特許第6367239号(P6367239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367239温度制御を用いるオレフィンおよび芳香族生成物へのプラスチックの転化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367239
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】温度制御を用いるオレフィンおよび芳香族生成物へのプラスチックの転化
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/16 20060101AFI20180723BHJP
   C10G 1/10 20060101ALI20180723BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C08J11/16ZAB
   C10G1/10
   B01J29/80 M
【請求項の数】13
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2015-556583(P2015-556583)
(86)(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公表番号】特表2016-510076(P2016-510076A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】IB2013060828
(87)【国際公開番号】WO2014125346
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】13/764,923
(32)【優先日】2013年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502132128
【氏名又は名称】サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナスワミ ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラママーシー クリシュナ クマール
(72)【発明者】
【氏名】スリーニヴァサン ピーエス
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−504651(JP,A)
【文献】 特開平07−256228(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/086348(WO,A1)
【文献】 米国特許第04092722(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J11/00−11/28、
B29B17/00−17/04、
C10G1/00−99/00、
B01J21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンおよび芳香族化合物をプラスチックフィードストックから製造する方法であって、
プラスチックフィードストックと前記のプラスチックフィードストックをオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化するのに適した流動接触分解(FCC)触媒およびZSM‐5ゼオライト触媒を含む触媒組成物とを反応器内に導入し、
前記の反応器は、前記のプラスチックフィードストックおよび前記の触媒組成物を導入するための少なくとも1つの入口を有し、前記の反応器から反応生成物を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、
前記の少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間の長さLを有する反応器流路に沿って、前記の出口が前記の少なくとも1つの入口から離間されている、
ことと、
前記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも1つの位置において、前記の少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で前記の反応器内の温度をモニタリングすることと、
前記の少なくとも1つの位置から得られた1つ以上のモニタリングされた温度に応じて、1つ以上のパラメータを加減することと、
前記のプラスチックフィードストックの少なくとも一部を、前記の反応器内においてオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化させることと、
前記のオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つを含有する生成物ストリームを、前記の反応器の前記の少なくとも1つの出口から取り出すことと、
を含み、
前記触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量が、前記流動接触分解触媒と前記ZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち10wt%〜50wt%を構成する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記の1つ以上のパラメータが、次の(a)から(d)、
a)前記の少なくとも1つの入口に導入される前記の触媒組成物、
b)前記の少なくとも1つの入口への前記の触媒組成物の流量、
c)前記の少なくとも1つの入口へのプラスチックフィードストックの流量、
d)前記の反応器への熱入力、
の1つ以上を加減することを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記の温度をモニタリングすることが、
前記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも2つの位置において、前記の少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で前記の反応器内の温度をモニタリングし、
前記の少なくとも2つの位置が、前記の反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、
前記の温度をモニタリングすることが、
前記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも3つの位置において、前記の少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で前記の反応器内の温度をモニタリングし、
前記の少なくとも3つの位置が前記の反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記の温度をモニタリングすることが、前記の少なくとも1つの入口から0.3L超の温度モニタリング距離にある少なくとも1つの他の位置において、温度をモニタリングすることを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記の少なくとも1つの位置から得られた前記のモニタリングされた温度が加重され、
前記の加重された温度が所望の生成物の生成量に対して相関付けされて、前記の1つ以上のパラメータを加減するのに用いられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
オレフィンおよび芳香族化合物をプラスチックフィードストックから製造する方法であって、
プラスチックフィードストックおよび触媒組成物を反応器内に導入し、
前記の触媒組成物は流動接触分解(FCC)触媒およびZSM‐5ゼオライト触媒を含み、
ZSM‐5ゼオライト触媒の量は前記のFCC触媒と前記のZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち10wt%〜50wt%の範囲であり、
前記の反応器は、前記のプラスチックフィードストックおよび前記の触媒組成物を導入するための少なくとも1つの入口を有し、前記の反応器から反応生成物を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、
前記の少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間の長さLを有する反応器流路に沿って、前記の少なくとも1つの出口が前記の少なくとも1つの入口から離間されている、
ことと、
前記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも1つの位置において、前記の少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で前記の反応器内の温度をモニタリングすることと、
前記の少なくとも1つの位置から得られた1つ以上のモニタリングされた温度に応じて、次の(a)から(d)、
a)前記の少なくとも1つの入口に導入される前記の触媒組成物、
b)前記の少なくとも1つの入口への前記の触媒組成物の流量、
c)前記の少なくとも1つの入口へのプラスチックフィードストックの流量、および
d)前記の反応器への熱入力、
の1つ以上を加減することと、
前記のプラスチックフィードストックの少なくとも一部を、前記の反応器内においてオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化させることと、
前記のオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つを含有する生成物ストリームを、前記の反応器の前記の少なくとも1つの出口から取り出すことと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記の温度をモニタリングすることが、
前記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも2つの位置において、前記の少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で前記の反応器内の温度をモニタリングし、
前記の少なくとも2つの位置が、前記の反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の方法であって、
(a)から(d)の1つ以上が加減されて、前記の少なくとも2つの位置の加重平均温度少なくとも550℃を維持することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記の温度をモニタリングすることが、
前記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも3つの位置において、前記の少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で前記の反応器内の温度をモニタリングし、
前記の少なくとも3つの位置が、前記の反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法であって、
前記の温度をモニタリングすることが、前記の少なくとも1つの入口から0.3L超の温度モニタリング距離にある少なくとも1つの他の位置において、前記の温度をモニタリングすることを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法であって、
前記のプラスチックフィードストックおよび触媒組成物が、前記の少なくとも1つの入口に別々のフィードとして導入されること、又は前記のプラスチックフィードストックおよび触媒組成物が、前記の少なくとも1つの入口に1つの混合物として導入されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法であって、
前記の触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量が、前記のFCC触媒と前記のZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち30wt%〜45wt%を構成することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解によるオレフィンおよび芳香族へのプラスチックの転化に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックは主に埋め立てに回されるか焼却処分されており、小部分がリサイクルに回されている。年来、増大した規制および税が埋め立てに課せられており、リサイクルまたはエネルギーリカバリー用に焼却処分されるポストコンシューマー廃棄物の割合は徐々に増大している。欧州プラスチック協会(Plastics Europe)の2009年の統計は、約2440万トンの廃プラスチックが欧州内で発生したということを示している。このうち54%が、リサイクル(22.6%)またはエネルギーリカバリー(31.3%)によって処理された。埋め立てに回されたプラスチックは約46.1%であった。こうして、埋め立てによる廃プラスチックの処分はますます困難になりつつある。
【0003】
廃プラスチックからナフサ、エチレン、プロピレン、および芳香族などの生成物への熱分解は、廃プラスチックのフィードストックリサイクルのカテゴリーに分類される。ナフサ価格は劇的に高騰しつつあるので、ナフサフィードを処理する水蒸気分解装置は、より安価なガス状の炭化水素系フィードを処理する水蒸気分解装置と比較して不利な位置づけにある。もしも水蒸気分解装置へのナフサフィードの一部がプラスチック転化プロセス(例えば熱分解)由来の同量の生成物によって代用されるならば、ナフサフィードを処理する水蒸気分解装置の経済面は改善するであろう。
【0004】
連続式水蒸気分解装置プラントの運転において非常に大量の経済面に効果をもたらすためには、熱分解プロセスも連続式であることが必要である。今日、廃プラスチックをシングルステップで石油化学系物質に直接的に転化する大規模プラントは存在していない。世界的に見た従来の試みは、廃プラスチックからの液体燃料生成に集中している。それらのプラントは規模が小さいかまたは性質上モジュール的であった。かかる小規模プラントによって行われる反応はより長い滞留時間をかけて実施されるので、より大規模な連続式運転にはあまり適さないものになっている。いくつかの初期の試みも、廃プラスチックから水蒸気分解装置用のフィードストックを生成することに集中している。ただし、それらが奏功するためには水蒸気分解炉の利用可能性を必要とする。さらに、それらの生成した水蒸気分解装置フィードの分解炉による転化はメタンの大量の生成を通常もたらすことになり、これは望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/203042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって必要とされるのは、メタンの生成を最小化しオレフィンおよび芳香族の生成量を最大化する、プラスチックから直接的に石油化学系生成物(例えばオレフィンおよび芳香族)への転化のためのプロセスである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
オレフィンおよび芳香族化合物をプラスチックフィードストックから製造する方法であって、この方法は、プラスチックフィードストックとプラスチックフィードストックをオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化するのに適した触媒組成物とを反応器内に導入すること、反応器がプラスチックフィードストックと触媒組成物とを導入するための少なくとも1つの入口を有し、反応生成物を反応器から取り出すための少なくとも1つの出口を有し、少なくとも1つの出口と少なくとも1つの入口との間の長さLを有する反応器流路に沿って、出口が少なくとも1つの入口から離間されていることによって実施される。反応器内の温度は、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも1つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離でモニタリングされる。この少なくとも1つの位置から得られた1つ以上のモニタリングされた温度に応じて、1つ以上のパラメータが加減される。プラスチックフィードストックの少なくとも一部は、反応器内においてオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化させられる。上記のオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つを含有する生成物ストリームが、反応器の少なくとも1つの出口から取り出される。
【0008】
一部の実施形態では、1つ以上のパラメータは次の(a)から(d)の1つ以上を加減することを含み得、a)は少なくとも1つの入口に導入される触媒組成物であり、b)は少なくとも1つの入口への触媒組成物の流量であり、c)は少なくとも1つの入口へのプラスチックフィードストックの流量であり、d)は反応器への熱入力である。
【0009】
一部の適用では、温度をモニタリングすることは、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも2つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングし、その少なくとも2つの位置が反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されていることを含み得る。一部の例では、少なくとも2つの位置が縦方向に離間される。別の例では、少なくとも2つの位置が横方向に離間される。
【0010】
一部の実施形態では、温度をモニタリングすることは、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも3つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングし、その少なくとも3つの位置が反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されていることを含み得る。
【0011】
温度のモニタリングは、少なくとも1つの入口から0.3L超の温度モニタリング距離にある少なくとも1つの他の位置の温度をモニタリングすることを含み得る。さらなる変形形態では、温度モニタリング距離は少なくとも1つの入口から0.2L以下であり得る。別の変形形態では、温度モニタリング距離は少なくとも1つの入口から0.1L以下であり得る。
【0012】
一部の例では、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物は少なくとも1つの入口に別々のフィードとして導入され得る。別の例では、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物は少なくとも1つの入口に1つの混合物として導入され得る。
【0013】
一部の適用では、少なくとも1つの位置から得られたモニタリングされた温度が加重され、加重された温度が所望の生成物の生成量に対して相関付けされ、1つ以上のパラメータを加減するのに用いられる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、オレフィンおよび芳香族化合物をプラスチックフィードストックから製造する方法が、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物を反応器内に導入することによって達成される。触媒組成物は流動接触分解(FCC)触媒とZSM‐5ゼオライト触媒とからなり、ZSM‐5ゼオライト触媒の量はFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量による10wt%以上を構成する。反応器は、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物を導入するための少なくとも1つの入口を有し、反応器から反応生成物を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、少なくとも1つの出口と少なくとも1つの入口との間の長さLを有する反応器流路に沿って、出口は少なくとも1つの入口から離間されている。反応器内の温度は、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも1つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離でモニタリングされる。この少なくとも1つの位置から得られた1つ以上のモニタリングされた温度に応じて、次の(a)から(d)の1つ以上が加減され、a)は少なくとも1つの入口に導入される触媒組成物であり、b)は少なくとも1つの入口への触媒組成物の流量であり、c)は少なくとも1つの入口へのプラスチックフィードストックの流量であり、d)は反応器への熱入力である。プラスチックフィードストックの少なくとも一部は、反応器内においてオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化させる。このオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つを含有する生成物ストリームが、反応器の少なくとも1つの出口から取り出される。
【0015】
一部の適用では、温度をモニタリングすることは、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも2つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングすることを含み、その少なくとも2つの位置が反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている。一部の実施形態では、(a)から(d)の1つ以上が加減されて、少なくとも2つの位置の加重平均温度少なくとも550℃を維持する。または、(a)から(d)の1つ以上が加減されて、少なくとも2つの位置の加重平均温度570℃〜680℃を維持する。
【0016】
一部の変形形態では、少なくとも2つの位置は縦方向に離間されている。別の変形形態では、少なくとも2つの位置は横方向に離間されている。
【0017】
温度をモニタリングすることは、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも3つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングし、その少なくとも3つの位置が反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されていることも、一部の適用では含み得る。
【0018】
さらなる変形形態では、温度をモニタリングすることは、少なくとも1つの入口から0.3L超の温度モニタリング距離にある少なくとも1つの他の位置において、温度をモニタリングすることを含み得る。または、温度モニタリング距離は少なくとも1つの入口から0.2L以下であり得る。または、温度モニタリング距離は少なくとも1つの入口から0.1L以下であり得る。
【0019】
一部の例では、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物は少なくとも1つの入口に別々のフィードとして導入され得る。別の例では、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物は少なくとも1つの入口に1つの混合物として導入され得る。
【0020】
一部の実施形態では、触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量はFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量の30wt%〜45wt%を構成し得る。
【0021】
一部の適用では、少なくとも1つの位置から得られたモニタリングされた温度が加重され、加重された温度は所望の生成物の生成量に対して相関付けされ、1つ以上のパラメータを加減するのに用いられる。
【0022】
本発明のより徹底した理解のために、ここで添付の図面と併せて以下の詳細な説明を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】触媒的プラスチック熱分解装置反応器の制御系を示す設計図であり、反応器底の近くにおいて短い温度モニタリング距離でモニタリングされた加重平均の縦方向および横方向の温度を用いる。
図2】触媒的プラスチック熱分解装置反応器の制御系を示す設計図であり、反応器底の近くにおいて短い温度モニタリング距離でモニタリングされた最低の縦方向および横方向の温度を用いる。
図3】触媒的プラスチック熱分解装置反応器の制御系を示す設計図であり、反応器の長さに沿って複数の距離でモニタリングされた加重平均の縦方向および横方向の温度を用いる。
図4】プラスチックの熱分解転化反応による経時的な放出された分解ガス生成物の%のプロットを示すグラフである。
図5】反応開始時の別々の反応器設定温度の、プラスチックの熱分解転化反応の過程における反応器床温度の様子のプロットを示すグラフである。
図6】別々の触媒組成物の、プラスチックの熱分解転化反応の過程における反応器床温度の様子のプロットを示すグラフである。
図7】プラスチックの熱分解転化反応において、最低の反応器床温度の関数としての全軽質ガスオレフィン生成量のプロットを示すグラフである。
図8】プラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としての全軽質ガスオレフィン生成量のプロットを示すグラフである。
図9】プラスチックの熱分解転化反応において、10分の平均反応器床温度の関数としての全軽質ガスオレフィン生成量のプロットを示すグラフである。
図10】一定の触媒組成物を用いるプラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としての軽質ガスオレフィン生成量のプロットを示すグラフである。
図11】一定の触媒組成物を用いるプラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としてのメタンおよびエチレンの生成量のプロットを示すグラフである。
図12】一定の触媒組成物を用いるプラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としての重質液体生成物の生成量のプロットを示すグラフである。
図13】一定の触媒組成物を用いるプラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としての個々の軽質ガスオレフィンの生成量のプロットを示すグラフである。
図14】一定の触媒組成物を用いるプラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としての全芳香族生成物のプロットを示すグラフである。
図15】プラスチックの熱分解転化反応において、1分の平均反応器床温度の関数としてのコークス生成量のプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明では、プラスチックが熱分解によって転化されて、モノマー、高生成量の軽質ガスオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、およびブテン)および芳香族、低生成量のメタンとなる。転化は短い滞留時間で(秒単位で)達成され得るので、大規模な商業用運転にとって理想的に好適である。
【0025】
このプロセスは、熱分解によってプラスチックフィードストックをオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化するのに適した触媒組成物を用いる。それらは、かかるプロセスに用いられる従来の触媒を含み得る。従来の触媒組成物の限定しない例は、米国特許第4,664,780号、4,970,183号、5,173,463号、5,348,643号、6,613,710号、および6,696,378号に記載のものであり、これらのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に援用される。それらはFCC触媒、残渣油FCC触媒、アルミナ/シリカ触媒、メソ多孔性材料、および種々のゼオライトを含み得る。
【0026】
別の実施形態では、触媒組成物は、2013年2月13日出願の同時係属の米国仮特許出願第13/764886号に記載され、代理人整理番号12T&I0019によってさらに特定される新規触媒系を含み得る。これは、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本明細書ではここに援用される。そこに記載の触媒組成物は、流動接触分解(FCC)触媒とZSM‐5ゼオライト触媒添加剤とからなり、それらは互いに組み合わせて1つの触媒組成物として用いられてプラスチックフィードの熱分解転化を容易にする。
【0027】
FCC触媒は石油系フィードの分解に有用なものである。かかる石油系フィードは、原油の常圧および減圧蒸留装置から得られる減圧軽油(350〜550℃の沸騰範囲)、常圧軽油およびディーゼル(220〜370℃の沸騰範囲)、ナフサ(<35℃〜220℃の沸騰範囲)、もしくは残油(>550℃の範囲で沸騰)、または製油所のあらゆる2次プロセス(水素化処理、水素化分解、コーキング、ビスブレーキング、溶剤脱れき、流動接触分解、ナフサ改質など、またはそれらの変形形態を含む)から生ずる種々のかかるストリームを含み得る。FCC触媒は大細孔モレキュラーシーブまたはゼオライトから通常はなる。大細孔ゼオライトは、平均細孔径7Å以上、より典型的には7Å〜約10Åを有するものである。FCC触媒用の好適な大細孔ゼオライトは、X型およびY型ゼオライト、モルデナイトおよびフォージャサイト、ナノ結晶ゼオライト、MCMメソ多孔性材料(MCM‐41、MCM‐48、MCM‐50、および他のメソ多孔性材料)、SBA‐15、ならびにシリコアルミノリン酸塩、ガロリン酸塩、チタノリン酸塩を含み得る。特に有用なのはY型ゼオライトである。
【0028】
FCC触媒に用いられるY型ゼオライトでは、シリカおよびアルミナの四面体は酸素結合によって繋がっている。熱および水熱安定性を付与するためには、Y型ゼオライトは一部のフレームワークアルミナを除去するための処理を受け得る(それらの方法の1つは高温におけるスチーム処理である)。通常、Y型ゼオライトはSi/Al比約2.5:1を有する。脱アルミニウム化Y型ゼオライトはSi/Al比4:1以上を通常は有する。より高いフレームワークSi/Al比を有する脱アルミニウム化Y型ゼオライトは、より強力な酸点(孤立した酸点)を有し、熱的および水熱的により安定であり、したがって超安定化Y型ゼオライト(USY型ゼオライト)と呼ばれる。触媒が700℃という温度およびさらには触媒再生装置内の水分に遭遇する流動接触分解などの装置では、触媒活性がより長時間に渡って維持されるために熱および水熱安定性が重要である。したがってかかる種類の運転では、USY型ゼオライトが好ましいFCC触媒であり得る。
【0029】
超安定化ゼオライトは希土類交換もされ得る。希土類含量は0%超であり得、ゼオライトの10wt%ほどもあり得、ゼオライトの0.1〜3wt%が通常である。ただし、希土類含量が高いほど、パラフィンを生ずる水素移動反応を好むことによって生成物のより多くのオレフィン性が失われる。ゼオライトY型中の希土類のある程度の量は、ゼオライトに安定性を付与するので有用であり得る。希土類材料はセリウム、ランタン、および他の希土類物質を含み得る。
【0030】
当然のことながら、要約および詳細な説明において有用である、好適であるなどとして列挙または記載された任意の濃度または量の範囲に関して、その範囲内のあらゆる濃度または量を含む(端点も含む)ということが意図されており、具体的に述べられたものとして見なされる。例えば「1〜10の範囲」は、約1〜約10の連続体のどこかのそれぞれおよび全ての可能な数を意味するものとして理解されるべきである。したがって、たとえその範囲内の特定のデータ点が明確に記載されているまたはさらにはその範囲内のデータ点が明確に記載されていない(または特定のいくつかのみを挙げている)としても、当然のことながら、本発明者の認識および理解するところでは、その範囲内の任意および全てのデータ点は記載されたものと見なされ、本発明者は範囲全体とその範囲内のあらゆる点とを留保する。
【0031】
FCC触媒は、通常は、活性なマトリックス中に包埋された上記のゼオライトである。マトリックスは、活性材料、例えば非晶質または結晶質であり得る活性アルミナ材料、結合材、例えばアルミナまたはシリカ、および不活性な充填材、例えばカオリンからなり得る。FCC触媒のマトリックス中に包埋されたゼオライト成分は、FCC触媒の10〜90wt%を構成し得る。活性なマトリックス材料中に包埋されたゼオライト材料を有するFCC触媒は、噴霧乾燥によってミクロスフェアに成形され得る。それらの触媒は硬質であって非常に良好な耐摩耗性を有し、粒子間および粒子‐壁間衝突(これは触媒が流動化されているときに通常起こる)に耐える。FCC触媒の粒径分布は0超〜150ミクロンの範囲であり得る。一部の実施形態では、粒径分布のうち90〜95%が0超〜110ミクロンまたは120ミクロンの範囲内であり得、粒子の5〜10%は110ミクロン超の粒径を有する。粒径分布の結果として、FCC触媒の平均またはメディアン粒径は通常は70〜75ミクロンである。一部の例では、FCC触媒のより微細な粒子がより大きい粒子と一緒に用いられて、良好な流動化をもたらし得る。一部の実施形態では、例えばFCC触媒の15%以下が粒径40ミクロン以下を有し得る。良好な流動化が、微細および粗大粒子の混合物中における微粉の存在によって付与される。微細粒子の減少は非流動化をもたらす。
【0032】
FCC触媒は、特定の物理的、化学的、表面特性、および触媒活性に基づいてさらにキャラクタリゼーションされ得る。フレッシュなFCC触媒は非常に大きい表面積(通常は300〜400m/g以上)および高い活性を有する。フレッシュなFCC触媒の高い活性の結果として、フレッシュなFCC触媒による石油系フィードの分解は、多い生成量のコークス(例えば8〜10wt%)および軽質ガスを通常はもたらす。この非常に多い生成量のコークスは反応の熱収支に影響し得る。なぜなら、コークス生成によって生ずる全ての熱が分解に必要とされるわけではないこともあり得るからである。したがって反応器‐再生装置系からの熱除去が必要となり得る。このことは、フィードが有効利用されないということを意味している。もしも分解プロセスの熱要求量を支えるのに必要なちょうど十分なコークスが作られて、さもなければ過剰なコークス生成をもたらす残部が有用な生成物を生成するために用いられるならば、より経済的に有益であろう。さらに、フレッシュなFCC触媒から得られる軽質ガス(メタン、エタン)の多い生成量は望ましくなく、プラントの湿潤ガス凝縮器の技術的制約またはFCCコンプレックスの限界を上回ってしまい得る。メタンの多い生成量は望ましくなく、これは化学物質を生成することに関するその限られた有用性が理由である(ただし、シンガス‐メタノール‐オレフィン経路によってメタンから高級炭化水素を生成することは可能ではある)。一方、エタンは有益な化学物質のエチレンを作るために用いられ得る。しかしながら多くの場合には、より多いエタン生成量はより多いメタン生成量を伴ってしまう。
【0033】
これらの課題を克服するために、FCC分解装置は一定の活性または転化を維持することによって通常は運転される。これは、部分失活した触媒の循環するインベントリを得、次に中古のまたはフレッシュでない触媒の小部分を周期的にパージし、フレッシュなFCC触媒によってメークアップすることによってなされる。中古のまたはフレッシュでない触媒の使用は、高レベルのメタンおよびコークスを生成せずに触媒活性を一定レベルに維持するのに役立つ。プラントの触媒の循環するインベントリは、プラントの運転条件下において部分失活または平衡化している。周期的にパージされるこの触媒の部分は使用済み触媒である。したがって触媒活性に関しては、メークアップのフレッシュな触媒が添加される前のFCC装置内の循環する触媒インベントリの同じ活性を通常は有する。この触媒メークアップおよびパージは、運転中のFCC装置によって定期的に通常はなされる。循環する触媒インベントリは、フレッシュな触媒の表面積の大体50%以下と、フレッシュな触媒のものよりも大体10転化単位だけ低い活性または転化とを有する。換言すると、もしもフレッシュな触媒が減圧軽油範囲の原料の80wt%から乾燥ガス(H2〜)、LPG(C3〜)、ガソリン(35〜220℃で沸騰する炭化水素)、およびコークスへの転化をもたらすとするならば、循環する部分失活した触媒インベントリは70wt%の転化をもたらし得ることになる。メークアップによって循環式装置に添加されたFCCのフレッシュな触媒粒子は、パージされる前に装置内において数日を通常は費やす(エージングする)。すなわち、毎日のメークアップが触媒インベントリに対して行われるという事実ゆえに、循環する触媒インベントリは種々のエージングの触媒粒子を通常は有する。すなわち、インベントリ中の触媒粒子のエージング分布が存在している。粒子の触媒活性はFCC装置によるその失活に比例し、失活は翻って触媒のエージングに比例する。下記の次の表1は代表的な特性をフレッシュなおよび使用済みFCC触媒について挙げている。
【表1】
【0034】
FCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒とを含む触媒組成物を使用する本発明の実施形態では、組成物はフレッシュなFCC触媒、フレッシュでないFCC触媒、または両方の混合物からなり得る。これは、上記のように流動接触分解プロセスから取り出される使用済みFCC触媒を含み得る。使用済みFCC触媒は通常は流動接触分解プロセスから出る廃棄物であるので、プラスチックから有用な生成物への転化へのその利用は特に有利である。これは、そのより低コストおよび入手可能性ゆえであり、より多くのコークスおよびメタンを生成しないその好ましい活性ゆえである。使用済みFCC触媒は本質的に「中古の」または「フレッシュでない」FCC触媒であり、流動接触分解プロセスに用いられて、上記のようにフレッシュな触媒との交換のために取り出されたものである。本明細書で用いられる場合、FCC触媒に関する表現「フレッシュでない」は、上記のようにある程度の量(すなわち0%超)のコークス析出を有する任意のFCC触媒を包含することが意図されている。フレッシュなFCC触媒はコークス析出を有さないと考えられる。一部の実施形態では、フレッシュでないFCC触媒表面のコークス析出は触媒の0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、またはそれ以上であり得る。通常は、フレッシュでないFCC触媒のコークス析出は触媒の0超〜0.5wt%の範囲となる。使用済みFCC触媒は、触媒のコーキングの種々の程度を有するフレッシュでない触媒粒子を有し得、これは分解プロセスに使用する触媒のエージング差が原因である。フレッシュでないFCC触媒はフレッシュなFCC触媒と比較して減少した表面積も有し、これはFCC装置内における触媒の水熱による失活が原因である。フレッシュでない触媒の通常の表面積は100m/g〜200m/gの範囲であり得る。さらに、一部の実施形態では、FCC触媒はフレッシュでないまたは使用済みFCC触媒とフレッシュなFCC触媒との組み合わせを含み得、熱分解転化反応に用いられ得る。
【0035】
FCC触媒と組み合わせて用いられるZSM‐5ゼオライト触媒添加剤はモレキュラーシーブであり、10員酸素環による交差した2次元細孔構造を含有する多孔性材料である。かかる10員酸素環細孔構造を有するゼオライト材料は、多くの場合に中細孔ゼオライトに分類される。かかる中細孔ゼオライトは、5.0Å〜7.0Åの範囲の細孔径を通常は有する。ZSM‐5ゼオライトは、細孔径約5.1〜約5.6Åを有する中細孔ゼオライトである。ZSM‐5ゼオライトおよびそれらの調製は米国特許第3,702,886号に記載されており、本明細書には参照によって援用される。ZSM‐5ゼオライトは金属添加物無しであり得る。
【0036】
ZSM‐5ゼオライトも活性なマトリックス中に通常は包埋され、このマトリックスは上述のようにFCC触媒のゼオライトに用いられるものに同じか、または類似しており得る。マトリックスは、活性材料、例えば活性アルミナ材料、結合材、例えばアルミナまたはシリカ、および不活性充填材、例えばカオリンからなり得る。
【0037】
ZSM‐5触媒のマトリックス中に包埋されたゼオライト成分は、ZSM‐5ゼオライト触媒のうち5〜90wt%、より典型的にはZSM‐5ゼオライト触媒のうち10〜80wt%、さらにより典型的にはZSM‐5ゼオライト触媒のうち10〜50wt%を構成し得る。活性マトリックス材料中に包埋されたZSM‐5ゼオライト材料を有するZSM‐5ゼオライト触媒は、噴霧乾燥によってミクロスフェアに成形され得る。ZSM‐5ゼオライト触媒の粒径分布は0超〜150ミクロンの範囲であり得る。一部の実施形態では、粒径分布のうち90〜95%が0超〜110ミクロンまたは120ミクロンの範囲内にあり得る。ZSM‐5ゼオライト触媒の平均またはメディアン粒径は通常は70〜75ミクロンである。一部の例では、ZSM‐5ゼオライト触媒のより微細な粒子がより大きい粒子と一緒に用いられて、良好な流動化をもたらし得る。一部の実施形態では、ZSM‐5ゼオライト触媒のうち例えば15%以下が40ミクロン以下の粒径を有し得る。
【0038】
一部の実施形態では、FCC触媒のゼオライト材料(例えばX型ゼオライトまたはY型ゼオライト)とZSM‐5ゼオライトとが同じマトリックス材料単位中に包埋および成形されて、FCC触媒およびZSM‐5触媒材料を両方含有する触媒粒子が形成され得る。それらの粒子は、別々のFCC触媒およびZSM‐5ゼオライト触媒について以前に記載されたものと同じサイズおよび構成であり得る。FCCおよびZSM‐5ゼオライト成分を1つのマトリックスまたは粒子中に組み合わせることの利点の1つは、より高活性をもたらすということであり、これは個々の触媒中の不活性な希釈物質を最小化することによって得られる。
【0039】
プラスチック熱分解への使用のために選択される触媒は、粒径分布および耐摩耗性の点でFCC触媒と同様の特性を有し得る。なぜなら、これらのパラメータは実際の流動床環境において触媒処方の健全度に大きく影響し得るからである。非常に微細な粒子は、生成物ガスに巻き込まれることが原因で大きい損失に至り得る。一方、より大きい触媒粒径は適切に流動化しない傾向があり、不均一な活性をもたらす。しかしながら、一部の実施形態では、FCC触媒およびZSM‐5ゼオライトの純粋な形態が、マトリックス材料もより小粒径も無しに、触媒が損失する可能性がより少ない系(例えばロータリーキルンおよびスラリー反応器)に用いられ得る。
【0040】
本プロセスでは、触媒系を用いるプラスチックの熱分解が、軽質ガスオレフィンおよび芳香族の有益なモノマー、例えばベンゼン、トルエン、およびキシレンを製造する。プロセスの生成量は、触媒系とプロセス運転条件との何らかの組み合わせを用いて、オレフィンおよび芳香族の所望の生成量に調整可能である。上記のようなFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒添加剤との組み合わせによって、FCC触媒のみを用いることと比較してオレフィンおよび芳香族のより多い生成量が得られるということが発見された。具体的には、FCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち10wt%以上のZSM‐5ゼオライト触媒を含有する触媒系は、オレフィンおよび芳香族の増大した生成量をもたらす。本明細書で用いられる場合、ZSM‐5ゼオライト触媒およびFCC触媒のwt%は、明示的に別段の定めがない限り触媒の総重量(マトリックス材料も含む)を基準とする。マトリックス材料が反応に用いられない場合には、ZSM‐5ゼオライト触媒およびFCC触媒のwt%はゼオライトのみのwt%である。
【0041】
一部の実施形態では、触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち10wt%〜50wt%を構成する。例えば、触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、または35wt%〜40wt%、45wt%、または50wt%を構成する。さらに別の実施形態では、触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量はFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち30wt%〜45wt%を構成する。さらなる実施形態では、触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量はFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち35wt%〜40wt%を構成する。一部の例では、ZSM‐5ゼオライト触媒がFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち約37.5wt%の量で用いられたときに、オレフィンおよび芳香族の最大の生成量が生成するということが見いだされた。
【0042】
転化反応に用いられるプラスチックフィードは、有機ポリマーから作られるものなどのあらゆるプラスチック材料を本質的に含み得る。限定しない例は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然および合成ゴム、タイヤ、充填ポリマー、複合材料およびプラスチックアロイ、溶剤中に溶解したプラスチックなどを含む。軽質ガスオレフィンの生成が望まれるときには、ポリオレフィンのプラスチックフィード、または主にポリオレフィンであるかポリオレフィンのかなりの量を含有するプラスチックフィードが、好ましくあり得る。種々のプラスチック材料の混合物も限定なしに用いられ得る。
【0043】
プラスチックフィードは種々の形状で提供され得る。より小規模な運転では、プラスチックフィードは粉末の形状であり得る。より大規模な運転では、プラスチックフィードはペレット、例えば粒径1〜5mmを有するものの形状であり得る。
【0044】
触媒およびプラスチックフィードは、反応器内への導入に先立って一つに混合され得るか、または別々に導入され得る。プラスチックフィードに対する用いられる触媒の量または比は様々であり得、用いられる具体的な系およびプロセス条件次第であり得る。プラスチックは非常に低いまたは非常に高い触媒対フィード(C/F)比を用いて転化され得る。低いC/F比の場合にはより長い接触時間が必要とされ得る一方で、高いC/F比ではより短い接触時間が必要とされ得る。試験にはC/F比4〜12が用いられ、C/F比6〜9が最も多くの場合に用いられた。循環式流動床ライザーまたはダウナーが用いられ得る大規模な工業プロセスでは、C/F比は反応器の熱収支または他のパラメータによって決定され得る。
【0045】
種々の反応器が転化プロセスに用いられ得る。大規模な運転では、循環式流動床ライザーまたはダウナー反応器が用いられ得る。触媒がin‐situでバブリングされてフィードが気泡流動床に添加されるバブリング床反応器も用いられ得る。スラリー型反応器およびロータリーキルン型反応器も一部の適用では用いられ得る。
【0046】
FCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒とからなる触媒組成物およびプラスチックフィードが、上記のように反応器(例えば流動床反応器)内に導入される(混合または別々に添加される)。反応器はある反応器温度において運転され、反応器の全体または一部は550℃以上の温度である。一部の実施形態では、反応器はある反応器温度において運転され、反応器の全体または一部が570℃以上の温度である。一部の実施形態では、反応器は反応器温度において運転され、反応器の全体または一部は550℃〜730℃、より具体的には570℃〜680℃、690℃、または700℃の温度である。反応器の圧力は常圧〜50bar(g)(5MPa)、より典型的には常圧〜3bar(g)(0.3MPa)の範囲であり得る。窒素、乾燥ガス(H2〜)、スチーム、または他の不活性ガスもしくはガス混合物が、触媒およびフィードが巻き込まれるキャリアガスとして用いられ得る。種々の流動化ガス流量が種々の方式、例えばバブリング流動床方式、循環式流動床方式、スラリー槽反応器方式で用いられ得る。他の反応器構成および方式も用いられ得る。一部の実施形態では循環式流動方式が用いられ得る。なぜなら、コークスの管理、より良好な伝熱、およびフィードと触媒との接触に関して利点を提供するからである。触媒/フィード比(C/F)は低くは2から高くは30までの範囲であり得、より典型的には4〜12の範囲である。
【0047】
プラスチック熱分解のプロセスの収量は、触媒とプロセス運転条件との何らかの組み合わせを用いることによって、オレフィンおよび/または芳香族の所望の生成量に調整可能である。これは、選ばれた位置の反応器温度を測定する温度センサまたは熱電対を用いることによって達成され得る。それらの選ばれた位置は、触媒組成物および/もしくはプラスチックフィードが連続流通式反応器内に導入される入口もしくはその付近のエリアであり得、または回分式反応器内においてプラスチックフィードと触媒組成物との完全なもしくは最高の混合を有する触媒床中のエリアもしくはその付近であり得る。かかる位置はプロセス中に最大の温度変化が起こる場所であり、これは反応器内の転化の大部分が起こる場所である。
【0048】
これらのゾーンの温度変化は、フィードおよび触媒が反応器に仕込まれる際に大きくなる。温度変化の大部分は、回分式反応器の場合には、反応器への触媒およびフィードの添加に続く最初の1分間に起こる。連続流通式反応器では、大部分の温度変化は、触媒組成物および/またはプラスチックフィードが反応器内に導入される入口またはその下流において起こる。回分式反応器の場合には、この1分間のうちにまたは連続流通式反応器内のフィードおよび/もしくは触媒組成物の入口から数メートル以内で、低温のフィードの導入および分解の吸熱的性質を原因とする急速な温度の下降があり得る。
【0049】
連続流通式反応器が断熱的に運転している場合には、反応器内の温度の連続的な下降が入口点の下流においてある。ただし、連続流通式反応器の残りと比較して温度の下降が急な反応ゾーンが存在する。この急な温度変化ゾーンには最低温度も存在している。等温連続式反応器(外部加熱式)の場合には、プラスチックフィードおよび/または触媒組成物の入口付近における温度の下降と、下流における温度回復とが存在する。この減少した温度は反応開始時点のフィードおよび触媒の仕込みに起因し、「最低触媒床温度」、「最低反応器床温度」、または類似の表現で呼ばれ得る。連続流通式反応器では、この最低温度は、フィードおよび/または触媒組成物の入口の下流の短距離内(例えば数メートル以内)において到達される。
【0050】
回分式反応器では、最低反応器床温度は、フィードの仕込み後10〜15秒以内に通常は到達される。回分式反応器では、反応器は反応開始前に設定温度まで通常は予備加熱される。ただし、フィードおよび触媒が仕込まれるときには、同時に起こるいくつかのことが存在する。それらは、反応器温度へのフィードの予備加熱、フィードおよび生成物の固体から液体または液体からガスへの相変化、分解反応(これは吸熱的である)のための反応熱、反応器温度への触媒の加熱、触媒中に存在し得る水の損失の潜熱などを含む。これらの変化の全ては、回分式反応器と反応器を加熱するために用いられる炉を用いることとに当たっては、説明されて対応される必要がある。たとえ反応器が炉によって加熱され、これは温度制御によって制御されているとしても、前もって設定された床温度を回復するための制御操作が効き始めるまでにはある有限の時間が存在する。したがってこれはフィードおよび触媒が回分式装置に仕込まれる際の温度の観察された下降に寄与する。
【0051】
ある時間間隔の平均触媒床温度は、回分式反応の制御目的に有用であり得、後述されるように、連続流通式反応器内の配置された別々のモニタリング位置においてモニタリングされた温度に対して相関付けされ得る。この「時間間隔の平均触媒床温度」は、例えば1分の平均床温度、5分の平均床温度、10分の平均床温度などであり得る。時間間隔の平均床温度は次の式(1)によって定められる。
=1/N×(T+...+TN‐3+TN‐2+TN‐1+T) (1)
式中、Tは時間間隔Iに渡る時間間隔の平均床温度であり、N=選ばれた時間間隔Iに渡ってなされた温度測定回数である。一例として、1分の平均床温度(I=1min)は、0秒、10秒、20秒、40秒、および1分の時点において測定記録される5種類の温度(すなわちN=5)を有し得る。当然のことながら、抽出時点において記録された温度の単なる算術平均の代わりに加重平均を用いてもよく、その場合には測定された別々の温度に別々の加重が与えられる。
【0052】
温度変化の大部分は回分式反応において触媒およびフィードの添加に続く最初の1分間に起こるので、Iが2分以下である短い時間間隔の最低の反応器床温度とその時間間隔の平均床温度とは、制御システムに特に有用であり得る。例えば、最低の反応器床温度および1分の平均床温度はオレフィン生成量をなぞるということが示されており、これは翻って連続式の流通式または定常プロセスに対して相関付けおよび適用され得る。より長い時間間隔に渡って測定された回分式反応の時間間隔の平均触媒床温度も、一部の適用において有用であり得る。それらは、2分超、例えば3分、4分、5分、10分、15分などの長い時間間隔を含み得る。多くの場合には、長い時間間隔は2分〜15分であろう。
【0053】
連続式の定常流通式プロセス、例えば管状流通式反応器(管状流通式反応器の「定常」とは、濃度および条件が空間変数に伴って変動するが、空間の各位置では経時的に変動しないということを意味する)では、フィード導入点およびそのすぐ下流において測定される温度は、回分式プロセスの短い時間間隔の平均反応床温度と同様であり、したがってその代わりに用いられ得る。これは、非定常管状回分式反応器の床温度の時間微分(変化)が連続式の定常流通式反応器内の温度の空間微分(変化)と相似的に取り扱われ得るからである。連続式撹拌槽型反応器(CSTR)の場合には、反応器への流れまたは反応の程度が同じである限り、反応器内のあらゆる点において温度および組成は同一である。したがってCSTRの場合には、平均温度は反応器内で測定された温度を意味することになる。
【0054】
連続流通式反応器内のフィード導入点またはそのすぐ下流において測定された温度は、次に、反応(したがって生成する生成物)に影響し得る変数を制御するための制御システムによって用いられ得る。それらの変数は、a)反応器内に導入される触媒組成物、b)反応器内への触媒組成物の流量、c)反応器内へのプラスチックフィードストックの流量、および/またはd)反応器を加熱するために用いられる熱入力(特に、等温または好ましい加熱特性の運転が望まれる場合)を含み得る。例えば、再生装置から生ずる再生された高温の触媒の流れが変えられて、所望の反応器温度を達成することができ、これは結果として触媒の過酷度を変化させる。モニタリングされた温度に応じてそれらの変数が制御され、オレフィン生成量を最適化し且つ望ましくない生成物(例えば、370℃超で沸騰する液体生成物の重質分)の生成を最小化し得る。
【0055】
連続流通式反応器では、反応器はプラスチックフィードストックおよび触媒組成物を導入するための1つ以上の入口を通常は有する。反応器は反応器から反応生成物を取り出すための少なくとも1つの出口をさらに有し、これは反応器流路全体(実質的に直線または非直線であり得る)に沿って1つ以上の入口から離間されている。反応器の流路は、表示「L」によって表され得る長さを1つ以上の入口と出口との間に有する。一部の例では、測定Lが始まる入口は、例えばプラスチックフィードおよび触媒が別々の入口から別々に導入される場合には、プラスチックフィードと触媒とが反応器内に導入された後に互いに接触する位置に等しくあり得る。したがって、これは実際の入口ノズルそのものの位置(プラスチックフィードと触媒とはかかる位置において互いに実際に接触することがない)ではないかもしれない。かかる位置は任意の具体的な入口よりも上または下であり得る。直線的な構成を有する大部分の反応器では、長さLは通常は反応器の長さであり、入口と出口との間において測定される。回分式反応器も類似の構成を有し得、長さLは、本発明の温度モニタリングに用いられる場合には回分式反応および反応器にも適用を有する。反応器流路の長さLは、複数の入口および出口が存在している場合には、明示的に別段の定めがない限り、通常は互いに最も近い入口と出口との間における測定である。かかる別の場合には、長さLは、任意の入口と出口(例えば最も遠い入口および出口)との間において測定され得、または複数の入口および/もしくは複数の出口の間に位置する中間位置同士の距離であり得る。
【0056】
一部の例では、反応器は複数のフィードおよび/または触媒の入口を有し、それらが反応器内の複数の局所ゾーンを形成し得る。各局所ゾーンはそれ自体の局所制御システムを有し得、長さLは特定のゾーンの入口と反応器の出口との間の長さである。
【0057】
連続流通式反応器の反応器内において最大のまたは最も急速な温度変化が起こる場所の温度のモニタリングを容易にするために、短い温度モニタリング距離で、プラスチックおよび触媒フィードが導入される入口に近い1つ以上の位置において、適切なセンサを用いて温度測定がなされる。本明細書で用いられる場合、表現「短い温度モニタリング距離」または類似の表現は、触媒およびプラスチックフィードが導入される1つ以上の入口から0.3L以下の距離として解釈されることを意図されている。一部の実施形態では、短い温度モニタリング距離は入口から0.2L以下の距離であり得る。別の実施形態では、短い温度モニタリング距離は入口から0.1L以下またはさらには入口から0.05L以下であり得る。例えば、短い温度モニタリング距離は、入口から0.3L、0.2L、0.1L、0.05L、0.01L、0.005L、0.001L、またはそれ未満であり得る。
【0058】
一例として、18メートルの長さの流路(すなわちL=18メートル)を画定する高さまたは長さを有する反応器(例えば流動床ライザーまたはダウナー反応器)では、短い温度モニタリング距離の基準として0.3L以下を用い、反応器の入口から反応器流路に沿って0メートル〜5.4メートル(すなわち0.3×18メートル)メートルに温度センサが配置され得る。
【0059】
一部の実施形態では、温度測定は複数の位置、例えば3、4、5、6、7、8、9、または10箇所以上の別々の温度モニタリング位置においてなされ得る。複数の温度モニタリング位置が用いられる場合には、それらの一部は長い温度モニタリング距離で配置され得る。本明細書で用いられる場合、表現「長い温度モニタリング距離」は、触媒およびプラスチックフィードが導入される1つ以上の入口から0.3L超の距離として解釈されることを意図されている。ただし多くの場合には、温度モニタリング位置のうち少なくとも1、2、3、4、5、6箇所、またはそれ以上は、入口から0.3L、0.2L、0.1L、0.05L、0.01L、0.005L、0.001L、またはそれ以下の短い温度モニタリング距離にある。残りは、反応器流路Lの長さのどこかの長い温度モニタリング距離にある。
【0060】
温度測定は2つ以上の温度モニタリング位置においてなされ得、それらは反応器内において互いから等しいまたは等しくない距離で縦方向および/または横方向に離間されており得る。それらの温度モニタリング位置は、反応器流路のどこかの所与の点において反応器の流路の縦軸に対して垂直な平面内で、互いから円周方向および/または半径方向に横方向に離間されることを含み得る。したがって、例えば温度センサが反応器の中心付近に設けられ、別のものが反応器壁付近に設けられ、さらに別のものが反応器の中心と反応器壁との間の中間位置に任意の角度位置で設けられ得る。流路Lに沿って同じ距離で配置されているが異なる横方向の位置にある複数の温度センサは、例えば流路上のその特定の距離における反応器内容物の不適切な混合を原因とする反応器内の異なる温度を感知し得る。
【0061】
種々のモニタリングされた温度は、反応の過程において連続的または周期的にモニタリングされる。モニタリングされた温度は加重されて、反応器の制御システムに用いられる。1つの加重法では、所与の時点においてモニタリングされた温度の複数の平均温度がまとめて平均されて、加重された温度値を提供する。別の例では、別々の位置においてモニタリングされた温度に対して別々の加重が割当てられ得る。したがって、異なる縦方向の位置だけではなく横方向の位置に対しても、異なる加重が与えられ得る。例えば、もしもコア流が上向きでアニュラー流が下向きのコア‐アニュラー流があるならば、壁の近くではより低温を、壁から遠くではより高温を有し得る。例えばもしもプラスチックフィードがより低温のゾーンに注入されるならば、反応生成量は悪影響を受けるであろう。一方、プラスチックフィードを高過酷度ゾーンに注入すると、反応生成量は増大するであろう。ただし、かかる加重は多くの場合には具体的な反応器装置を運転することによってのみ分かる。一部の場合には、横方向および縦方向の位置の加重平均を得てもよく、加重を0〜1の任意の有理数として割り当てることが可能である。いかなる加重法が用いられるにせよ、モニタリングされた温度はプラントの自動制御系(例えば分散制御系(DCS)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、またはオンラインのプラントモニタリングおよび制御に用いられる類似の系)のコンピューティング・ブロックまたはデバイスによって加重または平均され得る。
【0062】
加重された温度値は次に温度コントローラへの入力として用いられ、温度コントローラは、所望の生成物の生成量(例えばオレフィンの所望の生成量)に適した前もって設定または選択された温度値(設定温度)からの加重された測定値の差を計算する。加重された測定温度と設定温度との差に応じて、コントローラは系を制御して適切な応答をもたらすようにプログラムされ得る。これは、a)反応器内に導入される触媒組成物、b)反応器内への触媒組成物の流量、c)反応器内へのプラスチックフィードストックの流量、および/またはd)反応器を加熱するために用いられる熱入力(特に、等温または好ましい加熱特性の運転が望まれる場合)を変更または調節することを含み得る。かかる調節は、適切なアクチュエータによって動かされる制御弁の使用によって通常は行われる。
【0063】
コントローラの応答は加重された測定温度と設定温度との差に比例して、触媒およびプラスチックフィードストックの種々の流れを調節するために用いられる制御弁に、比例した信号を与え得る。このようにして、所望の生成物の最大の生成量をもたらす所望の設定値の非常に近くに、加重された測定温度を維持することが可能である。コントローラは、モニタリングおよび/または加重された測定温度からのフィードバックを用いる種類の制御に適した任意の種類の制御系であり得る。これは工業プロセスの制御に一般的に用いられる比例、比例‐積分(PI)、比例‐積分‐微分(PID)などのコントローラを含み得る。
【0064】
図1では、プラスチック転化系10の設計図が具体的な制御系と一緒に示されている。転化系10は反応器12を含んでおり、これは連続流通式循環式流動床ライザー反応器または他の適当な反応器を表している。図1では、反応器/ライザー12は、再生装置から生ずる高温の触媒組成物がプラスチックフィードに接触するときに反応が起こる場所である。触媒は生成物および存在し得る未転化のフィード(重質分)と一緒に停止装置を通って反応器12から出て、ストリッパー14内に落ちる。ここで、スチームを用いて、触媒は捕捉された炭化水素をストリッピングされる。スチーム・ストリッピングされた触媒はレベル制御(LIC)16を流れ、レベル制御弁(LCV)18を通って再生装置20に至る。再生装置20において、触媒組成物表面のコークスは酸素、空気、または酸素が濃縮された空気(ブロワによって供給または吸入される)を用いて燃やされ、こうして触媒が再生される。再生装置から生ずる高温の再生された触媒組成物は、温度制御(TIC)22に応答して温度制御弁(TCV)24を通り、触媒の入口26から反応器12に流れる。プラスチックフィードは反応器12の入口28から導入される。かかる反応器では、反応器へのフィードと反応器からの生成物の取り出しとの連続流が存在している。図1の実施形態では、別々の横方向および/または縦方向に配置されたセンサ30、32、34(これらは、反応器12の底またはその近くに位置する触媒およびフィードの導入点26、28、またはそこから短い温度モニタリング距離(すなわち0.3L以下)に位置する)によってモニタリングされた温度の平均が、触媒再生装置20から生ずる触媒流を制御するために用いられる。フィード入口点またはそのすぐ下流にあるこのゾーンは、生成物の最大の転化および最大の温度変化が起こる場所である。このゾーン内の触媒床の平均温度は、転化プロセスから生成する生成物およびそれらの生成量に対して最大の影響を有する。フィードおよび触媒の導入点付近のみの温度のこのモニタリングおよび加重平均は、回分式反応器の短い時間間隔の平均床温度(すなわち2分以下)と相関する。
【0065】
センサ(TE)30、32、34から得られる温度は周期的または連続的にモニタリングされ、コンピューティング・ブロックまたはデバイス36によって加重または平均されて平均の測定温度をもたらし、これはフィードバックとして温度コントローラ22に与えられる。温度センサは任意の適当な種類であり、触媒床温度をモニタリングできる。示されている実施形態では、コントローラ22は温度制御弁24を制御し、これは再生装置20からの高温の再生された触媒の導入を可能にする。より高い温度が設定される場合は、弁24が開弁されてより多くの高温の触媒を反応器12に流れさせ、反応器のより厳しい熱要求量を助ける。別の適用では、コントローラ22はプラスチックフィードの導入用の他の弁を制御するために用いられて、具体的な触媒組成物を調節および/または外部の加熱源からの熱入力を調節(例えば、等温または好ましい加熱特性の運転が望まれる場合)し得る。さらに別の実施形態では、コントローラ22は、反応の制御を容易にする他の条件または流れを制御するために用いられ得る。
【0066】
示されている実施形態では、他の温度センサ38、40、42、44が反応をモニタリングするために反応器12の長さに沿って下流に配置されるが、この例のプロセス制御には用いられない。
【0067】
スチームまたは他の流動化ガスが種々の位置において添加されて、適切な流動化および移送工程を維持する。反応器へのフィードは複数種類の方法によって導入され得、それらは例えば押出機、例えば流動化ガスを用いる空気輸送、および制御型添加装置などによるものを含むが、限定されない。1つまたは複数のサイクロン(多岐管によって連結される)が反応器のストリッパー14(サイクロン46)および/または再生装置20(サイクロン48)に対して設けられて、エフルエントと一緒にそれらの容器から出て来る粒子状物質を取り出し、回収された粒子状物質をそれらの容器の床に返送し得る。
【0068】
図2では、特別な制御系を有する図1のプラスチック転化系10の代替的な設計図が示されており、同様の構成要素は同じ符号を付されている。この制御設計図では、触媒およびフィードの導入点26、28またはそこから短い温度モニタリング距離(すなわち0.3L以下)に位置するセンサ30、32、34から得られる温度が、反応器底においてフィードの導入直後に測定される最低温度を提供するために用いられる。これがコンピューティング・ブロックまたはデバイス36に与えられ、センサ30、32、34の任意の1つから得られる最低の測定温度を得る。専らフィードおよび触媒の導入点付近の最低温度のこのモニタリングは、回分式反応器の最低床温度と相関する。
【0069】
この最低温度は周期的または連続的にモニタリングされ、フィードバックとして温度コントローラ(TIC)22に提供される。フィードおよび高温の触媒が十分に混合または平衡化される温度は、それを越えると温度がさらに下降し得るが、それに先立って見られる下降速度と比較して下降は急でない温度である。十分に混合された温度は、通常は、フィード導入点のすぐ下流における最低の測定温度である。コントローラ22に設定された温度に基づいて弁24が開弁され、触媒再生装置20から生ずる適切な量の高温の触媒が、有効処理量のための吸熱反応を支えるための反応器12内の必要な熱要求量を供給し、所望の生成物の生成量をもたらすことを可能にする。別の適用では、コントローラ22はプラスチックフィードの導入用の他の弁を制御するために用いられて、具体的な触媒組成物を調節および/または外部の加熱源からの熱入力を調節(例えば、等温または好ましい加熱特性の運転が望まれる場合)し得る。さらに別の実施形態では、コントローラ22は、反応の制御を容易にする他の条件または流れを制御するために用いられ得る。
【0070】
図3では、特別な制御系を有する図1のプラスチック転化系10のもう1つの設計図が示されており、同様の構成要素は同じ符号を付されている。この制御設計図では、触媒およびフィードの導入点26、28から短い温度モニタリング距離(すなわち0.3L以下)に位置するセンサ30、32、34から得られる温度が、フィード導入点から長い温度モニタリング距離(すなわち>0.3L)と組み合わされて用いられており、反応器流路の実質的に全長に沿って別々の位置に位置し得る。ここで、別々に配置されたセンサ38、40、および44(これらはセンサ30、32、34の下流に位置する)によってモニタリングされる測定温度は、反応器12の中間部分および反応器12の生成物出口付近に位置している。センサ38、40、および44から得られた測定温度はデバイス36のコンピュータ・ブロックに与えられ、センサ30、32、34から得られた温度と一緒に加重平均される。コンピューティング・ブロック36はセンサ30、32、34、38、40、および44から得られる加重平均の測定温度を提供し、これがフィードバックとして温度コントローラ(TIC)22に与えられる。これは、回分式反応器に関して算出される長い時間間隔の平均床温度と相関し、床温度は2分超の時間(例えば10分間)に渡ってモニタリングされ、まとめて平均される。
【0071】
これらの温度は周期的または連続的にモニタリングされ、加重平均され、フィードバックとして温度コントローラ(TIC)22に提供される。十分に混合された温度は、フィード導入点のすぐ下流における最低の測定温度となる。コントローラ22に設定された温度に基づいて弁24が開弁され、触媒再生装置20から生ずる適切な量の高温の触媒が、有効処理量のための吸熱反応を支えるための反応器の必要な熱要求量を供給し、所望の生成物の生成量をもたらすことを可能にする。別の適用では、コントローラ22はプラスチックフィードの導入用の他の弁を制御するために用いられて、具体的な触媒組成物を調節および/または外部の加熱源からの熱入力を調節(例えば、等温または好ましい加熱特性の運転が望まれる場合)し得る。さらに別の実施形態では、コントローラ22は、反応の制御を容易にする他の条件または流れを制御するために用いられ得る。
【0072】
上記の制御システムは、FCC装置の従来の制御では反応器の出口の温度のみがモニタリングされ、フィードバックとして任意のコントローラに提供されるという点において、FCC装置に用いられる従来の制御システムとは異なっている。ただし、反応器の出口付近の温度は、最大の転化および温度変化が反応器内で起こるところから遠い距離に位置している。これは、反応器内で生成されている生成物および生成量との低い相関をもたらす。もしも出口温度がコントローラへのフィードバックとして用いられる唯一の温度であるならば、制御の所望の程度を提供することも生成物の所望の生成量を保証することもないであろう。これは本発明の制御システムとは対照的である。
【0073】
反応によって生成する熱分解生成物は、軽質ガスオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、ブテンなど)および芳香族(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン)を含む。それらは選択的に大量に製造され得る。フィードのプラスチックから種々の生成物への完全な転化が起こる。生成する生成物は、ガス(H-C)、ガソリンまたはナフサ(沸点35-220℃)、ディーゼル(沸点220-370℃)、少量の重質のストリーム(沸点>370℃)、およびコークスを含む。種々の生成物の生成量は、異なる触媒処方を用いることまたは上記パラメータの任意のものもしくは全て(接触時間、流動化流量、ならびに反応器ハードウェアの特定の特徴、例えば、直径、長さ、またはフィードおよび/もしくはガス分配の設計、または混合/接触関連のハードウェア変更、さらなる転化のための反応器内への生成物のリサイクル、ならびにかかる他のパラメータを含む)によって変えられ得る。飽和生成物、例えばメタン、エタン、プロパン、およびブタン、さらには水素ガス(H)も生成する。試験では、特定の加重されたモニタリングされた温度を用いたときに、少ない生成量のメタンおよびブタジエンが得られた(それぞれ<2wt%および0.5wt%)。これは、用いられた加重された温度の過酷度が高い(例えば550℃以上)にも関わらず、観察された活性は主に恐らく熱分解よりも触媒活性を原因とするということを示唆している。触媒組成物は、メタン生成を首尾よく抑制すると同時に高度な転化を提供して重質生成物を最小化する条件下において用いられ得る。このプロセスは、重質液体生成物、すなわち370℃超で沸騰する生成物の重質分の生成も最小化する。
【0074】
軽質オレフィンの所望の生成物を所望の生成量でもたらすための連続流通式反応器では、選択された加重または平均された温度を提供するように反応器が運転される。これは、上記のように本発明の制御システムによってなされ得る。一部の実施形態では、2つ以上の別々のモニタリングされた温度の位置の加重または平均温度を少なくとも550℃に維持するように、反応器が運転される。一部の実施形態では、2つ以上の別々のモニタリングされた温度の位置の加重または平均温度を少なくとも570℃以上に維持するように、反応器が運転される。別の実施形態では、2つ以上の別々のモニタリングされた温度の位置の加重または平均温度を550℃〜730℃、より具体的には570℃〜680℃、690℃、または700℃に維持するように、反応器が運転される。
【0075】
生成した熱分解生成物は種々のプロセスに用いられ得る。例えば、生成した軽質ガスオレフィン(エチレン、プロピレン、およびブテン)は重合に用いられ得る。芳香族は誘導体のビルディングブロックとして用いられ得、またはそのままで具体的な適用に用いられ得る。飽和ガスはさらに分解されて軽質ガスオレフィンとなり得、または燃料ガス(H-C)およびLPG(C-C)プールに導かれ得、または燃料として熱分解もしくは任意の他のプロセスに用いられ得る。生成したコークスは、熱分解プロセスの必要な熱要求量を供給するためのエネルギー源として用いられ得る。要約すると、オレフィンおよび芳香族化合物をプラスチックフィードストックから製造する方法が、プラスチックフィードストックとプラスチックフィードストックをオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化するのに適した触媒組成物とを反応器内に導入し、反応器は、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物を導入するための少なくとも1つの入口を有し且つ反応器から反応生成物を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間の長さLを有する反応器流路に沿って少なくとも1つの入口から離間されていることと、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも1つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングすることと、を含む。好ましくは、温度をモニタリングすることが、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも2つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングし、少なくとも2つの位置が反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されていることを含む。最も好ましくは、温度をモニタリングすることが、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも3つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングし、少なくとも3つの位置が反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されていることと、この少なくとも1つの位置から得られた1つ以上のモニタリングされた温度に応じて、1つ以上のパラメータを加減することと、プラスチックフィードストックの少なくとも一部を反応器内においてオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化させることと、上記のオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つを含有する生成物ストリームを反応器の少なくとも1つの出口から取り出すことと、を含む。好ましくは、1つ以上のパラメータが次の(a)から(d)、a)少なくとも1つの入口に導入される触媒組成物、b)少なくとも1つの入口への触媒組成物の流量、c)少なくとも1つの入口へのプラスチックフィードストックの流量、およびd)反応器への熱入力、の1つ以上を加減することを含む。さらに、好ましくは、次の条件のうち少なくとも1つが適用される。温度をモニタリングすることが、少なくとも1つの入口から0.3L超の温度モニタリング距離にある少なくとも1つの他の位置において温度をモニタリングすること、または温度モニタリング距離が少なくとも1つの入口から0.2L以下であること、または温度モニタリング距離が少なくとも1つの入口から0.1L以下であること、を含む。プラスチックフィードストックおよび触媒組成物が、少なくとも1つの入口に別々のフィードとして導入される。プラスチックフィードストックおよび触媒組成物が、少なくとも1つの入口に1つの混合物として導入される。少なくとも1つの位置から得られたモニタリングされた温度が加重され、加重された温度が所望の生成物の生成量に対して相関付けされて、1つ以上のパラメータを加減するのに用いられる。別の実施形態では、オレフィンおよび芳香族化合物をプラスチックフィードストックから製造する方法が、プラスチックフィードストックおよび触媒組成物を反応器内に導入し、触媒組成物は流動接触分解(FCC)触媒およびZSM‐5ゼオライト触媒を含み、ZSM‐5ゼオライト触媒の量がFCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち少なくとも10wt%であり、反応器がプラスチックフィードストックおよび触媒組成物を導入するための少なくとも1つの入口を有し、且つ反応器から反応生成物を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、その出口が少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間の長さLを有する反応器流路に沿って少なくとも1つの入口から離間されていることと、上記少なくとも1つの入口付近の少なくとも1つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングすることと、を含む。好ましくは、温度をモニタリングすることが、上記少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも2つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングすることを含み、その少なくとも2つの位置は反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている。最も好ましくは、温度をモニタリングすることは、上記の少なくとも1つの入口またはその付近の少なくとも3つの位置において、少なくとも1つの入口から0.3L以下の温度モニタリング距離で反応器内の温度をモニタリングすることを含み、その少なくとも3つの位置は反応器内において互いから縦方向または横方向の少なくとも1つによって離間されている。この少なくとも1つの位置から得られた1つ以上のモニタリングされた温度に応じて、次の(a)から(d)、a)少なくとも1つの入口に導入される触媒組成物、b)少なくとも1つの入口への触媒組成物の流量、c)少なくとも1つの入口へのプラスチックフィードストックの流量、およびd)反応器への熱入力、の1つ以上を加減して、プラスチックフィードストックの少なくとも一部を反応器内においてオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つに転化させ、上記のオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1つを含有する生成物ストリームを反応器の少なくとも1つの出口から取り出す。且つ、次の条件のうち少なくとも1つが適用される。(a)から(d)の1つ以上が加減されて、少なくとも2つの位置の加重平均温度少なくとも550℃を維持する。(a)から(d)の1つ以上が加減されて、少なくとも2つの位置の加重平均温度570℃〜680℃を維持する。温度をモニタリングすることが、少なくとも1つの入口から0.3Lの温度モニタリング距離にある少なくとも1つの他の位置において温度をモニタリングすることを含み、または温度モニタリング距離が少なくとも1つの入口から0.2L以下であり、または温度モニタリング距離が少なくとも1つの入口から0.1L以下である。プラスチックフィードストックおよび触媒組成物が、少なくとも1つの入口に別々のフィードとして導入される。プラスチックフィードストックおよび触媒組成物が、少なくとも1つの入口に1つの混合物として導入される。触媒組成物のZSM‐5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM‐5ゼオライト触媒との総重量のうち30wt%〜45wt%を構成する。少なくとも1つの位置から得られたモニタリングされた温度が加重され、加重された温度は所望の生成物の生成量に対して相関付けされて、1つ以上のパラメータを加減するのに用いられる。
【0076】
以下の実施例は本発明をさらに例解するための用をなす。
【実施例】
【0077】
in‐situの流動床の実験室用管状反応器内の温度が、プラスチックの熱分解転化反応に関してモニタリングされた。反応器は内径15mmを有し、ゾーン分割型の3ゾーン式管状炉内に収容され、各ゾーン(最下部ゾーン、中央部ゾーン、最上部ゾーン)は長さ236mmを有し、独立した温度制御をゾーン毎に備えた。反応器は全長783mmおよび流路長さ783mmを有し、これは最下部ゾーンに位置する触媒床の底から最上部ゾーンの反応器の最上部に位置する反応器出口まで測定されたものである。反応器は円錐底を有し、温度は反応器床の最上部(すなわち円錐底の最上部)および最下部ゾーンの中央(触媒床の最上部から93mmまたは触媒床の底から118mmの距離)で測定された。温度は、サーモウェルに収容されて所定の位置の反応器内に置かれた熱電対を用いて測定された。反応器底は炉の最下部ゾーンの底に置かれた。炉内に置かれた反応器の加熱される長さは709mmであった。
【0078】
プラスチックフィードは200ミクロンのプラスチック粉末の形状であった。FCC触媒は使用済みFCC触媒であり、現役の製油所から入手された。用いられたFCC使用済み触媒は、0.23wt%のコークスの残留量を有した。用いられたZSM‐5ゼオライト触媒は市販のZSM‐5ゼオライト触媒であった。プラスチックフィードはカップ内での旋回によって触媒と混合され、次に反応器内に導入された。
【0079】
フィードおよび触媒が反応器内に仕込まれるとともに、反応器温度がモニタリングされた。結果は下の表2に示されている。
【表2】
【0080】
表2に見られるように、フィードおよび触媒が仕込まれるとともに、反応器の床温度は速やかに下降し、続いて温度の急速な上昇が仕込み後の最初の1分間に起こった。反応器内に入った後にフィードが遭遇する局所温度は、フィードが受ける分解の量を決定する。フィードが触媒と一緒に反応器内に加えられると、反応器床温度は直ちに減少し、その後に再び上昇し始める。触媒床の各温度値および各時点において、フィードの分解は異なる速度で起こり、生成物の異なるセットが生成することに帰着する。回分式管状反応器による実験の終わりの生成物として見られるものは、時間平均された(合成された)生成物の生成量である。温度変化の大部分は最初の1分間に起こるので(上記表2に示されている)、この間の反応器の触媒床の平均温度は、反応開始前の設定反応温度またはより長時間に渡る時間平均された反応床温度よりも生成物の生成量を予測する可能性が高い。表2では、反応開始前の設定反応温度は600℃であり、1分の平均温度は480℃であり、10分の平均温度(より長時間の)平均は557.7℃であった。より長時間の平均温度は、反応の過酷度を正しく反映しない。なぜなら、生成物の大部分はより低温において遊離してしまっているからである。反応中に起こる極端な温度変化が存在しているので、反応開始前の設定温度も反応の過酷度を正しく反映しない。
【0081】
もしもより大きい値がこの平均温度(実験室用回分式反応器の1分の平均、または大規模な連続式運転中の連続流通式反応器の空間平均温度(すなわち、短い温度モニタリング距離から得られる))に設定されるならば、この温度の基準は循環式流動床においては高温の触媒のより多い流量によって満たされ得る。これらの両方とも(すなわち、より高温およびより高い触媒利用可能性)、より多い軽質ガスオレフィン生成量をもたらすと考えられる。
【0082】
<実施例2〜10の実験方法>
以下に示される実施例のそれぞれでは、実施例1で使用されたものと同じ反応器が用いられた。これらの実施例では、炉内に置かれた反応器の全加熱長さは591mmであった。反応器の壁温は各ゾーンの中心において測定され、各炉内ゾーンの加熱を制御するために用いられた。反応器は円錐底を有し、反応器床温度は、サーモウェルに収容されて反応器内で円錐底の最上部に置かれた熱電対を用いて測定された。さらに、反応器壁温度は円錐底においても測定され、反応器底が高温であることを確認した。反応器底は炉の最下部ゾーンの中央部に置かれたが、これは炉のエンドキャップの熱損失の影響を最小化し、反応器底の壁温を測定された内部床温度の20℃の差のうちに維持するためであった。
【0083】
プラスチックフィードは200ミクロンのプラスチック粉末の形状であった。FCC触媒は使用済みFCC触媒であり、現役の製油所から入手された。用いられたFCC使用済み触媒は0.23wt%という表面の残留コークスを有した。用いられたZSM‐5ゼオライト触媒は市販のZSM‐5ゼオライト触媒であった。プラスチックフィードはカップ内での旋回によって触媒と混合され、次に反応器内に導入された。プラスチックフィードは表3に記載の組成を有した。
【表3】
【0084】
転化生成物が反応器から回収され、凝縮器によって凝縮された。凝縮されなかった生成物はガス回収容器によって回収され、ガス組成が製油所ガス分析計(AC Analyticals社、オランダ)によって分析された。液体生成物はそれらの沸点分布について模擬蒸留GC(AC Analyticals社、オランダ)を用いてキャラクタリゼーションされた。さらに、詳細な炭化水素分析(C13炭化水素以下)がDHA分析計(AC Analyticals社、オランダ)を用いて行われた。触媒表面に析出したコークスがIR型のCOおよびCO分析計を用いて測定された。物質収支は、ガス、液体、およびコークスの生成量を合計することによって確認された。個々の生成物の生成量が測定され、正規化された生成物基準で報告された。
【0085】
実施例2
熱分解転化が、下記の表4に示された反応条件においてプラスチックフィードに対して実施された。結果は表5および図4に示されている。表5および図4から分かるように、分解炭化水素系生成物ガスの大部分(すなわちHおよびC-C)は最初の3分間に生成しており、その大多数は実験室用反応器内における最初の1分間に生成していた。回収された分解炭化水素系ガスの体積が、反応中に通されたNガス流を回収された全ガス体積から減算することによって求められた。分解炭化水素系ガスの体積%が、任意の時点までのこの集積した分解ガスの体積をその時点までの回収された全ガス体積によって除算することによって得られた。
【表4】
【表5】
【0086】
実施例3
最初の反応器温度が及ぼす影響を確認するための試験が、それらの温度を600から670℃まで変化させることによって行われた。反応条件は下記の表6に示されている。これらの実験は、75wt%の使用済みFCC触媒および25wt%のZSM5ゼオライト触媒を含有する触媒混合物を用いて行われた。用いられたプラスチックフィード重量は0.75gであった。用いられた流動化Nガス流は175Ncc/minであった。結果は表7および図5に示されている。表7および図5から分かるように、開始時点の設定反応温度値がより高い場合には、反応器床温度はその初期値をより急速に回復した。これは、それらのプロセス条件下における分解が非常に急速であるということを示している。
【表6】
【表7】
【0087】
実施例4
触媒組成物が反応床温度の回復に及ぼす影響を確認するための試験が行われた。実験は、種々の量のZSM‐5ゼオライト触媒(すなわち0〜100%)と一緒に使用済みFCC触媒を用いて行われた。用いられたプラスチックフィード組成は上記の表3に記載の通りである。約9gの触媒および1.5gのプラスチックフィードが用いられた。175Ncc/min(標準状態のcc/min)のNガス流が流動化ガスとして用いられた。反応は設定開始温度670℃且つC/F比約6で行われた。結果は表8および図6に示されている。図6から分かるように、試験開始後の床温度の回復は、使用済みFCC触媒とZSM‐5触媒との混合物と比較すると、100%のZSM‐5触媒が用いられる場合には急速でない。触媒組成物が37.5wt%のZSM‐5ゼオライト触媒を含有する場合には、最低反応器床温度はその最低に達し、反応器床温度の回復は他と比較してより速かった。これは、それらのプロセス条件下における分解が非常に急速であるということを示している。
【表8】
【0088】
実施例5
最低反応器床温度と全軽質ガスオレフィン生成量(すなわちC2+C3+C4オレフィンの合計)との相関を確認するための試験が行われた。FCC触媒とZSM5ゼオライト触媒とを含有する触媒混合物中のZSM‐5ゼオライト触媒の量が、25から50wt%まで変化させられた。C/F比は6から9まで変化させられ、プラスチックフィード0.75gが用いられた。用いられた流動化Nガス流は175Ncc/minであった。反応開始前の反応温度は600から670℃まで変化させられた。これらの異なる実験で最低反応器床温度を用いた結果が、図7および下記の表9A〜9Eに示されている。1分の平均反応器床温度(図8)または10分の平均反応器床温度(図9)が用いられたときも同様の結果が見られる。図8は、1.5gのプラスチックフィードがC/F比6で用いられたときの1分の平均反応器床温度も示している。データは両方とも1分の平均反応器床温度と軽質ガスオレフィンの生成量との間の相関を示しているように見える。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0089】
このことから、軽質ガスオレフィンの生成量は幅広い触媒組成物、温度、およびフィード重量について予測され得る。したがって、幅広い条件について軽質ガスオレフィン生成量を予測するために相関が用いられ得る。回分式管状反応器の場合には1分の平均温度が用いられ得るが、連続流通式反応器の場合には、これは短い温度モニタリング距離(例えば0.3L以下)の縦方向および横方向の平均温度によって代用され得る。この種の相関は、実験室用および大規模プラントの運転の両方において軽質ガスオレフィンの種々の生成量を狙うために用いられ得る。
【0090】
実施例6
1分の平均反応器床温度に基づいて軽質ガスオレフィンの最大生成量を確認するために、試験が行われた。触媒は37.5wt%のZSM‐5ゼオライト触媒からなり、残部は使用済みFCC触媒であった。反応開始温度が600から700℃まで変化させられて、1分の平均反応温度の変化509〜627℃を得た。用いられたフィード重量は0.75gのプラスチックフィードであり、C/F比9で用いられた。適用された流動化Nガス流は175Ncc/minであった。結果は図10および11ならびに表10に示されている。図10から、1分の平均反応床温度570℃以上は、軽質ガスオレフィン生成物を最大化する役に立つということが分かる。図11から分かるように、メタン生成量は抑制されたが、エチレン生成量は1分の平均反応床温度が600℃超であったときでもかなり増大した。
【表14】
【0091】
実施例7
重質液体生成物の生成量(すなわち、370℃超で沸騰する生成物)を1分の平均反応器床温度に基づいて確認するために、試験が行われた。触媒は37.5wt%のZSM‐5ゼオライト触媒からなり、残部は使用済みFCC触媒であった。C/F比6が用いられ、1.5gのプラスチックフィードを用いた。反応開始時の反応床温度が600から700℃まで変化させられて、その結果としての1分の平均床温度の変化472〜603℃を得た。用いられた流動化N流は175Ncc/minであった。結果は表11および図12に示されている。図12から分かるように、重質液体生成物の生成量は、1分の平均反応器床温度570℃では抑制される。
【表15】
【0092】
実施例8
個々の軽質ガスオレフィンの生成量を1分の平均反応器床温度に基づいて確認するための試験が行われた。触媒は37.5wt%のZSM‐5ゼオライト触媒からなり、残部は使用済みFCC触媒であった。C/F比9が用いられ、0.75gのプラスチックフィードを用いた。用いられた流動化N流は175Ncc/minであった。1分の平均反応床温度は509から627℃まで変化させられた。結果は表12および図13に示されている。下記の表12および図13から分かるように、最大の生成量は1分の平均反応器床温度595℃によって得られた。
【表16】
【0093】
実施例9
全芳香族生成物の生成量(すなわち、240℃未満で沸騰する芳香族系炭化水素化合物)を1分の平均反応器床温度に基づいて確認するために、試験が行われた。触媒は37.5wt%のZSM‐5ゼオライト触媒からなり、残部は使用済みFCC触媒であった。用いられた流動化ガス流は175Ncc/minのNであった。1分の平均反応床温度が472から603℃まで変化させられ、これは反応開始前の反応温度600〜700℃に対応した。C/F比6が用いられ、1.5gのプラスチックフィードを用いた。結果は下記の表13および図14に示されている。図14から分かるように、全芳香族生成物は増大する温度につれて増大した。したがって、軽質ガスオレフィンおよび芳香族の生成に際しては、軽質ガスオレフィンの生成量が増大するにつれて温度がより高く上げられて、芳香族の生成量も増大させ得る。したがって、軽質ガスオレフィンが減り始めるときの温度値が、芳香族生成物と共に軽質ガスオレフィンの生成のための至適温度として用いられ得る。
【表17】
【0094】
実施例10
1分の平均反応器床温度に基づいてコークス生成量を確認するために、試験が行われた。用いられた触媒は37.5wt%のZSM‐5ゼオライト触媒からなり、残部は使用済みFCC触媒であった。C/F比9が用いられ、0.75gのプラスチックフィードを用いた。結果は下記表14および図15に示されている。表14および図15から分かるように、コークス生成量は4〜6wt%の範囲で様々である。これは、石油系フィードを処理する通常および高過酷度のFCC工程において遭遇される典型的なコークス生成量に似ている。このことから、この場合のコークス生成は、大規模な連続流通式および循環式反応器において必要であり得る要求される熱収支を支えるのに十分であるということが明らかである。
【表18】
【0095】
本発明はその形態の一部のみによって示されたが、当業者には当然のことながら、それらに限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更および改変が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は広く本発明の範囲と矛盾なく解釈されるべきである。
図1
図2
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図5
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図7
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図10
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図13
図14
図15