特許第6367464号(P6367464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367464
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】光学デバイス用精密光学マウント
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20060101AFI20180723BHJP
   G02B 7/182 20060101ALI20180723BHJP
   G02B 7/198 20060101ALI20180723BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G02B7/00 F
   G02B7/182
   G02B7/198
   G02B7/02 C
【請求項の数】22
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-502878(P2017-502878)
(86)(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公表番号】特表2017-521719(P2017-521719A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015031828
(87)【国際公開番号】WO2016014147
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2017年1月17日
(31)【優先権主張番号】14/337,034
(32)【優先日】2014年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マール,ライル,エフ
(72)【発明者】
【氏名】ハートネット,ダグラス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ランディ,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】スコット,リチャード エル.
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0053113(US,A1)
【文献】 特開2004−52787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00 − 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスマウントであって、当該光学デバイスマウントは、
内部接合面を規定するボアを有するとともに、光学デバイスに取り付けられ外側部分を有するスリーブと、
前記スリーブの前記ボアを少なくとも部分的に貫通して延びるとともに、外部接合面を有するスタッドであって、光学ハウジングと嵌合する光学ハウジング界面を有するスタッドと、
該スタッドの前記外部接合面及び前記スリーブの前記内部接合面によって規定される空間の容積内に付与される硬化性材料と、
を有
前記スタッドは、開口部と、該開口部及び前記スリーブの前記ボアと流体連通する少なくとも1つの通路とを含み、それによって前記硬化性材料は、前記開口部を介して、前記スタッドの前記少なくとも1つの通路内に及び前記スリーブのボア内に位置付けされ、前記空間の容積を占める、
光学デバイスマウント。
【請求項2】
前記スリーブ及び前記スタッドは、前記光学デバイス及び前記光学ハウジングが前記硬化性材料のみによって結合されるように、互いに直接的に接触しておらず、それにより前記光学デバイス上に及ぼされる力を最小限に抑える又は排除する、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項3】
前記スリーブは、前記スタッドの材料の熱膨張係数と一致する熱膨張係数を有する材料から構成される、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項4】
前記スリーブの前記外側部分は、前記光学デバイスの対応する円錐面に対して嵌合する円錐部分を含む、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項5】
前記円錐部分は、82°〜120°の間の円錐角を含む、請求項4に記載の光学デバイスマウント。
【請求項6】
前記円錐部分は、100°の円錐角を含む、請求項4に記載の光学デバイスマウント。
【請求項7】
前記スタッドは、前記光学ハウジングの対応する円錐面に対して嵌合する円錐部分を含む、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項8】
前記スタッドの前記開口部は、前記スタッドの先端部を通って形成され、且つ前記少なくとも1つの通路は、複数の通路を有する、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項9】
前記光学デバイスが、前記光学ハウジングに接合される前に別の光学デバイスに対して正確に位置合わせされ得るように、前記硬化性材料が前記空間の容積内で硬化される前において、前記スリーブは、前記スタッドに対して6自由度で移動可能である、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項10】
保持カラー及びワッシャをさらに有し、前記保持カラーは、前記スリーブを前記光学デバイスに取り付けるために前記スリーブの周りに位置付けされており、前記ワッシャは、前記スリーブに隣接して位置付けされるとともに、前記スリーブと前記光学ハウジングとの間に位置付けされ、前記硬化性材料が前記光学ハウジングと接触するのを防止する、請求項1に記載の光学デバイスマウント。
【請求項11】
光学デバイスのアライメント及びマウントのためのマウントシステムであって、当該システムは、
光学デバイスと、
ハウジングと、
前記光学デバイスを前記ハウジングに結合する複数のマウントと、を有しており、
各マウントは、
前記光学デバイスの取付け孔を貫通して延びるとともに、前記光学デバイスに取り付けられるスリーブであって、内部接合面を規定するボアを有するスリーブと、
光学ハウジングに取り付けられるとともに、前記スリーブのボアを少なくとも部分的に貫通して延びる外部接合面を有するスタッドと、
前記スタッドの前記外部接合面及び前記スリーブの前記内部接合面によって規定される空間の容積内に付与される硬化性材料と、を含
各マウントの前記スタッドは、開口部と、該開口部及び前記スリーブの前記ボアと流体連通する少なくとも1つの通路とを含み、それによって前記硬化性材料が、前記開口部を介して、前記スタッドの前記少なくとも1つの通路内に及び前記スリーブのボア内に位置付けされ、前記空間の容積を占める、
システム。
【請求項12】
各マウントの前記スリーブ及び前記スタッドは、前記光学デバイス及び前記光学ハウジングが前記硬化性材料のみによって結合されるように、互いに直接接触しておらず、それにより、前記光学デバイス上に及ぼされる力を最小限に抑える又は排除する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スリーブ及び前記スタッドは、前記光学デバイスの材料の熱膨張係数と一致する熱膨張係数を有する材料から構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
各マウントの前記スリーブは、前記光学デバイスの対応する円錐面に対して嵌合する円錐部分を含み、前記スタッドは、前記光学ハウジングの対応する円錐面に対して嵌合する円錐部分を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
各マウントの前記スタッドの前記開口部は、前記スタッドの先端部を通り、前記少なくとも1つの通路は、複数の通路を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記光学デバイスが、前記光学ハウジングに接合される前に別の光学デバイスに対して正確に位置合わせされ得るように、前記硬化性材料が前記空間の容積内で硬化される前において、前記光学ハウジング、該光学ハウジングに対して6自由度で移動可能であ、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
光学デバイスを位置合わせして取り付ける方法であって、当該方法は、
スタッドを光学ハウジングに取り付けるステップであって、前記スタッドは、前記光学ハウジングから延びる外部接合面を有する、ステップと、
前記光学デバイスにスリーブを取り付けるステップであって、前記スリーブは、内部接合面を規定するボアを有する、ステップと、
前記スタッドの前記外部接合面を前記スリーブの前記ボアを通して位置付けするステップと、
前記光学デバイスを所望の位置に位置合わせするステップと、
前記スタッドの前記外部接合面及び前記スリーブの前記内部接合面によって規定される空間の容積内に硬化性材料を付与するステップと、
有し、
前記スタッドは、開口部と、該開口部及び前記スリーブの前記ボアと流体連通する少なくとも1つの通路とを含み、前記硬化性材料は、前記開口部を介して、前記スタッドの前記少なくとも1つの通路内に及び前記スリーブのボア内に位置付けされ、前記空間の容積を占める、
方法。
【請求項18】
前記光学デバイスを前記所望の位置に位置合わせするステップは、一次光学デバイス又はアライメントツールの位置に応じて前記光学デバイスを移動させるステップを含み、前記光学デバイスは、6自由度で移動可能である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化性材料を付与するステップは、前記硬化性材料を前記スタッドの開口部を介して挿入するステップを含み、それにより前記硬化性材料は、前記スタッドの通路と前記スリーブの前記内部接合面との間を流れて前記空間の容積を占め、前記光学デバイス及び前記光学ハウジングは、前記硬化性材料のみによって結合される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化性材料のみによって前記光学デバイスを前記光学ハウジングに結合する少なくとも3つのマウントシステムについて請求項17に記載のステップを実行するステップをさらに含み、前記スタッド及び前記スリーブは、前記光学デバイスの材料の熱膨張係数と一致する熱膨張係数を有する材料から構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記スリーブを取り付けるステップは、保持カラーを用いて前記スリーブを前記光学デバイスに締結するステップを含み、前記保持カラーは、前記光学デバイスの対応する円錐面に対して嵌合する円錐部分を有し、前記スリーブは、前記光学デバイスの反対側の対応する円錐面に対して嵌合する円錐部分を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記硬化性材料を硬化させるステップと、
前記硬化性材料の接合部を破壊することによって前記スタッドから前記スリーブを取り外すステップと、
前記スタッドを前記光学ハウジングから取り外し、且つ前記スリーブを前記光学デバイスから取り外すステップと、
前記スタッド及び前記スリーブの交換のために請求項17に記載の方法のステップを繰り返すステップと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光学デバイス用精密光学マウントに関する。
【背景技術】
【0002】
高倍率の回折限界光学系内での(ミラー、レンズ、レーザ、ファイバ、焦点面アレイ等の)光学デバイスの位置合せ及び取付けは、高価な製造プロセス及び超精密取付け技術を必要とする。これは主に、光学系の精密な要件に応じて1インチ(2.54cm)の数百万分の1の精度で各光学デバイスを取り付けなければならないためである。様々なアライメント機構が、光学系の様々な構成要素の厳密な位置合せを保証するために使用される。さらに、電磁放射線(例えば、光)の意図した伝搬方向に対して、ひずみのない状態で各構成要素を正確に位置付けしなければならない。光学デバイスを支持し且つ位置付けする精度は、光学系の光波面の質又は精度に大きく影響する。光学的な位置ずれ(misalignment)が、構成要素の組立て、位置合せ、調整、較正、又は動作中にシステム内に誘発され得る。光学系がいくつかの特有の部品から組み立てられるので、光学部品とハウジング部品との間の不完全な各界面において、特定の応力が、締結機構及び/又は接合プロセスによって誘発されることになる。
【0003】
さらに、光学デバイス及びハードウェアは、典型的には、標準的な大気温度及び圧力で設置される。環境への暴露、特に軍事用途に関連する環境への曝露は、熱膨張の差に起因して、光学素子と光学的−機械的マウントとの両方に熱によって生成される応力を誘発し得る。
【0004】
光学素子上に誘発される応力のタイプは、その光学面に生じる歪みのタイプを決定する。光学的に最も劣化させる応力の1つは、光学素子を曲げることによって誘発される応力である。光がミラーの表面から反射するので、曲げ荷重によって歪んだミラーは、特に光波面を劣化させる可能性がある。ミラーの光反射は、反射の法則に従って挙動する、すなわち、反射角は、入射角に等しくなる。ミラーを曲げることにより、その表面プロファイルが変化し、それによって歪んだプロファイルの全てに沿って、入射角と反射角との両方が乱される。従って、このようなミラー表面の物理的な変化は、視線の「角度倍増誤差(angle doubling error)」だけでなく光波面の複雑な歪みも生じさせる。
【0005】
曲がったミラーのプロファイル歪みが典型的には一様でも対称でもないので、ミラーの表面のあらゆる方向で、波面の歪みも対称ではない。こうして、ミラーを曲げることは、典型的には、光波面に非点収差を形成する。非点収差を含む波面は、一般にサドル形状(saddle-shaped)であり、この収差の補正には、円対称ではない光学面が必要であり、その製造が非常に困難であることを意味する。従って、特に全反射光学系において、回折限界の光学性能を達成するためには、ミラーの曲げ部をなくすか、又は最小化することが重要である。
【0006】
(望遠鏡の二次金属製ミラー等の)光学デバイスを取り付けて位置合わせする1つの一般的な方法は、光学素子とそのマウントとの両方の界面をダイヤモンドポイントで機械加工することを含む。一旦位置合わせされると、典型的には、精密に機械加工された運動学的な締結具は、光学デバイスをハウジング又は他のマウント構造に固定し、締結具、ミラー、及びマウントの間の誘発されるボルト締め(bolt-up)応力を最小限に抑えるために使用される。ダイヤモンドポイント加工された表面は非常に平坦であるが、それら表面は完全ではないので、2つの表面が一緒に合わされる(mated)と、結果として得られる界面は殆ど同一平面ではなくなり、典型的にはミラーとマウントとの両方にある程度の曲げを誘発する。
【0007】
一対のスイベル・ワッシャ等の運動学的ハードウェアを、締結具とミラーとの間に、及びミラーとそのマウントとの間にも使用することができる。理論的には、このようなワッシャ対は、界面機構の間のあらゆる角度ずれを調整するために「旋回」する球面を使用することにより、接合(mating)界面における曲げ応力を除去することができる。この旋回能力は接合界面における角度差を補償するが、スイベルの接合面の間には常に摩擦が存在している。摩擦は、特に取付け式締結具がトルクを受け、摩擦力が増加すると、完全な角度アライメントを阻害する可能性がある。従って、これらのワッシャの残留位置ずれによって、締結具の予荷重(preload)力をミラー及び/又はそのマウントの曲げに結び付ける可能性がある。運動学的なハードウェアからの予荷重が大きくなると、スイベル・ワッシャの角度ずれが大きくなり、組み合わされて、ミラーにさらに大きな曲げモーメントを誘発する。ミラーとそのマウントとの間にスイベル・ワッシャを使用することは、これらの重要な位置の部品同士の間の厚みを増し且つ位置公差を大きくし、これは、典型的には非常に望ましくないものである。
【0008】
ミラーの「ストレスフリー(stress-free)」の取付けを達成する課題に加えて、光学素子を各方向/向きに1インチの数百万分の1以内に位置付けし、且つ様々な環境に亘って安定性を保持するという困難な作業がある。これらの明白な理由のために、多くの他のあまり明らかでない理由と共に、このような機械的取付け方法の実施は、大抵の場合、位置ずれした光学デバイスを生じさせ、システムの光学性能を劣化させる。劣化した光学素子及び光波面が無数に存在しているため、堅実的なアプローチは、最終的な取付け構成に拘わらず、光学素子の完全性を損なわない界面を設計することである。
【0009】
従来の試みは、ダイヤモンドポイントで機械加工された金属製ミラーの裏側と合わされ且つ運動学的なハードウェアと共に保持される、ダイヤモンドポイントで機械加工されたマウント(又はキャリア)プレートの組合せに依存してきた。次に、超精密アライメント装置を使用してマウントプレートを位置付けし、マウントプレートを所定の位置に接合する。このアプローチは、位置合せプロセスが失敗したことによる許容出来ない光学性能が生じた場合に又は厳しい環境条件への暴露後に、ミラーの再使用を容易にする。運動学的な取付け式ハードウェアの取外しは、マウントプレート及びこのプレートが接合される支持部品のみを犠牲部品として機能させて、光学素子の取外し及び再使用を容易にする。しかしながら、ダイヤモンドポイント加工は高価である。加えて、ミラーをマウントプレートに固定するために使用される運動学的な締結具は、複雑となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による3つのマウントを有する光学マウントシステムの等角図である。
図2図1の光学マウントシステムの等角図であり、光学マウントシステムの構成要素のうちのいくつか、特にそれらのマウントの1つが分解した状態で示されている。
図3図2の線3−3に沿って切り取られたマウントの断面図である。
図4図2及び図3のマウントのスタッドの等角図である。
図5】本発明の別の実施形態による光学マウントシステム用のマウントの断面図である。
図6】本発明の一実施形態による光学マウントシステムの光学デバイスを位置合わせする方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特徴及び利点は、本発明の特徴を例として一緒に示す添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
ここで、図示された例示的な実施形態について参照を行い、特定の言語を用いてその例示的な実施形態を説明する。それにも拘わらず、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるであろう。
【0012】
本明細書で使用される場合に、用語「実質的に」は、動作、特性、性質、状態、構造、アイテム、又は結果の完全な又は略完全な範囲又は程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれた対象物は、対象物が完全に囲まれているか、又は略完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性から逸脱する許容可能な厳格な程度は、場合によっては、特定の状況に依存し得る。しかしながら、一般的に言えば、完全に近い状態は、完全な完了が得られた場合のように全体的に同じ結果を有するようになる。「実質的に」の使用は、動作、特性、性質、状態、構造、アイテム、又は結果の完全又は略完全な欠如を指すために、否定的な意味で使用される場合にも同様に適用可能である。
【0013】
本明細書で使用される場合に、「隣接する」とは、2つの構造又は要素の近接性を指す。特に、「隣接する」と特定される要素は、当接していても、接続していてもよい。このような要素は、必ずしも互いに接触することなく、互いに近接又は接近していてもよい。近接性の厳格な程度は、場合によっては、特定の状況に依存し得る。
【0014】
技術的な実施形態の最初の概要を以下に示し、次に特定の技術的な実施形態について後でさらに詳細に説明する。この最初の要約は、読者が技術をより迅速に理解するのを助けることを目的としているが、技術の重要な特徴や本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、ましてや特許請求の範囲の主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0015】
光学系内で光学デバイスを超精密に位置合わせするために、取り付けによって誘発される力を実質的に最小限に抑える又は排除し、且つ複数の自由度でのアライメント位置合せ、すなわち並進及び回転を容易にする光学デバイスマウントが開示される。一態様では、光学マウントは、内部接合面を規定するボアを有するとともに、光学デバイスに取り付けられ外側部分を有するスリーブを含む。スタッドが、スリーブのボアを少なくとも部分的に貫通して延び、且つ外部接合面を有する。スタッドは、光学ハウジングに合わさる光学ハウジング界面を含む。光学デバイスマウントは、スタッドの外部接合面及びスリーブの内部接合面によって規定される空間の容積内に付与された硬化性材料をさらに含むことができる。
【0016】
光学デバイスの精密な位置合せを容易にし、且つマウント式ハードウェアの安価な交換を可能にするマウントシステムが開示される。このシステムは、光学デバイスと、ハウジングと、光学デバイスをハウジングに結合する複数の光学デバイスマウントとを含む。複数の光学デバイスマウントは、3つのマウントを含むことができ、それぞれが本明細書で説明するような特徴を有する。
【0017】
光学デバイスを位置合わせして取り付ける方法がさらに開示される。この方法は、複数の光学デバイスマウント(例えば、3つの光学デバイスマウント)を用いて、光学デバイスを光学ハウジングに結合するステップを含む。各光学デバイスマウントについて、この方法は、スタッドを光学ハウジングに取り付けるステップをさらに含むことができる。スタッドは、光学ハウジングから延びる外部接合面を含む。この方法は、スリーブを光学デバイスに取り付けるステップをさらに含むことができる。スリーブは、内部接合面を規定するボアを含む。各マウントについて、スリーブのボアを通してスタッドの外部接合面を位置付けすることができる。次に、3つ全てのスタッドが対応するスリーブを通して位置付けされると、光学デバイスを所望の位置に位置合わせすることができる。次に、硬化性材料を、各スタッドの外部接合面及び対応するスリーブの内部接合面によって規定される空間の容積内に付与することができる。
【0018】
一般的に言えば、本発明は、マウントプレートとミラーの背面との両方で高価なダイヤモンドポイント加工の必要性を排除しながら、構造的により頑強な構成を提供する。ミラーをマウントプレートに固定するために以前から使用されていた運動学的な締結具が、より簡素なハードウェアに置き換えられる。
【0019】
この改良されたマウントは、複数(例えば、典型的には3つ)の独立した取付け式ハードウェアのセットを利用するが、ミラーの同一平面を中間マウントプレートに完全に拘束する必要性を排除する。むしろ、これらの取付け式ハードウェアのセットは、ミラーの取付け式耳部に曲げではなく圧縮力のみを誘発し、次に光学ハウジングに固定されたスタッド上に自由な状態(free state)で接合される。このように、犠牲マウントプレートを排除することにより、曲げ力をミラーに誘発する原因となる制約が排除される。各個別の取付け式ハードウェアセット内のスリーブ構成要素は、犠牲要素として機能し、且つダイヤモンドポイントで機械加工されたマウントプレートよりも製造コストがかなり低い。
【0020】
図1は、一例による光学マウントシステム100を示す。このシステム100は、光学デバイス102と、ハウジング104と、光学デバイス102をハウジング104に結合する複数のマウント106とを有する。光学デバイス102は、金属製ミラー、レンズ、レーザ、光源、又は構造体に取り付け可能な他の放射線放出、伝達、受信、又は反射デバイスの1つとすることができる。この例では、光学デバイス102は、無人航空機の望遠鏡に使用される研磨されたアルミニウム製ミラー等の金属製ミラーである。光学デバイス102は、3つの一体型耳部103を含む。ハウジング104は、光学デバイス102が着脱可能に取り付けられる任意の構造又は構成要素であり得る。説明のために、一般的なハウジングが示されている。この例では、複数のマウントは、3つのマウント106を含む。しかしながら、必要に応じて又は所望に応じて、任意数のそのようなマウントをシステムと共に使用してもよいことが理解されるだろう。
【0021】
図2は、図1の光学マウントシステム100を示しており、下部のマウント106を分解した状態で示している。図3は、このマウント106の断面図である。図2及び図3に示されるように、取り付けられると、光学デバイス102は、ハウジング104の受容開口部124を少なくとも部分的に貫通して延びる(図2参照)。
【0022】
各マウント106は、光学デバイス102の対応する耳部103の取付け孔110を貫通して延びるスリーブ108を含む(図2参照)。スリーブ108は、内部接合面114を規定するボア112を含む(図3参照)。マウント106は、光学ハウジング104に取り付けられるとともに、スリーブ108のボア112を少なくとも部分的に貫通して延びる外部接合面118を有するスタッド116を含む。締結具120が、光学ハウジング104の孔122を貫通して延び(図2参照)、(例えば、スタッド116の中央ボア孔123を介して(図3参照))スタッド116に締結(例えば、ねじ込み)される。
【0023】
マウント106は、スリーブ108に隣接して位置付けされるとともに、スリーブ108と光学ハウジング104との間に空間的に位置付けされたワッシャ126をさらに含む。ワッシャ126は、スリーブ108に対して緩く付勢され、且つスタッド116の周りに位置付けされる。ワッシャ126は、スタッド116の円錐形フランジの面又はハウジング104と、スリーブ108又は光学デバイス102又は保持カラー128との間の接着接続を防止するように、マイラー、シリコン、ゴム、又はポリマー等の可撓性材料から構成される。保持カラー128は、スリーブ108の周りに位置付けされ、スリーブ108を光学デバイス102に取り付けるのを補助する。保持カラー128は、スリーブ108を光学デバイス102に拘束するためにスリーブにねじ込まれるねじ付き又は他のタイプのカラーである。
【0024】
引き続き図3を参照すると、硬化性材料130が、スタッド116の外部接合面118とスリーブの内部接合面114とによって規定される空間の容積132内に付与される。硬化性材料130を空間の容積132内に付与する間に(例えば、一態様では、付与するステップは、シリンジを用いてエポキシを付与するステップを含むことができる)、ワッシャ126は、硬化性材料130を空間の容積132内に保持することを容易にし、且つ硬化性材料130が光学ハウジング104に接触するのを防止する。これは、既知のマウントシステムのような、光学デバイス102と光学ハウジング104との間の望ましくない軸線方向の接合荷重の発生を防止するので有益である。従って、スリーブ108及びスタッド116は、互いに直接的に接触しておらず、硬化性材料130が、光学デバイス102を光学ハウジング104に直接的に取り付ける唯一の構成要素/デバイスである。この構成では、光学デバイス102は、その光学ハウジングに対して「フローティング(float)」する傾向があり、こうして、精密アライメント装置を使用して角度方向に且つ並進方向に位置付けすることができ、硬化性材料130によって形成された接合部を介して最小応力状態で固定される。これは、既知のシステムと比較して、マウントシステムの構成要素から光学デバイス102に及ぼされる予荷重力(例えば、軸線方向のボルト締付け力及び曲げ力)を最小化する又は排除する。
【0025】
慣性力に曝されている間に光学的なアライメントを維持することは、スリーブ108及び嵌合保持カラー128が、そのような誘発された荷重及びモーメントに対して光学デバイス102を拘束することを意味する。円錐形の機構は、これらの3つの構成要素の接合界面で、これらの円錐の軸線に垂直な2つの直交する拘束軸を提供することができる。スリーブ108及び保持カラー128が光学デバイス102の耳部103の皿穴に嵌合する場合と同様に、対向する一対の構成要素を円錐形の界面と嵌合することにより、円錐の共通軸線に沿った第3の拘束軸が得られる。このような円錐形の構成要素のグループが、3つのセットのパターンのように組み合わせて使用される場合に、それらは、円錐形の機構の軸線の周りの回転に対して拘束を与え、それにより、光学デバイス102を完全に拘束する。こうして、従来のボルト締めされた平面接合部は、これらの界面でのせん断荷重に対する拘束を提供するために、予測し得ない摩擦のみに依存していたが、接合界面での複数の円錐形の機構を使用することによって、完全な幾何学的な拘束を保証することができる。従って、「フローティング」硬化性材料130により互いに位置的に分離された円錐形界面の構成要素のセットを利用することにより、光学デバイス102は、過度に拘束されることなく、すなわち、その光学面に亘って曲げを誘発させることなく、堅く拘束される。
【0026】
円錐形の機構を設計する際に、円錐の角度を最適化することに関する考慮が存在する。円錐面が嵌合して円錐の軸線に沿って共に予荷重が加えられると、(光学デバイス102の耳部103の皿穴に対して挟み込まれるようにスリーブ108が保持カラー128と嵌合するのと同様に、)力が、円錐の合わせ面に沿って及びこの合わせ面に対して垂直方向に生成される。より小さい円錐角では、垂直方向の力の作用線は、円錐軸線に対して主に半径方向である。従って、より小さな円錐角を有する構成要素を使用して加えられる力は、合わせ面により大きな半径方向のひずみを誘発する。この設計の最終的な目的は、光学デバイス102の光学面に最小限のひずみを与えながら光学デバイス102に最大限の構造的な剛性を与えることであるので、より大きな円錐角が、光学デバイス102の耳部103と光学面との両方に誘発されたひずみの「半径方向フットプリント(設置面積)」を最小化することは明らかである。しかしながら、この「フットプリント」概念を180度に近い円錐角に外挿することは、垂直方向力の摩擦力の半径方向成分が今やゼロに近づくにつれて非現実的であることを証明する。したがって、非常に大きな円錐角では、(平面でボルト締めされた接合部の場合のように)接合部の荷重能力を実際に支配するのは、幾何学的形状ではなく、円錐形の接合部における摩擦である。この特定の用途では、82°〜120°の範囲の様々な円錐角度が実行可能であるが、100°の円錐角度は、光学デバイス102の光学面に誘発されるひずみを許容可能な限界まで最小限に抑えながら、各構成要素の荷重能力の最適な組合せを提供する。
【0027】
図3をさらに詳細に参照すると、スタッド116は、光学ハウジング104の対応する円錐面140と嵌合可能な環状の円錐部分138(例えば、フランジ)等の光学ハウジング界面を含む(円錐部分138については図4も参照)。スリーブ108は、光学デバイス102の耳部103の対応する円錐面136と(例えば、ねじ込み式に)嵌合可能な環状の円錐部分134(例えば、フランジ)を含む。同様に、保持カラー128は、光学デバイス102の対応する円錐面144と嵌合可能な環状の円錐部分142(図2参照)を含む。こうして、耳部103の取付け孔110は、孔の両側に皿孔であり、保持カラー128の円錐部分142及びスリーブ108の円錐部分134が、光学デバイス102の取付け孔110を挟む(締め付ける)傾向がある。このため、保持カラー128は、スリーブ108にねじ込まれた且つスリーブ108を光学デバイス102に固定するためにトルクをかけられる六角ナットである。
【0028】
図3に示されるのと同様の例示的な光学デバイスに関して、有限要素構造解析を実施して、その取付け孔の挟み込みの力を受けたときの、例示的な光学デバイス(金属製ミラー)への自己誘発ひずみを予測した。この解析では、保持カラーによるスリーブにかけたトルクによって生じる300ポンド(136.08kg)の軸線方向荷重をシミュレートした。これら両方の構成要素上のフランジは、取付け孔の皿座面に対して圧力荷重を生じさせた。この荷重状態は、光学デバイスの3つの取付けタブの全てに同時に加えられた。この実施例では0.39ポンド(177.03g)であった、光学デバイスの3つのタブ全てに対する300ポンド(136.08kg)のクランプ荷重は、2300Gを超える予荷重能力(すなわち、装置重量の2300倍)を表していた。解析の最悪の場合の結果は、装置の光学面が、3.0インチ(7.62cm)直径の光学素子の光学面全体に亘って、ピーク間で7.0マイクロインチ(0.1778μm)又は1.3マイクロインチ(0.03302μm)RMS変形したと予測された。設計要件は、光学面に亘って表面周期0.34インチ(0.8636cm)あたり1.74マイクロインチ(0.044196μm)、すなわちピーク間で約15マイクロインチ(0.381μm)であった。このように、この解析は、非常に重要な予荷重力を装置の光学面から大いに切り離すことができる構造的に非常に頑強な設計を予測した。
【0029】
取付け及び位置合せ方法のステップについて以下に詳細に説明する。
【0030】
引き続き図3を参照すると、特に有利な点として、上述した環状の円錐形の界面部分及び表面は、スリーブ108、スタッド116、及び光学ハウジング104のそれぞれの構成要素に及ぼされる並進方向のせん断力及び曲げモーメントの両方に抵抗する傾向があり、光学デバイス102の使用中に構造的に頑強な接合部を提供する。このような機構は、光学ハウジング102を光学デバイス102に結合する硬化性材料114の構成と共に、協働して、既知のシステムと比較して、光学デバイス102に及ぼされる「自己変形」力を実質的に最小限に抑え、又は排除する。
【0031】
一態様では、スリーブ108、スタッド116、及び光学デバイス102は、特定の熱膨張係数(CTE)を有する6061アルミニウム等の同じタイプの金属で構成することができる。硬化性材料130は、スリーブ108、スタッド116、及び光学デバイス102の熱膨張係数(CTE)又は実質的に同様のCTEを有することができる。従って、熱変化の間に、光学デバイス102は、光学デバイス102が、スリーブ108及びスタッド116のCTEが一致した材料、及びさらにそのCTEに依存する硬化材料130と同じレートで膨張及び収縮するため、外力(装置全体に亘って曲げモーメントを誘発する可能性がある特に軸線方向の力)の影響を全く又は殆ど受けない。一態様では、スリーブ108、スタッド116、硬化性材料130、及び光学デバイス102の耳部103は、環状又は円筒形状を含むことができることに留意すべきであり、それによって熱的変化の間に、構成要素が、同じ又は実質的に同じレートで半径方向に膨張及び収縮する。
【0032】
図3及び図4に示される特定のスタッド116を参照すると、スタッド116は、先端部148を通る開口部146を含む。スタッド116の外部接合面118には、開口部146と流体連通する複数の通路150が形成されている。現在議論される実施形態では、硬化性材料130は、(例えば、シリンジを用いて)開口部146内に付与され、且つ通路150を通って空間の容積132内に流れるようにされる(図3参照)。通路150の構成は、硬化性材料130の空間の容積132内への均一な分配を確保して、スタッド116をスリーブ108に接着するのを補助する。このような構成は、スタッド116とスリーブ108との間で接合された接合部の均一な荷重能力をさらに保証する。通路150は、スタッド116の中央部分を通って形成され、且つ開口部146と流体連通するスロットとして示されているが、通路150は、スタッド116を通るあらゆるタイプの類似の開口部(複数可)であってもよい。スタッド116は、締結具120(図3参照)を使用してスタッド116をハウジング104に取り付ける際に、スタッド116を固定するために使用される六角ヘッド152を含む。
【0033】
図5は、上述したシステム100のマウントとすることができるマウント206の別の例を示す。この例では、スタッド216の先端部248は、(上述した開放スタッド116とは対照的に)中実のボルト端部である。このスタッド設計は、純粋に円筒形のプロファイルの代わりに、らせん状のねじ等の追加の外部機構に適合している。所望する場合に、外部機構は、追加のらせん状のねじプロファイルによって容易にされた追加のせん断荷重許容容量等の荷重能力の調整を提供することができる。光学デバイス102の耳部103を通して位置付けされたスリーブ208は、分配された硬化性材料230を受容するための開口部205を含むことができる。図2及び図3のスリーブと同様に、硬化性材料230は、スタッド216の外部接合面218及びスリーブ208の内部接合面214によって規定される空間の容積232を占める。硬化性材料230は、スリーブ208の開口部205を通して分配してもよく、スリーブ208のボア212によって規定される開口部を通して付与してもよい。従って、光学デバイス102及び光学ハウジング104は、硬化性材料230のみによって取り付け又は結合される。マウント206は、図3に関して議論したように、締結具120、保持カラー128、ワッシャ126、及び上述した同一の円錐部分及び対応する円錐面等の多数の同じ又は同様の機構を有することができる。
【0034】
図6は、本発明の例による光学デバイスを位置合わせするための方法300の概略図を示す。一般に、この方法は、図2図4の例及び図5の例を参照して開示されたマウント部品及び方法を使用すること等により、光学デバイス302を位置合わせして取り付けるステップを含む。説明のために、以下の方法ステップを、図2図4の例を参照して説明する。
【0035】
特に図2及び図3を参照しながら、引き続き図6を参照すると、この方法は、締結具120を用いて、3つのスタッド116を光学ハウジング104の孔122を通して光学ハウジング104に取り付けるステップを含む。3つのスリーブ108が、光学デバイス102/302の耳部103の対応する孔110を通して挿入される。次に、保持カラー128が、各スリーブ108の周りに位置付けされ、且つ締め付けられる。こうして、スリーブ108は、ここで光学デバイス102/302に固定される。次に、3つのワッシャ126が、対応するスタッド116の上に位置付けされる。次に、スリーブ108は、対応する3つのスタッド116の周りに位置付けされ、それによって各スタッド116の外部接合面118が各スリーブ108のボア112を通って位置付けされ、空間の容積132を規定する(図3参照)。
【0036】
次に、光学デバイス102/302が、所望の位置に位置合わせされる。一例では、光学デバイス102/302は、図示されるような2つ以上の光線314を干渉計(図示せず)と共に使用して、一次光学デバイス312を確認することによって位置合わせすることができる。光学系の特定の幾何学的形状に依存して、レトロ光学素子(すなわち、フラット又はコーナーキューブミラー)を、位置合わせすべき光学デバイス102/302の下流に位置付けすることができる。レトロ光学素子は、干渉計から出力されたコリメートされた光を、光学系を二度通過した後にこの装置に戻す。干渉計によって放射された略完全な平面波面と比較して、戻された光波面を調査することによって、最小の波面誤差、すなわち最適な画像のために光学デバイス102/302の最も適切な位置付けの洞察が提供される。硬化性材料130が3つのマウントシステム106の各スタッド116に付与される前に、光学デバイス102/302は、例えば、一次光学デバイス312に対して光学デバイス102/302を所望の位置に正確に位置合わせするために、6つの自由度(すなわち、xyz軸に沿って、並びにピッチ、ヨー、及びロール自由度)で移動可能である。こうして、光学デバイス102/302は、光学ハウジング104に対して「フローティング」する傾向がある一方で、オペレータ(及び/又は機械)は、光学デバイス102/302を所望の位置に正確に位置合わせする。一旦適切に位置合わせされると、光学デバイス102/302は、硬化性材料130が空間の各容積132内に付与されて硬化する間に、固定具によって空間内に確実に保持することができる。
【0037】
上述したように、硬化性材料130を付与するステップは、各スタッド116の開口部146を介して硬化性材料130を付与(例えば、挿入)するステップを含む。次に、硬化性材料130は、各スタッド116の通路150を通って各スリーブ118の内部接合面114に均一に流れ、各マウントシステム106の空間の容積132を占める。硬化性材料130の硬化は、光学デバイス102/302と光学ハウジング104とを互いに取り付ける又は結合するように機能する。同じ又は同様のステップ及び原理が、図5の例を参照して当てはまり、ここでスタッド216は、端部において中実部材であり、硬化性材料は、スリーブ208とスタッド216の外部接合面218との間の空間の容積232を通して付与される。
【0038】
スタッド及びスリーブは、例えば機械加工されたアルミニウム等の比較的安価な材料で構成されるので、光学デバイス102/302は、損傷及び/又は位置ずれが発生した場合に、容易に取り外し及び交換、又は再位置合わせすることができる。このような場合に、図3を再び参照して、スタッド116は、締結具120の各々を各スタッド116から最初に取り外すことによって、ハウジング104から取り外される。スタッド116は、光学デバイス102全体をハウジング104から分離できるように、スリーブ108に接合されたままである。保持カラー128が、スリーブ108から取り外され、次に、接合されたスタッド116及びワッシャ126を含むスリーブ108が、光学デバイス102から取り外される。マウント式ハードウェア(すなわち、スタッド、ワッシャ、及びスリーブ)は、ここで廃棄することができ、安価に交換される。光学デバイス(新規であろうと修理済みであろうと)は、上述したような方法で位置合わせされ、取り付けることができる。これらのマウント式ハードウェアの廃棄及び光学デバイスの再位置合せのプロセスは、開示されたマウント式ハードウェア交換する方がはるかに迅速で且つ安価であるため、既知の方法よりも非常に有利である。
【0039】
開示された本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、又は材料に限定されるものではなく、関連する技術分野の当業者によって認識されるように、それらの均等物にまで拡張されることを理解すべきである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0040】
本明細書を通して、「一実施形態」又は「実施形態」についての言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0041】
本明細書で使用される場合に、複数のアイテム、構造要素、構成要素、及び/又は材料は、便宜上共通のリストに提示され得る。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別々の一意の要素として個々に特定されるように解釈すべきである。従って、そのようなリストの個々の要素は、特段示されること無しに、共通のグループに提示されることに基づいて、単に同一のリストの他の要素と実質的に等価であると解釈すべきではない。さらに、本発明の様々な実施形態及び実施例は、本明細書において、その様々な構成要素の代替要素と共に参照してもよい。そのような実施形態、実施例、及び代替物は、互いに事実上等価であると解釈すべきではなく、本発明の独立した自律的な表現とみなすべきであることが理解される。
【0042】
さらに、説明した特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。この詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状等の実施例等の多くの特定の詳細が提供される。しかしながら、当業者は、本発明が、1つ又は複数の特定の詳細を用いないで、或いは他の方法、構成要素、材料等を用いて実施され得ることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、材料、又は操作は、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために詳細に図示又は説明していない。
【0043】
前述した実施例は、本発明の原理を1つ又は複数の特定の用途で例示するものであるが、形態、使用法、及び実施の詳細の多くの変更が、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、発明力無しに実施することができることは当業者には明らかであろう。従って、以下に示す特許請求の範囲を除いて、本発明を限定することは意図していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6