【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の意匠パネルは、太陽電池を用いた自照式の意匠パネルにおいて、相互に表裏面となるように重ね合わせられる意匠パネル部と太陽電池パネル部とを有し、それらの意匠パネル部および太陽電池パネル部は、それらの基板の少なくとも一部が透光性を有し、前記意匠パネル部での背面方向への漏光で前記太陽電池が回生発電することを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、太陽電池を用いて、独立して(外部からの給電無しに)、自照(内照)可能な意匠パネルにおいて、本発明の意匠パネルは、意匠パネル部と太陽電池パネル部とを相互に表裏面となるように重ね合わせて構成され、たとえば窓際に配置され、裏(背)面側の太陽電池パネル部のパネル面を窓側に、表(前)面側の意匠パネル部のパネル面を室内側に向けて使用される。
【0008】
したがって、意匠パネル部には任意で精細な意匠を施すことができ、また太陽電池パネル部はそのままで、意匠パネル部だけを変更(交換)するような使い方も可能になる。また、デザイナーや広告主などの要望に応じた様々な態様での使用が可能になり、新たな用途に展開可能になる。なお、前記意匠パネル部は、内部照明を有する構成に限らず、EL素子のように、自発光可能なパネルであってもよく、自照式のパネルであればよい。
【0009】
一方、上述のように相互に表裏面となるように重ね合わせられている意匠パネル部および太陽電池パネル部において、それらの基板の少なくとも一部が透光性を有するように形成され、前記意匠パネル部での背面方向への漏光で前記太陽電池が回生発電する。したがって、意匠パネル部の発光部分で、裏面の基板側に跳ね返り、従来は基板で吸収されて無駄になっていた光を、透光性の基板でさらに裏側に取出し、太陽電池が回生発電するので、発電効率をより向上し、照明を長く点灯させることができる。
【0010】
また、本発明の意匠パネルでは、前記太陽電池は、色素増感太陽電池から成ることを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、前記太陽電池が色素増感太陽電池(DSC)である場合、一般のシリコン太陽電池より低照度での発電効率が高い。したがって、裏側の意匠パネル部から漏れてくる弱い光でも、確実に捉えて回生することができる。また、色素増感太陽電池(DSC)は、一般的に透光性を有するので、発電効率の差はあるが、両面(表裏)いずれからの光でも発電できる。これは、半導体太陽電池には無い色素増感太陽電池(DSC)の特長である。そのため、透光性基板への特別な細工は、意匠パネル部に行うだけでよい。
【0012】
さらにまた、本発明の意匠パネルでは、前記太陽電池は、その受光面の色素の違いおよび/または発電層の厚みの違いによる意匠が形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、前記太陽電池を色素増感太陽電池(DSC)とすることで、色素の違いを利用して、受光面に意匠を形成することができる。また、前記色素増感太陽電池(DSC)では、発電層(一般的には二酸化チタン)の厚み(層数)の差によっても、意匠を形成することができる。
【0014】
また、本発明の意匠パネルでは、前記意匠パネル部は、表面側から、意匠が施された加飾パネルと、照明光を特定部に集光する集光板と、照明光を拡散する散光板と、前記照明光を伝播する導光板と、反射板とを積層して構成され、前記導光板の端縁には発光素子が設けられ、前記導光板は、前記発光素子から入射した照明光が、その厚み方向に反射を繰返して、面方向に伝播してゆくものであり、前記集光板は、局所的に印刷ドットが形成され、そのドット部によって、前記散光板で均一化された光を取出して照明光として前記加飾パネルの背面側から照射し、前記反射板は、前記印刷ドットの領域以外に反射膜が形成されていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、意匠パネル部は、エッジライト式の内照式パネルで構成されるので、該意匠パネルの薄型化が可能になる。さらに、集光板の印刷ドットによって、そのエッジライトの照明光で、加飾パネルを局所的に照明することができ、前記加飾パネルの意匠を効果的に引き立たせることが可能になる。
【0016】
しかも、集光板において、前記意匠部分の局所的な印刷ドットによって前面方向に光路が変換されるが、該集光板から出射されず、表面で反射して前記意匠の照明に寄与しなかった光や、前記印刷ドットによって背面方向に反射されてしまった光は、反射板の反射膜の無い部分から太陽電池に到達するので、前述のように、従来は無駄になっていた光を利用することができる。
【0017】
さらにまた、本発明の意匠パネルでは、前記意匠パネル部は、表面側から、意匠が施された加飾パネルと、照明光を特定部に集光する集光板と、照明光を拡散する散光板と、前記照明光を伝播する導光板と、反射板とを積層して構成され、前記導光板の端縁には発光素子が設けられ、前記導光板は、前記発光素子から入射した照明光が、その厚み方向に反射を繰返して、面方向に伝播してゆくものであり、前記集光板は、局所的に印刷ドットが形成され、そのドット部によって、前記散光板で均一化された光を取出して照明光として前記加飾パネルの背面側から照射し、前記反射板は、前記印刷ドットの領域に反射膜が形成され、前記印刷ドットの領域以外はハーフミラー、スリット、またはピンホールに形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、意匠パネル部は、エッジライト式の内照式パネルで構成されるので、該意匠パネルの薄型化が可能になる。さらに、集光板の印刷ドットおよび反射板によって、そのエッジライトの照明光で、加飾パネルを局所的に照明することができ、前記加飾パネルの意匠を効果的に引き立たせることができるとともに、意匠部分以外の部分はボヤッと浮き上がらせるという視覚効果を得ることができる。
【0019】
しかも、前記意匠以外の部分で、光量を落した照明の残りの光は、反射板のハーフミラー、スリット、または目に見えない程度のピンホールを通して太陽電池に到達するので、無駄になる光を利用することができる。
【0020】
また、本発明の意匠パネルでは、前記意匠パネル部は、表面側から、意匠が施された加飾パネルと、照明光を拡散する散光板と、前記照明光を伝播する導光板と、反射板とを少なくとも積層して構成され、前記導光板の端縁には発光素子が設けられ、前記導光板は、前記発光素子から入射した照明光が、その厚み方向に反射を繰返して、面方向に伝播してゆくものであり、前記反射板は、その全面が、ハーフミラー、スリット、またはピンホールに形成されることを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、意匠パネル部は、エッジライト式の内照式パネルで構成されるので、該意匠パネルの薄型化が可能になる。さらに、そのエッジライトの照明光で、加飾パネルを照明することができ、該加飾パネルの意匠を引き立たせることが可能になる。
【0022】
しかも、反射板は、パターンニングされておらず、その全面が、ハーフミラー、スリット、または目に見えない程度のピンホールに形成されるので、導光板の前面から出射されず、表面で反射した光は、そのまま該反射板の前記ハーフミラー、スリット、またはピンホールを透過して前記色素増感太陽電池(DSC)に到達するので、前述のように、従来は無駄になっていた光を利用することができる。また、意匠の違いに対して、反射板のデザインを共通にすることができ、コストを削減することができる。さらにまた、色素増感太陽電池(DSC)には均等に光を導くことで、発電量を安定させることができるとともに、裏面側では該色素増感太陽電池(DSC)が均等に浮き上がるという視覚効果を得ることができる。
【0023】
さらにまた、本発明の意匠パネルでは、前記加飾パネルは、所望の複数色がハーフトーン印刷されて前記意匠が形成されており、前記発光素子は複数色の光源を有し、印刷色と光源色との組合わせによって、前記意匠が選択的に発光することを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、加飾パネルのカラー印刷と、光源のカラー発光との組合わせによって、光源のカラーに合った色の意匠だけを発光させたり、或いは白色光源を用いることで、全面の意匠を発光させたりすることが可能になる。
【0025】
また、本発明の意匠パネルでは、表裏で一体化された前記意匠パネル部および太陽電池パネル部は、略鉛直に立てた状態で使用され、下部側には、それらを前記立てた状態で支持するための支持部材が設けられ、前記発光素子を点灯させる点灯回路、前記点灯回路を電力付勢する二次電池、および前記太陽電池パネル部で発電された電力を前記二次電池に充電する充電回路が、前記意匠パネル部および太陽電池パネル部の下部側または前記支持部材内に設けられることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、前記の意匠パネルを、表彰、褒彰、顕彰の楯などとして用いることが可能になる。そして、そのような楯において、前記のように加飾パネルを局所的に照明する場合は、たとえば特定のマークや冠の部分だけを光らせることが可能になる。
【0027】
さらにまた、本発明の意匠パネルでは、太陽電池を電源として、その出力電力で発光素子を電力付勢する二次電池または電気二重層キャパシタを充電する充電回路を備え、該充電回路が、前記太陽電池の出力電力を前記二次電池または電気二重層キャパシタに注入するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータの前段に介在され、前記太陽電池の出力電力で充電される蓄電素子と、前記蓄電素子と前記DC−DCコンバータとの間に介在されるスイッチ素子と、前記蓄電素子の充電電圧を監視し、前記充電電圧が予め定める電圧となると、前記スイッチ素子をONさせて、前記蓄電素子の充電電力を前記DC−DCコンバータに給電することで、該DC−DCコンバータを動作させる制御回路とを含むことを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、DC−DCコンバータが前記太陽電池の出力電力を、該意匠パネルの前記自照(内照)のための電源となる二次電池や電気二重層キャパシタに充電するにあたって、DC−DCコンバータは、前記太陽電池の出力電力を電源として、それ自体で自発的に動作してしまうので、太陽電池、特に低照度下で発電可能な色素増感太陽電池には、DC−DCコンバータを接続すると、それによる負荷が大き過ぎて、太陽電池は出力電圧が立上がらず、シャットダウン状態となって有効に電力を取り出せないことがある。
【0029】
そこで、DC−DCコンバータの前段にスイッチ素子を設けて、太陽電池からDC−DCコンバータを完全に切り離せるようにする。一方、太陽電池とスイッチ素子との間には蓄電素子を設けておき、前記太陽電池の出力電力で、先ずその蓄電素子を充電するようにする。太陽電池、特に色素増感太陽電池は、電流源素子であり、その時点の光量に対応した発電電流を絶え間なく流し出し、蓄電素子の充電電圧が、この色素増感太陽電池の開放端電圧に達すると充電を終了する。そして、その蓄電素子は、コンデンサなどの容量性素子であり、光量が多い程早く充電を終了する。そこで、この充電電圧を監視し、その監視結果に応じてスイッチ素子をON/OFFする制御回路を設ける。
【0030】
前記制御回路は、前記充電電圧が、予め定める電圧となるまではスイッチ素子をOFFしてDC−DCコンバータへの入力を遮断させておき、予め定める電圧となるとONさせて、前記蓄電素子の充電電力を該DC−DCコンバータに給電して、該DC−DCコンバータを動作させる。前記予め定める電圧は、前記太陽電池の開放端電圧に近く、DC−DCコンバータにとって効率の良い入力電圧範囲であって、コンデンサなどから成る前記蓄電素子の定格電圧以下とする。
【0031】
したがって、低照度時にDC−DCコンバータが切離されており、かつ直流抵抗値がほぼ無限大のコンデンサなどから成る蓄電素子が接続されていることで、太陽電池の負荷が極限まで軽くなって、前記蓄電素子に前記太陽電池の電流(電荷)が蓄積される。そして蓄電素子の充電電圧が予め定める電圧に立上がると、制御回路は、スイッチ素子をONして、その立上がった電圧でDC−DCコンバータを動作させる。蓄電素子は瞬間的な大電流の供給に適したデバイスであるので、例えDC−DCコンバータの立上げ投入電流が大きくても、問題無く該DC−DCコンバータを立上げることができる。
【0032】
一方、DC−DCコンバータの動作に伴い、蓄電素子の放電が進み、充電電圧が前記予め定める電圧にまで低下すると、制御回路は、スイッチ素子をOFFして、DC−DCコンバータへの給電を停止して動作を停止させるとともに、再び蓄電素子への充電を開始する。
【0033】
これによって、前記予め定める電圧未満の範囲の光量の光エネルギーを取込み、蓄電素子に蓄積されるので、これまで発電に利用できなかった、たとえば室内灯の光のような極低照度の光も利用して、より効率的に太陽エネルギーを取込むことができる。特に、太陽電池を室内に設置した場合において、より効率的に太陽エネルギーを獲得でき、好適である。
【0034】
また、本発明の意匠パネルでは、前記太陽電池が共通接点に接続され、前記蓄電素子が一方の個別接点に接続される切換えスイッチと、前記切換えスイッチの他方の個別接点と前記DC−DCコンバータとを接続するバイパスラインと、照度を監視し、該照度が予め定める閾値以上の高照度であれば前記切換えスイッチを他方の個別接点に接続し、前記閾値未満の低照度であれば前記切換えスイッチを一方の個別接点に接続する照度センサをさらに備えることを特徴とする。
【0035】
上記の構成によれば、DC−DCコンバータの前段に蓄電素子を設けることで、上述のように低照度での発電が可能になるが、蓄電素子を通してしか、DC−DCコンバータは太陽電池の出力電力を取込むことができない。そのため、高照度では、スイッチ素子の切替わり(サイクル)が頻繁になるものの、該スイッチ素子がOFFしている間は、太陽電池の出力電力をDC−DCコンバータに移すことができない。さらに、高照度になると、連続動作状態になり、該スイッチ素子による充電/放電の切替え時間のロスも無視できなくなる。
【0036】
そこで、照度センサによる高照度検知機能を設け、たとえば10,000lux以上の高照度を検知したら、該照度センサは、太陽電池と蓄電素子との間に設けられた切換えスイッチを切替え、バイパスラインを介して、太陽電池の出力電力を直接DC−DCコンバータに与える。これによって、太陽エネルギーの取込みロスを無くすことができる。