(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ビーム軸と前記捕集軸はどちらも前記基板に対して直角をなし、前記ビーム結合光学器は、前記ビーム軸と前記捕集軸の一方を前記ビームスプリッタに向けて偏向させるように構成されている反射器を備えており、その結果、前記ビーム軸と前記捕集軸は異なったそれぞれの角度で前記ビームスプリッタに入射する、請求項2に記載のモジュール。
前記ビーム結合光学器は、互いに反対側の第1面と第2面を有する透明板を備えており、前記ビームスプリッタは前記第1面に形成され、前記反射器は前記第2面に形成されている、請求項3に記載のモジュール。
前記少なくとも1つのレンズは、前記レーザービームを第1の開口を通してコリメートするように構成されており且つ前記受信光を前記第1の開口より大きい第2の開口を通して捕集するように構成されている二焦点レンズを備えている、請求項1から5の何れかに記載のモジュール。
前記VCSELは、前記それぞれのレーザービームに一斉にフォーカルウエストに収束するよう仕向けるために、前記マイクロレンズに対して外方にオフセットされている、請求項1乃至6の何れかに記載のモジュール。
前記少なくとも1つのレーザービーム及び前記受信光は、前記モジュールの外の走査ミラーに当たるように方向付けられ、前記ミラーは、前記少なくとも1つのレーザービームと前記受信器の視野の両方を光景上に走査する、請求項1から8の何れか1項に記載のモジュール。
前記ビーム結合光学器を位置付ける工程は、ビームスプリッタを、前記ビーム軸と前記捕集軸の両方が当該ビームスプリッタを交差するように取り付ける工程を含んでいる、請求項10に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下に説明されている本発明の幾つかの実施形態は、走査ビームを使用する深度マッピングのための改善された装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の或る実施形態によれば、マッピング装置において、光のパルスを含むビームを発射するように構成されている送信器と、ビームを光景上の事前に定義されている走査範囲内に走査するように構成されている走査器と、を含んでいるマッピング装置が提供されている。受信器が、光景から反射される光を受信するように、及び光景中の点までの及び光景中の点からのパルスの飛行時間を指し示す出力を生成するように、構成されている。プロセッサが、走査器を制御してビームに走査範囲内の選択されているウインドウ一面を走査するよう仕向けるように、及び受信器の出力を処理して選択されているウインドウ内にある光景の部分の3Dマップを生成するように、連結されている。
【0011】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、ビームの走査毎に、走査するべき異なったウインドウを選択するように構成されている。プロセッサは、走査器の走査範囲全体を網羅していてもよいとされる1回目の走査時の受信器の出力を処理して光景の第1の3Dマップを生成するように、及び2回目の走査時には第1の3Dマップの特徴に応えて優先的に走査するべきウインドウを選択するように、構成されていてもよい。
【0012】
プロセッサは、第1の3Dマップ中にオブジェクトを識別するように、及び識別されたオブジェクトを包含するようウインドウを定義するように、構成されていてもよい。開示されている実施形態では、オブジェクトは装置のユーザーの身体の少なくとも一部分を含んでおり、プロセッサは1回目の走査時にユーザーによって行われた身振りに応えて身体の当該部分を識別するように構成されている。
【0013】
1つの実施形態では、プロセッサは、走査器を駆動して選択されているウインドウを1回目の走査に対比して強化された解像度で走査させるように構成されている。代替的又は追加的に、プロセッサは、走査器を駆動して2回目のウインドウを1回目の走査時より高いフレームレートで走査させるように構成されている。少なくとも数回の走査について、選択されているウインドウは事前に定義されている走査範囲内で中心にあるとは限らない。
【0014】
幾つかの実施形態では、走査器はマイクロ電子機械システム(MEMS)技術を使用して作製されたマイクロミラーを含んでおり、送信器はビームをマイクロミラーから光景に向けて反射するよう方向付けるように構成されている。マイクロミラーは、2つの軸の周りに回転するように構成されていてもよく、プロセッサは、ウインドウを定義するために、軸のうちの少なくとも一方の軸周りのマイクロミラーの回転範囲を制御するように連結されている。
【0015】
追加的又は代替的に、プロセッサは、ウインドウを画定するために、軸のうち少なくとも一方の軸周りのマイクロミラーの回転速さを変えるように連結されていてもよい。1つのその様な実施形態では、マイクロミラーの回転範囲は、1回目の走査と2回目の走査の両方で同じであり、プロセッサは、2回目の走査時に選択されているウインドウ上のマイクロミラーの走査速さが当該範囲の他の部分上よりも遅くなるよう軸のうち少なくとも一方の軸周りの回転速さを変えるように連結されている。
【0016】
幾つかの実施形態では、走査器は、基板であって、マイクロミラー及び支持体を、マイクロミラーを支持体へ第1の軸に沿って接続している第1スピンドル及び支持体を基板へ第2の軸に沿って接続している第2スピンドルと一体に画定するようにエッチングされている基板、を含んでいる。電磁式駆動部が、マイクロミラー及び支持体に、第1スピンドル及び第2スピンドル周りに回転するよう仕向ける。電磁式駆動部は、空隙を有する少なくとも1つの磁心及び磁心に巻かれている少なくとも1つのコイルを含む固定子組立体と、マイクロミラー及び支持体が取り付けられていて少なくとも1つのコイルを通して流される電流に応えて空隙内で動くように空隙中に懸下されている回転子と、を含んでいてもよい。開示されている実施形態では、少なくとも1つの磁心及び少なくとも1つの回転子は、2つの心及び心のそれぞれの空隙内に懸下されている2つの回転子を含んでおり、電磁式駆動部は、マイクロミラーがラスターパターンで走査するように、2つの心のコイルに差動電流を流してマイクロミラー及び支持体に異なったそれぞれの速さで回転するよう仕向けるように構成されている。
【0017】
幾つかの実施形態では、電磁式駆動部は、マイクロミラーに第1スピンドル周りに回転の共振周波数である第1の周波数で回転するよう仕向けるとともに、支持体に第2スピンドル周りに第1の周波数より低く共振周波数でなくてもよいとされる第2の周波数で回転するよう仕向ける。開示されている実施形態では、支持体は、第1スピンドルによってマイクロミラーへ接続されている第1支持体と、第2スピンドルによって基板へ接続されている第2支持体と、第1支持体を第2支持体へ接続している第3スピンドルと、を含んでおり、電磁式駆動部は、第1支持体に第2支持体に対して第3スピンドル周りに回転するよう仕向けるように構成されている。
【0018】
典型的に、受信器は、光景からのマイクロミラーを介した反射光を受信するように構成されている検出器を含んでいる。開示されている実施形態では、装置は、送信器によって発射されるビームをマイクロミラーに向けて方向付ける一方で反射光が検出器に到達するのを許容するように位置付けられているビームスプリッタを含んでおり、発射ビームと反射光は、ビームスプリッタとマイクロミラーの間に平行であるそれぞれの光軸を有している。ビームスプリッタは、ビームスプリッタの表面の一部のみを覆う偏光反射性被覆でパターン形成されていて、表面のパターン形成された部分が送信器からのビームを遮りビームをマイクロミラーに向けて反射するように位置付けられていてもよい。随意的に、ビームスプリッタは、送信器の発射帯域の外の光が受信器に到達するのを防ぐように構成されている帯域通過被覆をビームスプリッタの裏面に含んでいてもよい。送信器と受信器は一体にマイクロ光学基板上に単一集積パッケージとして取り付けられていてもよい。
【0019】
開示されている実施形態では、プロセッサは、送信器によって発射されるパルスのパワーレベルを、1つ又はそれ以上の以前のパルスへの応答における受信器からの出力のレベルに応じて可変に制御するように構成されている。
【0020】
本発明の或る実施形態によれば、光電子工学式モジュールにおいて、マイクロ光学基板と、マイクロ光学基板上に取り付けられていて少なくとも1つのレーザービームをビーム軸に沿って発射するように構成されているレーザーダイを含むビーム送信器と、を含んでいる光電子工学式モジュールも提供されている。受信器が、マイクロ光学基板上に取り付けられていてモジュールによって受信器の捕集軸に沿って受信される光を感知するように構成されている検出器ダイ、を含んでいる。ビーム結合光学器が、レーザービーム及び受信光を、ビーム軸がモジュールの外の捕集軸と整列するよう方向付けるように構成されている。
【0021】
幾つかの実施形態では、ビーム結合光学器は、ビーム軸と捕集軸のどちらもが交差するビームスプリッタを含んでいる。これらの実施形態のうちの特定の実施形態では、ビーム軸と捕集軸はどちらも基板に対して直角をなし、ビーム結合光学器はビーム軸と捕集軸のうち一方をビームスプリッタに向けて偏向させるように構成されている反射器を含んでおり、その結果、ビーム軸と捕集軸は異なったそれぞれの角度でビームスプリッタに入射することになる。ビーム結合光学器は、互いに反対側の第1面と第2面を有する透明板を含んでいてもよく、ビームスプリッタは第1面に形成され、反射器は第2面に形成されている。板は、ビーム送信器の発射帯域の外にある受信光を除外するために面の一方に形成されているフィルタを含んでいてもよい。
【0022】
追加的又は代替的に、ビーム結合光学器は、少なくとも1つのレーザービームをコリメートするように、及び受信光を検出器ダイに集束させるように、構成されている少なくとも1つのレンズを含んでいる。1つの実施形態では、少なくとも1つのレンズは、少なくとも1つのレーザービームを第1の開口を通してコリメートするように構成されていて且つ受信光を第1の開口より大きい第2の開口を通して捕集するように構成されている二焦点レンズを含んでいる。
【0023】
幾つかの実施形態では、レーザーダイは端面発光ダイであり、モジュールは、基板上に取り付けられていてレーザーダイからの少なくとも1つのレーザービームを反射してレーザービームを基板から離して方向付けるように構成されている折り返しミラーを含んでいる。基板にはレーザーダイと折り返しミラーの間に溝が形成されていてもよく、その場合、モジュールは、溝に取り付けられていて少なくとも1つのレーザービームをコリメートするように構成されているボールレンズを含んでいる。別の実施形態では、モジュールは、折り返しミラーからの反射後の少なくとも1つのレーザービームをコリメートするために基板上方に取り付けられているレンズを含んでおり、当該レンズは、レーザーダイの基板上への組み立てに先立って焦点距離を測定され、基板上でのレーザーダイの折り返しミラーからの距離は測定された焦点距離に応じて調節されている。
【0024】
他の実施形態では、レーザーダイは、垂直空洞表面発光レーザ(VCSEL)から成る第1のアレイを含んでおり、ビーム送信器は、VCSELによって生成されるそれぞれのレーザービームを送信するためにVCSELとそれぞれに整列しているマイクロレンズから成る第2のアレイを含んでいる。
【0025】
開示されている実施形態では、少なくとも1つのレーザービーム及び受信光は、モジュールの外の走査ミラーに当たるように方向付けられ、ミラーは少なくとも1つのレーザービームと受信器の視野の両方を光景上に走査する。
【0026】
更に、本発明の或る実施形態によれば、マッピングのための方法において、光のパルスを含むビームを光景上の事前に定義されている走査範囲内に走査するように走査器を動作させる段階を含んでいる方法が提供されている。光景から反射される光は受信され、光景中の点までの及び光景中の点からのパルスの飛行時間を指し示す出力が生成される。走査器は、走査器の動作時、ビームに走査範囲内の選択されているウインドウ一面を優先的に走査するよう仕向けるように制御される。受信器の出力は、選択されているウインドウ内にある光景の部分の3Dマップを生成するように処理される。
【0027】
更に、本発明の或る実施形態によれば、光電子工学式モジュールを作製するための方法が提供されている。本方法は、少なくとも1つのレーザービームをビーム軸に沿って発射するように構成されているレーザーダイを含むビーム送信器を、マイクロ光学基板上に取り付ける工程を含んでいる。受信器であって、モジュールによって当該受信器の捕集軸に沿って受信される光を感知するように構成されている検出器ダイを含む受信器が、マイクロ光学基板上に取り付けられる。ビーム結合光学器が、マイクロ光学基板に対して、レーザービーム及び受信光をビーム軸がモジュールの外で捕集軸と整列するよう方向付けるように位置付けられる。
【0028】
また、本発明の或る実施形態によれば、光学的通過帯域を有するGaAsの様な半導体基板を含むビーム生成デバイスが提供されている。垂直空洞表面発光レーザ(VCSEL)から成る第1のアレイが半導体基板の第1面に形成されており、VCSELはそれぞれのレーザービームを通過帯域内の波長で基板を通して発射するように構成されている。VCSELによって生成されたレーザービームを送信するために、マイクロレンズから成る第2のアレイが半導体基板の第2面にVCSELとそれぞれ整列して形成されている。
【0029】
VCSELは、それぞれのレーザービームを拡散させるためにマイクロレンズに対して内方にオフセットされていてもよい。代わりに、VCSELは、それぞれのレーザービームに一斉にフォーカルウエスト(focal waist)に収束するよう仕向けるためにマイクロレンズに対して外方にオフセットされていてもよい。
【0030】
更に、本発明の或る実施形態によれば、溝の形成されているマイクロ光学基板を含む光電子工学式モジュールが提供されている。端面発光レーザーダイを含むビーム送信器が、マイクロ光学基板上に溝に隣接して取り付けられていて、レーザービームを基板に平行なビーム軸に沿って発射するように構成されている。ボールレンズが、溝に取り付けられていて、レーザービームをコリメートするように構成されている。折り返しミラーが、基板に取り付けられていて、ボールレンズを出るコリメートされたレーザービームを反射して、レーザービームを基板から離して方向付けるように構成されている。ビーム拡大器が、折り返しミラーからの反射後の少なくとも1つのレーザービームを捕集し拡大するように構成されている。
【0031】
加えて、本発明の或る実施形態によれば、光電子工学式モジュールを作製するための方法が提供されている。方法は、マイクロ光学基板に溝を形成する工程と、レーザービームをビーム軸に沿って発射するように構成されている端面発光レーザーダイを含むビーム送信器を、ビーム軸が基板に平行になるように、マイクロ光学基板上に溝に隣接して取り付ける工程と、を含んでいる。ボールレンズが、レーザービームをコリメートするために溝に取り付けられる。折り返しミラーが、ボールレンズを出てゆくコリメートされたレーザービームを基板から離して反射するために基板上に取り付けられる。ビーム拡大器が、折り返しミラーからの反射後のレーザービームを捕集し拡大するために折り返しミラー上方に取り付けられる。
【0032】
開示されている実施形態では、ビーム送信器、ボールレンズ、折り返しミラー、及びビーム拡大器は、レーザーダイを通電することなく、モジュール中に整列され定位置に締結される。
【0033】
また、本発明の或る実施形態によれば、マッピング方法において、光のパルスを含むビームを発射するように構成されている送信器と、ビームを光景上に走査するように構成されている走査器と、を含んでいるマッピング装置が提供されている。受信器が、光景から反射される光を受信するように、及び光景中の点までの及び光景中の点からのパルスの飛行時間を指し示す出力を生成するように、構成されている。プロセッサは、ビームの1回目の走査時の受信器の出力を処理して光景の3Dマップを生成するとともに、送信器によって発射されるパルスのパワーレベルを1つ又はそれ以上の以前のパルスへの応答における受信器からの出力のレベルに応じて制御するように、連結されている。
【0034】
典型的に、プロセッサは、光景の異なった部分から受信される反射光の強度のばらつきを低減するべくパルスのパワーレベルを制御するように構成されている。1つ又はそれ以上の以前のパルスは、パワーレベルを評定及び調節するために送信器によって発射される偵察パルス(scout pulses)を含んでいてもよい。
【0035】
本発明は、次に続く発明の実施形態の詳細な説明を図面と併せて考察することからより深く理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0037】
概観
本特許出願の譲受人に譲渡されているPCT国際公開WO2012/020380号は、照射モジュールを含んでいるマッピングのための装置を記載しており、同PCT国際公開の開示をここに参考文献として援用する。このモジュールは、放射線のビームを発射するように構成されている放射線源と、ビームを受信し、選択されている角度範囲に亘ってビームを走査するように構成されている走査器と、を含んでいる。照射光学器は、走査ビームを投射して、関心領域に亘って広がるスポットのパターンを作成する。撮像モジュールが、関心領域中のオブジェクトへ投射されているパターンの画像を捕捉する。プロセッサが、オブジェクトの三次元(3D)マップを構築するために当該画像を処理する。
【0038】
その様な画像ベースのマッピングシステムと対照的に、以下に説明されている本発明の幾つかの実施形態は、走査ビームの飛行時間を測定することによって3Dマッピングデータを生成する深度エンジンを提供している。レーザーの様な光送信器が光の短パルスを走査ミラーに向けて方向付け、走査ミラーが光ビームを或る特定の走査範囲内の関心光景上に走査する。高感度高速フォトダイオード(例えばアバランシェ・フォトダイオード)の様な受信器が、光景から同じ走査ミラーを介して戻される光を受信する。処理回路構成が、走査時の各点の送信光パルスと受信光パルスの間の時間遅延を測定する。この遅延は、光ビームが進んだ距離を、ひいてはオブジェクトの当該点における深度を指し示すものである。処理回路構成は、こうして抽出された深度データを、光景の3Dマップの作製に使用する。
【0039】
この種の深度エンジンに基づくシステムは、動的対話式ズーム機能性を提供することができる。走査器を制御して、ビームに走査範囲内の選択されているウインドウ一面を走査するよう仕向け、而して選択されているウインドウ内にある光景の部分の3Dマップを生成することができる。ビームの走査毎に異なるウインドウが選択されてもよい。例えば1回目の広い角度範囲に亘る走査及び関心光景(全範囲走査もあり得る)の広角低解像度3Dマップの作成の後、深度エンジンは光景内に識別された特定のウインドウ又はオブジェクトにズームインするように制御されてもよい。この様式でズームインすることは、深度エンジンが、選択されているウインドウ内のデータをより高い解像度で提供することを可能にし、或いは代替的又は追加的にそれが走査する際のフレームレートを上げることを可能にする。
【0040】
システム明細
図1は、本発明の或る実施形態による、深度マッピングシステム20の概略絵図である。システムは、1つ又はそれ以上のオブジェクトを含んでいる関心体積(VOI)30中の3D光景情報を捕捉する走査深度エンジン22をベースにしている。この例では、オブジェクトは、少なくとも、ユーザー28の身体の諸部分を備えている。エンジン22は、深度データを包含する一連のフレームをコンピュータ24へ出力し、するとコンピュータは高位情報をマップデータから処理、抽出する。この高位情報は、例えば、コンピュータ24上を走るアプリケーションであってディスプレイスクリーン26を然るべく駆動するアプリケーションへ提供されるようになっていてもよい。
【0041】
コンピュータ24は、ユーザー28を包含するVOI30の深度マップを再構築するために、エンジン22によって生成されたデータを処理する。1つの実施形態で、エンジン22は、光景上を走査する間、光のパルスを発射し、光景から反射されて戻るパスの相対遅延を測定する。エンジン22の又はコンピュータ24のプロセッサは、次いで、光景中の点(ユーザーの身体表面上の点を含む)の3D座標を光景中の各測定点(X、Y)における光パルスの飛行時間に基づいて算定する。この手法は、ユーザーに何らかの種類のビーコン、センサ、又は他のマーカーを保持又は着用することを要求しない点で好都合である。それは、光景中の点の、エンジン22の場所に対しての深度(Z)座標を与え、光景内の走査されている領域の動的ズーミング及びシフトを可能にする。深度エンジンの実施形及び動作は以下に更に詳しく説明されている。
【0042】
コンピュータ24は
図1には一例として深度エンジン22から分離されたユニットとして示されているが、コンピュータの処理機能のうちの幾つか又は全ては、深度エンジンのハウジング内にあるか又はそれ以外に深度エンジンと関連付けられている、適したマイクロプロセッサ及びソフトウェアによって又は専用の回路機構によって遂行されてもよい。別の代替形として、これらの処理機能のうちの少なくとも幾つかは、ディスプレイスクリーン26(例えばテレビセット内)と一体であるか又はゲームコンソールやメディアプレイヤーの様な何れかの他の適した種類のコンピュータ化されたデバイスと一体である適したプロセッサによって実施されてもよい。エンジン22の感知機能は、同様に、コンピュータ24へ又は深度出力によって制御されることになる他のコンピュータ化された装置へ一体化されていてもよい。
【0043】
次に続く説明の簡潔さ及び明解さを期して、一組のデカルト軸が
図1に付されている。Z軸は、深度エンジン22の光軸に平行となるように取られている。X軸を水平方向として、深度エンジンの正面はX−Y面となるように取られている。しかしながら、これらの軸は、便宜上定義されているに過ぎない。深度エンジン及びその関心体積の他の幾何学的構成が代わりに使用されてもよく、それら代わりの構成は本発明の範囲内にあるものと考える。
【0044】
図1は、深度エンジン22のズーム能力を描いている。最初、エンジン22により発射されたビーム38はVOI30全体を走査し、光景全体の低解像度深度マップを生成する。走査範囲は、図に示されている様に、例えば120°(X)x80°(Y)の様に広くてもよい。(本説明中に「走査範囲」という場合、それはマッピングシステムを動作させることが意図されている一杯の範囲を意味し、それは深度エンジン22の走査器が物理的に走査可能である総範囲より小さいこともある。)コンピュータ24は、ユーザー28を識別し、エンジン22に命令して、その走査範囲を、ユーザーを包含するウインドウ32まで狭めさせ、而してウインドウ中のオブジェクトのより高い解像度の深度マップを生成させる。随意的に、コンピュータ24は、エンジン22に命令して、ウインドウ34及び36によって例示されているユーザーの顔及び身体の特定の部分又は特徴になおいっそうズームインしてゆくようにさせてもよい。エンジン22による命令及びそれら命令の実行は動的であり、即ちコンピュータ24は走査器の動作中にエンジン22に命令して走査ウインドウを修正させることもできる。而して、例えば、ウインドウの場所は、光景中のユーザーの動き又は他の変化或いはアプリケーションの要件に応じてフレーム間で変わり得る。図に示されている様に、ウインドウは、走査範囲内の中心にある必要はなく、実践的には範囲内ならどこでも所在し得る。
【0045】
これらの動的ズーム機能は、エンジン22の走査範囲を制御することによって実施されている。典型的に、エンジン22は、VOI30をラスターパターンで走査する。例えば、ウインドウ32を生成するには、ラスター走査のX範囲を減らし、Y範囲は変えずにそのままとする。この種のウインドウ操作は、深度エンジンがY方向には固定された振幅及び周波数(例えば5−10kHzなど)を用いて共振走査で高速に走査する一方でX方向には所望のフレームレート(例えば30Hzなど)でより低速に走査する場合に行えるのが好都合である。X方向走査は回転の共振周波数ではない。而して、ユーザー28の各々に亘るそれぞれのウインドウを走査してゆく一方でユーザー28同士の間の空間に亘るウインドウはとばしてゆくといった様に、各フレームが複数の垂直方向ウインドウを包含するようにX方向走査の速さは走査範囲に亘って変えることができる。別の代替形として、走査のY範囲を減少させ、而して全体としての垂直方向視野を減少させてもよい。
【0046】
追加的又は代替的に、走査のY範囲も同様に制御し、而して走査ウインドウ34、36にXとYのどちらについても異なった範囲を与えるようにしてもよい。また、走査のY範囲及び/又はX範囲及びXオフセットを各フレーム中に修正し、非矩形ウインドウを走査させるようにしてもよい。
【0047】
コンピュータ24は、深度エンジン22によって提供されているコマンドインターフェースを介して深度エンジン22に命令してズームを変更させてもよい(即ちズームウインドウのサイズ及び/又は場所を変更させる)。コンピュータは、コンピュータ上で走るアプリケーションプログラムがコマンドインターフェースを呼び出すことができるようにアプリケーションプログラムインターフェース(API)及び/又は適したミドルウェアを走らせていてもよい。
【0048】
様々なズーム制御モデルをコンピュータによって実施させることができ、又は様々なズームモデルは、代替的又は追加的に、深度エンジン22の内蔵されたソフトウェアによって実施させることもできる。先に指摘されている様に、コンピュータ又は深度エンジンは、ズームを、オンザフライで、深度マップの分析に基づいて変更してもよい。最初、深度エンジン及びコンピュータは広角低解像度探索モードで動作し、その後、ユーザーが光景中に識別されたら高解像度追跡モードへとズームしていくようにしてもよい。例えば、ユーザーが光景に入って来たとき、コンピュータは、ユーザーの存在及び場所を検出し、深度エンジンに命令してユーザーの場所をズームインさせるようにしてもよい。次いでユーザーが或る特定の身振りをすると、コンピュータは身振りを検出し、深度エンジンに命令してユーザーの手を更にズームインさせるようにしてもよい。
【0049】
上記種類のスキームを支援する深度エンジンの走査ミラー設計及び他の詳細事項が付随する図を参照して説明されている。
【0050】
図2は、本発明の或る実施形態による、深度エンジン22の機能的構成要素を概略的に示しているブロック線図である。エンジン22は、図に指し示されている様に、光学ヘッド40と、特定用途向け集積回路(ASIC)として実施されていてもよいとされる制御器42(プロセッサとも呼称される)と、を備えている。
【0051】
光学ヘッド40は、出力を適したレンズによってコリメートされるレーザーダイオードの様な送信器44を備えている。送信器44は、可視光、赤外線光、及び/又は紫外線光の放射線(それら全てが本説明及び特許請求の範囲の文脈では「光」と呼称される)から成る光のビームを出力する。同様にASIC53として実施されていてもよいとされるレーザー駆動部は、レーザー出力を変調し、よってそれは典型的にサブナノ秒の立ち上がり時間を有する短パルスを発射する。レーザービームは、以下に説明されている様にMEMS技術を使って作製及び駆動させることのできる走査用マイクロミラー46に向けて方向付けられる。マイクロミラーは、ビーム38を光景上に、典型的には適したレンズ(下図に示されている)の様な投射/捕集光学器を介して、走査する。
【0052】
光景から反射して戻される光のパルスは光学器によって捕集され、走査ミラー46から受信器48へ反射する。(代替的に、送信器と受信器とによって共有される単一ミラーに代えて、一対の同期されたミラーを、一方を送信器用とし他方を受信器用として、なおエンジン22の対話式ズーム能力を支援しながらに使用してもよい。)受信器は、典型的に、アバランシェ・フォトダイオード(APD)の様な高感度高速光検出器を、光検出器によって出力される電気パルスを増幅するトランスインピーダンス増幅器(TIA)の様な高感度増幅器と共に備えている。これらのパルスは対応する光のパルスの飛行時間を指し示すものである。
【0053】
受信器48によって出力されるパルスは、深度(Z)値を走査場所(X,Y)の関数として抽出するために制御器42によって処理される。この目的で、パルスは高速アナログ/デジタル変換器(A2D)56によってデジタル化され、結果として得られるデジタル値が深度処理論理50によって処理されることになる。対応する深度値は、USBポート58又は他の適したインターフェースを介してコンピュータ24へ出力されることになる。
【0054】
場合によって、特に光景中のオブジェクトの縁付近では、所与の投射光パルスが、受信器48によって検出される2つの反射光パルス、つまり、前景のオブジェクト自体から反射される第1のパルスとそれに続くオブジェクトの背後の背景から反射される第2のパルスを生じさせることがある。論理50は、両方のパルスを処理して、対応する画素における2つの深度数値(前景及び背景)を与えるように構成されていてもよい。これらの二重値は、光景の更に精度の高い深度マップを生成する場合にコンピュータ24によって使用されることになる。
【0055】
制御器42は、更に、電力をエンジン22の構成要素へ提供するパワー変換器57を備えており、光学ヘッド40の送信、受信、及び走査の機能を制御する。例えば、制御器42のMEMS制御回路52は、以上に解説されている様にミラー46の走査範囲を修正するように、コマンドを光学ヘッドに出すようになっていてもよい。走査ミラーと関連付けられている適した誘電性又は容量性センサ(図示せず)の様な位置センサが、位置フィードバックをMEMS制御機能へ提供するようになっていてもよい。レーザー制御回路54及び受信器制御回路55は、同様に、送信器44及び受信器48の、振幅、利得、オフセット、及びバイアスの様な動作の態様を制御する。
【0056】
受信器48に入射するパルスの光強度のレベルを均等化するために、ASICのレーザー駆動部53及び/又はレーザー制御回路54が送信器44の出力パワーを適応的に制御するようになっていてもよい。この適応化は、光パルスを反射させる光景の異なった部分中のオブジェクトの距離及び反射率のばらつきのせいで起こる反射パルスの強度のばらつきを補償する。而して、それは、検出器飽和を回避しながらも信号/ノイズ比を改善するうえで有用である。例えば、各送信パルスのパワーは、今回の走査で送信器によって発射された先の単数又は複数のパルス及び/又は先の走査でのミラー46のこのX,Y位置におけるパルスの様な1つ又はそれ以上の以前のパルスへの応答における受信器48からの出力のレベルに基づいて調節されるようになっていてもよい。随意的に、光学ヘッド40の要素は、戻されるパワー又はオブジェクト距離を評定することを目的に「偵察パルス(scout pulses)」を全パワー又は部分パワーで送受信するように構成されていてもよく、そうして送信器44の出力を然るべく調節するようにしてもよい。
【0057】
光学走査ヘッド
図3は、本発明の或る実施形態による光学ヘッド40の要素を示す概略絵図である。送信器44は、光のパルスを偏光ビームスプリッタ60へ向けて発射する。典型的に、送信器60の光の経路に直接入っているビームスプリッタの小区域のみは反射のために被覆されるが、ビームスプリッタの残部は戻される光が受信器48へ通過してゆくのを許容するように完全に透過性である(又は反射防止被覆が施されていることすらある)。送信器44からの光は、ビームスプリッタ60に反射し、次いで折り曲げミラー62によって走査用マイクロミラー46へ向けて方向付けられる。MEMS走査器64は、マイクロミラー46をX方向及びY方向に所望の走査周波数及び振幅で走査する。マイクロミラー及び走査器の詳細は付随する図に示されている。
【0058】
光景から戻される光パルスはマイクロミラー46に当たり、マイクロミラー46は光を反射し、折り返しミラー62を介してビームスプリッタ60に通す。受信器48は、戻された光パルスを感知し、対応する電気パルスを生成する。検出の感度を強化するために、ビームスプリッタ60の全体面積及び受信器48の開口は送信ビームの面積よりも著しく広くされていて、ビームスプリッタは相応にパターン形成されており、即ち反射性被覆はその表面の送信ビームが入射する部分のみに亘って延在している。ビームスプリッタ60の裏面は、送信器44の発射帯域の外の光が受信器に到達するのを防ぐために帯域通過被覆を有していてもよい。更に、マイクロミラー46は、走査器によって課せられる慣性制約内で可能な限り広いことが望ましい。例えば、マイクロミラーの面積は約10−15mm
2とすることができる。
【0059】
図3に示されている光学ヘッドの特定の機械的及び光学的設計はここに一例として記載されているのであって、同様の原理を実施する代わりの設計も本発明の範囲内にあるものと考える。走査用マイクロミラーと関連付けて使用することのできる光電子工学式モジュールの他の例が以下に説明されている。
【0060】
図4は、本発明の或る実施形態によるMEMS走査器64の概略絵図である。この走査器は、上述の米国特許第7,952,781号に記載されているものと同様の原理で作製され動作するが、単一マイクロミラー46の二次元走査を可能にする。この種類の二軸式MEMSベース走査器は、更に、2012年7月26日出願の米国仮特許出願第61/675,828号に記載されており、同仮出願をここに参考文献として援用する。また一方、本発明の代わりの実施形態は、2つの単軸式走査器(例えば米国特許第7,952,781号に記載されているもの)を使用している設計を含め、当技術で知られている他の型式の走査器を使用することもできる。
【0061】
マイクロミラー46は、半導体基板68を適切にエッチングして、マイクロミラーを支持体72から分離させ、また支持体を残りの基板68から分離させることによって、作製されている。エッチング後、マイクロミラー46(適した反射性被覆が塗工されている)はスピンドル70を中心に支持体72に対してY方向に回転することができ、支持体72はスピンドル74を中心に基板68に対してX方向に回転する。
【0062】
マイクロミラー46及び支持体72は、永久磁石を備えている一対の回転子76に取り付けられている。(図には回転子のうちの1つだけを視認できる。)回転子76は、心78のそれぞれの空隙に懸下されている。心78にはそれぞれの導線コイル80が巻かれており、而して電磁固定子組立体を作り出している。(簡潔さを期して、
図4には心当たり1コイルとして示されているが、代わりに、各心には2つ又はそれ以上のコイルが巻かれていてもよいし、更には異なった心形状が使用されていてもよい。)コイル80を通して電流を流してゆくと、空隙に磁界が生成され、磁界は回転子76の磁化と相互作用して回転子を空隙内で回転するように若しくはそれ以外に動くように仕向ける。
【0063】
具体的には、コイル80は、マイクロミラー46にスピンドル70周りに高速で共振式に往復回転するよう仕向けるために高周波差動電流を流されてもよい(典型的には以上に指定されている様に5−10kHzの範囲であるが、より高い又はより低い周波数を使用することもできる)。この共振回転は、エンジン22からの出力ビームの高速Y方向ラスター走査を生成する。同時に、コイル80は、支持体72のスピンドル74周りの回転によって、所望の走査範囲を通るX方向走査を推進するように、より低い周波数で一体に駆動される。X回転及びY回転は一体でマイクロミラー46の全体としてのラスター走査パターンを生成する。
【0064】
図5は、本発明の別の実施形態によるマイクロミラーユニット82の概略絵図である。組立体82は、以上に走査器64に関連付けて説明されているのと同様の方式でMEMS技術を使用して作製され動作させることができる。この実施形態では、マイクロミラー46は、スピンドル84によってY支持体86へ接続されており、Y支持体はスピンドル88によってX支持体90へ接続されている。X支持体はスピンドル92によって基板(この図には示されていない)へ接続されている。マイクロミラー46は、スピンドル84を中心に高周波数で共振式に往復回転し、而して上述の高速Y方向走査を生成する。Y支持体86及びX支持体90は、組立体82が走査しようとするX−Yウインドウを定義するように、可変振幅及びオフセットを用いてより低速で回転する。この配列は、好都合にも、例えば、
図1に示されているウインドウ34及び36上の走査を生成するのに使用することができる。
【0065】
図4及び
図5に示されている特定のMEMSベース走査器はここでは一例として記載されている。代わりの実施形態では、深度エンジン22には他の型式のMEMS走査器が使用されてもよいし、また同様に他の走査技術に基づく、適した走査器64が使用されてもよい。全てのその様な実施形は本発明の範囲内にあるものと考える。
【0066】
適した駆動信号を以上に説明されている各種マイクロミラーベース走査器へ適用することによって、様々な走査モードを有効にすることができる。特定のウインドウへのズームインの実施可能性は既に上述されている。先に指摘されている様に、視野全体が走査される場合でさえ、X方向走査レートは、走査の過程に亘って1つ又はそれ以上の領域内でのより高い解像度を与えるために、これらの領域上ではマイクロミラーを相対的に低速で走査し光景の残部はより速いレートで走査することによって、変えられることがある。これらの特定領域高解像度走査は、マイクロミラーが光景を一方向に走査する(例えば左から右へ走査する)際には低解像度の深度マップを与える固定されたX方向走査レートを維持し、逆方向への走査(右から左への戻り走査)中は高解像度ウインドウをマップするようにX方向走査レートを低速と高速の間で変えることによって、光景全体に亘る低解像度低速走査をフレーム毎にインターレースさせることができる。他の種類の可変インターレース型走査パターンも適した駆動信号を適用することによって同様に実施することができる。
【0067】
光電子工学式モジュール
図3に示されている様に、個々の光学的及び機械的構成要素から成る光学ヘッド40の組み立ては、精密整列を要し、費用が嵩まないとも限らない。代わりの実施形態では、精密な設置及び整列を要する全ての部分(例えば、光送信器、受信器、及び関連光学器)は、シリコン光学ベンチ(SiOB)又は他の型式のマイクロ光学ベンチ、例えばアルミナ、窒化アルミニウム、又はガラス(Pyrex(登録商標))の様な半導体又はセラミック基板ベースのマイクロ光学ベンチ、の様なマイクロ光学基板上の単一集積型モジュールパッケージに組み合わせることができる。この手法は、費用を節約でき、深度エンジンを扱い易いものにすることができる。
【0068】
図6Aは、本発明の或る実施形態による、この種の光電子工学式モジュール100の概略側面図である。送信器として働くレーザーダイ104及び駆動部チップ106が、シリコン光学ベンチ(SiOB)102上に設置されている。この実施形態のレーザーダイ104は端面発光デバイスであるが、他の実施形態では以下に説明されている様に表面発光デバイスを使用することもできる。ダイ104からのレーザー出力ビームは、折り返しミラー108から反射し、レンズ110によってコリメートされる。レーザービームには、そのビーム軸を受信器のそれと整列させるために、プリズム112が設置されていてもよい。プリズム112は、レンズ110のモノリシック部分として作られていてもよく、典型的にはレンズの面積のごく一部(例えばレンズのクリア開口の1/10)を覆っている。
【0069】
レーザーは、典型的には、レンズ110よりも著しく低い開口数(NA)を有している。従って、レンズでのレーザービームは、レンズによって捕捉される戻りビームよりはるかに細いはずである。(随意的に、例えばレンズ110によって見えるビームの開口数を減らすために、
図8Aに示されている様にボールレンズがSiOB102上のレーザーダイ104とミラー108の間に設置されてもよい。追加的又は代替的に、出てゆくレーザービームをコリメートするために
図6Bに示されているレンズ要素と同様の追加のレンズ要素をレンズ110に加えてもよい。)モジュール100からの出力レーザービームは、走査ミラーに当たり、走査ミラーがビームを関心光景上に走査する。
【0070】
光景から走査ミラーを介して戻される光はレンズ110によって捕集され、レンズ110が光をベンチ102上のアバランシェ・フォトダイオード(APD)ダイ114へ集束させる。APDの出力は、以上に解説されている様にトランスインピーダンス増幅器(TIA)116によって増幅される。代わりに、モジュール100(及び以下に説明されている代わりのモジュール設計)では、目下の用途にとって十分な感度及び速さを有している限り他の種類の検出器及び増幅器が使用されてもよい。送信と受信はレンズの異なった部分を使用するので、レンズ110はレーザーとAPDに異なったコリメーション特性を呈していてもよいし、又は同様のコリメーション特性を呈していてもよい。
【0071】
レンズ110は、例えば、ウェーハレベル光学器の手段によってか又はポリマー材料又はガラスを成形することによって作製されてもよい。その様なレンズは、モジュール100の側壁を作り出しひいてはモジュールを封止している「脚」を有していてもよい。モジュール100の組み立ては、ダイの取り付けられたSiOBのウェーハがレンズのウェーハに貼り合わされ、次いでダイシングされるというように、ウェーハレベルで遂行されてもよい。代わりに、適切に形成された空洞を有するスペーサーウェーハをSiOBウェーハに貼り合わせ、その上にレンズウェーハを貼り合わせるようにしてもよい。更に代替的に、組み立ては単体化されたシリコン光学ベンチ及びレンズを使用して実施されてもよい。何れにせよ、全体としてのモジュール100は、一辺が典型的に約5−8mmの中空立方体の形態を有するものとなろう。(代わりに、この実施形態及び以下に説明されている他の実施形態の両方では、マイクロ光学ベンチ及びその上の構成要素が透明なキャップで封止され、他の付属光学器と一体のレンズ110が次いで精密な追加物として組み立てられるようになっていてもよい。)
【0072】
図6Bは、本発明の別の実施形態による、光電子工学式モジュール117の概略側面図である。モジュール117では、レーザーダイ104からのビームを反射するミラー118が大凡45度の角度をなしており、その結果、レーザービームはレンズ110及びAPDダイ114によって画定されている受信光の光軸(ここでは「捕集軸」と呼称)に平行な軸に沿って反射されることを除いて、モジュール117はモジュール100に類似である。(捕集軸は、設計選定の問題であり、APDダイ114の平面に対して傾斜させることもできる。)この構成では、プリズム112は必要ないが、例えば出てゆくレーザービームをコリメートするために、追加のレンズ要素119が、当該要素119をレンズ110と一体に成形することによって加えられてもよい。レーザーダイ104からの投射ビームとAPDダイ114の捕集軸が平行である限り、この実施形態での軸間のオフセットにはシステム性能への実質的効果は無い。
【0073】
以上の図のミラー108と118の角度は一例として示されており、他の角度、即ち、45°より大きい角度及び45°より小さい角度の両方、が代わりに使用されてもよい。APDダイ114を、レーザーダイ104によって発射されるビームからの後方反射光を含む何らかの迷光から遮蔽することが概して望ましい。この理由から、ミラー118のより鋭い反射角度(
図6Aの実施形態のミラー108と比較)が有利である。或る代わりの実施形態(図には示されていない)では、なおいっそう鋭い反射角度がレーザービームのための対応する投射光学器の適切な改造と併せて使用されている。例えば、SiOB102又は代わりにSiOB102の上に設置されているシリコンスペーサーウェーハ(図示せず)が、(100)シリコン結晶を備え、(111)平面に沿って湿式エッチングされ、次いで金属又は誘電性積重体で被覆されて、54.74°の傾斜のミラーを形成するようにしてもよい。この場合、レンズ110は、傾斜していてもよいし、それ以外に軸外にAPDダイ114へ合焦するように構成されていてもよい。随意的に、モジュール100又は117は、更に、APDダイをレーザービームの迷光反射から遮蔽するための光反らせ板又は他の手段(図示せず)を含んでいてもよい。代替的又は追加的に、45°より大きい角度については、APDダイ114は図に示されている様にレーザーダイ104の前ではなく後に設置することができる。
【0074】
図7は、本発明の更に別の実施形態による、光電子工学式モジュール120の概略側面図である。このモジュールは、送信ビームと受信ビームを整列させるために、送信器要素(レーザーダイ104及び駆動部106)が台座122上に設置されており、ビームスプリッタ124がSiOB102の上方に取り付けられていることを除いて、モジュール100及び117に類似である。ビームスプリッタ124は、モジュール120中に斜めに向き付けられている透明板126上の適切に被覆された小領域を備えていてもよい。レーザーダイ104が偏光ビームを出力するように構成されている場合、直交偏光を通過させながらも偏光方向のレーザービームを反射し、それによりモジュールの光学効率を高めるように、ビームスプリッタ124は偏光依存性であってもよい。
【0075】
図8A及び
図8Bは、本発明の更に別の実施形態による、光電子工学式モジュール130の概略側面図である。
図8Bに示されている図は
図8Aに対して90°回転させたものであり、
図8Aの図の正面に見える品目は
図8Bの左側にある。この実施形態は、送信ビームと受信ビームが、モジュール130内で別れており、モジュールからの出口でモジュールの基板の上方に取り付けられているビーム結合器142によって整列させられる点で、先の実施形態とは異なる。
【0076】
レーザーダイ104によって発射される照射ビームは、SiOB102に形成された溝135に位置付けられているボールレンズ134によってコリメートされる。溝135は、湿式エッチングの様な当技術で知られている技法によるリソグラフィー的精密さでシリコン及び半導体材料に作製される。代替的又は追加的に、ボールレンズは、溝135無しでも、精度の高いピック・アンド・プレイス機械によってSiOBへ直接付着させることができよう。折り返しミラー136は、コリメートされたビームをSiOB102から離してモジュール130の光電式構成要素を保護しているカバーガラス137を通して反射する。ボールレンズ134は、典型的には、部分的なコリメートションしか実現しないので、レーザービームを典型的には3乃至10倍拡大し、ひいてはそのコリメーションを強化するのに、ビーム拡大器138が使用されている。ビーム拡大器138はここでは単要素光学的構成要素として示されているが、複要素ビーム拡大器が代わりに使用されてもよい。モジュール130の設計は、能動的な整列を要すること無しに精度よく組み立てができること、即ち組立及び整列がレーザーダイ104を実際に通電すること無しに微細な公差内で完遂され得る点で有利である。
【0077】
ビーム拡大器138によって出力されるコリメートされたビームは、ビーム結合器142で反射器144によって向きを変えられ、その後、ビームスプリッタ146によって走査ミラーへ向けて外向きに折り返される。レーザーダイ104が偏光ビームを出力すると仮定した場合、ビームスプリッタ146は、以上に
図7を参照して説明されている様に偏光依存性であるのが好都合である。走査ミラーから戻された捕集されるビームは、ビームスプリッタ146を通過し、次いで捕集レンズ140によりAPD114へ集束される。捕集レンズは、モジュール130の幾何学的制約内での光捕集効率を最大化するために、
図8A及び
図8Bに示されている様に非対称の細長い形状を有していてもよい。
【0078】
ビーム結合器142は
図8Bに単一プリズム要素として示されているが、他の実施形が代わりに使用されてもよい。例えば、ビーム結合機能は、2つの別々の傾斜板、即ち反射器144の代わりの反射性の板とビームスプリッタ146の代わりのビームスプリット性の板とによって遂行されてもよい。
【0079】
図9は、本発明の別の実施形態による、ビーム結合器142の代わりに使用することのできるビーム結合器150の概略側面図である。ビーム結合器150は、例えばガラス製の透明基板152を、反射器144の代わりとなる反射性被覆154及びビームスプリッタ146の代わりとなるビームスプリット性被覆156(典型的に偏光依存性)と一体に備えている。基板152の、投射ビーム及び捕集ビームが結合器150を出入りする際に通る正面及び裏面の残り区域には、反射防止被覆158が塗工されていてもよい。ビーム結合器150の設計は、製造及び組み立ての単純さの観点で有利である。
【0080】
図10A及び
図10Bは、本発明の更なる実施形態による光電子工学式モジュール160の概略側面図である。2つの図は互いに対して90°回転させたものであり、
図10Aの正面にある要素は
図10Bでは右側に見える。モジュール160の設計及び動作の原理は、モジュール160ではコリメーションのためにボールレンズが使用されていないことを除いて、モジュール130(
図8A/
図8B)のものに類似である。レーザーダイ104から送信されるビームのためのコリメーションレンズ164及び走査ミラーから受信されるビームのための捕集レンズ166は、本事例では、モジュールのカバーガラス162上に直接取り付けられている。送信ビーム及び受信ビームのビーム軸は、典型的には、
図8A/
図8Bの実施形態での様にビーム結合器(これらの図には示されていない)によって整列させられる。
【0081】
レンズ164及び166が厳しい製造公差を有している場合、それらは、マシンビジョン技法を使用し自身の光心をモジュール160の適切な軸と整列させるようにして、カバーガラス162の上の定位置に組み立てることができる。しかしながら、その様な微小レンズは、一般的には1−5%程度とされる大きな公差を有しているのが典型的であり、レンズがウェーハスケールプロセスで大量生産される場合は特にそうである。その様な公差は、測定及び勘案されないなら、レーザーダイ104からのビームのコリメーション不良を引き起こしかねない。
【0082】
この種の事態を回避するには、コリメーションレンズ164の実際の有効焦点距離(EFL)を前もって測定すればよい。例えば、レンズ164がウェーハスケールプロセスで製作される場合は、モジュール160が組み立てられる前に各レンズのEFLをウェーハレベルで精密に測定すればよい。そうすれば、
図10Aの水平矢印で描かれている様に各モジュール160の基板上のレーザーダイ104の折り返しミラー136からの距離を対応するレンズ164の測定されたEFLに整合するよう製作時に調節することができる。そうしてレーザーダイは適正な場所に(典型的にはグルー又ははんだによって)固定される。このレーザーダイの場所の調節は、既存のピック・アンド・プレイス機械の能力内に裕に納まるものであって、折り返しミラー136上方のカバーガラス162上に精度良くレンズ164を中心合わせするのにも同様に使用することができよう。結果として、モジュールの構成要素は、実際にレーザーダイ114を通電し動作させること無く組み立て及び整列させることができ、即ち「能動整列」を一切要しない。
【0083】
ピック・アンド・プレイス機械は、同様に、捕集レンズ166を位置付けするのに使用することができる。但し、捕集ビームの幾何学的制約がそれほど厳格ではなく、またAPD114のサイズが比較的大きいため、捕集レンズのEFLのばらつきはそれほど決定的ではない。従って、
図10A及び
図10Bに示されている捕集レンズ166のカバーガラス162への取り付けに代わるものとして、捕集レンズは製作後のモジュール160へビーム結合器と一体に組み立てられてもよい。
【0084】
代わりに、先に指摘されている様に、上述の実施形態の原理に基づくモジュールは、セラミック基板又はガラス基板の様な他の種類のマイクロ光学基板上に製作されてもよい。電気的性能の観点ではセラミック材料が有利であるかもしれない。
【0085】
他の代わりの実施形態(図に示されていない)では、光電子工学式モジュールの送信部分と受信部分は2つの異なったマイクロ光学ベンチ上に分けて取り付けられている。この手法は、受信器の要件が、高い帯域幅、高周波数信号についての低い損失、及び低価格である一方、送信器については主たる要件が、熱伝導率、並びにレーザーダイオードの信頼性のための密閉封止であることから、好都合であろう。
【0086】
表面発光器に基づくビーム送信器及びモジュール
本発明の或る実施形態によるビーム送信器170を概略的に描いている
図11A−
図11Cをこれより参照してゆく。
図11Aはビーム送信器全体の側面図であり、
図11B及び
図11Cは、それぞれ、送信器170中に使用されているビーム生成器172の側面図及び後面図である。送信器170は、特に、上に説明されている型式の光学走査ヘッドに一体化させることのできる光電子工学式モジュールに使用するのに適しており、この種のモジュールが以下に更に説明されている。また一方で、この型式の送信器は、コンパクトなソースが強くて十分に制御されている出力ビームを生成することを要求される他の用途に使用することもできよう。
【0087】
ビーム生成器172は、垂直空洞表面発光レーザ(VCSEL)の様な表面発光デバイス178のアレイを備えている。デバイス178によって発射されるビームは、対応するマイクロレンズ176のアレイによって捕集され、マイクロレンズ176がビームをコリメーションレンズ175へ向けて方向付ける。デバイス178とマイクロレンズ176は、GaAsウェーハの様な適した半導体ウェーハなどの透明な光学基板180の互いに反対側の面に形成されているのが好都合であろう。(GaAsは、約900nmに始まる光学的通過帯域を有しており、即ちそれは約900nmより長い波長には透過性であり、従って基板180の裏面のデバイス178によって発射されるその様な波長の放射線を通すはずである。)基板180の厚さは、典型的に約0.5mmであるが、より小さい又はより大きい寸法が代わりに使用されてもよい。
図11Cに最も明瞭に示されている様に、デバイス178の場所は、対応するマイクロレンズ176の中心に対して内方にオフセットされており、而してマイクロレンズによって送信される個々のビーム間の角度的拡散を生じさせる。
【0088】
図11Dは、本発明の代わりの実施形態によるビーム生成器182の概略側面図である。この実施形態では、表面発光デバイス178は基板183の正面側に形成されており、当該基板183は下層の基板へワイヤボンド185によって接続されていてもよい。マイクロレンズ176は、ガラスブランクの様な別体の透明ブランク184上に形成され、ブランクは次いで基板183上のデバイス178と整列させられデバイス178の上に接着される。ビーム生成器182の設計は、而して、デバイス178が、基板が透過性を持たないより短い光を発射するように設計されている場合に適切である。基板183及びブランク184は、光学的設計及び熱の放散が理由で、各々が典型的に厚さ約0.25mmであるが、他の寸法も同様に使用することができる。
【0089】
図12A−
図12Cは、本発明の別の実施形態によるビーム送信器186を概略的に描いている。前と同様、
図12Aはビーム送信器全体の概略側面図であり、
図12B及び
図12Cは、それぞれ、送信器186中に使用されているビーム生成器188の概略側面図及び概略後面図である。ビーム生成器188は、
図12Cに示されている様にビーム生成器188中のデバイス178の場所が対応するマイクロレンズ176の中心に対して外方にオフセットされている点でビーム生成器172と異なる。結果として、マイクロレンズ176によって送信される個々のビームは、
図12Aに示されている様に、フォーカルウエストに収束し、その後、再び拡散してゆく。
【0090】
ビーム送信器170及び186中の表面発光デバイス178は、レンズ175によって出力されるビームの特徴を変更するために、個々に又は事前に定義されている群で駆動させることができる。例えば、デバイス178の全てを一括して駆動すれば大径の強力なビームを与えることができるし、中心のデバイス単独若しくはデバイス7つから成る中央の群のみを一括して駆動すれば小径のあまり強くないビームを与えることができる。
図11C及び
図12Cは表面発光デバイスのアレイの特定の六角形配列を示しているが、より大きな数又はより小さな数のデバイスを六角形又は他の種類の幾何学的配列に並べた他の配列を代わりに使用することもできる。
【0091】
図13は、本発明の或る実施形態による、ビーム生成器172(
図11B/
図11C)を組み入れた光電子工学式モジュール190の概略側面図である。このモジュール、並びに
図14及び
図15に示されている代わりのモジュールは、以上に説明されている種類の光学走査ヘッドを作製する場合に走査ミラー及び他の構成要素と関連付けて使用することができる。
図13−
図15のモジュールは、代わりに、送信ビームと受信ビームが同軸のコンパクトな光学送受信器を必要とする他の用途に使用されてもよい。
【0092】
モジュール190では、ビーム生成器172(
図11B/
図11Cに描かれている)は、SiOBの様なマイクロ光学基板192上に、例えば上述のAPDの様な適した検出器を保有する受信器194と共に取り付けられている。ビーム結合器196が送信ビームと受信ビームを結合し、走査ミラー(
図13−
図15には示されていない)へ向けてレンズ175を通過させる。この実施形態のビーム結合器196は、ガラス板を備えており、同板は、その表面の送信ビーム及び反射ビームが板を入出するところ以外の殆どを外部反射性被覆198で覆われている。ビーム生成器172によって送信されるビームは、以上に解説されている様に偏光依存性であってもよいとされるビームスプリッタ被覆200を通ってビーム結合器に入り、反射防止被覆を施されていてもよいとされる正面窓202を通って出てゆく。
【0093】
レンズ175によって捕集される受信ビームは窓202を通ってビーム結合器196に入り、ビームスプリッタ被覆200及び反射性被覆198から内方に反射し、次いで受信器194へ向けて裏面窓204を通って出てゆく。ビーム結合器板の厚さは、所望の光路長(そうでなければレンズ175の後方焦点距離より長い光路長となってしまう)を与えるように選定されている。受信器に到達する迷光の量を減らすために、窓204は、レンズ175の焦点に置かれていてもよく、そうすると可能な限り小さくすることができる。窓204(並びに窓202)は、ビーム生成器172の発射帯域の外にある周辺光が除外されるように、狭帯域フィルタ被覆を有していてもよい。
【0094】
図14は、本発明の別の実施形態による、ビーム生成器188(
図12B/
図12C)を組み入れた光電子工学式モジュール210の概略側面図である。この事例のビーム結合器212はガラス板を備えており、ガラス板には、ビーム生成器188によって送信されるビームを折り曲げる反射性被覆214と、送信ビームと受信ビームをガラス板の裏面で結合させるビームスプリッタ被覆216と、が施されている。ビームスプリッタ被覆216は、先の実施形態での様に、受信器194に至る経路上に狭帯域フィルタを重ね置かれているか又はそれ以外に狭帯域フィルタと組み合わされていてもよい。この実施形態でのビーム結合器212の厚さは、ビーム生成器188によって送信されるビームの所望の経路長を与えるように選定されており、ビーム結合器内部にフォーカルウエストを有している。
【0095】
図14では送信ビーム及び受信ビームは略等しい開口を有しているが、送信ビームの開口は代わりに受信ビームの開口よりも小さくされていてもよい。この後者の事例では、ビームスプリッタ被覆216の直径は、送信ビームの開口より大きくはならない。この開口の外側に、ガラス板は、受信ビームがビームスプリッタに因るエネルギーの損失無しに受信器194に到達できるように反射性被覆を有していてもよい。
【0096】
図15は、本発明の更に別の実施形態による、ビーム生成器188を組み入れた光電子工学式モジュール220の概略側面図である。この実施形態では、二焦点レンズ220は、比較的小さい開口と短い焦点距離で以ってビーム生成器188によって送信されたビーム230を捕集しコリメートする中央ゾーンを有している。レンズ220の周辺ゾーンは、比較的大きい開口と長い焦点距離で以ってビーム232を捕集し受信器194上へ集束させる。而して、レンズ220の区域は、またそれに付随して走査ミラーの区域は、小さい中央送信ゾーンとより大きい周囲の受信ゾーンに分かれる。
【0097】
この実施形態に使用されているビーム結合器224は、ビーム232に対応するのに十分に広い正面窓226を有しているが、裏面側の反射性被覆198の窓228ははるかに小さい。窓228は、ビーム生成器188によって送信される狭いビームに対応できるだけの広さがあればよい。必然的に、ビーム232のエネルギーの殆どはビーム結合器内部で反射性被覆198によって反射され、裏面窓204(上述のように小さくされていて狭帯域被覆を塗被されていてもよい)を介して受信器194に到達する。この実施形態では、ビームスプリッタ被覆の必要性は無く、従ってビーム生成器188は非偏光性マルチモード表面発光デバイスを備えることができる。
【0098】
代わりの実施形態
以上に説明されている実施形態は光景から戻される走査光を検出するのに単一の検出器要素(例えばAPD)を使用しているが、他の種類の検出器構成が代わりに使用されてもよい。例えば、光検出器の直線状アレイがこの目的に使用されてもよく、その場合には、光景からの光の捕集に使用されるミラーは、アレイの軸に直角をなす単一方向に走査するだけでよい。この同じ一次元走査ミラーを、検出器アレイの瞬時視野へ一筋のレーザー放射線を投射するのに使用することができる。その様なシステムは、更に、一次元走査に沿った走査パターン及び振幅を変更することによって1つの軸で実現させることのできるズーム機能性が見込まれる。
【0099】
別の代替形として、静止捕集レンズを有する光検出器の2Dマトリクスを光景からの走査光を捕集するのに使用し、視野全体をカバーするようにすれば、受信器の機械的走査は必要なくなる。送信側のレーザーは、なおも、例えばMEMSミラーを使用して二次元で走査される。結果として得られる深度マップの画素位置は、検出器マトリクスの比較的低い解像度ではなしに高精密走査によって確定される。この手法は、整列が簡単である(検出器マトリクスが静止であるため)、走査ミラーはレーザーを投射するためだけに使用され光を捕集するのに使用されないために小型化できる、及び捕集開口を広くできる、という利点を有する。例えば、6mm焦点距離の捕集レンズと、0.1mmのピッチを有する検出器を使用すると、各検出器の視野は大凡1°である。而して、60°視野には60x60の検出器が必要である。また一方で、走査精度によって決まる解像度は1000x1000点に達し得る。
【0100】
このスキームの別の変型は、多重ビーム(例えば、送信ビームのそれがMEMSミラーから反射した後の光学経路内でビームスプリッタによって作成される)を使用することができる。これらのビームは、マトリクス中の異なった検出器での同時読取を生じさせ、而して幾つかの深度領域及び点の同時取得を可能にする。この目的には、ビーム同士が重なり合わず、またマトリクスの何れの単一要素にも重ならないように角度空間中に十分に間隔を空けて離されていることが望ましい。
【0101】
より一般的には、以上に説明されている異なった光電子工学式モジュール及び他のシステム構成要素のそれぞれはある種の特有の特徴を有しているが、この説明はそれら特有の特徴を当該特徴を説明するのに関連付けられている具体的な実施形態に限定しようとするものではない。当業者は、上記実施形態のうちの2つ又はそれ以上からの特徴を、上述の特徴の異なった組合せを備える他のシステム及びモジュールを創出するために組み合わせることができるであろう。全てのその様な組合せは本発明の範囲のうちにあるものと考える。
【0102】
従って、以上に説明されている実施形態は一例として言及されており、本発明は以上に特定的に示され説明されてきたものに限定されるものではないことを理解しておきたい。むしろ、本発明の範囲は、以上に説明されている様々な機構の組合せ及び部分的組合せの両方を含み、また同じく上記説明が読まれたなら当業者に想起されるはずのそれらの変型及び修正であって先行技術には開示されていないその様な変型及び修正も含む。