(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367252
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】重み付けアイアンセット
(51)【国際特許分類】
A63B 53/00 20150101AFI20180723BHJP
A63B 53/04 20150101ALI20180723BHJP
【FI】
A63B53/00 A
A63B53/04 E
【請求項の数】1
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-24471(P2016-24471)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-179172(P2016-179172A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】14/626,531
(32)【優先日】2015年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】マーニ イネ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ヘブレオ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル イー. フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨシュア シー. ストークス
【審査官】
鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−142233(JP,A)
【文献】
特開平08−024373(JP,A)
【文献】
特開2006−231064(JP,A)
【文献】
特開2006−025935(JP,A)
【文献】
特開平06−335538(JP,A)
【文献】
特開平10−277186(JP,A)
【文献】
特開2014−000410(JP,A)
【文献】
特開2012−065803(JP,A)
【文献】
特開2009−291488(JP,A)
【文献】
特開2014−004367(JP,A)
【文献】
特開平11−319158(JP,A)
【文献】
米国特許第5833551(US,A)
【文献】
米国特許第5333872(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゴルフクラブ、第2のゴルフクラブ、および第3のゴルフクラブを少なくとも有するゴルフクラブセットにおいて、
ブレード長は、ホーゼル軸および地面の交点と、トウ端部との間の水平方向の長さとして定義され、ホーゼル長は、上記ホーゼル軸および上記地面の上記交点と、上記ホーゼルの上側端部との間の長さとして定義され、スコアライン幅は、複数のスコアラインを有するスコアライン領域のトウ側端部と上記スコアライン領域のヒール側端部との間の水平方向の長さとして定義され、スコアライン・トウ幅は、上記トウ端部と上記スコアライン領域の上記トウ側端部との間の水平方向の長さとして定義され、
上記第1、第2、および第3のクラブヘッドは、各々、ヒール、トウ、上側表面、下側表面、ホーゼル、およびフェース中心を具備する前面フェースを有し、
上記第1のゴルフクラブは、第1のフェースインサート開口および第1の空洞を含む第1のクラブヘッド本体と、上記第1のフェースインサート開口に結合されて上記第1の空洞を包囲する第1のフェースインサートとを有し、上記第1のクラブヘッド本体および上記第1のフェースインサートはスチールにより形成され、上記第1のクラブヘッド本体の重量は110グラムから120グラムであり、上記第1のフェースインサートの重量は30グラムから45グラムであり、上記第1の空洞に第1のトウウエイト部材および第1のヒールウエイト部材が設けられ、上記第1のトウウエイト部材の重量が35グラムから55グラムであり、上記第1のヒールウエイトと部材の重量が30グラムから35グラムであり、
上記第2のゴルフクラブは、第2のフェースインサート開口および第2の空洞を含む第2のクラブヘッド本体と、上記第2のフェースインサート開口に結合されて上記第2の空洞を包囲する第2のフェースインサートとを有し、上記第2のクラブヘッド本体および上記第2のフェースインサートはスチールにより形成され、上記第2のクラブヘッド本体の重量は115グラムから145グラムであり、上記第2のフェースインサートの重量は30グラムから45グラムであり、上記第2の空洞に第2のトウウエイト部材および第2のヒールウエイト部材が設けられ、上記第2のトウウエイト部材の重量が50グラムから70グラムであり、上記第2のヒールウエイトと部材の重量が35グラム以下であり、
上記第1のゴルフクラブは、15から25度の間の第1のロフト角(LA1)、第1のブレード長、第1のホーゼル長、第1のスコアライン幅、および第1のスコアライン・トウ幅を有し、
上記第2のゴルフクラブは、26から35度の間の第2のロフト角(LA2)、第2のブレード長、第2のホーゼル長、第2のスコアライン幅、および第2のスコアライン・トウ幅を有し、
上記第3のゴルフクラブは、36度またはそれ以上の第3のロフト角(LA3)、第3のブレード長、第3のホーゼル長、第3のスコアライン幅、および第3のスコアライン・トウ幅を有し、
上記第1、第2、および第3のブレード長はほぼ一定であり、上記第2のホーゼル長は上記第1のホーゼル長より大きく、上記第3のホーゼル長は上記第2のホーゼル長より大きく、
上記第2のスコアライン幅は上記第1のスコアライン幅より小さく、上記第3のスコアライン幅は上記第2のスコアライン幅より小さく、
上記第2のスコアライン・トウ幅は上記第1のスコアライン・トウ幅より大きく、
上記第3のスコアライン・トウ幅は上記第2のスコアライン・トウ幅より大きいことを特徴とするゴルフクラブセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は全般的にはアイアンゴルフクラブのセットに関し、より具体的には重要なタングステン重み付けを有するアイアンゴルフクラブのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
「アイアン」ゴルフクラブの慣用的なセットにおいては、クラブの各々は、クラブヘッドを一端に結合させ、グリップを他端に結合させるシャフトを含む。クラブヘッドはゴルフボールを打撃するためのフェースを含む。フェースと鉛直面との間の角度は「ロフト」と呼ばれる。一般的に、セット中のゴルフクラブのロフトが大きくなると、ゴルフボールを打撃したときの打ち上げ角度が大きくなり、距離が短くなる。
【0003】
アイアンのセットは一般的には3番から9番として指定される個別のアイアンとピッチングウェッジとを含む。アイアンセットは一般的には、ロブウェッジ、ギャップウェッジ、および/またはサンドウェッジのような一連のウェッジによって補完される。セットは1番アイアンおよび2番アイアンを含んで良いけれども、一般的には、これらのクラブはセットと別に販売される。クラブの長さは、クラブヘッドのロフトおよび重心とともに、衝撃時のボール打ち上げ条件に種々の性能特性を付与する。ボールの初期軌道は、衝突点と、軌道の頂点すなわちピークとの間を延びる。一般的に、3番アイアンのようなロングアイアンのボール軌道は、打ち上げ角度が小さくクラブから離れるときのボール速度が大きいので、より突き刺さるような、かつ、低い軌道である。8番アイアンのようなショートアイアン、またはピッチングウェッジは、ロングアイアンで打撃されたボールの軌道に較べて、実質的に急勾配で、突き刺すようでない軌道をもたらす。ロングアイアンのボール飛行の最高点は、ショートアイアンのボール飛行の最高点より低い。5番アイアンのようなミッドアイアンは、ロングアイアンおよびショートアイアンによって打撃されたボールで示される初期軌道の間の初期軌道をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
この発明はゴルフクラブセットに向けられており、このゴルフクラブセットは、ロフトが約15から25度の第1のクラブヘッド(ロングアイアン)、ロフトが約26から約35度の第2のクラブヘッド(ミッドアイアン)、およびロフトが36度またはそれ以上の第3のクラブヘッド(ショートアイアン)を少なくとも有する。このセットにおいて、上記第1、第2、および第3のクラブヘッドは、各々、ヒール、トウ、トップライン、ソール、ホーゼル、およびフェース中心を具備する前面フェースを有する。各クラブヘッドは、先行するクラブヘッドに較べて少なくとも5グラムだけ異なる重量を有する。さらに当該セットは、タングステンヒール部材およびタングステントウ部材を含み、上記タングステンヒール部材およびタングステントウ部材の合計重量が上記クラブヘッドの重量の50%より大きい少なくとも1つのゴルフクラブを含む。より好ましくは、ロングアイアンおよびミッドアイアンの各々はゴルフクラブ重量の少なくとも50%をなすタングステンウエイト部材を有する。
【0005】
また、この発明は、アイアンセットに向けられ、このアイアンセットにおいて、ロングアイアンおよびミッドアイアンは各々タングステンヒール部材およびタングステントウ部材を具備し、上記タングステンヒール部材および上記タングステントウ部材はあわせて135グラムまたはそれ以上の重量を有する。好ましくは、ロングアイアンおよびミッドアイアンはチタンおよびタングステンから構成され、上記タングステンの部分は上記クラブヘッドの体積の25%より多くの部分を形成する。好ましくは、ショートアイアンはチタンおよびスチール部分から構成され、上記スチール部分は上記クラブヘッドの重量の50%および70%の間の重量をなす。
【0006】
この発明はゴルフクラブセットに向けられ、このゴルフクラブセットは、ロフトが約15から25度の第1のクラブヘッド、ロフトが約26から約35度の第2のクラブヘッド、およびロフトが36度またはそれ以上の第3のクラブヘッドを少なくとも有し、各クラブヘッドは先行するクラブヘッドのクラブヘッド重量に較べて少なくとも5グラム異なるクラブヘッド重量を有し、上記クラブヘッドの少なくとも1つが、スチール本体部材およびスチールフェースインサートを有し、上記スチール本体部材および上記スチールフェースインサートの重量があわせて上記クラブヘッド総重量の75%より少ない。好ましくは、当該クラブヘッドがタングステンヒール部材およびタングステントウ部材を有し、上記タングステンヒール部材および上記タングステントウ部材の重量があわせて上記クラブヘッド重量の25%より大きい。より好ましくは、上記タングステンヒール部材および上記タングステントウ部材はあわせて70グラムまたはそれ以上の重量を有する。
【0007】
この発明の好ましい実施例において、ロングアイアンおよびミッドアイアンはスチールおよびタングステンを有し、上記タングステンの部分は上記クラブヘッドの実体積の少なくとも約20%を形成する。さらに、少なくとも1つのショートアイアンは、スチールおよびタングステンを有し、上記タングステンの部分は上記クラブヘッドの重量の少なくとも約20%を有して良い。
【0008】
この発明は、また、第1のブレード長、第1のホーゼル長、および第1のスコアライン幅を具備するロングアイアン、第2のブレード長、第2のホーゼル長、および第2のスコアライン幅を具備するミッドアイアン、並びに、第3のブレード長、第3のホーゼル長、および第3のスコアライン幅を具備するショートアイアンを少なくとも有するゴルフクラブセットを実現し、ここで、ブレード長はほぼ一定であり、第2のホーゼル長は第1のホーゼル長より大きく、第3のホーゼル長は第2のホーゼル長より大きい。また、第2のスコアライン幅は好ましくは第1のスコアライン幅より小さく、第3のスコアライン幅は第2のスコアライン幅より小さい。好ましい実施例において、ロングアイアンは第1のトウ高さを具備し、ミッドアイアンは第1のトウ高さより大きな第2のトウ高さを具備し、ショートアイアンは第2のトウ高さより大きな第3のトウ高さを具備する。さらに、ロングアイアンは第1のソール幅を具備し、ミッドアイアンは第1のソール幅より小さな第2のソール幅を具備し、ショートアイアンは第2のソール幅より小さな第3のソール幅を具備して良い。
【0009】
この発明の好ましい実施例において、ロングアイアンは第1のタングステントウ部材を具備し、ミッドアイアンは第1のタングステントウ部材より重量が大きな第2のタングステントウ部材を具備し、ショートアイアンは第2のタングステントウ部材より重量が大きな第3のタングステントウ部材を具備する。これと逆に、好ましい実施例において、ロングアイアンは第1のタングステンヒール部材を具備し、ミッドアイアンは第1のタングステンヒール部材より重量が小さな第2のタングステンヒール部材を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】この発明の他の実施例に従うロングアイアンの正面図である。
【
図4】この発明に従うロングアイアンの本体部材の正面図である。
【
図5】この発明に従うミッドアイアンの本体部材の正面図である。
【
図6】この発明に従うショートアイアンの本体部材の正面図である。
【
図7】この発明に従う他の実施例のショートアイアンの本体部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面に図説され以下に検討されるように、この発明は、改良された、アイアンタイプのゴルフクラブのセットに向けられており、ここでは、クラブはゴルフクラブヘッドの質量の重要部分を構成するタングステンウエイトを具備する。
【0012】
図1および
図2を参照すると、アイアン10はヒール12、トウ14、ホーゼル16、バックキャビティ18、トップライン20、およびソール22を具備する。アイアンは、2つの主たる部品、すなわち、本体24およびウエイト部材26から成る。アイアンは、ホーゼル軸
32およびフェース
中心FCを含む。本体24はチタン、または、より好ましくは、チタン合金から形成される。少なくともロングアイアンおよびミッドアイアンについては、ウエイト部材はトウウエイト部材28およびヒールウエイト部材30を含み、これらは、タングステンまたは、より好ましくは、タングステン合金から形成され、その比重は15g/cm
3またはこれより大きい。このため、本体24の比重は約4〜5g/cm
3であり、ウエイト部材の比重26は約15〜20g/cm
3である。
【0013】
表1は、この発明の実例に従うゴルフクラブの種々の測定値の事例的かつ非制約的な寸法を示す。以下に示す寸法はすべて、個々のアイアンの全体的な目的に合致するように調整できることを充分に意図している。
【表1】
【0014】
上の表1のデータを参照すると、この発明に従うアイアンセットは、ロフトが約15から25度のロングアイアンと、ロフトが約26から35度のミッドアイアンと、ロフトが36またはそれ以上のショートアイアンとに分離できる。クラブの全重量はセットを通じて約235グラムから約290グラムに増加する。各クラブは好ましくは先行するアイアンより約5グラム大きな重量を有する。示すとおり、例えば、4番アイアンは3番アイアンより7グラム重い。したがって、重量はセットを通じて増加する。
【0015】
アイアンの各々はチタン本体部材を含む。ロングアイアンおよびミッドアイアンは好ましくは
図1および
図2に示すようにタングステンウエイト部材28および30を具備する。ロングアイアンでは、チタン本体部材24の重量は約120グラムより少なく、より好ましくは約100グラムより少ない。トウウエイト部材28およびヒールウエイト部材30の重量は好ましくは約130グラムから150グラムである。したがって、タングステンウエイト部材はクラブの総重量の50%より重い。
【0016】
ミッドアイアンにおいては、チタン本体部材24の重量は約120グラムより小さく、より好ましくは約100グラムから約115グラムである。タングステントウウエイト部材28およびヒールウエイト部材30の重量は約140グラムから約160グラム、より好ましくは約150グラムである。したがって、タングステンウエイト部材は、クラブの総重量の50%より重い。また当該タングステンウエイト部材28および30の重量は、ロングアイアン用のタングステンウエイト部材28および30の重量より大きい。
【0017】
ショートアイアンにおいては、チタン本体部材24の重量は約120グラムより小さく、より好ましくは約90グラムから約110グラムである。トウウエイト部材28およびヒールウエイト部材30は好ましくはスチールから製造され、その重量は、好ましくは、約160グラムから約200グラムであり、より好ましくは約180グラムである。したがって、スチールウエイト部材はクラブの総重量の50%より重い。また当該スチールウエイト部材28および30の重量は、ロングアイアンおよびミッドアイアン用のタングステンウエイト部材28および30の重量より大きい。
【表2】
【表3】
【0018】
図3に示し、上の表IIIに説明するように、この発明の他の実施例はセットを通じて実質的に等しいブレード長(BL)を有するアイアンのセットを含む。BLは、ホーゼル軸(HX)と地面との交点から、トウ端部までの長さとして定義される。ただし、このセットにおいて、トウ高さ(TH)はセットを通じて徐々に大きくなる。そして、ミッドアイアンのTHはロングアイアンのTHより大きく、ショートアイアンのTHはミッドアイアンのTHより大きい。THは、フェース平面に平行でスコアラインと直角な平面におけるトウの前縁から頂部までの最大長さとして定義される。好ましくは、THは、クラブ1つ当たり、少なくとも0.3mmだけ増加し、最も好ましくはクラブ1つ当たり、少なくとも0.4mmだけ増加する。また、THは、好ましくは、ショートアイアンについては、少なくとも1mmだけクラブ1つ当たり草加市、ロングアイアンおよびミッドアイアンについては、クラブ1つ当たり0.3mm〜0.6mmだけ増加する。
【0019】
さらに、BLがセットを通じて実質的に一定であっても、スコアライン幅(SLW)はセットを通じて徐々に減少し、スコラライン・トウ幅(SLTW)はセットを通じて徐々に増大する。より具体的には、SLWはクラブ1つあたり(またはロフト4度あたり)約0.1mmだけ減少する。そして、ロングアイアンのSLWはミッドアイアンのSLWより大きく、ミッドアイアンのSLWはショートアイアンのSLWより大きい。さらに、SLTWがセットを
通じて徐々に増大するので、溝のないトウ領域もセットを通じて増大する。
【0020】
さらに、この発明の好ましい実施例において、フェース中心から重心までの距離がセットを通じて徐々に大きくなる。そして、CG−Xfcが、ロングアイアンのフェース中心から2mm未満から、ショートアイアンのホーゼル方向にフェース中心から約3mmへと徐々に増加する。
【0021】
この発明の他の側面は、ホーゼル長HLがセットを通じて大きくなることである。好ましくは、ホーゼル長は、クラブ1つ当たり(またはロフト4度あたり)約1mmずつ増大しミッドアイアンのHLがロングアイアンのHLより大きく、ショートアイアンのHLがミッドアイアンのHLより大きくなるようになっている。また、図には示されないけれども、ソール幅はセットを通じて減少する。なぜならば、ソール幅は、
図3の正面図に直角なクラブヘッドの中心におけるソールの幅であるからである。そのため、ミッドアイアンのソール幅はロングアイアンのソール幅より小さく、ショートアイアンのソール幅より大きい。好ましくは、ソール幅は、クラブ1つ当たり(またはロフト4度あたり)約0.3mmずつ減少する。
【0022】
図4〜
図7に示すように、また、先の表に示すように、セットはロングアイアン100、ミッドアイアン200、第1のショートアイアン300、および第2のショートアイアン400を含む。
図4において、ロングアイアン100は、本体部材110、ヒール112、トウ114、ホーゼル116、およびソール118を含む。アイアン本体110はインサート開口120および空洞部分122を含む。フェースインサートは、図示しないけれども、インサート開口120に溶接され、空洞部分122を包囲する。本体部材110およびフェースインサートの双方は好ましくはスチールから形成される。空洞部分122の内部において、タングステントウウエイト部材124およびタングステンヒールウエイト部材126がトウ114およびヒール112の近傍にそれぞれ位置づけられて大きな慣性モーメントを形成する。先の表IIに示すように、本体部材110の重量は好ましくは約110グラムから約120グラムであり、フェースインサートの重量は約30グラムから約45グラムである。ロングアイアン100において、トウウエイト部材124の重量は好ましくは約35から55グラムである。好ましくは、トウウエイト部材124の重量はクラブごとに約5グラムずつ大きくなる。ヒールウエイト部材126の重量は好ましくは約30グラムから35グラムであり、好ましくは、クラブごとに約1または2グラムずつ小さくなる。好ましくは、トウウエイト部材124およびヒールウエイト部材126のタングステン重量はクラブヘッドの総重量の少なくとも25%であり、クラブヘッド総固体体積の少なくとも15%である。より具体的には、トウウエイト部材124およびヒールウエイト部材は総重量の約30%またはそれ以上を有し、総固体体積の20%である。好ましくはトウウエイト部材124はヒールウエイト部材126より大きな重量を有する。
【0023】
図5に示し、また、先の表IIに示すように、セットはミッドアイアン200を含み、これは、本体部材210、ヒール212、トウ214、ホーゼル216、およびソール218を含む。アイアン本体210はインサート開口220および空洞部分222を含む。フェースインサートは、図示しないけれども、インサート開口220に溶接され、空洞部分222を包囲する。本体部材210およびフェースインサートの双方は好ましくはスチールから形成される。空洞部分222の内部において、タングステントウウエイト部材224およびタングステンヒールウエイト部材226がトウ214およびヒール212の近傍にそれぞれ位置づけられて大きな慣性モーメントを形成する。先の表IIに示すように、本体部材210の重量は好ましくは約115グラムから約145グラムであり、フェースインサートの重量は約30グラムから約45グラムである。ミッドアイアン200において、トウウエイト部材224の重量は好ましくは約50から70グラムである。好ましくは、トウウエイト部材224の重量はクラブごとに約5グラムずつ大きくなる。ヒールウエイト部材226の重量は好ましくは約35グラムまたはそれ未満であり、好ましくは、クラブごとにその重量が小さくなる。好ましくは、トウウエイト部材224およびヒールウエイト部材226のタングステン重量はクラブヘッドの総重量の少なくとも25%であり、クラブヘッド総固体体積の少なくとも15%である。より具体的には、トウウエイト部材224およびヒールウエイト部材226は総重量の約30%またはそれ以上を有し、総固体体積の20%である。好ましくはトウウエイト部材224はヒールウエイト部材226より大きな重量を有し、より好ましくは重量の約2倍である。
【0024】
図6に示し、また、先の表IIに示すように、セットはショートアイアン300を含み、これは、本体部材310、ヒール312、トウ314、ホーゼル316、およびソール318を含む。アイアン本体310はインサート開口320および空洞部分322を含む。フェースインサートは、図示しないけれども、インサート開口320に溶接され、空洞部分322を包囲する。本体部材310およびフェースインサートの双方は好ましくはスチールから形成される。空洞部分322の内部において、タングステントウウエイト部材324およびタングステンヒールウエイト部材326がトウ314およびヒール312の近傍にそれぞれ位置づけられて大きな慣性モーメントを形成する。先の表IIに示すように、本体部材310の重量は好ましくは約150グラムから約200グラムであり、フェースインサートの重量は約30グラムから約45グラムである。ショートアイアン300において、トウウエイト部材324の重量は好ましくは約55から70グラムである。好ましくは、好ましくは、トウウエイト部材324のタングステン重量はクラブヘッドの総重量の少なくとも20%であり、クラブヘッド総固体体積の少なくとも10%である。
【0025】
図7に示し、また、先の表IIに示すように、セットはショートアイアン400を含み、これは、本体部材410、ヒール412、トウ414、ホーゼル416、およびソール418を含む。アイアン本体410はインサート開口420を含む。フェースインサートは、図示しないけれども、インサート開口420に溶接される。ショートアイアン400は好ましくは実質的にソリッドであり、タングステンウエイトを含まない。
【0026】
ここに開示する発明の図説の実施例が上述の目的を実現することが明らかであるけれども、多数の変形例および他の実施例が当業者により考案できることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲が変形例および実施例をカバーすることを意図され、この発明の趣旨および範囲内に該当する。
以下、ここで説明した技術的特徴について列挙する。
[技術的特徴1]
ロフトが約15から25度の第1のクラブヘッド、ロフトが約26から約35度の第2のクラブヘッド、およびロフトが36度またはそれ以上の第3のクラブヘッドを少なくとも有するゴルフクラブセットにおいて、
上記第1、第2、および第3のクラブヘッドは、各々、ヒール、トウ、トップライン、ソール、ホーゼル、およびフェース中心を具備する前面フェースを有し、各クラブヘッドは、先行するクラブヘッドに較べて少なくとも5グラムだけ異なる重量を有し、かつ上記クラブヘッドの少なくとも1つがタングステンヒール部材およびタングステントウ部材を含み、上記タングステンヒール部材およびタングステントウ部材の合計重量が上記クラブヘッドの重量の50%より大きいことを特徴とするゴルフクラブセット。
[技術的特徴2]
上記第1および第2のクラブヘッドは各々タングステンヒール部材およびタングステントウ部材を具備し、上記タングステンヒール部材および上記タングステントウ部材はあわせて135グラムまたはそれ以上の重量を有する技術的特徴1記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴3]
上記第1および第2のゴルフクラブヘッドはチタンおよびタングステンから構成され、上記タングステンの部分は上記クラブヘッドの体積の25%より多くの部分を形成する技術的特徴1記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴4]
上記第3のクラブはチタンおよびスチール部分から構成され、上記スチール部分は上記クラブヘッドの重量の50%および70%の間の重量をなす技術的特徴2記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴5]
ロフトが約15から25度の第1のクラブヘッド、ロフトが約26から約35度の第2のクラブヘッド、およびロフトが36度またはそれ以上の第3のクラブヘッドを少なくとも有するゴルフクラブセットにおいて、
上記第1、第2、および第3のクラブヘッドは、各々、実体積、ヒール、トウ、トップライン、ソール、ホーゼル、およびフェース中心を具備する前面フェースを有し、上記クラブヘッドの少なくとも1つがクラブヘッド総重量を有し、スチール本体部材およびスチールフェースインサートを有し、上記スチール本体部材および上記スチールフェースインサートの重量があわせて上記クラブヘッド総重量の75%より少なく、上記クラブヘッドの上記少なくとも1つがタングステンヒール部材およびタングステントウ部材を有し、上記タングステンヒール部材および上記タングステントウ部材の重量があわせて上記クラブヘッド重量の25%より大きいことを特徴とするゴルフクラブセット。
[技術的特徴6]
上記第1および上記第2のクラブヘッドは各々スチール本体部材およびスチールフェースインサートを有し、タングステンヒール部材およびタングステントウ部材を具備し、上記タングステンヒール部材および上記タングステントウ部材があわせて70グラムまたはそれ以上の重量を有する技術的特徴5記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴7]
上記第1および上記第2のクラブヘッドはスチール部分およびタングステン部分を有し、上記タングステン部分は上記クラブヘッドの総体積の少なくとも約20%を形成する技術的特徴5記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴8]
上記第3のクラブはスチール部分およびタングステン部分を有し、上記タングステン部分は上記クラブヘッドの重量の少なくとも約20%を有する技術的特徴7記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴9]
第1のゴルフクラブ、第2のゴルフクラブ、および第3のゴルフクラブを少なくとも有するゴルフクラブセットにおいて、
上記第1、第2、および第3のクラブヘッドは、各々、ヒール、トウ、上側表面、下側表面、ホーゼル、およびフェース中心を具備する前面フェースを有し、
上記第1のゴルフクラブは、15から25度の間の第1のロフト角(LA1)、第1のブレード長、第1のホーゼル長、および第1のスコアライン幅を有し、
上記第2のゴルフクラブは、26から35度の間の第2のロフト角(LA2)、第2のブレード長、第2のホーゼル長、および第2のスコアライン幅を有し、
上記第3のゴルフクラブは、36度またはそれ以上の第3のロフト角(LA3)、第3のブレード長、第3のホーゼル長、および第3のスコアライン幅を有し、
上記第1、第2、および第3のブレード長はほぼ一定であり、上記第2のホーゼル長は上記第1のホーゼル長より大きく、上記第3のホーゼル長は上記第2のホーゼル長より大きく、
上記第2のスコアライン幅は上記第1のスコアライン幅より小さく、上記第3のスコアライン幅は上記第2のスコアライン幅より小さいことを特徴とするゴルフクラブセット。
[技術的特徴10]
上記第1のゴルフクラブは第1のトウ高さを有し、上記第2のゴルフクラブヘッドは上記第1のトウ高さより大きな第2のトウ高さを有し、上記第3のゴルフクラブヘッドは上記第2のトウ高さより大きな第3のトウ高さを有する技術的特徴9記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴11]
上記第1のゴルフクラブは第1のソール幅を有し、上記第2のゴルフクラブヘッドは上記第1のソール幅より小さな第2のソール幅を有し、上記第3のゴルフクラブヘッドは上記第2のソール幅より小さな第3のソール幅を有する技術的特徴9記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴12]
上記第1のゴルフクラブは第1のタングステントウ部材を具備し、上記第2のゴルフクラブは上記第1のタングステントウ部材より重量が大きな第2のタングステントウ部材を具備し、上記第3のゴルフクラブは上記第2のタングステントウ部材より重量が大きな第3のタングステントウ部材を具備する技術的特徴9記載のゴルフクラブセット。
[技術的特徴13]
上記第1のゴルフクラブは第1のタングステンヒール部材を具備し、上記第2のゴルフクラブは上記第1のタングステンヒール部材より重量が小さな第2のタングステンヒール部材を具備する技術的特徴12記載のゴルフクラブセット。
【符号の説明】
【0027】
10 アイアン
12 ヒール
14 トウ
16 ホーゼル
18 バックキャビティ
20 トップライン
22 ソール
24 本体部材
26 ウエイト部材
28 トウウエイト部材
30 ヒールウエイト部材
32 ホーゼル軸