(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分類するステップ(14)が、超音波データのグランドトゥルースラベル付きデータベースを含む知識ベースによって分類するステップ(14)を含む、請求項8に記載の持続性コンピュータ可読記憶媒体。
分類するステップ(14)が、機械学習クラシファイヤによって分類するステップ(14)を含み、前記機械学習クラシファイヤが、前記データベースから学習する、請求項8に記載の持続性コンピュータ可読記憶媒体。
前記プロセッサ(62)が、前記アーティファクトの位置を前記アーティファクトのない位置と異なるように画像処理するように構成された、請求項12に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超音波画像の知識ベース強調が提供される。知識ベース特徴検出技術は、超音波画像内の解剖学的構造物又はアーティファクトを、他の物体を検出することなく首尾よく検出することができる。そのような検出技術は、より洗練された画像処理又は強調アルゴリズムを改善し作成するために利用される。取得後画像強調は、知識ベース検出の適用による恩恵を受ける。既に取得された画像データは、特に検出された解剖学的組織又はアーティファクトに局所化された画像処理によって変更されることがある。
【0012】
一実施形態では、強調イメージングのためにイメージングアーティファクトが識別される。知識は、知識データベースにおけるアーティファクトのエキスパートユーザ注釈として取得される。この知識は、アーティファクト検出及び最小化を大幅に改善する。格子ローブ、リブ反射からのサイドローブ、リブシャドー、他のシャドー又は自然発生的コントラストなどのアーティファクトを検出する知識ベース検出アルゴリズムを使用することによって、集中的な画像強調が提供される。知識ベースアルゴリズムの出力は、取得されたアーティファクトを除去する画像処理の改善に使用される。
【0013】
図1は、医用超音波診断法における画像強調方法の一実施形態を示す。この実施形態は、知識ベース検出を使用する解剖学的組織又はアーティファクトの検出を対象とする。解剖学的組織又はアーティファクトの位置をより正確に識別するために、エキスパート注釈が付けられた例の集まりが使用される。既に取得されたデータからのイメージングは、識別した位置を他の位置と違うように処理することによって強調される。画像強調は、知識ベースと共に提供される検出によって改善される。
【0014】
追加の動作、異なる動作、又は少ない数の動作が提供されてもよい。例えば、動作16及び18は提供されない。別の例として、超音波走査を活動化しかつ/又は構成するための動作が提供される。動作は、知識ベースの適用を対象とする。知識ベースを作成しそれから学習するための動作は、代替又は追加の実施形態で提供されてもよい。動作は、示された順序で行われてもよく別の順序で行なわれてもよい。
【0015】
動作12で、超音波システムは、患者の組織の走査からの超音波データを取得する。超音波データは、患者を表現する。医用超音波診断システムは、トランスデューサに電気信号を印加し、トランスデューサは、患者の部位を走査するために電気エネルギーを音響エネルギーに変換する。エコーが、走査の受信動作のためにトランスデューサの素子によって受け取られ電気信号に変換される。任意の走査タイプ、走査形式又はイメージングモードが使用されうる。例えば、造影剤を追加した場合と、しない場合の高調波イメージングが使用される。別の例として、Bモード、カラーフローモード、スペクトルドップラーモード、Mモード又は他のイメージングモードが使用される。
【0016】
解剖学的情報を表す超音波データが、患者から取得される。超音波データは、患者の点、線、部位又はボリュームを表現する。超音波周波数の波形が送信され、エコーが受信される。音響エコーは、電気信号に変換され、患者の部位内のサンプリング位置を表すようにビーム形成される。
【0017】
ビーム形成されたデータは、フィルタリングされるか他の方法で処理されうる。一実施形態では、超音波データは、組織構造を表すBモードデータである。ビーム形成データが検出され、例えば、強度(例えば、Bモード又は後方散乱出力又は強度)が決定される。別の実施形態では、超音波データは、血管、流量又は組織運動と関連付けられた位置の流量データ又は運動データである。同一位置からの一連のエコー信号は、速度、分散及び/又はエネルギーを検出として推定するために使用されてもよい。送信波形の1つ以上の高調波のエコーが、処理されてもよい。検出された値は、フィルタリングされ及び/又は表示形式に走査変換されることがある。患者を表す超音波データは、空間及び/又は時間フィルタリング前の検出データ、走査変換前のフィルタデータ、表示マッピング前の走査変換データ、又はディスプレイに出力する前又は後の表示マップ画像データなどの検出後データである。
【0018】
超音波イメージングシステムは、患者を表す検出された超音波データを提供するスキャナである。超音波システムは、検出器からの出力として、Bモードデータの受信など、検出された超音波データを受け取る。スキャナのプロセッサ又はスキャナの一部ではないリモートプロセッサが、知識ベース検出のための検出超音波データを受け取る。
【0019】
動作14で、知識ベースを使用して、受け取った超音波データにおける位置を分類する。クラシファイヤは、データによって表わされた各位置に適用されるか、様々な位置を区別するために適用される。プロセッサは、超音波データによって表わされた様々な位置がクラスに属するかどうかを分類する。各位置を3つ以上のクラス(例えば、(1)背景、アーティファクト及び解剖学的組織、(2)液体、骨及び組織、又は(3)対象器官、他の器官及び非限定的な器官)のうちの1つの要素として分類するために、バイナリクラシファイヤ以外のクラシファイヤが使用されてもよい。様々な位置が、異なるクラスに属する。幾つかの位置が、同一クラスに属することがある。クラシファイヤは、特定の解剖学的組織の位置の検出や特定のアーティファクトの位置の検出など、クラスの要素がどの位置かを検出する。
【0020】
プロセッサは、知識ベースで分類する。知識ベースは、
グランドトゥルースのラベルが付けられた超音波データセットを含む。エキスパートは、超音波画像を、クラスとクラスを含む位置とを含むか含まないように注釈付けする。例えば、アーティファクトの位置を示すために、アーティファクトを有する数十、数百又は数千のBモード画像に注釈付けされる。アーティファクトのない別の組の画像が提供されてもよい。別の例として、画像のデータベースに1つ以上の解剖学的構造のラベルが付けられる。画像のデータベースは、画像を分析し、対応する構造、特徴及び/又はアーティファクトの注釈を画像に付けるエキスパートユーザによって作成される。
【0021】
知識ベースで分類するため、1つ以上のデータベース画像が識別され使用されて、現在画像の構造が分類の一部として検出される。識別されたデータベース画像は、対象解剖学的構造の形状又は位置を決定するためにも使用される。
【0022】
プロセッサは、動作12で受け取った超音波データと最も又は十分に類似した画像を知識ベースから見つけることによって、知識ベースを分類に使用する。相互相関、絶対差の最小和、他の相関関係、又は他の類似性の大きさが使用されてもよい。超音波データのカレントフレームからの位置を知識ベースの画像に関連付けるために、スケーリング及び/又は空間変換が適用されてもよい。得られた知識ベース画像は、解剖学的組織又はアーティファクトの位置を示すために注釈付けされる。それに応じて、超音波データのカレントフレームがラベル付けされる(即ち、対応する位置が、解剖学的組織又はアーティファクトと識別される)。他の知識ベース分類が使用されてもよい。
【0023】
別の実施形態では、プロセッサは、機械学習クラシファイヤを適用することによって知識ベースを使用する。機械学習クラシファイヤは、注釈付けされた画像のデータベースから学習される。注釈付けされるか
グランドトゥルースラベル付けされた画像が、トレーニングデータとして使用される。プロセッサは、知識ベースの画像から抽出された
グランドトゥルースと特徴に基づいて分類を学習する。1つ以上の様々な機械学習プロセスによって、クラシファイヤは、解剖学的組織及び/又はアーティファクトの位置を検出するようにトレーニングされる。
【0024】
トレーニングと適用に任意の特徴が使用されてもよい。各位置の画像データから、ハールウェーブレット、操縦可能な特徴、方向特徴、機械学習特徴、及び/又はパターンマッチが抽出される。特徴が抽出された位置に基づいて、任意のサイズ及び/又は形状のカーネルが、集中されるか位置決めされる。特徴抽出は、位置ごとに行われる。
【0025】
分類するために任意の機械学習アルゴリズム又はアプローチが使用されうる。例えば、サポートベクタマシン(例えば、2標準SVM)、線形回帰、ブースティングネットワーク、確率的ブースティングツリー、線形判別分析、関連ベクトタマシン、ニューラルネットワーク、ベイズネットワーク、これらの組み合わせ、又は他の現在既知若しくは今後開発される機械学習が提供される。バイナリ、階層、又は他の学習プロセスが使用されてもよい。スーパーバイズ又はセミスーパーバイズトレーニングが使用されてもよい。
【0026】
機械学習は、マトリクス又は他の出力を提供する。マトリクスは、既知の結果を含むトレーニングデータのデータベースの分析から導出される。機械学習アルゴリズムは、結果に対する様々な入力の関係を決定する。学習は、入力特徴のサブセットだけを選択してもよく、全ての利用可能な入力特徴を使用してもよい。プログラマは、どの入力特徴を使用するか又はトレーニングの他のパフォーマンスを、左右するか制御することがある。例えば、プログラマは、利用可能な特徴を、所定のタイプの超音波イメージングで利用可能な情報に制限することがある。マトリクスは、入力特徴を結果と関連付け、分類するためのモデルを提供する。機械トレーニングは、結果と共に1つ以上の入力変数を使用する関係を提供して、手動で実行しにくい相互関係の検証又は作成を可能にする。
【0027】
モデルは、超音波データによって表わされた位置がクラスのものかどうかの確率を表す。この確率は、メンバがそのクラス内にある可能性である。様々な可能な状態(例えば、2つの状態又は3つ以上の起こりうる状態)と関連付けられた一連の確率が出力される。あるいは、位置のクラスが、最も高い確率に基づいて割り当てられる。他の実施形態では、位置ごとのクラスが、確率情報なしで出力される。
【0028】
クラシファイヤを適用するため、同一又は異なるプロセッサが、受け取った超音波データ又は超音波データから導出されたデータ(例えば、フィルタリング又はパラメータ化されたデータ)から、区別可能な入力特徴を抽出する。情報の入力特徴ベクトルは、クラシファイヤに入力される。入力特徴の値は、機械学習クラシファイヤに適用される。超音波システムのプロセッサ又は他のプロセッサは、受け取った超音波データにクラシファイヤを適用して、解剖学的組織及び/又はアーティファクトの位置を決定する。プロセッサは、超音波データによって表わされる複数の位置それぞれのクラスを出力するマトリクス又は他のクラシファイヤ構成を適用する。解剖学的構造の位置又はアーティファクトの位置が、機械学習クラシファイヤに組み込まれた知識ベースに基づいて出力される。
【0029】
一実施形態では、アーティファクトが、検出される。任意のアーティファクトが検出されうる。アーティファクトは、超音波システム走査によって、例えば、トランスデューサ特性、走査形式、走査パラメータ又は画像処理などにより生じる。あるいは、アーティファクトは、解剖学的組織によって、収差や反射などにより生じる。アーティファクトは、疑似物体、シャドーイング又は他の情報として現れ、その位置における実際の解剖学的組織や検出されるべき解剖学的組織を表さない。
【0030】
例えば、超音波データは、1つ以上の格子ローブを表す。クラシファイヤは、任意の格子ローブの位置を検出する。同じ用途(例えば、心臓イメージング)及び/又は構成(例えば、トランスデューサ、周波数、走査形式など)の格子ローブを含むか含まない画像の知識ベースを使用して、超音波データに格子ローブアーティファクトが検出される。
図2は、心臓の例示的な画像を示す。格子ローブは、流体領域内の組織表現を生成する。26で表された領域は、格子ローブを示す。画像セグメント化アルゴリズムは、アーティファクトの代わりに、格子ローブを組織として識別することがある。誤りデータの変化を行う積極的強調手法を回避するために、クラシファイヤは、格子ローブによって生じた強度を有する位置を、他の物体として識別されるように検出する。
【0031】
別の例として、超音波データは、血球の自然発生的コントラストの1つ以上の領域を表す。自然発生的コントラストは、心腔内の血液などの血液に対するBモード応答である。従来の超音波システムは、Bモードイメージングのための血液からの応答を検出しない。最新の超音波装置は、心腔内で循環する血液から信号をピックアップするのに十分な感度を有する。これは、高品質の超音波取得のことを述べているが、血液からの信号は、解剖学的組織をBモード画像で評価しようとしているユーザを混乱させることがある。血液からの信号のそのような自然発生的コントラスト特性は、組織からのものに十分に近く、その画像強調は、血液を組織と同じように処理することがある。
図4は、心臓の例示的な四腔像を示す。自然発生的コントラストは、主に腔のうちの2つで生じる。28と示された領域は、自然発生的コントラストを示す。特に、左心室(上側腔)内の自然発生的コントラストがぼやけている。クラシファイヤは、自然発生的コントラストによって生じた強度を有する位置を検出する。検出は、全ての位置のもの(例えば、
図4に示された両方の腔)か、全てより少ない位置のもの(例えば、左心室内の自然発生的コントラストのみ)である。
【0032】
他の例では、超音波データは、シャドーイングを表す。稠密な組織又は骨の領域は、超音波走査をアレイの一部分又はアレイ全体から部分的に妨げ、シャドーイングを生成する。更に別の例では、骨が、超音波データの反射又は転送によりアーティファクトのようなローブを生成する(例えば、音響エネルギーのミラーとして働く)。クラシファイヤは、これらのアーティファクトの1つ以上を検出する。他のアーティファクトは、クラシファイヤによって検出されてもよい。
【0033】
追加又は代替の実施形態では、1つ以上の解剖学的構造が、クラシファイヤによって検出される。クラシファイヤは、肝臓、心臓、弁、左心室又は他の解剖的組織の検出など、任意の解剖学的構造又は解剖学的組織の一部分を検出するようにトレーニングされる。複数の解剖学的構造が見つけ出されることがある。不特定の解剖学的組織又は異なる解剖学的組織に対して生じる特徴の集まり又は単一特徴が検出されることがある。
【0034】
様々なアーティファクト及び/又は解剖学的組織のための様々なクラシファイヤがトレーニングされる。同一又は異なるクラシファイヤは、心臓を撮像するための格子ローブアーティファクトを検出するクラシファイヤや、肝臓を撮像するための格子ローブアーティファクトを検出するための異なるクラシファイヤなど、様々な撮像状況に関してトレーニングされてもよい。ひとつのトランスデューサ及び対応する周波数で使用するためのひとつのクラシファイヤと、それと異なるトランスデューサ及び対応する周波数で使用するための別のクラシファイヤなど、構成固有のクラシファイヤがトレーニングされてもよい。様々な物体を検出するために、アーティファクトを検出するひとつのクラシファイヤや、解剖学的組織を検出する別のクラシファイヤなど、同一又は異なるクラシファイヤがトレーニングされてもよい。
【0035】
図1を再び参照すると、プロセッサは、動作16で位置の指示を出力する。画像は、超音波データから生成される。所定の解剖学的組織又はアーティファクトの検出位置は、色、線図、確率マップ、強度などによって、画像内に示されている。動作20の画像強調は、動作18で動作14の検出の精度のユーザ確認を受け取った後で行なわれる。超音波システムは、機械学習クラシファイヤの出力を明らかにした後で画像を処理する。知識ベース画像処理は、ユーザに透過的に行われる。ユーザには、プロセッサが画像の大部分を自動的に変更する前に、何が何故変更されるかが通知される。ユーザは、1つ以上の位置の分類の変更など、検出を編集してもよい。動作18でのユーザによる確認は、キーの押下げ又は他の応答型確認である。確認は、任意選択でよい。
【0036】
動作20で、プロセッサ、フィルタ、超音波システム又はこれらの組み合わせが、検出された超音波データを位置の分類の特徴として強調する。セグメント化では、検出されたデータが除去されるか分離される。画像強調に関して、背景、他の組織、流体、他の物体、又は超音波データによる他の表現はそのままである。その代わりに、超音波データは、幾つかの位置を他の位置に対してよりよく見えるようにし、隙間を埋め、既に検出したデータを拡大し、削減し、分離し、及び/又は他の方法で画像処理するように変更される。幾つかの位置の画像処理は、他の位置の画像処理と異なる。強調は、全ての位置の表現を維持しながら、幾つかの位置の超音波データの振幅を他の位置に対してある程度変化させる。幾つかの位置は、変更によりゼロ又はバックグラウンド値によって表現されることがあるが、しかし表現された位置のままであってもよい。
【0037】
統計ツールに依存する画像処理アルゴリズムを適用して解剖学的組織でありうる位置を見つけるのではなく、知識ベースを使用して位置を識別する。例えば、エッジに沿って異なるようにフィルタリングするために勾配をエッジの表現として見つけることは、特定の勾配がエッジであるという統計に依存する。アーティファクト又は他の解剖学的組織は、類似の勾配を有するので、誤って強調されることがある。知識ベース検出を使用することにより、様々な画像処理(例えば、エッジに沿った低域フィルタリングとエッジに垂直な高域フィルタリング)を適用する位置が識別される。アーティファクト又は他の解剖学的組織のエッジは、等しく強調されないか、同じように強調されないか、全く強調されない。そのような検出された位置は、より洗練され良好な画像強調のための画像処理で使用される。同様に、アーティファクトを低減又は除去する画像処理は、アーティファクトと類似の統計的特性を有する全ての位置ではなく、アーティファクト位置だけに適用される。
【0038】
超音波データに任意の画像強調が適用されてもよい。例えば、空間適応フィルタリングが適用される。フィルタの1つ以上の特徴は、位置の分類に適合する。空間フィルタカーネル(例えば、サイズ及び/又は重み)又はフィルタリングタイプは、フィルタリング位置の分類によって異なる。解剖学的組織又は解剖学的組織の境界は、他の位置よりフィルタリングを多くするか少なくするために強調されることがある。エッジ検出、空間フィルタリング、時間フィルタリング、変換、又は他の画像プロセスは、クラシファイヤによって識別された解剖学的組織及び/又はアーティファクトの位置の関数として変化することがある。
【0039】
一実施形態では、強調は、アーティファクトの除去又は減少によるものである。例えば、高域フィルタ又は振幅スケーリング(例えば、量又は%の減少)は、アーティファクトと関連付けられた位置に適用され、また超音波データによって表わされた他の位置に適用されないか異なるように適用される。
【0040】
格子ローブの例では、格子ローブ情報が抑制される。
図2は、左心室内で概略的に26で示された格子ローブを示す。格子ローブは、ユーザを混乱させることがある。高域フィルタリング及び/又は振幅スケーリングの後で、格子ローブによって生成された輝度は、
図3に表されたように低下する。画像の美学及び/又は診断実用性が改善されることがある。格子ローブの特徴は、診断組織の残り部分の特徴と違いがなく、知識ベース検出を参照せずに超音波データの特性に基づく適応フィルタリングの一般適用が難しくなるか有効でなくなる。知識ベース検出を使用することにより、アーティファクトの位置だけが、アーティファクトを少なくするか見えなくするのに十分な量だけ抑制される。
【0041】
別の実施形態では、振幅スケーリング(例えば、減少)又はより大きな
一時的パーシステンスは、自然発生的コントラストとして分類された位置に適用される。他の位置には、異なるスケーリング(例えば、減少)、スケーリングなし、又は異なる
パーシステンスが適用される。
図4で分かるように、左心室内の自然発生的コントラストは、ユーザを混乱させることがある。振幅スケーリング又は
一時的パーシステンスの後で、
図5に示されたように、左心室の自然発生的コントラストが抑制される。他の心腔内の自然発生的コントラストは、抑制されるか、やはり抑制されない。知識ベース検出によって、同じアーティファクトに関する位置の区別が可能になる。
図5の例では、抑制は、左心室内の自然発生的コントラストに関してのみであり、他の自然発生的コントラスト又は心臓壁組織に関するものではない。知識ベースの検出アーティファクトの抑制は、画像の美学的及び/又は診断実用性を改善する。あるいは、ユーザが望んだ場合は、自然発生的コントラストが強調され、抑制されないことがある。自然発生的コントラストは、自然発生的コントラストを解剖学的組織の残りの部分と区別するために、別個のカラーマップで提示されてもよい。
【0042】
シャドーイングなどの他のアーティファクトは、画像強調のために異なるように処理されてもよい。例えば、シャドーイングは、シャドーイング内の輝度を高めることによってシャドーイングを減少させるために、他の位置のものより拡大縮小されるか持続される。
【0043】
別の実施形態では、超音波データは、検出された解剖学的構造に基づいて位置によって異なるようにフィルタリングされる。知識ベースを使用する検出は、全体的又は総合的構造の規定及び連続性を提供する。画像処理アルゴリズムが、特に高度のノイズとクラッタを有する画像内で、2つの別個の画素が同じ解剖学的構造に属するかどうかを決定することは難しいことがある。画像強調が、可能な限りの画素又はボクセルを全体的設定によって積極的に接続する場合、解剖学的組織の一部ではない位置が含まれることがある。エキスパート作成データベースに基づく検出技法を使用することによって、どの画素を処理すべきかの信頼性が高まるので、画像処理アルゴリズムは、構造連続性の構築を積極的にすることができる。
【0044】
任意の識別されたアーティファクト又は解剖学的組織は、任意の位置適応画像処理によって強調されることがある。位置分類は、画像強調を空間的に適応させるために使用される。特定の解剖学的組織、アーティファクト、及び/又は特徴は、超音波データによって表わされた他の組織、流体又は構造に対して、抑制されるか、強調されるか、変更されることがある。解剖学的組織又はアーティファクトの特定の強調の前又は後で、検出された解剖学的組織又はアーティファクトに固有でない更に他の画像処理が適用されてもよい。
【0045】
動作22で、画像が生成される。プロセッサ又は超音波システムは、強調された超音波データから画像を生成する。強調が適用されて値(例えば、RGB値)を表示する場合、超音波データは、ディスプレイ上に提示される。強調が、検出後などのマッピング前に適用された場合、値を表示する走査変換及び/又はマッピングが提供される。次に、結果が、ディスプレイに出力される。
【0046】
生成された画像は、Bモード、カラーフローモード、Mモード、パルス波ドップラー、造影剤、高調波、他の超音波画像、又はこれらの組み合わせである。画像は、所定の時間又はある期間の患者を表す。画像は、平面や体積領域などの患者内の1つ以上のサンプル位置を表すことがある。
【0047】
画像は、セグメント化なしの患者を表す。情報を分離するのではなく、走査領域全体が画像で表わされる。1つ以上のアーティファクトが抑制されかつ/又は1つ以上の解剖学的位置が、強調によって画像内で強調される。
図3と
図5に示されたように、知識ベース強調のない超音波データで生成された画像より少ないアーティファクトが、ユーザに提示されることがある。アーティファクトの抑制と対象解剖学的組織の強調の両方が提供される場合、表示される超音波画像は、散乱の少ないアーティファクトと、対象解剖学的組織に高い焦点とを提供する。
【0048】
図6は、医用超音波診断法における画像強調システムの一実施形態を示す。解剖学的組織及び/又はアーティファクトの知識ベース検出を使用して、取得された超音波データを選択的に強化する。システムによって行なわれた画像処理は、検出された解剖学的組織及び/又はアーティファクトに適合する。システムは、
図1に関して前述した方法又は異なる方法を実行する。
【0049】
超音波システムは、送信ビームフォーマ52、トランスデューサ54、受信ビームフォーマ56、画像プロセッサ58、ディスプレイ60、プロセッサ62及びメモリ64を含む。他のシステムが使用されてもよい。追加の構成要素、異なる構成要素、又は少ない数の構成要素が提供されてもよい。例えば、別個の検出器と走査変換器も提供される。別の例として、イメージング用途(例えば、心臓イメージング)、構成、及び/又は検出の確認のユーザ選択を受け入れるために、ユーザ入力装置(例えば、マウス及び/又はキーボード)が提供される。検出器は、超音波データではない他のソースからの1つ以上の入力特徴を使用してもよい。データの他のソースには、センサ、治療システム又は他の入力が挙げられる。そのような装置又は入力は、プロセッサ62又はメモリ64に提供されてもよい。一実施形態では、検出器によって使用される入力特徴は全て、超音波データから取得される。
【0050】
システム10は、医用診断超音波イメージングシステムである。イメージングには、二次元、三次元、Bモード、ドップラー、カラーフロー、スペクトルドップラー、Mモード、歪み、弾性、高調波、コントラスト、又は他の現在既知又は今後開発される画像診断療法が挙げられる。超音波システム10は、フルサイズカートマウントシステム、小型携帯システム、ハンドヘルドシステム、又は他の現在既知又は今後開発される超音波イメージングシステムである。別の実施形態では、プロセッサ62とメモリ64は、別個のシステムの一部である。例えば、プロセッサ62とメモリ64は、超音波システムと無関係に動作するか超音波システムに接続されたワークステーション又はパーソナルコンピュータである。別の例では、プロセッサ62とメモリ64は、治療システムの一部である。
【0051】
トランスデューサ54は、単一、一次元、多次元、又は他の現在既知の又は今後開発される超音波トランスジューサである。トランスデューサ54の各素子は、圧電、微小電気機械、容量性薄膜超音波トランスジューサ、又は他の現在既知又は今後開発される音響エネルギーと電気エネルギーの間で変換するための変換素子である。トランスデューサ素子はそれぞれ、送信ビームフォーマ52から電気エネルギーを受け取り、音響エコーに応じた電気エネルギーを受信ビームフォーマ56に提供するためのビームフォーマ52,56に接続する。
【0052】
送信ビームフォーマ52は、1つ以上の波形発生器、増幅器、遅延機構、位相回転子、マルチプライヤ、加算器、アナログデジタル変換器、フィルタ、これらの組み合わせ、及び他の現在既知又は今後開発される送信ビームフォーマ構成要素である。送信ビームフォーマ52は、送信アパーチャの各素子の送信信号を生成するために複数のチャネルに構成される。各素子の送信信号は、1つ以上の走査線に沿って音響エネルギーを集束するために互いに対して遅延されアポダイゼイションされる。送信イベント中に1つ以上の素子のために、様々な振幅、周波数、帯域幅、遅延、スペクトルエネルギー分布又は他の特性の信号が生成される。
【0053】
受信ビームフォーマ56は、患者の部位を表す超音波データを取得するように構成される。受信ビームフォーマ56は、トランスデューサ54の様々な素子から受け取った信号を別々に処理するための複数のチャネルを含む。各チャネルは、遅延機構、位相回転子、増幅器、フィルタ、マルチプライヤ、加算器、アナログデジタルコンバータ、制御プロセッサ、これらの組み合わせ、及び他の現在既知又は今後開発される受信ビームフォーマ構成要素を含むことができる。受信ビームフォーマ56は、また、様々なチャネルからの信号をビーム形成信号に結合するための1つ以上の加算器を含む。後のフィルタが提供されてもよい。他の現在既知又は今後開発される受信ビームフォーマが使用されてもよい。送信イベントからの音響エコーを表す電気信号は、受信ビームフォーマ56のチャネルに渡される。受信ビームフォーマ56は、同相及び直角位相、無線周波数、又は走査領域内の1つ以上の位置を表す他のデータを出力する。
【0054】
次に、受信ビームフォーマ信号が、検出され、画像プロセッサ58によって超音波画像を生成するために使用される。画像プロセッサ58は、Bモード/Mモード検出器、ドップラー/フロー/組織運動推定器、調波検出器、造影剤検出器、スペクトルドップラー推定器、これらの組み合わせ、又は検出された超音波データを出力するための他の現在既知又は今後開発される装置である。検出は、ビーム形成されたデータから患者の音響応答の特徴を決定する。画像プロセッサ58は、走査変換器、ディスプレイマッピング用バッファ及び/又は画像強調用プロセッサ62を含んでもよい。検出又は推定された信号は、走査変換前又は後に、プロセッサ62によって使用されてもよい。
【0055】
プロセッサ62は、制御プロセッサ、フィルタ、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル構成要素、アナログ構成要素、ハードウェア回路、これらの組み合わせ、及び画像処理して画像を強調するための他の現在既知又は今後開発される装置である。プロセッサ62は、コンピュータコード、ファームウェア、及び/又はハードウェアによって、検出データに表わされた解剖学的組織又はアーティファクトを識別し、検出データを変更して解剖学的組織又はアーティファクトを強調又は抑制するように構成される。
【0056】
プロセッサ62は、知識ベース解剖又はアーティファクト検出によって使用される入力特徴のための値を受け取り、要求し及び/又は計算する。一実施形態では、特徴及び対応する値の1つ以上は、超音波データから抽出される。プロセッサ62は、超音波データによって表わされた様々な位置それぞれのまわりの領域のデータ特徴の1つ以上の測定を実行する。例えば、ハールウェーブレット特徴は、超音波データによって表わされた各位置の1つ以上の異なる大きさを提供する。
【0057】
プロセッサ62は、検出データからのアーティファクト及び/又は解剖学的組織を知識ベースの関数として識別するように構成される。一実施形態では、知識ベースは、機械学習クラシファイヤとして表わされる。機械学習クラシファイヤは、知識ベースから学習される。特徴値が抽出され、クラシファイヤに入力される。クラシファイヤは、各位置の関係(即ち、アーティファクト及び/又は解剖学的組織)を分類する特徴を関連付ける。様々なアーティファクト、解剖学的組織及び/又は用途(例えば、心臓又は放射線用途)のために様々なクラシファイヤが提供されてもよい。一実施形態では、クラシファイヤは、アーティファクトを血液の格子ローブ、シャドー又は自然発生的コントラストとして識別するようにトレーニングされたマトリクスである。代替実施形態では、現在の超音波データとデータベース内の多くの注釈付き画像のうちの1つとの照合などを使用する他の知識ベース識別が使用される。
【0058】
プロセッサ62及び/又は画像プロセッサ58は、検出データをアーティファクト及び/又は解剖学的組織の関数として画像処理するように構成される。検出された物体と関連付けられた位置は、他の位置とは異なるように処理又は画像処理される。様々なフィルタリング、エッジ強調又は他の画像処理が、他の位置ではない検出クラスの位置に適用される。設定の違い(即ち、フィルタリングを適用するが異なる特徴を有する)、処理するかどうかの違い(即ち、幾つかの位置を強調して他の位置を強調しない)、又は処理タイプの違い(即ち、検出された解剖学的組織又はアーティファクトにはひとつのタイプと、他の位置には他のタイプ)があることがある。例えば、検出されたアーティファクトの位置は、アーティファクトを抑制するために他の位置と異なるようにフィルタリングされるか拡大縮小される。
【0059】
ディスプレイ60は、モニタ、LCD、LED、プラズマ、プロジェクタ、プリンタ、又は他の現在既知若しくは今後開発される表示装置である。プロセッサ62及び/又は画像プロセッサ58は、ディスプレイ60のための表示信号を生成する。RGB値などの表示信号が、プロセッサ62によって使用されてもよい。
【0060】
ディスプレイ60は、Bモード画像などの患者の走査部位を表す画像を表示するように構成される。画像は、画像処理された検出データから生成される。適応画像処理が適用された後で、画像が生成され、ディスプレイ60に表示される。画像は、走査部位を表すが、検出位置に基づいて強調又は抑制するように変更された輝度又は推定値を有する。画像は、画像強調が知識ベース検出によって導かれた後でデータから生成される。例えば、検出アーティファクトが低減されたBモード画像が表示される。低減は、部分的又は完全に除去される。
【0061】
メモリ64は、医用超音波診断における画像強調のプログラムされたプロセッサによって実行可能な命令を表すデータが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体である。本明細書で述べたプロセス、方法及び/又は技法を実施するための命令は、キャッシュ、バッファ、RAM、リムーバブル記憶媒体、ハードディスク又は他のコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータ可読記憶媒体又はメモリ上に提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、様々なタイプの一時的及び持久記憶媒体を含む。図に示され本明細書に記載された機能、動作又はタスクは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶された1組以上の命令に応じて実行される。機能、動作又はタスクは、特定タイプの命令セット、記憶媒体、プロセッサ又は処理方式に依存せず、単独又は組み合わせで動作するソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコードなどによって実行されてもよい。同様に、処理方式は、多重処理、マルチタスキング、並列処理などを含むことがある。一実施形態では、命令は、ローカル又はリモートシステムによって読み取るためのリムーバブル記憶媒体装置に記憶される。他の実施形態では、命令は、コンピュータネットワーク又は電話線を介して伝送するために遠隔地に記憶される。更に他の実施形態では、命令は、所定のコンピュータ、CPU、GPU又はシステム内に記憶される。
【0062】
以上、本発明を様々な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更及び修正を行なうことができることを理解されたい。したがって、以上の詳細な説明が、限定ではなく実例と見なされるべきであり、また以下の請求項が、本発明の趣旨と範囲を規定するように意図された全ての等価物を含むことを理解されたい。