(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる請求項1〜7何れか1項記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の化合物の定義された組成物を有する発光層を含む電子素子に関する。
【0002】
本出願の意味での電子素子は、特に、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。また、それらは、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)と以下に示される他の電子素子の意味で使用される。
【0003】
有機半導体材料が機能性材料として用いられるOLEDの正確な構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。一般的に、用語OLEDは、有機材料を含み、電圧の印加により発光する電子素子の意味で使用される。
【0004】
電子素子、特に、OLEDの場合、特性データ、特に、寿命と効率を改善することに主たる関心がある。両面において完全に満足できる解決は、特に、青色発光OLEDの場合には、未だ見出されていない。
【0005】
これらの点で、さらなる前進を達成するために、特別な注意が、発光層の組成物に払われている。
【0006】
先行技術においては、OLEDの効率が、発光層での一以上の単一の化合物の使用により著しく増加することが知られている。特に、この技術的解決において発光層に用いられるドーパント化合物は、マトリックス化合物(すなわち、層中で支配的な割合で存在する。)として機能する第2の化合物と組み合わせて発光層で用いられる。このような態様は、蛍光発光層に対して、特に、US4769292、US5908581、US5593788およびUS5141671に記載されてきた。
【0007】
さらに、OLEDの発光層に3種の異なる化合物を用いることも幾つかの刊行物に記載されている。
【0008】
たとえば、EP1227527は、2種の化合物トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(AlQ
3)とN,N'-ジ-1-ナフチル-N,N'-ジフェニル-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)をホスト材料として、およびドーパントとしてルブレンを含むOLEDを開示している。
【0009】
さらに、US7504163は、ホスト材料としてアントラセン誘導体(2-tert-ブチル-9,10-ビス(2-ナフタレニル) アントラセン)、ドーパントして臭素錯体もしくはペリレン誘導体およびさらなる成分として1〜5%のNPBとを含むOLEDを開示している。発光層のさらなる成分としてNPBとを含まないOLEDと比べて、増加した効率がそこで、達成された。
【0010】
しかしながら、増加した効率と長い寿命を有するOLEDに、特に、これらの特性を有する青色蛍光OLEDに引き続き関心が存在する。
【0011】
本発明のコンテキストにおいて、驚くべきことに、ドーパントと少なくとも一つのアントラセン単位もしくは少なくとも一つのピレン単位を含む発光層中におけるトリアリールモノアミンの使用により、素子の効率と寿命を増加することができることが、今回、見出された。
【0012】
さらに、使用されるモノアミンは、簡単に調製し精製され、それゆえ、経済的に有利である。
【0013】
したがって、本出願は、アノード、カソードおよび少なくとも一つの発光層を含む電子素子であって、ここで、発光層は、少なくとも一つのドーパントD、少なくとも一つのマトリックス材料M1と少なくとも一つのマトリックス材料M2とを含み、ここで、D、M1およびM2は、異なって選ばれ、ここで、M1は、モノトリアリールアミンから選ばれ、M2は、少なくとも一つのアントラセン単位を含む化合物から、または少なくとも一つのピレン単位を含む化合物から選ばれる。
【0014】
本発明の電子素子は、長い駆動寿命を有するという利点を有する。それは、さらに、高いパワー効率を有する。
【0015】
なお、さらに、それは、高い色純度を、特に、青色発光の場合に有する。
【0016】
本出願の目的のために、モノトリアリールアミンは、単一のトリアリールアミン基を含む化合物の意味で使用される。トリアリールアミン基は、3つの芳香族または複素環式芳香族環構造が共通の窒素原子に結合する基である。モノトリアリールアミン化合物は、好ましくは、さらなるアリールアミノ基を含まない。モノトリアリールアミン化合物は、特に、好ましくは、さらなるアミノ基を含まない。
【0017】
マトリックス材料M1は、好ましくは、3個の芳香族環構造が共通の窒素原子に結合するモノトリアリールアミン化合物から選ばれる。芳香族環構造は、好ましくは、6〜50個の芳香族環原子を有し、置換鎖されていても、非置換でもよい。それらは、好ましくは、置換基としてアミノ基を含まない。さらに、M1は、好ましくは、14個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まず、特に、好ましくは、10個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まない。さらに、M1は、好ましくは、14個を超える芳香族環原子を有する縮合ヘテロアリール基を含まず、特に、好ましくは、10個を超える芳香族環原子を有する縮合ヘテロアリール基を含まない。
【0018】
ここで、縮合アリール基は、互いに縮合する2個以上の芳香族環を含むアリール基、すなわち、互いに一以上の芳香族結合を共有するアリール基の意味で使用される。縮合アリール基の例は、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、フェナンスレニルおよびペリレニルである。縮合ヘテロアリール基の例は、キノリニル、インドリル、カルバゾリルおよびアクリジニルである。
【0019】
M1は、特に、好ましくは、以下の式(I)の化合物から選ばれ;
【化1】
【0020】
ここで、
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい5〜50個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;および
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
2、CN、Si(R
2)
3、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
2により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
2C=CR
2-、-C≡C-、Si(R
2)
2、C=O、C=S、C=NR
2、-C(=O)O-、-C(=O)NR
2-、P(=O)(R
2)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、および上記言及した基中の一以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基R
1は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
2は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0021】
Ar
1は、好ましくは、1以上の基R
1により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造である。Ar
1は、特に、好ましくは、フルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェニル、ビフェニル、テルフェニルもしくはナフチルを含み、それぞれ、基R
1により置換されるか、非置換である。
【0022】
Ar
1は、さらに好ましくは、14個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まず、Ar
1は、特に、好ましくは、10個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まない。
【0023】
Ar
1は、さらに好ましくは、14個を超える芳香族環原子を有する縮合ヘテロアリール基を含まず、Ar
1は、特に、好ましくは、10個を超える芳香族環原子を有する縮合ヘテロアリール基を含まない。
【0024】
M1は、好ましくは、以下の式(I−1)〜(I−6)の化合物から選ばれ;
【化2-1】
【化2-2】
【0025】
ここで、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCR
1であり;ここで、置換基が結合する場合、Zは、Cであり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、O、S、Se、BR
1、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、NR
1、PR
1、C(R
1)
2-C(R
1)
2もしくはCR
1=CR
1であり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、O、S、Se、BR
1、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、NR
1、PR
1、C(R
1)
2-C(R
1)
2もしくはCR
1=CR
1であり、
Eは、O、S、Se、BR
1、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、NR
1、PR
1、C(R
1)
2-C(R
1)
2もしくはCR
1=CR
1であり、
Ar
1は、上記に定義されるとおりであり;
Ar
2、Ar
3は、1以上の基R
1により置換されてよい6〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
1、R
2は、上記に定義されるとおりであり;
iは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、全てのiの合計は、少なくとも1であり;
pは、0または1であり;
m,nは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、mとnの合計は、1または2である。
【0026】
上記式(I−1)〜(I−6)に対して、環中の3個を超えない基Zは、Nであることが好ましい。Zは、CR
1であることが一般的に好まれる。
【0027】
基Xは、出現毎に同一であるか異なり、好ましくは、単結合、C(R
1)
2、OおよびSから選ばれ、特に、好ましくは、単結合である。
【0028】
基Yは、好ましくは、OおよびC(R
1)
2から選ばれ、特に、好ましくは、Oである。
【0029】
基Eは、好ましくは、C(R
1)
2、OおよびSから選ばれ、特に、好ましくは、C(R
1)
2である。
【0030】
基Ar
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。Ar
1は、特に、好ましくは、1以上の基R
1により置換されてよい6〜18個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基から選ばれる。
【0031】
R
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
2)
3、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
3C=CR
3-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NR
3-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
2により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
1は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0032】
本発明の電子素子でマトリックス材料M1として用いられる化合物の例は、以下に示される。
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
【化3-6】
【化3-7】
【化3-8】
【化3-9】
【化3-10】
【化3-11】
【化3-12】
【化3-13】
【化3-14】
【化3-15】
【化3-16】
【化3-17】
【0033】
本出願のコンテキストにおける化学基の一般的定義は、以下のとおりである。
【0034】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1つは、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0035】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本発明の意味での縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0036】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0037】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基は、酸素を介して結合する上記記載のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリール基にあてはまる。
【0038】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、Si、NあるいはO原子、sp
2混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0039】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0040】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0041】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本出願の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合することの意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化4】
【0042】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成することの意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化5】
【0043】
マトリックス材料M2は、好ましくは、少なくとも一つのアントラセン単位を含む化合物である。それは、好ましくは、基R
3により随意に置換されてよい9,10-ジアリールアントラセン化合物である。
【0044】
マトリックス材料M2は、好ましくは、以下の式(II)の化合物であり;
【化6】
【0045】
ここで、
Ar
4は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
3により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
4、CN、Si(R
4)
3、N(R
4)
2、P(=O)(R
4)
2、S(=O)R
4、S(=O)
2R
4、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
4C=CR
4-、-C≡C-、Si(R
4)
2、C=O、C=S、C=NR
4、-C(=O)O-、-C(=O)NR
4-、P(=O)(R
4)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、および上記言及した基中の一以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
4は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
アントラセンは、全ての遊離位置でR
3により置換されてよい。
【0046】
Ar
4は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
3により置換されてよい6〜18個の芳香族環原子、好ましくは、6〜14個の芳香族環原子を有するアリール基である。
【0047】
M2は、特に、好ましくは、以下の式(II−1)であり;
【化7】
【0048】
ここで、
Ar
4は、上記定義のとおりであり、ベンズアントラセニル基は、アントラセンに、1、2、3、4、5もしくは6位で結合してよく、ベンズアントラセンとアントラセンは、全ての遊離位置でR
3により置換されてよい。
【0049】
本出願の目的のために、以下のベンズアントラセン骨格の番号付けが使用される。
【化8】
【0050】
M2は、さらに好ましくは、以下の式(II−2)であり;
【化9】
【0051】
ここで、
Ar
5は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
3により置換されてよい10〜18個の芳香族環原子を有する縮合アリールもしくはヘテロアリール基であり、および
アントラセン基とフェニレン基は、全ての遊離位置でR
3により置換されてよい。
【0052】
Ar
5は、好ましくは、1以上の基R
3により置換されてよいナフチル、アントラセニル、ピレニルおよびフルオレニル基から選ばれる。
【0053】
特に、好ましいマトリックス材料M2は、WO2006/097208、WO2006/131192、WO2007/065550、WO2007/110129、WO2007/065678、WO2008/145239、WO2009/100925、WO2011/054442およびEP 1553154に開示されたアントラセン誘導体である。
【0054】
マトリックス材料M2は、さらに好ましくは、少なくとも一つのピレン単位を含む化合物である。M2は、特に、好ましくは、少なくとも一つの随意に置換された6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造により置換されたピレン誘導体である。M2は、非常に、特に、好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは、少なくともに2つの6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族環構造により置換されたピレン誘導体である。
【0055】
M2は、好ましくは、以下の式(III)の化合物から選ばれ;
【化10】
【0056】
ここで、
Ar
6は、1以上の基R
5により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
6、CN、Si(R
6)
3、N(R
6)
3、P(=O)(R
6)
2、S(=O)R
6、S(=O)
2R
6、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
2により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
6C=CR
6-、-C≡C-、Si(R
6)
2、C=O、C=S、C=NR
6、-C(=O)O-、-C(=O)NR
6-、NR
6、P(=O)(R
6)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、および上記言及した基中の一以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
6により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基R
6により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基R
5は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
6は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
6は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;および
sは、0、1、2または3であり、
tは、0、1、2または3であり;
式中、ピレンは、全ての遊離位置でR
5により置換されてよい。
【0057】
特に、好ましいマトリックス材料M2は、EP1749809、EP1905754およびUS2012/0187826に開示されたピレン化合物である。
【0058】
ドーパントDは、蛍光発光化合物であることがさらに好ましい。
【0059】
本出願の目的のために、蛍光発光化合物は、励起一重項状態の遷移からの発光を有する化合物の意味で使用される。
【0060】
ドーパントDは、好ましくは、200〜2000Da、好ましくは、250〜1500Da、特に、好ましくは、300〜1000Daの分子量を有する有機低分子である。
【0061】
ドーパントDは、好ましくは、ポリマー状化合物ではない。
【0062】
ドーパントDは、好ましくは、少なくとも一つの置換もしくは非置換の10〜30個の芳香族環原子を有する縮合アリール基を含む化合物である。ドーパントは、好ましくは、少なくとも一つのアリールアミノ基を担持する。
【0063】
ドーパントDは、好ましくは、以下の式(IV−1)の化合物であり;
【化11】
【0064】
ここで、
Ar
7は、1以上の基R
7により置換されてよい10〜30個の芳香族環原子を有する縮合アリール基であり;
Ar
8は、1以上の基R
7により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
7は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
8、CN、Si(R
8)
3、N(R
8)
3、P(=O)(R
8)
2、S(=O)R
8、S(=O)
2R
8、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
2により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
8C=CR
8-、-C≡C-、Si(R
8)
2、C=O、C=S、C=NR
8、-C(=O)O-、-C(=O)NR
8-、NR
8、P(=O)(R
8)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、および上記言及した基中の一以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
8により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基R
8により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基R
7は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
8は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
8は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;および
rは、0、1、2、3または4である。
【0065】
好ましい態様によれば、式(IV)において、rは、1または2である。
【0066】
Ar
7は、好ましくは、以下の基から選ばれ:
【化12】
【0067】
式中、基は、全ての遊離位置で1以上の基R
7により置換されてよく、および
式Ar
7−3とAr
7−4の基は、6員環の一つに縮合する少なくとも一つの追加的縮合芳香族環を含まねばならない。
【0068】
ドーパントDは、同様に好ましくは、以下の式(IV−2)であり;
Ar
9
式(IV−2)、
式中、Ar
9は、1以上の基R
7により置換されてよい14〜30個の芳香族環原子を有する縮合アリール基から選ばれ、R
7は、上記定義のとおりである。
【0069】
Ar
9は、好ましくは、1以上の基R
7により置換されてよい14〜20個の芳香族環原子を有する縮合アリール基から選ばれる。
【0070】
特に、好ましいドーパントDは、たとえば、WO 2006/10849もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンもしくはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。特に、好ましいのは、同様に、WO2012/048780と未公開EP12004426.8に開示されたピレンアリールアミンである。好ましいのは、同様に、未公開EP12006239.3に開示されたベンゾインデノフルオレンアミンである。
【0071】
本発明の電子素子の発光層は、さらなる化合物を含んでよい。このようなさらなる化合物は、10体積%以下、好ましくは、5体積%以下、非常に、特に、好ましくは、1体積%以下の割合で、好ましくは、存在する。非常に、特に、好ましくは、さらなる化合物は、発光層中に存在しない。
【0072】
マトリックス材料M1は、好ましくは、発光層中に1〜15体積%、特に、好ましくは、2〜12体積%、非常に、特に、好ましくは、3〜10体積%、最も好ましくは、7〜10体積%の割合で存在する。
【0073】
マトリックス材料M2は、好ましくは、発光層中に70〜95体積%、特に、好ましくは、85〜90体積%の割合で存在する。
【0074】
ドーパントDは、、好ましくは、発光層中に0.5〜10体積%、特に、好ましくは、1〜8体積%、非常に、特に、好ましくは、2〜6体積%の割合で存在する。
【0075】
本発明の電子素子の発光層は、430〜480nm、好ましくは、435〜470nm、特に、好ましくは、440〜460nmの最大発光波長を有する光を、さらに、好ましくは、放つ。
【0076】
本発明の電子素子の発光層は、CIE座標x<0.25およびy<0.35、好ましくは、x<0.2およびy<0.3を有する光を、さらに、好ましくは、放つ。さらに、好ましくは、x>0.1およびy>0である。
【0077】
本発明は、さらに、少なくとも一つの有機溶媒、少なくとも一つのドーパントD、少なくとも一つのマトリックス材料M1と少なくとも一つのマトリックス材料M2とを含む調合物に関し、ここで、D、M1およびM2は、異なって選ばれ、ここで、M1は、モノトリアリールアミンから選ばれ、M2は、少なくとも一つのアントラセン単位を含む化合物から、または少なくとも一つのピレン単位を含む化合物から選ばれる。
【0078】
調合物は、電子素子の製造のためのプロセスに使用することができる。それは、電子素子の、好ましくは、OLEDの、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる発光層の製造に特別に適している。このような溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、出願WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0079】
調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0080】
本発明の調合物に対して、化合物M1、M2およびDの割合に関して上記示される好ましい態様が適用される。
【0081】
さらに、本発明の調合物に対して、化合物M1、M2およびDに対して上記示される好ましい態様が適用される。
【0082】
本発明の電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。
【0083】
カソード、アノードおよび発光層とは別に、本発明の素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合から選ばれる。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0084】
電子素子の層配列は、好ましくは、以下である:
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード。
【0085】
ここで、前記層の全てが必ずしも存在する必要がないことおよび/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことを、再度指摘する必要がある。
【0086】
本発明の電子素子は、発光層が青色発光さえするならば、青色もしくは白色光または別の色の発光をすることができる。これは、さらなる発光層および/または発光色を変換する層により達成することができる。
【0087】
本発明の電子素子は、一以上のさらなる発光層を含んでもよい。この場合に、発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色もしくは黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、ここで、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈し、または2層構造であり、その2層は青色およびオレンジ色を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。好ましい1態様によれば、青色発光層は蛍光層であり、赤、オレンジ色、緑色もしくは黄色層は燐光である。
【0088】
本出願の目的のために、蛍光は、励起一重項からの遷移による発光の意味で使用される。燐光は、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移による発光の意味で使用される。
【0089】
ここで、蛍光層は、蛍光エミッターを含む層の意味で使用される。対応して、燐光層は、燐光エミッターを含む層の意味で使用される。
【0090】
適切な燐光発光エミッターは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光ドーパントは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0091】
本発明の目的のためには、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。上記記載された燐光発光エミッターの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。
【0092】
蛍光エミッターの例は、ドーパントDの好ましい態様として上記示される化合物である。
【0093】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子の正孔注入、正孔輸送層もしくは電子ブロック層中で、または電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0094】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq
3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq
4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。されに、適切である材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0095】
本発明のエレクトロルミッセンス素子の正孔輸送もしくは正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくはWO2013/120577にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、WO2013/083216にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、WO 2012/150001にしたがう)である。
【0096】
本発明にしたがって、本発明の素子は、発光層のアノード側に配置され、上記定義のとおりの一以上のモノトリアリールアミン化合物を含むことが好ましい。ここで、発光層のモノトリアリールアミン化合物に適用されるのと同じ選好が適用される。
【0097】
有機エレクトロルミッセンス素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含む合金と銀、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0098】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウム酸化物の外部層から成ってもよい。
【0099】
素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0100】
好ましい1態様では、本発明の電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0101】
同様に、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0102】
1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることが、更に、好ましい。特に、本発明の素子の発光層は、好ましくは、溶液から適用される。この目的のために好ましいのは、上記示された好ましい調合物の一つの使用である。
【0103】
有機エレクトロルミッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液から適用し、また一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに、好ましい。
【0104】
本発明にしたがうと、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療用および/または美容用(たとえば、光治療)の光源として、ディスプレーにおいて使用することができる。
【0105】
実施例
A) OLEDの製造
種々のOLEDに対する結果を、以下の例V1〜V7とE1〜E7で提示する(素子の構造についての表1と、素子のデータについての表2とを参照)。Eは、本発明による例を示し、Vは、比較例を示している。
【0106】
厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板は、湿式洗浄される(皿洗い機、Merck Extran洗浄剤)。HTL層構成BとC(以下参照)では、これらのガラス板は、UVオゾンプラズマで処理され、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS層(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)で水性溶液からのスピンコートにより適用、Heraeus Clevios 独からCLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083として購入)で適用される。HTL層構成Aでは、気相堆積による有機相の適用前に、ガラス板を250℃で15分間の加熱により乾燥させ、その後、酸素プラズマ処理する。
【0107】
ガラス板はOLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/HTL層構成/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造を、表1に示す。OLEDの製造のために必要とされる材料を、表3に示す。
【0108】
HTL層構成Aは、基板から見ると、材料SpA2の90nm厚の層と、10nmのHATCNと、30nmのSpA2と、10nmのHATCNと、20nmのMA1とからなる。
【0109】
HTL層構成Bは、同じように140nmのSpA1と、5nmのHATCNと、20nmのCbzA1からなる。
【0110】
HTL層構成Cは、同じように140nmのSpA1と、5nmのHATCNと、20nmのMA1からなる。
【0111】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種のまたは複数のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、M1:CbzA1:D1(89%:8%:3%)等の表現は、材料M1が89体積%の割合で層中に存在し、CbzA1が8体積%の割合で層中に存在し、D1が3体積%の割合で層中に在在することを意味する。
【0112】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)および電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2での表現U1000は、輝度1000cd/m
2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、1000cd/m
2で達成される電流およびパワー効率をそれぞれ示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。寿命LTは、一定電流での駆動で、輝度が、初期輝度L0から一定の割合L1に低下した後の時間として定義される。表2における表現L0=6000cd/m
2およびL1=70%は、列LTに示される寿命が、初期輝度が6000cd/m
2から4200cd/m
2に低下した後の時間に対応することを意味する。
【0113】
種々のOLEDについてのデータを、表2に要約する。例V1−V7は先行技術による比較例であり、例E1−E7は本発明による構造を有するOLEDのデータを示している。
【0114】
表から分かるように、電圧について、しかし特に効率および寿命においても、2個以上のアリールアミン基を含むアミン化合物(化合物CbzA1、SpA1、NPB)と比べて、発光層中の付加的な成分としてのトリアリールモノアミン(化合物MA1とMA2)により、非常により良好な値が得られる。
【0115】
この効果は、種々のドーパント(アミンのないピレンエミッター、モノベンゾインデノ-フルオレンアミンD2、ペリレン誘導体TBP)による例で示されているように、種々のドーパントで達成される。
【表1】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】