(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記方法にはさらに、二酸化炭素と水との間の反応の生成物からニッケルナノ粒子、ナノワイヤまたはナノファイバーを分離するステップが含まれる、請求項11〜21のいずれか一項の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大気中の二酸化炭素の量を減少させる一つの方法は、それを大気中に放出するよりもむしろ、それを捕捉し、そしてそれが生産されるままにそれを貯蔵することである。
【0004】
二酸化炭素の捕捉および貯蔵の様々なアプローチの中で、政府および産業界の関心を集めているものの一つは、地質学的な形態での二酸化炭素の蓄積である。二酸化炭素の地質学上の貯留は、二つの方法で達成することができる:a)二酸化炭素を分離し、そして空または枯渇した油井にそれをポンプ圧送し(陸上および海洋の双方の油井を使用することができ);またはb)それを炭酸カルシウムに変換し、そしてそれを埋め立てとして処分することである。方法a)の一つの制限は、可能性がある漏れについての油井の継続的な監視がなければならないということである(特に海洋貯蔵のため)。埋め立てに使用するための炭酸カルシウムへの変換は、二酸化炭素貯蔵の問題に対してより一層信頼性の高い解法を提供すると考えられる。
【0005】
炭酸カルシウムは熱力学的に安定な物質であり、そして地球の表面上に豊富に見出される。地球上に存在する炭酸カルシウムは、二酸化炭素の150,000×10
12メートルトンに等価な炭素貯留であると推定される。炭酸塩(カーボナート)は、二酸化炭素の長期保存のための安全性が証明された。炭酸カルシウムの代わりは、類似の特性を有する炭酸マグネシウムである。カルシウムおよびマグネシウムのカーボナートの組合せを使用することもできる。炭酸カルシウム(または他のカーボナート)への二酸化炭素の変換は、石化として知られている。二酸化炭素の石化における律速段階は、炭酸イオンを形成するための二酸化炭素の水和である。
【0006】
今のところ、炭酸脱水酵素(CAs)が二酸化炭素を隔離するための最も有望な候補と見られる。CAsは、ヒトのCA IIについて観察される最も速い速度を伴って、穏やかなpH値での二酸化炭素の可逆的水和を触媒する。酵素の抽出のコストは、産業状況におけるそれらの有用性を制限している。それらはまた、狭いpH範囲で動作し、そしてそれで緩衝剤の存在を必要とする。さらに、酵素は高温で不安定であることがある。二酸化炭素の水和および捕捉のために使用されるナノ粒子上に固定化された炭酸脱水酵素の文献にはいくつかの例がある〔Vinoba(ヴィノーバ)ら、Langmuir(ラングミュア)、2011、27、6227-6234;Vinobaら、Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic(ジャーナル・オブ・モレキュラー・カタリシスB:エンザイマティック)、75、2012、60-67〕。ナノ粒子はシリカ/アルミナ担体上に含浸された。
【0007】
最近、二酸化炭素の可逆的水和のために使用される有機金属錯体には、いくつか報告がされている。Holm(ホルム)ら〔Inorg. Chem.(インオーガニック・ケミストリー)、2011、50、100070-81;Proc. Nat. Acad. Sci.(プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ);2011、108、1222-7〕は、水酸化ニッケル複合体(錯体)が2,6-ピリジンジカルボキシアミダート(pyridinedicarboxamidate)ハサミリガンドと共に二酸化炭素を非常に急速に固定することを示すが、しかし、これらのプロセスは、触媒的ではない。有機金属化合物は極限の状態で不安定になることがある。
【0008】
したがって、二酸化炭素を捕捉するための改良された方法に対する必要性が依然として存在する。
本開示の簡単なサマリー
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様では、二酸化炭素の水和のための触媒として固形金属の使用が提供され、そこでは、固形金属は、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)およびZn(亜鉛)から選ばれる。
【0010】
本発明の第二の態様では、二酸化炭素を捕捉する方法が提供され、その方法には、
二酸化炭素を、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属触媒の存在下で水と反応させること
が含まれる。
【0011】
本発明の第三の態様では、二酸化炭素の水和の比率(速度)を増加させる方法が提供され、その方法には、
二酸化炭素を、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属触媒の存在下で水と反応させること
が含まれる。
【0012】
本発明の第四の態様では、燃焼から大気に入る二酸化炭素の量を減少させる方法が提供され、その方法には、
二酸化炭素を、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属触媒の存在下で水と反応させること
が含まれる。
【0013】
本発明の第五の態様では、炭酸カルシウムを生産する方法が提供され、その方法には、
二酸化炭素を、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属触媒の存在下で水と反応させること、および
塩基およびM
2+溶液を、二酸化炭素と水との反応の生成物に加えることであり、そこでは、MはCaおよびMg、またはこれらの二つの混合物から選ばれること
が含まれる。
【0014】
本発明の第六の態様では、二酸化炭素を捕捉するための固形金属の使用が提供され、そこでは、固形金属は、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる。
【0015】
本発明の第七の態様では、炭素捕捉のための装置が提供され、その装置には、
液体を含む水和タンクであり、それには、水および固形金属で、液体と接触するCo、Ni、CuおよびZnから選ばれるものが含まれ、
CO
2を、液体を通してバブリングするための手段
が備えられる。
【0016】
本発明の第八の態様では、二酸化炭素を捕捉するためのキットが提供され、そのキットには、
Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属触媒、および
二酸化炭素を捕捉することでの固形金属触媒の使用のための指示書
が備えられる。
【0017】
本発明の第九の態様では、二酸化炭素を水和する方法が提供され、それは、
固形金属を触媒として用い、固形金属は、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる
ことを特徴とする。
【0018】
以下の実施形態は、必要に応じて、本発明の任意の態様に適用することができる。
【0019】
好適な実施形態では、金属はNiである。
【0020】
一つの実施形態では、固形金属は、粒子、ワイヤ(針金状物)またはファイバー(繊維状物)での形態にある。固形金属は粒子の形態であることができる。粒子は、マイクロ粒子またはナノ粒子であることができる。金属はまた、ナノワイヤまたはナノファイバーの形態であってもよい。好適な実施形態では、金属は、ナノ粒子、ナノワイヤまたはナノファイバーの形態である。金属はナノ粒子の形態であってもよい。
【0021】
固形金属はまた、フォーム(発泡体)および/またはフレーク(薄片)、たとえば、ナノフォームおよび/またはナノフレークの形態であってもよい。
【0022】
好適な実施形態では、固形金属は、Niナノ粒子、ナノワイヤまたはナノファイバーである。特に好適な実施形態では、固形金属はNiナノ粒子である。
【0023】
ある実施形態(具体化)では、固形金属は固形支持体上に固定化される。ある実施形態においては、支持体は酸化物支持体、たとえば、シリケート(ケイ酸塩)担体またはアルミナ(酸化アルミニウム)担体である。
【0024】
ある実施形態では、固形金属は照射される。このようにして、それは、電磁スペクトルのUV、IRまたは可視領域から選ばれる領域、およびそれらの組合せにおいて、電磁放射により照射してもよい。ある実施形態においては、固形金属は可視光により照射される。可視光は太陽光であってもよい。
【0025】
本発明の第九の態様(見地)では、ニッケル粒子の検出可能な量を含有する炭酸カルシウムが提供される。
【0026】
ある実施形態では、ニッケル粒子はニッケルナノ粒子である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な記載
水を通してバブリングする(泡立てる)とき、二酸化炭素は、使用される条件に応じて、炭酸、炭酸イオンおよび/または重炭酸イオンを形成するために水和される。緩衝剤または塩基が溶液中に存在しない限り、炭酸溶液が生成される。本発明者らは、驚くべきことに、固形の遷移金属を触媒として、二酸化炭素を炭酸、炭酸イオンおよび/または重炭酸イオンに変換される速度を増加させるために使用することができることを確認した。言い換えれば、本発明者らは、驚くべきことに、固形遷移金属が、二酸化炭素の水和を触媒することができることを確認した。固形金属はまた、溶液によって固定されることができる二酸化炭素の量を増大させうる。
【0029】
有利なことに、固形金属の使用は、酵素においてカプセル化されたか、または有機リガンド(配位子)と複合体を形成した金属イオンよりもむしろ、炭素捕捉プロセスが、より一層広い範囲の条件、例は、高温、高圧力、低圧力、高pH、低pHの下で行われることを可能にする。より一層高い温度では、酵素および有機金属複合体は、分解を受け易く、そしてこのことは、それらの有用性を制限することがあり、特に、必然的に熱を発生する燃焼プロセスからのCO
2を捕捉するときはそうである。酵素および多くの有機金属錯体は、比較的狭いpH範囲においてだけ安定である。
【0030】
固形金属の使用のさらなる利点は、固形金属が、水和反応混合物から、水に可溶性である種類よりも簡単に回収することができるということである(例は、ろ過、沈殿、遠心分離することによる)。反応から回収された後には、固形金属は再利用することができる。
【0031】
固形金属は、産業的規模での二酸化炭素の水和のための触媒として使用することができる。
【0032】
固形金属によって金属を含む固形物が意味される。固形金属は、(0)の酸化状態で実質的に存在する金属であることができる。たとえば、大部分の金属が(0)の酸化状態にあることが可能である。一例として、金属がニッケルである場合、ニッケルの大部分はNi(0)として存在することができる。また、金属は、他の酸化状態で存在することが可能である。金属の活性型(即ち、触媒の形態)は(0)の酸化状態ではない可能性がある。たとえば、ニッケルの場合には、金属の表面に正のニッケルイオン(例は、Ni
2+イオン)が活性触媒種であることができる。同様に、金属の(0)の酸化状態〔例は、ニッケル(0)〕が活性触媒種であることが可能である。
【0033】
固形金属が他の元素を含むことは本発明の範囲内である。したがって、固形金属は、実質的に金属を含有し、そして反応の媒体に溶解しない、例は、水溶性ではない固形化合物であってもよい。それゆえ、ニッケルの場合では、固形金属は、実質的に、水に溶解性でない固形Ni
2+化合物、例は、NiOなどであってもよい。あるいはまた、固形金属は、実質的に、ニッケルが任意の他の正の酸化状態にある化合物、例は、NiO
2またはNi
2O
3であることができる。固形金属がニッケルナノ粒子である場合、例示的な例として、これには、Niナノ粒子およびNiOナノ粒子の双方が含まれる。
【0034】
金属は他の物質を含むことができる。それは、他の物質を含む基材上での薄膜の形態であってもよい。このような薄膜は、この技術の者に知られる任意の手段によって形成することができ、例は、蒸着、プラズマ蒸着、電気めっき、等である。薄膜は、積層体の層であってよく、好ましくは、その積層体の外層の一つである。他の材料類は、他の金属類(例は、他の遷移金属類)であることができる。あるいはまた、固形金属は、金属を含む合金の形態であってもよい。金属がナノ粒子の形態である実施形態において、ナノ粒子は支持体上に固定化されてもよい。
【0035】
上記三つの段落を言い換えるために、触媒は、固形金属物質、例は、ニッケル、NiO、NiO
2、Ni
2O
3、ニッケルを正の酸化状態で有する別の化合物から選ばれる材料とすることができる。物質がニッケルであるとき、金属の表面上の正のニッケルイオンは活性触媒種であってもよい。
【0036】
具体的には、本出願に記載された発明の態様は、Co、Ni、CuまたはZnから選ばれる固形金属に向けられているが、固形金属が任意の遷移金属であることは本発明の範囲内である。
【0037】
「遷移金属」は周期表の移行周期(transition period)(即ち、dブロック)にある任意の元素に言及する。このように、遷移金属は、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Tc(テクネチウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Cd(カドミウム)、La(ランタン)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Au(金)、Hg(水銀)から選ばれる一またはそれよりも多く(一以上)の元素に言及することができる。
【0038】
反応の好適な実施形態において、固形金属はニッケルである。ニッケルは強磁性体である。強磁性金属は、磁石の若干の形態を用いて反応混合物からの金属の容易な分離を可能にする。必要であれば、それはまた、再び磁石の若干の形態を用いて、例は、磁界ろ過を用いて、反応の他の固形生成物から金属を容易に分離することを可能にする。このことで、金属の再生が容易になり、そしてそれを再利用することを可能にし、それゆえコストを低減させる。
【0039】
本発明の若干の実施形態では、固形金属は、粒子の形態であり、たとえば、ナノ粒子およびマイクロ粒子、ナノワイヤまたはナノファイバーなどのようなものである。より一層小さな固形金属形態、たとえば、マイクロ-およびナノ-粒子、ナノワイヤまたはナノファイバーなどのようなものは、金属のより一層大きな一片部分の同量のものと比較して、実質的に増大した表面積の利点を提供し、触媒反応を行うために利用可能な金属原子の量が増加される。
【0040】
ナノ粒子は、大部分の粒子が大きさで100nm以下である粒子に言及するものであることはこの技術での熟練者には容易に理解されるであろう。
【0041】
マイクロ粒子は、大部分の粒子が、サイズで0.1から100μmまでである粒子に言及されることはこの技術の熟練者には容易に理解されよう。
【0042】
ナノワイヤおよびナノファイバーは、100nm以下の直径を有するワイヤおよびファイバーである。
【0043】
二酸化炭素を捕捉することは、二酸化炭素ガスを、容易に輸送および保存することができる形態に変換すること、即ち、安全で、かつ、安定した固形物または液体への変換を意味すると理解することができる。
【0044】
本発明の方法において捕捉または水和される二酸化炭素は、燃焼によって放出されたものであることができる。それは家畜によって放出されたものであってよい。それは火山によって放出されたものであることができる。
【0045】
二酸化炭素は、それが生成されたか、それが本発明の方法または使用において捕捉されるのに先立って精製されるか、または部分的に精製されていてよいプロセスの直接的生成物であることができる。それには、それが生成されたプロセスの他の生成物、たとえば、一酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素、メタン、他の有機分子、粒(子)状物質、スチーム(蒸気)、窒素酸化物などのようなものが含まれうる。あるいはまた、二酸化炭素は実質純粋であることができる。
本発明の方法
【0046】
本発明は、二酸化炭素を捕捉し、二酸化炭素を水和し、二酸化炭素の水和速度を増加し、または燃焼から雰囲気(大気)に入る二酸化炭素の量を減らす方法を提供し、
この方法には、二酸化炭素を、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属触媒の存在下で水と反応させることが含まれる。
【0047】
本方法が燃焼から雰囲気に入る二酸化炭素の量を減少させる方法である場合、水と反応させる二酸化炭素は、燃焼によって生成される(即ち、それによって放出される)。
【0048】
一実施形態では、本方法には、さらに、二酸化炭素および水の間の反応の生成物から固形金属を分けるステップが含まれる。
【0049】
一実施形態では、本方法には、さらに、二酸化炭素および水の間の反応の生成物に対しM
2+溶液を加えるステップが含まれ、MはCaまたはMg、またはこれら二つのものの混合物から選ばれる。
【0050】
一実施形態では、本方法には、さらに、二酸化炭素および水の間の反応の生成物に対し塩基を加えるステップが含まれる。
【0051】
一実施形態では、本方法には、さらに、二酸化炭素および水の間の反応の生成物に対しM
2+溶液および塩基を加えるステップが含まれ、MはCaまたはMg、またはこれら二つのものの混合物から選ばれる。
【0052】
ある実施形態では、M
2+溶液はMCl
2溶液である。ある実施形態では、M
2+溶液はCa
2+の溶液である。好適な実施形態では、M
2+溶液はCaCl
2溶液である。
【0053】
ある実施形態では、塩基は水酸化物イオンを含む。さらなる実施形態において、塩基は、アルカリ金属水酸化物である(例は、LiOH、NaOHまたはKOH)。好適な実施形態において、塩基はNaOHである。
【0054】
ある実施形態では、塩基は溶液状態、例は、水溶液にある。さらなる実施形態において、塩基の濃度は1M以下である。好適な実施形態において、塩基の濃度は、0.1Mから0.5Mまでである。
【0055】
ある実施形態では、二酸化炭素を水と反応させることには、二酸化炭素を、液体を介して通すことが含まれ、液体には、水が含まれる。
【0056】
「を介して二酸化炭素を通す」は、「を介して二酸化炭素をバブリングする」こと意味しうる。「バブリング」は、液体中に気体を、その液体の表面より下の点で供給し、そしてガスが液体を通って上方に移動することを可能にすることを意味することは、この技術の熟練者によって簡単に理解されるであろう。
【0057】
ある実施形態では、液体は水または水溶液である。
【0058】
ある実施形態では、固形金属(例は、ニッケル)は液体中に懸濁される。
【0059】
ある実施形態では、固形金属(例は、ニッケル)は、二酸化炭素が水と反応する際、照射され、例は、可視光で照射される。可視光は太陽光であってもよい。
【0060】
ある実施形態では、二酸化炭素および水の間の反応は25℃以上の温度で行われる。ある実施形態では、温度は25から100℃までであることができる。ある実施形態では、温度は50から70℃までである。CO
2は、それが液体を通る前に25℃よりも高い温度であることができる。
【0061】
ある実施形態では、二酸化炭素の水との反応は水和タンクで起こる。
【0062】
本明細書で用いる用語「タンク(槽)」(例として、「水和タンク」または「沈殿タンク」)は制限される意図ではない。「タンク」は、液体を保持するために適する任意の容器であってもよい。たとえば、「タンク」は密封されてもよく、または開放されていてもよい。
【0063】
ある実施形態では、固形金属(例は、ニッケル)は使用前に超音波処理される。この超音波処理は、金属が水和タンクに加えられる前、または金属が水和タンクにある間に起こすことができる。
【0064】
ある実施形態では、固形金属(例は、ニッケル)は、水和タンクに加える前に水と混合される。これは混合チャンバにおいて起こすことができる。
【0065】
ある実施形態では、液体は水和タンクにおいて加熱してもよい。CO
2はそれが液体を通る前に25℃を超える温度であることができる。代わりの実施形態において、CO
2は液体を通る前に冷却することができる。
【0066】
ある実施形態では、CO
2は、液体を通る前に、精製、または部分的に精製することができる。
【0067】
「部分的に精製され」は、二酸化炭素と混合された一以上の物質(例は、他のガス)が除去されることを意味すると理解することができる。これらの他の物質は完全に除去することができ、またはそれらは部分的に除去することができる。この除去は、フィルターまたはスクラバーまたはこの技術での者に簡単に理解されるであろう他の手段を用いて達成することができる。
【0068】
ある実施形態では、液体において固形金属の濃度は約10ppmよりも高い。さらなる実施形態では、その濃度は約10から約100 ppmまでである。ある実施形態では、その濃度は約10から約50ppmまでである。ある実施形態では、液体中の固形金属の濃度は約30ppmである。
【0069】
ある実施形態では、方法はさらに、CO
2が液体を通された後、M
2+イオンを含む溶液を、液体に加えるステップを含み、Mは、CaまたはMg、またはこれら二つのものの混合物から選ばれる。
【0070】
ある実施形態では、CO
2は水和タンクにおいて液体を通され、液体は沈殿タンクに移され、そしてM
2+溶液は沈殿タンクにおいて液体に加えられ、ここで、MはCaまたはMg、または両者の混合物から選ばれる。あるいはまた、CO
2は液体を通され、そしてM
2+溶液は同じタンクにおいて液体に添加される。
【0071】
ある実施形態では、方法はさらに、CO
2が液体を通された後、塩基を溶液に加えるステップを含む。ある実施形態では、CO
2が水和タンクにおいて液体を通され、液体は沈殿タンクに移され、そして塩基は沈殿タンクにおいて液体に添加される。あるいはまた、CO
2は液体を通され、塩基は同じタンクにおいて液体に添加される。
【0072】
ある実施形態では、方法はさらに、CO
2が液体を通された後、M
2+溶液および塩基を液体に加えるステップを含み、MはCaまたはMg、またはこれら二つのものの混合物から選ばれる。ある実施形態では、CO
2は水和タンクにおいて液体を介してバブリングされ、その液体は沈殿タンクに移され、M
2+溶液および塩基が沈殿タンクにおいて液体に添加される。あるいはまた、CO
2は液体を通され、そしてCa
2 +溶液および塩基は同じタンクにおいて液体に添加される。
【0073】
M
2+溶液は、塩基を含むことができ、またはそれが分離して塩基に添加されうる。
【0074】
ある実施形態では、沈殿タンクにおいて液体のpHは約5よりも高いレベルに維持される。さらなる実施形態において、沈殿タンクにおいて溶液のpHは、約6.5から約7までのレベルに維持される。pHの維持は、水和タンクからの液体の添加の速度を制御することによって、または塩基の添加の速度を制御することによって達成することができる。
【0075】
ある実施形態では、M
2+溶液はMCl
2溶液である。ある実施形態では、M
2+溶液はCa
2+溶液である。好適な実施形態では、M
2+溶液はCaCl
2(塩化カルシウム)溶液である。
【0076】
ある実施形態では、液体は沈殿タンクに移される際、それは液体から固形金属を分けるセパレータを通される。金属が強磁性体である場合(例は、金属がニッケルである場合)、セパレータは磁気分離器であることができる。
【0077】
別の実施形態では、液体が水和タンクから移される前に、液体は固形金属から分離される。このことは、金属が固形支持体に付着される場合は特に、ろ過することによって達成することができる。この実施形態では、固形金属は水和タンクに残ってもよい。金属が強磁性体である実施形態類では、金属を水和タンクにおいて保持するために、磁石を使用することができる。
【0078】
ある実施形態では、液体から分離されると、金属は水和タンクに移される。それは、直接水和タンクに移されてもよいし、またはそれは水と混合され、そして次いで水和タンクに添加されてよい。それゆえ、それは、混合チャンバに移され、水と混合され、そして次いで水和チャンバに移されることができる。
【0079】
水和タンクにおいて液体が加熱される実施形態では、それは沈殿タンクに添加される前に冷却されることができる。
【0080】
ある実施形態では、方法はさらに、固形生成物を液体から分離するステップを含む。「固形生成物」は、ここに記載される方法の任意のステージで形成される固形生成物を意味すると理解することができる。固形生成物は、水和ステップの間に形成されてよく、またはM
2+溶液を二酸化炭素と水との間の反応の生成物に添加するときのように、その後のステップの間に形成されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、この固形生成物はMCO
3を含むであろうし、そしてその分離はM
2+溶液が液体に加えられた後に発生するであろう。好適な実施形態では、沈殿タンクは固形物分離器に取り付けられる。
【0082】
また、固形生成物は固形金属を含むことがある。言い換えれば、液体から分離される固形物には、固形金属および本発明の方法の任意のステージで形成される固形生成物の双方が含まれる。ある実施形態では、本方法はさらに、固形生成物から固形金属を分離するステップを含む。金属が強磁性体である場合(例は、金属がニッケルである場合)、これは磁石を用いて達成することができる。ある実施形態では、固形生成物から分離されると、金属は水和タンクに移される。
【0083】
若干の実施形態では、分離された固形生成物は固形金属の検出可能な量を含むことができる。
【0084】
ある実施形態では、本方法はさらに、一方または双方のタンクから過剰な液体を除去することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、沈殿タンクから過剰な液体を除去することを含む。この過剰な液体はアルカリ金属塩化物溶液(例は、塩化ナトリウム溶液)であることができる。
【0085】
ある実施形態では、本発明の方法は連続的である。
本発明の装置
【0086】
本発明の第七の態様では、炭素捕捉のための装置が提供され、その装置には、
液体を含む水和タンクであり、液体には、水および液体と接触するCo、Ni、CuおよびZnから選ばれる固形金属が含まれるもの、
CO
2を、液体を通してバブリングするための手段
が備わる。
【0087】
ある実施形態において、本装置はさらに、水和タンクに接続された沈殿タンク、および液体を水和タンクから沈殿タンクにまで移すための手段を備える。
【0088】
ある実施形態では、本装置はさらに、水和タンクに取り付けられた混合チャンバを備える。ある実施形態では、混合チャンバは、混合デバイス、例は、機械撹拌機を備える。
【0089】
ある実施形態では、本装置は、固形金属を液体から分離するための手段を備える。ある実施形態では、この手段は水和タンクに位置される。ある代替実施形態では、液体を水和タンクから沈殿タンクに移すための手段は、固形金属を液体から分離するための手段を備える。ある実施形態では、その手段はフィルタリング(選別)の手段である。ある実施形態では、その手段は磁気的手段である。
【0090】
ある実施形態では、液体を水和タンクから沈殿タンクに移すための手段は、冷却デバイスを備える。
【0091】
ある実施形態では、水和タンクは通気孔を備える。
【0092】
ある実施形態では、水和タンクは水の供給源を含む。
【0093】
ある実施形態では、水和タンクは熱源を備える。
【0094】
ある実施形態では、沈殿タンクはCa
2+の供給源を含む。
【0095】
ある実施形態では、沈殿タンクは塩基の供給源(例は、水酸化物イオンの供給源)を含む。
【0096】
ある実施形態では、沈殿タンクは混合デバイス、例は、機械撹拌機を備える。
【0097】
ある実施形態では、水和タンクは混合デバイス、例は、機械撹拌機を備える。
【0098】
ある実施形態では、沈殿タンクは、一以上の出口管を備える。これらの出口は、好ましくは、沈殿タンクの上部に向かって位置される。
【0099】
ある実施形態では、装置は固形生成物を液体から分離するための手段を備える。ある実施形態では、この手段は沈殿タンクに取り付けられる。ある実施形態では、この手段は、好ましくは、沈殿タンクの底部に、またはその近傍に取り付けられる。ある実施形態では、この手段はスクリューコンベアである。
【0100】
ある実施形態では、装置は、固形金属を照射するための手段、例は、固形金属を可視光で照射するための手段を備える。その手段は、照射を発生させ、または可能にすることができる。可視光は太陽光であってよい。固形金属を照射するための手段は、放射を生じさせるデバイス(例は、ランプ)であるか、またはそれを備えるか、または反応容器の少なくとも一部が透明または実質透明であるということができ、または、それが放射を発生するデバイスの組合せであって、そして反応容器の少なくとも一部は透明または実質透明であるということができる。
【0101】
ある実施形態では、装置は本発明の方法を遂行するのに適する。
【0102】
図7は、本発明の方法を実践するのに適した装置の概略図を示す。これは、説明目的だけに提供され、それで本発明の範囲を制限することを意図していない。
【0103】
本装置は、水和タンク1および沈殿タンク2を備える。
【0104】
水和タンクは、CO
2を含むガスが水和タンク1を通してバブリングされるのを可能にするバブラー3〔また、スパージャー(多孔分散管、噴霧器)としても知られることがある〕を備える。水和タンクはまた、水和タンクの上部に向かって位置する通気孔4を備え、それを通してすべてのCO
2フリーガスが逃げることができる。使用に際して水和タンクは水およびニッケルナノ粒子を含むことになり、そしてタンクを介してバブリングされるCO
2ガスが溶液において炭酸に変換されることになる。
【0105】
この装置はまた、ニッケルナノ粒子を水に懸濁するミキサーチャンバ6を備える。ミキサーチャンバ6は、機械的撹拌機7およびモータ8を備え、それは撹拌機7を駆動する。
【0106】
炭酸溶液は、懸濁物におけるニッケルナノ粒子を伴い、磁気分離器5に接続される。これは、強磁性ニッケルナノ粒子を炭酸溶液から分離する。次に、それらのニッケルナノ粒子は、ミキサーチャンバ6中に戻され、そして水和反応において再利用される。炭酸溶液は沈殿タンク2に転送される。
【0107】
NaOH溶液およびCaCl
2溶液は沈殿タンク2に加えられ、そして固体炭酸カルシウムが形成され、それと共にNaClは溶液である。
【0108】
沈殿タンク2はモータ11で駆動される機械的(式)撹拌機9を備える。
【0109】
沈殿タンク2は、一以上の出口管10を備え、それらはそれを介して、主にNaCl溶液を含む過剰な液体を流す。沈殿タンクは、底部に向かって、スクリューコンベア13に接続され、それは固体CaCO
3を沈殿タンクから連続的に除去する。スクリューコンベアはモータ12によって駆動される。
【0110】
本明細書の説明および請求の範囲を通して、用語「含む(備える)」および「含有する」およびそれらの変形は、「制限されないが、・・が含まれる」を意味し、およびそれらが、他の一部分、付加物、成分、完全体(インテジャー)またはステップを排除する(排除しない)ことを意図されていない。特に断りのない限り、本明細書の説明および請求の範囲を通して、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、特に断りのない限り、単数と同様に複数を考慮すると理解されるべきである。
【0111】
本発明の特定の態様、実施形態または例と併せて説明した特徴、完全体、特性、化合物、化学的部分または基は、不適合でない限り、ここに記載される任意の他の態様、実施形態または例に適用可能であることが理解されるべきである。この明細書に開示されるすべての特徴(任意の添付の請求の範囲、要約書および図面を含む)、および/またはそのように開示される任意の方法またはプロセスのステップのすべては、任意の組み合わせで組み合わせることができ、それはそのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である場合の組合せが除かれる。本発明は、任意の前述の実施形態の細部に制限されない。本発明は、この明細書に開示される特徴の、任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせにまで(任意の添付の請求の範囲、要約および図面を含む)、またはそのように開示される任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規なもの、または任意の新規な組合せに及ぶ。
【0112】
読む者の注意は、この出願との関連で、この明細書と同時に、またはあらかじめ提出されているすべての論文および文書に向けられ、そしてそれらはこの明細書と共に公衆の閲覧に対して開放され、そしてこのようなすべての論文および文書の内容はここに参照することによって組み込まれる。
【実施例】
【0113】
一般的実験
【0114】
CO
2シリンダー(99%純粋)をBOCから購入した。ニッケルナノ粒子は、Nano Technologies(ナノ・テクノロジーズ)、韓国から購入した。水酸化ナトリウムおよび塩酸(0.1M)は、Sigma Aldrich(シグマ・アルドリッチ社)から購入し、さらに精製することなく使用した。これらの例のため、および化学的調製のための両方に使用される水を蒸留し、そして濾過し、それは低い伝導率を有した。0.1MのNaOH溶液を脱イオン水においてNaOHを溶解することによって調製し、そして0.1MのHCl溶液を用いて標準化した。
例1
【0115】
購入したナノ粒子は、ナノ粒子のサイズ分布を決定するために、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて特徴付けた。Niナノ粒子のTEM画像は
図1に見ることができる。粒子の大部分の大きさは、製造業者によって規定されたように100nm未満であった。Niナノ粒子の存在は、
図2に見られるエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて確認した。ナノ粒子の結晶面は、Selected Area Electron Diffraction(選択エリア電子回折)(SAED)パターン(
図3)によって見ることができ、そしてそれはそれぞれ、[222]、[311]、[222]、[400]、[422]および[531]の格子面に対応する。パターンから、ナノ粒子は構造的に多結晶であると結論することができる。
例2
【0116】
CO
2の濃度を決定するための実験は、Soham Scientific(ソーハム・サイエンティフィック)から購入した20mlのジャケット付き容器で行った。CO
2ガス(1気圧)は、10mlの脱イオン水またはNiナノ粒子懸濁液に30分間バブリングし、そしてその後、0.1MのNaOH溶液で滴定した。
【0117】
Niナノ粒子が水中に存在するとき、バブリングの30分後の溶液の二酸化炭素含量が増加することが観察される(
図4)。ニッケルナノ粒子の濃度が増加すると、水中に存在する二酸化炭素の量において、最大値が到達され(30 ppmで)、そして次いでその値が徐々に低下するまで増加が観察された。
例3
【0118】
CO
2吸収速度実験は水の一定量(200ml)からなるキットで行い、そしてCO
2は1気圧(0.01MPa)の圧力で焼結物を用いてスパージした。pHおよび伝導度(導電率)は、pH209 bench top(ベンチトップ)pHメーター〔Hanna Instruments(ハンナ・インスツルメンツ社)〕およびpIONneer30〔Radiometer analytical(ラジオメーター・アナリティカル社)〕で測定した。温度は、温度浴BS5〔Fisher Scientific(フィッシャー・サイエンティフィック社)〕を使用して維持した。ニッケルナノ粒子の濃度は30ppmであった。
【0119】
pHおよび伝導度の変化率は、
図5aおよび5bに見ることができる。2セットの実験は、6より上および下のpH値でのNiナノ粒子の触媒活性を試験するために、異なるpH値で実行した(それぞれ
図5aおよび
図5b)。炭酸の形成によるpHでのドロップ(低下)を生じるので、pHでの変化率は反応速度(r
A)に関係する。
図5aおよび5bから、どちらの場合にも、触媒の存在下でのpHの変化の速度が、触媒の非存在下でのpHの変化の速度よりも速いことを見ることができる。
【0120】
同様に、
図5aおよび5bから、溶液の導電率の増加の比率が、ナノ粒子の存在下で、伴わない場合よりも高いことを観察することができる。
例4
【0121】
ナノ粒子を水に懸濁し、そして五分間超音波処理に供した。
次いで、懸濁液を1大気圧で30分間CO
2ガスによりバブリングした(吸収のラン、pHの低下によって見られる)。次いで、ガスをアルゴンに変更し(脱着のラン、pHの上昇によって見られ)、さらに別の30分間バブリングした。25分(脱着)の終わりに、懸濁液を再び超音波処理し、そして手順を再度繰り返した。pHは継続的に吸着および脱着のランについてモニターし、およびpHでの変動は
図6に見ることができる。
例5
【0122】
脱イオン水をすべてのプロセスのために使用した〔DC9、Purite(ピュライト)UK〕。 99%純粋なCO
2(BOC、UK)を実験に使用した。ニッケルナノ粒子懸濁液を、200mlの脱イオン水〔Nano Technology Inc(ナノ・テクノロジー・インコーポレーション)、韓国〕においてニッケルナノ粒子の6mgを添加することにより調製し、そして溶液が均一になるまで5分間超音波処理〔Hilsonic(ヒルソニック)〕した。脱イオン水またはニッケルナノ粒子懸濁液を200mlのガラスジャーに入れ、そして水浴〔BS5、Fisher Scientific(フィッシャー・サイエンティフィック)〕に配置した。pHプローブを反応器(リアクター)内に挿入し、そしてコンピュータに接続されているpHメーター〔HI 2550、Hanna Industries Ltd.(ハンナ・インダストリーズ・リミテッド)〕を使用して記録した。水浴の温度を所要の温度に維持した(±0.2℃)(室温よりも低い温度が水浴に氷を添加することによって達成された)。CO
2を、1.69mM分
-1のガス流量で混合物を介してバブリングし、そしてpHの変化を記録した。
【0123】
図8は、CO
2が脱イオン水(またはニッケルナノ粒子懸濁液)において様々な温度:a)10℃、b)20℃、c)30℃、d)40℃、e)50℃およびf)60℃でバブリングした間のpH変化のプロファイルを示す。温度に対してニッケルナノ粒子懸濁液が脱イオン水よりもpHの速い変化があることを観察することができる。このことは、ニッケルナノ粒子が、CO
2と水との反応に影響を与えることを示す。ニッケルナノ粒子の出発pHは、ニッケルナノ粒子の基本的な性質のために脱イオン水のそれよりも高い。
例6
【0124】
異なる温度でのCO
2の平衡濃度は、必要な温度に維持する20mlのジャケット付き反応器を介してCO
2ガスをバブリングすることにより算出した。溶存ガスの濃度は、0.1M水酸化ナトリウム溶液を用いて溶液を滴定することにより算出した。水酸化ナトリウム溶液を、0.1Mのフタル酸水素カリウムを用いて標準化した。
【0125】
図9から、ニッケルナノ粒子懸濁液(30ppm)が脱イオン水よりも多いCO
2を保持したことを観察することができる。結果は、20℃で、例2に示した結果と同様に、ニッケルナノ粒子において、脱イオン水よりもCO
2の3倍より多い吸収を示す。脱イオン水は温度の上昇に伴ってCO
2の濃度の減少において線形の傾向を示す。ニッケルナノ粒子はあまり強い線形依存性を示さない(即ち、回帰値は、ニッケルナノ粒子の場合に0.94であり、そして脱イオン水の場合には0.99である。)。
【0126】
図10は、温度の上昇に伴うCO
2取り込み量を示す。図から、高い温度で、脱イオン水の単独よりもニッケルナノ粒子懸濁液の取込能力において、脱イオン水のものより11倍の増強があることが分かる。
例7
【0127】
モノエタノールアミン(MEA;99%純度)はSigma Aldrich(シグマ・アルドリッチ社)から購入し、そしてさらに精製することなく用いた。脱イオン水は、二つの10vol(容量)%溶液(100ml)を調製するために用いた。MEA溶液の30ppmの懸濁液をMEA溶液のいずれかにニッケルナノ粒子〔Nano Technology Inc(ナノテクノロジー社)、韓国〕の必要量を添加することによって調製した。各溶液/懸濁液の100mlを、pHプロファイルの研究のために使用した。すべての測定値は20℃で取得した。
【0128】
研究する溶液の100mlを120mlのガラスジャー〔Weatson(ウェアストン)、UK〕に配置した。ジャーを20℃に維持した水浴中に置き、ガスバブラーおよびpHプローブを追加し、そしてジャーに蓋をした。pHは、pHメーター〔HI 2550、Hanna Instruments(ハンナ・インスツルメンツ)〕を用い、ラップトップ(ノートパソコン)へのデータロギングと共に測定した。ガスは1.69の流速でバブリングした。
【0129】
図11はニッケルナノ粒子の存在下および不存在下でのモノエタノールアミン溶液についてのpH変化プロファイルを示す。図から、懸濁されたニッケルナノ粒子を有する溶液が、ニッケルナノ粒子を伴わないものよりもCO
2の速い取り込みを有することを観察することができる。