特許第6367297号(P6367297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367297
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】内部人工器官
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20180723BHJP
【FI】
   A61F2/07
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-234883(P2016-234883)
(22)【出願日】2016年12月2日
(62)【分割の表示】特願2014-554995(P2014-554995)の分割
【原出願日】2013年4月6日
(65)【公開番号】特開2017-60851(P2017-60851A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】61/621,219
(32)【優先日】2012年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ファーステンバーグ、ローラ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】マクロード、クレア エム.
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、シャノン
(72)【発明者】
【氏名】レイ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ラム、サンドラ
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0172760(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0256564(US,A1)
【文献】 特表2006−512099(JP,A)
【文献】 米国特許第6042605(US,A)
【文献】 特表2011−509758(JP,A)
【文献】 特開2012−65825(JP,A)
【文献】 米国特許第6872439(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0021965(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0062927(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0076555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/848
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張状態と非拡張状態とを有する内部人工器官であって、
内面、外面、第1端部、第2端部、前記第1端部から第2端部までの長さ、および前記第1および第2端部を貫通して延びる管腔を有している、ステントと、
前記ステントの外面の少なくとも一部の周囲に配置されたポリマーコーティングであって、基部および前記基部から外側に延びる複数のマイクロピラーを備えており、前記マイクロピラーがマイクロパターンに配列されている、ポリマーコーティングと、を備えており、
前記マイクロピラーが、前記基部から最も離れている凹状端部を有している、内部人工器官。
【請求項2】
前記ポリマーコーティングが前記ステントの外面を部分的に覆っているだけである、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項3】
前記ポリマーコーティングが前記ステントの周囲を部分的に覆っている、請求項2に記載の内部人工器官。
【請求項4】
前記ポリマーコーティングが前記ステントの長さを部分的に覆っている、請求項2に記載の内部人工器官。
【請求項5】
前記ポリマーコーティングが少なくとも1つの細長片である、請求項2に記載の内部人工器官。
【請求項6】
前記少なくとも1つの細長片が、長手方向細長片、周囲細長片、またはらせん状細長片である、請求項5に記載の内部人工器官。
【請求項7】
前記少なくとも1つの細長片が複数の細長片である、請求項5に記載の内部人工器官。
【請求項8】
前記少なくとも1つの細長片が、互いに離間された複数の細長片である、請求項5に記載の内部人工器官。
【請求項9】
前記ポリマーコーティングが、前記ステントの内面を少なくとも部分的に覆っている、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項10】
前記マイクロパターンが前記マイクロピラーの矩形アレイである、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項11】
前記マイクロピラーが円柱状である、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項12】
各マイクロピラーが直径および高さを有しており、高さの直径に対する比が1〜1.3である、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項13】
隣り合ったマイクロピラーが一定の距離をおいて離間しており、前記距離の直径に対する比が2.1〜2.4である、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項14】
前記直径が14μm〜18μmである、請求項1に記載の内部人工器官。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ステントは体内管腔(body lumen)内に導入される医療装置であり、当業においてよく知られている。ステントは非拡張状態で体内管腔の所望の位置に送達され、次いで内部の半径方向の力(internal radial force)によって拡張される。以下においては一括してステントと称するステント、グラフト、ステント−グラフト、大静脈フィルタ、拡張可能な骨組(expandable frameworks)および同様の植込み型医療装置は、半径方向に拡張可能な内部人工器官に含まれ、そのような内部人工器官は、経管的に植え込むことができる脈管内インプラントとして用いられている。
【背景技術】
【0002】
食道用ステントは様々な悪性疾患および非悪性疾患に罹患した患者を治療するために用いられてきた。最も一般的には、食道用ステントは食道癌の治療に関係する。食道用ステントはまた、食道を閉塞するように大きくなる食道以外の腫瘍(non−esophageal tumors)から生じる症状を軽減するため、および難治性狭窄、瘻管および穿孔を含むが、これらに限定されない良性食道疾患を治療するために用いられている。そのような場合の各々において、食道用ステントは食道壁に対して機械的支持を提供し、管腔の開通性を維持し得る。食道用ステントは、食道の構造および蠕動のような状況のためにステント移動を生じやすい。
【0003】
ステント移動の危険性を低減する1つの方法は、ステントの地金部分を食道組織に露出させることであった。ステントの開放した編組構造は、ステントへの組織内殖を促進する足場を提供し得る。この組織内殖はステントを適所に固定することを支援し、移動の危険性を低減し得る。しかしながら、場合によっては、組織内殖は食道の再閉塞をもたらすことが知られている。加えて、組織内殖によって固定された食道用ステントは、侵襲的処置なしでは、移動させたり、または除去したりすることができない。組織内殖を低減するためには、ステントを管腔と食道壁との間に物理的障壁を生成する(例えば、ポリマーからなる)コーティングによって被覆してきた。しかしながら、状況によっては、そのようなステントは、地金の相当物と比較して、許容できない移動発生率(occurrence
of migration)を有し得る。
【0004】
ステント移動の危険性を低減する別の方法は、食道内においてフレア状ステント(flared stent)を用いることであった。しかしながら、フレア部を有するステントは許容できない移動発生率を有し得る。
【0005】
例えば、改良された移動抵抗性、改良された食道壁に対するステントの癒着、および/または改良された抜去性(removability)を有する改良されたステントが望まれている。(特許文献1)および(特許文献2)において検討されているような以前の気管ステントは、ステント自体に組み込まれた隆起または他の表面構造(surface features)を組み込んでいる。上記特許文献は、参照により、余すところなく本願に援用される。共有の(co−owned)(特許文献3)に記載されている別の気管ステントは、前記ステントの外面上に複数の表面突起を備える。前記特許文献は、参照によって余すところなく本願に援用される。
【0006】
本開示の範囲を限定することなく、権利請求される実施形態のうちのいくつかの概要を以下に述べる。本開示の要約した実施形態および/または本開示の付加的な実施形態のさらなる詳細は、以下の発明の詳細な説明に見られ得る。本明細書における技術的な開示の簡単な要約書も提供する。前記要約書は、特許請求の範囲の解釈のために用いられるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0069425号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0062927号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0035715号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、好ましくはポリマーコーティングがマイクロパターンに配列された突起のような多数の表面構造を有している人工器官を提供する。本願においてマイクロパターンとは、マイクロスケール構造(micro−scale features)(例えばマイクロピラーのような突起)の規則的または不規則なアレイを備え得る。一般に、マイクロスケール構造は、約1マイクロメートル〜約999マイクロメートルの範囲にある寸法(例えば長さ、幅または高さ)を有する構造(feature)を意味する。本願において、文脈上他に示されていない限り、マイクロスケール構造は(例えば、基部から延びる)マイクロピラーと称される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくとも一実施形態において、拡張状態および収縮状態を有する内部人工器官は、ポリマーコーティングが外面に付着したステントを備える。ステントは管腔を画定する内面を有する。少なくとも一実施形態において、ステントはフレア状ステントである。ポリマーコーティングは、基部と、基部から外側に延びる複数の突起(例えばマイクロピラーなど)とを備える。少なくとも一実施形態において、突起はマイクロパターンに配列されている。内部人工器官が管壁(vessel wall)によって画定された管腔内において拡張状態に拡張されると、マイクロピラーは、管壁と内部人工器官との間に噛み合い(interlock)を生じる力を作用させる。
【0010】
何らかの理論に拘束されることを望むものではないが、組織は、1つ以上の機構の結果として、マイクロパターン化されたコーティング(以下「マイクロパターン化コーティング」と称する)に係合し得る。例えば、組織は、1つ以上のマイクロピラーのまわり、および/または、それらの間において成長することによって、1つ以上のマイクロピラーを有するマイクロパターン化コーティングと噛み合う。1つ以上の実施形態において、例えば、粘膜付着性ゲルを含み得るマイクロパターン化コーティングと、それに接触した組織との間に化学結合機構が形成される。1つ以上の実施形態において、組織の適当な幾何学的形状を有するマイクロパターンとの係合は、ファンデルワールス結合による近接引力(proximity attraction)によるものであってもよい。
【0011】
マイクロパターンは、ステントを組織と効率よく噛み合わせるために特定の組織に対して特異的に設計されている。少なくとも一実施形態において、マイクロパターンは内部人工器官の少なくとも一部に沿って存在する。少なくとも一実施形態において、マイクロパターンの突起は一様であり得るか、またはマイクロパターンは、第1形態を有する突起と、少なくとも第2形態を有する突起とから形成され得る。
【0012】
突起はマイクロピラーであり、円柱、長方形の底面を有する角柱(rectangular prisms)および類似の構造のうちから選択される。少なくとも一実施形態において、マイクロパターンの突起は円柱状マイクロピラーであり、各円柱状マイクロピラーは直径および高さを有し、各円柱状マイクロピラーの直径はその高さに等しい。少なくとも一実施形態において、円柱状マイクロピラーは外側面(lateral surface)を有し、円柱状マイクロピラーの外側面は、隣り合ったマイクロピラーの外側面から、円柱状マイクロピラーの直径を超える距離だけ離れている。少なくとも一実施形態において、マイクロパターンは格子パターンである。
【0013】
少なくとも一実施形態において、マイクロパターンの各突起は、第1寸法および第2寸法を有する。第1寸法は、約1μm〜999μm(例えば約1μm〜100μm)であり、第2寸法は、約1μm〜999μm(例えば約1μm〜100μm)である。各突起は隣り合った突起から一定の距離だけ離間されている。この距離と第1寸法との間の比は、約2.1〜2.4である。少なくとも一実施形態において、各突起は、約1〜1.3である第1寸法と第2の寸法との間の比を有する。
【0014】
少なくとも一実施形態において、内部人工器官は、例えばステントの遠位端部の回収ループによって回収可能である。
内部人工器官の実施形態を製造するいくつかの方法が提供される。1つの製造方法は、ポリマーコーティングを形成することと、ポリマーコーティングは、基部と、マイクロパターンにある基部から外側に延びる複数の突起とを備えることと、管腔を画定する内面と、外面とを有するステントを提供することと、ポリマーコーティングの基部をステントの外面に付着させることとを含む。ポリマーコーティングは、マイクロパターンの反転形状を有する型を用いて、型にポリマー材料を注入し、場合によりポリマー材料が硬化する前に型に温度または圧力を適用して、またはソフトリソグラフィ技術を用いて、またはポリマー材料の層からポリマーコーティングをエッチングすることによって、形成される。少なくとも一実施形態において、基部の表面およびステントの外面のうちの少なくとも一方に接着剤層が施される。少なくとも一実施形態において、ポリマーコーティングは管状構造物として形成される。1つ以上の実施形態において、ポリマーコーティングは、ステントの外面のまわりに巻き付けられる(例えば、らせん状に巻き付けられる、周方向に巻き付けられる、無作為に巻き付けられる等)細長片に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の内部人工器官の平面図。
図2図1に示した内部人工器官の断面図。
図3図1に示した内部人工器官のポリマーコーティングの拡大図。
図4図3に示したポリマーコーティングの一部の断面図。
図5】ポリマーコーティングの実施形態の一部の断面図。
図6】ポリマーコーティングの実施形態の一部の断面図。
図7】ポリマーコーティングの実施形態の一部の断面図。
図8A図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8B図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8C図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8D図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8E図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8F図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8G図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8H図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8I図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図8J図3図6に示したポリマーコーティングのマイクロピラーの断面図。
図9A図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9B図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9C図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9D図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9E図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9F図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9G図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9H図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9I図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図9J図3に示したポリマーコーティングの実施形態の平面図。
図10A】本開示のポリマーコーティングの実施形態を示す図。
図10B】本開示のポリマーコーティングの実施形態を示す図。
図10C】マイクロパターンを形成するマイクロピラーのアレイの実施形態を示す図。
図10D】マイクロパターンを形成するマイクロピラーのアレイの実施形態を示す図。
図10E】マイクロパターンを形成するマイクロピラーのアレイの実施形態を示す図。
図11】内部人工器官を製造する1つの方法の間におけるステントおよびポリマーコーティングを示す図。
図12】内部人工器官を製造する1つの方法の間におけるステントおよびポリマーコーティングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の主題は多くの異なる形態で具体化され得るが、ここでは本開示の特定の好ましい実施形態について詳細に記載する。この記載は、本開示の原理の例示であり、本開示を示した特定の実施形態に限定するようには意図されない。
【0017】
この開示において、図中の同一参照数字は、別段の指示がない限り、同一の特徴を指すものとする。
本開示は、医療装置において使用するためのマイクロパターン化ポリマーコーティングに関する。いくつかの実施形態において、マイクロパターン化ポリマーコーティングは、ステントのような植え込み型医療装置とともに用いられ、特に、食道用ステント、胆管用ステントおよび大腸用ステントを含むが、これらに限定されない胃食道系において用いられるステントのステント移動を低減または防止する。本願に記載するステントは、気管、心臓血管系および体内の他の箇所(例えば任意の体内管腔)において用いられてもよい。
【0018】
図1および図2は、近位端部22および遠位端部24を有する本開示の食道用内部人工器官20を示している。内部人工器官20は、拡張型ステント(expandable stent)40と、ポリマーコーティング50とを備える。拡張型ステント40は、自己拡張型(self−expanding)、バルーン拡張型(balloon expandable)、またはハイブリッド拡張型(hybrid expandable)である。拡張型ステント40の実施形態は、本体および/または端部において、一定の直径、テーパー部、フレア部、および/または直径の他の変化を有するステントを企図する。拡張型ステント40は、内面42、外面44、第1端部46および第2端部48を有し、ポリマーコーティング50は外面44の少なくとも一部のまわりに配置されている。少なくとも一実施形態において、ポリマーコーティング50は、拡張型ステント40の外面44全体をほぼ被覆する。他の実施形態において、ポリマーコーティング50は、拡張型ステント40の外面44の一部を被覆する。図2に示したように、ポリマーコーティング50は、拡張型ステント40の外面44に直接結合される。1つ以上の実施形態において、ポリマーコーティング50は、該コーティングを装置に付着させる接着剤または他の手段を用いて、拡張型ステント40の外面44に結合される。少なくとも一実施形態において、ポリマーコーティングは、少なくとも部分的に内面42も被覆する。少なくとも一実施形態において、部分的な被覆は、周および/または長さの部分的な被覆を含む。
【0019】
図2および図3に示す少なくとも一実施形態において、ポリマーコーティング50は、基部52と、基部52から外側に延びたマイクロピラー54のような複数の突起とを備える。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーは、コーティングの基部に継ぎ目なく組み込まれている。少なくとも一実施形態において、基部52は拡張型ステント40と境界を共有する。「境界を共有する(coterminous)」とは、ポリマーコーティング50の基部52と拡張型ステント40とが同一の境界を有し、同一の領域を被覆し、範囲が同一であることを意味する。換言すると、拡張型ステント40および基部52は、各々、第1端部と第2端部とを有し、拡張型ステント40および基部52は、それらの第1端部と第2端部との間に延在する。拡張型ステント40の第1端部は基部52の第1端部と同一であり、拡張型ステント40の第2端部は基部52の第2端部と同一である。拡張型ステント40および基部52はそれらの第1端部と第2端部との間に延在するため、拡張型ステント40と基部52とは同一の境界を有し、同一の領域を被覆し、範囲が同一である。よって、基部52と拡張型ステント40とは境界を共有する。従って、拡張型ステント40と基部52とは、少なくとも一実施形態において境界を共有する。また、基部52は少なくとも一実施形態において管状である。
【0020】
いくつかの実施形態において、図3図7に示すように、マイクロピラーは、円柱(図3)、矩形または多角形の底面を有する角柱(図4)、角錐(図5)、隆起(図6)であるか、または円形、正方形、多角形などの断面を画定しない、多数の表面上に複数の隆起および隆条を有する従来とは異なる(non−traditional)形状を有する(図7)。各マイクロピラーは、円形断面(図8A)、正方形断面(図8B)、矩形断面(図8C)、星型断面(図8D)および六角形断面(図8E)、五角形断面(図8F)、七角形(図8G)、八角形断面(図8H)、九角形断面(図8I)、十角形断面(図8J)、他の多角形断面、または従来とは異なる形状の断面を有し得る。各断面は、基部の外面とピラーの端部との最大距離である第1寸法hと、(例えばピラーの)2本の対辺間の最大距離である第2寸法dとを有する。例えば、円形断面において第2寸法dは直径であり、正方形においてdは2本の辺間であり、矩形において主要寸法は2本の短辺間であり、星型において主要寸法は2つの頂点間であり、六角形において主要寸法は2つの対向頂点間である。いくつかの実施形態において、第2寸法dは2本の対辺の中間点間である。少なくとも一実施形態において、半径方向に切断したマイクロピラーの断面は少なくとも4本の辺を有する。本開示の実施形態は、すべて等しい長さの辺、等しい長さの辺と等しくない長さの辺との組み合わせ、またはすべて等しくない辺を有する多角形断面を企図する。本開示の実施形態は、従来の形状(例えば円形、正方形、矩形、六角形、多角形など)と、少なくとも周の一部が曲線である周を有する従来とは異なる形状とを含む多数の断面形状の多数のピラーを企図する。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーは中実構造物であるが、他の実施形態では、マイクロピラーは中空構造物であり得る。少なくとも一実施形態において、各マイクロピラーは一定の断面を有するが、他の実施形態ではマイクロピラーは可変断面を有する。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーは基部から垂直に延びている(例えば図4)。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーは基部から非垂直の角度で延び(例えば図5)、マイクロピラーの上面58の幾何学的中心57(図3を参照)はマイクロピラー(例えば図5)によって被覆される基部の領域の幾何学的中心から側方に偏倚されている。図5において、側断面の幾何学的中心を通って延びるマイクロピラー54の長手軸線は、基部52に対して90度未満の角度を形成する。少なくとも一実施形態において、複数のマイクロピラー54は1つ以上の特定のマイクロパターンに配列され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、マイクロパターンは、内部人工器官と管壁との間の摩擦係合または噛み合いの強度に影響を与え得る。同様に、マイクロパターンは、内部人工器官のマイクロピラーと組織との間における所望の摩擦係合または噛み合いに依存する。このため、少なくとも一実施形態では、特定用途(例えば植え込み部位、生物学的組織、所望の組織係合特性など)に適したマイクロパターンの幾何学的形状および寸法を有する特定の微細構造が選択される。
【0021】
本願に記載するマイクロピラーまたは孔の表面構造(例えば図6の隆起、図7の隆起および隆条など)は、1つ以上のマイクロスケールまたはナノスケール(例えば約1ナノメートル〜約999ナノメートル)の寸法を有してもよいことに留意すべきである。
【0022】
少なくとも一実施形態では、マイクロパターン内のマイクロピラーはすべて同一の形状を有しており、他の実施形態では、マイクロピラーはポリマーコーティングに沿って形状が変化する。よって、少なくとも一実施形態において、マイクロパターンは、マイクロピラーが第1形態を有する部分と、マイクロピラーが第2形態を有する部分とを備えることができる。さらに、実施形態は、1つのみのマイクロパターンを有するポリマーコーティング、または多数のマイクロパターンを有するポリマーコーティングを含む。よって、単一のステントを用いるときに、ポリマーコーティングを体内管腔(例えば血管など)の特定の構造的特性に適合させることができ、所望の摩擦係合または噛み合いが得られる。
【0023】
少なくとも一実施形態において、寸法dは1μm〜100μmである。少なくとも一実施形態において、寸法dは約14μm〜18μmである。少なくとも一実施形態において、寸法dは少なくとも寸法hに等しい。少なくとも一実施形態において、hのdに対する比は約1〜1.3である。少なくとも一実施形態において、2つの隣り合ったマイクロピラーは距離sだけ離間されている(図3に図示)。少なくとも一実施形態において、間隔sの寸法dに対する比は約2.1〜2.4である。
【0024】
いくつかの実施形態において、基部の外面から最も遠く離れた、マイクロピラー54のような突起の端部は、組織の付着を向上するような形状に形成される。1つ以上の実施形態において、そのような端部は、テーパーをなしている、尖っている、丸みを帯びている、凹状である、凸状である、鋸歯状である、または解されている(frayed)ことができる。各突起(マイクロピラー54)の両端は、マイクロピラー54よりさらに小さいスケールの複数のピラーを備えることができる。
【0025】
少なくとも一実施形態において、マイクロピラー54のような突起はまた、平滑面、粗面55a(図9A)、マイクロピラーの表面から外側に延びる複数の隆起55b(図9B)、マイクロピラーの表面から内側に延びる複数の凹部55c(図9C)、マイクロピラーの表面上に位置する複数の隆条55d(図9D)、突起の残部よりも柔軟であるか、または硬質である、突起の端部またはその近くに位置する先端部(tip)55e(図9E)、解れた先端部55f(図9F)、凸状(例えば、丸味を帯びた)先端部(図9G)、フレア状(例えば平坦な上面)先端部(図9H)、凹状(例えば、丸味を帯びた)先端部(図9I)、基部52と先端部との間に延びるマイクロピラーカラムの寸法dより大きい第1寸法dtを有する先端部(図9J)のような構造、および内部人工器官に望ましい把持性(gripping)、剛性、または可撓性の特性を与え得る他の構造、並びにそれらの構造の任意の組み合わせを備えることができる。少なくとも一実施形態において、先端部55eは突起の残部とは異なる材料を含む。
【0026】
図3は、ポリマーコーティング50の拡大図を示している。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーは、各々、直径dと、基部52の外面56から円柱の上面58までを測定した高さhとを有する円柱である。少なくとも一実施形態において、直径dは、1μm〜150μm(例えば、1μm〜100μm、1μm〜50μm、1μm〜20μmなど)である。少なくとも一実施形態において、直径dは約14μm〜18μmである。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーの直径dは、少なくともその高さhに等しい。少なくとも一実施形態において、マイクロピラー54の高さhのマイクロピラーの直径dに対する比は、約1〜1.3である。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーは外側面59をそれぞれ有する。少なくとも一実施形態において、2つの隣り合ったマイクロピラーは離間されている。マイクロピラーは、体内管(bodily vessel)の組織がピラー間の空き空間(negative space)(例えば空所)を充填することができるように、十分に離間されていることが望ましい。間隔が小さすぎる場合には、組織が実際に噛み合うことができないことがある。少なくとも一実施形態において、マイクロピラー間の間隔は、体内管の組織の特定の種類に依存する(例えば、それに基づいて選択され得る)。少なくとも一実施形態において、1つのマイクロピラーの中心57と隣り合ったマイクロピラーの中心57との間で測定される間隔sは、1つのマイクロピラーの直径dよりも大きい。少なくとも一実施形態において、間隔sの直径dに対する比は約2.1〜2.4である。
【0027】
少なくとも一実施形態において、マイクロピラーはマイクロパターン内において等距離に離間されている。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーのマイクロパターンは矩形アレイ(例えば図3図10C)である。少なくとも一実施形態において、マイクロパターンは、格子パターン(例えば図10C図11におけるような正方形アレイ)である。少なくとも一実施形態において、マイクロパターンは、正n多角形のアレイ(例えば図10D図10Eにおける六角形アレイ)であり、マイクロピラーは多角形の中心に存在してもよいし(例えば図10C図10Dなど)、または多角形の中心に存在しなくてもよい(例えば図10E)。換言すると、マイクロパターンにおいて、マイクロピラーは、マイクロパターンの行および列に配列され、行および列は直交してもよいし、または直交しなくてもよい。例えば、図10Cのマイクロパターンは、直交する行および列を備えるが、図10Dおよび図10Eのマイクロパターンは直交しない行および列を備える。1つ以上の実施形態において、各マイクロピラーは長手軸線を有し、マイクロピラーは、内部人工器官の軸線方向(例えば、ステントの長手軸線に平行な行に配列される)および周方向(例えば、ステントの長手軸線を中心として周方向に延びる行に配列される)のうちの少なくとも一方に、軸線方向において整列されている。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーのマイクロパターンは、この段落に記載した特徴のうちのいずれか、またはすべてを備える。いくつかの実施形態において、図10Aおよび図10Bに示した実施形態のように、マイクロパターンは、基部52全体ではなく、基部52の一部のみを被覆してもよい。図10Aに示したように、マイクロピラーのマイクロパターンは基部52上にらせん状に配置されてもよい。1つ以上の実施形態において、図10Bに示したように、マイクロパターンが「窓ガラス」のような形態を形成するように、第1マイクロパターンは基部52に沿って長手方向に配置されてもよく、第2マイクロパターンは基部のまわりに周方向に配置される。図10Bに示したように、(例えば、ステントの長手軸線に平行な)行に配列されたマイクロピラーは、連続した行であってもよいし、または(例えば、sより大きな寸法を有する隙間によって分離された行セグメントに整列された)不連続な行であってもよく、不連続部の長さは任意の長さ(例えば寸法sの2倍以上)を有し得る。例えば、図10Bに示した実施形態は、窓ガラスを横切って延びる不連続な行(および周方向に配向された列)を示しており、その不連続部の長さは寸法s(図3を参照)の5倍であるが、一方、図10Eに示した実施形態は、不連続部の長さが寸法s(図3を参照)の2倍である不連続な行(および非垂直に配向された列)を示している。図3に示した寸法sに関して、行および/または列の不連続部は任意の長さ(例えば、sの少なくとも2倍、sの少なくとも5倍、sの少なくとも10倍、sの少なくとも50倍、sの少なくとも100倍、sの少なくとも500倍、sの少なくとも1000倍など)を有し得る。
【0028】
ポリマーコーティング50に用いられる材料に関して、材料は組織との有効な噛み合いを生じるのに十分なほど可撓性であり、かつ、ポリマーコーティング50を生成するための処理に耐えられることが重要である。許容可能な材料の例としては、可撓性シリコーン、ヒドロゲル、粘膜付着性基材(mucoadhesive substrate)、感圧接着剤、および合成ゴムのような他の適当なエラストマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の許容可能な材料としては、任意の可撓性で、生体適合性かつ非生物分解性のポリマーが挙げられる。少なくとも一実施形態において、(例えば、マイクロピラー54を有する)ポリマーコーティング50は、生化学的方法で組織壁に係合することができるタンパク質を含有する。少なくとも一実施形態において、ポリマーコーティング50は少なくとも1種の治療薬を含有してもよい。他の実施形態では、治療薬を含有するポリマーコーティング50に付加的なコーティングが施されてもよい。治療薬は、非遺伝子薬(non−genetic agents)、遺伝子薬(genetic agents)、細胞物質などのような薬剤または他の医薬品であり得る。適切な非遺伝子治療薬の一部の例としては、ヘパリンおよびヘパリン誘導体のような抗血栓薬、脈管細胞増殖促進剤、増殖因子阻害剤、パクリタキセルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。薬剤が遺伝子治療薬を含む場合、そのような遺伝子薬としては、DNA、RNA、およびそれらの各誘導体および/または各成分、並びにヘッジホッグタンパク質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。治療薬が細胞物質を含む場合、その細胞物質としては、ヒト由来および/または非ヒト由来の細胞、並びにそれらの各成分および/または各誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
好ましい実施形態において、マイクロピラー54および基部52は同一の材料から形成されている。1つ以上の実施形態において、マイクロピラー54は1つの材料から形成されており、基部52は異なる材料から形成されている。1つ以上の実施形態において、マイクロピラー54は材料の層によって形成されており、これらの層は、内部人工器官の管壁との所望の摩擦係合に必要とされる特性に応じて、同一の材料であってもよいし、または異なる材料であってもよい。
【0030】
内部人工器官20は、患者の管腔内に挿入されたときの組織壁との摩擦係合が向上したことで、ステントの除去が、いくつかの従来の除去技術ではより困難になることがある。図1に示した少なくとも一実施形態では、内部人工器官20は、ステントの一端上に縫合糸または除去ループ55を備える。少なくとも一実施形態において、除去ループ55はステントの遠位端部上に備えられている。本願において「遠位」という用語は本開示の装置の操作者から離れる方向を指し、一方、「近位」という用語は本開示の装置の操作者に向かう方向を指す。縫合糸または除去ループは内部人工器官を除去するために当業においてよく知られているが、典型的には、縫合糸または除去ループは、ステントの近位端部上、換言すると、施術者に最も近い端部上に備えられている。本願では、縫合糸または除去ループは内部人工器官の反対の端部に付けられている。少なくとも一実施形態において、施術者が内部人工器官の内部からループを把持し、ループに軸線方向の力を作用させることによって、内部人工器官の遠位端部は内部人工器官自体の管腔を通って引っ張られる。よって、ステントが裏返しに反転されながら、マイクロピラーは管壁から剥がされて、内部人工器官を除去する。他の実施形態において、施術者は、内部人工器官の外側から、または内部人工器官の端部において、ループを把持してもよい。
【0031】
内部人工器官20を製造するために、いくつかの方法を用いることができる。ポリマーコーティング50は、ステントとは別々に成形され、次いで、内部人工器官の外面とポリマーコーティングの基部との間に位置する接着剤層60によってステントに付着される。マイクロパターンの反転形状(inverse)を有する型にポリマー材料を注入して、ポリマーコーティングを生成することができる。また、真空ポンプシステムを用いて、ポリマー材料を、型を介して引き抜くこともできる。少なくとも一実施形態において、ポリマーコーティングはソフトリソグラフィ技術を用いて生成される。1つ以上の実施形態において、エッチング技術を用いてコーティングを生成することができる。この場合、コーティング材料の層から材料を除去して、ポリマーコーティング50のマイクロパターンを生成する。さらに別の実施形態では、熱エンボス加工(hot embossing)と呼ばれる技術を用いることができる。この技術は、部分的に硬化したポリマーにポリマーコーティングの所望形状を型押し(stamping)し、次いで、ポリマーをステントに適用する前に硬化させることを含む。型押しは、溶媒の使用を含んでも、含まなくてもよい。
【0032】
少なくとも一実施形態において、図11に示すように、コーティング50は、その基部によって画定された管腔を有するほぼ管状の構造物として成形される。ステントまたはコーティングの基部の内面の少なくとも一部のいずれかに接着剤層60が施される。少なくとも一実施形態において、接着剤層60は、コーティングの基部の内面全体をほぼ被覆する。ステント40はコーティング50の管腔内に挿入される。少なくとも一実施形態において、コーティング50の接着剤層60を介したステント40に対する適切な接着を保証するために、熱および/または圧力が加えられてもよい。接着剤層は、コーティングが金属ステント(あるいはその上のステントコーティング)に付着することを可能にするシリコンコーティング、他の適当な接着剤またはプライミング溶液を含有し得る。1つ以上の実施形態において、図12に示すように、コーティング50は、管状構造物として成形されるのではなく、ステント40の外面44に付着される細長片として成形される。いくつかの実施形態において、細長片は、ステントの周方向の周の少なくとも一部のまわりに周方向に取り付けられる周囲細長片(perimeter strips)として適用される。いくつかの実施形態において、細長片は、ステントに対して長手方向に取り付けられた長手方向細長片である。いくつかの実施形態においてステントは、図12に示すように、ステントのまわりにらせん状に巻き付けられる。いくつかの実施形態において、コーティングは単一の細長片または多数の細長片として適用される。コーティングが多数の細長片として適用される場合、直接隣り合った細長片は互いに当接してもよいし、または互いから離間されていてもよい。少なくとも一実施形態において、細長片は、ステントの長さに沿って延びるが、ステントの周囲の一部のみを被覆する部分的な管状構造物であってもよい。いくつかの実施形態において、ステント40の一部が露出されていてもよい。ステントまたはコーティングの基部の少なくとも一部のいずれかに接着剤層60が施される。少なくとも一実施形態において、コーティング50の接着剤層60を介したステント40に対する適切な接着を保証するために、熱および/または圧力が加えられてもよい。少なくとも一実施形態において、マイクロピラーの個々のマイクロパターンはステント40またはポリマーコーティング50のいずれかに直接形成および/または直接付着される。
【0033】
1つ以上の実施形態において、ポリマーコーティング50は、コーティング50をステント40に結合するために付加的な接着剤層を必要とすることなく、ステント40をコーティング材料中で浸漬被覆することによって形成することができる。例えば、ステント40は、空洞と管状部材とを備えた型に挿入される。空洞は、所望のマイクロパターンの反転形状である型の内壁によって画定される。ステント40は、その内面が管状部材のまわりに配置されるように、管状部材上に置かれる。ステント40を有する型は、コーティング材料が型を充填し、ステント40に付着するように、コーティング材料中に浸漬される。いくつかの実施形態では、型に温度変化および/または圧力変化を適用して、コーティング材料を硬化させてもよい。コーティング材料が硬化してポリマーコーティング50を形成したならば、型から内部人工器官20を取り出すことができる。これに代わって、ポリマーコーティング50は同様の型を用いて、ステント上に射出成型される。型がコーティング材料に浸漬されるのではなく、コーティング材料が型に注入される。
【0034】
本開示のいくつかの例示的な実施形態の記述は以下の番号が付けられた記載に含まれている。
記載1.拡張状態と非拡張状態とを有する内部人工器官であって、該内部人工器官は、
ステントであって、管腔を画定する内面、外面、第1端部、第2端部、および前記内面と外面との間に画定される厚さを有し、かつ、前記厚さを貫通して延びる複数の開口を有する、ステントと、
前記ステントの外面に付着したポリマーコーティングであって、基部および前記基部から外側に延びる複数の突起を備え、前記突起がマイクロパターンに配列されており、前記基部とステントとが境界を共有しており、前記基部が前記ステントの開口を被覆しているポリマーコーティングと、を備える、内部人工器官。
【0035】
記載2.前記内部人工器官が管壁によって画定された管腔内で拡張すると、前記突起のマイクロパターンが、前記管壁と内部人工器官との間に所望の噛み合いを生じる力を作用させる、記載1に記載の内部人工器官。
【0036】
記載3.前記突起が、円柱、長方形の底面を有する角柱、および多角形の底面を有する角柱のうちから選択されるマイクロピラーである、記載1または記載2に記載の内部人工器官。
【0037】
記載4.前記マイクロパターンの突起が円柱状マイクロピラーであり、各円柱状マイクロピラーが直径および高さを有する、記載1乃至3のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0038】
記載5.前記マイクロピラーの直径が約1μm〜100μmである、記載1乃至4のいずれか1項に記載の内部人工器官。
記載6.前記マイクロピラーの直径が約14μm〜18μmである、記載1乃至5のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0039】
記載7.前記マイクロピラーの高さが約1μm〜100μmである、記載1乃至6のいずれか1項に記載の内部人工器官。
記載8.前記高さが約14μm〜18μmである、記載1乃至7のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0040】
記載9.前記円柱状マイクロピラーの直径が前記円柱状マイクロピラーの高さに等しい、記載4乃至8のいずれか1項に記載の内部人工器官。
記載10.各円柱状マイクロピラーが外側面を有し、前記外側面が、隣り合ったマイクロピラーの外側面から、前記直径を超える距離だけ離れている、記載4乃至9のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0041】
記載11.前記マイクロパターンの各突起が第1寸法および第2寸法を有しており、第1寸法が約1μm〜100μmであり、第2寸法が約1μm〜100μmであり、第1寸法と第2寸法との比が、約1〜1.3である、記載1乃至10のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0042】
記載12.前記マイクロパターンが格子パターンである、記載1乃至11のいずれか1項に記載の内部人工器官。
記載13.前記ポリマーコーティングがヒドロゲルおよびシリコーンのうちから選択されるポリマー材料である、記載1乃至12のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0043】
記載14.前記マイクロパターンの突起が一様である、記載1乃至13のいずれか1項に記載の内部人工器官。
記載15.前記マイクロパターンが、第1形態の突起と、少なくとも第2形態の突起とを備える、記載1乃至13のいずれか1項に記載の内部人工器官。
【0044】
記載16.内部人工器官を製造する方法であって、前記方法は、
ポリマーコーティングを形成することと、前記ポリマーコーティングが、基部と、マイクロパターンにある前記基部から外側に延びる複数の突起とを備えることと、
管腔を画定する内面と、外面とを有するステントを提供することと、
前記ポリマーコーティングの基部を前記ステントの外面に付着させることと、を含む、方法。
【0045】
記載17.前記ポリマーコーティングが、前記マイクロパターンの反転形状を有する型を用いて、前記型にポリマー材料を注入して、形成される、記載16に記載の方法。
記載18.前記基部の表面およびステントの外面のうちの少なくとも一方に接着剤層が施される、記載16または記載17に記載の方法。
【0046】
記載19.前記ポリマーコーティングが、細長片に形成されて、前記ステントの外面のまわりにらせん状に巻き付けられる、記載16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
上記の開示は、例示であり、網羅的なものではないことが意図される。この記載は、当業者に多くの変形例および別例を示唆するであろう。これらの別例および変形例はすべて特許請求の範囲内に含まれることが意図され、特許請求の範囲では、「備える(comprising)」という用語は「含むが、それに限定されるものではない(including, but not limited to)」ことを意味する。当業者は、本願に記載した特定の実施形態に対する他の均等物を認識し得、その均等物もまた特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0047】
さらに、従属請求項に示された特定の特徴は本開示の範囲内において他の方法で互いに組み合わせることができ、そのため本開示は従属請求項の特徴の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態も明確に対象とするものと認識されるべきである。
【0048】
これで、本開示の好ましい実施形態および代替実施形態の説明を完結する。当業者は、本願に記載した特定の実施形態に対する他の均等物を認識し得、その均等物は本願に添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A
図9B
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図9E
図9F
図9G
図9H
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図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12