特許第6367367号(P6367367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367367芳香族アミン基を含む複素環式化合物およびこれを含む有機発光素子
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  • 特許6367367-芳香族アミン基を含む複素環式化合物およびこれを含む有機発光素子 図000154
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367367
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】芳香族アミン基を含む複素環式化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/91 20060101AFI20180723BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 491/20 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 493/20 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 493/10 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 495/10 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 333/78 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180723BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20180723BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C07D307/91
   C07D491/048
   C07D491/107
   C07D491/20
   C07D493/20
   C07D493/10 A
   C07D493/10 F
   C07D495/10
   C07D405/14
   C07D333/78
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   C09K11/06 635
   C09K11/06 645
   C09K11/06 660
   C07F7/10 R
   C07F7/10 V
   C07F7/10 Q
【請求項の数】15
【全頁数】93
(21)【出願番号】特願2016-565495(P2016-565495)
(86)(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公表番号】特表2017-515817(P2017-515817A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】KR2015004552
(87)【国際公開番号】WO2015174682
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0056951
(32)【優先日】2014年5月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0072710
(32)【優先日】2014年6月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507074834
【氏名又は名称】エスエフシー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チャ,スン−ウク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソク−ベ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ−デ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ユ−リム
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン−ウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジュ−マン
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/124255(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0054559(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/100467(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0047706(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0046303(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/00
C07D 333/00
C07D 405/00
C07D 491/00
C07D 493/00
C07D 495/00
C07F 7/00
C09K 11/00
H01L 51/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[化学式A]または[化学式B]で表示されるアミン化合物。
[化学式A]
[化学式B]
(上記[化学式A]および[化学式B]において、
1、A2、EおよびFは、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立
して置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置
換の炭素数2〜40の芳香族複素環であり;
前記A1の芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子と、前記A2の芳香族環内の隣り合う二
つの炭素原子は、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子と5員環を形成すること
により、それぞれ縮合環を形成し;
前記連結基L1〜L12は、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立
して単結合、置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリレン基の中から選択され;
前記MはCR45、O、Sの中から選択されるいずれか一つであり;
前記M’はNR3、CR45、O、Sの中から選択されるいずれか一つであり;
前記置換基R1〜R2、Ar1〜Ar8は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、
互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置
換もしくは無置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30
のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換も
しくは無置換の炭素数1〜30のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5
〜30のトリアリールシリル基の中から選択されるいずれかであるが、
前記R1およびR2は、互いに連結されて脂環族、芳香族の単環または多環を形成するこ
とができ、前記形成された脂環族、芳香族の単環または多環の炭素原子は、N、O、Sの
中から選択される少なくとも一つのヘテロ原子で置換でき;
前記置換基R3〜R5は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して
、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置
換の炭素数6〜50のアリール基の中から選択されるいずれかであるが、
前記p1〜p4、r1〜r4、s1〜s4は、それぞれ1〜3の整数であるが、これら
のそれぞれが2以上の場合、それぞれの連結基L1〜L12は互いに同一でも異なっていて
もよく、
前記xは1であり、A2環に置換基Ar1及びAr2の置換基を含むアミン基が結合し

yは0または1であり、zは0または1であり、A1、E及びFのうち一つの環に置換
基Ar3〜Ar8のうち二つの置換基を含むアミン基が結合し、
前記Ar1とAr2、Ar3とAr4、Ar5とAr6およびAr7とAr8は、それぞれ互い
に連結されて環を形成することができ;
前記化学式Aにおいて、A2環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記構造式Q1の*と結
合して縮合環を形成し、
前記化学式Bにおいて、前記A1環内の隣り合う二つの炭素原子は前記構造式Q2の*と
結合して縮合環を形成し、前記A2環内の隣り合う二つの炭素原子は前記構造式Q1の*と
結合して縮合環を形成し;
前記「置換もしくは無置換」における「置換」は、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭
素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜24の
アリール基、炭素数7〜24のアリールアルキル基、炭素数2〜24のヘテロアリール基
または炭素数1〜24のトリアルキルシリル基、炭素数6〜24のトリアリールシリル基
よりなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されることを意味し、
前記「複素環」及び「ヘテロアリール」は、芳香環であり、N、O及びSの中から選択
された1、2または3個のヘテロ原子が環を構成する原子である。)
【請求項2】
前記化学式Aまたは化学式BにおけるA1、A2、EおよびFは、それぞれ同一でも異な
っていてもよく、互いに独立して、置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水
素環である請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項3】
前記芳香族炭化水素環は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、[構造式1
0]〜[構造式21]の中から選ばれるいずれか一つである請求項2に記載のアミン化合
物。
(上記[構造式10]〜[構造式21]において、
「−*」は、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子を含む5員環を形成するか
、或いは前記構造式Q1およびQ2におけるMを含む5員環を形成するための結合部位を意
味し、
上記[構造式10]〜[構造式21]の芳香族炭化水素環がA1環またはA2環に該当し
ながら構造式Q1または構造式Q2と結合する場合には、これらのうち、隣り合う2つの炭
素原子は前記構造式Q1の*と結合するか、或いは構造式Q2の*と結合して縮合環を形成
し;
上記[構造式10]〜[構造式21]において、前記Rは請求項1で定義したR1およ
びR2と同様であり、mは1〜8の整数であり、mが2以上の場合またはRが2以上の場
合には、それぞれのRは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【請求項4】
前記連結基L1〜L12は単結合であるか、或いは下記[構造式22]、[構造式23]
、[構造式25]、[構造式27]、[構造式28]及び[構造式30]の中から選択さ
れるいずれか一つであり、
p1〜p4、r1〜r4、s1〜s4はそれぞれ1または2である請求項1に記載のア
ミン化合物。
(前記連結基において、芳香族環の炭素位は水素または重水素が結合できる。)
【請求項5】
yは1であり、zは0である請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項6】
前記化学式Aまたは化学式Bにおける前記置換基R1およびR2は、それぞれ同一でも異
なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基で
あり、互いに連結されて環を形成する請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項7】
前記化学式Aまたは化学式Bにおける前記置換基R1およびR2は、それぞれ同一でも異
なっていてもよく、互いに独立して、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基
であり、互いに連結されず環を形成しない請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項8】
前記置換基R1〜R2、Ar1〜Ar8は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、
互いに独立して、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基であり、前記置換基
3〜R5は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、重水
素、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6
〜20のアリール基の中から選択されるいずれか一つである請求項1に記載のアミン化合
物。
【請求項9】
前記A1、A2、E、F、Ar1〜Ar8、L1〜L12、R1〜R9における「置換」される
置換基は、ハロゲン基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素
数7〜18のアリールアルキル基、炭素数3〜18のヘテロアリール基、炭素数1〜12
のトリアルキルシリル基、炭素数6〜18のトリアリールシリル基よりなる群から選択さ
れたいずれか一つである請求項1〜8のいずれか一項に記載のアミン化合物。
【請求項10】
下記[化学式1]〜[化学式91]、[化学式94]〜[化学式196]、[化学式2
02]〜[化学式212]、[化学式214]〜[化学式216]、[化学式218]〜
[化学式225]、[化学式227]〜[化学式239]の中から選ばれるいずれか一つ
である請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項11】
第1電極;
前記第1電極に対向する第2電極;および
前記第1電極と前記第2電極との間に介在する有機層;を含み、
前記有機層が請求項1〜10のいずれか一項に記載のアミン化合物を少なくとも1種含
む有機発光素子。
【請求項12】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入機能および正孔輸送機能を同時に有
する機能層、発光層、電子輸送層および電子注入層の少なくとも一つを含む請求項11に
記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記第1電極と前記第2電極との間に介在した有機層が発光層を含み、
前記発光層はホストとドーパントからなり、前記アミン化合物がドーパントとして用い
られる請求項12に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入機能および正孔輸送機能を同時に有する機能層
、発光層、電子輸送層および電子注入層の中から選ばれた少なくとも一つの層は蒸着層ま
たは溶液塗布層である請求項11又は12に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機発光素子は、フラットパネルディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装
置、単色または白色のフラットパネル照明用装置および単色または白色のフレキシブル照
明用装置の中から選ばれるいずれか一つに用いられる請求項11〜14のいずれか一項に
記載の有機発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アミン基を含む複素環式化合物およびこれを含む有機発光素子に関し、より詳しくは、有機発光材料として使用される場合、輝度および発光効率に優れ、長寿命の優れた素子特性を示すことができる複素環式合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(OLED)は、自己発光現象を利用したディスプレイであって、視野角が大きく、液晶ディスプレイに比べて軽量、薄型、小型とすることができ、速い応答速度などの長所を有し、フルカラーディスプレイまたは照明への応用が期待されている。
一般に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、通常、陽極、陰極およびこれらの間の有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機発光素子の効率および安定性を高めるために、それぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などで構成できる。このような有機発光素子の構造において、二つの電極の間に電圧をかけると、陽極では正孔が、陰極では電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子とが結合したときにエキシトンが生成し、このエキシトンが再び基底状態に落ちるときに発光する。このような有機発光素子は、自発光、高輝度、高効率、低駆動電圧、広い視野角、高コントラスト、高速応答性などの特性を有することが知られている。
【0003】
有機発光素子における有機物層に使用される材料は、機能によって、発光材料と電荷輸送材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類できる。前記発光材料は、分子量によって高分子型と低分子型に分類でき、発光メカニズムによって、電子の一重項励起状態に由来する蛍光材料と電子の三重項励起状態に由来する燐光材料に分類できる。また、発光材料は、発光色によって、青色、緑色、赤色発光材料と、より良い天然色を実現するために必要な黄色および橙色発光材料に分類できる。
一方、発光材料として一つの物質のみを使用する場合、分子間の相互作用によって最大発光波長が長波長に移動して色純度が低下したり、発光減衰効果により素子の効率が減少したりするという問題が発生するので、色純度を増加させ且つエネルギー転移による発光効率を増加させるために発光材料としてホスト−ドーパントシステムを使用することができる。
【0004】
その原理は、発光層を形成するホストよりもエネルギーバンド間隙が小さいドーパントを発光層に少量混合すると、発光層から発生したエキシトンがドーパントに輸送されて効率の高い光を出すことである。このとき、ホストの波長がドーパントの波長帯に移動するので、利用するドーパントの種類に応じて、所望の波長の光を得ることができる。
このような発光層中のドーパント化合物に関する従来技術として、韓国公開特許公報第10−2008−0015865(2008.02.20)には、アリールアミンが結合したインデノフルオレン誘導体などを用いた有機発光素子が開示されており、韓国公開特許公報第10−2012−0047706号(2012.05.14)には、一つの分子内にジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンがフルオレンと共に存在するか、或いはベンゾフランまたはジベンゾチオフェンがカルバゾールと共に存在する構造の化合物を用いた有機発光素子が開示されている。
ところが、上述したような努力にも拘らず、上記の先行技術を含む従来技術によって製造された有機発光物質に対して、さらに輝度および発光効率に優れ、長寿命の特性を有する新規な有機発光材料の開発が継続的に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようする第一の技術的課題は、有機発光素子の発光層で使用でき、輝度および発光効率が優れ、長寿命の優れた素子特性を示すことができる新規な有機発光物質を提供することである。
本発明が解決しようする第二の技術的課題は、前記有機発光物質を含む有機発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記第一の技術的課題を達成するために、下記[化学式A]または[化学式B]で表示されるアミン化合物を提供する。
[化学式A]
[化学式B]
【0007】
上記[化学式A]および[化学式B]において、A1、A2、EおよびFは、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置換の炭素数2〜40の芳香族複素環であり;
前記A1の芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子と、前記A2の芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子と5員環を形成することによりそれぞれ縮合環を形成し;
前記連結基L1〜L12は、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の炭素数1〜60のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のアルケニレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のアルキニレン基、置換もしくは無置換の炭素数3〜60のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリレン基、または置換もしくは無置換の炭素数2〜60のヘテロアリレン基の中から選択され;
前記MはNR3、CR45、SiR67、GeR89、O、SおよびSeの中から選択されるいずれか一つであり;
前記置換基R1〜R9、Ar1〜Ar8は、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルゲルマニウム基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアリールゲルマニウム基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれかであるが、
前記R1およびR2は、互いに連結されて脂環族、芳香族の単環または多環を形成することができ、前記形成された脂環族、芳香族の単環または多環の炭素原子は、N、O、P、Si、S、Ge、Se、Teの中から選択される少なくとも一つのヘテロ原子で置換でき;
前記p1〜p4、r1〜r4、s1〜s4は、それぞれ1〜3の整数であるが、これらのそれぞれが2以上の場合、それぞれの連結基L1〜L12は互いに同一でも異なっていてもよく、
前記xは1または2の整数であり、yおよびzはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して0〜3の整数であり、
前記Ar1とAr2、Ar3とAr4、Ar5とAr6およびAr7とAr8は、それぞれ互いに連結されて環を形成することができ;
前記化学式Aにおいて、A2環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記構造式Q1の*と結合して縮合環を形成し、
前記化学式Bにおいて、前記A1環内の隣り合う二つの炭素原子は前記構造式Q2の*と結合して縮合環を形成し、前記A2環内の隣り合う二つの炭素原子は前記構造式Q1の*と結合して縮合環を形成する。
【0008】
また、本発明は、前記第二の技術的課題を達成するために、第1電極、前記第1電極に対向する第2電極および前記第1電極と前記第2電極との間に介在した有機層を含み、前記有機層が、本発明の前記化学式Aまたは化学式Bで表示される有機発光化合物を1種以上含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記[化学式A]または[化学式B]で表示されるアミン化合物は、既存の物質に比べて輝度および発光効率に優れるうえ、長寿命の優れた素子特性を示すことができるため、向上した特性を有する有機発光素子に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による有機発光素子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、有機発光素子の発光層に使用できる有機発光化合物であって、下記[化学式A]または[化学式B]で表示されるアミン化合物を提供する。
[化学式A]
[化学式B]
【0012】
上記[化学式A]および[化学式B]において、A1、A2、EおよびFは、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素環、または置換もしくは無置換の炭素数2〜40の芳香族複素環であり;
前記A1の芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子と、前記A2の芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子と5員環を形成することによりそれぞれ縮合環を形成し;
前記連結基L1〜L12は、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の炭素数1〜60のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のアルケニレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のアルキニレン基、置換もしくは無置換の炭素数3〜60のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリレン基、または置換もしくは無置換の炭素数2〜60のヘテロアリレン基の中から選択され;
前記MはNR3、CR45、SiR67、GeR89、O、SおよびSeの中から選択されるいずれか一つであり;
前記置換基R1〜R9、Ar1〜Ar8は、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のアリールチオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルアミン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のアリールアミン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルゲルマニウム基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアリールゲルマニウム基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれかであるが、
前記R1およびR2は、互いに連結されて脂環族、芳香族の単環または多環を形成することができ、前記形成された脂環族、芳香族の単環または多環の炭素原子は、N、O、P、Si、S、Ge、Se、Teの中から選択される少なくとも一つのヘテロ原子で置換でき;
前記p1〜p4、r1〜r4、s1〜s4は、それぞれ1〜3の整数であるが、これらのそれぞれが2以上の場合、それぞれの連結基L1〜L12は互いに同一でも異なっていてもよく、
前記xは1または2の整数であり、yおよびzはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して0〜3の整数であり、
前記Ar1とAr2、Ar3とAr4、Ar5とAr6およびAr7とAr8は、それぞれ互いに連結されて環を形成することができ;
前記化学式Aにおいて、A2環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記構造式Q1の*と結合して縮合環を形成し、
前記化学式Bにおいて、前記A1環内の隣り合う二つの炭素原子は前記構造式Q2の*と結合して縮合環を形成し、前記A2環内の隣り合う二つの炭素原子は前記構造式Q1の*と結合して縮合環を形成し;
前記「置換もしくは無置換」における「置換」は、重水素、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜24のアルケニル基、炭素数1〜24のアルキニル基、炭素数1〜24のヘテロアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数6〜24のアリールアルキル基、炭素数2〜24のヘテロアリール基、または炭素数2〜24のヘテロアリールアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルキルアミノ基、炭素数1〜24のアリールアミノ基、炭素数1〜24のヘテロアリールアミノ基、炭素数1〜24のアルキルシリル基、炭素数1〜24のアリールシリル基、炭素数1〜24のアリールオキシ基よりなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されることを意味する。
本発明における前記化学式Aまたは化学式Bで表示される化合物は、前記化学式Aにおいて、構造式Q1がA2環に連結される場合、前記Ar1およびAr2を含むアミン基が必ずA2環に結合される構造的特徴を有し、且つ、化学式Bにおいて、構造式Q2がA1環に連結され且つ構造式Q1がA2環に連結される場合、前記A2環には必ずAr1およびAr2を含むアミン基が結合される構造的特徴を有する。
【0013】
一方、本発明における前記「置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基」、「置換もしくは無置換の炭素数5〜50のアリール基」などにおける前記アルキル基またはアリール基の範囲を考慮してみると、前記炭素数1〜30のアルキル基および炭素数5〜50のアリール基の炭素数の範囲は、それぞれ、前記置換基が置換された部分を考慮せずに置換されていないものと見たときのアルキル部分またはアリール部分を構成する全体炭素数を意味する。例えば、パラ位置にブチル基が置換されたフェニル基は、炭素数4のブチル基で置換された炭素数6のアリール基に該当するものと見るべきである。
本発明の化合物で使用される置換基としてのアリール基は、一つ以上の環を含む炭化水素からなる芳香族系を意味し、前記アリール基は、置換基がある場合、隣り合う置換基と相互融合(fused)して環をさらに形成することができる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、o−ビフェニル基、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基、o−テルフェニル基、m−テルフェニル基、p−テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、インデニル、フルオレニル基、テトラヒドロナフチル基、ペリレニル、クリセニル、ナフサセニル、フルオランテニルなどの芳香族基を挙げることができ、前記アリール基の少なくとも一つの水素原子は、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、アミノ基(−NH2、−NH(R)、−N(R’)(R”)、R’およびR”は、互いに独立して炭素数1〜10のアルキル基であり、この場合、「アルキルアミノ基」という。)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜24のアルケニル基、炭素数1〜24のアルキニル基、炭素数1〜24のヘテロアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数6〜24のアリールアルキル基、炭素数2〜24のヘテロアリール基、または炭素数2〜24のヘテロアリールアルキル基で置換できる。
【0014】
本発明の化合物で使用される置換基としてのヘテロアリール基は、N、O、P、Si、S、Ge、Se、Teの中から選ばれた1つ、2つまたは3つのヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である炭素数2〜24の環芳香族系を意味し、前記環は、融合(fused)して環を形成することができる。そして、前記ヘテロアリール基の少なくとも一つの水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
また、本発明において、前記芳香族複素環は、芳香族炭化水素環における芳香族炭素の少なくとも一つが、N、O、P、Si、S、Ge、Se、Teの中から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子で置換されたものを意味する。
【0015】
本発明で使用される置換基としてのアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキル基の1つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本発明の化合物で使用される置換基としてのアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso−アミルオキシ、ヘキシルオキシなどを挙げることができ、前記アルコキシ基の1つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本発明の化合物で使用される置換基としてのシリル基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、トリメトキシシリル、ジメトキシフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、シリル、ジフェニルビニルシリル、メチルシクロブチルシリル、ジメチルフリルシリルなどを挙げることができ、前記シリル基の1つ以上の水素原子は、前記アリール基の場合と同様の置換基で置換可能である。
一実施例として、本発明の前記化学式Aまたは化学式BにおけるA1、A2、EおよびFは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素環とすることができる。
【0016】
上述のように、化学式Aまたは化学式BにおけるA1、A2、EおよびFがそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素環に該当する場合、前記芳香族炭化水素環は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、[構造式10]〜[構造式21]の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
上記[構造式10]〜[構造式21]において、「−*」は、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子を含む5員環を形成するか、或いは前記構造式Q1およびQ2におけるMを含む5員環を形成するための結合部位を意味し、
上記[構造式10]〜[構造式21]の芳香族炭化水素環がA1環またはA2環に該当しながら構造式Q1または構造式Q2と結合する場合には、これらのうち、隣り合う2つの炭素原子は前記構造式Q1の*と結合するか、或いは構造式Q2の*と結合して縮合環を形成し;
上記[構造式10]〜[構造式21]において、前記Rは上記で定義したR1およびR2と同様であり、mは1〜8の整数であり、mが2以上の場合またはRが2以上の場合には、それぞれのRは互いに同一でも異なっていてもよい。
一実施例として、本発明の前記化学式Aまたは化学式BにおけるA1、A2、EおよびFは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数2〜30の芳香族複素環とすることができる。
【0017】
上記のように、化学式Aまたは化学式BにおけるA1、A2、EおよびFがそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数2〜30の芳香族複素環に該当する場合、前記芳香族複素環は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、[構造式31]〜[構造式40]の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
上記[構造式31]〜[構造式40]において、
1〜T12は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、C(R41)、C(R42)(R43)、N、N(R44)、O、S、Se、Te、Si(R45)(R46)およびGe(R47)(R48)の中から選択されるいずれか一つであり、T1〜T12が同時にすべて炭素原子である場合はなく、前記R41〜R48は上記で定義したR1およびR2と同様であり、前記芳香族環内のT1〜T12のうちの隣り合う二つは、炭素原子であって、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子を含む5員環を形成するか、或いは前記構造式Q1およびQ2における酸素原子を含む5員環を形成するための単結合を含み、
上記[構造式31]〜[構造式40]の芳香族複素環がA1環またはA2環に該当しながら構造式Q1または構造式Q2と結合する場合には、前記T1〜T12のうちの隣り合う二つは、炭素原子であって、前記構造式Q1の*と結合するか或いは構造式Q2の*と結合して縮合環を形成する。
【0018】
前記[構造式33]は、電子の移動による共鳴構造によって、下記[構造式33−1]で表される化合物を含むことができる。
[構造式33−1]
上記[構造式33−1]において、T1〜T7は、前記[構造式31]〜[構造式40]で定義したT1〜T12と同様である。
【0019】
一実施例として、前記[構造式31]〜[構造式40]は、下記[構造式41]で表示される複素環の中から選択できる。
上記[構造式41]において、
Xは上記で定義したR1およびR2と同様であり、mは1〜11の整数であり、mが2以上の場合、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよく、
上記[構造式41]において、芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記置換基R1およびR2に連結された炭素原子を含む5員環を形成するか、或いは前記構造式Q1およびQ2における酸素原子を含む5員環を形成し、
前記[構造式41]の芳香族複素環がA1環またはA2環に該当しながら構造式Q1または構造式Q2と結合する場合には、前記芳香族環内の隣り合う二つの炭素原子は、前記構造式Q1の*と結合するか或いは構造式Q2の*と結合して縮合環を形成する。
一実施例として、本発明の前記化学式Aまたは化学式Bにおける連結基L1〜L12は、それぞれ単結合であるか、或いは置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリレン基、または置換もしくは無置換の炭素数2〜20のヘテロアリレン基の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
この場合、前記連結基L1〜L12は、単結合であるか、或いは下記[構造式22]〜[構造式30]の中から選択されるいずれか一つであり、
p1〜p4、r1〜r4、s1〜s4はそれぞれ1または2であり、
xは1とすることができる。
【0020】
前記連結基において、芳香族環の炭素位は水素または重水素が結合できる。
より詳しくは、この場合、yは1であり、zは0とすることができる。
【0021】
一実施例として、本発明の化学式Aまたは化学式Bにおける前記置換基R1およびR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基であり、互いに連結されて環を形成することもあり、または、互いに連結されず環を形成しないこともある。
一実施例として、本発明の前記置換基R1〜R9、Ar1〜Ar8は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の、ヘテロ原子としてO、N、SおよびSiから選択される少なくとも一つを有する炭素数2〜20のヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン基の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0022】
また、本発明の化学式Aまたは化学式Bのアミン化合物において、前記A1、A2、E、F、Ar1〜Ar8、L1〜L12、R1〜R9における「置換」される置換基は、シアノ基、ハロゲン基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールアルキル基、炭素数3〜18のヘテロアリール基、炭素数1〜12のアルキルシリル基、炭素数6〜18のアリールシリル基よりなる群から選択されたいずれか一つとすることができる。
【0023】
また、本発明のアミン化合物は、下記[化学式1]〜[化学式239]の中から選択されるいずれか一つとすることができる。
【0024】
本発明は、第1電極;前記第1電極に対向する第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に介在する有機層;を含み、前記有機層が本発明における前記有機発光化合物を1種以上含む、有機発光素子を提供することができる。
本発明において、「(有機層が)有機化合物を1種以上含む」とは、「(有機層が)本発明の範疇に属する1種の有機化合物または有機化合物の範疇に属する互いに異なる2種以上の化合物を含むことができる」と解釈できる。
【0025】
前記本発明の有機発光化合物が含まれている有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入機能および正孔輸送機能を同時に有する機能層、発光層、電子輸送層および電子注入層の少なくとも一つを含むことができる。
このとき、前記第1電極と前記第2電極との間に介在した有機層が発光層を含むことができ、前記発光層はホストとドーパントからなり、本発明の有機発光化合物はドーパントとして使用できる。
一方、本発明において、前記発光層には、ドーパントとともに、ホスト材料が使用できる。前記発光層がホストおよびドーパントを含む場合、ドーパントの含量は、通常、ホスト約100質量部を基準にして約0.01〜約20重量部の範囲から選択でき、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明において、前記電子輸送層材料としては、電子注入電極(Cathode)から注入された電子を安定して輸送する機能をするものであって、公知の電子輸送物質を利用することができる。公知の電子輸送物質の例としては、キノリン誘導体、特に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、TAZ、Balq、ベリリウムビス(ベンゾキノリン−10−オラート)(beryllium bis(benzoquinolin−10−olate:Bebq2)、ADN、化合物201、化合物202、BCP、オキサジアゾール誘導体であるPBD、BMD、BNDなどの材料を使用することもできるが、これに限定されるものではない。
【0027】
また、本発明で使用される電子輸送層は、化学式Cで表される有機金属化合物が単独でまたは前記電子輸送層の材料と混合して使用できる。
【0028】
[化学式C]
m−M−(OA)n
前記[化学式C]において、
Yは、C、N、OおよびSから選択されるいずれか一つが前記Mに直接結合されて単結合をなす部分と、C、N、OおよびSから選択されるいずれか一つが前記Mに配位結合をなす部分を含み、前記単結合と配位結合によってキレートされたリガンドであり、
前記Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)原子であり、前記OAは前記Mと単結合または配位結合可能な1価のリガンドであり、
前記Oは酸素であり、
Aは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルケニル基および置換もしくは無置換の、ヘテロ原子としてO、N、SおよびSiから選択される少なくとも一つを有する炭素数2〜50のヘテロアリール基の中から選択されるいずれか一つであり、
前記Mがアルカリ金属から選択される1つの金属である場合には、m=1、n=0であり、
前記Mがアルカリ土類金属から選択される1つの金属である場合には、m=1、n=1であるか、或いはm=2、n=0であり、
前記Mがホウ素またはアルミニウムである場合には、m=1〜3のいずれか一つであり、nは0〜2のいずれか一つであってm+n=3を満足し、
前記「置換もしくは無置換」における「置換」は、重水素、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ゲルマニウム、リンおよびホウ素よりなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されることを意味する。
【0029】
本発明において、Yは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、下記[構造式C1]〜[構造式C39]から選択されるいずれか一つとすることができるが、これに限定されない。
前記[構造式C1]〜[構造式C39]において、
Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリールアミノ基および置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリールシリル基の中から選択され、隣り合う置換体とアルキレンまたはアルケニレンで連結されてスピロ環または融合環を形成することができる。
【0030】
以下、本発明の有機発光素子を図1に基づいて説明する。
図1は本発明の有機発光素子の構造を示す断面図である。本発明に係る有機発光素子は、アノード20、正孔輸送層40、有機発光層50、電子輸送層60およびカソード80を含み、必要に応じて正孔注入層30と電子注入層70をさらに含むことができ、その他にも、1層または2層の中間層をさらに形成することも可能であり、正孔阻止層または電子阻止層をさらに形成することもできる。
次に、図1を参照して、本発明の有機発光素子およびその製造方法について考察する。まず、基板10の上部にアノード電極用物質をコートしてアノード20を形成する。ここで、基板10としては、通常の有機EL素子で使用される基板を採用するが、透明性、表面平滑性、取扱容易性および防水性に優れた有機基板または透明プラスチック基板が好ましい。そして、アノード電極用物質としては、透明で伝導性に優れた酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
前記アノード20電極の上部に正孔注入層物質を真空熱蒸着、またはスピンコートして正孔注入層30を形成する。その次に、前記正孔注入層30の上部に正孔輸送層の物質を真空熱蒸着またはスピンコートして正孔輸送層40を形成する。
【0031】
前記正孔注入層の材料は、当該分野で通常使用されるものである限り、特に限定されずに使用することができ、例えば、2−TNATA[4,4’,4”−tris(2−naphthylphenyl−phenylamino)−triphenylamine]、NPD[N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine)]、TPD[N,N’−diphenyl−N,N’−bis(3−methylphenyl)−1,1’−biphenyl−4,4’−diamine]、DNTPD[N,N’−diphenyl−N,N’−bis−[4−(phenyl−m−tolyl−amino)−phenyl]−biphenyl−4,4’−diamine]などを使用することができる。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
また、前記正孔輸送層の材料として、当該分野で通常使用されるものである限り、特に制限されず、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)またはN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(a−NPD)などを使用することができる。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0032】
次いで、前記正孔輸送層40の上部に有機発光層50を積層し、前記有機発光層50の上部に選択的に正孔阻止層(図示せず)を真空蒸着方法またはスピンコーティング方法で薄膜を形成することができる。前記正孔阻止層は、正孔が有機発光層を通過してカソードに流入する場合には、素子の寿命と効率が減少するため、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)レベルが非常に低い物質を使用することにより、かかる問題を防止する役割をする。このとき、使用される正孔阻止物質は特に制限されないが、電子輸送能力を有しながら発光化合物より高いイオン化ポテンシャルを有しなければならず、代表的にBAlq、BCP、TPBIなどが使用できる。
このような正孔阻止層の上に電子輸送層60を真空蒸着方法またはスピンコーティング方法によって蒸着した後、電子注入層70を形成し、前記電子注入層70の上部にカソード形成用金属を真空熱蒸着してカソード80電極を形成することにより、有機EL素子が完成する。ここで、カソード形成用金属としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを使用することができ、前面発光素子を得るためにはITO、IZOを用いた透過型カソードを使用することができる。
また、前記発光層はホストとドーパントからなってもよい。
また、本発明の具体例によれば、前記発光層の厚さは50〜2,000Åであることが好ましい。
【0033】
このとき、発光層に使用されるホストは、下記化学式1A〜化学式1Dで表示される化合物とすることができる。
[化学式1A]
前記化学式1Aにおいて、
前記Ar7、Ar8およびAr9は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは無置換のC5−C60芳香族連結基、または置換もしくは無置換のC2−C60ヘテロ芳香族連結基であり;
前記R21〜R30は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸またはその塩、置換もしくは無置換の炭素数1〜60のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のアルキニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜60のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜60のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜60のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数5〜60のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数5〜60のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜60の(アルキル)アミノ基、ジ(置換もしくは無置換の炭素数1〜60のアルキル)アミノ基、または(置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリール)アミノ基、ジ(置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリール)アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリールシリル基、ゲルマニウム、リン、ホウ素の中から選択でき、それぞれの置換基は隣り合う基と縮合環を形成することができ;
前記eとfとgは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して0または1〜4の整数であり;
前記アントラセンの*で示された2つの部位は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、前記PまたはQ構造と結合して、下記化学式1Aa−1〜1Aa−3の中から選択されるアントラセン系誘導体を構成することができる。
【0034】
[化学式1Aa−1] [化学式1Aa−2] [化学式1Aa−3]
ここで、前記「置換もしくは無置換の」における「置換」は、重水素、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜24のアルケニル基、炭素数1〜24のアルキニル基、炭素数1〜24のヘテロアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数6〜24のアリールアルキル基、炭素数2〜24のヘテロアリール基、または炭素数2〜24のヘテロアリールアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルキルアミノ基、炭素数1〜24のアリールアミノ基、炭素数1〜24のヘテロアリールアミノ基、炭素数1〜24のアルキルシリル基、炭素数1〜24のアリールシリル基、炭素数1〜24のアリールオキシ基よりなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されることを意味する。
【0035】
[化学式1B]
前記化学式1Bにおいて、
前記Ar17〜Ar20は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、前記化学式1AにおけるAr7〜Ar8で定義したのと同様の置換基からなり、R60〜R63は、前記化学式1AのR21〜R30で定義されたのと同様の置換基からなる。
前記wとwwは互いに同一でも異なっていてもよく、前記xおよびxxは互いに同一でも異なっていてもよく、w+wwとx+xxの値は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して0〜3の整数である。また、前記yとyyは互いに同一でも異なっていてもよく、前記zとzzは互いに同一でも異なっていてもよく、y+yy〜z+zzの値が2以下であり、それぞれ0〜2の整数である。
【0036】
[化学式1C]
前記化学式1Cにおいて、
前記Ar21〜Ar24は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、前記化学式1AのAr7〜Ar8で定義したのと同様の置換基からなり、前記R64〜R67は、前記一般式1AのR21〜R30で定義したのと同様の置換基からなる。
また、前記ee〜hhは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して1〜4の整数であり、前記ii〜llは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して0〜4の整数である。
【0037】
[化学式1D]
前記化学式1Dにおいて、
前記Ar25〜Ar27は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、前記化学式1AのAr7〜Ar8で定義したのと同様の置換基からなり、前記R68〜R73は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、前記化学式1AのR21〜R30で定義したのと同様の置換基からなり、それぞれの置換基は、隣り合うもの同士が飽和または不飽和環状構造を形成することができる。また、前記mm〜ssは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して0〜4の整数である。
【0038】
より具体的には、前記ホストは、下記[ホスト1]〜[ホスト56]で表示される群から選択されるいずれか一つで表示できるが、これに限定されない。
前記発光層は、前記ドーパントとホストの他にも、様々なホストと様々なドーパント物質をさらに含むことができる。
【0039】
本発明において、前記正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層および電子注入層から選択された少なくとも一つの層は、単分子の蒸着方式または溶液工程によって形成できる。ここで、前記蒸着方式は、前記それぞれの層を形成するための材料として使用される物質を真空または低圧状態で加熱などによって蒸発させて薄膜を形成する方法を意味し、前記溶液工程は、前記それぞれの層を形成するための材料として使用される物質を溶媒と混合し、これをインクジェット印刷、ロール・ツー・ロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティングなどの方法によって薄膜を形成する方法を意味する。
本発明における前記有機発光素子は、フラットパネルディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装置;単色または白色のフラットパネル照明用装置;および単色または白色のフレキシブル照明用装置;から選択されるいずれかの装置に使用できる。
【0040】
以下、好適な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、これらの実施例が本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲を限定するものではないことは、当該分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0041】
(実施例)
合成例1:化学式1の合成
合成例1−(1):中間体1−aの合成
下記反応式1に基づいて中間体1−aを合成した。
<反応式1>
<中間体1−a>
500mLの丸底フラスコ反応器にメチル5−ブロモ−2−ヨードベンゾエート(25.0g、73mmol)、4−ジベンゾフランボロン酸(18.7g、88mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.7g、0.15mmol)、炭酸カリウム(20.2g、146.7mmol)を入れてトルエン125mL、テトラヒドロフラン125mL、水50mLを入れた。反応器の温度を80℃に昇温し、10時間攪拌した。反応が終了したら、反応器の温度を室温に下げ、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離した。有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離して中間体1−aを得た(75.0g、60.1%)。
【0042】
合成例1−(2):中間体1−bの合成
下記反応式2に基づいて中間体1−bを合成した:
<反応式2>
<中間体1−a> <中間体1−b>
500mLの丸底フラスコ反応器に<中間体1−a>(17.0g、45mmol)、水酸化ナトリウム(2.14g、54mmol)、エタノール170mlを入れて48時間還流撹拌した。薄膜クロマトグラフィーで反応終結を確認した後、室温に冷却した。冷却された溶液に2N塩酸を滴加し、酸性化し、生成された固体を30分攪拌した後、濾過した。ジクロロメタンとn−ヘキサンで再結晶して<中間体1−b>を得た(14.5g、88.6%)。
【0043】
合成例1−(3):中間体1−cの合成
下記反応式3に基づいて中間体1−cを合成した:
<反応式3>
<中間体1−b> <中間体1−c>
250mlの丸底フラスコ反応器に<中間体1−b>(14.5g、39mmol)、メタンスルホン酸145mlを入れ、80℃に昇温して3時間撹拌した。薄膜クロマトグラフィーで反応終結を確認した後、室温に冷却させた。反応溶液は、氷水150mlにゆっくりと滴加した後、30分間攪拌した。生成された固体は、濾過の後、水とメタノールで洗浄した。<中間体1−c>を得た(11.50g、83.4%)。
【0044】
合成例1−(4):中間体1−dの合成
下記反応式4に基づいて中間体1−dを合成した:
<反応式4>
<中間体1−c> <中間体1−d>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体1−c>(11.5g、33mmol>、ジクロロメタン300mlを入れ、常温で攪拌した。臭素(3.4ml、66mmol)は、ジクロロメタン50mlに希釈して滴加し、8時間常温で撹拌した。反応終了の後、反応容器にアセトン100mlを入れて攪拌した。生成された固体を濾過の後、アセトンで洗浄した。洗浄された固体をモノクロロベンゼンにより再結晶して<中間体1−d>(11.0g、78%)を得た。
【0045】
合成例1−(5):中間体1−eの合成
下記反応式5に基づいて中間体1−eを合成した:
<反応式5>
<中間体1−d> <中間体1−e>
250mlの丸底フラスコ反応器に2−ブロモビフェニル(8.4g、0.036mol)とテトラヒドロフラン110mlを入れ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。冷却された反応溶液にn−ブチルリチウム(19.3ml、0.031mol)を同じ温度で滴加した。反応溶液は、2時間攪拌した後、<中間体1−d>(11.0g、0.026mol)を少しずつ入れて常温で攪拌した。反応溶液の色が変わると、TLCで反応終結を確認した。50mlのH2Oを入れて反応終了し、酢酸エチルと水で抽出した。有機層を分離して減圧濃縮した後、アセトニトリルで再結晶して<中間体1−e>を得た(12.2g、81.5%)。
【0046】
合成例1−(6):中間体1−fの合成
下記反応式6に基づいて中間体1−fを合成した:
<反応式6>
<中間体1−e> <中間体1−f>
250mlの丸底フラスコ反応器に<中間体1−e>(12.0g、0.021mol)、酢酸120mlおよび硫酸2mlを入れ、5時間還流撹拌した。固体が生成されると、薄膜クロマトグラフィーで反応終結を確認した後、室温に冷却した。生成された固体を濾過の後、H2O、メタノールで洗浄した後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル濾過、濃縮し、しかる後に、常温冷却して<中間体1−f>を得た(10.7g、90%)。
【0047】
合成例1−(7):化学式1の合成
下記反応式7に基づいて化学式1を合成した:
<反応式7>
<中間体1−f> <化学式1>
250mlの丸底フラスコ反応器に<中間体1−f>(5.0g、0.009mol)、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミン(6.0g、0.021mol)、酢酸パラジウム(II)(0.08g、0.4mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(3.4g、0
.035mol)、トリt−ブチルホスフィン(0.07g、0.4mmol)、トルエン60mlを入れて2時間還流撹拌した。反応完了の後、常温に冷却した。反応溶液はジクロロメタンと水で抽出した。有機層を分離して硫酸マグネシウムで無水処理した後、減圧濃縮した。濃縮された物質をカラムクロマトグラフィーで分離精製した後、ジクロロメタンとアセトンで再結晶して<化学式1>(3.1g、36%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 964.5[M+
【0048】
合成例2:化学式33の合成
合成例2−(1):中間体2−aの合成
下記反応式8に基づいて中間体2−aを合成した:
<反応式8>
<中間体2−a>
2Lの丸底フラスコ反応器に4−ブロモジベンゾフラン(100.0g、0.405mol)、エチニルトリメチルシラン(47.7g、0.486mol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(9.92g、0.012mol)、ヨウ化銅(2.31g、0.012mol)、トリフェニルホスフィン(10.6g、0.040mol)、トリエチルアミン700mlを入れ、窒素雰囲気下で5時間還流撹拌した。反応完了の後、常温に冷却し、500mlのヘプタンを入れて反応終了した。セライトとシリカゲルパッドを敷いて濾過した。濾液を減圧濃縮して<中間体2−a>(130g、84%)を得た。
【0049】
合成例2−(2):中間体2−bの合成
下記反応式9に基づいて中間体2−bを合成した:
<反応式9>
<中間体2−a> <中間体2−b>
2Lの丸底フラスコ反応器に<中間体2−a>(130g、0.492mol)、炭酸カリウム(101.9g、0.738mol)、650mlのメタノール、650mlのテトラヒドロフランを入れ、室温で2時間撹拌した。反応完了の後、500mlのヘプタンを入れ、反応を終了した。反応溶液は濾過し、濾液は酢酸エチルと水で抽出した。有機層を分離して硫酸マグネシウムで無水処理した後、濾過して減圧濃縮した。油相の<中間体2−b>(82g、84%)を得た。
【0050】
合成例2−(3):中間体2−cの合成
下記反応式10に基づいて中間体2−cを合成した:
<反応式10>
<中間体2−b> <中間体2−c>
2Lの丸底フラスコ反応器に2−ブロモビフェニル(66.0g、0.283mol)、<中間体2−b>(65.3g、0.340mol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(6.94g、0.008mol)、ヨウ化銅(1.62g、0.008mol)、トリフェニルホスフィン(7.4g、0.028mol)、500mlのトリエチルアミンを入れ、窒素雰囲気下で5時間還流撹拌した。反応完了の後、常温に冷却し、400mlのヘプタンを入れて反応終了した。セライトとシリカゲルパッドを敷いて濾過した。濾液を減圧濃縮し、生成された固体を濾過して<中間体2−c>(80g、82%)を得た。
【0051】
合成例2−(4):中間体2−dの合成
下記反応式11に基づいて中間体2−dを合成した:
<反応式11>
<中間体2−c> <中間体2−d>
2Lの丸底フラスコ反応器に<中間体2−c>(80.0g、0.232mol)をジクロロメタン960mlに溶かして入れ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。冷却された溶液に一塩化ヨウ素(278.4ml、0.279mol)を滴加し、常温で12時間攪拌した。反応完了の後、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液を入れて攪拌した。ジクロロメタンと水で抽出して有機層を分離し、減圧濃縮した。メタノールで結晶を採取して<中間体2−d>(67g、61.3%)を得た。
【0052】
合成例2−(5):中間体2−eの合成
下記反応式12に基づいて中間体2−eを合成した:
<反応式12>
<中間体2−d> <中間体2−e>
500mlの丸底フラスコ反応器に<中間体2−d>(54.8g、0.117mol)とテトラヒドロフランを150ml入れて溶かした後、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。冷却された溶液に1.6モルのn−ブチリウム(62.4ml、0.1mol)を滴加し、同じ温度で1時間攪拌した。9−フロオレノン(15.0g、0.083mol)をテトラヒドロフラン50mlに溶かして滴加し、常温で8時間撹拌した。反応完了の後、酢酸エチルと水で抽出した。有機層を分離して硫酸マグネシウムで無水処理した後、濾過して減圧濃縮した。油相の<中間体2−e>(33.2g、76%)を得た。
【0053】
合成例2−(6):中間体2−fの合成
下記反応式13に基づいて中間体2−fを合成した:
<反応式13>
<中間体2−e> <中間体2−f>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体2−e>(33.3g、0.063mol)、酢酸330mlおよび硫酸3mlを入れ、3時間還流撹拌した。薄膜クロマトグラフィーで反応終結を確認した後、室温に冷却した。生成された固体は濾過の後、H2O、メタノールで洗浄する。<中間体2−f>を得た(28.6g、88%)。
【0054】
合成例2−(7):中間体2−gの合成
下記反応式14に基づいて中間体2−gを合成した:
<反応式14>
<中間体2−f> <中間体2−g>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体2−f>(20.0g、0.039mol)とジクロロメタン200mlを入れて溶かした。室温で攪拌する途中で、臭素(6ml、0.118mol)をジクロロメタン40mlに希釈して滴加した。常温で12時間攪拌し、反応完了の後、メタノール100mlを入れて生成された固体を濾過し、メタノールで洗浄した。洗浄された物質を1,2−ジクロロベンゼンとアセトンで再結晶して<中間体2−g>(16g、60%)を得た。
【0055】
合成例2−(8):化学式33の合成
下記反応式15に基づいて化学式33を合成した:
<反応式15>
<中間体2−g> <化学式33>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体2−g>を使用した以外は、同様にして<化学式33>(2.5g、31%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 1064.5[M+
【0056】
合成例3:化学式49の合成
合成例3−(1):中間体3−aの合成
下記反応式16に基づいて中間体3−aを合成した:
<反応式16>
<中間体3−a>
2Lの丸底フラスコ反応器に1−ヒドロキシ2−ナフタル酸(50g、266mmol)、1000mlのメタノールおよび100mlの硫酸を入れ、100時間還流撹拌した。TLCで反応終結を確認した後、常温に冷却した。溶液は減圧濃縮の後、ジクロロメタンと水で抽出した。有機層を分離して硫酸マグネシウムで無水処理し、濾過、減圧濃縮した後、ヘプタンを過量入れて結晶化することにより、<中間体3−a>(39g、72.6%)を得た。
【0057】
合成例3−(2):中間体3−bの合成
下記反応式17に基づいて中間体3−bを合成した:
<反応式17>
<中間体3−a> <中間体3−b>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体3−a>(39.0g、193mmol)および酢酸390mlを入れ、常温で攪拌した。酢酸80mlに臭素(11.8ml、231mmol)を希釈して反応溶液に滴加した。反応溶液は室温で5時間攪拌した。反応完了の後、生成された固体を濾過し、ヘプタンでスラリー化した後、<中間体3−b>(50g、90%)を得た。
【0058】
合成例3−(3):中間体3−cの合成
下記反応式18に基づいて中間体3−cを合成した:
<反応式18>
<中間体3−b> <中間体3−c>
2Lの丸底フラスコ反応器に<中間体3−b>(50g、178mmol)とジクロロメタンを入れて攪拌した。窒素雰囲気下でピリジン(28.1g、356mmol)を反応溶液に入れ、常温で20分間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却した後、窒素雰囲気下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(65.24g、231mmol)を滴加した。3時間攪拌の後、TLCで反応終結を確認し、水20mlを入れて10分間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮した後、カラム分離して<中間体3−c>(45g、61%)を得た。
【0059】
合成例3−(4):中間体3−dの合成
下記反応式19に基づいて中間体3−dを合成した:
<反応式19>
<中間体3−c> <中間体3−d>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体3−c>(45.0g、0.109mol)、4−ジベンゾボロン酸(25.4g、0.120mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.5g、0.22mmol)、炭酸カリウム(30.1g、0.218mol)を入れ、トルエン300mL、エタノール130mLおよび水90mLを入れた。反応器を80℃に昇温し、5時間攪拌した。反応が終了すると、反応器の温度を室温に下げ、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離した。有機層を減圧濃縮の後、カラムクロマトグラフィーで分離して中間体3−dを得た(22.0g、46.1%)。
【0060】
合成例3−(5):中間体3−eの合成
下記反応式20に基づいて中間体3−eを合成した:
<反応式20>
<中間体3−d> <中間体3−e>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体3−d>(22.0、0.051mol)および水酸化ナトリウム(2.65g、0.066mol)を入れ、48時間還流撹拌した。反応完了の後、室温に冷却した。冷却された溶液に2N塩酸を滴加し、酸性化して、生成された固体を30分攪拌した後、濾過した。ジクロロメタンとn−ヘキサンで再結晶して<中間体3−e>を得た(17.6g、82.7%)。
【0061】
合成例3−(6):中間体3−fの合成
下記反応式21に基づいて中間体3−fを合成した:
<反応式21>
<中間体3−e> <中間体3−f>
500mlの丸底フラスコ反応器に<中間体3−e>(17.6g、0.042mol)、メタンスルホン酸170mlを入れ、80℃に昇温して3時間撹拌した。薄膜クロマトグラフィーで反応終結を確認した後、室温に冷却した。反応溶液を氷水150mlにゆっくりと滴加した後、30分攪拌した。生成された固体を濾過の後、水とメタノールで洗浄した。固体をモノクロロベンゼンに溶かしてシリカゲルパッドで濾過した。濾液を加熱濃縮の後、アセトンで再結晶して<中間体3−f>を得た(12g、71%)。
【0062】
合成例3−(7):中間体3−gの合成
下記反応式22に基づいて中間体3−gを合成した:
<反応式22>
<中間体3−f> <中間体3−g>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体3−f>(12.0g、0.030mol)とジクロロメタン360mlを入れた。室温で攪拌する途中で、臭素(3.1ml、0.06mol)をジクロロメタン40mlに希釈して滴加した。常温で12時間攪拌し、反応完了の後、メタノール100mlを入れて生成された固体を濾過し、メタノールで洗浄した。洗浄された物質を1,2−ジクロロベンゼンとアセトンで再結晶して<中間体3−g>(10.3g、71.7%)を得た。
【0063】
合成例3−(8):中間体3−hの合成
下記反応式23に基づいて中間体3−hを合成した:
<反応式23>
<中間体3−g> <中間体3−h>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体3−g>を使用した以外は、同様にして<中間体3−h>(10.0g、73.4%)を得た。
【0064】
合成例3−(9):中間体3−iの合成
下記反応式24に基づいて中間体3−iを合成した:
<反応式24>
<中間体3−h> <中間体3−i>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体3−h>を使用した以外は、同様にして<中間体3−i>(6.3g、64.8%)を得た。
【0065】
合成例3−(10):化学式49の合成
下記反応式25に基づいて化学式49を合成した:
<反応式25>
<中間体3−i> <化学式49>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体3−i>を使用した以外は、同様にして<化学式49>(3.0g、36.1%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 1014.5[M+
【0066】
合成例4:化学式76の合成
合成例4−(1):中間体4−aの合成
下記反応式26に基づいて中間体4−aを合成した:
<反応式26>
<中間体4−a>
500mlの丸底フラスコ反応器に1−ブロモジベンゾフラン(20.0g、0.081mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(26.7g、0.105mol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(1.3g、0.002mol)、酢酸カリウム(19.9g、0.202mol)、200mlの1,4−ジオキサンを入れて10時間還流撹拌した。
反応完了の後、セライトパッドで濾過した。濾液を減圧濃縮した後、カラム分離し、ジクロロメタンとヘプタンで再結晶して<中間体4−a>(17.0g、70%)を得た。
【0067】
合成例4−(2):中間体4−bの合成
下記反応式27に基づいて中間体4−bを合成した:
<反応式27>
<中間体4−a> <中間体4−b>
前記合成例1−(1)において、4−ジベンゾボロン酸の代わりに<中間体4−a>を使用した以外は、同様にして<中間体4−b>(13.1g、68.9%)を得た。
【0068】
合成例4−(3):中間体4−cの合成
下記反応式28に基づいて中間体4−cを合成した:
<反応式28>
<中間体4−b> <中間体4−c>
前記合成例1−(2)において、<中間体1−a>の代わりに<中間体4−b>を使用した以外は、同様にして<中間体4−c>(11g、87%)を得た。
【0069】
合成例4−(4):中間体4−dの合成
下記反応式29に基づいて中間体4−dを合成した:
<反応式29>
<中間体4−c> <中間体4−d>
前記合成例1−(3)において、<中間体1−b>の代わりに<中間体4−c>を使用した以外は、同様にして<中間体4−d>(9.0g、86%)を得た。
【0070】
合成例4−(5):中間体4−eの合成
下記反応式30に基づいて中間体4−eを合成した:
<反応式30>
<中間体4−d> <中間体4−e>
前記合成例1−(4)において、<中間体1−c>の代わりに<中間体4−d>を使用した以外は、同様にして<中間体4−e>(6.7g、60.7%)を得た。
【0071】
合成例4−(6):中間体4−fの合成
下記反応式31に基づいて中間体4−fを合成した:
<反応式31>
<中間体4−e> <中間体4−f>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体4−e>を使用した以外は、同様にして<中間体4−f>(5.2g、55%)を得た。
【0072】
合成例4−(7):中間体4−gの合成
下記反応式32に基づいて中間体4−gを合成した:
<反応式32>
<中間体4−f> <中間体4−g>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体4−f>を使用した以外は、同様にして<中間体4−g>(4.3g、85.3%)を得た。
【0073】
合成例4−(8):化学式76の合成
下記反応式33に基づいて化学式76を合成した:
<反応式33>
<中間体4−g> <化学式76>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体4−g>を使用した以外は、同様にして<化学式76>(2.5g、34%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 964.5[M+
【0074】
合成例5:化学式89の合成
合成例5−(1):中間体5−aの合成
下記反応式34に基づいて中間体5−aを合成した:
<反応式34>
<中間体5−a>
1Lの丸底フラスコ反応器に2−フェノキシアニリン(25.0、0.135mol)と塩酸30ml、水150mlを入れ、0℃に冷却して1時間攪拌した。同じ温度で硝酸ナトリウム(11.2g、0.162mol)水溶液75mlを反応溶液に滴加した後、1時間攪拌した。ヨウ化カリウム(44.8g、0.270mol)水溶液75mlを滴加するとき、反応溶液の温度が5℃を超えないように注意して滴加した。5時間常温で攪拌し、反応完了の後、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、しかる後に、酢酸エチルと水で抽出した。有機層を分離し、減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離精製して<中間体5−a>(22.6g、56.5%)を得た。
【0075】
合成例5−(2):中間体5−bの合成
下記反応式35に基づいて中間体5−bを合成した:
<反応式35>
<中間体1−d> <中間体5−a> <中間体5−b>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体3−g>を、2−ブロモビフェニルの代わりに<中間体5−a>をそれぞれ使用した以外は、同様にして<中間体5−b>(19.6g、70.4%)を得た。
【0076】
合成例5−(3):中間体5−cの合成
下記反応式36に基づいて中間体5−cを合成した:
<反応式36>
<中間体5−b> <中間体5−c>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体5−b>を使用した以外は、同様にして<中間体5−c>(14.2g、74.7%)を得た。
【0077】
合成例5−(4):化学式89の合成
下記反応式37に基づいて化学式89を合成した:
<反応式37>
<中間体5−c> <化学式89>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体5−c>を、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに1,1’−(4−メチルフェニル−4−t−ブチルフェニル)アミンをそれぞれ使用した以外は、同様にして<化学式89>(2.4g、28%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 980.5[M+
【0078】
合成例6:化学式97の合成
合成例6−(1):中間体6−aの合成
下記反応式38に基づいて中間体6−aを合成した:
<反応式38>
<中間体6−a>
2Lの丸底フラスコ反応器に4−ジベンゾボロン酸(85.0g、0.401mol)、硝酸ビスマス(III)五水和物(99.2g、0.200mol)およびトルエン400mlを入れ、窒素雰囲気下に70℃で3時間撹拌した。反応完了の後、常温に冷却し、生成された固体を濾過した。トルエンで洗浄した後、<中間体6−a>(61.5g、72%)を得た。
【0079】
合成例6−(2):中間体6−bの合成
下記反応式39に基づいて中間体6−bを合成した:
<反応式39>
<中間体6−a> <中間体6−b>
2Lの丸底フラスコ反応器にシアノ酢酸エチル(202.9g、1.794mol)とジメチルホルムアミド500mlを入れた。水酸化カリウム(67.10g、1.196mol)、シアン化カリウム(38.95g、0.598mol)を入れ、ジメチルホルムアミド200mlを入れて常温で攪拌した。反応溶液に<中間体6−a>(127.5g、0.737mol)を少しずつ入れた後、50℃で72時間攪拌した。反応完了の後、200mlの水酸化ナトリウム水溶液(25%)を入れて還流撹拌した。3時間攪拌した後、常温に冷却し、酢酸エーテルと水で抽出した。有機層を分離して減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離精製して<中間体6−b>(20.0g、16%)を得た。
【0080】
合成例6−(3):中間体6−cの合成
下記反応式40に基づいて中間体6−cを合成した:
<反応式40>
<中間体6−b> <中間体6−c>
2Lの丸底フラスコ反応器に<中間体6−b>(20.0g、0.096mol)、エタノール600ml、水酸化カリウム水溶液(142.26g、2.53mol)170mlを入れ、12時間還流撹拌した。反応が完了すると、常温に冷却した。反応溶液に6N塩酸400mlを入れて酸性化し、生成された固体は20分攪拌した後、濾過した。該固体をエタノールで洗浄した後、<中間体6−c>(17.0g、88.5%)を得た。
【0081】
合成例6−(4):中間体6−dの合成
下記反応式41に基づいて中間体6−dを合成した:
<反応式41>
<中間体6−c> <中間体6−d>
2Lの丸底フラスコ反応器に<中間体6−c>(17.0g、0.075mol)、硫酸15mlを入れ、72時間還流撹拌した。反応完了の後、常温に冷却し、酢酸エチルと水で抽出した。有機層を分離して炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は減圧濃縮中にメタノールを過量入れ、生成された固体を濾過して<中間体6−d>(14.0、77.6%)を得た。
【0082】
合成例6−(5):中間体6−eの合成
下記反応式42に基づいて中間体6−を合成した:
<反応式42>
<中間体6−d> <中間体6−e>
前記合成例5−(1)において、2−フェノキシアニリンの代わりに<中間体6−d>を使用した以外は、同様にして<中間体6−e>(9.1g、48%)を得た。
【0083】
合成例6−(6):中間体6−fの合成
下記反応式43に基づいて中間体6−fを合成した:
<反応式43>
<中間体6−e> <中間体4−a> <中間体6−f>
前記合成例4−(2)において、メチル5−ブロモ−2−ヨードベンゾエートの代わりに<中間体6−e>を使用した以外は、同様にして<中間体6−f>(5.3g、52.3%)を得た。
【0084】
合成例6−(7):中間体6−gの合成
下記反応式44に基づいて中間体6−gを合成した:
<反応式44>
<中間体6−f> <中間体6−g>
前記合成例1−(2)において、<中間体1−a>の代わりに<中間体6−f>を使用した以外は、同様にして<中間体6−g>(4.5g、88.1%)を得た。
【0085】
合成例6−(8):中間体6−hの合成
下記反応式45に基づいて中間体6−hを合成した:
<反応式45>
<中間体6−g> <中間体6−h>
前記合成例1−(3)において、<中間体1−b>の代わりに<中間体6−g>を使用した以外は、同様にして<中間体6−h>(3.8g、88.8%)を得た。
【0086】
合成例6−(9):中間体6−iの合成
下記反応式46に基づいて中間体6−iを合成した:
<反応式46>
<中間体6−h> <中間体6−i>
前記合成例1−(4)において、<中間体1−c>の代わりに<中間体6−h>を使用した以外は、同様にして<中間体6−i>(3g、55%)を得た。
【0087】
合成例6−(10):中間体6−jの合成
下記反応式47に基づいて中間体6−jを合成した:
<反応式47>
<中間体6−i> <中間体6−j>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体6−i>を使用した以外は、同様にして<中間体6−j>(2.5g、64%)を得た。
【0088】
合成例6−(10):中間体6−kの合成
下記反応式48に基づいて中間体6−kを合成した:
<反応式48>
<中間体6−j> <中間体6−k>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体6−j>を使用した以外は、同様にして<中間体6−k>(2.2g、90.4%)を得た。
【0089】
合成例6−(11):中間体6−lの合成
下記反応式49に基づいて中間体6−lを合成した:
<反応式49>
<中間体6−l>
250mlの丸底フラスコ反応器に1−ブロモ−4−(2−ナフチル)ベンゼン(10.0g、0.035mol)、4−t−ブチルアニリン(5.8g、0.039mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.65g、0.0007mol)、ナトリウムt−ブトキシド(6.79g、0.0706mol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(0.44g、0.0007mol)、トルエン100mlを入れ、3時間還流撹拌した。反応完了の後、常温に冷却し、酢酸エチルと水で抽出した。有機層を分離して硫酸マグネシウムで無水処理した後、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィーで分離精製して<中間体6−l>(10g、80%)を得た。
【0090】
合成例6−(12):化学式97の合成
下記反応式50に基づいて化学式97を合成した:
<反応式50>
<中間体6−k> <中間体6−l> <化学式97>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体6−k>をビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに<中間体6−l>を使用した以外は、同様にして<化学式97>(1.6g、38%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 1194.5[M+
【0091】
合成例7:化学式45の合成
合成例7−(1):中間体7−aの合成
下記反応式51に基づいて中間体7−aを合成した:
<反応式51>
<中間体7−a>
500mLの丸底フラスコ反応器に1,2−ジブロモベンゼン(20.0g、0.085mol)、4−フルオロベンゾボロン酸(14.2g、0.102mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.9g、0.0025mmol)、炭酸カリウム(23.4g、0.169mol)を入れ、トルエン100mL、テトラヒドロフラン100mL、水40mLを入れた。反応器を80℃に昇温し、10時間攪拌した。反応が終了すると、反応器の温度を室温に下げ、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離した。有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離して中間体7−aを得た(14.1g、66.2%)。
【0092】
合成例7−(2):中間体7−bの合成
下記反応式52に基づいて中間体7−bを合成した:
<反応式52>
<中間体1−d> <中間体7−a> <中間体7−b>
前記合成例1−(5)において、2−ブロモビフェニルの代わりに<中間体7−a>を使用した以外は、同様にして<中間体7−b>(12.2g、79%)を得た。
【0093】
合成例7−(3):中間体7−cの合成
下記反応式53に基づいて中間体7−cを合成した:
<反応式53>
<中間体7−b> <中間体7−c>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体7−b>を使用した以外は、同様にして<中間体7−c>(8.2g、69.3%)を得た。
【0094】
合成例7−(4):中間体7−dの合成
下記反応式54に基づいて中間体7−dを合成した:
<反応式54>
<中間体7−d>
前記合成例6−(11)において、1−ブロモ4−(2−ナフチル)ベンゼンの代わりに4−ブロモビフェニルを使用した以外は、同様にして<中間体7−d>(14.0g、72%)を得た。
【0095】
合成例7−(5):化学式45の合成
下記反応式55に基づいて化学式45を合成した:
<反応式55>
<中間体7−c> <中間体7−d> <化学式45>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体7−c>を、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに<中間体7−d>をそれぞれ使用した以外は、同様にして<化学式45>(2.4g、28%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 1022.4[M+
【0096】
合成例8:化学式105の合成
合成例8−(1):中間体8−aの合成
下記反応式56に基づいて中間体8−aを合成した:
<反応式56>
<中間体3−d> <中間体8−a>
500mlの丸底フラスコ反応器にブロモベンゼン(25.46g、0.163mol)とテトラヒドロフラン170mlを入れ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。冷却された反応溶液にn−ブチルリチウム(1.6モル)(95.6ml、0.153mol)を滴加した。同じ温度で1時間攪拌し、<中間体3−d>(22.0g、0.051mol)を入れた後、常温で3時間撹拌した。反応完了の後、水50mlを入れて30分攪拌した。酢酸エチルと水で抽出した後、有機層を分離して減圧濃縮した。濃縮された物質に酢酸200ml、塩酸1mlを入れて80℃に昇温攪拌した。反応完了の後、常温に冷却し、生成された固体は濾過した。メタノールで洗浄した後、<中間体8−a>(20.0g、73%)を得た。
【0097】
合成例8−(2):中間体8−bの合成
下記反応式57に基づいて、中間体8−bを合成した:
<反応式57>
<中間体8−a> <中間体8−b>
1Lの丸底フラスコ反応器に<中間体8−a>(20.0g、0.037mol)とクロロホルム600mlを入れた。室温で攪拌する途中で、臭素(5.7ml、0.112mol)をクロロホルム40mlに希釈して滴加した。常温で12時間攪拌し、反応完了の後、メタノール100mlを入れ、生成された固体を濾過し、メタノールで洗浄した。洗浄された物質を1,2−ジクロロベンゼンとアセトンで再結晶して<中間体8−b>(14.0g、61.7%)を得た。
【0098】
合成例8−(3):中間体8−cの合成
下記反応式58に基づいて中間体8−cを合成した:
<反応式58>
<中間体8−c>
前記合成例6(11)において、1−ブロモ4−(2−ナフチル)ベンゼンの代わりに1−ブロモ−4−(トリメチルシリル)ベンゼンを使用した以外は、同様にして<中間体8c>(13.1g、72.1%)を得た。
【0099】
合成例8−(4):化学式105の合成
下記反応式59に基づいて化学式105を合成した:
<反応式59>
<中間体8−b> <中間体8−c> <化学式105>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体8−b>を、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに<中間体8−c>をそれぞれ使用した以外は、同様にして<化学式105>(3.0g、35%)を得た。
MS(MALDI−TOF):m/z 1048.5[M+
【0100】
合成例9:化学式220の合成
合成例9−(1):中間体9−aの合成
下記反応式60に基づいて中間体9−aを合成した:
<反応式60>
<中間体9−a>
前記合成例1−(1)において、4−ジベンゾフランボロン酸の代わりに4−ジベンゾチオフェンボロン酸を使用した以外は、同様にして<中間体9−a>(18.0g、61.8%)を得た。
【0101】
合成例9−(2):中間体9−bの合成
下記反応式61に基づいて中間体9−bを合成した:
<反応式61>
<中間体9−a> <中間体9−b>
前記合成例1−(2)において、<中間体1−a>の代わりに<中間体9−a>を使用した以外は、同様にして<中間体9−b>(15.0g、86.5%)を得た。
【0102】
合成例9−(3):中間体9−cの合成
下記反応式62に基づいて、中間体9−cを合成した:
<反応式62>
<中間体9−b> <中間体9−c>
前記合成例1−(3)において、<中間体1−b>の代わりに<中間体9−b>を使用した以外は、同様にして<中間体9−c>(12.0g、83.9%)を得た。
【0103】
合成例9−(4):中間体9−dの合成
下記反応式63に基づいて中間体9−dを合成した:
<反応式63>
<中間体9−c> <中間体9−d>
前記合成例1−(4)において、<中間体1−c>の代わりに<中間体9−c>を使用した以外は、同様にして<中間体9−d>(11.0g、75.4%)を得た。
【0104】
合成例9−(5):中間体9−eの合成
下記反応式64に基づいて中間体9−eを合成した:
<反応式64>
<中間体9−d> <中間体9−e>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体9−d>を使用した以外は、同様にして<中間体9−e>(11.2g、75.6%)を得た。
【0105】
合成例9−(6):中間体9−fの合成
下記反応式65に基づいて中間体9−fを合成した:
<反応式65>
<中間体9−e> <中間体9−f>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体9−e>を使用した以外は、同様にして<中間体9−f>(8.7g、80.1%)を得た。
【0106】
合成例9−(7):化学式220の合成
下記反応式66に基づいて化学式220を合成した:
<反応式66>
<中間体9−f> <中間体8−c> <化学式220>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体9−f>を、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに<中間体8−c>をそれぞれ使用した以外は、同様にして<化学式220>(3.2g、36.6%)を得た。
【0107】
合成例10:化学式224の合成
合成例10−(1):中間体10−aの合成
下記反応式67に基づいて中間体10−aを合成した:
<反応式67>
<中間体6−e> <中間体10−a>
前記合成例4−(2)において、メチル5−ブロモ−2−ヨードベンゾエートの代わりに<中間体6−e>を、<中間体4−a>の代わりに4−ジベンゾチオフェンボロン酸をそれぞれ使用した以外は、同様にして<中間体10−a>(20.2g、84.3%)を得た。
【0108】
合成例10−(2):中間体10−bの合成
下記反応式68に基づいて中間体10−bを合成した:
<反応式68>
<中間体10−a> <中間体10−b>
前記合成例1−(2)において、<中間体1−a>の代わりに<中間体10−a>を使用した以外は、同様にして<中間体10−b>(16.5g、84.6%)を得た
【0109】
合成例10−(3):中間体10−cの合成
下記反応式69に基づいて中間体10−cを合成した:
<反応式69>
<中間体10−b> <中間体10−c>
前記合成例1−(3)において、<中間体1−b>の代わりに<中間体10−b>を使用した以外は、同様にして<中間体10−c>(12.4g、78.7%)を得た。
【0110】
合成例10−(4):中間体10−dの合成
下記反応式70に基づいて中間体10−dを合成した:
<反応式70>
<中間体10−c> <中間体10−d>
前記合成例1−(4)において、<中間体1−c>の代わりに<中間体10−c>を使用した以外は、同様にして<中間体10−d>(3g、62.5%)を得た。
【0111】
合成例10−(5):中間体10−eの合成
下記反応式71に基づいて中間体10−eを合成した:
<反応式71>
<中間体10−d> <中間体10−e>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体10−d>を使用した以外は、同様にして<中間体10−e>(10.2g、72.0%)を得た。
【0112】
合成例10−(6):中間体10−fの合成
下記反応式72に基づいて中間体10−fを合成した:
<反応式72>
<中間体10−e> <中間体10−f>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体10−e>を使用した以外は、同様にして<中間体10−f>(8.7g、87.6%)を得た。
【0113】
合成例10−(7):化学式224の合成
下記反応式73に基づいて化学式224を合成した:
<反応式73>
<中間体10−f> <中間体7−d> <化学式224>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体10−f>を、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに<中間体7−d>を使用した以外は、同様にして<化学式224>(2.8g、33.8%)を得た。
【0114】
合成例11:化学式225の合成
合成例11−(1):中間体11−aの合成
下記反応式74に基づいて中間体11−aを合成した:
<反応式74>
<中間体11−a>
500mlの丸底フラスコに1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(25.0g、88mmol)を入れ、テトラヒドロフラン200mlを入れて溶かした。反応溶液は、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。冷却された溶液にn−ブチルリチウム(60.75ml、97mmol)を30分間ゆっくりと滴加し、同じ温度で1時間攪拌した。トリメチルボレート(11g、106mmol)を同じ温度で滴加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液に2N塩酸を滴加して酸性化し、1時間攪拌した。酢酸エチルで抽出し、有機層を分離して減圧濃縮し、冷たいn−ヘキサンを入れて結晶化した。<中間体11−a>を得た(12g、67.6%)。
【0115】
合成例11−(2):中間体11−bの合成
下記反応式75に基づいて中間体11−bを合成した:
<反応式75>
<中間体11−a> <中間体11−b>
前記合成例4−(2)において、メチル5−ブロモ−2−ヨードベンゾエートの代わりにメチル2−ブロモベンゾエートを、<中間体4−a>の代わりに<中間体11−a>をそれぞれ使用した以外は、同様にして<中間体11−b>(10.2g、68.5%)を得た。
【0116】
合成例11−(3):中間体11−cの合成
下記反応式76に基づいて中間体11−cを合成した:
<反応式76>
<中間体11−b> <中間体11−c>
250mlの丸底フラスコに<中間体11−b>(10.2g、35mmol)と100mlのテトラヒドロフランを入れ、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。冷却された反応溶液に臭化メチルマグネシウム(17.5ml、53mmol)を滴加した。滴加完了の後、2時間常温攪拌し、2時間還流撹拌して反応させた後、常温に冷却した。反応溶液に0.2N塩酸をゆっくりと滴加して酸性化した後、酢酸エチルと水を入れて抽出した。有機層を分離して減圧濃縮した後、カラム分離して<中間体11−c>(7.6g、74.5%)を得た。
【0117】
合成例11−(4):中間体11−dの合成
下記反応式77に基づいて中間体11−dを合成した:
<反応式77>
<中間体11−c> <中間体11−d>
500mlの丸底フラスコに<中間体11−c>(20.0g、69mmol)と酢酸300ml、塩酸1mlを入れて還流撹拌した。薄膜クロマトグラフィーで反応終結を確認した後、常温に冷却した。塩化メチレンと水を入れて抽出し、有機層を分離して減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体11−d>(8.2g、43.7%)を得た。
【0118】
合成例11−(5):中間体11−eの合成
下記反応式78に基づいて中間体11−eを合成した:
<反応式78>
<中間体11−d> <中間体11−e>
250mlの丸底フラスコ反応器に<中間体11−d>(8.2g、30mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(9.9g、39mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.5g、0.001mol)、酢酸カリウム(7.4g、75mmol)、80mlの1,4−ジオキサンを入れて10時間還流撹拌した。反応完了の後、セライトパッドで濾過した。濾液を減圧濃縮した後、カラム分離し、ジクロロメタンとヘプタンで再結晶して<中間体11−e>(7.0g、72.8%)を得た。
【0119】
合成例11−(6):中間体11−fの合成
下記反応式79に基づいて中間体11−fを合成した:
<反応式79>
<中間体11−e> <中間体11−f>
前記合成例1−(1)において、4−ジベンゾフランボロン酸の代わりに<中間体11−e>を使用した以外は、同様にして<中間体11−f>(8.2g、68.6%)を得た。
【0120】
合成例11−(7):中間体11−gの合成
下記反応式80に基づいて中間体11−gを合成した:
<反応式80>
<中間体11−f> <中間体11−g>
前記合成例1−(2)において、<中間体1−a>の代わりに<中間体11−f>を使用した以外は、同様にして<中間体11−g>(6.5g、82.1%)を得た。
【0121】
合成例11−(8):中間体11−hの合成
下記反応式81に基づいて中間体11−hを合成した:
<反応式81>
<中間体11−g> <中間体11−h>
前記合成例1−(3)において、<中間体1−b>の代わりに<中間体11−g>を使用した以外は、同様にして<中間体11−h>(5.0g、80.6%)を得た。
【0122】
合成例11−(9):中間体11−iの合成
下記反応式82に基づいて中間体11−iを合成した:
<反応式82>
<中間体11−h> <中間体11−i>
前記合成例1−(4)において、<中間体1−c>の代わりに<中間体11−h>を使用した以外は、同様にして<中間体11−i>(3.5g、57.8%)を得た。
【0123】
合成例11−(10):中間体11−jの合成
下記反応式83に基づいて中間体11−jを合成した:
<反応式83>
<中間体11−i> <中間体11−j>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体11−i>を使用した以外は、同様にして<中間体11−j>(3.0g、64%)を得た。
【0124】
合成例11−(11):中間体11−kの合成
下記反応式84に基づいて中間体11−kを合成した:
<反応式84>
<中間体11−j> <中間体11−k>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体11−j>使用した以外は、同様にして<中間体11−k>(2.2g、75.6%)を得た。
【0125】
合成例11−(12):化学式225の合成
下記反応式85に基づいて化学式225を合成した:
<反応式85>
<中間体11−k> <化学式225>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体11−k>を使用した以外は、同様にして<化学式225>(1.8g、48.7%)を得た。
【0126】
合成例12:化学式226の合成
合成例12−(1):中間体12−aの合成
下記反応式86に基づいて中間体12−aを合成した:
<反応式86>
<中間体12−a>
1Lの丸底フラスコ反応器に2−ヨードニトロベンゼン(15.0g、0.060mol)、2−ブロモフェニルボロン酸(13.3g、0.066mol)、酢酸パラジウム(0.67g、0.003mol)、炭酸カリウム(16.6g、0.120mol)、トリフェニルホスフィン(2.37g、0.009mol)を入れ、トルエン525mL、エタノール60ml、水60mLを入れた。反応器の温度を100℃に昇温し、18時間攪拌した。反応が終了すると、反応器の温度を室温に下げ、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離した。有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体12−a>を得た(14.0g、83.6%)。
【0127】
合成例12−(2):中間体12−bの合成
下記反応式87に基づいて中間体12−bを合成した:
<反応式87>
<中間体12−a> <中間体12−b>
250mlの丸底フラスコに<中間体12−a>(14.0g、0.050mol)、トリフェニルホスフィン(33.01g、0.126mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(100ml)を入れ、180℃で14時間撹拌した。反応が完了すると、常温に冷却した後、200mlの水に注ぎ、撹拌した。酢酸エチルで抽出して有機層を分離し、減圧濃縮した。カラム分離して<中間体12−b>(7.0g、56.5%)を得た。
【0128】
合成例12−(3):中間体12−cの合成
下記反応式88に基づいて中間体12−cを合成した:
<反応式88>
<中間体12−b> <中間体12−c>
250mlの丸底フラスコに<中間体12−b>(7.0g、0.028mol)、テトラヒドロフラン140ml、水素化ナトリウム(60%)(1.19g、0.029mol)を入れて常温で30分間攪拌した後、0℃に冷却撹拌した。冷却された反応溶液にヨードメタン(3.5ml、0.057mol)を滴加した後、温度を常温に上げて18時間攪拌した。反応が完了すると、100mlの水に注ぎ、酢酸エチルで抽出して有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで無水処理し、濾過し、減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体12−c>(7.2g、92.7%)を得た。
【0129】
合成例12−(4):中間体12−dの合成
下記反応式89に基づいて中間体12−dを合成した:
<反応式89>
<中間体12−c> <中間体12−d>
前記合成例4−(1)において、1−ブロモベンゾフランの代わりに<中間体12−c>を使用した以外は、同様にして<中間体12−d>(6.1g、71.7%)を得た。
【0130】
合成例12−(5):中間体12−eの合成
下記反応式90に基づいて中間体12−eを合成した:
<反応式90>
<中間体12−d> <中間体12−e>
前記合成例1−(1)において、4−ジベンゾフランボロン酸の代わりに<中間体12−d>を使用した以外は、同様にして<中間体12−e>(5.2g、73.7%)を得た。
【0131】
合成例12−(6):中間体12−fの合成
下記反応式91に基づいて中間体12−fを合成した:
<反応式91>
<中間体12−e> <中間体12−f>
前記合成例1−(2)において、<中間体1−a>の代わりに<中間体12−e>を使用した以外は、同様にして<中間体12−f>(8.2g、85%)を得た。
【0132】
合成例12−(7):中間体12−gの合成
下記反応式92に基づいて中間体12−gを合成した:
<反応式92>
<中間体12−f> <中間体12−g>
前記合成例1−(3)において、<中間体1−b>の代わりに<中間体12−f>を使用した以外は、同様にして<中間体12−g>(6.7g、85.8%)を得た。
【0133】
合成例12−(8):中間体12−hの合成
下記反応式93に基づいて中間体12−hを合成した:
<反応式93>
<中間体12−g> <中間体12−h>
前記合成例1−(4)において、<中間体1−c>の代わりに<中間体12−g>を使用した以外は、同様にして<中間体12−h>(4.3g、52.7%)を得た。
【0134】
合成例12−(9):中間体12−iの合成
下記反応式94に基づいて中間体12−iを合成した:
<反応式94>
<中間体12−h> <中間体12−i>
前記合成例1−(5)において、<中間体1−d>の代わりに<中間体12−h>を使用した以外は、同様にして<中間体12−i>(4.0g、68.9%)を得た。
【0135】
合成例12−(10):中間体12−jの合成
下記反応式95に基づいて中間体12−jを合成した:
<反応式95>
<中間体12−i> <中間体12−j>
前記合成例1−(6)において、<中間体1−e>の代わりに<中間体12−i>を使用した以外は、同様にして<中間体12−j>(3.2g、82.5%)を得た。
【0136】
合成例12−(11):化学式226の合成
下記反応式96に基づいて化学式226を合成した:
<反応式96>
<中間体12−j> <中間体7−d> <化学式226>
前記合成例1−(7)において、<中間体1−f>の代わりに<中間体12−j>を、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミンの代わりに<中間体7−d>をそれぞれ使用した以外は、同様にして<化学式226>(2.3g、40.7%)を得た。
【0137】
実施例1〜11:有機発光素子の製造
ITOガラスの発光面積が2mm×2mmのサイズとなるようにパターニングした後、洗浄した。前記ITOガラスを真空チャンバーに装着し、ベース圧力が1×10-7torrとなるようにした後、前記ITO上にDNTPD(700オングストローム)、α−NPD(300オングストローム)の順に成膜し、[BH1]と下記表1に記載の本発明による化合物3%とを混合して成膜(250Å)した後、電子輸送層として[化学式E−1]と[化学式E−2]を1:1の比で300Å、電子注入層として[化学式E−1]を5Å、Alを1000Åに順次成膜して有機発光素子を製造した。前記有機発光素子の発光特性は0.4mAで測定した。
【0138】
比較例1〜2
前記実施例1〜11で使用された化合物の代わりに[BD1]および[BD2]を使用した以外は、同様にして有機発光素子を製作した。前記有機発光素子の発光特性は0.4mAで測定した。前記[BD1]および[BD2]の構造は次のとおりである。
[BD1] [BD2]
実施例1〜11、比較例1および比較例2に基づいて製造された有機発光素子に対して、電圧、電流、輝度、色座標および寿命を測定し、その結果を下記表1に示した。T97は、輝度が初期輝度に比べて97%に減少するに要した時間を意味する。
【0139】
【表1】
前記表1に示すように、本発明によるアミン化合物は、従来技術による比較例1および比較例2の化合物を使用した場合よりも遥かに輝度および発光効率に優れるうえ、長寿命の優れた素子特性を示すことができるため、有機発光素子として応用可能性が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明によれば、高輝度、高発光および長寿命の優れた素子特性を有する有機発光素子を製造することができるため、産業上の利用可能性がある。
図1