(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について、以下に具体的に説明する。なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0013】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性ポリイミド前駆体である(A)成分と、
下記一般式(B1):
【化18】
(式(B1)中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR
1〜R
4は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。)
で表される構造を含む(B)成分とを含有することを特徴とする。
【0014】
[(A)感光性ポリイミド前駆体]
本発明に用いられる(A)成分の感光性ポリイミド前駆体について説明する。
本発明における感光性ポリイミド前駆体として好ましく用いられるのは、i線吸光度が0.8〜2.0のものである。i線吸光度は、感光性ポリイミド前駆体を単独の溶液として塗布し、プリベークした後に得られる、10μm厚フィルムについて測定される。
感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンにおける、開口部の側面を順テーパー型にするために、本発明の感光性樹脂組成物は、上記の要件を満たす(A)感光性ポリイミド前駆体を含有することが好ましい。
<i線吸光度の求め方>
(A)感光性ポリイミド前駆体を単独でプリベークした後、10μm厚フィルムのi線吸光度は、石英ガラス上に形成した塗膜について、通常の分光光度計により測定することができる。形成されたフィルムの厚みが10μmでない場合には、該フィルムについて得られた吸光度を、ランベルト・ベールの法則に従って10μm厚に換算することにより、10μm厚のi線吸光度を求めることができる。
i線吸光度が0.8未満の場合には、これを満たす(A)感光性ポリイミド前駆体の構造が限定されるため、機械物性、熱物性等が劣ることとなる。i線吸光度が2.0を超える場合には、塗膜のi線吸収が大きすぎて底部まで光が到達しない。そのため、例えばネガ型の場合、塗膜の底部が硬化しないという問題が出る場合がある。
【0015】
本発明の(A)感光性ポリイミド前駆体は、例えばポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、及びポリアミド酸アミドから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、これら樹脂を、全樹脂に対して、60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、(A)感光性ポリイミド前駆体は、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
【0016】
(A)感光性ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、重量平均分子量(Mw)の上限は50,000以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光性の観点から、最も好ましい(A)感光性ポリイミド前駆体の1つは、下記一般式(A1):
【化19】
{一般式(A1)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(R1):
【化20】
(一般式(R1)中、R
7、R
8、及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子又はC
1〜C
3の有機基であり、そしてpは2〜10から選ばれる整数である。)で表される1価の有機基、又はC
1〜C
4の飽和脂肪族基である。但し、R
5及びR
6の両者が同時に水素原子であることはない。}で表される構造を含む、エステル型の感光性ポリイミド前駆体である。
【0018】
上記一般式(A1)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基である。さらに好ましくは、−COOR基及び−COOR
2基と−CONH−基とが、互いにオルト位置にある、芳香族基又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基である。さらに好ましくは、下記式(30):
【化21】
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、C
1〜C
10の炭化水素基、C
1〜C
10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数であり、mは0〜3から選ばれる整数であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
【0019】
上記一般式(A1)中、Xで表される4価の有機基の中で更に好ましい例として、下記(C1)〜(C3):
【化22】
【化23】
【化24】
から選ばれる少なくとも一種以上の有機基が挙げられる。これらの有機基は、ボイドを抑制する観点から特に好ましいが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0020】
上記一般式(A1)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(31):
【化25】
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、C
1〜C
10の炭化水素基、C
1〜C
10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式(31)で表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
【0021】
上記の一般式(A1)中のR
5及びR
6に関して、上記一般式(R1)中のR
7は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。R
8及びR
9は、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、pは、感光特性の観点から2以上、10以下の整数であり、好ましくは2以上、4以下の整数である。
【0022】
上記一般式(A1)中、Y
1で表される2価の有機基の中で更に好ましい例として、下記(D1)〜(D3):
【化26】
(一般式(D1)中、R
10〜R
13は、水素原子又はC1〜C4の1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
【化27】
【化28】
(一般式(D3)中、R
14〜R
21は、水素原子、ハロゲン原子、又はC
1〜C
4の1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
から選ばれる少なくとも1種以上の2価の有機基が挙げられる。これらの有機基は、ボイドを抑制する観点から特に好ましいが、これらに限定されるものではない。その中でも特に、一般式(A1)中のYが、前記(D3)を含有することが好ましい。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(A1)中のXが、下記(C3):
【化29】
を含有し、かつ、Yが下記(D2):
【化30】
を含有することが、ボイドをより確実に抑制することができ、特に好ましい。
【0024】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(A1)中のXが、下記(C2):
【化31】
を含有し、かつ、Yが下記(D2):
【化32】
を含有することが、ボイドをより確実に抑制することができ、特に好ましい。
【0025】
(A)樹脂としてポリイミド前駆体を用いる場合に、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖に、エステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法である。後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とを、イオン結合を介して結合させることにより、光重合性基を付与する方法である。
【0026】
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、つぎのようにして得られる。すなわち、まず、前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類、及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させることにより、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、このアシッド/エステル体と、前述の2価の有機基Yを含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
【0027】
(アシッド/エステル体の調製)
本発明において、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(30)に示される構造を有する酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。より好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性基を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
【0029】
上記光重合性基を有するアルコール類とともに、任意的に使用できる飽和脂肪族アルコール類としては、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールが好ましい。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
【0030】
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、好ましくはピリジン等の塩基性触媒の存在下、好ましくは適当な反応溶媒中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌することにより、混合する。これにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
【0031】
上記反応溶媒としては、原料であるテトラカルボン酸二無水物及びアルコール類、並びに生成物であるアシッド/エステル体を完全に溶解するものが好ましい。より好ましくは、更に、該アシッド/エステル体とジアミンとのアミド重縮合生成物である感光性ポリイミド前駆体をも、完全に溶解する溶媒である。このような溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等を挙げることができる。
【0032】
これらの具体例としては、
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等を;
ラクトン類として、例えば、γ−ブチロラクトン等を;
エーテル類として、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
ハロゲン化炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等を;
炭化水素類として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、それぞれ挙げることができる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0033】
(感光性ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には、上記反応溶媒中に溶解された溶液状態にある。)に、好ましくは氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合することにより、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とする。次いでこれに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを有するジアミン類を、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入する。そして、両者をアミド重縮合させることにより、目的の感光性ポリイミド前駆体を得ることができる。上記2価の有機基Yを有するジアミン類とともに、ジアミノシロキサン類を併用してもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。
以上のようにして、中間体であるポリ酸無水化物が得られる。
【0034】
本発明において、上記のようにして得られるポリ酸無水化物との反応に好適に用いられる、2価の有機基Yを有するジアミン類としては、上記一般式(31)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等;
及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン原子等で置換されたもの;
並びにこれらの混合物等が挙げられる。
【0035】
前記置換体の具体例としては、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4‘−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等;
及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中で好ましく用いられるものとして、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4‘−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等を挙げることができる。より好ましくはp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を、並びにこれらの混合物等を挙げることができる。ジアミン類は、上記の例示に限定されるものではない。
【0036】
ジアミノシロキサン類は、本発明の感光性樹脂組成物から形成される塗膜と各種基板との間の密着性の向上を目的として、(A)感光性ポリイミド前駆体の調製に際して、上記2価の有機基Yを含むジアミン類と併用される。このようなジアミノシロキサン類の具体例としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等を挙げることができる。
【0037】
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別する。その後、重合体成分を含有する溶液に、適当な貧溶媒、例えば水、脂肪族低級アルコール、その混合液等)を投入することにより、重合体成分を析出させる。更に必要に応じて、再溶解及び再沈析出操作等の操作を繰り返すことにより重合体を精製する。その後、真空乾燥を行うことにより、目的の感光性ポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通すことにより、イオン性不純物を除去してもよい。
【0038】
エステル結合型のポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、重量平均分子量(Mw)の上限は50,000以下であることがより好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。分子量は、標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求められる。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
【0039】
このような方法により合成された(A)感光性ポリイミド前駆体について、単独で形成したプリベーク後フィルムのi線吸光度は、分子構造に応じて様々な値をとる。しかしながら、混合物のi線吸光度は、各成分のi線吸光度の相加平均となる。そのため、2種類以上の(A)感光性ポリイミド前駆体を適当な割合で組み合わせることにより、機械物性、熱物性等とのバランスをとりながら、(A)感光性ポリイミド前駆体のプリベーク後10μm厚フィルムのi線吸光度を0.8〜2.0にすることができる。
【0040】
[(B)成分]
次に、本発明に用いられる(B)成分について説明する。
本発明における(B)成分は、0.001wt%溶液のi線吸光度が0.02以上、0.5以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下であり、かつ、g線及びh線吸光度がいずれも0.02以下であるオキシムエステルである。これらオキシムエステルは、感光性を有しているため、フォトリソグラフィーによる感光性樹脂のパターニングのために必須である。
高温保存試験後のCuのボイド抑制の観点から、i線吸光度は0.5以下であることが好ましい。g線及びh線吸光度はいずれも0.02以下であることが好ましい。フォトリソグラフィーにおける感度の観点から、i線吸光度は0.02以上であることが好ましい。
本発明で用いることができる(B)成分は、下記一般式(B1):
【化33】
(式(B1)中、Zはイオウ又は酸素原子であり、R
1〜R
4は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。)で表される構造を含む。
【0041】
ここでR
1〜R
4として好ましく用いられるのは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の直鎖、分枝又は環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基である。具体的には水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、ヒドロキシエチルオキシ基、ヒドロキシプロピルオキシ基等を挙げることができる。
【0042】
これら(B)成分として好ましく用いられるのは、下記式(B2)〜(B5):
【化34】
【化35】
から選ばれる少なくとも1種を含む。好ましく用いられる(B)成分の商品名としては、例えば、BASF社製Irgacure OXE−01、常州強力新電子材料有限公司製TR−PBG−305、同じくTR−PBG−3057、ADEKA社製NCI−930等を挙げることができる。
【0043】
これら(B)成分は、(A)成分100質量部に対し、0.1質量部以上、10質量部以下、で用いられ、好ましくは0.5質量部以上、5質量部以下の添加量で用いられる。(B)成分の添加量が、(A)成分100質量部に対し、0.1質量部未満の場合、高温保存試験後、Cu層とポリイミド層との界面でのボイド発生抑制効果が十分でない。また、(B)成分の添加量が、(A)成分100質量部に対し、10質量部を超えると、組成物のろ過性や塗布性が低下する。
本発明で好ましく用いられるオキシムエステルは、0.001wt%溶液のg線、h線、i線吸光度を見たとき、いずれもi線透過率が0.02以上、0.15以下であり、g線及びh線には殆ど吸収がないという特徴がある。通常、光重合開始剤として用いられるオキシムエステルは、i線吸光度が本発明のものより高く、g線及びh線に吸収を有しているものもある。一方、一部のオキシムエステルでは、g線、h線、i線いずれも殆ど吸収がなく、増感剤と組み合わせて用いることが必須のものもある。
本発明のオキシムエステルは、このような特徴的なg線、h線、i線吸収スペクトルから、露光時に光重合開始ラジカルのみならず、特定のアミンを特定量発生する。そのアミンがCuと特異的な相互作用をすることで、高温保存試験時のCuのマイグレーションを抑制していると思われる。
【0044】
[(C)その他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)成分及び(B)成分以外の成分を更に含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、典型的には、上記各成分、及び必要に応じて更に使用される任意成分を、溶剤に溶解してワニス状にした、液状の感光性樹脂組成物として使用される。そのため、(C)その他の成分としては、溶剤を挙げることができる。その他、(C)その他の成分としては、例えば上記(A)成分の感光性ポリイミド前駆体以外の樹脂、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物等を挙げることができる。
【0045】
前記溶剤としては、例えば極性の有機溶剤、アルコール類等を挙げることができる。
溶剤としては、(A)感光性ポリイミド前駆体に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
【0046】
本発明における溶剤としては、感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点から、アルコール類を含む溶剤が好ましい。好適に使用できるアルコール類は、典型的には、分子内にアルコール性水酸基を持ち、オレフィン系二重結合を有さないアルコールである。
具体的な例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類;
乳酸エチル等の乳酸エステル類;
プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類;
2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類;
等を挙げることができる。
これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、及びエチルアルコールが好ましい。特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
【0047】
上記溶剤は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、例えば30〜1500質量部の範囲、好ましくは100〜1000質量部の範囲で用いることができる。溶剤が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、全溶剤中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量が5質量%以上の場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が良好になる。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量が50質量%以下の場合、(A)感光性ポリイミド前駆体の溶解性が良好になる。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した(A)感光性ポリイミド前駆体以外の樹脂成分を更に含有してもよい。含有できる樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部の範囲である。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N−メチルアセトアニリド、3‘,4’−ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
【0050】
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましい。
【0051】
本発明の感光性樹脂組成物には、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。
以下に限定されるものではないが、特に、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
グリセロールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート;
1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート;
並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
【0052】
本発明の感光性樹脂組成物が、レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを含有する場合、その配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物から形成される膜と基板との接着性向上のために、該感光性樹脂組成物には、接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、例えば、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
【0054】
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、その配合量は、(A)成分の感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
【0055】
本発明の感光性樹脂組成物が特に溶剤を含む溶液状態にある場合、その保存時の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、該感光性樹脂組成物に熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
【0056】
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
【0057】
例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。アゾール化合物としては、例えば1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種以上である。これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
【0058】
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
【0059】
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましい。光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制される。一方、アゾール化合物の配合量が20質量部以下である場合には光感度に優れる。
【0060】
銅表面の変色を抑制するために、前記のアゾール化合物に代えて、或いは前記のアゾール化合物とともに、ヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
【0061】
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止される。一方、ヒンダードフェノール化合物の配合量が20質量部以下である場合、該感光性樹脂組成物の優れた光感度が維持される。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物には、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
【0063】
架橋剤としては、例えば、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物である、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174;UFR65、300;マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290;ニカラックMS―11;ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。
【0064】
また、オキシラン化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB−340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(以上商品名、新日鐵化学(株)製)、NC−3000−H、EPPN−501H、EOCN−1020、NC−7000L、EPPN−201L 、XD−1000、EOCN−4600(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S 、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150 、プラクセルG402、PUE101、PUE105(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(以上商品名、DIC社製)、デナコール(登録商標)EX−201、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(以上商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、エポライト100MF(以上商品名、共栄社化学製)等が挙げられる。
【0065】
また、イソシアネート基含有化合物である、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(以上商品名、三井化学社製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(以上商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0066】
また、ビスマレイミド化合物である、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(以上商品名、大和化成工業(株)製)等が挙げられるが、上述した様に熱架橋する化合物であれば、これらに限定されない。
【0067】
架橋剤を使用する場合、その配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現する。一方、配合量が20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
【0068】
<硬化レリーフパターンの形成方法>
本発明はまた、硬化レリーフパターンの形成方法も提供する。
本発明における硬化レリーフパターンの形成方法は、例えば以下の工程:
(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することにより、該基板上に感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)感光性樹脂層を露光する露光工程と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像することによりレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と、
を上記に記載の順に含むことを特徴とする。
以下、各工程の典型的な態様について説明する。
【0069】
(1)塗布工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じて、その後乾燥させることにより感光性樹脂層を形成する。
基板としては、例えばシリコン、アルミニウム、銅、銅合金等から成る金属基板;
エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等の樹脂基板;
前記樹脂基板に金属回路が形成された基板;
複数の金属、又は金属と樹脂とが多層に積層された基板;
等を使用することができる。
本発明では、基板の少なくとも表面がCuからなる基板を用いることにより、Cu層とポリイミド層との界面でのボイドの発生を抑えるという、本発明の効果を得ることができ、特に好ましい。しかし、それ以外の基板であっても本発明は適用可能である。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法を用いることができる。例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
【0070】
必要に応じて、感光性樹脂組成物膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中の(A)感光性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
【0071】
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を露光する。露光装置としては、例えばコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置が用いられる。露光は、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して、又は直接に行うことができる。露光に使用する光線は、例えば、紫外線光源等である。
【0072】
露光後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃、時間は10秒〜240秒が好ましい。しかし、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
【0073】
(3)現像工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法を選択して使用することができる。例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等である。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる、現像後ベークを施してもよい。現像後ベークの温度は、例えば80〜130℃とすることができる。現像後ベーク時間は例えば0.5〜10分とすることができる。
【0074】
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性に応じて、良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
【0075】
(4)加熱工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)感光性ポリイミド前駆体をイミド化させることにより、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンに変換する。
加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等、種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
以上のようにして、硬化レリーフパターンを製造することができる。
【0076】
<半導体装置>
本実施例の半導体装置は、銅配線と銅配線上に設けられた絶縁層を有する半導体装置であって、
湿度5%の空気中で、150℃の条件下で168時間保存した後の、銅配線の絶縁層と接する面における、前記銅配線の空隙(ボイド)部分の面積が10%以下である。空隙部分の面積が小さいほど、高温保存試験後のショートや断線が生じにくく、好ましい。
空隙部分の面積は、9%以下が好ましく、8%以下が更に好ましく、7%以下が更に好ましく、6%以下が更に好ましく、5%以下が更に好ましく、4%以下が更に好ましく、3%以下が更に好ましく、2%以下が更に好ましく、1%以下が更に好ましい。
空隙部分の面積の測定方法としては、下記実施例に記載の測定方法が挙げられる。銅配線層の銅成分が絶縁層に移動してできた空隙は、真空又は空気等の気体で満たされていると推測される。
【0077】
上記の半導体装置は、例えば、半導体素子である基材と、該基材上に、上述した硬化レリーフパターン形成方法により形成された硬化レリーフパターンと、を有する半導体装置であることができる。
すなわち、本発明の半導体装置は、基材と、該基材上に形成された硬化レリーフパターンとを有する。前記硬化レリーフパターンは、ポリイミド樹脂と、上述した一般式(B1)で表される化合物とを含有することを特徴とする。上記半導体装置は、例えば、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの形成方法を工程の一部として含む方法によって製造することができる。すなわち、上記硬化レリーフパターン形成方法で形成される硬化レリーフパターンを、例えば表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成する。そして、公知の半導体装置の製造方法と組合せることにより、本発明の半導体装置を製造することができる。
本発明の半導体装置は、例えばCu層からなる金属再配線層と、ポリイミド樹脂からなるレリーフパターンに適用した場合、界面でのボイドの発生が抑えられて密着性が高いものとなり、優れた特性を有するものとなる。
【0078】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途にも有用である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例における感光性樹脂組成物の物性は、以下の方法に従って測定及び評価した。
【0080】
(1)重量平均分子量
後述の方法により合成した各ポリアミド酸エステルの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算により測定した。GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン 40℃
流速:1.0ml/分
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI−930
【0081】
(2)Cu上の硬化レリーフパターンの作成
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性ポリアミド酸エステル組成物を、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm
2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いて、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像した。そして、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
【0082】
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理した。このようにして、Cu上に約6〜7μm厚のポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
【0083】
(3)Cu上の硬化レリーフパターンの高温保存試験とその後の評価
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、湿度5%の空気中で、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上のポリイミド樹脂層をプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O
2:40ml/分 + CF
4:1ml/分
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
【0084】
ポリイミド樹脂層を全て除去したCu表面を、FE−SEM(S−4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって真上から1000倍で観察した。そして、126μm×87μmの面積について、1280×960の画素数で写真撮影を行なった。ここで撮影した写真について、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cu層の表面に占めるボイドの面積比率を算出した。すなわち、SEM像のコントラストを元に、ボイドである部分とそうでない部分とに分離した。ボイドの部分の画素数を、写真全体の画素数で割ることで、Cu面の上方から見たボイドの面積比率を算出した。
【0085】
<製造例1>((A)感光性ポリイミド前駆体(ポリマーA−1)の合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)134.0g及びγ―ブチロラクトン400mlを加えた。室温下で攪拌しながら、ピリジン79.1gを加えることにより、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後、室温まで放冷し、更に16時間静置した。
【0086】
次に、氷冷下において、反応混合物に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を、攪拌しながら40分かけて加えた。続いて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁した懸濁液を、攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌した。その後、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物を、ろ過により取り除き、反応液を得た。
【0087】
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾取した後に真空乾燥することにより、粉末状のポリマーA−1を得た。
このポリマーA−1の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、20,000であった。
【0088】
<製造例2>((A)感光性ポリイミド前駆体(ポリマーA−2)の合成)
製造例1において、4,4’−オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、製造例1に記載の方法と同様にして反応を行うことにより、ポリマーA−2を得た。
このポリマーA−2の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、22,000であった。
【0089】
<製造例3>((A)感光性ポリイミド前駆体(ポリマーA−3)の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2‘−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル94.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA−3を得た。
ポリマーA−3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
【0090】
<実施例1>
(A)成分として、ポリマーA−3を100g、(B)成分として、B−2を2g、(C)成分として、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、N−フェニルジエタノールアミン4g、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g、及びベンゾフェノン−3,3‘−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルからなる混合溶媒(重量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、感光性樹脂組成物溶液とした。
この組成物について、上述の方法により200℃でキュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、8%であった。
【0091】
<実施例2>
上記実施例1において、(B)成分として、B−2をB−3に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、4%であった。
【0092】
<実施例3>
上記実施例1において、(B)成分として、B−2をB−4に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、4%であった。
【0093】
<実施例4>
上記実施例1において、(B)成分として、B−2をB−5に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、6%であった。
【0094】
<実施例5>
上記実施例1において、(A)成分としてポリマーA−3をポリマーA−1に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、5%であった。
【0095】
<実施例6>
上記実施例1において、(A)成分としてポリマーA−3をポリマーA−1に、(B)成分としてB−2をB−3に変えた以外は、実施例1と同様にしてCu上に硬化レリーフパターンを作製した。
このCu上の硬化レリーフパターンについて、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、2%であった。
【0096】
<実施例7>
上記実施例1において、(A)成分として、ポリマーA−3をポリマーA−1に、(B)成分としてB−2をB−4に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、2%であった。
【0097】
<実施例8>
上記実施例1において、(A)成分として、ポリマーA−3をA−1に、(B)成分としてB−2をB−5に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、4%であった。
【0098】
<実施例9>
上記実施例1において、(A)成分として、ポリマーA−3 100gを、ポリマーA−1を50g及びポリマーA−2を50gに変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、3%であった。
【0099】
<実施例10>
上記実施例1において、(A)成分として、ポリマーA−3を100gを、ポリマーA−1を50g及びポリマーA−2を50gに、(B)成分としてB−2をB−3に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、1%であった。
【0100】
<実施例11>
上記実施例1において、(A)成分として、ポリマーA−3を100gを、ポリマーA−1を50g及びポリマーA−2を50gに、(B)成分としてB−2をB−4に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、1%であった。
【0101】
<実施例12>
上記実施例1において、(A)成分として、ポリマーA−3を100gを、ポリマーA−1を50g及びポリマーA−2を50gに、(B)成分としてB−2をB−5に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、2%であった。
【0102】
<比較例1>
上記実施例1において、(B)成分としてB−2をb−1に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、13%であった。
【0103】
<比較例2>
上記実施例1において、(A)成分としてポリマーA−3をポリマーA−1に変え、(B)成分として、B−2をb−1に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物容液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、12%であった。
【0104】
<比較例3>
上記実施例1において、(A)成分としてポリマーA−3を100gをポリマーA−1を50g及びポリマーA−2を50gに変え、(B)成分としてB−2をb−1に変えた他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験後のCu層表面における、ボイドの面積割合について評価した。ボイドの面積割合は、12%であった。
【0105】
実施例1〜実施例12及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物についてのCu層表面におけるボイドの面積割合についての評価結果を、表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
表1中の略号の説明;
(B)成分
B−2
【化36】
B−3
【化37】
B−4
【化38】
B−5
【化39】
b−1
【化40】
【0108】
表1から明らかなように、感光性ポリイミド前駆体である(A)成分と、一般式(B1)で表される(B)成分とを用いた実施例1〜実施例12の感光性樹脂組成物では、(B)成分に替えて他の化合物(b−1)を用いた比較例に比べて、高温保存試験後、Cu層のポリイミド層に接する界面でのボイドの発生が大幅に抑えられていることがわかった。
以上の結果から、本発明の感光性樹脂組成物を用いることで、高温保存試験後においても、Cu層のポリイミド層に接する界面でのボイドの発生が抑えられることが確認された。本発明を例えば半導体装置に適用した場合に、Cu層(金属再配線層)とポリイミド層(レリーフパターン)との密着性が高いものとなり、優れた特性を有するものとなる。
その中でも特に、一般式(A1)で表されるA成分を、特定の構造とすることで、より確実にボイドが抑制されていることがわかる。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。