(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記油分除去装置によって油分が除去された前記被処理物の表面に対してさらに過熱水蒸気を当てる脱脂装置を備え、前記脱脂装置により無酸素雰囲気下で油の気化温度以上にまで前記被処理物の表面を加熱することにより、前記被処理物の表面の油を気化させて脱脂を行うように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油分除去システム。
前記過熱水蒸気を前記吐出部から付与する工程の前に前記被処理物の温度を低下させる工程を含み、温度を低下させた前記被処理物に対して前記過熱水蒸気を付与するものであり、
前記過熱水蒸気を前記吐出部から付与する工程の後に前記被処理物の前記表面に除去用流体を噴射する工程を含み、前記除去用流体の噴射によって前記結露と前記油分とを被処理物の前記表面から除去することを特徴とする請求項7に記載の過熱水蒸気による油分除去方法。
前記油分除去装置によって油分が除去された前記被処理物の表面に対してさらに過熱水蒸気を当てて、無酸素雰囲気下で油の気化温度以上にまで前記被処理物の表面を加熱する工程を備え、この工程により、前記被処理物の表面の油を気化させて脱脂を行うことを特徴とする請求項8に記載の過熱水蒸気による油分除去方法。
【背景技術】
【0002】
過熱水蒸気を用いて金属加工物などの被処理物の表面に付着した油分を除去システムとしては、特許文献1ないし5に示すものが知られている。
特許文献1は、水蒸気ノズルからの飽和又は過熱水蒸気噴射直下の基板上に、噴霧水ノズルから噴霧水を噴射させ、噴霧粒の瞬時蒸発による水蒸気爆発で剥離洗浄し、剥離物を排出搬送させる洗浄水ノズルを備えている油分除去システムを開示する。
【0003】
従って、このシステムにあっては、過熱水蒸気は、水との接触による水蒸気爆発を招来させ、剥離洗浄するために用いられるものであって、結露による油分の除去をなすために用いられるものではなかった。
特許文献2及び3は、例えば機械油付着により汚れている被処理物を、灯油などの洗浄液に溶解させた後に、すすぎ兼乾燥室に搬送して、ここで被処理物に、過熱水蒸気を噴射して、残留洗浄液の揮発除去処理を行なうようにした油分除去システムを開示する。このシステムでは、噴射された過熱水蒸気は、洗浄液の揮発分離と同時に噴射力により洗浄液を含む残留物を掻き落とし、被処理物から洗浄液や残留物を除去するものである。従って、このシステムにあっては、過熱水蒸気は、溶剤に溶解した油を含む残留洗浄液の揮発除去処理に用いられるものであって、結露による油分の除去をなすために用いられるものではなかった。
【0004】
特許文献4は、鋼板が過熱水蒸気吹付器に通板され、鋼板の両面に過熱水蒸気が吹き付けられることにより、鋼板の両面に付着している圧延油、機械油等の油類を、加熱、気化して除去する油分除去システムを開示する。従って、このシステムにあっては、過熱水蒸気は、油類を、加熱、気化して除去するために用いられるものであって、結露による油分の除去をなすために用いられるものではなかった。
【0005】
特許文献5は、下部に長尺な被処理物の入口と、上部に長尺な被処理物の出口と、過熱水蒸気を充満させるための過熱水蒸気導入口を有する洗浄乾燥炉と、該洗浄乾燥路内の洗浄室の下方から上方に、前記長尺な被処理物を連続的に通過させることによって、被処理物表面を連続的に脱脂洗浄する油分除去システムを開示する。
【0006】
特許文献5に係る発明は、過熱水蒸気をノズルから被処理物へ吹き付けて、油分を水蒸気と共に除去する連続的洗浄方法では、耐熱性が低い被処理物や機械的な強度が低い被処理物では被処理物が損傷するばかりか、ノズルを用いて過熱水蒸気を被処理物の全表面に吹き付けると、均一に吹き付けられないので、穴が開いたり、変形したりするという問題点を解決するためなされたものであり、ノズルから噴出させた過熱水蒸気を被処理物に当てずに、前記洗浄室に過熱水蒸気を導入するものである。具体的には、水蒸気で満たされた洗浄室内を、長尺の被処理物を被処理物の熱容量に応じた所定の速度で下方から上方に通過させることによって、下部から導入された被処理物表面には高温の過熱水蒸気が油分等を取り込んで結露し、上方にいくにしたがって、油分等を取り込んだ水滴は蒸散して、上部出口からでるときは、乾燥状態となるようにし、その表面の油脂等の汚れを除去して、耐熱性が低い被処理物や機械的な強度が低い被処理物であっても、均一に洗浄することが出来るようにしたシステムである。このシステムは、過熱水蒸気を直接被処理物に当てるのではなく、被処理物表面に油分を取り込んだ過熱水蒸気を結露させ、この水滴を油分と共に蒸散させて洗浄するものである。従って、特許文献5の段落0017に記載されているように、結露の蒸散が完了する前に被処理物が洗浄室を通過するような洗浄速度では乾燥が不十分となり、洗浄も不十分となる。一方洗浄速度が遅すぎては被処理物の温度が供給する過熱蒸気の温度に近づき、材料によっては耐熱温度を超える場合もある。その結果、長尺の被処理物の単位長さ当たりの熱容量に応じて適切な速度に調整することが重要となるものである。
【0007】
特許文献5のシステムにあっては、上記のように、結露の発生と結露の蒸散とを良好に実現するための条件が厳しくならざるを得ないため、システムの運転条件の設定が困難であったり、被処理物の材質、形状、大きさが変化すると対応しきれなかったりするおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、被処理物の材質、形状、大きさが変化した場合にあっても、良好な油分の除去をなすことができる油分除去システムと油分除去方法の提供を課題とする。
本発明は、油分除去システムと油分除去方法の実施に用いることができる過熱水蒸気発生装置の提供を課題とする。
【0010】
さらに本発明は、被処理物の材質、形状、大きさが変化した場合にあっても、良好な油分の除去に止まらず脱脂をもなすことができる油分除去システムと油分除去方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、過熱水蒸気の結露作用を利用して油分の除去を行うに際して、結露の発生のメカニズムと結露の除去のメカニズムとを見直すことにより、完成された発明である。
本発明は油分除去のシステムを提供する。同システムは、過熱水蒸気発生装置と、油分除去装置とを備え、前記油分除去装置は、前記過熱水蒸気発生装置によって得られた過熱水蒸気を、表面に油分を含む被処理物に対して、付与する吐出部を備える。前記被処理物は、その表面温度が前記過熱水蒸気よりも低く、前記吐出部からの前記過熱水蒸気の吐出によって、前記被処理物表面に結露を生じさせると共に、前記結露を前記被処理物の表面から除去することによって、前記結露と共に前記被処理物の表面の油分を除去するように構成されている。
【0012】
(冷却部)
前記油分除去装置は、前記被処理物の温度を低下させる冷却部を含み、温度を低下させた前記被処理物に対して前記過熱水蒸気を付与するものとして実施することができる。
【0013】
(除去部)
前記油分除去装置は、前記過熱水蒸気を付与した後に前記被処理物の前記表面に除去用流体を噴射する除去部を備え、前記除去用流体の噴射によって前記結露と前記油分とを被処理物の前記表面から除去することを特徴とするものとして実施することができる。
【0014】
(脱脂)
前記油分除去装置によって油分が除去された前記被処理物の表面に対してさらに過熱水蒸気を当てる脱脂装置を備え、前記脱脂装置により無酸素雰囲気下で油の気化温度以上にまで前記被処理物の表面を加熱することにより、前記被処理物の表面の油を気化させて脱脂を行うように構成されたものとして実施することができる。
【0015】
(蒸気発生装置)
また本発明は、油分除去システムに用いることができる過熱蒸気発生装置を提供する。この装置は、液体の水に対して熱エネルギーを与えることにより蒸気を生成する蒸気発生部と、前記蒸気発生部により得られた蒸気に対してさらに熱エネルギーを与えることにより過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気発生部とを備えた過熱水蒸気発生装置である。
【0016】
前記蒸気発生部は、前記水を収納する水タンクと、前記水タンクから供給された前記水を加熱する加熱釜と、前記加熱釜中の前記水に対して前記熱エネルギーを与えるための水加熱用熱源とを備え、前記過熱水蒸気発生部は、前記蒸気を収納する過熱炉と、前記過熱炉中の前記蒸気に対して前記熱エネルギーを与えるための蒸気加熱用熱源とを備える。前記加熱釜は蒸気排出部を備え、前記蒸気排出部は、前記加熱釜の前記蒸気を前記過熱水蒸気発生部に送る主流路と、前記蒸気を前記水タンクに送る副流路とを備え、前記副流路からの前記蒸気により、前記水タンク内の水を予備加熱するよう構成されたものである。
【0017】
(面状発熱体)
前記水加熱用熱源と前記蒸気加熱用熱源との少なくとも何れか一方の熱源は、面状発熱体を備えたものとすることができる。前記面状発熱体は、メタル箔とメタルラスとの少なくとも何れか一方を備え、前記メタル箔は、山部と谷部とが周期的に繰り返す波形構造部を備え、前記波形構造は切開部と前記切開部から突出する突片を備えた金属製の箔から構成されることができる。また前記メタルラスは、金属製の網線部間に、平面視千鳥配列に配置された多数の貫通孔を備えた金属製の網体によって構成されることができる。
【0018】
(油分除去の方法)
また本発明は、前記油分除去システムを用い、前記過熱水蒸気発生装置にて過熱水蒸気を発生させる工程と、表面に油分を含む被処理物に対して、前記過熱水蒸気を前記吐出部から付与する工程とを備え、前記過熱水蒸気の温度よりも低い温度の前記被処理物に対して、前記過熱水蒸気を付与することにより、前記被処理物表面に結露を生じさせ、前記結露と共に前記被処理物の表面の油分を除去することを特徴とする過熱水蒸気による油分除去方法を提供する。
【0019】
本発明は、前記過熱水蒸気を前記吐出部から付与する工程の前に前記被処理物の温度を低下させる工程を含み、温度を低下させた前記被処理物に対して前記過熱水蒸気を付与するものであり、前記過熱水蒸気を前記吐出部から付与する工程の後に前記被処理物の前記表面に除去用流体を噴射する工程を含み、前記除去用流体の噴射によって前記結露と前記油分とを被処理物の前記表面から除去するものとして実施することができる。
【0020】
さらに、前記油分除去装置によって油分が除去された前記被処理物の表面に対してさらに過熱水蒸気を当てて、無酸素雰囲気下で油の気化温度以上にまで前記被処理物の表面を加熱する工程を備えることにより、前記被処理物の表面の油を気化させて脱脂を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、被処理物の材質、形状、大きさが変化した場合にあっても、良好な油分の除去をなすことができる油分除去システムと油分除去方法を提供することができたものである。
さらに本発明は、被処理物の材質、形状、大きさが変化した場合にあっても、良好な油分の除去に止まらず、過熱水蒸気による高温の加熱によって油を気化させて脱脂をもなすことができる油分除去システムと油分除去方法の提供を提供することができたものである。
【0022】
また本発明は、良好な油分の除去を行うことができ、さらに望ましくは油の気化による脱脂をも行うことができる油分除去システムと油分除去方法の実施に用いることができる過熱水蒸気発生装置を提供することができたものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、
図1〜
図3を参照して、本発明の実施の形態に係る油分除去システムについて説明する。
(油分除去システムの概要)
油分除去システムは、過熱水蒸気bを利用して被処理物aの油分を除去する油分除去装置11と、油分除去装置11に対して過熱水蒸気bを供給する過熱水蒸気発生装置51を備える。油分除去装置11は、加工装置(図示せず)の後工程において、被処理物aの表面における油分を除去するために用いられるものである。
加工装置(図示せず)と油分除去装置11は、いわゆるインライン方式として同一ライン上に配置して、連続的な処理を行うほうが生産コスト上有利であるが、異なるラインに配置してもかまわない。
【0025】
(加工装置と被処理物)
加工装置(図示せず)は被処理物aの種類に応じて多種多様なものを採用することができる。例えば、金属製の被処理物aとしては、プレス加工などによって形成される機械部品などの独立した部材、甲板屋金属テープ金属洗剤などの長尺のウエブ状の連続した部材、板状の部材などを示すことができる。従って、加工装置(図示せず)は、圧延装置プレス装置などを示すことができる。また、被処理物aは金属製に限らず、合成樹脂製などの他の素材のものや複合材料製のものであっても本システムを適用することができるものであり、被処理物aとして種々の成形装置を採用することができる。またインライン方式を採用しないのであれば、加工装置(図示せず)は必須ではなく、他から搬入された被処理物aに対して油分除去装置11を適用することも可能である。
【0026】
(移送手段)
油分除去装置11は、被処理物aを上流から下流へ移動させるための移送手段21を備える。移送手段21の形態は、被処理物aの種類に応じて変更して実施することが可能であるが、例えば、被処理物aが独立した部品であれば部材であれば、ベルトコンベア、ネットコンベアやローラーコンベアを採用することができるし、ハンガーなどによって被処理物aを宙吊りにした状態で移送するものであってもかまわない。また被処理物aが連続した部材であれば、送りローラーや従動の支持ローラーを備えた装置であっても構わない。
【0027】
(冷却部)
冷却部12は、被処理物aの表面温度を下げるために用いられるもので、移送手段21の上流側に配置されている。冷却部12としては種々の冷却装置を採用することができるが、例えば低温の水を冷却ノズル22から被処理物aに対して噴霧することにより、気化熱を利用して表面温度を下げる形態を示すことができる。
【0028】
(吐出部)
吐出部13は、過熱水蒸気発生装置51から供給される過熱水蒸気bを、移送手段21によって移送される被処理物aに対して噴射する噴射ノズル23を備える。
即ち、噴射ノズル23は、過熱水蒸気bを被処理物aの表面に向けて噴射して、その表面に対して直接当てるものである。噴射ノズル23から噴射される過熱水蒸気bの温度tbと、冷却部12を通過した被処理物taの表面温度taとの温度差Δt(tb−ta=Δt)は、110℃以上であることが好ましい。温度差Δtは大きければ大きい方が望ましいが、エネルギー効率の観点からは310℃以下程度が適当である。この温度差Δtによって、過熱水蒸気bの噴射により被処理物aの表面に確実に結露を生じさせることができる。
【0029】
温度差Δtは過熱水蒸気bの温度を高めることによって大きくすることができるが、過熱水蒸気bの温度を高めれば高めるほど大きなエネルギーが必要となり、省エネルギーの観点からは不利となる。他方、加工装置(図示せず)による加工を経た被処理物aは摂氏60度以上の表面温度taを有する場合が少なくない。インラインの加工を想定する場合、加工装置(図示せず)と油分除去装置11との距離を大きくすれば自然冷却によって被処理物aの表面温度taは低下するし、移送手段21による移送速度を落とせば移送時間が長くなり自然冷却も可能となるが、工場設備の増大及び生産時間の増大を避けることができない。
【0030】
したがって、噴射ノズル23における過熱水蒸気bの温度tbを170〜370℃として、冷却ノズル22を経た被処理物aの表面温度taを60℃以下とすることにより、温度差Δtを110℃以上とすることができる。これによって、確実に被処理物aの表面に結露を生じさせ次の作用を果たすことができる。
【0031】
すなわち、過熱水蒸気の持つ温度エネルギーが被処理物a表面の油分を瞬時に加温し、被処理物aの表面から浮き上がらせる。過熱水蒸気の水分が温度差Δtを有する被処理物aと接触することにより、瞬時に液体の水になり、被処理物a表面と油分の間に入り込む。さらに多くの過熱水蒸気の気体の水分が冷却されることで、より多くの液体の水が発生する。これにより、浮き上がった油分を洗い流す。
【0032】
なお、吐出部13は、被処理物a及び噴射ノズル23を包含するケーシング25を備えたものとすることによって、ケーシング25内の温度を一定に保つことができ、温度差Δtを安定的に維持することができる。言うまでもないが、このケーシング25の外側に冷却部12の冷却ノズル22を配置することが適当である。
【0033】
(除去部)
除去部14は常温の風や温風などの除去用流体を被処理物aに対して噴射する送風ノズル24を備える。この送風ノズル24からの除去用流体によって、被処理物aの表面から浮き上がった油分を液体の水と共に吹き
飛ばして、強制的に被処理物aの表面から除去することができる。これにより、被処理物aの表面に凹みをがあったり、洗い流すほどの液体の水が発生しなかったりする場合にあっても、確実に被処理物aの表面から脂分を除去することができる。したがって、噴射ノズル23と送風ノズル24とは近い位置に設けることが適当であるが、離れた位置に設けて実施することも可能である。
【0034】
このように除去部14を設けて実施することによって、吐出部13による過熱水蒸気bの付与による結露の発生量を少ない条件で実施することも可能となり、その結果システム全体としての必要なエネルギー量を低減することが可能となると共に、確実な油分の除去を実現することができる。なお除去部14は先述のケーシング25の内側に配置して実施することが適当であるが、ケーシング25の外側に配置して実施してもかまわない。
【0035】
(脱脂装置及び脱脂方法)
本発明の実施に際しては、油分除去装置11の下流側に脱脂装置31を配置することもできる。脱脂装置31は油分除去装置11によって油分が除去された被処理物aの表面に対してさらに過熱水蒸気bを付与する装置である。脱脂装置31は、過熱水蒸気bを吐出する噴射ノズル32を備えるとともに、全体の雰囲気を高温に維持する炉33を備える。この炉33によって、その内部を過熱水蒸気bで満たして無酸素雰囲気下で油分の気化温度以上にまで被処理物aの表面を加熱することにより、被処理物aの表面の油分を気化させて脱脂を行うものである。炉33は前述の油分除去装置11のケーシング25と別体の独立した炉とすることにより、小さな容積空間を高温に維持することが容易となるが、上記ケーシング25と連続した空間とすることも可能である。炉33に供給される過熱水蒸気bについても、油分除去装置11に供給される過熱水蒸気bと同一の過熱水蒸気発生装置51から供給することが可能である。
【0036】
(過熱水蒸気発生装置)
過熱水蒸気発生装置51は、蒸気発生部52と過熱水蒸気発生部53を備える。
蒸気発生部52は、水道水などの常温の水を受け入れる水タンク61と、水タンク61からの水が投入されるボイラーなどの加熱釜62を備える。加熱釜62には、水加熱用熱源63が配置されており、水加熱用熱源63によって液体の水が加熱されることにより、気体の水蒸気が発生する。発生した水蒸気は蒸気排出部81から加熱釜62の外部に排出される。蒸気排出部81は主流路82と副流路83に分岐しており、主流路82は過熱水蒸気発生部53の過熱炉71に接続されている。過熱炉71には水蒸気をさらに加熱する蒸気加熱用熱源72が配置されている。この蒸気加熱用熱源72の加熱によって、過熱炉71内の水蒸気が過熱水蒸気bとなり、得られた過熱水蒸気bは、供給路73を経て吐出部13及び脱脂装置31の噴射ノズル23及び32に分配して供給される。当然のことながら、脱脂装置31を備えない第1の実施の形態にあっては噴射ノズル23のみに供給される。
【0037】
水タンク61は、単に一時的に水を溜めておくものであってもよいが、水位調整タンクの働きをなすように構成することもできる。水位調整タンクとして実施する場合、水タンク61の内部に水位センサー(図示せず)を配置し、これによって水タンク61内の水の量を一定範囲内に保ち、加熱釜62において消費される水の量に応じて、水タンク61から加熱釜62に安定して水を供給するように構成することができる。
【0038】
この水タンク61の上部空間に対して、副流路83が接続されている。これによって、蒸気排出部81からの水蒸気の一部が水タンク61内部の水に対して圧力を加えるとともに余熱を与える。その結果、水タンク61内部の水はあらかじめ加熱及び加圧された状態で加熱釜62に供給されるため、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0039】
(水加熱用熱源及び蒸気加熱用熱源)
水加熱用熱源63と蒸気加熱用熱源72は、熱エネルギーを水又は蒸気に与えるものであればその種類は問わないものであり、例えば種々の気体や液体の化石燃料エネルギーや電気エネルギーを利用することができる。電気エネルギーを利用する場合、種々の電気ヒーターを用いることができるが、後述の面状発熱体を用いて実施すること望ましい。
【0040】
(噴射ノズル)
噴射ノズル23、32には、従来公知の種々のノズルを用いることができるが、後述の面状発熱体を備えたノズルを用いて実施すれば、高温で安定した過熱水蒸気bを被処理物aに対して付与することができる。
【0041】
図3は、その具体的形態を示すもので、ノズル23、32の流体経路中に金属製の面状発熱体を巻回したコイル構造体131が配置されている。これによって、コイル構造体131の内部をその軸方向に通過する間に、水蒸気または過熱水蒸気をさらに高温に加熱し、安定した過熱水蒸気にして被処理物aに付与することができる。
【0042】
(面状発熱体)
水加熱用熱源63及び蒸気加熱用熱源72や噴射ノズル23、32の面状発熱体としては、波形構造のメタル箔110や薄膜状メタルラス120を好適に用いることができる。
【0043】
メタル箔110としては、山部と谷部とが周期的に繰り返す波形構造部を備え、前記波形構造は切開部と前記切開部から突出する突片を備えた金属製の箔から構成されたもの、前記薄膜状メタルラス120としては、金属製の網線部間に、平面視千鳥配列に配置された多数の貫通孔を備えた金属製の網体によって構成されたものであってその上下の面が平面状であるものを、好適に用いることができる。メタル箔110や薄膜状メタルラス120は単独でも用いることができるし、両者を重ねあわせた積層体として用いることもできる。また、メタル箔110や薄膜状メタルラス120の間にシート状の他の絶縁体を配置することもできるし、メタル箔110と薄膜状メタルラス120との何れか一方を絶縁加工し、他方を発熱体として用いることもできる。これらの各種面状発熱体は平板状であってよいが、渦巻き状に捲回されたコイル構造体を構成してもよい。
【0044】
(メタル箔による面状発熱体の概要)
メタル箔110は、山部と谷部とが周期的に繰り返す波形構造部を備え、前記波形構造は切開部と前記切開部から突出する突片を備える。一つの前記切開部について、複数の前記突片が互いに分離して、前記波形構造部の内側に向けて突出している。前記山部と前記谷部とは山上面又は谷底面が略フラットな台形状をなし、前記山上面又は前記谷底面を含む位置に前記切開部が形成され、前記突片は、前記山上面から上方に又は前記谷底面から下方には、突出していないものとすることができる。
【0045】
(メタル箔の具体的構造)
以下、
図4〜
図6を参照してメタル箔110の具体的な実施の形態について説明する。なお以下の説明では、ウエブ状のメタル箔110を前提に説明するが、これを適宜長さに切断した単板など種々の形態で実施できるものである。
【0046】
ウエブ状のメタル箔110の場合、
図4(A)に示すように、その長手方向(図の左右方向)に山部112及び谷部113が交互に配列されているもので、山部112及び谷部113の伸びる方向はウエブの幅方向に伸びることになる。以下、上記の長手方向を縦方向又は前後方向とし、上記の幅方向を横方向又は左右方向として説明するが、これらの記載は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。また、ウエブの長手方向と、山部112及び谷部113の伸びる方向とは固定的に理解されるべきではなく、山部112及び谷部113の伸びる方向が、ウエブの幅方向としたものとして実施したり、ウエブの幅方向及び長手方向に対して傾斜したものとして実施したりしてもかまわない。
【0047】
メタル箔110の素材は金属や合成樹脂などの種々の素材で形成することができるが、特に、鉄やその合金(例えば固有抵抗が高いFe−Cr−Al合金)など、自己発熱性を持たせる場合などでは導電性を有する金属を用いて実施することが好ましい。板厚は0.05mmなどの約0.02〜0.1mm薄板(箔)を用いて実施することが好ましいがその用途などに応じて変更することができる。
【0048】
このメタル箔110は、山部112及び谷部113が交互に配列された波形構造部111を備える。波形構造部111はメタル箔110の全体に形成されたものとして実施することができるが、一部にのみ形成されたものとして実施してもかまわない。一部にのみ形成する場合には、例えば、メタル箔110の中央部分や、幅方向の例えば半分の部分や、周辺部分やなどに設けてもかまわない。
山部112と谷部113とは、上下方向において対称をなすものとして実施することができるが、山部112と谷部113とで幅や高さが異なるものであってもかまわない。
【0049】
この実施の形態では、山部112と谷部113は、フラットな山上面116と谷底面117を備えており、山上面116と谷底面117との間が斜面118でつながれた断面略台形状をなしている。なお、山上面116及び谷底面117と、斜面118との間コーナー部分はアールを形成するなどしてもよく、台形状は幾何学的な意味に限定して理解されるべきではない。山上面116と谷底面117とがフラットであることにより、薄膜状メタルラス120などの共に積層する他のシート状体との接触面積を増やすことができるなどの効果を発揮することができる。
【0050】
(切開部及び突片)
メタル箔110は、その波形構造部111に切開部114及び突片115を備えている。
切開部114及び突片115は、適宜手段で形成することができるが、たとえばメタル箔110に対するバーリング加工によって形成することができる。
【0051】
具体的にはバーリング加工を施すことにより形成されるバリとして実施することができるもので、一つの切開部114に対して複数の突片115を形成することができる。突片115は互いに分離して突出しているもので少なくともその先端は互いに独立している(なお、突片115同士はその基部同士で繋がっていてもかまわないが、先端は互いに独立しているものとして独立している)ものであり、突片115同士の間に流通空間119が存在し、空気などのガスに代表される流体が突片115同士の間の流通空間119からメタル箔110の厚み方向(内外方向)に流れることができる。
【0052】
各突片115は、波形構造部111の内側に向けて突出しているものである。波形構造部111は全体として板状をなすため、内外の意味は相対的なものでしかないが、波形構造部111を山部112側と谷部113側との間の仮想線で2分し、山部112側の突片115は、その仮想線と山部112とのによって規定される空間内に突出し、谷部113側の突片115は、その仮想線と谷部113とのによって規定される空間内に突出するものとして実施することができる。言い換えれば、突片115は、山上面116よりも上方に突出せず、突片115は谷底面117よりも下方に突出しないものとする。これによって、前述の略フラットな山上面116と谷底面117との相乗効果により、
図4(B)に示すように、薄膜状メタルラス120との接触面積を増やしたりロウ付け不良を抑制したりすることができる。また、当接する相手方の素材を傷つけないといった効果も発揮することができる。
【0053】
切開部114及び突片115の形成位置については、
図4(A)、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、切開部114及び突片115を、山上面116又は谷底面117にのみ形成して斜面118には形成しないようにすることができるし、
図4(C)、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、切開部114及び突片115を、山上面116又は谷底面117と斜面118とに連続して形成するようにすることができる。
【0054】
突片115は、金型の構造などによって種々変更することができるが、切開部114の前後の12箇所から突出した12つの突片115として実施できるし、切開部114の3箇所以上から突出した突片115として実施することもできる。また、切開部114の平面視の形状は矩形であってもよく、円形や楕円形であってもよい。
【0055】
突片115は、バーリング以外の方法で形成することもでき、例えば切開部114を刃物で切開しその余剰部分を曲げ加工して形成することもできる。
また、切開部114を設ける位置は、メタル箔110の全体的に均一に設けてもよいが、不均一に設けてもかまわないし、部分的に設けてもかまわない。例えば、切開部114を形成しない領域140を、
図6(A)に示すようにウエブ状のメタル箔110の幅方向の両側に設けたり、
図6(B)に示すようにウエブ状のメタル箔110の幅方向の中央に設けたりするなど、種々変更して実施することができる。
【0056】
このメタル箔110の端部などの適宜位置に電極(図示せず)などを設けて通電可能とすることによって面状発熱体100の主要な構造が完成する。
メタル箔110は、その周辺(メタル箔110の厚み方向と波形構造部111の長手方向)の流体の流れを良好に保ちつつ、且つ、重ねて用いる場合には重ねられる対象物に対する接触面積の増大をなすことが好ましいが、上述のメタル箔110の構造はこれに適した構造を提示する。特に、突片115が山部112又は谷部113の内側に突出していることによって、山上面116又は谷底面117と、斜面118とによって制限された空間において突片115と山上面116とが存在することによる流体の乱れの発生を促すことができると共に、切開部114と突片115の形態は、メタル箔110の厚み方向と波形構造部111の長手方向の流体の双方への流れを適度に保つことができるため、流体の流れの良好性、流体との接触時間、接触面積の増大をなすことができる。
【0057】
(メタルラスによる面状発熱体の概要)
次にメタルラスによる面状発熱体について説明する。この面状発熱体は、導電性を有する金属製の網線部間に、平面視千鳥配列に配置された多数の貫通孔を備えたメタルラスとして実施することができるもので、前記網線部の厚みが0.1mm以下であり、幅10mm×長さ1000mmを測定単位とする電気抵抗値が5Ω以上であることが望ましい。
【0058】
この面状発熱体は、金属製の網線部間に、平面視千鳥配列に配置された多数の貫通孔を備えたメタルラスを用を加工して形成することができる。その際、前記網線部のストランドの刻み幅及び貫通孔の大きさを変化させるとともに、前記メタルラスに対して厚み方向に力を加えて、前記網線部の厚みを変化させることにより、その電気抵抗値を制御した薄肉状メタルラスを得て、前記薄肉状メタルラスにより面状発熱体を得ることができる。
【0059】
より具体的には、厚み方向に力を加える前の前記メタルラスの前記網線部の厚みが0.3mm以上であり、このメタルラスに対して圧延加工を施すことにより、前記網線部の厚みを0.1mm以下に変化させて、幅10mm×長さ1000mmを測定単位とする電気抵抗値を5Ω以上に制御された前記薄肉状メタルラスを得ることができる。
【0060】
(薄膜状メタルラスによる面状発熱体の具体的な形態について)
以下、薄肉状メタルラス120による面状発熱体100の具体的な実施の形態を
図7〜
図9を参照して説明する。
この面状発熱体100は、その発熱部分が薄膜状メタルラス120によって構成されたものである。この薄膜状メタルラス120は、
図7(B)に示すように、千鳥配列に配置された多数の貫通孔122を備えたもので、金属板にスリットを形成すると共にエキスパンド加工等を施すラス加工によって製造され、同一形状の多数の貫通孔122を備えている。貫通孔122の形状は菱形などが一般的であるが、長方形状などの矩形状であってもよく適宜変更し得る。貫通孔122で除去されてない部分が網線部123を構成する。
【0061】
この薄膜状メタルラス120は、ラス加工された処理前メタルラス121(
図7(A)参照)に対して、網線部のストランドの刻み幅や貫通孔の大きさを調整するとともに、圧延加工などにより厚み方向に力を加えて、網線部123の厚みを変化させることにより、その電気抵抗値を制御することにより製造される(
図7(B)参照)。以下、発明を実施をするための形態では、薄肉化の処理を施したメタルラスのみを指す場合には薄膜状メタルラス120と言い、薄肉化の処理を施していないメタルラスを処理前メタルラス121という。
【0062】
この薄膜状メタルラス120は、網線部123が略平坦な薄板状をなし、上下の面は、
図9に示すように略平面状をなす。
この薄膜状メタルラス120の端部などの適宜位置に電極(図示せず)などを設けて通電可能とすることによって面状発熱体100の主要な構造が完成する。
【0063】
(原料の金属板材)
この薄膜状メタルラス120は、その素材として板厚約0.03〜0.1mmの金属板材を用いて製造することができるが、面状発熱体100の用途や求められる発熱性能などによって変更して実施することができる。この薄膜状メタルラス120の素材は、導電性を有する素材で形成することができるが、特に、鉄やその合金(例えば固有抵抗が高いFe−Cr−Al合金)など、発熱性を持たせるために高い電気抵抗を有する金属を用いて実施することが適当である。
【0064】
(処理前メタルラス)
処理前メタルラス121は、エキスパンドメタルとも呼ばれ、例えば、素材の前記金属板材をエキスパンド製造機の金型によって千鳥状に切れ目を入れながら押し広げて(エキスパンドして)、その切れ目を菱形や亀甲形に成形したメッシュ状の板材で、この実施の形態では、メッシュの開口を貫通孔122と呼び、金属部分を網線部123と呼ぶ。この網線部123のうち、線状の部分をストランド124と言い、ストランド124同士が交った部分をボンド125と言う。また、メッシュの短目方向中心間距離をSW、メッシュの長目方向中心間距離をLW、ストランドの刻み幅をWと言う。(
図7(A)及び
図8参照)。このメッシュの大きさ及びラス厚みは適宜変更して実施することができるが、特に、次の範囲で実施することができる。
【0065】
SW:1.0〜3.0mm
LW:1.5〜6.0mm
W:0.3〜0.8mm
ラス厚み:0.3〜1.0mm
但し、
図8に示すように、SWはメッシュの短目方向の中心間距離であり、LWは同長目方向中心間距離であり、ラス厚み(
図8では単に、厚みと表示した)はメタルラスの厚み方向の下端から上端までの距離である。処理前メタルラス121は、素材の金属板材に単にスリットを形成するだけではなくエキスパンド加工がなされるため、その断面においては網線部123が傾斜するなどして、立体的な形状を示すものであり、
図8に示すように、その上下の面(図では左右の面)が網線部123の角によって構成される。従って、他との接触は、原則的に、面接触ではなく、線接触となる。
【0066】
(圧延加工)
上記の処理前メタルラス121に対して、圧延加工を施すなどしてその厚み方向に力を加えて、網線部123の厚み及び幅を変化させて薄膜状メタルラス120を得ることができる。
図7(A)から
図7(B)の変化に示すように、圧延加工を施すことによって、網線部123の厚みが小さくなり平面視の幅が大きくなる。これによって得られた薄膜状メタルラス120は、その網線部123が略平坦な薄板状となり、上下の面は、
図9に示すように略平面状となるもので、他との接触は、原則的に、面接触となる。
【0067】
薄膜状メタルラス120による面状発熱体100は、その電気抵抗値が変化すると共に表面積が変化することによって、その発熱性能並びにヒーターとしての性能を変化させることができるものである。特に、素材の金属板材との比較では、4倍以上(好ましくは10倍以上)に電気抵抗値を高くすることができる。具体的には、幅10mm×長さ1000mmを測定単位とする電気抵抗値が、金属板材(鉄−クロム−アルミニウム合金)では約1〜2Ωであったところ、薄膜状メタルラス120にあっては約5Ω以上、好ましくは約10〜60Ωにまで高めることができたことは、発明者にとっても大きな驚きであった。特に、20〜40Ω程度を示すものが、発熱性能と強度とのバランスの点から好ましいと考えられる。
【0068】
この薄膜状メタルラス120のメッシュの大きさは適宜変更して実施することができるが、特に、次の範囲で実施することができる。
SW:1.0〜3.0mm
LW:1.5〜6.0mm
W:0.3〜0.8mm
ラス厚み:0.03mm〜0.1mm以下(特に好ましくは0.03〜0.07mm)
薄膜状メタルラス120を用いた面状発熱体100は、その電気抵抗値が大幅に増加すると共に、ラス加工のメッシュ形状や圧延の程度(圧延後の厚み)によって電気抵抗値を変化させることができる。さらに、薄膜状メタルラス120を用いた面状発熱体100は、金属板材及び処理前メタルラス121に比して、同一の発熱温度(金属の表面温度)を得るために要する消費電力量を小さくすることができ、同一消費電力量では、より大きな温度上昇を得ることができる。
【0069】
(積層体としての適用例)
メタル箔110と薄膜状メタルラス120とは、それぞれ単独で用いることができるが、両者を組み合わせた積層体130として実施することもできる。
メタル箔110と薄膜状メタルラス120とは互いに接合されていない状態(両者が接触している状態としていない状態の双方を含む)で利用することもできるし、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とを接合させた状態で利用することもできるものであり、これらの状態を併せてメタル箔110と薄膜状メタルラス120を厚み方向に重ねた構造体を積層体130と言う。
【0070】
(メタル箔とメタルラスとが接合されていない形態)
メタル箔110と薄膜状メタルラス120とは、次に述べるように、両者が接合されたものとして実施することもできるが、両者が接合されていない形態としても実施することができる。両者が接合されていない形態としては、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とを接触(特に略フラットな山上面116又は谷底面117を備えている場合には面接触)させた状態であることが好ましいが、両者を接触(面接触を含む)させずに両者間に空間がある状態であってもかまわない。但し、接触させた状態で実施する場合では、前述の突片115が内側に突出する効果を有効に発揮し得る。
【0071】
(メタル箔と面状発熱体とが接合された形態)
メタル箔110と薄膜状メタルラス120とを接合させた形態は、両者を接合手段で一体化させるものであり、一つの分離しないシート構造体を構成する。接合手段は、両者を一体化させるものであればよいが、その好適な一例としてロウ付けや溶接を示すことができる。これらの接合手段を実施する場合、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とはロウ付けや溶接が可能な金属などである必要があるが、その際、前述のように、突片115が波形構造部111の内側に向けて突出しているものであると共に山上面116と谷底面117とが略フラットなものであることによって、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とを面接触させることができ、ロウ付けや溶接の不良を抑制することが可能となる。他の接合手段としては、ネジやリベットなどの締結体による接合や、接着剤などによる接着、各種テープによる固定などを例示することができ、各種接合手段を併用することも可能である。
【0072】
なお、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とを接合させる場合には、ロウ付け等をその一部分にのみ形成するようにして実施することも出来る。その際、
図6(A)に示すように、ウエブ状のメタル箔110の幅方向の両側縁を薄膜状メタルラス120にロウ付けする場合には、切開部114を形成しない領域140にロウ付けすることで、ロウ付け面積をさらに増やすことができる。なお、この切開部114を形成しない領域140は、ウエブ状のメタル箔110の幅方向の中央に設ける(
図6(B)参照))など、種々変更して実施することができる。
【0073】
なお後述するように、メタル箔110と薄膜状メタルラス120を重ねてコイル状に巻き付ける場合には、予め両者を接合した状態で巻きつけることもできるが、両者の周率差を考慮して予め接合しない状態で巻き付け、巻きつけ完了後にコイル状になされた端面にロウ剤を配置してロウ付けするようにしてもよい。また、巻きつけ完了後に同者を接合する場合、巻き付けの終端のみで両者を接合すると共にその内周に対して接合するだけに止めることもできる。
【0074】
なお、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とを接合させる場合には、ロウ付け等をその一部分にのみ形成するようにして実施することも出来る。その際、ウエブ状のメタル箔110の幅方向の両側縁を薄膜状メタルラス120にロウ付けする場合には、当該ロウ付け部分には、切開部114や突片115を形成しないことで、ロウ付け面積をさらに増やすことができる。なお、この切開部114や突片115を形成しない領域は、ウエブ状のメタル箔110の幅方向の中央に設けるなど、種々変更して実施することができる。
【0075】
(積層体の作用効果)
上述の接合の有無に関わらず、積層体130では、前述のメタル箔110単体としての利点に加えて、薄膜状メタルラス120との相乗効果が発揮され得る。
【0076】
積層体130とその周辺の流体との関係では、山上面116又は谷底面117と、斜面118とに加えて、薄膜状メタルラス120の存在によって、その空間がさらに制限される。その際、薄膜状メタルラス120が流体の通過を許さないか或いは制限するものとして実施した場合には、各積層体130間の流体の移動を制限できる。他方、貫通孔122を備える場合などには、各積層体130間の流体の移動を許容することができる。その際、突片115間の流通空間119と切開部114との存在によって、各積層体130間の流体の移動を充分に確保することができる。特に、各積層体130間の流体の移動を必要とする場合や、積層体130間の流体の移動が有る方が有利な場合には、貫通孔122を備えることが好ましい。
【0077】
(コイル構造体)
積層体130は、平板状のシート構造体として利用することができるが、
図10に示すように、渦巻き状に巻回させたコイル構造体131としても実施することができる。メタル箔110と薄膜状メタルラス120のうち、いずれか一方を通電によって発熱する発熱体とし、他方をその表面に絶縁処理をほどこした絶縁体とすることもできる。いずれの場合にあっても、メタル箔110と薄膜状メタルラス120との双方が厚み方向への貫通部を有しているため、コイル構造体131の径方向へ複数の層に渡って流体が流れることもでき、3次元的な流体の移動が促進される。
【0078】
なお、メタル箔110と薄膜状メタルラス120とは、接合されていなくてもよく、接合されたものであってもよい。メタル箔110の山上面116と谷底面117とが略フラットなものであると共に突片115が内側に突出しているため、薄膜状メタルラス120を傷つけることがなく、また、接合する場合には、ロウ付けや溶接の不良を抑制することが可能となる。従って、薄膜状メタルラス120をその表面に絶縁処理をほどこした絶縁体とした場合には、突片115が絶縁処理を傷つけることによって生じる電気的な短絡の発生を抑制することができる。
【0079】
巻回の方向は、ウエブの長手方向の一端側が内周端、他端側が外周端となるように、言い換えれば、山部112及び谷部113の伸びる方向はウエブの幅方向が、コイル構造体131の軸方向に略一致するように巻回すればよい。これによって、コイル構造体131の軸方向の一端面から他端面へ(
図10(B)の下面から上面へ)流体を流すことができ、流された流体は、一端面から他端面への移動中に、積層体130の周方向へも移動することができ、流体の乱流化を促進することができる。
【0080】
このコイル構造体131は、
図3に示すような中空筒状の制限された流路内に配置することができる。この例では、水蒸気をコイル構造体131の一方の端面から他方の端面へ通過させることによって、水蒸気を直接過熱することができ、小型化が可能であり、加熱効率の向上を図ることができるものである。
【解決手段】過熱水蒸気発生装置51によって得られた過熱水蒸気bを、表面に油分を含む被処理物aに対して吐出部13から付与する油分除去装置11を備える。被処理物aは、冷却部12によりその表面温度が過熱水蒸気bよりも低く設定される。吐出部12からの過熱水蒸気bの吐出によって、被処理物表面aに結露を生じさせると共に、前記結露を被処理物aの表面から除去部14にて吹き飛ばして除去することによって、結露と共に表面の油分を除去する。