(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態におけるディスペンサ装置および絶縁被覆方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0020】
(複合材部品)
図1を参照して、混合材料による被覆対象物である複合材部品1について説明する。
図1は、複合材部品1を示す概略断面図である。なお、
図1において、Z方向が、鉛直方向(上向きの方向)に対応する。X方向が、Z方向に垂直な方向、かつ、複合材部品1の側面、すなわち、主面に沿う方向に対応する。また、Y方向が、複合材部品1の端面16の幅方向に対応する。
【0021】
複合材部品1は、複合材部品本体10と、複合材部品本体10の側面を覆う絶縁層20(換言すれば、絶縁層)とを含む。複合材部品本体10は、第1側面12と、第2側面14と、端面16とを備える。第1側面12は、第1絶縁層20aで覆われており、第2側面14は、第2絶縁層20bで覆われている。また、端面16は、絶縁層20よって覆われておらず、露出している。すなわち、複合材部品1の端面16は、機械加工(切断加工、切削加工、研磨加工等)され、露出している。よって、端面16は、後述の混合材料によって絶縁被覆されるべき部分である。
【0022】
複合材部品本体10は、炭素繊維Fと、樹脂Mとを含む。樹脂Mが熱硬化性樹脂である場合には、複合材部品本体10は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)であり、樹脂Mが、熱可塑性樹脂である場合には、複合材部品本体10は、CFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastic)である。なお、炭素繊維Fの一部は、端面16に露出している。
【0023】
絶縁層20は、例えば、ガラス層(ガラス繊維を含むガラス繊維層であってもよい)である。絶縁層20によって、複合材部品本体10の第1側面12または第2側面14に露出した炭素繊維Fが覆われる。その結果、第1側面12または第2側面14に露出した炭素繊維Fが、金属部品(図示されず)に接触することはない。こうして、当該金属部品のガルバニック腐食が抑制される。
図1に記載の例では、絶縁層20は、第1側面12を覆う第1絶縁層20aと、第2側面14を覆う第2絶縁層20bとを含む。
【0024】
複合材部品本体10は、第1角部18aと、第2角部18bとを含む。第1角部18aは、端面16と第1側面12との間に位置する角部であり、第2角部18bは、端面16と第2側面14との間に位置する角部である。
図1に記載の例では、第1角部18aは、丸め加工された角部であり、第2角部18bは、丸め加工された角部である。第1角部18aの丸め部分の半径R1は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下である。また、第2角部18bの丸め部分の半径R2は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下である。
【0025】
代替的に、第1角部18aは、
図2に示されるように、面取り加工された角部であってもよい。この場合、第1角部18aにおける端面側の面取り長さCa1は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下であり、第1角部18aにおける第1側面側の面取り長さCa2は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下である。同様に、第2角部18bは、
図2に示されるように、面取り加工された角部であってもよい。この場合、第2角部18bにおける端面側の面取り長さCb1は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下であり、第2角部18bにおける第2側面側の面取り長さCb2は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下である。
【0026】
図1における第1角部18a(丸め部分)、または、
図2における第1角部18a(面取り部分)は、絶縁層20によって覆われていない。また、
図1における第2角部18b(丸め部分)、または、
図2における第2角部18b(面取り部分)は、絶縁層20によって覆われていない。よって、
図1および
図2において、第1角部18aおよび第2角部18b、後述の混合材料によって絶縁被覆されるべき部分である。
【0027】
面取り加工、または、丸め加工された角部を有する端部(炭素繊維露出端部3)に、混合材料を塗布する場合、当該混合材料は、角部から、第1側面12または第2側面14に向かって、液だれし易い。また、面取り加工、または、丸め加工された角部を有する端部の全体が混合材料によって覆われていない場合には、全体が混合材料によって覆われるように混合材料を塗布し直す作業を要する。このため、当該混合材料の塗布は、従来、手作業によって行わざるを得ないと考えられていた。実施形態では、従来の技術常識を覆し、端部(炭素繊維露出端部3)への混合材料の塗布を、ディスペンサ装置を用いて行う。また、いくつかの実施形態では、混合材料の表面張力を適切且つ一定にするための機構が、任意付加的に、ディスペンサ装置のノズルに設けられている。ディスペンサ装置の詳細な構成については、後述される。
【0028】
(絶縁被覆方法)
図3および
図4を参照して、実施形態における絶縁被覆方法について説明する。
図3は、ディスペンサ装置50を用いて絶縁被覆を行う様子を模式的に示す概略断面図である。
図4は、実施形態における絶縁被覆方法を示すフローチャートである。
【0029】
絶縁被覆方法は、ディスペンサ装置50を用いて、複合材部品1の炭素繊維露出端部3を絶縁被覆する方法である。ディスペンサ装置50は、第1材料と第2材料とを混合して混合材料Maを形成し、当該混合材料Maを吐出する混合ノズル52を備える。なお、ディスペンサ装置50の混合ノズル52以外の構成については、後述される。第1材料は、液状の樹脂材料であり、かつ、電気絶縁材料である。第2材料は、液状の樹脂材料(例えば、硬化剤)であり、かつ、電気絶縁材料である。第2材料は、第1材料とは異なる材料である。第1材料と第2材料とは、混合ノズル52内で混合される。そして、混合材料Maは、時間とともに硬化する。なお、混合ノズル52の内部に、回転羽根等の混合材料撹拌機構520(
図6を参照)が設けられている場合には、混合ノズル52において、第1材料と第2材料との混合が促進される。回転羽根は、モータによって駆動されてもよい。
【0030】
第1ステップST1において、第1材料と第2材料とが、混合ノズル内で混合される。すなわち、第1ステップST1は、混合材料Maを形成する工程である。
【0031】
第2ステップST2において、混合材料Maが、混合ノズル52から、炭素繊維露出端部3に向けて吐出される。第2ステップST2は、混合ノズル52を、複合材部品1に対して、例えば、X方向(すなわち、端面16の長手方向)に相対移動させることによって行われてもよい。
【0032】
第3ステップST3において、炭素繊維露出端部3が、混合材料Maによって絶縁被覆される。
【0033】
第4ステップST4において、混合材料Maが、時間とともに硬化し、混合材料Maが炭素繊維露出端部3に固着する。
【0034】
図5は、第3ステップST3(あるいは、第4ステップST4)を実行後の、複合材部品1の状態を示す概略断面図である。
図5を参照して、複合材部品1の炭素繊維露出端部3、すなわち、端面16および角部(18a、18b)は、混合材料Maによって絶縁被覆されている。他方、複合材部品1の側面(12、14)は、絶縁層20によって絶縁被覆されている。その結果、複合材部品1と、金属部品とが接触している場合であっても、金属部品のガルバニック腐食が抑制される。
【0035】
なお、
図5に記載の例では、第1角部18aおよび第2角部18bの両方が、丸め加工された角部である。代替的に、第1角部18aおよび第2角部18bのうちの少なくとも一方が、面取り加工された角部であってもよい。
【0036】
図5に記載の例では、第1絶縁層20aの側面200aに混合材料Maが達しないように、かつ、第2絶縁層20bの側面200bに混合材料Maが達しないように、炭素繊維露出端部3が、混合材料Maによって覆われている。このため、混合材料Maが、複合材部品1の周囲に配置された他の部品と干渉するリスクが小さい。また、混合材料Maが炭素繊維露出端部3に塗布された後の複合材部品1の見栄えが良い。
【0037】
なお、第1ステップST1の実行前に、複合材部品本体10の端部を露出させて、炭素繊維露出端部を形成する工程が実行されてもよい。この場合、まず、複合材部品本体10の端部と、第1側面12と、第2側面14とが、絶縁層20で覆われている。その後の機械加工(切断加工、切削加工、研磨加工、または、これらの組み合わせ)により、複合材部品本体10の端部が、炭素繊維露出端部3として露出する。
【0038】
(ディスペンサ装置の第1例)
図6を参照して、ディスペンサ装置50についてより詳細に説明する。
図6は、ディスペンサ装置50の第1例を示す機能ブロック図である。
【0039】
ディスペンサ装置50は、第1材料を貯蔵する第1タンク54aと、第2材料を貯蔵する第2タンク54bと、第1材料と第2材料とを混合して吐出する混合ノズル52とを含む。ディスペンサ装置50は、更に、第1流路55aと、第2流路55bと、第1流量調整器56aと、第2流量調整器56bと、少なくとも1つの制御装置57とを備える。
【0040】
第1流路55aは、第1タンク54aと混合ノズル52との間に配置される。また、第2流路55bは、第2タンク54bと混合ノズル52との間に配置される。第1流路55aおよび第2流路55bの各々は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン(ポリアミド樹脂)等の合成樹脂ホースによって構成される。
【0041】
第1流量調整器56aは、第1流路55aに配置され、第1材料の流量を調整する。第1流量調整器56aは、流量調整弁であってもよいし、流量調整ポンプであってもよい。第2流量調整器56bは、第2流路55bに配置され、第2材料の流量を調整する。第2流量調整器56bは、流量調整弁であってもよいし、流量調整ポンプであってもよい。
【0042】
制御装置57は、第1流量調整器56aおよび第2流量調整器56bを制御する。すなわち、制御装置57は、第1流量調整器56aおよび第2流量調整器56bの各々に向けて制御信号を送信する。例えば、第1流量調整器56aが流量調整弁である場合には、制御装置57からの制御信号に基づいて、流量調整弁の開度が変化する。また、第2流量調整器56bが流量調整弁である場合には、制御装置57からの制御信号に基づいて、流量調整弁の開度が変化する。
図6に記載の例では、制御装置57は、第1流量調整器56aの動作を制御する第1制御装置57aと、第2流量調整器56bの動作を制御する第2制御装置57bとを備える。代替的に、1つの制御装置57が、第1流量調整器56aおよび第2流量調整器56bの動作を制御してもよい。
【0043】
図6に記載の例では、ディスペンサ装置50は、混合ノズル52を含む装置をX方向に沿って移動させる駆動機構60と、駆動機構60を制御する制御装置57cとを備える。駆動機構60は、モータ61と動力伝達機構62とを備え、制御装置57cからの制御信号に基づいて、混合ノズル52を含む装置を、X方向に沿って移動させる。なお、
図6に記載の例では、制御装置57cと、上述の流量調整器を制御する制御装置(57a、57b)とが別体であるが、第1制御装置57a、第2制御装置57b、制御装置57cは、1つの制御装置によって構成されてもよい。
【0044】
図6に記載の例では、混合ノズル52、制御装置57、駆動機構60、流量調整器(56a、56b)が、ロボット機構51に含まれている。そして、ロボット機構51が、混合ノズル52、制御装置57、駆動機構60、流量調整器(56a、56b)を一体的に、3次元移動するように構成されている。このため、混合材料を塗布すべき炭素繊維露出端部3の形状が、屈曲部を有する形状、あるいは、曲線形状である場合でも、ディスペンサ装置50は、好適に、絶縁被覆を実行可能である。代替的に、ロボット機構51は、混合ノズル52、および、駆動機構60を含み、制御装置57、および、流量調整器(56a、56b)は、ロボット機構51外に設けられていてもよい。
【0045】
なお、
図6では、混合ノズル52が移動し、複合材部品1が固定されている例が説明された。代替的に、混合ノズル52が固定され、複合材部品1が移動するように構成されてもよい。すなわち、複合材部品1が、ロボット機構などの移動機構に取り付けられてもよい。
【0046】
また、
図6に記載の例では、絶縁被覆の対象物である複合材部品1は、断面L字形状を備える細長部材である。代替的に、複合材部品1は、断面C字形状を備える細長部材であってもよいし、断面直線形状を備える平板部材であってもよい。細長部材の長手方向長さは、例えば、50mm以上6000mm以下である。
【0047】
制御装置57は、混合材料Maが、炭素繊維露出端部3から、第1側面12および第2側面14に向けて液だれしないように、流量調整器(56a、56b)および駆動機構60を制御する。例えば、制御装置57cは、混合ノズル52の炭素繊維露出端部3に対する移動速度が、5mm/秒以上80mm/秒以下となるように、駆動機構60を制御する。より具体的な移動速度は、混合材料の材質または粘度等に応じて、予め設定される。
【0048】
制御装置(57a、57b)は、混合材料Maが、炭素繊維露出端部3から、第1側面12および第2側面14に向けて液だれしないように、第1流量調整器56a、および、第2流量調整器56bを制御する。第1流量調整器56aによって制御される第1材料の流量と、第2流量調整器56bによって制御される第2材料の流量との比率を制御することにより、第1材料と第2材料との間の混合比が決定される。また、第1流量調整器56aによって制御される第1材料の流量と、第2流量調整器56bによって制御される第2材料の流量との合計流量を制御することにより、混合材料Maの吐出流量が決定される。
【0049】
例えば、制御装置(57a、57b)は、混合材料Maを炭素繊維露出端部3に適用した後の混合材料Maの状態が、
図7に示される状態となるように、第1流量調整器56a、および、第2流量調整器56bを制御する。
【0050】
図7において、混合材料Maの適用後の混合材料Maの幅(Y方向の幅)を幅aと定義し、混合材料Maの適用後の混合材料Maの高さ(端面16からの高さ)を高さbと定義し、複合材部品本体10の厚さ(Y方向の厚さ)を厚さtと定義する。この時、端面16および角部(上述の第1角部、第2角部)を混合材料Maによって確実に覆うため、幅aは、厚さtの1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。また、混合材料の液だれが生じないようにするために、高さbは、0.1mm以上、かつ、幅aの半分以下であることが好ましい。高さbが、0.1mm未満であると、複合材部品の周囲の金属部品と炭素繊維Fとの間の絶縁が不十分となる可能性がある(例えば、絶縁破壊が生じる可能性がある)。また、高さbが、幅aの半分よりも大きくなると、混合材料の液だれリスクが飛躍的に大きくなる。
【0051】
なお、上述の条件(t≦a≦1.5t、0.1mm≦b≦a/2)は、混合材料適用直後の混合材料の状態を規定する条件であるが、上述の条件は、混合材料の硬化後においても満たされる条件である。上述の条件が満たされるように、混合ノズル52の移動速度、および/または、混合ノズル52からの混合材料の吐出流量が制御される。その結果、炭素繊維露出端部3が混合材料Maによって確実に覆われ、かつ、混合材料Maの液だれが防止される。なお、厚さtは、例えば、1mm以上6mm以下である。
【0052】
代替的に、混合材料Maを炭素繊維露出端部3に適用した後の混合材料Maの状態が、
図8に示される状態となること、すなわち、液だれ状態となることが許容される場合がある。すなわち、炭素繊維露出端部3が確実に絶縁被覆されることが重視され、見栄えその他の事項は、許容度が大きい場合がある。
【0053】
図8において、混合材料Maの適用後の混合材料Maの幅(Y方向の幅)を幅aと定義し、混合材料Maの適用後の混合材料Maの高さ(端面16からの高さ)を高さbと定義し、複合材部品本体10の厚さ(Y方向の厚さ)を厚さtと定義し、端面16からの液だれ高さ(端面16と混合材料の最下方位置との間の距離であって、Z方向に沿う距離)を、液だれ高さcと定義する。この時、端面16および角部(上述の第1角部、第2角部)を混合材料Maによって確実に覆うため、幅aは、厚さtの1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。また、液だれが発生した後の高さbは、0.1mm以上であることが好ましい。高さbが、0.1mm以上であることにより、複合材部品の周囲の金属部品と炭素繊維Fとの間の絶縁が十分に確保される。加えて、液だれが発生した後の高さbは、幅aの半分以下であることが好ましい。
【0054】
炭素繊維露出端部3が混合材料Maによって確実に覆われるようにするために、液だれが発生した後の液だれ高さcは、混合材料Maが絶縁層20の上端を覆うように設定されることが好ましい。換言すれば、液だれ高さcは、混合材料Maが絶縁層20の上端に達する高さ以上であることが好ましい。
【0055】
上述の条件(t≦a≦1.5t、0.1mm≦b≦a/2、cは、混合材料Maが絶縁層20の上端を覆うよう高さ)は、混合材料を適用して液だれが発生した直後の混合材料の状態を規定する条件であるが、上述の条件は、混合材料の硬化後においても満たされる条件である。上述の条件が満たされるように、混合ノズル52の移動速度、および/または、混合ノズル52からの混合材料の吐出流量が制御される。その結果、炭素繊維露出端部3が混合材料Maによって確実に覆われる。
【0056】
(ディスペンサ装置の第2例)
図9を参照して、ディスペンサ装置50の第2例について説明する。
図9は、ディスペンサ装置50の第2例を示す機能ブロック図である。以下において、
図9に記載の例と、
図6に記載の例との相違点を中心に説明し、
図9に記載の例が
図6に記載の例と同様である部分についての説明は省略する。
【0057】
図9に記載の例では、複合材部品1の形状が、
図6に記載された複合材部品の形状と異なる。
図9に記載の例における複合材部品1は、曲面状の端面16を備える。
図9に記載の例では、曲面状の端面16に沿って複合材料を塗布するため、ディスペンサ装置50が、駆動機構60を備えるのに加え、複合材部品1を支持する支持部材80が、駆動機構90を備える。より具体的には、
図9に記載の例では、混合ノズル52が、3次元移動可能であるとともに、複合材部品1を支持する支持部材80の複合材部品支持部81が、3次元移動可能である。このため、曲面状の端面16が、どのような形状であっても、例えば、曲面状の端面16が、上方を向く面と下方を向く面とを含む場合であっても、ディスペンサ装置50は、端面16を覆うように(上方を向く面と下方を向く面との両方を覆うように)、混合材料を塗布することが可能である。なお、駆動機構90は、モータと、動力伝達機構とを含む。
【0058】
図9に記載の例では、第1流量調整器56aと、第2流量調整器56bと、駆動機構60とが、1つの制御装置57によって制御される。流量調整器(56a、56b)と、駆動機構60とを一つの制御装置57によって制御することにより、制御装置の数が減少する。その結果、ディスペンサ装置50が軽量化される。また、流量調整器(56a、56b)と、駆動機構60との間の同期制御がより確実となる。なお、
図9に記載の例では、制御装置57が、ロボット機構51内に配置されているが、制御装置57は、ロボット機構51外に設置されていてもよい。同様に、流量調整器(56a、56b)も、ロボット機構51内ではなく、ロボット機構51外に設けられていてもよい。
【0059】
図9に記載の例では、第1タンク54a内の第1材料が、第1流量調整器56aに向かって供給される。また、第2タンク54b内の第2材料が、第2流量調整器56bに向かって供給される。第1流路55aに設けられた供給ポンプ(図示せず)によって、第1タンク54a内の第1材料が第1流量調整器56aに向かって供給され、第2流路55bに設けられた供給ポンプ(図示せず)によって、第2タンク54b内の第2材料が第2流量調整器56bに向かって供給されてもよい。
【0060】
なお、
図9に記載のディスペンサ装置50を用いて、混合材料Maを炭素繊維露出端部3に適用した後における混合材料Maの状態は、
図7に示される状態であってもよいし、
図8に示される状態であってもよい。
【0061】
(混合ノズルの開口部の形状)
図10A、および、
図10Bを参照して、混合ノズルの開口部の形状の第1例について説明する。
図10Aは、混合ノズル52および複合材部品1の概略断面図であり、
図10Bは、混合ノズル52のA−A矢視図、すなわち、底面図である。
【0062】
図10A、および、
図10Bに記載の例では、混合ノズル52の開口部52Aの形状は、円形状である。開口部52Aの形状が円形状である場合、混合材料Maは、中央部分が盛り上がるように、炭素繊維露出端部3に塗布される。換言すれば、混合材料Maの上面Muの断面形状は、円弧形状となる。
【0063】
図11A、および、
図11Bを参照して、混合ノズルの開口部の形状の第2例について説明する。
図11Aは、混合ノズル52および複合材部品1の概略断面図であり、
図11Bは、混合ノズル52のB−B矢視図、すなわち、底面図である。
【0064】
図11A、および、
図11Bに記載の例では、混合ノズル52の開口部52Bの形状は、Y方向に長い細長形状である。開口部52Bの形状は、長方形形状であってもよいし、長円形状であってもよい。開口部52Bの形状が細長形状である場合、混合材料Maは、中央部分の上面が平坦となるように、炭素繊維露出端部3に塗布される。換言すれば、混合材料Maの上面Muの断面形状は、直線形状となる。よって、混合材料Maをより薄く塗布したい場合、あるいは、液だれをより確実に防止したい場合には、開口部52Bの形状が細長形状である混合ノズル52を採用するとよい。
【0065】
実施形態における絶縁被覆方法を用いた場合、従来の手作業による絶縁被覆方法と比較して、絶縁被覆(エッジシーリング)をより均一に実施することが可能となる。特に、混合材料を塗布する場合には、材料を混合してから時間経過とともに混合材料の粘性が変化する。これに対し、実施形態では、材料を混合してから直ちに混合材料の塗布が行われるため、塗布時における混合材料の粘性が一定に保たれる。その結果、絶縁被覆(エッジシーリング)をより均一に実施することが可能となる。また、絶縁被覆(エッジシーリング)作業に要する時間が短縮される。
【0066】
複合材部品の端部の厚さは、例えば、1mm以上6mm以下であって、かなり薄い。このように薄い部品の端部に混合材料を塗布する場合、従来、手作業によって塗布せざるを得ないと考えられていた。これに対し、実施形態では、このように薄い部品の端部に混合材料を塗布する際の作業を自動化している点で画期的である。特に、端部に、面取り加工、または、丸め加工された角部が設けられている場合、液だれおよび/または被覆不完全のリスクが高い。実施形態では、面取り加工、または、丸め加工された角部を有する複合材部品の端部に混合材料を塗布する際の作業を自動化している点で画期的である。
【0067】
(第1変形例)
図12を参照して、ディスペンサ装置および絶縁塗布方法の第1変形例について説明する。
図12は、混合ノズル52’の構成を模式的に示す概略断面図である。第1変形例では、混合材料の表面張力を適切且つ一定にするための機構が、ディスペンサ装置の混合ノズル52’に設けられている。その他の点では、第1変形例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法は、上述の第1例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法、または、第2例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法と同様である。このため、第1変形例においては、混合ノズル52’について詳細に説明し、混合ノズル52’以外の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0068】
第1変形例では、混合ノズル52’は、ノズル延長部521を備える。ノズル延長部521は、混合材料撹拌機構520(例えば、回転羽根)の遠位端よりも遠位側の部分である。第1変形例において、ノズル延長部521の長さLは、0mmより大きい。ノズル延長部521の長さLは、例えば、5mm以上、50mm以上、あるいは、200mm以上である。また、ノズル延長部521の長さLは、1000mm以下であってもよい。ノズル延長部521の長さLが長い場合には、ノズル延長部521を混合ノズル本体部とは別に設け、ノズル延長部521と混合ノズル本体部とを接合することにより、混合ノズル52’を形成してもよい。この場合、ノズル延長部521は、剛体である管であってもよいし、可撓性を有するチューブであってもよい。
【0069】
混合ノズル52’が、ノズル延長部521を備える場合には、ノズル延長部521内で混合材料の表面張力(あるいは粘度等)が適切に調整される。例えば、混合材料撹拌機構520を通過後の混合材料の粘度が低い場合を想定する。この場合、混合材料を、炭素繊維露出端部に塗布すると、混合材料の液だれが生じるリスクがある。これに対し、混合ノズル52’が、ノズル延長部521を備える場合には、ノズル延長部521内で、混合材料の硬化が開始される。そして、ノズル延長部521内で混合材料の表面張力(あるいは粘度等)が適切に調整される。その結果、混合材料の液だれリスクが低減される。
【0070】
なお、ノズル延長部521の構成は、
図6に記載の例、または、
図9に記載の例のいずれにおいても採用可能な構成である。また、ノズル延長部521の構成を、
図11Bに記載の開口部52Bの構成と組み合わることも可能である。この場合、ノズル延長部521の遠位端の開口部の形状を細長形状とすればよい。
【0071】
(第2変形例)
図13を参照して、ディスペンサ装置および絶縁塗布方法の第2変形例について説明する。
図13は、混合ノズル52’の構成および温度調整装置525の構成を模式的に示す概略断面図である。第2変形例では、混合材料の温度を調整する温度調整装置525が設けられている。その他の点では、第2変形例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法は、上述の第1変形例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法と同様である。このため、第2変形例においては、温度調整装置525について詳細に説明し、温度調整装置525以外の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0072】
温度調整装置525は、例えば、ヒータ等を含む加熱装置である。
図13に記載の例では、温度調整装置525は、ノズル延長部521に面するように、ノズル延長部521の周囲に配置されている。温度調整装置525は、ノズル延長部521を囲むように環状に配置されてもよい。代替的に、温度調整装置525が、ノズル延長部521の壁部内に組み込まれていてもよい。
【0073】
温度調整装置525が発する熱量は、制御装置57等からの制御信号に基づいて制御される。その結果、ノズル延長部521内における混合材料の温度が、一定温度(適切な温度)に維持される。混合材料の温度が、一定温度に維持されることにより、混合材料の表面張力が適切に調整される。例えば、ノズル延長部521の先端から吐出される混合材料の粘度が低い場合を想定する。この場合、混合材料を、炭素繊維露出端部3に塗布すると、混合材料の液だれが生じるリスクがある。これに対し、ディスペンサ装置が温度調整装置525を備える場合には、ノズル延長部521内における混合材料の温度を、適切にコントロールできる。そして、ノズル延長部521内における混合材料の表面張力(あるいは粘度等)が適切に調整される。その結果、混合材料の液だれリスクが低減される。他方、ノズル延長部521の先端から吐出される混合材料の粘度が高い場合には、温度調整装置525を用いて、混合材料の粘度を低下させればよい。混合材料の粘度を低下させる場合には、混合材料が、炭素繊維露出端部3の全体を覆わないリスク、すなわち、絶縁不良発生のリスクが低減される。
【0074】
上述の例では、温度調整装置525が加熱装置を含む例について説明された。代替的に、あるいは、付加的に、温度調整装置525が冷却装置を含んでいてもよい。また、上述の例では、温度調整装置525は、混合材料撹拌機構520を通過後の混合材料の温度を調整するためのものである。代替的に、温度調整装置525は、混合材料撹拌機構520を通過中の混合材料の温度を調整するためのものであってもよい。この場合、温度調整装置525は、混合ノズル本体部に面するように、あるいは、混合ノズル本体部の壁部内に配置されればよい。この場合、ノズル延長部521の構成は省略されてもよい。しかし、温度調整装置525を、混合ノズル本体部に面するように配置するよりも、ノズル延長部521に面するように配置した方が、より適切に、混合材料の表面張力の調整を行うことが可能である。
【0075】
なお、温度調整装置525の構成は、
図6に記載の例、
図9に記載の例、または、
図11に記載の例のいずれにおいても採用可能な構成である。
【0076】
(第3変形例)
図14を参照して、第3変形例におけるディスペンサ装置50および絶縁塗布方法について説明する。
図14は、第3変形例におけるディスペンサ装置を示す機能ブロック図である。第3変形例におけるディスペンサ装置50および絶縁塗布方法は、混合材料ではなく、第1材料を炭素繊維露出端部3に塗布する点で、上述の第1例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法、または、第2例におけるディスペンサ装置および絶縁塗布方法と異なる。第1材料は、電気絶縁性の樹脂(例えば、電気絶縁性の接着剤)である。
【0077】
混合材料ではなく、1液性樹脂(例えば、1液性の接着剤)を用いて、炭素繊維露出端部3を絶縁被覆する場合も想定し得る。第3変形例におけるディスペンサ装置50は、混合材料の塗布に加え、1液性樹脂の塗布にも対応可能である。すなわち、第3変形例におけるディスペンサ装置50は、第2材料のノズル52’’への供給を止めた状態で、使用可能である。
【0078】
第3変形例におけるディスペンサ装置50を用いて、第1材料を、ノズル52’’から炭素繊維露出端部3に向けて吐出する場合には、第1タンク54a内の第1材料を、第1タンク54aから、第1流路55aを介して、ノズル52’’に供給する。第1流路55aには、第1流量調整器56aが配置されており、当該第1流量調整器56aによって、ノズル52’’に供給される第1材料の流量が調整される。他方、第2流路55bは、閉鎖されており(例えば、第2流量調整器56bがバルブである場合には、当該バルブが閉状態にされており)、ノズル52’’に第2材料が供給されることはない。
【0079】
ノズル52’’から供給された第1材料は、炭素繊維露出端部3上で、硬化し、炭素繊維露出端部3を絶縁被覆する。
【0080】
なお、ノズル52’’は、混合材料撹拌機構520等を備えた混合ノズルであってもよいし、混合材料撹拌機構520等を備えない汎用のノズルであってもよい。すなわち、第3変形例における絶縁塗布方法では、ノズル52’’内で、混合材料を形成する必要がない。このため、ノズル52’’として、汎用のノズルを採用することが可能である。より具体的には、第3変形例におけるディスペンサ装置50を用いて混合材料を塗布する場合には、混合ノズルをディスペンサ装置50に取り付け、第3変形例におけるディスペンサ装置50を用いて第1材料のみを塗布する場合には、混合材料撹拌機構を備えないノズルをディスペンサ装置50に取り付ければよい。
【0081】
なお、第3変形例におけるディスペンサ装置50および絶縁塗布方法を、第1変形例におけるディスペンサ装置50および絶縁塗布方法と組み合わせること、あるいは、第3変形例におけるディスペンサ装置50および絶縁塗布方法を、第2変形例におけるディスペンサ装置50および絶縁塗布方法と組み合わせることも可能である。例えば、ノズル52’’に、ノズル延長部521を設けてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、ノズル延長部521またはノズル本体部に面するように、温度調整装置525を配置してもよい。
【0082】
第3変形例におけるディスペンサ装置50は、第1材料のみの塗布にも対応可能である、このため、ディスペンサ装置の汎用性が向上する。
【0083】
以上、ディスペンサ装置を用いて、複合材部品の炭素繊維露出端部を絶縁被覆する絶縁被覆方法の実施形態を説明したが、本発明における絶縁被覆方法は、上記の具体例に限定されるものではなく、種々の改変を施すことができる。例えば、複合材部品の端部の厚さが比較的厚い場合(例えば、厚さが5mm以上である場合)には、混合ノズル52を、炭素繊維露出端部3の長手方向に沿って、往復動させてもよい。すなわち、混合ノズル52による混合材料の塗布は、1列に沿って行われる必要はなく、2列以上の複数列に沿って行われてもよい。また、混合ノズルの開口部は、1つではなく、複数あってもよい。例えば、複数の開口部がY方向に沿って配置された混合ノズルを用いる場合、
図11Aおよび
図11Bに開示された細長形状の開口部を有する混合ノズルを用いる場合と、同様の効果(混合材料を薄く塗布できるとの効果)が期待できる。
【0084】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施例に種々の改変を施すことも可能である。
ディスペンサ装置を用いて、複合材部品の炭素繊維露出端部を絶縁被覆する絶縁被覆方法である。ディスペンサ装置は、第1材料、または、第1材料と第2材料とを混合して得られる混合材料を吐出するノズルを含む。絶縁被覆方法は、第1材料または混合材料を、ノズルから、炭素繊維露出端部に向けて吐出する吐出工程と、炭素繊維露出端部を、第1材料または混合材料によって絶縁被覆する被覆工程とを具備する。