(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367296
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】地面の締固め状態を求める方法
(51)【国際特許分類】
E01C 19/28 20060101AFI20180723BHJP
E02D 3/046 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
E01C19/28
E02D3/046
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-233999(P2016-233999)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-106308(P2017-106308A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】10 2015 120 874.1
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508123375
【氏名又は名称】ハム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Hamm AG
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ピストロール
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ・コプフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・フェルケル
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・フィルヴォック
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03599543(US,A)
【文献】
特開2008−050859(JP,A)
【文献】
特開2003−193416(JP,A)
【文献】
特開平08−105011(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0211199(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
E02D 1/00−3/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー回転軸(D)周りに回転可能な少なくとも一つのコンパクターローラー(10)を持つソイルコンパクターを用いて締め固めるべき地面(U)の締固め状態を求める方法であって、該ソイルコンパクターの少なくとも一つのコンパクターローラー(10)には、このコンパクターローラー(10)に前記ローラー回転軸(D)周りに振動しながらの回転運動(O)を引き起こすための振動トルクを生成するために、振動引起し装置が割り当てられている方法において、この方法は以下の措置:
a)前記コンパクターローラー(10)の振動運動(O)の少なくとも一つの周期の間に、第1の方向(H)におけるコンパクターローラー(1)の加速度を表現する第1の加速度値(ah)を繰り返し求める措置であって、前記第1の方向(H)は水平方向(H)にほぼ対応している措置;
b)それぞれ第1加速度値(ah)及び割り当てられた第2加速度値(av)から成る加速度値対(BP)を用意するために、各第1の加速度値(ah)へ割り当てるように、第2の方向(V)における前記コンパクターローラー(10)の加速度を表現する第2の加速度値(av)を求める措置であって、前記第2の方向(V)は垂直方向(V)にほぼ対応している措置:及び
c)少なくとも一つの振動周期について、この振動周期について求められた加速度値対(BP)に基づいて、地面(U)の締固め状態を表現する締固め状態値(FDVK)を、加速度値グラフにおいて、ある振動周期において連続する加速度値対(BP)により形成された加速度値対曲線(K)により囲まれた面積(FL)の面積値として決定する措置であって、該加速度値グラフは、前記第1加速度値(ah)に割り当てられた第1のグラフ軸、及び、前記第2加速度値(av)に割り当てられた第2のグラフ軸により定義される措置;
を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記措置c)において、
− 前記第1のグラフ軸に沿った加速度値対(BP)の順番に基づいて加速度値対スイング(S)が定義され、このとき加速度値対(BP)は交互に、加速度値対(BP)の第1群(G1)及び加速度値対(BP)の第2群(G2)に割り当てられ、第1群(G1)の加速度値対(BP)の加速度値対(BP)が、加速度値対スイング(S)の極大を形成するようにし、及び、第2群(G2)の加速度値対(BP)の加速度値対(BP)が、加速度値対スイング(S)の極小を形成し、
− 加速度値対(BP)の前記第1群(G1)に基づいて、上の包絡線(EO)が求められ、加速度値対(BP)の前記第2群(G2)に基づいて下の包絡線(EU)が求められ、
− 前記面積値はほぼ、前記上の包絡線(EO)と前記下の包絡線(EU)との間に取り囲まれた面積(FL)として決定される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラー回転軸周りに回転可能な少なくとも一つのコンパクターローラーを持つソイルコンパクターを用いて、締固めるべき地面の締固め状態を求める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば道路建設に敷かれたアスファルトなどの地面を締め固めるためにソイルコンパクターが用いられ、ソイルコンパクターは、1以上のコンパクターローラーの接地面重量、及び、それにより締め固めるべき地面上にほぼ垂直にかけられる負荷を介して、地面の圧縮を行い、それにより締固め度を高める。その際、締固め結果を改善するために、ソイルコンパクターの1以上のコンパクターローラーに振動引起し装置を割り当て、周期的な振動トルクを発生させることにより、コンパクターローラーが、振動引起し装置によりによってそれに応じた周期的な振動運動もしくは振動回転運動、つまりローラー回転軸周りに交互の前後往復回転運動を行うことが知られている。コンパクターローラーのこの振動しながらの回転運動は、コンパクターが前進する際に基本的に存在する、コンパクターローラーのローラー回転軸周りの、コンパクターローラーの回転運動に重畳される。
【0003】
特許文献1より、振動トルクの発生により生成された、コンパクターローラーの振動回転運動の、とりわけ、把握されたコンパクターローラー軸の水平加速度の、時間的推移から、締固め度を推論することが知られている。
【0004】
特許文献2には、コンパクターローラーを用いて締め固めるべき地面の締固め度を決定するための方法が開示されている。この方法では、バイブレーション装置により垂直スイング運動を行うコンパクターローラーの垂直加速度を把握する。締固めが増加するとコンパクターローラーの垂直運動が変わるため、コンパクターローラーの垂直加速度の変化は、締め固めるべき地面の締固め状態のための指標として利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第3590610号明細書
【特許文献2】独国特許第3707684号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、地面の締固め状態を求める方法を提供することであり、その方法は、簡単な手段で、締固めプロセス実施中に、締め固めるべき地面の締固め状態の正確な決定可能性をもたらすものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明により、ローラー回転軸周りに回転可能な少なくとも一つのコンパクターローラーを持つソイルコンパクターを用いて締め固めるべき地面の締固め状態を求める方法により解決され、その際、ソイルコンパクターの少なくとも一つのコンパクターローラーには、このコンパクターローラーにローラー回転軸周りに振動しながらの回転運動を引き起こす振動トルクを発生させるための振動引起し装置が割り当てられており、この方法には以下の措置が含まれる:
a)コンパクターローラーの振動運動の少なくとも一つの周期の間、コンパクターローラーの第1の方向における加速度を示す第1の加速度値を繰り返し求める措置、
b)それぞれ第1加速度値及び割り当てられた第2加速度値からなる加速度値対を用意するために、各第1加速度値に割り当てるように、コンパクターローラーの第2の方向における加速度を表現する第2の加速度値を求める措置、
c)少なくとも一つの振動周期について、地面の締固め状態を表現する締固め状態値を、この振動周期について求められた加速度値対に基づいて決定する措置。
【0008】
本発明は、振動しながらの回転運動が引き起こされたコンパクターローラーを用いた締固めプロセスの実行中、コンパクターローラーの転動に重畳された振動回転運動により、コンパクターローラーが、コンパクターローラー自身により生成された窪み内で周期的に上下運動し、その際、加速が、垂直方向に、もしくは、締め固めるべき地面の平面に対してほぼ直角に行われるという認識に基づいている。そのためコンパクターローラーの垂直加速度は周期的に変わり、このとき垂直加速もしくは垂直運動の頻度は、振動運動の頻度の2倍に対応する。それぞれの振動周期の間に生成された加速度値対は全体として、その振動周期について両方の方向における加速度の変化を反映しており、これら加速度値対により、締め固めるべき地面の締固め状態を推論することができる。
【0009】
本発明の方法においては望ましくは、措置c)は、締固め状態値を、加速度値グラフにおいて、ある振動周期内で連続する加速度値対により形成された加速度値対曲線により囲まれた面積の面積値として決定することを含んでおり、このとき加速度値グラフは、第1加速度値に割り当てられた第1のグラフ軸、及び、第2加速度値に割り当てられた第2のグラフ軸により定義される。水平方向における加速度の量は、コンパクターローラーにかかる振動トルクによりほぼ決定され、また、垂直加速度は地面がどれほど固いか、及び、コンパクターローラーが締め固めるべき地面にどれほど強くめり込んでそれにより振動運動において上下運動するかにほぼ依存するため、ある振動周期について把握された加速度値対により定義された加速度値対曲線はある面積を表現しており、その面積の量は地面の締固め状態に依存する。
【0010】
第1の方向は望ましくはほぼ水平方向に相当し、第2の方向は望ましくはほぼ垂直方向に相当する。ここで、本発明において水平方向とは、締め固めるべき地面により広げられた平面に対してほぼ平行である方向として考えることができ、また、垂直方向とは、この地面もしくはこの地面により広げられた平面に対してほぼ直角の方向であると考えることができることを述べておく。
【0011】
加速度値対曲線により包み込まれた面積の量を、簡単な数学的方法を用いて決定できるようにするため、本発明の方法では措置c)においてさらに以下のことを行う:
− 第1のグラフ軸に沿った加速度値対の順番に基づいて加速度値対の振れを定義し、このとき加速度値対は、第1加速度値対群の加速度値対が加速度値対振れの上部頂点領域をほぼ形成し、第2加速度値対群の加速度値対が加速度値対振れの下部頂点領域をほぼ形成するように、第1加速度値対群、及び、第2加速度値対群に割り当てられる;
− 第1加速度値対群に基づいて上部包絡線が求められ、第2加速度値対群に基づいて下部包絡線が求められる;そして、
− 面積値はほぼ、上部包絡線と下部包絡線との間に取り囲まれた面積として決定される。
【0012】
以下に本発明を、図を用いてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コンパクターローラーにより締め固めるべき地面を側方から見た原則的な図である。
【
図2】
図1に図示されたコンパクターローラーの振動周期について、そこで求められた複数の加速度値対、及び、時間的な順番で求められた加速度値対により広げられた加速度値対曲線を示したグラフである。
【
図3】
図2に対応するグラフであって、このグラフでは、加速度値対振れをわかりやすく示すために、振動周期について求められた加速度値対を他の方法で並べ替えたグラフである。
【
図4】
図3における加速度値対の並べ替えに基づいて、加速度値対振れの上部包絡線及び下部包絡線を示したグラフである。
【
図5】本発明の方法を用いて求めた締固め状態値の変化を、締め固めるべき地面の通過回数の増加と共に示したグラフである。
【
図6】本発明の方法を用いて用いた締固め状態値、及び、地面で行われた測定で求められた締固め度の変化を、通過回数にわたって示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1にはソイルコンパクターのコンパクターローラー10を側方から見た原理的な図が示されている。ローラードラム12により取り巻かれた、コンパクターローラー10の内側空間内には、図では見えない振動引起し装置が設けられており、この振動引起し装置は、コンパクターローラーの回転軸Dに平行な軸の周りに回転させるために駆動可能な複数の不平衡質量を有することができる。振動引起し装置により振動トルクを生成し、これにより、コンパクターローラー10が回転軸D周りに振動しながらの回転運動Oを行うことを引き起こす。締固め動作、つまり、ソイルコンパクターの走行方向Fにおける前進運動において、この振動回転運動は、コンパクターローラー10の転動方向Rにおける転動に重畳される。
【0015】
例えばコンパクターローラー10のベアリングシェル14の領域に加速度センサー16、18を設けることができる。このとき加速度センサー16は、コンパクターローラー10の水平方向H、つまり、締め固めるべき地面Uにより広げられた平面に対してほぼ平行な方向における加速度を把握するために構成することができる。加速度センサー18は、垂直加速度a
v、つまり、水平方向Hに対してほぼ直角であり、それにより締め固めるべき地面に対しても直角でありうる垂直方向Vにおける加速度を把握するために構成することもしくは配置することができる。両加速度センサー16、18から提供された出力信号はデータ把握/評価ユニット20に伝達することができる。
【0016】
ここで、加速は、コンパクターローラー10の他の領域、例えばローラードラム12の内側でも起こりうることが指摘でき、その際は、座標変換により水平加速度もしくは垂直加速度をそれぞれ計算しなおす必要がある。
【0017】
水平加速度a
h及び垂直加速度a
vは、振動運動Oのそれぞれの周期の間に複数回把握される。走査頻度は、コンパクターローラー10の振動頻度の少なくとも10倍である必要があり、それにより、振動運動Oの各周期の間に、それぞれ水平加速度a
hを表現する第1加速度値、及び、垂直加速度a
vを表現する第2加速度値を持つ少なくとも10の加速度値対を把握する、もしくは、求める。その際理想的には、それぞれの加速度値対の2つの加速度値は、それぞれ同じ時点で記録された垂直加速度及び水平加速度の値である。
【0018】
締め固めるべき地面Uの上での転動の際、コンパクターローラー10の下には、
図1に図示された窪みMが形成され、窪みMは、走行方向Fにおいてもしくは走行方向Fとは逆においてそれぞれ物質蓄積部A1及びA2により包囲されている。コンパクターローラー10の振動運動において、コンパクターローラー10は、窪みM内で前後往復して振動し、その際、振動トルクにより生成された水平方向Hにおける加速度だけではなく、物質蓄積部A1及びA2での周期的な転がり上がり及び転がり下りによる垂直方向Vにおける加速度も受ける。各振動周期中、コンパクターローラー10は、2つの物質蓄積部A1及びA2のそれぞれにおいて、上に向かって一度、下に向かって一度、運動するため、垂直加速度の頻度は、水平加速度の頻度の2倍に相当する。
【0019】
図2に示されたグラフもしくは座標系では、第1加速度値つまり水平加速度a
hには水平軸が、第2加速度値つまり垂直加速度a
vには、垂直軸が割り当てられている。
図2にはそれぞれの加速度値対B
Pが複数図示されており、各加速度値対B
Pは、水平加速度a
hの値、及び、これに割り当てられた、つまりほぼ同じ時点で記録された垂直加速度a
vの値により表現されている。
図2には、コンパクターローラー10の振動運動Oのある周期における加速度値対B
Pが図示されている。時間的な順番で記録されたもしくは求められた加速度値対B
Pは、その時間的な順番において加速度値対曲線Kを定義しており、加速度値対曲線Kはほぼ、横に寝かせた「8」の字の形をしている。このような形になるのは、すでに述べたように、振動運動Oのある周期の間に、つまり、水平加速度a
hの両極値の間において、2つの周期の垂直加速度が現れる、つまり、垂直加速度の正負の符号が全部で4回交代するためである。
【0020】
締固めプロセスにおいて、締め固めるべき地面Uの締固め度は、ソイルコンパクターによる通過回数と共に徐々に増加する。締固めが増加すると、コンパクターローラー10が地面Uにめり込むことができる程度は低下し、これは、窪みMの深さの低下、及び、物質蓄積部A1及びA2の高さの低下に相当する。窪みの深さ、及び、物質蓄積部A1及びA2の高さが低下すると、地面Uの固さは増加する。窪みMの深さもしくは物質蓄積部A1及びA2の高さも、コンパクターローラー10が振動運動Oを行う地面の固さも、振動運動Oのそれぞれの周期の間に現れる水平加速度a
h及び垂直加速度a
vの値に影響を与える。加速度値対曲線Kにより囲まれた面積は、締固め度が増加すると増加することが分かっており、それはとりわけ、締固めが増加し、それにより地面の固さも増加すると、水平加速度a
hも増加し、それにより横に寝ている「8」の字の幅も広がるからである。そのため、振動運動Oのそれぞれの周期について求められた加速度値対を考慮することにより、とりわけ、
図2の加速度値グラフにおいて加速度値対B
Pもしくは加速度値対曲線Kにより囲まれた面積の量を決定することにより、締め固めるべき地面Uの締固め状態を帰納的に推論することが可能である。
【0021】
この面積は、さまざまな方法で求めることができる。例えば、
図2に図示された加速度値対曲線Kを得るには、加速度値対B
Pを時間的な順番で次々に並べ替えるもしくはつなげるのではなく、例えば、水平加速度a
hの値が最も低い加速度値対から開始して、極小もしくは極大を形成する加速度値対を交互に選び、それにより
図3に示したように、想像上の加速度値対振れSを定義することもできる。その際は、例えば、加速度値対B
Pのその時の順番で、極小、つまり下の頂点領域S
U、及び、極大、つまり上の頂点領域S
Oを定義するための加速度値対B
Pを交互に取り上げることができる。例えば、加速度値対B
Pが時間的な順番で用意されることにより、2つの上の頂点S
Oの間に、自身がそれぞれ下の頂点を定義する加速度値対が2つまたは複数存在するような位置関係が生まれた場合には、加速度値対振れSを求めるという目的のためには、それぞれ、実際に極小を定義する加速度値対B
Pを、もう一方の場合には実際に極大を定義する加速度値対B
Pを、それぞれ取り上げることができる。
【0022】
全体として加速度値対振れSを定義する加速度値対は2つのグループに分けられ、つまり、それぞれ上の頂点領域S
Oを定義する加速度値対B
Pを有するグループG
1と、下の頂点領域S
Uを定義する加速度値対B
Pを有する第2のグループG
2とに分けられる。その際、一番外側にある両方の水平加速度値は好適にはそれぞれ2つのグループG
1及びG
2に割り当てることができる。
【0023】
2つのグループG
1及びG
2にそれぞれ割り当てられた加速度値対B
Pに基づいて、それぞれ相応の数学的方法を用いて、加速度値対振れSの上の包絡線E
O及び下の包絡線E
Uをそれぞれ求める。
【0024】
すると、本発明において締め固めるべき地面Uの締固め状態の指標として求めるべき面積FLの量は、2つの包絡線E
OとE
Uとの間に取り囲まれた面積として計算することができる。そのためには例えば、台形法による数値積分を用いた面積計算を使用することができる。単位がm
2/s
4である面積値は、FDVK値、つまり、ある締固めプロセスにおいて把握もしくは求めることができる、面全体にわたる、動的な締固めコントロールの値を表現している。この値は、扱いやすい、もしくはより良い比較も可能な量を得るために、例えば締固めプロセスのパラメーター、又は、コンパクターローラーの直径又は線荷重、コンパクターローラーの振れる質量又は不平衡モーメントといった機械パラメーターを用いて標準化することができる。
【0025】
図5には、GPS経度で表現された、締め固めるべき地面Uの経度領域について、
図5ではFDVKと表示されている、先述の方法で求められた面積FLの量の変化が示されている。この図から明らかにわかることは、通過回数が増加するにつれて、この値が継続的に上方にずれることである。2つの局所的な領域L
1及びL
2には弱い所が現れており、これらの所は、例えば地面の準備が整っていなかったために本質的な締固めが行われなかった所である。
【0026】
図6には、本発明の方法により記録された面積値FDVKと、標準化された測定方法により求められ、動的な変形係数に対応する値Evdとの比較が図示されている。これら2つの値は通過回数の増加に伴ってほとんど同様の変化をしており、そこから、本発明の方法を用いて、リアルタイムで、つまり、締固めプロセス実行中に、締め固めるべき地面の実際の締固め度を正確に推論するための量を用意できることが分かる。
【0027】
最後に、先に
図2から
図4のグラフもしくは座標系、及びそこに入力された加速度値対 もしくは曲線に関して、面積値を求めることを説明したが、これは実際には、それぞれの加速度値もしくは加速度値対のグラフ内への入力やグラフの評価を必要とするものではなく、数学的な方法に基づいて実行されるものであり、しかしながらそれら数学的な方法は、さまざまなグラフ及びそこに入力された曲線により示すことが可能であるということを述べておく。つまり本発明においては、例えば加速度値対振れの定義は、そのような振れをグラフに描くことを意味するのではなく、もしくはそのことだけを意味するのではなく、相応の、そのような振れを表現する値の点もしくは座標点を決定し、さらなる数学的な加工のために取り上げることを表す。
【符号の説明】
【0028】
10 コンパクターローラー
12 ローラードラム
14 ベアリングシェル
16 加速度センサー
18 加速度センサー
20 データ把握ユニット/評価ユニット
a
h 水平加速度
a
v 垂直加速度
B
P 加速度対
D 回転軸
E
O 上の包絡線
E
U 下の包絡線
FDVK 締固め状態値
FL 面積
G
1 第1グループ
G
2 第2グループ
H 水平方向
K 加速度対曲線
O 振動運動
S 加速度値対スイング
S
O 上の頂点領域
S
U 下の頂点領域
U 地面
V 垂直方向