特許第6367477号(P6367477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367477水素発生材料のCaMg2系合金水素化物およびその調製方法、並びにその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367477
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】水素発生材料のCaMg2系合金水素化物およびその調製方法、並びにその応用
(51)【国際特許分類】
   C01B 6/24 20060101AFI20180723BHJP
   C01B 3/06 20060101ALI20180723BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20180723BHJP
   C22C 23/00 20060101ALI20180723BHJP
   C22C 30/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C01B6/24
   C01B3/06
   H01M8/04 J
   C22C23/00
   C22C30/00
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-512324(P2017-512324)
(86)(22)【出願日】2015年12月29日
(65)【公表番号】特表2017-533160(P2017-533160A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】CN2015099641
(87)【国際公開番号】WO2016110208
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】201510011757.5
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】欧陽 柳章
(72)【発明者】
【氏名】段 若明
(72)【発明者】
【氏名】王 輝
(72)【発明者】
【氏名】劉 江文
(72)【発明者】
【氏名】朱 敏
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−096528(JP,A)
【文献】 特開2003−221202(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/116734(WO,A1)
【文献】 特開2010−006673(JP,A)
【文献】 特開平09−125172(JP,A)
【文献】 特開平09−184040(JP,A)
【文献】 特開2003−171795(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02459267(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B3/00−6/34
C22C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素発生材料のCaMg系合金水素化物であって、化学組成式が、CaMgyzで表され(式中、MはNi、CoまたはFeを表し、1.5≦x<2.0であり、0<y≦0.5であり、3≦z<6である)、
Ca、Mg、及びMの原子比は、Ca:Mg:M=1:1.9:0.1である、
水分解による水素発生材料のCaMg系合金水素化物。
【請求項2】
(1)Ca、Mg、及びMの3種金属ブロック材料を、M金属ブロック材料が最上層となるように、坩堝に積み重ねておくことと、
(2)前記(1)で用意した坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付け、排気し、保護ガスとしてアルゴンを充填し、そのうち坩堝の上部に通気口が設けられることと、
(3)高周波誘導溶解炉を起動し、まずはボトムパワーで2−3分間加熱し、続いてパワーをアップし、金属ブロック材料が液体に溶融したら、それが均一に融合されるように、さらに一定時間維持し、その後、炉内で冷却し合金インゴットを得て、該合金インゴットをハンマーミルすることによってCaMg系水素吸蔵合金を得ることと、
(4)ハンマーミルしたCaMg系水素吸蔵合金を水素化し、水素化温度は25−100℃であり、水素圧は40−60atmであり、反応時間は1−15hであり、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得ることと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の水素発生材料のCaMg系合金水素化物の調製方法。
【請求項3】
前記(1)において、化学組成式における純金属の原子比率で前記3種金属ブロック材料を秤量し、前記純金属の原子比率は、Ca:Mg:M=1:(1.8〜1.9):(0.1〜0.2)である、ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記(1)において、燃焼損失として、前記CaとMgが6%〜8%過量となるように秤量する、ことを特徴とする請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
前記(1)において、Caの純度は95%以上であり、Mg及びMの純度は99%以上である、ことを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の調製方法。
【請求項6】
前記(2)において、真空度が5×10−3Paとなるように排気し、アルゴン圧が0.5atmとなるように充填する、ことを特徴とする請求項2または3に記載の調製方法。
【請求項7】
前記(3)において、合金インゴットを同じ工程で2−3回繰り返し溶錬する、ことを特徴とする請求項2または3に記載の調製方法。
【請求項8】
前記(1)における純金属をアルミナ坩堝にセットする過程及び前記(3)における合金インゴットをハンマーミルする過程は、何れも不活性ガスが充填したグローブボックス中で行う、ことを特徴とする請求項2または3に記載の調製方法。
【請求項9】
請求項1に記載の水素発生材料のCaMg系合金水素化物の、加水分解法による水素発生装置、燃料電池、再生熱輸送、または水素分離回収での応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素吸蔵材料の設計、製造及びその水素化物の加水分解による水素の製造に関し、具体的に、CaMg系二元合金に基づいて合金化し、合金の位相特性をコントロールすることによって材料の水素吸蔵性能を変化させ、そして、水素化相の構造を設計し、CaMg系合金水素化物の加水分解反応動力学性能の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
水素エネルギーは、高い燃焼値、ゼロ汚染、元素が豊富であるなどのメリットを持っているため、従来の化石エネルギーに替わる最も有望な二次エネルギーである。水素エネルギーの大規模開発及び応用は、現在のエネルギー不足及び環境悪化との双対問題を解決するために期待されているが、水素放出、保存、及び応用の3つの主要な問題を先に解決しなければならない。水素吸蔵合金における水素を放出する方法として、水素化反応の逆反応のほか、加水分解による水素放出を利用することもあり、前者と比べて、その可逆性は貧しいが、加水分解反応は、HOに対してその中の1つのH原子を置換することができるため、水素放出量を大幅に増加することができる。また、加水分解による水素製造は、in−situでの水素製造という特性があり、原料は純水であり、加熱及び圧力調の必要がなく、その応用が便利であり、操作も安全である。米国Millennium Cell社は、2001年に販売し始めたNaBH系即時水素提供システムが、Chryslerナトリウム型燃料電池のコンセプトカーに応用でき、加水分解による即時の水素提供の実用性を確認した。加水分解による水素製造は多くの利点があるため、加水分解による水素発生装置は、水素エネルギーの大規模な使用において、必然として重要な一席を占めている。
【0003】
米国エネルギー省(DOE)は、車用水素貯蔵システムに対して提出した基準として、質量水素貯蔵密度が6.5%以上であり、体積水素貯蔵密度が62kg H/m以上であるとしている。該基準を満たすために、比較的軽い質量の元素を選択しなければならない。安全かつ容易に入手可能な原材料の面で、CaMg系合金は、大きく期待される。その理論水素含有量は6.3wt.%であり、原料の出所は広く、値段が安いが、水素吸蔵温度が高すぎて、また水素化反応によってCaHとMgHが発生し、可逆性も低い。ある文献によると、CaHとMgHをボールミルし加水分解反応をさせると、CaHはMgHの加水分解反応の速度と程度を促進することができ、30min後に、理論の水素放出量の80%にとどまることができると報道された。CaMgを原料とすれば、水素化後に、瀰漫的なCaHとMgHをin−situに生成することができ、加水分解反応の動的性能を改善するために役立つと考えられる。
【0004】
しかし、CaMgは、水素化するのに高温高圧である必要があり、水素化反応の活性化エネルギーが比較的に高い。どのように活性化エネルギーを減少させるかは、工業生産において非常に重要であり、より少ないエネルギーでそれらの水素化物を得、そして加水分解によって水素発生させることは、現在、解決すべき技術的な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、CaMg系合金の水素吸蔵性能を改善し、水素吸蔵温度を従来の300℃以上から室温に低下させるとともに、できるだけ水素吸蔵量を減少させないCaMg系合金の調製方法を提供することにある。本発明によれば、合金化することで、できるだけ有効水素吸蔵量を維持できるとともに、材料の水素吸蔵性能を向上させ、水素化反応の活性化エネルギーを低下させ、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を生成し得、CaMg系合金の水素吸蔵性能およびその水素化物の加水分解性能を効率的に改善することができる。
【0006】
本発明の他の目的は、上記調製方法によって調製し得たCaMg2−x (x=0.1または0.2、MはNi、FeまたはCoである)水素吸蔵合金を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、前記水素吸蔵合金を水素化後に生成したCaMg系合金水素化物を加水分解による水素発生材料として、加水分解による水素製造に用いられる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、下記の技術案によって達成できる。
【0009】
水素発生材料のCaMg系合金水素化物であって、化学組成式が、CaMgyzで表され(式中、MはNi、CoまたはFeを表し、1.5≦x<2.0であり、0<y≦0.5であり、3≦z<6である)、水分解による水素発生材料のCaMg系合金水素化物。
【0010】
上記材料の調製方法であって、下記のステップを含む。
【0011】
(1)Ca、Mg、及びMの3種金属ブロック材料を、M金属ブロック材料が最上層となるように、坩堝に積み重ねておくことと、
(2)前記(1)で用意した坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付け、排気し、保護ガスとしてアルゴンを充填し、その中、坩堝の上部に通気口が設けられることと、
(3)高周波誘導溶解炉を起動し、まずはボトムパワーで2−3分間加熱し、続いてパワーをアップし、金属ブロック材料が液体に溶融したらそれが均一に融合されるように、さらに一定時間維持し、その後、炉内で冷却し合金インゴットを得、該合金インゴットをハンマーミルすることによってCaMg系水素吸蔵合金を得ることと、及び、
(4)ハンマーミルしてCaMg系水素吸蔵合金を水素化し、水素化温度は25−100℃であり、水素圧は40−60atmであり、反応時間は1−15hであり、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得ること。
【0012】
前記(1)において、化学組成式における純金属の原子比率で前記3種金属ブロック材料を秤量し、前記純金属の原子比率は、Ca:Mg:M=1:(1.8〜1.9):(0.1〜0.2)である。
【0013】
前記(1)において、燃焼損失として、前記CaとMgが6%〜8%過量となるように秤量する。
【0014】
化学組成式CaMg2−x(0.1≦x<0.2)に基づいて、燃焼損失としての前記CaとMgが6%〜8%過剰に加えられて計算した3種金属ブロック材料の質量比は、MはNi、Co、またはFeとする場合、それぞれ(42.4〜43.2):(46.4〜49.9):(5.8〜11.7)、(42.4〜43.2):(46.4〜49.9):(5.9〜11.8)、または(42.4〜43.2):(46.4〜49.9):(5.6〜11.2)となる。
【0015】
前記(1)において、Caの純度は95%以上であり、Mg及びMの純度は99%以上である。
【0016】
前記(2)において、真空度が5×10−3Paとなるように排気し、アルゴン圧が0.5atmとなるように充填する。
【0017】
前記(3)において、合金インゴットを同じ工程で繰り返し2−3回溶錬する。
【0018】
前記(1)における純金属をアルミナ坩堝にセットする過程及び前記(3)における合金インゴットをハンマーミルする過程は、何れも不活性ガスが充填したグローブボックス中で行う。
【0019】
前記合金は、水素化する前に活性化する必要がなく、調製し得たCaMg2−x −H(x=0.1または0.2であり、MはNi、FeまたはCoである)水素吸蔵材料は、加水分解法による水素発生装置、燃料電池、水素化物の水素貯蔵装置、再生熱輸送、水素分離回収に応用し得る。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較すると、本発明は、少なくとも下記の効果とメリットを有する。
【0021】
(1)未合金化のCaMgと比べて、本発明によれば、水素吸蔵性能が大幅に改善され、CaMgは水素吸蔵するのに300℃以上でなければならないが、本発明によって調製し得たCaMg系の三元合金は25℃で水素吸蔵することができる。
【0022】
(2)材料調製上に、高周波誘導溶解炉による方法を用いて、融点差の大きい金属で合金を溶錬する場合、低融点合金に対して燃焼損失を考量しなければならない。
【0023】
(3)材料調製上に、粉末焼結またはタンタル容器で被覆し加熱する方法に比べると、より経済的かつ低消費電力である。
【0024】
(4)材料の組成として、主にCaMg相であり、一方、従来の水素吸蔵材料は、主にCaNi、CaNi、またはMgNiをベースとし、後者に比較すれば、本発明によれば、水素吸蔵量が大幅に上がった。
【0025】
(5)従来の水素吸蔵材料と異なり、本発明によって調製し得た水素吸蔵材料は、活性化する必要がなく、室温下で水素吸蔵することができ、初めて水素吸蔵量が理論水素吸蔵量の90%に達成できた。
【0026】
(6)従来の水素吸蔵材料と異なり、本発明によって調製し得た水素吸蔵材料の水素放出方式は、加水分解による水素放出方式であり、該加水分解による水素発生材料は、常温常圧下で、純水と加水分解反応を行い、水素を発生し、発生した水素量は、高くて11.85wt%に達成でき、すなわち、1g該材料によって、多ければ1327.8mLの水素を放出することができ、加水分解反応が動力学的に速くて、8分間内に、理論水素発生量の96%を放出することができる。また、水と反応し水素発生することは、環境に影響されることなく、便利に水素製造することができるというメリットを持ち、そして、反応生成物は、環境に優しい。
【0027】
(7)本発明に用いられる材料の資源は豊富で、低価であり、製造方法も簡単であり、そして常温下に水素吸蔵することができ、水素吸蔵性能が優れていて、また、加水分解によって発生した水素は、純粋であり、水素燃料電池に直接応用することができ、工業上用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明で調製し得た合金のX線回折パターンであり、a、b、c、dはそれぞれCaMg1.8Co0.2、CaMg1.8Fe0.2、CaMg1.8Ni0.2、CaMg1.9Ni0.1を表し、主相は何れもCaMgであり、Ca−Mg−Ni合金は、20°−25°および40°−50°の間に、C36相であるMgNiのピックを有し、Ca−Mg−Co、Ca−Mg−Fe合金は、主相CaMgのほか、有意なピックがない。
図2】本発明によるCaMg1.9Ni0.1合金の、室温から80℃までの水素吸蔵動力学曲線である。
図3】CaMg1.9Ni0.1合金が室温で水素化後のX線回折パターンである。
図4】水素化後のCaMg1.9Ni0.1合金が320℃下で脱水素化した後のX線回折パターンである。
図5】水素化後のCaMg1.9Ni0.1合金の反射電子像である。
図6】合金の加水分解動力学曲線であり、合金は全て300メッシュの粒子であり、純水において加水分解反応を行い、合金は、それぞれ、CaMg合金、水素化後のCaMg合金、CaMg1.9Ni0.1合金、水素化後のCaMg1.9Ni0.1合金、脱水素化したCaMg1.9Ni0.1−H合金である。
図7】水素化後のCaMg1.9Ni0.1の加水分解動力学曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はそれらの実施態様に限られるものではない。
【0030】
(実施例1)
CaMg1.9Ni0.1−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0031】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.9:0.1となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失としてそれぞれ7%と6%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のdを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいて、ハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は25℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は15hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物(そのX線回折パターンは、図3を参考)を得た。該合金は脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、図2の水素吸蔵動力学曲線から分かるように、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、図7の加水分解動力学曲線に示したように、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた(図6を参考)。
【0032】
(実施例2)
CaMg1.8Ni0.2−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0033】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.8:0.2となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも7%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のcを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は40℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は12hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、図2の水素吸蔵動力学曲線から分かるように、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、図7の加水分解動力学曲線に示したように、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0034】
(実施例3)
CaMg1.8Co0.2−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0035】
原子比Ca:Mg:Coは1:1.8:0.2となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも7%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びCoを、金属Coが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のaを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は100℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は10hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0036】
(実施例4)
CaMg1.9Co0.1−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0037】
原子比Ca:Mg:Coは1:1.9:0.1となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失としてそれぞれ7%と6%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びCoを、金属Coが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は100℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は14hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0038】
(実施例5)
CaMg1.8Fe0.2−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0039】
原子比Ca:Mg:Feは1:1.8:0.2となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも7%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びFeを、金属Feが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のbを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は100℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は10hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0040】
(実施例6)
CaMg1.9Fe0.1−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0041】
原子比Ca:Mg:Feは1:1.9:0.1となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失としてそれぞれ7%と6%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びFeを、金属Feが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は100℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は14hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0042】
(実施例7)
CaMg1.6Ni0.4−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0043】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.6:0.4となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも8%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は40℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は10hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0044】
(実施例8)
CaMg1.6Co0.4−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0045】
原子比Ca:Mg:Coは1:1.6:0.4となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも8%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びCoを、金属Coが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は80℃であって、水素圧は45atmであって、反応時間は7hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0046】
(実施例9)
CaMg1.6Fe0.4−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0047】
原子比Ca:Mg:Feは1:1.6:0.4となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも8%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びFeを、金属Feが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は100℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は8hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0048】
(実施例10)
CaMg1.9Ni0.1−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0049】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.9:0.1となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失としてそれぞれ7%と6%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のdを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は40℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は8hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、図2の水素吸蔵動力学曲線から分かるように、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、図7の加水分解動力学曲線に示したように、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0050】
(実施例11)
CaMg1.9Ni0.1−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0051】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.9:0.1となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失としてそれぞれ7%と6%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のdを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいて、ハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は60℃であって、水素圧は40atmであって、反応時間は5hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、図2の水素吸蔵動力学曲線から分かるように、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、図7の加水分解動力学曲線に示したように、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0052】
(実施例12)
CaMg1.9Ni0.1−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0053】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.9:0.1となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失としてそれぞれ7%と6%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のdを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいて、ハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は80℃であって、水素圧は40atmであって、反応時間は3hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、図2の水素吸蔵動力学曲線から分かるように、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、図7の加水分解動力学曲線に示したように、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0054】
(実施例13)
CaMg1.8Co0.2−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0055】
原子比Ca:Mg:Coは1:1.8:0.2となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも7%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びCoを、金属Coが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のaを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は80℃であって、水素圧は55atmであって、反応時間は8hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0056】
(実施例14)
CaMg1.8Fe0.2−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0057】
原子比Ca:Mg:Feは1:1.8:0.2となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも7%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びFeを、金属Feが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金(そのX線回折パターンは、図1のbを参考)を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は80℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は8hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0058】
(実施例15)
CaMg1.6Ni0.4−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0059】
原子比Ca:Mg:Niは1:1.6:0.4となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも8%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びNiを、金属Niが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は80℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は6hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0060】
(実施例16)
CaMg1.6Co0.4−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0061】
原子比Ca:Mg:Coは1:1.6:0.4となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも8%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びCoを、金属Coが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は40℃であって、水素圧は45atmであって、反応時間は10hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、8分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0062】
(実施例17)
CaMg1.6Fe0.4−H水素化物の調製は、下記のとおりである。
【0063】
原子比Ca:Mg:Feは1:1.6:0.4となるように各純金属(純度は、99%以上である)を秤量して、そのうち、CaとMgは、燃焼損失として何れも8%過量となった。そして、秤量した金属Ca、Mg及びFeを、金属Feが最上層となるように、逐次に用意した坩堝(坩堝の上部に通気口が設けられている)にセットした。そして、坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付けて、真空度が5×10−3Paとなるように排気して、さらに保護ガスとしてアルゴン圧が0.5atmとなるように充填した。高周波誘導溶解炉を起動して、まずはボトムパワーで2−3分間加熱して、続いてパワーをアップして、金属ブロック材料が液体になるように溶錬した。また、金属液体が均一に融合されるように、さらに1分間維持して、その後、炉内で冷却して合金インゴットを得て、さらに2回繰り返し溶錬してから炉内で冷却して、CaMg系水素吸蔵合金を得た。続いて、合金を取り出して、不活性ガスが充填したグローブボックスにおいてハンマーミルして、ハンマーミルした水素吸蔵合金を水素化した。水素化温度は40℃であって、水素圧は50atmであって、反応時間は12hであって、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得た。該合金が脆くて、合金粉末を獲得しやすかった。その水素吸蔵性能は、合金化前と比べて、明らかに改善されて、水素吸蔵活性化エネルギーを30%下げた。そして、水素化後の水分解による水素発生材料を、室温における純水中での加水分解反応により水素を放出させて、10分間内に、その理論水素発生量の90%を放出することができて、加水分解による水素放出性能がとても優れていた。
【0064】
(付記)
(付記1)
水素発生材料のCaMg系合金水素化物であって、化学組成式が、CaMgyzで表され(式中、MはNi、CoまたはFeを表し、1.5≦x<2.0であり、0<y≦0.5であり、3≦z<6である)、水分解による水素発生材料のCaMg系合金水素化物。
【0065】
(付記2)
(1)Ca、Mg、及びMの3種金属ブロック材料を、M金属ブロック材料が最上層となるように、坩堝に積み重ねておくことと、
(2)前記(1)で用意した坩堝を高周波誘導溶解炉に取り付け、排気し、保護ガスとしてアルゴンを充填し、そのうち坩堝の上部に通気口が設けられることと、
(3)高周波誘導溶解炉を起動し、まずはボトムパワーで2−3分間加熱し、続いてパワーをアップし、金属ブロック材料が液体に溶融したら、それが均一に融合されるように、さらに一定時間維持し、その後、炉内で冷却し合金インゴットを得て、該合金インゴットをハンマーミルすることによってCaMg系水素吸蔵合金を得ることと、
(4)ハンマーミルしたCaMg系水素吸蔵合金を水素化し、水素化温度は25−100℃であり、水素圧は40−60atmであり、反応時間は1−15hであり、水素発生材料のCaMg系合金水素化物を得ることと、
を含む、ことを特徴とする付記1に記載の水素発生材料のCaMg系合金水素化物の調製方法。
【0066】
(付記3)
前記(1)において、化学組成式における純金属の原子比率で前記3種金属ブロック材料を秤量し、前記純金属の原子比率は、Ca:Mg:M=1:(1.8〜1.9):(0.1〜0.2)である、ことを特徴とする付記2に記載の調製方法。
【0067】
(付記4)
前記(1)において、燃焼損失として、前記CaとMgが6%〜8%過量となるように秤量する、ことを特徴とする付記3に記載の調製方法。
【0068】
(付記5)
前記(1)において、Caの純度は95%以上であり、Mg及びMの純度は99%以上である、ことを特徴とする付記2ないし4の何れか1つに記載の調製方法。
【0069】
(付記6)
前記(2)において、真空度が5×10−3Paとなるように排気し、アルゴン圧が0.5atmとなるように充填する、ことを特徴とする付記2または3に記載の調製方法。
【0070】
(付記7)
前記(3)において、合金インゴットを同じ工程で2−3回繰り返し溶錬する、ことを特徴とする付記2または3に記載の調製方法。
【0071】
(付記8)
前記(1)における純金属をアルミナ坩堝にセットする過程及び前記(3)における合金インゴットをハンマーミルする過程は、何れも不活性ガスが充填したグローブボックス中で行う、ことを特徴とする付記2または3に記載の調製方法。
【0072】
(付記9)
付記1に記載の水素発生材料のCaMg系合金水素化物の、加水分解法による水素発生装置、燃料電池、水素化物の水素貯蔵装置、再生熱輸送、および水素分離回収での応用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7