(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アダリムマブを含む液体組成物を医薬として許容される担体と混合することを含む、アダリムマブ製剤の調製方法であって、前記アダリムマブは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞発現系において発現され、前記組成物は、カテプシンL速度論アッセイによって測定されるとき、1.84RFU/秒/mgアダリムマブ未満のカテプシンL活性のレベルが観察されることを特徴とし、
カテプシンL速度論アッセイが、
i)前記組成物を、25mM NaOAc、5mM DTT及び1mM EDTA.pH5.5を含む溶液に、ポリスチレン容器内で希釈すること、
ii)デキストラン硫酸を0.035μg/mlの濃度まで添加し、37℃で6時間インキュベートすること、
iii)蛍光性7−アミノ−4−メチルクマリンにC末端で共有結合したZ−ロイシン−アルギニン(Z−ロイシン−アルギニン−AMC)を添加すること、ここで、前記希釈、添加及びインキュベーションが、前記Z−ロイシン−アルギニン−AMCのカテプシンによる加水分解を直線範囲で測定することが可能となるのに十分であり、
iv)RFU/秒/mgアダリムマブにおいて直線となる範囲でZ−ロイシン−アルギニン−AMC加水分解を測定すること、
を含む方法。
【発明の概要】
【0002】
プロカテプシンLを含む宿主細胞タンパク質の低下した量を含む抗体調製物を取得する改善された方法に対する要求が存在する。本発明は、得られた抗体調製物がプロカテプシンLを含む宿主細胞タンパク質の低下した量を含む、宿主細胞発現系内で発現された抗体を精製するための方法を提供する。本発明の改善された方法は、宿主細胞タンパク質を正確に検出する再現可能な方法及び速度論アッセイの開発も含む。
【0003】
本発明は、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製するための方法であり、イオン交換分離工程を含み、HCPが減少した抗体調製物が得られるように、混合物が第一のイオン交換材料に供せられる、方法を提供する。一実施形態において、イオン交換分離工程は、HCPの低下したレベルを有する第一の溶出液が得られるように、第一のイオン交換材料上に混合物を通過させることを含む。一実施形態において、本発明の方法は、HCPの低下したレベルを有する第一の貫流が得られるように、第二のイオン交換材料に第一の溶出液が供される第二のイオン交換分離工程をさらに含む。別の実施形態において、本発明の方法は、HCPの低下したレベルを有する第二の溶出液が得られるように、第一の疎水性相互作用材料に第一の貫流が供される疎水性相互作用分離工程をさらに含む。
【0004】
本発明の一実施形態において、イオン交換分離工程は、HCPの低下したレベルを有する第一の溶出液が得られるように、第一のイオン交換材料上に混合物が装填される第一のイオン交換クロマトグラフィー工程を含む。一実施形態において、本発明は、第一の貫流が得られるように、第二のイオン交換材料を含むカラム上に第一の溶出液を装填することを含む第二のイオン交換クロマトグラフィーをさらに含む。
【0005】
一実施形態において、本発明は、第二の溶出液が得られるように、第一の疎水性相互作用材料を含むカラム上に第一の貫流を装填することを含む疎水性相互作用分離工程をさらに含む。一実施形態において、疎水性相互作用分離工程は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む。一実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、フェニルセファロースクロマトグラフィーである。さらに別の実施形態において、疎水性相互作用材料上に装填される抗体の量は、疎水性相互作用材料1リットル当り抗体約20から約40gの範囲である。さらに別の実施形態において、疎水性相互作用材料上に装填される抗体の量は、疎水性相互作用材料1リットル当り抗体約30から約36gの範囲である。
【0006】
一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィー工程は、陽イオン交換クロマトグラフィーである。別の実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィーは、スルホナート基に付着された、メタクリラートをベースとした合成ポリマー性樹脂である。さらに別の実施形態において、本発明は、複数の洗浄工程でイオン交換材料を洗浄することをさらに含む。一実施形態において、複数の洗浄工程は、伝導度の増加を含む。一実施形態において、イオン交換材料は、約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水(例えば、注射用水(WFI))を含む洗浄液で洗浄される。一実施形態において、溶出緩衝液は、20mMNa
2PO
4、150mM塩化ナトリウム、pH7である。
【0007】
一実施形態において、第一の溶出液は、第一のイオン交換クロマトグラフィー工程の前に、ウイルスの不活化に供せられる。一実施形態において、ウイルスの不活化は、pHウイルス不活化(第一の溶出液のpHを低下させ、これにより、ウイルスを不活化する。)を通じて達成される。
【0008】
本発明の一実施形態において、第二のイオン交換クロマトグラフィー工程は、陰イオン交換クロマトグラフィーを含む。一実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーは、フェニルセファロースクロマトグラフィーである。
【0009】
本発明は、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製するための方法であり、第一の溶出液のpH及び伝導度が第二のイオン交換材料のpH及び伝導度と実質的に同様であるように、第一の溶出液のpH及び伝導度を変化させることによって、HCPの減少したレベルが達成される、方法も提供する。一実施形態において、第二のイオン交換材料のpHは、約7.7から約8.3の範囲である。別の実施形態において、第一の溶出液のpHは、約7.7から約8.3の範囲である。さらに別の実施形態において、第一の溶出液のpHは、約8.0まで変化される。一実施形態において、第二のイオン交換材料の伝導度は、約3.5mS/cmから約5.2mS/cm又は約3.5mS/cmから約4.9mS/cmの範囲である。一実施形態において、第一の溶出液の伝導度は、約3.5mS/cmから約5.2mS/cm又は約3.5mS/cmから約4.9mS/cmの範囲である。
【0010】
本発明の一実施形態において、第一の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、混合物より約90から約100倍の範囲少ないHCPを含む。別の実施形態において、第一の貫流は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の溶出液より約840から約850倍の範囲少ないHCPを含む。さらに別の実施形態において、第二の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の貫流より約3から約5倍の範囲少ないHCPを含む。
【0011】
本発明は、抗体及びプロカテプシンLを含む混合物から、プロカテプシンLが減少した抗体調製物を作製するための方法であり、イオン交換分離工程を含み、プロカテプシンLが減少した抗体調製物が得られるように、混合物が第一のイオン交換材料に供せられる、方法を提供する。
【0012】
一実施形態において、イオン交換分離工程は、プロカテプシンLの低下したレベルを有する第一の溶出液が得られるように、第一のイオン交換材料上に混合物を通過させることを含む。一実施形態において、イオン交換分離工程は、プロカテプシンLの低下したレベルを有する第一の溶出液が得られるように、第一のイオン交換材料を含むカラム上に混合物が装填される第一のイオン交換クロマトグラフィー工程を含む。
【0013】
一実施形態において、本発明は、プロカテプシンLの低下したレベルを有する第一の貫流が得られるように、第二のイオン交換材料に第一の溶出液が供される第二のイオン交換分離工程をさらに含む。一実施形態において、本発明は、第一の貫流が得られるように、第二のイオン交換材料を含むカラム上に第一の溶出液を装填することを含む第二のイオン交換クロマトグラフィーをさらに含む。
【0014】
一実施形態において、本発明は、プロカテプシンLの低下したレベルを有する第二の溶出液が得られるように、第一の疎水性相互作用材料に第一の貫流が供される疎水性相互作用分離工程をさらに含む。別の実施形態において、本発明は、第二の溶出液が得られるように、第一の疎水性相互作用材料を含むカラム上に第一の貫流を装填することを含む疎水性相互作用分離工程をさらに含む。
【0015】
一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィー工程は、陽イオン交換クロマトグラフィー(スルホナート基に付着された、メタクリラートをベースとした合成ポリマー性樹脂を含むが、これに限定されない。)である。
【0016】
別の実施形態において、イオン交換クロマトグラフィー工程は、複数の洗浄工程でイオン交換材料を洗浄することをさらに含む。一実施形態において、複数の洗浄工程は、伝導度の増加を含む。一実施形態において、イオン交換材料は、約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水(例えば、注射用水(WFI))を含む洗浄緩衝液で洗浄される。さらに別の実施形態において、溶出緩衝液は、20mM Na
2PO
4、150mM塩化ナトリウム、pH7である。
【0017】
本発明の一実施形態において、第一の溶出液は、イオン交換クロマトグラフィー工程の前に、ウイルスの不活化に供せられる。一実施形態において、ウイルスの不活化は、pHウイルス不活化(第一の溶出液のpHを低下させ、これにより、ウイルスを不活化する。)を通じて達成される。
【0018】
一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィー工程は、陰イオン交換クロマトグラフィーを含む。一実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーは、フェニルセファロースクロマトグラフィーである。
【0019】
本発明は、第一の溶出液のpH及び伝導度が第二のイオン交換材料のpH及び伝導度と実質的に同様であるように、第一の溶出液のpH及び伝導度を変化させることによって、プロカテプシンLの減少したレベルが達成される方法を記載する。一実施形態において、第二のイオン交換材料のpHは、約7.7から約8.3の範囲である。別の実施形態において、第一の溶出液のpHは、約7.7から約8.3の範囲である。さらに別の実施形態において、第一の溶出液のpHは、約8.0まで変化される。さらに別の実施形態において、第二のイオン交換材料の伝導度は、約3.5mS/cmから約5.2mS/cm又は約3.5mS/cmから約4.9mS/cmの範囲である。一実施形態において、第一の溶出液の伝導度は、約3.5mS/cmから約5.2mS/cm又は約3.5mS/cmから約4.9mS/cmの範囲である。
【0020】
本発明の一実施形態において、疎水性相互作用分離工程は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む。一実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、フェニルセファロースクロマトグラフィーである。さらに別の実施形態において、疎水性相互作用材料上に装填される抗体の量は、疎水性相互作用材料1リットル当り抗体約20から約40gの範囲である。さらに別の実施形態において、疎水性相互作用材料上に装填される抗体の量は、疎水性相互作用材料1リットル当り抗体約30から約36gの範囲である。
【0021】
一実施形態において、第一の溶出液は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約25から約60RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0022】
別の実施形態において、第一の貫流は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約0.4から約4RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0023】
別の実施形態において、第二の溶出液は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約0.5から約1.5RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0024】
本発明の一実施形態において、プロカテプシンLのレベルは、再現可能に低い。
【0025】
特に好ましい態様において、本発明は、混合物中のHCPの低下を達成するために、抗体−HCP混合物の高い量をイオン交換樹脂の上に装填することができる抗体精製法を提供する。この方法は、イオン交換樹脂への抗体−HCP混合物の適用の前に、プロテインA捕捉へ供せられてない抗体−HCP混合物とともに使用することができるという利点を有する。抗体がプロテインAに結合し、及びHCPが流出するように、抗体−HCP混合物がプロテインAカラムに適用されるプロテインA捕捉は、典型的には、HCPを除去するための手段として、抗体精製操作における最初の精製工程として使用される。従って、本発明の方法は、最初の工程として、プロテインAクロマトグラフィーを実施する必要なしに、抗体−HCP混合物の大量の装填物を精製するのに有用である。
【0026】
従って、一実施形態において、本発明は、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製する方法であり、
HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)平衡化緩衝液中の第一のイオン交換樹脂に混合物を適用すること(樹脂1L当り抗体の30グラム超が適用される。);
(b)複数の洗浄工程でHCPを樹脂から洗浄すること;及び
(c)第一の溶出液を形成させるために、溶出緩衝液で樹脂から抗体を溶出すること;
を含む方法を提供する。
【0027】
別の実施形態において、樹脂1リットル当り抗体約35から70gが適用される。別の実施形態において、樹脂1リットル当り抗体約70gが適用される。好ましい実施形態において、混合物を第一のイオン交換樹脂に適用する前に、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物はプロテインA捕捉に供されない(すなわち、プロテインAカラムに適用されない。)。
【0028】
好ましくは、複数の洗浄工程は少なくとも第一の洗浄と第二の洗浄を含み、第一の洗浄から第二の洗浄へ伝導率の増加が存在する。より好ましくは、第一の洗浄が平衡化緩衝液を用いて行われ、並びに第二の洗浄が溶出緩衝液及び水(例えば、WFI)の混合物を用いて行われる。例えば、溶出緩衝液及び水の混合物は、約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水を含むことができる。より好ましくは、溶出緩衝液及び水の混合物は、約45%の溶出緩衝液及び約55%の水を含むことができる。好ましい実施形態において、溶出緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム及び150mM塩化ナトリウムを含む。この状況では、溶出緩衝液と水の混合物(45%の溶出緩衝液及び約55%の水である。)は、9mMリン酸ナトリウム及び68mM塩化ナトリウムである。好ましい実施形態において、第一の洗浄は、20mMホスファート、25mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液を用いて行われ、第二の洗浄は、9mMホスファート、68mM塩化ナトリウムを含む緩衝液(45%溶出緩衝液、55%水)を用いて行われ、溶出緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム及び150mM塩化ナトリウムを含む。
【0029】
一実施形態において、第一のイオン交換樹脂を使用する方法はpH7で実施される。別の実施形態において、第一のイオン交換樹脂を使用する方法はpH5で実施される。さらに別の実施形態において、第一のイオン交換樹脂を使用する方法は、約pH5から約pH7の範囲又はpH5からpH7の範囲のpHで実施される。pH7が使用される場合には、好ましくは、樹脂1リットル当り抗体約35gが適用される。pH5が使用される場合には、好ましくは、樹脂1リットル当り抗体約70gが適用される。約pH5から約pH7(例えば、pH5からpH7)の範囲のpHが使用される場合には、好ましくは、樹脂1リットル当り抗体約35から約70gまでの抗体(例えば、樹脂1リットル当り抗体の35から70g)の量が適用される。
【0030】
好ましい実施形態において、抗体−HCP混合物からのHCPのよりよい除去は、より少ない抗体(例えば、樹脂1リットル当り抗体約30g)が樹脂上に装填される場合に達成される抗体−HCP混合物からのHCPの除去に比べて、樹脂(例えば、樹脂1リットル当り抗体約70g)上により多くの抗体を装填することによって、よりよい除去が(例えば、pH5で)達成される。これは、樹脂に対する抗体の結合親和性が樹脂に対するHCPの結合親和性より著しく高い条件が使用されるときに、抗体によって樹脂からHCPが置換される結果であると考えられる。
【0031】
好ましくは、第一のイオン交換樹脂は陽イオン交換樹脂である。好ましくは、陽イオン交換樹脂はカラム中に形成され、並びに抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物がカラムに適用される。好ましくは、陽イオン交換樹脂は、スルホナート基に付着された、合成メタクリラートをベースとしたポリマー性樹脂(例えば、FractogelS)を含む。あるいは、陽イオン交換樹脂は、例えば、メタクリラート又はポリスチレンをベースとする合成ポリマー、シリカ、デキストラン表面拡張剤を有する高度に架橋されたアガロース、アリルデキストランの架橋された共重合体及びスルホニウムイオン又はスルホエチルなどのスルホナート基に付着されたN,N−メチレンビスアクリラ樹脂を含むことができる。
【0032】
本発明の別の態様において、上記第一のイオン交換樹脂を使用する方法の後に、方法は、第一の溶出液をウイルス不活化工程に供することをさらに含む。例えば、ウイルス不活化は、ウイルス的に不活化された調製物を形成するために、pHウイルス不活化(例えば、第一の溶出液は、約3.5のpHなどの低pH条件下に供せられ、これにより、ウイルスを不活化する。)によって達成することができる。好ましくは、ウイルス的に不活化された調製物は第二のイオン交換樹脂に適用され、ウイルス的に不活化された調製物を適用する前に、ウイルス的に不活化された調製物のpH及び伝導度が第二のイオン交換樹脂のpH及び伝導度と実質的に同様であるように調整される。例えば、第二のイオン交換樹脂のpHが約pH7.7から約pH8.3の範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物のpHが約pH7.7から約pH8.3の範囲にあるように調整される。別の実施形態において、第二のイオン交換樹脂のpHは約pH7.8から約pH8.2の範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物のpHは約pH7.8から約pH8.2の範囲にあるように調整される。より好ましくは、第二のイオン交換樹脂のpHは約pH8.0であり、及びウイルス的に不活化された調製物のpHは約pH8.0であるように調整される。
【0033】
さらに、第二のイオン交換樹脂の伝導度が約3.5mS/cmから約pH5.2mS/cmの範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物の伝導度は約3.5mS/cmから約5.2mS/cmの範囲にあるように調整される。
【0034】
好ましくは、第二のイオン交換樹脂の伝導度は約5.0mS/cmであり、及びウイルス的に不活化された調製物の伝導度は約5.0mS/cmであるように調整される。
【0035】
好ましい実施形態において、第二のイオン交換樹脂は陰イオン交換樹脂である。例えば、陰イオン交換樹脂は、Qセファロース樹脂であり得る。好ましくは、第二のイオン交換樹脂がカラム中に形成され、及び第一の貫流が得られるように、ウイルス的に不活化された調製物がカラムに適用される。
【0036】
本発明の別の態様において、第一の貫流が第二のイオン交換樹脂から得られた後に、第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用することができる。好ましい実施形態において、疎水性相互作用カラムは、フェニルセファロースカラムである。一実施形態において、疎水性相互作用カラムに適用された第一の貫流は、疎水性相互作用カラム材料1リットル当り抗体約20から約40gを含む。別の実施形態において、疎水性相互作用カラムに適用された第一の貫流は、疎水性相互作用カラム材料1リットル当り抗体約30から約36gを含む。精製プロセス中の先行工程の効率性の故に、疎水性相互作用カラムから得られた第二の溶出液を生成物ピーク画分に供する必要がないことが見出された。従って、一実施形態において、第二の溶出液は産物ピーク分画に供されない。
【0037】
特に好ましい一実施形態において、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製する本発明の方法は、
HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)平衡化緩衝液中の陽イオン交換樹脂に混合物を適用すること(混合物は、陽イオン交換樹脂への適用前に、混合物がプロテインA捕捉に供せされておらず、及び樹脂1L当り抗体の30グラム超が適用される。);
(b)複数の洗浄工程でHCPを陽イオン交換樹脂から洗浄すること;及び
(c)第一の溶出液を形成させるために、溶出緩衝液で陽イオン交換樹脂から抗体を溶出すること;
(d)第一の溶出液をウイルス不活化工程に供すること;
(e)第一の貫流を得るために、ウイルス的に不活化された調製物を陰イオン交換樹脂に適用すること;並びに
(f)第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用すること;
を含む。
【0038】
一実施形態において、陽イオン交換樹脂はpH7であり、及び樹脂1リットル当り抗体約35gが適用される。別の実施形態において、陽イオン交換樹脂はpH5であり、及び樹脂1リットル当り抗体約70gが適用される。さらに別の実施形態において、pHが約pH5から約pH7(例えば、pH5からpH7)の範囲のpHであり、樹脂1リットル当り抗体約35から約70gまでの抗体(例えば、樹脂1リットル当り抗体の35から70g)の量が適用される。
【0039】
好ましくは、複数の洗浄工程は、平衡化緩衝液を用いる第一の洗浄で樹脂を洗浄すること、並びに溶出緩衝液及び水の混合物を用いる第二の洗浄を含む。例えば、溶出緩衝液及び水の混合物は、約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水(例えば、WFI)、より好ましくは、約45%の溶出緩衝液及び約55%の水(例えば、WFI)を含むことができる。好ましい実施形態において、溶出緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム及び150mM塩化ナトリウムを含む。この状況では、溶出緩衝液と水の混合物(45%の溶出緩衝液及び約55%の水である。)は、9mMリン酸ナトリウム及び68mM塩化ナトリウムである。好ましい実施形態において、第一の洗浄は、20mMホスファート、25mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液を用いて行われ、第二の洗浄は、9mMホスファート、68mM塩化ナトリウムを含む緩衝液(45%溶出緩衝液、55%水)を用いて行われ、溶出緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム及び150mM塩化ナトリウムを含む。
【0040】
好ましくは、工程(a)から(f)を有する上記方法では、陰イオン交換樹脂へウイルス的に不活化された調製物を適用する前に(すなわち、工程(d)と(e)の間に)、ウイルス的に不活化された調製物のpH及び伝導度が、陰イオン交換樹脂のpH及び伝導度と実質的に同様であるように調整される。例えば、第二のイオン交換樹脂のpHが約pH7.7から約pH8.3の範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物のpHが約pH7.7から約pH8.3の範囲にあるように調整される。別の実施形態において第二のイオン交換樹脂のpHは約pH7.8から約pH8.2の範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物のpHは約pH7.8から約pH8.2の範囲にあるように調整される。より好ましくは、第二のイオン交換樹脂のpHは約pH8.0であり、及びウイルス的に不活化された調製物のpHは約pH8.0であるように調整される。さらに、第二のイオン交換樹脂の伝導度が約3.5mS/cmから約pH5.2mS/cmの範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物の伝導度は約3.5mS/cmから約5.2mS/cmの範囲にあるように調整される。好ましくは、第二のイオン交換樹脂の伝導度は約5.0mS/cmであり、及びウイルス的に不活化された調製物の伝導度は約5.0mS/cmであるように調整される。
【0041】
工程(a)から(f)を有する上記方法では、好ましくは、陽イオン交換樹脂は、スルホナート基に付着された、合成メタクリラートをベースとするポリマー性樹脂(例えば、Fractogel)であり、陰イオン交換樹脂はQセファロース樹脂であり、及び疎水性相互作用カラムはフェニルセファロースカラムである。
【0042】
好ましくは、第一の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、混合物より約90から約100倍の範囲少ないHCPを含む。好ましくは、第一の貫流は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の溶出液より約840から約850倍の範囲少ないHCPを含む。好ましくは、第二の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の貫流より約3から約5倍の範囲少ないHCPを含む。
【0043】
特に好ましい一実施形態において、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製する本発明の方法は、
HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)平衡化緩衝液中の陽イオン交換樹脂に混合物を適用すること(陽イオン交換樹脂がpH7であり、及び樹脂1リットル当り抗体約35グラムが適用され、又は陽イオン交換樹脂がpH5からpH7の範囲であり、及び樹脂1リットル当り抗体約35から約70gが適用され、又は陽イオン交換樹脂がpH5であり、及び樹脂1リットル当り抗体約70グラムが適用される。);
(b)HCPを、平衡化緩衝液を用いる第一の洗浄並びに溶出緩衝液及び水の混合物を用いる第二の洗浄を含む洗浄工程で、陽イオン交換樹脂からHCPを洗浄すること;
(c)第一の溶出液を形成させるために、溶出緩衝液で陽イオン交換樹脂から抗体を溶出すること;
(d)第一の溶出液をウイルス不活化工程に供すること(ウイルスの不活化は、ウイルス的に不活化された調製物を形成するために、pHウイルス不活化によって達成される。);
(e)ウイルス的に不活化された調製物が陰イオンイオン交換樹脂に適用され、第一の貫流が得られるように、ウイルス的に不活化された調製物を陰イオン交換樹脂に適用する前に、ウイルス的に不活化された調製物のpH及び伝導度が、陰イオン交換樹脂のpH及び伝導度と実質的に同様であるように調整されること;並びに
(f)第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用すること;
を含む。
【0044】
好ましくは、陽イオン交換樹脂に適用する前に、抗体混合物は、プロテインA捕捉に供されない。好ましくは、溶出緩衝液及び水の混合物は、約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水、より好ましくは、約45%の溶出緩衝液及び約55%の水(例えば、WFI)を含む。好ましい実施形態において、溶出緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム及び150mM塩化ナトリウムを含む。この状況では、溶出緩衝液と水の混合物(45%の溶出緩衝液及び約55%の水である。)は、9mMリン酸ナトリウム及び68mM塩化ナトリウムである。好ましい実施形態において、第一の洗浄は、20mMホスファート、25mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液を用いて行われ、第二の洗浄は、9mMホスファート、68mM塩化ナトリウムを含む緩衝液(45%溶出緩衝液、55%水)を用いて行われ、溶出緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム及び150mM塩化ナトリウムを含む。好ましくは、第一の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、混合物より約90から約100倍の範囲少ないHCPを含む。好ましくは、第一の貫流は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の溶出液より約840から約850倍の範囲少ないHCPを含む。好ましくは、第二の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の貫流より約3から約5倍の範囲少ないHCPを含む。
【0045】
上記精製方法の何れかの好ましい態様において、プロカテプシンLが減少した抗体調製物が得られるように、HCPはプロカテプシンLを含む。好ましくは、溶出液は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約25から約60RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。好ましくは、第一の貫流は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約0.4から約4RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。好ましくは、第二の溶出液は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約0.5から約1.5RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。好ましくは、プロカテプシンLのレベルは、再現可能に低い。
【0046】
さらに別の態様において、本発明は、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製する方法であり、HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)第一の溶出液を得るために、陽イオン交換樹脂に混合物を適用すること;
(b)第一の貫流を得るために、第一の溶出液を陰イオン交換樹脂に適用すること;並びに
(c)第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用すること;
を含む。
【0047】
好ましくは、混合物を第一のイオン交換樹脂に適用する前に、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物がプロテインA捕捉に供されない。好ましくは、方法は、陰イオン交換樹脂に第一の溶出液を適用する前に、第一の溶出液をウイルス不活化工程に供することをさらに含む。例えば、ウイルスの不活化は、pHウイルス不活化によって達成することができる。
【0048】
好ましくは、陽イオン交換樹脂は、スルホナート基に付着された、合成メタクリラートをベースとしたポリマー性樹脂(例えば、陽イオン交換樹脂は、FractogelSカラムであり得る。)を含む。例えば、FractogelSカラムは、20mMリン酸ナトリウム、25mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液で平衡化することが可能であり、混合物をカラムに適用することができ、カラムは、平衡化緩衝液で少なくとも1回洗浄することができ、第一の溶出液は、20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウムを含む溶出緩衝液での溶出によって得ることができる。
【0049】
好ましくは、陰イオン交換樹脂は、Qセファロースカラムである。例えば、Qセファロースカラムは、25mMトロラミン、40mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液pH7.6で平衡化することが可能である。
【0050】
好ましくは、疎水性相互作用カラムは、フェニルセファロースカラムである。例えば、フェニルセファロースカラムは、20mMリン酸ナトリウム、1.1M(NH
4)
2SO
4、pH7を含む平衡化緩衝液で平衡化することが可能であり、第一の貫流をカラムに適用することができ、カラムは、平衡化緩衝液で少なくとも1回洗浄することができ、第二の溶出液は、11mMリン酸ナトリウム、0.625M(NH
4)
2SO
4、pH7.0への塩の段階的グラジエントを実施することによって得ることができる。
【0051】
好ましくは、pHウイルス不活化は、約1時間にわたって、pH3.5に第一の溶出液を維持することによって達成される。
【0052】
さらに別の態様において、本発明は、アダリムマブ及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少したアダリムマブ調製物を作製する方法であり、
HCPが減少したアダリムマブ調製物が得られるように、
(a)混合物を陽イオン交換樹脂に適用すること(混合物は、第一の溶出液を取得するために、混合物を第一のイオン交換樹脂に適用する前にプロテインA捕捉へ供せられない。);
(b)ウイルス的に不活化された調製物を得るために、第一の溶出液をpHウイルス不活化に供すること;
(c)第一の貫流を得るために、ウイルス的に不活化された調製物を陰イオン交換樹脂に適用すること;並びに
(c)第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用すること;
を含む。
【0053】
好ましくは、陽イオン交換樹脂は、FractogelSカラムであり、陰イオン交換樹脂はQセファロースカラムであり、及び疎水性相互作用カラムはフェニルセファロースカラムである。例えば、FractogelSカラムは、20mMリン酸ナトリウム、25mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液で平衡化することが可能であり、混合物をカラムに適用することができ、カラムは、平衡化緩衝液で少なくとも1回洗浄することができ、第一の溶出液は、20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウムを含む溶出緩衝液での溶出によって得ることができる。同じく、例えば、Qセファロースカラムは、25mMトロラミン、40mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝液pH7.6で平衡化することが可能である。例えば、フェニルセファロースカラムは、20mMリン酸ナトリウム、1.1M(NH
4)
2SO
4、pH7を含む平衡化緩衝液で平衡化することが可能であり、第一の貫流をカラムに適用することができ、カラムは、平衡化緩衝液で少なくとも1回洗浄することができ、第二の溶出液は、11mMリン酸ナトリウム、0.625M(NH
4)
2SO
4、pH7.0への塩の段階的グラジエントを実施することによって得ることができる。同じく、例えば、pHウイルス不活化は、約1時間にわたって、pH3.5に第一の溶出液を維持することによって達成することができる。
【0054】
上記精製方法の全てに関して、本発明の好ましい実施形態において、抗体は抗腫瘍壊死因子−α(TNFα)抗体又はその抗原結合部分である。一実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗体結合部分はヒト抗体、キメラ抗体又は多価抗体である。一実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分がインフリキシマブ又はゴリムマブである。
【0055】
別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分は、ヒト抗体である。一実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分は、1×10
−8M又はそれ以下のK
d及び1×10
−3s
−1又はそれ以下のK
off速度定数でヒトTNFαから解離し(何れも、表面プラズモン共鳴によって測定される。)、並びに、標準的なインビトロL929アッセイにおいて、1×10
−7M又はそれ以下のIC
50でヒトTNFα細胞毒性を中和する単離されたヒト抗体である。
【0056】
別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗体結合部分は、以下の特性を有する単離されたヒト抗体である。
【0057】
a)表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、1×10
−3s
−1又はそれ以下のK
off速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列又は位置1、4、5、7若しくは8における単一のアラニン置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列又は位置1、3、4、6、7、8及び/又は9における1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10若しくは11における単一のアラニン置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/又は12における1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する。
【0058】
さらに別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分が、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を有する単離されたヒト抗体である。
【0059】
さらに別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分は、アダリムマブである。
【0060】
本発明は、本発明の方法の何れかを用いて作製された、HCPELISAによって測定された場合にHCPが実質的に存在しない抗体調製物を提供する。本発明は、本発明の方法の何れかを用いて作製された、HCPが減少した抗体調製物と、及び医薬として許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。
【0061】
本発明は、HCPが減少した抗体(HCPのレベルは、HCPELISAによって測定された場合に、抗体の1mg当りHCPの約70ng以下を含む。)及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を含む。一実施形態において、HCPのレベルが、HCPELISAによって測定された場合に、抗体の1mg当りHCPの約13ng以下を含む。別の実施形態において、HCPのレベルが、HCPELISAによって測定された場合に、抗体の1mg当りHCPの約5ng以下を含む。
【0062】
本発明は、HCPELISAアッセイによって測定された場合にHCPの検出可能なレベルを有さない、抗体を含む組成物を提供する。
【0063】
本発明は、本明細書に記載されている方法の何れかを用いて作製された、プロカテプシンLが実質的に存在しない抗体調製物も提供する。本発明は、本発明の方法の何れかを用いて作製された、プロカテプシン−Lが減少した抗体調製物と、及び医薬として許容される担体とを含む医薬組成物も含む。
【0064】
本発明は、プロカテプシン−Lが減少した抗体及び医薬として許容される担体を含み、プロカテプシン−Lのレベルが、約3.0RFU/秒/mg抗体のカテプシン活性以下である、医薬組成物を提供する。
【0065】
上記抗体調製物及び医薬組成物の全てに関して、好ましくは、抗体は抗腫瘍壊死因子−α(TNFα)抗体又はその抗原結合部分である。一実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗体結合部分はヒト化、キメラ又は多価からなる群から選択される抗体である。一実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分がインフリキシマブ又はゴリムマブである。
【0066】
別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分は、ヒト抗体である。一実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分は、1×10
−8M又はそれ以下のK
d及び1×10
−3s
−1又はそれ以下のK
off速度定数でヒトTNFαから解離し(何れも、表面プラズモン共鳴によって測定される。)、並びに、標準的なインビトロL929アッセイにおいて、1×10
−7M又はそれ以下のIC
50でヒトTNFα細胞毒性を中和する単離されたヒト抗体である。
【0067】
別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗体結合部分は、以下の特性を有する単離されたヒト抗体である。
【0068】
a)表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、1×10
−3s
−1又はそれ以下のK
off速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列又は位置1、4、5、7若しくは8における単一のアラニン置換によって配列3から修飾されたアミノ酸配列又は位置1、3、4、6、7、8及び/又は9における1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10若しくは11における単一のアラニン置換によって配列4から修飾されたアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/又は12における1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する。
【0069】
さらに別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分が、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を有する単離されたヒト抗体である。
【0070】
さらに別の実施形態において、抗TNFα抗体又はその抗原結合部分は、アダリムマブである。
【0071】
本発明は、本発明の方法の何れかを用いて得られた抗体を含む医薬組成物をヒト対象に投与することを含む、TNFα活性が有害である疾患を治療する方法を含む。一実施形態において、調製物は、長期間にわたって、ヒト対象に投与される。一実施形態において、長期間には、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月又は少なくとも約5ヶ月が含まれる。
【0072】
一実施形態において、TNFα活性が有害である疾患は、自己免疫疾患、腸疾患及び皮膚疾患からなる群から選択される。一実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、通風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、乾癬性関節炎、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群及び若年性関節リウマチからなる群から選択される。別の実施形態において、腸疾患はクローン病である。さらに別の実施形態において、皮膚疾患は乾癬である。
【0073】
一実施形態において、医薬組成物は、さらなる治療剤と組み合わせて投与される。一実施形態において、さらなる治療剤は、メトトレキサートである。
【0074】
本発明は、本発明の方法の何れかを用いて得られた抗体を含む医薬組成物をヒト対象に投与することを含む、TNFα活性が有害である疾患を治療する方法を含む。一実施形態において、調製物は、長期間にわたって、ヒト対象に投与される。一実施形態において、長期間には、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月又は少なくとも約5ヶ月が含まれる。一実施形態において、TNFα活性が有害である疾患は、自己免疫疾患、腸疾患及び皮膚疾患からなる群から選択される。一実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、通風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、乾癬性関節炎、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群及び若年性関節リウマチからなる群から選択される。一実施形態において、腸疾患はクローン病である。一実施形態において、皮膚疾患は乾癬である。
【0075】
一実施形態において、医薬組成物は、さらなる治療剤と組み合わせて投与される。一実施形態において、さらなる治療剤は、メトトレキサートである。
【0076】
本発明は、包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤がアダリムマブの1mg当りHCPの約70ng以下を含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品を提供する。一実施形態において、アダリムマブの1mg当りHCPの約70ngが、HCPELISAによって測定される。
【0077】
本発明は、包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤がアダリムマブの1mg当りHCPの約13ng以下を含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品も提供する。一実施形態において、アダリムマブの1mg当りHCPの約13ngが、HCPELISAによって測定される。
【0078】
本発明は、包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤がアダリムマブの1mg当りHCPの約5ng以下を含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品を含む。一実施形態において、アダリムマブの1mg当りHCPの約5ngが、HCPELISAによって測定される。
【0079】
本発明は、包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤が、約3.0RFU/秒/mgアダリムマブのカテプシンL活性によって示されるレベルを上回らないプロカテプシンLのレベルを含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品を含む。一実施形態において、カテプシンL活性は、カテプシンL速度論アッセイによって測定される。
【0080】
本発明は、哺乳動物細胞発現系に由来する材料中のプロカテプシンLの量を測定するための速度論アッセイであって、カテプシンL試料が得られるように、プロカテプシンLを活性なカテプシンL形態へ加工するために、哺乳動物細胞発現系に由来する材料を酵素と接触すること、カテプシンL試料をカテプシンLに対する基質と接触させること、及び哺乳動物細胞発現系に由来する材料中のプロカテプシンLの量の指標として、カテプシンL試料中のカテプシンL活性を測定することを含む、アッセイを提供する。一実施形態において、哺乳動物細胞発現系は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。別の実施形態において、プロカテプシンLを加工するための酵素は、エンドペプチダーゼである。さらに別の実施形態において、カテプシンLに対する基質は標識を含む。さらに別の実施形態において、標識は蛍光剤である。一実施形態において、蛍光剤は、蛍光性7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)基を含む。一実施形態において、カテプシンLに対する基質はZ−ロイシン−アルギニンを含む。さらに別の実施形態において、Z−ロイシン−アルギニンは、AMC基を含む。
【0081】
(発明の詳細な記述)
I.定義
本発明をさらに容易に理解できるようにするために、まず、幾つかの用語を定義する。
【0082】
本明細書において使用される「混合物」という用語は、同じく存在し得る他の物質から精製することが求められている少なくとも1つの目的の抗体を含む、精製されるべき、粘度を有する物質を表す。混合物は、例えば、水溶液、有機溶媒系又は水性/有機溶媒混合物若しくは溶液であり得る。混合物は、しばしば、多くの生物分子(タンパク質、抗体、ホルモン及びウイルスなど)、小分子(塩、糖、脂質など)を含み、及び粒状物さえ含む複雑な混合物又は溶液である。生物学的起源の典型的な混合物は水溶液又は水性懸濁液として開始し得るが、溶媒沈殿、抽出などのより初期の分離工程において使用される有機溶媒も含有し得る。本発明の様々な実施形態による精製に適した貴重な生物物質を含有し得る混合物の例には、バイオリアクターから得られる培養上清、均質化された細胞懸濁液、血漿、血漿画分及び乳が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
抗体及び1つ又はそれ以上の物質を含む混合物から抗体を「精製する」とは、(完全に又は部分的に)少なくとも1つ物質を組成物から除去することによって、混合物中の抗体の純度を増加させることを意味する。物質は、宿主細胞タンパク質(HCP)など(但し、これに限定されない。)の不純物又はきょう雑物であり得る。
【0084】
「宿主細胞タンパク質」又は「HCP」という用語は、目的のタンパク質とは異なり、典型的には、抗体産生源に由来する混合物中のタンパク質を表す。HCPは、望ましくは、最終抗体調製物から除去される。
【0085】
「減少した」という用語は、物質の量を低下させ、又は少なくすることを表す。減少した調製物には、当初の量と比べて、HCP又はプロカテプシンLなどの物質のより少量を有する調製物が含まれる。一実施形態において、物質は不純物又はきょう雑物である。一実施形態において、「減少した」という用語は、物質が大幅により少ないことを意味する。別の実施形態において、「減少した」という用語は、物質が存在しないことを意味する。一実施形態において、物質が存在しないことには、本明細書に記載されているアッセイを用いて「検出できない量」が含まれる。
【0086】
「実質的に存在しない」という用語には、物質が存在しないことが含まれるが、物質の最小限の量も含まれ得る。一実施形態において、物質が存在しないことには、本明細書に記載されているアッセイを用いて「検出できない量」が含まれる。
【0087】
「宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した」という用語は、1つ又はそれ以上の精製工程の後に、抗体及びHCPの低下した量又は少なくなった量を含む溶出液、調製物、貫流などの(但し、これらに限定されない。)組成物を表す。一実施形態において、「HCPが減少した」という用語は、抗体を含む組成物中のHCPが大幅に少ないことを意味する。別の実施形態において、「HCPが減少した」という用語は、抗体を含む組成物中にHCPが含まれないことを意味する。一実施形態において、「HCPが減少した」という用語は、抗体を含む組成物中に本明細書に記載されているアッセイを用いて検出できない量を意味する。
【0088】
「プロカテプシンLが減少した」という用語は、1つ又はそれ以上の精製工程の後に、抗体及びプロカテプシンLの低下した量又は少なくなった量を含む溶出液、調製物、貫流などの(但し、これらに限定されない。)組成物を表す。一実施形態において、「プロカテプシンLが減少した」という用語は、抗体を含む組成物中のHCPが大幅に少ないことを意味する。別の実施形態において、「プロカテプシンLが減少した」という用語は、抗体を含む組成物中にHCPが含まれないことを意味する。一実施形態において、「プロカテプシンが減少した」という用語は、抗体を含む組成物中に本明細書に記載されているアッセイを用いて検出できない量を意味する。
【0089】
「再現可能に低い」という用語は、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%の低下した量又は少なくなった量を達成する能力など、低下した量又は少なくなった量を一貫して達成できることを表す。
【0090】
「イオン交換分離工程」という用語は、望ましくない物質又は不純物(例えば、HCP又はプロカテプシンL)が、帯電した物質との、目的の抗体及び望ましくない物質のイオン的相互作用の差に基づいて、目的の抗体が分離される工程を表す。イオン交換分離工程の例には、陰イオン交換クロマトグラフィー及び陽イオン交換クロマトグラフィーなどのイオン交換クロマトグラフィーが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
「イオン交換物質」とは、抗体から望ましくない物質又は不純物(例えば、HCP又はプロカテプシンL)を分離するための基礎として使用されるイオン性物質を表す。イオン交換物質の例には、陰イオン性及び陽イオン性樹脂が含まれる。
【0092】
「陽イオン交換物質」は、共有結合された負に帯電したリガンドを有し、従って、樹脂が接触している溶液中の陽イオンと交換するための遊離の陽イオンを有するイオン交換樹脂を表す。様々な陽イオン交換樹脂、例えば、共有結合された基がカルボキシラート又はスルホナートである陽イオン交換樹脂が本分野において公知である。市販の陽イオン交換樹脂には、CMC−セルロース、SP−Sephadex
TM及びFastS−Sepharose
TM(後者2つは、Pharmaciaから市販されている。)が含まれる。
【0093】
「陰イオン交換物質」は、共有結合された正に帯電した基(第四級アミノ基など)を有するイオン交換樹脂を表す。市販の陰イオン交換樹脂には、DEAEセルロース、TMAE、QAESephadex
TM及びFastQ−Sepharose
TM(後者2つは、Pharmaciaから市販されている。)が含まれる。
【0094】
イオン交換物質へ分子を「結合する」とは、分子とイオン交換物質の1つ又は複数の帯電基との間のイオン的相互作用を通じて、イオン交換物質中に又はイオン交換物質上に分子が可逆的に固定化されるように、適切な条件(pH/伝導度)下でイオン交換物質へ分子を曝露させることを意味する。
【0095】
「疎水性相互作用工程」という用語は、望ましくない物質(例えば、HCP又はプロカテプシンL)が、疎水性物質との、目的の抗体及び望ましくない物質の疎水的相互作用の差に基づいて、目的の抗体が分離される工程を表す。
【0096】
「疎水性相互作用物質」という用語は、望ましくない物質(例えば、HCP又はプロカテプシンL)及び抗体を分離するための基礎として使用される疎水性物質を表す。疎水性相互作用物質の例には、約2から約8個の炭素原子を有するアルキル基又はフェニルなどのアリール基などの疎水性リガンドが含まれる。
【0097】
「洗浄」又は「洗浄工程」という用語には、所定の物質(例えば、イオン交換物質又は疎水性相互作用物質)を通して、又は所定の物質上に適切な緩衝液を通過させることが含まれる。
【0098】
「複数の洗浄工程」という用語は、2以上の連続する洗浄工程を含む。連続的緩衝液は、所定の物質(例えば、イオン交換物質又は疎水性相互作用物質)と非特異的に会合している不純物の様々な種類を解離させ、取り除くように設計された、pH、伝導度、溶媒濃度などの変動する特性を有し得る。一実施形態において、複数の洗浄工程は、約40から50%の溶出緩衝液をさらに含む、中間洗浄を含む。
【0099】
分子(例えば、抗体又はきょう雑物質)を物質から「溶出する」とは、物質周囲の緩衝液を変化させることによって、分子と物質の相互作用を減少させることにより、分子を物質から取り外すことを意味する。一実施形態において、イオン交換物質上の帯電した部位に関して、緩衝液が抗体と競合するイオン交換カラムから抗体が溶出される。
【0100】
「溶出液」という用語は、目的の抗体のクロマトグラフィー物質への結合及び抗体を解離させるための溶出緩衝液の添加後に得られた分子(例えば、抗体又はきょう雑物質)を含む液体を表す。溶出液は、精製プロセス中の工程に関連して言及され得る。例えば、「第一の溶出液」という用語は、第一のクロマトグラフィー工程からの溶出液を表し、「第二の溶出液」という用語は第二のクロマトグラフィー工程からの溶出液などを表す。
【0101】
「貫流」という用語は、分子が結合せずにクロマトグラフィー材料上を通過するように、分子を含む混合物を材料上に通過させることによって得られた分子(例えば、抗体又はきょう雑物質)を含む液体を表す。
【0102】
「緩衝液」とは、溶液中に存在することによって、pHの単位変化を引き起こすために添加されなければならない酸又はアルキルの量を増加させる物質を表す。緩衝化された溶液は、その酸−塩基連血清分の作用によるpHの変化に抵抗する。生物学的試薬とともに使用するための緩衝化された溶液は、一般に、溶液のpHが生理的範囲内にあるように、水素イオンの一定濃度を維持することができる。伝統的な緩衝液成分には、有機及び無機の、塩、酸及び塩基が含まれるが、これらに限定されない。生物分子(例えば、抗体)の精製において使用するための典型的な緩衝液には、双性イオンの緩衝液又は「Good」緩衝液が含まれる。例えば、「Good et al.(1966)Biochemistry 5:467」及び「Good and Izawa(1972)Methods Enzymol.24:62」を参照されたい。典型的な緩衝液には、TES、MES、PIPES、HEPES、MOPS、MOPSO、TRICINE及びBICINEが含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
本明細書において使用される「洗浄緩衝液」は全て、本明細書において、抗体が結合されている所定の物質(例えば、イオン交換物質又は疎水性相互作用物質)から不純物を取り除くための物質を表す。
【0104】
「溶出緩衝液」とは、1つ又はそれ以上の洗浄物質で所定の物質(例えば、イオン交換物質又は疎水性相互作用物質)が洗浄された後に、所定の物質から抗体を解離させるために使用される物質を表す。溶出緩衝液は、抗体を解離させるように作用する。典型的な溶出物質は本分野において周知であり、塩、遊離のアフィニティーリガンド若しくは類縁体又は標的物質の解離(例えば、所定の物質から抗体)を促進するその他の物質のより高い濃度を有し得る。溶出緩衝液の伝導度及び/又はpHは、イオン交換又は疎水性相互作用物質から抗体が溶出されるような伝導度及び/又はpHである。
【0105】
「伝導度」という用語は、2つの電極間に電流を伝導させる水溶液の能力を表す。溶液中では、電流は、イオンの輸送によって流れる。従って、水溶液中に存在するイオンの量が増加するにつれて、溶液はより高い伝導度を有する。伝導度に対する測定の単位はmmho(mS/cm)であり、例えば、Orionによって販売されている伝導度測定器を用いて測定することができる。溶液の伝導度は、溶液中のイオンの濃度を変化させることによって変化され得る。例えば、所望の伝導度を達成するために、溶液中の緩衝剤の濃度及び/又は塩(例えば、NaCl又はKCl)の濃度を変化させ得る。一実施形態において、クロマトグラフィーにおいて使用される洗浄緩衝液又は他のいずれかの水溶液の塩濃度は、所望の伝導度を達成するために改変される。
【0106】
抗体などのポリペプチドの「pI」又は「等電点」とは、ポリペプチドの正電荷がその負電荷と釣り合うpHを表す。pIは、ポリペプチドのアミノ酸残基の正味の電化から計算することが可能であり、又は等電点電気泳動によって測定することが可能である。
【0107】
「ウイルス不活化」という用語には、混合物中に含有されるウイルスを非機能的にすること、又は精製されるべき混合物からウイルスを除去することが含まれる。ウイルスは、抗体作製源、下流の処理工程又は製造条件に由来し得る。ウイルスを非機能的にする方法又はウイルスを除去する方法には、熱活性化、pH不活化、化学的不活化剤などが含まれる。「pHウイルス不活化」という用語には、ウイルスを非機能的にするのに十分なpHにウイルスを供することが含まれる。
【0108】
本明細書において使用される「ヒトTNFα(本明細書では、hTNFα又は単にhTNFと略称される。)」という用語は、17kDの分泌型及び26Kdの膜会合型として存在し、その生物学的に活性な形態が、非共有結合された17kD分子の三量体から構成されるヒトサイトカインを表すものとする。hTNFαの構造は、例えば、「Pennica,D.,et al.(1984)Nature312:724−729;Davis,J.M.,et al.(1987)Biochemistry26:1322−1326;and Jones,E.Y.,et al.(1989)Nature 338:225−228」にさらに記載されている。ヒトTNFαという用語には、標準的な組換え発現法によって調製し、又は商業的に購入する(R & D Systems,Catalog No.210−TA,Minneapolis,MN)ことが可能な組換えヒトTNFα(rhTNFα)が含まれるものとする。TNFαは、TNFとも称される。
【0109】
本明細書において使用される「抗体」という用語は、4つのポリペプチド鎖(ジスルフィド結合によって相互に接続された2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖)から構成される免疫グロブリン分子を表すものとする。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書において、HCVR又はVHと略称される。)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書において、LCVR又はVLと略称される。)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VH及びVL領域は、より保存された領域(フレームワーク領域(FR)と称される。)が散在された超可変領域(相補性決定領域(CDR)と称される。)へ、さらに細分割することが可能である。各VH及びVLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で、アミノ末端からカルボキシ末端へ配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される。本発明の抗体は、米国特許第6,090,382号、同第6,258,562号及び同第6,509,015号(これらの各々の全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に、さらに詳しく記載されている。一実施形態において、本発明の抗体はTNFα活性を妨害する抗TNFαである。抗TNFα抗体の例には、本明細書に記載されている抗TNFαヒト抗体及び抗体部分並びに米国特許第6,090,382号、同第6,258,562号、同第6,509,015号および米国特許出願09/801185号及び10/302356号(これらの各々は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、本発明で使用されるTNFα阻害剤は、インフリキシマブ(Remicade
(R)Johnson and Johnson;米国特許第5,656,272号(参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されている。)、CDP571(ヒト化されたモノクローナル抗TNF−αIgG4抗体)、CDP870(ヒト化されたモノクローナル抗TNF−α抗体断片)、抗TNFdAb(Peptech)、CNTO148(ゴリムマブ;Medarex and Centocor)WO02/12502号中に記載されている抗体及びアダリムマブ(Humira
(R)、Abbott Laboratories、ヒト抗TNFmAb、米国特許第6,090,382号に、D2E7として記載されている。)などの抗TNFα抗体又はその断片である。本発明で使用可能なさらなる抗体又はその断片は、米国特許第6,593,458号;同第6,498,237号;同第6,451,983号;及び同第6,448,380号(これらの各々は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。本用語は、本発明の方法の標的である抗体である「目的の抗体」を含む。
【0110】
本明細書において使用される抗体の「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、hTNFα)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の断片の1つ又はそれ以上の断片を表す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって実行可能であることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、(i)Fab断片(VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片)、(ii)F(ab’)
2断片(ヒンジ領域において、ジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片)、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb(Ward et al.(1989)Nature341:544−546)及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは別個の遺伝子によってコードされているが、これらは、VL及びVH領域が対合して一価分子を形成している単一のタンパク質鎖として、これらの作製を可能とする合成リンカーによって、組み換え法を用いて連結することが可能である(一本鎖Fv(scFv)として知られている。例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423−426;and Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883)。このような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるものとする。ダイアボディなどの一本鎖抗体の他の形態も包含される。ダイアボディは、VH及びVLドメインが一本鎖ポリペプチド鎖上に発現されているが、同一鎖上にある2つのドメイン間での対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、両ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合するように強制し、2つの抗原結合部位を作出する二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448;Poljak et al(1994)Structure2:1121−1123を参照)。本発明の抗体部分は、米国特許第6,090,382号、同第6,258,562号及び同第6,509,015号(これらの各々の全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に、さらに詳しく記載されている。
【0111】
結合断片は、組換えDNA技術によって、又は完全な状態の免疫グロブリンの酵素的若しくは化学的切断によって産生される。結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fabc、Fv、一本鎖及び一本鎖抗体が含まれる。「二重特異的」又は「二機能性」免疫グロブリン又は抗体を除くと、免疫グロブリン又は抗体は、その結合部位の各々が同一であると理解される。「二重特異的」又は「二機能性抗体」は、2つの異なる重/軽鎖対及び2つの異なる結合部位を有する人工のハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結など、様々な方法によって作製することが可能である。例えば、「Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315−321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547−1553(1992)」を参照されたい。
【0112】
本明細書において使用される「保存的アミノ酸置換」とは、1つのアミノ酸置換が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換される置換である。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非帯電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐した側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)など、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、本技術分野において定義されている。
【0113】
「キメラ抗体」は、重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの一部が特定の種に由来する又は特定の綱に属する抗体中の対応する配列と相同であるが、鎖の残りのセグメントが別の種由来の対応する配列と相同である抗体を表す。一実施形態において、本発明は、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域が哺乳動物のある種に由来する抗体の可変領域を模倣するのに対して、定常部分は別の種に由来する抗体中の配列と相同であるキメラ抗体又は抗原結合断片に関する。本発明の好ましい実施形態において、キメラ抗体は、マウス抗体からのCDRをヒト抗体のフレームワーク領域上に植え付けることによって作製される。
【0114】
「ヒト化抗体」は、実質的にヒト抗体鎖(アクセプター免疫グロブリン又は抗体と称される。)に由来する可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1つの鎖と及び実質的に非ヒト抗体(例えば、マウス)に由来する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)とを含む抗体を表す。CDRの植え付けの他に、ヒト化抗体は、通例、親和性及び/又は免疫原性を改善するためにさらなる変化を受ける。
【0115】
「多価抗体」という用語は、2以上の抗原認識部位を含む抗体を表す。例えば、「二価」抗体は2つの抗原認識部位を有するのに対して、「四価」抗体は4つの抗原認識部位を有する。「一重特異的」、「二重特異的」、「三重特異的」、「四重特異的」などの用語は、(抗原認識部位の数ではなく)多価抗体中に存在する異なる抗原認識部位の特異性の数を表す。例えば、「一重特異的」抗体の抗原認識部位は、全て同一のエピトープを結合する。「二重特異的」又は「デュアル特異的」抗体は、第一のエピトープを結合する少なくとも1つの抗原認識部位及び第一のエピトープとは異なる第二のエピトープを結合する少なくとも1つの抗原認識部位を有する。「多価一重特異的」抗体は、全て同一のエピトープを結合する複数の抗原認識部位を有する。「多価二重特異的」抗体は、複数の抗原認識部位を有し、そのうちの幾つかは第一のエピトープを結合し、及びそのうちの幾つかは第一のエピトープとは異なる第二のエピトープを結合する。
【0116】
本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むものとする。本発明のヒト抗体は、例えば、CDR、特にCDE3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムな突然変異導入若しくは部位特異的突然変異導入によって、又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に植え付けられた抗体を含まないものとする。
【0117】
本明細書において使用される「組換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞中に形質移入された組換え発現ベクターを用いて発現された抗体(以下で、さらに記載されている。)、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(以下で、さらに記載されている。)から単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対して遺伝子導入される動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.AcidsRes.20:6287を参照。)など、組換え手段によって、調製され、発現され、作製され、若しくは単離された全てヒト抗体、又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の、他のDNA配列へのスプライシングを伴う他の何れかの手段によって調製され、発現され、作製され、若しくは単離された抗体を含むものとする。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、ある種の実施形態において、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異導入(又は、ヒトIg配列に対して遺伝子導入された動物が使用される場合には、インビボ体細胞突然変異導入)に供され、従って、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、これらの配列に関連しつつも、インビボで、ヒト抗体生殖系列レパートリー内には、天然に存在しない場合があり得る配列である。
【0118】
このようなキメラ、ヒト化、ヒト及び二重特異的抗体は、例えば、PCT国際出願PCT/US86/02269;欧州特許出願184,187;欧州特許出願171,496;欧州特許出願173,494;PCT国際公開WO86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願125,023;Better et al(1988)Science240:1041−1043;Liu et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:3439−3443;Liu et al.(1987)J.Immunol139:3521−3526;Sun et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:214−218;Nishimura et al.(1987)Cancer Res.47:999−1005;Wood et al.(1985)Nature 314:446−449;Shaw et al.(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559);Morrison(1985)Science 229:1202−1207;Oi et al.(1986)BioTechniques4:214;米国特許第5,225,539号;Jones et al.(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534;and Beidler et al.(1988)J.Immunol.141:4053−4060,Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sd.USA86:10029−10033(1989),US5,530,101,US5,585,089,US5,693,761,US5,693,762,Selick et al,WO90/07861及びWinter,US5,225,539に記載されている方法を用いて、本分野で公知の組み換えDNA技術によって作製することができる。
【0119】
本明細書において使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体(例えば、hTNFαを特異的に結合する単離された抗体は、hTNFα以外の抗原を特異的に結合する抗体を実質的に含まない)を表すものとする。しかしながら、hTNFαを特異的に結合する単離された抗体は、他の種から得られるTNFα分子など、他の抗原への交叉反応性を有し得る(以下に、さらに詳しく論述されている。)。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないことができる。
【0120】
本明細書において使用される「中和抗体」(又は「hTNFα活性を中和した抗体」)は、hTNFαへのその結合が、hTNFαの生物学的活性の阻害をもたらす抗体を表すものとする。hTNFαの生物学的活性のこの阻害は、hTNFαによって誘導された細胞毒性(インビトロ又はインビボの何れか)、hTNFαによって誘導された細胞活性化及びhTNFα受容体へのhTNFαの結合など、hTNFα生物活性の1つ又はそれ以上の指標を測定することによって評価することが可能である。hTNFα生物活性のこれらの指標は、本分野で公知の幾つかの標準的なインビトロ又はインビボアッセイの1つ又はそれ以上によって評価することが可能である(米国特許第6,090,382号参照)。好ましくは、抗体がhTNFα活性を中和する抗体の能力は、hTNFαによって誘導されるL929細胞の細胞毒性の阻害によって評価される。hTNFα活性のさらなるパラメータ又は別のパラメータとして、hTNFαによって誘導されたELAM−IのHUVEC上への発現を阻害する抗体の能力を、hTNFαによって誘導された細胞活性化の指標として評価することが可能である。
【0121】
本明細書において使用される「表面プラズモン共鳴」という用語は、例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,NJ)を用いて、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによって、リアルタイムな生物特異的相互作用の分析を可能とする光学現象を表す。さらなる記述については、米国特許第6,258,562号の実施例1及び「Jonsson et al(1993)Ann.Biol.Clin.51:19;Jonsson et al.(1991)Biotechniques 11:620−627;Johnsson et al(1995)J.Mol.Recognit.8:125;and Johnnson et al.(1992)Anal.Biochem.98:268」を参照されたい。
【0122】
本明細書において使用される「K
off」という用語は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離に対する解離速度定数を表すものとする。
【0123】
本明細書において使用される「K
d」という用語は、特定の抗体抗原相互作用の解離定数を表すものとする。
【0124】
本明細書において使用される「IC
50」という用語は、対象とする生物学的評価項目(例えば、細胞毒性活性の中和)を阻害するのに必要とされる阻害剤の濃度を表すものとする。
【0125】
本明細書において使用される「核酸分子」という用語は、DNA分子及びRNA分子を含むものとする。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0126】
hTNFαを結合する抗体又は抗体部分(例えば、VH、VL、CDR3)をコードする核酸に対して本明細書で使用される「単離された核酸分子」という用語は、抗体又は抗体部分をコードするヌクレオチド配列が、hTNFα以外の抗原を結合する抗体又は抗体部分をコードする他のヌクレオチド配列(この他の配列は、天然の状態で、ヒトゲノムDNA中の核酸に隣接し得る。)を含まない核酸分子を表すものとする。従って、例えば、抗hTNFα抗体のVH領域をコードする本発明の単離された核酸は、hTNFα以外の抗原を結合する他のVH領域をコードする他の配列を含有しない。
【0127】
本明細書において使用される「ベクター」という用語は、当該核酸分子に連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を表すものとする。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、これは、その中にさらなるDNAセグメントを連結し得る環状二本鎖DNAループを表す。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、ここにおいて、追加のDNAセグメントはウイルスゲノム中に連結され得る。ある種のベクターは、当該ベクターがその中に導入された宿主細胞中で自律的複製を行うことができる(例えば、細菌の複製起点及びエピソーム哺乳動物ベクターを有する細菌ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入時に、宿主細胞のゲノム中に組み込まれることが可能であり、これにより、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが作用可能に連結されている遺伝子の発現を誘導することが可能である。このようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」(又は単に、「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態であるので、本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は互換的に使用され得る。しかしながら、本発明は、均等な機能を果たす、ウイルスベクターなどの(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)発現ベクターのこのような他の形態を含むものとする。
【0128】
本明細書において使用される「組換え宿主細胞」(又は単に、「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターがその中に導入されている細胞を表すものとする。このような用語は、当該細胞を表すのみならず、このような細胞の子孫も表すことを理解すべきである。突然変異又は環境的な影響のために、後続の世代中にある種の修飾が生じ得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でないことがあり得るが、本明細書において使用される「宿主細胞」という用語の範囲に、なお含まれる。
【0129】
本明細書において使用される「キット」という用語は、構成要素を含む、梱包された生産品又は製品を表す。キットは、好ましくは、キットの構成要素を収容する箱又は容器を含む。箱又は容器には、ラベル又は食品医薬品局によって認可されたプロトコールが貼付される。箱又は容器は、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン又はプロピレン容器内に好ましく含有される本発明の構成要素を収容する。容器は、蓋をしたチューブ又は瓶とすることが可能である。キットは、本発明のTNFα抗体を投与するための指示書も含むことができる。一実施形態において、本発明のキットは、PCT/IB03/04502及び米国特許出願10/222140号に記載されているヒト抗体D2E7を含む製剤を含む。
【0130】
本発明の様々な態様は、以下でさらに詳しく記載されている。
【0131】
II.抗体の作製
本明細書において、本発明は、抗体及び1つ又はそれ以上のHCPを含む混合物から抗体を精製するための方法を提供する。当初混合物は、一般に、抗体の組み換え産生から得られる混合物である。あるいは、当初混合物は、ペプチド合成(又は他の合成手段)による抗体の作製から得ることができ、又は抗体は当該抗体の当初の源から精製され得る。
【0132】
本発明の抗体又は抗体部分を発現させるために、遺伝子が転写調節配列及び翻訳調節配列へ作用可能に連結されるように、部分又は完全長軽鎖及び重鎖をコードするDNAは発現ベクター中に挿入される。この文脈において、「作用可能に連結された」という用語は、ベクター内の転写調節配列及び翻訳調節配列が、抗体遺伝子の転写及び翻訳を制御するという所期の機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター中に連結されていることを意味するものとする。発現ベクター及び発現調節配列は、使用される発現宿主細胞と適合的であるように選択される。抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子は、別個のベクター中に挿入することが可能であり、又は、より典型的には、両遺伝子は同一の発現ベクター中に挿入される。抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片及びベクター上の相補的制限部位の連結、又は制限部位が存在しなければ、平滑末端連結)によって発現ベクター中に挿入される。抗体又は抗体関連軽鎖又は重鎖配列の挿入の前に、発現ベクターは、既に、抗体定常領域配列を担持し得る。例えば、アダリムマブ又はアダリムマブ関連VH及びVL配列を完全長抗体遺伝子へと変換するための1つのアプローチは、VHセグメントが、ベクター内のCHセグメントへ、作用可能に連結され、及びVLセグメントが、ベクター内のCLセグメントへ、作用可能に連結されるように、それぞれ、既に重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をコードする発現ベクター中にそれらを挿入することである。これに加えて又はこれに代えて、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることが可能である。シグナルペプチドが、抗体鎖遺伝子のアミノ末端へ、インフレームに連結されるように、抗体鎖遺伝子はベクター中にクローニングすることが可能である。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種のシグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)とすることが可能である。
【0133】
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中の抗体鎖遺伝子の発現を調節する制御配列を担持する。「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー及び抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳を調節する他の発現調節要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。このような制御配列は、例えば、「Goeddel,Gene Expression Technology Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)」に記載されている。制御配列の選択など、発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることが、当業者によって理解される。哺乳動物の宿主細胞発現のために好ましい制御配列には、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、サルウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーなど、哺乳動物細胞中でタンパク質発現の高いレベルを誘導するウイルス要素が含まれる。ウイルス制御要素及びその配列のさらなる記述については、例えば、Stinskiによる米国特許第5,168,062号、Bellらによる米国特許4,510,245号及びSchaffnerらによる米国特許第4,968,615号を参照されたい。
【0134】
抗体鎖遺伝子及び制御配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中でのベクターの複製を制御する配列(例えば、複製起点)及び選択可能なマーカー遺伝子など、さらなる配列を担持し得る。選択可能なマーカー遺伝子は、その中にベクターが導入される宿主細胞の選択を容易にする(例えば、全てAxelによる米国特許第4,399,216号、米国特許第4,634,665号及び米国特許第5,179,017号を参照されたい。)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、その中にベクターが導入される宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択可能なマーカー遺伝子には、(メトトレキサート選択/増幅とともに、dhfr
−宿主細胞中で使用するための)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子及びneo遺伝子(G418選択用)が含まれる。
【0135】
軽鎖及び重鎖を発現させるために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターは、標準的な技術によって、宿主細胞中に形質移入される。「形質移入」という用語の様々な形態は、原核又は真核宿主細胞中への外来DNAの導入のために一般に使用される多様な技術、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン形質移入などを包含するものとする。原核又は真核宿主細胞の何れの中でも、本発明の抗体を発現することは理論的に可能であるが、真核細胞、特に、哺乳動物細胞は、原核細胞に比べて、適切に折りたたまれ、免疫学的に活性な抗体を集合及び分泌する傾向がより大きいので、真核細胞中での抗体の発現、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞中での抗体の発現が最も好ましい。抗体遺伝子の原核生物発現は、活性な抗体の高い収率の産生には有効でないことが報告されている(Boss and Wood(1985)Immunology Today 6:12−13)。
【0136】
本明細書において、ベクター中のDNAをクローニングし、又は発現させるための適切な宿主細胞は、上に記載されている原核生物、酵母又は高等真核生物細胞である。この目的のための適切な原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物などの真正細菌、例えば、エシェリヒア(例えば、イー・コリ)、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ(サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium))、セラチア(例えば、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)及びシゲラなどの腸内細菌科並びにB.スブチリス(B.subutilis)及びB.リシェニフォルミス(B.licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266,710に開示されているB.リシェニフォルミス41P)、P.エルジノーサ(P.aeruginosa)などのシュードモナス及びストレプトミセスなどの桿菌が含まれる。1つの好ましいイー・コリクローニング宿主はイー・コリ294(ATCC31,446)であるが、イー・コリB、イー・コリX1776(ATCC31,537)及びイー・コリW3110(ATCC27,325)などのその他の株が適切である。これらの例は、限定的なものではなく、例示的なものである。
【0137】
原核生物の他に、糸状菌又は酵母などの真核微生物は、ポリペプチドをコードするベクターに対する適切なクローニング又は発現宿主である。下等真核宿主微生物のうち、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、すなわち、一般的なパン酵母が最も一般的に使用されている。しかしながら、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);例えば、K.ラクチス(K.lactis)、K.フラジリス(K.fragilis)、(ATCC12,424)、K.ブルガリカス(K.bulgaricus)(ATCC16,045)、K.ウィッケルアミ(wickeramii)(ATCC24,178)、K.ワルチイ(K.waltii)(ATCC56,500)、K.ドロソフィララム(K.drosophilarum)(ATCC36,906)、K.サーモトレランス(K.thermotolerans)及びK.マルキサヌス(K.marxianus);ヤロウイア(yarrowia)(EP402,226)などのクルイベロミセス宿主;ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(EP183,070);カンジダ(Candida);トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)(EP244,234);ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa);シュワニオミセス・オクチデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)などのシュワニオミセス;並びに、例えば、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、トリポクラジウム(Tolypocladium)及びA.ニジュランス(A.nidulans)及びA.ニガー(A.niger)などのアスペルギルス(Aspergillus)などの糸状菌など、多数の他の属、種及び株が本発明において一般的に利用可能であり、有用である。
【0138】
グリコシル化された抗体の発現のための適切な宿主細胞は、多細胞生物から得られる。無脊椎生物細胞の例には、植物及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株及び変異株並びにスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、アエデス・アエジプチ(Aedes aegypti)(蚊)、アエデス・アルボピクタス(Aedes albopictus)(蚊)、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)及びボンビックス・モリ(Bombyx mori)などの宿主由来の対応する許容昆虫宿主細胞が同定されている。形質移入のための様々なウイルス株(例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL−1変種及びボンビックス・モリ(Bombyx mori)NPVのBm−5株)が公的に入手可能であり、このようなウイルスは、特に、スポドプテラ・フルギペルダ細胞の形質移入のために、本発明に従い、本明細書においてウイルスとして使用し得る。綿、トウモロコシ、芋、大豆、ペチュニア、トマト及びタバコの植物細胞培養物も、宿主として使用することができる。
【0139】
本発明の組換え抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin,(1980)PNASUSA77:4216−4220に記載されており、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601−621に記載されているようにDHFR選択可能マーカーとともに使用されるdhfr
−CHO細胞を含む。)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞中に導入されると、宿主細胞中で抗体の発現を可能とするのに十分な期間にわたって、又は、より好ましくは、宿主細胞がその中で増殖されている培地中への抗体の分泌を可能とするのに十分な期間にわたって、宿主細胞を培養することによって抗体が産生される。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7,ATCCCRL1651);ヒト胎児由来腎臓株(懸濁液培養中での増殖のためにサブクローニングされた293又は293細胞、Graham et al.,J.GenVirol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCCCCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76,ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝細胞腫株(Hep G2)である。
【0140】
宿主細胞は、抗体産生用の上記発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように修飾された慣用の栄養素培地中で培養される。
【0141】
抗体を作製するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養され得る。HamのF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)及びダルベッコの改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979),Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980),米国特許4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655;又は5,122,469;WO90/03430;WO87/00195;又は米国特許再審査30,985に記載されている培地の何れをも、宿主細胞に対する培地として使用し得る。これらの培地の何れにも、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の増殖因子(インシュリン、トランスフェリン又は上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びホスファートなど)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗体(ゲンタマイシン薬など)、微量元素(通常μM範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される。)並びにグルコース又は均等なエネルギー源を補充し得る。他の何れの必要な補充物も、当業者に公知である適切な濃度で含め得る。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞とともに以前に用いられた培養条件であり、当業者に自明である。
【0142】
Fab断片又はscFv分子など、完全な状態の抗体の部分を作製するために、宿主細胞を使用することも可能である。上記操作に対する改変は、本発明の範囲に属することが理解される。例えば、本発明の抗体の軽鎖又は重鎖の何れか(両鎖ではない。)をコードするDNAで宿主細胞を形質移入することが望ましい場合があり得る。hTNFαに結合するために必要でない軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するために、組換えDNA技術も使用し得る。このような末端切断されたDNA分子から発現された分子も、本発明の抗体によって包含される。さらに、1つの重鎖及び1つの軽鎖が本発明の抗体であり、他の重鎖及び軽鎖が、hTNFα以外の抗原に対して特異的である二機能性抗体は、標準的な化学架橋法によって、本発明の抗体を第二の抗体に架橋することによって作製し得る。
【0143】
本発明の抗体又はその抗原結合部分の組換え発現用の好ましいシステムでは、リン酸カルシウムによって媒介された形質移入によって、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、dhfr
−CHO細胞中に導入される。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子は、遺伝子の転写の高いレベルを誘導するために、各々、CMVエンハンサー/AdMPLプロモーター制御要素へ作用可能に連結されている。組換え発現ベクターは、メトトレキサート選択/増幅を用いて、ベクターで形質移入されたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も担持する。選択された形質転換体宿主細胞は、抗体重鎖及び軽鎖の発現を可能とするために培養され、完全な状態の抗体が培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞を形質移入し、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培地から抗体を回収するために、標準的な分子生物学的技術が使用される。
【0144】
アダリムマブ若しくはその抗原結合部分又は本明細書に開示されているアダリムマブ関連抗体などの、本発明の組換えヒト抗体は、ヒトリンパ球から得られたmRNAから調製されたヒトVL及びVHcDNAを用いて調製された組換えコンビナトリアル抗体ライブラリー、好ましくはscFvファージディスプレイのスクリーニングによって単離することが可能である。このようなライブラリーを調製及びスクリーニングする方法は、本分野において公知である。ファージディスプレイライブラリーを作製するための市販のキット(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,catalog No.27−9400−01;及びStratagene SurfZAP
TM phage display kit,catalog No.240612)の他に、抗体ディスプレイライブラリーを作製及びスクリーニングする上での使用に特に好ましい方法及び試薬の例は、例えば、Ladner et al.米国特許第5,223,409号;Kang et al.PCT公開番号WO92/18619;Dower et al.PCT Publication No.WO91/17271;Winter et al.PCT公開番号WO92/20791;Markland et al PCT公開番号WO92/15679;Breitling et al.PCT公開番号WO93/01288;McCafferty et al.PCT公開番号WO92/01047;Garrard et al PCT公開番号WO92/09690;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology9:1370−1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas3:81−85;Huse et al.(1989)Science246:1275−1281;McCafferty et al.,Nature(1990)348:552−554;Griffiths et al.(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkins et al.(1992)JMolBiol226:889−896;Clackson et al.(1991)Nature352:624−628;Gram et al.(1992)PNAS89:3576−3580;Garrard et al.(1991)Bio/Technology9:1373−1377;Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res19:4133−4137;及びBarbas et al.(1991)PNAS88:7978−7982に見出される。
【0145】
組み換え技術を使用する場合には、抗体は、細胞内、細胞膜周辺腔中に産生され、又は培地中に直接分泌され得る。第一の工程として、抗体が細胞内で産生されれば、粒子状破砕物((例えば、均質化によって生じた)宿主細胞又は溶解された細胞)は、例えば、遠心又は限外ろ過によって除去される。抗体が培地中に分泌される場合、このような発現系から得られる上清は、一般に、まず、市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、Amicon又はMilliporePellicon限外ろ過ユニット)を用いて濃縮される。
【0146】
本発明の方法の前に、細胞破砕物由来の抗体の精製操作は、第一に、抗体の発現の部位に依存する。幾つかの抗体は、周囲の増殖培地中へ細胞から直接分泌させるようにすることが可能であるが、他の抗体は細胞内で作製される。後者の抗体に関しては、精製方法の第一の工程では、細胞の溶解を行い、これは、機械的な剪断、浸透圧ショック又は酵素的処理などの様々な方法によって行うことができる。このような破壊は、細胞の内容物全体をホモジネート中へ放出し、さらに、サイズが小さいために除去することが困難な細胞内断片を生成する。これらは、一般に、分画遠心法又はろ過によって除去される。抗体が培地中に分泌される場合、このような発現系から得られる上清は、一般に、まず、市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、Amicon又はMilliporePellicon限外ろ過ユニット)を用いて濃縮される。抗体が培地中に分泌される場合には、組み換え宿主細胞は、細胞培地から、例えば、接線流ろ過によって分離することも可能である。さらに、抗体は、本発明の抗体精製方法を用いて、培地から回収することが可能である。
【0147】
一実施形態において、本発明の方法は、高い親和性及び低い解離速度を有し、並びに高い中和能を有する、ヒトTNFαに結合する単離されたヒト抗体又はその抗原結合部分を含む。好ましくは、ヒト抗体は、組換え、中和ヒト抗hTNFα抗体である。本発明の方法において使用される、最も好ましい組換え中和抗体は、アダリムマブとして本明細書で表記される(アダリムマブ、Humira
(R)及びD2E7とも称される(D2E7VL領域のアミノ酸配列は配列番号1に示されており、D2E7VH領域のアミノ酸配列は配列番号2に示されている。)。)。D2E7(アダリムマブ;Humira
(R))の特性は、Salfeldらの米国特許第6,090,382号、第6,258,562号及び第6,509,015号(各々、参照により、本明細書に組み込まれている。)に記載されている。TNFα抗体の他の例には、関節リウマチの治療について、臨床試験が行われたキメラ及びヒト化マウス抗hTNFα抗体が含まれる(例えば、Elliott et al.(1994)Lancet344:1125−1127;Elliot et al.(1994)Lancet344:1105−1110;Rankin,E.G.,et al.(1995)Br.J.Rheumatol.34:334−342参照。)。別の実施形態において、本発明で使用されるTNFα抗体は、インフリキシマブ(Remicade
(R)Johnson and Johnson;米国特許第5,656,272号(参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されている。)、CDP571(ヒト化されたモノクローナル抗TNF−αIgG4抗体)、CDP870(ヒト化されたモノクローナル抗TNF−α抗体断片)、抗TNFdAb(Peptech)、CNTO148(ゴリムマブ;Medarex and Centocor,WO02/12502号も参照。)である。
【0148】
一実施形態において、本発明の方法は、アダリムマブ抗体及び抗体の一部、アダリムマブ関連抗体及び抗体の一部、並びに低い解離速度と高い中和能でのhTNFαへの高親和性結合のような、アダリムマブと均等な特性を有するその他のヒト抗体及び抗体のいつ部を含む。一実施形態において、本発明は、1×10
−8M又はそれ以下のK
d及び1×10
−3s
−1又はそれ以下のK
off速度定数でヒトTNFαから解離し(何れも、表面プラズモン共鳴によって測定される。)、並びに、標準的なインビトロL929アッセイにおいて、1×10
−7M又はそれ以下のIC
50でヒトTNFα細胞毒性を中和する単離されたヒト抗体又はその抗原結合部分を用いた治療を提供する。より好ましくは、単離されたヒト抗体又はその抗原結合部分は、5×10
−4s
−1又はそれ以下のK
offで、又はより好ましくは、1×10
−4s
−1若しくはそれ以下のK
offで、ヒトTNFαから解離する。より好ましくは、単離されたヒト抗体又はその抗原結合部分は、1×10
−8M若しくはそれ以下のIC
50、より好ましくは、1×10
−9M若しくはそれ以下のIC
50、さらにより好ましくは、1×10
−10M若しくはそれ以下のIC
50で、標準的なインビトロL929アッセイにおいて、ヒトTNFα細胞毒性を中和する。好ましい実施形態において、抗体は、単離されたヒト組換え抗体又はその抗原結合部分である。
【0149】
抗体重鎖及び軽鎖CDR3ドメインは、抗原に対する抗体の結合特異性/親和性において重要な役割を果たしていることが分野において周知である。従って、別の態様において、本発明は、hTNFαとの会合に対して遅い解離速度を有し、並びに、アダリムマブと構造的に同一であり又は関連した軽鎖及び重鎖CDR3ドメインを有する本発明の方法を用いて得られたヒト抗体を投与することによって、関節リウマチを治療する方法に関する。アダリブマブVLCDR3の9位は、K
offに対して実質的に影響を与えずに、Ala又はThrによって占拠されることが可能である。従って、アダリムマブVLCDR3に対するコンセンサスモチーフは、アミノ酸配列Q−R−Y−N−R−A−P−Y−(T/A)(配列番号3)を含む。さらに、アダリムマブVHCDR3の12位は、K
offに対して実質的に影響を与えずに、Tyr又はAsnによって占拠されることが可能である。従って、アダリムマブVLCDR3に対するコンセンサスモチーフは、アミノ酸配列V−S−Y−L−S−T−A−S−S−L−D−(Y/N)(配列番号4)を含む。さらに、米国特許第6,090,382号の実施例2に示されているように、アダリムマブ重鎖及び軽鎖のCDR3ドメインは、K
offに対して実質的に影響を与えずに、(VLCDR3内の1、4、5、7若しくは8位に、又はVHCDR3内の2、3、4、5、6、8、9、10若しくは11位に)単一のアラニン残基での置換を行いやすい。さらに、アダリムマブVL及びVHCDR3ドメインは、アラニンによる置換を行いやすいことに鑑みれば、当業者は、抗体の低い解離速度定数を保持しながら、CDR3ドメイン内に他のアミノ酸の置換(特に、保存的アミノ酸での置換)が可能であり得ることを理解する。好ましくは、アダリムマブVL及び/又はVHCDR3ドメイン内に、1個から5個以下の保存的アミノ酸置換が施される。より好ましくは、アダリムマブVL及び/又はVHCDR3ドメイン内に、1個から3個以下の保存的アミノ酸置換が施される。さらに、保存的アミノ酸置換は、hTNFαへの結合に対して重要なアミノ酸位置で行われるべきでない。アダリムマブVLCDR3の2位及び5位並びにアダリムマブVHCDR3の1位及び7位は、hTNFαとの相互作用について重要であると思われるので、保存的アミノ酸置換は、好ましくは、これらの位置において行われない(但し、上記のように、アダリムマブVLCDR3の5位におけるアラニン置換は許容される。)(米国特許第6,090,382号参照)。
【0150】
従って、別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、好ましくは、以下の特徴を含有する。
【0151】
a)表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、1×10
−3s
−1又はそれ以下のK
off速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列又は位置1、4、5、7若しくは8において、単一のアラニン置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列又は位置1、3、4、6、7、8及び/又は9において、1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10若しくは11において、単一のアラニン置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/又は12において、1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する。
【0152】
より好ましくは、抗体又はその抗原結合部分は、5×10
−4s
−1又はそれ以下のK
offでヒトTNFαから解離する。さらに好ましくは、抗体又はその抗原結合部分は、1×10
−4s
−1又はそれ以下のK
offでヒトTNFαから解離する。
【0153】
さらに別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列又は位置1、4、5、7若しくは8において、単一のアラニン置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を含有し、及び配列番号4のアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10又は11において単一のアラニン置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を含有する。好ましくは、LCVRは、さらに、配列番号5のアミノ酸配列(すなわち、アダリムマブVLCDR2)を含むCDR2ドメインを有し、HCVRは、さらに、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン(すなわち、アダリムマブVHCDR2)を有する。さらに好ましくは、LCVRは、さらに、配列番号7のアミノ酸配列(すなわち、アダリムマブVLCDR1)を含むCDR1ドメインを有し、HCVRは、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン(すなわち、アダリムマブVHCDR1)を有する。VLに対するフレームワーク領域は、好ましくは、V
κIヒト生殖系列ファミリーから、より好ましくは、A20ヒト生殖系列V
κ遺伝子から、最も好ましくは、米国特許第6,090,382号の
図1A及び1Bに示されているアダリムマブVLフレームワーク配列から得られる。VHに対するフレームワーク領域は、好ましくは、V
H3ヒト生殖系列ファミリーから、より好ましくは、DP−31ヒト生殖系列VH遺伝子から、最も好ましくは、米国特許第6,090,382号の
図2A及び2Bに示されているアダリムマブVHフレームワーク配列から得られる。
【0154】
従って、別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列(すなわち、アダリムマブVL)を含む軽鎖可変領域(LCVR)及び配列番号2のアミノ酸配列(すなわち、アダリムマブVH)を含む重鎖可変領域(HCVR)を含有する。ある種の実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域などの重鎖定常領域を含む。好ましくは、重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域又はIgG4重鎖定常領域である。さらに、抗体は、軽鎖定常領域(κ軽鎖定常領域又はλ軽鎖定常領域の何れか)を含むことが可能である。好ましくは、抗体は、κ軽鎖定常領域を含む。あるいは、抗体部分は、例えば、Fab断片又は一本鎖Fv断片であり得る。
【0155】
さらに別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、好ましくは、配列番号3、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)とともに、又は配列番号4、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34及び配列番号35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)とともに、アダリムマブ関連VL及びVHCDR3ドメイン、例えば、抗体又はその抗原結合部分を含有する。
【0156】
本発明において使用されるTNFα抗体は、修飾することも可能である。幾つかの実施形態において、TNFα抗体又はその抗原結合部分は、所望の効果を提供するために化学的に修飾される。例えば、本発明の抗体及び抗体断片のPEG化は、例えば、以下の参考文献:Focus on Growth Factors 3:4−10(1992);EP 0 154 316;及びEP 0401 384(各々、その全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されているように、本分野で公知のPEG化反応の何れかによって実施され得る。好ましくは、PEG化は、反応性ポリエチレングリコール分子(又は類似の反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実施される。本発明の抗体及び抗体断片のPEG化のために好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。本明細書において使用される「ポリエチレングリコール」は、モノ(C1−C10)アルコキシ−又はアリールオキシポリエチレングリコールなどの他のタンパク質を誘導体化するために使用されてきたPEGの形態の全てを包含するものとする。
【0157】
本発明のPEG化された抗体及び抗体断片を調製する方法は、一般的に、(a)抗体又は抗体断片が1つ又はそれ以上のPEG基に付着された状態となる条件下で、抗体又は抗体断片をポリエチレングリコール(PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体など)と反応させる工程、及び(b)反応産物を取得する工程を含む。公知のパラメータ及び所望の結果に基づいて、最適な反応条件又はアシル化反応を選択することが、当業者に自明である。
【0158】
PEG化された抗体及び抗体断片は、一般に、本明細書に記載されているTNFα抗体及び抗体断片の投与によって、本発明のTNFα関連疾患を治療するために使用し得る。一般的に、PEG化された抗体及び抗体断片は、PEG化されていない抗体及び抗体断片と比べて、増加した半減期を有する。PEG化された抗体及び抗体断片は、単独で、一緒に、また他の医薬組成物と組み合わせて使用され得る。
【0159】
本発明のさらに別の実施形態において、TNFα抗体又はその断片は、改変することが可能であり、この場合、非修飾抗体に比べて、定常領域を介した少なくとも1つの生物学的エフェクター機能を低下させるように抗体の定常領域が修飾される。抗体がFc受容体への低下した結合を示すように、本発明の抗体を修飾するために、抗体の免疫グロブリン定常領域セグメントは、Fc受容体(FcR)相互作用に必要な領域において変異させることが可能である(例えば、Canfield and Morrison(1991)J.Exp.Med.173:1483−1491;及びLund et al.(147)J.ofImmunol.147:2657−2662参照)。抗体のFcR結合能の減少は、オプソニン化及び貪食作用及び抗原依存性細胞毒性など、FcR相互作用に依存するその他のエフェクター機能も低下させ得る。
【0160】
本発明の抗体又は抗体部分は、別の機能的分子(例えば、別のペプチド又はタンパク質)へ誘導体化し、又は連結させることが可能である。従って、本発明の抗体及び抗体部分には、免疫接着分子など、本明細書に記載されているヒト抗hTNFα抗体の誘導体化された形態及びその他修飾された形態が含まれるものとする。例えば、本発明の抗体又は抗体部分は、別の抗体(例えば、二重特異的抗体又はダイアボティ)、検出可能な因子、細胞毒性因子、薬剤及び/又は抗体若しくは抗体部分の、別の分子(ストレプトアビジンコア領域又はポリヒスチジンタグなど)との会合を媒介可能なタンパク質若しくはペプチドなどの1つ又はそれ以上の別の分子団へ、(化学的カップリング、遺伝的融合、非共有会合又はその他によって)機能的に連結することが可能である。
【0161】
誘導体化された抗体の1つの種類は、(例えば、二重特異的抗体を作製するために、同一の種類の、又は異なる種類の)2つ又はそれ以上の抗体を架橋することによって作製される。
【0162】
適切な架橋剤には、適切なスペーサー(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)によって隔てられた反応性が異なる2つの基を有するヘテロ二官能性又はホモ二官能性(例えば、ジスクシンイミジルスベラート)である架橋剤が含まれる。このようなリンカーは、Pierce Chemical Company,Rockford,ILから購入可能である。
【0163】
本発明の抗体又は抗体部分を誘導体化し得る有用な検出可能因子には、蛍光化合物が含まれる。典型的な蛍光検出可能因子には、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリトリンなどが含まれる。抗体は、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの検出可能な酵素でも誘導体化され得る。抗体が検出可能な酵素で誘導体化される場合には、検出可能な反応産物を生成させるために、本酵素が使用するさらなる試薬を添加することによって抗体が検出される。例えば、検出可能因子である西洋ワサビペルオキシダーゼが存在する場合には、過酸化水素及びジアミノベンジジンの添加は、検出可能な発色した反応産物をもたらす。抗体は、ビオチンを用いて誘導体化し、アビジン又はストレプトアビジン結合の間接的な測定を通じて検出され得る。
【0164】
本発明の抗体又は抗体部分は、宿主細胞中での、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子の組換え発現によって調製することが可能である。抗体を組換え的に発現させるために、軽鎖及び重鎖が宿主細胞中で発現されるように、及び、好ましくは、宿主細胞がその中で培養されている培地(抗体は、この培地から回収することが可能である。)中に分泌されるように、抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖をコードするDNA断片を担持する1つ又はそれ以上の組換え発現ベクターで、宿主細胞が形質移入される。抗体重鎖及び軽鎖遺伝子を取得し、これらの遺伝子を組換え発現ベクター中に組み込み、ベクターを宿主細胞中に導入させるために、「Sambrook,Fritsch and Maniatis(eds),Molecular Cloning;A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989),Ausubel et al.(eds.)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates,(1989)及びBossらによる米国特許第4,816,397号」に記載されているものなどの標準的な組換えDNA法が使用される。
【0165】
アダリムマブ又はアダリムマブ関連抗体を発現させるために、まず、軽鎖及び重鎖可変領域をコードするDNA断片を取得する。これらのDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、生殖系列軽鎖及び重鎖可変配列の増殖及び修飾によって取得することが可能である。ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子に対する生殖系列DNA配列は、本分野において公知である(例えば、「Vbase」ヒト生殖系列配列データベースを参照されたい。Kabat et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242;Tomlinson et al.(1992)“The Repertoire of Human Germline V
H Sequences Reveals about Fifty Groups of V
H Segments with Different Hypervariable Loops” J.Mol.Biol.227:776−798;and Cox et al.(1994)“A Directory of Human Germ−line V
78 Segments Reveals a Strong Bias in their Usage” Eur.J.Immunol.24:827−836も参照されたい。これらの各々の内容は、参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。)。アダリムマブ又はアダリムマブ関連抗体の重鎖可変領域をコードするDNA断片を取得するために、ヒト生殖系列VH遺伝子のV
H3ファミリーのメンバーは、標準的なPCRによって増幅される。最も好ましくは、DP−31VH生殖系列配列が増幅される。アダリムマブ又はアダリムマブ関連抗体の軽鎖可変領域をコードするDNA断片を取得するために、ヒト生殖系列VL遺伝子のV
κIファミリーのメンバーは、標準的なPCRによって増幅される。最も好ましくは、A20VL生殖系列配列が増幅される。DP−31生殖系列VH及びA20生殖系列VL配列を増幅する際に使用するのに適したPCRプライマーは、標準的な方法を使用して、上に引用されている参考文献中に開示されているヌクレオチド配列に基づいて設計することが可能である。
【0166】
生殖系列VH及びVL断片が得られたら、これらの配列は、本明細書に開示されているアダリムマブ又はアダリムマブ関連アミノ酸配列をコードするように変異させることが可能である。生殖系列VH及びVLDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、まず、生殖系列とは異なるアダリムマブ又はアダリムマブ関連配列中のアミノ酸残基を同定するために、アダリムマブ又はアダリムマブ関連VH及びVLアミノ酸配列に対して比較される。次いで、生殖系列DNA配列の適切なヌクレオチドは、変異された生殖系列配列がアダリムマブ又はアダリムマブ関連アミノ酸配列をコードするように、どのヌクレオチド変化を行うべきかを決定するために遺伝コードを用いて変異される。生殖系列配列の突然変異導入は、PCRを介した突然変異導入(PCR産物が変異を含有するように、変異されたヌクレオチドがPCRプライマー中に取り込まれる。)又は部位指定突然変異導入などの標準的な方法によって実施される。
【0167】
(上述のように、生殖系列VH及びVL遺伝子の増幅及び突然変異導入によって)アダリムマブ又はアダリムマブ関連VH及びVLセグメントをコードするDNA断片が取得されたら、これらのDNA断片は、例えば、可変領域遺伝子を、完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子へ変換するために、標準的なDNA技術によってさらに操作することが可能である。これらの操作では、VL又はVHをコードするDNA断片は、抗体定常領域又は柔軟なリンカーなど、別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作用可能に連結されている。本明細書において使用される「作用可能に連結された」という用語は、2つのDNA断片によってコードされたアミノ酸配列がインフレームの状態に保たれるように、2つのDNA断片が連結されることを意味するものとする。
【0168】
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを重鎖定常領域をコードする別のDNA分子(CH1、CH2及びCH3)に作用可能に連結することによって、完全長重鎖遺伝子へと変換することが可能である。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、本分野において公知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって取得することが可能である。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域であり得るが、最も好ましくは、IgG1又はIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子の場合、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子へ作用可能に連結することが可能である。
【0169】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に作用可能に連結することによって、完全長軽鎖遺伝子(及びFab軽鎖遺伝子)へと変換することが可能である。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、本分野において公知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって取得することが可能である。軽鎖定常領域は、κ又はλ定常領域とすることが可能であるが、最も好ましくは、κ定常領域である。
【0170】
scFv遺伝子を作製するために、VH及びVL配列が連続する一本鎖タンパク質として発現可能であり、VL及びVH領域が柔軟なリンカーによって連結されるように、VH及びVLをコードするDNA断片は、柔軟なリンカーをコードする、例えば、アミノ酸配列(Gly
4−Ser)
3をコードする別の断片へ、作用可能に連結される(例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423−426;Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883;McCafferty et al,Nature(1990)348:552−554参照)。
【0171】
本発明の抗体又は抗体部分を発現させるために、遺伝子が転写調節配列及び翻訳調節配列へ作用可能に連結されるように、部分又は完全長軽鎖及び重鎖をコードするDNA(上述のように得られる。)は発現ベクター中に挿入される。この文脈において、「作用可能に連結された」という用語は、ベクター内の転写調節配列及び翻訳調節配列が、抗体遺伝子の転写及び翻訳を制御するという所期の機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター中に連結されていることを意味するものとする。発現ベクター及び発現調節配列は、使用される発現宿主細胞と適合的であるように選択される。抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子は、別個のベクター中に挿入することが可能であり、又は、より典型的には、両遺伝子は同一の発現ベクター中に挿入される。抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片及びベクター上の相補的制限部位の連結、又は制限部位が存在しなければ、平滑末端連結)によって発現ベクター中に挿入される。アダリムマブ又はアダリムマブ関連軽鎖又は重鎖配列の挿入の前に、発現ベクターは、既に、抗体定常領域配列を担持し得る。例えば、アダリムマブ又はアダリムマブ関連VH及びVL配列を完全長抗体遺伝子へと変換するための1つのアプローチは、VHセグメントが、ベクター内のCHセグメントへ、作用可能に連結され、及びVLセグメントが、ベクター内のCLセグメントへ、作用可能に連結されるように、それぞれ、既に重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をコードする発現ベクター中にそれらを挿入することである。これに加えて又はこれに代えて、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることが可能である。シグナルペプチドが、抗体鎖遺伝子のアミノ末端へ、インフレームに連結されるように、抗体鎖遺伝子はベクター中にクローニングすることが可能である。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種のシグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)とすることが可能である。
【0172】
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中の抗体鎖遺伝子の発現を調節する制御配列を担持する。「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー及び抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳を調節する他の発現調節要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。このような制御配列は、例えば、「Goeddel,Gene Expression Technology Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)」に記載されている。制御配列の選択など、発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることが、当業者によって理解される。哺乳動物の宿主細胞発現のために好ましい制御配列には、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、サルウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))及びポリオーマなどに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーなど、哺乳動物細胞中でタンパク質発現の高いレベルを誘導するウイルス要素が含まれる。ウイルス制御要素及びその配列のさらなる記述については、例えば、Stinskiによる米国特許第5,168,062号、Bellらによる米国特許4,510,245号及びSchaffnerらによる米国特許第4,968,615号を参照されたい。
【0173】
抗体鎖遺伝子及び制御配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中でのベクターの複製を制御する配列(例えば、複製起点)及び選択可能なマーカー遺伝子など、さらなる配列を担持し得る。選択可能なマーカー遺伝子は、その中にベクターが導入される宿主細胞の選択を容易にする(例えば、全てAxelによる米国特許第4,399,216号、米国特許第4,634,665号及び米国特許第5,179,017号を参照されたい。)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、その中にベクターが導入される宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択可能なマーカー遺伝子には、(メトトレキサート選択/増幅とともに、dhfr
−宿主細胞中で使用するための)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子及びneo遺伝子(G418選択用)が含まれる。
【0174】
軽鎖及び重鎖を発現させるために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターは、標準的な技術によって、宿主細胞中に形質移入される。「形質移入」という用語の様々な形態は、原核又は真核宿主細胞中への外来DNAの導入のために一般に使用される多様な技術、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン形質移入などを包含するものとする。原核又は真核宿主細胞の何れの中でも、本発明の抗体を発現することは理論的に可能であるが、真核細胞、特に、哺乳動物細胞は、原核細胞に比べて、適切に折りたたまれ、免疫学的に活性な抗体を集合及び分泌する傾向がより大きいので、真核細胞中での抗体の発現、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞中での抗体の発現が最も好ましい。抗体遺伝子の原核生物発現は、活性な抗体の高い収率の産生には有効でないことが報告されている(Boss and Wood(1985)Immunology Today 6:12−13)。
【0175】
本発明の組換え抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin,(1980)PNASUSA 77:4216−4220に記載されており、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601−621に記載されているようにDHFR選択可能マーカーとともに使用されるdhfr
−CHO細胞を含む。)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞中に導入されると、宿主細胞中で抗体の発現を可能とするのに十分な期間にわたって、又は、より好ましくは、宿主細胞がその中で増殖されている培地中への抗体の分泌を可能とするのに十分な期間にわたって、宿主細胞を培養することによって抗体が産生される。抗体は、タンパク質精製方法を用いて、培地から回収することが可能である。
【0176】
Fab断片又はscFv分子など、完全な状態の抗体の部分を作製するために、宿主細胞を使用することも可能である。上記手技に対する改変は、本発明の範囲に属することが理解される。例えば、本発明の抗体の軽鎖又は重鎖の何れか(両鎖ではない。)をコードするDNAで宿主細胞を形質移入することが望ましい場合があり得る。hTNFαに結合するために必要でない軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するために、組換えDNA技術も使用し得る。このような末端切断されたDNA分子から発現された分子も、本発明の抗体によって包含される。さらに、1つの重鎖及び1つの軽鎖が本発明の抗体であり、他の重鎖及び軽鎖が、hTNFα以外の抗原に対して特異的である二機能性抗体は、標準的な化学架橋法によって、本発明の抗体を第二の抗体に架橋することによって作製し得る。
【0177】
本発明の抗体又はその抗原結合部分の組換え発現用の好ましいシステムでは、リン酸カルシウムによって媒介された形質移入によって、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、dhfr
−CHO細胞中に導入される。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子は、遺伝子の転写の高いレベルを誘導するために、各々、CMVエンハンサー/AdMPLプロモーター制御要素へ作用可能に連結されている。組換え発現ベクターは、メトトレキサート選択/増幅を用いて、ベクターで形質移入されたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も担持する。選択された形質転換体宿主細胞は、抗体重鎖及び軽鎖の発現を可能とするために培養され、完全な状態の抗体が培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞を形質移入し、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培地から抗体を回収するために、標準的な分子生物学的技術が使用される。
【0178】
アダリムマブ若しくはその抗原結合部分又は本明細書に開示されているアダリムマブ関連抗体などの、本発明の組換えヒト抗体は、ヒトリンパ球から得られたmRNAから調製されたヒトVL及びVHcDNAを用いて調製された組換えコンビナトリアル抗体ライブラリー、好ましくはscFvファージディスプレイのスクリーニングによって単離することが可能である。このようなライブラリーを調製及びスクリーニングする方法は、本分野において公知である。ファージディスプレイライブラリーを作製するための市販のキット(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,catalog No.27−9400−01;及びStratagene SurfZAP
TM phage display kit,catalog No.240612)の他に、抗体ディスプレイライブラリーを作製及びスクリーニングする上での使用に特に好ましい方法及び試薬の例は、例えば、Ladner et al.米国特許第5,223,409号;Kang et al.PCT公開番号WO92/18619;Dower et al.PCT公開番号WO91/17271;Winter et al.PCT公開番号WO92/20791;Markland et al PCT公開番号WO92/15679;Breitling et al.PCT公開番号WO93/01288;McCafferty et al.PCT公開番号WO92/01047;Garrard et al PCT公開番号WO92/09690;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology9:1370−1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas3:81−85;Huse et al.(1989)Science246:1275−1281;McCafferty et al.,Nature(1990)348:552−554;Griffiths et al.(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkins et al.(1992)JMolBiol226:889−896;Clackson et al.(1991)Nature352:624−628;Gram et al.(1992)PNAS89:3576−3580;Garrard et al.(1991)Bio/Technology9:1373−1377;Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res19:4133−4137;及びBarbas et al.(1991)PNAS88:7978−7982に見出される。
【0179】
好ましい実施形態において、HoogenboomらのPCT公開番号WO93/06213に記載されているエピトープインプリンティング法を用いて、hTNFαに対して類似の結合活性を有するヒト重鎖及び軽鎖配列を選択するために、hTNFαに対して高い親和性と低い解離速度定数を有するヒト抗体、hTNFαに対して高い親和性及び低い解離速度定数を有するマウス抗hTNFα抗体(例えば、MAK195、寄託番号ECACC87 050801を有するハイブリドーマ)が、まず使用される。本方法で使用される抗体ライブラリーは、好ましくは、McCaffertyらのPCT公開番号WO92/01047、「McCaffertyらのNature(1990)348:552−554」及び「Griffithsらの(1993)EMBOJ12:725−734」に記載されているように、調製及びスクリーニングされたscFvライブラリーである。scFv抗体ライブラリーは、好ましくは、組換えヒトTNFαを抗原として使用してスクリーニングされる。
【0180】
最初のヒトVL及びVHセグメントが選択されたら、好ましいVL/VH対の組み合わせを選択するために、最初に選択されたVL及びVHセグメントの異なる対をhTNFα結合についてスクリーニングする「ミックス&マッチ」実験が行われる。さらに、hTNF結合に対する親和性をさらに向上させ、及び/又はhTNF結合に対する解離速度定数をさらに低下させるために、天然の免疫応答内に抗体の親和性成熟のために必要とされるインビボ体細胞変異プロセスと類似のプロセスにおいて、好ましくはVH及び/又はVLのCDR3領域内で、好ましいVL/VH対のVL及びVHセグメントをランダムに変異させることが可能である。このインビトロ親和性成熟は、それぞれ、VHCDR3又はVLCDR3に対して相補的なPCRプライマーを用いてVH及びVL領域を増幅することによって達成することが可能であり、得られるPCR産物が、VH及び/又はVLCDR3領域中にランダムな変異が導入されたVH及びVLセグメントをコードするように、プライマーは、ある位置において、4つのヌクレオチド塩基のランダムな混合物で「スパイク」されている。これらのランダムに変異されたVH及びVLセグメントは、hTNFαへの結合に関して再スクリーニングすることが可能であり、hTNFα結合に対して高い親和性と低い解離速度を示す配列を選択することが可能である。
【0181】
組換え免疫グロブリンディスプレイライブラリーから得られた本発明の抗hTFNα抗体のスクリーニング及び単離に続いて、選択された抗体をコードする核酸を、ディスプレイパッケージから(例えば、ファージゲノムから)回収し、標準的な組換えDNA技術によって、他の発現ベクター中にサブクローニングすることが可能である。所望であれば、本発明の他の抗体形態を作製するために、核酸にさらに操作(例えば、さらなる定常領域などの、さらなる免疫グロブリンドメインをコードする核酸への連結)を施すことが可能である。コンビナトリアルライブラリーのスクリーニングによって単離された組換えヒト抗体を発現させるために、上でさらに詳しく記載されているように、組換え発現ベクター中に、抗体をコードするDNAをクローニングし、哺乳動物宿主細胞中に導入される。
【0182】
hTNFαに対して高い親和性と低い解離速度定数を有するヒト抗体を単離する方法は、米国特許第6,090,382号、同第6,258,562号及び同第6,509,015号にも記載されており、これらの各々は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0183】
III.抗体の精製
本発明は、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物からHCPが減少した抗体調製物を作製するための方法を提供する。本発明は、抗体及び少なくとも1つのプロカテプシンLを含む混合物からプロカテプシンLが減少した抗体調製物を作製するための方法も提供する。本発明の精製方法は、第II節に記載されている方法及び本分野における慣用方法を用いて抗体が作製された時点で、分離工程において開始する。典型的には、本分野において、抗体はプロテインAに結合するのに対して、HCPは流出するので、抗体−HCP混合物は、最初の精製工程として、プロテインA捕捉(例えば、プロテインAカラム)に供される。本発明の精製方法は、最初の工程として、又は精製方法中の何れかの工程として、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物をプロテインA捕捉(例えば、プロテインAカラム)に供することが必要でないという利点を有する。
【0184】
抗体を含む清澄化された溶液又は混合物が得られたら、細胞によって産生された他のタンパク質(HCPなど)からのタンパク質の分離が、イオン交換分離工程及び疎水性相互作用分離工程を含む異なる精製技術の組み合わせを用いて実施される。分離工程は、タンパク質の電荷、疎水性の程度及び/又はサイズに基づいて、タンパク質の混合物を分離する。本発明の一実施形態において、分離は陽イオン、陰イオン及び疎水性を含むクロマトグラフィーを用いて行われる。これらの各技術に対して、幾つかの異なるクロマトグラフィー樹脂が利用可能であり、関与する具体的なタンパク質に適合するように精製スキームを正確に調整することが可能である。各分離方法の本質は、長いカラムに異なる速度でタンパク質を移動させ、カラムをさらに通過するにつれて増加する物理的な分離を達成させることが可能であること、又は分離媒体に選択的に付着させた後、異なる溶媒によってタンパク質を分別的に溶出させることが可能であることである。幾つかの事例では、抗体は、不純物がカラムへ特異的に接着し、抗体が接着しない場合には、抗体は不純物から分離される。すなわち、抗体は貫流中に存在する。
【0185】
望ましくないタンパク質から抗体を精製する方法は、以下に記載されている(例えば、プロセスA)。一実施形態において、本発明は、プロセスAにおいて以下に記載されている工程を個別的に又は組み合わせて含む。プロセスAは、イオン交換分離(陽イオン交換クロマトグラフィー及び陰イオン交換クロマトグラフィー)及び疎水性相互作用分離を用いて、医薬組成物中での使用に適した抗体調製物を得る、抗体を含む混合物を精製する方法を提供する。プロセスAは、抗体精製における最初の工程として、プロテインA捕捉を行う必要なしに実施できるという利点を有する。一実施形態において、プロセスAを用いて精製された抗体はアダリムマブである。プロセスAは、一般的には、以下のものを含む。
【0186】
抗体及び不純物(例えば、HCP)を含む混合物は、陽イオン交換カラムなどのイオン交換カラム上に装填される。混合物は、約30g以下の抗体/L/サイクルの装填量で装填され得る。陽イオンカラム上に装填された混合物は、続いて、洗浄緩衝液(平衡化緩衝液)を用いて洗浄される。次いで、抗体をカラムから溶出し、第一の溶出液を得る。
【0187】
次いで、第一の溶出液は、多くの場合、陰イオン交換クロマトグラフィーに備えて、ウイルス的に不活化され、及びpH調整される。第一の溶出液は、溶出緩衝液に比べてpHを低pHになるように調整することによって、ウイルス的に不活化される(節IIICにさらに記載されている。)。ウイルス的に不活化された溶出液のpHは、続いて、2以上の工程において、約7.6の最終pHになるように調整され、これは、その後続いて行われる陰イオン交換カラムのpHである。
【0188】
ウイルス不活化に続いて、第一の溶出液は、しばしば、第二のイオン交換分離工程に供せられ、本工程では、第一の溶出液は陰イオン交換カラム(例えば、QSepharoseカラム)上に装填される。カラムは洗浄緩衝液で洗浄され、抗体を含む第一の貫流が得られる。
【0189】
貫流は、貫流を疎水性相互作用カラム(フェニルセファロース)上に装填することによってさらに精製される。カラムを洗浄し、第二の溶出液が得られるように、抗体をカラムから溶出させる。
【0190】
プロセスBが以下に記載されており、抗体を含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製する改良された方法を提供する。HCP又はプロカテプシンLに対して言及する場合の「減少した」という用語には、プロセスA中の同等の地点において、HCP又はプロカテプシンLのレベル(例えば、濃度又は活性)が向上していることを含む。一実施形態において、プロセスBの第一の溶出液は、プロセスAの第一の溶出液に比べて、HCP又はプロカテプシンLの減少したレベルを含む。一実施形態において、プロセスBの第一の貫流は、プロセスAの第一の貫流に比べて、HCP又はプロカテプシンLの減少したレベルを含む。一実施形態において、プロセスBの第二の溶出液は、プロセスAの第二の溶出液に比べて、HCP又はプロカテプシンLの減少したレベルを含む。別の実施形態において、プロセスBから得られた抗体調製物は、プロセスAから得られた抗体調製物に比べて、HCP又はプロカテプシンLの減少したレベルを含む。
【0191】
プロセスBは、一般的には、以下のものを含む。
【0192】
抗体及び不純物(例えば、HCP)を含む混合物は、陽イオン交換カラムなどのイオン交換カラム上に装填される。混合物は、pH7において、約35g以下の抗体/L/サイクルの装填量で、又はpH5において、約70g以下の抗体/L/サイクルの装填量で装填され得る。陽イオンカラム上に装填された混合物は、続いて、洗浄緩衝液(平衡化緩衝液)を用いて洗浄される。平衡化洗浄緩衝液に続いて、中間洗浄工程が行われ、本工程において、溶出緩衝液と類似の伝導度を有する中間緩衝液でカラムが洗浄される。この中間洗浄工程は、プロセスに関連する不純物の除去を改善する。次いで、溶出緩衝液を用いて抗体をカラムから溶出し、第一の溶出液を得る。
【0193】
次いで、第一の溶出液は、陰イオン交換クロマトグラフィーに備えて、ウイルス的に不活化され、及びpH調整される。第一の溶出液は、溶出緩衝液に比べてpHを低pHになるように調整することによって、ウイルス的に不活化される。ウイルス的に不活化された溶出液のpH及び伝導度は、続いて、1つの工程において、約7.8から8.2の最終pHになるように調整され、これは、その後続いて行われる平衡化された陰イオン交換カラムのpHである。
【0194】
ウイルス不活化に続いて、第一の溶出液は、第二のイオン交換分離工程に供せられ、本工程では、第一の溶出液は陰イオン交換カラム(例えば、QSepharoseカラム)上に装填される。カラムは洗浄緩衝液で洗浄され、抗体を含む第一の貫流が得られる。
【0195】
貫流は、貫流を疎水性相互作用カラム(フェニルセファロース)上に装填することによってさらに精製される。カラムを洗浄し、第二の溶出液が得られるように、抗体をカラムから溶出させる。プロセスBの結果は、減少したHCP(プロカテプシンLなど)を有する調製物である。プロセスBのさらなる結果には、HCPの排除をプロセスの先頭部分に移動させることによる、プロセスのボトルネックの除去(例えば、細胞培養のスケールアップにおいてもたらされるより高い生産性)及び抗体収率の全体的な向上が含まれる。本発明の改善されたプロセスに関するさらなる詳細は、以下に提供されている。
【0196】
III.A.イオン交換分離
本発明は、抗体を含む第一の溶出液が得られるように、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物を少なくとも1つのイオン交換分離工程に供することによって、混合物からHCPが減少した抗体調製物を作製するための方法を特徴とする。イオン交換分離には、2つの物質が、それらの各イオン電荷の差に基づいて分離されるあらゆる方法が含まれる。
【0197】
分離を実施する際には、抗体混合物は、例えば、バッチ精製技術又はクロマトグラフィーを用いて、イオン交換物質と接触され得る。例えば、バッチ精製のために、イオン交換物質は、所望の初発緩衝液中で調製され、又は所望の初発緩衝液に対して平衡化される。イオン交換物質のスラリーが得られる。分離されるべき抗体をイオン交換物質に吸着させるために、抗体溶液をスラリーと接触させる。イオン交換物質に結合しないHCPを含む溶液は、例えば、スラリーを沈降させ、上清を除去することによって、スラリーから分離される。スラリーは、1つ又はそれ以上の洗浄工程に供することが可能である。所望であれば、スラリーは、イオン交換物質に結合されたHCPを脱離させるために、より高い伝導度の溶液と接触させることができる。結合されたポリペプチドを溶出するために、塩濃度を増加させ得る。
【0198】
イオン交換クロマトグラフィーは、イオン交換分離技術としても使用され得る。イオン交換クロマトグラフィーは、分子の総電荷間の差に基づいて分子を分離する。抗体の精製に関して、抗体は、結合のために、イオン交換物質(例えば、樹脂)に付着された官能基の電荷とは反対の電荷を有さなければならない。例えば、一般に、そのpIを下回る緩衝液pH中で正味の正電荷を有する抗体は、負に帯電した官能基を含有する陽イオン交換物質に良好に結合する。
【0199】
イオン交換クロマトグラフィーにおいて、溶質の表面上の帯電した区画は、周囲の緩衝液のイオン強度が低ければ、クロマトグラフィーマトリックスに付着された反対電荷によって引き付けられる。溶出は、一般に、イオン交換マトリックスの帯電した部位に関して溶質と競合する緩衝液のイオン強度(すなわち、伝導度)を増加させることによって達成される。pHを変化させること、及び、これにより、溶質の電荷を変化させることは、溶質の溶出を達成するための別の方法である。伝導度又はpHの変化は、漸次(グラジエント溶出)又は段階的(段階溶出)であり得る。
【0200】
陰イオン又は陽イオン置換基は、クロマトグラフィーに対する陰イオン性又は陽イオン性支持体を形成するために、マトリックスに付着され得る。陰イオン交換置換基には、ジエチルアミノエチル(DEAE)、四級アミノエチル(QAE)及び四級アミン(Q)基が含まれる。陽イオン置換基には、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、ホスファート(P)及びスルホナート(S)が含まれる。DE23、DE32、DE52、CM−23、CM−32及びCM−52などのセルロースイオン交換樹脂は、Whatman Ltd.Maidstone,Kent、U.K.から入手することができる。SEPHADEX
(R)をベースとする架橋されたイオン交換体も公知である。例えば、DEAE−、QAE−、CM−及びSP−SEPHADEX
(R)及びDEAE−、Q−、CM−及びS−SEPHAROSE
(R)及びSEPHAROSE
(R)FastFlowは全て、PharmaciaABから入手可能である。さらに、TOYOPEARLDEAE−650S又はM及びTOYOPEARLCM−650S又はMなどのDEAE及びCMによって誘導体化されたエチレングリコール−メタクリラート共重合体は、TosoHaasCo.,Philadelphia,Paから入手可能である。
【0201】
本発明の一実施形態において、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物は、陽イオン交換(CEX)クロマトグラフィーカラム上に装填される。混合物は、カラムを平衡化させるために使用される平衡化緩衝液と同一であり得る装填緩衝液中のCEXカラム上に装填される。HCPを含む混合物がCEXカラム上を通過するにつれて、標的タンパク質はCEX樹脂に吸着され、様々なHCP(宿主細胞タンパク質(標的タンパク質が組み換え宿主細胞中で産生される場合)又はプロセスに由来するその他の不純物)は流出し、又はCEX樹脂に弱く若しくは非特異的に結合する。様々な実施形態において、CEX樹脂は、スルホナート基に付着された、合成メタクリラートをベースとしたポリマー性樹脂(FractogelSO
3(FractogelS))である。一実施形態において、平衡化緩衝液は、20mMNa
2PO
4、25mMNaCl、pH6.8を含む。他の適切な平衡化緩衝液は、5.0から9.0のpHで、例えば、生理的濃度、例えば、約0.5mMと約100mMの間の範囲の濃度(例えば、10mM、20mM、50mMなど)及び生理的塩濃度(例えば、約0.15mMNaCl)でBIS及びHEPESを含む。
【0202】
典型的な実施形態において、CEXクロマトグラフィーはFractogelSカラムである。一実施形態において、約30グラム(g)抗体/リットル(L)樹脂から約40g抗体/リットル樹脂が、FractogelSカラム条に装填される。別の実施形態において、約35g抗体/リットル樹脂が、pH7でFractogelSカラム上に装填される。pH7での約35g抗体/リットル樹脂の装填量は、不純物(例えば、HCP及びプロカテプシンL)の排除を増大させることが発見された。本発明の方法において使用されるべきFractogelSカラムの許容される稼動域は、以下の表1に記載されている。
【0204】
さらに、pH5でクロマトグラフィーを実施することによって、カラムの装填能力を増大させることが可能であることが発見された。特に、pH5での約70g抗体/リットル樹脂の装填量は、不純物(例えば、HCP及びプロカテプシンL)の排除を増大させることが発見された。従って、約pH5から約pH7のpH範囲では、約35gから約70g抗体/リットル樹脂の装填量を使用することができる。
【0205】
カラム上への抗体混合物の装填後、次いで、洗浄緩衝液でCEX樹脂を洗浄する。特に、異なる洗浄緩衝液での複数の洗浄工程が、さらにHCPが減少した抗体調製物をもたらすことが発見された。具体的には、それぞれ、洗浄緩衝液及び中間洗浄緩衝液を用いる、第一の洗浄工程及び中間洗浄工程の使用によって、プロカテプシンLのレベルを減少させ得ることが発見された。一実施形態において、まず、平衡化緩衝液と同一の洗浄緩衝液でCEX樹脂を洗浄する。ある種の実施形態において、洗浄緩衝液は、20mMNa
2PO
4、25mMNaCl、pH6.8である。他の適切な洗浄緩衝液は、5.0から9.0のpHで、例えば、生理的濃度、例えば、約0.5mMと約100mMの間の範囲の濃度(例えば、10mM、20mM、50mMなど)及び生理的塩濃度(例えば、約0.15mMNaCl)でBIS及びHEPESを含む。
【0206】
本発明の好ましい実施形態において、中間洗浄工程が行われる。CEX溶出緩衝液と同一の緩衝液を一部含む中間洗浄緩衝液を使用することによって、HCP全般、特にプロカテプシンLの減少したレベルを達成できることが発見された。HCP全般及び特に、プロカテプシンLの改善された低下は、1つには、中間洗浄緩衝液の増加した伝導度からもたらされる。中間洗浄緩衝液の伝導度を増加させることによって、HCPの電荷が除去され、これは、抗体のpIと比べてより低いpIを有するので、より弱く結合するHCPをカラムから洗浄させる。より弱い結合の不純物、例えば、プロカテプシンLなどのHCPの増加した除去率が、次いで、標的物質、例えば抗体に対するより大きな結合領域を与える。他の実施形態において、中間洗浄緩衝液は、約40%から約50%の溶出緩衝液及び約50%から約60%の注射用水を含有する。さらなる実施形態において、中間洗浄緩衝液は45%溶出液及び55%注射用水を含有する。一実施形態において、使用される洗浄緩衝液は、20mMNa
2PO
4、150mM塩化ナトリウム、pH7である。
【0207】
複数の洗浄の後、HCPの減少したレベルを有する第一の溶出液が得られるように、第一の陽イオン交換物質から抗体を溶出する。第一の溶出液は、中間洗浄工程に照らして、プロカテプシンLの減少したレベルも有する。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた第一の溶出液は、プロセスAの同等の工程と比べて、HCPレベルの約3から約5倍の減少を含む。別の実施形態において、本発明の方法を用いて得られた第一の溶出液は、プロセスAの同等の工程と比べて、カテプシンL活性の約2から約3倍の減少を含む。一実施形態において、第一の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、混合物より約90から約100倍の範囲少ないHCPを含む。別の実施形態において、第一の溶出液は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約25から約60RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0208】
好ましい実施形態において、抗体を含む最初の溶出液は第二のIE物質上を通過し、HCPのさらに減少したレベルを含む貫流が得られる。幾つかの実施形態において、第二のIE工程は、下記のようにバッチ精製であり得る。他の実施形態において、第二のIE工程は、第二のイオン交換クロマトグラフィー上に第一の溶出液を装填すること、カラムを洗浄すること及び第一の貫流を取得することを含む。第二のIE物質が、陰イオン交換(AEX)樹脂、例えば、Qセファロースカラムであり得る。幾つかの実施形態において、抗体約30グラムg/樹脂1リットルから抗体約40g/樹脂1リットルが、陰イオン交換カラム上に装填される。抗体約40g/樹脂1リットルと抗体約50g/樹脂1リットルの間の装填量に増加させることにより、不純物、例えば、HCPの排除率の減少をもたらす。HCPを含む混合物がAEXカラム上を通過するにつれて、様々なHCPがAEX樹脂に結合し、抗体はAEX樹脂を通過し、又はAEX樹脂へ非特異的に結合する。ある種の実施形態において、陰イオン交換樹脂はQSepharoseである。
【0209】
しばしば、精製されるべき抗体混合物は、先行の精製工程由来の緩衝液中に存在する。多くの緩衝液を利用することが可能であり、定型的な実験操作によって選択することができる。例えば、25mMトロラミン、40mMNaCl、pH8の平衡化緩衝液を使用し得る。一実施形態において、第二のEB物質上に最初の溶出液を通過させる前に、第二のIE物質を平衡化緩衝液で平衡化させ得る。これは、例えば、第一の溶出液のpH及び伝導度が平衡化された第二のIE物質のpH及び伝導度と実質的に同様であり、又は平衡化された第二のIE物質のpH及び伝導度に対応するように、第一の溶出液のpH及び伝導度を変化させることによって、すなわち、第一の溶出液のpH及び伝導度が平衡化された第二のイオン交換物質のpH及び伝導度と対応するように、第一の溶出液のpH及び伝導度を変化させることによって行い得る。幾つかの実施形態において、AEX物質(例えば、QSepharose)のpHは、約7.7から約8.3の範囲になるように、平衡化緩衝液で調整される。さらなる実施形態において、CEX溶出液(例えば、最初の溶出液)のpHは、約7.7から約8.3の範囲になるように調整される。ある種の実施形態において、AEX物質及び最初の溶出液の両者のpHは約8である。幾つかの実施形態において、AEX物質の伝導度は約3.5mS/cmから約4.9mS/cmの範囲である。さらなる実施形態において、最初の溶出液の伝導度は約3.5mS/cmから約4.9mS/cmの範囲である。第二のイオン交換物質の伝導度及びpHに、装填伝導度及びpHを調整することは、不純物の排除率を増大させることが発見された。プロセスAに関連して、第一の溶出液及び/又は平衡化された第二のイオン交換物質の伝導度の全体的な減少及び/又はpHの増加は増加したHCP排除率をもたらすことが発見された。
【0210】
カラム上への抗体混合物の装填後、次いで、洗浄緩衝液でAEX樹脂を洗浄する。洗浄緩衝液は、平衡化緩衝液と同一であり得、例えば、25mMトロラミン、40mMNaCl、pH8であり得る。一実施形態において、抗体を含む及びHCPの減少したレベルを有する第一の貫流が得られるように、貫流とともに洗浄物がプールされ得る。さらなる実施形態において、第一の貫流はプロカテプシンLの減少したレベルを有する。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた第一の貫流は、プロセスAの同等の工程と比べて、HCPレベルの約7から約700倍の減少を含む。別の実施形態において、本発明の方法を用いて得られた第一の貫流は、プロセスAの同等の工程と比べて、カテプシンL活性の約6から約25倍の減少を含む。別の実施形態において、第一の貫流は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の溶出液より約840から約850倍の範囲少ないHCPを含む。さらに別の実施形態において、第一の貫流は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約0.4から約4RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0211】
本発明の方法において使用されるべきQセファロースクロマトグラフィーの許容される稼動域は、以下の表2に記載されている。
【0213】
陰イオン交換物質と比較した陽イオン交換物質の使用は、上述のように、タンパク質の総電荷に基づいている。したがって、陽イオン交換物質の使用前に、陰イオン交換物質を使用することが本発明の範囲に属する。さらに、陽イオン交換物質のみ又は陰イオン交換物質のみを使用することが本発明の範囲に属する。
【0214】
本発明の方法は、場合によって、さらなる精製工程を含むことができる。イオン交換クロマトグラフィー法の前、最中又は後に実施され得るさらなる精製操作の例には、疎水性相互作用クロマトグラフィー上(例えば、フェニルセファロース上)での分画、エタノール沈殿、等電点電気泳動、逆相HPLC、シリカ上でクロマトグラフィー、ヘパリンセファロース上でのクロマトグラフィー、さらなる陰イオン交換クロマトグラフィー及び/又はさらなる陽イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫安沈殿、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及び(プロテインA,プロテインG、抗体、特異的基質、リガンド又は抗原を捕捉試薬として使用する。)アフィニティークロマトグラフィーが含まれる。
【0215】
III.B.疎水性相互作用分離
本発明は、抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物からHCPが減少した抗体調製物を作製するための方法であり、HCPの低下したレベルを有する第二の溶出液が得られるように、第一の疎水性相互作用材料に第一の貫流が供される、疎水性相互作用分離工程をさらに含む、方法に関する。
【0216】
分離を実施する際には、ポリペプチド混合物は、例えば、バッチ精製技術を用いて又はカラムを用いて、HIC物質と接触され得る。HIC精製の前に、例えば、混合物をプレカラムに通すことによって、一切のカオトロピック因子又は極めて疎水性の高い物質を除去することが望ましい場合があり得る。
【0217】
例えば、バッチ精製のために、HIC物質は、所望の平衡化緩衝液中で調製され、又は所望の平衡化緩衝液に対して平衡化される。HIC物質のスラリーが得られる。分離されるべき抗体をHIC物質に吸着させるために、抗体溶液をスラリーと接触させる。HIC物質に結合しないHCPを含む溶液は、例えば、スラリーを沈降させ、上清を除去することによって、スラリーから分離される。スラリーは、1つ又はそれ以上の洗浄工程に供することが可能である。所望であれば、スラリーは、HIC物質に結合された抗体を脱離させるために、より低い伝導度の溶液と接触させることができる。結合された抗体を溶出するために、塩濃度を減少させ得る。
【0218】
他の実施形態において、疎水性相互作用分離工程は、第一の疎水性相互作用材料を含むカラム上に第一の貫流を装填すること、及び、第二の溶出液が得られるように、第一の疎水性相互作用材料を洗浄することを含む。
【0219】
疎水性相互作用分離工程は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)工程を含み得る。イオン交換クロマトグラフィーは、タンパク質(例えば、抗体)を単離するために、タンパク質の電荷に依拠しているのに対して、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、幾つかのタンパク質(例えば、抗体)の疎水的特性を使用している。抗体上の疎水性基は、カラム上の親水性基に結合する。タンパク質がより疎水性になるほど、タンパク質はより強固にカラムへ結合する。HIC工程は、例えば、宿主細胞由来の不純物(例えば、DNA並びに産物に関連するその他の高分子量及び低分子量種)を除去する。
【0220】
疎水性相互作用は高いイオン強度において最強であり、したがって、分離のこの形態は、塩析又はイオン交換操作の後に、都合よく実施される。HICカラムへの抗体の吸着は、高い塩濃度によって好まれるが、実際の濃度は、抗体の性質及び選択される具体的なHICリガンドに応じて、幅広い範囲にわたって変動することが可能である。様々なイオンが疎水的相互作用(塩析効果)を促進し、又は水の構造を破壊し(カオトロピック効果)、及び疎水性相互作用の弱化をもたらすかどうかに応じて、いわゆる疎溶解性(soluphobic)系列で、様々なイオンを配置することができる。陽イオンは、増加する塩析効果の観点で、Ba
++<;Ca
++<;Mg
++<;Li
+<;Cs
+<;Na
+<;K
+<;Rb
+<;NH
4+の順に配置されるのに対して、陰イオンは、増加するカオトロピック効果の観点で、PO
−−−<;SO
4−−<;CH
3COOO
−<;Cl
−<;Br
−<;NO
3−<;ClO
4−<;I
−<;SCN
−の順に配置され得る。
【0221】
一般に、硫酸Na、K又はNH
4は、HIC中のリガンド−タンパク質相互作用を効果的に促進する。以下の関係:(NH
4)
2SO
4>;Na
2SO
4>;NaCl>;NH
4Cl>;NaBr>;NaSCNによって与えられるように、相互作用の強度に影響を与える塩を調合し得る。一般に、約0.75と約2Mの間の硫酸アンモニウム又は約1Mと4MNaClの間の塩濃度が有用である。
【0222】
HICカラムは、通常、疎水性リガンド(例えば、アルキル又はアリール基)が結合されている基礎マトリックス(例えば、架橋されたアガロース又は合成共重合体物質)を含む。好ましいHICカラムは、フェニル基で置換されたアガロース樹脂(例えば、PhenylSepharose
TMカラム)を含む。多くのHICカラムが市販されている。例には、低い置換又は高い置換を有するPhenylSepharos
TM6 FastFlowカラム(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Phenyl Sepharose
TMHigh Performanceカラム(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Octyl Sepharose
TMHigh Performanceカラム(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Fractogel
TMEMD Propyl又はFractogel
TMEMDPhenylカラム(E.Merck,Germany);Macro−Prep
TMMehyl又はMacro−Prep
TMt−Butyl Supports(Bio−Rad,California);WPHI−Propyl(C
3)
TMカラム(J.T.Baker,New Jersey);及びToyopearl
TMエーテル、フェニル又はブチルカラム(TosoHaas,PA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0223】
何れかの予備的精製工程の後に、目的の抗体及びHCPを含む混合物をHICに供し得る。しばしば、精製されるべき抗体組成物は、先行する精製工程由来の緩衝液中に存在する。しかしながら、HIC工程前に、緩衝液を抗体組成物に添加することが必要であり得る。多くの緩衝液を利用することが可能であり、定型的な実験操作によって選択することができる。一実施形態において、装填緩衝液中の精製されるべき抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物のpHは、最初のpHに応じて、酸又は塩基の何れかを用いて、約7のpH、及び約136から約158mS/cmの伝導度になるように調整される。一実施形態において、抗体混合物は、40mMリン酸ナトリウム、2.2M(NH
4)
2SO
4、pH7を含む緩衝液で希釈される。
【0224】
抗体混合物を装填する前に、カラムは、平衡化緩衝液で平衡化され得る。幾つかの実施形態において、平衡化緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム、1.1M(NH
4)
2SO
4、pH7である。
【0225】
一実施形態において、混合物(例えば、抗体を含む第一の貫流)は、フェニルセファロースHICカラム上に装填される。ある種の実施形態において、この工程に対するタンパク質装填量は、タンパク質約20と約40g/樹脂1リットルの間の範囲である。別の実施形態において、この工程に対するタンパク質装填量は、タンパク質約35g/樹脂1リットルである。幾つかの実施形態において、利用可能な物質の総量を処理するために、2つ又は3つのクロマトグラフィーサイクルが必要とされ得る。
【0226】
疎水性相互作用カラムへのタンパク質の結合後に、カラムは、平衡化緩衝液と同一であり得る洗浄緩衝液、例えば、1.1M(NH
4)
2SO
4、pH7で洗浄され得る。
【0227】
第二の溶出液が得られるように、溶出緩衝液を用いて抗体をカラムから溶出する。溶出緩衝液は、定型的な実験操作を用いて選択することが可能である。溶出緩衝液のpHは、約6と約8の間の範囲にあり、低い硫酸アンモニウム濃度を有する(すなわち、約1M(NH
4)
2SO
4未満)を有する。溶出緩衝液の伝導度は、約87から約101mS/cmの範囲である。一実施形態において、溶出緩衝液は、11mMリン酸ナトリウム、0.625M(NH
4)
2SO
4、pH7を含有する。より低い塩濃度は、樹脂へのより低いアダリムマブの結合をもたらすことが発見された。HCPの減少したレベルを有する第二の溶出液が得られるように、第二のイオン交換物質から抗体を溶出する。第二の溶出液は、プロカテプシンLの減少したレベルも有する。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた第二は、プロセスAの同等の工程と比べて、HCPレベルの約10から約96倍の減少を含む。別の実施形態において、本発明の方法を用いて得られた第二の溶出液は、プロセスAの同等の工程と比べて、カテプシンL活性の約5から約15倍の減少を含む。一実施形態において、第二の溶出液は、HCPELISAによって測定された場合に、第一の貫流より約3から約5倍の範囲少ないHCPを含む。別の実施形態において、第二の溶出液は、カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、約0.5から約1.5RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0228】
本発明の方法において使用されるフェニルセファロースクロマトグラフィーカラムの許容される稼動域は、以下の表3に示されている。
【0230】
さらなる精製工程には、本明細書に記載されているような、ウイルス除去工程並びにナノろ過、限外ろ過及び/又は透析ろ過工程が含まれ得る。
【0231】
III.C.ウイルスの不活化
安全域を与えるために、検出されなかった可能性があるウイルスは、精製工程の間に不活化される。ウイルスの不活化法は本分野において公知であり、熱不活化(低温殺菌)、pH不活化、溶媒/界面活性剤処理、UV及びγ線照射並びにβ−プロピオラクトン又は、例えば、米国特許第4,534,972に記載されているような銅フェナントロリンなどのある種の化学的不活化剤の添加が含まれる。幾つかの実施形態において、混合物をウイルス不活化に供することには、pHウイルス不活化が含まれ得る。pHウイルス不活化技術の方法も、本分野において周知である。例えば、ウイルス不活化の典型的な方法には、低pHで、一定の時間にわたって混合物を温置し、続いて、pHを中和し、ろ過によって粒状物を除去することが含まれる。pHレベルの選択は、概ね、抗体産物及び緩衝液成分の安定性特性に依存する。低pHウイルス不活化中の標的抗体の品質は、pH及び低pHでの温置時間によって影響を受けることが知られている。ウイルス不活化は、高い濃度において不活化を低下させ得るタンパク質濃度の他に、これらの同じパラメータに依存する。従って、タンパク質濃度、pH及び不活化の期間の適切なパラメータは、定型的な実験操作によって選択され得る。
【0232】
混合物のpHは、クエン酸、酢酸、カプリル酸又はその他の適切な酸を含む(但し、これらに限定されない。)あらゆる適切な酸によって低下させ得る。好ましい実施形態において、混合物のpHは、1Mクエン酸で調整される。
【0233】
幾つかの実施形態において、混合物は、約2.9から約3.9のpHで、約15分から約180分にわたって温置される。さらなる実施形態において、混合物は、約3.5のpHで、約60分から約120分にわたって温置される。さらなる実施形態において、混合物は、約3.5のpHで、約60分から約180分にわたって温置される。
【0234】
一実施形態において、抗体及びHCPを含む混合物が、イオン交換分離の前に、ウイルスの不活化に供せられる。他の実施形態において、最初の溶出液が、イオン交換分離の前に、ウイルスの不活化に供せられる。ある種の実施形態において、最初の溶出液が、陰イオン交換クロマトグラフィーの前に、ウイルスの不活化に供せられる。
【0235】
ウイルスの不活化に続いて、混合物は、必要に応じて、さらなる精製工程のために調整される。例えば、pH調整されたプールがろ過に供され得る。一実施形態において、低pHウイルス不活化及び/又はろ過に続いて、混合物のpHは、典型的には、より中性のpH、例えば、約6.5から約8.5になるように調整される。例えば、混合物は、所望のpHを得るために、注射用水(WFI)とともに流され得る。
【0236】
本発明の方法において使用される低pHウイルス不活化のパラメータは、以下の表4に示されている。
【0238】
本発明は、第二のイオン交換クロマトグラフィー工程の前に、イオン交換カラムから得られた第一の溶出液がウイルスの不活化に供される方法を含む。一実施形態において、ウイルスの不活化はpHウイルス不活化を通じて達成される。
【0239】
IV.宿主細胞タンパク質(HCP)レベルを測定するための方法
本発明は、精製された抗体組成物中の宿主細胞タンパク質(HCP)濃度の残存レベルを測定するための方法も提供する。上述のように、望ましくは、HCPは、最終標的物質製品、例えば、抗体から除外される。典型的なHCPは、抗体作製源に起因するタンパク質を含む。標的抗体からのHCPを同定できず、十分に除去できないことは、低下した効力及び/又は有害な患者反応を引き起こし得る。
【0240】
本明細書において使用される「HCPELISA」という用語は、アッセイにおいて使用される第二の抗体が、抗体、例えば、アダリムマブを作製するために使用された細胞、例えばCHO細胞から産生されたHCPに対して特異的であるELISAを表す。第二の抗体は、当業者に公知の慣用の方法に従って作製され得る。例えば、第二の抗体は、偽作製及び精製の実行によって(すなわち、目的の抗体を作製するために使用した同一の細胞株が使用されるが、細胞株は抗体DNAで形質移入されていない。)得られたHCPを用いて作製され得る。典型的な実施形態において、選択された細胞発現系(すなわち、標的抗体を産生するために使用された細胞発現系)中で発現されるものと類似のHPCを用いて、第二の抗体が産生される。
【0241】
一般に、HCPELISAは、抗体の2つの層(すなわち、第一の抗体及び第二の抗体)の間にHCPを含む液体試料を挟むことを含む。試料を温置し、その間に、試料中のHCPが第一の抗体(例えば、アフィニティー精製されたヤギ抗CHO(Cygnus))によって捕捉される。抗体(例えば、抗CHOHCPBiotinylated)を作製するために使用される細胞から産生されたHCPに対して特異的な標識された第二の抗体が添加され、細胞内のHCPに結合する。試料中に含有されるHCPの量は、第二の抗体の標識に基づいて、適切な検査を用いて測定される。
【0242】
HCPELISAは、上記セクションIIIに記載されている方法を用いて得られた溶出液又は貫流など、抗体組成物中のHCPのレベルを測定するために使用され得る。本発明は、HCP酵素結合免疫吸着検定法(「ELISA」)によって測定された場合にHCPの検出可能なレベルを有さない、抗体を含む組成物も提供する。一実施形態において、第一の溶出液は、HCPの約12,000から約19,500ng/mgの間を含む。一実施形態において、第二の溶出液は、HCPの約1.0と約0.0ng/mgの間を含む。
【0243】
V.プロカテプシンLのレベルを測定するための方法
本発明は、試料中のプロカテプシンLの量を測定するための速度論アッセイ(又はカテプシンL速度論アッセイ)を提供する。プロカテプシンLは、ある種の発現系から得られる宿主細胞タンパク質であり、カテプシンLへ活性化されると、アダリムマブなどの抗体を含むタンパク質の断片化を引き起こすことが知られている。
【0244】
プロカテプシンLが不活性なチモーゲンとして合成され、後に、活性なカテプシンL形態へ加工されることが、研究によって示されている。プロカテプシンLの活性化は、カテプシンDなどの他のプロテアーゼによって、又は酸性条件内でのリソゾームの自己触媒活性化によって、N末端プロペプチド領域のタンパク質分解的除去によって生じる(Turk et al.(1999)EurJBiochem259:929)。さらに、Masonら(Mason et al.(1992)Biochem Biophysical Res Comm 189:1659参照)は、より低いpH条件において硫酸デキストランなどの負に帯電した分子を添加することによって、pH5.5で、より高い程度まで、カテプシンLの活性化が達成され得ることを報告する。
【0245】
プロカテプシンL(又は活性形態カテプシンL)のレベルを検出する従来の方法には、弱陰イオン交換クロマトグラフィーなどの分析方法が含まれた。しかしながら、製造過程の試料(すなわち、セクションIIIに上記されている方法から得られた試料)を検査する場合には、緩衝液系の妨害及びマトリックス効果のために、このような方法は限定される。従って、本発明は、例えば、プロセスをモニタリングする目的で、プロカテプシンLをよりよくモニターするために、高処理量の蛍光酵素法を提供する。
【0246】
本発明の速度論アッセイは、標準的なエンドポイントアッセイによって容易に検出することができないレベルでプロカテプシンLを測定する方法を提供する。速度論アッセイは、プロカテプシンLのレベルが再現可能に低いかどうかを決定する手段も提供する。一実施形態において、プロカテプシンLのレベルが方法全体において減少されることを確認し、又は決定するために、セクションIIIに記載されている方法中のあらゆる点から試料を取得し得る。プロカテプシンLは、タンパク質からアミノ末端を除去することによって活性化される。一実施形態において、活性化は、カテプシンDなどの(但し、これに限定されない。)ペプチダーゼを用いて達成される。一旦活性化されると、カテプシンLは、基質を選択的に加水分解することができる。基質は試料と接触され、基質への変化に基づき、カテプシンL活性に関してモニターされる。
【0247】
好ましい実施形態において、カテプシンLに対する基質は標識を含む。標識は、カテプシン活性の測定を可能とするあらゆる因子を含み得る。カテプシンLが選択的に加水分解することができる標識された基質の例には、Z−ロイシン−アルギニン−AMC(R&DSystems)などの合成基質が含まれる。ペプチド基質は、AMCのアミノ基とアルギニンのカルボキシル基の間のアミド結合によって消光される蛍光性の7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)基を含有し得る。カテプシンLによってアミド結合が切断されると、放出されたAMC基は蛍光性であり、それぞれ、380nm及び460nmの蛍光波長及び発光波長によって測定することができる。カテプシンL活性のレベルを測定するために、この励起を測定し、使用し得る。基質の代謝回転速度は、試料中に存在するカテプシンLの量に正比例する。この測定は、既知のカテプシンL活性及びカテプシンLの既知量を有する参照試料と組み合わせて使用される。次いで、試料中のカテプシンL活性は、試料中に存在する抗体の量と相関付けられる。一実施形態において、第一の溶出液は、約25から約60RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。別の実施形態において、第一の貫流は、約0.4から約4RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。一実施形態において、第二の溶出液は、約0.5から約1.5RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0248】
一実施形態において、速度論アッセイは、カテプシンL試料が得られるように、哺乳動物細胞発現系に由来する物質を、プロカテプシンLを活性なカテプシンL形態へ加工するための酵素と接触させることによることを含む、物質中のプロカテプシンLの量を測定することを含む。一旦活性化されると、カテプシンLは、Z−ロイシン−アルギニン−AMCなどの合成基質などの基質を選択的に加水分解することができる。次いで、例えば、AMCのアミノ基とアルギニンのカルボキシル基の間のアミド結合によって消光される蛍光性の7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)基を含有するZ−ロイシン−アルギニン−AMCなどの合成などの基質が試料に添加される。カテプシンLによってアミド結合が切断されると、放出されたAMC基は蛍光性であり、それぞれ、380nm及び460nmの蛍光波長及び発光波長によって測定することができる。測定されたカテプシン活性は、哺乳動物細胞発現系(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)に由来する物質中のプロカテプシンLの量の指標として使用される。
【0249】
一実施形態において、第一の溶出液は、約25から約60RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。別の実施形態において、第一の貫流は、約0.4から約4RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。一実施形態において、第二の溶出液は、約0.5から約1.5RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む。
【0250】
本発明は、上記量の中間に位置する範囲も包含し、本発明の一部であるものとする。例えば、上記値の何れかの組み合わせを上限及び/又は下限として使用する値の範囲並びに記載されている範囲の間にある全ての数値が含まれるものとする。
【0251】
本発明は、上記修飾の何れか単独、又は互いに組み合わせたものを含む。
【0252】
VI.医薬組成物
本発明の方法を用いて得られた抗体は、対象に投与するのに適した医薬組成物中に取り込ませ得る。典型的には、医薬組成物は、抗体又はその抗原結合部分と及び医薬として許容される担体とを含む。本明細書において使用される「医薬として許容される担体」には、生理的に適合性がある、全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。医薬として許容される担体の例には、水、生理的食塩水、リン酸緩衝化された生理的食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1つ又はそれ以上及びこれらの組み合わせが含まれる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マニトール、ソルビトールなどの多価アルコール又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。医薬として許容される担体は、抗体又はその抗原結合部分の保存期間又は有効性を増強する、湿潤剤又は乳化剤、防腐剤又は緩衝剤などの補助物質の微量をさらに含み得る。
【0253】
本発明の方法を用いて精製された抗体又はその抗原結合部分を含む医薬組成物は、様々な形態で見出され得る。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム及び坐剤などの液体、半固体及び固体剤形が含まれる。好ましい形態は、予定される投与の様式及び治療用途に依存する。典型的な好ましい組成物は、他の抗体又は他のTNFα阻害剤を用いたヒトの受動免疫に対して使用される組成物と同様の組成物など、注射可能溶液又は注入可能溶液の形態である。投与の好ましい様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好ましい実施形態において、抗体は、静脈内注入又は注射によって投与される。別の好ましい実施形態において、抗体は、筋肉内又は皮下注射によって投与される。
【0254】
治療組成物は、典型的には、製造及び保存の条件下で、無菌及び安定でなければならない。組成物は、溶液、ミクロエマルジョン、分散液、リポソーム又は高薬物濃度に適したその他の秩序化された構造として製剤化することが可能である。無菌注射可能溶液は、上に列記されている成分の1つ又は組み合わせを加えた適切な溶媒中に、必要な量で活性化合物(すなわち、抗体又はその抗原結合部分)を取り込ませ、必要に応じて、ろ過滅菌によって調製することが可能である。一般的に、分散液は、塩基性分散溶媒及び上に列記されたものから得られる必要なその他の成分を含有する無菌ビヒクル中に活性化合物を取り込ませることによって調製される。無菌注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合には、調製の好ましい方法は、予め滅菌ろ過されたその溶液から、あらゆる追加の所望される成分を加えた活性成分の粉末を与える真空乾燥及び凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合に必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって維持することができる。注射可能組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることによって実現することができる。
【0255】
補助的活性化合物も、組成物中に取り込ませることが可能である。ある実施形態において、本発明の方法で使用するための抗体又はその抗体結合部分は、1つ又はそれ以上のさらなる治療剤とともに共製剤化され、及び/又は同時投与される。例えば、本発明の抗hTNFα抗体又はその抗体部分は、1つ若しくはそれ以上のDMARD又は1つ若しくはそれ以上のNSAID又は他の標的を結合する1つ若しくはそれ以上の追加の抗体(例えば、他のサイトカインを結合し、又は細胞表面分子を結合する抗体)、1つ若しくはそれ以上のサイトカイン、可溶性TNFα受容体(例えば、PCT公開WO94/06476参照)及び/又はhTNFα産生若しくは活性を阻害する1つ若しくはそれ以上の化学的因子(PCT公開WO03/19751に記載されているシクロヘキサンイリデン誘導体など)又はこれらのあらゆる組み合わせとともに共製剤化され、及び/又は同時投与され得る。さらに、本発明の1つ又はそれ以上の抗体は、先述の治療剤の2つ又はそれ以上と組み合わせて使用され得る。このような組み合わせ療法は、投与される治療剤のより低い投薬量を有利に使用し得るので、生じ得る副作用、合併症又は様々な単独療法に伴う、患者により応答の低いレベルが回避される。
【0256】
一実施形態において、本発明は、TNFα阻害剤又はその抗原結合部分の有効量及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を含み、TNFα阻害剤の抗体は、例えば、クローン病などのTNF関連疾患を治療するために有効であり得る。一実施形態において、抗体又は抗体部分は、PCT/IB03/04502及び米国特許出願10/222140号(参照により、本明細書中に組み込まれる。)に記載されているように医薬製剤中に取り込まれる。本製剤は、抗体アダリムマブの濃度50mg/mLを含み、ここにおいて、予め充填された1つの注射器は、皮下注射のための抗体40mgを含有する。
【0257】
多くの治療用途に関して、好ましい投与経路/様式は皮下注射であるが、本発明の方法を用いて得られた抗体又は抗体部分は、本分野で公知の様々な方法によって投与することが可能である。別の実施形態において、投与は、静脈内注射又は注入を介する。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式は、所望される結果に応じて変動する。ある種の実施形態において、活性化合物は、インプラント、経皮パッチ及び微小封入された送達系を含む徐放製剤など、迅速な放出に対して化合物を保護する担体とともに調製され得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生物分解可能な生体適合性ポリマーを使用することが可能である。このような製剤の多くの調製方法は、特許が付与されているか、又は、一般的に当業者に公知である。例えば、「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978」を参照されたい。
【0258】
本発明の方法を用いて得られた抗体又はその抗原結合部分は、被覆された粒子を形成するためにポリマー性担体内に封入されたタンパク質結晶の組み合わせを含むタンパク質結晶製剤の形態でも投与することができる。タンパク質結晶製剤の被覆された粒子は、球状形態を有し、及び最大500μmの直径の小球体であり得、又はそれらは、他の何らかの形態を有し、及び微粒子であり得る。タンパク質結晶の増加された濃度は、本発明の抗体を皮下送達することを可能とする。一実施形態において、本発明の抗体は、タンパク質送達系を介して送達され、タンパク質結晶製剤又は組成物の1つ又はそれ以上が、TNFα関連疾患を有する患者に投与される。完全な抗体結晶又は抗体断片結晶の組成物及びこれらの安定化された製剤を調製する方法は、WO02/72636号(参照により、本明細書に組み込まれる。)にも記載されている。一実施形態において、PCT/IB03/04502及び米国特許出願10/222140号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている結晶化された抗体断片を含む製剤は、本発明の複数可変投薬法を用いて、TNFα関連疾患を治療するために使用される。
【0259】
ある種の実施形態において、本発明の方法を用いて得られた抗体又はその抗原結合部分は、例えば、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体とともに、経口投与され得る。また、化合物(及び、所望であれば、その他の成分)は、硬若しくは軟殻ゼラチンカプセル中に封入され、錠剤へと圧縮され、又は患者の食事中に直接取り込ませ得る。経口治療的投与の場合、化合物は、賦形剤とともに取り込ませることができ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハースなどの形態で使用され得る。非経口投与以外によって本発明の化合物を投与するために、その不活化を妨げるための物質で化合物を被覆し、又はその不活化を妨げるための物質とともに化合物を同時投与することが必要であり得る。
【0260】
本発明の医薬組成物には、本発明の抗体又はその抗原結合部分の「治療的有効量」又は「予防的有効量」が含まれ得る。「治療的有効量」は、必要な投薬量と期間において、所望の治療結果を達成するのに有効な量を表す。抗体又はその抗原結合部分の治療的有効量は、個体の病状、年齢、性別及び体重並びに抗体、抗体部分、他のTNFα阻害剤が、個体内で所望の応答を惹起する能力などの因子に従って変動し得る。治療的有効量は、抗体又はその抗原結合部分のあらゆる毒性効果又は有害効果が、治療的に有益な効果によって凌駕される量でもある。「予防的有効量」は、必要な投薬量及び期間において、所望の予防的結果を達成するのに有効な量を表す。疾病のより初期段階の前に又は疾病のより初期段階では、予防的投薬が対象に使用されるので、通例、予防的有効量は、治療的有効量より少ない。
【0261】
投薬計画は、最適な所望の応答(例えば、治療的応答又は予防的応答)を与えるように調整され得る。例えば、単一のボーラスを投与することができ、複数の分割された用量を経時的に投与することができ、又は、治療状況の緊急性によって示されるように、用量を比例的に減少若しくは増加させ得る。投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、投薬単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書において使用される投薬単位形態は、治療されるべき哺乳動物対象に対する統一された投薬として適した、物理的に分離された単位を表し、各単位は、必要とされる医薬担体とともに、所望される治療効果を生じるように計算された活性化合物の所定量を含む。本発明の投薬単位形態に対する規格は、(a)活性化合物の特有の特徴及び達成されるべき具体的な治療効果又は予防効果並びに(b)個体における過敏症の治療用のこのような活性化合物を配合する分野に固有の制約によって規定され、これらに直接依存する。
【0262】
抗体又はその抗原結合部分の治療的又は予防的有効量に対する典型的な非限定的範囲は、10から200mg、より好ましくは20から160mg、より好ましくは40から80mg、最も好ましくは80mgである。一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分の治療的有効量は約20mgである。別の実施形態において、抗体又はその一部の治療的有効量は約40mgである。さらに別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分の治療的有効量は約80mgである。一実施形態において、本発明の方法において使用するための抗体又はその一部の治療的有効量は約120mgである。さらに別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分の治療的有効量は約160mgである。上記投薬量の中間の範囲、例えば、約78.5から約81.5、約15から約25、約30から約50、約60から約100、約90から約150、約120から約200も、本発明の一部であるものとする。例えば、上記値の何れかの組み合わせを、上限及び/又は下限として用いる値の範囲も含まれるものとする。
【0263】
緩和されるべき症状の種類及び重度に応じて、投薬量の値が変化し得ることに注意すべきである。何れの患者についても、当該個人の要求に従って、及び組成物の投与を行い又は監督している者の専門的判断に従って、特異的投薬計画を経時的に調整すべきこと、並びに本明細書に記載されている投薬量の範囲は典型的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載されている組成物の範囲又は実施に限定することを意図したものではないことをさらに理解すべきである。
【0264】
本発明の方法を用いて得られた抗体又はその抗体部分は、WO02/100330に記載されているように、隔週投薬計画で、WO04/037205に記載されているように低用量投薬計画で及びWO05/110452に記載されているような複数可変投薬計画で投与され得る(これらの各々は、参照により、本明細書に組み込まれる。)。
【0265】
本発明は、本発明の方法を用いて得られた抗体又はその抗原結合部分を含む梱包された医薬組成物、製品又はキットにも関する。製品は、本発明の方法を用いて得られた抗体又はその抗原結合部分及び同封物を含み得る。製品は、抗体又はその抗原結合を含む製剤又は組成物がHCP及び/又はプロカテプシンLの減少したレベルを有することを示すラベル又は同封物も含み得る。製品は、アダリムマブ製剤がHCPの約70ng/mg以下を含むことを示す梱包材料内に含有されたラベル若しくは同封物又はダリムマブ製剤が約13ng/mg以下を含むことを示す梱包材料内に含有されたラベル若しくは同封物を含み得る。製品は、アダリムマブ製剤が約5ngHCP/mgアダリムマブ以下を含むことを示す包装材料内に含有されるラベル又は同封物を含み得る。製品は、アダリムマブ製剤が、約3.0RFU/秒/mgアダリムマブのカテプシンL活性によって示されるものを上回らないプロカテプシンLのレベルを含むことを示す包装材料も含み得る。
【0266】
VII.治療の方法
本発明は、TNFα活性が有害である疾患に罹患している対象において、TNFα活性を阻害するために使用することができる、HCP又はプロカテプシンLが減少した抗体調製物を作製する方法。TNFαは、様々な疾患の病態生理に関与していると推測されている(例えば、Moeller,A.,et al.(1990)Cytokine2:162−169;U.S.PatentNo.5,231,024 to Moller et al,;European Patent Publication No.260610 B1 by Moeller,A.を参照)。TNFαは、敗血症、感染症、自己免疫疾患、移植拒絶及び移植片対宿主病を含む多様なTNFα関連疾患の病態生理に関与していると推定されている(例えば、Moeller,A.,et al.(1990)Cytokine2:162−169;U.S.Patent No.5,231,024 to Moeller et all European Patent Publication No.260 610 B1 by Moeller,A.,et al.Vasilli,P.(1992)Annu.Rev.Immunol.10:411−452;Tracey,K.J.and Cerami,A.(1994)Annu.Rev.Med.45:491−503参照。)。本発明は、TNFα関連疾患に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するのに有益である、HCP又はプロカテプシンLが減少した抗体調製物を作製する方法であり、初期誘導用量を対象に投与すること、及び続いて、TNFα活性が阻害されるように、抗体又はその抗原結合断片の治療用量を投与することを含む方法。好ましくは、TNFαはヒトTNFαであり、対象はヒト対象である。一実施形態において、TNFα阻害剤はアダリムマブ(HUMIRA
(R)(D2E7)とも称される。)である。
【0267】
本明細書において使用される「TNFα活性が有害である疾患」という用語は、本疾患に罹患している対象中でのTNFαの存在が、疾患の病態生理の原因であるか、又は疾患の悪化に寄与している因子であることが示されており、又は疑われている疾病及びその他の疾患を含むものとする。したがって、TNFα活性が有害である疾患は、TNFα活性の阻害が疾患の症候及び/又は進行を緩和することが予測される疾患である。このような疾患は、例えば、本疾患に罹患している対象の生体液中のTNFα濃度の増加(例えば、対象の血清、血漿、滑液中などのTNFα濃度の増加)によって明らかとされ得、生体液中のTNFα濃度の増加は、例えば、上記抗TNFα抗体を用いて検出することが可能である。TNFα活性が有害である疾患の多数の例が存在する。特異的な疾患の治療のための、本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体及び抗体部分の使用が、以下でさらに論述されている。
【0268】
A.敗血症
腫瘍壊死因子は、低血圧、心筋抑制、血管漏出症候群(vascular leakage syndrome)、臓器壊死、有毒な二次的媒介物質の放出の刺激及び凝固カスケードの活性化を含む生物効果を伴う、敗血症の病態生理学において確立された役割を有する(例えば、Moeller,A.,et al.(1990)Cytokine2:162−169;U.S.Patent No.5,231,024 to Moeller et al;European Patent Publication No.260 610 B1 by Moeller,A.;Tracey,KJ.and Cerami,A.(199)Annu.Rev.Med.45:491−503;Russell,D and Thompson,R.C.(1993)Curr.Opin.Biotech.4:114−721参照)。本発明の複数可変投薬法は、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症及び毒素性ショック症候群など、その臨床状態の何れにおける敗血症を治療するためにも使用することが可能である。
【0269】
さらに、敗血症を治療するために、本発明の方法を用いて得られた抗hTNFα抗体又は抗体部分は、インターロイキン−1阻害剤(PCT Publication Nos.WO92/16221及びWO92/17583に記載されているものなど)、サイトカインインターロイキン−6(例えば、PCT Publication No.WO93/11793参照)又は血小板活性化因子のアンタゴニスト(例えば、European Patent Application PublicationNo.EP374 510参照)など、敗血症をさらに改善させ得る1つ又はそれ以上のさらなる治療剤とともに同時投与することができる。好ましい実施形態において、抗TNFα抗体又は抗体部分は、治療の時点で、500pg/mLを超える、より好ましくは1000pg/mLを超えるIL−6の血清又は血漿濃度を有する敗血症患者の亜群内のヒト対象に投与される(PCT Publication No.WO95/20978 by Daum,L.,et al参照)。
【0270】
B.自己免疫疾患
腫瘍壊死因子は、様々な自己免疫疾患の病態生理学において役割を果たしていると推定されている。例えば、TNFαは、関節リウマチにおいて、組織炎症を活性化させ、関節破壊を引き起こすことに関与していると推定されている(例えば、Moeller,A.,et al.(1990)Cytokine2:162−169;Moellerらに対する米国特許第5,231,024号;Moeller,A.による欧州特許公開260 610 B1;Tracey and Cerami,上記;Arend,W.P and Dayer,J−M.(1995)Arth.Rheum.38:151−160;Fava,R.A.,et al(1993)Clin.Exp.Immunol.94:261−266参照)。TNFαは、膵島細胞の死を促進すること、及び糖尿病におけるインシュリン抵抗性を媒介することにも関与していると推定されている(例えば、Tracey and Cerami、上記;PCT公開WO94/08609号を参照。)。TNFαは、乏突起膠細胞への細胞毒性の媒介及び多発性硬化症における炎症性斑の誘導にも関与していると推定されている(例えば、Tracey and Cerami、上記を参照。)。TNFαは、乏突起膠細胞への細胞毒性の媒介及び多発性硬化症における炎症性斑の誘導にも関与していると推定されている(例えば、Tracey and Cerami、上記を参照。)。キメラ及びヒト化マウス抗TNFα抗体は、関節リウマチの治療について、臨床試験が行われた(例えば、Elliot,M.J.,et al(1994)Lancet 344:1125−1127;Elliot,M.J.,et al(1994)Lancet 344:1105−1110;Rankin,E.G.,et al.(1995)Br.J.Rheumatol.34:334−342参照。)。
【0271】
アダリムマブなどのTNFα抗体は、自己免疫疾患、特に、炎症を伴う自己免疫疾患を治療するために使用し得る。このような自己免疫症状の例には、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎及び通風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎及びネフローゼ症候群が含まれる。自己免疫症状の他の例には、多臓器自己免疫疾患及び自己免疫性難聴が含まれる。
【0272】
典型的には、抗体又は抗体部分は、全身的に投与されるが、ある種の疾患に関しては、炎症部位への抗体又は抗体部分の局所投与が有益であり得る(例えば、単独での、又はPCTPublicationNo.WO93/19751に記載されているようなシクロヘキサン−イリデン誘導体と組み合わせた)、関節リウマチ中の関節中への局所投与又は糖尿病性潰瘍への局所適用)。D2E7などのヒト抗体及び抗体部分を含むTNFα阻害剤も、以下でさらに記載されているように、自己免疫疾患の複数可変投薬治療において有用な1つ又はそれ以上のさらなる治療剤とともに投与することが可能である。
【0273】
本発明の一実施形態において、本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体は、狼瘡などの自己免疫疾患を治療するために使用される。狼瘡は、TNF活性と関連していることが示されている(Shvidel et al.(2002)Hematol J.3:32;Studnicka−Benke et al.(1996)Br J Rheumatol.35:1067)。本明細書において使用される、「狼瘡」という用語は、皮膚、関節及び内臓を含む多くの臓器系に影響を与え得る紅斑性狼瘡と呼ばれる慢性の炎症性自己免疫疾患を表す。狼瘡とは、全身性狼瘡、ループス腎炎及びループス脳炎など、狼瘡の多数の特異的種類を含む一般的な用語である。全身性狼瘡(SLE)では、身体の天然の防御が身体に向けられ、異常な免疫細胞が身体の組織を攻撃する。身体の血液細胞、臓器及び組織に対して反応し得る抗体が産生され得る。この反応は、影響を受けた系を攻撃する免疫細胞を誘導して、慢性的な疾患をもたらす。ループス腎炎(ループス糸球体疾患とも称される。)は、通常、SLEの合併症であり、糸球体への損傷及び腎機能の進行性の喪失によって特徴付けられる腎疾患である。ループス脳炎は、SLEの別の合併症を表し、これは、脳及び/又は中枢神経系の炎症である。
【0274】
TNFα抗体を用いて治療することができる別の自己免疫疾患は、腸疾患の節において、以下にさらに詳しく記載されているクローン病である。
【0275】
C.感染性疾患
腫瘍壊死因子は、様々な感染性疾患において観察される生物学的効果を媒介すると推定されている。例えば、TNFαは、マラリアにおける脳の炎症及び毛細血管の血栓症及び梗塞を媒介すると推定されている。TNFαは、脳の炎症を媒介し、血液脳関門の破壊を誘導し、敗血症性ショック症候群の引き金を引き、髄膜炎において静脈梗塞を活性化させることも推測されている。TNFαは、後天性免疫不全症候群(AIDS)において、悪液質を誘導し、ウイルス増殖を刺激し、中枢神経系の傷害を媒介することも推定されている。従って、TNFに対して誘導された抗体及び抗体部分は、細菌性髄膜炎(例えば、European Patent Application Publication No.EP 585 705参照)、脳マラリア、AIDS及びAIDS関連複合体(ARC)(例えば、European Patent Application Publication No.EP 230574参照)及び移植に付随するサイトメガロウイルス感染(例えば、Fietze et al.(1994)Transplantation 58:675参照)などの感染性疾患を治療するために使用することができる。本発明の抗体及び抗体部分は、感染(インフルエンザなど)による発熱及び筋肉痛及び感染症に続発する(例えば、AIDS又はARCに続発する。)悪液質を含む感染性疾患と関連する症候を改善するためにも使用することができる。
【0276】
D.移植
腫瘍壊死因子は、同種移植片拒絶及び移植片対宿主病(GVHD)の中心的媒介物質として、及び、腎移植の拒絶を阻害するために、T細胞受容体CD3複合体に対して誘導されたラット抗体OKT3が使用される場合に観察されている有害な反応を媒介することが推定されている(例えば、Eason et al.(1995)Transplantation59:300;Suthanthiran and Strom(1994)NewEngl.J.Med.331:365参照)。従って、本発明の抗体及び抗体部分は、複数可変用量治療を用いて、同種移植片及び異種移植片の拒絶などの移植拒絶を阻害し、GVHDを阻害するために使用することができる。抗体又は抗体部分は単独で使用され得るが、より好ましくは、異種移植片に対する免疫応答を阻害し、又はGVHDを阻害する1つ又はそれ以上の他の因子と組み合わせて使用される。例えば、一実施形態において、本発明の抗体又は抗体部分は、OKT3によって誘導される反応を阻害するために、OKT3と組み合わせて使用される。別の実施形態において、本発明の抗体又は抗体部分は、細胞表面分子CD25(インターロイキン−2受容体−α)、CD11a(LFA−1)、CD54(ICAM−1)、CD4、CD45、CD28/CTLA4、CD80(B7−1)及び/又はCD86(B7−2)などの免疫応答の制御に関与している他の標的に誘導された1つ又はそれ以上の抗体と組み合わせて使用される。さらに別の実施形態において、本発明の抗体又は抗体部分は、シクロスポリンA又はFK506などの1つ又はそれ以上の一般的な免疫抑制因子と組み合わせて使用される。
【0277】
E.悪性腫瘍
腫瘍壊死因子は、悪性腫瘍において、悪液質を誘導し、腫瘍増殖を刺激し、転移能を増強し、細胞毒性を媒介すると推定されている。従って、TNFに対して誘導された抗体及び抗体部分は、腫瘍増殖又は転移を阻害し、及び/又は悪性腫瘍に続発する悪液質を改善する悪性腫瘍の治療において使用することができる。抗体又は抗体部分は、全身的に投与し得、又は腫瘍部位へ局所的に投与され得る。
【0278】
F.肺疾患
腫瘍壊死因子は、白血球内皮活性化を刺激すること、肺細胞へ細胞毒性を誘導すること及び血管漏出症候群を誘導することなど、成人呼吸促迫症候群(ARDS)の病態生理への関与が推定されている。本発明の方法を用いて得られた抗体は、成人呼吸促迫症候群(例えば、PCTPublicationNo.WO91/04054参照)、ショック肺、慢性肺炎症性疾患、肺サルコイドーシス、肺繊維症及び珪肺症などの様々な肺疾患を治療するために使用され得る。抗体又は抗体部分は、全身的に投与し得、又は、例えば、エアロゾルとして、肺表面へ局所的に投与され得る。抗体又は抗体部分は、以下でさらに論述されているように、肺疾患の治療において有用な1つ又はそれ以上の追加の治療剤とともに投与することも可能である。
【0279】
TNFαが病態生理に関与していると推定されている肺疾患の他の例には、突発性間質性肺疾患及び慢性閉塞性気道疾患が含まれる(例えば、Piquet et al(1989)J Exp Med.170:655;Whyte et al.(2000)Am JRespirCritCareMed.162:755;Anticevich et al.(1995)Eur J Pharmacol.284:221参照)。さらに、本発明は、このような肺疾患に罹患している対象中のTNFα活性を治療するための方法であり、突発性間質性肺疾患又は慢性閉塞性気道疾患罹患している対象中のTNFα活性が阻害されるように、抗体又は抗体部分を対象に投与することを含む方法を提供する。TNFα活性が有害である突発性間質性肺疾患及び慢性閉塞性気道疾患罹患の例は、以下でさらに論述されている
I.突発性間質性肺疾患
一実施形態において、本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体は、突発性間質性肺疾患を有する対象を治療するために使用される。「突発性肺繊維症」又は「IPF」という用語は、炎症及び最終的に、息切れをもたらす肺深部組織の瘢痕によって特徴付けられる疾患の群を表す。IPF中の肺胞(気嚢)及びそれらの支持構造(間質)の瘢痕は、最終的に、機能的な肺胞単位の喪失及び空気から血液への酸素の輸送の低下をもたらす。IPFは、びまん性実質性肺疾患、肺胞炎、原因不明の繊維化肺胞炎(CFA)、突発性肺炎(IPP)及び通常型間質性肺炎(UIP)とも称される。UIPは、IPFの病理学的診断において見られる最も一般的な細胞パターンであるので、IPFは、しばしば、UIP(「IPF/UIP」と同義的に使用される。
【0280】
突発性間質性肺疾患は、3通りに、肺を冒す。第一に、肺組織は、何らかの公知又は非公知の様式で損傷を受ける。第二に、肺内の気嚢の壁に炎症状態となる。最後に、間質(すなわち、気嚢の間の組織)中に瘢痕(又は繊維症)が始まり、肺が硬くなる。突発性間質性肺疾患の例には、突発性肺繊維症(IPF)が含まれる。腫瘍壊死因子は、突発性肺繊維症(IPF)の病態生理への関与が推定されている(Piquet et al.(1989)J Exp Med.170:655;Whyte et al(2000)Am JRespir Crit Care Med 162:755 Corbett et al.(2002)Am JRespir Crit Care Med.165:690参照)。例えば、IPF患者はマクロファージ及びII型上皮細胞中にTNF発現の増加したレベルを有することが明らかとなっている(Piquet et al.(1993)Am J Pathol 143:651;Nash et al(1993)Histopathology 22:343;Zhang et al(1993)J Immunol 150:4188)。ある種の遺伝子多型も、増加したTNF発現と関連しており、IPF及び珪肺症において役割を果たしていることが推定されている(Whyte et al.,上記;Corbett et al,上記)。
【0281】
IPFを有する患者は、しばしば、乾性咳、胸部痛及び/又は息切れなどのある種の症候を示す。IPFの治療のために一般的に使用されている薬物は、プレドニゾン及びシトキサンであるが、患者のごく僅かが、これらの薬物の継続的な使用によって改善するに過ぎない(American Thoracic Society(2000)Am.J.Respir.Crit.CareMed.161:646)。酸素投与及び肺の移植が、治療のための他の選択肢である。一実施形態において、本発明の方法を通じて得られた抗体は、突発性肺繊維症の治療のための別の治療剤、例えば、酸素と組み合わせて使用され得る。
【0282】
突発性間質性肺疾患及び慢性閉塞性気道疾患を研究するために使用される動物モデルの例には、オボアルブミン(OVA)によって誘導されたアレルギー性喘息マウス及び喫煙によって誘導された慢性閉塞性肺疾患マウスが含まれる(Hessel et al(1995)Eur J Pharmacol.293:401;Keast et al.(1981)J.Pathol.135:249参照)。
【0283】
2.慢性閉塞性気道疾患
一実施形態において、TNFα抗体は、慢性閉塞性気流疾患を有する対象を治療するために使用される。これらの疾患において、気流閉塞は慢性及び持続性であり得、又は一過性及び再発性であり得る。気流閉塞は、通常、最大呼気中の時間に対する呼気容積の記録である強制呼気肺活量測定によって決定される。閉塞された気流を有しない対象では、完全な強制呼気は、通常、3秒と4秒の間を要する。気流が閉塞されている慢性閉塞性気流疾患を有する患者では、通常、最大15から20秒を要し、息をこらえる時間によって制約され得る。呼気の最初の秒(FEV
1)における通常の強制呼気容量は容易に測定され、年齢、性別及び身長に基づいて正確に予測される。努力肺活量に対するFEV
1の比(FEV
1/FVC)は、通常、0.75を超える。主に、下気道狭窄から上気道狭窄を区別するために、強制呼気及びその後の強制吸気の間に容量に対して気流を記録すること(フロー−容量ループ)も有用である。慢性閉塞気道疾患の例は、以下に記載されている。
【0284】
a.喘息
腫瘍壊死因子は、喘息の病態生理に関与していると推測されている(Anticevich et al.(1995)Eur J Pharmacol.284:221;Thomas et al 1995.Am J Respir Crit Care Med.152:76;Thomas and Heywood(2002)Thorax.57:774)。例えば、急性の喘息発作は、肺好中球増加症及び上昇したBALTNFレベルを伴うことが見出されている(Ordonez et al.(2000)Am JRespir Crit Care Med 161:1185)。喘息症候の重度は、ハウスダスト中の内毒素のレベルと相関していることが見出されている。ラットにおいて、抗TNF抗体は内毒素によって誘導された気道の変化を低下させた(Kips et al(1992)Am Rev RespirDis 145:332)。
【0285】
本明細書において使用される「喘息」という用語は、気道の炎症が肺に流入及び流出する気流を制限する疾患を表す。喘息は、気管支喘息、運動によって誘導される喘息、気管支及び気道過敏症(RAD)とも称される。幾つかの事例において、喘息は、アレルギーを伴い、及び/又は家族性である。喘息は、短期間にわたる気管支気道の直径又は内径の広範囲の変動によって特徴付けられ、肺機能の変化をもたらす症状を含む。生じた、気流に対する増加した抵抗は、罹患した対象中に、息切れ(呼吸困難)、胸部狭窄又は「圧迫感」及び喘鳴などの症候をもたらす。
【0286】
喘息を有する患者は、NIHのガイドラインに従って特徴付けられ、軽度断続的、軽度持続的、中度持続的及び重度持続的と記載される(NAEPP Expert Panel Report Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma−Update on Selected Topics 2002.JACI 2002;110:S141−S209;Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma.NEH Publication 97−4051,July 1997参照)。中度の持続的喘息を有すると診断された患者は、しばしば、吸入コルチコステロイドで治療される。重度の持続的喘息を有すると診断された患者は、しばしば、高用量の吸入コルチコステロイド及び経口コルチコステロイドで治療される。
【0287】
b.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
腫瘍壊死因子は、慢性閉塞性肺疾患の病態生理に関与していると推定されている(Keatings(2000)Chest.118:971;Sakao et al.(2001 )Am JRespir Crit Care Med.163:420;Sakao et al.(2002)Chest.122:416)。本明細書において互換的に使用される「慢性閉塞性肺疾患」又は「COPD」という用語は、気嚢の拡大及び肺組織の破壊の変動する程度を伴う限定された気流によって特徴付けられる肺疾患の群を表す。COPDという用語には、慢性気管支炎(杯細胞小唾液腺過形成を伴う粘膜過剰分泌)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫(気道実質の破壊)又はこれらの症状の組み合わせが含まれる。肺気腫及び慢性気管支炎は、慢性閉塞性肺疾患の最も一般的な形態である。COPDは、不可逆的な気流閉塞によって定義される。
【0288】
COPDでは、慢性的な炎症が小さな気道の固定的狭窄並びに肺実質及び肺胞壁の破壊(肺気腫)をもたらす。これは、肺胞マクロファージ、好中球及び細胞傷害性リンパ球の増加した数及び複数の炎症媒介物質(脂質、ケモカイン、サイトカイン、増殖因子)の放出によって特徴付けられる。この炎症は、小さな気道の狭窄及び肺実質の破壊を伴う繊維症を引き起こす。この炎症を増殖し得る酸化的ストレスの高いレベルも存在する。
【0289】
G.腸疾患
腫瘍壊死因子は、クローン病を含む炎症性腸疾患の病態生理に関与すると推定されている(例えば、Tracy et al.(1986)Science 234:470;Sun et al.(1988)J.Clin.Invest.81:1328;MacDonald et al(1990)Clin.Exp.Immunol.81:301参照)。キメラマウス抗hTNFα抗体は、クローン病の治療のための臨床試験を受けた(van Dullemen et al.(1995)Gastroenterology109:129)。本発明には、ヒト抗体又はその抗原結合断片を用いて、突発性炎症性腸疾患などの腸疾患を治療するために、本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体を投与することを含む治療が含まれる。突発性炎症性腸疾患には、クローン病及び潰瘍性大腸炎という2つの症候群が含まれる。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた抗体は、しばしばIBD及びクローン病を伴う疾患を治療するためにも使用される。本明細書において互換的に使用される「炎症性腸疾患(IBD)関連疾患」又は「クローン病関連疾患」という用語は、一般にIBD及びクローン病を伴う症状及び合併症を記載するために使用される。
【0290】
本発明には、クローン病を治療するためにTNFα抗体を投与することを含む複数可変投薬計画が含まれる。クローン病の治療は、疾病の位置、程度及び重度に基づく。薬理学的な介入には、抗炎症剤(アミノサリチラート及びコルチコステロイド)及び免疫調節剤(アザチオプリン及び6−メルカプトプリン[6−MP]、シクロスポリン、メトトレキサート[MTX]、抗生物質剤及び生物学的因子)が含まれる。C反応性タンパク質(CRP)及び赤血球沈降速度(ESR)レベルは、非特異的な急性期反応を反映する。内視鏡検査は、クローン病を診断する主要な手段である。バリウム検査によって示されるクローン病の放射線学的な特徴には、粘膜浮腫、アフタ性及び直線状の潰瘍、非対照的な狭小化及び狭窄並びに腸間膜の肥厚によって引き起こされた腸の隣接するループの分離が含まれる。異常は局所的であり、非対照的である。主要な組織学的病変は、アフタ性の潰瘍である。クローン病を有する患者は、より高いスコアがより重い疾病活性を表す疾病の重度の標準的指標であるクローン病活性指数(CDAI)を用いて評価することができる。
【0291】
本発明の方法を用いて治療することができるクローン病関連疾患の例には、膀胱、膣及び皮膚中の痩孔、腸閉塞、膿瘍、栄養欠乏、コルチコステロイドの使用に由来する合併症、関節の炎症、結節性紅斑(erythem nodosum)、壊疽性膿皮症並びに目の病変が含まれる。クローン病に一般的に伴われる他の疾患には、クローン病関連関節痛、痩形成性クローン、確定的でない大腸炎及び回腸嚢炎が含まれる。
【0292】
H.心臓病
本発明の方法を用いて得られた抗体又はその抗原結合断片は、心臓の虚血を含む様々な心疾患又は冠疾患(例えば、European Patent Application Publication No.EP453898参照)及び心不全(心筋の弱化)(例えば、PCT Publication No.WO 94/20139参照)を治療するためにも使用することができる。TNFαは、再狭窄の病態生理にも関与していると推定されている(例えば、Clausell et al.(1994),上記;Medall et al(1997)Heart 78:273)。
【0293】
本明細書において使用される「TNFα活性が有害である心疾患」という用語は、本疾患に罹患している対象中でのTNFαの存在が、心血管疾患(例えば、再狭窄)などの疾患の病態生理の原因であるか、又は疾患の悪化に寄与している因子であることが示されており、又は疑われている冠疾患及び心血管疾患を含むものとする。本明細書において互換的に使用される「心血管疾患」又は「冠疾患」という用語は、心血管系、例えば、心臓、血管及び/又は血液が関与するあらゆる疾病、疾患又は状態を表す。冠疾患は、一般に、心臓に血液と酸素を供給する血管(冠動脈)の狭窄によって特徴付けられる。冠疾患は、脂肪性物質とプラークの蓄積から生じ得る。冠動脈が狭くなるにつれて、心臓への血流が遅くなり、又は停止し得る。本発明の冠疾患は、構造的、組織学的、生化学的又は他の何れの異常であるか否かを問わず、動脈のあらゆる異常に適用され得る。冠動脈心疾患の例は、再狭窄である。一実施形態において、冠疾患は、心臓の虚血及び心不全を除く、心血管系を伴うあらゆる疾病、疾患又は状態を表す。
【0294】
TNFα活性が有害である冠動脈疾患は、しばしば、動脈中の封鎖から生じる。このような封鎖は、通常、アテローム製動脈硬化症に関連する変化から以前に狭窄化された冠動脈中に通常形成する血餅によって引き起こされ得る。例えば、動脈壁内部の動脈硬化性プラークに亀裂が生じると、血栓又は血餅の形成の引き金を引き得る。このような疾患は、例えば、本疾患に罹患している対象の生体液中のTNFα濃度の増加(例えば、対象の血清、血漿、滑液中などのTNFα濃度の増加)によって明らかとされ得、生体液中のTNFα濃度の増加は、例えば、上記抗TNFα抗体を用いて検出することが可能である。冠疾患は、動脈の圧力の不均衡、心臓の機能不全、又は、例えば血栓による血管の閉塞によっても引き起こされ得る。冠疾患には、冠動脈疾患及び末梢血管疾患の両方が含まれる。
【0295】
再狭窄など、TNFα活性が有害である心疾患の多数の例が存在する。特異的な冠疾患の治療のための抗体、抗体部分の使用は、以下でさらに論述されている。ある種の実施形態において、抗体、抗体部分は、以下に記載されているように、別の治療剤と組み合わせて対象に投与される。
【0296】
本発明の方法を用いて得られた抗体は、心疾患を有する対象中のTNFα活性を阻害するためにも使用され得る。本発明は、冠疾患を有する対象中のTNFα活性を阻害又は減少させるための方法であり、対象中のTNFα活性が阻害又は減少されるように、本発明の抗体、抗体部分又はその他のTNFα阻害剤を対象に投与することを含む方法を提供する。好ましくは、TNFαはヒトTNFαであり、対象はヒト対象である。あるいは、対象は、本発明の抗体が交叉反応するTNFαを発現する哺乳動物であり得る。さらに、対象は、(例えば、hTNFαの投与によって、又はhTNFα導入遺伝子の発現によって)hTNFαがその中に導入された哺乳動物であり得る。本発明の抗体は、治療目的のために、ヒト対象に投与され得る。
【0297】
さらに、本発明の抗体は、獣医学的目的のために、又はヒト疾患の動物モデルとして、抗体が交叉反応するTNFαを発現している非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類、ブタ又はマウス)に投与することができる。後者に関して、このような動物モデルは、複数可変投薬治療の効力を評価する(例えば、投薬量及び投与の時間を検査する。)ために有用であり得る。再狭窄を含む冠疾患を研究するための一般的に使用される動物モデルには、ラット又はマウスの頚動脈結紮モデル及び頚動脈傷害モデルが含まれる(Ferns et al.(1991)Science 253:1129;Clowes et al.(1983)Lab.Invest.49:208;Lindner et al.(1993)Circ Res.73:792)。頚動脈結紮モデルでは、遠位の分岐付近での血管の結紮によって、動脈の血流が破壊される。Clowesらに記載されているように、頚動脈傷害モデルは、外頚動脈を通じて導入されたバルーンカテーテルの腔内通過によって、総頚動脈内皮が剥皮されるように実施される。2週の時点で、平滑筋細胞収縮によって、頚動脈は顕著に狭窄されるが、2週と12週の間に、内膜の厚さが倍増し、管腔サイズを減少させる。これらのモデルの何れもが、ヒト中の再狭窄の予防及び治療における本発明のTNFα抗体の潜在的な治療的作用を決定するために使用することができる。
【0298】
本発明は、TNFα活性の阻害が冠疾患の症候及び/又は進行を緩和し、又は冠疾患を予防することが予想される、TNFα活性が有害である心血管疾患の治療を含む。冠疾患に罹患し、又は冠疾患を発症するリスクのある対象は、臨床的な症候を通じて同定することが可能である。冠疾患の臨床的症候には、しばしば、胸部痛、息切れ、脱力感、失神の発作、意識の変化、四肢の疼痛、発作性夜間呼吸困難、一過性虚血発作及び患者によって経験される他のこのような現象が含まれる。冠疾患の臨床的徴候には、EKGの異常、変化した末梢脈拍、動脈雑音、異常な心音、心拍数及び喘鳴、頸静脈拡張、神経学的な変化及び臨床医によって識別されるその他のこのような知見も含まれ得る。冠疾患は、例えば、本疾患に罹患している患者の生体液中のTNFα濃度の増加(例えば、対象の血清、血漿、滑液中などのTNFαの濃度の増加)によっても明らかとされ得る。
【0299】
心血管疾患の例には、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、心停止によって引き起こされる心血管組織の損傷、心臓バイパスによって引き起こされる心血管組織の損傷、心臓性ショック及び高血圧、アテローム性動脈硬化症、冠動脈攣縮、冠動脈疾患、弁膜疾患、不整脈及び心筋症が含まれるが、これらに限定されない。特異的な心血管疾患の治療のための抗体、抗体部分の使用は、以下でさらに論述されている。ある種の実施形態において、抗体、抗体部分は、以下に記載されているように、別の治療剤と組み合わせて対象に投与される。
【0300】
1.再狭窄
本明細書において使用される「再狭窄」という用語は、動脈の狭小化又は収縮である狭窄の再発を表す。再狭窄は、しばしば、患部血管中での再構築操作の後に生じる前閉塞性病変として発生する。本用語は、既存の狭窄の再発に対して適用されるのみならず、血管バイパス術後に部分的に閉塞された状態となった、以前には正常であった血管に対しても適用される。別の実施形態において、本発明は、再狭窄を有する、又は再狭窄を発症するリスクがある対象に、本発明を用いて得られた抗体又はその抗原結合部分を投与することを含む、再狭窄を治療する方法を提供する。
【0301】
TNFαは、再狭窄の病態生理に関与していることが推定されている(Zhou et al.(2002)Atherosclerosis.161:153;Javed et al.(2002)Exp and Mol Pathol 73:104参照)。例えば、マウスのワイヤー頚動脈モデルにおいて、TNF−/−マウスは、野生型マウスに比べて、当初の過形成の7倍の低下を示した(Zimmerman et al.(2002)Am J Phsiol Regul Integr Comp Physiol 283:R505)。再狭窄は、冠動脈の脈管構造中であるか、又は末梢中であるかを問わず、血管再構築のあらゆる種類の結果として生じ得る(Colburn and Moore(1998)Myointimal Hyperplasia pp.690−709 in Vascular Surgery:A Comprehensive Review Philadelphia:Saunders)。例えば、研究は、冠動脈血管形成術後に、30から50%の症候性再狭窄率を報告している(Berk and Harris(1995)Adv.Intern.Med.40:455参照)。さらなる例として、頚動脈の動脈内膜切除術後に、研究された患者の20%が、50%を上回る管腔の狭小化を有していた(Clagett et al.(1986)J.Vase.Surg.3:10)。再狭窄は、関与する血管の性質、残存する疾病の程度及び局所的な血行動態を含む因子の組み合わせに起因する、異なる解剖学的位置に前梗塞的な病変を伴う症候学の様々な程度で明らかにされる。
【0302】
本明細書において使用される「狭窄」とは、閉塞性疾患において、又は再狭窄において見られるような動脈の狭小化を表す。狭窄には、狭小化された動脈のセグメントを通過する血流の減少を反映する症候を伴い得、この場合には、狭窄をもたらしている疾患は疾病(すなわち、閉塞性の疾病又は再狭窄疾病)と称される。狭窄は、血管内に非症候的に存在することが可能であり、血管造影法又は血管の研究室での研究などの診断的介入によってのみ検出される。
【0303】
本発明の方法を用いて得られた抗体は、再狭窄に罹患している対象又は再狭窄を発症するリスクがある対象を治療するために使用され得る。再狭窄を発症するリスクがある対象には、PTCAを実施した対象が含まれる。対象は、再狭窄を予防するために挿入されたステントも有した場合があり得る。TNFα抗体は、心血管疾患に罹患している対象中の狭窄の再発を予防するために、単独で、又はステントと組み合わせて使用することが可能である。
【0304】
2.うっ血性心不全
TNFαは、うっ血性心不全の病態生理に関与していると推定されている(Zhou et al.(2002)Atherosclerosis 161:153参照)。TNFαの血清レベルは、疾病の重度に正比例する様式で、うっ血性心不全を有する患者中において上昇している(Levine et al.(1990)N EnglJMed323:236;Torre− Amione et al.(1996)JAm Coll Cardiol 27:1201)。さらに、TNFαの阻害剤は、うっ血性心不全の症候を改善することも示されている(Chung et al.(2003)Circulation107:3133)。
【0305】
本明細書において使用される「うっ血性心不全」という用語には、心臓が身体の酸素消費量を供給する能力の減弱によって特徴付けられる症状が含まれる。うっ血性心不全の症候及び徴候には、身体の様々な組織への減弱した血流、様々な臓器中への過剰な血液の蓄積(例えば、心臓に戻ってきた血液を、心臓が大静脈によって拍出することができない場合)、労作性呼吸困難、疲労及び/又は末梢性浮腫(例えば、左心室の機能不全によって生じる末梢性浮腫)が含まれる。うっ血性心不全は、急性又は慢性であり得る。うっ血性心不全の徴候は、通常、心機能の一時的又は恒常的な喪失を共有する様々な心疾患又は全身疾患に続発して生じる。このような疾患の例には、高血圧、冠動脈疾患、弁膜症及び心筋症(例えば、肥大型、拡張型(dilative)又は拘束型心筋症が含まれる。
【0306】
「うっ血性心不全を有する又はうっ血性心不全に罹患している対象」とは、心臓が代謝性組織の要求に応じるように血液を送り出すことができず、又は代謝性組織の要求に応じるように血液を上昇した充満圧から送り出すことができるに過ぎない心臓拍動障害の一般的基準によって結び付けられる多様な病因の臨床的症候群を伴う疾患を有する対象である。「うっ血性心不全を発症するリスクがある対象」とは、対象の心血管系に影響を与えるある種の因子のために、うっ血性心不全を発症する傾向を有する対象である。これらの対象中でのうっ血性心不全の発症のリスクを低減し、又はこれらの対象中でのうっ血性心不全の発症を予防することが望ましい。「うっ血性心不全を有する」という用語には、たとえ、未だうっ血性心不全に罹患していない場合があっても、リスク因子を呈しているために、一般的な集団に比べて、本症状を罹患するリスクを有する患者も含まれる。例えば、治療されていない高血圧を有する患者は、うっ血性心不全に罹患していない場合があり得るが、患者の高血圧症状の故に、うっ血性心不全のリスクを有する。本発明の一実施形態において、うっ血性心不全を発症するリスクを有する対象を治療するために、抗体アダリムマブが使用される。
【0307】
3.急性冠症候群
TNFαは、急性冠症候群の病態生理に関与していると推定されている(Libby(1995)Circulation 91:2844参照)。急性冠症候群には、心臓に到達する酸素が不十分となる血流制限のために、対象が疼痛を経験する疾患が含まれる。TNFαが急性冠症候群において役割を果たしていることが、研究によって見出されている。例えば、下流血行動態効果の不存在下で心筋梗塞を誘導することができる新しいラット異所性心臓移植−冠動脈結紮モデルにおいて、キメラ可溶性TNF受容体(sTNFR)の投与は、一過性のLV再構築及び機能不全を消失させた(Nakamura,et al.(2003)J.Cardiol.41:41)。sTNFR発現プラスミドの心筋への直接注射は、急性心筋梗塞(AMI)実験用ラットにおいて、梗塞のサイズの低下をもたらすことも見出された(Sugano et al.(2002)FASEB J 16:1421)。
【0308】
一実施形態において、TNFα抗体は、対象中の急性冠症候群の治療又は予防のために使用され、本実施形態において、急性冠症候群は心筋梗塞又は狭心症である。
【0309】
本明細書中で使用される場合、「心筋梗塞」又は「MI」という用語は、心臓発作を表す。心筋梗塞は、当該部位への酸素の不十分な供給に起因する、心臓の領域の壊死又は恒常的な損傷を伴う。この壊死は、典型的には、アテローム性動脈硬化症又は塞栓症の何れかから得られた冠動脈の閉塞によって引き起こされる。本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体によって治療されるMIには、Q波及び非Q波心筋梗塞の両方が含まれる。多くの心臓発作は、冠動脈(心筋に血液及び酸素を運ぶ血管)の1つを封鎖する血餅によって引き起こされる。例えば、冠動脈中の血餅は、心筋への血液及び酸素の流れを妨げ、当該領域中の心臓細胞の死滅をもたらす。損傷を受けた心筋は、その収縮能を永久に失い、残存している心筋が収縮能を補う必要がある。MIは、個体中の激しいストレスによっても引き起こされ得る。
【0310】
「狭心症」という用語は、痙攣性、窒息性又は呼吸困難性の疼痛を表し、特に、最も多くは、心筋の酸欠を原因とする発作性の胸郭痛である狭心症(angina pectoris)を表す。狭心症には、異型狭心症と労作型狭心症の両方が含まれる。狭心症を有する対象は、しばしば、左肩の方へ、及び左腕に沿って広がる、突然の、重度の圧迫性胸骨下疼痛を症状とする虚血性心疾患を有する。心筋梗塞及び安定な狭心症の両方で、患者中のTNFαレベルが上方制御されているので、TNFαは狭心症に関与していると推定されている(Balbay et al.(2001)Angiology 52109)。
【0311】
4.アテローム性動脈硬化症
本明細書において使用される「アテローム性動脈硬化症」とは、脂肪性物質が動脈の壁に沿って蓄積される症状を表す。この脂肪性物質は、動脈を肥厚し、硬化し、最終的には、動脈を封鎖し得る。アテローム性動脈硬化症は、動脈硬化、動脈の硬化及び動脈プラークの蓄積とも称される。TNFαに対して誘導されたポリクローナル抗体は、ウサギのアテローム性動脈硬化症モデル中の炎症及び再狭窄をもたらすTNFα活性を中和するのに有効であることが示されている(Zhou et al.,上記)。従って、TNFα抗体は、アテローム性動脈硬化症に罹患した対象又はアテローム性動脈硬化症を有するリスクがある対象を治療又は予防するために使用され得る。
【0312】
5.心筋症
本明細書において使用される「心筋症」という用語は、心臓の筋肉又は心筋が衰弱し、通常、不十分な心臓拍動をもたらす、心筋の疾病を定義するために使用される。心筋症は、ウイルス感染、心臓発作、アルコール依存症、長期の重度高血圧(高い血圧)によって、又は自己免疫原因によって引き起こされ得る。
【0313】
心不全患者の約75から80%において、冠動脈疾患が心筋症の基礎原因であり、「虚血性心筋症」と称される。虚血性心筋症は心臓発作によって引き起こされ、心臓発作は心臓の筋肉又は心筋中に瘢痕を残す。次いで、患部の心筋は、心臓拍動機能に貢献することができなくなる。瘢痕がより大きいほど、又は心臓発作がより多くなるほど、虚血性心筋症を発症する可能性がより高くなる。
【0314】
基礎を成している冠動脈疾患を原因としない心筋症は、「非虚血性心筋症」と称される。非虚血性心筋症には、突発性心筋症、肥大型心筋症、アルコール性心筋症、拡張型心筋症、周産期心筋症及び拘束型心筋症が含まれるが、これらに限定されない。
【0315】
I.脊椎関節症
TNFαは、脊椎関節症などの炎症性疾患を含む様々な疾患の病態生理に関与していると推測されている(例えば、Moeller,A.,et al.(1990)Cytokine 2:162;U.S.PatentNo.5,231,024;European Patent Publication No.260610を参照)。本発明は、脊椎関節症に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するための複数可変投薬法であり、脊椎関節症に罹患している対象中のTNFα活性が阻害されるように、抗体、抗体部分を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0316】
本明細書において使用される「脊椎関節症」という用語は、脊椎の関節を冒す幾つかの疾病の何れの1つをも表すために使用され、このような疾病は、共通の臨床的、放射線学的及び組織学的特徴を共有する。多数の脊椎関節症が遺伝的特徴を共有している。すなわち、それらは、HLA−B27対立遺伝子と関連している。一実施形態において、脊椎関節症という用語は、強直性脊椎炎を除く、脊椎の関節を冒す幾つかの疾病の何れもの1つを表すために使用され、このような疾病は、共通の臨床的、放射線学的及び組織学的特徴を共有する。脊椎関節炎の例には、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎/脊椎炎、腸疾患性関節炎、反応性関節炎又はライター症候群及び未分化型脊椎関節炎が含まれる。脊椎関節症を研究するために使用される動物モデルの例には、ank/ankトランスジェニックマウス、HLA−B27トランスジェニックラットが含まれる(Taurog et al.(1998)The Spondylarthritides Oxford:Oxford University Pressを参照)。
【0317】
本発明の複数可変投薬法は、複数可変投薬法を用いて、脊椎関節炎を発症するリスクを有する対象を治療するためにも使用することができる。脊椎関節炎を有するリスクがある対象の例には、関節炎に罹患しているヒトが含まれる。脊椎関節症は、関節リウマチなどの関節炎の他の形態を伴い得る。本発明の一実施形態において、抗体は、関節リウマチを伴う脊椎関節炎に罹患している対象を治療するために、複数可変投薬法において使用される。TNFα抗体で治療可能な脊椎関節炎の例は、以下に記載されている。
【0318】
1.強直性脊椎炎(AS)
腫瘍壊死因子は、強直性脊椎炎の病態生理に関与すると推定されている(Verjans et al.(1991)Arthritis Rheum.34:486;Verjans et al.(1994)Clin Exp Immunol.97:45;Kaijtzel et al(1999)Hum Immunol.60:140参照)。強直性脊椎炎(AS)は、1つ又はそれ以上の脊椎の炎症を伴う炎症性疾患である。ASは、軸骨格及び/又は末梢関節(脊椎の脊骨と仙腸関節の間の関節及び脊椎と骨盤の間の関節など)を冒す慢性の炎症性疾患である。ASは、最終的には、冒された脊骨を一緒に融合又は増殖させる。ASなどの脊椎関節炎は、乾癬性関節炎(PsA)及び/又は潰瘍性大腸炎及びクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)を伴い得る。
【0319】
ASの初期の徴候は、CTスキャン及びMRIスキャンを含む放射線学的検査によって測定することが可能である。ASの初期の症候には、しばしば、軟骨下骨(subchrondral bone)の皮質端のぼやけ、これに続く、浸食及び硬化によって明らかとなる、仙腸関節炎(scroillitis)及び仙腸関節の変化が含まれる。疲労も、ASの一般的症候として認められる(Duffy et al.(2002)ACR 66th Annual Scientific Meeting Abstract)。従って、ASを治療するために、本発明の抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む複数可変投薬法を使用することができる。
【0320】
一実施形態において、本発明の複数可変投薬法は、ASなど、IBDを伴う脊椎関節症を治療するために使用される。ASは、しばしば、アスピリン又はインドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を用いて治療される。従って、本発明の複数可変投薬法において使用されたTNFα抗体は、強直性脊椎炎に一般的に伴われる炎症及び疼痛を低減するために一般的に使用される薬剤と組み合わせても投与され得る。
【0321】
2.乾癬性関節炎
腫瘍壊死因子は、乾癬性関節炎(PsA)の病態生理に関与すると推定されている(Partsch et al.(1998)Ann Rheum Dis.57:691;Ritchlin et al.(1998)J Rheumatol.25:1544)。本明細書において、乾癬性関節炎又は皮膚と関連する乾癬とは、身体上に赤い斑点を生じる一般的な慢性皮膚症状である乾癬を伴う慢性炎症性関節炎を表す。乾癬を有する個体20人のうち約1人が皮膚症状とともに関節炎を発症し、症例の約75%において、乾癬が関節炎に先行する。PsAは、軽度から重度の関節炎に至るまで、それ自体、様々な態様で現れ、関節炎は、通常、指及び脊椎を冒す。脊椎が冒される場合、症候は、上記されている、強直性脊椎炎の症候と類似している。本発明を用いて得られたTNFα抗体又はその抗原結合断片は、PsAの治療のために使用することが可能である。
【0322】
PsAは、時々、破壊性関節炎を伴う。破壊性関節炎は、関節を破壊する全般的なびらん性の変形をもたらす過度な骨浸食によって特徴付けられる疾患を表す。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた抗体は、破壊性関節炎を治療するために使用される。
【0323】
3.反応性関節炎/ライター症候群
腫瘍壊死因子は、ライター症候群とも称される反応性関節炎の病態生理に関与していると推定されている(Braun et al.(1999)Arthritis Rheum.42(10):2039)。反応性関節炎(ReA)とは、しばしば、腸内感染又は泌尿生殖器感染後に、体内の他の場所に感染を合併する関節炎を表す。ReAは、しばしば、関節の炎症(関節炎)、尿道炎、結膜炎並びに皮膚及び粘膜の病変を含むある種の臨床症候によって特徴付けられる。さらに、ReAは、クラミジア、カンピロバクター、サルモネラ又はエルシニアなど、性病への感染又は赤痢感染後に発生し得る。従って、本発明の方法を用いて得られた抗体は、ReAを治療するために使用され得る。
【0324】
4.未分化型脊椎関節症
一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた抗体は、未分化型脊椎関節症に罹患している対象を治療するために使用される(Zeidler et al.(1992)Rheum Dis Clin North Am.18:187)。未分化型脊椎関節症を記載するために使用されるその他の用語には、血清反応陰性型少関節炎及び未分化型少関節炎が含まれる。本明細書において使用される未分化型脊椎関節症とは、対象が脊椎関節症に伴う将校の一部のみを示す疾患を表す。この症状は、通常、IBD、乾癬又はAs若しくはロイター症候群の古典的な症候を有しない若年成人に観察される。幾つかの事例において、未分化型脊椎関節症は、ASの初期の指標であり得る。一実施形態において、本発明は、未分化型脊椎関節症を治療するために、特許請求の範囲に記載されている方法を用いて得られたTNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。
【0325】
J.代謝性疾患
TNFαは、糖尿病及び肥満などの代謝性疾患を含む様々な疾患の病態生理に関与していると推定されている(Spiegelman and Hotamisligil(1993)Cell 73:625;Chu et al(2000;Int J Obes Relat Metab Disord.24:1085;Ishii et al(2000)Metabolism.49:1616)。本明細書において使用される「代謝性疾患」という用語は、生理的機能を実施するために必要とされる物質を身体が処理する態様に影響を与える疾病又は疾患を表す。代謝性疾患の例には、糖尿病及び肥満が含まれるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、「代謝性疾患」という用語は、生理的機能を実施するために必要とされる物質を身体が処理する態様に影響を与える疾患(自己免疫性糖尿病を除く。)を表すために使用される。
【0326】
本発明は、このような代謝性疾患に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するための方法であり、代謝性疾患に罹患している対象中のTNFα活性が阻害されるように、抗体、抗体部分を対象に投与することを含む方法を提供する。TNFα抗体は、代謝性疾患を発症するリスクがある対象を治療するためにも使用することができる。
【0327】
代謝性疾患は、しばしば、関節リウマチなどの関節炎の形態を伴い得る。一実施形態において、抗体などのTNFα阻害剤は、関節リウマチを伴う代謝性疾患に罹患している対象中で、複数可変投薬計画において使用される。別の実施形態において、本発明は、糖尿病又は肥満を伴う疾患を治療するために、TNFα抗体を投与することを含む。
【0328】
代謝性疾患の治療に関するTNFα抗体の効力を評価するための動物モデルの例には、NODトランスジェニックマウス、Akitaマウス、NSYトランスジェニックマウス及びob/obマウスが含まれる(Baeder et al.(1992)Clin Exp Immunol.89:174;Haseyama et al.(2002)Tohoku J Exp Med.198:233;Makino et al.(1980):Exp.Anim.29:1;Kolb(1987)Diabetes/Metabolism Reviews 3:751;Hamada et al.(2001)Metabolism.50:1282;Coleman,(1978)Diabetologia,14:141;Bailey et al.(1982)Int.J.Obesity 6:11参照)。血管炎を研究するために使用される動物モデルの例には、マウスHSVモデル(ベーチェット病)、マウスL.カゼイモデル(川崎病)及びマウスANCAモデル(川崎病)が含まれる。血管炎の他のモデルには、マウスのMcH5−lpr/lpr系統(Nose et al(1996)Am.J.Path.149:1763)及びSCG/Kj系統(Kinjoh et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 90:3413)が含まれる。これらのマウス系統は、半月体形成性糸球体腎炎並びに脾臓、胃、心臓、子宮及び卵巣の小動脈及び細動脈の壊死性血管炎を自発的に発症する。これらの動物は、高ガンマグロブリン血症及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)と反応するANCA自己抗体を生じる。さらに、ヒトMPOによるラットの免疫化は、ANCA関連の壊死性半月体形成性糸球体腎炎をもたらす(Brouwer et al.(1993)J.Exp.Med.177:905)。
【0329】
代謝性疾患は、生理的機能を実施するために必要とされる物質を身体が処理する態様に影響を与える。本発明の多数の代謝疾患は、ある種の特徴を共有する。すなわち、それらは、インシュリン抵抗性、血糖を制御する能力の欠如、体重増加及び肥満度指数の増加を伴う。代謝性疾患の例には、糖尿病及び肥満が含まれる。糖尿病の例には、1型糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性神経障害、末梢性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性潰瘍、網膜症潰瘍、糖尿病性脈管障害及び肥満が含まれる。TNFα抗体の投与を含む複数可変投薬法を用いて治療することができる代謝性疾患の例は、以下でより詳しく記載されている。
【0330】
1.糖尿病
腫瘍壊死因子は、糖尿病の病態生理への関与が推定されている(例えば、Navarro et al.(2003)Am J Kidney Dis.42:53;Daimon et al.(2003)DiabetesCare.26:2015;Zhang et al.(1999)JTongji Med Univ.19:203;Barbieri et al.(2003)Am JHypertens.16:537参照)。例えば、TNFαは、インシュリン抵抗性に関する生態病理への関与が推測されている。胃腸の癌を有する患者中の血清TNFレベルはインシュリン抵抗性と相関することが見出されている(例えば、McCaIl et al.(1992)Br.J.Surg.79:1361参照)。
【0331】
本明細書において互換的に使用される「糖尿病」又は「糖尿病性疾患」又は「真性糖尿病」という用語は、血液中の糖(グルコース)の上昇したレベルを特徴とする疾病を表す。糖尿病は、少なすぎるインシュリン(血糖を制御するために、膵臓によって産生される化学物質)、インシュリンへの抵抗性又は両者によって引き起こされ得る。糖尿病には、本疾患の2つの最も一般的な種類(すなわち、1型糖尿病と2型糖尿病)が含まれ、何れも、身体がインシュリンを制御できないことに起因する。インシュリンは、血中の血糖(グルコース)の増加したレベルに応答して、すい臓によって放出されるホルモンである。
【0332】
本明細書において使用される「1型糖尿病」という用語は、血糖レベルを適切に制御するには、すい臓のインシュリン産生が少なすぎる場合に発生する慢性疾患を表す。1型糖尿病は、インシュリン依存性真性糖尿病、IDMM、若年発症糖尿病及び糖尿病1型とも称される。1型糖尿病は、その後にインシュリン欠損を伴う、すい臓のβ細胞の進行性自己免疫性破壊の結果である。
【0333】
「2型糖尿病」という用語は、多くの場合、身体がインシュリンに良好に反応しなくなるために、すい臓が血液のグルコースレベルを正常に保つのに十分なインシュリンを産生しなくなる場合に起こる慢性疾患を表す。2型糖尿病は、非インシュリン依存性真性糖尿病NDDM及び糖尿病2型とも称される。
【0334】
糖尿病は、糖負荷試験を施すことによって診断することができる。臨床的には、糖尿病は、しばしば、幾つかの基礎的カテゴリーに分類される。これらのカテゴリーの主な例には、自己免疫性真性糖尿病、非インシュリン依存性真性糖尿病(1型NDDM)、インシュリン依存性真性糖尿病(2型IDDM)、非自己免疫真性糖尿病、非インシュリン依存性真性糖尿病(2型NIDDM)及び若年成人発症型糖尿病(MODY)が含まれる。しばしば二次的と称されるさらなるカテゴリーは、糖尿病の症候群を発症させる又は発症を可能とする幾つかの識別可能な症状によってもたらされる糖尿病を表す。二次的カテゴリーの例には、すい臓病によって引き起こされる糖尿病、ホルモン異常、薬物又は化学物質によって誘導される糖尿病、インシュリン受容体異常によって引き起こされる糖尿病、遺伝的症候群を伴う糖尿病及び他の原因の糖尿病が含まれる(例えば、Harrison’s(1996)14
th ed.,New York,McGraw−Hill参照)。
【0335】
糖尿病は、しばしば、食事制限、インシュリン投薬及び本明細書に記載されている様々な薬物療法を用いて治療される。従って、TNFα抗体は、一般に糖尿病と関連する代謝性疾患及び疼痛を治療するために一般的に使用される薬剤と組み合わせて投与することもできる。
【0336】
さらに、本明細書において使用される「糖尿病と関連する疾患」という用語は、糖尿病に一般的に付随し又は糖尿病と関連する症状及びその他の疾病を表す。糖尿病に付随する疾患の例には、例えば、高血糖、高インシュリン血症、高脂血症、インシュリン抵抗性、グルコース代謝障害、肥満、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、勃起不全、月経前緊張症、血管再狭窄、潰瘍性大腸炎、冠動脈心疾患、高血圧、狭心症、心筋梗塞、発作、皮膚及び結合組織の疾患、足部潰瘍、代謝性アシドーシス、関節炎及び骨粗しょう症が含まれる。
【0337】
糖尿病は、前述のカテゴリー中に現れ、以下の節で論述されている幾つかの合併症を引き起こし得る。従って、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、糖尿病を治療するために使用することができる。一実施形態において、TNFα抗体又はその抗原結合断片は、上記カテゴリーと関連する糖尿病を治療するために使用される。別の実施形態において、本発明は、糖尿病を伴う疾患を治療するために、TNFα抗体を投与することを含む。糖尿病は、以下のカテゴリーを含む、糖尿病と関連する多くの合併症及び症状として現れる。
【0338】
a.糖尿病性神経障害及び末梢性神経障害
腫瘍壊死因子は、糖尿病性神経障害及び末梢性神経障害の病態生理に関与していると推定されている(Benjafield et al.(2001)Diabetes Care.24:753;Qiang et al.(1998)Diabetologia41:132l;Pfeiffer et al.(1997)Horm Metab Res.29:111)。
【0339】
本明細書において使用される「神経障害」という用語(糖尿病性の神経損傷とも称される。)は、高血糖(高い血糖レベル)の結果として神経が損傷される糖尿病の一般的な合併症を表す。遠位の感覚運動性多発性神経障害、局所的運動性神経障害及び自律神経障害などの様々な糖尿病性神経障害が認められる。
【0340】
本明細書において使用される「末梢性神経障害」という用語(末梢性神経炎及び糖尿病性神経障害としても知られる。)は、神経が脳及び脊髄から情報を伝達できないこと、並びに神経が脳及び脊髄へ情報を伝達できないことを表す。末梢性神経障害は、疼痛、感覚の喪失及び筋肉の調節不能などの症候を引き起こす。幾つかの事例では、神経が血管、腸機能及びその他の臓器を調節できないことによって、異常な血圧、消化及び他の基本的な非随意的プロセスの喪失がもたらされる。末梢性神経障害は単一の神経若しくは神経群に対する損傷を伴い得(単神経障害)、又は複数の神経に影響を冒し得る(多発性神経障害)。
【0341】
交感神経及び副交感神経の小さな有髄繊維及び無髄繊維に影響を与える神経障害は、「末梢性神経障害」として知られている。さらに、末梢性神経障害(末梢性神経炎及び糖尿病性神経障害としても知られる。)の関連疾患は、神経が脳及び脊髄へ情報を伝達できないこと、並びに神経が脳及び脊髄から情報を伝達することができないことを表す。これは、疼痛、感覚の喪失及び筋肉の調節不能などの症候を引き起こす。幾つかの事例では、神経が血管、腸機能及びその他の臓器を調節できないことによって、異常な血圧、消化及び他の基本的な非随意的プロセスの喪失がもたらされる。末梢性神経障害は単一の神経若しくは神経群に対する損傷を伴い得(単神経障害)、又は複数の神経を冒し得る(多発性神経障害)。
【0342】
「糖尿病性神経障害」という用語は、高血糖(高い血糖レベル)の結果として神経が損傷を受ける糖尿病の一般的な合併症を表す。糖尿病性神経障害は、神経障害及び糖尿病性の神経損傷とも称される。遠位の感覚運動性多発性神経障害、局所的運動性神経障害及び自律神経障害などの様々な糖尿病性神経障害が認められる。
【0343】
b.糖尿病性網膜症
腫瘍壊死因子は、糖尿病性網膜症の病態生理に関与していると推定されている(Scholz et al.(2003)Trends MicroBiol.11:171)。本明細書において使用される「糖尿病性網膜症」という用語は、長期の糖尿病によって引き起こされる眼の網膜に対する進行性の損傷を表す。糖尿病性網膜症には、増殖性網膜症が含まれる。次いで、増殖性神経障害は、新血管新生、網膜周囲の出血(pertinal hemmorrhave)及び網膜剥離を含む。
【0344】
進行した網膜症では、網膜の表面上で、小血管が増殖する。これらの血管は脆く、出血する傾向があり、網膜周囲(peretinal)の出血を引き起こし得る。出血は、視界をぼやけさせる場合があり、出血が再吸収されるにつれて、繊維性組織が形成され、網膜剥離及び失明が起こりやすくなる。さらに、糖尿病性網膜症には、新血管新生、網膜周囲の出血及び網膜剥離を含む増殖性網膜症が含まれる。糖尿病性網膜症は、網膜の層とともに起こる変化を伴う「非増殖性網膜症(background retinopathy)」も含まれる。
【0345】
c.糖尿病性潰瘍及び網膜症潰瘍
腫瘍壊死因子は、糖尿病性潰瘍の病態生理に関与すると推定されている(Lee et al.(2003)Hum Immunol.64:614;Navarro et al.(2003)Am J Kidney Dis.42:53;Daimon et al(2003)Diabetes Care.26:2015;Zhang et al.(1999)J TongjiMedUniv.19:203;Barbieri et al.(2003)Am JHypertens.16:537;Venn et al.(1993)Arthritis Rheum.36:819;Westacott et al.(1994)J Rheumatol.21:1710参照)。
【0346】
本明細書において使用される「糖尿病性潰瘍」という用語は、糖尿病の合併症の結果として起こる潰瘍を表す。潰瘍は、炎症性、感染性、悪性症状又は代謝性疾患によって引き起こされる、皮膚又は粘膜上のクレーター様病変である。典型的には、糖尿病性潰瘍は、手足及び四肢、より典型的には、足に見出され得る。神経障害及び血行不全などの糖尿病性症状によって引き起こされるこれらの潰瘍は、虚血及び創傷治癒不良をもたらし得る。より大規模な潰瘍は、骨髄炎へ進行し得る。一旦、骨髄炎が発症したら、抗生物質のみで根絶することは困難であり得、切断が必要である場合があり得る。
【0347】
本明細書において使用される「網膜症潰瘍」という用語は、眼及び眼の網膜への損傷を引き起こし、又はもたらす潰瘍を表す。網膜症潰瘍は、網膜出血などの症状を含み得る。
【0348】
d.糖尿病性大脈管障害(Diabetic Macrovasculopathy)
腫瘍壊死因子は、糖尿病性大脈管障害の病態生理に関与すると推定されている(Devaraj et al.(2000)Circulation.102:191;Hattori et al.(2000)Cardiovasc Res.46:188;Clausell et al.(1999)Cardiovasc Pathol.8:145)。「大血管性疾患(macrovascular diease)」とも称される本明細書において使用される「糖尿病性大脈管障害」という用語は、糖尿病の結果として起こる血管の病気を表す。糖尿病性大脈管障害合併症は、例えば、巨大な血管中に脂肪及び血餅が蓄積し、血管壁に付着した場合に起こる。糖尿病性大脈管障害には、冠疾患、脳血管疾患及び末梢性血管疾患、高血糖及び心血管疾患並びに発作などの疾病が含まれる。
【0349】
2.肥満
腫瘍壊死因子は、肥満の病態生理に関与すると推定されている(例えば、Pihlajamaki J et al.(2003)Obes Res.11:912;Barbieri et al.(2003)Am J Hypertens.16:537;Tsuda et al.(2003)JNutr.133:2125参照)。本明細書において使用される「肥満」という用語は、対象が除脂肪体重に比して体脂肪を過剰に有する状態を表す。一実施形態において、肥満は、個体の体重が、個体の身長に対して望ましい最大値を少なくとも約20%又はそれ以上上回る状態を表す。成人が100ポンドを超えて太りすぎている場合には、「病的肥満」と考えられる。別の実施形態において、肥満は30kg/m
2を超えるBMI(肥満度指数)として定義される。肥満は、ヒトが病気になるリスク並びに糖尿病、発作、冠動脈疾患、高血圧、高コレステロール及び腎臓及び胆嚢疾患による死を増加させる。肥満は、癌の幾つかの種類に対するリスクも増大させ得、骨関節炎及び睡眠時無呼吸の発症に対するリスク因子であり得る。
【0350】
K.貧血
TNFαは、幅広い貧血の病態生理に関与していると推定されている(例えば、Jongen−Lavrencic et al.(1997)J.Rheumatol.24:1504;Demeter et al.(2002)Ann Hematol.81:566;DiCato(2003)The Oncologist 8(suppl 1):19)。本発明は、貧血に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するための方法であり、貧血に罹患している対象中のTNFα活性が阻害されるように、抗体、抗体部分を対象に投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、貧血は関節リウマチを伴う。
【0351】
本明細書で使用される「貧血」という用語は、循環している赤血球の異常に低い数又は血液中のヘモグロビンの減少した濃度を表す。関節リウマチに関連する貧血の例には、例えば、慢性疾患の貧血、鉄欠乏性貧血及び自己免疫性溶血性貧血が含まれる。一実施形態において、本発明は、関連する貧血、例えば、関節リウマチに関連する貧血、感染及び慢性炎症性疾患の貧血、鉄欠乏性貧血、自己免疫性溶血性貧血、骨髄癆性貧血、再生不良性貧血、低形成性貧血、赤芽球癆及び腎不全又は内分泌疾患を伴う貧血、巨赤芽球貧血、ヘム又はグロビン合成の欠損、赤血球の構造的欠陥によって引き起こされる貧血(例えば、鎌形赤血球貧血)並びに鉄芽球性貧血などの不明な起源の貧血、マラリア、トリパノソーマ症、HIV、肝炎ウイルス又はその他のウイルスなどの慢性的感染症を伴う貧血、並びに骨髄欠乏によって引き起こされる骨髄癆性貧血を治療する方法を提供する。
【0352】
貧血を研究するために使用される動物モデルの例には、ペプチドグリカン−多糖ポリマーを接種されたラットが含まれる(Coccia et al.,(2001)Exp Hematology.29:1201−1209参照)。疼痛を研究するために使用される動物モデルの例は本分野において周知であり、ラット坐骨神経結紮モデル及びラット分節状脊髄神経結紮モデルが含まれる(Bennett and Zie,(1988)Pain.33:87−107;Kim and Chung,(1992)Pain 50:355−363参照)。
【0353】
L.疼痛
TNFαは、様々な疼痛症候群の病態生理に関与していると推定されている(例えば、Sorkin et al.(1997)Neuroscience.81:255;Huygen et al.(2002)Mediators Inflamm.11:47;Parada et al.(2003)Eur J Neurosci.17:1847参照).本明細書において使用される「疼痛」という用語は、疼痛の全ての種類を表す。本用語は、神経因性疼痛及び術後痛、慢性腰痛、群発性頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、中枢性疼痛、歯痛、オピオイド抵抗性疼痛、内臓痛、手術痛、骨損傷痛、分娩及び出産時の痛み、やけどに起因する疼痛(日焼けを含む。)、産後痛、偏頭痛、狭心症の痛み、及び膀胱炎を含む泌尿生殖路関連痛などの急性及び慢性疼痛を表すものとする。本用語は、侵害受容性疼痛又は侵害受容も含む。
【0354】
本発明は、このような疼痛疾患に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するための方法であり、疼痛に罹患している対象中のTNFα活性が阻害されるように、抗体、抗体部分を対象に投与することを含む方法を提供する。疼痛は、侵害受容性疼痛及び神経因性疼痛など、様々な方法で定義されてきた。最も一般的に経験される疼痛の形態は、神経末端に対する刺激の効果として定義され得、これは、大脳への活動電位の伝達をもたらす。疼痛には、一般に、例えば、関節リウマチなどの炎症性疾患も伴う。一実施形態において、本発明の抗体は、関節リウマチを伴う疼痛に罹患している対象を治療するために使用される。TNFα活性が有害である疼痛罹患の例は、以下でさらに論述されている。
【0355】
1.神経因性疼痛
腫瘍壊死因子は、神経因性疼痛の病態生理に関与していると推定されている(Sommer(1999)Schmerz.13:315;Empl et al.,(2001)Neurology.56:1371;Schafers et al.(2003)JNeurosci.23:3028参照)。本明細書において使用される「神経因性疼痛」という用語は、神経、脊髄又は脳への傷害に起因し、しばしば、神経の過敏を伴う疼痛を表す。神経因性疼痛の例には、慢性腰痛、関節炎を伴う疼痛、癌関連の疼痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、中枢性疼痛、オピオイド抵抗性神経因性疼痛、骨損傷疼痛並びに分娩及び出産時の疼痛が含まれる。神経因性疼痛の他の例には、術後痛、群発性頭痛、歯痛、手術痛、重度の(例えば、第3度の)やけどから生じる疼痛、出産後の疼痛、狭心症の痛み、泌尿生殖路関連の疼痛(膀胱炎を含む。)が含まれる。
【0356】
神経因性疼痛は、侵害受容性疼痛とは区別される。侵害受容機構を伴う疼痛の持続時間は、通常、組織修復の期間に限定され、一般に、利用可能な鎮痛剤又はオピオイドによって緩和される(Myers(1995)Regional Anesthesia20:173)。神経因性疼痛は、典型的には、長期間持続し、又は慢性であり、しばしば、最初の急性組織傷害から何日も又は何ヶ月も後に発症する。神経因性疼痛は、持続的で、自発的な疼痛及び(通常は、痛みを感じない刺激に対する有痛性の応答)異痛症を含み得る。神経因性疼痛は、ピンの穿刺など、通常はささいな有痛性刺激に対して、増強された応答が存在する過敏症によっても特徴付けられ得る。侵害受容性疼痛とは異なり、神経因性疼痛は、一般に、オピオイド治療に対して抵抗性である(Myers、上記、1995)。従って、本発明の方法を用いて得られた抗体は、神経因性疼痛を治療するために使用され得る。
【0357】
2.侵害受容性疼痛
本明細書において使用される「侵害受容性疼痛」という用語は、正常な神経経路を通じて伝達される疼痛、すなわち、身体への傷害によって引き起こされる疼痛を表す。侵害受容性疼痛には、体性感覚及び疼痛の正常な機能が含まれ、差し迫った組織損傷を対象に知覚させる。侵害受容経路は、対象の保護のために存在する(例えば、やけどに応答して経験される疼痛)。侵害受容性疼痛には、骨痛、内臓痛及び軟組織に伴われる疼痛が含まれる。
【0358】
腫瘍壊死因子は、内臓の疼痛の病態生理に関与すると推定されている(Coelho et al.(2000)Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.279:G781;Coelho et al.(2000)Brain Res Bull.52:223参照)。内臓痛は、Aδ及びC神経線維上の受容体によって媒介される侵害受容性疼痛を表すために使用される。Aδ及びC神経線維とは、皮膚、骨、結合組織、筋肉及び内臓中に位置する神経線維である。内臓痛の分布は曖昧であり、痙攣性であり得、通常、深い、疼くような、絞るような、疝痛性と記載される。内臓痛の例には、心臓発作と関連する疼痛(この場合、内臓痛は腕、首及び/又は背中に感じられ得る。)及び肝皮膜痛(この場合、内臓痛は、背中及び/又は右の肩に感じられ得る。)が含まれる。従って、本発明を用いて得られた抗体は、内臓痛を治療するために使用され得る。
【0359】
M.肝疾患
TNFαは、様々な肝疾患の病態生理に関与していると推測されている(例えば、Colletti et al(1990)J Clin Invest.85:1936;Tiegs(1997)Acta Gastroenterol Belg.60:176;Fernandez et al.(2000)J Endotoxin Res.6:321を参照)。本発明は、このような肝疾患に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するための方法を提供する。
【0360】
本明細書において使用される「TNFα活性が有害である肝疾患」という用語は、本疾患に罹患している患者中でのTNFαの存在が、疾患の病態生理の原因であるか、又は疾患の悪化に寄与している因子であることが示されており、又は疑われている肝臓の疾病及びその他の疾患又は肝臓細胞損傷若しくは胆管疾患に関連する症状を含むものとする。従って、TNFα活性が有害である肝疾患は、TNFα活性の阻害が肝疾患の症候及び/又は進行を緩和することが予測される疾患である。一実施形態において、肝疾患は、肝炎、アルコール性肝炎及びウイルス性肝炎を除く、ヒトの肝疾患又は肝臓細胞損傷若しくは胆管疾患に関連する症状を表す。
【0361】
複数可変投薬法を用いて肝疾患を治療するための薬剤の治療的効力を評価するために使用される動物モデルの例には、チンパンジーC型肝炎ウイルスモデルが含まれる(Shimizu et al.(1990)Proc Natl Acad Sci.USA 87:6441参照)。皮膚及び爪の疾患を研究するために使用される動物モデルの例には、例えば、重症複合免疫不全(SCID)マウスモデル(乾癬)及びスミス系統(SL)のニワトリ及び色素脱失マウス(白斑)が含まれる(Nickoloff(2000)Investig Dermatol Symp Proc.5:67;Austin et al.(1995)Am J Pathol.146:1529;Lerner et al(1986)J Invest Dermatol.87:299参照)。
【0362】
肝疾患には、肝臓が不適切に機能し、又は機能を停止する多くの疾病及び疾患が含まれる。肝細胞傷害には、アルコール性肝硬変、α1アンチトリプシン欠損症、自己免疫性肝硬変、原因不明の肝硬変、劇症肝炎、B型及びC型肝炎並びに脂肪性肝炎が含まれ得る。胆管疾患の例には、嚢胞性繊維症、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎及び胆管閉塞が含まれる(Wiesner(1996)“Current Indications,Contra Indications and Timing for Liver Transplantation” in Transplantation of the Liver,Saunders(publ.);Busuttil and Klintmalm(eds.)Chapter 6;Klein(1998)Partial Hypertension:The Role of Liver Transplantation,Musby(publ.)in Current Surgical Therapy 6.sup.th Ed.Cameron,J.(ed))。
【0363】
「肝炎」という用語は、肝臓の炎症を表す。肝炎は、細菌、ウイルス(A型、B型、C型肝炎など)又は寄生生物を含む様々な生物による感染によって引き起こされ得る。アルコール、薬物又は毒キノコなどの化学的毒素も肝臓を損傷させ、肝臓を炎症状態にすることができる。まれであるが、極めて危険な肝炎の原因は、アセトアミノフェン(Tylenol)の過量服用に由来し、これは致死的であり得る。さらに、体内の免疫細胞は肝臓を攻撃し、自己免疫性肝炎を引き起こし得る。肝炎は、急速に回復し得(急性肝炎)又は長期の病気を引き起こし得る(慢性肝炎)。幾つかの事例では、進行性の肝障害又は肝不全が生じ得る。肝炎の発生率及び重度は、肝障害の原因及び根底に存在する患者中のあらゆる病気など、多くの因子に応じて変動する。
【0364】
一実施形態において、本発明は、TNFα活性が有害である肝疾患を治療する方法であり、疾患が治療されるように、誘導用量で、続いて、治療用量で、TNFα阻害剤の有効量を対象に投与することを含む、方法に関する。一実施形態において、肝疾患は、C型肝炎ウイルス、自己免疫性肝炎、脂肪肝疾患、B型肝炎ウイルス、肝毒性及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む非アルコール性肝炎からなる群から選択される。肝疾患の例は、以下でさらに記載されている。
【0365】
1.C型肝炎ウイルス(HCV)
腫瘍壊死因子は、C型肝炎ウイルスの病態生理に関与していると推定されている(Gonzalez−Amaro.(1994)J Exp Med.179:841;Nelson et al.(1997)DigDisSci42:2487;Kallinowski et al.(1998)Clin Exp Immunol.111:269参照)。「C型肝炎ウイルス」又は「HCV」という用語は、非A非B型肝炎の原因因子である肝炎ウイルスを記載するために使用される。C型肝炎ウイルスは、肝臓の炎症を引き起こす。HCV感染は、C型肝炎を引き起こす。急性期のC型肝炎は、一般に、B型肝炎より穏やかであるが、このような感染のより多くの割合が慢性となる。HCVは、急性肝炎並びに肝硬変及び肝臓癌を含む慢性の肝臓病の主原因である。HCVは、ウイルスの1つであり(A、B、C、D及びE)、これらを合わせると、ウイルス性肝炎の症例の大部分を占める。HCVは、狭い宿主域を有するように見受けられる、フラビウイルス科に属する外被に包まれたRNAウイルスである。本ウイルスの重要な特徴は、そのゲノムの相対的な変異性であり、おそらく、この変異性が慢性的な感染を誘導する高い傾向(80%)と関連している。HCVは、疾病の重度及び治療に対する応答を決定する上で重要であり得る幾つかの異なる遺伝子型の群を成す。一実施形態において、本発明は、HCVを治療するための複数可変投薬法を提供する。
【0366】
2.自己免疫性肝炎(AIH)
腫瘍壊死因子は、自己免疫性肝炎の病態生理に関与すると推定されている(Cookson et al.,(1999)Hepatology 30:851;Jazrawi et al.,(2003)Liver Transpl.9:377参照)。本明細書において使用される「自己免疫性肝炎」とは、肝臓の正常な細胞を外来組織又は病原体(病原因子)と間違える異常な免疫細胞によって引き起こされる肝臓の炎症によって特徴付けられる肝疾患を表す。自己免疫性肝炎は、治療せずに放置されると、しばしば、高い死亡率を伴う肝実質の進行性破壊の原因となる(Johnson et al.(1993)Hepatology,18:998)。自己免疫性肝炎の特徴の1つは、患者血清のほぼ90%中に循環する自己抗体が存在することである。このような抗体は、自己免疫性肝炎を有する対象を特定するために使用することができる。
【0367】
患者間の臨床的及び血清学的な差により、AIHは2つの種類に分類されてきた。1型は、患者の血清中に抗平滑筋(SMA)及び/又は抗核抗体(ANA)が存在することによって特徴付けられるのに対して、2型患者から得られた血清は抗肝臓腎臓マイクロソーム抗体1型(LKM1)を示す(Homberg et al.,(1987)Hepatology,7:1333;Maggiore etal.(1993)J.Pediatr.Gastroenterol Nutr.17:376)。AHI2型を有する患者の30%中に、血清学的マーカーである抗肝臓サイトゾル1型抗体(LC1)が同定されている。さらに、LC1は、検査された患者の10%において、唯一の血清学的マーカーであることが判明している(Martini et al.(1988)Hepatology,8:1662).一実施形態において、本発明の方法は、AIHを治療するために使用される。
【0368】
3.脂肪肝疾患
腫瘍壊死因子は、脂肪肝疾患の病態生理に関与すると推定されている(Valenti et al,(2002)Gastroenerology 122:274;Li et al,(2003)Hepatology 37:343参照)。脂肪肝疾患は、脂肪(肝細胞)が肝臓内に過剰に蓄積されている疾病を表す。脂肪肝疾患は、過剰栄養(supernutrition)、アルコールの過剰摂取、糖尿病及び医薬の投与による副作用によって引き起こされると考えられている。脂肪肝疾患は、慢性的な肝炎及び肝硬変などの重度の疾病を引き起こし得る。脂肪肝疾患を有する患者では、量が生理的に許容される範囲を超える程度まで、脂肪、特に、中性脂肪が肝細胞中に蓄積する。生化学的な見地から、脂肪肝の判断基準は、中性脂肪の重量が肝組織の湿重量の約10%(100mg/g湿重量)又はそれ以上であるということである。一実施形態において、本発明の方法は、脂肪肝疾患を治療するために使用される。
【0369】
4.B型肝炎ウイルス(HBV)
腫瘍壊死因子は、B型肝炎ウイルスの病態生理に関与すると推定されている(Kasahara et al,(2003)J Virol.77:2469;Wang(2003)World J Gastroenterol.9:641 ;Biermer et al.(2003)J Virol 77:4033参照)。「B型肝炎ウイルス」(HBV)という用語は、ヒトにおいてウイルス性B型肝炎を産生するウイルス(血清ウイルス肝炎)を記載するために使用される。これは、短い潜伏期間を有するA型肝炎ウイルス(感染性肝炎ウイルス)とは対照的に、長い潜伏期間(約50から160日)を有するウイルス性疾患である。B型肝炎ウイルスは、通常、感染した血液若しくは血液誘導体の注射によって、又は、単に、汚染された針、ランセット又はその他の機器を使用することによって伝達される。臨床的に及び病理学的に、本疾患は、ウイルス性A型肝炎と似ているが、交叉保護免疫は存在しない。ウイルス抗原(HBAg)は、注射後に、血清中に見出される。
【0370】
B型肝炎ウイルスは、極めて高い割合でヒトに感染する。B型肝炎に感染した状態となった多くの人々は、6ヶ月以内にウイルスを除去し、短い感染は、B型肝炎の「急性」症例として知られる。少なくとも約3億人がHBVの慢性的保因者と推定されている。本ウイルスによる感染は、インフルエンザ様の弱い症候から死を含む、幅広い臨床的症候をもたらす。一実施形態において、本発明の複数可変投薬法は、HBV感染を治療するために使用される。
【0371】
5.肝毒性
腫瘍壊死因子は、肝毒性の病態生理に関与していると推測されている(Bruccoleri et al.(1997)Hepatology 25:133;Luster et al(2000)Ann NY Acad Sci.919:214;Simeonova et al.(2001)Toxicol Appl Pharmacol.177:112参照)。肝毒性という用語は、医薬及びその他の化学物質又は薬物によって引き起こされる肝障害を表す。対象中の肝毒性を特定するための最も優れた指標は、AST(アスパラギン酸アミノ転移酵素)、ALT(アラニンアミノ転移酵素)及びGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素)などの、血中のある種の酵素測定値の上昇である。
【0372】
肝毒性は、恒常的な傷害及び死をもたらし得る。肝毒性の初期症候には、急性の胃腸症候(例えば、重度の下痢)が含まれ得る。肝毒性の第二期は、症候の軽減によって特徴付けられる。この見かけ上の軽減の間に、肝損傷の生化学的兆候が現れる。第二期の間には、乏尿(減少した尿排出量)が一般的である。第三期(顕在的な肝障害の期間)は、化学物質の接種から3ないし5日後に、臨床的に明白となり、黄疸の出現を伴う。腎不全も起こり得る。化学的に誘導された(薬物によって誘導された)肝炎の症候は、感染性肝炎の症候と類似している。一実施形態において、本発明の方法は、肝毒性を治療するために使用される。
【0373】
6.肝不全(例えば、慢性肝不全)
腫瘍壊死因子は、肝不全(例えば、慢性肝不全)の病態生理に関与すると推定されている(Takenaka et al,(1998)Dig Dis Sci.43:887;Nagaki et al.(1999)J Hepatol.31:997;Streetz et al.,(2000)Gastroenterology.119:446)参照)。慢性肝不全を含む肝不全は、通常、何年もの期間にわたって発症し、臓器にゆっくり損傷を与える肝臓への反復的な損傷(アルコールの乱用又は肝炎ウイルスへの感染など)によって引き起こされる。これより一般的ではないが、肝不全は急性であり、日又は週にわたって起こる。急性肝不全の原因には、肝炎ウイルス感染、薬物、妊娠、自己免疫疾患及び肝臓への突発的な血流低下が含まれる。一実施形態において、本発明の方法は、肝不全を治療するために使用される。
【0374】
7.NASHを含む非アルコール性肝炎
腫瘍壊死因子は、非アルコール性脂肪性肝炎を含む非アルコール性肝炎の病態生理に関与すると推定されている(Crespo et al.,(2001)Hepatology.34:1158 J Pessayre et al.(2002)282(2):G193参照)。「非アルコール性脂肪性肝炎」又は「NASH」という用語は、過剰なアルコールによって、但し、アルコール乱用の不存在下で誘導されるものと同等である肝臓中の組織学的変化の発達を表す。NASHは、大滴性及び/又は小滴性の脂肪肝、小葉及び門脈の炎症によって、時には、繊維症及び肝硬変を伴うマロリー体によって特徴付けられる。NASHは、一般に、高脂血症、肥満及び2型真性糖尿病も伴う。
【0375】
脂肪肝及び炎症を特徴付けるさらなる臨床症状には、過度の絶食、空回腸バイパス、総合的な親の栄養、慢性C型肝炎、ウィルソン病並びにコルチコステロイド、カルシウムチャンネル遮断剤、高用量の合成エストロゲン、メトトレキサート及びアミオダロンから得られるものなどの有害な薬物効果が含まれる。従って、「非アルコール性脂肪肝」という用語は、(a)著しいアルコール消費、(b)以前に行われた減量手術、(c)脂肪肝を伴う薬物使用歴、(d)遺伝的肝臓病の兆候又は(e)慢性C型肝炎感染の不存在と相俟って、これらの生検知見を示す患者を記載するために使用することができる(例えば、Ludwig et al.,(1980)Mayo Clin.Proc.55:434;Powell et al.(1990)Hepatol.11:74参照)。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた抗体は、NASHを治療するために使用される。
【0376】
N.皮膚及び爪の疾患
腫瘍壊死因子は、皮膚及び爪の疾患の病態生理に関与していると推定されている。一実施形態において、本発明の方法を用いて得られた抗体は、皮膚及び爪の疾患を治療するために投与される。本明細書において互換的に使用される「皮膚疾患」又は「皮膚病」という用語は、炎症の状態を誘導した、傷害性の創傷以外の皮膚の異常を表す。一実施形態において、本発明の皮膚疾患は、皮膚が毛細血管の拡張、白血球の浸潤、発赤、熱及び/又は疼痛によって特徴付けられる炎症性皮膚疾患である。皮膚疾患の例には、乾癬、尋常性天疱瘡、強皮症、アトピー性皮膚炎、サルコイドーシス、結節性紅斑、化膿性汗腺炎(hidradenitis suppurative)、扁平苔癬、スウィート症候群及び白斑が含まれるが、これらに限定されない。本明細書において使用される「TNFα活性が有害である皮膚及び爪の疾患」という用語は、本疾患に罹患している対象中でのTNFαの存在が、疾患(例えば、乾癬)の病態生理の原因であるか、又は疾患の悪化に寄与している因子であることが示されており、又は疑われている皮膚及び/又は爪の疾患並びにその他の疾患を含むものとする。したがって、TNFα活性が有害である皮膚及び爪の疾患は、TNFα活性の阻害が疾患の症候及び/又は進行を緩和することが予測される疾患である。特異的な皮膚及び爪の疾患の治療における本発明の抗体、抗体部分及び他のTNFα阻害剤の使用は、以下でさらに論述されている。ある種の実施形態において、本発明の治療方法は、以下に記載されているように、別の治療剤と組み合わせて実施される。一実施形態において、別の治療剤と組み合わせてTNFα抗体を投与することを含む本発明の方法を用いて得られた抗体は、乾癬の治療及び関節炎と関連する乾癬の治療のために使用される。
【0377】
1.乾癬
腫瘍壊死因子は、乾癬の病態生理に関与すると推定されている(Takematsu et al.(1989)Arch Dermatol Res.281:398;Victor and Gottlieb(2002;J Drugs Dermatol.1:264)。本明細書において使用される「乾癬」という用語は、上皮性過形成を伴う皮膚疾患を表す。乾癬の例には、慢性尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、尋常性乾癬及び乾癬性紅皮症が含まれるが、これらに限定されない。乾癬は、しばしば、炎症性腸疾患(IBD)及び関節リウマチ(RA)を含む他の炎症性疾患も伴い得る。
【0378】
乾癬は、発赤、かゆみ及び皮膚上の厚く、乾燥した銀色の鱗屑の頻繁な発症を特徴とする皮膚の炎症(過敏及び発赤)として記載される。特に、表皮の増殖の一次及び二次的変化、皮膚の炎症性反応並びにリンホカイン及び炎症性因子などの制御分子の発現を伴う病変が形成される。乾癬性皮膚は、表皮細胞の増加した代謝回転、肥厚した表皮、異常な角質化、基底細胞周期の増加をもたらす、表皮中への炎症細胞の浸潤並びに表皮層中への多形核白血球及びリンパ球の浸潤によって、形態学的に特徴付けられる。乾癬は、しばしば、陥凹、爪の分離、肥厚及び脱色を示す爪を伴う。乾癬は、しばしば、他の炎症性疾患、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)及びクローン病を含む関節炎を伴う。乾癬を有する患者の約1/3が、上述のように、凝り、関節の膨潤、疼痛及び低下した可動域を引き起こす乾癬性関節炎(PsA)も有する(Greaves et al.(1995)N.Eng.J.Med.332:581)。
【0379】
乾癬の徴候は、胴、肘、膝、頭皮、皮膚のひだ又は指の爪に最も一般的に見られるが、皮膚の全ての部分を冒し得る。通常、新しい皮膚細胞が下部層から表面に移動するのに、約1ヶ月を要する。乾癬では、このプロセスに、数日を要するに過ぎず、死滅した皮膚細胞の蓄積及び厚い鱗屑の形成をもたらす。乾癬の症候には、銀色の鱗屑で覆われた、乾燥した又は赤い皮膚の斑点、ひび割れ、痛みを伴い得、肘、膝、胴、頭皮及び手の上に通常位置する赤い境界を伴う皮膚の隆起した斑点;吹き出物、皮膚のひび割れ及び皮膚の発赤を含む、皮膚の病変;関節炎、例えば乾癬性関節炎を伴い得る関節疼痛又は痛みが含まれる。
【0380】
乾癬の治療には、しばしば、局所的なコルチコステロイド、ビタミンD類縁体及び局所若しくは経口レチノイド又はこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、これらの一般的な治療の1つと組み合わせて、又はこれらの一般的な治療の1つの存在下で投与される。本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体と組み合わせることが可能な乾癬治療用のさらなる治療剤は、以下でさらに詳しく記載されている。
【0381】
乾癬の診断は、通常、皮膚の外観に基づく。さらに、他の皮膚疾患を除外するために、皮膚の生検又は皮膚斑の掻き取り及び培養が必要であり得る。関節痛が存在し、持続的である場合には、乾癬性関節炎をチェックするために、X線を使用し得る。
【0382】
対象中の感染の改善は、対象の乾癬の面積と重症度指数(PASI)によってモニターすることができる。PASIを求めるための方法は、「Fredriksson and Pettersson(1978)Dermatologica 157:238」及び「Marks et al(1989)Arch Dermatol 125:235」に記載されている。簡潔に述べると、指数は、5ポイントのスケール(0=症候なし、1=僅か、2=中度、3=顕著、4=極めて顕著)を用いて、頭、上肢、胴及び下肢を含む4つの解剖学的部位を、紅斑、硬結及び剥離に関して評価することに基づく。所定の解剖学的部位中の病変の程度に基づいて、冒された領域に、数値が割り振られる(0=0;1=<10%;2=10−29%;3=30−49%;4=50−69%;5=70=89%;6=90−100%)。次いで、PASIスコアが計算される(PASIスコアの可能な範囲は0.0から72.0であり、最高のスコアが最も重い程度の完全な紅皮症に相当する。)。
【0383】
本発明の一実施形態において、TNFα抗体は、乾癬(慢性尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、尋常性天疱瘡、乾癬性紅皮症、炎症性腸疾患(IBD)を伴う乾癬及び関節リウマチ(RA)を伴う乾癬)を治療するために使用される。別の実施形態において、アダリムマブなどのTNFα抗体は、PsAとともに乾癬を有する対象を治療するために使用される。本発明の治療方法に含まれる乾癬の具体的な種類は、以下に詳述されている。
【0384】
a.慢性尋常性乾癬
腫瘍壊死因子は慢性尋常性乾癬の病態生理に関与していると推定されている(Asadullah et al.(1999)Br J Dermatol.141:94)。慢性尋常性乾癬(Chronic plaque psoriasis)(尋常性乾癬(psoriasis vulgaris)とも称される。)は、乾癬の最も一般的な形態である。慢性尋常性乾癬は、コインサイズからずっと大きなものまで、皮膚の上昇した赤みを帯びた斑点によって特徴付けられる。慢性尋常性乾癬では、斑点は単一又は複数であり得、それらは、数ミリメートルから数センチメートルのサイズで変動し得る。斑点は、通常赤く、うろこ状の表面を伴い、やさしく引っ掻いたときに、光を反射して、「銀状」効果をもたらす。慢性尋常性乾癬由来の病変(しばしば、対称的である。)は全身に発生するが、膝、肘、腰仙領域、頭皮及び爪を含む伸筋表面に多発する。時折、慢性尋常性乾癬は、陰茎、外陰部及び湾曲部の上に発生し得るが、通常、鱗屑は存在しない。慢性尋常性乾癬を有する患者の診断は、通常、上記の臨床的特徴に基づき、特に、慢性尋常性乾癬中の病変の分布、色、典型的な銀色の鱗屑が慢性尋常性乾癬に特徴的である。
【0385】
b.滴状乾癬
滴状乾癬とは、特徴的な水滴形状の鱗状斑を有する乾癬の形態を表す。滴状乾癬の紅斑の後には、一般に、感染、特に、連鎖球菌の咽喉感染が起こる。滴状乾癬の診断は、通常、皮膚の外見及び咽頭炎の最近の既往歴がしばしば存在するという事実に基づく。
【0386】
c.逆乾癬
逆乾癬は、患者が赤く、炎症を起こした皮膚の滑らかで、一般に水分を含んだ領域を有する乾癬の形態であり、尋常性乾癬に伴う鱗屑とは異なる。逆乾癬は、間擦性乾癬(intertiginous psoriasis)又は弯曲性乾癬(flexural psoriasis)とも称される。逆乾癬は、多くは、腋窩、鼠径部、乳房の下並びに性器及び臀部周囲のその他の皮膚のひだに発生し、発症部位の故に、摩擦及び発汗は罹患部位に刺激を与え得る。
【0387】
d.膿疱性乾癬
膿疱性乾癬(掌蹠乾癬(palmar plantar psoriasis))は、サイズ及び位置が異なるが、手と足にしばしば発生する膿疱を引き起こす乾癬の形態である。水疱は限局し、又は身体の広範囲に広がり得る。膿疱性乾癬は、圧痛性及び有痛性であり得、発熱を生じ得る。
【0389】
本発明の方法を用いて得られたTNFα抗体で治療することができる乾癬性疾患の他の例には、乾癬性紅皮症、尋常性、IBDを伴う乾癬及び関節リウマチを含む関節炎を伴う乾癬が含まれる。
【0390】
2.尋常性天疱瘡
尋常性天疱瘡は、しばしば、経口粘膜と皮膚を冒す重篤な自己免疫性全身性皮膚病である。尋常性天疱瘡の病態生理は、皮膚及び口腔粘膜デスモソームに誘導された自己免疫性プロセスであると考えられている。その結果、細胞は、互いに接着しない。本疾患は、液体が充填された破裂しやすい大きな水疱として表れ、特徴的な組織的外観を有する。抗炎症剤は、高い死亡率を有するこの疾患に対する唯一の効果的な治療である。尋常性天疱瘡に罹患している患者に発生する合併症は、難治性の疼痛、栄養障害及び液体の喪失並びに感染である。
【0391】
3.アトピー性皮膚炎/湿疹
アトピー性皮膚炎(湿疹とも称される。)は、かゆみを伴ううろこ状の斑によって分類される慢性皮膚疾患である。湿疹を有する人々は、喘息、花粉症又は湿疹のようなアレルギー性症状の家族歴を有する。アトピー性皮膚炎は、皮膚に発生する過敏症反応(アレルギーと類似する。)であり、慢性的な炎症を引き起こす。炎症によって、皮膚は、かゆみを伴い、うろこ状となる。慢性的な刺激及びひっかきは、皮膚の肥厚を引き起こし、革状外観となる。皮膚の乾燥、水への曝露、温度変化及びストレスのように、環境的刺激物質への曝露は症候を悪化させ得る。
【0392】
強烈なかゆみ、滲出及び痂皮膚形成を伴う水疱、皮膚の発赤又は水疱周囲の炎症、発疹、乾燥した、革状の皮膚領域、引っ掻きによって生じる皮膚の擦り傷領域、及び耳漏/出血をしばしば含むある種の症候によって、アトピー性皮膚炎を有する対象を同定することができる。
【0393】
4.サルコイドーシス
サルコイドーシスは、リンパ節、肺、肝臓、眼、皮膚及び/又はその他の組織中に肉芽腫性炎症が生じる疾病である。サルコイドーシスには、皮膚サルコイドーシス(皮膚のサルコイドーシス)及び結節性サルコイドーシス(リンパ節のサルコイドーシス)が含まれる。サルコイドーシスを有する患者は、しばしば、一般的な不快感、不快な状態又は不安感、発熱、皮膚病変を含む症候によって同定することができる。
【0394】
5.結節性紅斑
結節性紅斑は、皮膚の下、典型的には、前下肢上の圧痛性の赤い結節によって特徴付けられる炎症性疾患を表す。結節性紅斑を伴う病変は、しばしば、平坦であるが堅く、熱い赤色の有痛性塊(概ね幅インチ)として始まる。2、3日以内に、病変は淡紫色となり、その後、数週にわたって、茶色っぽい平坦な斑点へ消滅し得る。
【0395】
幾つかの事例では、結節性紅斑は、連鎖球菌、コクシジオイデス症、結核、B型肝炎、梅毒、猫引っ掻き病、野兎病、エルシニア、レプトスピラ症、オウム病、ヒストプラスマ症、単核球症(EBV)などの感染症を伴い得る。他の事例では、結節性紅斑は、経口避妊薬、ペニシリン、スルホンアミド、スルホン、バルビツレート、ヒダントイン、フェナセチン、サリチラート、ヨウ化物及びプロゲスチンなどのある種の医薬に対する感受性を伴い得る。結節性紅斑は、しばしば、白血病、サルコイドーシス、リウマチ熱及び潰瘍性大腸炎を含むその他の疾患を伴う。
【0396】
結節性紅斑の症候は、通常、すねの上に現れるが、病変は、臀部、ふくらはぎ、足首、腿及び上肢を含む身体の他の領域上にも発生し得る。結節性紅斑を有する対象における他の症候には、発熱及び倦怠感が含まれ得る。
【0397】
6.化膿性汗腺炎
化膿性汗腺炎は、膨張した有痛性の炎症性病変又は塊が、鼠径部中に、時には、腕の下及び乳房の下に発達する皮膚疾患を表す。化膿性汗腺炎は、アポクリン腺の排出口が汗によって封鎖された状態となった場合に、又は不完全な腺の発達のために、正常に排出できない場合に起こる。腺内に捕捉された分泌物は、汗及び細菌を周囲の組織中に押し込み、皮膚の硬結、炎症及び感染を引き起こす。化膿性汗腺炎は、アポクリン腺を含有する身体の領域に限局される。これらの領域は、腋窩部、乳輪、鼠径部、会陰、肛門周囲及びへそ周囲領域である。
【0398】
7.扁平苔癬
腫瘍壊死因子は、扁平苔癬の病態生理に関与していると推定されている(Sklavounou et al.(2000)J Oral Pathol Med.29:370)。扁平苔癬は、炎症、かゆみ及び特徴的な皮膚病変をもたらす皮膚及び粘膜の疾患を表す。扁平苔癬には、C型肝炎又はある種の薬物治療が伴い得る。
【0399】
8.スウィート症候群
腫瘍壊死因子を含む炎症性サイトカインは、スウィート症候群の病態生理に関与していると推定されている(Reuss−Borst et al.(1993)Br J Haematol.84:356))。R.D.Sweetによって1964年に記載されたスウィート症候群は、突然の発熱、白血球増多及び皮疹によって特徴付けられる。皮疹は、顕微鏡的に、密な好中球浸潤を示す、圧痛性、紅斑性の、境界が明瞭な丘疹及び斑からなる。病変は、あらゆる場所に出現し得るが、顔を含む上半身が好まれる。各病変は、しばしば、偽小胞性又は偽膿疱性と記載されるが、実際には、膿疱性、水疱性又は潰瘍性であり得る。スウィート症候群を有する患者では、しばしば、口及び眼の関与(結膜炎又は上強膜炎)も報告されている。白血病も、Sweet症候群を伴い得る。
【0400】
9.白斑
白斑は、皮膚の領域からの色素の喪失が存在し、正常な皮膚の質感を伴う不規則な白い斑点をもたらす皮膚症状を表す。白斑を特徴とする病変は、扁平な脱色領域として現れる。病変の縁は、鋭く区切られているが、不規則である。白斑を有する対象中のしばしば冒される領域には、顔、ひじ及び膝、手及び足並びに生殖器が含まれる。
【0401】
10.強皮症
腫瘍壊死因子は、強皮症の病態生理に関与していると推定されている(Tutuncu et al.(2002)Clin Exp Rheumatol.20(6 Suppl 28):S146;Mackiewicz et al.(2003)Clin Exp Rheumatol.21:41;Murota et al.(2003)Arthritis Rheum.48:1117)。強皮症は、皮膚、血管、骨格筋及び内臓の変化によって特徴付けられるびまん性の結合組織疾患を表す。強皮症は、CREST症候群又は進行性全身性硬化症とも称され、一般に、30歳から50歳の間の人々が罹患する。女性は、男性に比べて、よりしばしば罹患する。
【0402】
強皮症の原因は不明である。本疾病は、局所的又は全身的な症候をもたらし得る。本疾病の期間及び重度は、罹患者によって幅広く変動する。皮膚及び他の臓器内への過剰なコラーゲン沈着は症候を引き起こす。皮膚及び冒された臓器内の小さな血管への損傷も起こる。皮膚には、潰瘍、カルシウム沈着及び色素沈着の変化が起こり得る。全身的な特徴には、繊維症並びに心臓、肺、腎臓及び胃腸管の変性が含まれ得る。
【0403】
強皮症に罹患している患者は、暑さと寒さに応じた、指及び足指の白化、青化又は発赤(レイノー現象)、疼痛、凝り、並びに指及び関節の膨張、皮膚の肥厚並びに光沢のある手及び前腕、食道逆流又は胸焼け、嚥下困難並びに息切れなど、ある種の臨床的な特徴を呈する。強皮症を診断するために使用される他の臨床症候には、上昇した赤血球沈降速度(ESR)、上昇したリウマチ因子(RF)、陽性の抗核抗体検査、タンパク質及び顕微鏡レベルの血液を示す尿検査、繊維症を示し得る胸部X線並びに拘束性肺疾患を示す肺機能研究が含まれる。
【0404】
11.爪の疾患
爪の疾患には、爪のあらゆる異常が含まれる。本明細書において使用される「爪の疾患」又は「爪の病気」という用語は、指の爪又は足指の爪が異常な色、形状、手触り又は厚さになる症状を表す。特異的な爪疾患には、窪み、さじ状爪、ボー線、スプーン状爪、爪甲離床症、黄色爪症、翼状片(扁平苔癬中に見られる。)及び爪甲白斑症が含まれるが、これらに限定されない。窪みは、爪表面上の小さな低下の存在によって特徴付けられる。隆線又は線の上昇が爪に沿って発達し、「縦」又は「横」方向に生じ得る。ボー線は、指の爪の中に「横方向に」(横断して)発生する線状の低下である。爪甲白斑症は、爪の上の白い筋又は点を記載する。さじ状爪は、爪が盛り上がった隆線を有し、薄く、凹面状である指爪の異常な形状である。さじ状爪は、しばしば、鉄欠乏症を伴う。
【0405】
本発明のTNFα抗体で治療することができる爪の疾患には、乾癬性の爪も含まれる。乾癬性の爪は、乾癬を原因とする爪の変化を含む。幾つかの事例では、乾癬は、爪の中だけに生じ、身体の他の場所には生じない場合があり得る。爪の乾癬性変化は、軽度から重度の範囲にわたり、一般に、爪板、爪床(nail matrix)(すなわち、爪がそこから増殖する組織)、爪床(nail bed)(すなわち、爪の下の組織)及び爪の基部の皮膚の、乾癬への関与の度合いを反映する。乾癬の膿疱性の種類による爪床への損傷は、爪の喪失をもたらし得る。乾癬における爪の変化は、単一に生じ得る、又はまとめて生じ得る一般的なカテゴリーに分類される。乾癬性の爪の1つのカテゴリーでは、おそらくは乾癬によって引き起こされる爪の増殖の欠損のために、爪板は深く窪んでいる。別のカテゴリーでは、爪は、おそらくは、爪床の乾癬性の関与のために、黄色ないし黄色−桃色の脱色を有する。乾癬性の爪の第三のサブタイプは、爪板の下に出現する白色の領域によって特徴付けられる。白い領域は、実際に、空気の泡であり、爪板が爪床から剥離した状態となる地点の標識となる。爪の周囲に、発赤した皮膚にも存在し得る。第四のカテゴリーは、おそらくは、爪床(nail matrix)における乾癬の関与のために、黄色がかった斑点中で崩壊する爪板、すなわち爪異栄養症から明らかとなる。第五のカテゴリーは、爪床(nail matorix)及び爪床(nail bed)の乾癬の関与のために、爪全体が喪失することによって特徴付けられる。
【0406】
本発明の方法を用いて得られた抗体は、しばしば扁平苔癬を伴う爪の疾患を治療するためにも使用され得る。扁平苔癬を有する対象中の爪は、しばしば、縦方向の隆線又は翼状片を有する爪板の菲薄化及び表面のでこぼこを示す。
【0407】
本発明を用いて得られた抗体は、本明細書に記載されているような爪の疾患を治療するために使用することができる。しばしば、爪の疾患には、皮膚疾患が伴う。一実施形態において、本発明は、TNFα抗体を用いて爪の疾患を治療する。別の実施形態において、爪の疾患には、乾癬などの皮膚疾患を含む別の疾患が伴う。別の実施形態において、爪の疾患を伴う疾患は、乾癬性関節炎を含む関節炎である。
【0408】
12.他の皮膚及び爪の疾患
本発明の方法を用いて得られた抗体は、慢性光線過敏性皮膚炎、類天疱瘡及び円形脱毛症などの他の皮膚及び爪の疾患を治療するために使用され得る。慢性光線過敏性皮膚炎(CAD)は、光線過敏症皮膚炎/光線性類細網症症候群(PD/AR)とも称される。CADは、特に、日光又は人工の光に曝露された領域において、皮膚が炎症状態となる症状である。一般に、CAD患者は、皮膚と接触したある種の物質、特に、様々な花、木、香水、日焼け止め及びゴム化合物に対してアレルギーを有する。類天疱瘡は、胴体及び四肢上の大きな水疱の形成を特徴とする皮膚疾患を表す。円形脱毛症は、頭皮又はひげの完全な脱毛の丸い斑点によって特徴付けられる脱毛を表す。
【0409】
O.脈管炎
TNFαは、様々な脈管炎の病態生理に関与していると推定されている(例えば、Deguchi et al.(1989)Lancet.2:745参照)。一実施形態において、本発明は、TNFα活性が有害である脈管炎に罹患している対象中のTNFα活性を阻害するための複数可変投薬法を提供する。
【0410】
本明細書において互換的に使用される「脈管炎」という用語は、血管の炎症によって特徴付けられる疾患の群を表す。体内の最も大きな血管(大動脈)から皮膚内の最も小さい血管(毛細血管)までの全てのサイズの血管が冒され得る。脈管炎の具体的な種類に従って、冒される血管のサイズは変動する。本明細書において使用される「TNFα活性が有害である脈管炎」という用語は、本疾患に罹患している対象中でのTNFαの存在が、疾患の病態生理の原因であるか、又は疾患の悪化に寄与している因子であることが示されており、又は疑われている脈管炎を含むものとする。このような疾患は、例えば、本疾患に罹患している対象の生体液中のTNFα濃度の増加(例えば、対象の血清、血漿、滑液中のTNFα濃度の増加)によって明らかとされ得、生体液中のTNFα濃度の増加は、例えば、上記抗TNFα抗体を用いて検出することが可能である。
【0411】
ベーチェット病など、TNFα活性が有害である脈管炎の多数の例が存在する。特異的な脈管炎の治療のための抗体又はその抗原結合部分の使用は、以下でさらに論述されている。ある種の実施形態において、本発明を用いて得られた抗体又は抗体部分は、以下に記載されているように、別の治療剤と組み合わせて対象に投与される。
【0412】
本発明を用いて得られた抗体又は抗体部分は、TNFα活性の阻害が脈管炎の症候及び/又は進行を緩和し、又は脈管炎を予防することが予想される、TNFα活性が有害である脈管炎を治療するためにも使用され得る。脈管炎に罹患し、又は脈管炎を発症するリスクのある対象は、臨床的な症候及び検査を通じて同定することが可能である。例えば、脈管炎を有する対象は、しばしば、好中球の細胞質中のある種のタンパク質に対する抗体、抗好中球細胞質抗体(ANCA)を生成する。従って、幾つかの事例において、脈管炎は、ANCAの存在を測定する検査(例えば、ELISA)によって明らかとなり得る。
【0413】
脈管炎及びその事象は、疾病の唯一の兆候であり得、又は、別の原発性疾患の続発性成分であり得る。脈管炎は、単一の臓器に限局され得、又は、幾つかの臓器を同時に冒し得、症候群に応じて、全てのサイズの動脈及び静脈が冒され得る。脈管は、体内の全ての臓器を冒し得る。
【0414】
脈管炎では、通常、血管の管腔が損なわれ、関与する血管によって供給される組織の虚血を伴う。この方法から生じ得る疾患の幅広い範囲は、血管のあらゆる種類、サイズ及び位置(例えば、動脈、静脈、細動脈、細静脈、毛細血管)が関与し得るという事実に起因する。脈管炎は、以下に記載されているように、一般に、冒された血管のサイズに従って分類される。幾つかの小さな及び大きな血管の脈管炎は中型サイズの動脈を含み得るが、大型及び中型の血管脈管炎は、動脈より小さな血管を含まないことに注意すべきである。大型血管の疾患には、巨細胞動脈炎(側頭動脈炎又は頭部動脈炎としても知られる。)、リウマチ性多発性筋痛症及び高安病又は動脈炎(大動脈弓症候群、若年女性動脈炎及び脈なし病としても知られる。)が含まれるが、これらに限定されない。中型血管の疾患には、古典的な結節性多発動脈炎及び川崎病(皮膚粘膜リンパ節症候群としても知られる。)が含まれるが、これらに限定されない。小型血管の疾患の非限定的な例は、ベーチェット病、ウェグナーの肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、過敏性炎(皮膚脈管炎としても知られる。)、小血管脈管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、アレルギー性肉芽腫症及び脈管炎(チャーグ・ストラウス症候群としても知られる。)である。他の脈管炎には、単離された中枢神経系脈管炎及び閉塞性血栓血管炎(バージャー病としても知られる。)が含まれるが、これらに限定されない。古典的な結節性多発動脈炎(PAN)、顕微鏡的PAN及びアレルギー性肉芽腫症は、しばしば、一群にまとめられて、全身性壊死性脈管炎と称される。脈管炎のさらなる記述は、以下に記載されている。
【0415】
1.巨大血管脈管炎
一実施形態において、本発明を用いて得られたTNFα抗体は、巨大血管脈管炎を有する対象を治療するために使用され得る。本明細書において使用される「巨大血管」という用語は、大動脈及び主要な身体領域に向けて誘導される最大の分岐を表す。巨大血管には、例えば、大動脈及びその分岐並びに対応する静脈、例えば、鎖骨下動脈;腕頭動脈;総頚動脈;無名(innonimate;innominate)静脈;内頚静脈及び外頚静脈;肺動脈及び静脈;大静脈;腎動脈及び静脈;大腿動脈及び静脈;並びに頚動脈が含まれる。巨大血管脈管炎の例は、以下に記載されている。
【0416】
a.巨細胞性動脈炎(GCA)
腫瘍壊死因子は、巨細胞性動脈炎の病態生理に関与していると推定されている(Sneller(2002)Cleve.Clin.J.Med.69:SII40;Schett et al.(2002)Ann.Rheum.Dis.61:463)。巨細胞性動脈炎(GCA)は、炎症及び血管、特に、頚部の外頚動脈から分岐する巨大な又は中型の動脈への損傷を伴う脈管炎を表す。GCAは、側頭動脈炎又は頭部動脈炎とも称され、高齢者における最も一般的な主要な脈管炎である。GCAに罹患するのは、殆どもっぱら、50歳以上の個体であるが、40歳及びそれより若い患者の症例も数多く文献に報告されている。GCAは、通常、頭蓋外動脈を冒す。GCAは、側頭動脈を含む頚動脈の分岐を冒し得る。GCAは、複数の位置の動脈を含み得る全身性疾病でもある。
【0417】
組織病理学的に、GCAは、しばしばラングハンス型の巨細胞の形成を伴う血管壁内への炎症性単核細胞の浸潤を有する汎動脈炎である。内膜の増殖、肉芽腫性炎症及び内部の弾性薄膜の断片化が存在する。臓器内の病理学的知見は、関与する血管に関連する虚血の結果である。
【0418】
GCAに罹患している患者は、発熱、頭痛、貧血及び高い赤血球沈降速度(ESR)を含むある種の臨床症候を示す。GCAの他の典型的な徴候には、顎又は舌の跛行、頭皮の圧痛、体質的な症候、蒼白な視神経乳頭浮腫(特に、白墨のような白い乳頭浮腫)及び視覚障害が含まれる。診断は、側頭動脈の生検によって確認される。
【0419】
b.リウマチ性多発性筋痛
腫瘍壊死因子は、リウマチ性多発性筋痛の病態生理に関与すると推定されている(Straub et al.(2002)Rheumatology(Oxford)41:423;Uddhammar et al(1998)Br.J.Rheumatol.37:766)。リウマチ性多発性筋痛は、中度から重度の筋肉痛を伴い、特に朝に、頚部、肩及び臀部に凝りを伴うリウマチ性疾患を表す。リウマチ性多発性筋痛を有する患者中に循環する単球の大半に、IL−6及びIL−1β発現も検出されている。リウマチ性多発性筋痛は、血管の炎症であるGCAとは独立に発生し得、又はGCAとともに存在し、若しくはGCAに先行し得る。
【0420】
c.高安動脈炎
腫瘍壊死因子は、高安動脈炎の病態生理に関与すると推定されている(Kobayashi and Numano(2002)Intern.Med.41:44;Fraga and Medina(2002)Curr.Rheumatol.RepA:30)。高安動脈炎は、大動脈及びその主要な分岐の炎症によって特徴付けられる脈管炎を表す。高安動脈炎(大動脈弓症候群、若年女性動脈炎及び脈なし病としても知られる。)は、胸部大動脈及び腹部大動脈並びにその主要な分岐又は肺動脈を冒す。大動脈壁及びその分岐(例えば、頚動脈、無名動脈及び鎖骨下動脈)の繊維性の肥厚は、大動脈弓から生じる血管の管腔サイズの低下をもたらし得る。この症状は、典型的には、腎動脈も冒す。
【0421】
高安動脈炎は、主として、通常20から40歳の、特にアジア家系の若年女性が罹患し、倦怠感、関節痛及び四肢の跛行のゆっくりとした開始が症状として現れ得る。多くの患者は、通常、腕の血圧差を伴う、非対称的に低下した脈を有する。冠動脈及び/又は腎動脈狭窄が起こり得る。
【0422】
高安動脈炎の臨床的な特徴は、初期の炎症疾患の特徴及び後期疾患の特徴に分類され得る。高安病の初期の炎症性段階の臨床的な特徴は、倦怠感、軽度の発熱、体重減少、筋肉痛、関節痛及び多形性紅斑である。高安病の後期段階は、動脈の繊維性狭窄及び血栓によって特徴付けられる。生じる主な臨床的特徴は、虚血性現象、例えば、弱く、非対称の動脈拍動、腕の間の血圧差、視力障害(例えば、暗点(scotomata;scotoma)及び半盲)、めまい及び失神を含む他の神経学的特長、不全片麻痺又は発作である。臨床的な特徴は、動脈の狭窄及び血栓に起因する虚血から生じる。
【0423】
2.中型血管疾患
一実施形態において、本発明を用いて得られたTNFα抗体は、中型血管脈管炎を有する対象を治療するために使用され得る。「中型血管(medium vessel)」という用語は、主要な内臓動脈である血管を表すために使用される。中型血管の例には、腸間膜動脈及び静脈、腸骨動脈及び静脈並びに上顎骨動脈及び静脈が含まれる。中型血管脈管炎の例は、以下に記載されている。
【0424】
a.結節性多発動脈炎
腫瘍壊死因子は、結節性多発動脈炎の病態生理に関与していると推定されている(DiGirolamo et al.(1997)J.Leukoc.Biol.61:667)。結節性多発動脈炎又は結節性動脈周囲炎は、小型及び中型の動脈が、異常な免疫細胞によって攻撃されるために、膨潤し、損傷を受けた状態になる重篤な血管疾患である脈管炎を表す。結節性多発動脈炎には、通常、子供より成人がより頻繁に罹患する。適切な血液供給なしに、十分な酸素及び栄養を受領しないので、結節性多発動脈炎は冒された動脈によって供給されている組織に損傷を与える。
【0425】
結節性多発動脈炎を有する患者において示される症候は、一般に、冒された臓器、多くの場合、皮膚、心臓、腎臓及び神経系に対する損傷から生じる。結節性多発動脈炎の汎発性の症候には、発熱、疲労、虚弱、食欲の低下及び体重減少が含まれる。筋肉の痛み(筋肉痛)及び関節の痛み(関節痛)が一般的である。結節性多発動脈炎を有する対象の皮膚は、発疹、膨潤、潰瘍及び塊(結節性病変)も示し得る。
【0426】
古典的なPAN(結節性多発動脈炎)は、腎動脈及び内臓動脈の関与が一般的である小型ないし中型筋肉の動脈炎の全身性動脈炎である。腹部血管は、PAN患者の50%中に、動脈瘤又は閉塞を有する。古典的なPANには、肺動脈が関与しないが、気管支血管が関与し得る。肉芽腫、著しい好酸球増多症及びアレルギー性素因は、症候群の一部を成さない。あらゆる臓器系が関与し得るが、最も一般的な徴候には、末梢性神経障害、多発単神経炎、腸虚血、腎虚血、精巣痛及び網状皮斑が含まれる。
【0427】
b.川崎病
腫瘍壊死因子は、川崎病の病態生理に関与すると推定されている(Sundel(2002)Curr.Rheumatol.Rep.4:474;Gedalia(2002)Curr.RheumatolRep.4:25)。川崎病の原因は不明であるが、冠動脈の急性炎症を伴い、本疾患に関連する組織の損傷がTNFαなどの炎症促進性因子によって媒介され得ることを示唆している。川崎病は、粘膜、リンパ節、血管の裏打ち及び心臓を冒す脈管炎を表す。川崎病は、しばしば、皮膚粘膜リンパ節症候群、皮膚粘膜リンパ節疾患及び乳児性多発動脈炎とも称される。川崎病に罹患した対象は、しばしば、心筋炎及び心膜炎に至り得る冠動脈を巻き込む脈管炎を発症する。しばしば、急性の炎症が弱まるにつれて、冠動脈は、動脈瘤、血栓を発症し、心筋梗塞に至り得る。
【0428】
川崎病は、手のひら及び足の裏の浮腫、頚部リンパ節の拡大、ひび割れた唇及び「イチゴ舌」を伴う発熱性の全身性脈管炎である。炎症反応は、全身の血管中に認められるが、標的器官の損傷の最も一般的な部位は冠動脈である。川崎病には、主に、5歳以下の子供が罹患する。発生率が最も高いのは日本であるが、西洋でも、認知数が増大しており、現在では、米国の子供における後天的な心臓病の主原因である。川崎病の最も重大な合併症は、冠動脈炎及び治療を受けていない患者の1/3に発生する動脈瘤の形成である。
【0429】
3.小型血管疾患
一実施形態において、TNFα抗体は、小型血管の脈管炎を有する対象を治療するために使用される。「小型血管(small vessel)」という用語は、小動脈、細動脈及び毛細血管を表すために使用される。小動脈は、平滑筋細胞の1又は2層のみを含有し、毛細血管ネットワークに終末し、毛細血管ネットワークと連続している動脈である。細動脈は、毛細血管ネットワークからの血液を静脈及び毛細血管に運搬し、小動脈と細動脈を接続する。小型血管脈管炎の例は、以下に記載されている。
【0430】
a.ベーチェット病
腫瘍壊死因子は、ベーチェット病の病態生理に関与すると推定されている(Sfikakis(2002)Ann.Rheum.Dis.61:ii51−3;Dogan and Farah(2002)Oftalmologia.52:23)。ベーチェット病は、全身の血管の炎症を伴う慢性疾患である。ベーチェット病は、皮膚病変の様々な種類、関節炎、腸の炎症及び髄膜炎(脳及び脊髄の膜の炎症)も引き起こし得る。ベーチェット病の結果、本疾患を有する対象は、胃腸管、中枢神経系、血管系、肺及び腎臓を含む全身の組織及び臓器中に炎症を有し得る。ベーチェット病は、女性よりも男性に3倍多く発生し、地中海東部及び日本に最も多く見られる。
【0431】
ベーチェット病を有する対象は、再発性の口腔潰瘍(口内炎に似る。)、再発性の外陰部潰瘍及び眼の炎症を含む臨床症候を示し得る。ベーチェット病患者では、TNFα、IL−8、IL−1、IL−6、IFN−γ及びIL−12の血清レベルが上昇し、ベーチェット病患者の単球中では、これらの因子の産生が上昇していることが示されている(例えば、Inflammatory Disease of Blood Vessels(2001)Marcel Dekker, Inc., eds. G.S. Hoffman and CM.Weyand,p.473参照)。
【0432】
b.ウェゲナー肉芽腫症
腫瘍壊死因子は、ウェゲナー肉芽腫の病態生理に関与すると推定されている(Marquez et al.(2003)Curr.Rheumatol.Rep.5:128;Harman and Margo(1998)Surv.Ophthalmol.42:458)。ウェゲナー肉芽腫症は、上気道(鼻、洞、耳)、肺及び腎臓中に血管の炎症を引き起こす脈管炎を表す。ウェゲナー肉芽腫症は、正中肉芽腫症とも称される。ウェゲナー肉芽腫症は、気道を巻き込む肉芽腫性炎症及び小型ないし中型血管に影響を与える壊死性脈管炎を含む。
【0433】
ウェゲナー肉芽腫症を有する対象は、しばしば、関節炎(関節の炎症)も有する。罹患した対象中には、糸球体腎炎も存在し得るが、実質的にあらゆる臓器が関与し得る。
【0434】
ウェゲナー肉芽腫症に罹患した患者は、典型的には、再発性の副鼻腔炎又は鼻血、粘膜潰瘍、中耳炎、咳、喀血及び呼吸困難を含む臨床症候を示す。ウェゲナー肉芽腫症の第一の症候には、しばしば、上気道症候、関節痛、虚弱及び疲労が含まれる。
【0435】
c.チャーグ・ストラウス症候群
腫瘍壊死因子は、チャーグ・ストラウス症候群の病態生理に関与すると推定されている(Gross(2002)Curr.Opin.Rheumatol.14:11; Churg(2001)Mod.Pathol.14:1284)。チャーグ・ストラウス症候群は、全身性であり、喘息及び好酸球の初期の徴候を示す脈管炎を表す。チャーグ・ストラウス症候群は、アレルギー性肉芽腫症及び血管炎とも称され、アレルギー性鼻炎、喘息及び好酸球の状態において起こる。チャーグ・ストラウス症候群では、副鼻腔炎及び肺浸潤も起こり、主に、肺及び心臓を冒す。末梢性神経障害、冠動脈炎及び胃腸の関与が一般的である。
【0436】
チャーグ・ストラウス症候群に罹患した患者は、米国リウマチ学会(ACR)によって確立された基準に従って診断され得る。これらの基準は、CSSを脈管炎の他の形態と区別することを目的するものであった。全ての患者が全ての基準を満たすとは限らない。実際、一部の患者は、2又は3の基準のみを有し得るが、なお、チャーグ・ストラウス症候群として分類される。ACRは、チャーグ・ストラウス症候群を他の脈管炎から最もよく区別する特徴として、6つの病的特徴(基準)を選択した。これらの基準には、1)喘息、2)好酸球増多症[白血球百分率で10%超]、3)単神経障害、4)胸部X線上での一過性肺浸潤、5)副鼻腔の異常及び6)血管外好酸球を有する血管を含む生検が含まれる。
【0437】
P.他のTNFα関連疾患
一実施形態において、本発明は、TNFα活性が有害であるTNFα関連疾患を治療するための複数可変投薬法であり、TNFα関連疾患が治療されるように、TNFα抗体を対象に投与することを含む、方法を特徴とする。TNFα活性が有害であるTNFα関連疾患の例は、以下でさらに論述されている。
【0438】
1.若年性関節炎
腫瘍壊死因子は、若年性関節リウマチなど、若年性関節炎の病態生理に関与すると推定されている(Grom et al.(1996)Arthritis Rheum.39:1703;Mangge et al.(1995)Arthritis Rheum.8:211)。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、若年性関節リウマチを治療するために使用される。
【0439】
本発明において使用される「若年性関節リウマチ」又は「JRA」という用語は、関節又は結合組織の損傷を引き起こし得る、16歳より前に発症する慢性の炎症性疾患を表す。JRAは、若年性慢性多発性関節炎及びスチル病とも称される。
【0440】
JRAは、16歳又はそれ以下の年齢の子供に、6週間を超えて、関節の炎症及び凝りを引き起こす。炎症は、関節中に発赤、膨張、温感及びひりひりするような痛みを引き起こす。あらゆる関節が冒されることができ、炎症は、冒された関節の運動性を制約し得る。JRAの1つの種類は、内部臓器にも影響を与え得る。
【0441】
JRAは、しばしば、関与する関節の数、症候並びに血液検査によって見出されるある種の抗体の存在又は不存在によって、3つの種類に分類される。これらの分類は、疾病がどのように進行し、内部臓器又は皮膚が影響を受けるかどうかを医師が決定するのに役立つ。JRAの分類には、以下のものが含まれる。
【0442】
a.小関節JRA、患者の4つ又はそれ以下の関節が冒される。小関節は、JRAの最も一般的な形態であり、典型的には、膝などの大きな関節が冒される。
【0443】
b.多関節型HRA、5つ又はそれ以上の関節が冒される。最も一般的には、手及び足の関節などの小さな関節が含まれるが、本疾病は大きな関節も冒し得る。
【0444】
c.全身型JRAは、関節の膨張、発熱、軽度の皮膚発疹を特徴とし、心臓、肝臓、脾臓及びリンパ節などの内臓にも影響を与え得る。全身型JRAは、スチル病とも称される。これらの子供の若干のパーセントが、多くの関節中に関節炎を発症し、成人期まで続く重度の関節炎を有し得る。
【0445】
2.子宮内膜症
子宮内膜症を有する女性はTNFの上昇した腹膜レベルを有するので、腫瘍壊死因子は、子宮内膜症の病態生理に関与していると推定される(Eisermann et al.(1988)Fertil Steril50:573;Halme(1989)Am JObstetGynecol161:1718;Mori et al(1991)Am J Reprod Immunol 26:62;Taketani et al.(1992) Am J Obstet Gynecol 167:265; Overton et al.(1996) Hum Reprod1996;11:380)。一実施形態において、TNFα抗体は、子宮内膜症を治療するために使用され得る。本明細書において使用される「子宮内膜症」という用語は、正常な状態では、子宮を裏打ちしている組織(子宮内膜)が身体の他の領域中で増殖し、疼痛、不規則な出血及び引き起こし、多くの場合、不妊症を引き起こす症状を表す。
【0446】
3.前立腺炎
慢性的な前立腺炎及び慢性的な骨盤痛を有する男性は、対照に比べて、精液中に、TNF及びIL−1の有意により高いレベルを有するので、腫瘍壊死因子は前立腺炎の病態生理に関与していると推定されている(Alexander et al.(1998)Urology52:744;Nadler et al.(2000) J Urol164:214;Orhan et al.(2001) IntJ Urol 8:495)。さらに、前立腺炎のラットモデルでは、対照に比較して、TNFレベルも増加していた(Asakawa et al.(2001) Hinyokika Kiyo 47:459;Harris et al.(2000) Prostate 44:25)。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、前立腺炎を治療するために使用される。
【0447】
本明細書において使用される「前立腺炎」という用語は、前立腺の炎症を表す。前立腺炎は、骨盤痛症候群とも称される。前立腺炎は、非細菌性前立腺炎、急性前立腺炎、細菌性前立腺炎及び急性前立腺炎などの様々な形態で現れる。急性前立腺炎は、突然発症する前立腺の炎症を表す。急性前立腺炎は、通常、前立腺の細菌感染によって引き起こされる。慢性前立腺炎は、徐々に発症する前立腺の炎症であり、長期にわたって継続し、通例、かすかな症候を有する。慢性前立腺炎は、通常、細菌感染によっても引き起こされる。
【0448】
4.脈絡膜新生血管
腫瘍壊死因子は、脈絡膜新生血管の病態生理に関与していると推定されている。例えば、外科的に切除された脈絡膜新生血管膜において、新生血管は、TNFとIL−1の両者に対して陽性に染色される(Oh H et al.(1999) Invest Ophthalmol Vis Sci40:1891)。一実施形態において、TNFα抗体は、脈絡膜新生血管膜を治療するために使用される。本明細書において使用される「脈絡膜新生血管」という用語は、脈絡膜から始まり、ブルッフ膜中の裂け目を通じて、網膜下色素上皮(サブRPE)又は網膜下腔中に至る新しい血管の増殖を表す。脈絡膜新生血管(CNV)は、症状を有する患者における失明の主原因である。
【0449】
5.坐骨神経痛
腫瘍壊死因子は、坐骨神経痛の病態生理に関与すると推定されている(Ozaktay et al.(2002) Eur Spine J.11:467;Brisby et al.(2002) Eur Spine J.11:62)。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、坐骨神経痛を治療するために使用される。本明細書において使用される「坐骨神経痛」という用語は、坐骨神経への損傷によって引き起こされる足の損傷された運動及び/又は感覚を伴う症状を表す。坐骨神経痛は、一般に、坐骨神経の神経障害及び坐骨神経機能不全とも称される。坐骨神経痛は、末梢性神経障害の形態である。坐骨神経痛は、足の裏側に位置する坐骨神経への損傷が存在する場合に起こる。坐骨神経は、膝の裏側及び下肢の筋肉を調節し、腿、下肢の一部及び足の裏に感覚を与える。坐骨神経は、腰部椎間板ヘルニア、脊髄狭窄、変性椎間板疾患、峡部脊椎すべり症(spondyloisthesis)及び梨状筋(piniformis)症候群を含む別の疾患の指標であり得る。
【0450】
6.シェーグレン症候群
腫瘍壊死因子は、シェーグレン症候群の病態生理に関与すると推定されている(Koski et al.(2001)Clin Exp Rheumatol.19:131)。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、シェーグレン症候群を治療するために使用される。本明細書において使用される「シェーグレン症候群」という用語は、口渇、減少した涙及びその他の乾燥した粘膜によって特徴付けられ、しばしば、関節リウマチなどの自己免疫性リウマチ疾患をしばしば伴う全身性炎症疾患を表す。眼及び口の乾燥は、本症候群の最も一般的な症候である。症候は単独で発生し得、関節リウマチ又はその他の結合組織の疾病を伴った症候とともに発生し得る。唾液腺の拡大が随伴して存在し得る。他の臓器も、冒され得る。本症候群は、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、強皮症、多発性筋炎及びその他の疾病を伴い得る。
【0451】
7.ブドウ膜炎
腫瘍壊死因子は、ブドウ膜炎の病態生理に関与すると推定されている(Wakefield and Lloyd (1992) Cytokine 4:1;Woon et al(1998)CurrEyeRes.17:955)。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、ブドウ膜炎を治療するために使用される。本明細書において使用される「ブドウ膜炎」という用語は、虹彩、毛様体及び脈絡膜を含む、強膜と網膜の間の層であるブドウ膜の炎症を表す。ブドウ膜炎は、一般に、虹彩炎、毛様体扁平部炎、脈絡炎(chroiditis)、脈絡網膜炎、前部ブドウ膜炎及び後部ブドウ膜炎とも称される。ブドウ膜炎の最も一般的な形態は、眼の前部の中に炎症を伴う前部ブドウ膜炎であり、これは、通常、虹彩に限局されている。この症状は、しばしば、虹彩炎と称される。一実施形態において、ブドウ膜炎とは、自己免疫疾患を伴う炎症を除く、すなわち、自己免疫性ブドウ膜炎を除く、ブドウ膜の炎症を表す。
【0452】
8.湿式黄斑変性症
腫瘍壊死因子は、湿式黄斑変性症の病態生理に関与していると推定されている。一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、湿式黄斑変性症を治療するために使用される。本明細書において使用される「湿式黄斑変性症」という用語は、黄斑(眼の網膜の中央部)を冒し、減少した視力を引き起こし、中央の視覚を喪失させる可能性がある疾患を表す。湿式黄斑変性症を有する患者は、網膜の下に新しい血管を発達させ、これは、血管、膨潤及び瘢痕組織を引き起こす。
【0453】
9.骨粗しょう症
腫瘍壊死因子は、骨粗しょう症の病態生理に関与していると推定されている(Tsutsumimoto ef αl.(1999) J Bone Miner Res.14:1751)。骨粗しょう症は、骨密度の進行性の低下及び骨組織の菲薄化によって特徴付けられる疾患を表すために使用される。身体が十分な新しい骨を形成することができない場合に、若しくは、過度の古い骨が身体によって再吸収される場合に、又は両者の場合に、骨粗しょう症が起こる。本発明のTNFα抗体又はその抗原結合断片は、骨粗しょう症を治療するために使用することができる。
【0454】
10.骨関節炎
腫瘍壊死因子は、骨関節炎の病態生理に関与すると推定されている(Venn et al.(1993) Arthritis Rheum.36:819; Westacott et al.(1994) J Rheumatol.21:1710)。骨関節炎(OA)は、肥大性骨関節炎、変形性関節症及び変性関節疾患とも称される。OAは、骨格の関節の慢性変性疾患であり、これは、全ての年齢の成人において、特定の関節、一般的には、膝、臀部、手の関節及び脊椎を冒す。OAは、「潰瘍」又はクレーターの発育を伴う関節軟骨の変性及び菲薄化、骨棘の形成、周縁部の骨の肥大並びに滑膜の変化及び罹患した関節の拡大を含む多数の症候によって特徴付けられる。さらに、特に、長期の活動後に、骨関節炎には、疼痛及び凝りが伴う。本発明の抗体又はその抗原結合断片は、骨関節炎を治療するために使用することができる。骨関節炎の特徴的なX線検査の特徴には、関節腔の狭小化、肋軟骨下の硬化症、骨増殖症、肋軟骨下嚢胞の形成、疎性骨体(又は「関節ネズミ」)が含まれる。
【0455】
骨関節炎を治療するために使用される医薬には、様々な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が含まれる。さらに、OAを治療するために、Celebrex、Vioxx及びBextra及びEtoricoxibを含むCOX2阻害剤も使用される。関節中に直接注射されるステロイドは、炎症及び疼痛を低減するためにも使用され得る。本発明の一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、NSAID、COX2阻害剤及び/又はステロイドと組み合わせて投与される。
【0456】
11.その他
本発明の方法は、TNFα活性が有害である様々な他の疾患を治療するためにも使用することができる。TNFα活性が病態生理に関与していると推定されており、従って、本発明の抗体又は公知の一部を用いて治療することができる他の疾病及び疾患の例には、炎症性骨疾患、骨再吸収疾患、凝固障害、やけど、最灌流傷害、ケロイド形成、瘢痕組織形成、発熱、歯周病、肥満、放射線毒性、加齢性悪液質、アルツハイマー病、脳浮腫、炎症性脳傷害、癌、慢性疲労症候群、皮膚筋炎、スティーブンス・ジョンソン症候群及びヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応などの薬物反応、脊髄中及び脊髄周囲の浮腫、家族性周期性発熱、フェルティ症候群、繊維症、糸球体腎炎(例えば、連鎖球菌感染後糸球体腎炎又はIgA腎症)、人工関節の緩み、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織疾患、多発性骨髄腫、癌及び悪液質、多臓器疾患、骨髄異形成症候群、精巣炎(orchitism)、骨溶解、膵炎(急性、慢性及び膵膿瘍を含む。)、多発性筋炎、進行性腎不全、偽痛風、壊疽性膿皮症、再発性多発性軟骨炎、リウマチ性心疾患、サルコイドーシス、硬化性胆管炎、発作、胸腹部大動脈瘤修復(TAAA)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS;TNF receptor associated periodic syndrome)、黄熱病ワクチン接種に関連する症候、耳に関連する炎症性疾患、慢性耳炎、真珠腫を伴う又は伴わない慢性中耳炎、小児の耳炎、筋炎(myotosis)、卵巣癌、結腸直腸癌、誘導性炎症症候群(例えば、IL−2投与後の症候群)に関連する治療及び再灌流傷害に伴う疾患が含まれる。
【0457】
上記TNFα関連疾患の全てには、適宜、疾病の成人形態及び若年性形態の両方が含まれることが理解される。上記疾患の全てには、疾病の慢性形態及び急性形態の両方が含まれることも理解される。さらに、本発明の複数可変投薬法は、上記TNFα関連疾患のみの各々又は互いに組み合わされた上記TNFα関連疾患(例えば、ブドウ膜炎及び狼瘡に罹患している対象)を治療するために使用することが可能である。
【0458】
さらなる治療剤
本発明は、複数可変投薬計画を用いて、TNFα関連疾患を治療するための医薬組成物及びその使用方法に関する。医薬組成物は、TNFα関連疾患を予防又は阻害する第一の薬剤を含む。医薬組成物及び使用方法は、活性な医薬成分である第二の薬剤を含み得る。すなわち、第二の薬剤は治療的であり、その機能は、医薬担体、防腐剤、希釈剤又は緩衝剤などの不活性成分の機能を超える。第二の薬剤は、TNFα関連疾患を治療又は予防する上で有用であり得る。第二の薬剤は、標的とされる疾病に付随する少なくとも1つの症候を減弱又は治療し得る。第一及び第二の薬剤は、類似若しくは無関係な作用機序によって、それらの生物学的効果を発揮し得、又は第一及び第二の薬剤の一方又は両方は、複数の作用機序によってそれらの生物学的効果を発揮し得る。医薬組成物は、第三の化合物も含み得、又は、さらに、第三(及び第四など)の化合物は、第二の薬剤と同一の特徴を有する。
【0459】
本明細書に記載されている医薬組成物は、医薬として許容される同一の担体中に、又は記載されている各実施形態に対する医薬として許容される異なる担体中に、第一及び第二、第三又は追加の薬剤を有し得ることを理解すべきである。第一、第二、第三及びさらなる薬剤が、記載されている実施形態内で、同時に又は順次に投与され得ることをさらに理解すべきである。あるいは、第一及び第二の薬剤は、同時に投与することができ、及び第三又はさらなる薬剤は、最初の2つの薬剤の前又は後に投与され得る。
【0460】
本明細書に記載されている方法及び医薬組成物内で使用される薬剤の組み合わせは、治療の目標とされる症状又は疾病に対して、治療的な加算的又は相乗的効果を有し得る。本明細書に記載されている方法又は医薬組成物内で使用される薬剤の組み合わせは、単独で投与されたときに、又は特定の医薬組成物の他の薬剤なしに投与されたときに、薬剤の少なくとも1つに伴う有害な効果も低下させ得る。例えば、1つの薬剤の副作用の毒性は、組成物の別の薬剤によって減弱され得るので、より高い投薬量を可能し、患者の服用遵守を改善し、及び治療的転帰を改善する。組成物の加算的又は相乗的効果、有益性及び利点は、治療剤のクラス(構造的クラス又は機能的クラスの何れか)に対して当てはまり、又は各化合物自体に当てはまる。
【0461】
補助的活性化合物も、組成物中に取り込ませることが可能である。ある実施形態において、本発明の抗体又は抗体部分は、TNFα活性が有害であるTNFα関連疾患を治療するのに有用である、1つ又はそれ以上のさらなる治療剤とともに共製剤化され、及び/又は同時投与される。例えば、本発明の抗hTNFα抗体、抗体部分又はその他のTNFα阻害剤は、他の標的を結合する1つ若しくはそれ以上の追加の抗体(例えば、他のサイトカインを結合し、又は細胞表面分子を結合する抗体)、1つ若しくはそれ以上のサイトカイン、可溶性TNFα受容体(例えば、PCT公開WO94/06476を参照)及び/又はhTNFα産生若しくは活性を阻害する1つ若しくはそれ以上の化学的因子(PCT公開WO03/19751に記載されているシクロヘキサンイリデン誘導体など)とともに共製剤化され、及び/又は同時投与され得る。さらに、本発明の1つ又はそれ以上の抗体又は他のTNFα阻害剤は、先述の治療剤の2つ又はそれ以上と組み合わせて使用され得る。このような組み合わせ療法は、投与される治療剤のより低い投薬量を有利に使用し得るので、様々な単独療法に伴って生じ得る毒性又は合併症が回避される。特異的な治療剤は、一般に、以下に論述されているように、治療されている具体的なTNFα関連疾患に基づいて選択される。
【0462】
本発明の治療の複数可変投薬法において、抗体、抗体部分又はその他のTNFα阻害剤と組み合わせることができる治療剤の非限定的な例には、以下の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs);サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAIDs);CDP−571/BAY−10−3356(ヒト化された抗TNFα抗体;Celltech/Bayer);cA2/インフリキシマブ(キメラ抗TNFα抗体;Centocor);75kdTNFα−IgG/エタネルセプト(75kDTNF受容体−IgG融合タンパク質;イムネックス;例えば、Arthritis & Rheumatism(1994)Vol.37,S295;J.Invest.Med.(1996)Vol.44,235Aを参照;55kdTNF−IgG(55kDTNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche);IDEC−CE9.1/SB210396(非枯渇化プライマタイズ(primatized)抗CD4抗体;IDEC/SmithKline;例えば、Arthritis & Rheumatism(1995)Vol.38,S185を参照;DAB486−IL−2及び/又はDAB389−IL−2(IL−2融合タンパク質;Seragen;例えば、Arthritis & Rheumatism(1993)Vol.36,1223)参照;抗Tac(ヒト化抗IL−2Rα;Protein Design Labs/Roche);IL−4(抗炎症性サイトカイン;DNAX/Schering);IL−−10(SCH52000;組換えIL−10、抗炎症性サイトカイン;DNAX/Schering);IL−4;IL−10及び/又はIL−4アゴニスト(例えば、アゴニスト抗体);IL−1RA(IL−1受容体アンタゴニスト;Synergen/Amgen);アナキンラ(Kineret
(R)/Amgen);TNF−bp/s−TNF(可溶性TNF結合タンパク質;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S284参照;Amer.J.Physiol.−Heart and Circulatory Physiology(1995)Vol.268,pp.37−42);R973401(ホスホジエステラーゼIV型阻害剤;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S282参照;MK−966(COX−2阻害剤;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S81参照);Iloprost(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S82参照);メトトレキサート;サリドマイド(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S282参照)及びサリドマイド関連薬(例えば、Celgen);レフノミド(抗炎症性及びサイトカイン阻害剤;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S131;Inflammation Research(1996)Vol.45,pp.103−107参照);トラネキサム酸(プラスミノーゲン活性化の阻害剤;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S284参照);T−614(サイトカイン阻害剤;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S282参照);プロスタグランジンE1(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S282参照);Tenidap(非ステロイド性抗炎症薬;例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S280参照);ナプロキセン(非ステロイド性抗炎症薬;例えば、Neuro Report(1996)Vol.7,pp.1209−1213参照);メロキシカム(非ステロイド性抗炎症薬);イブプロフェン(非ステロイド性抗炎症薬);ピロキシカム(非ステロイド性抗炎症薬);ジクロフェナク(非ステロイド性抗炎症薬);インドメタシン(非ステロイド性抗炎症薬);スルファサラジン(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S281参照);アザチオプリン(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S281参照);ICE阻害剤(酵素インターロイキン1β変換酵素の阻害剤);zap−70及び/又はlck阻害剤(チロシンキナーゼzap−70又はlckの阻害剤);VEGF阻害剤及び/又はVEGF−R阻害剤(血管内皮細胞増殖因子又は血管内皮細胞増殖因子受容体の阻害剤;血管新生の阻害剤);コルチコステロイド抗炎症薬(例えば、SB203580);TNF−コンベルターゼ阻害剤;抗IL−12抗体;抗IL−18抗体;インターロイキン−11(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S296参照);インターロイキン−13(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S308参照);インターロイキン−17阻害剤(例えば、Arthritis & Rheumatism(1996)Vol.39,No.9(補遺),S120);金;ペニシラミン;クロロキン;ヒドロキシクロロキン;クロラムブシル;シクロスポリン;シクロホスファミド;全リンパ系照射;抗胸腺細胞グロブリン;抗CD4抗体;CD5トキシン;経口投与されたペプチド及びコラーゲン;ロベンザリト二ナトリウム;サイトカイン制御因子(CRAs)HP228及びHP466(Houghten Pharmaceuticals,Inc.);ICAM−1アンチセンスホスホロチオアートオリゴデオキシヌクレオチド(ISIS 2302;Isis Pharmaceuticals,Inc.);可溶性補体受容体1(TP10;T Cell Sciences,Inc.);プレドニソン;オルゴテイン;グリコサミノグリカンポリサルファート;ミノサイクリン;抗IL2R抗体;マウス及び植物脂質(魚及び植物種子脂肪酸;例えば、DeLuca et al.(1995)Rheum.Dis.Clin.North Am.J,:759−777参照);アウラノフィン;フェニルブタゾン;メクロフェナミン酸;フルフェナミン酸;静脈内免疫グロブリン;ジレウトン;アザリビン;ミコフェノール酸(RS−61443);タクロリムス(FK−506);シロリムス(ラパマイシン);アミプリロース(テラフェクチン);クラドリビン(2−クロロデオキシアデノシン);メトトレキサート;抗ウイルス剤;及び免疫調節剤が含まれる。上記薬剤の何れもが、本発明の複数可変投薬治療法又は単一投薬治療法を用いて、TNFα関連疾患を治療するために、本発明のTNFα抗体を組み合わせて投与することができる。
【0463】
一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、本発明の治療の複数可変投薬方法を用いて、関節リウマチの治療用の以下の因子の1つと組み合わせて投与される。KDRの小分子阻害剤(ABT−123)、Tie−2の小分子阻害剤;メトトレキサート;プレドニゾン;セレコキシブ;葉酸;硫酸ヒドロキシクロロキン;ロフェコキシブ;エタネルセプト;インフリキシマブ;アナキンラ(Kineret
(R)/Amgen);レフルノミド;ナプロキセン;バルデコキシブ;スルファサラジン;イブプロフェン;メチルプレドニゾロン;メロキシカム;酢酸メチルプレドニゾロン、金チオマレートナトリウム;アスピリン;アザチオプリン;トリアムシノロン・アセトニド;プロポキシフェン・ナプシラート/apap;フォラート;ナブメトン;ジクロフェナク;ピロキシカム;エトドラク;ジクロフェナクナトリウム;オキサプロジン、塩酸オキシコドン、ヒドロコドン二酒石酸塩/apap;ジクロフェナクナトリウム/ミソプロストール;フェンタニル;アナキンラ、ヒト組み換え;塩酸トラマドール;サルサラート;スリンダク;シアノコバラミン/fa/ピリドキシン;アセトアミノェン;アレンドロナートナトリウム;プレドニゾロン;硫酸モルヒネ;塩酸リドカイン;インドメタシン;硫酸グルコサミン/コンドロイチン;シクロスポリン;スルファジアジン;塩酸アミトリプチリン;スルファジアジン;塩酸オキシコドン/アセトアミノフェン;塩酸オロパタジン;ミソプロストール;ナプロキセンナトリウム;オメプラゾール;ミコフェノラート・モフェチル;シクロホスファミド;リツキシマブ、IL−1TRAP;MRA;CTLA4−IG;IL−18BP;ABT−874;ABT-325(抗IL−18);抗IL−15;BIRB−796;SCIO−469;VX−702;AMG−548;VX740;ロフルミラスト;IC−485;CDC−801及びメソプラム。別の実施形態において、本発明のTNFα抗体は、関節リウマチを治療するための上記薬剤の1つと組み合わせて、TNFα関連疾患の治療のための複数可変用量方法を用いて投与される。別の実施形態において、上記さらなる因子は、本発明の単回投薬治療法において、TNFα抗体と組み合わせて使用される。
【0464】
一実施形態において、本発明のTNFα抗体は、TNFα活性が有害であるTNFα関連疾患の治療のための以下の薬剤:抗IL−2抗体(ABT874);抗IL−18抗体(ABT325);LCKの小分子阻害剤;COTの小分子阻害剤;抗IL−1抗体;MK2の小分子阻害剤;抗CD19抗体;CXCR3の小分子阻害剤;CCR5の小分子阻害剤;CCR11小分子阻害剤抗E/Lセレクチン抗体;P2X7の小分子阻害剤;IRAK−4の小分子阻害剤;グルココルチコイド受容体の小分子アゴニスト;抗C5a受容体抗体;C5a受容体の小分子阻害剤;抗CD32抗体;及び治療用タンパク質としてのCD32の1つと組み合わせた複数可変投薬計画を用いて投与される。
【0465】
さらに別の実施形態において、本発明を用いて得られたTNFα抗体は、抗生物質又は抗感染剤と組み合わせて投与され得る。抗感染剤には、ウイルス、真菌、寄生生物又は細菌感染を治療するために、本分野で公知の薬剤が含まれる。本明細書において使用される「抗生物質」という用語は、微生物の増殖を阻害し、又は微生物を死滅させる化学物質を表す。本用語によって包含されるのは、微生物によって産生される抗生物質及び本分野で公知の合成抗生物質(例えば、類縁体)である。抗生物質には、クラリスロマイシン(Biaxin
(R))、シプロフロキサシン(Cipro
(R))及びメトロニダゾール(Flagyl
(R))が含まれるが、これらに限定されない。
【0466】
別の実施形態において、本発明を用いて得られたTNFα抗体は、坐骨神経痛又は疼痛を治療するためのさらなる治療剤とともに投与され得る。坐骨神経痛又は疼痛の症候を低減又は阻害するために使用することができる薬剤の例には、重い酒石酸ヒドロコドン/apap、ロフェコキシブ、塩酸シクロベンザプリン、メチルプレドニゾロン、ナプロキセン、イブプロフェン、塩酸オキシコドン/アセトアミノフェン、セレコキシブ、バルデコキシブ、酢酸メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、リン酸コデイン/apap、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン、メタキサロン、メロキシカム、メトカルバモール、塩酸リドカイン、ジクロフェナクナトリウム、ガバペンチン、デキサメタゾン、カリソプロドール、ケトロラクトロメタミン、インドメタシン、アセトアミノフェン、ジアゼパム、ナブメトン、塩酸オキシコドン、塩酸チザニジン、ジクロフェナクナトリウム/ミソプロストール、ナプシル酸プロポキシフェン/apap、asa/オキシコドン/オキシコドンter、イブプロフェン/重酒石酸ヒドロコドン、塩酸トラマドール、エトドラク、塩酸プロポキシフェン、塩酸アミトリプチリン、カリソプロドール/リン酸コデイン/asa、硫酸モルヒネ、マルチビタミン、ナプロキセンナトリウム、クエン酸オルフェナドリン及びテマゼパムが含まれる。
【0467】
さらに別の実施形態において、TNFα関連疾患は、血液透析と組み合わせた、本発明を用いて得られたTNFα抗体で治療される。
【0468】
別の実施形態において、本発明を用いて得られるTNFα抗体は、本発明の複数可変投薬計画において、クローン病又はクローン関連疾患を治療するために使用される薬物と組み合わせて使用され得る。クローン病を治療するために使用することが可能な治療剤の例には、メサラミン、プレドニソン、アザチオプリン、メルカプトプリン、インフリキシマブ、ブデソニド、スルファサラジン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、ジフェノキシラート/硫酸アトロピン、塩酸ロペラミド、メトトレキサート、オメプラゾール、フォラート、シプロフロキサシン/デキストロース−水、重酒石酸ヒドロコドン/apap、塩酸テトラサイクリン、フルオシノニド、メトロニダゾール、チメロサール/ホウ酸、硫酸ヒヨスチアミン、コレスチラミン/スクロース、塩酸シプロフロキサシン、塩酸メペリジン、塩酸ミダゾラム、塩酸オキシコドン/アセトアミノフェン、塩酸プロメタジン、リン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、セレコキシブ、ポリカルボフィル、ナプシル酸プロポキシフェン、ヒドロコルチゾン、マルチビタミン、バルサラジド二ナトリウム、リン酸コデイン/アセトアミノフェン(apap)、塩酸コレセベラム、シアノコバラミン、葉酸、レボフロキサシン、ナタリズマブ、メチルプレドニゾロン、インターフェロンγ及びサルゴラモスティム(GS−CMF)が含まれる。一実施形態において、クローン病の治療のために、メトトレキサートが、2.5mgから30mg/週の用量で投与される。
【0469】
別の実施形態において、TNFα抗体は、本発明の複数可変投薬計画において、喘息を治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与される。喘息の症候を低減又は阻害するために使用することができる薬剤の例には、以下のもの:アルブテロール、サルメテロール/フルチカゾン、ナトリウム、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾン、キシナホ酸サルメテロール、塩酸レバルブテロール、硫酸/イプラトロピウム、リン酸ナトリウムプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、イプラトロピウム臭化物、アジスロマイシン、酢酸ピルブテロール、プレドニゾロン、テオフィリン無水物、ザフィルルカスト、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、クラリスロマイシン、フマル酸フォルモテロール、インフルエンザウイルスワクチン、メチルプレドニゾロン、三水和物、アレルギー注射、クロモリンナトリウム、セフプロジル;塩酸フェキソフェナジン、フルニソリド/メントール、レボフロキサシン、アモキシシリン/クラブラナート、吸入補助装置、グアイフェネシン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、塩酸マキシフロキサシン、塩酸塩水和物、グアイフェネシン/d−メトルファン、ガチフロキサシン、ペフェドリン/コデイン/クロルフェニル、塩酸セチリジン、フロ酸モメタゾン、キシナホ酸サルメテロール、ベンゾナテート、セファレキシン、pe/ヒドロコドンクロルフェニル、塩酸セチリジン/プソイドエフェドリン、フェニレフリン/cod/プロメタジン、コデイン/プロメタジン、フルニソリド、デキサメタゾン、グアイフェネシン/プソイドエフェドリン、クロルフェニラミン/ヒドロコドン、ネドクロミルナトリウム、硫酸テルブタリン、エピネフリン及びメチルプレドニゾロン、硫酸メタプロテレノールが含まれる。
【0470】
別の実施形態において、本発明のTNFα抗体は、COPDを治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与される。COPDの症候を低減又は阻害するために使用することができる薬剤の例には、硫酸アルブテロール/イプラトロピウム;イプラトロピウム臭化物;サルメテロール/フルチカゾン;アルブテロール;サルメテロール;キシナホ酸;プロピオン酸フルチカゾン;プレドニゾ;テオフィリン無水物;レボフロキサシン;コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;モンテルカストナトリウム;ブデソニド;フマル酸フォルモテロール;トリアムシノロンアセトニド;グアイフェネシン;アジスロマイシン;ベクロメタゾン;ジプロピオン酸;塩酸レバルブテロール;フルニソリド;ナトリウム;三水和物;ガチフロキサシン;ザフィルルカスト;フロ酸;アモキシシリン/クラブラン酸塩;フルニソリド/メントール;クロルフェニラミン/ヒドロコドン;硫酸メタプロテレノール;メチルプレドニゾロン;エフェドリン/コデイン/クロルフェニラミン;酢酸ピルブテロール、エフェドリン/ロラタジン;硫酸テルブタリン;チオトロピウム臭化物;(R,R)−フォルモテロール;TgAAT;シロミラスト及びロフルミラストが含まれる。
【0471】
別の実施形態において、本発明のTNFα抗体は、IPFを治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与される。IPFの症候を低減又は阻害するために使用することができる薬剤の例には、プレドニゾン;アザチオプリン;アルブテロール;コルヒチン;硫酸塩;ジゴキシン;γインターフェロン;コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;フロセミド;リシノプリル;ニトログリセリン;スピロノラクトン;シクロフォスファミド;イプラトロピウム臭化物;アクチノマイシンd;アルテプラーゼ;プロピオン酸フルチカゾン;レボフロキサシン;硫酸メタプロテレノール;硫酸モルヒネ;塩酸オキシコドン;塩化カリウム;トリアムシノロンアセトニド;タクロリムス無水物;カルシウム;インターフェロン−α;メトトレキサート;ミコフェノール酸モフェチルが含まれる。
【0472】
本発明の一実施形態において、TNFα抗体は、脊椎関節症を治療するために一般的に使用される薬剤と組み合わせて投与される。このような薬剤の例には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、Celebrex
(R)、Vioxx
(R)及びBextra
(R)及びエトリコキシブなどのCOX2阻害剤が含まれる。理学療法も、通常、非ステロイド性炎症薬と組み合わせて、脊椎関節症を治療するために一般的に使用されている。
【0473】
別の実施形態において、本発明のTNFα抗体は、強直性脊椎炎を治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。強直性脊椎炎の症候を軽減又は阻害するために使用することが可能な薬剤の例には、イブプロフェン、ジクロフェナク及びミソプロストール、ナプロキセン、メロキシカム、インドメタシン、ジクロフェナク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、スルファサラジン、プレドニゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミノサイクリン、プレドニゾン、エタネルセプト及びインフリキシマブが含まれる。
【0474】
別の実施形態において、本発明のTNFα抗体は、乾癬性関節炎を治療するための更なる治療剤と組み合わせて投与される。乾癬性関節炎の症候を軽減又は阻害するために使用することが可能な薬剤の例には、メトトレキセート、エタネルセプト、ロフェコキシブ、セレコキシブ、葉酸、スルファサラジン、ナプロキセン、レフルノミド、酢酸メチルプレドニゾロン、インドメタシン、硫酸ヒドロキシクロロキン、スリンダク、プレドニゾン、強化されたベタメタゾンジプロピオン酸エステル、インフリキシマブ、メトトレキサート、葉酸塩、トリアムシノロンアセトニド、ジクロフェナク、ジメチルスルホキシド、ピロキシカム、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、メロキシカム、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、トルメチンナトリウム、カルシポトリエン、シクロスポリン、ジクロフェナク、ナトリウム/ミソプロストール、フルオシノニド、硫酸グルコサミン、金ナトリウムチオマレート、ヒドロコドン、重酒石酸塩/apap、イブプロフェン、リセドロン酸ナトリウム、スルファジアジン、チオグアニン、バルデコキシブ、アレファセプト及びエファリズマブが含まれる。
【0475】
一実施形態において、TNFα阻害剤は、本発明の複数可変投薬計画において、冠動脈心疾患を治療するための初期手順の後に投与される。このような手順の例には、冠動脈バイパス術(CABG)及び経皮的冠動脈形成術(PTCA)又は血管形成術が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、狭窄の再発を予防するために、TNFα阻害剤が投与される。本発明の別の実施形態において、再狭窄を予防又は治療するために、TNFα阻害剤が投与される。本発明は、冠動脈心疾患を治療するための処置を受けている対象の動脈中にステントを挿入する前に、同時に又は後にTNFα阻害剤が投与される治療の方法も提供する。一実施形態において、ステントはCABG又はPTCAの後に施される。
【0476】
所望される治療の部位及び性質に応じて、本発明において、様々なステント内挿型人工血管を使用し得る。ステント内挿型人工血管は、例えば、二股又はチューブ人工血管、円筒状又は先細の、自己拡張型又はバルーン拡張型、ユニボディ(unibody)又はモジュール式であり得る。さらに、ステント内挿型人工血管は、ステント内挿型人工血管の遠位末端でのみ、又はステント内挿型人工血管の全体に沿って薬物を放出するように適合させ得る。本発明のTNFα阻害剤は、ステント上に投与することも可能である。一実施形態において、例えば、アダリムマブ/D2E7/HUMIRA
(R)を含むTNFα抗体は、薬物溶出ステントによって投与される。
【0477】
TNFα抗体は、再狭窄を治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与することができる。再狭窄を治療又は予防するために使用することができる薬剤の例には、シロリムス、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ABT−578及びアセトアミノフェンが含まれる。
【0478】
本発明のTNFα抗体は、心筋梗塞を治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与されることができる。心筋梗塞を治療又は予防するために使用することができる薬剤の例には、アスピリン、ニトログリセリン、酒石酸メトプロロール、エノキサパリンナトリウム、ヘパリンナトリウム、クロピドグレル重硫酸塩、カルベジロール、アテノロール、硫酸モルヒネ、コハク酸メトプロロール、ワルファリンナトリウム、リシノプリル、一硝酸イソソルビド、ジゴキシン、フロセミド、シンバスタチン、ラミプリル、テネクテプラーゼ、エナラプリルマレイン酸、トルセミド、レタバーゼ、ロサルタンカリウム、塩酸キナプリル/炭酸マグネシウム(mag carb)、ブメタニド、アルテプラーゼ、エナラプリラート、塩酸アミダロン、塩酸チロフィバンm−ハイドレート、塩酸ジルチアゼム、カプトプリル、イルベサルタン、バルサルタン、塩酸プロプラノロール、フォシノプリルナトリウム、塩酸リドカイン、エプチフィバチド、セファゾリンナトリウム、硫酸アトロピン、アミノカプロン酸、スピロノラクトン、インターフェロン、塩酸ソタロール、塩化カリウム、ドクサートナトリウム、塩酸ドブタミン、アルプラゾラム、プラバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム、塩酸ミダゾラム、塩酸メペリジン、二硝酸イソソルビド、エピネフリン、塩酸ドーパミン、ビバリルジン、ロスバスタチン、エゼチミブ/シンバスタチン、アバシミブ、アブシキシマブ及びカリポリドが含まれる。
【0479】
本発明のTNFα抗体は、狭心症を治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて投与することができる。狭心症を治療又は予防するために使用することができる薬剤の例には、以下のもの:アスピリン、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、アテノロール、コハク酸メトプロロール、酒石酸メトプロロール、ベシル酸アムロジピン、ジゴキシン、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、重硫酸クロピドグレル、ニフェジピン、アトロバスタチンカルシウム、塩化カリウム、シンバスタチン、塩酸ベラパミル、フロセミド、塩酸プロプラノロール、カルベジロール(carvedilo)、リシノプリル、スピロノラクトン、ヒドロクロロチアジド、マレイン酸エナラプリル、マドロール、ラミプリル、エノキサパリンナトリウム、ヘパリンナトリウム、バルサルタン、塩酸ソタロール、フェノフィブラート、エゼチミブ、ブメタニド、ロサルタンカリウム、リシノプリル/ヒドロクロロチアジド、フェロジピン、カプトプリル及びフマル酸ビソプロロールが含まれる。
【0480】
本発明の一実施形態において、TNFα抗体は、C型肝炎ウイルスを治療するために一般的に使用される薬剤と組み合わせて投与される。このような薬剤の例には、インターフェロン−α−2a、インターフェロン−α−2b、インターフェロン−αcon1、インターフェロン−α−n1、PEG化されたインターフェロン−α−2a、PEG化されたインターフェロン−α−2b、リバビリン、PEGインターフェロンα−2b及びリバビリン、ウルソデオキシコール酸、グリチルレチン酸、サイマルファシン、マキサミン及びVX−497が含まれる。
【0481】
TNFα抗体は、乾癬を治療するための、局所コルチコステロイド、ビタミンD類縁体及び局所若しくは経口レチノイド又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。さらに、TNFα抗体は、乾癬の治療のための以下の薬剤の1つと組み合わせて投与され得る。KDRの小分子阻害剤(ABT−123)、Tie−2の小分子阻害剤、カルシポトリエン、プロピオン酸クロベタゾール、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸ハロベタゾール、タザロテン、メトトレキサート、フルオシノニド、強化されたプロピオン酸エステルベタメタゾンジ、フルオシノロン、アセトニド、アシトレチン、タールシャンプー、吉草酸ベタメタゾン、フロ酸モメタゾン、ケトコナゾール、プラモキシン/フルオシノロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フルランドレノリド、尿素、ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール/emoll、プロピオン酸フルチカゾン、アジトロマイシン、ヒドロコルチゾン、保湿処方、葉酸、デソニド、コールタール、二酢酸ジフロラゾン、エタネルセプト、フォラート、乳酸、メトキサレン、hc/ビスマスsubgal/znox/resor、酢酸メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、日焼け止め、サリチル酸、ハルシノニド、アンスラリン、ピバル酸クロコルトロン、石炭抽出物、コールタール/サリチル酸、コールタール/サリチル酸/硫黄、デスオキシキメタゾン、ジアゼパム、皮膚軟化剤、ピメクロリムス/皮膚軟化剤、フルオシノニド/皮膚軟化剤、鉱物油/ひまし油/na lact、鉱物油/落花生油、石油/ミリスチン酸イスプロピル、ソラレン、サリチル酸、石鹸/トリブロムサラン、チメロサール/ホウ酸、セレコキシブ、インフリキシマブ、アレファセプト、エファリズマブ、タクロリムス、ピペクロリムス、PUVA、UVB及び他の光療法並びにスルファサラジン。
【0482】
皮膚症状を治療するために、他の薬剤と組み合わせて、抗体、抗体部分を使用し得る。例えば、本発明の抗体、抗体部分又はその他のTNFα阻害剤は、PUVA療法と組み合わされる。PUVAは、多くの様々な皮膚症状を治療するために使用されるソラーレン(P)と長波紫外線放射(UVA)の組み合わせである。本発明の抗体、抗体部分又はその他のTNFα阻害剤は、ピメクロリムスと組み合わせることも可能である。別の実施形態において、本発明の抗体は、乾癬を治療するために使用され、抗体は、タクロリムスと組み合わせて投与される。さらなる実施形態において、タクロリムスとTNFα阻害剤は、メトトレキサート及び/又はシクロスポリンと組み合わせて投与される。さらに別の実施形態において、本発明のTNFα阻害剤は、乾癬を治療するためのエキシマレーザー治療とともに投与される。
【0483】
皮膚又は爪の疾患を治療するために、TNFα抗体とともに組み合わせることが可能な他の治療剤の非限定的な例には、UVA及びUVB光治療が含まれる。TNFα阻害剤と組み合わせて使用することが可能な他の非限定的な例には、抗体を含む抗IL−12及び抗IL−18治療剤が含まれる。
【0484】
一実施形態において、TNFα抗体は、ベーチェット病の治療において、さらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。ベーチェット病を治療するために使用することができるさらなる治療剤には、プレドニゾン、シクロフォスファミト(シトキサン)、アザチオプリン(イムラン、メトトレキサード、トリメトプリム(timethoprim)/スルファメトキサゾール(バクトリム又はセプトラとも称される。)及び葉酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0485】
上記治療剤の何れの1つも、単独で、又は組み合わせて、TNFαが有害であるTNFα関連疾患に罹患している対象に、本発明の複数可変投薬治療計画を用いて、TNFα抗体と組み合わせて投与することができる。一実施形態において、上記治療剤の何れの1つも、単独で、又は組み合わせて、関節リウマチに罹患している対象に、TNFα関連疾患を治療するためのTNFα抗体の他に投与することができる。さらなる治療剤は、上述のような組み合わせ療法において使用することができるのみならず、有益な効果が望まれる、本明細書において記載されているその他の適応症においても使用され得ることを理解すべきである。
【0486】
本発明は、さらに、限定するもの解釈してはならない以下の実施例によって例示される。本願を通じて引用される全ての参考文献、特許及び公開された特許出願の内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。