特許第6367496号(P6367496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367496アセンブリ、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリを設置する方法及びそのようなアセンブリを含む循環流動層ボイラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367496
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】アセンブリ、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリを設置する方法及びそのようなアセンブリを含む循環流動層ボイラー
(51)【国際特許分類】
   F23C 10/10 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   F23C10/10
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-553902(P2017-553902)
(86)(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公表番号】特表2018-511774(P2018-511774A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】FI2017050008
(87)【国際公開番号】WO2017125641
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】20165029
(32)【優先日】2016年1月19日
(33)【優先権主張国】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】スミトモ エスエイチアイ エフダブリュー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランキネン、ペンティ
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/65175(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/048849(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/185796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環流動層ボイラーに対して鉛直位置に接続可能な、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリであって、
前記熱交換チャンバモジュールが、上面(60)を備え、
前記粒子分離機モジュールが、上方から支持可能であって、管壁構造を有する外壁をもつ円筒形状上部(20)と、円錐形状下部(24)と、循環流動層ボイラーに関連して使用される際に前記粒子分離機モジュールから前記熱交換チャンバモジュールへと粒子を搬送できるように前記熱交換チャンバモジュールの前記上面にシール可能に接続可能な下端部(26)とを備え、
前記粒子分離機モジュール(14)には、
‐2N本の鉛直配向蒸気管(46)であって、Nが2以上の整数であり、前記2N本の鉛直配向蒸気管(46)のそれぞれが、前記円筒形状上部(20)に取り付けられ、前記円筒形状上部と前記下端部(26)との間に位置付けられる所定高さ(50)まで下方に延在する、2N本の鉛直配向蒸気管(46)と、
‐N本の第1梁(52,52’)であって、前記N本の第1梁のそれぞれが前記2N本の鉛直配向蒸気管(46)の隣接する2本の蒸気管によって前記所定高さ(50)において水平位置に吊り下げられるように、前記2N本の鉛直配向蒸気管のそれぞれが、前記N本の第1梁の1つに取り付けられている、N本の第1梁(52,52’)と
が設けられ、
前記熱交換チャンバモジュール(16)には、
‐前記熱交換チャンバモジュールの前記上面(60)に対して水平位置に取り付けられるN本の第2梁(56,56’)
が設けられ、
前記熱交換チャンバモジュール(16)が、前記N本の第1梁(52,52’)の隣接する2本の梁によって前記N本の第2梁(56,56’)のそれぞれを懸垂させることで、前記粒子分離機モジュール(14)から懸垂されるように配置されることを特徴とする、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項2】
前記鉛直配向蒸気管(46)のそれぞれが、前記円筒形状上部の前記外壁における取付領域(48)内に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項3】
前記取付領域(48)が、前記粒子分離機モジュールの前記円筒形状上部(20)の前記外壁に沿って鉛直方向に少なくとも2メートル延在することを特徴とする、請求項2に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項4】
Nが2に等しく、前記取付領域(48)が水平方向に長方形のパターンを形成し、前記熱交換チャンバモジュールの前記上面(60)が互いに対して平行な対向する2つの縁部を備え、前記2本の第2梁(56,56’)が前記上面の前記対向する2つの縁部に取り付けられ、前記熱交換チャンバモジュール(16)が、前記2本の第2梁(56,56’)を前記2本の第1梁(52,52’)に対して垂直に配列することで、前記粒子分離機モジュール(14)から懸垂されるように配置されることを特徴とする、請求項2に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項5】
前記熱交換チャンバモジュールが、それぞれが第1梁の端部を隣接する第2梁の端部に取り付ける2N本の中間吊り棒(54)によって前記N本の第1梁(52,52’)から前記N本の第2梁(56,56’)を懸垂させることで、前記粒子分離機モジュールから懸垂されるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項6】
前記粒子分離機の前記円筒形状上部(20)が多角形状の水平断面を有し、2M個の角部(30)を備え、Mが2以上の整数であって、MがNに等しい又はMがNより大きく、前記2N本の鉛直配向蒸気管(46)のそれぞれが前記角部の1つに取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項7】
前記粒子分離機の前記円筒形状上部(20)が、鉛直配向蒸気管(46)が取り付けられた各2つの角部(30)の間に、鉛直配向蒸気管が取り付けられない偶数の角部を備えることを特徴とする、請求項6に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項8】
Mが8に等しく、Nが2に等しく、蒸気管(46)が取り付けられた各2つの角部の間の、鉛直配向蒸気管が取り付けられない連続する角部(30)の個数が、4‐2‐4‐2と変化することを特徴とする、請求項に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項9】
熱交換チャンバモジュールが有する管壁構造が、前記循環流動層ボイラーにおいて使用される際に、前記粒子分離機モジュールの前記円筒形状上部(20)の前記管壁構造と直接流通接続することなく配置されることを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項10】
前記下端部(26)が、プレートシーリングによって前記熱交換チャンバモジュールの前記上面(20)にシール可能に接続可能であることを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリ。
【請求項11】
請求項1〜1のいずれか一項に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリを備えることを特徴とする循環流動層ボイラー(10)。
【請求項12】
請求項1〜1のいずれか一項に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリを、循環流動層ボイラープラント(10)の支持構造(36)に設置する方法であって、
前記粒子分離機モジュールを、上方から前記循環流動層ボイラープラントの前記支持構造に支持するステップと、
前記熱交換チャンバモジュールを、前記N本の第1梁(52,52’)の隣接する2本の梁によって前記N本の第2梁(56,56’)のそれぞれを懸垂させることで前記粒子分離機モジュールから懸垂させるステップと
を含むことを特徴とする、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリを設置する方法。
【請求項13】
Nが2に等しく、前記熱交換チャンバモジュールを、前記2本の第2梁(56,56’)を前記2本の第1梁(52,52’)に対して垂直に配列することで、前記粒子分離機モジュールから懸垂させるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリを設置する方法。
【請求項14】
前記熱交換チャンバモジュールを、それぞれが第1梁の端部を隣接する第2梁の端部に取り付ける2N本の中間吊り棒(54)によって前記N本の第1梁(52,52’)から前記N本の第2梁(56,56’)を懸垂させることで、前記粒子分離機モジュールから懸垂させるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の、粒子分離機モジュール(14)と熱交換チャンバモジュール(16)とのアセンブリを設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルに記載の、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリ、そのようなアセンブリを含む循環流動層ボイラー及びそのようなアセンブリを設置する方法に関する。より具体的には、本発明は、循環流動層ボイラー内に接続可能な粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリの様々な態様に関し、粒子分離機モジュールは、円筒形状の上部と、円錐形状の下部と、循環流動層ボイラーにおいて使用される際に粒子分離機モジュールから熱交換チャンバモジュールへと粒子を搬送できるように熱交換チャンバモジュールの上面にシール可能に接続可能な下端部とを備える。
【背景技術】
【0002】
循環流動層ボイラーは、炉と、その炉の上部と流通接続して、炉から排出される排ガスから粒子を分離する粒子分離機とを備える。分離された粒子の少なくとも一部が、粒子分離機から戻り流路を介して炉の下部へと戻される。戻り流路内には、粒子の緩速流動層内に埋め込まれた熱交換面を備える熱交換チャンバが配置されることが多い。このような粒子の流動層を含む熱交換チャンバは比較的重い構造であることから、支持するのに特別な手段を必要とする。大規模な循環流動層ボイラープラントにおける炉及び粒子分離機は、通常、プラントの支持構造によって上方から支持される。従来の慣例によれば、熱交換チャンバは、下方から支持されるか、又は共通構造物として炉の側壁と一体化される。下方から支持される熱交換チャンバは、例えば特許文献1に示されるように、ユニット間の熱膨張差を補償するように複雑な手段を必要とする。特許文献2に示すもののような、炉の側壁と一体化した熱交換チャンバは、炉の下部に組み付けられる他のシステムのための空間の不足を引き起こすことがある。
【0003】
特許文献3は、ボイラーの支持構造物から吊支される水管構造として一体化された、粒子分離機と熱交換チャンバとのアセンブリを開示している。この構造は製造及び組立が困難となりうる他、その緊密な一体化によって、粒子分離機及び熱交換チャンバのサイズ及び構成を個別に最適化する可能性を制限してしまうことがある。
【0004】
特許文献4は、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとを備え、熱交換チャンバモジュールが、蒸気管を備える懸垂手段によって粒子分離機モジュールから懸垂された、アセンブリを開示している。この構造は比較的単純だが、組立が未だ比較的困難である他、粒子分離機及び熱交換チャンバのサイズ及び構成を個別に最適化する可能性を制限してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/041764号
【特許文献2】米国特許第5,526,775号明細書
【特許文献3】欧州特許第2,361,148号明細書
【特許文献4】欧州特許第1,259,758号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先行技術における上記の或いは他の問題の少なくとも一部を最小限に抑えた、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリ、そのようなアセンブリを含む循環流動層ボイラー及びそのようなアセンブリを設置する方法を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、実質的に、独立請求項及び本発明の様々な実施例をより詳細に説明する他の請求項に開示されるように実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様によれば、循環流動層ボイラーに対して鉛直位置に接続可能な、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリであって、熱交換チャンバモジュールは上面を備え、粒子分離機モジュールは上方から支持可能であり、管壁構造を有する外壁を含む円筒形状上部と、円錐形状下部と、熱交換チャンバモジュールの上面にシール可能に接続可能な下端部とを備えることで、循環流動層ボイラーにおいて使用される際に粒子分離機モジュールから熱交換チャンバモジュールへと粒子を搬送できるように熱交換チャンバモジュールの上面にシール可能に接続可能な下端部とを備える、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリにおいて、粒子分離機モジュールには、Nが2以上の整数であり、それぞれが円筒形状上部20に取り付けられ、円筒形状上部と下端部との間に位置付けられる所定高さまで下方に延在する、2N本の鉛直配向蒸気管と、それぞれが、2N本の鉛直配向蒸気管の隣接する2本の蒸気管によって所定高さにおいて水平位置に吊り下げられ、その1つに2N本の鉛直配向蒸気管が取り付けられる、N本の第1梁(52,52’)とが設けられ、熱交換チャンバモジュールには、熱交換チャンバモジュールの上面に対して水平位置に取り付けられるN本の第2梁(56,56’)が設けられ、熱交換チャンバモジュールは、N本の第1梁(52,52’)の隣接する2本の梁にN本の第2梁(56,56’)を懸垂させることで、粒子分離機モジュールから懸垂されるように配置されることを特徴とする、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリが提供される。
【0009】
先に定義された本発明の態様によって、粒子分離機と熱交換チャンバとが個別のモジュールであり、そのサイズ及び形状を別々に設計及び最適化することができるという利点が提供される。粒子分離機及び熱交換チャンバは個別に製造することができ、循環流動層ボイラーに接続して設置する際に、粒子分離機と熱交換チャンバとを極めて簡単且つ効率的な方法で接続することができる。そのため、粒子分離機モジュール及び熱交換チャンバモジュールはモジュールへの要求及びそれらの周辺の構造物に基づいて設計することができ、モジュールの設置を特に短い工程で経済的に実現することができる。
【0010】
鉛直配向蒸気管のそれぞれは、有利には、粒子分離機の円筒形状上部の外壁における取付領域内に取り付けられる。取付領域は、有利には、粒子分離機モジュールの円筒形状上部の外壁に沿って鉛直方向に少なくとも2メートル延在する。これによって、鉛直配向蒸気管と粒子分離機モジュールの上部の管壁構造との良好な機械的接触及び熱的接触が確保される。
【0011】
Nが2に等しい場合、鉛直配向蒸気管は4本存在し、4本の鉛直配向蒸気管の取付領域は、有利には、水平方向に長方形のパターン、特に有利には長方形のケースを形成し、すなわちこの場合、熱交換チャンバは長方形状の水平断面を有する。これによって、熱交換チャンバモジュールの上面は互いに対して平行な対向する2つの縁部を備え、2本の第2梁が、有利には、その対向する2つの縁部に取り付けられる。そして、熱交換チャンバモジュールは、有利には、第2梁を第1梁に対して垂直に配列することで、粒子分離機モジュールから懸垂されるように配置される。
【0012】
熱交換チャンバモジュールは、有利には、それぞれが第1梁の端部を隣接する第2梁の端部に取り付ける2N本の中間吊り棒によってN本の第1梁にN本の第2梁を懸垂させることで、粒子分離機モジュールから懸垂されるように配置される。そのため、中間吊り棒は、第1及び第2梁を互いの端部、大抵の場合梁の略端部を、有利には、梁の中央の両端に少なくとも対称的に取り付けるのが好ましい。
【0013】
長方形のケースにおいて、第2梁同士の距離は、有利には、熱交換チャンバモジュールの上面の対向する各縁部間の距離と同じである。そのため、中間吊り棒は、熱交換チャンバモジュールの上面の対向する各縁部間の距離に対応する距離を置いて第1梁に取り付けられる。従って、熱交換チャンバモジュールの上面の対向する縁部間の距離が第1梁の長さよりも短い場合、中間吊り棒は、第1梁の実際の端部からは離間した第1梁の端部に取り付けられる。
【0014】
第2梁は、有利には、熱交換チャンバの上面の対向する2つの縁部に、縁部の長さに沿って略均等に配設された複数の下方吊り棒によって取り付けられる。そのため、上面の縁部が第1梁間の距離を越えて延在する場合、第2梁の長さは第1梁間の距離よりも長くなり、中間吊り棒は、第2梁の実際の端部からは離間した位置において第2梁に取り付けられる。
【0015】
粒子分離機モジュールの円筒形状上部の断面は円形状であってもよいが、本発明の好適な実施例によれば、円筒形状上部は多角形状の水平断面を有する。そして、その断面は、有利には、2M個の角部を備え、Mは2以上の整数であり、鉛直配向蒸気管の取付領域は、円筒形状上部の外壁内における2M個の角部に隣接して位置付けられる。そのため、鉛直配向蒸気管のそれぞれは角部の1つに取り付けられる。つまり、最も単純な多角形状断面は、角部のそれぞれに1本ずつ取り付けられた鉛直配向蒸気管を有する正方形である。
【0016】
Mが3に等しい場合、粒子分離機の円筒形状上部の断面は六角形状となり、6つの角部を備える。そして、そこに6本の鉛直な蒸気管と、3本の第1梁と、3本の第2梁とが存在することが可能になる。しかしながら、通常、熱交換チャンバモジュールが長方形状の断面を有するため、六角形状断面を含む上部を有する粒子分離機を含むアセンブリは、4本の鉛直配向蒸気管があるという意味で不均整であることが好ましい。これによって、鉛直配向蒸気管は、対として隣接する4つの角部内には取り付けられるが、残りの2つの角部には取り付けられない。
【0017】
有利には、Nは2に等しく、Mは4、6又は8といった偶数であるため、角は4で割ることができる数となる。こうして、4本の鉛直配向蒸気管を4つの角部に均整が取れるように取り付けることができる。本発明の有利な実施例によれば、Mは6に等しく、粒子分離機の上部の断面は12個の角部を備える。こうして、3つ毎の角部に鉛直配向蒸気管が取り付けられ、どの3つの隣接する角部の他の2つの角にも鉛直配向蒸気管が取り付けられない、均整が取れた構造を実現できる。
【0018】
長方形のケースにおいて、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリでは、流動層ボイラーの炉との接続性の観点から、鉛直配向蒸気管は3つ毎の角部のみに取り付けられるか、又は、より一般的には、蒸気管が取り付けられた2つの角毎に、鉛直配向蒸気管を含まない偶数個の角が存在するものが特に有利である。この有利性は、アセンブリがその自然な位置に設置される場合、すなわち、第2梁の内1本が炉の隣接する側壁と平行となり、炉の隣接する側壁に対して平行又は垂直な粒子分離機の上部の表面が、隣接する2本の鉛直配向蒸気管同士の間の中央に存在する場合に基づく。そのため、粒子分離機が上方から支持される場合でも、上部への追加の側部支持体を、特に有利には、炉又は炉の壁と並ぶ任意の構造物から配置することができる。
【0019】
本発明の特に有利な実施例によれば、Mは8に等しいことから、粒子分離機の上部の断面は16個の角部を備える。16個の角部を含む、粒子分離機モジュールの円筒形状上部は、有利には、16枚の真っ直ぐな水管パネルから形成することができる。そして、このパネルは、均整が取れるように下方に延在且つ内方に湾曲させることができるため、粒子分離機モジュールの円錐形状下部をその下端部から形成することもできる。
【0020】
また、16個の角部を含む構造でも、4つ毎の角部に鉛直配向蒸気管が取り付けられ、4つの隣接する角部の他の3つの角には鉛直配向蒸気管が取り付けられない、均整が取れた構造を実現できる。しかしながら、本発明の更に有利な実施例によれば、16個の角部を含む構造は、上記の、鉛直配向蒸気管を含まない隣接する偶数個の角を有する有利性の観点から、鉛直配向蒸気管を含まない隣接する角部の数が4‐2‐4‐2と連続して変化する、均整が取れた構造を実現できる。
【0021】
本発明の好適な実施例によれば、熱交換チャンバモジュールは、粒子分離機モジュールの円筒形状上部の管壁構造と直接流通接続することなく配置される管壁構造を有する。そのため、熱交換チャンバモジュール及び粒子分離機モジュールの管壁構造はほとんど独立している。このため、粒子分離機モジュールの下端部は、特に簡単な手段、プレートシーリングによって、熱交換チャンバモジュールの上面にシール可能に接続可能である。
【0022】
熱交換チャンバモジュールの管壁構造が粒子分離機の管壁構造と直接流通接触しないことから、熱交換チャンバモジュールを設置する際に粒子分離機モジュールに管壁接続を作る必要がない。これにより、熱交換チャンバモジュールを、設置する前に略完全に製造することが可能となり、最終的な位置付けにおける手動の製造工程を最小限に抑えることができる。そのため、本発明によって、熱交換チャンバモジュールの特に簡単且つ迅速な設置を提供することが可能になる。
【0023】
本発明の他の利点は、これらのモジュールが第1及び第2梁によって機械的に接続されることから、熱交換チャンバモジュールの長さを、粒子分離機モジュールのサイズによって制限されることなく、任意の所望のサイズ、幅及び深さに増加させることができることである。そのため、熱交換チャンバモジュールの幅及び深さは、例えば、粒子分離機の直径よりも明らかに小さく又は明らかに大きくすることができる。
【0024】
他の態様によれば、本発明によって、上記の実施例のいずれかに係る、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリを備える循環流動層ボイラーが提供される。
【0025】
更に他の態様によれば、本発明によって、上記の、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリを、循環流動層ボイラープラントの支持構造に設置する方法が提供される。そして、この方法は、粒子分離機モジュールを、上方から循環流動層ボイラープラントの支持構造に支持することと、熱交換チャンバモジュールを、2本の第1梁に第2梁のそれぞれを懸垂させることで、粒子分離機モジュールから懸垂させることとを含む。
【0026】
熱交換チャンバモジュールは、有利には、それぞれが第1梁の端部を隣接する第2梁の端部に取り付ける中間吊り棒によって第1梁に第2梁を懸垂させることで、粒子分離機モジュールから懸垂される。熱交換チャンバモジュールは、第2梁を2本の第1梁に対して垂直に配列することで、粒子分離機モジュールから懸垂されるのが好ましい。
【0027】
以下、本発明は添付の例示的且つ概略的な図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例に係る、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリを備える循環流動層ボイラーの側面図を概略的に示す。
図2】本発明の第1実施例に係る、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリの後面図を概略的に示す。
図3】本発明の第1実施例に係る、粒子分離機モジュールと熱交換チャンバモジュールとのアセンブリの水平断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の例示的な実施例に係る、炉12と、粒子分離機モジュール14と、熱交換チャンバモジュール16とを備える循環流動層ボイラープラント10の側面図を概略的に示す。以下、粒子分離機モジュール14及び熱交換チャンバモジュール16は、代わりに単に粒子分離機及び熱交換チャンバと称されてもよく、前者の呼称は、粒子分離機14及び熱交換チャンバ16が、製造及び設置の観点から、特に単純な手段によってアセンブリを設置する間だけ接続する独立したユニット或いはモジュールであることを強調したい場合に特に使用される。
【0030】
排煙排出流路18が炉12の上部と粒子分離機14の円筒形状上部20とを接続する。清浄化ガス流路22が粒子分離機14の上端に接続され、清浄化した排煙を粒子分離機14から搬送して更に処理する。分離された粒子は粒子分離機14の円錐形状下部24及び下端部26を通過し熱交換チャンバ16へと落下する。冷却された粒子は熱交換チャンバ16から戻り流路28を通過し炉12の下部へと案内される。
【0031】
この実施例における粒子分離機14の上部20の水平断面は、図1に縦線30として示す16個の角を含む正多角形である。熱交換チャンバ16は、1つの側面32が炉の隣接する側壁34と平行な長方形状の水平断面を有する。この図1の実施例では、熱交換チャンバモジュール16の水平寸法は粒子分離機モジュールの水平寸法よりも明らかに小さい。図1に示すアセンブリの利点は、概して、2つのモジュールの水平寸法が互いに制限されないという点である。そのため、熱交換チャンバモジュールの水平寸法は、代わりに、例えば粒子分離機モジュールの水平寸法より大きくすることもできる。
【0032】
炉12及び粒子分離機14は、それぞれ、第1上方吊り棒38及び第2上方吊り棒40によってボイラープラントの固定支持構造36から吊支される。熱交換チャンバモジュール16は、粒子分離機モジュール14から、粒子分離機モジュール14及び熱交換チャンバモジュール16にそれぞれ取り付けられた専用支持手段42,44によって吊るされるように配置される。
【0033】
粒子分離機モジュール14に取り付けられた支持手段42は4本の鉛直配向蒸気管46を備え、蒸気管のそれぞれは粒子分離機14の円筒形状上部20の取付領域48内に取り付けられている。蒸気管46は、通常、粒子分離機14の円筒形状上部20の4つの角30における、有利には粒子分離機の上部20の下端から上方に向かって少なくとも2メートル延在する取付領域48内に溶接される。鉛直配向蒸気管46は、粒子分離機の円筒形状上部20の下端から粒子分離機モジュールの円筒形状上部20と下端部26との間に位置付けられる所定高さ50まで下方に延在する。鉛直配向蒸気管46は、図1には示されていないが、通常、一次過熱器と二次過熱器とを接続する管といった、ボイラープラント10の蒸気生成システムの一部である。
【0034】
粒子分離機モジュール14に取り付けられた支持手段42は、所定高さ50において互いに対して平行な水平位置に吊り下げられる2本の第1梁52,52’を備え、第1梁のそれぞれは隣接する2本の蒸気管46から吊るされる。熱交換チャンバモジュール16を粒子分離機モジュール14と接続するように設置する場合、第1梁52,52’は、中間吊り棒54によって、熱交換チャンバモジュール16に取り付けられた支持手段44に接続される。
【0035】
熱交換モジュール16に取り付けられた支持手段44は、熱交換チャンバモジュール16の上面60の対向する2つの縁部に対して水平な位置に複数の下方吊り棒58によって取り付けられる2本の第2梁56を備える。熱交換チャンバモジュール16は、第2梁56のそれぞれを2本の第1梁52,52’に接続することで第2梁56を第1梁52,52’に対して垂直に配列できるように、粒子分離機モジュール14に接続される。
【0036】
図2は、図1の粒子分離機モジュール14と熱交換モジュール16とのアセンブリを後面図、すなわち、炉と反対の側から見た図として概略的に示す。図1と同じ参照番号が図2の同じ部品に使用される。図2の視野角は図1の視野角に対して垂直であることから、例えば、図2に見られる熱交換チャンバモジュール16の側壁32’,32’’,32’’’は図1に見られる側壁32,32’,32’’と異なる。また、図2では1本の第1梁52しか見られないが、2本の第2梁56,56’及び図1では並んだ状態で見られる複数の下方吊り棒58が図2では前後の状態で見られ、これら2つの最も外側のみを見ることができる。
【0037】
図1図2とを比較すると、粒子分離機モジュール14の上部20の外周内での取付領域48の配置は均整が取れておらず、図1の側面図では2つの取付領域48の間に何も含まない角が4つ存在し、図2の後面図では2つの取付領域48の間に何も含まない角が2つしか存在しないことが分かる。この設計によって、粒子分離機14の多角形状の上方領域が、熱交換チャンバモジュール16の各側面と平行に、2つの取付領域間の中心に自然とその表面を備えるようになり、これにより、この同じ側面がボイラー10の炉12の側壁にも平行となる。この配置は、概してボイラープラントの一般的なレイアウトに際して有利であり、図面には示されていない側部支持体を粒子分離機14の上部20に設けるのに特に有利である。
【0038】
図3は、図1及び2に既に示す粒子分離機14の上部20に対する熱交換チャンバ16の接続部を図1の高さA‐Aから見た水平断面図を概略的に示す。図3は、粒子分離機14の上部20における16個の角62を含む多角形状の断面を破線で示す。熱交換チャンバの上壁60は4つの側壁32,32’,32’’,32’’’で囲繞される。熱交換チャンバ16の上壁60の中心には、粒子分離機14の下端部26を熱交換チャンバ16にプレートシール接続するための開口部64が存在する。
【0039】
図3では、4本の鉛直配向蒸気管46並びに第1梁52,52’及び第2梁56,56’によって形成された長方形の形状がはっきりと見られる。4本の中間吊り棒54が第1梁52,52’の端部と第2梁56,56’の端部とを接続する。第2梁56,56’は、複数の下方吊り棒58によって、熱交換チャンバ16の上壁60における対向する2つの縁部に接続される。
【0040】
本発明は、本明細書において、現時点で最適な実施例と考えられる例示を介して説明されてきたが、本発明はこの開示された実施例に限定されず、添付の請求項に定義されるように、その特徴の様々な組み合わせや変更、及び本発明の範囲に含まれる幾つかの他の応用に対しても有効になるようになっていることを理解されたい。上記のいずれかの実施例に関連して言及された詳細は、そのような組み合わせが技術的に実現可能な場合に、他の実施例に関連して用いられてもよい。
図1
図2
図3