特許第6367420号(P6367420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367420
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】X線診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   A61B6/00 360Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-91074(P2017-91074)
(22)【出願日】2017年5月1日
(62)【分割の表示】特願2012-131600(P2012-131600)の分割
【原出願日】2012年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-127728(P2017-127728A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 和夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 正典
(72)【発明者】
【氏名】和久 敏哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直高
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−87633(JP,A)
【文献】 特開平5−91414(JP,A)
【文献】 特開2008−29401(JP,A)
【文献】 特開2005−137798(JP,A)
【文献】 特開2012−75645(JP,A)
【文献】 特開2011−5343(JP,A)
【文献】 特開2008−200327(JP,A)
【文献】 特表2005−528946(JP,A)
【文献】 特開2005−348807(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/2513(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体のX線画像を撮像する撮像部と、
記撮像部移動させる移動機構と、
前記X線画像を撮像したときの前記撮像部の装置位置情報を取得する取得部と、
前記X線画像に対して血管壁を示す図形を入力する操作を受け付ける入力部と、
前記X線画像を撮像したときの前記装置位置情報と、前記入力部により入力された前記血管壁を示す図形とを関連付けて管理する管理部と、
前記管理部により管理された前記装置位置情報に基づく位置に前記撮像部が位置づけられた状態において、前記撮像部により撮像される透視画像と、当該位置に関連付けて管理された前記血管壁を示す図形とを、重ねて表示部に表示する処理を行う制御部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項2】
前記血管壁を示す図形を入力する操作は、手描きによる操作である、請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記血管壁を示す図形は、線により構成される、請求項1又は2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記透視画像のズームの変更に応じて、当該透視画像と重ねられて表示される前記血管壁を示す図形の表示態様を変更する、請求項1から3のうちいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記透視画像のFOVの変更に応じて、当該透視画像と重ねられて表示される前記血管壁を示す図形の表示態様を変更する、請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記管理部は、前記撮像部により撮像された前記X線画像を、当該X線画像を撮像したときの前記装置位置情報及び当該X線画像に対して入力された前記血管壁を示す図形と、関連付けて管理し、
前記制御部は、前記管理部により管理された前記装置位置情報に基づく位置に前記撮像部が位置づけられるのに応じて、当該位置に関連付けて管理された前記X線画像を前記表示部に表示する処理を行う、請求項1から5のうちいずれか一項に記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、X線照射部により患者などの被検体に対してX線を照射し、X線検出器により被検体を透過したX線を検出し、被検体のX線画像を得る装置である。このX線診断装置としては、例えば、X線照射部やX線検出器を対向状態で保持するCアームなどを備え、寝台上の被検体に対する撮像位置にX線照射部及びX線検出器を移動させて被検体の注目部位のX線画像を撮像してモニタに表示するX線診断装置が開発されている。
【0003】
前述のX線診断装置では、通常の撮影モードに加え、X線照射部から少量のX線を継続的に照射して被検体のX線画像を連続的に表示する透視モードと呼ばれるX線照射モードがある。この透視モードで撮像されたX線画像は一般に透視画像(透視像)と称される。特に、X線画像であるマスク画像に関心領域(ROI:Region Of Interest)を設定し、この設定した関心領域だけにX線を照射して関心領域の透視画像(動画像)を得て、その動画像をマスク画像(静止像)に重ねて表示する技術(例えば、スポット撮影法など)も提案されている。
【0004】
このように透視画像を撮像可能なX線診断装置は、例えば、動脈瘤を治療する場合などに用いられる。動脈瘤治療法としては、X線透視下におけるステントグラフト留置術がある。このステンドグラフト留置術では、術者がステントグラフトを留置する際、分枝血管の位置などを把握するため、透視画像表示中のモニタ画面に透明シートを貼り付け、その透明シートにペンなどを用いて手書きで目印を記入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−265449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のようにモニタ画面上の透明シートに手書きで目印を記入する場合には、撮像位置を変えると透明シート上の目印が意味をなさなくなるため、複数の撮像位置(例えば、撮像角度)からの確認を実行しようとすると、撮像位置を変える度に透明シートを貼りかえて手書きで目印を記入する作業が必要となり、手間がかかってしまう。また、透視画像をリアルタイムに重ね合わせるような透視ロードマップを活用する場合でも、複数の角度での確認を行おうとすると前述のような再作業が必要になるため、やはり手間がかかってしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、利用者の作業効率を向上させることができるX線診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るX線診断装置は、被検体のX線画像を撮像する撮像部と、撮像部移動させる移動機構と、X線画像を撮像したときの撮像部の装置位置情報を取得する取得部と、X線画像に対して血管壁を示す図形を入力する操作を受け付ける入力部と、X線画像を撮像したときの装置位置情報と、入力部により入力された血管壁を示す図形とを関連付けて管理する管理部と、管理部により管理された装置位置情報に基づく位置に撮像部が位置づけられた状態において、撮像部により撮像される透視画像と、当該位置に関連付けて管理された血管壁を示す図形とを、重ねて表示部に表示する処理を行う制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の一形態に係るX線診断装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示すX線診断装置が行う再現処理の流れを示すフローチャートである。
図3】マスク画像及びアノテーション情報(付加情報)の一例を説明するための説明図である。
図4】マスク画像及びアノテーション情報の他の一例を説明するための説明図である。
図5】マスク画像、アノテーション情報及び装置位置情報の保存を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係るX線診断装置1は、患者などの被検体Pが載置される寝台2と、その寝台2上の被検体Pを撮像する撮像部3と、その撮像部3を保持する保持装置4と、X線画像を収集する画像収集装置5と、X線画像などの各種画像を表示する表示部6と、各部を制御する制御装置7とを備えている。
【0012】
寝台2は、被検体Pを載せる長方形状の天板2aと、その天板2aを支持して水平方向及び鉛直方向に移動させる天板駆動部2bとを備えている。天板駆動部2bは、天板2aを移動させる機構やその移動のための駆動源などを有している。この駆動源は制御装置7に電気的に接続されており、その駆動が制御装置7により制御される。この寝台2は、天板駆動部2bにより天板2aを所望高さまで移動させ、さらに、その天板2aを水平方向に移動させて天板2a上の被検体Pを所望位置まで移動させる。このような寝台2は、被検体P(天板2a)と撮像部3とを相対移動させる移動機構として機能する。
【0013】
撮像部3は、天板2a上の被検体Pに対してX線を照射するX線照射部3aと、その被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器3bとを備えている。この撮像部3は、天板2aの周囲を移動可能に設けられており、所望の撮像位置から天板2a上の被検体PのX線画像を撮像する。このX線画像としては、例えば、注目部位の心臓などの透視画像やマスク画像などが挙げられる。
【0014】
X線照射部3aは、X線を出射するX線管3a1やそのX線管3a1から出射されたX線を絞ってX線の照射野(照射範囲)を調整するX線絞り器3a2、X線管3a1に供給する高電圧を発生させるX線高電圧発生部3a3などを備えている。このX線照射部3aは、X線高電圧発生部3a3により高電圧をX線管3a1に供給し、そのX線管3a1によりX線を出射し、さらに、そのX線をX線絞り器3a2により絞って天板2a上の被検体Pに照射する。
【0015】
ここで、X線絞り器3a2としては、様々なタイプのX線絞り器を用いることが可能である。例えば、鉛のような四枚のX線遮断部材を井桁状に組み合わせ、それらのX線遮断部材を互いに接離方向に移動させて、各X線遮断部材により囲まれて形成される窓の位置及び大きさを適宜変更するX線絞り器を用いても良い。その窓の部分が、X線が通過する通過領域となり、その窓以外の各X線遮断部材がX線を吸収して遮蔽する遮蔽領域となる。
【0016】
X線検出器3bは、X線管3a1に対向させて保持装置4に設けられており、対向するX線管3a1に対して接離方向に移動可能に形成されている。このX線検出器3bは制御装置7に電気的に接続されており、その制御装置7に検出したX線量、すなわちX線画像信号を送信する。X線検出器3bとしては、例えば、イメージ・インテンシファイアやX線平面検出器(FPD)等を用いることが可能であり、また、X線投影情報を電気信号に直接変換する直接変換方式のX線平面検出器を用いることも可能である。
【0017】
保持装置4は、X線管3a1及びX線検出器3bを対向させて保持する保持アーム4aと、その保持アーム4aをスライド移動可能に支持するアーム支持部4bと、そのアーム支持部4bを回動可能に支持する支柱4cとを備えている。この保持装置4は移動に係る機構やその移動のための駆動源などを有している。この駆動源は制御装置7に電気的に接続されており、その駆動が制御装置7により制御される。このような保持装置4は、被検体P(天板2a)と撮像部3とを相対移動させる移動機構として機能する。
【0018】
保持アーム4aは、例えばC字形状のCアームであり、そのアームが伸びる方向にスライド移動可能にアーム支持部4bに設けられている。この保持アーム4aの長手方向の両端部に、X線管3a1及びX線検出器3bが個別に設けられている。また、アーム支持部4bは、保持アーム4aをスライド移動可能に保持し、支柱4cに回動可能に設けられている。支柱4cは、アーム支持部4bを回動可能に支持し、床面に立設されている。
【0019】
画像収集装置5は、X線検出器3bにより検出されたX線量に基づいてX線画像を生成する処理を行う画像処理部5aと、生成したX線画像を保存する画像保存部5bとを備えている。
【0020】
画像処理部5aは、X線量に基づいて各種の画像処理により被検体PのX線画像を生成し、その生成したX線画像を画像保存部5bに送信する。画像保存部5bは、画像処理部5aから送信されたX線画像を保存する。この画像保存部5bとしては、例えば、磁気ディスク装置や半導体ディスク装置(フラッシュメモリ)などを用いることが可能である。
【0021】
表示部6は、画像収集装置5から送信されたX線画像などの各種画像を表示する表示装置である。この表示部6としては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどを用いることが可能である。
【0022】
制御装置7は、システムの各部を制御するシステム制御部7aと、X線高電圧発生部3a3を制御するX線制御部7bと、医師や助手、技師などの操作者(利用者)により入力操作される入力部7cとを備えている。
【0023】
システム制御部7aは、記憶した各種プログラムや各種データに基づいて各部を制御するものであり、特に、入力部7cに対する操作者の入力操作に応じて、寝台2や撮像部3、保持装置4などを制御する制御部7a1と、寝台2及び保持装置4(天板2a及び撮像部3)の装置位置情報を取得する取得部7a2と、各種情報を管理する管理部7a3とを備えている。
【0024】
制御部7a1は、寝台2や撮像部3、保持装置4などの各部の移動を制御し、さらに、X線絞り器3a2の開口度や表示部6の表示も制御する。例えば、被検体Pの注目部位のX線画像を得る場合には、X線絞り器3a2の開口度を、注目部位の領域のX線画像を撮像するための開口度にする。
【0025】
取得部7a2は、X線画像を撮像したときの寝台2や保持装置4などの装置位置情報を取得する。例えば、取得部7a2は、寝台2の駆動源(例えば、サーボモータ)などに設けられた位置検出部(例えば、エンコーダ)からの出力値に基づいて、天板2aの位置情報を得ることが可能である。また、取得部7a2は、保持装置4の駆動源(例えば、サーボモータ)などに設けられた位置検出部(例えば、エンコーダ)からの出力値に基づいて、保持アーム4aの位置情報(例えば、アーム角度やアーム水平位置など)を得ることが可能である。これらの寝台2や保持装置4の位置情報から天板2a上の被検体Pと撮像部3との相対位置を把握することが可能である。加えて、取得部7a2は、X線絞り器3a2の駆動源(例えば、サーボモータ)などに設けられた位置検出部(例えば、エンコーダ)からの出力値に基づいて、X線絞り器3a2の開口度情報(例えば、X線遮断部材の位置情報)を得ることが可能である。
【0026】
管理部7a3は、各種情報を記憶する記憶部を有しており、その記憶部にマスク画像、アノテーション情報及び装置位置情報を関連付けて記憶して管理する。なお、記憶部としては、例えば、ROMやRAM、磁気ディスク装置、半導体ディスク装置(フラッシュメモリ)など用いることが可能である。
【0027】
ここで、アノテーション情報(付加情報)は、画像に付帯可能な情報全般を指す付帯情報である。アノテーション情報としては、表示画面上の座標を持つ付加情報と、表示画面上の座標を持たない付加情報がある。表示画面上の座標を持つ付加情報としては、特定オブジェクトを示すために利用者が記入した矢印や手描きによる血管壁、さらに、それらに対するコメントなどが挙げられる。また、表示画面上の座標を持たない付加情報としては、あるX線画像とフュージョン(融合)するために必要な機械系の情報(例えば、フュージョン情報)が挙げられる。また、この機械系の情報としては、保持装置4及び寝台2(天板2a)の位置や角度、SID(Source Image Distance:X線管焦点と受像面との距離)、FOV(Field Of View:有効視野)、Zoom(倍率)などが挙げられる。
【0028】
なお、システム制御部7aは、画像収集装置5の画像処理部5aに対して画像処理実行などの各種指示を出力する。これに応じて、画像処理部5aは必要とする処理を実行することになる。このシステム制御部7aや画像処理部5aなどの各部は、電気回路などのハードウエアで構成されていても良く、あるいは、これらの機能を実行するプログラムなどのソフトウエアで構成されていても良く、また、それらの両方の組合せにより構成されていても良い。
【0029】
X線制御部7bは、システム制御部7aによる制御に応じて、X線管3a1により所望のX線を発生させるため、X線高電圧発生部3a3に与える電圧の波形、すなわち振幅やパルス幅などの各種条件を制御する。この制御に応じて、X線高電圧発生部3a3は、電圧を昇圧及び整流し、その電圧をX線管3a1に供給することになる。
【0030】
入力部7cは、医師や助手、技師などの操作者からの入力操作を受け付ける操作部である。この入力部7cとしては、例えば、ジョイスティックやキーボード、マウス、フットスイッチ、タッチパネルなどの入力デバイスを用いることが可能である。一例として、操作者は入力部7cを入力操作し、撮像部3、すなわちX線管3a1及びX線検出器3bを所望の撮影位置に移動させる。
【0031】
次に、前述のX線診断装置1が行う再現処理について説明する。
【0032】
図2に示すように、マスク画像が撮像されて表示部6により表示され(ステップS1)、アノテーション情報が入力されたか否かが判断される(ステップS2)。この判断はアノテーション情報が入力されるまで繰り返される(ステップS2のNO)。
【0033】
ここで、医師や助手などの利用者は、表示部6により表示されたマスク画像を視認しながら、マウスやキーボード、タッチパネルなどの入力部7cを操作して目印やコメントなどのアノテーション情報を入力することになる。
【0034】
例えば、図3に示すように、マスク画像Aが表示部6により表示されている場合、医師は、目印Aとして血管壁(図3中の太線参照)を描いて矢印を記入し、コメントAを記入する。また、図4に示すように、マスク画像B(前述のマスク画像Aと異なる撮像位置から撮像された画像)が表示部6により表示されている場合にも、医師は、目印Bとして血管壁(図4中の太線参照)を描いて矢印を記入し、コメントBを記入する。なお、コメントとしては、例えば、「動脈が良く見える」や「分枝血管が良く見える」などがあり、自由に記入可能である。
【0035】
ステップS2において、アノテーション情報が入力されたと判断されると(ステップS2のYES)、現在の装置位置をボタンに登録するか否かが判断される(ステップS3)。このとき、例えば、登録を指示するボタンが医師などの利用者により押下されると、現在の装置位置をボタンに登録すると制御部7a1により判断される。
【0036】
ステップS3において、現在の装置位置をボタンに登録すると判断されると(ステップS3のYES)、現在の装置位置がボタンの押下に応じてボタンに登録され(ステップS4)、アノテーション情報がマスク画像及び装置位置情報と共に関連付けられて管理部7a3により保存される(ステップS5)。一方、現在の装置位置をボタンに登録しないと判断されると(ステップS3のNO)、ボタン登録無しで、アノテーション情報がマスク画像及び装置位置情報と共に関連付けられて管理部7a3により保存される(ステップS5)。
【0037】
ここで、ステップS4では、ファンクションボタンなどのボタンが医師などの利用者により押されると、そのボタンに現在の装置位置が登録され、そのボタンと現在の装置位置情報とがひも付けされる。つまり、マスク画像を撮像したときの装置位置ごとに異なるボタンが登録されることになる。例えば、マスク画像Aの装置位置がボタン1に登録された場合には、マスク画像Bの装置位置はボタン2に登録される。その後、登録済のボタンが利用者により押下されると、そのボタンにひも付けされた装置位置情報に基づき、天板2a及び保持装置4はその登録時の装置位置に自動的に移動することになる。
【0038】
また、ステップS5では、アノテーション情報がマスク画像及び装置位置情報と共に関連付けられて保存される。例えば、図3に示すように、マスク画像Aに対してアノテーション情報(目印A及びコメントA)が記入された場合には、図5に示すように、そのアノテーション情報(目印A及びコメントA)がマスク画像A、さらに、そのマスク画像Aを撮像したときの装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報a1、a2、・・・)と関連付けられて保存される。同様に、図4に示すように、マスク画像Bに対してアノテーション情報(目印B及びコメントB)が記入された場合には、図5に示すように、アノテーション情報(目印B及びコメントB)がマスク画像B、さらに、そのマスク画像Bを撮像したときの装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報b1、b2、・・・)と関連付けられて保存される。なお、位置情報としては、例えば、二次元位置や三次元位置(角度も含む)などの座標情報が挙げられる。
【0039】
ステップS5の処理後、マスク画像の撮像が終了したか否かが判断される(ステップS6)。このとき、例えば、撮像終了を指示するボタンが医師などの利用者により押されると、マスク画像の撮像が終了したと判断される。一方、撮像終了を指示するボタンが押されず、入力部7cが操作されて天板2aや保持装置4が移動すると、マスク画像の撮像が継続されることになる。
【0040】
ステップS6において、マスク画像の撮像が終了していないと判断されると(ステップS6のNO)、処理がステップS1に戻り、次のマスク画像の撮像が開始され、前述の処理が繰り返される。このようにして、マスク画像ごとにアノテーション情報が記入され、そのアノテーション情報はマスク画像及びそのマスク画像を撮像したときの装置位置情報と共に関連付けられて保存されることになる。
【0041】
一方、ステップS6において、マスク画像の撮像が終了したと判断されると(ステップS6のYES)、ボタンの押下、アノテーション情報の選択、マスク画像の選択、寝台及び保持装置の位置指示のいずれか一つが行われたか否かが判断される(ステップS7)。以下、これらの判断を順次説明する。
【0042】
<1.ボタンの押下>
ステップS7において、ボタンの押下が行われたと判断された場合には(ステップS7のYES)、そのボタンに登録された装置位置まで寝台2及び保持装置4(天板2a及び撮像部3)が自動的に移動し、さらに、対応する装置位置情報に関連付けられたマスク画像及びアノテーション情報が読み出され、表示部6により表示される(ステップS8)。
【0043】
ボタンの押下では、利用者はマウスやタッチパネルなどの入力部7cを操作し、複数のボタンの中から所望のボタンを押下する。なお、ファンクションボタンなどの複数のボタンには、前述のステップS4において装置位置が個別に登録されている。
【0044】
ここで、一例として、マスク画像Aを撮像したときの装置位置がボタン1に登録されている場合には、そのボタン1が押下されると、ボタン1に対応する装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報a1、a2、・・・)に基づく位置まで天板2a及び保持装置4が移動する。さらに、前述の装置位置情報に関連付けられたマスク画像A及びアノテーション情報(目印A及びコメントA)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、表示部6により表示される(図3参照)。
【0045】
また、マスク画像Bを撮像したときの装置位置がボタン2に登録されている場合には、そのボタン2が押下されると、ボタン2に対応する装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報b1、b2、・・・)に基づく位置まで天板2a及び保持装置4が移動する。さらに、前述の装置位置情報に関連付けられたマスク画像B及びアノテーション情報(目印B及びコメントB)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、表示部6により表示される(図3参照)。このように、登録済みの各ボタンを押すだけで、装置位置の再現、さらに、マスク画像及びアノテーション情報(目印及びコメント)の表示を再現することが可能となる。
【0046】
<2.アノテーション情報の選択>
また、ステップS7において、アノテーション情報の選択が行われたと判断された場合には(ステップS7のYES)、その選択されたアノテーション情報、さらに、そのアノテーション情報に関連付けられたマスク画像及び装置位置情報が読み出され、その後、読み出された装置位置情報に基づく装置位置まで寝台2及び保持装置4(天板2a及び撮像部3)が自動的に移動し、さらに、読み出されたマスク画像及びアノテーション情報が表示部6により表示される(ステップS8)。
【0047】
アノテーション情報の選択では、アノテーション情報、例えばコメント情報がリスト化されて表示部6により表示される(リスト表示)。なお、リストには、コメントだけではなく、マスク画像も縮小してサムネイルで表示するようにしても良い。利用者はマウスやタッチパネルなどの入力部7cを操作し、そのリストから希望のアノテーション情報を選択する。
【0048】
ここで、一例として、リストからコメントAが選択されると、そのコメントAを含むアノテーション情報に関連付けられたマスク画像Aさらに装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報a1、a2、・・・)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、その装置位置情報に基づく位置まで天板2a及び保持装置4が自動的に移動する。さらに、選択されたコメントAを含むアノテーション情報及び読み込まれたマスク画像Aが表示部6により表示される(図3参照)。
【0049】
また、リストからコメントBが選択されると、そのコメントBを含むアノテーション情報に関連付けられたマスク画像Bさらに装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報b1、b2、・・・)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、その装置位置情報に基づく位置まで天板2a及び保持装置4が自動的に移動する。さらに、選択されたコメントBを含むアノテーション情報及び読み込まれたマスク画像Bが表示部6により表示される(図4参照)。このようにして、アノテーション情報を選択するだけで、装置位置の再現、さらに、マスク画像及びアノテーション情報(目印及びコメント)の表示を再現することが可能となる。
【0050】
<3.マスク画像の選択>
また、ステップS7において、マスク画像の選択が行われたと判断された場合には(ステップS7のYES)、その選択されたマスク画像、さらに、そのマスク画像に関連付けられたアノテーション画像及び装置位置情報が読み出され、その後、読み出された装置位置情報に基づく装置位置まで寝台2及び保持装置4(天板2a及び撮像部3)が自動的に移動し、さらに、読み出されたマスク画像及びアノテーション情報が表示部6により表示される(ステップS8)。
【0051】
マスク画像の選択では、マスク画像がサムネイル化されて表示部6により表示される(サムネイル表示)。利用者はマウスやタッチパネルなどの入力部7cを操作し、そのサムネイルから希望のマスク画像を選択する。なお、このときの表示はサムネイル表示に限られるものではない。
【0052】
ここで、一例として、リストからマスク画像Aが選択されると、そのマスク画像Aに関連付けられたアノテーション情報(目印A及びコメントA)さらに装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報a1、a2、・・・)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、その装置位置情報に基づく位置まで天板2a及び保持装置4が自動的に移動する。さらに、選択されたマスク画像A及び読み込まれたアノテーション情報(目印A及びコメントA)が表示部6により表示される(図3参照)。
【0053】
また、リストからマスク画像Bが選択されると、そのマスク画像Bに関連付けられたアノテーション情報(目印B及びコメントB)さらに装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報b1、b2、・・・)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、その装置位置情報に基づく位置まで天板2a及び保持装置4が自動的に移動する。さらに、選択されたマスク画像B及び読み込まれたアノテーション情報(目印B及びコメントB)が表示部6により表示される(図4参照)。このようにして、マスク画像を選択するだけで、装置位置の再現、さらに、マスク画像及びアノテーション情報(目印及びコメント)の表示を再現することが可能となる。
【0054】
<4.保持装置及び寝台の位置指示>
また、ステップS7において、寝台2及び保持装置4の位置指示が行われたと判断された場合には(ステップS7のYES)、その指示された装置位置情報に基づく位置まで寝台2及び保持装置4(天板2a及び撮像部3)が自動的に移動し(オートポジショニング)、さらに、その装置位置情報に関連付けられたマスク画像及びアノテーション画像が読み出され、その読み出されたマスク画像及びアノテーション情報が表示部6により表示される(ステップS8)。
【0055】
位置の指示では、利用者はマウスやタッチパネルなどの入力部7cを操作し、保持装置4の角度位置などの位置を指定する。なお、オートポジショニングに限らず、手動で保持装置4を同じ所望の撮像位置まで移動させても良い。
【0056】
ここで、一例として、天板2a及び保持装置4が所望の撮像位置1まで移動すると、その撮像位置1に対応する装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報a1、a2、・・・)に関連付けられたマスク画像A及びアノテーション情報(目印A及びコメントA)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、表示部6により表示される(図3参照)。
【0057】
また、天板2a及び保持装置4が所望の撮像位置2まで移動すると、その撮像位置2に対応する装置位置情報(天板2a及び保持装置4の位置情報b1、b2、・・・)に関連付けられたマスク画像B及びアノテーション情報(目印B及びコメントB)が管理部7a3から読み込まれ(図5参照)、表示部6により表示される(図4参照)。このようにして、天板2aや保持装置4(撮像部3)の位置を再現するだけで、マスク画像及びアノテーション情報(目印及びコメント)の表示を再現することが可能となる。なお、手動の場合には、保持装置4が装置位置情報に基づく位置にくると、その位置に対応するマスク画像及びアノテーション情報の表示が行われることになる。
【0058】
これらのようなステップS8の処理後、検査が終了したか否かが判断される(ステップS9)。このとき、例えば、検査終了を指示するボタンが医師などの利用者により押されると、検査が終了したと判断される。検査が終了したと判断されると(ステップS9のYES)、処理が終了する。一方、検査終了ボタンが押されず、検査が終了していないと判断されると(ステップS9のNO)、処理がステップS7に戻り、そのステップS7の判断が繰り返される。
【0059】
このような再現処理によれば、マスク画像、アノテーション情報及び装置位置情報のいずれか一つを選択することで、マスク画像及びアノテーション情報の表示、さらに、そのマスク画像を撮像したときの寝台2及び保持装置4、すなわち天板2a及び撮像部3の装置位置を容易に再現することが可能となる。これにより、利用者の負荷減が実現され、利用者の作業効率が向上するため、手術時間を短縮することができる。加えて、複数の位置からの確認が容易となるため、ステントグラフト留置術の成功率の向上を実現することができ、さらに、複数の撮像位置でのマスク画像を正確に再現することが可能となり、不必要な撮像を行う必要がなくなるため、被ばく量の低減及び造影剤使用量の減少も実現することができる。
【0060】
以上説明したように、前述の実施形態によれば、天板2a上の被検体Pが撮像部3により撮像されて得られたX線画像と、そのX線画像を撮像したときの天板2a及び撮像部3との装置位置情報と、そのX線画像に付加されたアノテーション情報(付加情報)とを関連付けて管理部7a3により管理する。これにより、X線画像、装置位置情報及びアノテーション情報が関連付けて管理されるため、それらのX線画像、装置位置情報及びアノテーション情報のいずれか一つを選択することで他の情報を管理部7a3から読み込んで利用することが可能となる。すなわち、それらのいずれか一つを選択することで、X線画像及びアノテーション情報の表示、さらに、そのX線画像を撮像したときの天板2a及び撮像部3の装置位置を容易に再現することが可能となるので、利用者の作業効率を向上させることができる。
【0061】
また、アノテーション情報を表示部6により表示する場合には、その表示対象のアノテーション情報に関連付けられた装置位置情報に基づく位置に天板2a及び撮像部3を移動機構(寝台2や保持装置4)により相対移動させる処理を行い、表示対象のアノテーション情報に関連付けられたX線画像をその表示対象のアノテーション情報と共に表示部6により表示する処理を制御部7a1により行う。これにより、アノテーション情報を選択するだけで、そのアノテーション情報に加え、それに関連するX線画像の表示、さらに、そのX線画像を撮像したときの天板2a及び撮像部3の装置位置を容易に再現することができる。
【0062】
また、X線画像を表示部6により表示する場合には、その表示対象のX線画像に関連付けられた前述の装置位置情報に基づく位置に天板2a及び撮像部3を移動機構(寝台2や保持装置4)により相対移動させる処理を行い、表示対象のX線画像に関連付けられたアノテーション情報をその表示対象のX線画像と共に表示部6により表示する処理を制御部7a1により行う。これにより、X線画像を選択するだけで、そのX線画像に加え、それに関連するアノテーション情報の表示、さらに、そのX線画像を撮像したときの天板2a及び撮像部3の装置位置を容易に再現することができる。
【0063】
また、前述の装置位置情報に基づく位置に天板2a及び撮像部3が移動機構(寝台2や保持装置4)により相対移動した場合、その装置位置情報に関連付けられたX線画像及びアノテーション情報を表示部6により表示する処理を制御部7a1により行う。これにより、天板2aや保持装置4の位置を再現するだけで、その位置に関連付けられたX線画像及びアノテーション情報の表示を容易に再現することができる。
【0064】
なお、X線画像に付加するアノテーション情報としては、X線画像そのものに付加するアノテーション情報に限らず、その他の画像に付加するアノテーション情報とも関連付けることが可能である。例えば、X線画像、その他のCT画像のアノテーション情報(フュージョン情報)及び保持装置4の位置角度を連動させる。X線画像が角度aでCT画像αと位置合わせ及びフュージョン(融合)が行われる。その後、角度aが角度bに変更されると、この時点でX線画像とCT画像とのフュージョンは解除される。角度bが角度aに戻されると、その角度aで自動的に再フュージョンが行われる。
【0065】
また、表示部6により表示されているX線画像の表示状態が変化した場合、その表示状態の変化に応じて、X線画像に重ねて表示されているアノテーション情報の表示状態を変更するようにしても良い。この場合には、例えば、ズームなどの表示状態の変更に応じてアノテーション情報の表示を変更する。これにより、X線画像としての透視画像に重ねて表示されているアノテーション情報の表示状態がズームやFOVなどの変更に追従することになるので、視認しやすい状態で正しい位置にアノテーション情報を表示し続けることができる。
【0066】
また、撮像部3により撮像された透視画像と管理部7a3により管理されているアノテーション情報とを重ねて表示部6により表示し、その表示対象のアノテーション情報に関連付けられたマスク画像と撮像部3により撮像された透視画像とを重ねて表示部6により表示する処理を行っても良い。これにより、医師などの利用者は、透視画像とアノテーション情報との第1画像と、透視画像とマスク画像との第2画像(透視ロードマップ表示)とを同時に表示することが可能となる。また、表示部6を二つ設け、それらの表示部6に第1画像及び第2画像を個別に表示するようにしても良い。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 X線診断装置
2 寝台
2a 天板
3 撮像部
4 保持装置
6 表示部
7a1 制御部
7a2 取得部
7a3 管理部
7c 入力部
P 被検体
図1
図2
図3
図4
図5