特許第6367433号(P6367433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6367433
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】エレベータ点検運転システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-119908(P2017-119908)
(22)【出願日】2017年6月19日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 卓
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−198609(JP,A)
【文献】 特開2016−141527(JP,A)
【文献】 特開2017−095191(JP,A)
【文献】 特開2013−180856(JP,A)
【文献】 特開2017−071500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信部を有し、エレベータのカゴの動作を制御する制御装置と、
前記エレベータを点検運転する際の複数の作業位置のそれぞれに設けられた複数の無線中継装置と、
前記複数の無線中継装置のいずれかを経由して前記無線通信部と無線通信することで、前記制御装置に前記点検運転を指示する点検運転装置と、を備え、
前記点検運転装置は、前記制御装置に前記複数の作業位置のうち前記点検運転装置が存在する作業位置を通知するための作業位置スイッチを有し、
前記制御装置は、前記複数の無線中継装置のそれぞれと前記点検運転装置との通信時間に基づいて前記点検運転装置が存在する作業位置を判定する位置判定部を有し、前記位置判定部で判定された前記点検運転装置が存在する作業位置が、前記作業位置スイッチの操作によって通知された前記点検運転装置が存在する作業位置と一致する場合に、前記点検運転の指示に応じた前記カゴの動作の制御を実行するエレベータ点検運転システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記点検運転装置が存在する作業位置と前記点検運転の指示内容とに対応する前記カゴの動作の制御内容が格納された点検支援データベースを有し、前記点検支援データベースを参照することで、前記点検運転装置が存在する作業位置での前記点検運転の指示に応じた制御内容の前記カゴの動作の制御を実行する請求項1に記載のエレベータ点検運転システム。
【請求項3】
前記点検支援データベースには、作業者に注意を喚起する警報の出力条件が格納されており、
前記点検運転装置は、前記警報の出力条件が満足された場合に前記警報を出力する警報器を有する請求項2に記載のエレベータ点検運転システム。
【請求項4】
前記点検運転装置は、前記エレベータの通常運転と前記点検運転との切り替えを指示するための点検運転スイッチと、前記カゴの上昇を指示するための上昇ボタンと、前記カゴの下降を指示するための下降ボタンと、前記カゴの緊急停止を指示するための緊急停止ボタンとを有し、
前記点検運転の指示は、前記点検運転スイッチの操作による前記通常運転から前記点検運転への切り替えの指示と、前記上昇ボタンの操作による前記上昇の指示、前記下降ボタンの操作による前記下降の指示および前記緊急停止ボタンの操作による前記緊急停止の指示の少なくとも1つと、を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレベータ点検運転システム。
【請求項5】
前記カゴのドアの開閉を制御するドア駆動装置を更に備え、
前記点検運転装置は、前記カゴのドアの開動作を指示するための戸開ボタンと、前記ドアの閉動作を指示するための戸閉ボタンとを有し、
前記点検支援データベースには、前記点検運転装置が存在する作業位置と前記戸開ボタンおよび前記戸閉ボタンの操作状態とに対応する前記ドアの動作の制御内容が格納されており、
前記ドア駆動装置は、前記点検支援データベースに格納された制御内容のうち前記点検運転装置が存在する作業位置での前記戸開ボタンまたは前記戸閉ボタンの操作に応じた制御内容の前記ドアの動作の制御を実行する請求項2または3に記載のエレベータ点検運転システム。
【請求項6】
前記点検運転装置は、前記複数の無線中継装置のうち前記無線通信中の無線中継装置の電波状況よりも他の無線中継装置の電波状況が良好である場合に、前記他の無線中継装置を経由した前記無線通信に切り替える通信切替装置を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレベータ点検運転システム。
【請求項7】
前記位置判定部は、前記複数の作業位置のうち前記点検運転装置との通信時間が最短の前記無線中継装置が設けられている作業位置を、前記点検運転装置が存在する作業位置と判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレベータ点検運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、エレベータ点検運転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの据付調整時あるいは保守時には、作業員の安全性と作業性を考慮して、通常運転の場合よりもカゴの移動速度や作業員の作業箇所に応じたカゴの移動範囲などを制限した点検運転が行われる。このような点検運転は、通常運転と点検運転とを切り替える点検スイッチを搭載した点検運転装置を用いて行われていた。
【0003】
点検運転装置は、作業員の誤操作やエレベータの誤動作などの緊急時にカゴを停止させるための緊急停止ボタンと、カゴを上昇させるための上昇ボタンと、カゴを下降させるための下降ボタンとを有している。作業者は、これらのボタンを操作することで、ボタンに応じた内容の運転を指示することができる。
【0004】
しかしながら、従前の点検運転装置は、エレベータの主な作業場所(例えば、カゴ内、カゴ上、機械室、乗場、ピットなど)の特定の位置に固定されていたところ、点検運転装置の近傍のみでの作業は少なく、点検運転装置から離れた位置での作業が多かったため、緊急時に点検運転装置を迅速に操作できない虞があった。
【0005】
このような従前の点検運転装置の操作の迅速性を改善するため、操作装置とエレベータの制御装置とを有線接続した携帯型の点検運転装置が提案されている。しかるに、有線接続方式の携帯型の点検運転装置は、配線に躓く危険性や可動部による配線の挟み込み等を考慮した慎重な作業が必要となるため、作業性が悪いといった欠点がある。
【0006】
このような有線接続方式の携帯型の点検運転装置の作業性を改善するため、無線接続方式の点検運転装置が提案されている。しかるに、従来の無線接続方式の点検運転装置は、作業員の位置を特定する手段がないため、作業員の作業位置に応じたカゴの制御を適切に行うことが困難であった。
【0007】
そこで、作業員の作業位置に応じたカゴの制御を適切に行うため、カゴ上およびピットに設けられた作業用スイッチを備えた無線接続方式の点検運転装置が提案されている。作業用スイッチを備えた点検運転装置では、作業用スイッチの操作に応じて作業箇所を判別し、判別された作業箇所に応じた点検運転を実現する。しかしながら、作業員が故意に作業用スイッチを操作しない場合には、作業員がカゴ上やピットにいる状態でカゴを高速運転できてしまう虞がある。このため、作業用スイッチを備えた無線接続方式の点検運転装置によっても尚、作業員の作業位置に応じたカゴの制御を適切に行うことが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016−141527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本実施の形態は、このような点を考慮してなされたものであり、作業員の作業位置に応じたカゴの制御を適切に行うことができるエレベータ点検運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態によるエレベータ点検運転システムは、制御装置と、複数の無線中継装置と、点検運転装置とを備える。制御装置は、無線通信部を有し、エレベータのカゴの動作を制御する。複数の無線中継装置は、エレベータを点検運転する際の複数の作業位置のそれぞれに設けられている。点検運転装置は、複数の無線中継装置のいずれかを経由して無線通信部と無線通信することで、制御装置に点検運転を指示する。点検運転装置は、制御装置に複数の作業位置のうち点検運転装置が存在する作業位置を通知するための作業位置スイッチを有する。制御装置は、複数の無線中継装置のそれぞれと点検運転装置との通信時間に基づいて点検運転装置が存在する作業位置を判定する位置判定部を有する。制御装置は、位置判定部で判定された点検運転装置が存在する作業位置が、作業位置スイッチの操作によって通知された点検運転装置が存在する作業位置と一致する場合に、点検運転の指示に応じたカゴの動作の制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態によるエレベータ点検運転システムの実装状態を示す模式図である。
図2】第1の実施形態によるエレベータ点検運転システムを示すブロック図である。
図3】第1の実施形態によるエレベータ点検運転システムの点検運転装置を示す正面図である。
図4】第1の実施形態によるエレベータ点検運転システムの動作例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態によるエレベータ点検運転システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。また、実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態によるエレベータ点検運転システムについて説明する。図1は、第1の実施形態によるエレベータ点検運転システム1の実装状態を示す模式図である。図1に示すように、エレベータ点検運転システム1は、エレベータ2に搭載されており、例えば、作業員3がエレベータ2の据付調整や保守作業を安全かつ効率的に行うために用いることができる。
【0014】
図1に示すように、エレベータ2は、最下階の乗場5の下方から最上階の乗場5の上方まで延びる昇降路6の上端近傍位置に設置された巻上機7と、巻上機7に掛け渡されたロープの一端に吊り下げられた乗りカゴ8と、ロープの他端に吊り下げられた釣合い重り9とを備える。また、エレベータ2は、巻上機7を制御することで乗りカゴ8の昇降動作を制御する制御装置10(すなわち、制御盤)と、ドア駆動装置の一例であり、乗りカゴ8のカゴドア81の戸開閉を制御するカゴドア駆動装置11とを備える。カゴドア駆動装置11による戸開閉の制御は、制御装置10によるカゴドア駆動装置11の制御によって行われてもよい。
【0015】
また、通常は暗所であるピット61での作業員3の作業を可能とするため、ピット61には、ピット61の周辺を照明するピット照明62が設けられている。同様に、通常は暗所である乗りカゴ8の上での作業員3の作業を可能とするため、乗りカゴ8の上端面8aには、乗りカゴ8の上端面8aの周辺を照明するカゴ上照明82が設けられている。制御装置10は、カゴドア81を含めた乗りカゴ8の動作に加えて、これらピット照明62およびカゴ上照明82の動作も制御する。
【0016】
このような構成を有するエレベータ2を据付調整や保守作業の際に点検運転するため、エレベータ点検運転システム1は、以下に示される具体的な構成を有する。なお、本実施形態において、点検運転とは、据付調整や保守作業の際の作業員3の安全性および作業性を確保するため、通常のエレベータ2利用時の通常運転の場合よりも、乗りカゴ8の昇降速度や作業員3の作業位置に応じた乗りカゴ8の昇降範囲などを制限した乗りカゴ8の運転である。また、本実施形態における点検運転には、乗りカゴ8の昇降動作に限らず、後述する点検運転装置16の操作によって制御される動作制御対象(例えば、カゴドア81、ピット照明62およびカゴ上照明82)の動作も含まれる。
【0017】
図1に示すように、エレベータ点検運転システム1は、既述した制御装置10およびカゴドア駆動装置11と、エレベータ2を点検運転する際の複数の作業位置のそれぞれに設けられた複数の無線中継装置12〜15と、制御装置10に点検運転を指示する点検運転装置16とを備える。
【0018】
これらのエレベータ点検運転システム1の構成部のうち、先ず、点検運転装置16の具体的な構成について説明する。図2は、第1の実施形態によるエレベータ点検運転システム1を示すブロック図である。図3は、第1の実施形態によるエレベータ点検運転システム1の点検運転装置16を示す正面図である。
【0019】
図2に示すように、点検運転装置16は、通信装置161と、点検運転装置制御部162とを備える。また、図2および図3に示すように、点検運転装置16は、作業位置スイッチ163と、点検運転スイッチ164と、上昇ボタン165と、下降ボタン166と、緊急停止ボタン167とを備える。また、図2および図3に示すように、点検運転装置16は、戸開ボタン168と、戸閉ボタン169と、運転ボタン1610と、警報器の一例である警報装置1611とを備える。
【0020】
作業位置スイッチ163は、複数の無線中継装置12〜15のそれぞれが設けられた複数の作業位置のうち、点検運転装置16すなわち作業員3が存在する作業位置を通知するためのスイッチである。図3の例の作業位置スイッチ163では、ピット61上、乗場5または乗りカゴ8内、および乗りカゴ8上の3種類の作業位置のうち、いずれか1種類の作業位置を選択することができる。図2に示される点検運転装置制御部162は、作業位置スイッチ163の操作によって選択された作業位置を、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって制御装置10に送信することで、作業位置を制御装置10に通知する。なお、無線通信で経由させる無線中継装置12〜15の選択方法については、後述するエレベータ点検運転システム1の動作例において説明する。
【0021】
点検運転スイッチ164は、エレベータ2の運転状態を、通常運転と点検運転との間で切り替えるためのスイッチである。作業員3によって点検運転スイッチ164が通常運転から点検運転に切り替えられた場合、点検運転装置制御部162は、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって、点検運転の指示の一態様である点検運転への切り替えの指示を制御装置10に送信する。なお、点検運転への切り替えの指示は、通常運転から点検運転に切り替えられたという点検運転スイッチ164の状態を示す信号であってもよい。
【0022】
上昇ボタン165は、点検運転の際に乗りカゴ8の上昇を指示するためのボタンである。作業員3によって上昇ボタン165がオンされた場合、点検運転装置制御部162は、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって、点検運転の指示の一態様である乗りカゴ8の上昇の指示を制御装置10に送信する。なお、乗りカゴ8の上昇の指示は、上昇ボタン165のオン状態を示す信号であってもよい。
【0023】
下降ボタン166は、点検運転の際に乗りカゴ8の下降を指示するためのボタンである。作業員3によって下降ボタン166がオンされた場合、点検運転装置制御部162は、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって、点検運転の指示の一態様である乗りカゴ8の下降の指示を制御装置10に送信する。なお、乗りカゴ8の下降の指示は、下降ボタン166のオン状態を示す信号であってもよい。
【0024】
緊急停止ボタン167は、点検運転の際に乗りカゴ8の緊急停止を指示するためのボタンである。作業員3によって緊急停止ボタン167がオンされた場合、点検運転装置制御部162は、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって、点検運転の指示の一態様である乗りカゴ8の緊急停止の指示を制御装置10に送信する。制御装置10は、点検運転装置16から緊急停止の指示を受信すると、不図示の電源と制御装置10との間に接続された不図示の安全回路(すなわち、スイッチ)をオフすることで、制御装置10への電源供給を遮断させる。電源供給が遮断されることで制御装置10は動作を緊急停止する。制御装置10が緊急停止することで、制御装置10によって制御される乗りカゴ8も緊急停止する。なお、緊急停止の指示は、緊急停止ボタン167のオン状態を示す信号であってもよい。
【0025】
戸開ボタン168は、点検運転の際に乗りカゴ8のカゴドア81の戸開動作を指示するためのボタンである。作業員3によって戸開ボタン168がオンされた場合、点検運転装置制御部162は、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって、点検運転の指示の一態様であるカゴドア81の戸開動作の指示を制御装置10に送信する。なお、戸開動作の指示は、戸開ボタン168のオン状態を示す信号であってもよい。
【0026】
戸閉ボタン169は、点検運転の際にカゴドア81の戸閉動作を指示するためのボタンである。作業員3によって戸閉ボタン169がオンされた場合、点検運転装置制御部162は、通信装置161からいずれか1つの無線中継装置12〜15を経由した無線通信によって、点検運転の指示の一態様であるカゴドア81の戸閉動作の指示を制御装置10に送信する。なお、戸閉動作の指示は、戸閉ボタン169のオン状態を示す信号であってもよい。
【0027】
運転ボタン1610は、点検運転の際に誤って作業員3の意図しない点検運転の指示が送信されることを防止するために、運転を指示する明確な意思を確認するためのボタンである。点検運転装置制御部162は、運転ボタン1610のオンによる運転の指示が受信されたことを条件として、上昇ボタン165、下降ボタン166、戸開ボタン168および戸閉ボタン169のそれぞれによる点検運転の指示を受け付ける。
【0028】
警報装置1611は、予め設定された出力条件が満足された場合に、作業員3の注意を喚起するための警報を出力する装置である。例えば、警報装置1611は、ピット61上で作業する作業員3に、上方から接近する釣合い重り9への注意を喚起する警報を出力する。制御装置10は、乗りカゴ8、ピット照明62およびカゴ上照明82の動作に加えて、警報装置1611の動作も制御する。
【0029】
次に、既述したエレベータ点検運転システム1の構成部のうち、制御装置10の具体的な構成について説明する。図2に示すように、制御装置10は、無線通信部の一例である通信部101と、エレベータ制御部102と、位置判定部103と、点検支援データベース(図2の点検支援D.B.)104とを有する。
【0030】
通信部101は、複数の無線中継装置12〜15のいずれか1つを経由して点検運転装置16と無線通信することで、点検運転装置16から点検運転の指示と作業位置とを受信する。なお、既述したように、作業位置は、点検運転スイッチ164の操作によって点検運転装置16から通知される。また、点検運転の指示は、点検運転スイッチ164、上昇ボタン165、下降ボタン166、緊急停止ボタン167、戸開ボタン168、戸閉ボタン169または運転ボタン1610の操作によって点検運転装置16から送信される。
【0031】
位置判定部103は、複数の無線中継装置12〜15のそれぞれが設けられた複数の作業位置のうち、点検運転装置16が存在する作業位置を判定する。位置判定部103は、無線中継装置12〜15のそれぞれと点検運転装置16との通信時間に基づいて、点検運転装置16が存在する作業位置を判定する。例えば、位置判定部103は、複数の無線中継装置12〜15のうち点検運転装置16との通信時間が最短の無線中継装置12〜15が設けられている作業位置を、点検運転装置16が存在する作業位置と判定する。
【0032】
エレベータ制御部102は、点検運転装置16から通知された作業位置が、位置判定部103で判定された点検運転装置16が存在する作業位置と一致する場合に、点検運転装置16から受信された点検運転の指示に応じた乗りカゴ8の動作の制御を実行する。
【0033】
エレベータ制御部102は、乗りカゴ8の動作の制御にあたって、点検支援データベース104を参照する。点検支援データベース104は、制御装置10に内蔵された記憶装置に記憶されている。点検支援データベース104には、動作制御対象の制御内容として、カゴドア81、照明62、81および警報装置1611の制御内容が格納されており、これらの制御内容は、点検運転装置16が存在する作業位置に対応付けられている。また、制御内容のうち、乗りカゴ8の動作の一態様であるカゴドア81の動作の制御内容については、点検運転装置16が存在する作業位置に加えて、戸開ボタン168および戸閉ボタン169の状態(すなわち、点検運転の指示内容)にも対応付けられている。
【0034】
点検支援データベース104について更に詳述すると、図2に示すように、点検支援データベース104は、管理番号104aと、点検運転装置16が存在する作業位置を示す作業位置スイッチ163の状態104bと、動作制御対象の制御内容104cとを含む。
【0035】
図2の例の点検支援データベース104には、点検運転装置16が乗場5または乗りカゴ8内に存在する場合のカゴドア81の制御内容として、戸開ボタン168および戸閉ボタン169の状態に応じたカゴドア81の戸開閉が記述されている。
【0036】
また、点検支援データベース104には、点検運転装置16がピット61上に存在する場合のピット照明62、カゴドア81および警報装置1611の制御内容として、ピット照明62の点灯と、戸開ボタン168および戸閉ボタン169の無効と、カウンターウェート(すなわち、釣合い重り9)の接近に応じた警報装置1611の警報出力とが記述されている。ピット61上への釣合い重り9の接近は、例えば、制御装置10が巻上機7の回転量に基づいて検知してもよい。
【0037】
また、点検支援データベース104には、点検運転装置16が乗りカゴ8上に存在する場合のカゴ上照明82およびカゴドア81の制御内容として、カゴ上照明82の点灯と、戸開ボタン168および戸閉ボタン169の状態に応じたカゴドア81の戸開閉とが記述されている。
【0038】
エレベータ制御部102は、位置判定部103で判定された作業位置に対応する制御内容を点検支援データベース104から参照し、点検運転装置16から受信された点検運転の指示内容に応じた乗りカゴ8の動作の制御を実行する。また、エレベータ制御部102は、点検支援データベース104の制御内容を参照して、乗りカゴ8以外の動作制御対象(例えば、ピット照明62、カゴ上照明82、警報装置1611)の動作の制御も実行する。
【0039】
なお、図2の点検支援データベース104には示されていないが、エレベータ制御部102は、点検運転装置16から通知された作業位置が、位置判定部103で判定された作業位置と一致する場合に、点検運転装置16から受信された乗りカゴ8の上昇の指示に応じた乗りカゴ8の上昇動作を実行する。また、エレベータ制御部102は、点検運転装置16から通知された作業位置が、位置判定部103で判定された作業位置と一致する場合に、点検運転装置16から受信された乗りカゴ8の下降の指示に応じた乗りカゴ8の下降動作を実行する。これらの乗りカゴ8の昇降動作は、図2に示される制御内容として点検支援データベース104に記述されていてもよい。あるいは、点検運転装置16が存在する作業位置によらず昇降動作の制御内容が一様である場合には、必ずしも昇降動作を点検支援データベース104に記述しなくてもよい。
【0040】
次に、既述したエレベータ点検運転システム1の構成部のうち、複数の無線中継装置12〜15の具体的な構成について説明する。
【0041】
図1に示すように、複数の無線中継装置12〜15は、エレベータ2を点検運転する際の複数の作業位置すなわち作業員3による点検作業が予定されている複数の作業位置のそれぞれに設けられている。
【0042】
具体的には、複数の無線中継装置12〜15のうち、ピット無線中継装置12は、点検運転装置16を携帯する作業者3が昇降路6の下部のピット61で作業していることを判別するために、ピット61に設けられている。位置判定部103は、点検運転装置16とピット無線中継装置12との通信時間が、点検運転装置16と他の無線中継装置13〜15との通信時間よりも短い場合に、点検運転装置16がピット61上に存在すると判定する。
【0043】
また、複数の無線中継装置12〜15のうち、乗りカゴ内無線中継装置13は、点検運転装置16を携帯する作業者3が乗りカゴ8内で作業していることを判別するために、乗りカゴ8内に設けられている。位置判定部103は、点検運転装置16と乗りカゴ内無線中継装置13との通信時間が、点検運転装置16と他の無線中継装置12、14、15との通信時間よりも短い場合に、点検運転装置16が乗りカゴ8内に存在すると判定する。
【0044】
また、複数の無線中継装置12〜15のうち、カゴ上無線中継装置14は、点検運転装置16を携帯する作業者3が乗りカゴ8の上で作業していることを判別するために、乗りカゴ8の上端面8a上に設けられている。位置判定部103は、点検運転装置16とカゴ上無線中継装置14との通信時間が、点検運転装置16と他の無線中継装置12、13、15との通信時間よりも短い場合に、点検運転装置16が乗りカゴ8の上に存在すると判定する。
【0045】
また、複数の無線中継装置12〜15のうち、乗場無線中継装置15は、点検運転装置16を携帯する作業者3が各階の乗場5で作業していることを判別するために、各階の乗場5に設けられている。位置判定部103は、点検運転装置16と乗場無線中継装置15との通信時間が、点検運転装置16と他の無線中継装置12〜14との通信時間よりも短い場合に、点検運転装置16が乗場5に存在すると判定する。なお、乗場無線中継装置15は各階ごとに設けられているが、位置判定部103は、各階の乗場無線中継装置15のうち点検運転装置16との通信時間が最も短い乗場無線中継装置15が設けられている乗場5を、点検運転装置16が存在する作業位置と判定すればよい。
【0046】
次に、既述したエレベータ点検運転システム1の構成部のうち、カゴドア駆動装置11の具体的な構成について説明する。
【0047】
カゴドア駆動装置11は、点検支援データベース104に格納されたカゴドア81の戸開閉の制御内容にしたがって、戸開ボタン168または戸閉ボタン169の操作に応じた戸開閉を実行する。なお、図2に示されるカゴドア駆動装置11は、点検支援データベース104を保有する制御装置10からの戸開閉の指令にしたがってカゴドア81の戸開閉を実行する。カゴドア駆動装置11は、このような構成に限定されず、例えば、カゴドア駆動装置11自らが点検支援データベース104を保有し、無線中継装置12〜15を経由した点検運転装置16との無線通信に応じて、自らが保有する点検支援データベース104を参照してカゴドア81の戸開閉を制御してもよい。
【0048】
次に、上述したエレベータ点検運転システム1の動作例について説明する。図4は、第1の実施形態によるエレベータ点検運転システム1の動作例を示すフローチャートである。
【0049】
なお、図4の初期状態において、点検運転装置16の通信装置161は、複数の無線中継装置12〜15のうち、通信時間が最短または電波状況が最良(すなわち、電界強度が最高)の無線中継装置12〜15を経由して、制御装置10の通信部101との無線接続を確立しているものとする。また、初期状態において、位置判定部103は、複数の無線中継装置12〜15のそれぞれと点検運転装置16との通信時間に基づいて、通信時間が最短の無線中継装置12〜15が設けられている作業位置を、点検運転装置16が存在する作業位置と判定しているものとする。
【0050】
そして、初期状態から、先ず、制御装置10のエレベータ制御部102は、点検運転装置16から緊急停止ボタン167のオンによって乗りカゴ8の緊急停止が指示されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0051】
緊急停止が指示されていない場合(ステップS1:No)、エレベータ制御部102は、点検運転装置16から点検運転スイッチ164の操作によって点検運転への切り替えが指示されたか否かを判定する(ステップS2)。一方、緊急停止が指示された場合(ステップS1:Yes)、エレベータ制御部102は、エレベータ2を停止させたまま、緊急停止が指示されたか否かの判定を繰り返す(ステップS1)。
【0052】
点検運転への切り替えが指示された場合(ステップS2:Yes)、エレベータ制御部102は、作業位置スイッチ163の操作によって点検運転装置16から通知された作業位置が、位置判定部103で判定された作業位置と同一であるか否かを判定する(ステップS3)。一方、点検運転への切り替えが指示されていない場合(ステップS2:No)、エレベータ制御部102は、緊急停止が指示されたか否かの判定を繰り返す(ステップS1)。
【0053】
点検運転装置16から通知された作業位置が位置判定部103で判定された作業位置と同一である場合(ステップS3:Yes)、エレベータ制御部102は、点検支援データベース104を参照し、制御内容に応じた動作制御対象の制御を実行する(ステップS4)。
【0054】
例えば、エレベータ制御部102は、点検運転装置16が存在する作業位置が乗場5または乗りカゴ8内もしくは乗りカゴ8の上である場合に、戸開ボタン168のオンに応じてカゴドア81を開動作させ、戸閉ボタン169のオンに応じてカゴドア81を閉動作させる。これに対し、点検運転装置16が存在する作業位置がピット61上である場合、エレベータ制御部102は、戸開ボタン168および戸閉ボタン169のオンを無効とし、カゴドア81を戸開閉させない。このように、作業員3の正確な作業位置を把握したうえで、作業位置に応じてカゴドア81の戸開閉を制限することで、作業の安全性を向上させることができる。
【0055】
一方、点検運転装置16から通知された作業位置が位置判定部103で判定された作業位置と異なる場合(ステップS3:No)、エレベータ制御部102は、緊急停止が指示されたか否かの判定を繰り返す(ステップS1)。このように、作業員3の作業位置が不正確な場合には、動作制御対象の制御を禁止することができるので、作業の安全性を更に向上させることができる。
【0056】
点検支援データベース104を参照した動作制御対象の制御の後、エレベータ制御部102は、カゴドア81の昇降動作の制御に移行する。なお、カゴドア81の昇降動作の制御も、点検支援データベース104を参照して行ってもよい。カゴドア81の昇降動作の制御では、先ず、エレベータ制御部102が、点検運転装置16から運転ボタン1610のオンによって運転が指示されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0057】
運転が指示された場合(ステップS5:Yes)、エレベータ制御部102は、点検運転装置16から上昇ボタン165のオンによる乗りカゴ8の上昇動作が指示されたか否かを判定する(ステップS6)。一方、運転が指示されていない場合(ステップS5:No)、エレベータ制御部102は、緊急停止が指示されたか否かの判定を繰り返す(ステップS1)。
【0058】
乗りカゴ8の上昇動作が指示された場合(ステップS6:Yes)、エレベータ制御部102は、点検運転装置16から下降ボタン166のオンによる乗りカゴ8の下降動作が指示されたか否かを判定する(ステップS7)。一方、乗りカゴ8の上昇動作が指示されていない場合(ステップS6:No)も、エレベータ制御部102は、点検運転装置16から下降ボタン166のオンによる乗りカゴ8の下降動作が指示されたか否かを判定する(ステップS8)。
【0059】
乗りカゴ8の上昇動作が指示された状況下で乗りカゴ8の下降動作が指示された場合(ステップS7:Yes)、エレベータ制御部102は、巻上機7を制御することで乗りカゴ8を停止させる(ステップS9)。一方、乗りカゴ8の上昇動作が指示された状況下で乗りカゴ8の下降動作が指示されていない場合(ステップS7:No)、エレベータ制御部102は、巻上機7を制御することで乗りカゴ8を上昇させる(ステップS10)。
【0060】
また、乗りカゴ8の上昇動作が指示されていない状況下で乗りカゴ8の下降動作が指示された場合(ステップS8:Yes)、エレベータ制御部102は、巻上機7を制御することで乗りカゴ8を下降させる(ステップS11)。一方、乗りカゴ8の上昇動作が指示されていない状況下で乗りカゴ8の下降動作が指示されていない場合(ステップS8:No)、エレベータ制御部102は、乗りカゴ8を停止させる(ステップS12)。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態のエレベータ点検運転システム1によれば、作業位置スイッチ163の操作によって通知された作業位置が、位置判定部103で判定された作業位置と一致する場合に、動作制御対象の制御を実行することができる。すなわち、作業位置スイッチ163の操作によって通知された作業位置が位置判定部103で判定された作業位置と一致しない場合には、動作制御対象の動作を禁止することができる。これにより、作業員3の作業位置スイッチ163の操作ミスによる予期しない動作制御対象の誤動作と、故意に実際の作業位置と異なる作業位置を指定する作業位置スイッチ163の操作に応じた動作制御対象の不正動作とを防止することができる。この結果、作業員3の作業位置に応じた乗りカゴ8の制御を適切に行うことができ、作業の安全性を向上させることができる。
【0062】
また、第1の実施形態のエレベータ点検運転システム1によれば、作業員3は、点検運転装置16を携帯していれば常に緊急停止ボタン167をオンして乗りカゴ8を停止させることができ、また、無線通信を利用することで有線の場合のような煩わしい配線がなくなるため、作業の安全性を更に向上させることができる。また、無線中継装置12〜15との通信時間すなわち伝搬時間に基づいて点検運転装置16が存在する作業位置を簡便かつ正確に判定することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、電波状況に応じて無線通信に用いる無線中継装置12〜15を切り替える第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態によるエレベータ点検運転システム1を示すブロック図である。
【0064】
図5に示すように、第2の実施形態の点検運転装置16は、第1の実施形態の点検運転装置16の構成に加えて、更に、通信切替装置の一例である無線中継装置切替装置1612を備える。無線中継装置切替装置1612は、複数の無線中継装置12〜15のうち無線通信中の1つの無線中継装置の電波状況として、当該1つの無線中継装置の電界強度を測定する。次に、無線中継装置切替装置1612は、複数の無線中継装置12〜15のうち無線通信に用いていない他の無線中継装置の電界強度を測定する。そして、無線中継装置切替装置1612は、無線通信中の無線中継装置の電界強度よりも他の無線中継装置の電界強度が高い場合(すなわち、電波状況が良好である場合)に、他の無線中継装置を経由した無線通信に切り替える。
【0065】
第2の実施形態によれば、電波状況の変化に応じて最適な無線中継装置12〜15を選択することができるので、乗りカゴ8の制御を更に適切に行うことができる。
【0066】
なお、無線中継装置切替装置1612は、電波状況に加えて、または、電波状況に替えて、無線中継装置12〜15との通信時間を考慮して無線通信に用いる無線中継装置12〜15を切替えてもよい。この場合、無線中継装置切替装置1612は、複数の無線中継装置12〜15のうち無線通信中の1つの無線中継装置と点検運転装置16との通信時間よりも、複数の無線中継装置12〜15のうち無線通信に用いていない他の無線中継装置と点検運転装置16との通信時間が短い場合に、他の無線中継装置を経由した無線通信に切り替えればよい。
【0067】
本実施形態のエレベータ点検運転システム1は、上記の構成に限定されず、各種の変形例を適用することができる。
【0068】
例えば、制御装置10は、図示しない保守センターに対して、位置判定部103で判定された作業位置、点検運転装置16から通知された作業位置、制御装置10との無線通信に用いられている無線中継装置12〜15、および現在の動作制御対象の制御内容などの作業に関する情報を所定時間ごとに送信してもよい。
【0069】
作業に関する情報を保守センターに送信することで、保守センターは、作業内容を管理および監視でき、必要に応じて作業員3に作業の指示を与えることもできる。例えば、保守センターは、点検運転装置16に最も近い無線中継装置12〜15の電波状況が悪化して他の無線中継装置12〜15を経由した無線通信に切り替わった場合、必要に応じて点検運転装置16の警報装置1611等を通じて作業員3に作業の停止を促してもよい。これにより、作業の安全性および効率性を更に向上させることができる。
【0070】
また、点検支援データベース104を拡充することにより、より細かな警報やより安全性が向上された乗りカゴ8の動作制御を実現することも可能である。例えば、作業員3が乗りカゴ8の上で作業している場合に、乗りカゴ8の上を釣合い重り9がすれ違うタイミングで警報装置1611から警報を出力することを、点検支援データベース104の制御内容として格納してもよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 エレベータ点検運転システム、2 エレベータ、8 乗りカゴ、10 制御装置、103 位置判定部、12 ピット無線中継装置、13 乗りカゴ内無線中継装置、14 カゴ上無線中継装置、15 乗場無線中継装置、16 点検運転装置、163 作業位置スイッチ
【要約】
【課題】作業員の作業位置に応じたカゴの制御を適切に行うことができるエレベータ点検運転システムを提供すること。
【解決手段】エレベータ点検運転システムは、制御装置と、複数の無線中継装置と、点検運転装置とを備える。制御装置は、無線通信部を有し、カゴの動作を制御する。各無線中継装置は、複数の作業位置に設けられている。点検運転装置は、いずれかの無線中継装置を経由して無線通信部と無線通信することで、制御装置に点検運転を指示する。点検運転装置は、点検運転装置が存在する作業位置を通知する作業位置スイッチを有する。制御装置は、各無線中継装置と点検運転装置との通信時間に基づいて点検運転装置が存在する作業位置を判定する位置判定部を有する。制御装置は、位置判定部で判定された作業位置が、作業位置スイッチによって通知された作業位置と一致する場合に、カゴの動作の制御を実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5