特許第6367260号(P6367260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367260
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】抗菌性製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20180723BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20180723BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20180723BHJP
   B29K 505/00 20060101ALN20180723BHJP
【FI】
   A01N59/16 A
   A01P1/00
   B29C45/00
   B29K505:00
【請求項の数】28
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-93034(P2016-93034)
(22)【出願日】2016年5月6日
(65)【公開番号】特開2017-114840(P2017-114840A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0185124
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516133652
【氏名又は名称】銀未来株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 秋子
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−271771(JP,A)
【文献】 特開2007−161498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 59/16
A01P 1/00
B29C 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性製品において、
前記抗菌性製品は一つ以上の抗菌部を含み、前記抗菌部は窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を含み、
窒素雰囲気下焼結銀は、銀塩類化合物を、窒素雰囲気下で440〜1000℃で焼結した銀である、抗菌性製品。
【請求項2】
前記抗菌部または前記抗菌性製品の材料が、金属、硝子、セラミック、石材、鉱物、プラスチック及びこれらの組み合わせから選ばれる材料を含む、請求項1に記載の抗菌性製品。
【請求項3】
前記抗菌部が、板状、球状、棒状、塊状、粒状、砂状または抗菌性製品の形状から選ばれる形状を有する、請求項1に記載の抗菌性製品。
【請求項4】
前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、基材として層状窒素雰囲気下焼結銀を含み、抗菌部の表面に位置する層(層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層)であるか、または、基材としてプラスチックを含み、基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀、若しくは基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀と基材内に分散した粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを含み、抗菌部の表面に位置する層(粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層)である、請求項1に記載の抗菌性製品。
【請求項5】
前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の下の抗菌部の一部若しくは全体が粗面であり、または粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の一部若しくは全体が粗面である、請求項4に記載の抗菌性製品。
【請求項6】
前記粗面がサンドブラスト加工によって形成された、請求項5に記載の抗菌性製品。
【請求項7】
前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが0.1μm乃至20μmであり、または前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが10μm乃至20μmである、請求項4に記載の抗菌性製品。
【請求項8】
前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層と前記抗菌部とが一体に形成された、請求項4に記載の抗菌性製品。
【請求項9】
前記抗菌部と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が、粒子状窒素雰囲気下焼結銀をプラスチック100重量部に対して1乃至60重量部で含む、請求項8に記載の抗菌性製品。
【請求項10】
前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀の内部コアが鉱物系または岩石系粒子を含む、請求項4に記載の抗菌性製品。
【請求項11】
前記鉱物系または岩石系粒子と前記窒素雰囲気下焼結銀との重量比が100:0.1乃至10である、請求項10に記載の抗菌性製品。
【請求項12】
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒に銀塩類化合物粉末を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、
前記銀塩類溶解液を前記抗菌部上に塗布する第2工程と、
前記抗菌部上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程と、
を含み、
窒素雰囲気下焼結銀は、銀塩類化合物を、窒素雰囲気下で440〜1000℃で焼結した銀である、抗菌性製品の製造方法。
【請求項13】
前記抗菌部の材料が金属、硝子、セラミック、石材、鉱物及びこれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項14】
前記第1工程で、前記水または極性有機溶媒100重量部に前記銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加する、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項15】
前記銀塩類化合物が炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項16】
前記第3工程で、焼結温度が440℃以上である、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項17】
前記第2工程の前に、前記抗菌部に粗面を形成し、前記第2工程で、前記銀塩類溶解液を前記粗面の上に塗布する、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項18】
前記粗面をサンドブラスト加工で形成する、請求項17に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項19】
前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を0.1μm〜20μmの厚さに形成する、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項20】
前記第3工程の後に、前記抗菌部を含む抗菌性製品を製造する工程をさらに含む、請求項12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項21】
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、
前記銀塩類溶解液を抗菌部上に塗布する第2工程と、
前記抗菌部に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気または大気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層または層状酸化銀焼結体含有表面層を形成する第3工程と、
を含み、
窒素雰囲気下焼結銀は、銀塩類化合物を、窒素雰囲気下で440〜1000℃で焼結した銀である、抗菌性製品の製造方法。
【請求項22】
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀を製造する第1工程と、
プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、
前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、
前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を露出させる第4工程と、
を含み、
窒素雰囲気下焼結銀は、銀塩類化合物を、窒素雰囲気下で440〜1000℃で焼結した銀である、抗菌性製品の製造方法。
【請求項23】
前記第1工程で、鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末との重量比が100:0.1〜10であり、前記鉱物系または岩石系粒子及び銀塩類化合物粉末の混合物と前記水または極性有機溶媒との重量比が1〜70:100である、請求項22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項24】
前記銀塩類化合物が炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択される、請求項22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項25】
前記第1工程で、焼結温度が440℃以上である、請求項22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項26】
前記第2工程で、前記プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀との重量比が100:1〜60である、請求項22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【請求項27】
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気または大気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を製造する第1工程と、
プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、
前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、
前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を露出させる第4工程と、
を含み、
窒素雰囲気下焼結銀は、銀塩類化合物を、窒素雰囲気下で440〜1000℃で焼結した銀である、抗菌性製品の製造方法。
【請求項28】
前記抗菌性製品は、抗菌性金属たわしである、
請求項1に記載の抗菌性製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な食品容器、例えば、真空ボトル・水筒など携帯型の水・飲料の容器において内容水を飲用するとき、人の唇が触れる部位の汚染や、時には飲用者の唾液や手指などに付いている雑菌類・口内菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)などが前記水筒内部の水に混入・付着されることにより、水筒内に雑菌類が増殖したりする弊害が指摘される。更には、水筒内に大腸菌などの有害食中毒菌またはストレプトコッカス・ミュータンスが付着したり腐敗菌が増殖したりする危険性が指摘され、これら菌類の増殖防止及び死滅排除のための効果的機能を保持した水筒類は現在まで発売されていない。
【0003】
その主因として考えられることは、従来、真空保温型水筒類は主として高熱の湯などをボトルに満たし、時間の経過による温度低下を最小化する保温水筒がその主役であったため、熱湯を充填する前記水筒中の液は雑菌類が生存し難いという認識が存在することにより、水筒内液の清浄性は保持されているとの誤認が存在していたことを否定し得ない。
【0004】
しかしながら、人が飲用し得る温度、特に一般的に体温を下回る温度にまで水温が低下したときには菌類の増殖が急激に活発化していく現象を呈する一方、最近の状況では、熱湯の使用よりも、季節にもよるが、スポーツドリンクを始めとする飲料類の常温または冷温使用のシェアが急激に拡大する状況下で、内容液の菌汚染が注目されつつあり、これによる下痢等症状の発生などが現実的な問題となりつつある。
【0005】
特に、子供達の間での回し飲みも含めてボトル内、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンスによる水の汚染も拡大しており、問題となっている。この現状からもボトル・水筒などの内水の水質浄化機能保持への開発期待は大いに高まる現況にある。
【0006】
一方、肉片、魚類等を保管する容器は多く使用されているが、このような容器には比較的大型のものが多く使用されると共に既に膨大な数量が存在・利用されている。特に、肉、魚等の多くは水中に保管される場合も多い実情であるが、これらの食品が食中毒菌に汚染された状況で放置される場合、その発見や拡大防止はほぼ不可能に近い状況下にある。これは前記ボトルの内水と同様に、改善せねばならない食品衛生上の重要な問題点と言える。
【0007】
他方、各家庭のキッチンに存在使用される調理道具として、調理対象の食品を日常的に切断することに利用される、いわゆるまな板と呼ばれるプラスチック板状品が多く使用されているが、該製品の表面に大腸菌などが付着して汚染されることも衛生性の保持にとって問題視されている。この問題に対応するためにプラスチック素材に抗菌剤を配合添加した抗菌まな板が販売されているが、プラスチック素材に単に抗菌剤を添加配合するのみでは抗菌性能は発揮し難いおそれがある。
【0008】
その理由として、抗菌剤粒子を配合しても、成形後に抗菌剤粒子は物理的にプラスチックの内部に分散存在し、ほとんどの粒子はプラスチックの表面に表出していないという現実がある。これは金型面に密着移動するプラスチック溶体が金型に接触移動するときに抵抗値の低いプラスチック溶体のみが金型接触表面を占有する物理的な条件反射に基づいた結果である。これを素因として非プラスチック粒子はプラスチック溶体の内部に閉じ込められることによりプラスチックに含有させる異分子の場合、含有質量に等しい状況で、プラスチックの表面に表出されることは実質的には上記の理由によりほぼあり得ないのが実情である。本発明の実施例における抗菌試験結果がこれを示している。
【0009】
通常、一般的な抗菌能力試験基準時間は24時間又は48時間内での抗菌能力試験結果が求められているが、前記水筒・真空ボトルを含む食品容器などにおいて利用者が求める抗菌効果発現への要求時間は、その実利用状況から見て、最短3時間以内での有害菌死滅効果が期待されていると思われる。
【0010】
その理由として、前記水筒・真空ボトルなどに元もと飲料と共に有害菌が思いがけずに混入したりした場合、有害菌類が増殖を開始するが、同時に増殖の抑制作用=死滅化が行われなければならないとともに、常識的には前記容器に飲料が充填された時点から飲用が開始・終了されるまでの時間差を考慮したとき、24時間ではあまりにも長く、前記水筒ボトル内の水は全て飲用が終了していると考えられる。
【0011】
故に、常識的には、前記水筒・ボトル内の水は充填終了直後から遅くとも3時間以内に有害菌類の全死滅、または100以下/ccの生菌数を企図し得る抗菌能力の短時間発揮性能の存在を抗菌試験によって確認することが理想的であると考えられる。銀による抗菌機能発揮は、銀表面に接触した酸素を活性化する銀オリゴダイナミックアクシオンとして古くより知られており、これを主因として食器類や飲水保管に重用された歴史は古く、抗菌・減菌と云っても、いわゆる化学薬品に依る作用ではなく活性酸化作用として認められており、勿論人体有害性は全くなく、例えば乳酸菌など人体有益菌には全く影響を及ぼすことなく、人体有害菌たる食中毒菌・嫌気菌類に強い抗菌・殺菌効力を示す銀表面の活性酸化作用効果に基づく抗菌・滅菌作用であるため、安全下に抗菌・滅菌効果を表す作用を持つことが銀オリゴダイナミックアクシオンとして知られている。
【0012】
一方、特許文献1は、変色のない銀抗菌容器を開示している。しかし、この特許文献1は、抗菌機能を発揮する成分としてナノサイズの純粋な銀粉末を用いて24時間後の抗菌効果のみを考察しているだけであり、約3時間以内の早期抗菌効果については考察していない。
【0013】
本発明の最大点は、上述したような短時間滅菌能力発現について様々なお試し実験の結果、添付資料のように純粋な銀を用いる場合では全く満足できない実験結果しか出なかった。一方、窒素ガス雰囲気の下に銀焼結製品のみが2時間以内で100%滅菌を達成することができて有用な証明を得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録実用新案第20−0377167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、使用により発生する菌の増殖を防止し、短時間で菌を死滅させる抗菌性製品を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、菌により汚染された水などを殺菌し浄化する抗菌性製品を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、2時間以内の早期抗菌効果を示す抗菌性製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る抗菌性製品は一つ以上の抗菌部を含み、前記抗菌部は窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記抗菌性製品は食品容器、食卓用具、調理道具、食品保存器具、医療器具、植物器具、動物器具または洗浄道具から選択できる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記抗菌部または前記抗菌性製品の材料は金属、硝子、セラミック、石材、鉱物、プラスチック及びこれらの組み合わせから選ばれる材料を含むことができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記抗菌部は板状、球状、棒状、塊状、粒状、砂状または抗菌性製品の形状から選ばれる形状を有することができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、基材として層状窒素雰囲気下焼結銀を含み、抗菌部の表面に位置する層(層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層)であるか、または、基材としてプラスチックを含み、基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀、若しくは基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀と基材内に分散した粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを含み、抗菌部の表面に位置する層(粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層)であり得る。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の下の抗菌部の一部若しくは全体が粗面であるか、または粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の一部若しくは全体が粗面であり得る。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記粗面がサンドブラスト加工によって形成できる。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが0.1μm乃至20μmであるか、または前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが10μm乃至20μmであり得る。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層と前記抗菌部とが一体に形成できる。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記抗菌部と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、粒子状窒素雰囲気下焼結銀をプラスチック100重量部に対して1乃至60重量部で含むことができる。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀の内部コアは鉱物系または岩石系粒子を含むことができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記鉱物系または岩石系粒子と前記窒素雰囲気下焼結銀との重量比は100:0.1乃至10であり得る。
【0030】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に銀塩類化合物粉末を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液を前記抗菌部上に塗布する第2工程と、前記抗菌部上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程とを含むことができる。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記抗菌部の材料は金属、硝子、セラミック、石材、鉱物及びこれらの組み合わせから選択される材料を含むことができる。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記第1工程で、前記水または極性有機溶媒100重量部に前記銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加することができる。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記銀塩類化合物は炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択できる。
【0034】
本発明の一実施形態において、前記第3工程で、焼結温度は440℃以上であり得る。
【0035】
本発明の一実施形態において、前記第2工程の前に、前記抗菌部に粗面を形成することができ、前記第2工程で、前記銀塩類溶解液を前記粗面の上に塗布することができる。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記粗面をサンドブラスト加工で形成することができる。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を0.1μm〜20μmの厚さに形成することができる。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記第3工程の後に、前記抗菌部を含む抗菌性製品を製造する工程をさらに含むことができる。
【0039】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液を抗菌部上に塗布する第2工程と、前記抗菌部に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気または大気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層または層状酸化銀焼結体含有表面層を形成する第3工程とを含むことができる。
【0040】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀を製造する第1工程と、プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を露出させる第4工程とを含むことができる。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記第1工程で、鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末との重量比が100:0.1〜10であり、前記鉱物系または岩石系粒子及び銀塩類化合物粉末の混合物と前記水または極性有機溶媒との重量比が1〜70:100であり得る。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記銀塩類化合物は炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択できる。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記第1工程で、焼結温度は440℃以上であり得る。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記第2工程で、前記プラスチック材料と前記粒子状窒化銀焼結体との重量比は100:1〜60であり得る。
【0045】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気または大気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を製造する第1工程と、プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を露出させる第4工程とを含むことができる。
【0046】
本発明の一実施形態に係る抗菌性金属たわしは、水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1ないし10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液に金属纎維からなる金属たわしを浸漬し、前記銀塩類溶解液を前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に塗布する第2工程と、前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で440℃以上の温度で焼結し、前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程とを含む製造方法により製造されることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る抗菌性製品は、使用により発生する菌の増殖を防止し、菌を死滅させ、汚染した水などを殺菌及び浄化し、2時間以内の早期抗菌効果を示す。
【0048】
具体的に、本発明に係る抗菌性製品は、使用による菌汚染を防止するだけでなく、非常時には一般河川、湖及び沼の水を抗菌性製品に入れても、所定時間経過後(一般には約2時間以上経過後)には、大腸菌など有害食中毒菌類・サルモネラ・腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌またはストレプトコッカス・ミュータンスなどの、主として銀効果による活性酸化作用に抵抗力の低い嫌気菌類に属する有害細菌類を除去・死滅させる能力を強く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態に係る食品容器(真空水筒)の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る食品容器(真空水筒)の抗菌部(唇接触部)の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る食品容器(真空水筒)の抗菌部(唇接触部)の側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る食品容器(真空水筒)の抗菌部(唇接触部)の斜視図である。
図5】比較例1の銀真空焼結ボトルの抗菌試験の開始時に試験液を撮った写真である。
図6】比較例1の銀真空焼結ボトルの抗菌試験の3時間後に試験液を撮った写真である。
図7】比較例1の銀真空焼結ボトルの抗菌試験の6時間後に試験液を撮った写真である。
図8】参考例1の酸化銀ボトルの抗菌試験の開始時に試験液を撮った写真である。
図9】参考例1の酸化銀ボトルの抗菌試験の3時間後に試験液を撮った写真である。
図10】参考例1の酸化銀ボトルの抗菌試験の6時間後に試験液を撮った写真である。
図11】実施例1の窒素雰囲気下焼結銀ボトル及び滅菌合成樹脂製の容器の抗菌試験の開始時に試験液を撮った写真である。
図12】実施例1の窒素雰囲気下焼結銀ボトルの抗菌試験の2時間後に試験液を撮った写真である。
図13】実施例1の滅菌合成樹脂製の容器の抗菌試験の2時間後に試験液を撮った写真である。
図14】実施例1の窒素雰囲気下焼結銀ボトルの抗菌試験の3時間後に試験液を撮った写真である。
図15】実施例1の滅菌合成樹脂製の容器の抗菌試験の3時間後に試験液を撮った写真である。
図16】実施例1の窒素雰囲気下焼結銀ボトルの抗菌試験の4時間後に試験液を撮った写真である。
図17】実施例1の滅菌合成樹脂製の容器の抗菌試験の4時間後に試験液を撮った写真である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
抗菌性製品
本発明に係る抗菌性製品は一つ以上の抗菌部を含み、前記抗菌部は窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を含むことができる。
【0051】
前記抗菌性製品は、抗菌機能が要求される製品であって、例えば、食品容器、食卓用具、調理道具、食品保存器具、医療器具、植物器具、動物器具、洗浄道具などがある。また、前記抗菌性製品は、水に接触する、または水を含む製品であって、清浄性が要求される広範囲な用途の製品を制限なく含むことができる。
【0052】
食品容器は、食品を入れる容器であって、例えば、単層または二重層(真空)の瓶、カップまたはタンブラー、やかん、壺、弁当容器、電気ポット、水タンク、フードトレイ、及び食品保管容器などがある。
【0053】
食卓用具は、食卓で使用される道具であって、例えば、皿、茶皿、フォーク、スプーン、箸、スプーン及び/又は箸置き、鍋敷き、トレイ、箸スタンドなどがある。
【0054】
調理道具は、調理に使用される器具であって、例えば、ミキシングボール、杓子、トング、しゃもじ、ザル、バスケット、フライ返し、海苔巻き及び/又はお握り型、オープナー、スープバスケット、泡立て器、絞り、ロート、製麺機、鍋、釜、まな板、フライパン、刃物類(包丁、調理バサミなど)、やかん、ティーポット、製菓用品(抜き型など)、製パン用品(パン型など)などがある。
【0055】
食品保存器具は、前記食品容器を除いて家庭、食堂、会社などで使用される食品を保存する器具であり、その具体的な形状は制限されず、その例としては、水保存器具(水槽、浄水器など)、一般またはキムチ冷蔵庫、 冷凍庫などがある。
【0056】
医療器具は、医療現場、看護現場などで使用される器具であって、例えば、ピンセット、メス、ハサミ、消毒板、トレイ、開口器、単層または二重層(真空)の消毒薬筒または浄水容器、リンゲル台などがある。
【0057】
植物器具は、植物の栽培または保管するか輸送するのに使用される器具であって、例えば、花鉢、植物栽培装置、植物保管装置、植物輸送装置などがある。
【0058】
動物器具は、動物の飼育または保管するか輸送するのに使用される器具であって、例えば、金魚鉢、水槽、水槽装飾用品、水槽濾過器、水槽掃除用品、水槽用酸素供給器、水槽用モーター、生け魚輸送容器、ペット用トレイ、ペット用水筒または魔法瓶、ペット用給水器又は給食器、飼料保管容器などがある。
【0059】
洗浄道具は、水や洗剤などの洗浄液を用い、上記に例示された抗菌性製品をはじめとする多様な物から汚れと細菌を除去する道具であって、その例としては、たわし、スポンジ、ブラシ、筆、布などがある。
【0060】
前記抗菌部は抗菌機能を有する成分(抗菌成分)をその表面、またはその表面及び内部に含む部品である。食品容器の場合、前記抗菌部は内壁、底部、唇接触部、水接触部、ハンドルなどの一部若しくは全体であるか、または食品容器全体である。食卓用具、調理道具または食品保存器具の場合、前記抗菌部は飲食物接触部、水接触部、ハンドルなどの一部若しくは全体であるか、または食卓用具、調理道具または食品保存器具全体である。医療器具の場合、前記抗菌部は患者身体の接触部、水接触部、ハンドルなどの一部若しくは全体であるか、または医療器具全体である。植物器具の場合、前記抗菌部は内壁、底部、植物接触部、水接触部、ハンドルなどの一部若しくは全体であるか、または植物器具全体である。動物器具の場合、前記抗菌部は内壁、底部、動物接触部、水接触部、ハンドルなどの一部若しくは全体であるか、または動物器具全体である。洗浄道具の場合、前記抗菌部は、水、汚物、細菌などの接触部などの一部若しくは全体であるか、または洗浄道具全体であってもよい。前記抗菌部は板状(円形板、角形板、筒形板)、球状、棒状、塊状、粒状、砂状、抗菌性製品の形状等の形状を有することができる。
【0061】
本発明の一実施形態において、前記抗菌部または抗菌性製品の材料は金属(不錆金属)、硝子、セラミック(陶器)、石材、鉱物、プラスチック及びこれらの組み合わせから選ばれる材料を含むことができる。
【0062】
前記プラスチックの例としては、成形時に加熱溶融状態で枠に嵌めて作る熱可塑性樹脂または成分を混合して加熱、硬化させることにより成形する熱硬化性樹脂があり、具体的には、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、高密度または低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、マレイミド、尿素樹脂、ベークライト樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド、フェノール系樹脂、ポリエポキシド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、フラン、シリコーン、ポリスルホンなどがあるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0063】
前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、基材として層状窒素雰囲気下焼結銀を含み、抗菌部の表面に位置する層(以下、「層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層」という)であり得る。前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、基材としてプラスチックを含み、基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀、または、基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀と基材内に分散した粒子状窒素雰囲気下焼結銀を含み、抗菌部の表面に位置する層(以下、「粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層」という)であり得る。粒子状窒素雰囲気下焼結銀が基材の表面に露出するというのは、例えば抗菌性製品が食品容器である場合、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀が食品または唇(唇の周囲の器官と手関連器官を含む)に直接接することができることを意味する。
【0064】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の下の抗菌部の一部または全体が粗面であり得る。前記粗面が存在する場合、層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の密着力を向上させ、層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層による抗菌効果も向上させることができる。
【0065】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の一部または全体が粗面であり得る。前記粗面が存在する場合、粒子状窒素雰囲気下焼結銀の露出量が多くなって粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層による抗菌効果を向上させることができる。
【0066】
本発明の一実施形態において、 前記粗面がサンドブラスト加工によって形成できる。前記サンドブラスト加工は、噴射加工の一種であって、直径の小さいガラス球、ケイ素、海砂などを素材の表面上に空気で噴射させるか、または重力で落下させる方法である。
【0067】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが0.1μm乃至20μmであり得る。この範囲の場合、優れた抗菌効果を示すことができる。
【0068】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが10μm乃至20μmであり得る。この範囲の場合、優れた抗菌効果を示すことができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が窒素雰囲気下焼結銀を、層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の総重量に対して、50〜100重量%、70〜100重量%、または90〜100重量%で含むことができる。前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が前記窒素雰囲気下焼結銀を前記範囲のうちのいずれかの範囲で含む場合、優れた早期抗菌性を示すことができる。前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が窒素雰囲気下焼結銀を100重量%未満で含む場合、銀、酸化銀などの銀化合物、その他の不純物等を含むことができ、銀化合物以外の他の抗菌剤成分をさらに含むことができる。
【0070】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が窒素雰囲気下焼結銀を、プラスチック100重量部に対して、1乃至60重量部、1乃至40重量部、5乃至30重量部、10乃至20重量部、または1乃至10重量部で含むことができる。前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が前記窒素雰囲気下焼結銀を前記範囲のうちのいずれかの範囲で含む場合、優れた早期抗菌性を示すことができる。前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、銀、酸化銀などの銀化合物、その他の不純物などを含むことができ、銀化合物以外の他の抗菌剤成分をさらに含むことができる。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の基材の表面に露出するか、または基材内に分散した粒子状窒素雰囲気下焼結銀は、その内部コアに鉱物系若しくは岩石系粒子を含むことができる。
【0072】
鉱物系粒子としては、人体、植物及び/又は動物に無害なものであって、元素鉱物系粒子、硫化鉱物系粒子、酸化鉱物系粒子、ハロゲン鉱物系粒子、炭酸塩鉱物系粒子、硝酸塩鉱物系粒子、ホウ酸塩鉱物系粒子、硫酸塩鉱物系粒子、リン酸塩鉱物系粒子、ヒ酸塩鉱物系粒子、バナジウム酸塩鉱物系粒子、タングステン酸塩鉱物系粒子、モリブデン酸塩鉱物系粒子、ケイ酸塩鉱物系粒子などを制限なく使用することができ、その具体的な例としては、タルク粒子、ゼオライト粒子、珪石粒子、ベントナイト粒子、マイカ粒子、ドロマイト粒子などがある。前記タルク粒子として、食品添加物用タルク粉末、例えば、タルク粉末E553b(EU認可番号)を使用することができる。
【0073】
岩石系粒子としては、人体、植物及び/又は動物に無害なものであって、前記鉱物(例えば、元素鉱物、硫化鉱物、酸化鉱物など)を1種以上含む岩石の粒子を制限なく使用することができ、その具体的な例としては砂などがある。
【0074】
本発明の一実施形態において、前記鉱物系または岩石系粒子と前記窒素雰囲気下焼結銀との重量比が100:0.1乃至10、または100:1乃至5であり得る。
【0075】
本発明の一実施形態において、前記鉱物系または岩石系粒子の直径は10μm乃至20μmであり得る。本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀における窒素雰囲気下焼結銀の厚さ(粒子状窒素雰囲気下焼結銀の中心から表面までの半径から鉱物系または岩石系粒子の半径を除いた距離)が0.1μm乃至20μmであり得る。この範囲の場合、優れた抗菌効果を示すことができる。
【0076】
前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、前記抗菌部に固体状態で結合されている。前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、別途製造された後、前記抗菌部に組み立てられるか、または物理的結合若しくは接着剤等による化学的結合によって前記抗菌部に結合され得る。また、後述する製造方法でのように、前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は前記抗菌部と共に形成できる。
【0077】
本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層と前記抗菌部とは一体に形成できる。一体に形成されるというのは、例えば、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層と前記抗菌部が一つの金型または成形型内で一つの部品として成形されるか、またはこれらが同一若しくは類似の組成を有することを意味する。この場合、他の部品とも一緒に一つの部品に成形できる。一体に形成された部品は、難燃剤、熱安定剤、着色剤、顔料、相溶化剤、光安定剤、衝撃補強剤、無機充填剤などの添加剤を部品の総重量に対して0.1乃至5重量%で含むことができる。
【0078】
本発明の一実施形態において、一体に形成された前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層と前記抗菌部とが、粒子状窒素雰囲気下焼結銀を、プラスチック100重量部に対して、1乃至60重量部、1乃至40重量部、5乃至30重量部、10乃至20重量部または1乃至10重量部で含むことができる。前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を前記範囲のいずれかで含む場合、プラスチック材料の成形性を阻害することなく優れた早期抗菌性を示すことができる。
【0079】
一つの抗菌部は抗菌性製品を独立に構成することができる(例えば、まな板)。一つ以上の抗菌部が組立または結合されて抗菌性製品を構成することができる。前記抗菌部は他の部品と一体に形成されて抗菌性製品を構成するか、または他の部品と組立若しくは結合されて抗菌性製品を構成することができる。抗菌部同士が結合されるか、または抗菌部が他の部品と結合される場合、抗菌部同士、抗菌部と他の部品、または他の部品同士が突部と凹部の結合構造、溶接などの物理的結合若しくは接着剤等による化学的結合によって結合されるため、抗菌性製品の使用時、廃棄時、または使用及び廃棄時に分離されないことがある。
【0080】
本発明の一実施形態において、抗菌性製品は食品容器であり得る。食品容器の抗菌部は
食品容器の内壁及び/又は唇接触部の一部若しくは全体であり得る。本発明の一実施形態
に係る食品容器は、食品容器の内壁の一部または全体上に第1窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を含むことができ、前記食品容器の唇接触部の一部または全体上に第2窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を含むことができる。
【0081】
図1は本発明の一実施形態に係る食品容器(真空水筒)を示す断面図である。図1を参
照すると、真空水筒が外筒10、内筒20及び唇接触部30で構成される。前記内筒20
の内壁の一部または全体上に第1窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が含まれ、前記唇接触部30の一部または全体上に第2窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が含まれる。図2図3及び図4はそれぞれ本発明の一実施形態に係る食品容器(真空水筒)の抗菌部(唇接触部;30)の断面図、側面図及び斜視図である。
【0082】
食品容器に入っている食品は、天然または加工食品であり、水、飲料水、ヨーグルト、牛乳、ジュース、コーヒー、お茶、お酒などの液体食品だけでなく、肉片、魚類などの固体及び液体の混合食品であり得るが、これに限定されない。
【0083】
本発明の一技術的特徴は、窒素雰囲気下焼結銀の表面に接した水分中の酸素を活性化させて大腸菌などの嫌気菌類または人体に有害な中毒菌類を死滅させることにより、食品容器内の水が抗菌性能を維持するようにする(食品容器内の水を抗菌水化する)ことであり、このような特徴が以下の実施例で試験結果によって証明されたが、その抗菌対象を単に食品容器内の水だけでなく前述の如く様々な食品の保管容器に応用すると、食品保管中の衛生性を良好に維持することができる。
【0084】
本発明の一実施形態において、食品容器の材料が金属、硝子、セラミック(陶器)、石材、鉱物、プラスチック及びこれらの組み合わせから選ばれる材料を含むことができる。
【0085】
本発明の一実施形態において、食品容器が単層または二重層(真空)の瓶、カップ又はタンブラー、壺、弁当容器、フードトレイ及び食品保管容器から選択できる。
【0086】
前記食品容器の内壁は、食品容器内に食品を最大または所定量で充填した時または使用者の食品の摂取時に、その食品と接触している容器の一部であって、主として食品容器の内部の側面と底面であり得る。また、食品容器の内壁は、食品を摂取する人または人以外の動物の身体が触れない部分であり得る。
【0087】
前記食品容器の唇接触部は、唇だけでなく、口周りの他の器官、例えば、歯、歯茎、口蓋、舌、頬粘膜などが直接、または食品、唾液などを媒介として間接的に接触する食品容器の部分であり得る。また、前記唇接触部は、唇だけでなく、鼻、鼻溝、頬、顎などの口周りの他の器官または手指、手の爪、手の甲、手のひらなどの手関連器官が接触する部分であり得る。
【0088】
前記第1及び第2窒素雰囲気下焼結銀含有表面層についての内容は、窒素雰囲気下焼結銀含有表面層について上述した説明と同様である。
【0089】
前記内壁(内筒)と前記唇接触部とが結合して食品容器を独立に構成することができる。食品容器は、前記内壁及び前記唇接触部と共に外筒(図1参照)、ハンドル、蓋、開閉装置、センサー、表示装置などを含むことができる。
【0090】
例えば、カップのように、唇接触部の一部または全体が内壁の一部または全体となることができ、内壁の一部または全体が唇接触部の一部または全体となることができる。前記内壁または唇接触部(図1、2及び4参照)またはその他の部品に食品の流出入口が形成できる。
【0091】
唇接触部は、前記内壁(内筒)と一体に形成されてもよく、別個の部品として構成されてもよい。唇接触部が別個の部品として構成される場合、唇接触部と内壁とが突部と凹部の結合構造、溶接などの物理的結合または接着剤等による化学的結合によって結合されるため、食品容器の使用時、廃棄時、または使用及び廃棄時に分離されないことがある。
【0092】
また、唇接触部が別個の部品として構成される場合、図1、2、3及び4に示すように、唇接触部が円筒状であり、その外面にねじ山が形成され、これに接する内壁(内筒)の部分にはそのねじ山に相応するねじ山が形成されることにより、組立と分離を容易にすることができる。
【0093】
前記内壁と唇接触部以外の他の部品との結合若しくは組立、または前記内壁若しくは前記唇接触部と他の部品との結合若しくは組立も、前記内壁と唇接触部との結合若しくは組立と同様である。
【0094】
抗菌性製品の製造方法
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に銀塩類化合物粉末を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液を抗菌部上に塗布する第2工程と、前記抗菌部に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気の下で焼結して前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程とを含むことができる。
【0095】
例えば、抗菌部として内壁と唇接触部の一部または全体を含む食品容器の製造方法は、水または極性有機溶媒に銀塩類化合物粉末を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液を食品容器の内壁と唇接触部の一部または全体上に塗布する第2工程と、前記内壁及び前記唇接触部に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で焼結して、前記内壁の一部または全体上に第1層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成し、前記唇接触部の一部または全体上に第2層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程とを含むことができる。
【0096】
本発明の一実施形態において、前記抗菌部の材料は、金属(不錆金属)、硝子、セラミック(陶器)、石材、鉱物及びこれらの組み合わせから選択される材料を含むことができる。前記抗菌部は、板状(円形板、角形板、筒形板)、球状、棒状、塊状、粒状、砂状、抗菌性製品の形状などの形状を有することができる。
【0097】
前記極性有機溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、ギ酸、ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸などがあるが、これらに限定されない。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記第1工程で、前記水または極性有機溶媒100重量部に前記銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加することができる。この場合、製造された食品容器が優れた早期抗菌性を示すことができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、前記銀塩類化合物は、炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択できる。
【0100】
本発明の一実施形態において、前記第3工程で、焼結温度が440℃以上、例えば440℃〜500℃であり得る。前記焼結温度は銀塩類化合物の種類と抗菌部の材料による。
【0101】
本発明の一実施形態において、前記第2工程の前に、前記抗菌部に粗面を形成することができ、前記第2工程で、前記銀塩類溶解液を前記粗面上に塗布することができる。この場合、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の密着力を向上させるとともに、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層による抗菌効果も向上させることができる。
【0102】
本発明の一実施形態において、前記粗面をサンドブラスト加工で形成することができる。
【0103】
前記窒素雰囲気は、焼結工程が行われる系(例えば、炉体)内の雰囲気が窒素を90〜100体積%、または95〜100体積%で含むことを意味する。
【0104】
本発明の一実施形態において、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を0.1μm乃至20μmの厚さに形成することができる。
【0105】
本発明の一実施形態において、前記第1工程の前に、一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品を製造する工程(例えば、結合または組立工程)を含むことができ、ここで、抗菌性製品は他の部品を含むことができる。前記抗菌部同士、前記抗菌部と他の部品、または他の部品同士の結合または組立工程は前述したとおりである。
【0106】
例えば、抗菌性製品が食品容器である場合、前記第1工程の前に、前記内壁及び前記唇接触部を含む食品容器を製造する工程(例えば、結合または組立工程)を含むことができ、ここで、食品容器は他の部品、例えば、外筒、ハンドル、蓋、開閉装置、センサー、表示装置などを含むことができる。
【0107】
本発明の一実施形態において、前記第3工程の後に、食品容器の温度を室温、例えば20℃に降温する第4工程を含むことができる。
【0108】
一方、前記第1工程の前に、一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品を製造する工程を含む場合、必要以上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が広く形成されて経済性が低下するおそれがある。また、抗菌性製品の形状と大小差は千差万別であって、全ての抗菌性製品に対して前記塗布及び焼結工程を一律的に行うことは難しい。
【0109】
これを解決する手段として、全ての抗菌性製品の抗菌部に設置可能な形状として考えられる普遍的な形状を用いることができ、この場合にも抗菌性製品に共通に要求される衛生性を維持することができる。すなわち、前記第3工程または前記第4工程の後に、前記抗菌部を含む抗菌性製品を製造する第5工程(例えば、結合または組立工程)を含むことができ、ここで、抗菌性製品は他の部品、例えば、食品容器の場合、底面、内壁面、唇接触部、外筒、ハンドル、蓋、開閉装置、センサー、表示装置などを含むことができる。前記抗菌部同士の結合若しくは組立工程、前記抗菌部以外の他の部品同士の結合若しくは組立工程、または前記抗菌部と他の部品との結合若しくは組立工程は前述したとおりである。前記方法は、抗菌性製品を経済的に製造することができ、様々な各種形状の抗菌性製品の所望の部位に抗菌部を容易に位置させることができ、抗菌性製品に滅菌機能、浄化機能及び衛生性を効果的に与えることができる。
【0110】
例えば、抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に銀塩類化合物粉末を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する工程と、抗菌部にサンドブラスト加工によって粗面を形成する工程と、前記銀塩類溶解液を前記粗面上に塗布する工程と、前記粗面上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気の下で焼結し、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する工程と、前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が形成された抗菌部を他の抗菌部または抗菌部以外の他の部品、例えば、食品容器の場合、底面、内壁面、唇接触部、外筒、ハンドル、蓋、開閉装置、センサー、表示装置などと結合または組立する工程を含むことができる。
【0111】
本発明の一実施形態において、前記第3工程、第4工程または第5工程の後に、抗菌性製品を洗浄する工程、または洗浄して乾燥する工程を含むことができる。
【0112】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液を抗菌部上に塗布する第2工程と、前記抗菌部に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気または大気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層または層状酸化銀焼結体含有表面層を形成する第3工程とを含むことができる。
【0113】
本発明の一実施形態において、抗菌性製品は抗菌性金属たわしであり、抗菌性金属たわしの製造方法は、水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1ないし10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、前記銀塩類溶解液に金属纎維からなる金属たわしを浸漬し、前記銀塩類溶解液を前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に塗布する第2工程と、前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で440℃以上の温度で焼結し、前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程とを含むことができる。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記方法により製造された抗菌性金属たわしを提供する。前記抗菌性金属たわしは、生け魚輸送容器及び飼育生け魚水槽内の水の殺菌、人間の入浴浴槽内の水の浄化、及び飲水保管容器内の水の浄化及び滅菌の用途で共用可能な清浄化を実現することができる。前記抗菌性金属たわしは、接水表面積が広く、通水性及び通気性に優れ、洗浄対象容器内の水の有害菌類を速く滅菌することができ、440℃以上の耐熱性を維持することができる。
【0115】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀を製造する第1工程と、プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を露出させる第4工程とを含むことができる。
【0116】
例えば、内壁と唇接触部を含む食品容器の製造方法は、水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加して混合した後、窒素雰囲気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀を製造する第1工程と、プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、前記ペレットを用いて前記内壁、前記唇接触部、または前記内壁及び前記唇接触部を成形する第3工程と、前記内壁、前記唇接触部、または前記内壁と前記唇接触部との一部または全体にサンドブラスト加工を行い、前記内壁、前記唇接触部、または前記内壁及び前記唇接触部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を露出させる第4工程とを含むことができる。この第4工程で、前記唇接触部の要部の表面にサンドブラスト加工を行い、前記唇接触部(30)の要部(40)の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を露出させることができる。
【0117】
前記極性有機溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、ギ酸、ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸などがあるが、これらに限定されない。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0118】
前記鉱物系粒子としては、人体、植物、及び/又は動物に無害なものであって、元素鉱物系粒子、硫化鉱物系粒子、酸化鉱物系粒子、ハロゲン鉱物系粒子、炭酸塩鉱物系粒子、硝酸塩鉱物系粒子、ホウ酸塩鉱物系粒子、硫酸塩鉱物系粒子、リン酸塩鉱物系粒子、ヒ酸塩鉱物系粒子、バナジウム酸塩鉱物系粒子、タングステン酸塩鉱物系粒子、モリブデン酸塩鉱物系粒子、ケイ酸塩鉱物系粒子などを制限なく使用することができ、その具体的な例としては、タルク粒子、ゼオライト粒子、珪石粒子、ベントナイト粒子、マイカ粒子、ドロマイト粒子などがある。前記タルク粒子として、食品添加物用タルク粉末、例えば、タルク粉末E553b(EU認可番号)を使用することができる。
【0119】
前記岩石系粒子としては、人体、植物、及び/又は動物に無害なものであって、前記鉱物(例えば、元素鉱物、硫化鉱物、酸化鉱物など)を少なくとも1種含む岩石の粒子を制限なく使用することができ、その具体的な例としては砂などがある。
【0120】
本発明の一実施形態において、前記鉱物系または岩石系粒子の直径は10μm乃至20
μmであり得る。本発明の一実施形態において、前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀における窒素雰囲気下焼結銀の厚さ(粒子状窒素雰囲気下焼結銀の中心から表面までの半径から鉱物系または岩石系粒子の半径を除いた距離)を0.1μm乃至20μmにすることができる。この範囲の場合、優れた抗菌効果を示すことができる。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記銀塩類化合物は、炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択できる。
【0122】
本発明の一実施形態において、前記第1工程で、鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末との重量比が100:0.1〜10または100:1〜5であり得る。前記鉱物系または岩石系粒子及び銀塩類化合物粉末の混合物と前記水または極性有機溶媒との重量比が1〜70:100であり得る。この場合、製造された抗菌性製品が優れた早期抗菌性を示すことができる。
【0123】
前記窒素雰囲気は、焼結工程が行われる系(例えば、炉体)内の雰囲気が窒素を90〜100体積%、または95〜100体積%で含むことを意味する。
【0124】
本発明の一実施形態において、前記第1工程で、焼結温度が440℃以上、例えば440℃〜1000℃であり得る。前記焼結温度は銀塩類化合物と鉱物系または岩石系粒子の種類によって異なる。
【0125】
本発明の一実施形態において、前記第2工程で、前記プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀との重量比が100:1〜60、100:1〜40、または100:5〜30、100:10〜20または100:1〜20であり得る。前記プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀との重量比が前記範囲のうちのいずれかである場合、プラスチック材料の成形性を阻害することなく、製造された抗菌部を含む抗菌性製品が優れた早期抗菌性を示すことができる。
【0126】
前記第3工程で、前記抗菌部を板状(円形板、角形板、筒形板)、球状、棒状、塊状、粒状、砂状、抗菌性製品の形状などの形状に成形することができる。本発明の一実施形態において、前記第3工程で、前記ペレットを用いて、前記抗菌部を含む抗菌性製品を成形する工程を含むことができる。この場合、抗菌部と他の部品とは一体に形成される。
【0127】
本発明の一実施形態において、前記第1工程の後に、粒子状窒素雰囲気下焼結銀の温度を室温、例えば20℃に降温する工程を含むことができる。
【0128】
前記第4工程によって基材としてプラスチックを含み、基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀、または基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀と基材内に分散した粒子状窒素雰囲気下焼結銀を含み、抗菌部の表面に位置する層、すなわち粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が形成できる。
【0129】
本発明の一実施形態において、前記第4工程の後に、前記抗菌部を含む抗菌性製品を製造する第5工程(例えば、結合または組立工程)を含むことができ、ここで、抗菌性製品は他の部品を含むことができる。前記抗菌部同士の結合若しくは組立工程、前記抗菌部以外の他の部品同士の結合若しくは組立工程、または前記抗菌部と他の部品との結合若しくは組立工程は前述したとおりである。
【0130】
例えば、抗菌性製品が食品容器である場合、前記第4工程の後に、前記内壁及び前記唇接触部を含む食品容器を製造する第5工程(例えば、結合または組立工程)を含むことができ、ここで、食品容器は他の部品、例えば、外筒、ハンドル、蓋、開閉装置、センサー、表示装置などを含むことができる。前記内壁と前記唇接触部との結合または組立工程、前記内壁と唇接触部以外の他の部品との結合または組立工程、または前記内壁または前記唇接触部と他の部品との結合または組立工程は前述したとおりである。
【0131】
本発明の一実施形態において、前記第5工程の後に、食品容器を洗浄する工程、または洗浄して乾燥する工程を含むことができる。
【0132】
本発明の一実施形態に係る一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法は、水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加して混合した後、窒素雰囲気または大気下で前記銀塩類化合物を焼結して粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を製造する第1工程と、プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を露出させる第4工程とを含むことができる。
【実施例】
【0133】
以下、本発明を下記実施例に基づいて具体的に説明する。下記実施例は、本発明を具体的に例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0134】
(比較例1)
試験用銀真空焼結ボトルを用いた。
非酸化銀ボトルの抗菌試験
次の抗菌試験は日本食品分析センターに依頼して行った。前記銀真空焼結ボトルの大腸菌に対する抗菌力を試験した。
検体:銀真空焼結ボトルに大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを入れてそのまま置いたもの
対照:滅菌合成樹脂製の容器に大腸菌含有精製水200mLを入れてそのまま置いたもの
それぞれの検体を20℃で保存しながら時間の経過による大腸菌数を測定し、その結果を次の表1に示した。
【表1】
開始時、3時間後及び6時間後に試験液中の0.1mLを取った後、写真を撮り、その写真を図5図6及び図7に示した。
前記表1及び図4を参照すると、試験用銀真空焼結ボトルは、大腸菌を含むミネラルウォーターの流入6時間後にも、その大腸菌をほとんど死滅させなかったことが分かる。
【0135】
(参考例1)
図1のように上部にねじ山が形成された内壁(ステンレス鋼製)、外筒(ステンレス鋼製)、内壁と外筒との間の真空部、及び外面にねじ山が形成された唇接触部(アルミ合金製)で構成された円筒状の食品容器(高さ:20cm、直径:5cm)を製作した。水100重量部に硝酸銀粉末1.5重量部を添加し、溶解させて硝酸銀水溶液を製造した。硝酸銀水溶液を食品容器の内壁及び唇接触部の上に塗布した。塗布部を大気下に440℃で120分間焼結して、内壁の上に第1酸化銀焼結表面層を形成し、唇接触部の上に第2酸化銀焼結表面層を形成し、温度を20℃に降温した。水で洗浄した後、室温で乾燥させ、内壁と唇接触部に酸化銀焼結表面層が形成されたボトルを製造した。
酸化銀ボトルの抗菌試験
次の抗菌試験は日本食品分析センターに依頼して行った。前述のように製造された酸化銀ボトルの大腸菌に対する抗菌力を試験した。
検体1)酸化銀ボトルに大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを入れてそのまま置いたもの
検体2)酸化銀ボトルに大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを入れて逆さまに置いたもの
対照:滅菌合成樹脂製の容器に大腸菌含有精製水200mLを入れてそのまま置いたもの
それぞれの検体を20℃で保存しながら時間の経過による大腸菌数を測定し、その結果を次の表2に示した。
【表2】
開始時、3時間後及び6時間後に試験液中の0.1mLを取った後、写真を撮り、その写真を図8図9及び図10に示した。
前記表2と図10を参照すると、酸化銀ボトルは大腸菌含有ミネラルウォーターの流入6時間後にその大腸菌を完全に死滅させたことが分かる。
【0136】
(参考例2)
水1000mLにタルク粒子(E553b:EU認可番号)0.5Kgと硝酸銀粉末10gを添加し、混合して乾燥した後、大気下で前記乾燥粉末を440℃で120分間焼結することにより、その内部コアにタルク粒子を含む粒子状酸化銀焼結体を製造した。プラスチック材料(ポリプロピレン)100重量部と前記粒子状酸化銀焼結体40重量部とを混合し、加熱してペレットに製造した。当該ペレットによりまな板(横:34cm、縦:23cm、高さ:0.3cm)を成形した。まな板の上下使用面の全域にサンドブラスト加工を行い、まな板の上下面に粒子状酸化銀焼結体を露出させた。製造されたまな板を検体2として使用した。
まな板の抗菌試験
次の抗菌試験は日本食品分析センターに依頼して行った。次の検体に対して、大腸菌に対する抗菌力を試験した。
無加工1)ポリエチレンフィルムに大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを振り撒いた直後
検体1)サンドブラスト加工を行っていない以外は上記の方法で製造されたまな板に大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを撒いて35℃で24時間そのまま置いたもの
検体2)上記の方法で製造されたまな板に大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを撒いて35℃で24時間そのまま置いたもの
無加工2)ポリエチレンフィルムに大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを撒いて35℃で24時間そのまま置いたもの
それぞれの検体で大腸菌数を測定し、その結果を次の表3に示した。
【表3】
前記表3を参照すると、サンドブラスト加工を行って粒子状酸化銀焼結体が露出した検体2)は、サンドブラスト加工を行わない検体1)に比べて大腸菌の生菌数が著しく減少したことが分かる。
抗菌能力試験結果評価について抗菌能力試験実施機関たる日本食品分析センターでの抗菌能力の有無判定要件として、残存生菌数比較で2桁以上の残存生菌数差確認によって抗菌能力有無の判定を為す規定が存在するが、これによれば、3桁の格差を示した本発明の一実施形態のまな板は十分な抗菌性能が確認されて有用と認められる。
【0137】
(実施例1)
図1のように上部にねじ山が形成された内壁(ステンレス鋼製)、外筒(ステンレス鋼製)、内壁と外筒との間の真空部、及び外面にねじ山が形成された唇接触部(アルミ合金製)で構成された円筒状の食品容器(高さ:20cm、直径:5cm)を製作した。水100重量部に硝酸銀粉末1.5重量部を添加し、溶解させて硝酸銀水溶液を製造した。硝酸銀水溶液を食品容器の内壁と唇接触部の上に塗布した。塗布部を窒素雰囲気(窒素99〜100体積%)下において440℃で120分間焼結して、内壁の上に第1窒素雰囲気下焼結銀表面層を形成し、唇接触部の上に第2窒素雰囲気下焼結銀表面層を形成し、温度を20℃に降温した。水で洗浄した後、室温で乾燥することにより、内壁と唇接触部に窒素雰囲気下焼結銀表面層が形成されたボトルを製造した。
窒素雰囲気下焼結銀ボトルの抗菌試験
次の抗菌試験は日本食品分析センターに依頼して行った。前述のように製造された窒素雰囲気下焼結銀ボトルの大腸菌に対する抗菌力を試験した。
検体)窒素雰囲気下焼結銀ボトルに大腸菌含有ミネラルウォーター200mLを入れてそのまま置いたもの
対照:滅菌合成樹脂製の容器に大腸菌含有精製水200mLを入れてそのまま置いたもの
それぞれの検体を20℃で保存しながら時間の経過による大腸菌数を測定し、その結果を下記表4に示した。
【表4】
検体と対照に対して、開始時、2時間、3時間及び4時間後に試験液中の0.1mLを取った後、写真を撮り、その写真を図11ないし図17に示した。
前記表4及び図12を参照すると、窒素雰囲気下焼結銀ボトルは大腸菌含有ミネラルウォーターの流入2時間後にその大腸菌を完全に死滅させたことが分かる。
【0138】
(実施例2)
ステンレス鋼製のプレート(10cm×10cm×1cm)を製作した。水100重量部に硝酸銀粉末1.5重量部を添加し、溶解させて硝酸銀水溶液を製造した。硝酸銀水溶液をプレート上に塗布した。塗布部を窒素雰囲気(窒素99ないし100体積%)下において440℃で120分間焼結して、プレート上に窒素雰囲気下焼結銀表面層を形成し、温度を20℃に降温した。水で洗浄した後、室温で乾燥させ、その上に窒素雰囲気下焼結銀表面層を含むプレートを製造した。
窒素雰囲気下焼結銀プレート抗菌試験
次の抗菌試験は日本食品分析センターに依頼して行った。前述のように製造された窒素雰囲気下焼結銀プレートに対してストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗菌力を試験した。
検体) 窒素雰囲気下焼結銀プレートにストレプトコッカス・ミュータンスを含むミネラルウォーター200mLを塗布してそのまま置いたもの
無加工) ポリエチレンフィルムにストレプトコッカス・ミュータンスを含む精製水200mLを塗布してそのまま置いたもの
それぞれの検体を35℃で保存しながら時間の経過によるストレプトコッカス・ミュータンスの数を測定し、その結果を次の表5に示した。
【表5】
前記表5を参照すると、窒素雰囲気下焼結銀プレートはストレプトコッカス・ミュータンスを含むミネラルウォーターの塗布3時間後にそのストレプトコッカス・ミュータンスを完全に死滅させたことが分かる。
【0139】
まとめると、本発明の一実施形態に係る窒素雰囲気下焼結銀ボトルは、人体有害菌類の食中毒菌(特に大腸菌0−157・O−111・腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌・サルモネラの他)またはストレプトコッカス・ミュータンスなど嫌気性菌の除去能力に優れていることが、日本食品分析センターの試験データで確認されている。銀被膜の抗菌性能比較の結果、抗菌性能発現時間の短縮化について、酸化銀被膜と窒素雰囲気下焼結銀被膜の抗菌・性能比較では同一銀量での比較において約3倍の差が認められ、窒素雰囲気下焼結銀方式がより優れた結果を示している。窒素雰囲気下焼結銀方式では約3分の1の短時間で菌の死滅が確認され、窒素雰囲気下焼結銀方式により2時間抗菌が確証された。
【0140】
一方、銀による抗菌効果は非常に遅いため、早期抗菌効果は期待することができないといえる。
【0141】
(付記)
(付記1)
抗菌性製品において、
前記抗菌性製品は一つ以上の抗菌部を含み、前記抗菌部は窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を含む、抗菌性製品。
【0142】
(付記2)
前記抗菌部または前記抗菌性製品の材料が、金属、硝子、セラミック、石材、鉱物、プラスチック及びこれらの組み合わせから選ばれる材料を含む、付記1に記載の抗菌性製品。
【0143】
(付記3)
前記抗菌部が、板状、球状、棒状、塊状、粒状、砂状または抗菌性製品の形状から選ばれる形状を有する、付記1に記載の抗菌性製品。
【0144】
(付記4)
前記窒素雰囲気下焼結銀含有表面層は、基材として層状窒素雰囲気下焼結銀を含み、抗菌部の表面に位置する層(層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層)であるか、または、基材としてプラスチックを含み、基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀、若しくは基材の表面に露出した粒子状窒素雰囲気下焼結銀と基材内に分散した粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを含み、抗菌部の表面に位置する層(粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層)である、付記1に記載の抗菌性製品。
【0145】
(付記5)
前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の下の抗菌部の一部若しくは全体が粗面であり、または粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の一部若しくは全体が粗面である、付記4に記載の抗菌性製品。
【0146】
(付記6)
前記粗面がサンドブラスト加工によって形成された、付記5に記載の抗菌性製品。
【0147】
(付記7)
前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが0.1μm乃至20μmであり、または前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層の厚さが10μm乃至20μmである、付記4に記載の抗菌性製品。
【0148】
(付記8)
前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層と前記抗菌部とが一体に形成された、付記4に記載の抗菌性製品。
【0149】
(付記9)
前記抗菌部と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層が、粒子状窒素雰囲気下焼結銀をプラスチック100重量部に対して1乃至60重量部で含む、付記8に記載の抗菌性製品。
【0150】
(付記10)
前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀の内部コアが鉱物系または岩石系粒子を含む、付記4に記載の抗菌性製品。
【0151】
(付記11)
前記鉱物系または岩石系粒子と前記窒素雰囲気下焼結銀との重量比が100:0.1乃至10である、付記10に記載の抗菌性製品。
【0152】
(付記12)
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒に銀塩類化合物粉末を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、
前記銀塩類溶解液を前記抗菌部上に塗布する第2工程と、
前記抗菌部上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程と、
を含む、抗菌性製品の製造方法。
【0153】
(付記13)
前記抗菌部の材料が金属、硝子、セラミック、石材、鉱物及びこれらの組み合わせから選択される材料を含む、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0154】
(付記14)
前記第1工程で、前記水または極性有機溶媒100重量部に前記銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加する、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0155】
(付記15)
前記銀塩類化合物が炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択される、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0156】
(付記16)
前記第3工程で、焼結温度が440℃以上である、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0157】
(付記17)
前記第2工程の前に、前記抗菌部に粗面を形成し、前記第2工程で、前記銀塩類溶解液を前記粗面の上に塗布する、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0158】
(付記18)
前記粗面をサンドブラスト加工で形成する、付記17に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0159】
(付記19)
前記層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を0.1μm〜20μmの厚さに形成する、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0160】
(付記20)
前記第3工程の後に、前記抗菌部を含む抗菌性製品を製造する工程をさらに含む、付記12に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0161】
(付記21)
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1〜10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、
前記銀塩類溶解液を抗菌部上に塗布する第2工程と、
前記抗菌部に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気または大気下で焼結して、前記抗菌部上に層状窒素雰囲気下焼結銀含有表面層または層状酸化銀焼結体含有表面層を形成する第3工程と、
を含む、抗菌性製品の製造方法。
【0162】
(付記22)
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀を製造する第1工程と、
プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、
前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、
前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀を露出させる第4工程と、
を含む、抗菌性製品の製造方法。
【0163】
(付記23)
前記第1工程で、鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末との重量比が100:0.1〜10であり、前記鉱物系または岩石系粒子及び銀塩類化合物粉末の混合物と前記水または極性有機溶媒との重量比が1〜70:100である、付記22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0164】
(付記24)
前記銀塩類化合物が炭酸銀、塩素酸銀、塩化銀、クロム酸銀、バナジウム酸銀、マンガン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、酢酸銀及びこれらの混合物から選択される、付記22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0165】
(付記25)
前記第1工程で、焼結温度が440℃以上である、付記22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0166】
(付記26)
前記第2工程で、前記プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀との重量比が100:1〜60である、付記22に記載の抗菌性製品の製造方法。
【0167】
(付記27)
一つ以上の抗菌部を含む抗菌性製品の製造方法において、
水または極性有機溶媒に鉱物系または岩石系粒子と銀塩類化合物粉末を添加し、混合した後、窒素雰囲気または大気下で前記銀塩類化合物を焼結して、その内部コアに鉱物系または岩石系粒子を含む粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を製造する第1工程と、
プラスチック材料と前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体とを混合し、加熱してペレットに製造する第2工程と、
前記ペレットを用いて前記抗菌部を成形する第3工程と、
前記抗菌部にサンドブラスト加工を行い、前記抗菌部の表面に前記粒子状窒素雰囲気下焼結銀または粒子状酸化銀焼結体を露出させる第4工程と、
を含む、抗菌性製品の製造方法。
【0168】
(付記28)
水または極性有機溶媒100重量部に銀塩類化合物粉末1ないし10重量部を添加し、溶解させて銀塩類溶解液を製造する第1工程と、
前記銀塩類溶解液に金属纎維からなる金属たわしを浸漬し、前記銀塩類溶解液を前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に塗布する第2工程と、
前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に塗布された銀塩類化合物を窒素雰囲気下で440℃以上の温度で焼結し、前記金属たわしの繊維の部分または全体表面上に窒素雰囲気下焼結銀含有表面層を形成する第3工程と、
を含む、製造方法により製造された抗菌性金属たわし。
【符号の説明】
【0169】
10:外筒、20:内筒、30:唇接触部
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