特許第6367454号(P6367454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6367454
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】排ガス処理システム
(51)【国際特許分類】
   F23G 7/06 20060101AFI20180723BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F23G7/06 101D
   F23J15/00 JZAB
   F23G7/06 103
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-232124(P2017-232124)
(22)【出願日】2017年12月1日
【審査請求日】2017年12月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】武内 章
(72)【発明者】
【氏名】村元 俊博
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−013316(JP,A)
【文献】 特開2010−054177(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/034742(WO,A1)
【文献】 特開2011−072919(JP,A)
【文献】 特開2000−266332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 7/06
F23J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスに含まれる有機成分を処理する排ガス処理システムであって、
排ガスを燃焼処理する燃焼処理装置と、
前記燃焼処理装置で処理された処理済ガスに残存する有機成分をさらに除去する有機成分除去装置と、を備えており、
前記有機成分除去装置は、前記燃焼処理装置で処理された処理済ガスを濃縮処理する下流側濃縮装置であることを特徴とする、排ガス処理システム。
【請求項2】
前記下流側濃縮装置は、有機成分を吸着させる吸着体を、
処理済ガスが通過し、処理済ガスに含まれる有機成分を吸着させる吸着部、
高温の再生用ガスが供給され、吸着された有機成分を脱着して有機成分を含む濃縮ガスを生成する再生部、
冷気が供給され、高温の再生用ガスによって加熱された吸着体の部分が冷却される冷却部、
に順次移動させるようになっており、
前記濃縮ガスは、前記燃焼処理装置に供給される、請求項1記載の排ガス処理システム。
【請求項3】
前記冷気として、外気が使用され、
前記下流側濃縮装置の冷却部において加熱された吸着体の部分と熱交換した冷気が、前記下流側濃縮装置の再生部に供給される再生用ガスとして使用される、請求項1又は2に記載の排ガス処理システム。
【請求項4】
前記燃焼処理装置の排ガス上流側には、上流側濃縮装置が設けられ、
前記上流側濃縮装置で濃縮処理された排ガスは、前記下流側濃縮装置に供給される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【請求項5】
前記上流側濃縮装置は、有機成分を吸着させる吸着体を、
排ガスが通過し、排ガスに含まれる有機成分を吸着させる吸着部、
高温の再生用ガスが供給され、吸着された有機成分を脱着して有機成分を含む濃縮ガスを生成する再生部、
冷気が供給され、高温の再生用ガスによって加熱された吸着体の部分が冷却される冷却部、
に順次移動させるようになっており、
前記上流側濃縮装置の冷却部において加熱された吸着体の部分と熱交換した冷気が、前記上流側濃縮装置の再生部に供給される再生用ガスとして使用される、請求項4記載の排ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機成分を含有する排ガスを処理する排ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
塗装工場等から排出される有機成分(Volative Organic Compounds:以下「VOC」と称する)を含む排ガスは、蓄熱式燃焼脱臭装置(Regenerative Thermal Oxidizer:以下「RTO」と称する)等の燃焼処理装置によって加熱分解処理される。基本的には、VOCは有機ガスであるので自己燃焼するが、工場の操業状態によっては、排ガス中のVOC濃度が小さくなり、自己燃焼しにくくなることがある。このような場合、バーナで追い焚きをすることが考えられるが、追い焚きによるバーナの燃料を削減するため、特許文献1に示されるように、排ガス中のVOCを吸着体に吸着させ、VOCを濃縮させる濃縮装置が、RTOの排ガス上流側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−72896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、排ガス規制において、外気へ排出される排ガス中のVOC除去効率をさらに向上させることが求められている。
【0005】
そこで本発明では、VOC除去効率をさらに向上させることができる排ガス処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
排ガスに含まれる有機成分を処理する排ガス処理システムであって、
排ガスを燃焼処理する燃焼処理装置と、
前記燃焼処理装置で処理された処理済ガスに残存する有機成分をさらに除去する有機成分除去装置と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によれば、燃焼処理装置で処理した処理済ガスから、さらに有機成分を除去できるので、有機成分除去装置から排出されるガスに含まれる有機成分の除去効率を向上させることができる。
【0008】
本発明は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0009】
(1)前記有機成分除去装置は、前記燃焼処理装置で処理された処理済ガスを濃縮処理する下流側濃縮装置である。
(2)前記構成(1)において、前記下流側濃縮装置は、有機成分を吸着させる吸着体を、
処理済ガスが通過し、処理済ガスに含まれる有機成分を吸着させる吸着部、
高温の再生用ガスが供給され、吸着された有機成分を脱着して有機成分を含む濃縮ガスを生成する再生部、
冷気が供給され、高温の再生用ガスによって加熱された吸着体の部分が冷却される冷却部、
に順次移動させるようになっており、
前記濃縮ガスは、前記燃焼処理装置に供給される。
(3)前記構成(1)又は(2)において、前記冷気として、外気が使用され、
前記下流側濃縮装置の冷却部において加熱された吸着体の部分と熱交換した冷気が、前記下流側濃縮装置の再生部に供給される再生用ガスとして使用される。
(4)前記構成(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、前記燃焼処理装置の排ガス上流側には、上流側濃縮装置が設けられ、
前記上流側濃縮装置で濃縮処理された排ガスは、前記下流側濃縮装置に供給される。
(5)前記構成(4)において、前記上流側濃縮装置は、有機成分を吸着させる吸着体を、
排ガスが通過し、排ガスに含まれる有機成分を吸着させる吸着部、
高温の再生用ガスが供給され、吸着された有機成分を脱着して有機成分を含む濃縮ガスを生成する再生部、
冷気が供給され、高温の再生用ガスによって加熱された吸着体の部分が冷却される冷却部、
に順次移動させるようになっており、
前記上流側濃縮装置の冷却部において加熱された吸着体の部分と熱交換した冷気が、前記上流側濃縮装置の再生部に供給される再生用ガスとして使用される。
【0010】
前記構成(1)によれば、有機成分除去装置に下流側濃縮装置を用いることにより、除去した有機成分を再び燃焼処理装置で燃焼させることができ、省エネが可能となる。
【0011】
前記構成(2)によれば、下流側濃縮装置で生成された濃縮ガスは、燃焼処理装置でさらに燃焼処理されるので、外部に排出されるガスに含まれる有機成分の除去効率をさらに向上させることができる。
【0012】
前記構成(3)によれば、吸着体の冷却には外気を用いるので、吸着体を冷却しても吸着体に有機成分が吸着されることはなく、吸着体の吸着効率を十分に回復させることができる。また、再生用ガスのための加熱手段の性能を抑制できるので、システムの熱効率を向上させることができる。
【0013】
前記構成(4)によれば、従来、燃焼処理装置の排ガス上流側に配置されている上流側濃縮装置からの排ガスは大気放出されているので、上記構成を採用することによって、有機成分の除去効率をさらに向上させた排ガス処理システムを提供できる。
【0014】
前記構成(5)によれば、再生用ガスのための加熱手段の性能を抑制できるので、システムの熱効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、VOC除去効率をさらに向上させることができる排ガス処理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る排ガス処理システムの概略図である。
図2】下流側濃縮装置の概略斜視図である。
図3】吸着体の概略斜視図である。
図4】ケーシングの概略断面図である。
図5】別の実施形態に係る排ガス処理システムの概略図である。
図6】別の実施形態に係る排ガス処理システムの概略図である。
図7】別の実施形態に係る、濃縮装置を直列に配置した排ガス処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る排ガス処理システムの概略図である。図1に示されるように、排ガス処理システム90は、排ガスを燃焼処理する燃焼処理装置2と、燃焼処理装置2で処理された処理済ガスの有機成分を吸着、分解等の作用によって除去する有機成分除去装置30と、を備えている。また、有機成分除去装置30としては、有機成分を活性炭等で吸着させたり、触媒や燃焼反応等で分解させたりするものがあるが、ここでは、(下流側)濃縮装置3として、有機成分を吸着させた後、濃縮して排出するものを示す。
【0018】
燃焼処理装置2は、RTOであり、バーナ等の燃焼手段21を備えた燃焼室22と、燃焼室22に一端が連通する少なくとも2つ(図1では3つ)の蓄熱室23と、蓄熱室23の他端に連通すると共に、排ガスをいずれかの蓄熱室23に供給し、他の蓄熱室23から処理済ガスを排出することを交互に行わせる電動弁等の切替装置24と、を備えている。
【0019】
塗装工場等から排出された排ガスは、供給ファン25から、切替装置24を介して、蓄熱室23の1つに供給される。そして、排ガスは、蓄熱室23の蓄熱体26と熱交換して加熱され、燃焼室22に至る。燃焼室22に送られた排ガスは、燃焼手段21によって燃焼処理される。具体的には、排ガス中のVOCは、燃焼反応により無害化処理される。そして、燃焼処理された処理済ガスは他の蓄熱室23を通り、その間に蓄熱室23の蓄熱体26と熱交換して冷却され、切替装置24を介して、下流側濃縮装置3に送られる。
【0020】
図2は、下流側濃縮装置3の概略斜視図である。図2に示されるように、下流側濃縮装置3は、吸着体31とケーシング10とを備えている。図3は、吸着体31の概略斜視図であり、図4は、ケーシング10の概略断面図である。図2図4に示されるように、吸着体31は、駆動手段により、軸Sを中心に一定速度又は間欠的に回転するようになっており、金属製のロータ本体32と、ハニカム体33とを有している。ロータ本体32は、軸Sに固定される内筒321と、内筒321の外方にリブ322を介して同心円に配置された外筒323と、を有し、内筒321と外筒323との間に形成される空間に、疎水性ゼオライトからなる吸着材がハニカム状に加工され、軸方向に多数の通路Pを有するハニカム体33が内蔵されている。
【0021】
ケーシング10は、基台等に固定されると共に、軸Sが貫通するカップ状の第1ケーシング10Aと、第2ケーシング10Bと、を有し、第1ケーシング10A及び第2ケーシング10Bで吸着体31の両端面を被覆している。
【0022】
第1ケーシング10Aの内部は、3枚の仕切板11により3つの領域が形成され、大容積の第1区画室は処理済ガス供給部12A、第2区画室は濃縮ガス排気部12B、第3区画室は冷却用ガス供給部12Cを構成する。
【0023】
一方、第2ケーシング10Bにも、第1ケーシング10Aの各区画に対応する第1ないし第3区画室が形成され、第1区画室は浄化ガス排気部13A、第2区画室は再生用ガス供給部13B、第3区画室は冷却用ガス排気部13Cを構成する。
【0024】
そして、吸着体31の端面は、処理済ガス供給部12Aと対面するハニカム体33の部分が吸着部、再生用ガス供給部13Bと対面するハニカム体33の部分が再生部、冷却用ガス供給部12Cと対面するハニカム体33の部分が冷却部となり、吸着体31の回転によって、ハニカム体33は、吸着部、再生部、冷却部を順次移動する。
【0025】
なお、疎水性ゼオライトは、低温(50℃以下)で吸着能力を発揮し、温度が上昇(100〜200℃)すると、吸着能力が低下して吸着物質を脱着させる性質を有する。
【0026】
したがって、燃焼処理装置2で燃焼処理された処理済ガスは、処理済ガス供給部12Aから吸着体31のハニカム体33を通過することによって、処理済ガス中の有機成分が吸着除去され、有機成分が除去された浄化ガスは、浄化ガス排気部13Aから、排気筒4を介して、外気に放出される。
【0027】
そして、吸着体31の回転に伴い、ハニカム体33の有機成分を吸着した部分が浄化ガス排気部13Aに隣接する再生用ガス供給部13Bに移動する。再生用ガス供給部13Bでは、ヒータ5によって加熱された処理済ガスの風量より小風量の高温再生用ガス(180〜200℃)によって、ハニカム体33に吸着された有機成分が脱着して濃縮ガスが生成される。
【0028】
そして、吸着体31の回転に伴い、再生用ガスの供給によって高温となったハニカム体33は、濃縮ガス排気部12Bに隣接する冷却用ガス供給部12Cから供給される冷却用ガスで冷却され、吸着能力を回復する。
【0029】
前記構成の排ガス処理システム90によれば、次のような効果を発揮できる。
【0030】
燃焼処理装置2で処理した処理済ガスをさらに下流側濃縮装置3で有機成分を除去できるので、下流側濃縮装置3から排出されるガスに含まれる有機成分の除去効率をさらに向上させることができる。
【0031】
(別の実施形態1)
上記実施形態に加え、下流側濃縮装置3の冷却用ガスとして外気が使用され、下流側濃縮装置3で生成された濃縮ガスは、燃焼処理装置2で処理されてもよい。
【0032】
図5は、本発明に係る別の実施形態1であって、下流側濃縮装置3の冷却用ガスとして外気が使用され、外気は合流部Xを通じて供給ファン25の吸引力によってフィルタ14から流入し、下流側濃縮装置3で生成された濃縮ガスは、燃焼処理装置2で処理される排ガス処理システムの概略図である。別の実施形態は、下流側濃縮装置3の冷却用ガスとして外気が使用され、下流側濃縮装置3で生成された濃縮ガスは、燃焼処理装置2で処理される点で上記実施形態と異なっており、その他の構成は上記実施形態と同じである。このため、別の実施形態の説明においては、上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
【0033】
図5に示されるように、再生用ガスの供給によって高温となったハニカム体33は、冷却用ガス供給部12Cから供給される外気で冷却され、吸着力を回復する。
【0034】
ハニカム体33を冷却した外気は、冷却用ガス排気部13Cからヒータ5に送られ加熱されて、高温再生用ガスとして、再生用ガス供給部13Bに供給される。再生用ガスは、ハニカム体33に吸着された有機成分を脱着し、有機成分を含む濃縮ガスとして、濃縮ガス排気部12Bから排出される。排出された濃縮ガスは、供給ファン25の上流側に戻され、供給ファン25によって再度燃焼処理装置2に送られて、燃焼処理される。
【0035】
前記構成の排ガス処理システム90によれば、次のような効果を発揮できる。
【0036】
下流側濃縮装置3で生成された濃縮ガスは、燃焼処理装置2でさらに燃焼処理されるので、外部に排出されるガスに含まれる有機成分の残存率を低下させ、その除去効率をさらに向上させることができる。
【0037】
吸着体31の冷却には外気を用いるので、吸着体31を冷却しても吸着体31に有機成分が吸着されることはなく、吸着体31の吸着効率を十分に回復させることができる。
【0038】
下流側濃縮装置3の冷却部において加熱された部分と熱交換した外気が、下流側濃縮装置3の再生部に供給される再生用ガスとして使用されるので、再生用ガスのための加熱手段の性能を抑制でき、すなわち、ヒータ5の性能を抑制でき、システムの熱効率を向上させることができる。
【0039】
(別の実施形態2)
塗装工場等から排出された排ガス中に含まれる有機成分の濃度が小さい場合、上記別の実施形態1に加え、燃焼処理装置2の上流側にさらに上流側濃縮装置6が設けられてもよい。
【0040】
図6は、本発明に係る別の実施形態2であって、燃焼処理装置2の上流側に上流側濃縮装置6が配置される排ガス処理システムの概略図である。別の実施形態2は、燃焼処理装置2の上流側に上流側濃縮装置6が配置される点で上記別の実施形態1と異なっており、その他の構成は上記別の実施形態1と同じである。このため、別の実施形態2の説明においては、上記別の実施形態1と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
【0041】
図6に示されるように、燃焼処理装置2の上流側には上流側濃縮装置6が配置されている。塗装工場等から排出された有機成分を含んだ排ガスは、供給ファン25から、上流側濃縮装置6に供給される。上流側濃縮装置6の構成は、下流側濃縮装置3の構成と同様である。ここで、上流側濃縮装置6は、燃焼処理装置2からの処理済ガスではなく、工場等からの排ガスが供給されるので、下流側濃縮装置3における処理済ガス供給部12Aは、上流側濃縮装置6では、排ガス供給部12Dと言い換えることとする。
【0042】
供給ファン25から供給された排ガスは、排ガス供給部12Dから吸着体31のハニカム体33を通過することによって、排ガス中の有機成分が吸着除去される。ここで、上流側濃縮装置6において有機成分が除去された浄化ガスは、下流側濃縮装置3からの浄化ガスと異なり、外気に放出されず、浄化ガス排気部13Aから下流側濃縮装置3に送られる。
【0043】
また、再生用ガスの供給によって高温となったハニカム体33は、冷却用ガス供給部12Cから供給される外気で冷却され、吸着力を回復する。
【0044】
ハニカム体33を冷却した外気は、冷却用ガス排気部13Cからヒータ7に送られ加熱されて、高温再生用ガスとして、再生用ガス供給部13Bに供給される。再生用ガスは、ハニカム体33に吸着された有機成分を脱着し、有機成分を含む濃縮ガスとして、濃縮ガス排気部12Bから排出される。排出された濃縮ガスは、燃焼処理装置2に送られて、燃焼処理される。
【0045】
前記構成の排ガス処理システム90によれば、次のような効果を発揮できる。
【0046】
従来、燃焼処理装置の排ガス上流側に配置されている上流側濃縮装置からの浄化ガスは大気放出されているので、この浄化ガスを下流側濃縮装置3で再度濃縮処理することによって、有機成分の除去効率をさらに向上させた排ガス処理システムを提供できる。
【0047】
上流側濃縮装置6においても、吸着体31の冷却には外気を用いるので、吸着体31を冷却しても吸着体31に有機成分が吸着されることはなく、吸着体31の吸着効率を十分に回復させることができる。
【0048】
上流側濃縮装置6の冷却部において加熱された部分と熱交換した外気が、上流側濃縮装置6の再生部に供給される再生用ガスとして使用されるので、再生用ガスのための加熱手段の性能を抑制でき、すなわち、ヒータ7の性能を抑制でき、システムの熱効率を向上させることができる。
【0049】
上記実施形態及び別の実施形態1、2では、燃焼処理装置は蓄熱式燃焼脱臭装置であるが、本発明の燃焼処理装置は蓄熱式脱臭装置に限定されず、有機成分を含む排ガスを燃焼処理する装置であればよい。
【0050】
上記実施形態及び別の実施形態1、2では、下流側濃縮装置及び上流側濃縮装置は、それぞれ1つずつ配置されているが、それぞれ複数配置されてもよく、また、配置については、並列に配置されてもよく、図7に示されるように、直列に配置されてもよい。
【0051】
また、下流側濃縮装置及び上流側濃縮装置について、同じ構造の濃縮装置を使用してもよく、異なる構造の濃縮装置を使用してもよい。例えば、上流側濃縮装置の吸着体を活性炭で構成し、下流側濃縮装置の吸着体をゼオライトで構成してもよい。また、吸着体31の構造はハニカム体33としたが、それ以外の構造であってもよい。
【0052】
濃縮装置が並列に配置される場合、再生用ガスのための加熱手段は、濃縮装置間で共有されることが好ましい。
【0053】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明では、VOC除去効率をさらに向上させることができる排ガス処理システムを提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0055】
2 燃焼処理装置
21 燃焼手段 22 燃焼室 23 蓄熱室 24 切替装置
25 供給ファン 26 蓄熱体
3 下流側濃縮装置
30 有機成分除去装置
31 吸着体
32 ロータ本体
321 内筒 322 リブ 323 外筒
33 ハニカム体
4 排気筒
5 ヒータ
6 上流側濃縮装置
7 ヒータ
10 ケーシング
10A 第1ケーシング 10B 第2ケーシング
11 仕切板
12A 処理済ガス供給部 12B 濃縮ガス排気部 12C 冷却用ガス供給部
13A 浄化ガス排気部 13B 再生用ガス供給部 13C 冷却用ガス排気部
12D 排ガス供給部
14 フィルタ
90 排ガス処理システム
S 軸
X 合流部
【要約】
【課題】VOC除去効率をさらに向上させることができる排ガス処理システムを提供する。
【解決手段】排ガスに含まれる有機成分を処理する排ガス処理システム90であって、排ガスを燃焼処理する燃焼処理装置2と、燃焼処理装置2で処理された処理済ガスに残存する有機成分をさらに除去する有機成分除去装置30と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7