特許第6367404号(P6367404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6367404-吸着剤を含む通気式喫煙物品 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367404
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】吸着剤を含む通気式喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   A24D3/04
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-42289(P2017-42289)
(22)【出願日】2017年3月7日
(62)【分割の表示】特願2014-504347(P2014-504347)の分割
【原出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-127310(P2017-127310A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年4月6日
(31)【優先権主張番号】11250475.8
(32)【優先日】2011年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ガンブス セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】リー ピン
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−67613(JP,A)
【文献】 特開平10−327838(JP,A)
【文献】 米国特許第4294265(US,A)
【文献】 特表2011−510674(JP,A)
【文献】 特開平7−194360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコロッドと、
前記タバコロッドに接続され、吸着剤の層を含むフィルタラッパーによって取り囲まれる1つ又はそれ以上のフィルタセグメントを含むフィルタであって、前記吸着剤の層は、前記フィルタラッパーの表面領域上に付与され且つ前記フィルタの周りを円周方向に延びている、前記フィルタと、
を備え、
前記フィルタは、前記吸着剤の上流側に設けられた通気ゾーンを含み、
前記通気ゾーンは、該通気ゾーンが全く塞がれていない場合に、30%から70%の希釈が可能となっており、
前記通気ゾーンは、前記吸着剤の全ての上流側に設けられ、
前記通気ゾーンは、喫煙物品のマウスエンドから20mmから30mmの間にあり、
前記通気ゾーンを通って引き込まれる空気は、前記フィルタラッパーに含まれる前記吸着剤から主流煙を隔てて遮蔽する、外側の同心層を形成し、前記通気ゾーンが塞がれていない場合には、希釈によって、前記通気ゾーンが塞がれている場合には、吸着剤によって、前記通気ゾーンが部分的に塞がれている場合には、希釈及び吸着剤の両方によって、主流気相煙成分のレベルを低下させる、喫煙物品。
【請求項2】
前記通気ゾーンは、前記フィルタの周りを円周方向に延びる、1列又はそれ以上の穿孔を含む、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記穿孔の列は、互いに少なくとも5mmだけ離間する、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記フィルタラッパーは、プラグラップ又はチッピングラッパーである、請求項1からのいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記フィルタラッパーは、前記フィルタラッパーの内面の少なくとも一部に施工された吸着層を含む、請求項1からのいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記フィルタラッパーは、実質的に空気透過性であり、吸着層は、前記フィルタラッパーの外面の少なくとも一部に施工される、請求項1からのいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記フィルタラッパーは、約40mgから約60mgの間の吸着剤を備える、請求項又はに記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記吸着剤は、前記フィルタラッパーの内面又は外面の一方を少なくとも60%覆う、請求項1からのいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記吸着剤は、前記フィルタラッパーの表面上の接着層に施工される粒子状吸着剤を含む、請求項1からのいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記吸着剤は、前記フィルタラッパーに組み込まれる粒子状吸着剤を含む、請求項1からのいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記フィルタは、繊維フィルタ材の1つ又はそれ以上のセグメントを含む、請求項1から10のいずれかに記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤を備えたフィルタラッパーを組み込んだ通気式喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フィルタ付きシガレットは、包装紙で包装されたタバコカットフィラーロッドと、包装されたタバコロッドと端部同士が接した状態で位置合わせされ、チッピングペーパーによってタバコロッドに取り付けられる円筒形フィルタとを備える。従来のフィルタ付きシガレットにおいて、フィルタは、多孔質プラグラップで包装されたセルロースアセテートトウのプラグからなる。
【0003】
喫煙物品にチッピングペーパー又はプラグラップ、もしくはその両方に設けられる穿孔の形態の通気ゾーンを設けることは一般的である。通気ゾーンによって、空気は喫煙時にフィルタに流入することができ、空気は、燃焼タバコロッドからフィルタを通って到来する主流煙を希釈するので、消費者にもたらされる煙成分のレベルが低減する。
【0004】
一般に、通気ゾーンは、喫煙物品のフィルタに沿って1つ又はそれ以上の位置に設けられた穿孔を含み、一部の穿孔は、例えば、消費者の唇又は指によって喫煙時に偶発的に塞がれる場合がある。従って、空気のフィルタへの流入が阻止されて主流煙の希釈レベルが低下する。
【0005】
通気ゾーンを設けることに加えて、特定の煙成分のレベルを低下させる追加的な手段として、喫煙物品のフィルタ内に活性炭等の吸着剤を設けることが知られている。しかしながら、吸着剤は、主流煙の風味に悪影響を及ぼす場合があり、一部の消費者が好まない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州公開特許第1,958,523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偶発的な通気ゾーンの隠蔽が煙成分の送達に著しく影響を与えないように、通気ゾーンが塞がれていないか又は塞がれているかに関わらず特定の煙成分の送達レベルを実質的に維持する喫煙物品のための新規なフィルタ構成を提供することが望ましいであろう。更に、このようなフィルタ構成を既存の装置及び技術を利用して簡単に製造できることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、喫煙物品が提供され、この喫煙物品は、タバコロッドと、タバコロッドに接続され、吸着剤を含むフィルタラッパーによって取り囲まれる1つ又はそれ以上のフィルタセグメントを含むフィルタとを備える。フィルタは、吸着剤の上流側に設けられた通気ゾーンを含む。この構成によって、通気ゾーンが塞がれていない状態で喫煙時に送達される主流気相煙成分のレベルは、通気ゾーンが塞がれた状態で喫煙物品の喫煙時に送達される主流気相煙成分のレベルの最大40%の範囲内となる。
【0009】
通気ゾーンは、フィルタ上に設けられた穿孔又は孔の配列と呼ぶことができ、喫煙時、空気が孔を通ってフィルタへ流入することによるフィルタの通気及び主流煙の希釈を可能にする。通気ゾーンは完全に覆われていない場合には「塞がれておらず」、喫煙時に空気はフィルタへ自由に流入する。通気ゾーンが覆われている又は閉じられている場合には「塞がれており」、空気は通気ゾーンを通ってフィルタへ流入することが阻止される。本発明では、通気ゾーンが塞がれている場合の喫煙物品の喫煙時に送達される気相主流煙成分のレベルは、通気ゾーンが塞がれていない場合の喫煙物品の喫煙時に送達される同じ主流気相煙成分のレベル最大40%の範囲内である。好ましくは、通気ゾーンが塞がれた状態で送達される気相煙成分のレベルは、通気ゾーンが塞がれていない状態で送達されるレベルの最大30%の範囲内であり、より好ましくは最大20%の範囲内、最も好ましくは最大10%の範囲内である。
【0010】
本発明との関連において、用語「煙成分」は、主流煙の気相成分を指すことが意図されている。特に、本明細書に示される煙成分は、アルデヒド及びケトン化合物を含む、気相カルボニル化合物である。例えば、気相成分は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、及びアクロレインの1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0011】
本発明において、通気ゾーンが塞がれていない状態で喫煙物品の喫煙時に送達される主流気相煙成分のレベルは、喫煙物品をISO条件(60秒毎に2秒の持続時間で35mlを吸煙)で喫煙することで求められる。ISO試験法では、通気ゾーンを完全に覆わない状態で喫煙物品を喫煙する。本発明において、主流気相煙成分のレベルはニコチン送達に対して正規化され、レベルはニコチンのmgで示される。
【0012】
本発明による通気ゾーンが塞がれた状態で喫煙物品の喫煙時に送達される主流気相煙成分のレベルは、カナダ保健省(Health Canada)喫煙テスト(30秒毎に2秒の持続時間で55mlを吸煙)で喫煙物品を喫煙することで求めることができる。カナダ保健省喫煙テストにおいて、チッピングペーパーは、空気不透過性フィルム又はテープにより覆われるので、空気は通気ゾーンを通ってフィルタに流入することができず、主流煙の希釈はほぼ0%である。前述のように、本発明において、主流煙成分のレベルはニコチン送達に対して正規化されるので、レベルはニコチンのmgで示される。
【0013】
主流煙の気相煙成分のレベルは、通気ゾーンが塞がれていない喫煙物品の20個のサンプルと、通気ゾーンが塞がれた喫煙物品の20個のサンプルとの平均値として求める。煙成分のレベルは、カルボニル化合物の総量で測定する。本発明は、通気ゾーンが塞がれないか又は塞がれるかかに無関係に、通気式喫煙物品の気相煙成分の比較的一定の送達を維持する有効な方法を提供する。
【0014】
本発明において、吸着剤は、喫煙物品のフィルタ内に配置されるので、通気ゾーンが塞がれていない通常の喫煙状態では、通気ゾーンを通ってフィルタに流入する空気による主流煙の希釈は、主流煙中の煙成分レベルを低下させる主たるメカニズムとなる。通気空気は、主流煙の大部分を吸着剤からの隔離する空気クッションをもたらすことになる。従って、通気ゾーンが塞がれていない場合、吸着剤は、気相煙成分のレベル及び主流煙の風味にわずかに影響を与えるだけである。
【0015】
対照的に、通気ゾーンが完全に塞がれて、空気のフィルタへの流入及び主流煙の希釈が阻止される場合、煙が吸着剤を横切って特定の気相煙成分が吸着されるか又は吸着剤によって吸収されるように、フィルタを通る主流煙の流れが変更される。この場合、煙成分の吸着は、主流煙中の煙成分のレベルを低下させる主たるメカニズムとなる。
【0016】
場合によっては、通気ゾーンが部分的に塞がれる場合、主流煙中の煙成分の低減は、主流煙の希釈及び吸着剤の両方によってもたらされる。吸着剤及び通気ゾーンの構成は、希釈による気相煙成分の低減と吸着剤による同様の気相煙成分の低減とがバランスするようになっており、このバランスは、通気ゾーンが塞がれる程度に応じて自動的に変わる。通気ゾーンが塞がれた結果として希釈レベルが低下すると、吸着剤による煙成分の吸着が増えて希釈の低下を補うようになっている。従って、煙成分の全体レベルは、通気ゾーンが塞がれていないか、部分的に塞がれているか、又は完全に塞がれているかに無関係に、変動を可能な限り少なく維持することができる。
【0017】
通気ゾーンで得られる主流煙の希釈レベルと、フィルタラッパーの表面での吸着剤による主流煙成分の吸着レベルとの間のバランスは、限定されるものではないが、以下に詳細に説明するような、通気ゾーンの位置決め及び分配、通気ゾーンによって得られる希釈レベル、並び提供される吸着剤の位置決め、分配、及び総量を含む、フィルタのパラメータを調整することで制御できる。例えば、通気ゾーンの総量及び位置、並びに吸着剤の総量及び位置は、通気ゾーンが塞がれているか否かに関わらず、気相煙成分の送達が同じになるように調整することができる。
【0018】
本発明による喫煙物品のフィルタにおいて、通気ゾーンは、吸着剤の大部分又は全ての上流側に設けることができる。この構成により、フィルタ内の主流煙の流れは、どれだけの空気が通気ゾーンからフィルタを通って引き込まれるかに応じて変わる。通気ゾーンが塞がれていない状態では、一般的に、通気される空気は、フィルタ材の外面上のフィルタを通って引き込まれ、主流煙流をフィルタの中心に向かうことになる。従って、通気ゾーンを通って引き込まれる空気は、主流煙をフィルタラッパーに含まれる吸着剤から隔てて遮蔽する、外側の同心層を形成する。このようにして、流煙は吸着剤と著しく接触しない。従って、喫煙物品の通常の喫煙時に吸着剤が主流煙に与える影響は僅かとなる。
【0019】
通気は吸着剤の「上流側」であり、通気が吸着剤よりも離れた喫煙物品のマウスエンドでもたらされることを意味する。喫煙時、主流煙は喫煙物品を通ってタバコロッドの燃焼端に隣接した上流端から、フィルタのマウスエンドでの下流端に引き込まれる。従って、主流煙は、最初に通気ゾーンを通り、その後フィルタラッパーの吸着剤に到達することになる。
【0020】
好ましくは、通気ゾーンは、フィルタの周りを円周方向に延びる1列又はそれ以上の穿孔の形態である。特定の実施形態において、複数列の穿孔は、フィルタに沿って、例えば、少なくとも5mmだけ又は少なくとも10mmだけ相互に離間した位置に設けることができる。この構成は、喫煙時、空気が異なる位置からフィルタに流入し、吸着剤の全長に沿って主流煙と吸着剤との間に一貫性のある空気層を維持するのを助長することを意味する。この場合、最上流側の通気ゾーンは、吸着剤の全ての又は大部分の上流側とすることができる。
【0021】
通気ゾーンが塞がれる場合、フィルタに流入する空気量は減少することになり、通気ゾーンが完全に塞がれる場合には空気はフィルタに全く流入しないことになる。フィルタの外側に面する空気層が存在しないので、主流煙は、もはやフィルタの中心部に閉じ込まれず、フィルタの外側を通る煙はフィルタラッパーに含まれる吸着剤と接触するようになる。フィルタを通って引き込まれる空気量が少なくなると、吸着剤と接触するようになる主流煙量が多くなり、吸着剤は更に多くの煙成分量を除去することになる。
【0022】
通気ゾーンが部分的に塞がれる場合、フィルタを通る空気流及び煙流は、フィルタ上の塞がれた通気ゾーンの相対位置及び閉塞範囲に応じた2つのフローパターンの組み合わせとなるはずである。例えば、フィルタのマウスエンドに向かう通気ゾーンの一部が塞がれるが、上流側の通気ゾーンが依然として塞がれない場合、主流煙は、最初はフィルタ外側の空気層によって吸着剤と隔てられるが、通気空気及び煙はフィルタのマウスエンドに向かって混合し、より多くの煙が吸着剤と接触するようになる。好ましくは、通気ゾーンは、10%から80%の主流煙の希釈を可能にし、「希釈」は、通気ゾーンが全く塞がっていない状態で、フィルタのマウスエンドから消費者へ送達される煙に含まれる空気の重量パーセントを指す。詳細には、通気ゾーンは、30%から70%の主流煙の希釈を可能にし、より詳細には50%から80%である。通気ゾーンで得られる通気又は希釈レベルは、ISO試験法9512:2002を利用して求めることができる。
【0023】
通気レベルは、フィルタの外側同心領域を通って流れて主流煙を吸着剤から隔てる、同心空気層の厚さを制御するために好都合に調整することができる。フィルタの外側の空気層が厚くなると、空気層が主流煙を吸着剤から遮蔽する効果が大きくなる。また、通気ゾーンが塞がれていない状態で喫煙した場合に、消費者に送達される煙の風味に対する吸着剤の作用が低下するであろう。別の代替例として、通気ゾーンが塞がれているか否かにかかわらず気相煙成分の送達が同じになるように、通気ゾーンを通る通気レベルを設定すること、及び吸着剤の量を調整することができる。
【0024】
好ましくは、通気ゾーンの最上流部は、喫煙物品のマウスエンドから20mmから30mmの間に設けられる。好ましくは、通気ゾーンの最上流部は、フィルタがタバコロッドと当接するフィルタのロッド端部から少なくとも2mmに設けられる。フィルタのマウスエンドから離れてタバコロッドに面するこの通気ゾーンの位置決めは、吸着剤を通気ゾーンの下流側に配置できる利用可能領域を好都合に増やす。
【0025】
通気ゾーンは、吸着剤の全体の又は実質的に全体の上流側に設けられる。好ましくは、通気ゾーンは吸着剤の全体の上流側に設けられるが、当業者であれば、本発明の所望の効果は、一部が通気ゾーンの位置に又は通気ゾーンの上流側に設けられるとしても、吸着剤の大部分が通気ゾーンの下流側にある場合に得られることを理解できるはずである。好ましくは、通気ゾーンは、吸着剤の少なくとも80%だけ上流側に設けられる。
【0026】
吸着剤は、任意の適切な吸着剤又は吸収剤を成すことができる。当業者には喫煙物品に使用する種々の吸着剤は公知である。適切な吸着剤としては、限定されるものではないが、活性炭、ゼオライト、セピオライト、アルミナ、モレキュラーシーブ、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の好ましい実施形態において、吸着剤は活性炭である。
【0027】
好ましい実施形態において、本発明の喫煙物品のフィルタラッパーは、フィルタラッパー表面領域上に施工された吸着層を含む。好ましくは、吸着層の吸着剤の量は、少なくとも20mgである。吸着剤の量は、好ましくは最大約120mg、より好ましくは最大約100mg、更に好ましくは最大約60mgである。特に好ましくは、吸着剤の量は、約20mgから約120mg、より好ましくは約40mgから約60mgである。
【0028】
吸着剤は、好ましくは粒子状又は粒状吸着剤の形態であり、これは好ましくはフィルタラッパー表面上の接着層又は結合剤に施工される。他の実施形態において、吸着剤は、フィルタラッパーの表面に配置される別の層として設けることができる。更に別の実施形態において、吸着剤は、フィルタセグメントの外面に別の層として施工することができ、フィルタラッパーは、吸着層の上に巻き付けて、フィルタラッパーの表面を吸着剤と接触する状態にするようにすることができる。
【0029】
フィルタラッパー表面の層内に吸着剤を提供する追加の又は別の方法として、吸着剤は、フィルタ材料自体の外面に組み込むことができる。例えば、フィルタがセルロースアセテレートトウ等の繊維フィルタ材のロッドを備える場合、粒子状吸着剤をフィルタトウの同心外側層に設けることができ、例えば、同心外側層の厚さは1mm未満である。吸着剤は、フィルタトウの同心外側層に均一に設けること、又はフィルタトウ内の吸着剤の割合がフィルタの外側に向かって大きくなる、フィルタ内の同心の吸着剤勾配とすることができる。
【0030】
前述の吸着剤の構成の追加的な又は別の方法として、吸着剤はフィルタラッパーを形成するシート材料に組み込むことができ、例えば、吸着剤は材料の製造時にペーパー材料に組み込むことができる。
【0031】
吸着剤がフィルタラッパー表面上にある場合、吸着剤は、フィルタラッパーの外面又は内面の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%を覆う。吸着剤は、フィルタラッパー表面上の、例えば、フィルタラッパー表面に施工されるパターンの形態の単一の領域内に設けること又は複数の領域に設けることができる。
【0032】
吸着剤は、好ましくはフィルタラッパーの内面に設けられ、「内面」はフィルタセグメントに最接近するラッパーの半径方向内面を指す。しかしながら、特定の別の実施形態において、喫煙時に主流煙が依然として吸着剤と接触する状態にされる場合は、内面の吸着剤に加えて又はその代わりに、吸着剤をラッパーの外面に設けることは有効であろう。例えば、フィルタラッパーが高度に多孔質であるか又は空気透過性である場合、喫煙時に主流煙が両方の表面に接触することになるので、吸着剤は、内面又は外面の一方に又はその両方に設けることができる。
【0033】
本発明の特定の好ましい実施形態において、吸着剤が施工されるフィルタラッパーは、フィルタの少なくとも一部に取り囲むプラグラップである。吸着剤は、プラグラップの内層に施工することができ、その内面は、下部のフィルタ材と接触する状態にある。
【0034】
場合によっては、フィルタは、例えば、多構成材フィルタの異なるセグメンを結合するプラグラップの層である、プラグラップの第2の層で包まれている。プラグラップの内層の吸着剤の別の方法として又は追加的に、吸着剤は、空気透過性プラグラップの1つ又はそれ以上の内層を覆う、このプラグラップの第2の層に施工することができる。吸着剤は、プラグラップの第2の層の内面領域に施工することができる。別の方法として又は追加的に、特に主流煙がプラグラップの第2の層を容易に透過して吸着剤と接触するように、プラグラップの第2の層が実質的に空気透過性シート材で形成される場合、吸着剤は、プラグラップの第2の層の外面に施工することができる。
【0035】
本発明の他の好ましい実施形態において、吸着剤が施工されるフィルタラッパーは、フィルタを取り囲んでフィルタをタバコロッドに接続するチッピングペーパーといった、チッピングラッパーである。吸着剤をチッピングラッパー上に設ける場合、吸着剤は、フィルタの外側に露出しないようにチッピングラッパーの内面に施工する必要がある。
【0036】
本発明の喫煙物品のフィルタは、単一のフィルタセグメントを含むことができる。もしくは、フィルタは、互いに軸方向に整列した2つ又はそれ以上のフィルタセグメントを備えることができる。1つ又は複数のフィルタセグメントは、種々の形態とすることができ、当業者には適切なフィルタセグメントは公知であろう。2つ又はそれ以上のフィルタセグメントを含む場合、フィルタセグメントは、互いに同じ構造及び材料とすること、又は異なる構造であること、若しくは異なるフィルタ材料又は添加物を含むことができる。好ましくは、1つ又は複数のフィルタセグメントの各々は、プラグラップで包まれたセルロースアセテレートトウ又はペーパー等の、繊維フィルタ材のプラグを形成する。
【0037】
フィルタセグメントの1つ又はそれ以上は、粒子状材料を含むことができる。好ましくは、粒子状材料は、例えば、フィルタセグメントのロッド端部の上流側フィルタセグメントに組み込まれる。
【0038】
粒子状材料は、セルロースアセテート又はペーパー等の繊維フィルタ材のプラグ中に分散することができる。フィルタ可塑剤は、好ましくは、粒子状材料をフィルタ材に施工する前に分離した繊維上に吹き付けることによる、従来の方法で繊維フィルタ材に施工することができる。別の方法として又は追加的に、フィルタは、少なくとも部分的に粒子状材料で満たされた中空キャビティを有するフィルタセグメントを含むことができる。この場合、中空キャビティは、好ましくはフィルタ材の2つのプラグの間に設けられる。
【0039】
フィルタに組み込まれた粒子状材料は、前述のフィルタラッパー中に封入するための少なくとも1つの吸着剤を含むことができる。吸着剤をフィルタに組み込む場合、フィルタの性能特性を維持できるように、フィルタ内の吸着剤の量は、フィルタラッパーに含まれる吸着剤の量を下回る必要がある。
【0040】
別の方法として又は追加的に、フィルタに組み込まれる粒子状材料は、少なくとも1つの香味材料を含むことができる。例えば、粒子状材料は、吸着剤の粒子又はメントール等の液体香味物質が充満されたセルロース材料を含むことができる。もしくは、粒子状材料は、植物性材料の粒子を含むことができる。植物性材料は、欧州公開特許第1,958,523に開示されたような植物の葉の形態とすることができる。例えば、フィルタセグメントは、タバコ、緑茶、ミント、ペパーミント又はスペアミント等、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、バーベナ、及びタラゴンからの葉を含むことができる。もしくは、植物性材料は、香辛料として用いる、種子、根茎、樹皮、又は花の形態とすることができる。
【0041】
もしくは、フィルタセグメントの1つ又はそれ以上は、メントール等のフィルタ材に直接施工された液体香味物質を有することができる。
【0042】
好ましくは、本発明による喫煙物品の全長は、70mmから約128mm、例えば、約84mmである。
【0043】
好ましくは、本発明による喫煙物品外径は、約5mmから約8.5mm、より好ましくは約7.9mmである。
【0044】
好ましくは、本発明による喫煙物品のフィルタの外径は、約18mmから約36mm、より好ましくは約27mmである。
【0045】
本発明の喫煙物品は、タバコ材料のロッドを備え、このロッドはチッピングラッパーによってフィルタに取り付けられる。タバコ材料のロッドは、タバコ葉、膨張タバコ、再構成タバコ、又はこれらを組み合わせた種類の内の1つ又はそれ以上から選択したカットタバコを含むことができる。
【0046】
本発明は、添付図面を参照して以下に例示的に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明による喫煙物品の斜視図であり、フィルタは包装されていない。
図2図1の喫煙物品の側面図であり、通気ゾーンが塞がれていない場合のフィルタを通る空気及び煙の流れを概略的に示す。
図3図1の喫煙物品の側面図であり、通気ゾーンが完全に塞がれている場合のフィルタを通る煙の流れを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1に示すフィルタシガレット10は、軸方向に位置合わせされてフィルタ14に取り付けられている、包装されたタバコカットフィラーロッド12を備える。タバコロッド12は、シガレットペーパー(図示せず)で包装されている。フィルタ14は、セルロースアセテレートトウのプラグの形状の単一のセグメント16を備える。フィルタセグメント16は、フィルタ14の全長を取り囲むプラグラップ18で包装されている。
【0049】
プラグラップ18は、空気透過性ペーパーのシート形状であり、プラグラップ18の内面の約50%に相当する領域をカバーする吸着層20を含む。吸着層20は、適切な接着剤でプラグラップ18の内面に付着された約50mgの粒子状活性炭が実質的に均等に分散される層である。組み立てられたフィルタでは、吸着層20は、フィルタセグメント16の周りを円周方向に延びてフィルタセグメント16の外面に接触する。
【0050】
包装されたタバコロッド12及び包装されたフィルタ14は、フィルタ14の全長及びタバコロッド12の隣接部を取り囲み、プラグラップ16を覆う外側チッピングラッパー22によって相互に接続される。チッピングラッパー22は、チッピングペーパーの形状であり、フィルタ14の周りを取り囲んで延びる穿孔24の列を備える通気ゾーンが形成されている。穿孔24の列は、フィルタ14とタバコロッド12との間の接合面に隣接したフィルタセグメント16のロッド端部でフィルタ上に配置される。吸着層20の全領域は、穿孔24の列の下流にある。穿孔が塞がれていない状態では、通気ゾーンは、喫煙時に主流煙の約60%の希釈を可能にする。
【0051】
フィルタシガレット10の通常の喫煙時には、穿孔は完全に覆われておらず、図2に概略的に示すように、空気は、チッピングラッパー22の穿孔を通ってフィルタ14内に流入する。図2において、空気流は白抜き矢印、主流煙流は影付き矢印で示されている。図示のように、空気はフィルタ14を通ってフィルタ14のマウスエンドに向かって引き込まれることになり、フィルタセグメント16の外側の周りに同心の空気層26を形成することができる。主流煙は、タバコロッドから引き込まれ、空気層26の存在により主流煙はフィルタセグメント16の中心に向かって送り込まれるので、主流煙は、空気層26によってプラグラップ18の内面から隔てられる。これは、穿孔24が完全に塞がれていない状態の喫煙時に、主流煙と、プラグラップ18の内面上の吸着層20の活性炭との間の接触が制限されるであろうことを意味する。従って、吸着層20の存在は、主流煙の気相成分レベルに僅かな影響を及ぼすことになる。しかしながら、フィルタ14に流入する空気は、主流煙を希釈することができるので、消費者が受ける煙の気相成分レベルは約60%だけ低下することになる。
【0052】
吸着層20全体の上流の穿孔24の列の位置は、吸着層20が始まるフィルタセグメントの部分に主流煙が到達する前に、主流煙がフィルタセグメント16の外側から離れてフィルタの中心に向かうことを保証する。
【0053】
図3は、全ての穿孔24が完全に覆われた状態を示し、空気は喫煙時にフィルタ14に流入しない。この状態では、フィルタ内で主流煙の希釈は行われないので、通気ゾーンの結果としての気相成分の低減が行われない。図3の影付き矢印で概略的に示すように、空気層26が存在しないので、主流煙はフィルタセグメント16の中心に拘束されず、フィルタセグメント16の全ての断面を通って引き込むことができる。従って、図2の状態とは異なり、主流煙は、煙がフィルタ14を通って引き込まれる際にプラグラップ18の内面上の吸着層20と接触することになる。吸着層20の活性炭は主流煙から特定の気相成分を吸着するので、消費者に送達される煙中のこれらの成分の全レベルは低下する。
【0054】
図3に示す状態での主流煙中の気相成分(カルボニル化合物)のレベルは、図2に示す状態での希釈の結果として同じ気相成分のレベルの最大40%の範囲内である。
【0055】
実際には、喫煙時、消費者がチッピングペーパー22の全ての穿孔24を完全に塞ぐ可能性は低いので、図3に示す状態は、実験的なカナダ保健省(Health Canada)喫煙テストの間にだけもたらされる可能性が高い。しかしながら、消費者は、通気ゾーンの領域でフィルタの周りに指を置くことで偶発的に一部の穿孔24を塞ぐ場合があるので、空気は指で覆われた穿孔を通ってフィルタ14へ流入することができない。この場合、状况は図2及び図3の2つの実施例の間であり、空気層26はフィルタ14の周り全てに広がっておらず、主流煙は特定の場所で吸着層20と接触して流れることになる。
【0056】
部分的に穿孔24を塞ぐことで、フィルタ14に流入する空気量は減少し、主流煙の希釈も同様に低下することになるので、希釈による気相成分のレベルの低下は少なくなるであろう。しかしながら、主流煙の吸着層20の活性炭との接触により、吸着剤による気相成分の低下が大きくなるので、気相成分の全体レベルは、依然として図2及び図3に示す状態でのレベルの最大40%の範囲内である。
【0057】
従って、希釈及び吸着層20を組み合わせた結果として、主流煙の気相成分レベルは、穿孔24が塞がれていないか、一部が塞がれたか、又は完全に塞がれたかどうかに比較的影響されないことが分かるはずである。
【0058】
前記に説明され図示される実施例では、プラグラップの内面上に吸着層が設けられているが、前述の主流煙の気相成分の低減に対して同じ効果をもつ、プラグラップ及び/又はチッピングラッパー上の吸着層の他の構成も可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0059】
10 フィルタシガレット
12 タバコカットフィラーロッド
14 フィルタ
16 フィルタセグメント
18 プラグラップ
20 吸着層
22 チッピングペーパー
24 穿孔
図1
図2
図3