特許第6367257号(P6367257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367257
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】コイルばね
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/06 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   F16F1/06 L
   F16F1/06 N
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-80016(P2016-80016)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-190824(P2017-190824A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】岸原 竜二
(72)【発明者】
【氏名】岡村 誠士
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02260606(US,A)
【文献】 特開2000−205320(JP,A)
【文献】 特開平10−184751(JP,A)
【文献】 特開2005−016645(JP,A)
【文献】 特開2012−211702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/00− 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね線材が軸線方向一方側から他方側へ延びる螺旋形状に成形されてなるコイルばねであって、
軸線方向に隣接するばね線材間の線間隙間によって画される線間巻きが、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる第1端部領域と、前記第1端部領域よりも軸線方向他方側に位置し、自然長状態での線間隙間が基準値のL(L>0)とされた基準領域と、前記基準領域より軸線方向他方側に位置し、軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って線間隙間が狭くなり、第2基準点において自然長状態での線間隙間がゼロとなる第2端部領域とを含み、
前記第1端部領域は、前記第1基準点から軸線方向他方側へ線間巻き数m(0<m<1)だけ延びる第1端部外方部位と、前記第1端部外方部位の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ線間巻き数n(0<m<1且つm+n<1)だけ延びる第1端部内方部位とを含み、
線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角をPaとした場合に、前記第1端部外方部位の線間隙間ピッチ角はPaとされ、前記第1端部内方部位の線間隙間ピッチ角はPb(Pb>Pa)とされていることを特徴とするコイルばね。
【請求項2】
前記第2端部領域は、前記第2基準点から軸線方向一方側へ線間巻き数mだけ延びる第2端部外方部位と、前記第2端部外方部位の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ線間巻き数nだけ延びる第2端部内方部位とを含み、
前記第2端部外方部位の線間隙間ピッチ角はPaとされ、前記第2端部内方部位の線間隙間ピッチ角はPbとされていることを特徴とする請求項1に記載のコイルばね。
【請求項3】
前記第1端部内方部位及び前記第2端部内方部位は、軸線方向内端位置における線間隙間がLとされ、
前記基準領域の軸線方向一方側及び他方側が、それぞれ、前記第1端部内方部位及び前記第2端部内方部位の軸線方向内端位置に連結されていることを特徴とする請求項2に記載のコイルばね。
【請求項4】
前記第1端部内方部位及び前記第2端部内方部位は、軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされており、
前記線間巻きは、前記第1端部内方部位の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向一方側との間に位置し、前記第1端部内方部位の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第1移行領域と、前記第2端部内方部位の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向他方側との間に位置し、前記第2端部内方部位の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第2移行領域とを有していることを特徴とする請求項2に記載のコイルばね。
【請求項5】
ばね線材が軸線方向一方側から他方側へ延びる螺旋形状に成形されてなるコイルばねであって、
軸線方向一方側に設けられ、軸線方向一方側を向く第1座面が形成された第1座巻き部と、軸線方向他方側に設けられ、軸線方向他方側を向く第2座面が形成された第2座巻き部と、前記第1及び第2座巻き部の間の中央巻き部とを備え、
軸線方向に隣接するばね線材間の線間隙間によって画される線間巻きが、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる第1端部領域と、前記第1端部領域よりも軸線方向他方側に位置し、自然長状態での線間隙間が基準値のL(L>0)とされた基準領域と、前記基準領域より軸線方向他方側に位置し、軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って線間隙間が狭くなり、第2基準点において自然長状態での線間隙間がゼロとなる第2端部領域とを含み、
前記第1端部領域は、線間巻き数が1巻きより小とされ、
前記第1端部領域は、前記第1基準点から少なくとも線間隙間がLとなる位置まで軸線方向他方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びており、
前記第1端部領域の線間隙間ピッチ角は、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角Paよりも大とされており、
前記第1座巻き部は、前記ばね線材のうち長手方向一方側の第1端部から前記第1基準点を形成する部分まで延びる第1座巻き部エッジ領域と、前記第1座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第1座巻き部移行領域とを含み、
前記第1座巻き部エッジ領域は、前記第1座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向一方側へ折り曲げられており、
前記第1座面は、前記第1座巻き部エッジ領域から前記第1座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第1座巻き部移行領域へ至るように形成されていることを特徴とするコイルばね。
【請求項6】
前記第2端部領域は、線間巻き数が1巻きより小とされ、
前記第2端部領域は、前記第2基準点から少なくとも線間隙間がLとなる位置まで軸線方向一方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びており、
前記第2端部外方部位の線間隙間ピッチ角は基準線間隙間ピッチ角Paより大とされていることを特徴とする請求項5に記載のコイルばね。
【請求項7】
前記第1端部領域及び前記第2端部領域は、軸線方向内端位置における線間隙間がLとされ、
前記基準領域の軸線方向一方側及び他方側が、それぞれ、前記第1端部領域及び前記第2端部領域の軸線方向内端位置に連結されていることを特徴とする請求項6に記載のコイルばね。
【請求項8】
前記第1端部領域及び前記第2端部領域は、軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされ、
前記線間巻きは、前記第1端部領域の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向一方側との間に位置し、前記第1端部領域の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第1移行領域と、前記第2端部領域の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向他方側との間に位置し、前記第2端部領域の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第2移行領域とを有していることを特徴とする請求項6に記載のコイルばね。
【請求項9】
前記コイルばねの軸線方向一方側に設けられ、軸線方向一方側を向く第1座面が形成された第1座巻き部と、
前記コイルばねの軸線方向他方側に設けられ、軸線方向他方側を向く第2座面が形成された第2座巻き部と、
前記第1及び第2座巻き部の間の中央巻き部とを備え、
前記第1座巻き部は、前記ばね線材のうち長手方向一方側の第1端部から前記第1基準点を形成する部分まで延びる第1座巻き部エッジ領域と、前記第1座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第1座巻き部移行領域とを含み、
前記第1座巻き部エッジ領域は、前記第1座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向一方側へ折り曲げられており、
前記第1座面は、前記第1座巻き部エッジ領域から前記第1座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第1座巻き部移行領域へ至るように形成されていることを特徴とする請求項1からの何れかに記載のコイルばね。
【請求項10】
前記第2座巻き部は、前記ばね線材のうち長手方向他方側の第2端部から前記第2基準点を形成する部分まで延びる第2座巻き部エッジ領域と、前記第2座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第2座巻き部移行領域とを含み、
前記第2座巻き部エッジ領域は、前記第2座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向他方側へ折り曲げられており、
前記第2座面は、前記第2座巻き部エッジ領域から前記第2座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第2座巻き部移行領域へ至るように形成されていることを特徴とする請求項5からの何れかに記載のコイルばね。
【請求項11】
前記第1基準点から前記第2基準点までの線間巻き数が整数倍とされていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載のコイルばね。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の弁ばねや高圧ポンプ用ばね等に利用可能なコイルばねに関する。
【背景技術】
【0002】
ばね線材を軸線方向一方側から他方側へ延びる螺旋形状に成形してなるコイルばねは、内燃機関の弁ばねや高圧ポンプ用ばね等として、広く利用されている、
【0003】
前記コイルばねは、軸線方向に圧縮された際に軸線方向に沿った弾性力を発揮することを意図した部材であるが、圧縮時に、軸線方向に沿った弾性力に加えて、軸線方向とは直交する方向にも力(横力)を発生することが知られている。
【0004】
横力の発生は可能な限り防止することが望まれる。
即ち、例えば、前記コイルばねを往復動するプランジャーの押圧部材として用いた場合に横力が生じると、前記プランジャーと当該プランジャーが往復動可能に収容される案内面との間に生じる摩擦力が大きくなる。
前記摩擦力の増加は、前記プランジャーの摺動抵抗に起因する摩耗や摩擦熱の上昇を招き、前記プランジャーが用いられる高圧ポンプ等の装置に作動不具合を生じさせる恐れがある。
【0005】
この点に関し、本願の筆頭出願人は、横力の低減を目的としたコイルばねを提案している(下記特許文献1参照)。
【0006】
前記特許文献1に記載のコイルばねは、セット高さから最大使用高さまでの間で有効巻数が整数となるように設計されたものであり、前記有効巻数が整数又は整数近傍とはされていないコイルばねに比して、横力を低減することができる。
【0007】
ところで、前記コイルばねは、軸線方向両端部に位置する座巻き部と、前記両端の座巻き部の間に位置する中央巻き部とを有しており、軸線方向に隣接するばね線材の間に隙間(線間隙間)が存在する領域が有効巻き部となる。
【0008】
前記特許文献1は、前記有効巻き部の巻数がセット高さから最大使用高さまでの間で整数となるように設計するという思想を開示するものではあるが、使用状態下において前記有効巻き部の巻数が変化しないようにするための具体的構成については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−205320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、横力の発生を可及的に防止し得るコイルばねの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様は、前記目的を達成するために、ばね線材が軸線方向一方側から他方側へ延びる螺旋形状に成形されてなるコイルばねであって、軸線方向に隣接するばね線材間の線間隙間によって画される線間巻きが、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる第1端部領域と、前記第1端部領域よりも軸線方向他方側に位置し、自然長状態での線間隙間が基準値のL(L>0)とされた基準領域と、前記基準領域より軸線方向他方側に位置し、軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って線間隙間が狭くなり、第2基準点において自然長状態での線間隙間がゼロとなる第2端部領域とを含み、前記第1端部領域は、前記第1基準点から軸線方向他方側へ線間巻き数m(0<m<1)だけ延びる第1端部外方部位と、前記第1端部外方部位の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ線間巻き数n(0<m<1且つm+n<1)だけ延びる第1端部内方部位とを含み、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角をPaとした場合に、前記第1端部外方部位の線間隙間ピッチ角はPaとされ、前記第1端部内方部位の線間隙間ピッチ角はPb(Pb>Pa)とされているコイルばねを提供する。
【0012】
好ましくは、前記第2端部領域は、前記第2基準点から軸線方向一方側へ線間巻き数mだけ延びる第2端部外方部位と、前記第2端部外方部位の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ線間巻き数nだけ延びる第2端部内方部位とを含むものとされ、前記第2端部外方部位の線間隙間ピッチ角はPaとされ、前記第2端部内方部位の線間隙間ピッチ角はPbとされる。
【0013】
一形態においては、前記第1端部内方部位及び前記第2端部内方部位は、軸線方向内端位置における線間隙間がLとされ、前記基準領域の軸線方向一方側及び他方側が、それぞれ、前記第1端部内方部位及び前記第2端部内方部位の軸線方向内端位置に連結される。
【0014】
他形態においては、前記第1端部内方部位及び前記第2端部内方部位は、軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされる。
この場合、前記線間巻きは、前記第1端部内方部位の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向一方側との間に位置し、前記第1端部内方部位の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第1移行領域と、前記第2端部内方部位の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向他方側との間に位置し、前記第2端部内方部位の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第2移行領域とを有するものとされる。
【0015】
本発明の第2態様は、ばね線材が軸線方向一方側から他方側へ延びる螺旋形状に成形されてなるコイルばねであって、軸線方向一方側に設けられ、軸線方向一方側を向く第1座面が形成された第1座巻き部と、軸線方向他方側に設けられ、軸線方向他方側を向く第2座面が形成された第2座巻き部と、前記第1及び第2座巻き部の間の中央巻き部とを備え、軸線方向に隣接するばね線材間の線間隙間によって画される線間巻きが、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる第1端部領域と、前記第1端部領域よりも軸線方向他方側に位置し、自然長状態での線間隙間が基準値のL(L>0)とされた基準領域と、前記基準領域より軸線方向他方側に位置し、軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って線間隙間が狭くなり、第2基準点において自然長状態での線間隙間がゼロとなる第2端部領域とを含み、前記第1端部領域は、線間巻き数が1巻きより小とされ、前記第1端部領域は、前記第1基準点から少なくとも線間隙間がLとなる位置まで軸線方向他方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びており、前記第1端部領域の線間隙間ピッチ角は、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角Paよりも大とされており、前記第1座巻き部は、前記ばね線材のうち長手方向一方側の第1端部から前記第1基準点を形成する部分まで延びる第1座巻き部エッジ領域と、前記第1座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第1座巻き部移行領域とを含み、前記第1座巻き部エッジ領域は、前記第1座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向一方側へ折り曲げられており、前記第1座面は、前記第1座巻き部エッジ領域から前記第1座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第1座巻き部移行領域へ至るように形成されているコイルばねを提供する。
【0016】
好ましくは、前記第2端部領域は、線間巻き数が1巻きより小とされ、前記第2端部領域は、前記第2基準点から少なくとも線間隙間がLとなる位置まで軸線方向一方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びており、前記第2端部外方部位の線間隙間ピッチ角は基準線間隙間ピッチ角Paより大とされる。
【0017】
一形態においては、前記第1端部領域及び前記第2端部領域は、軸線方向内端位置における線間隙間がLとされ、前記基準領域の軸線方向一方側及び他方側が、それぞれ、前記第1端部領域及び前記第2端部領域の軸線方向内端位置に連結される。
【0018】
他形態においては、前記第1端部領域及び前記第2端部領域は、軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされる。
この場合、前記線間巻きは、前記第1端部領域の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向一方側との間に位置し、前記第1端部領域の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第1移行領域と、前記第2端部領域の軸線方向内端位置と前記基準領域の軸線方向他方側との間に位置し、前記第2端部領域の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第2移行領域とを有するものとされる。
【0019】
ましくは、本発明の第1態様に係るコイルばねは、前記コイルばねの軸線方向一方側に設けられ、軸線方向一方側を向く第1座面が形成された第1座巻き部と、前記コイルばねの軸線方向他方側に設けられ、軸線方向他方側を向く第2座面が形成された第2座巻き部と、前記第1及び第2座巻き部の間の中央巻き部とを備える。
前記第1座巻き部は、前記ばね線材のうち長手方向一方側の第1端部から前記第1基準点を形成する部分まで延びる第1座巻き部エッジ領域と、前記第1座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第1座巻き部移行領域とを含み得る。
前記第1座巻き部エッジ領域は、前記第1座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向一方側へ折り曲げられており、前記第1座面は、前記第1座巻き部エッジ領域から前記第1座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第1座巻き部移行領域へ至るように形成される。
【0020】
好ましくは、前記第2座巻き部は、前記ばね線材のうち長手方向他方側の第2端部から前記第2基準点を形成する部分まで延びる第2座巻き部エッジ領域と、前記第2座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第2座巻き部移行領域とを含み得る。
前記第2座巻き部エッジ領域は、前記第2座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向他方側へ折り曲げられており、前記第2座面は、前記第2座巻き部エッジ領域から前記第2座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第2座巻き部移行領域へ至るように形成される。
【0021】
前記種々の構成において、好ましくは、前記第1基準点から前記第2基準点までの線間巻き数は整数倍とされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1態様に係るコイルばねによれば、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる、線間巻きの第1端部領域が、前記第1基準点から軸線方向他方側へ線間巻き数m(0<m<1)だけ延びる第1端部外方部位と、前記第1端部外方部位の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ線間巻き数n(0<m<1且つm+n<1)だけ延びる第1端部内方部位とを含むものとされ、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角をPaとした場合に、前記第1端部外方部位の線間隙間ピッチ角がPaとされ、前記第1端部内方部位の線間隙間ピッチ角がPb(Pb>Pa)とされているので、圧縮動作時において前記第1端部領域に線間隙間ゼロが発生することを有効に抑えることができ、これにより、横力の発生を可及的に防止することができる。
【0023】
本発明の第2態様に係るコイルばねによれば、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる、線間巻きの第1端部領域の線間巻き数が1巻きより小とされ、且つ、前記第1端部領域が前記第1基準点から少なくとも線間隙間がLとなる位置まで軸線方向他方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びるものとされ、前記第1端部領域の線間隙間ピッチ角が、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角Paよりも大とされているので、圧縮動作時において前記第1端部領域に線間隙間ゼロが発生することを有効に抑えることができ、これにより、横力の発生を可及的に防止することができる。
【0024】
さらに、本発明の第2態様に係るコイルばねにおいては、軸線方向一方側を向く第1座面が形成された第1座巻き部と、軸線方向他方側を向く第2座面が形成された第2座巻き部と、前記第1及び第2座巻き部の間の中央巻き部とを備え、前記第1座巻き部は、ばね線材のうち長手方向一方側の第1端部から前記第1基準点を形成する部分まで延びる第1座巻き部エッジ領域と、前記第1座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部まで延びる第1座巻き部移行領域とを含むものとされ、前記第1座巻き部エッジ領域は、前記第1座巻き部移行領域に比して、前記コイルばねの軸線方向一方側へ折り曲げられており、前記第1座面は、前記第1座巻き部エッジ領域から前記第1座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第1座巻き部移行領域へ至るように形成されているので、前記第1座面の研磨量を十分に確保して当該第1座面の平坦性を担保しつつ、前記第1座巻き部の厚さを確保することができ、圧縮動作時の横力発生を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るコイルばねの自然長状態での斜視図である。
図2図2は、前記実施の形態1に係るコイルばねの自然長状態での正面図である。
図3図3は、前記実施の形態1に係るコイルばねの自然長状態での側面図である。
図4図3は、前記実施の形態1に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を示すグラフである。
図5図5は、前記コイルばねの製造装置の模式図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を示すグラフである。
図7図7は、本発明の実施の形態3に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を示すグラフである。
図8図8は、本発明の実施の形態4に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を示すグラフである。
図9図9は、本発明の変形例に係るコイルばねの部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態1
以下、本発明に係るコイルばねの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1図3に、それぞれ、本実施の形態に係るコイルばね1Aの自然長状態での斜視図、正面図及び側面図を示す。
【0027】
図1図3に示すように、本実施の形態に係るコイルばね1Aは、ばね線材100が軸線方向一方側から他方側へ延びる螺旋形状に成形されてなるものであり、内燃機関の弁ばねや高圧ポンプ用ばね等に好適に利用される。
【0028】
前記コイルばね1Aは、前記ばね線材100の実巻きを基準とすると、前記ばね線材100の長手方向一方側の第1端部110を含み、且つ、前記コイルばね1Aの軸線方向一方側を向く第1座面11が形成された第1座巻き部10と、前記ばね線材100の長手方向他方側の第2端部120を含み、且つ、前記コイルばね1Aの軸線方向他方側を向く第2座面21が形成された第2座巻き部20と、前記第1及び第2座巻き部10、20の間の中央巻き部30とを有している。
【0029】
前記コイルばね1Aにおいては、前記コイルばね1Aの軸線方向に隣接するばね線材100同士の間に線間隙間が存在する領域が、弾性力を発揮する有効巻き部として作用する。
【0030】
ここで、軸線方向に隣接するばね線材100同士の間の前記線間隙間について詳述する。
前記線間隙間は、軸線方向一方側においては自然長状態での線間隙間がゼロとされた第1基準点51から軸線方向一方側へ螺旋状に進むに従って広がり、前記中央巻き部30においては前記コイルばね1Aに求められる弾性力に応じて設定される基準値L(L>0、下記図3参照)とされ、軸線方向他方側においては軸線方向一方側へ螺旋状に進むに従って狭まって第2基準点52においてゼロとされている。
【0031】
即ち、図2及び図3に示すように、前記線間隙間によって形成される螺旋形状(以下、線間巻きと言う)は、軸線方向一方側において自然長状態での線間隙間がゼロとされた前記第1基準点51から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って自然長状態での線間隙間が大きくなる第1端部領域61と、前記第1端部領域61よりも軸線方向他方側に位置し、自然長状態での線間隙間が基準値のLとされた基準領域65と、前記基準領域65より軸線方向他方側に位置し、軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って周方向に進むに従って線間隙間が狭くなり、前記第2基準点52において自然長状態での線間隙間がゼロとなる第2端部領域62とを有している。
【0032】
図4に、前記コイルばね1Aにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を表すグラフを示す。
【0033】
図4に示すように、本実施の形態に係る前記コイルばね1Aにおいては、前記第1端部領域61は、線間巻き数が1未満とされている。
【0034】
詳しくは、前記第1端部領域61は、前記第1基準点51から軸線方向他方側へ線間巻き数m(0<m<1)だけ延びる第1端部外方部位61aと、前記第1端部外方部位61aの軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ線間巻き数n(0<n<1且つm+n<1)だけ延びる第1端部内方部位61bとを有している。
【0035】
図4に示すように、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角をPaとした場合に、前記第1端部外方部位61aの線間隙間ピッチ角は基準線間隙間ピッチ角Paとされ、前記第1端部内方部位61bの線間隙間ピッチ角はPb(b>a)とされている。
【0036】
かかる構成を備えることにより、前記コイルばね1Aが自然長状態から圧縮動作される際に、前記第1端部領域61に線間隙間ゼロが生じることを有効に防止でき、圧縮動作時の横力の発生を有効に抑えることができる。
【0037】
即ち、前記コイルばね1Aにおいては、軸線方向一方側に設けられる前記第1端部領域61は、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角Paよりも線間隙間ピッチ角が大きい領域を有している。
従って、前記コイルばね1Aの圧縮動作に、軸線方向一方側において有効巻き数の変化が生じることを有効に防止することができ、これにより、圧縮動作時の横力発生を有効に抑えることができる。
【0038】
本実施の形態に係る前記コイルばね1Aにおいては、前記第2端部領域62は、前記第1端部領域61と実質的に同一構成を有している。
【0039】
詳しくは、図4に示すように、前記第2端部領域62は、前記第1基準点52から軸線方向一方側へ線間巻き数mだけ延びる第2端部外方部位62aと、前記第2端部外方部位62aの軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ線間巻き数nだけ延びる第2端部内方部位62bとを有している。
【0040】
そして、前記第2端部外方部位62aの線間隙間ピッチ角は基準線間隙間ピッチ角Paとされ、前記第2端部内方部位62bの線間隙間ピッチ角は基準線間隙間ピッチ角Paよりも大きいPbとされている。
【0041】
かかる構成を備えることにより、前記コイルばね1Aが自然長状態から圧縮動作される際に、前記第2端部領域62に線間隙間ゼロが生じることを有効に防止でき、圧縮動作時の横力の発生を有効に抑えることができる。
【0042】
前記コイルばね1Aは、例えば、図5に示す製造装置200によって製造される。
図5に示すように、前記製造装置200は、ばね線材100を供給する供給ローラ210と、前記供給ローラ210によって搬送されるばね線材100をガイドするガイド部材215と、前記ガイド部材215によってガイドされた状態で前記供給ローラ210によって搬送されるばね線材100の搬送方向下流側に設けられ、直線状のばね線材100を螺旋状のコイルばね1Aに成形する第1及び第2コイリングツール220(1)、220(2)と、前記第1及び第2コイリングツール220(1)、220(2)によって螺旋状に成形されたコイルばね1Aをガイドする芯金部材225と、前記コイルばね1Aのピッチを調整するピッチツール230と、前記芯金225と共働してばね線材100を切断する切断ツール235とを有している。
【0043】
前記第1及び第2コイリングツール220(1)、220(2)は、成形されるコイルばね1Aの中心を基準とした径方向に関し位置調整可能とされており、径方向位置の変更に応じてコイルばね1Aのコイル径を変更する。
【0044】
前記ピッチツール230は、コイルばね1Aの中心を基準とした径方向に関し位置調整可能とされており、径方向位置の変更に応じてコイルばね1Aのピッチを変更する。
【0045】
前記切断ツール235は、コイルばね1Aの中心を基準とした径方向に関し往復動可能とされており、前記芯金225の係合面226と共働して前記ばね線材100を切断する切断位置と前記芯金225から離間された退避位置との間で移動可能とされている。
【0046】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記第1端部内方部位61b及び前記第2端部内方部位62bは、軸線方向内端位置における線間隙間がLとされており、前記基準領域65の軸線方向一方側及び他方側が、それぞれ、前記第1端部内方部位61b及び前記第2端部内方部位62bの軸線方向内端位置に直接連結されている。
かかる構成によれば、前記ピッチツール230の位置制御の容易化を図ることができる。
【0047】
実施の形態2
以下、本発明に係るコイルばねの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図6に、本実施の形態に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を表すグラフを示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0048】
本実施の形態に係るコイルばねは、主として、前記第1端部内方部位61b及び前記第2端部内方部位62bの軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされている点において、前記実施の形態1に係るコイルばね1Aと相違している。
【0049】
前記第1端部内方部位61b及び前記第2端部内方部位62bの軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされていることに伴い、本実施の形態に係るコイルばねにおいては、前記線間巻きは、前記第1端部内方部位61bの軸線方向内端位置と前記基準領域65の軸線方向一方側との間に位置し、前記第1端部内方部位61bの軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第1移行領域63(1)と、前記第2端部内方部位62bの軸線方向内端位置と前記基準領域65の軸線方向他方側との間に位置し、前記第2端部内方部位62bの軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第2移行領域63(2)とを有している。
【0050】
斯かる構成の前記コイルばねによれば、実施の形態1に比して、圧縮動作時に、前記第1及び第2端部領域61、62に線間隙間ゼロが生じることをより有効に防止でき、圧縮動作時の横力の発生をより有効に抑えることができる。
【0051】
実施の形態3
以下、本発明に係るコイルばねのさらに他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施の形態に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を表すグラフを示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0052】
本実施の形態に係るコイルばねは、主として、前記第1端部領域61が線間隙間ゼロの前記第1基準点51から少なくとも線間隙間がLとなるまで軸線方向他方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びている点、及び、前記第2端部領域62が線間隙間ゼロの前記第2基準点52から少なくとも線間隙間がLとなるまで軸線方向一方側へ一定の線間隙間ピッチ角で延びている点において、前記実施の形態1及び2に係るコイルばねと相違している。
【0053】
図7に示すように、前記第1端部領域61及び前記第2端部領域62の線間隙間ピッチ角は、線間巻き1巻き当たりの線間隙間の変位量がLとなる基準線間隙間ピッチ角Paよりも大とされている。
【0054】
斯かる構成の前記コイルばねにおいても、圧縮動作時に、前記第1及び第2端部領域61、62に線間隙間ゼロが生じることを有効に防止でき、圧縮動作時の横力の発生を有効に抑えることができる。
【0055】
本実施の形態においては、図7に示すように、前記第1端部領域61及び前記第2端部領域62は、軸線方向内端位置における線間隙間がLとされており、前記基準領域65の軸線方向一方側及び他方側が、それぞれ、前記第1端部領域61及び前記第2端部領域62の軸線方向内端位置に直接連結されている。
かかる構成によれば、前記ピッチツール230の位置制御の容易化を図ることができる。
【0056】
実施の形態4
以下、本発明に係るコイルばねのさらに他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施の形態に係るコイルばねにおける、線間巻き数と線間隙間との関係を表すグラフを示す。
なお、図中、前記実施の形態1〜3におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0057】
本実施の形態に係るコイルばねは、主として、前記第1端部領域61及び前記第2端部領域62の軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされている点において、前記実施の形態3に係るコイルばねと相違している。
【0058】
前記第1端部領域61及び前記第2端部領域62の軸線方向内端位置における線間隙間がLより大とされていることに伴い、本実施の形態に係るコイルばねにおいては、前記線間巻きは、前記第1端部領域61の軸線方向内端位置と前記基準領域65の軸線方向一方側との間に位置し、前記第1端部領域61の軸線方向内端位置から軸線方向他方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第1移行領域64(1)と、前記第2端部領域62の軸線方向内端位置と前記基準領域65の軸線方向他方側との間に位置し、前記第2端部領域62の軸線方向内端位置から軸線方向一方側へ螺旋形状に沿って進むに従って線間距離が小さくなって基準値のLに到達する第2移行領域64(2)とを有している。
【0059】
斯かる構成の前記コイルばねによれば、前記実施の形態3に比して圧縮動作時に、前記第1及び第2端部領域61、62に線間隙間ゼロが生じることをより有効に防止でき、圧縮動作時の横力の発生をより有効に抑えることができる。
【0060】
前記各実施の形態において、好ましくは、前記コイルばねは、前記第1基準点51から前記第2基準点52までの線間巻き数が整数倍となるように構成される。
即ち、前記第1基準点51及び前記第2基準点52が周方向に関し同一位置に位置するように構成される。
かかる構成によれば、圧縮動作時の横力発生をより有効に防止することができる。
【0061】
また、前記各実施の形態において、好ましくは、前記第1座巻き部10のうち前記第1基準点51より端部側に位置する領域を軸線方向一方側へ折り曲げることができる。
【0062】
図9に、前記第1座巻き部10のうち前記第1基準点51より端部側に位置する領域を軸線方向一方側へ折り曲げた変形例1Bの部分正面図を示す。
【0063】
図9に示すように、前記変形例1Bにおいては、前記第1座巻き部10は、前記ばね線材100のうち長手方向一方側の第1端部110から前記第1基準点51を形成する部分まで延びる第1座巻き部エッジ領域111と、前記第1座巻き部エッジ領域111から前記中央巻き部30まで延びる第1座巻き部移行領域112とを含んでいる。
【0064】
そして、前記第1座巻き部エッジ領域111は、前記第1座巻き部移行領域112に比して、前記コイルばね1Bの軸線方向一方側へ折り曲げられており、前記第1座面11は、前記第1座巻き部エッジ領域111から前記第1座巻き部移行領域112との境界を跨いで前記第1座巻き部移行領域112へ至るように形成されている。
【0065】
斯かる構成の前記変形例1Bによれば、前記第1座面11の研磨量を十分に確保して前記第1座面11の平坦性を担保しつつ、前記第1座巻き部10を厚くすることができ、圧縮動作時の横力発生をさらに減少させることができる。
【0066】
当然ながら、前記第2座巻き部20にも同様の構成を適用することができる。
即ち、前記第2座巻き部20が、前記ばね線材100のうち長手方向他方側の第2端部120から前記第2基準点52を形成する部分まで延びる第2座巻き部エッジ領域(図示せず)と、前記第2座巻き部エッジ領域から前記中央巻き部30まで延びる第2座巻き部移行領域(図示せず)とを含むものとし、前記第2座巻き部エッジ領域を、前記第2座巻き部移行領域に比して、前記コイルばね1の軸線方向他方側へ折り曲げ、前記第2座面21を、前記第2座巻き部エッジ領域から前記第2座巻き部移行領域との境界を跨いで前記第2座巻き部移行領域へ至るように形成することができる。
【符号の説明】
【0067】
1A、1B コイルばね
10 第1座巻き部
11 第1座面
20 第2座巻き部
21 第2座面
30 中央巻き部
51 第1基準点
52 第2基準点
61 第1端部領域
61a 第1端部外方部位
61b 第1端部内方部位
62 第2端部領域
62a 第2端部外方部位
62b 第2端部内方部位
63(1)、64(1) 第1移行領域
63(2)、64(2) 第2移行領域
65 基準領域
100 ばね線材
110 ばね線材の第1端部
111 第1座巻き部エッジ領域
112 第1座巻き部移行領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9