(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性フィルムは、第1のスキン層と、第2のスキン層と、前記第1のスキン層及び前記第2のスキン層間に配置されたコア層とを含むことを特徴とする請求項1に記載の使い捨て式手術衣。
前記スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、N、N´−エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の使い捨て式手術衣。
前記スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、N、N´−エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項17に記載の使い捨て式手術衣。
前記スリップ剤は、前記第1の後側パネル及び前記第2の後側パネルに、前記第1の後側パネル及び前記第2の後側パネルの前記SMS積層体の各スパンボンド層の総重量に基づいて、0.25〜6重量%の範囲の量で含まれることを特徴とする請求項17または18に記載の使い捨て式手術衣。
前記カラーは、前記第1の後側パネルの縁部に隣接して配置された第1のテーパ部分と、前記第2の後側パネルの縁部に隣接して配置された第2のテーパ部分とを含むことを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の使い捨て式手術衣。
前記カラーは、前記前側パネル、前記第1の袖部、前記第2の袖部、前記第1の後側パネル、及び前記第2の後側パネルに、ポリエステル糸で縫い付けられることを特徴とする請求項1ないし21のいずれかに記載の使い捨て式手術衣。
前記前側パネル、前記第1の袖部、前記第2の袖部、前記第1の後側パネル、前記第2の後側パネル、またはそれらの組み合わせは、グレアを減少させることができるグレー色の色合いを有することを特徴とする請求項1ないし22のいずれかに記載の使い捨て式手術衣。
前記前側パネル、前記第1の袖部、前記第2の袖部、前記第1の後側パネル、前記第2の後側パネル、またはそれらの組み合わせは、カーボンブラック顔料及び二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1ないし23のいずれかに記載の使い捨て式手術衣。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド」という用語は、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、スピナレット(紡糸口金)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリからフィラメント(細繊維)として押し出した後、例えば特許文献1〜7に開示されているようにして、押し出されたフィラメントの直径を急激に縮径させることにより形成された小径の繊維を指す。スパンボンド繊維は一般的に、捕集シート上に堆積したときに粘着性を示さない。スパンボンド繊維は一般的に連続的であり、7μmよりも大きい平均直径(少なくとも10個のサンプルの平均値)を有し、より具体的には約10〜20μmの平均直径を有する。
【0042】
本明細書で使用するとき、「メルトブローン繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融糸または溶融フィラメントとして、通常は高温の高速の収束ガス(例えば空気)流の中に押し出し、前記高速ガス流によって、溶融糸または溶融フィラメントの直径をマイクロ繊維(超極細繊維)の直径の程度にまで縮径させることにより形成された繊維を指す。メルトブローン繊維は、その後、前記高速ガス流によって運ばれて収集シート上に堆積し、これにより、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブが形成される。このようなプロセスは、例えば、特許文献8に開示されている。メルトブローン繊維は、連続的または非連続的なマイクロ繊維であり、一般的に10μm未満の平均直径を有し、一般的に捕集面上に堆積したときに粘着性を示す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「SMS積層体」という用語は、スパンボンド繊維とメルトブローン繊維との繊維積層体、例えば、特許文献9〜13に開示されているスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体を指す。このような積層体は、動いているフォーミングベルト上に、まずスパンボンド繊維層、次にメルトブローン繊維層、そして最後に別のスパンボンド繊維層をその順番に堆積させた後、これらの繊維層を後述する方法を用いて互いに接合させることにより作製することができる。あるいは、上記の繊維層を個々に形成した後にロール状に巻き取っておき、別個の接合工程で互いに接合させてもよい。上記の繊維層は、通常は、約0.1〜12osy(約3.4〜406gsm)、より具体的には約0.75〜3osy(約25.4〜101.7gsm)の坪量を有する。
【0045】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0046】
概して言えば、本発明は、AAMIレベル4危険領域要件を満たすと共に、温度、伸縮性、フィット感などの点で着用者にとって快適な使い捨て式の保護衣類(例えば、手術衣)に関する。この手術衣(サージカルガウン)は、第1の材料から作製された前側パネル及び袖部を含む。第1の材料は、第1のスパンボンド層と、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体と、それらの間に配置された液体不透過性及び蒸気通気性を有する弾性フィルムとを含む。また、この手術衣は、第2の材料から作製された第1の後側パネル及び第2の後側パネルを含む。第2の材料は、空気通気性を有し、約20〜80標準立方フィート/分(scfm)(0.57〜2.27m
3/分)の範囲の空気体積流量を可能にする不織布積層体を含む。この手術衣は、その近位端部に隣接配置された空気通気性ニット材料から作製されたカラーをさらに含む。カラーは、前側パネルに隣接した領域において、Vネック形状を有するネック開口部を画定する。カラーのVネック形状は、ネック開口部において、90°以上の角度を形成する。これらの特徴の組み合わせにより、伸縮性及び液体不透過性を有し、かつ熱及び湿気を放散することができる手術衣が得られる。
【0047】
加えて、添加物、顔料、及び充填剤の特定の組み合わせを、第1及び第2の材料の様々な層に含めることができる。添加物、顔料、及び充填剤の特定の組み合わせにより、不透明度を増加させ(例えば、グレア(glare)を減少させ)、材料の光透過率を減少させることができる。特定の理論に拘束されることを意図しないが、これは、材料の1以上の層に様々な添加物、顔料、及び充填剤を含めたことに起因する、材料の高レベルの光散乱率及び光吸収率の組み合わせが原因だと考えられる。第1の材料及び第2の材料の様々な層に含まれた添加物、顔料、及び充填剤の様々な屈折率は、材料が光吸収及び光散乱によって光を減衰させる能力を高める。例えば、本発明に係る使い捨て式手術衣の作製に使用される材料は、約98%以上、例えば約98〜99.9%、例えば約98.5〜99.8%、例えば約99〜99.7%の不透明度(C光源を使用した拡散反射率)を有し得る。さらに、本発明に係る使い捨て式手術衣の作製に使用される材料は、約0.9以上、例えば約0.9〜1.2、例えば約0.95〜1.15、例えば約1〜1.1の吸収能(吸収力)を有し得る。加えて、本発明に係る使い捨て式手術衣の作製に使用される材料は、約0.1以下、例えば約0.05〜0.1、例えば0.06〜0.095、例えば0.07〜0.09の透過率を有し得る。
【0048】
図1は、医療従事者が診察、手術、または他の処置中に着用する使い捨て式手術衣100の前側を示す。使い捨て式手術衣100は、前側パネル102を画定する近位端部154及び遠位端部156を有し、近位端部154はカラー110を含む。また、手術衣100は、袖部104及びカフ106を含む。前側パネル102及び袖部104は、弾性フィルム及び不織布材料の積層体から作製することができる(詳細については後述する)。さらに、袖部104は、カラー110まで完全に延びているラグラン袖部(raglan sleeve)であり得、袖部104を手術衣100の前側パネル102及び後側パネル122に結合させるために、前側の斜めの縫い目164が、着用者の脇の下から鎖骨まで延在しており、後側の斜めの縫い目166(
図2参照)が、着用者の脇の下から鎖骨まで延在している。袖部104の前側の斜めの縫い目164及び後側の斜めの縫い目166は、前側パネル102及び後側パネル120、122に縫い付けることができる。さらに、各袖部104は、脇の下領域からカフ106まで延在する縫い目176を含むことができ、これらの縫い目176は、袖部104が、ASTM−1671「Phi−X174バクテリオファージ透過を利用した、保護衣類に使用される材料の血液感染性病原体の透過に対する耐性の標準試験方法(Standard Test Method for Resistance of Materials Used in Protective Clothing to Penetration by Blood-Borne Pathogens Using Phi-X174 Bacteriophage Penetration as a Test System)」に合格するように、熱縫合される。加えて、カラー110は、前側パネル102、袖部104、第1の後側パネル120(
図2参照)、及び第2の後側パネル122(
図2参照)に、糸(例えば、ポリエステル糸)で縫い付けられ、それにより縫い目170が形成される。さらに、前側締結手段116が、前側パネル102に超音波接合されている。この前側締結手段116は、後側締結手段118(
図2参照)と共に使用したときに、手術衣100を着用者に固定するのに使用される。
【0049】
図2は、使い捨て式手術衣100の裏側を示す。近位端部154及び遠位端部156により、不織布材料の積層体から作製され得る第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122が画定される(詳細については後述する)。第1の後側パネル120は、縫い目172において前側パネル102に縫合され、第2の後側パネル122は、縫い目174において前側パネル102に縫合されている。第1の後側パネル120は、縫い目172において前側パネル102に超音波接合され、第2の後側パネル122は、縫い目174において前側パネル102に超音波接合されている。このような超音波接合により、縫合による縫い目よりも液体バリア保護性が高い縫い目172、174が形成される。例えば、後側パネル120及び122の前側パネル102に対するこのような超音波接合により、約25〜100cmの範囲、例えば約30〜75cm、例えば約40〜60cmの水頭圧(hydrohead)を有する縫い目172及び縫い目174を形成することができる。一方、縫合による縫い目の水頭圧は、わずか約7cmである。水頭圧は、透明な開口チューブを用意して、チューブの底側端部に縫合材料をクランプし、チューブの上側端部から水をゆっくりと充填し、水がチューブの底側端部にクランプした縫合材料を透過する前の水柱の高さを測定することにより求められる。さらに、後側締結手段118が、第1の後側パネル120の縁部123、及び第2の後側パネル122の縁部124に超音波接合されている。図示のように、第1の後側パネル120の縁部123は、手術衣100を着用者に固定するために後側締結手段118を互いに結んだときに、第2の後側パネル122の縁部124と重ね合わせることができる。また、後側締結手段118の一方または両方は、手術衣100の周りに巻き付けて、前側締結手段116に固定することができる。
【0050】
図3は、使い捨て式手術衣100の上面図であり、
図1及び2に示したカラー110をより詳細に示す。図示のように、カラー110の前側は、Vネック形状を有し、ネック開口部108を画定する。カラー110は、互いに別個に構成された第1の部分112と第2の部分114とから作製することができる。第1の部分112は、手術衣100の前側158に位置する第1の端部126と、手術衣100の後側160に位置する第2の端部128とを有する。第2の部分114は、手術衣100の前側158に位置する第1の端部130と、手術衣100の後側160に位置する第2の端部132とを有する。図示のように、カラー110の第1の部分112の第1の端部126と、第2の部分114の第1の端部130は、Vネック形状を形成するべく手術衣100の前側158の近位端部154の中心に向けて配向され、重ね合わせ領域134において互いに重ね合わせられる。Vネック形状は、カラー110の第1の部分112と第2の部分114との間に形成される90°以上、例えば95〜140°、例えば100〜135°、例えば110〜130°の角度θを画定することができる。詳細については、
図4を参照して後述する。カラー110のVネック形状を有するネック開口部108の角度と、カラー110の作製に使用される伸縮可能な材料との組み合わせにより、手術衣100の着用時にカラー110に隙間が形成されること(gapping)を防止することができる。これにより、着用者に対するバリア保護性を向上させると共に、着用者の快適さを高めることができる。さらに、Vネック形状を有するネック開口部108は、とりわけ、後述する空気通気性材料から作製された後側パネル120及び122と組み合わせることにより、手術衣100と着用者との間に閉じ込められた湿気及び熱の放散を容易にすることができる。一方、第1の部分112の第2の端部128及び第2の部分114の第2の端部132は、手術衣100を着用者に固定したときに、手術衣100の後側160の近位端部154の中心に向けて配向され、重ね合わせ領域162において互いに重ね合わせられる。詳細については
図5を参照して後述するが、カラー110の第1の部分112の第2の端部128、及びカラー110の第2の部分114の第2の端部132は、着用者に対する手術衣100の着脱を容易にするためにテーパが付けられる。
【0051】
手術衣100の前側158について説明する。
図4は、カラー110の第1の部分112及び第2の部分114の前側158をより詳細に示す拡大正面図である。図示のように、第1の部分112の第1の端部126は、第2の部分114の第1の端部130の上側に重ねて配置され、これにより、重ね合わせ領域134が形成される。なお、この逆に、第2の部分114の第1の端部130を第1の部分112の第1の端部126の上側に重ねて配置して重ね合わせ領域134を形成してもよいことを理解されたい。いずれの場合でも、重ね合わせ領域134と、角度θの角度をなして互いに重ね合わせた周縁部のVネック形状との組み合わせにより、着用者が動いたり身を乗り出したりしたときのカラー110に隙間が形成されることを防止することができ、これにより、飛び散った血や骨片などが着用者と接触するリスクを最小限に抑えることができる。
【0052】
手術衣100の後側160について説明する。
図5は、カラー110の第1の部分112及び第2の部分114の後側160をより詳細に示す拡大正面図である。
図5は、カラー110の第1の部分112及び第2の部分114のテーパをより詳細に示すために、手術衣100を着用者に固定する前の状態を示している。図示のように、カラー110の第1の部分112及び第2の部分114は、手術衣100を着用者に固定するために第1の後側パネル120が第2の後側パネル122と隣接する位置の近傍でのカラー幅W2が、袖部104がカラー110と隣接する位置でのカラー幅W1よりも小さくなるように、徐々にテーパしている。このようなカラー幅の差異により、カラー110の第1の部分112の第2の端部128及びカラー110の第2の部分114の第2の端部132に、カラー110のテーパ領域140が形成される。このテーパ領域140は、ポリエチレン及びナイロンから作製され得るフックアンドループ式の締結手段168の使用を可能にする。第1の後側パネルを第2の後側パネル122の上側に重ね合わせたときに、カラー110によってフック材料136とループ材料138との接触が妨げられることなく手術衣100を着用者に固定することができるように、締結手段168は、第1の後側パネル120の内側に向いた面に固定されたフック材料136と、第2の後側パネル122の外側に向いた面に固定されたループ材料138とを含む。フック材料136の周縁を示す破線は、フック材料136が第1の後側パネル120の内側に向いた面に固定されていることを示すことに留意されたい。なお、例えば、手術衣100を着用者に固定するためにどちらの後側パネルを他方の後側パネルの上側に重ね合わせるかに応じて、フック材料136及びループ材料138の任意の構造が本発明によって意図されることを理解されたい。いずれの場合でも、カラー110のテーパは、手術衣100を脱ぐときに、フックアンドループ締結手段168がカラー110と干渉することを防ぐことができる。フックアンドループ締結手段168がカラー110と干渉する場合は、カラー110の作製に用いられる材料の伸縮可能な性質を考えると、手術衣100を脱ぐのが困難になる。さらに、このテーパにより、フックアンドループ式の締結手段168が、着用者のブーファントキャップ(bouffant cap)とうっかりして引っ掛かり、着用者をイライラさせるのを防ぐことができる。
【0053】
図6は、
図1−5の手術衣100の前側パネル102、袖部104、及び前側締結手段116の作製に使用される第1の材料200の断面図である。この第1の材料200は、ASTM−1671「Phi−X174バクテリオファージ透過を利用した、保護衣類に使用される材料の血液感染性病原体の透過に対する耐性の標準試験方法」に合格する。第1の材料200は、外側スパンボンド層142と、第1のスキン層144A、第2のスキン層144A、及びそれらの間に配置されたコア層144Bを有する弾性フィルム144と、スパンボンド層146A、スパンボンド層146C、及びそれらの間に配置されたメルトブローン層146Bを有するスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体146とを含む積層体であり得る。外側スパンボンド層142は、手術衣100の前側パネル102、袖部104、及び前側締結手段116の外側に向いた面202を形成し、SMS積層体146のスパンボンド層146Cは、手術衣100の前側パネル102及び袖部104の身体側に向いた面、すなわち内側に向いた面204を形成する。一方、前側締結手段116の内側に向いた面204は、バリア保護性を追加するためのテープ材料(図示せず)を含むことができる。詳細については後述するが、外側スパンボンド層142、及びSMS積層体146の1以上の層は、第1の材料200の柔らかさ及び快適さを高めるために、スリップ剤(滑剤)を含むことができる。また、弾性フィルム144の1以上の層は、第1の材料200のバリア性能を高めるために、フルオロケミカル添加剤を含むことができる。第1の材料200の外側スパンボンド層/弾性フィルム/SMS積層体の全体構造は、手術衣100の水蒸気通気性に寄与する。
【0054】
図7は、
図1−5の手術衣100の作製に使用される第2の材料300を示す。この第2の材料300は、第1の後側パネル120、第2の後側パネル122、及び後側締結手段118の作製に使用される。第2の材料300は、第1のスパンボンド層148と、メルトブローン層150と、第2のスパンボンド層152とを含む積層体である。第1のスパンボンド層148は、手術衣100の第1の後側パネル120、第2の後側パネル122、及び後側締結手段188の外側に向いた面302を形成し、第2のスパンボンド層152は、手術衣100の第1の後側パネル120、第2の後側パネル122、及び後側締結手段188の内側に向いた面304を形成する。詳細については後述するが、第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152は、第2の材料300の柔らかさ及び快適さを高めるために、スリップ剤を含むことができる。第2の材料300のスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体の全体構造は、手術衣100の空気通気性に寄与する。
【0055】
保護衣服の様々な構成要素について、以下により詳細に説明する。まず、第1の材料200及び/または第2の材料300のスパンボンド層、メルトブローン層、及び/または弾性フィルム層のいずれかは、抗グレア・光反射特性を提供するグレー色(灰色)を手術衣100に付与するための顔料を含むことができることを理解されたい。抗グレア・光反射特性を提供することにより、手術室の照明によりもたらされる視覚的状況が悪く、視覚的な不快感を発生させ、手術中に手術室のスタッフを疲労させるグレアが発生する場合でも、手術または他の処置中により良好な視野を提供することができる。
【0056】
例えば、手術衣にグレー色を付与するのに使用される好適な顔料の例としては、これに限定しないが、二酸化チタン(例えば、SCC 11692濃縮二酸化チタン)、ゼオライト、カオリン、マイカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、いくつかの場合では、第1の材料200及び第2の材料300の各層は、各層の総重量に基づいて、二酸化チタンを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。二酸化チタンは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約2.2〜3.2の範囲、例えば約2.4〜3、例えば約2.6〜2.8、例えば約2.76の屈折率を有し得る。さらに、第1の材料200及び第2の材料300の各層は、各層の総重量に基づいて、カーボンブラックを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約1.2〜2.4の範囲、例えば約1.4〜2.2、例えば約1.6〜2の屈折率を有し得る。また、第1の材料200及び第2の材料300の各層は、各層の総重量に基づいて、青色顔料を、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックと青色顔料との組み合わせにより、本発明に係る不織布材料及びフィルムの光吸収能力を向上させることができる。
【0057】
1以上の上記顔料を手術衣100の材料である第1の材料200及び第2の材料300に組み込むことにより、グレアを防止するのに十分なグレー色の色合い(shade of gray)が得られる。グレー色は、黒色と白色とを混ぜ合わせた色であり、光を不完全に吸収する。黒、白、及びグレー色は、無彩色または無色とも呼ばれることもあり、光の全ての周波数を吸収する場合は、その色は「黒色」と呼ばれることを理解されたい。すなわち、光の全ての波長を吸収して光のスペクトルのどの部分も反射しない物体は、黒色であると見なされる。黒は、色相環またはスペクトルのどの色よりも暗い。対照的に、白は、色相環またはスペクトルのどの色よりも明るい。物体が光の全ての波長を均等に反射した場合、その物体は白色であると見なされる。
【0058】
I.前側パネル、袖部、及び前側締結手段
【0059】
上述したように、手術衣100の前側パネル102、袖部104、及び前側締結手段116は、第1の材料200から作製することができる。第1の材料200は、手術衣の上記の各部に対して、十分なレベルの水蒸気通気性及び/または水蒸気透過性並びに伸縮性を依然として提供すると共に、体液及び他の液体に対する不透過性を提供する、伸縮性及び弾性を有する通気性バリア材料であり得る。第1の材料200は、手術衣100の主要なバリア及び弾性要素としての役割を果たすフィルムと、柔らかさ及び快適さを提供するための1以上の不織布層(例えば、スパンボンド層、メルトブローン層、またはそれらの組み合わせ)との組み合わせを含み得る。上記フィルムは、現在入手可能な手術衣の少なくとも2倍の量で機械方向に伸張させた場合でも流体バリア特性を維持し、手術衣100がASTM−1671「Phi−X174バクテリオファージ透過を利用した、保護衣類に使用される材料の血液感染性病原体の透過に対する耐性の標準試験方法」に合格できるような弾性特性を示すように構成され得る。一方、弾性フィルムと共に不織布層を含むことにより、第1の材料200は、全体として、望ましい柔軟性及び柔らかさを実現するための高い曲げ係数を有することができ、これにより、着用者にとって快適な材料となる。
【0060】
上述したように、特定の実施形態では、第1の材料200は、外側スパンボンド層142と、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド積層体146と、それらの間に配置される弾性フィルム144とを含む。外側スパンボンド層142は、手術衣100の前側パネル102、袖部104、及び前側締結手段116の外側に向いた面202を形成し、SMS積層体146のスパンボンド層は、手術衣100の前側パネル102、袖部104、及び前側締結手段116の内側に向いた面204を形成する。一方、前側締結手段116の内側に向いた面は、バリア保護性を追加するためのテープ材料を含むことができる。さらに、外側スパンボンド層142及びSMS積層体146の1以上の層は、望ましい柔らかさを実現するためのスリップ剤を含むことができる。また、弾性フィルム144は、体液及び組織(例えば、非常に侵襲的な手術中に脂肪組織の解離により生成される脂肪油など)に対するバリアの役割を果たすべく、弾性フィルム144の表面エネルギーを増加させて弾性フィルム144の能力を高めるために、フルオロケミカル添加剤を含むことができる。第1の材料200の各構成要素について、以下により詳細に説明する。
【0062】
外側スパンボンド層142は、第1の材料200に対して、柔らかさ、伸縮性、及び柔軟性を提供する任意の適切なポリマーから作製され得る。例えば、外側スパンボンド層142は、半結晶性ポリオレフィンから作製され得る。例示的なポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合物またはコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、エチレンとα−オレフィン(例えば、C
3−C
20α−オレフィン、またはC
3−C
12α−オレフィン)とのコポリマーであるポリエチレンが使用される。好適なα−オレフィンは、直線状のものまたは分岐状のもの(例えば、1以上のC
1−C
3アルキル分岐、またはアリル基を有するもの)であり得る。具体的な例としては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−へキセン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ヘプテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−オクテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ノネン、エチル、メチル、またはジメチルで置換された1−デセン、1−ドデセン、及びスチレンが挙げられる。特に望ましいα−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1へキセン、及び1−オクテンである。このようなコポリマーのエチレン含有量は、約60〜99モル%の範囲、いくつかの実施形態では約80〜98.5モル%、いくつかの実施形態では約87〜97.5モル%であり得る。同様に、α−オレフィン含有量は、約1〜40モル%の範囲、いくつかの実施形態では約1.5〜15モル%、いくつかの実施形態では約2.5〜13モル%であり得る。
【0063】
ポリエチレンの密度は、使用されるポリマーの種類によって異なるが、一般的には、0.85〜0.96g/cm
3の範囲であり得る。ポリエチレン「プラストマー」は、例えば、0.85〜0.91g/cm
3の範囲の密度を有し得る。同様に「直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」は、0.910〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有し得、「低密度ポリエチレン(LDPE)」は、0.910〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有し得、「高密度ポリエチレン(HDPE)」は、0.940〜0.960g/cm
3の範囲の密度を有し得る。密度は、ASTM1505にしたがって測定され得る。本発明に使用するのに特に好適なエチレンベースのポリマーは、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からEXACT(商標)という商標名で市販されているものである。他の好適なポリエチレンプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)からENGAGE(商標)及びAFFINITY(商標)という商標名で市販されているものである。さらに他の好適なエチレンポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からDOWLEX(商標)(LLDPE)及びATTANE(商標)(ULDPE)という商標名で市販されているものである。他の好適なエチレンポリマーは、特許文献14−17に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0064】
当然ながら、第1の材料200の外側スパンボンド層142は、エチレンポリマーの使用によって限定されない。例えば、プロピレンポリマーも、半結晶性ポリオレフィンとしての使用に好適であり得る。好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、あるいは、例えばエチレン、1−ブテン、2−ブテン、様々なペンテン異性体、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、スチレンなどのα−オレフィン(例えば、C
3−C
20)コモノマーを有するプロピレンのコポリマーまたはターポリマーが挙げられる。プロピレンポリマーのコモノマー含有量は、約35重量%以下であり得、いくつかの実施形態では約1〜20重量%、いくつかの実施形態では約2〜15重量%、いくつかの実施形態では約3〜10重量%であり得る。ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.95g/cm
3以下であり得、いくつかの実施形態では0.85〜0.92g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.91g/cm
3であり得る。特定の実施形態では、外側スパンボンド層142は、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーを含み得る。第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、ポリプロピレンは、約1.44〜1.54の範囲、例えば約1.46〜1.52、例えば約1.48〜1.50、例えば約1.49の屈折率を有し得、ポリエチレンは、約1.46〜1.56の範囲、例えば約1.48〜1.54、例えば約1.50〜1.52、例えば約1.51の屈折率を有し得る。
【0065】
好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からVISTAMAXX(商標)という商標名で市販されているもの、ベルギー国フェルイ所在のアトフィナ・ケミカルズ社(Atofina Chemicals)からFINA(商標)(例えば、8573)という商標名で市販されているもの、三井石油化学工業社からTAFMER(商標)という商標名で市販されているもの、及び米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からVERSIFY(商標)という商標名で市販されているものがある。好適なプロピレンポリマーの他の例は、特許文献18−20に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0066】
半結晶性ポリオレフィンの作製には、様々な公知の技術を用いることができる。例えば、オレフィンポリマーは、フリーラジカルまたは配位触媒(例えば、チーグラー・ナッタ、またはメタロセン)を使用して作製することができる。メタロセン触媒ポリオレフィンは、例えば、特許文献21−25に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0067】
ポリオレフィンのメルトフローインデックス(MI)は、様々な値を取り得るが、一般的には、190℃で測定して、約0.1〜100g/10分の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜30g/10分、いくつかの実施形態では約1〜10g/10分であり得る。メルトフローインデックスは、190℃で10分間に2160gの力を受けたとき、押出式流動計オリフィス(0.0825インチ径)を通して押し出されるポリマーの重量(g)であり、ASTM試験方法D1238−Eにしたがって測定され得る。
【0068】
ポリオレフィンに加えて、外側スパンボンド層142は、該層の柔らかさを向上させるためにスリップ剤も含むことができる。スリップ剤はまた、前側パネル102及び袖部104の外側スパンボンド層142の摩擦係数を減少させ、水頭圧を増加させる。摩擦係数を減少させることにより、手術衣100が磨耗に起因して切断されるまたは損傷する機会を減らすと共に、流体が第1の材料200を透過するのを防止することができる。スリップ剤を含むことに少なくとも部分的に起因して、手術衣100の外側に向いた面202に接触した流体は、液滴の形態を保ち、手術衣100の遠位端部156まで垂直に流れて床に落ちる。スリップ剤はまた、第1の材料200の光反射を減少させることにより、手術室内での第1の材料200のグレアを減少させることができる。また、スリップ剤は、第1の材料200が手術中に脂肪または脂質と接触したときに、第1の材料200を標準的な手術衣の材料よりも不透明にすることができる。標準的な手術衣の材料は、脂肪または脂質と接触したときに透明になり、着用者は、標準的な手術衣のバリア保護性が損なわれたと懸念することとなる。
【0069】
スリップ剤は、外側スパンボンド層142の作製に使用されるポリマーの表面に移動することにより機能することができ、第1の材料200の外側に向いた面202の摩擦係数を減少させるコーティングを提供する。様々な脂肪酸が、スリップ剤として使用され得る。例えば、スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、N、N´−エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに、スリップ剤は、屈折率を減少させることにより第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、約1.42〜1.52の範囲、例えば約1.44〜1.50、例えば約1.46〜1.48、例えば約1.47の屈折率を有する。スリップ剤は、外側スパンボンド層142に、その総重量に基づいて、約0.1〜4重量%の範囲、例えば約0.25〜3重量%例えば約0.5〜2重量%の量で含まれ得る。特定の実施形態では、スリップ剤は、外側スパンボンド層142に、その総重量に基づいて、約1重量%の量で含まれ得る。
【0070】
ポリオレフィンに及びスリップ剤に加えて、外側スパンボンド層142はまた、手術衣100の望ましいグレー色を実現するのを助けるために、1以上の顔料を含むことができる。好適な顔料の例としては、これに限定しないが、二酸化チタン(例えば、SCC 11692濃縮二酸化チタン)、ゼオライト、カオリン、マイカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、いくつかの場合では、外側スパンボンド層142は、その総重量に基づいて、二酸化チタンを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。二酸化チタンは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約2.2〜3.2の範囲、例えば約2.4〜3、例えば約2.6〜2.8、例えば約2.76の屈折率を有し得る。さらに、外側スパンボンド層142は、その総重量に基づいて、カーボンブラックを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約1.2〜2.4の範囲、例えば約1.4〜2.2、例えば約1.6〜2の屈折率を有し得る。外側スパンボンド層142はまた、青色顔料を、外側スパンボンド層142の総重量に基づいて、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含むことができる。カーボンブラックと青色顔料との組み合わせにより、外側スパンボンド層142の光吸収能力を向上させることができる。
【0071】
外側スパンボンド層142の作製に使用される特定のポリマーまたは添加物に関わらず、外側スパンボンド層142は、約5〜50gsmの範囲、例えば約10〜40gsm、例えば約15〜30gsmの坪量を有し得る。特定の実施形態では、外側スパンボンド層142は、例えば約20gsm(約0.6osy)の坪量を有し得る。
【0073】
第1の材料200の弾性フィルム144は、概して不透過性であることによりバリア構成要素としての役割を果たすと共に、第1の材料200に対して水蒸気通気性を提供することが可能な任意の適切なポリマーから作製することができる。弾性フィルム144は、溶融加工可能な、すなわち熱可塑性の1以上のポリマーから作製することができる。特定の実施形態では、弾性フィルム144は、単分子層フィルムであり得る。弾性フィルム144が単分子層フィルムである場合、後述する任意のポリマーを単分子層の作製に使用することができる。他の実施形態では、弾性フィルム144は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの層を含むことができる。この各層は、後述する任意のポリマーから作製することができる。また、各層は、互いに同一または異なる材料から作製され得る。例えば、特定の実施形態では、弾性フィルム144は、2つのスキン層144A及び144C間に配置されたコア層144Bを含むことができる。この弾性フィルム144の各構成要素について、以下により詳細に説明する。
【0074】
まず、弾性フィルム144のコア層144Bは、1以上の半結晶性ポリオレフィンから作製され得る。例示的なポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合物またはコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、エチレンとα−オレフィン(例えば、C
3−C
20α−オレフィン、またはC
3−C
12α−オレフィン)とのコポリマーであるポリエチレンが使用される。好適なα−オレフィンは、直線状のものまたは分岐状のもの(例えば、1以上のC
1−C
3アルキル分岐、またはアリル基を有するもの)であり得る。具体的な例としては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−へキセン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ヘプテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−オクテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ノネン、エチル、メチル、またはジメチルで置換された1−デセン、1−ドデセン、及びスチレンが挙げられる。特に望ましいα−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1へキセン、及び1−オクテンである。このようなコポリマーのエチレン含有量は、約60〜99モル%の範囲、いくつかの実施形態では約80〜98.5モル%、いくつかの実施形態では約87〜97.5モル%であり得る。同様に、α−オレフィン含有量は、約1〜40モル%の範囲、いくつかの実施形態では約1.5〜15モル%、いくつかの実施形態では約2.5〜13モル%であり得る。
【0075】
特に好適なポリエチレンコポリマーは、「直鎖状」または「実質的に直鎖状」のものである。「実質的に直鎖状」という用語は、コモノマーの混入に起因する短鎖分岐に加えて、エチレンポリマーが、そのポリマー骨格(ポリマー主鎖)に長鎖分岐も含むことを意味する。「長鎖分岐」とは、少なくとも6つの炭素原子の鎖長を指す。各長鎖分岐は、ポリマー骨格として同一のコモノマー分布を有し得、それが結合されるポリマー骨格と同じ長さを有し得る。好ましい実質的に直鎖状のポリマーは、炭素原子1000個あたり0.01〜1の長鎖分岐で置換されたものであり、いくつかの実施形態では炭素原子1000個あたり0.05〜1の長鎖分岐で置換されたものである。「実質的に直鎖状」という用語とは異なり、「直鎖状」という用語は、測定可能または確認可能な長鎖分岐を有していないポリマーを指す。すなわち、このポリマーは、炭素原子1000個あたり平均0.01未満の長鎖分岐で置換されたものである。
【0076】
直鎖状エチレン/α−オレフィンコポリマーの密度は、α−オレフィンの長さと量との両方の関数である。すなわち、α−オレフィンの長さが長くなるほど、そしてα−オレフィンの量が多くなるほど、コポリマーの密度は小さくなる。必須ではないが、長鎖ポリエチレン「プラストマー」は、α−オレフィンの短鎖分岐の含有量が、エチレンコポリマーが可塑特性と弾性特性との両方を示す、すなわち、「プラストマー」となる量であることが特に望ましい。α−オレフィンコモノマーとの重合により結晶度及び密度が低下するので、結果として生じるプラストマーは、通常、ポリエチレン熱可塑性ポリマー(例えば、LLDPE)の密度(一般的に、0.90〜0.94g/cm
3の比重を有する)よりも小さいが、エラストマーの密度(一般的に、0.85〜0.90g/cm
3、好ましくは0.86〜0.89g/cm
3の密度を有する)と近い及び/または重なる密度を有する。例えば、ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.95g/cm
3以下、いくつかの実施形態では0.85〜0.92g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.91g/cm
3であり得る。エラストマーと同様の密度を有するにも関わらず、プラストマーは一般的に、より高い結晶度を示し、比較的非粘着性であり、かつ、非接着性を有し比較的自由流動するペレットに形成され得る。
【0077】
本発明で使用するのに好適なポリエチレンは、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からEXACT(商標)という商標名で市販されているエチレンベースのコポリマープラストマーである。他の好適なポリエチレンプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からENGAGE(商標)及びAFFINITY(商標)という商標名で市販されているものである。別の好適なポリエチレンベースのプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からINFUSE(商標)という商標名で市販されているオレフィンブロックコポリマーであり、これはポリエチレンの弾性コポリマーである。他の好適なエチレンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または超低密度ポリエチレン(ULDPE)であり、例えば、ダウ・ケミカル社から、ASPUN(商標)(LLDPE)、DOWLEX(商標)(LLDPE)、及びATTANE(商標)(ULDPE)という商標名で市販されている。他の好適なエチレンポリマーは、特許文献14−17に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0078】
当然ながら、本発明に係るコア層144Bは、エチレンポリマーの使用によって限定されない。例えば、プロピレンポリマーも、弾性フィルムとしての使用に好適であり得る。好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンのコポリマーまたはターポリマー、あるいは、例えばエチレン、1−ブテン、2−ブテン、様々なペンテン異性体、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、スチレンなどのα−オレフィン(例えば、C
3−C
20)コモノマーを有するプロピレンのコポリマーが挙げられる。プロピレンポリマーのコモノマー含有量は、約35重量%以下であり得、いくつかの実施形態では約1〜20重量%、いくつかの実施形態では約2〜15重量%、いくつかの実施形態では約3〜10重量%であり得る。好ましくは、ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.95g/cm
3以下であり得、いくつかの実施形態では0.85〜0.92g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.91g/cm
3であり得る。
【0079】
好適なプロピレンポリマーは市販されており、例えば、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からVISTAMAXX(商標)(例えば、6102)という商標名で市販されているもの、ベルギー国フェルイ所在のアトフィナ・ケミカルズ社からFINA(商標)(例えば、8573)という商標名で市販されているもの、三井石油化学工業社からTAFMER(商標)という商標名で市販されているもの、及び米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からVERSIFY(商標)という商標名で市販されているものがある。好適なプロピレンポリマーの他の例は、特許文献18−20に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。特定の実施形態では、弾性フィルム144のコア層144Bは、ポリプロピレンを含む。ポリプロピレンは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約1.44〜1.54の範囲、例えば約1.46〜1.52、例えば約1.48〜1.50、例えば約1.49の屈折率を有する。
【0080】
半結晶性ポリオレフィンの作製には、様々な公知の技術を用いることができる。例えば、オレフィンポリマーは、フリーラジカルまたは配位触媒(例えば、チーグラー・ナッタ)を使用して作製することができる。好ましくは、オレフィンポリマーは、メタロセン触媒などの単座配位子触媒を使用して作製される。このような触媒系は、コモノマーが分子鎖内でランダムに分布し、かつ互いに異なる分子量分画に渡って一様に分布するエチレンコポリマーを作製する。メタロセン触媒ポリオレフィンは、例えば、特許文献21−25に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。メタロセン触媒の例としては、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)スカンジウムクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、コバルトセン、シクロペンタジエニルチタントリクロリド、フェロセン、ハフノセンジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル、1−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、モリブドセンジクロリド、ニッケロセン、ニオボセンジクロリド、ルテノセン、チタノセンジクロリド、ジルコノセンクロリドヒドリド、ジルコノセンジクロリドなどが挙げられる。メタロセン触媒を使用して作製されたポリマーは、一般的に、狭い分子量範囲を有する。例えば、メタロセン触媒ポリマーは、4未満の多分散指数(Mw/Mn)、制御された短鎖分岐分布、及び制御されたアイソタクティシティ(isotacticity)を有し得る。
【0081】
半結晶性ポリオレフィンのメルトフローインデックス(MI)は、様々な値を取り得るが、一般的には、190℃で測定して、約0.1〜100g/10分の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜30g/10分、いくつかの実施形態では約1〜10g/10分であり得る。メルトフローインデックスは、190℃で10分間に5000gの力を受けたとき、押出式流動計オリフィス(0.0825インチ径)を通して押し出されるポリマーの重量(g)であり、ASTM試験方法D1238−Eにしたがって測定され得る。
【0082】
例えばポリプロピレンなどのポリオレフィンに加えて、弾性フィルム144のコア層144Bは、弾性フィルム144の表面エネルギーを増加させて、弾性フィルム144の体液及び生体物質(例えば、非常に侵襲的な手術中に脂肪組織の解離により生成される脂肪油など)に対する不透過性を高めるために、フルオロケミカル添加剤を含むことができる。コア層144Bに使用されるフルオロケミカル添加剤の一例は、例えばダイキン社製のUnidyne(商標)TGなどのフルオロアルキルアクリレートコポリマーである。フルオロケミカル添加剤は、コア層144Bの屈折率を低下させるために、約1.4以下の屈折率を有し得る。例えば、フルオロケミカル添加剤は、約1.2〜1.4の範囲、例えば1.22〜1.38、例えば1.24〜1.36の屈折率を有し得る。特定の理論に拘束されることを意図しないが、フルオロケミカル添加剤は、ポリオレフィンフィルムの表面に偏析し(segregate)、フルオロケミカル添加剤を含んでいないフィルムと比べてフィルムの光散乱を高める低屈折率領域を形成すると考えられる。使用される特定のフルオロケミカル添加剤に関わらず、フルオロケミカル添加剤は、コア層144Bに、その総重量に基づいて、約0.1〜5重量%の範囲、例えば約0.5〜4重量%、例えば約1〜3重量%の量で含まれ得る。特定の実施形態では、フルオロケミカル添加剤は、コア層144Bに、その総重量に基づいて、例えば約1.5重量%の量で含まれ得る。
【0083】
一実施形態では、弾性フィルム144のコア層144Bは、充填剤をさらに含み得る。充填剤は、微粒子または他の形態の材料であり、フィルムポリマー押出成形混合物に添加され、押出成形フィルムに対して化学的な影響を与えないが、フィルム全体に均一に分散され得る。充填剤は、フィルムの不透明度及び/または通気性(すなわち、水蒸気透過性及び実質的な液体不透過性)の向上などの様々な目的に使用され得る。例えば、充填剤を含むフィルムは、該フィルムを伸縮させることによりポリマーを充填剤から分離させて、微小孔性通路を形成することによって、通気性を有するように作製することができる。通気性を有する微小孔性弾性フィルムは、例えば、特許文献26−30に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。好適な充填剤の例としては、これに限定しないが、炭酸カルシウム、様々な種類の粘土、シリカ、アルミナ、炭酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、タルク、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ゼオライト、セルロース型粉末、カオリン、マイカ、炭素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉、木粉、セルロース誘導体、キチン、及びキチン誘導体などが挙げられる。特定の実施形態では、コア層144B内の充填剤は、炭酸カルシウムを含むことができる。炭酸カルシウムを含有するコア層144Bは、とりわけ伸縮させた後に、弾性フィルム144、したがって第1の材料200に対して、グレアを減少させるための光散乱特性及び光吸収特性を提供することができる。また、これにより、第1の材料200の不透明度及び光散乱率を高めることができる。例えば、炭酸カルシウム(または任意の他の適切な充填剤)は、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、約1.60〜1.72の範囲、例えば約1.62〜1.70、例えば約1.64〜1.68、例えば約1.66の屈折率を有し得る。いくつかの場合では、コア層144Bは、その総重量に基づいて、充填剤を、約50〜85重量%の範囲、いくつかの実施形態では約55〜80重量%、いくつかの実施形態では約60〜75重量%の量で含み得る。
【0084】
さらに、弾性フィルム144のコア層144Bは、手術衣100の望ましいグレー色を実現するのを助けるために、1以上の顔料を含むことができる。好適な顔料の例としては、これに限定しないが、二酸化チタン(例えば、SCC 11692濃縮二酸化チタン)、ゼオライト、カオリン、マイカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、いくつかの場合では、コア層144Bは、その総重量に基づいて、二酸化チタンを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。二酸化チタンは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約2.2〜3.2の範囲、例えば約2.4〜3、例えば約2.6〜2.8、例えば約2.76の屈折率を有し得る。さらに、コア層144Bは、その総重量に基づいて、カーボンブラックを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約1.2〜2.4の範囲、例えば約1.4〜2.2、例えば約1.6〜2の屈折率を有し得る。コア層144Bはまた、その総重量に基づいて、青色顔料を、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含むことができる。カーボンブラックと青色顔料との組み合わせにより、コア層144Bの光吸収能力を向上させることができる。
【0085】
コア層144Bと同様に、コア層144Bを挟むスキン層144A及びスキン層144Cも、1以上の半結晶性ポリオレフィンから作製され得る。例示的な半結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合物またはコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、エチレンとα−オレフィン(例えば、C
3−C
20α−オレフィン、またはC
3−C
12α−オレフィン)とのコポリマーであるポリエチレンが使用される。好適なα−オレフィンは、直線状のものまたは分岐状のもの(例えば、1以上のC
1−C
3アルキル分岐、またはアリル基を有するもの)であり得る。具体的な例としては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−へキセン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ヘプテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−オクテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ノネン、エチル、メチル、またはジメチルで置換された1−デセン、1−ドデセン、及びスチレンが挙げられる。特に望ましいα−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1へキセン、及び1−オクテンである。このようなコポリマーのエチレン含有量は、約60〜99モル%の範囲、いくつかの実施形態では約80〜98.5モル%、いくつかの実施形態では約87〜97.5モル%であり得る。同様に、α−オレフィン含有量は、約1〜40モル%の範囲、いくつかの実施形態では約1.5〜15モル%、いくつかの実施形態では約2.5〜13モル%であり得る。
【0086】
特に好適なポリエチレンコポリマーは、「直鎖状」または「実質的に直鎖状」のものである。「実質的に直鎖状」という用語は、コモノマーの混入に起因する短鎖分岐に加えて、エチレンポリマーが、そのポリマー骨格(ポリマー主鎖)に長鎖分岐も含むことを意味する。「長鎖分岐」とは、少なくとも6つの炭素原子の鎖長を指す。各長鎖分岐は、ポリマー骨格として同一のコモノマー分布を有し得、それが結合されるポリマー骨格と同じ長さを有し得る。好ましい実質的に直鎖状のポリマーは、炭素原子1000個あたり0.01〜1の長鎖分岐で置換されたものであり、いくつかの実施形態では炭素原子1000個あたり0.05〜1の長鎖分岐で置換されたものである。「実質的に直鎖状」という用語とは異なり、「直鎖状」という用語は、測定可能または確認可能な長鎖分岐を有していないポリマーを指す。すなわち、このポリマーは、炭素原子1000個あたり平均0.01未満の長鎖分岐で置換されたものである。
【0087】
直鎖状エチレン/α−オレフィンコポリマーの密度は、α−オレフィンの長さと量との両方の関数である。すなわち、α−オレフィンの長さが長くなるほど、そしてα−オレフィンの量が多くなるほど、コポリマーの密度は小さくなる。必須ではないが、長鎖ポリエチレン「プラストマー」は、α−オレフィンの短鎖分岐の含有量が、エチレンコポリマーが可塑特性と弾性特性との両方を示す、すなわち、「プラストマー」となる量であることが特に望ましい。α−オレフィンコモノマーとの重合により結晶度及び密度が低下するので、結果として生じるプラストマーは、通常、ポリエチレン熱可塑性ポリマー(例えば、LLDPE)の密度(一般的に、0.90〜0.94g/cm
3の比重を有する)よりも小さいが、エラストマーの密度(一般的に、0.85〜0.90g/cm
3、好ましくは0.86〜0.89g/cm
3の密度を有する)と近い及び/または重なる密度を有する。例えば、ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.91g/cm
3以下、いくつかの実施形態では0.85〜0.90g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.88g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.87g/cm
3であり得る。エラストマーと同様の密度を有するにも関わらず、プラストマーは一般的に、より高い結晶度を示し、比較的非粘着性であり、かつ、非接着性を有し比較的自由流動するペレットに形成され得る。
【0088】
本発明で使用するのに好適なポリエチレンは、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からEXACT(商標)という商標名で市販されているエチレンベースのコポリマープラストマーである。他の好適なポリエチレンプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からENGAGE(商標)及びAFFINITY(商標)という商標名で市販されているものである。別の好適なポリエチレンベースのプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からINFUSE(商標)という商標名で市販されているオレフィンブロックコポリマーであり、これはポリエチレンの弾性コポリマーである。他の好適なエチレンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または超低密度ポリエチレン(ULDPE)であり、例えば、ダウ・ケミカル社から、ASPUN(商標)(LLDPE)、DOWLEX(商標)(LLDPE)、及びATTANE(商標)(ULDPE)という商標名で市販されている。他の好適なエチレンポリマーは、特許文献14−17に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0089】
当然ながら、本発明に係る弾性フィルム144のスキン層144A及びスキン層144Cは、エチレンポリマーの使用によって限定されない。例えば、プロピレンポリマーも、弾性フィルムとしての使用に好適であり得る。好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンのコポリマーまたはターポリマー、あるいは、例えばエチレン、1−ブテン、2−ブテン、様々なペンテン異性体、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、スチレンなどのα−オレフィン(例えば、C
3−C
20)コモノマーを有するプロピレンのコポリマーが挙げられる。プロピレンポリマーのコモノマー含有量は、約35重量%以下であり得、いくつかの実施形態では約1〜20重量%、いくつかの実施形態では約2〜15重量%、いくつかの実施形態では約3〜10重量%であり得る。好ましくは、ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.95g/cm
3以下であり得、いくつかの実施形態では0.85〜0.92g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.91g/cm
3であり得る。特定の実施形態では、スキン層144A及びスキン層144Cは、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーを含み得る。第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、ポリプロピレンは、約1.44〜1.54の範囲、例えば約1.46〜1.52、例えば約1.48〜1.50、例えば約1.49の屈折率を有し得、ポリエチレンは、約1.46〜1.56の範囲、例えば約1.48〜1.54、例えば約1.50〜1.52、例えば約1.51の屈折率を有し得る。
【0090】
好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からVISTAMAXX(商標)(例えば、6102)という商標名で市販されているもの、ベルギー国フェルイ所在のアトフィナ・ケミカルズ社からFINA(商標)(例えば、8573)という商標名で市販されているもの、三井石油化学工業社からTAFMER(商標)という商標名で市販されているもの、及び米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からVERSIFY(商標)という商標名で市販されているものがある。好適なプロピレンポリマーの他の例は、特許文献18−20に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0091】
半結晶性ポリオレフィンの作製には、様々な公知の技術を用いることができる。例えば、オレフィンポリマーは、フリーラジカルまたは配位触媒(例えば、チーグラー・ナッタ)を使用して作製することができる。好ましくは、オレフィンポリマーは、メタロセン触媒などの単座配位子触媒を使用して作製される。このような触媒系は、コモノマーが分子鎖内でランダムに分布し、かつ互いに異なる分子量分画に渡って一様に分布するエチレンコポリマーを作製する。メタロセン触媒ポリオレフィンは、例えば、特許文献21−25に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。メタロセン触媒の例としては、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)スカンジウムクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、コバルトセン、シクロペンタジエニルチタントリクロリド、フェロセン、ハフノセンジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル、1−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、モリブドセンジクロリド、ニッケロセン、ニオボセンジクロリド、ルテノセン、チタノセンジクロリド、ジルコノセンクロリドヒドリド、ジルコノセンジクロリドなどが挙げられる。メタロセン触媒を使用して作製されたポリマーは、一般的に、狭い分子量範囲を有する。例えば、メタロセン触媒ポリマーは、4未満の多分散指数(Mw/Mn)、制御された短鎖分岐分布、及び制御されたアイソタクティシティ(isotacticity)を有し得る。
【0092】
半結晶性ポリオレフィンのメルトフローインデックス(MI)は、様々な値を取り得るが、一般的には、190℃で測定して、約0.1〜100g/10分の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜30g/10分、いくつかの実施形態では約1〜10g/10分であり得る。メルトフローインデックスは、190℃で10分間に5000gの力を受けたとき、押出式流動計オリフィス(0.0825インチ径)を通して押し出されるポリマーの重量(g)であり、ASTM試験方法D1238−Eにしたがって測定され得る。
【0093】
加えて、弾性フィルム144のスキン層144A及びスキン層144Cは、コア層144Bには含まれているフルオロケミカル添加物を含んでいないことに留意されたい。この結果、スキン層144A及びスキン層144Cは、コア層144Bよりも高い屈折率を有する。フルオロケミカル添加物は、コア層144Bの屈折率を低下させる傾向があるからである。弾性フィルム144におけるコア層144B及びスキン層144A、144C間の屈折率の差異は光散乱率を高めると考えられ、これにより、高レベルの不透明度及び低レベルの光反射(例えば、グレアの減少)を提供することができる。
【0094】
弾性フィルム144に含まれる層の数、及び弾性フィルム144の作製に使用される特定のポリマーまたは添加物に関わらず、弾性フィルム144は、約5〜50gsmの範囲、例えば約10〜40gsm、例えば約15〜30gsmの坪量を有し得る。特定の実施形態では、弾性フィルム144は、例えば約20gsm(約0.6osy)の坪量を有し得る。
【0095】
C.スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体
【0096】
第1の材料200はまた、弾性フィルム144のスキン層144Cに結合されるSMS積層体146を含む。SMS積層体146のスパンボンド層146Cは、手術衣100の前側パネル102、袖部104、及び前側締結手段116の作製に使用される第1の材料200の内側に向いた面204を形成する。さらに、弾性フィルム144のスキン層144Cに隣接するスパンボンド層146A、スパンボンド層146C、及びそれらの間に配置されるメルトブローン層146Bは、外側スパンボンド層142に関して上述した任意のポリマー(例えば、ポリオレフィン)から作製できることを理解されたい。換言すれば、SMS積層体146は、第1の材料200に対して、柔らかさ、伸縮性、及び柔軟性を提供する任意の適切なポリマーから作製することができる。
【0097】
特定の実施形態では、SMS積層体146は、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cを含み得る。第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cは、第1の材料200に対して、柔らかさ、伸縮性、及び柔軟性を提供する任意の適切なポリマーから作製され得る。例えば、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cは、半結晶性ポリオレフィンから作製され得る。例示的なポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合物またはコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、エチレンとα−オレフィン(例えば、C
3−C
20α−オレフィン、またはC
3−C
12α−オレフィン)とのコポリマーであるポリエチレンが使用される。好適なα−オレフィンは、直線状のものまたは分岐状のもの(例えば、1以上のC
1−C
3アルキル分岐、またはアリル基を有するもの)であり得る。具体的な例としては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−へキセン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ヘプテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−オクテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ノネン、エチル、メチル、またはジメチルで置換された1−デセン、1−ドデセン、及びスチレンが挙げられる。特に望ましいα−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1へキセン、及び1−オクテンである。このようなコポリマーのエチレン含有量は、約60〜99モル%の範囲、いくつかの実施形態では約80〜98.5モル%、いくつかの実施形態では約87〜97.5モル%であり得る。同様に、α−オレフィン含有量は、約1〜40モル%の範囲、いくつかの実施形態では約1.5〜15モル%、いくつかの実施形態では約2.5〜13モル%であり得る。
【0098】
ポリエチレンの密度は、使用されるポリマーの種類によって異なるが、一般的には、0.85〜0.96g/cm
3の範囲であり得る。ポリエチレン「プラストマー」は、例えば、0.85〜0.91g/cm
3の範囲の密度を有し得る。同様に「直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」は、0.910〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有し得、「低密度ポリエチレン(LDPE)」は、0.910〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有し得、「高密度ポリエチレン(HDPE)」は、0.940〜0.960g/cm
3の範囲の密度を有し得る。密度は、ASTM1505にしたがって測定され得る。本発明に使用するのに特に好適なエチレンベースのポリマーは、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からEXACT(商標)という商標名で市販されているものである。他の好適なポリエチレンプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)からENGAGE(商標)及びAFFINITY(商標)という商標名で市販されているものである。さらに他の好適なエチレンポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からDOWLEX(商標)(LLDPE)及びATTANE(商標)(ULDPE)という商標名で市販されているものである。他の好適なエチレンポリマーは、特許文献14−17に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0099】
当然ながら、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cは、エチレンポリマーの使用によって限定されない。例えば、プロピレンポリマーも、半結晶性ポリオレフィンとしての使用に好適である。好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、あるいは、例えばエチレン、1−ブテン、2−ブテン、様々なペンテン異性体、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、スチレンなどのα−オレフィン(例えば、C
3−C
20)コモノマーを有するプロピレンのコポリマーまたはターポリマーが挙げられる。プロピレンポリマーのコモノマー含有量は、約35重量%以下であり得、いくつかの実施形態では約1〜20重量%、いくつかの実施形態では約2〜15重量%、いくつかの実施形態では約3〜10重量%であり得る。ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.95g/cm
3以下であり得、いくつかの実施形態では0.85〜0.92g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.91g/cm
3であり得る。特定の実施形態では、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cは、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーを含み得る。第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、ポリプロピレンは、約1.44〜1.54の範囲、例えば約1.46〜1.52、例えば約1.48〜1.50、例えば約1.49の屈折率を有し得、ポリエチレンは、約1.46〜1.56の範囲、例えば約1.48〜1.54、例えば約1.50〜1.52、例えば約1.51の屈折率を有し得る。
【0100】
好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からVISTAMAXX(商標)という商標名で市販されているもの、ベルギー国フェルイ所在のアトフィナ・ケミカルズ社からFINA(商標)(例えば、8573)という商標名で市販されているもの、三井石油化学工業社からTAFMER(商標)という商標名で市販されているもの、及び米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からVERSIFY(商標)という商標名で市販されているものがある。好適なプロピレンポリマーの他の例は、特許文献18−20に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0101】
半結晶性ポリオレフィンの作製には、様々な公知の技術を用いることができる。例えば、オレフィンポリマーは、フリーラジカルまたは配位触媒(例えば、チーグラー・ナッタ、またはメタロセン)を使用して作製することができる。メタロセン触媒ポリオレフィンは、例えば、特許文献21−25に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0102】
ポリオレフィンのメルトフローインデックス(MI)は、様々な値を取り得るが、一般的には、190℃で測定して、約0.1〜100g/10分の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜30g/10分、いくつかの実施形態では約1〜10g/10分であり得る。メルトフローインデックスは、190℃で10分間に2160gの力を受けたとき、押出式流動計オリフィス(0.0825インチ径)を通して押し出されるポリマーの重量(g)であり、ASTM試験方法D1238−Eにしたがって測定され得る。
【0103】
ポリオレフィンに加えて、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cは、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cの柔らかさを向上させるためにスリップ剤も含むことができる。スリップ剤は、第1の材料200を標準的な手術衣の材料よりも不透明にすることができる。標準的な手術衣の材料は、脂肪または脂質と接触したときに透明になり、着用者は、標準的な手術衣のバリア保護性が損なわれたと懸念することとなる。
【0104】
様々な脂肪酸が、スリップ剤として使用され得る。例えば、スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、N、N´−エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに、スリップ剤は、屈折率を減少させることにより第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、約1.42〜1.52の範囲、例えば約1.44〜1.50、例えば約1.46〜1.48、例えば約1.47の屈折率を有する。スリップ剤は、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cの各層に、各層の総重量に基づいて、約0.25〜6重量%の範囲、例えば約0.5〜5重量%、例えば約1〜4重量%の量で含まれ得る。特定の実施形態では、スリップ剤は、第1のスパンボンド層146Aまたは第2のスパンボンド層146Cの各層に、各層の総重量に基づいて、約2重量%の量で含まれ得る。
【0105】
ポリオレフィンに及びスリップ剤に加えて、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cはまた、手術衣100の望ましいグレー色を実現するのを助けるために、1以上の顔料を含み得る。好適な顔料の例としては、これに限定しないが、二酸化チタン(例えば、SCC 11692濃縮二酸化チタン)、ゼオライト、カオリン、マイカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、いくつかの場合では、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cの各層は、各層の総重量に基づいて、二酸化チタンを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。二酸化チタンは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約2.2〜3.2の範囲、例えば約2.4〜3、例えば約2.6〜2.8、例えば約2.76の屈折率を有し得る。さらに、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cの各層は、各層の総重量に基づいて、カーボンブラックを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約1.2〜2.4の範囲、例えば約1.4〜2.2、例えば約1.6〜2の屈折率を有し得る。加えて、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cの各層は、各層の総重量に基づいて、青色顔料を、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックと青色顔料との組み合わせにより、第1のスパンボンド層146A及び/または第2のスパンボンド層146Cの光吸収能力を向上させることができる。
【0106】
第1の材料200のスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド積層体146のメルトブローン層146Bは、第1のスパンボンド層146A及び第2のスパンボンド層146Cについて上記した任意の半結晶性ポリオレフィンから作製することができる。特定の実施形態では、メルトブローン層146Bは、その100%がポリプロピレンから作製され得る。
【0107】
SMS積層体146の作製に使用される特定のポリマーまたは添加物に関わらず、SMS積層体146は、約5〜50gsmの範囲、例えば約10〜40gsm、例えば約15〜30gsmの坪量を有し得る。特定の実施形態では、SMS積層体146は、例えば約22gsm(約0.65osy)の坪量を有し得る。
【0108】
II.第1の後側パネル、第2の後側パネル、及び後側締結手段
【0109】
水蒸気通気性を有する第1の材料200から作製された前側パネル102及び袖部104を使用するにも関わらず、手術衣100と着用者との間に閉じ込められた熱量は、着用者にとって不快となり得る。したがって、本願発明者は、第2の材料から作製され、高い通気性及び空気透過性を有する第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122を手術衣100の後側160に配置し、手術衣100を例えばフックアンドループ型締結手段168で固定したときに互いに重ね合わせるようにすることにより、手術衣100と着用者との間に閉じ込められた湿気及び熱の放散を容易にすることができることを見出した。特定の実施形態では、第2の材料300は、閉じ込められた熱い空気及び水蒸気を手術衣100から除去するのを容易にするために高い空気通気性を有するスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体の形態であり得る。例えば、第2の材料300は、1atm(14.7psi)及び20℃(68°F)で測定して、約20〜80標準立方フィート/分(scfm)(0.57〜2.27m
3/分)の範囲、例えば30〜70scfm(0.85〜1.98m
3/分)、例えば40〜60scfm(1.13〜1.70m
3/分)の空気体積流量を可能にする。特定の実施形態では、第2の材料300は、約45scfm(1.27m
3/分)の空気体積流量を可能にする。第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122は、通気性を有する第2の材料300から作製することができるので、手術衣100と着用者の身体との間の空間内に蓄積した熱及び湿気は、対流、及び/または、第1の材料200及び第2の材料300が動いて手術衣100と着用者の身体との間の空間の体積が変化したときの空気の動きによって放散させることができる。さらに、第2の材料300の作製に使用されるSMS積層体は、約20〜80gsmの範囲、例えば25〜70gsm、例えば30〜60gsmの坪量を有し得る。特定の実施形態では、第2の材料300は、約40gsm(約1.2osy)の坪量を有し得る。
【0110】
第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122に加えて、後側締結手段(結び紐)118も、第2の材料300から作製され得る。第2の材料300の各層について、以下により詳細に説明する。
【0111】
A.第1のスパンボンド層及び第2のスパンボンド層
【0112】
第2の材料300の第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152は、第2の材料300に対して、柔らかさ及び空気通気性を提供する任意の適切なポリマーから作製され得る。例えば、第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152は、半結晶性ポリオレフィンから作製され得る。例示的なポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合物またはコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、エチレンとα−オレフィン(例えば、C
3−C
20α−オレフィン、またはC
3−C
12α−オレフィン)とのコポリマーであるポリエチレンが使用される。好適なα−オレフィンは、直線状のものまたは分岐状のもの(例えば、1以上のC
1−C
3アルキル分岐、またはアリル基を有するもの)であり得る。具体的な例としては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ペンテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−へキセン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ヘプテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−オクテン、1以上のメチル、エチル、またはプロピル置換基を有する1−ノネン、エチル、メチル、またはジメチルで置換された1−デセン、1−ドデセン、及びスチレンが挙げられる。特に望ましいα−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1へキセン、及び1−オクテンである。このようなコポリマーのエチレン含有量は、約60〜99モル%の範囲、いくつかの実施形態では約80〜98.5モル%、いくつかの実施形態では約87〜97.5モル%であり得る。同様に、α−オレフィン含有量は、約1〜40モル%の範囲、いくつかの実施形態では約1.5〜15モル%、いくつかの実施形態では約2.5〜13モル%であり得る。
【0113】
ポリエチレンの密度は、使用されるポリマーの種類によって異なるが、一般的には、0.85〜0.96g/cm
3の範囲であり得る。ポリエチレン「プラストマー」は、例えば、0.85〜0.91g/cm
3の範囲の密度を有し得る。同様に「直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」は、0.910〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有し得、「低密度ポリエチレン(LDPE)」は、0.910〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有し得、「高密度ポリエチレン(HDPE)」は、0.940〜0.960g/cm
3の範囲の密度を有し得る。密度は、ASTM1505にしたがって測定され得る。本発明に使用するのに特に好適なエチレンベースのポリマーは、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からEXACT(商標)という商標名で市販されているものである。他の好適なポリエチレンプラストマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からENGAGE(商標)及びAFFINITY(商標)という商標名で市販されているものである。さらに他の好適なエチレンポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からDOWLEX(商標)(LLDPE)及びATTANE(商標)(ULDPE)という商標名で市販されているものである。他の好適なエチレンポリマーは、特許文献14−17に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0114】
当然ながら、第2の材料300の第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152は、エチレンポリマーの使用によって限定されない。例えば、プロピレンポリマーも、半結晶性ポリオレフィンとしての使用に好適であり得る。好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、あるいは、例えばエチレン、1−ブテン、2−ブテン、様々なペンテン異性体、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、スチレンなどのα−オレフィン(例えば、C
3−C
20)コモノマーを有するプロピレンのコポリマーまたはターポリマーが挙げられる。プロピレンポリマーのコモノマー含有量は、約35重量%以下であり得、いくつかの実施形態では約1〜20重量%、いくつかの実施形態では約2〜15重量%、いくつかの実施形態では約3〜10重量%であり得る。ポリプロピレン(例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマー)の密度は、0.95g/cm
3以下であり得、いくつかの実施形態では0.85〜0.92g/cm
3、いくつかの実施形態では0.85〜0.91g/cm
3であり得る。特定の実施形態では、第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152の各層は、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーを含み得る。第2の材料300に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、ポリプロピレンは、約1.44〜1.54の範囲、例えば約1.46〜1.52、例えば約1.48〜1.50、例えば約1.49の屈折率を有し得、ポリエチレンは約1.46〜1.56の範囲、例えば約1.48〜1.54、例えば約1.50〜1.52、例えば約1.51の屈折率を有し得る。
【0115】
好適なプロピレンポリマーとしては、例えば、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社からVISTAMAXX(商標)という商標名で市販されているもの、ベルギー国フェルイ所在のアトフィナ・ケミカルズ社(Atofina Chemicals)からFINA(商標)(例えば、8573)という商標名で市販されているもの、三井石油化学工業社からTAFMER(商標)という商標名で市販されているもの、及び米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社からVERSIFY(商標)という商標名で市販されているものがある。好適なプロピレンポリマーの他の例は、特許文献18−20に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0116】
半結晶性ポリオレフィンの作製には、様々な公知の技術を用いることができる。例えば、オレフィンポリマーは、フリーラジカルまたは配位触媒(例えば、チーグラー・ナッタ、またはメタロセン)を使用して作製することができる。メタロセン触媒ポリオレフィンは、例えば、特許文献21−25に記載されている(これらの特許文献は、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に援用される)。
【0117】
ポリオレフィンのメルトフローインデックス(MI)は、様々な値を取り得るが、一般的には、190℃で測定して、約0.1〜100g/10分の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜30g/10分、いくつかの実施形態では約1〜10g/10分であり得る。メルトフローインデックスは、190℃で10分間に2160gの力を受けたとき、押出式流動計オリフィス(0.0825インチ径)を通して押し出されるポリマーの重量(g)であり、ASTM試験方法D1238−Eにしたがって測定され得る。
【0118】
ポリオレフィンに加えて、第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152の各層は、第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152の柔らかさを向上させるためにスリップ剤も含むことができる。スリップ剤はまた、第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122の第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152の摩擦係数を減少させ、水頭圧を増加させる。摩擦係数を減少させることにより、手術衣100が磨耗に起因して切断されるまたは損傷する機会を減らすと共に、流体が第2の材料300を透過するのを防止することができる。その代わりに、スリップ剤を含むことに少なくとも部分的に起因して、手術衣100の外側に向いた面302に接触した流体は、液滴の形態を保ち、手術衣100の遠位端部156まで垂直に流れて床に落ちる。スリップ剤はまた、第2の材料300の光反射を減少させることにより、手術室内での第2の材料300のグレアを減少させることができる。また、スリップ剤は、第2の材料300が手術中に脂肪または脂質と接触したときに、第2の材料300を標準的な手術衣の材料よりも不透明にすることができる。標準的な手術衣の材料は、脂肪または脂質と接触したときに透明になり、着用者は、標準的な手術衣のバリア保護性が損なわれたと懸念することとなる。
【0119】
スリップ剤は、第1のスパンボンド層148及び/または第2のスパンボンド層152の作製に使用されるポリマーの表面に移動することにより機能することができ、第2の材料300の外側に向いた面302の摩擦係数を減少させるコーティングを提供する。様々な脂肪酸が、スリップ剤として使用され得る。例えば、スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、N、N´−エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに、スリップ剤は、屈折率を減少させることにより第2の材料300に対して望ましい光散乱特性及び光吸収特性を付与するために、約1.42〜1.52の範囲、例えば約1.44〜1.50、例えば約1.46〜1.48、例えば約1.47の屈折率を有する。スリップ剤は、第1のスパンボンド層148及び/または第2のスパンボンド層152の各層に、各層の総重量に基づいて、約0.25〜6重量%の範囲、例えば約0.5〜5重量%例えば約1〜4重量%の量で含まれ得る。特定の実施形態では、スリップ剤は、第1のスパンボンド層148及び/または第2のスパンボンド層152の各層に、各層の総重量に基づいて、約2重量%の量で含まれ得る。
【0120】
ポリオレフィンに及びスリップ剤に加えて、第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152の各層はまた、手術衣100の望ましいグレー色を実現するのを助けるために、1以上の顔料を含むことができる。好適な顔料の例としては、これに限定しないが、二酸化チタン(例えば、SCC 11692濃縮二酸化チタン)、ゼオライト、カオリン、マイカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、いくつかの場合では、第1のスパンボンド層148または第2のスパンボンド層152の各層は、各層の総重量に基づいて、二酸化チタンを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。二酸化チタンは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約2.2〜3.2の範囲、例えば約2.4〜3、例えば約2.6〜2.8、例えば約2.76の屈折率を有し得る。さらに、第1のスパンボンド層148または第2のスパンボンド層152の各層は、各層の総重量に基づいて、カーボンブラックを、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含み得る。カーボンブラックは、第1の材料200に対して望ましい光散乱特性及び吸収性特性を付与するために、約1.2〜2.4の範囲、例えば約1.4〜2.2、例えば約1.6〜2の屈折率を有し得る。また、第1のスパンボンド層148または第2のスパンボンド層152の各層は、各層の総重量に基づいて、青色顔料を、約0.1〜10重量%の範囲、いくつかの実施形態では約0.5〜7.5重量%、いくつかの実施形態では約1〜5重量%の量で含むことができる。カーボンブラックと青色顔料との組み合わせにより、第1のスパンボンド層148及び/または第2のスパンボンド層152の光吸収能力を向上させることができる。
【0122】
スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドからなる第2の材料300のメルトブローン層150はまた、第2の材料300の第1のスパンボンド層148及び第2のスパンボンド層152について上記した任意の半結晶性ポリオレフィンを使用してカラーを作製することができる。特定の実施形態では、メルトブローン層150は、その100%がポリプロピレンから作製され得る。
【0124】
本発明に係る手術衣100のカラー110及びカフ106は、空気通気性、柔軟性、及び伸張性(伸縮性)を有する不織布またはニット材料から作製され得る。カラー110はまた、撥水性であり得る。特定の実施形態では、カラー110及びカフ106は、ニットポリエステルから作製され得る。カラー110の作製に用いられる材料は伸張性を有するので、カラー110は、伸張して着用者の特定の首の形状と一致し、着用者の首に対して平らに接触することができる。これにより、骨片、飛び散った血、及び他の生体物質が着用者と接触することを可能にする隙間がカラー110に形成されるのを防止することができる。さらに、上述したように、手術衣100の後側160では、カラー110は、手術衣100を脱ぐのを容易にし、かつフックアンドループ型の後側締結手段168のフック材料136及びループ材料138がカラー110と干渉するのを防止するためのテーパ領域140を有する。例えば、カラー110は伸張性を有するので、カラー110がより小さい幅W2を有するべくテーパを有しておらず、カラー110の第1の部分112の第2の端部128及びカラー110の第2の部分114の第2の端部132(
図5参照)において幅W1を有する場合は、フックアンドループ型の後側締結手段168がカラー110と干渉すると、手術衣100を脱ぐのが困難になる。これは、カラー110は引っ張られている限り伸張を継続するので、カラー110がフックアンドループ型の後側締結手段168に引っ掛かると、フックアンドループ型の後側締結手段168からの脱離が困難になるからである。上述したテーパはまた、フックアンドループ型の後側締結手段168が、ブーファントキャップに引っ掛かるのを防止することができる。いずれの場合でも、カラー110は、ポリエステル糸によって、前側パネル102、袖部104、第1の後側パネル120、及び第2の後側パネル122に縫い付けることができる。さらに、カフ106は、上述したように、カラー110と同一の材料から作製することができる。加えて、カフ106は、ポリエステル糸によって袖部104に縫い付けることができる。
【0125】
本発明は、以下の例を参照することによって、より良く理解できるであろう。
【0126】
(実施例1)
実施例1では、病院の手術室で使用されている光源と類似するC光源を光源として使用した紙用の標準的なTAPPI試験方法にしたがって、本発明に係る弾性フィルム不織布積層体の不透明度(拡散反射率)、散乱能(散乱力)、散乱係数、吸収能(吸収力)、吸収係数、及び透過率を測定した。また、使い捨て式手術衣に使用される4つの市販の材料についても、上記の各特性を測定した。また、材料の坪量も測定した。これらの測定結果を下記の表1に示す。
【0128】
上記の表1に示すように、本発明に係る使い捨て式手術衣に使用される材料は、他の4つの材料よりも低い透過率及び高い不透明率を有する。
【0129】
以上、一例として、本発明を概略的に及び詳細に説明した。本発明はその趣旨から逸脱しない範囲で様々な変更または変形が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。加えて、様々な実施形態の態様は、その全体またはその一部を相互に交換できることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上記の詳細な説明及び実施例は説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図していないことを理解できるであろう。