特許第6367242号(P6367242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367242外部フランジを有する複合材料で作られる回転部品、特にガスタービンケーシングを製造するための射出成形金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367242
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】外部フランジを有する複合材料で作られる回転部品、特にガスタービンケーシングを製造するための射出成形金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20180723BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B29C45/26
   B29C45/02
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-559544(P2015-559544)
(86)(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公表番号】特表2016-508459(P2016-508459A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】FR2014050416
(87)【国際公開番号】WO2014131992
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】1351862
(32)【優先日】2013年3月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】306047664
【氏名又は名称】サフラン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーバン,ティエリー
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−527815(JP,A)
【文献】 特表2000−505379(JP,A)
【文献】 特表2012−505089(JP,A)
【文献】 特開2006−175866(JP,A)
【文献】 特開平11−348059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/26
B29C 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側フランジを有する複合材料で作られる回転部品を製造するための射出成形金型(4)であって、
繊維組織の重畳層によって形成される繊維強化材(9)が支持されることを目的としている軸対称マンドレル(2)であり、その輪郭が製造されるべき部品の輪郭に適合する中央環状壁(6)、およびその輪郭が製造されるべき部品の外側フランジの輪郭に適合する2つの側板(8)を含む、軸対称マンドレル(2)と、
繊維強化材の非被覆表面に押し付けられるための成形ウェッジ(12)と、
成形ウェッジおよび軸対称マンドレルの2つの側板を覆うための2つの軸対称外部ベル(14)であり、第1のシール用O−リング(24)が、2つの軸対称外部ベルと軸対称マンドレルの2つの側板との間に挿入され、2つの軸対称外部ベルにはそれぞれ、その間に挿入される少なくとも1つの第2のシール用O−リング(26)により互いに押し付けられるための取付けフランジ(20)が設けられ、2つの軸対称外部ベルの取付けフランジが、軸対称マンドレルの対称軸(X−X)に実質的に平行な方向に互いに対して締め付けられる、2つの軸対称外部ベル(14)と
を備える、射出成形金型(4)。
【請求項2】
2つの第1のシール用O−リング(24)が、軸対称外部ベル(14)と軸対称マンドレルの板(8)との間に挿入され、2つの第2のシール用O−リング(26)が、2つの軸対称外部ベルの取付けフランジ(20)間に挿入される、請求項1に記載の射出成形金型。
【請求項3】
軸対称マンドレル(2)が、その間に少なくとも1つの第3のシール用O−リング(10)により互いに押し付けられる2つの別個の部品(2a、2b)で作られ、各部品が、軸対称マンドレルの2つの側板(8)のうちの1つを含む、請求項1または2の一項に記載の射出成形金型。
【請求項4】
2つの第3のシール用O−リング(10)が、軸対称マンドレルの2つの別個の部品(2a、2b)間に挿入される、請求項3に記載の射出成形金型。
【請求項5】
軸対称外部ベル(14)が、軸対称マンドレルの板(8)に軸方向に押し付けられるための半径方向部分(16)と、1つまたは複数の成形ウェッジ(12)に半径方向に押し付けられるための軸方向部分(18)とをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の射出成形金型。
【請求項6】
成形ウェッジ(12)が、軸対称マンドレルの中央壁(6)と2つの側板(8)との間に形成される角部を覆う繊維強化材の部分に押し付けられるためのコーナーウェッジ(12a)と、軸対称マンドレルの中央壁を覆う繊維強化材の部分に押し付けられるための少なくとも1つの中央ウェッジ(12b)とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の射出成形金型。
【請求項7】
コーナーウェッジ(12a)および中央ウェッジ(12b)が、端と端を突き合わせて配置されるウェッジのいくつかの角度セグメントから形成される、請求項6に記載の射出成形金型。
【請求項8】
外側フランジを有する複合材料で作られる回転部品を製造するための射出成形方法であって、
請求項1から7のいずれか一項に記載の射出成形金型(2)の軸対称マンドレル(2)に重畳層にして繊維組織(9)を巻き付けるステップと、
このように形成された繊維強化材の非被覆表面に対して射出成形金型の成形ウェッジ(12)を取り付けるステップと、
軸対称外部ベルと軸対称マンドレルの2つの側板(8)との間に挿入される第1のシール用O−リング(24)付きの射出成形金型の2つの軸対称外部ベルによって成形ウェッジおよび軸対称マンドレルの2つの側板を覆うステップと、
樹脂を射出成形金型に射出するステップと、
樹脂を重合させるステップと
を含む、方法。
【請求項9】
複合材料で作られるガスタービンケーシングを製造するための回転部品を射出成形するための、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空エンジン用の外側フランジを有する回転部品、特にガスタービンケーシング、およびより詳細にはガスタービンファンのための保持ケーシングの複合材料を用いた製造の全般的な分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空ガスタービンエンジンにおいては、ファンケーシングは、いくつかの機能を果たす。これは、エンジンの吸気ダクトを画定し、ファンブレードの頂部に面するアブレイダブル材料を担持し、モータ取入れ口における音響処理のために音波を吸収するための可能な構造体を担持し、保持シールドを組み入れまたは担持する。保持シールドは、吸い込まれた物体や破片がケーシングを通過し、航空機の他の部分に達するのを回避するために、遠心分離によって放出される、損傷したブレードの該吸い込まれた物体や破片などのデブリを保持するトラップを形成する。
【0003】
複合材料で作られるファン保持ケーシングの製造が既に提案されている。一般読者は、たとえば文献欧州特許第1961923号明細書を参照され、この文献は、繊維組織の重畳層による繊維強化材の形成、およびマトリックスによる繊維強化材の緻密化から成る、変化する厚さを持つ複合材料によるケーシングの製造を説明している。本発明によれば、繊維組織は、変化する厚さの三次元織りによって得られ、製造されるべきケーシングの輪郭と対応する輪郭の中央壁と、ケーシングの外側フランジの輪郭に適合する輪郭の2つの側板とを有するマンドレルにいくつかの重畳層に巻き付けられる。この文献に説明されているように変化する厚さの織組織のマンドレルに巻き付けることにより、変化する厚さから成る所望の輪郭を有する管状プリフォームを直接提供することができる。
【0004】
次いで、異なる閉鎖ウェッジが、マンドレルに巻き付けられる繊維強化材に当てがわれる。したがって、閉鎖ウェッジおよびマンドレルは、重合される前にその中に樹脂が射出される射出成形金型を形成する。このように、射出成形金型への樹脂の射出は、LCM(Liquid Composite Molding(液体複合材成形))タイプの、および特にRTM(Resin Transfer Molding(樹脂トランスファー成形))タイプの射出プロセスによって行われ得る。
【0005】
実際には、複合材料ガスタービンケーシングを製造するための射出成形金型の製造は、金型の完全なシールを保証するという問題を引き起こす。しかし、先行技術の射出成形金型は、シール箇所の数を増加するという欠点を有する。特に、要素ごとにシール要素を扱うことが一般に必要であり、金型の各要素は、その周縁に、金型の隣接する要素と接触しているシールを有する。加えて、射出成形金型のこれらの要素のいくつかの場合には、シールは、非平面の表面に実現されなければならず、これは、金型のシールをさらに複雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1961923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外側フランジを有する複合材料で作られる回転部品を製造するための射出成形金型の必要があり、その場合、シールは、シール箇所の数を制限し、かつ専ら平面のシール面を用いることによって簡単化される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、繊維組織の重畳層によって形成される繊維強化材が支持されることを目的としている軸対称マンドレルであり、その輪郭が製造されるべき部品の輪郭に適合する中央環状壁、およびその輪郭が製造されるべき部品の外側フランジの輪郭に適合する2つの側板を含む、軸対称マンドレルと、繊維強化材の非被覆表面に押し付けられるための成形ウェッジと、成形ウェッジおよびマンドレルの板を覆うための2つの軸対称外部ベルであり、シール用O−リングが、ベルとマンドレルの板との間に挿入され、ベルにはそれぞれ、その間に挿入される少なくとも1つのシール用O−リングにより互いに押し付けられるための取付けフランジが設けられ、ベルの取付けフランジが、マンドレルの対称軸に実質的に平行な方向に互いに対して締め付けられる、軸対称外部ベルとを備える射出成形金型を用いて達成される。
【0009】
射出成形金型のシールは、特にベルとマンドレルの板との間、および2つのベル間のシル箇所の数を制限して製造される。そのうえ、このシールは、簡単なシール用O−リングによって平面の表面間で得られ得る。それによって、射出成形金型のシールの取付けが大幅に簡単化される。
【0010】
有利な提供によれば、2つのシール用O−リングが、各ベルとそれに対応するマンドレルの板との間に挿入され、2つのシール用O−リングが、ベルのそれぞれの取付けフランジ間に挿入される。
【0011】
さまざまなシール箇所におけるシールのライニングにより、漏れ点を迅速に確認することができる。具体的には、この種の提供の場合、万一漏れの場合には(すなわち、万一真空生成段階後のシールの欠損の場合には)、金型の各シール箇所について、2つのシールによって画定される容積が真空中に配置され、それにより、金型のどのシール箇所が欠陥があることを確認することができる。この種の操作は、それらうちのどれが欠陥があるかを確認するためにシール箇所すべてを元に戻すことを必要としない。
【0012】
マンドレルは、それらの間に挿入される少なくとも1つのシール用O−リングにより互いに押し付けられる2つの別個の部品で作られることができ、各部品は、マンドレルの板のうちの1つを含む。この場合は、2つのシール用O−リングは、マンドレルの2つの別個の部品間に挿入されることが有利である。したがって、金型のマンドレルに繊維強化材のスプーリングを開始する前であっても、それを形成する2つの部品間のシールの質を制御することができる。
【0013】
各ベルは、マンドレルの板に軸方向に押し付けられるための半径方向部分と、1つまたは複数の成形ウェッジに半径方向に押し付けられるための軸方向部分とをさらに備えることができる。
【0014】
成形ウェッジは、マンドレルの中央壁と板との間に形成される角部を覆う繊維強化材の部分に押し付けられるためのコーナーウェッジと、マンドレルの中央壁を覆う繊維強化材の部分に押し付けられるための少なくとも1つの中央ウェッジとを備えることができる。この場合は、コーナーウェッジおよび中央ウェッジは、端と端を突き合わせて配置されるウェッジのいくつかの角度セグメントから形成されることが好ましい。
【0015】
本発明のもう1つの主題は、外側フランジを有する複合材料で作られる回転部品を製造するための射出成形方法であって、以前に規定した射出成形金型のマンドレルに重畳層にして繊維組織を巻き付けるステップと、このように形成された繊維強化材の非被覆表面に対して射出成形金型の成形ウェッジを取り付けるステップと、ベルとマンドレルの板との間に挿入されるシール用O−リング付きの射出成形金型のベルによって成形ウェッジおよびマンドレルの板を覆うステップと、樹脂を射出成形金型に射出するステップと、樹脂を重合させるステップとを含む、射出成形方法である。
【0016】
本発明のもう1つの主題は、複合材料で作られるガスタービンケーシングを製造するための回転部品を射出成形するための上に規定した方法の使用である。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、決して限定的なものではない本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、下記に与えられる説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による射出成形金型の長手方向断面半図である。
図2図1の射出成形金型の斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、航空ガスタービンエンジンのファン用のケーシングを製造するためのその使用との関連で下記に説明されるであろう。より一般的には、本発明は、その軸方向端部において外側に突出するフランジを有する任意の回転部品の製造に適用される。
【0020】
この種のファンケーシングのための製造プロセスの例は、一般読者が参照することができる文献欧州特許第1961923号明細書に説明されている。
【0021】
ケーシングは、マトリックスによって緻密化された繊維強化材を用いた複合材料で作られる。強化材は、繊維、たとえば炭素、ガラス、アラミド、またはセラミックで作られ、マトリックスは、ポリマー、たとえばエポキシド、ビスマレイミド、またはポリイミドで作られる。
【0022】
要するに、この文献で説明される製造プロセスは、製造されるべきケーシングの輪郭によって画定される輪郭を有するドラム(以下、供給マンドレルとして知られる)に供給するワープを用いた三次元織りによって繊維組織を製造することにある。
【0023】
次いで、このように製造された繊維組織は、本発明により、かつ図1および図2に示されるように射出成形金型4のマンドレル2に移送される。
【0024】
実際には、繊維組織は、射出成形金型のマンドレルにいくつかの重畳層に巻き付けられる。繊維組織がマンドレルに巻き付けられることが完了していると、射出成形金型は、相方金型によって閉じられる。次いで、真空が金型の内部に生成され、樹脂が、RTMタイプの射出プロセスによって金型の中に射出される。いったん樹脂が重合されると、射出成形金型は開かれ、マトリックスによって緻密化された繊維強化材が離型される。
【0025】
図1および図2に示されるように、本発明による射出成形金型4のマンドレル2は、その輪郭が製造されるべきケーシングの輪郭および2つの側板8に適合する中央環状壁6と、その輪郭が製造されるべきケーシングの外側フランジの輪郭に適合する2つの側板8とを有する対称軸X−Xの部品である。
【0026】
射出成形金型のマンドレル2は、互いに軸方向に押し付けられ固定される2つの別個の部品2a、2bで製造され、各部品は、中央壁6の一部、およびマンドレルの板8のうちの1つを含む。マンドレルを2つの部品で製造することにより、樹脂の重合後に繊維強化材9を作り出すことができる。
【0027】
少なくとも1つのシール用O−リング10が、射出成形金型のこれらの2つの要素間にシールを実現するようにマンドレルの2つの部品2a、2b間に挿入される。このO−リングは、マンドレルの対称軸X−X上で心出しされる。
【0028】
いったん繊維組織がマンドレル2にいくつかの重畳層に巻き付けられると、射出成形金型4は、対向金型によって閉じられる。
【0029】
より正確には、成形ウェッジ12は、まず第一に繊維強化材の非被覆表面に配置される。これらの成形ウェッジ12は、マンドレルの中央壁6と板8との間に形成される角部を覆う繊維強化材の部分に押し付けられるためのコーナーウェッジ12aと、マンドレルの中央壁を覆う繊維強化材の部分に押し付けられるための中央ウェッジ12bとにある。
【0030】
コーナーウェッジ12aおよび中央ウェッジ12bは、これらがその全周にわたって繊維組織を覆うように端と端を突き合わせて配置されるウェッジのいくつかの角度セグメントでそれぞれ形成されるように区分される。たとえば、図2に示されるように、これらのセグメントは、ウェッジにつき数の上では3個であることができるが、より多数のもの(特に、ウェッジにつき6個のセグメント)から成ることができる。
【0031】
いったん繊維強化材9がマンドレル2に巻き付けられ、成形ウェッジ12が繊維強化材9の非被覆表面に配置されると、射出成形金型を閉じる次に述べるステップは、2つの外部ベル14をこのように形成されたアセンブリに当てがうことにある。
【0032】
外部ベル14は、マンドレルの対称軸X−X上で心出しされる軸対称部品である。これらは、成形ウェッジ12およびマンドレルの板8を覆う。
【0033】
特に、各外部ベル14は、マンドレルの板8のうちの1つに軸方向に押し付けられる半径方向部分16を備え、半径方向部分16は、1つまたは複数の成形ウェッジ12に半径方向に押し付けられる軸方向部分18として延在する。
【0034】
この軸方向部分18は、他の外部ベルの取付けフランジに軸方向に押し付けられる取付けフランジ20で終わり、これらの2つの取付けフランジは、図に示されるようなネジ/ナット22タイプのシステム、または油圧ジャッキを持つシステムなどの、締め付け手段を通してマンドレルの対称軸X−Xに実質的に平行な方向に互いに対して締め付けられる。
【0035】
射出成形金型の外部ベル14は、形状および寸法が同一であり得ることに留意されたい。
【0036】
そのうえ、外部ベルは、それらの間に挿入されるシール用O−リング付きのマンドレル2上に組み立てられる。特に、少なくとも1つのシール用O−リングが、ベルの各半径方向部分16とそれに対応するマンドレルの板8との間に配置される。同様に、少なくとも1つのシール用O−リング26が、ベル14のそれぞれの取付けフランジ20間に挿入される。
【0037】
これらのシール24、26は、マンドレルの対称軸X−X上で心出しされ、これらは、外部ベル14に形成される環状溝に収容されることに留意されたい。もちろん、これらのシールはまた、射出成形金型のマンドレルに作られる溝に収容されることもできる。
【0038】
したがって、本発明による射出成形金型4は、4つのシール箇所、すなわちマンドレル2の2つの部品2a、2b間のシール箇所と、2つのベル14とマンドレルの2つの板8との間の2つのシール箇所と、ベルの2つの取付けフランジ20間のシール箇所とを含むのみである。そのうえ、これらの箇所におけるシールは、これが平面である環状表面間で達成されるので製造するのが容易である。
【0039】
この種の射出成形金型の場合は、異なる成形ウェッジ12間にいかなるシールも要求されないことに留意されたい。
【0040】
好ましくは、射出成形金型のさまざまなシールはライニングされ、すなわちシール10、24、および26は、数の上では2個である。約2mの直径を有するシール用O−リングの場合は、1つのおよび同じシール箇所の2つのシール間の距離は、通常、およそ15mmと50mmとの間にある。
【0041】
したがって、さまざまなシール箇所におけるシールのライニングにより、漏れ点を迅速に確認することができる。実際には、射出成形金型を真空中に配置するステップ時に万一漏れが現われる場合には、金型の各シール箇所について、2つのシールによって画定される容積が真空中に配置される。この操作により、金型のどのシール箇所に欠陥があるか、またどのシールは交換されなければならないかを確認することができる。この種の操作は、欠陥があるシール箇所を確認するためにシール箇所すべてを元に戻すことを必要とするとは限らない。
【0042】
加えて、金型のマンドレルに繊維組織の層を巻き付ける開始前であっても、2つのシール10間に画定される容積を真空下に配置するこの種の操作を用いて、マンドレルを形成する2つの部品2a、2b間のシールの質を制御することができる。
【0043】
最後に、各対のシール間に画定される容積を真空下に配置すると、無視できない圧密力を繊維強化材に加えることができる。実際、(0.9バール程度の)このような真空の生成によって得られるフランジ力は、成形ウェッジに発生される10000ニュートン程度の圧密力を生じ得ることが計算されている。
図1
図2