力回路
30 アドレスバス
31 出力用アドレスデコーダ、32 入力用アドレスデコーダ
40 データバス
41 回路ブロック
42 入力ポート、43 デコーダチェック用バッファ、44 リレー入力回路
45 出力ポート
9 リレーユニット、1R〜32R 外部リレー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17