(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本実施例について添付図面を参照して詳述する。ただし、本実施例が有する発明の思想の範囲は本実施例が開示する事項から定められるべきであり、本実施例が有する発明の思想は、提案される実施例に対して構成要素の追加、削除、変更などの実施の変形を含む。
【0029】
図1は、実施例に係るインゴット成長装置を示す図面である。
【0030】
図1を参照すると、インゴット成長装置1はチャンバー10と、チャンバー10内に配置されてシリコンを収容するホットゾーン構造物30、31と、ホットゾーン構造物30、31を加熱するヒーター35と、ホットゾーン構造物30、31の外部に位置するアウター断熱体60と、ホットゾーン構造物30、31の上側に位置してインゴットを通過させるホール(h)が形成されたアッパー断熱体50と、溶融シリコンでインゴットを成長させる種結晶を収容するシードチャック100を含むことができる。
【0031】
チャンバー10は、インゴットが成長するための空間を提供することができる。
【0032】
チャンバー10は、上部チャンバー11と、下部チャンバー12を含むことができる。
【0033】
上部チャンバー11は、下部チャンバー12の上部を覆うことができる。上部チャンバー11には、インゴットが通過する通路部20が形成され得る。通路部20は上部チャンバー11の上部に上下方向に長く形成され得る。
【0034】
下部チャンバー12は、上部チャンバー11と結合され得る。下部チャンバー12には、ホットゾーン構造物30、31と、ヒーター35と、アウター断熱体60と、アッパー断熱体50が収容される空間が形成され得る。
【0035】
インゴット成長装置1は、チャンバー10の内部を観察するためにチャンバー10を貫通するホールが具備されるとともに、チャンバー10の密閉状態を維持するビューポート14をさらに含むことができる。
【0036】
ホットゾーン構造物30、31は、シリコンを収容できる石英坩堝30を含むことができる。ホットゾーン構造物30、31は、石英坩堝30を収容する黒鉛坩堝31をさらに含むことができる。石英坩堝30は石英からなるボウル形態であり、内部空間に多結晶シリコンを収容することができる。石英坩堝30は黒鉛坩堝31の内側に位置され、黒鉛坩堝31に支持され得る。
【0037】
インゴット成長装置1は、黒鉛坩堝31を支持する支持台33と、支持台33を支持して支持台33を回転および上下移動させることができる坩堝回転部34をさらに含むことができる。坩堝回転部34は、シードチャック100が回転する時、黒鉛坩堝31をシードチャック100と反対方向に回転させるとともに上昇させることができる。
【0038】
ヒーター35は、ホットゾーン構造物30、31に熱を加えるように設置され得る。ヒーター35は、黒鉛坩堝31の外側を囲むように配置され得る。ヒーター35は、黒鉛坩堝31に熱を加えることによって、石英坩堝30に収容された多結晶シリコンを溶融させることができる。ヒーター35は、黒鉛坩堝31を加熱することができ、ヒーター35により加熱された黒鉛坩堝31は、石英坩堝30を加熱することができる。
【0039】
インゴット成長装置1は、インゴットを冷却するための冷却管40をさらに含むことができる。冷却管40は、チャンバー10内部に配置され得、インゴットは、冷却管40を通過しながら冷却され得る。冷却管40は、一部が通路部20に位置するように配置され得る。冷却管40の下部は、下部チャンバー12の内側に位置するように配置され得る。
【0040】
アッパー断熱体50は、石英坩堝30の上側に位置され得る。アッパー断熱体50はチャンバー10に具備された断熱体サポーター51に載置されて設置され得る。アッパー断熱体50は中央部52と、角部53と、連結部54を含むことができる。アッパー断熱体50は、少なくとも1回折り曲げられた形状で形成され得る。
【0041】
中央部52は、石英坩堝30の内部に位置され得る。中央部52は、連結部54の下部に形成され得、下部に行くほど大きさが次第に小さくなる筒状に形成され得る。中央部52の底面は、シリコンと向かい合うことができる。
【0042】
角部53は、石英坩堝30の外部に位置され得る。角部53は、連結部54の上部に形成され得、リング状に形成され得る。
【0043】
連結部54は、中央部52と角部53を連結するように形成され得る。連結部54は、下部に行くほど大きさが次第に小さくなる筒状に形成され得る。連結部54は、ネックカバー110より大きく形成され得る。
【0044】
アッパー断熱体50のホール(h)は、溶融シリコンから成長するインゴットが通過するために形成され得る。アッパー断熱体50のホール(h)は、製造しようとするインゴットより大きく形成され得る。アッパー断熱体50のホール(h)は、アッパー断熱体50の中央部52に形成され得る。アッパー断熱体50のホール(h)は、円形の形状であり得る。
【0045】
アッパー断熱体50は、アウター断熱体60とともに、ホットゾーン構造物30、31と、ヒーター35を囲んで断熱することができる。アウター断熱体60は、ホットゾーン構造物30、31の横方向に放出される熱を断熱する熱遮蔽材であり得、アッパー断熱体50は、ホットゾーン構造物30、31の上側方向に放出される熱を断熱する熱遮蔽材であり得る。
【0046】
アッパー断熱体50の下部は、石英坩堝30の内部に挿入されるように配置され得る。アッパー断熱体50は、連結部54の一部と中央部52が石英坩堝30の内部に位置するように設置され得る。
【0047】
アウター断熱体60は、ヒーター35の外部に配置され得る。アウター断熱体60は、ヒーター35の外側周りに配置され得る。アウター断熱体60は、ヒーター35とチャンバー10の間に位置するように配置され得る。アウター断熱体60は、中空の筒状に形成され得る。
【0048】
インゴット成長装置1は、チャンバー10の上部からチャンバー10の内部に、不活性ガス(G)を供給する不活性ガス供給部70をさらに含むことができる。不活性ガス供給部70は、通路部20に連通するように形成され得、不活性ガス(G)は、不活性ガス供給部70を通じて通路部20に供給され得、通路部20を通過した後アッパー断熱体50を通過することができる。
【0049】
インゴット成長装置1は、溶融シリコンを測定する温度センサ90をさらに含むことができる。温度センサ90は、チャンバー10の上部に配置され得る。温度センサ90は、溶融シリコンの温度を測定するために設置され得る。温度センサ90は、溶融シリコンと離隔した位置で、溶融シリコンの温度を測定できる非接触式温度センサであり得る。温度センサ90は、赤外線センサや紫外線センサーで構成され得、測定対象である溶融シリコンと非接触の状態で溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0050】
シードチャック100は、ホール(h)を選択的に遮蔽するネックカバー110と、種結晶を収容する固定部120を含むことができる。
【0051】
ネックカバー110は、昇降ケーブル106に連結され得る。ネックカバー110は、昇降ケーブル106により昇降され得る。ネックカバー110は、アッパー断熱体50のホール(h)に位置する時、アッパー断熱体50のホール(h)を遮蔽することができ、アッパー断熱体50のホール(h)の上に上昇した時、アッパー断熱体50のホール(h)を開放することができる。
【0052】
ネックカバー110は、アッパー断熱体50のホール(h)より小さい大きさで形成され得る。ネックカバー110は、ホール(h)より大きさが小さく、ホール(h)に位置する時、ホール(h)の一部を遮蔽することができる。ネックカバー110は、ホール(h)に位置する時、ホール(h)全体を遮蔽しないで一部だけを遮蔽することができる。
【0053】
ネックカバー110の昇降位置により、ホール(h)の開放程度が異なり得、ホール(h)の開放面積は、ネックカバー110の位置によって調節され得る。
【0054】
多結晶シリコンがメルティングされるとき、ケーブル駆動部108は、ネックカバー110をアッパー断熱体50のホール(h)に位置させることができ、ホール(h)を通じて放出される熱は最小化され得る。すなわち、ネックカバー110は、アッパー断熱体50のホール(h)を通した熱放出を最小化することができ、石英坩堝30の上側から放出される熱は、アッパー断熱体50およびネックカバー110により最小化され得る。
【0055】
アッパー断熱体50のホール(h)にネックカバー110を具備しない場合、アッパー断熱体50のホール(h)を通した熱損失が大きいことがある。多結晶シリコンを、溶融シリコンでメルティングする過程で発生した熱は、アッパー断熱体50のホール(h)を通じてアッパー断熱体50のホール(h)上側に放出され得るが、このように放出された熱が過度に多い場合、全体的なメルティング工程時間が長くなり、電力損失が大きくなり、ホットゾーン構造物30、31の劣化が激しくなり得る。
【0056】
一方、ネックカバー110を具備する場合、ネックカバー110は、アッパー断熱体50のホール(h)の一部を塞ぐので、アッパー断熱体50のホール(h)を通じて熱が過度に放出されることを防止することができる。
【0057】
ネックカバー110が、ホール(h)の一部を塞がない場合、種結晶(S)が溶融シリコンに浸漬される時、種結晶(S)と溶融シリコンの温度差によって種結晶(S)に加えられる熱衝撃が大きくなり得、インゴットに電位が発生する可能性がある。
【0058】
もう一方で、ネックカバー110が、ホール(h)の一部を塞ぐ場合、ホール(h)と溶融シリコンの間の空間の温度は、ネックカバー110がホール(h)の一部を塞がない場合より高くなり得、種結晶(S)は、ネックカバー110と溶融シリコンの間の空間で溶融シリコンに類似した温度に昇温された後、溶融シリコンに浸漬され得る。すなわち、種結晶(S)と溶融シリコンの温度差は最小化され得、インゴットに発生する電位は最小化され得る。
【0059】
昇降ケーブル106は、シードチャック100を回転および昇降させることができる。昇降ケーブル106は、ネックカバー110を回転および昇降させることができ、ネックカバー110の下部に配置された固定部120は、ネックカバー110とともに回転および昇降され得る。
【0060】
インゴット成長装置は、昇降ケーブル106を作動させるケーブル駆動部108を含むことができる。
【0061】
ケーブル駆動部108は、チャンバー10の上側に配置され得る。ケーブル駆動部108は、昇降ケーブル106を巻き取ることができる。ケーブル駆動部108は、昇降ケーブル106を巻き出してシードチャック100をシリコンに近接させて下降させることができる。この場合、シードチャック100に収容された種結晶(S)は、溶融シリコンに浸漬され得る。ケーブル駆動部108は、昇降ケーブル106を巻き取ることができ、シードチャック100を回転とともに上昇させてインゴットを成長させることができる。
【0062】
ケーブル駆動部108は、メルティング工程時にネックカバー110がアッパー断熱体50のホール(h)に位置するように、昇降ケーブル106を作動させることができる。
【0063】
ネックカバー110は、昇降ケーブル106によって移動する移動遮蔽体であり得、アッパー断熱体50のホール(h)の開放面積を調節できる移動調節器であり得る。
【0064】
ケーブル駆動部108は、断熱性能とインゴット品質を考慮した最適の位置にネックカバー110を昇降させることができる。
【0065】
固定部120は、ネックカバー110の下部に配置され得る。固定部120は石英坩堝30の上側に位置され得、溶融シリコンからインゴットを成長させるための種結晶(S)を収容することができる。固定部120は、ネックカバー110を通じて昇降ケーブル106に連結されることが可能であり、昇降ケーブル106に直接連結されることも可能であることはいうまでもない。
【0066】
図2は、実施例に係るシードチャックとアッパー断熱体を拡大して図示した図面である。
【0067】
ネックカバー110は、流体を案内する周囲面111と、溶融シリコンと向かい合う底面112を含むことができる。
【0068】
ネックカバー110は、ホール(h)に位置され得、このとき、周囲面111は、
図1に図示された不活性ガス供給部70を通じて供給されたガスを、ネックカバー110とアッパー断熱体50の間に案内することができる。
【0069】
すなわち、
図1に図示された不活性ガス供給部70を通じて供給されたガスは、周囲面111にそって案内された後、ネックカバー110とアッパー断熱体50の間に流動され得る。
【0070】
ネックカバー110の周囲面111は、底面112に対して所定角度傾斜して形成され得る。不活性ガス供給部70を通じて供給された不活性ガスは、ネックカバー110の傾斜した周囲面111に沿って案内され得、ネックカバー110とアッパー断熱体50の間を通過した後、溶融シリコンに向かって円滑に流動され得る。すなわち、周囲面111は、底面112と傾斜角(θ)を有することができる。
【0071】
一方、ネックカバー110は、アッパー断熱体50のホール(h)形状に対応する形状を有することができる。アッパー断熱体50のホール(h)が円形の場合、ネックカバー110の底面112の直径は、アッパー断熱体50のホール(h)の直径より小さいこともある。ネックカバー110がアッパー断熱体50のホール(h)に位置した時、ネックカバー110の外周とアッパー断熱体50は、互いに離隔距離(d)を置いて離隔され得る。ネックカバー110は、アッパー断熱体50と衝突および干渉しないこともある。
【0072】
アッパー断熱体50のホール(h)が円形であるとき、ネックカバー110は、円錐形状または円錐台の形状に形成され得、ネックカバー110は、ホール(h)の一部を遮蔽することができる。ネックカバー110の内部には空き空間が形成され得る。
【0073】
ネックカバー110は、グラファイト(graphite)で形成され得る。ネックカバー110の底面は、熱分解炭素コート層がコーティングされ得、断熱能力を向上させることができる。
【0074】
ネックカバー110がアッパー断熱体50のホール(h)に位置する時のホール周辺の温度分布と、ネックカバー110がアッパー断熱体50のホール(h)で第1高さ(例えば40mm)に上昇した時のホール周辺の温度分布と、ネックカバー110が第1高さより高い第2高さ(例えば80mm)に上昇した時のホール周辺の温度分布と、は互いに異なり得る。
【0075】
ヒーター35のパワーは、ネックカバー110がアッパー断熱体50のホール(h)に位置する時、最小であり得、ネックカバー110がアッパー断熱体50のホール(h)の上側に上昇するほど増大され得る。
【0076】
ヒーター35のパワーは、ホットゾーン構造物30、31の温度測定によって決定され得、ヒーター35のパワーが減少したことは、ネックカバー110によりホットゾーン構造物30、31の温度が十分に高いことを意味し、ヒーター35のパワーが減少した程度は、ネックカバー110により断熱能力が向上された程度を意味し得る。
【0077】
インゴット成長装置は、メルティング工程時にネックカバー110をアッパー断熱体50のホール(h)に位置させることが最も好ましい。
【0078】
固定部120は、ネックカバー110の底面112に配置され得る。固定部120は、ネックカバー110の底面112で突出するように位置され得る。固定部120には、種結晶(S)が収容される収容溝が具備され得る。そして、収容溝には、種結晶(S)を堅固に固定させるための固定溝が形成され得る。そして、固定部120はグラファイトで形成され得、熱分解炭素コート層がコーティングされることもあり、断熱能力を向上させることができる。
【0079】
一方、ネックカバー110周辺の熱分布は、ネックカバー110の傾斜角(θ)により互いに異なり得る。
【0080】
図3は、ネックカバー110の傾斜角(θ)によるヒーター35のパワーの変化を示すグラフである。
【0081】
図3を参照すると、ネックカバー110の傾斜角(θ)が39°未満である場合、ネックカバー110による断熱能力が低いためヒーター35のパワーが大きく、ネックカバー110の傾斜角(θ)が48°を超える場合、ネックカバー110の断熱能力が低いためヒーター35のパワーが急激に上昇することを確認することができる。ネックカバー110の傾斜角(θ)は、39°〜48°の間が好ましい。
【0082】
図4は、ネックカバー底面の外径の変化によるヒーターのパワーの変化を示すグラフである。
【0083】
図4を参照すると、ネックカバー110の外径が200mm以下の場合、ヒーター35のパワーが次第に減少することを確認でき、ネックカバー110の外径は200mm以上であることが好ましいが、これに限定されない。
【0084】
一方、ネックカバー110の外径がホール(h)の大きさより大きい場合、ネックカバー110は、アッパー断熱体50と衝突および干渉され得、ネックカバー110は、アッパー断熱体50のホール(h)より小さいことが好ましい。
【0085】
図5は、第1実施例に係るシードチャックの分離斜視図で、
図6は第1実施例に係るネックカバーの底面図である。
【0086】
図5を参照すると、ネックカバー110は、底面112と平行な上面113をさらに含むことができる。
【0087】
ネックカバー110は、周囲面111、底面112および上面113を含むことができ、全体的な形状が円錐台の形状であり得る。
【0088】
ネックカバー110には、昇降ケーブル106が連結されるケーブル連結部114が具備され得る。ケーブル連結部114は、ネックカバー110の上部に具備され得る。ケーブル連結部114は、昇降ケーブル106が連結され得る溝を含むことができる。
【0089】
ネックカバー110は、複数個の部材の結合体で構成され得、各構成は着脱可能に形成され得る。
【0090】
ネックカバー110は、アッパーボディ115と、周囲面111を含むセンターボディ116と、底面112を含むロアボディ117を含むことができる。
【0091】
アッパーボディ115と、センターボディ116およびロアボディ117のそれぞれは、所定の厚さを有して形成され得、ネックカバー110は、アッパーボディ115と、センターボディ116およびロアボディ117が結合されたときに内部に空き空間が形成され得る。
【0092】
アッパーボディ115の上面は、ネックカバー110の上面113となり得、アッパーボディ115にはケーブル連結部114が具備され得る。
【0093】
センターボディ116は、下部に行くほど直径が次第に増加する円錐台の形状であり得る。
【0094】
センターボディ116は、アッパーボディ115とロアボディ117のうち、少なくとも一つと着脱可能に結合され得る。アッパーボディ115とセンターボディ116のうち、いずれか一つには雄螺子が形成され得、他の一つには雄螺子と結合する雌螺子が形成され得、アッパーボディ115とセンターボディ116は螺子結合され得る。
【0095】
センターボディ116とロアボディ117のうち、いずれか一つには雄螺子が形成され得、他の一つには雄螺子と結合する雌螺子が形成され得、センターボディ116とロアボディ117は螺子結合され得る。
【0096】
ロアボディ117には、固定部120が貫通するように配置される固定部貫通孔118が形成され得る。
【0097】
一方、
図1に図示された温度センサ90は、光を溶融シリコンに照射することができ、溶融シリコンから反射して帰ってくる光をセンシングして溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0098】
ネックカバー110は、一部が温度センサ90と溶融シリコンの間に位置され得るが、ネックカバー110は、温度センサ90が溶融シリコンの温度を測定することができるように形成され得る。
【0099】
ネックカバー110には、溶融シリコンの測定のための測定部130が開口され得る。ネックカバー110には、温度センサ90が溶融シリコンを測定できる測定部130が開口され得る。測定部130は、ネックカバー110のうち温度センサ90と向かい合うことができる位置に開口され得る。測定部130は、ネックカバー110に溝の形状またはホールの形状で形成され得る。
【0100】
温度センサ90は、ネックカバー110の上側で測定部130を通じて溶融シリコンの温度を測定できる、赤外線センサまたは紫外線センサであり得る。温度センサ90から照射された光は、測定部130を通過して溶融シリコンに照射され得、溶融シリコンで反射した光を通じて溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0101】
温度センサ90は、測定部130を通じて認識された溶融シリコンの明るさを認識して、溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0102】
測定部130は、センターボディ116と、ロアボディ117のそれぞれに開口され得る。測定部130は、センターボディ116の外周に形成された開口溝と、ロアボディ117の外周に形成された開口溝を含むことができる。
【0103】
一方、ネックカバー110は回転することができ、ネックカバー110の回転時、測定部130は、温度センサ90と対向する位置と、対向しない位置にあり得る。
【0104】
温度センサ90が温度を測定する時期は、測定部130を通じて溶融シリコンの温度を測定する時期と、ネックカバー110の温度を測定する時期に区分され得る。温度センサ90で測定されたデータは、測定部130を通じて測定した溶融シリコンの温度データと、ネックカバー110の温度データが混在され得、このうち測定部130を通じて測定された溶融シリコンの温度データだけを取り出すことが好ましい。
【0105】
インゴット成長装置は、各構成を制御できる制御部(91、
図1参照)をさらに含むことができる。制御部91は、温度センサ90で測定されたデータにより溶融シリコンの温度を算出することができる。
【0106】
制御部91は、測定周期の間、測定された温度センサ90のデータのうち最大値を抽出して溶融シリコンの温度を算出することができる。
【0107】
温度センサ90は、制御部91と連結され得、制御部91は、温度センサ90から測定されたデータをリアルタイムで収集して溶融シリコンの温度を算出することができる。
【0108】
図7は、第1実施例に係るネックカバーを通じて測定した温度センサーのデータが図示されたグラフである。
【0109】
第1実施例のネックカバー110は、測定部130が2つ形成されており、ネックカバー110は、1回転(rotation)するたびに2つの区間で測定部130を通じて溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0110】
図7を参照すれば、温度センサ90で測定された溶融シリコンの温度(ADC)は、時間によってピーク(peak)値を有して揺動することを確認できる。これは測定部130を通じて溶融シリコンの温度が測定される時に高い温度が算出され、ネックカバー110のうち測定部130以外の温度が測定される時に低い温度が算出されるためである。
【0111】
制御部91は、温度センサ90で測定される温度からピーク値を溶融シリコンの温度に算出することができる。制御部91は、ハイパスフィルタまたは最大値(Max)処理器を利用して、温度センサ90で測定されたデータ値から溶融シリコンの温度値を抽出することができる。
【0112】
図8は、第1実施例に係るネックカバーを通じて温度を測定する過程が図示された図面である。
【0113】
インゴット成長装置1は、ネックカバー110の測定部130を利用して、より精密に溶融シリコンの温度を測定することができる。
図8を参照すると、温度センサ90が測定する方向(または位置)は同じである。ネックカバー110が回転することによって溶融シリコンの温度を測定することができ、ネックカバー110の温度を測定することができる。
【0114】
温度センサ90が溶融シリコンの実際の温度を測定する周期は、下記の数式で求めることができる。
【0116】
ここで、Tは測定周期(sec)であり、rはSeed Chuck rotation(RPM)であり、nは測定部の個数である。
【0117】
測定部130の個数により測定周期が算出されるために、測定部130が複数個で構成される場合、各測定部130は互いに一定の距離で離隔して形成され得る。
【0118】
制御部91は、温度センサ90のデータで、溶融シリコンの温度を測定時点から測定周期ごとにデータを抽出して、溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0119】
制御部91は、溶融シリコンの温度が測定された時点に、最大温度を一つの測定周期区間の間、溶融シリコンの温度として算出することができる。制御部91は、溶融シリコンの温度を測定して、その時の最大温度を一つの測定周期の間の溶融シリコンの温度として出力することができる。制御部91は、測定周期が過ぎた時点で最大温度を再測定し、次の測定周期区間の溶融シリコンの温度として出力することができる。これをハイパスフィルタ技術と定義する。
【0120】
制御部91は、ハイパスフィルタ技術を通じて溶融シリコンの温度を正確に測定することができる。
【0121】
図9(a)は、第1実施例が適用される前後のパワーを比較したグラフであり、
図9(b)は、電力量を比較したグラフである。
【0122】
制御部91は、測定部130を通じて溶融シリコンの温度を正確に測定した時、ヒーター35に加減するパワーを正確に算出することができ、それによりヒーター35を制御することができる。
【0123】
図9に図示された「変更前」は、本発明のネックカバー110およびハイパスフィルタ技術が適用されていない場合であり、
図9に図示された「変更後」は、本発明のネックカバー110およびハイパスフィルタ技術が適用された場合である。
【0124】
ネックカバー110が適用されて熱損失が減少し、制御部91がハイパスフィルタ技術を利用する溶融シリコンの温度を正確に算出することによって、パワーおよび電力量が減少することを確認することができる。
【0125】
図10は、第2実施例に係るネックカバーの底面図である。
【0126】
第2実施例のネックカバー110と測定部130’は、第1実施例のネックカバー110と測定部130の形状が相異し、第1実施例と共通の構成に対する詳細な説明は省略する。
【0127】
第2実施例のネックカバー110は、測定部130’の形状がホール形状であり得る。第2実施例の測定部130’は、センターボディ116およびロアボディ117のそれぞれにホールの形状で形成され得、温度センサ90の測定地点の位置および大きさに対応して形成され得る。
【0128】
第2実施例の測定部130’は、第1実施例の測定部130に比べて開放面積が小さいこともあり得、ネックカバー110の断熱程度をより向上させることができる。
【0129】
図11は、第3実施例に係るネックカバーの底面図である。
【0130】
第3実施例のネックカバー110は、第1実施例の測定部130および第2実施例のネックカバー110の測定部130’の形状を変形したもので、第1実施例や第2実施例と共通の構成に対する詳細な説明は省略する。
【0131】
第3実施例のネックカバー110に形成された測定部は、ネックカバー110の外周に沿って弧の形状で形成された少なくとも一つの測定ホール130”であり得る。
【0132】
測定ホールは、ネックカバー110に複数個形成され得、ネックカバー110は複数個の測定ホール130”の間に位置するブリッジ160を含むことができる。
【0133】
ブリッジ160は、ネックカバー110の外周縁を支持するために、一対の測定ホール130”の間に位置することができる。
【0134】
チャンバー10の上部に位置した温度センサ90は、弧の形状の測定ホール130”を通じて溶融シリコンの温度を測定することができる。
【0135】
第3実施例は、ブリッジ160を除いて、温度センサ90が溶融シリコンの温度を測定できるようにすることができ、溶融シリコンの温度を感知できる時間を第2実施例より長くすることができ、溶融シリコンのより正確な温度測定が可能である長所がある。
【0136】
以上、実施例に説明された特徴、構造、効果などは少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例にて例示された特徴、構造、効果などは、実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組合せまたは変形されて実施可能である。したがって、このような組合せと変形に関係した内容は実施例の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0137】
以上、実施例を中心に説明したがこれは単なる例示に過ぎず、実施例を限定するものではなく、実施例が属する分野の通常の知識を有した者であれば本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上で例示されていない多様な変形と応用が可能であることが理解できるであろう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は変形して実施できるものである。そして、このような変形と応用に関係した差異点は、添付の特許請求の範囲で設定する実施例の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0138】
[付記]
[付記1]
溶融シリコンでインゴットを成長させるための種結晶を収容するシードチャックにおいて、
前記溶融シリコンの上側に熱が放出されることを遮断するネックカバーと、
前記ネックカバーの底面に配置され、前記種結晶を収容する固定部と、を含み、
前記ネックカバーは、昇降ケーブルが連結される上面と、前記底面と、前記上面と底面を連結する周囲面を含み、前記周囲面は前記底面と傾斜角を有して形成され、
前記ネックカバーには前記溶融シリコンの測定のための測定部が開口された、
シードチャック。
【0139】
[付記2]
前記傾斜角は39°〜48°である、
付記1に記載のシードチャック。
【0140】
[付記3]
前記シードチャックは、
前記ネックカバーの上面を含むアッパーボディと、
前記ネックカバーの周囲面を含むセンターボディと、
前記ネックカバーの底面を含むロアボディを含み、
前記アッパーボディとセンターボディは、着脱可能に結合され、前記センターボディとロアボディは着脱可能に結合された、
付記1に記載のシードチャック。
【0141】
[付記4]
前記ネックカバーは、円錐または円錐台の形状を有する、
付記1に記載のシードチャック。
【0142】
[付記5]
前記ネックカバーの内部は、空き空間で構成される、
付記1に記載のシードチャック。
【0143】
[付記6]
チャンバーと、
前記チャンバー内に配置されてシリコンを収容するホットゾーン構造物と、
前記ホットゾーン構造物を加熱するヒーターと、
前記ホットゾーン構造物の外部に位置するアウター断熱体と、
前記ホットゾーン構造物の上側に位置し、インゴットを通過させるためのホールが形成されたアッパー断熱体と、
溶融シリコンでインゴットを成長させる種結晶を収容するシードチャックと、
前記チャンバー上部に配置された温度センサーと、を含み、
前記シードチャックは、
前記ホールを選択的に遮蔽するネックカバーと、
前記種結晶を収容する固定部と、を含み、
前記ネックカバーは、前記温度センサーが溶融シリコンを測定できる測定部が開口された、
インゴット成長装置。
【0144】
[付記7]
前記温度センサーは、前記ネックカバーの上側で前記測定部を通じて前記溶融シリコンを測定する、
付記6に記載のインゴット成長装置。
【0145】
[付記8]
前記温度センサーで測定されたデータにより前記溶融シリコンの温度を算出する制御部をさらに含み、
前記制御部は、測定周期の間測定された前記温度センサーのデータのうち、最大値を抽出して前記溶融シリコンの温度を算出する、
付記6に記載のインゴット成長装置。
【0146】
[付記9]
前記ネックカバーは、
昇降ケーブルが連結されるケーブル連結部を含むアッパーボディと、
前記溶融シリコンと向かい合う底面を含むロアボディと、
前記底面と傾斜した周囲面を有するセンターボディと、を含む、
付記6に記載のインゴット成長装置。
【0147】
[付記10]
前記センターボディとロアボディのそれぞれには、前記測定部が開口された、
付記9に記載のインゴット成長装置。
【0148】
[付記11]
前記センターボディは、前記アッパーボディとロアボディのうち少なくとも一つと着脱可能に結合された、
付記9に記載のインゴット成長装置。
【0149】
[付記12]
前記測定部は、前記ネックカバーの外周に沿って弧の形状で形成された測定ホールである、
付記6に記載のインゴット成長装置。
【0150】
[付記13]
前記測定ホールは、前記ネックカバーに複数個形成され、
前記ネックカバーは、複数個の測定ホールの間に位置するブリッジを含む、
付記12に記載のインゴット成長装置。
【0151】
[付記14]
前記ネックカバーは、
流体を案内する周囲面と、
前記溶融シリコンと向かい合う底面と、を含み、
前記周囲面は前記底面と傾斜角を有し、
前記傾斜角は39°〜48°である、
付記6に記載のインゴット成長装置。
【0152】
[付記15]
前記ネックカバーは、前記底面と平行な上面をさらに含む、
付記14に記載のインゴット成長装置。
【0153】
本発明によれば、ネックカバーが溶融シリコンの上側に熱が放出されることを遮断しつつ、溶融シリコンの温度測定を助けることができるため、エネルギーを最小化しながらも高品質のインゴットを生産することができ、産業的利用価値が高いと言える。