(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナ部とは反対側の、前記対象フィルタの背部に配置され、照射された前記検査電磁波の一部であって該対象フィルタを透過した透過電磁波を再び該対象フィルタ側に反射するように形成された反射部を、更に備え、
前記受信部は、前記対象フィルタからの反射電磁波に加えて、前記透過電磁波が前記反射部によって反射された電磁波である二次反射電磁波を受信するように構成される、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のフィルタ検査装置。
複数の前記喫煙物品用フィルタを搬送台に載せた状態で搬送する搬送装置であって、該搬送装置によって搬送される喫煙物品用フィルタに含まれる前記対象フィルタに対して前記検査電磁波が照射されるように、前記アンテナ部に対して配置される搬送装置を、更に備え、
前記反射部は、前記搬送台に含まれる、金属製の所定部材である、
請求項5に記載のフィルタ検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタ内に配置されるべきカプセル等の所定配置物の配置状態の良否を検査するために、従来技術では、対象となるフィルタに対して電磁波を照射し、その電磁波がフィルタを透過することで得られる透過電磁波が利用されている。このような電磁波透過型の判定技術では、フィルタを電磁波が透過する際に、フィルタ内の所定配置物の配置状態が電磁波に反映されることで、当該配置状態に関する検査が可能となる。そのため、電磁波の照射部と透過電磁波の受信部とを、対象のフィルタを挟んでそれぞれ反対側に配置する必要があり、その結果、配置状態の検査のための構成(以下、「検査構成」という)に要する空間容積が大きくならざるを得ない。
【0006】
また、シガレットのフィルタのように大量生産されるフィルタにおいて、その内部に配置されるべき所定配置物の配置状態を判定する際は、フィルタやシガレットの効率的な生産を妨げないようにその判定が行われるのが好ましい。そこで、対象となるフィルタが生産ライン上で搬送等されている際に、フィルタ内の所定配置物の配置状態に関する判定が行われるのが好ましいが、従来技術のように透過電磁波を利用して検査を行おうとすると検査構成に要する空間容積が大きくなり、生産ライン上に、特に、フィルタが搬送されているライン上に検査構成を的確に配置することが困難となる。
【0007】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、喫煙物品用フィルタ内での所定配置物の配置状態を検査する検査装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、上記課題を解決するために、一つのアンテナ部が、検査対象となる対象フィルタへの検査電磁波の照射と、該照射電磁波に起因して該対象フィルタから戻ってくる反射電磁波の受信とを行う構成を採用した。この構成により、対象フィルタ内での所定配置物の配置状態に関連する情報を取得するために必要とする空間容積を小さく抑えることができる。
【0009】
具体的には、本発明は、喫煙物品用フィルタ内に配置されるべき所定配置物の配置状態に関する良否を検査する検査装置であって、所定周波数の検査電磁波を、検査の対象となる前記喫煙物品用フィルタである対象フィルタに対して照射する照射部と、前記照射部によって照射された前記検査電磁波による、前記対象フィルタからの反射電磁波を受信する受信部と、前記対象フィルタに対向するように配置され、前記検査電磁波と前記反射電磁波を伝搬させるアンテナ部と、前記受信部によって得られた反射信号に基づいて、前記対象フィルタ内の所定配置物の配置状態に関連する該反射信号の強度、又は該反射信号の位相ずれに関する所定情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記所定情報に基づいて、前記対象フィルタに配置された前記所定配置物の配置状態の良否を判定する判定部と、を備える。
【0010】
本発明に係る検査装置は、対象フィルタに対して対向するように配置されたアンテナ部を有している。このアンテナ部は、検査電磁波と反射電磁波を搬送するものである。したがって、照射部から照射された検査電磁波はアンテナ部を通して対象フィルタに到達したとき、少なくともその一部が対象フィルタによって反射され、アンテナ部を通して受信部によって受信されることになる。また、検査電磁波のうち対象フィルタを透過したものであっても、対象フィルタ以外の箇所で反射され受信部に向かってくる電磁波も、アンテナ部を通して受信部によって受信される場合もある。このような検査電磁波が反射された電磁波は、対象フィルタに照射された検査電磁波と区別して反射電磁波と称する。そして、この反射電磁波には、対象フィルタにおける所定配置物の配置状態に起因した物理的な作用が反映される。すなわち、検査電磁波が対象フィルタに照射され、対象フィルタで反射される場合、所定配置物の形状やその変形状態、フィルタ内での位置等、所定配置物の配置状態が、反射電磁波の強度や位相に反映されることになる。
【0011】
ここで、本発明の検査装置により配置状態に関する良否が検査される所定配置物は、フィルタ内に配置されるべきものであって、検査電磁波によって、その配置状態に関する情報が反射電磁波に反映可能な物体、構造物等であれば、何れの物であっても構わない。例えば、所定配置物としては、所定の香料液体が充填された液充填カプセルが例示できる。液充填カプセルは、カプセル内に所定の香料液体が充填されたものであり、当該香料液体によって、検査電磁波の反射による電磁波強度の変化や位相ずれが反射電磁波に反映されることになる。また、配置状態としては、フィルタ内での所定配置物の配置に関する状態であり、例えば、フィルタ内での所定配置物の位置に関し好適に配置されている状態、フィルタ内で所定配置物が破損や変形等せずに好適に配置されている状態、フィルタ内に所定配置物が存在している状態等を例示することができる。
【0012】
ここで、受信部によって反射電磁波が受信され、そこで形成された反射信号は、所定配置物の配置状態が反映された反射電磁波の強度や位相ずれに関する信号である。そこで、取得部が、受信部によって得られた反射信号に基づいて、所定配置物の配置状態を反映する情報として、反射信号の強度や位相ずれに関する所定情報を取得する。そして、判定部が、当該所定情報に基づいて、所定配置物の配置状態を把握することが可能となり、以て、当該配置状態の良否を判定する。例えば、所定情報としての反射信号の強度や位相ずれが、基準となる範囲に属すれば、所定配置物の配置状態が好適な状態である等の判定を判定部が行うことが可能となる。
【0013】
このように、アンテナ部を対象フィルタに対向させ該アンテナ部を通して検査電磁波を送信するとともに反射電磁波を受信するように構成することで、所定配置物の配置状態に関する良否の検査のために必要な検査は、アンテナ部と対象フィルタとの間に存在する空間のみとなり、従来の透過型の検査装置と比べて検査空間をコンパクトにすることが可能となる。更に、本発明のような反射型の検査装置においては、検査電磁波の周波数範囲を比較的低く設定することが可能であることを本願の発明者は見出した。例えば、10GHz〜100GHzの範囲に属する周波数の電磁波を検査電磁波として好適に利用することが可能である。より好適には、20GHz〜30GHzの範囲に属する周波数の電磁波を検査電磁波として利用できる。
【0014】
また、上述までの検査装置において、前記アンテナ部は、同一のアンテナ筐体において前記検査電磁波を前記対象フィルタに送信するとともに前記反射電磁波を該対象フィルタから受信するように形成されてもよい。このように構成することで、アンテナ部の構成をよりコンパクトにしその配置に要する空間容積を可及的に小さくできるため、検査装置の小型化を促進させることができる。
【0015】
また、本発明の検査装置において、受信部は、検査電磁波が対象フィルタによって直接反射された反射電磁波だけではなく、検査電磁波が対象フィルタから何らかの作用を受け、所定配置物の配置状態が反映された電磁波であって、対象フィルタから受信部に向かってくる電磁波も反射電磁波として受信可能となるように構成されてもよい。このように複数種類の、所定配置物の配置状態が反映された電磁波を反射電磁波として利用することで、取得部が取得する所定情報に、所定配置物の配置状態をより的確に反映させ、判定部による判定精度を向上させることができる。
【0016】
一例としては、上述の検査装置が、前記アンテナ部とは反対側の、前記対象フィルタの背部に配置され、照射された前記検査電磁波の一部であって該対象フィルタを透過した透過電磁波を再び該対象フィルタ側に反射するように形成された反射部を、更に備えてもよく、その場合、前記受信部は、前記対象フィルタからの反射電磁波に加えて、前記透過電磁波が前記反射部によって反射された電磁波である二次反射電磁波を受信するように構成される。当該二次反射電磁波は、照射部から反射部に至るまでの過程で一度対象フィルタ内を透過し、そして、反射部によって反射され受信部に至るまでの過程でもう一度対象フィルタ内を透過することになる。したがって、二次反射電磁波には、対象フィルタ内での所定配置物の配置状態が、比較的強く反映されることになる。そのため、上記反射電磁波に加えて当該二次反射電磁波を受信部によって受信し、そこから所定情報を取得することで、より的確な配置状態の良否に関する判定を判定部が行うことが可能となる。
【0017】
ここで、上記のような反射部による二次反射電磁波を受信部が受信し得る構成としては、本発明の検査装置が、複数の前記喫煙物品用フィルタを搬送台に載せた状態で搬送する搬送装置であって、該搬送装置によって搬送される喫煙物品用フィルタに含まれる前記対象フィルタに対して前記検査電磁波が照射されるように、前記アンテナ部に対して配置される搬送装置を、更に備え、前記反射部は、前記搬送台に含まれる、金属製の所定部材である形態を例示することができる。当該形態では、複数のフィルタが搬送装置の搬送台に載せられて搬送されている状態で、その中の対象フィルタに対してアンテナ部の照射部から検査電磁波が照射されると、当該対象フィルタによる直接の反射電磁波に加えて、搬送台の金属製の所定部材によって反射された二次反射電磁波がアンテナ部の受信部によって受信されることになる。したがって、当該形態によれば、フィルタの搬送中にフィルタ内の所定配置物の配置状態に関する良否判定が行われるため、効率的かつ高精度の判定を実現できる。
【0018】
ここで、上述までの検査装置において、前記所定情報は、前記反射信号の強度に関する情報であって、該検査装置は、前記所定周波数の検査電磁波が前記所定配置物を内部に配置されていない喫煙物品用フィルタである基準フィルタに対して照射されることで予め得られた基準信号強度に関する情報に基づいて、前記取得部によって取得された前記所定情報を補正する補正部を、更に備えてもよい。そして、前記判定部は、前記補正部によって補正された前記所定情報に基づいて、前記対象フィルタに配置された前記所定配置物の配置状態の良否を判定してもよい。
【0019】
所定配置物が配置されていない基準フィルタに対して検査電磁波が照射されたときの、受信部によって得られた基準信号強度には、フィルタにおける所定配置物の配置状態以外の情報、換言すれば、当該配置状態に関する情報に対するノイズが反映されていると言うことができる。そこで、補正部は、この基準信号強度に関する情報に基づいて所定情報を補正することで、対象フィルタでの所定配置物の配置状態に関する情報を的確に抽出することができると言え、その結果、この補正された所定情報に基づいて判定部が配置状態の
良否に関する判定を行うことで、その判定精度の向上を図ることができる。
【0020】
また、上述までの検査装置において、搬送されている前記対象フィルタに対して、前記照射部からの前記検査電磁波の照射が行われてもよく、その場合、前記照射部による前記検査電磁波の照射及び前記受信部による反射電磁波の受信が可能となるように設定された所定の照射範囲を、前記対象フィルタが通過している間に、前記取得部は、前記反射信号の強度に関する情報、又は前記反射信号の位相ずれに関する情報を複数回取得し、該取得された強度情報、又は該位相ずれ情報の中から、該検査電磁波に対する変化が最大の強度情報、又は該検査電磁波に対する変化が最大の位相ずれ情報を前記所定情報として取得してもよい。このように複数回の反射信号の強度に関する情報、又は反射信号の位相ずれに関する情報の取得が行われる場合、その中でも検査電磁波に対する変化が最大の強度情報又は最大の位相ずれ情報は、反射電磁波が、対象フィルタでの所定配置物の配置状態を最も的確に反映している状態に対応する情報と言える。したがって、変化が最大の強度情報、又は変化が最大の位相ずれ情報である所定情報を利用して判定部による判定を行うことで、その精度の向上が図られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、喫煙物品用フィルタ内での所定配置物の配置状態を検査する検査装置の小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
図1は、シガレットに取り付けられるフィルタの、カプセルフィルタ巻上機10上での製造工程、及びシガレット巻上機15上でのシガレットの製造工程、及び、シガレット巻上機15上で行われる、該フィルタ内に配置された液充填カプセル(以下、単に「カプセル」という)の検査工程の流れを示す図である。以下、各工程の内容を簡単に説明する。先ず、カプセルフィルタ巻上機10上での流れについて説明する。カプセルフィルタ巻上機10では、フィルタ材供給工程11から供給される、アセテート繊維の束であるフィルタ材料に対してカプセル供給工程12よりカプセルが供給、挿入され、その後、巻上げ工程13で、そのカプセルが挿入されたフィルタ材料が巻取紙にてロッド形状に巻上げられる。その後、切断工程14で、図示しないカッタにてフィルタロッドが所定の長さ毎に切断され、カプセルフィルタロッドが得られる。
【0025】
製造されたカプセルフィルタロッドは、シガレット巻上機15でのフィルタチップアタッチメント16に送られる。そこでは、先ず、カプセルフィルタロッドが、チップ巻きつけ工程17で、前工程で製造されたシガレットロッドに対してチップペーパーを介して一体に巻きつけられる。通常、カプセルフィルタロッドは2倍長の長さを有しており、ドラム上にて2倍長のカプセルフィルタロッドの両端側にシガレットロッドが配置され、チップペーパーが巻きつけられ、ダブルシガレットが製造される。このダブルシガレットは別のドラム上で行われる切断工程18に送られ、そこで切断されて一本分の長さを有したシガレットが製造される。そして、その製造されたシガレットは検査工程19に送られ、フィルタチップアタッチメント16に設けられた、
図2に図示されたカプセル検査装置によって、シガレットのフィルタに対してオンマシン上で効率的なカプセルに関する検査が行われる。なお、当該カプセル検査装置が、本発明に係る検査装置に相当する。
【0026】
そこで、
図2に基づいて、カプセル検査装置の構成について説明する。
図2に示すように、カプセル検査装置は、当該検査装置で実行される各種の処理を実行するための制御装置20と、シガレット2のフィルタ1におけるカプセル1aの配置状態の良否に関する検査のためのプローブアンテナ23と、検査の対象となるフィルタを有するシガレット2を複数本搬送可能とするドラム30とを有している。
【0027】
ここで、プローブアンテナ23にはサーキュレータ24が接続され、サーキュレータ24には、雑音源21から供給される検査電磁波がローパスフィルタ22を通り所定の周波数帯の検査電磁波が生成される。そして、その検査電磁波がサーキュレータ24に入力される。なお、好ましくは、雑音源21で生成された発振周波数22GHz〜40GHzの電磁波がローパスフィルタ22に通されて20〜30GHzの検査電磁波が生成される。別例としては、サーキュレータ24に入力される検査電磁波の周波数は、10〜100GHzに属するものでもよい。
【0028】
更に、サーキュレータ24には、その出力部に検波器25が接続される。この検波器25は、後述する反射電磁波に対応する電気的な反射信号を取り出し、その後、アンプフィルタ26により、反射信号に対する増幅、フィルタリング等の所定の電気処理が行われ、制御装置20に反射信号が引き渡される。
【0029】
ここで、プローブアンテナ23は、細長いアンテナ筐体を有し、その先端部が検査対象となるフィルタ1に対向するように配置される。そして、その先端部から検査電磁波が照射される。そして、照射された検査電磁波が、後述するようにフィルタ1又はドラム本体31で反射され、その反射電磁波を再びプローブアンテナ23で受信する。したがって、
図2に示すカプセル検査装置では、検査電磁波と反射電磁波がともにプローブアンテナ23内を搬送されることになる。そのため、検査電磁波の送信部位と反射電磁波の受信部位とが、フィルタ1に対して同一の側に配置されることになる。
【0030】
そのため、プローブアンテナ23の検査電磁波の送信部位と、反射電磁波の受信部位とが、回転駆動するドラム30に対面する位置に設置されることになる。このドラム30は、回転可能となるように支持されたドラム本体31に、シャフトを介してロータリーエンコーダ32が接続されている。
【0031】
そして、検査対象となるフィルタ1を有するシガレット2が、
図2に示すようにドラム30のドラム本体31上に配置されている。具体的には、ドラム本体31は、金属製の円筒物体であり、シガレット2が軸方向に収容されるように形成された収容部が、当該円筒物体の表面上にその軸方向に沿って配置されており、シガレット2は、そのフィルタ1が
図2におけるドラム本体31の右端面側に位置し、そのタバコロッドが
図2におけるドラム本体31の左端面側に位置する状態で、ドラム本体31上の収容部内に収容される。なお、
図2に示すシガレット2の配置は、当該収容部に収容された一本のシガレット2を、当該円筒物体の軸を含む断面に投影した状態である。
【0032】
そして、ドラム本体31の円筒物体の表面には複数本のシガレット2が同時に収容された状態で、回転搬送されることになる。ドラム本体31上で回転搬送されているシガレット2のフィルタ1は、ドラム本体31の円筒物体の表面上に配置されているため、その回転搬送の工程の一部において、上述したように、プローブアンテナ23の検査電磁波の送信部位と、反射電磁波の受信部位と対向可能な位置関係、すなわち、プローブアンテナ23により検査電磁波が照射され、且つ反射電磁波を受け取ることが可能な検査領域に属する位置関係が、プローブアンテナ23とフィルタ1との間に形成されることになる。したがって、ドラム30により複数のシガレット2が回転搬送される工程において、
図2に示すカプセル検査装置により、複数のシガレット2のそれぞれのフィルタ1が順次、プローブアンテナ23からの検査電磁波の照射による検査処理に付されることになる。
【0033】
なお、ドラム駆動シャフトによりロータリーエンコーダ32が駆動され、そこから得られるパルス信号と巻上機が発生させるシガレット1本毎に対応するドラムクロックパルス(DCP)は、カプセル検査装置の制御装置20に渡されている。そのため、当該パルス信号とDCPに基づいて、カプセル検査装置は、ドラム30上の何れのシガレットのフィルタ1に対して検査処理が行われているかを把握することが可能である。
【0034】
ここで、
図3に基づいて、カプセル検査装置によるフィルタ1内のカプセル1aの配置状態の検査の詳細について説明する。なお、本実施例における配置状態としては、カプセル1aが破損せずに、すなわち内部の香料液体が漏出せずにフィルタ1内に正常に配置されている状態(以下、「正常配置状態」という)と、カプセル1aが破損し内部の香料液体が漏出した状態(以下、「異常配置状態」という)とが例示できる。
図3の上段(a)、中段(b)、下段(c)では、それぞれドラム30におけるシガレット2の収容状態を模式的に示すとともに、その収容状態に対応した反射電磁波の受信強度を示す。具体的には、(a)〜(c)のそれぞれは、検査電磁波が照射された状態において、ドラム30によってフィルタ1がプローブアンテナ23に対してその幅方向(
図3の紙面垂直方向)に搬送されたときに、その幅方向の搬送距離に対する反射電磁波の受信強度の推移を示している。詳細には、線L1は、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態が正常配置状態である場合の受信強度推移であり、線L2は、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態が異常配置状態である場合の受信強度推移である。
【0035】
そして、
図3の上段(a)は、シガレット2のフィルタ1の端面(
図3における右端面)が、ドラム本体31の右端面と面一となった状態、すなわち、フィルタ1の右端面の、ドラム本体31の右端面からの突出量ΔL1がゼロとなった状態の、シガレット2の収容状態に対応している。この収容状態では、フィルタ1内にあるカプセル1aの、プローブアンテナ23の反対側には、ドラム本体31の金属側面31aが位置した状態となっている。また、
図3の中段(b)は、フィルタ1の右端面が、ドラム本体31の右端面から突出し、その突出量がΔL2となった、シガレット2の収容状態を示している。この収容状態では、フィルタ1がドラム本体31の右端面より突出してはいるものの、フィルタ1内にあるカプセル1aの、プローブアンテナ23の反対側には、まだドラム本体31の金属側面31aが位置した状態となっている。更に、
図3の下段(c)は、フィルタ1の右端面が、ドラム本体31の右端面から突出し、その突出量がΔL3となった、シガレット2の収容状態を示している。この収容状態では、フィルタ1がドラム本体31の右端面より突出し、フィルタ1内にあるカプセル1aの、プローブアンテナ23の反対側には、ドラム本体31の金属側面31aは位置していない状態となっている。
【0036】
照射部23bから照射された検査電磁波は、一定の広がりをもってフィルタ1に対して照射されるため、
図3の(a)〜(c)の各収容状態におけるフィルタ1は、照射部23bからの検査電磁波が照射される領域に位置している。ここで、照射された検査電磁波の一部は、フィルタ1側で反射されてプローブアンテナ23に向かう反射電磁波となる。そして、当該反射電磁波には、フィルタ1側での様々な部位において反射された電磁波が含まれており、概略的には、次の4つの反射電磁波の形態を例示できる。
(1)フィルタ1の表面での反射電磁波
(2)フィルタ1内のカプセル1aの表面(すなわち、カプセル1aとフィルタ1との境界面)での反射電磁波
(3)フィルタ1を透過するもののカプセル1aを透過しない透過電磁波による、ドラム本体31の金属側面31aでの反射電磁波
(4)フィルタ1及びカプセル1aを透過した透過電磁波による、ドラム本体31の金属側面31aでの反射電磁波
【0037】
上記反射電磁波(1)〜(4)のうち反射電磁波(1)及び(3)は、検査電磁波が実質的にカプセル1aに作用していないため、反射電磁波(1)及び(3)には、カプセル1aの配置状態に関する情報が反映されていないことになる。一方で、反射電磁波(2)については、検査電磁波が、香料液体が充填されているべきカプセル1aによって反射されているため、その反射に際して検査電磁波の一部が吸収等され、結果として、カプセル1a内の香料液体の存在が反射電磁波の受信強度に反映されることになる。また、反射電磁波(4)については、電磁波の反射は金属側面31aによって行われるが、その反射の過程において検査電磁波がカプセル1a内を透過しているため、検査電磁波の一部が吸収等され、結果として反射電磁波(2)と同じようにカプセル1a内の香料液体の存在が反射電磁波の受信強度に反映されることになる。
【0038】
本発明に係るカプセル検査装置は、この反射電磁波の受信強度への、カプセル1a内の香料液体存在の反映を利用して、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態の良否、すなわち、正常配置状態か異常配置状態であるかの検査処理を行うものである。具体的には、
図3(a)に示す収容状態では、プローブアンテナ23から見たときにカプセル1aの背面には金属側面31aが存在しているため、上記反射電磁波(2)及び(4)をプローブアンテナ23によって受信可能である。そこで、カプセル1aが正常配置状態にあると、フィルタ1内の一定の領域に香料液体がまとまって存在しているため、検査電磁波の吸収度合いが大きくなり、プローブアンテナ23による受信強度は大きく低下することになる。なお、本実施例では、カプセル1aは、フィルタ1の幅において概ねその中央に配置されているため、カプセル1aが正常配置状態にあれば、搬送距離の概ね中央値で受信強度が大きく低下した推移を示すことが
図3(a)から理解できる。一方で、カプセル1aが異常配置状態にあると、香料液体がフィルタ1内に拡散してしまうため、検査電磁波の吸収度合いが小さくなり、正常配置状態の場合と比べて、受信強度推移における受信強度の低下量が小さくなる。この結果、正常配置状態と異常配置状態とで受信強度推移における受信強度の低下量を比べると、
図3(a)に示すように、明確な差異ΔV1を見出すことができる。そこで、この受信強度の低下量の差異ΔV1を利用して、正常配置状態と異常配置状態を分別して判定することが可能となる。
【0039】
また、
図3(b)に示す収容状態でも、フィルタ1がドラム本体31の端面から突出してはいるものの、プローブアンテナ23から見たときにカプセル1aの背面には金属側面31aが存在しているため、やはり上記反射電磁波(2)及び(4)をプローブアンテナ23によって受信可能である。そのため、この場合でも、正常配置状態と異常配置状態とで受信強度推移における受信強度の低下量を比べると、
図3(b)に示すように、明確な差異ΔV2を見出すことができる。
【0040】
ここで、
図3(c)に示す収容状態では、プローブアンテナ23から見たときにカプセル1aの背面には金属側面31aが存在していないため、上記反射電磁波(2)はプローブアンテナ23によって受信可能であるが、反射電磁波(4)が発生せずにその受信はできないことになる。そのため、当該収容状態では、正常配置状態と異常配置状態とで受信強度推移における受信強度の低下量の差異ΔV3は、上記の
図3(a)、(b)に示す状態と比べて小さくはなるが、ある程度は明確な受信強度の低下量として把握可能である。したがって、このような収容状態であっても、差異ΔV3を利用して正常配置状態と異常配置状態を分別して判定することが可能となる。
【0041】
ここで、本実施例のカプセル検査装置では、22〜28GHzの検査電磁波が照射される。上記のように受信強度の低下量の差異を利用して正常配置状態と異常配置状態を分別するには、22〜28GHzの周波数帯域のうち、正常配置状態と異常配置状態とで、受信強度の低下量の差異が最も大きくなる周波数の電磁波を利用するのが好ましい。そこで、検査電磁波の周波数と受信強度の相関を理解するために、
図4に、各周波数の検査電磁波を利用したときのプローブアンテナ23による反射電磁波の受信強度の推移を示している。具体的には、
図4の(a)〜(e)のそれぞれは、検査電磁波の周波数が22GHz、24GHz、26GHz、28GHz、30GHzに対応しており、線L3が、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態が正常配置状態である場合の受信強度推移であり、線L4が、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態が異常配置状態である場合の受信強度推移である。なお、
図4に示す各受信強度推移の受信強度の符号が、
図3に示す各受信強度推移の受信強度の符号と逆になっている。
【0042】
図4から理解できるように、本実施例では22〜28GHzの周波数帯域の何れの周波数でも、正常配置状態と異常配置状態とで受信強度の変化量の差異が比較的大きく発現されるため、その周波数を有する検査電磁波はカプセル1aの配置状態に関する検査処理には好適に利用できると言える。しかし、特に、検査電磁波の周波数が24GHz又は26GHzの場合に、当該差異が最も大きくなることを見出せることから、最も好ましくは24GHz又は26GHzの検査電磁波を利用してカプセル1aの配置状態に関する検査処理を行う。なお、この検査処理のための好適な検査電磁波の周波数は、カプセル1aやフィルタ1の形状、大きさ、カプセル1a内の香料液体の成分やフィルタ1の材質等によって変動すると考えられるため、これらの要素を考慮して適宜、検査電磁波の周波数を設定すればよい。
【0043】
ここで、
図4に基づいて、本発明のカプセル検査装置で実行されるフィルタ1の検査処理、すなわち上述した検査電磁波を利用した、フィルタ1内のカプセル1aの配置状態に関する検査処理の詳細を説明する。当該検査処理では、制御装置20において所定の制御プログラムが実行される。また、当該検査処理は、一本のシガレット2に備えられたフィルタ1に対して実行される処理である。したがって、上記のようにドラム30によってシガレットが順次、カプセル検査装置に送り込まれる場合には、その各シガレット2のフィルタ1に対して、当該検査処理が繰り返し実行されることになる。なお、本実施例の検査処理は、ドラム本体31に対するシガレット2の収容状態が
図3(a)に示す収容状態で行われるものとする。
【0044】
先ず、S101では、検査の対象となるシガレットのフィルタ1が、検査領域内に到達しているか否か、すなわち、フィルタ1が、プローブアンテナ23からの検査電磁波の照射領域内に到達しているか否かが判定される。上記の通り、制御装置20は、ロータリーエンコーダ32からのパルス信号等を利用することで、検査領域に対するシガレットの相対位置を把握でき、以て、ドラム30により搬送されてきたシガレット2のフィルタ1が検査領域内に到達していると判定することができる。S101で肯定判定されるとS102へ進み、否定判定されるとS101の処理が繰り返され、フィルタ1の検査領域への到達が待たれることになる。
【0045】
次に、S102では、検査領域に到達したフィルタ1に対して、プローブアンテナ23から検査電磁波の照射が行われる。S102の処理が終了すると、S103へ進む。S103では、プローブアンテナ23による反射電磁波の受信が行われる。上記の通り、本検査処理では、ドラム本体31に対するシガレット2の収容状態が
図3(a)に示す収容状態であるため、プローブアンテナ23によって受信される反射電磁波は、上記の反射電磁波(1)〜(4)の全てを含む。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0046】
S104では、S103で受信された反射電磁波の受信強度の補正が行われる。具体的には、制御装置20は、基準となるフィルタであってカプセル1aが配置されていない未配置フィルタに対してプローブアンテナ23から検査電磁波を照射したときの、該プローブアンテナ23による受信強度を、基準信号強度として予め有している。そして、S103で受信された反射電磁波の受信強度から当該基準信号強度を差し引くことで得られる受信強度(以下、「補正受信強度」という)は、理論的には、カプセル1aの配置状態のみが反映された受信強度と言える。したがって、当該補正受信強度を利用することで、カプセル1aの配置状態に関する検査処理の精度を向上させることができる。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0047】
S105では、S104で取得された補正受信強度が更新されたか否か、すなわち、より強度の低い補正受信強度が取得されたか否かが判定される。
図3に従って説明したように、フィルタ1が検査領域内に到達してから1回目の検査電磁波の照射が行われた場合には、過去に取得された補正受信強度は存在しないため、その場合はS105は肯定判定される。また、2回目以降の検査電磁波の照射が行われた場合には、過去の検査電磁波の照射で取得された補正受信強度(制御装置20のメモリ内に記憶されている補正受信強度)と、今回の検査電磁波の照射で取得された補正受信強度とを比較し、今回の補正受信強度が小さい場合には、S105において肯定判定されることになる。そして、S105で肯定判定されるとS106へ進み、S106で、制御装置20内のメモリに記憶されていた補正受信強度のデータが、今回の検査電磁波の照射で得られた補正受信強度に書き替えられる。なお、1回目の検査電磁波の照射の場合には、メモリ内には補正受信強度が記憶されていないため、1回目の検査電磁波の照射で得られた補正受信強度がそのままメモリに書き込まれる。一方で、S105で否定判定されるとS107へ進み、S107では、制御装置20内のメモリに記憶されていた過去の補正受信強度のデータが維持され、今回の検査電磁波の照射で得られた補正受信強度は利用されないことになる。
【0048】
このように補正受信強度のデータ更新を行うのは、検査電磁波がカプセル1aの表面で反射しその反射電磁波が受信されるとともに、カプセル1aを透過した検査電磁波が金属側面31aで反射し、その反射電磁波が再びカプセル1aを透過した後に受信された場合、すなわち、プローブアンテナ23が、上記の反射電磁波(2)及び(4)を受信する場合に、反射電磁波にカプセル1aの配置状態が最も効果的に反映され、その際の反射電磁波の受信強度、又は、補正受信強度が最も小さくなると考えられるからである。S106又はS107の処理が終了すると、S108へ進む。
【0049】
次に、S108では、フィルタ1が、検査領域内を出たか否かが判定される。なお、上述したS102〜S106、S107の処理が行われる間もドラム30によってシガレットは回転搬送されている。そこで、ロータリーエンコーダ32からのパルス信号等を利用して、現時点での検査領域に対するシガレットの相対位置を把握し、S108の判定処理が行われる。S108で肯定判定されるとS109へ進み、否定判定されるとS102以降の処理が繰り返され、再び、フィルタ1への検査電磁波の照射による補正受信強度の取得処理が行われることになる。
【0050】
次に、S109では、最終的に制御装置20のメモリ内に記憶されている補正受信強度を、ピーク受信強度Vpとして決定する。当該ピーク受信強度Vpは、検査対象となったフィルタ1において、その内部に配置されたカプセル1aの配置状態を最も強く反映している受信強度である。S109の処理が終了すると、S110へ進む。S110では、ピーク受信強度Vpに基づいて、検査対象のフィルタ1でのカプセルの配置状態に関する判定が行われる。具体的には、ピーク受信強度Vpが、所定の閾値Rvより小さいとき、フィルタ1内においてカプセル1aは正常配置状態にあると判定される(S111の処理)。カプセル1a内に香料液体が適切に充填された状態が維持されている正常配置状態では、フィルタ1において香料液体が分散せず局所的に存在した状態となっている。そのため、反射電磁波にその香料液体の存在状態が反映され、ピーク受信強度Vpが好適に小さい値となる。その点を考え、S110の判定が行われることになる。
【0051】
一方で、ピーク受信強度Vpが、所定の閾値Rvより小さくないとき、フィルタ1内においてカプセル1aは異常配置状態にあると判定する(S112の処理)。カプセル1a内に香料液体が適切に充填された状態が維持されていない異常配置状態では、フィルタ1において香料液体が分散した状態となっている。そのため、反射電磁波には香料液体の吸収効果が反映されにくく、ピーク受信強度Vpが比較的大きな値となる。その点を考え、S110の判定が行われることになる。また、S112において異常判定されたフィルタ1を有するシガレット2については、S113においてドラム30から排除される。この排除処理は、図示しない公知の排除のための装置(例えば、圧縮エアを用いて排除する装置)が使用される。このように異常判定されたシガレットが排除されることで、当該シガレットが包装され市場に出ていくことを回避することができる。
【0052】
このように本検査処理では、検査電磁波の送信と反射電磁波の受信を行うプローブアンテナ23を用いて、フィルタ1側からの反射電磁波を利用した、フィルタ1内でのカプセル1aの配置状態に関する検査が行われる。このように反射型の検査を行う場合、従来技術の透過型の検査を行う場合と比べて、検査に要する空間容積を可及的に小さくすることが可能となり、以てカプセル検査装置の小型化を促進させることができる。
【0053】
更に、上記のカプセル検査装置では、サーキュレータ24を介することで、プローブアンテ23ナへの検査電磁波の供給及び反射電磁波の取り出しが行われる。これにより一つのプローブアンテナ23において検査電磁波と反射電磁波が搬送されることになる。このような構成を採用した場合、プローブアンテナ23とフィルタ1との間の検査空間において、検査電磁波と反射電磁波が概ね同一経路上を通ることになる。そのため、検査電磁波がフィルタ1を透過し、それが反射電磁波としてプローブアンテナ23に受信される場合、フィルタ1の同じ個所を通過することになるため、仮に検査電磁波がカプセル1aを透過していれば、反射電磁波にカプセル1aの状態を強く反映させることが可能になり、検査装置の精度向上が見込まれる。
【0054】
<変形例1>
上記の実施例においては、反射電磁波の受信強度に基づいて、フィルタ1内でのカプセル1aの配置状態に関する検査が行われるが、その態様に代えて、反射電磁波の位相ずれに基づいて当該検査を行ってもよい。なお、この位相ずれは、検査電磁波と反射電磁波との間の位相のずれを意味する。ここで、検査電磁波の周波数と位相ずれの相関を理解するために、
図6に、各周波数の検査電磁波を利用したときの位相ずれの推移を示している。具体的には、
図6の(a)〜(e)のそれぞれは、検査電磁波の周波数が22GHz、24GHz、26GHz、28GHz、30GHzに対応しており、線L5が、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態が正常配置状態である場合の位相ずれ推移であり、線L6が、フィルタ1でのカプセル1aの配置状態が異常配置状態である場合の位相ずれ推移である。
【0055】
図6から理解できるように、位相ずれを利用して正常配置状態と異常配置状態とを分別するには、検査電磁波の周波数が26GHz又は28GHzの場合に、正常配置状態に対応する位相ずれと異常配置状態に対応する位相ずれとの差異が大きくなることを見出せる。そこで、好ましくは26GHz又は28GHzの検査電磁波を利用して位相ずれに基づくカプセル1aの配置状態に関する検査処理を行う。なお、この検査処理のための好適な検査電磁波の周波数は、カプセル1aやフィルタ1の形状、大きさ、カプセル1a内の香料液体の成分やフィルタ1の材質等によって変動すると考えられるため、これらの要素を考慮して適宜、検査電磁波の周波数を設定すればよい。