(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向の一方の端部側で接触対象の一つの電極とそれぞれ接触する二つのコンタクトプローブからなるプローブ群を複数備えるとともに、前記コンタクトプローブを保持するプローブホルダを備え、各コンタクトプローブが、他方の端部側で基板の異なる電極とそれぞれ接触するプローブユニットであって、
前記コンタクトプローブは、
柱状をなして延びる基部と、
前記基部から延びるとともに、該基部の長手方向に対して傾斜した第1の傾斜面を有する傾斜部と、
前記傾斜部の前記基部に連なる側と異なる端部から延び、前記基部の長手方向に平行な平面をなす平面部を有する延在部と、
前記延在部の前記傾斜部に連なる側と異なる端部から延びるとともに、前記基部の長手方向に対する傾斜角度が、前記第1の傾斜面の傾斜角度と等しい第2の傾斜面を有し、先端で前記接触対象の一つの電極と接触する接触部と、
前記基部の前記傾斜部に連なる側と異なる端部から延び、前記基部の径と比して大きい径を有するフランジ部と、
を有し、
前記傾斜部は、前記延在部に向かうにしたがって漸次細くなっており、
前記プローブホルダには、
複数の前記コンタクトプローブを保持する複数のホルダ孔と、
当該プローブホルダの上端面に開口を有し、前記複数のホルダ孔の一端と連通するとともに、内部壁面で前記平面部を支持して複数の前記コンタクトプローブを該内部壁面に沿って配列させる長孔と、
が形成され、
前記コンタクトプローブは、前記フランジ部が前記プローブホルダと当接することで、該プローブホルダに保持される
ことを特徴とするプローブユニット。
前記長孔は、前記プローブ群の配列方向と平行であって、かつ前記プローブ群を構成する前記コンタクトプローブが互いに対向する方向と直交する方向に延びることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブユニット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
図1に示すプローブユニット1は、検査対象物である半導体集積回路の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路を封入する半導体パッケージ100の接続用電極と半導体集積回路へ検査用信号を出力する回路基板200との間を電気的に接続する装置である。半導体パッケージ100の接続用電極は、
図1に示すリード101であって、半導体集積回路に接続されている。
【0016】
プローブユニット1は、長手方向の一方の端部側で被接触体である半導体パッケージ100の一つの接続用電極(リード101)と接触し、他方の端部側で回路基板200の異なる電極とそれぞれ接触する二つのコンタクトプローブ2a(以下、単に「プローブ2a」という)からなるプローブ群2を複数備えるとともに、複数のプローブ群2を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3と、プローブホルダ3の周囲に設けられ、検査の際に複数のプローブ群2と接触する半導体パッケージ100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材4と、を有する。
【0017】
図2は、プローブホルダ3に収容されるプローブ群2の詳細な構成を示す部分断面図であって、プローブ群2の配列方向に直交する方向の平面を切断面とする断面である。
図3は、プローブホルダ3に収容されるプローブ群2の詳細な構成を示す部分断面図であって、プローブ群2の配列方向に平行な平面を切断面とする断面である。
図2,3に示すプローブ群2は、導電性材料を用いて形成される二つのプローブ2aが、高さが揃うように並列に配設されてなる。また、各プローブ群2は、プローブ2aの配列方向と直交する方向に配列される。
【0018】
プローブ2aは、半導体集積回路の検査を行なうときにその半導体パッケージ100のリード101に接触する第1プランジャ21と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて二つの第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23とを備える。プローブ2aを構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、ならびにコイルばね23は同一の軸線を有している。プローブ2aは、半導体パッケージ100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体パッケージ100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体パッケージ100および回路基板200に荷重を加える。
【0019】
第1プランジャ21は、先細な先端形状をなす先端部21aと、先端部21aの基端側から延び、先端部21aの径と比して大きい径を有するフランジ部21bと、フランジ部21bの先端部21aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部21bの径と比して小さい径を有するボス部21cと、ボス部21cのフランジ部21bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21cの径と略同一の径を有する基端部21dとを略同軸上に有する。また、基端部21dは、先端がR面取りされた形状をなす。
【0020】
先端部21aは、フランジ部21bのボス部21cに連なる側と異なる側の端部から略円柱状をなして延びる基部211と、基部211のフランジ部21bに連なる側と異なる端部から延びるとともに、基部211の長手方向を斜めにカットしてなる傾斜面212a(第1の傾斜面)を有する傾斜部212と、傾斜部212の基部211に連なる側と異なる端部から延びる延在部213と、延在部213の傾斜部212に連なる側と異なる端部から延びるとともに、延在部213の長手方向に対して斜めにカットしてなる傾斜面214a(第2の傾斜面)を有し、先端で半導体パッケージ100のリード101と接触する接触部214と、を有する。
【0021】
延在部213は、円柱の側面の一部を長手方向に沿って平面状にカットしてなる平面部213aを有し、長手方向と直交する平面を切断面とする断面がD字状をなす。
【0022】
第2プランジャ22は、先細な先端形状を有する先端部22aと、先端部22aの基端側から延び、先端部22aの径と比して大きい径を有するフランジ部22bと、フランジ部22bの先端部22aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21cの径と略同一の径を有するボス部22cと、ボス部22cのフランジ部22bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21c,22cの径と略同一の径を有する基端部22dとを同軸上に有する。この第2プランジャ22は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね23の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。なお、第2接触部は、先端部22aとフランジ部22bとに対応する。
【0023】
コイルばね23は、第1プランジャ21側がボス部21cの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部23aである一方、第2プランジャ22側が基端部22dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部23bである。密着巻き部23aの端部は、例えばボス部21cと略等しい内径の場合、ボス部21cに圧入されて、フランジ部21bに当接している。一方、粗巻き部23bの端部は、ボス部22cに圧入され、フランジ部22bに当接している。なお、コイルばね23は、密着巻き部23aおよび粗巻き部23bの内径が、同一の内径で巻回されていることが好ましい。このとき、第1プランジャ21および第2プランジャ22とコイルばね23とは、半田付けによって接合されていてもよい。
【0024】
コイルばね23に用いられる線材は、所定荷重が加わったときの粗巻き部23bの縮み量が、初期荷重が加わったとき、例えば、プローブ2aがプローブホルダ3に収容された状態における基端部22dと密着巻き部23aとの最短距離より大きくなるようなばね特性(ストローク)を有する導電性の金属が用いられる。このばね特性を有するコイルばね23を用いることによって、プローブ2aに所定荷重を加えた場合に基端部22dを密着巻き部23a内に摺接させ、基端部22dと密着巻き部23aとの間の電気的導通が可能となる。
【0025】
プローブホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、
図2の上面側に位置する第1部材31と下面側に位置する第2部材32とが積層されてなる。第1部材31および第2部材32には、複数のプローブ2aを収容するための長孔33、ホルダ孔34およびホルダ孔35からなる保持部が形成されている。長孔33、ホルダ孔34およびホルダ孔35の形成位置は、半導体パッケージ100の配線パターンに応じて定められる。
【0026】
図4は、本実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す図である。長孔33は、プローブホルダ3の上端面に開口を有し、プローブ群2の配設方向に沿って延びている。また、長孔33は、開口における該長孔33の長手方向と直交する幅方向の長さ(長手方向および第1部材31の積層方向に直交する方向の長さ)が、プローブ群2における各プローブ2aの延在部213間の距離と略同一となるように形成されている。ここで、延在部213間の距離とは、各延在部213の平面部213a間の距離のことをいう。
【0027】
ホルダ孔34および35は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔34は、長孔33に連なる開口を有する小径部34aと、この小径部34aよりも径が大きい大径部34bと、からなる。小径部34aは、先端部21aの基部211の径と比して若干大きい径である。また、大径部34bは、フランジ部21bの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径である。
【0028】
他方、ホルダ孔35は、プローブホルダ3の下端面に開口を有する小径部35aと、この小径部35aよりも径が大きい大径部35bとからなる。小径部35aは、先端部22aと比して若干大きい径である。また、大径部35bは、フランジ部22bの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径である。これらのホルダ孔34および35の形状は、収容するプローブ2aの構成に応じて定められる。ホルダ孔34および35は、互いの軸線が一致するように形成されている。
【0029】
第1プランジャ21のフランジ部21bは、ホルダ孔34の小径部34aと大径部34bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2aのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、ホルダ孔35の小径部35aと大径部35bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2aのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第1プランジャ21では、延在部213における平面部213aが長孔33の内部壁面に当接して支持されることによって、接触部214の先端位置が位置決めされる。一つの長孔33を形成することによって、複数のプローブ群2の各プローブ2aの先端位置を一括して位置決めすることができる。
【0030】
プローブ群2は、各プローブ2aが長孔33およびホルダ孔34,35によって収容された際、第1プランジャ21の接触部214の先端間の距離d1と、第2プランジャ22の先端部22aの先端間の距離d2とが異なっている。このように、接触対象のピッチに応じて、第1プランジャ21のピッチと、第2プランジャ22のピッチとを異ならせて、それぞれの接触対象と接触させることができる。
【0031】
図5は、プローブホルダ3を用いた半導体集積回路の検査時の状態を示す図である。半導体集積回路の検査時には、半導体パッケージ100からの接触荷重により、コイルばね23は長手方向に沿って圧縮された状態となる。コイルばね23が圧縮されると、
図5に示すように、第2プランジャ22の基端部22dは、密着巻き部23a内に進入し、密着巻き部23aの内周側と摺接する。この際には、第2プランジャ22の軸線が大きくぶれることはないため、基端部22dと密着巻き部23aの内周との摺接が安定するとともに、密着巻き部23aがわずかに蛇行するため、基端部22dとコイルばね23との接触抵抗が安定し、確実な導通が得られる。
【0032】
検査時に回路基板200から半導体集積回路に供給される検査用信号は、回路基板200の電極201,202からそれぞれプローブ2aを経由して半導体パッケージ100のリード101へ到達する。具体的には、プローブ2aにおいて、第2プランジャ22、密着巻き部23a、第1プランジャ21を経由して半導体パッケージ100のリード101へ到達する。このように、プローブ2aでは、第1プランジャ21と第2プランジャ22とが密着巻き部23aを介して導通するため、電気信号の導通経路を最小にすることができる。したがって、検査時に粗巻き部23bに信号が流れるのを防止し、インダクタンスの低減および安定化を図ることができる。なお、二つの電極201,202は、例えば、電極201が測定用の電極(Sense)であって、電極202が送電用の電極(Force)である。
【0033】
また、接触部214の先端が先細に形成されているため、リード101の表面に酸化皮膜が形成されている場合であっても酸化皮膜を突き破り、接触部214の先端をリード101と直接接触させることができる。
【0034】
次に、第1プランジャ21の先端部21aの製造方法について説明する。
図6〜8は、本実施の形態にかかるプローブユニットのプランジャの製造方法を説明する図である。まず、先端部21aとなる円柱状の母材210の先端に、先端が錘状をなす切削部材300を回転させた状態で当接させることによって切削加工する(
図6参照)。このとき、母材210の中心軸と切削部材300の先端を通過する軸とが一致した状態で接触させるとともに、この軸と直交する方向に切削部材300を動かすことによって切削加工が施される。この切削加工により、先端が凹状をなす加工母材210aを得る(
図7参照)。
【0035】
その後、加工母材210aに対して、切削部材300の先端を通過する軸が、加工母材210aの側面を通過する位置で同様の切削加工を施す。なお、本実施の形態では、切削部材300の先端を通過する軸が、加工母材210aの側面と一致した位置で加工処理を行う。この切削加工により、上述した基部211、傾斜部212、延在部213および接触部214を有し、側面視で段つき形状をなす先端部21aを得ることができる(
図8参照)。なお、切削部材300の先端を通過する軸が、加工母材210aの側面より外の位置で加工処理を行ってもよい。
【0036】
上述した切削加工によって得られた先端部21aは、先端部21a(基部211)の中心軸(長手方向)に対する傾斜部212の傾斜面212aの傾斜角度と接触部214の傾斜面214aの傾斜角度とが等しい。なお、加工母材210aの長手方向に対する延在部213の形成長さは、少なくとも半導体パッケージ100の検査時に、第1プランジャ21がプローブホルダ3に対して進退動作する長さ以上であればよい。
【0037】
上述した実施の形態1によれば、長孔33が形成されたプローブホルダ3に対し、プローブ群2を構成する2つのプローブ2aが、ホルダ孔34,35に保持されるとともに、各先端部21aにおける延在部213の平面部213aと長孔33の内部壁面とを当接させて接触部214の先端を位置決めするようにしたので、プローブ群2におけるプローブ2aの位置決め精度を維持するとともに、簡易な構成によってプローブ2aを保持することができる。また、長孔33の開口の径を調整するのみで、プローブ2aの先端部214の位置決めを行えるため、プローブ2aを保持する保持部を容易に形成することができる。
【0038】
また、上述した実施の形態1によれば、先端部21aが、断面がD字状にカットされた延在部213を、円柱状をなす基部211によって支持するようにしたので、先端部21aをDカットして細径化した場合であっても、基部211により先端部21aの強度を維持するとともに、電気信号の導通にかかる先端部21aの断面積を確保することができる。これにより、半導体パッケージ100からの荷重に対する第1プランジャ21の強度を確保して、リード101との安定接触を実現するとともに、繰り返し使用することによる先端部21aの変形(曲がり)を抑制することができる。また、基部211により断面積を確保することで、D字カットしていない先端部と比して、第1プランジャ21の固有抵抗や高周波特性の低下を抑制し、安定した電気信号の伝送を実現することができる。
【0039】
また、上述した実施の形態1によれば、同一の切削部材で加工することによって、先端部21aの中心軸に対する傾斜部212の傾斜面212aの傾斜角度と接触部214の傾斜面214aの傾斜角度とが等しくなるようにしたので、電気信号の導通にかかる先端部21aの断面積を確保できる第1プランジャ21を容易に作製することができる。
【0040】
(実施の形態1の変形例)
図9は、本実施の形態1の変形例にかかるプローブユニットのプランジャの構成を示す図である。上述した実施の形態1では、先端部21aの接触部214の先端が先細に形成された一つの先鋭端を有するものとして説明したが、本変形例のように、先端部21eの接触部215が、二つの先鋭端を有するものであってもよい。
【0041】
図9に示す先端部21eは、上述した基部211、傾斜部212および延在部213と、延在部213の傾斜部212に連なる側と異なる端部から延びるとともに、延在部213の長手方向に対して斜めにカットしてなる傾斜面215a(第2の傾斜面)、および先端で半導体パッケージ100のリード101と接触する二つの先鋭端215b,215cを有する接触部215と、を有する。
【0042】
傾斜面215aは、上述した接触部214と同様、切削部材300により形成される。すなわち、先端部21e(基部211)の中心軸に対する傾斜面215aの傾斜角度は、傾斜部212の傾斜面212aの傾斜角度と等しい。また、二つの先鋭端215b,215cは、傾斜面215aと同一の切削部材300により形成され、それぞれが先細な形状をなす。この場合、二つの先鋭端215b,215cの対向する壁面がなす角度は、傾斜部212の傾斜面212aの傾斜角度(傾斜面215aの傾斜角度)の二倍となる。また、先鋭端215b,215cの先端間の距離は、リード101の距離(先鋭端215b,215cの先端間の距離と同一方向の距離)より小さくなるように形成される。先鋭端215b,215cの先端間の距離は、切削部材300による加工深さ(中心軸方向の距離)を調節することにより調整可能である。
【0043】
変形例にかかる先端部21eにおいても、平面部213aが長孔33の内部壁面と当接して配設されることによって、接触部215の先端の位置を位置決めすることができる。
【0044】
また、変形例にかかる先端部21eは、二つの先鋭端215b,215cによりリード101と接触する。このとき、先鋭端215b,215cとリード101と接触は、リード101の主面に対して二つの先鋭端215b,215cによる二点接触となる。このため、先端部21eは、先端部21aと比して、半導体パッケージ100による接触荷重に対しリード101との接触状態を一段と安定させることができる。
【0045】
また、変形例によれば、同一の切削部材300によって傾斜面215aおよび先鋭端215b,215cを形成するようにしたので、第1プランジャを容易に作製することができる。
【0046】
なお、本変形例にかかる先端部21eにおいて、先鋭端215b,215cを切削部材300によりさらに切削して、四つ以上の先鋭端を有するものとしてもよい。
【0047】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。なお、
図1等で上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。上述した実施の形態1では、第1プランジャ21を交換する際、プローブホルダ3からプローブ2全体を取り出すものとなるが、本実施の形態2では、第1プランジャ21のみを交換する。
【0048】
本実施の形態2にかかるプローブユニットは、上述したプローブ2aおよびプローブホルダ3に代えてプローブ2bおよびプローブホルダ5を有する。プローブ2bは、半導体集積回路の検査を行なうときにその半導体パッケージ100のリード101に接触する第1プランジャ24と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ24と第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ24および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23とを備える。
【0049】
プローブ2bを構成する第1プランジャ24および第2プランジャ22、ならびにコイルばね23は同一の軸線を有している。プローブ2bは、半導体パッケージ100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体パッケージ100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体パッケージ100および回路基板200に荷重を加える。
【0050】
第1プランジャ24は、先細な先端形状をなす先端部24aと、先端部24aの基端側から延び、先端部24aの径と比して大きい径を有するフランジ部24bと、フランジ部24bの先端部24aに連なる側と異なる端部から略柱状に延び、フランジ部24bの径と比して小さい径を有する基端部24cとを略同軸上に有する。
【0051】
先端部24aは、フランジ部24bの基端部24cに連なる側と異なる側の端部から略円柱状をなして延びる基部241と、基部241のフランジ部24bに連なる側と異なる端部から延びるとともに、基部241の長手方向を斜めにカットしてなる傾斜面242a(第1の傾斜面)を有する傾斜部242と、傾斜部242の基部241に連なる側と異なる端部から延びる延在部243と、延在部243の傾斜部242に連なる側と異なる端部から延びるとともに、延在部243の長手方向に対して斜めにカットしてなる傾斜面244a(第2の傾斜面)を有し、先端で半導体パッケージ100のリード101と接触する接触部244と、を有する。
【0052】
延在部243は、円柱の側面の一部を長手方向に沿って平面状にカットしてなる平面部243aを有し、長手方向と直交する平面を切断面とする断面がD字状をなす。
【0053】
プローブホルダ5は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、
図10の上面側に位置する第1部材51と下面側に位置する第2部材52とが着脱自在に積層されてなる。また、第1部材51は、
図10の上面側に位置する第1積層部材511と下面側に位置する第2積層部材512とが積層されてなる。
【0054】
第1部材51および第2部材52には、複数のプローブ2bを収容するための長孔513、ホルダ孔514、ホルダ孔515およびホルダ孔521からなる保持部が形成されている。長孔513、ホルダ孔514、ホルダ孔515およびホルダ孔521の形成位置は、半導体パッケージ100の配線パターンに応じて定められる。
【0055】
長孔513は、第1部材51に形成され、プローブホルダ5の上端面に開口を有し、プローブ群の配設方向に沿って延びている。また、長孔513は、開口における長孔513の長手方向と直交する幅方向の長さ(長手方向および第1部材51の積層方向に直交する方向の長さ)が、各プローブ2bの延在部243間の距離と略同一となるように形成されている。ここで、延在部243間の距離とは、各延在部243の平面部243a間の距離のことをいう。
【0056】
ホルダ孔514および515は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔514は、長孔513に連なる開口を有する小径部514aと、この小径部514aよりも径が大きい大径部514bと、からなる。小径部514aは、先端部24aの基部241の径と比して若干大きい径である。また、大径部514bは、フランジ部24bの径と比して若干大きい径である。
【0057】
他方、ホルダ孔515は、第1部材51の下端面に開口を有する小径部515aと、この小径部515aよりも径が大きい大径部515bとからなる。小径部515aは、基端部24cの径と比して若干大きい径である。また、大径部515bは、フランジ部24bの径と比して若干大きい径である。これらのホルダ孔514および515の形状は、収容するプローブ2bの構成に応じて定められる。ホルダ孔514および515は、互いの軸線が一致するように形成されている。
【0058】
また、ホルダ孔521は、プローブホルダ5の下端面に開口を有する小径部521aと、この小径部521aよりも径が大きい大径部521bとからなる。小径部521aは、先端部22aと比して若干大きい径である。また、大径部521bは、フランジ部22bの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径である。
【0059】
第1プランジャ24のフランジ部24bは、ホルダ孔514の大径部514bとホルダ孔515の大径部515bとが形成する中空空間で保持されるとともに、小径部514aと大径部514bとの境界壁面、または小径部515aと大径部515bとの境界壁面に当接することにより、第1プランジャ24の第1部材51からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、ホルダ孔521の小径部521aと大径部521bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2bのプローブホルダ5からの抜止機能を有する。
【0060】
また、第1プランジャ24では、延在部243における平面部243aが長孔513の内部壁面に当接して支持されることによって、接触部244の先端位置が位置決めされる。一つの長孔513を形成することによって、複数のプローブ群の各プローブ2bの先端位置を一括して位置決めすることができる。
【0061】
ここで、本実施の形態2では、第1部材51と第2部材52とが着脱自在に設けられており、第1プランジャ24の基端部24cと密着巻き部23aとは、上述した実施の形態1のボス部21cと密着巻き部23aとのような圧入による連結ではなく、当接により連結して電気的な導通を確保している。
【0062】
したがって、第1プランジャ24を交換する場合は、第2部材52から第1部材51を取り外し、交換対象の第1プランジャ24を保持した第1部材51を第2部材52に新たに取り付けることによって、容易に第1プランジャ24の交換を行うことができる。
【0063】
なお、第1部材51と第2部材52とを所定の配置で容易に取り付けるために、例えば、第1部材51および第2部材52の対向面において、一方の面に凸状の突起を設け、他方の面に突起と嵌合可能な凹状の穴を設けることによって位置決めできることが好ましい。
【0064】
上述した実施の形態2によれば、第1部材51に長孔513が形成されたプローブホルダ5に対し、プローブ群を構成する2つのプローブ2bが、ホルダ孔514、ホルダ孔515およびホルダ孔521に保持されるとともに、各先端部24aにおける延在部243の平面部243aと長孔513の内部壁面とを当接させて接触部244の先端を位置決めするようにしたので、プローブ群におけるプローブ2bの位置決め精度を維持するとともに、簡易な構成によってプローブ2bを保持することができる。また、長孔513の開口の径を調整するのみで、プローブ2bの先端部244の位置決めを行えるため、プローブ2bを保持する保持部を容易に形成することができる。
【0065】
また、上述した実施の形態2によれば、第2部材52と着脱自在に積層される第1部材51が、第1プランジャ24を保持しているため、第1部材51を取り替えるのみで第1プランジャ24の交換を容易に行うことができる。
【0066】
(実施の形態2の変形例)
図11は、本発明の実施の形態2の変形例にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。本変形例にかかるプローブユニットは、上述したプローブ2aおよびプローブホルダ3に代えてプローブ2cおよびプローブホルダ5aを有する。プローブ2cは、半導体集積回路の検査を行なうときにその半導体パッケージ100のリード101に接触する第1プランジャ25と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ25と第2プランジャ22との間に設けられる連結部材26と、第2プランジャ22と連結部材26との間に設けられて第2プランジャ22および連結部材26を伸縮自在に連結するコイルばね23とを備える。
【0067】
プローブ2cを構成する第1プランジャ25および第2プランジャ22、連結部材26ならびにコイルばね23は同一の軸線を有している。プローブ2cは、半導体パッケージ100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体パッケージ100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体パッケージ100および回路基板200に荷重を加える。
【0068】
第1プランジャ25は、先細な先端形状をなす先端部25aと、先端部25aの基端側から延び、先端部25aの径と比して大きい径を有するフランジ部25bと、フランジ部25bの先端部25aに連なる側と異なる端部から略柱状に延び、フランジ部25bの径と比して小さい径を有する基端部25cとを略同軸上に有する。
【0069】
先端部25aは、フランジ部25bの基端部25cに連なる側と異なる側の端部から略円柱状をなして延びる基部251と、基部251のフランジ部25bに連なる側と異なる端部から延びるとともに、基部251の長手方向を斜めにカットしてなる傾斜面252a(第1の傾斜面)を有する傾斜部252と、傾斜部252の基部251に連なる側と異なる端部から延びる延在部253と、延在部253の傾斜部252に連なる側と異なる端部から延びるとともに、延在部253の長手方向に対して斜めにカットしてなる傾斜面254a(第2の傾斜面)を有し、先端で半導体パッケージ100のリード101と接触する接触部254と、を有する。
【0070】
延在部253は、円柱の側面の一部を長手方向に沿って平面状にカットしてなる平面部253aを有し、長手方向と直交する平面を切断面とする断面がD字状をなす。
【0071】
連結部材26は、導電性材料を用いて形成され、先細な先端形状をなす先端部26aと、先端部26aの基端側から延び、先端部26aの径と比して大きい径を有するフランジ部26bと、フランジ部26bの先端部26aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部26bの径と比して小さい径を有するボス部26cと、ボス部26cのフランジ部26bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部26cの径と略同一の径を有する基端部26dとを略同軸上に有する。
【0072】
コイルばね23は、第1プランジャ25側が基端部25cの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部23aである一方、第2プランジャ22側が基端部22dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部23bである。密着巻き部23aの端部は、例えばボス部25cと略等しい内径の場合、ボス部25cに圧入されて、フランジ部25bに当接している。
【0073】
プローブホルダ5aは、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、
図10の上面側に位置する第1部材53と下面側に位置する第2部材54とが着脱自在に積層されてなる。また、第1部材53は、
図10の上面側に位置する第1積層部材531と下面側に位置する第2積層部材532とが積層されてなる。第2部材54は、
図10の上面側に位置する第1積層部材541と下面側に位置する第2積層部材542とが積層されてなる。
【0074】
第1部材53および第2部材54には、複数のプローブ2cを収容するための長孔533、ホルダ孔534、ホルダ孔535、ホルダ孔543およびホルダ孔544からなる保持部が形成されている。長孔533、ホルダ孔534、ホルダ孔535、ホルダ孔543およびホルダ孔544の形成位置は、半導体パッケージ100の配線パターンに応じて定められる。
【0075】
長孔533は、第1部材53に形成され、プローブホルダ5aの上端面に開口を有し、プローブ群の配設方向に沿って延びている。また、長孔533は、開口における長孔533の長手方向と直交する幅方向の長さ(長手方向および第1部材53の積層方向に直交する方向の長さ)が、各プローブ2cの延在部253間の距離と略同一となるように形成されている。ここで、延在部253間の距離とは、各延在部253の平面部253a間の距離のことをいう。
【0076】
ホルダ孔534および535は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔534は、長孔533に連なる開口を有する小径部534aと、この小径部534aよりも径が大きい大径部534bと、からなる。小径部534aは、先端部25aの基部251の径と比して若干大きい径である。また、大径部534bは、フランジ部25bの径と比して若干大きい径である。
【0077】
他方、ホルダ孔535は、第2積層部材532の上端面から下端面に向けて貫通している。ホルダ孔535は、基端部25cの径と比して若干大きい径である。これらのホルダ孔534および535の形状は、収容するプローブ2cの構成に応じて定められる。ホルダ孔534および535は、互いの軸線が一致するように形成されている。
【0078】
第1プランジャ25のフランジ部25bは、ホルダ孔534の大径部534bと、第2積層部材532の上端面とによって形成される中空空間で保持されるとともに、小径部534aと大径部534bとの境界壁面、または大径部534bと第2積層部材532の上端面との境界壁面に当接することにより、第1プランジャ25の第1部材53からの抜止機能を有する。
【0079】
また、第1プランジャ25では、延在部253における平面部253aが長孔533の内部壁面に当接して支持されることによって、接触部254の先端位置が位置決めされる。一つの長孔533を形成することによって、複数のプローブ群の各プローブ2cの先端位置を一括して位置決めすることができる。
【0080】
ホルダ孔543および544は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔543は、第2部材54の上端面に開口を有する小径部543aと、この小径部543aよりも径が大きい大径部543bと、からなる。小径部543aは、先端部26aの径と比して若干大きい径である。また、大径部543bは、フランジ部26bの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径である。また、小径部543aの貫通方向の長さは、先端部26aの長手方向の長さよりも短い。
【0081】
他方、ホルダ孔544は、プローブホルダ5aの下端面に開口を有する小径部544aと、この小径部544aよりも径が大きい大径部544bとからなる。小径部544aは、先端部22aと比して若干大きい径である。また、大径部544bは、フランジ部22bの径および/またはコイルばね23の径と比して若干大きい径である。これらのホルダ孔543および544の形状は、収容するプローブ2cの構成に応じて定められる。ホルダ孔543および544は、互いの軸線が一致するように形成されている。
【0082】
連結部材26のフランジ部26bは、ホルダ孔543の小径部543aと大径部543bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2cの第2部材54からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、ホルダ孔544の小径部544aと大径部544bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2cの第2部材54からの抜止機能を有する。本変形例では、少なくともフランジ部26bが小径部543aと大径部543bとの境界壁面に当接している状態で、先端部26aが第1積層部材541の上面から突出している。
【0083】
ここで、本変形例では、第1部材53と第2部材54とが着脱自在に設けられており、第1プランジャ25の基端部25cと連結部材26とは、上述した実施の形態1のボス部21cと密着巻き部23aとのような圧入による連結ではなく、当接により連結して電気的な導通を確保している。
【0084】
したがって、第1プランジャ25を交換する場合は、第2部材54から第1部材53を取り外し、交換対象の第1プランジャ25を保持した第1部材53を第2部材54に新たに取り付けることによって、容易に第1プランジャ25の交換を行うことができる。
【0085】
上述した変形例によれば、第1部材53に長孔533が形成されたプローブホルダ5aに対し、プローブ群を構成する2つのプローブ2cが、ホルダ孔534、ホルダ孔535、ホルダ孔543およびホルダ孔544に保持されるとともに、各先端部25aにおける延在部253の平面部253aと長孔533の内部壁面とを当接させて接触部254の先端を位置決めするようにしたので、プローブ群におけるプローブ2cの位置決め精度を維持するとともに、簡易な構成によってプローブ2cを保持することができる。また、長孔533の開口の径を調整するのみで、プローブ2cの先端部254の位置決めを行えるため、プローブ2cを保持する保持部を容易に形成することができる。
【0086】
また、上述した変形例2−1によれば、第2部材54と着脱自在に積層される第1部材53が、第1プランジャ25を保持しているため、第1部材53を取り替えるのみで第1プランジャ25の交換を容易に行うことができる。
【0087】
また、上述した変形例2−1によれば、第1部材53を第2部材54に積層する際、コイルばね23により先端部26aが第1積層部材541の上面から突出しているため、この先端部26aがホルダ孔535に挿入する。このとき、先端部26aが第1部材53を第2部材54に積層する際の位置決めピンの役割を担うため、容易に第1部材53を第2部材54に積層することができる。
【0088】
なお、上述した実施の形態2および変形例2−1にかかる接触部244,254の形状は、上述した変形例1−1のような複数の先鋭端を有するものであってもよい。
【0089】
なお、上述した実施の形態1,2において、各フランジ部の各先端部側の端部およびホルダ孔の大径部と小径部との各境界壁面がテーパ状をなすものであってもよい。これにより、プローブをホルダに取り付けた場合のプローブの軸線方向と垂直な方向の位置決めを一段と確実に行うことができる。
【0090】
また、第2接触部は、先端部22aおよびフランジ部22bであるものとして説明したが、
図1に示すようなプローブユニット1の一部として取り付けられる場合、第2接触部は、フランジ部22bのみの構成としてフランジ部22bの先端部で電極と接触するものであってもよい。
【0091】
また、プローブ群2に用いられるプローブ2aは、長孔33の内部壁面に当接させて先端の位置決めを行うことができれば、上述したプランジャとコイルばねで構成されるものに限らず、上述した先端部を有するポゴピン、またはワイヤーを弓状に撓ませて荷重を得るワイヤープローブでもよい。プローブ2b,2cにおいても、第1プランジャ24,25と当接する第2プランジャ22、コイルばね23、連結部材26に代えて、ポゴピンやワイヤープローブとしてもよい。また、接続用電極は、リード101のような平板状をなすもののほか、半球状をなすものであってもよい。