【実施例1】
【0020】
図1を参照すると、自車両1はレーダシステム2を備え、レーダシステム2が今度はレーダ送受信機3およびレーダ処理ユニット4を備える。レーダ送受信機3は、レーダ送受信機3の前面開口部を通して走っている自車両1の前方において自車両正常前方進行方向29に垂直に延びる前線6を基準としてアジマス面内で異なるアジマス角δにおいてレーダ信号5を送受信するように構成され、ここで自車両1はある一定の第1の速度v
pで移動している。
【0021】
図2を同様に参照すると、自車両1は、第1の車線7内を走行しており、目標車両8は、目標車両の初期の前方進行方向23に第1の目標物速度v
tで、第2の、隣接した、車線9内を走行している。
【0022】
以下で、目標車両矩形22は、目標車両8を少なくとも部分的に囲み、目標車両の現在の前方進行方向23に平行な2つの辺および目標車両の現在の前方進行方向23に垂直な2つの辺を有する矩形として形成される。この実施例で、目標車両矩形22は、目標車両8を完全に囲む可能な最小の矩形として形成される。目標車両矩形22は、その制限を有する必要はなく、より小さいかまたはより大きくてもよい。
【0023】
この文脈で、目標車両矩形22は、目標車両8の矩形近似であり、アジマス面内でレーダ送受信機3によって見られた目標車両8の最大延長およびレーダ送受信機3に最も近い目標車両8の点のレーダ検出に基づいている。このような最接近点は、すでに周知のやり方で、反射レーダ信号の正接率を分析することによって検出される。
【0024】
目標車両矩形22は、第1の境界kおよび第2の境界11を含み、境界k、11は、アジマス面内でレーダ送受信機3から見た目標車両矩形22の最大延長、換言すれば、レーダ送受信機3から見た目標車両矩形22の最大幅を形成する。
【0025】
目標車両矩形22は、レーダ送受信機3に最も近い目標車両矩形22の点によって定められる第1のコーナーjをさらに含み、第1のコーナーjは、前線6を基準として第1のアジマス角δ
1に対応する第1の方位12に沿って位置している。
【0026】
第1の境界kは、前線6を基準として第2のアジマス角δ
1+δ
2に対応する第2の方位13に沿って位置している。差分角δ
2は、第2のアジマス角δ
1+δ
2と第1のアジマス角δ
1との間の差分を意味する。
【0027】
現状で、
図2に例示されるように、本発明を解説することができるように距離および角度が形成される多くの仮想線が存在する。ここで、3つの線および距離は、事実上一致し目標車両の初期の前方進行方向23と平行に延びる。
【0028】
第1の距離jmは、第1のコーナーjと第1の端点mとの間に形成され、第2の距離klは、第1の境界kと第2の端点lとの間に形成され、第3の距離jnは、第1のコーナーjと第3の端点nとの間に形成される。さらに、車両の前部の中央に、レーダ送受信機3の前面開口部において、第5の端点iが存在し、ここですべての端点m、l、n、iは、前線6上に位置する。第1の距離jmおよび第2の距離klは、目標車両の初期の前方進行方向23と常に平行である。
【0029】
第3の距離jnは、目標車両の現在の前方進行方向23、23’、23”と常に平行であり、目標車両8が走行方向を変更するとき目標車両の前方進行方向が変化する。
図1のシナリオで、初期の前方進行方向23は、同様に現在の前方進行方向である。初期の前方進行方向23の延長線は、前線6に垂直である。
【0030】
第5の端点iと第2の端点lとの間に形成される第4の距離il、第5の端点iと第1の端点mとの間に形成される第5の距離im、および第5の端点iと第3の端点nとの間に形成される第6の距離inが存在する。第1の端点m、第2の端点lおよび第3の端点nは一致するので、第4の距離il、第5の距離imおよび第6の距離inは等しい。
【0031】
さらに、第5の端点iと第1の境界kとの間に形成される第7の距離ik、および第5の端点iと第1のコーナーjとの間に形成される第8の距離ijが存在する。第7の距離ikは、第2のレーダ方位13の延長線に沿って伸び、第8の距離ijは、第1の方位12の延長線に沿って伸びる。
【0032】
これは、第1のアジマス角δ
1が第4の距離il、第5の距離imおよび第6の距離inのうちのいずれか1つと第8の距離ijの延長線との間に形成されることを意味する。それに応じて、第2のアジマス角δ
1+δ
2が第4の距離il、第5の距離imおよび第6の距離inのうちのいずれか1つと第7の距離ikの延長線との間に形成される。
【0033】
第1のコーナーjと第1の境界kとの間に形成される第9の距離jkが同様に存在する。第9の距離jkおよび第3の距離jnは、まったく同一の線21
A、21
Bに沿って伸び、したがって第9の距離jkは、同様に、目標車両の現在の前方進行方向23、23’、23”と常に平行である。
【0034】
第8の距離ijの延長線と第9の距離jkの延長線との間に第3のアジマス角ψが存在し、第7の距離ikの延長線と第9の距離jkの延長線との間に第4のアジマス角φが存在する。
【0035】
図3を参照すると、目標車両8は第2の目標物速度v’
tで走行方向の変更を行っており、それは第2の車線9から第1の車線7への車線の変更をもたらすことになり、目標車両8は自車両1の前に割り込むことになる。これは、第1のコーナーj’が、今
図2に対して変化して、第1のアジマス角δ’
1を有する第1の方位12’に沿って位置している場合に自車両のレーダシステム2によって検出される。それに応じて、第1の境界k’は、今
図2に対して変化して、第2のアジマス角δ’
1+δ’
2を有する第2の方位13’に沿って位置している。
【0036】
目標車両の前方進行方向23’は、その初期の前方進行方向23と比較して変化したので、第1のヨー角θ
Aが現在の前方進行方向23’と初期の前方進行方向23との間に形成される。今、第1の距離j’m’の延長線、第2の距離k’l’の延長線および第3の距離j’n’の延長線は、対応する第1の端点m’、第2の端点l’および第3の端点n’と同様、分離される。
【0037】
第3のアジマス角ψ’および第4のアジマス角φ’は、前と同じ方法で形成されるが、変更された値を有する。普通の角度数学および三角法によって、第8の距離i’j’の延長線と第1の距離j’m’の延長線との間に形成される第5のアジマス角π/2−δ’
1および第8の距離i’j’の延長線と第3の距離j’n’の延長線との間に形成される第6のアジマス角π−ψ’が存在する。第1のヨー角θ
Aは、第1の距離j’m’と第3の距離j’n’との間に形成される。第6のアジマス角π−ψ’が第5のアジマス角π/2−δ’
1および第1のヨー角θ
Aの合計に等しいことは明白である。
【0038】
さらに、第1の距離j’m’、第2の距離k’l’、第4の距離i’l’および第5の距離i’m’を見いだすことが今望ましい。したがって次式が有効である。すなわち、
δ’
1+δ’
2=tan
−1(k’l’/i’l’)
であり、上式で
δ’
1=tan
−1(j’m’/i’m’)
である。
【0039】
これは、
δ’
2=tan
−1(k’l’/i’l’)−tan
−1(j’m’/i’m’)
を意味する。上式から、第1の距離j’m’、第2の距離k’l’、第4の距離i’l’および第5の距離i’m’を計算することができる。
【0040】
ピタゴラスの定理を用いて、第7の距離i’k’および第8の距離i’j’が計算される。それから第7の距離i’k’、第8の距離i’j’および差分角δ’
2を使用して、余弦法則を用いて第9の距離j’k’を計算する。これらのデータを有することで、第9の距離j’k’、第7の距離i’k’、および第8の距離i’j’を使用して、余弦法則を用いて第3のアジマス角ψ’を計算する。
【0041】
第6のアジマス角π−ψ’は第5のアジマス角π/2−δ’
1および第1のヨー角θ
Aの合計に等しいので、
π−ψ’=π/2−δ’
1+θ
A’
となる。これは、
θ
A=π/2−ψ’+δ’
1’
をもたらす。
【0042】
本発明によれば、この場合第1の境界k’である境界、およびレーダ送受信機3に最も近い目標車両矩形22の点によって定められる第1のコーナーj’を検出した後、レーダ処理ユニット4はヨー角θ
Aおよびヨーレートを計算するように構成される。この計算は、検出された第1のアジマス角δ’
1および第2のアジマス角δ’
1+δ’
2を使用する。この実施例で、ヨーレートはヨー速度および/またはヨー加速度を含む。一般に、ヨー運動が計算される。
【0043】
容易に理解できるように、第1の境界k’の代わりに第2の境界11’を使用することができる。そのとき第4のアジマス角φは、代わりに第2の境界11’に向かって伸びる方位に対して形成され計算されなければならないことになる。目標車両の現在の前方進行方向23’が正確に向いているように補償することが同様に必要になるであろう。
【0044】
自車両1は、緊急制御ユニット14ならびに、この実施例では緊急制動システム15および警報信号装置16である、安全手段15、16を備え、これらすべては、図面を明確にするために、
図1で示されるだけである。緊急制御ユニット14および安全手段15、16
【0045】
レーダ処理ユニット4は、計算されたヨー運動を緊急制御ユニット14に出力するように構成され、緊急制御ユニット14が今度は、緊急事態が存在するかどうかならびに例えば警報信号装置16を用いた警報信号の発行および/または緊急制動システム15を用いた緊急制動などの処置をとる必要があるかどうかを判定するように構成される。
【0046】
図4を参照すると、目標車両8は、その車線変更操作を続けており、第3の目標物速度v”
tを有して、目標車両8は今、自車両1の前に明らかに割り込んでいる。これは自車両のレーダシステム2によって検出され、そこでは、第1のコーナーj”が、今
図3に対して変化して、第1のアジマス角δ”
1を有する第1の方位12”に沿って位置している。それに応じて、第1の境界k”は、今
図3に対して変化して、第2のアジマス角δ”
1+δ”
2を有する、第2の方位13”に沿って位置している。
【0047】
端点i”、l”、m”およびn”は、アジマス角ψ”、φ”、π/2−δ”
1、π−ψ’と同様、前と同じ方法で形成される。
【0048】
図3を参照して説明したものと同じやり方で、第2のヨー角θ
Bは、
θ
B=π/2−ψ”+δ”
1’
のように計算される。
【0049】
例えばライダシステムまたはカメラ構成などの、レーダシステム以外の検出システムが考えられる。
【0050】
上に開示された実施例で、目標車両8は、レーダシステム2の前に位置しレーダシステム2に対して横方向にずれているように示されてきた。しかしながら、一般に、目標車両8は、検出システム2に対して縦方向におよび横方向にずれている。
【0051】
図5を参照すると、本発明は同様に、以下のステップを含む車両安全システムのための方法に関連している。
【0052】
24:検出システム2を使用して、検出システム2に対して縦方向に位置し横方向にずれている目標車両8を検出するステップと、
25:目標車両8を少なくとも部分的に囲み、目標車両の現在の前方進行方向23に平行な2つの辺および目標車両の現在の前方進行方向23に垂直な2つの辺を有する、目標車両矩形22を形成するステップと、
26:目標車両矩形22の第1の境界kおよび第2の境界11を形成するステップであって、境界k、11は、アジマス面内で検出システム2から見た目標車両矩形22の最大延長を形成し、1つの境界kは第1の基準線6を基準として第2のアジマス角δ’
1+δ’
2を有する第2の方位13に沿って位置している、ステップと、
27:検出システム2に最も近い目標車両矩形22の点によって定められる第1のコーナーjを形成するステップであって、第1のコーナーjは第1の基準線6を基準として第1のアジマス角δ’
1を有する第1の方位12に沿って位置している、ステップと、
(28)第1のアジマス角δ’
1および第2のアジマス角δ’
1+δ’
2を使用して、第2の基準線23に対する目標車両8のヨー角θ
Aを計算するステップである。
【0053】
本発明は、上記の実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲内で自由に変化し得る。例えば、緊急制動システムは、真空緊急ブレーキまたはブレーキ補助装置の形であってもよい。
【0054】
レーダシステム2のマイクロ波部品は、すでに周知の設計であると想定され、レーダシステム2は、示されているよりも多くの部品、例えば送受信アンテナを備える。レーダシステム2は、多くの他の部品をさらに備え得る。
【0055】
図1を参照すると、検出システム2、緊急制御ユニット14および安全手段15、16は、車両安全システム17の中に備えられている。
【0056】
実施例で与えられたすべての詳細は、もちろん、ただ本発明の実例として与えられるものであり、いかなる形でも限定しているものとみなされるべきではない。
【0057】
実施例で、レーダ送受信機3は、前線6を基準としてアジマス面内で異なるアジマス角δにおいてレーダ信号5を送受信するように構成される。一般に、検出システム2は、第1の基準線6を基準としてアジマス面内で異なるアジマス角δにおいて検出信号5を送受信するように構成される。
【0058】
ヨー角θ
A、θ
Bは、実施例で現在の前方進行方向23’、23”と初期の前方進行方向23との間に形成される。一般に、ヨー角θ
A、θ
Bは、第2の基準線と第3の基準線との間に形成され、そこで第3の基準線は、第2の基準線とヨー角だけ異なる。これは、第3の基準線は前方進行方向が変化するにつれて変化するが、第2の基準線は変化しないことを意味する。第2の基準線は例えば特定の時期に設定され、ヨー運動が検出されるとき、設定された最後の第2の基準線が使用される。前方進行方向23に係るときの初期のという用語は、ヨー角を計算するために使用される設定進行方向を意味する。
【0059】
現在の実施例で、第2の基準線は、初期の前方進行方向23の延長線によって構成され、第3の基準線は、現在の前方進行方向23、23’、23”の延長線によって構成される。しかしながら、このような一致は必要ではないが、一般に第3の基準線は、第2の基準線とヨー角だけ異なるべきである。
【0060】
上記の実施例で、目標車両8は主として自車両1と同じ方向に走行してきているが、目標車両8が主として自車両1に向かって走行していると考えられる。この場合、ヨー角は、目標車両8が主として自車両1と同じ方向に走行している、説明した場合に対応するやり方で決定される。目標車両の現在の前方進行方向23’が正確に向いているように補償することが必要になるであろう。
【0061】
一般に、本発明は、例えば、すれ違っているかまたは対向している目標車両などの、主として自車両と同じ方向に走行している目標車両と異なる方向付けにある目標車両に適用することができる。
【0062】
一般に、本発明は、検出システム2、緊急制御ユニット14および安全手段15、16を備えた車両安全システムに関する。検出システム2は、検出システム2に対して縦方向に位置し横方向にずれている目標車両8を検出するように構成される。車両安全システムは、自車両の中に備えられるように構成される。