特許第6367513号(P6367513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367513光学組織評価を備えた高周波アブレーションカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6367513
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】光学組織評価を備えた高周波アブレーションカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】20
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-504682(P2018-504682)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2016001303
(87)【国際公開番号】WO2017016663
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2018年3月29日
(31)【優先権主張番号】62/198,591
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/220,186
(32)【優先日】2016年7月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513148565
【氏名又は名称】メドルミクス,エセ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】MEDLUMICS,S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マルガヨ バルバス,エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ルビオ ギベルナウ,ホセ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス バレロ,サンティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】バリガ リベラ,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】コントレーラス ベルメホ,フスト
(72)【発明者】
【氏名】ヨレット ソレール,フアン
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/171936(US,A1)
【文献】 特開2009−148550(JP,A)
【文献】 特開2014−117618(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/103850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部と、
遠位部であって、
1つ以上の電極であって、当該1つ以上の電極に接触するサンプルの一部を除去するために、RFエネルギーを上記サンプルの一部に印加するように構成された1つ以上の電極、
カテーテルの上記遠位部から1つ以上の照射線を送出し、上記サンプルによって反射または散乱された1つ以上の散乱線を受光するように構成された複数の相互に連結した光学ポートであって、剛性部および柔軟部を有する基体上に形成された複数の相互に連結した光学ポート、および
上記相互に連結した光学ポートを固定の空間的関係に保つように構成されたホルダー、を備える遠位部と、
ソース放射線から上記1つ以上の照射線を導き、上記1つ以上の散乱線を結合させるように構成されたマルチプレクサと、を備えるカテーテル。
【請求項2】
上記複数の相互に連結した光学ポートは、上記基体の剛性部上に形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
上記剛性部は、上記柔軟部によって相互に連結している、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
上記マルチプレクサは、上記カテーテルの上記遠位部内に位置する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
上記マルチプレクサは、上記カテーテルの上記近位部内に位置する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
上記遠位部は、上記遠位部の外面を囲んで配置された複数の開口部をさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
上記複数の光学ポートは、上記複数の開口部のうちの対応する開口部を通じて上記1つ以上の照射線のそれぞれを送出するように構成されている、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
それぞれの対応する開口部は光学素子を備える、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
複数の上記剛性部は、それぞれの光学ポートからの上記1つ以上の照射線のそれぞれを焦点に合わせるように構成された光学素子を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
上記光学素子はレンズである、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
上記光学素子は反射コーティングを有する、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
上記反射コーティングは放物面上に設けられている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
上記ホルダーはモノリシックである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
上記ホルダーはオープンフレームである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
上記ホルダーは、上記基体のそれぞれの剛性部を支える複数の凹部を備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
上記複数の凹部は、それぞれの光学ポートからの上記1つ以上の照射線のそれぞれを焦点に合わせるように構成された反射コーティングを備える、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
上記反射コーティングは放物面上に設けられている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
上記遠位部は、上記ホルダーに留められ、上記ホルダーおよび上記複数の相互に連結した光学ポートを覆うように構成されたキャップをさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項19】
上記キャップは、上記キャップ上に配置された複数の光学素子を備え、それぞれの光学素子は上記複数の光学ポートのうちの少なくとも1つと光学的に位置が揃うように配置されている、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
上記複数の光学素子は屈折性である、請求項19に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学組織検査を伴うRFアブレーションカテーテルの設計およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、出願番号62/198,591(出願日:2015年7月29日)に基づき優先権を主張するものであり、その全部が参照により本願に援用される。
【0003】
高周波(RF)アブレーションとは、組織の壊死を起こす医療技術である。当該技術は、異なる病状、とりわけ、癌、バレット食道、または心不整脈の治療を支援するために使用される。数百kHzを超える発振周波数の交流を印加することにより、ジュール効果によって熱を与えつつ、興奮性の組織への刺激を回避することができる。組織の温度が上昇することにより、コラーゲン等のタンパク質を含む生体分子の変性が起こる。従来、RFアブレーションは、患者の体表に外部電極を置き、患者の体内の治療対象組織に接触させて置かれたカテーテルの先端に交流電位を印加することによって行われる。アブレーションの効果は多数の要因に左右され、当該要因としては、印加電力、電気接触の質、局所組織の性質、組織表面近傍における血流の存在、および潅注の効果が挙げられる。これらのパラメータの変動性のために、一貫した結果を得ることは困難である。
【0004】
実際、本手順が心房細動に使用された場合には限られた有効性のみが示され、個々の成功率はそれを行う臨床医の専門的技術および能力に大きく左右された。適格な施設でさえ、アブレーション後の急性期において、治療成功率は80%までに過ぎず、1年の追跡調査期間内での再発は20%に届き得る。再発ケースに関連するいくつかの要因としては、不連続なアブレーション線および不完全な壁部アブレーションがある。完全な壊死ではなく、浮腫に至る不完全なアブレーションであるかは、現在の器具では適切に識別できない。
【0005】
カテーテルアブレーションのさらなる問題点としては、心房における二点間処置に要する長い介入時間がある。これらの場合、所望の電気的分離効果を得るために、解剖構造を囲んで既定パターンの連続線が生成される。アブレーションは局所的に行われるため、通例、多数の個々の損傷がつなぎ合せられる。鼓動する心臓においてそのようなパターンの連続性を確保するためには、骨の折れる作業および注意を要する。当該処置はしばしば蛍光透視法によるサポートを用いて行われるため、臨床医および患者に対する放射線量がかなりのものになる場合がある。
【発明の概要】
【0006】
心房細動の効果の軽減を支援するための二点間RFアブレーションの使用は、損傷貫壁性、損傷連続性、および除去される組織に与える総エネルギーに関する直接かつ即時の情報を提供することによって向上する。本明細書に記載の実施形態において、低コヒーレンス干渉法(LCI)のデータを用いて処置をモニタリングしながらRFアブレーションを行うシステムおよび方法を記載する。
【0007】
一実施形態において、カテーテルは、遠位部、近位部、マルチプレクサ、および遠位部と近位部との間に結合した鞘部を備える。遠位部は、1つ以上の電極、複数の光学ポート、およびホルダーを備える。1つ以上の電極は、当該1つ以上の電極に接触するサンプルの一部を除去するためにRFエネルギーをサンプルの一部に印加するように構成されている。複数の相互に連結した光学ポートは、カテーテルの遠位部から1つ以上の照射線を送出し、サンプルによって反射または散乱された1つ以上の散乱線を受光するように構成され、剛性部および柔軟部を有する基体上に形成されている。ホルダーは、相互に連結した光学素子を固定の空間的関係に保つように構成されている。マルチプレクサは、ソース放射線から前記1つ以上の照射線を分割し、前記1つ以上の散乱線を結合させるように構成されている。
【0008】
他の実施形態において、カテーテルは、遠位部、近位部、マルチプレクサ、および遠位部と近位部との間に結合した鞘部を備える。末端部は1つ以上の電極を含み、当該1つ以上の電極は、自身に接触するサンプルの一部を除去するためにRFエネルギーをサンプルの一部に印加するように構成されている。遠位部は、カテーテルの遠位部から1つ以上の照射線を送出し、サンプルによって反射または散乱された1つ以上の散乱線を受光する複数の光学素子を備える。近位部は、ソース放射線を生成する光源と、1つ以上の散乱線に関連付けられた深度分解光学データを生成する検出器とを備える。マルチプレクサは、ソース放射線から1つ以上の照射線を生成する。
【0009】
さらなる実施形態において、カテーテルは、遠位部、近位部、処理装置、および遠位部と近位部との間に結合した鞘部を備える。遠位部は1つ以上の電極を含み、当該1つ以上の電極は、自身に接触するサンプルの一部を除去するためにRFエネルギーをサンプルの一部に印加するように構成されている。遠位部は、カテーテルの遠位部から1つ以上の照射線を送出し、サンプルによって反射または散乱された1つ以上の散乱線を受光するように構成された複数の光学素子を備える。近位部は、ソース放射線を生成するように構成された光源と、1つ以上の散乱線に関連付けられた深度分解光学データを生成するように構成された検出器とを備える。処理装置は、少なくとも深度分解光学データに基づきサンプルの熱特性モデルを更新する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本願に組み込まれて明細書の一部を成す付随の図面は本発明の実施形態を示し、さらに、明細書の記載と共に、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を行うおよび利用することを可能にするものである。
【0011】
図1】一実施形態にかかるカテーテルを示す。
【0012】
図2A】実施形態にかかるカテーテルの断面を示す。
図2B】実施形態にかかるカテーテルの断面を示す。
【0013】
図3A】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図3B】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図3C】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図3D】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図3E】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図3F】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図3G】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
【0014】
図4A】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
図4B】実施形態にかかるカテーテルの遠位端を表す。
【0015】
図5】一実施形態にかかるLCIシステムを示すブロック図である。
【0016】
図6A】撮像光の偏光軸およびサンプルを示す。
図6B】撮像光の偏光軸およびサンプルを示す。
【0017】
図7】一実施形態にかかるサンプルにおける温度分布例を表す。
【0018】
図8】一実施形態にかかるサンプルにおける温度分布例を表す。
【0019】
図9】一実施形態にかかる、組織変性についての光学的結果を表す。
【0020】
図10】一実施形態にかかる方法を表す。
【0021】
図11】他の実施形態にかかる方法を表す。
【0022】
図12】さらに他の実施形態にかかる方法を表す。
【0023】
図13】様々な実施形態を行うのに有用なコンピュータシステムの例を示す。
【0024】
本発明の実施形態を、付随の図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
具体的な構成および配置を記載するが、これはあくまで例示を目的とするのみであると解されるべきである。当業者は、本発明の思想および範囲を超えない限りにおいて、他の構成および配置を用いることが可能であると認識するであろう。本発明が他の様々な用途に採用されうることは、当業者にとって明らかであろう。
【0026】
なお、本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「実施形態例」、等の言及は、記載された実施形態が特定の構成、構造、または特性を含み得ることを示し、すべての実施形態が必ずしもそれら特定の構成、構造、または特性を含むわけではない。また、そのような文言は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、一実施形態に関連して特定の構成、構造、または特性が記載される場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、そのような構成、構造、または特性を他の実施形態に関連してもたらすことは、当業者の知識の範囲内である。
【0027】
なお、本願においては心臓のアブレーションについて具体的に言及するが、本明細書に記載の実施形態は、他の病態についても対象にし得る。他の病態を治療するためのRFエネルギーの使用は同様の原理で行われるため、RFエネルギーの印加に使用される技術は同様のものである。
【0028】
本明細書に記載の実施形態では、RFアブレーションとLCIとを組み合わせてアブレーション処置中の制御を向上させるカテーテルについて説明する。加えて、LCI情報と熱伝達計算モデルとを組み合わせる方法によって、アブレーション下の組織におけるエネルギー送達および温度分布を推定することができる。これらの方法は、LCIからの情報を所定の計算モデルに供給する信号/画像処理を行うコンピュータデバイスによって実施されてもよい。モデル、またはモデルの任意の出力は、医師または技師等のカテーテルのユーザに提供されてもよい。あるいはまたは加えて、例えばフィードバックループを使用したアブレーション処理の自動制御のために、任意の態様のモデルを使用してもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルは圧力、温度、位置、または形状センサのうちの1つまたはそれらの組み合わせをさらに備える。カテーテルは、例えば、潅注システムまたはインピーダンス測定器具等のサブシステムをさらに含んでもよい。本明細書における実施形態ではRFアブレーションカテーテルの使用について記載するが、本発明の範囲または思想から逸脱しない限りにおいて、他のアブレーション技術(例えば、レーザーアブレーション)も利用することができる。
【0029】
本明細書において、「電磁放射」、「光」、および「放射線」という用語はすべて、記載された様々な要素およびシステムを通って伝播する同じ電磁信号を説明するために用いられる。
【0030】
〔カテーテルの実施形態〕
【0031】
図1は一実施形態にかかるカテーテル100を示す。カテーテル100は、近位部分102、遠位部分104、および近位部分102と遠位部分104との間に結合した鞘部106を備える。一実施形態において、鞘部106はナビゲーション用の1つ以上の放射線不透過性マーカーを備える。一実施形態において、カテーテル100は、カテーテル100および処理装置108の間に通信インタフェース110を備える。通信インタフェース110は処理装置108とカテーテル100との間に1つ以上のワイヤを備えてもよい。他の例において、通信インタフェース110は、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、セルラー方式等の無線通信を可能にするインタフェース部品である。通信インタフェース110は、カテーテル100の近位部分102または遠位部分104のいずれかの内部に位置する1つ以上のトランシーバー要素と通信してもよい。
【0032】
一実施形態において、鞘部106および遠位部分104は使い捨てのものである。したがって、新たな処置が行われるたびに、新しい鞘部106および近位部分104を取り付けることで近位部分102を再利用してもよい。他の実施形態において、近位部分102も使い捨てのものである。
【0033】
近位部分102はカテーテル100の操作に使用される様々な電気的・光学的部品を収容してもよい。例えば、近位部分102は、組織アブレーション用に遠位部分104に配置された電極にRFエネルギーを印加するための電源を備えてもよい。電源は、少なくとも350〜500kHzの周波数の交流電流を生成するように設計されてもよい。したがって、鞘部106内において、電源から遠位部分104へ1つ以上の導電性ワイヤ(または任意の電気伝達媒体)を導いてもよい。さらに、近位部分102は放射線を生成する光源を備えてもよい。光源としては、1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオード(LED)が挙げられる。光源によって生成された放射線は、赤外領域内の波長を有してもよい。一例として、放射線は1.3μmの中心波長を有する。光源は、1つの波長のみの放射線を出力するように設計されてもよく、または、異なる波長範囲を出力するように設計された掃引光源であってもよい。生成された放射線は、鞘部106内において近位部分102および遠位部分104の間に接続された光伝達媒体を介して遠位部分104へと導かれてもよい。光伝達媒体のいくつかの例としては、シングルモードおよびマルチモードの光ファイバーならびに組込み光導波路が挙げられる。一実施形態において、電気伝達媒体および光伝達媒体は、電気的信号伝播および光学的信号伝播の両方を可能にする同じ複合媒体として実現される。
【0034】
一実施形態において、近位部分102は、光源から生成された光を用いてLCIを行うために、干渉計の1つ以上の部品を含んでもよい。LCIシステムについて、図5を参照しながらさらに詳細に説明する。干渉計データ分析の特性上、一実施形態において、光を遠位端104に/から導くために使用される光伝達媒体は、偏光の状態および程度に影響を与えない。他の実施形態において、光伝達媒体は一定かつ可逆的に偏光に影響を与える。
【0035】
近位部分102は、カテーテル100のユーザがカテーテル100の動作を制御するためのインタフェース要素をさらに備えてもよい。例えば、近位部分102は遠位部分104の偏向角度を制御する偏向制御機構を備えてもよい。偏向制御機構は近位部分102について要素の機械的な動きを命じてもよく、また、偏向制御機構は遠位部分104の動きを制御するために電気的な接続を使用してもよい。近位部分102は、RFエネルギーが遠位端104に印加された場合または放射線が遠位端104から送出された場合にユーザが制御を行って光学データを取得できるように、様々なボタンまたはスイッチを備えてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、遠位部分104はアブレーション用の1つ以上の外部電極を備える。簡潔さのために、本明細書の残りの部分では、アブレーション電極が1つだけ設けられているものとする。遠位部分104は、複数の光学観察ポートも備える。一実施形態において、1つ以上の光学観察ポートは1つ以上の電極のそれぞれに機械で作られている。
【0037】
アブレーションに使用される電極は、鞘部106の長さに沿って設けられた少なくとも1つのケーブルと電気的に接続している。一実施形態によれば、光学観察ポートは遠位部分104の外側に分布しており、その結果、複数の別個の観察方向が得られる。一実施形態において、複数の観察方向のそれぞれは、実質的に非同一平面上にある。光学観察ポートは、アブレーション中の過熱状態から遠位部分104および周囲の組織を冷やすための潅注機能性も考慮して設計されてもよい。遠位部分104の設計について、図3A〜3Gおよび図4A〜4Bを参照しながらさらに詳細に説明する。
【0038】
図2Aおよび図2Bは実施形態にかかる鞘部106を示す断面図である。鞘部106は、近位部分102と遠位部分104とを相互に連結させるすべての要素を含んでもよい。鞘部106aは、潅注導管202、RF伝導媒体204、偏向機構206、電気接続部208、および光伝達媒体210を収容する一実施形態を示す。図2Aは電気接続部208および光伝達媒体210の両方を包む保護カバー212を示す。電気接続部208は、遠位部分104内に配置された光学変調部材に信号を送るために使用されてもよい。1つ以上の光伝達媒体210は、光源から生成された光(照射光)を遠位部分104へ導き、一方、他の光伝達媒体210は遠位部分104から戻った光(散乱光または反射光)を近位部分102へと導く。他の例では、同じ1つ以上の光伝達媒体210が光を両方向に導く。
【0039】
潅注導管202は、冷却液を遠位部分104へと導くために使用される中空管であってもよい。潅注導管202は、液体の温度に影響を与えるように導管に沿って配置された加熱および/または冷却要素を含んでもよい。他の実施形態において、潅注導管202は、遠位部分104の周囲の液体を近位部分102に引き戻す手段として使用されてもよい。
【0040】
RF伝導媒体204は、遠位部分104に配置されたアブレーション電極にRFエネルギーを提供するために使用されるワイヤまたはケーブルであってもよい。偏向機構206は、遠位部分104の偏向角度を変更するために遠位部分104に信号を送るように設計された電気的または機械的要素を含んでもよい。一実施形態によれば、偏向システムによって、近位部分102内に置かれた機械的制御部を作動させることで遠位部分104の誘導が可能になる。このシステムは、遠位部分104が一方向に偏向するように鞘部106において等間隔で一列に並んで設けられた一連のカットアウトと、近位部分102における偏向機構制御部を遠位部分104におけるカテーテルの先端に接続するワイヤとの組み合わせに基づくものでもよい。このように、近位部分のある動きを遠位部分に伝えることができる。他の実施形態では、カテーテルの先端に取り付けたいくつかの制御ワイヤを組み合わせることで、カテーテルの先端を異なる方向に偏向させることができる。
【0041】
図2Bは、鞘部106bの断面を示す。鞘部106bは、電気接続部208が設けられていないことを除き、図2Aの鞘部106aとほとんどの要素が同じである一実施形態を示す。鞘部106bは、生成された放射線に対して近位部分102において変調(例えば、多重化)を行う場合に使用することができる。
【0042】
図3Aから3Gは、様々な実施形態にかかる遠位部分104の内部を示す図である。例えば、図3Aは、複数の観察ポート302、複数の光ファイバー304、遠位部分104の外側ボディとしても機能する電極306、および実質的に遠位部分104aの先端に位置する1つ以上の潅注導管310を有する遠位部分104aを示す。複数の観察ポート302は、サンプル308を様々な方向から見られるような任意のパターンで、遠位部分104aの外側を囲うように配置されてもよい。サンプル308の一部を除去するために、RFエネルギーを電極306に印加してもよい。電極306は遠位部分104a上の1つ以上の電極であってもよい。一実施形態において、光ファイバー304は、光集積回路内に規定された導波路等の他の種類の導波構造のいずれかであってもよい。他の実施形態において、光ファイバー304は柔軟基体上に規定された導波構造であってもよい。導波構造を含む同じ柔軟基体上に、多重化ユニット312も規定されてもよい。
【0043】
図3Aおよび3Bでは、複数の観察ポート302のそれぞれにおいて光ファイバー304が使用されており、複数の観察ポート302それぞれを通じた光の授受の両方を行うようになっている。遠位部分104aから照射光が観察ポート302を通ってサンプル308上へと送出され、一方、サンプル308によって散乱または反射された光は観察ポート302を通って受光される。複数の観察ポート302におけるそれぞれの観察ポートは、1つより多い光ファイバー(例えば、ファイバーバンドル)を含んでもよい。近位部分102内の光源から生成された光は、多重化ユニット312を用いて観察ポート302のそれぞれの間で分割されてもよい。あるいは、多重化ユニット312は、光を送出するか受光するかのいずれかのための、複数の観察ポート302のうちの1つを選択してもよい。多重化ユニット312は光伝達線316を介して入力放射線の入力を受ける。光伝達線316は任意の数の光伝達要素(例えば、光ファイバー)を含んでもよく、図2Aおよび図2Bの光伝達媒体210と同様であってもよい。カテーテル100の近位部分102から多重化ユニット312へと制御信号を送るための電気ワイヤ318が設けられてもよい。
【0044】
多重化ユニット312は、多重化ユニット312の様々な変調要素に制御信号を送る関連電子機器314を備えてもよい。多重化ユニット312は、様々な観察ポート302によって収集した光からの寄与の分割を可能にする任意の多重化方法を使用してもよい。そのような多重化方法の1つとして時間領域多重化方式があり、当該方式において、多重化ユニット312は制御によって異なる出力導波路を切り替え、関連する観察ポート302のうちの1つのみが所定のタイミングに有効になる。その他の好適な多重化方法としては周波数領域多重化方式があり、当該方式において、異なる観察ポート302に対応する信号の時間周波数挙動が処理装置によって差異化されるように、観察ポート302のそれぞれを通過する光が変調される。観察ポート302のそれぞれを通過する光に異なる群遅延を導入することにより、コヒーレンス領域多重化方式も多重化ユニット312において使用することが可能であり、それにより、異なる観察ポート302に対応する信号が異なるコヒーレンス位置において現れるため、処理装置によって当該信号を差異化することができる。一実施形態において、これらの方法は排他的なものではなく、最も好適な設計上の妥協を探るために組み合わせられてもよい。いくつかの多重化方法は、コヒーレンス領域多重化方式のように、多重化ユニット312の電気的な動作を必要としない。したがって、一実施形態において、コヒーレンス領域多重化方式に基づく実施では、制御信号用の電気伝達媒体を必要としない。
【0045】
一実施形態において、多重化ユニット312は熱電光学スイッチのネットワークを用いてシリコンフォトニクス光学チップ上に生成される。多重化ユニット312に使用する他の好適な材料としては、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、酸窒化物(oxinitride)、ニオブ酸リチウム、III‐V半導体材料、炭化ケイ素、および光学グレードポリマーが挙げられる。光学切り替え動作を補助する他の変調効果としては、電気光学効果、電荷キャリア密度効果、光機械的効果、液晶系屈折率変調、等が挙げられる。多重化機能は、小型化およびパッケージングの制約が満たされる限りにおいて、微小電気機械(MEMS)デバイスによっても得られる。電気ワイヤ318と多重化ユニット312との間の接続は、個々のワイヤボンディングまたは半田付けを介して、もしくは個別処理またはバッチ処理においてフリップチップアセンブリを可能にする中間基板を介して行ってもよい。一実施形態において、この中間基板は柔軟である。
【0046】
一実施形態において、多重化ユニット312は柔軟基体上に設けられる。光学素子を柔軟基体上に形成するプロセスとしては、シリコンオンインシュレーター(SOI)チップまたはウェーハに適用される基体搬送後処理工程が挙げられる。当該工程のさらなる詳細については同時係属中の米国出願公開番号2013/0201485に記載されており、その開示における全部が参照により本願に援用される。一実施形態において、結果として得られるフレキシブルデバイスは、当初の厚み(500μm〜700μm)よりも薄い(<100μm)。多重化ユニット312は、部分的に柔軟な光学集積チップによって実現されてもよい。一実施形態によれば、複数の導波路304(例えば、光ファイバー)は、遠位部分104aを囲むように配置された様々な観察ポート302に届くように、好適に柔軟である。図3C図3Gに示す通り、光学集積チップは柔軟部によって相互に連結した一連の剛性部から形成されてもよい。関連電子機器314は、多重化ユニット312を備える集積チップの底面側または上面側のどちらに取り付けられてもよい。他の実施形態において、多重化ユニット312および関連電子機器314の両方は、柔軟基体上に配置される。一例として、多重化ユニット312および関連電子機器314の両方を有する柔軟基体は、カテーテル100の遠位部分104aに嵌合するように円筒形に丸められる。
【0047】
図3Aに示す通り、遠位部分104aは、遠位部分104aの外側に設けられた複数の穴(図示せず)に液体を送るための1つ以上の潅注導管310を備えてもよい。潅注導管310を介して送られる液体は、アブレーション処置中の冷却に使用されてもよい。他の実施形態において、潅注導管310は、治療用の液体をサンプル308に送るために設計されてもよい。
【0048】
遠位部分104aは力センサ317も備えてもよい。一実施形態において、力センサ317は、1つ以上の基準軸に沿って動作中の遠位部分104aにかかる力を測定するように設計されている。力センサ317は、当該センサの一部に機械的に接続された、鞘部からの剛性要素(例えば、剛性ワイヤ)を含んでもよく、一方、外部電極は当該センサの別の部分に接続される。カテーテルおよび電極306と鞘部との間で機能する任意の機械的な固定要素の組立品全体は、力センサ317への十分な応力伝達を確保しなければならない。他の実施形態において、力センサ317は、例えば、歪み計に基づく圧力センサであってもよい。
【0049】
一実施形態によれば、力センサ317は、多重化ユニット312と同じ基体に規定された自身の読み出し要素を有してもよい。読み出し原理としては、張りに関連する距離変化の干渉計による分析に基づくもの、圧電デバイスに基づくもの、静電容量測定に基づくもの、または電磁測定に基づくものであってもよい。一実施形態によれば、力センサ317によって生成された信号は、鞘部106を通る付加的なケーブルおよび/または光伝達媒体を通って伝達される。あるいは、信号は、多重化ユニット312およびその関連電子機器314用に使用されるものと同じ電気的および光学的経路を通って伝達されてもよい。後者の場合、多重化光学経路および力センサ317のデータ経路は好適な信号多重化技術によって分離されてもよい。さらに、潅注導管310に一定の低流量で潅流する場合、カテーテル100の近位部分102に圧力変換器を追加することで、圧力を間接的に測定してもよい。
【0050】
一実施形態において、動作中のカテーテルの実質的に先端の温度を測定するための温度センサ319を遠位部分104aに設けてもよい。温度センサ319は、熱電対、既知の温度依存性抵抗を有する要素、温度によって光学パラメータが変化する要素、またはその他の種類の任意の温度センサであってもよい。温度センサ319は、多重化ユニット312と同じ基体に規定された要素として設けられてもよい。一実施形態によれば、温度センサ319によって生成された信号は、鞘部106を通る付加的なケーブルおよび/または光伝達媒体を通って伝達されるか、あるいは、多重化ユニット312およびその関連電子機器314用に使用されるものと同じ電気的および光学的経路を通って伝達される。後者の場合、多重化光学経路および温度センサ319のデータ経路は好適な信号多重化技術によって分離されてもよい。
【0051】
図3Bは、遠位部分の他の実施形態である遠位部分104bを示す。遠位部分104bの多くの要素は、遠位部分104aにおいて記載したものと同じである。しかしながら、遠位部分104bは多重化ユニット312および関連電子機器314を含まない。遠位部分104b内の複数の光ファイバー304に光を送るために、ファイバーバンドル305が使用される。遠位部分104bを用いるカテーテルの実施形態において、多重化ユニットは近位部分102内に配置されるか、カテーテル100の外部(例えば、処理装置108)に配置されてもよい。
【0052】
図3Aおよび図3Bに示される遠位部分104のいずれの実施形態においても、複数の観察ポート302は、いずれかの観察ポート302を通過する光を焦点に合わせるように設計された1つ以上のレンズおよび/または鏡または同様の光学素子を備えてもよい。一実施形態によれば、それぞれの観察ポート302内で使用される材料は、光学インターロゲーションに用いられる光の波長を実質的に透過させる。光学的損失を最小限にするために、光学素子は反射防止層によってコーティングされてもよい。鏡は、反射性を持たせる対象となる表面に、マスクを介した金属層の選択的な蒸着によって局所的に形成することができ、当該鏡は、平坦かまたは合焦機能を提供するものであってもよい。遠位部分104のボディは、射出成形プラスチックを用いて形成されてもよく、多重化ユニット312の実装を補助するように設計されてもよい。一実施形態において、複数の観察ポート302において用いられる光学素子は、屈折率分布型レンズおよび/または先細の先端部を有するレンズを含む。
【0053】
一実施形態において、複数の観察ポート302の1つ以上は、観察ポート302から出射される放射線(照射線)を特定の方向に走査するための走査要素(図示せず)を備える。走査要素は、微小電気機械システム(MEMS)部品を含んでもよく、または、関連する観察ポートからの放射線の出射角を操作するための電気光学的変調器を用いてもよい。放射線の走査に関するさらなる詳細および例については、米国出願公開番号2014/0078510に記載されており、その開示における全部が参照により本願に援用される。
【0054】
図3C図3Gに、遠位部分104の別の実施形態を示す。これらの実施形態の多くの要素は、特に断りのない限り、図3Aおよび図3Bにおいて記載したものと同じである。図3C図3Gに示すそれぞれの構成では、遠位部分は、柔軟部によって連結された剛性部を有するフォトニック集積回路を備える。図3Cに示す通り、1つの基体320をすべての光線入出力剛性部322の基礎として用いてもよい。それぞれの光線入出力剛性部322は少なくとも1つの薄型柔軟部324に接続されている。光線入出力部322は光学ポートを提供してもよく、柔軟部324によって光学的および機械的に相互に連結して遠位部分104の先端を形成する。このように、基体320は複数の一体型分枝を有し、それぞれの分枝は柔軟部324によって相互に連結した光線入出力剛性部322を備える。分枝は、遠位端の先端を囲むように柔軟部324において湾曲している。このように、異なる形状および配置を適応させることができる。分枝および対応する光線入出力剛性部322の空間的関係を固定するために、ホルダーを用いてもよい。
【0055】
フレキシブル導波路が柔軟部にわたって延伸し、光学ポートをマルチプレクサ312に光学的に接続してもよい。柔軟部は、基体材料を部分的に除去して基体を薄くすることで形成してもよい。薄型化した部分を補強するために、ポリイミドの層を追加してもよい。図3Cに示すようにマルチプレクサ312を剛性部上に形成してもよく、または、マルチプレクサ312を剛性部および柔軟部にわたって設けてもよい。光線光学ポートを剛性部に形成する方が容易ではあるが、光線光学ポートを柔軟部に形成してもよい。一実施形態において、光結合器(例えば、2×1または2×2)を剛性部および/または柔軟部にわたって適宜分散させ、マルチプレクサ312の一部を形成してもよい。
【0056】
光線入出力部322は、光学ポートから焦点を合わせた光線または焦点が合っていない光線を出力してもよい。さらに、光線は光線入出力部322の平面内において出射してもよく(図3D参照)、または、光線入出力部322の平面に対して斜めの角度(直角等)で出射してもよい(図3E図3G参照)。その後、サンプルからの放射線を同じ光学経路に沿って受け取ってもよい。図3E図3Gに放射線を導くように設計されたデバイスの様々な実施形態を示す。さらなる詳細および別の構成については、米国出願番号62/064,355に記載されており、その開示における全部が参照により本願に援用される。
【0057】
図3Dは、柔軟部324によって光学的および機械的に結合した2つの光線入出力部322を示す。導波路334が基体の平面に沿って光学ポート326へと延びている。光学ポート326は、光線入出力部322のそれぞれに沿う伝播平面と実質的に平行に放射線342を導く。光学ポート326は、対象の領域に光を届けるために観察ポート302と連携してもよい。光線入出力部322は1つの光学ポートに限定されず、代わりに複数の光学ポートを有していてもよい。
【0058】
図3E図3Gは、基体の表面に実質的に直角な角度に放射線を向ける概念を示す。しかしながら、これらの実施形態は、いくつかの要素の配置および形成について異なる。例えば、図3Eは柔軟部324に機械的および光学的に結合した複数の光線入出力部322によって形成された基体320を示す。柔軟部の下の部分は、柔軟性を持たせるために除去されている。1つ以上の導波路334が、それぞれの光線入出力部322上に形成されている。導波路334は、光学ポート間の光学的結合を可能にするために、柔軟部324を横断して伸びている。導波路334は、クラッド層338aおよび338bに囲まれたコア層336を含む。反射器340が導波路334の面内に形成されており、当該反射器340は観察ポート302に向かって放射線342を反射するように設計されている。
【0059】
基体320は、表面および/またはバルク微細加工パターニングを行うことが可能ないずれかの好適な材料であってもよい。一例として、基体320は、ケイ素、ヒ化ガリウム、リン化インジウム等の結晶材料である。他の例において、基体320はガラスまたはポリシリコン等の非晶質である。導波路334のコア層336は、導波路334内を伝播する放射線を閉じ込めるために、クラッド層338aおよび338bよりも高い屈折率を有する材料から構成されてもよい。導波路334は、結晶構造を有するか、または重合体であってもよい。導波路334の材料の例としては、ケイ素、窒化ケイ素、ヒ化ガリウムインジウム、ドープされたケイ素、PMMA、パリレン、およびSU‐8が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、クラッド層338aおよび338bは二酸化ケイ素であり、一方、基体320およびコア層336の両方はケイ素である。導波路334は、ストリップ導波路、リッジ導波路、基体320の表面に敷かれた光ファイバー、または他の種類のいずれかであってもよい。
【0060】
一実施形態によれば、反射器340は導波路334を形成する層をエッチングすることによって形成されてもよい。湿式異方性腐食液を用いて結晶面に沿って材料をはぎ取ることで、反射器340の表面を形成してもよい。当該表面は、ケイ素の熱酸化および反射器340をフッ化水素酸(HF)等の別の化学腐食液に素早く晒すことによる酸化物除去処理によってさらに滑らかにしてもよい。ドライエッチング技術を用いて反射器340の角度のある表面を形成してもよい。例えば、様々な高さのフォトレジストを生成するためのグレースケール型マスクを用いる反応性イオンエッチング(RIE)によって、非平面構造を作成することができる。
【0061】
一実施形態によれば、反射器340は導波路334の終端から近い距離に配置される。この距離は大き過ぎてはいけない。そうなってしまった場合、導波路334から出射された放射線が過度に広がり、望ましくない光学的損失が起こってしまう。本実施形態において、反射器340および導波路334の両方が基体320の第1表面上の面内にパターニングされる。反射器340は角度のある表面を有するように設計されてもよい。例えば、反射器340は、基体320の第1表面に対して実質的に45度の角度の表面を有してもよい。この角度によって、放射線が基体320の表面に対して実質的に直角に向けられる。他の例としては、反射器340は、基体320の第1表面に対して実質的に54.74度の角度の表面を有する。図3Eに示す実施形態において、光線入出力剛性部322から光が上方に反射されて観察ポート302へと向かう。観察ポート302は、散開する放射線を焦点に合わせるための合焦光学素子(レンズ等)を備えてもよい。
【0062】
図3Fは、追加の合焦要素を必要としない他の構成を示す。一実施形態によれば、代わりに、光学素子344が導波路334上かつ光線入出力剛性部322の上面上に配置されている。本実施形態では、光学素子344はレンズである。レンズは、放射線342を焦点に合わせるに設計されるか、放射線342を平行にするように設計されてもよい。光学素子344は、ナノインプリントリソグラフィまたはグレースケールマスクを用いた標準リソグラフィエッチングによって作成されてもよい。透明重合体の熱リフローを用いて湾曲レンズ形状を形成してもよい。光学素子344は、RIEを基体320に直接用いて設けてもよい。RIEを使用することの利点は、基体材料が高い屈折率を有する(例えば、ケイ素、InP、等の材料)場合に発揮され、これにより、レンズの性能が周囲の媒体の屈折率にほとんど左右されない。レンズの合焦面の曲率および位置を、レンズの焦点および焦点距離が所望のコリメーティング性能または合焦性能を発揮するように調節してもよい。一例として、レンズの対物距離を設定するために、重合体中間層を光学素子344と導波路334との間に導入する。その後、光損失を最小限に抑えるために、光学素子344を抗反射的誘電性スタックによってコーティングしてもよい。図示した配置では基体320において光学素子344が導波路334と同じ側に設けられているが、放射線が基体320を通るように光線入出力剛性部322に開口部を設けることで、導波路334を光学素子344とは反対側に形成してもよい。
【0063】
モノリシックホルダー350は光線入出力剛性部322を物理的に保持して導くための凹部352を備える。図3Fの断面図は、ホルダー350の周囲でどのように基体320を曲げるかを示す。ホルダーによって光線入出力剛性部322が遠位端104の先端に空間的に固定され、ホルダーにおける凹部352間の部分を跨ぐように柔軟部324が配置される。2つの光線入出力剛性部322が詳細に示されているが、それぞれの凹部352は、通常、その中に対応する光線入出力剛性部322を有する。柔軟部324用に、ホルダー350に溝をさらに設けてもよい。または、ホルダー350は、モノリシックな要素の代わりにフレームとして形成されてもよい。
【0064】
図3Gは合焦要素を含む別の構成を示し、これにより、観察ポート302に合焦要素を設ける必要性が軽減される。図3Fに示す屈折性要素の代わりに、図3Gに示す構成は反射コーティング336を備えた光学素子344を含む。反射コーティング336は、導波路334からの光を焦点に集めるかまたは平行にするように光学素子344の放物面上に形成されてもよい。光学素子344および反射コーティング336は上述したように光線入出力剛性部322上に形成されてもよい。または、反射コーティング336は、他の光学素子を設ける必要がないように、ホルダー350の凹部352内に形成された放物面上に形成されてもよい。反射コーティング336は、軸上反射または軸外し反射用に設計されてもよい。軸上反射用には、実質的に環状の開口部を光線入出力部322に形成し、光線342が基体320の中および平らな反射器340の周りを通るようにしてもよい。
【0065】
さらに、図3D図3Gに関連して上述した構成を組み合わせることで、放射線342を導くための複合的な手段を実現してもよい。
【0066】
図4Aは、一実施形態にかかる遠位部分104の外側を示す図である。遠位部分104を囲む組織サンプル(例えば、心房壁)を任意の角度で観察するために、複数の観察ポート302を遠位部分104の外面全体における任意の位置に配置してもよい。さらに、遠位部分104は、図3Aおよび図3Bに示す潅注導管310に関連付けられた複数の開口部402を備えてもよい。開口部402を遠位部分104の外面上のいずれかの位置に配置し、遠位部分104の周囲に液体を排出するかまたは末端部分104の周囲から液体を吸い上げるためのいずれかに用いてもよい。
【0067】
図4Bは、一実施形態にかかる遠位部分104を示す分解図である。遠位部分104を囲む組織サンプル(例えば、心房壁)を任意の角度で観察するために、複数の光学素子404をキャップ410の外面全体における任意の位置に配置してもよい。キャップ410は、ホルダー350および基体320の周りに嵌合するように設計されている。光線入出力剛性部322は、ホルダー350の凹部352内に嵌合している。そして、キャップ410はホルダー350および基体320をぴったりと覆い、位置決め固定機構412および414によって留められている。歯412がインテント(intent)414に嵌合することで、近位部分102と光学的に接続されるようにキャップ410がホルダー350に留められる。キャップ410をホルダー350に留めることにより、光学素子404と光線入出力剛性部322の光学出力との位置が揃う。
【0068】
〔LCIシステムの実施形態〕
【0069】
本願の様々な実施形態は、遠位部分104の周囲の組織の光学インターロゲーション用のカテーテル100内に組込まれたLCIシステムを含む。図5は、一実施形態にかかる、サンプル510を撮像するためのLCIシステム501の一例を示す。例えば、サンプル510は除去対象の心房壁の一部分であってもよい。遅延ユニット512は、様々な光変調要素を含んでもよい。これらの変調要素は、位相および/または周波数の変調を行うことにより、光における好ましくない光学効果を抑制し、撮像されるサンプル510における1つ以上の深度を選択してもよい。用語「光」の使用は、あらゆる範囲の電磁スペクトルを意味し得る。一実施形態において、用語「光」は、波長約1.3μmの赤外線を意味する。
【0070】
LCIシステム501はさらに、光源502、分割要素504、サンプルアーム506、参照アーム508、および検出器514を備える。図示された実施形態において、遅延ユニット512は参照アーム508内に位置している。しかしながら、遅延ユニット512は代わりにサンプルアーム506内に位置してもよいことが理解されるべきである。または、遅延ユニット512の様々な要素がサンプルアーム506および参照アーム508の両方に設けられてもよい。例えば、可変遅延を光に導入する遅延ユニット512の要素がサンプルアーム506内に位置し、一方、光の異なる偏光モードを変調する要素が参照アーム508内に位置してもよい。一例としては、サンプルアーム506および参照アーム508はパターニングされた導波路または光ファイバー等の光導波路である。一実施形態において、LCIシステム501のすべての構成要素は、平面光波回路(PLC)に組込まれている。他の実施形態において、少なくとも遅延ユニット512内の構成要素はPLCの同じ基板に組込まれている。他の実施形態として、例えば、光ファイバーシステム、自由空間光学システム、フォトニック結晶システム、等も考えられる。
【0071】
LCIシステム501は、明確性のために図示しなかった他の光学素子を、その数を問わず備えてもよい事が理解されるべきである。例えば、LCIシステム501は、鏡、レンズ、格子、スプリッタ、マイクロメカニカル要素、等をサンプルアーム506または参照アーム508の経路に沿って備えてもよい。
【0072】
分割要素504は、光源502から受け取った光をサンプルアーム506および参照アーム508の両方に導くために使用される。分割要素504は、例えば、二方向結合器、光学スプリッタ、または単一の光線を2つ以上の光線に変換する他の任意の変調光学デバイスであってもよい。
【0073】
サンプルアーム506に沿って進む光は、最終的にサンプル510に突き当たる。サンプル510は、組織等の好適な撮像対象サンプルであってもよい。光は、サンプル510内の様々な深度から散乱および反射され、当該散乱/反射放射線はサンプルアーム506中へと収集される。他の実施形態において、散乱/反射放射線は伝送用導波路とは異なる導波路中に収集される。走査深度は、遅延ユニット512内において光に遅延を課すことによって選択してもよい。
【0074】
サンプルアーム506および参照アーム508内の光は検出器514に受け取られる前に再結合される。図示した実施形態において、光は分割要素504によって再結合される。他の実施形態において、光は、分割要素504とは異なる光学結合要素によって再結合される。検出器514は、受け取った光を電気信号に変換するための、任意の数のフォトダイオード、電荷結合デバイス、および/またはCMOS構造を備えてもよい。電気信号はサンプル510の関連する深度分解光学データを含み、さらなる分析および信号処理のための処理装置によって受信されてもよい。本明細書に使用されるとき、「深度分解」という用語は、撮像サンプルにおける特定の深度に関連するデータの1つ以上の部分を識別可能なデータを規定する。
【0075】
一実施形態において、光源502、検出器514、および遅延ユニット512は、カテーテル100の近位部分102内に配置される。分割要素504ならびにサンプルアーム506および参照アーム508のうちの1つまたは両方の少なくとも一部が、カテーテル100の近位部分102または遠位部分104のいずれかに配置されてもよい。他の実施形態において、LCIシステム501のすべての要素がカテーテル100の末端部分104に配置されている。光源502としては、1つ以上の発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオードが挙げられる。例えば、時間領域および/またはスペクトル領域分析を行う場合にLEDを用い、一方、光の波長を波長範囲にわたって掃引する場合には、波長可変レーザーを用いてもよい。他の実施形態において、光源502および検出器514はカテーテル100の外部、例えば、処理装置108に配置される。
【0076】
一実施形態によれば、LCIシステム501は、マイケルソン干渉計と同様の構造の干渉計として示される。しかしながら、他の干渉計構造も可能であり、マッハ‐ツェンダー干渉計またはミロー干渉計の構造が挙げられる。
【0077】
〔方法例および実施の形態〕
【0078】
カテーテル100は、カテーテル100の遠位部分104を組織に接触させて高周波交流を印加することによってアブレーションを行うために使用されてもよい。使用される発振周波数としては、350kHz〜500kHzの範囲であってもよい。他の周波数を使用してもよく、興奮性細胞にほとんど電気的刺激を与えない約1kHzよりも高い任意の周波数であればよいことが理解されるべきである。RFエネルギーを遠位部分104の電極306に提供するための電力調節可能な高周波電源を使用してもよい。組織への熱伝達の基礎となる物理的性質は、先端‐組織間接点の高い電気インピーダンスに基づいている。この組織‐電極間接点のインピーダンスは、アブレーション周波数において、戻り電極のものよりも実質的に大きくてもよい。身体に流す特定の電流のために、所望の位置に熱を発生させるこの接点において、大きな電圧降下を発生させてもよい。このように、一般的に心臓のアブレーション治療中は患者の背中に置かれる接地とカテーテルの先端との間のすべての量の組織の代わりに、カテーテルの先端の周囲の少量の組織が除去される。RF電力およびアブレーション時間を調節することにより、組織へと伝わる総エネルギーを正確に制御することができる。低温学または光学手段(例えば、レーザーアブレーション)に基づく他のアブレーション技術も、異なる病状の治療に用いることができる。
【0079】
カテーテル100内の光学多重化ユニット312が時間領域多重化方式を使用する場合の実施形態において、一実施形態によれば、アブレーションが行われている間、観察ポート302のいくつかのみが組織に接触していることが考えられる。このように、アブレーション処理中に作動する観察ポートの線取得率を最大化することができる。アブレーション対象領域における一連のLCI線は、一定期間中に収集されてもよい。信号処理アルゴリズムを用いて、信号の経時変化を見ることによって、損傷経過を監視してもよい。そのようなアルゴリズムは、処理装置108が実行してもよい。例えば、M走査は、同じ物理位置における時間の関数としての繰り返しの軸走査を伴う。特に、M走査表示を構成するデータは、RFエネルギー送達の直前に取得開始されてもよい。一実施形態によれば、処理装置108によって実行される信号・画像処理ソフトウェアがカテーテル100によるRFエネルギーの印加に関連付けられたタイミング情報を受け取る。このように、組織アブレーションが行われている時間中にのみデータが収集されてもよい。
【0080】
一実施形態において、信号・画像処理ソフトウェアは、組織の複屈折を確認する。組織繊維の複屈折は、アブレーション処置の外部の多数の潜在的要因によって変化し得る。コラーゲン等の連結性生体繊維が複屈折性を示すことが知られている。熱伝達によって組織が完全に壊死した場合、コラーゲン繊維は変性する。この変性は、これらの繊維の複屈折作用における損失を生じさせる。コラーゲン繊維の不可逆の変性は、約60℃で起こる。細胞死は、超生理的温度の印加とその継続との組み合わせによって起こる。しかしながら、複屈折の部分的な損失は部分的な組織損傷(浮腫)を示す場合が有り、そのことが最終的に処置の有効性を損なう恐れがある。一例として、60℃より低い温度において、三重らせん水素結合によって起こったコラーゲン変性が失敗に終わり、複屈折が可逆的に減少する場合がある。他の例において、暴露時間および温度上昇の両方を組み合わせることで、変性および細胞死が起こる。
【0081】
偏光感受性LCI(PS‐LCI)技術を使用することによって、組織における複屈折の変化のモニタリングが可能になり、したがって、組織に誘導された変性の度合いを推定することができる。一実施形態において、信号・画像処理ソフトウェアは、組織の偏光関連特性に関するデータとLCIシステムによって収集された深度分解光学データの総振幅に関連付けられた構造データとを組み合わせることができる。組織繊維の偏光に関するデータは、深度分解光学データからも抽出することができる。サンプルの画像は、サンプルにおける様々な部分の複屈折性の違いに基づき、処理装置によって生成されてもよい。例えば、除去されたサンプル部分が示す複屈折は、サンプルにおいて除去されていない部分が示す複屈折とは異なる。
【0082】
複屈折材料は、ある配向を有する直交する2つの直線偏光によって特徴付けられてもよい。それぞれの偏光は、遅軸および速軸として知られる異なる屈折率を有するということを特徴とする。図6Aおよび図6Bは、一実施形態にかかるこの概念を示す。図6Aにおいて、複数の観察ポート302のうちの1つからサンプル308へと光が出射されているカテーテルの遠位部分104が示されている。図6Aおよび図6Bの両方において、FAsおよびSAsはそれぞれ、LCIシステムの速軸および遅軸を表す。FAtおよびSAtはそれぞれ、サンプル308に関連付けられた速軸および遅軸を表す。サンプル308は、例えば、組織サンプルであってもよい。
【0083】
組織特異的コントラストは、入射光の偏光状態に関連する組織の複屈折軸の配向(FAtおよびSAt)だけでなく、組織の複屈折の大きさにも左右され得る。しかしながら、組織の複屈折軸は、カテーテルによって生じた応力および温度に起因して、時間の推移に伴って変化する場合がある。さらに、入射光の偏光状態は、温度および撮像処理中における光伝達媒体に生じた応力に起因して、時間の推移に伴って変化する場合がある。これにより、入射光の軸と、サンプル308に関連付けられた関連軸との間に、角度のずれ(図6Bにおけるθ)が形成される。
【0084】
一実施形態において、角度のずれθを補正するように構成された補正モジュールがLCIシステム内に設けられる。補正モジュールはハードウェアとして設けられてもよく、例えば、オンチップ偏光部品として設けられてもよい。オンチップ部品は、LCIシステム501における遅延ユニット512の一部であってもよい。他の例において、補正モジュールは、ファイバー系偏光コントローラと共に設けられてもよい。他の例において、補正モジュールはソフトウェア中に設けられ、図1における処理装置108等のコンピュータデバイスによって実行されてもよい。
【0085】
一実施形態によれば、補正モジュールは、サンプルからの後方散乱信号の複屈折をモニタリングしながら入射光の偏光状態をπ/2ラジアンの範囲で回転させるように設計される。この偏光配向掃引の結果、最適値(例えば、最大信号コントラスト)を示す偏光状態が得られ、当該最適値に固定することができる。または、入射光の偏光状態の継続的な掃引は、光学データ取得との同期化にも使用可能である。
【0086】
〔熱モデリング〕
【0087】
一実施形態によれば、収集した深度分解光学データを処理装置においても使用し、除去されたサンプル内における熱放散の熱モデルを生成および/または向上させてもよい。LCI信号において検知される変化の速さおよび程度は、組織への熱出力送達の優れた指標であり、例えば、下記の式1のように、生体熱モデルに基づいて定量化することができる。
【0088】
【数1】
【0089】
この式は、外部ソースを用いた生体サンプルにおける熱伝達を表す。本式中、ρは質量密度であり、cは比熱であり、Tは温度であり、kは熱伝導率を示し、qは熱源(ジュール効果)であり、Qは対流熱損失であり、Qは代謝熱である。
【0090】
一実施形態によれば、サンプルから受け取った光における偏光の変化は、除去される組織における特定の温度閾値に関連する場合が有り、このことがひいては生体分子の規定の変性プロセスに関連し得る。このプロセスをアブレーション電極からの特定の距離において誘引する時間、時間に伴う損傷の全般的な進行、および深度に基づいて、電力伝達を良好に判定することができる。
【0091】
図7は、一実施形態にかかるアブレーションカテーテルの先端702から組織へどのように熱が伝わるかを示す。カテーテルの先端702をサンプル表面704(例えば、組織界面)に接触させ、RFエネルギーをサンプルに伝えることで、サンプルの一部を除去する。等温境界領域708a〜708cによって示されるように、RFエネルギーの送達によって生成される熱勾配がサンプルにおいて形成される。例えば、境界領域708aはRFエネルギーの印加によって生成された一番高い温度に関連し、一方、境界領域708bおよび708cは漸次低くなっている温度を表す。一実施形態によれば、カテーテルの先端702は複数の観察ポート(図3Aおよび図3Bを参照しながら上記において説明したもの等)も含み、それにより、サンプル内での異なる角度および/または位置におけるM走査706a〜706cを行うことができる。それぞれのM走査は、サンプル内の多数の深度から戻ってきた散乱/反射光に相当すると考えられる。
【0092】
一実施形態において、M走査706a〜706cから受け取ったデータは、それぞれの走査線に沿って起こった変性プロセスの情報を提供する。例えば、それぞれのM走査706a〜706cから受け取ったデータを、サンプルにおける熱分配の熱モデルを生成するおよび/または向上させるために使用してもよい。
【0093】
図8は他の例を示し、アブレーションカテーテルの先端802から組織804へどのように熱が伝わるか、および四つの観察ポート(1〜4)を用いてどのようにモニタリングされるかを示す。一実施形態において、カテーテルの先端802の相対位置は、観察ポートから組織804への距離を規定するそれぞれの観察ポート(1〜4)における第1の光反射を計算することによって推測される。これにより、組織との接触を推定することができ、したがって、組織‐電極間接点におけるインピーダンスを概算することができる。一実施形態において、距離d1、d2、d3、およびd4は第1の反射を表し、したがって、組織804に対するそれぞれの関連する観察ポートからの距離を表す。t1〜t4によって示した曲線は、時間t1〜t4における変性温度の分布を表す。一実施形態において、それぞれの観察ポート(1〜4)において得られた図示した曲線は、時間に対するPS‐LCIにおいて測定された位相/遅延差の変動を示す。それぞれの観察ポート(1〜4)からのM走査の方向に応じて、異なる崩壊率が観察される。これらの崩壊率は、表面を冷却し、より円錐状の熱拡散パターンをもたらす潅注によっても左右され得る。一実施形態において、それぞれの観察ポート(1〜4)からのPS‐LCI信号によって得られる情報の相関関係によって、コラーゲンが変性する等温線の空間サンプリングが可能になる。PS‐LCIデータを用いることにより、コラーゲン変性、エネルギー送達、および/または組織アブレーションの変遷を推定することができる。
【0094】
図9は、M走査から得られた、アブレーション時間に対する平均的な位相/群遅延を表す曲線の例を示す。あるパラメータの時間に伴う変化に関するデータ(図9に示したもの等)を、アブレーション中におけるサンプルの熱モデルの生成および/または向上に使用してもよい。
【0095】
熱モデルをカテーテルのユーザに示すことで、アブレーション処置に関するさらなる情報を提供することができる。他の実施形態において、この熱モデルからのデータは、アブレーション処理を自動的に制御するために用いられてもよい。例えば、熱モデルを印加されたRFエネルギーのデューティサイクルを制御するために用いてもよく、または、温度が閾値を超えて上昇した場合にRFエネルギーの印加を止めるために用いてもよい。
【0096】
組織サンプルの一般的な熱特性(熱容量および熱拡散率を含む)を熱モデルから得られる他の熱伝達効果(表面近くにおける対流等)と共に使用することで、関連する臨床パラメータ(生成された損傷の深度および幅等)をさらに計算してもよい。組織の既知の熱パラメータを用いて、組織における熱伝達のベースモデルを、有限要素法またはより簡素な分析的関係に基づいて生成してもよい。その後、LCIシステムから収集した深度分解光学データから得られた情報を用いて、モデルの入力をさらに洗練してもよい。LCIのM走査では十分な深度情報が提供されないようなより厚みのあるサンプルおける必要な処置時間を計算するために、熱モデルの出力を用いてもよい。例えば、直接の貫壁性を確保するために、熱モデルパラメータを用いて繊細な構造の近くにおける組織の加熱を最適化することができ、また、形成された損傷の側方拡大を初期推定することができる。これらのモデル出力は、(例えば、ディスプレイ上で)ユーザに提示されてもよく、または、RFエネルギー送達を直接的に制御するために使用されてもよい。LCI情報、計算モデル、およびその他の関連する情報(カテーテルの先端の温度、電気‐組織インピーダンス、等)を組み合わせて用いることで、アブレーション中の組織における温度分布を予測し、損傷の進行における反応速度を理解することができる。
【0097】
一実施形態において、収集した情報と共に計算モデルを使用した場合、2つのフェーズが識別される:LCI放射の軸上侵入深度内で変性が起こるフェーズ、および軸上侵入限度を超えて変性が起こるフェーズである。第1段階中、コラーゲンの複屈折が失われる等温線の時間的な発展が、カテーテル先端の温度と共にモニタリングされてもよい。一実施形態において、カテーテルに結合した処理装置がこの情報を利用することで熱伝達に伴うパラメータ(熱拡散率等)を推定し、とりわけ、潅注の効果を特徴付ける。一旦これらのパラメータが明確になると、計算モデルを使用して、LCI放射の軸上侵入限度を超えた組織アブレーションの発展を予測してもよい。インピーダンスに関する情報も、事前に収集したデータと相関的に関連する場合がある。
【0098】
サンプルの熱モデルは、サンプルに関する構造の情報を介しても向上され得る。例えば、そのような情報は手術前の磁気共鳴映像法(MRI)またはコンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって得ることが可能であり、ナビゲーション情報と適切に組み合わさった場合、カテーテルの遠位部分近傍における壁厚、形状、および組織組成に関する情報を提供することができる。
【0099】
図10は、一実施形態にかかる、LCIデータを収集しながらRFアブレーションを行う方法1000の例を示す。方法1000は、処理装置108と協働するカテーテル100の様々な部材によって行うことができる。
【0100】
ブロック1002において、サンプルの一部を除去する。アブレーションは、カテーテルの遠位端における電極によるRFエネルギーの印加によるものであるか、レーザーアブレーション等の他のアブレーション方法によるものであってもよい。サンプル部分は、例えば、心不整脈の治療に役立つように除去される心房壁の一部分であってもよい。
【0101】
ブロック1004において、アブレーションの実行中にサンプルのLCI光学データが収集される。LCI光学データは、除去される部分および/またはその時は除去されないサンプルの部分に関するデータを含んでもよい。LCI光学データの収集は、カテーテルの遠位端に配置された対応する開口部を介した1つ以上の照射線の送出と、サンプルによって散乱または反射した1つ以上の放射線の受光とを伴う。
【0102】
ブロック1006において、深度分解光学データはサンプルから受光した放射線に基づいて生成される。例えば、受光した放射線に基づいて、検出器が電気信号を生成してもよい。生成された電気信号は、その後、深度分解光学データに基づいてある動作を行うためおよび/またはモデルを生成するために、処理装置に受信されてさらなる分析および信号処理に供されてもよい。例えば、深度分解光学データは、除去されるサンプル部分のアブレーションの度合いを決定するために使用されてもよい。
【0103】
ブロック1008において、サンプルの熱放散モデルが深度分解光学データに基づいて提供される。熱モデルは、様々なM走査によって収集したデータ等の深度分解光学データに基づいて生成されるかまたは更新されてもよい。一実施形態によれば、組織サンプルの一般的な熱特性(熱容量および熱拡散率を含む)を熱モデルから得られる他の熱伝達効果(表面近くにおける対流等)と共に使用することで、関連する臨床パラメータ(生成された損傷の深度および幅等)をさらに計算してもよい。熱モデルは、深度分解光学データを超えて収集した他のデータに基づいて生成されてもよい。例えば、カテーテルの遠位端の温度および/またはカテーテルの遠位端において測定されたインピーダンスは、熱モデルを生成する時に収集されて使用されてもよい。一実施形態において、LCI放射の侵入領域を超える組織のアブレーション処理をモニタリングするために、熱モデルを使用してもよい。他の例において、熱放散モデルは、処置中に患者を重大な困難な状況に至らせる心房壁の穿孔に繋がり得る、過度のRFエネルギーの送達を回避するために使用される。
【0104】
さらに、熱モデルは、ユーザに提示されるか、ユーザに何らかの形で警告すべきか否かを判定するために使用されてもよい。例えば、アブレーション処置が行われている間に、除去された領域の温度が熱モデルによって決定された特定の閾値を超えて上昇した場合、警報信号がユーザに送信されてもよい。警報信号の例としては、音声による警報を鳴らすこと、光を点灯させること、または光を点滅させることが挙げられる。触知できる警報を発してもよく、ユーザが手動で扱っているカテーテルのシステム部分がわずかに震動すること等が挙げられる。他の例において、アブレーション処置が行われている間に、除去されている部分の近くのサンプルの一部の温度が熱モデルによって決定された特定の閾値を超えて上昇した場合、警告信号がユーザに送信されてもよい。または、アブレーション処置は、熱モデルからの出力に基づいて自動的に制御されてもよい。
【0105】
他の実施形態において、熱モデルは、安全なRFエネルギー送達を確保するための適応/予測コントローラと関連付けられる。適応コントローラは、熱モデルに基づくアブレーションに使用されるRFエネルギーのパラメータを直接制御するために使用されてもよい。他の実施形態において、モデル予測制御、神経回路網、または遺伝的アルゴリズムを、患者の安全および正確なエネルギー送達に鑑みて規定された費用関数を最小限に抑えるために使用してもよい。
【0106】
〔カテーテルのナビゲーション〕
【0107】
一実施形態によれば、LCIシステムによって生成された深度分解光学データも、アブレーション部位へのカテーテルのナビゲーションのために用いられてもよい。一例として、データの収集は、カテーテルの遠位端において使用可能な観察ポートを既定の方法またはランダムな方法で切り替えることによって行ってもよい。他の実施形態において、システムは、カテーテルの遠位端における異なる観察ポートからの信号を同時にモニタリングしてもよい。一実施形態によれば、カテーテルが心室中をナビゲートされている間、1つ以上の光学観察ポートにおいて、組織の最近傍または組織に接触してモニタリングするために光学データを用いるように処理装置が構成されてもよい。LCI走査における振幅の著しい変化は、血液、食塩水、および(心房壁の異なる層のような)除去される組織の間において観察できる。したがって、処理装置は、特定の観察ポートから撮像されるサンプルが、血液であるか、塩水であるか、または組織であるかを特徴付けるように構成されてもよい。深度分解光学データから計算することができる有効な吸収および散乱係数は、血液、塩水、および組織の間で異なる。例えば、波長1.3μmにおいて、当該係数は、心臓内壁において約8〜10mm−1、血液中において約15〜20mm−1、食塩水中においてもごくわずかであると考えられる。心房壁の心内膜表面は、さらに反射ピークをもたらし、続けて、偏光信号が回転する。この特徴的な信号は、組織接触およびカテーテルの遠位端におけるいずれかの特定の観察ポートから心房壁への距離を評価するために使用されてもよい。同じ観察ポートにおいて連続的に得られた走査画像は、時間経過に沿って比較されてもよい。一実施形態において、この情報は、カテーテルの遠位端といずれかの感知された組織との間の距離を判定することによって、カテーテルをナビゲートする助けになるように使用されてもよい。
【0108】
さらに、処理装置は、アブレーション処置中に除去される組織に対する継続的な接触および静止位置の想定の妥当性を検査するように構成されてもよい。一実施形態において、当該妥当性の検査は、LCI信号に見られる急激な変動および偏光情報を確認し、組織壁の表面に一般的に見られる第1の反射との距離をモニタリングすることによって行われる。アブレーション中に、接触の低下または喪失が検知された場合、ユーザへの通知が生成される。または、アブレーション処置中にカテーテルを安定させるために、フィードバック制御システムを設けてもよい。
【0109】
一実施形態において、ナビゲーションフェーズ中の組織接触を評価するために、処理装置は2つの情報源を用いるが、LCI信号の分析から得られる他のパラメータ(神経回路網、ウェーブレット分析、または当業者に既知の他の手法を用いて抽出されたパラメータ等)も想定される。例えば、処理装置は、LCI信号情報および圧力センサデータ(またはインピーダンスセンサから収集したデータ)を用いて組織接触を評価してもよい。考え得る高い線取得率(数キロヘルツ)の場合、信号/画像品質を向上させるために、平均化、フィルタリング、または他の形態の信号の組み合わせを用いることができる。さらに、取得したLCI信号は、M走査および動作中の観察ポート用に提示されたこの情報を形成するために、蓄積されてもよい。
【0110】
図11は、一実施形態にかかる、LCIデータを収集しながらカテーテルをナビゲートする他の例である方法1100を示す。方法1100は、処理装置108と協働するカテーテル100の様々な部材によって行うことができる。
【0111】
ブロック1102において、カテーテルの周囲においてサンプルのLCI光学データを収集する。サンプルとしては、カテーテルが心室中をナビゲートされている間の、血液、塩水、および心房壁の組織を含んでもよい。LCI光学データは、サンプルの除去される部分および/またはサンプルの除去されない部分に関するデータを含んでもよい。LCI光学データの収集は、カテーテルの遠位端に配置された対応する開口部を介した1つ以上の照射線の送出と、サンプルによって散乱または反射された1つ以上の放射線の受光とを伴ってもよい。
【0112】
ブロック1104において、深度分解光学データはサンプルから受光した放射線に基づいて生成される。例えば、受光した放射線に基づいて、検出器が電気信号を生成してもよい。生成された電気信号は、その後、深度分解光学データに基づいてある動作を行うためおよび/またはモデルを生成するために、処理装置に受信されてさらなる分析および信号処理に供されてもよい。
【0113】
ブロック1106において、深度分解光学データを用いてサンプルが特徴付けられる。例えば、サンプルが、血液、塩水、または組織であるかを判定するために、深度分解光学データの1つ以上のパラメータを比較してもよい。他の例において、アブレーションに使用されるものとは異なる周波数の交流の双極注入を用いて、サンプルの電気インピーダンスを計算してもよい。一実施形態において、処理装置は、深度分解光学データを分析するためのソフトウェアを実行するように構成される。サンプルの種類の判定は、カテーテルのユーザに提示されてもよく、カテーテルの周囲の領域のマップまたは画像の生成に使用されてもよく、または、カテーテルのナビゲーションを直接的に補助するために使用されてもよい。例えば、処理装置は、深度分解光学データから抽出された組織の種類に関するデータを、患者の体の中を通るカテーテルを動かすように構成されたナビゲーションシステムに提供してもよい。組織の種類に関する情報およびアブレーション結果は、除去される組織の解剖マップ上に表示されてもよい。このデータは、処置の終わりまたは処置の最中において、損傷の連続性を確保するために有用であり得る。
【0114】
ブロック1108において、サンプルが組織であるか否かに関する判定が行われる。分析中のサンプルが組織ではない場合、ブロック1102またはブロック1104のいずれかにおいて方法1100を繰り返す。カテーテルの周囲のLCIデータをさらに収集する必要がある場合、ブロック1102において方法1100を繰り返す。または、ブロック1104において方法1100を繰り返し、既に収集済のLCIデータの異なる部分から深度分解光学データを生成および分析してもよい。例えば、収集済のLCIデータがすべて分析された(ブロック1104)後にのみ、カテーテルの周囲の領域からLCIデータがさらに収集される(ブロック1102)。サンプルが組織であると判定された場合、方法1000はブロック1110へと進む。
【0115】
ブロック1110において、組織とカテーテルの遠位端との間の距離が判定される。この判定は、深度分解光学データを分析し、組織とカテーテルの遠位端との間の距離の概算を計算するように構成された処理装置を介して行われてもよい。例えば、組織の表面によって反射された光の飛行時間を深度分解光学データから抽出し、距離の判定に使用してもよい。処理装置によって生成された距離情報は、ナビゲーションを補助するためにユーザに提示されてもよく、または、カテーテルの動きを自動的に制御するために用いられてもよい。
【0116】
〔光干渉断層映像法撮影〕
【0117】
一実施形態において、処理装置は、深度分解光学データから得られた情報を、カテーテル先端の3D空間位置および配向の判定に使用する、さらなるモードを提供する。LCIデータを収集しながらカテーテルをサンプルの一部の上を掃引することで、3Dモデリング用の空間分解データを提供してもよい。処理装置は、作動中の光学観察ポートからの1つ以上のLCI走査と関連付けられた深度分解光学データを蓄積し、カテーテルの空間位置に関するデータを1つ以上の光干渉断層映像法(OCT)画像または三次元再構成に配列するように構成されてもよい。一実施形態において、処理装置は、LCIシステムの走査速度および光学マルチプレクサの機能を、カテーテルの可変的な側方掃引速度に適合させる。OCT画像は、純粋に構造的であってもよく、または、組織の屈折性(例えば、複屈折)に関する情報を含んでもよい。これらの画像は、処置の終わりまたは処置の最中において、損傷の質、連続性、および貫壁性を確保するために有用であり得る。
【0118】
図12は、カテーテルの周囲においてサンプルのOCT画像を収集するための他の例である方法1200を示す。方法1200は、処理装置108と協働するカテーテル100の様々な部材によって行うことができる。
【0119】
ブロック1202において、カテーテルの周囲においてサンプルのLCI光学データを収集する。サンプルとしては、カテーテルが心室中をナビゲートされている間の、血液、塩水、および心房壁の組織を含んでもよい。LCI光学データは、サンプルの除去される部分および/またはサンプルの除去されない部分に関するデータを含んでもよい。LCI光学データの収集は、カテーテルの遠位端に配置された対応する開口部を介した1つ以上の照射線の送出と、サンプルによって散乱または反射された1つ以上の放射線の受光とを伴ってもよい。
【0120】
ブロック1204において、カテーテルは、サンプルの一部分の上を掃引する。一実施形態によれば、当該掃引は、LCIデータを収集しながら行う。または、カテーテルの観察ポートに配置された走査要素が観察ポートから照射光を特定の方向へ掃射させている間、カテーテル自体は実質的に静止状態であってもよい。
【0121】
ブロック1206において、深度分解光学データはサンプルから受光した放射線に基づいて生成される。例えば、受光した放射線に基づいて、検出器が電気信号を生成してもよい。生成された電気信号は、その後、深度分解光学データに基づいてある動作を行うためおよび/またはモデルを生成するために、処理装置に受信されてさらなる分析および信号処理に供されてもよい。
【0122】
ブロック1208において、カテーテルがその上を掃引した部分におけるサンプルのOCT画像は、深度分解光学データに基づいて生成される。処理装置は、掃引の間に得られた深度分解光学データを組み合わせることで、サンプル部分の3Dモデルを生成するように構成されてもよい。OCT画像は、カテーテルの周囲のサンプルのよりよい可視化表現をユーザに提供するために、例えば、表示装置上の画像として、ユーザに提示されてもよい。処理装置は、例えば、複屈折に関連する屈折係数等のOCTデータから、サンプルについての関連パラメータを判定するようにも構成されてもよい。
【0123】
〔コンピュータシステムの実施形態例〕
【0124】
これまで記載してきた様々な画像処理方法および他の実施形態は、例えば、1つ以上の公知のコンピュータシステム(図13に示すコンピュータシステム1300等)を用いて実施することが可能である。一実施形態において、コンピュータシステム1300は、図1に示す処理装置108の一例であってもよい。
【0125】
コンピュータシステム1300は、プロセッサ1304等の1つ以上のプロセッサ(中央処理装置またはCPUとも呼ばれる)を備える。プロセッサ1304は、通信インフラストラクチャまたはバス1306に接続されている。一実施形態において、プロセッサ1304はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を意味する。他の例において、プロセッサ1304はデジタル信号プロセッサ(DSP)である。
【0126】
1つ以上のプロセッサ1304はそれぞれ、グラフィック処理装置(GPU)であってもよい。一実施形態において、GPUは、電子デバイス上において数学的に負荷の高いアプリケーションを高速で処理するように設計された電子回路用に特殊化されたプロセッサである。GPUは、コンピュータグラフィックアプリケーション、画像、および映像に共通する数学的に負荷の高いデータ等の大容量データの並行処理に対して能率の良い、高度な並列構造を有し得る。
【0127】
コンピュータシステム1300は、ユーザ入力/出力インタフェース1302を介して通信インフラストラクチャ1306と通信するユーザ入力/出力デバイス1303(モニタ、キーボード、印刷機、等)も備える。
【0128】
コンピュータシステム1300は、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主(メイン)記憶装置1308も備える。主記憶装置1308は、1つ以上のレベルのキャッシュを備えてもよい。主記憶装置1308中には、制御ロジック(つまり、コンピュータソフトウェア)および/またはデータが保存されている。
【0129】
コンピュータシステム1300は、1つ以上の補助記憶装置(補助メモリ)1310も備えてもよい。補助記憶装置1310は、例えば、ハードディスクドライブ1312および/または取り外し可能な記憶装置またはドライブ1314を備えてもよい。取り外し可能な記憶ドライブ1314は、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、コンパクトディスクドライブ、光学記憶装置、テープバックアップ装置、および/または他のいずれかの記憶装置/ドライブであってもよい。
【0130】
取り外し可能な記憶ドライブ1314は、取り外し可能な記憶ユニット1318と相互に作用してもよい。取り外し可能な記憶ユニット1318は、コンピュータソフトウェア(制御ロジック)および/またはデータを保存したコンピュータ使用可能または読み取り可能な記憶装置を備える。取り外し可能な記憶ユニット1318は、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、光学記憶ディスク、および他のいずれかのコンピュータデータ記憶装置であってもよい。取り外し可能な記憶ドライブ1314は、公知の方法で、取り外し可能な記憶ユニット1318に対して読み取りおよび/または書き込みを行う。
【0131】
補助記憶装置1310は、コンピュータシステム1300が、コンピュータプログラムおよび/または他の命令および/またはデータにアクセスすることを可能にするための他の手段、道具、または手法を備えてもよい。そのような手段、道具、または他の手法としては、例えば、取り外し可能な記憶ユニット1322およびインタフェース1320が挙げられる。取り外し可能な記憶ユニット1322およびインタフェース1320の例としては、プログラムカートリッジおよびカートリッジインタフェース(ビデオゲームデバイスに見られるようなもの等)、取り外し可能なメモリチップ(EPROMまたはPROM等)および関連するソケット、メモリスティックおよびユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、メモリーカードおよび関連するメモリーカードスロット、および/または他のいずれかの取り外し可能な記憶ユニットおよび関連するインタフェースが挙げられる。
【0132】
コンピュータシステム1300は、通信またはネットワークインタフェース1324をさらに備えてもよい。通信インタフェース1324によって、コンピュータシステム1300は、遠隔装置、遠隔ネットワーク、遠隔エンティティ、等(これらを個別にまたはまとめて部材番号1328によって表す)のいずれかの組み合わせと通信および相互作用が可能になる。例えば、通信インタフェース1324によって、コンピュータシステム1300は通信経路1326を介して遠隔装置1328と通信が可能になる。通信経路1326は、有線および/または無線であってもよく、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、等のいずれかの組み合わせを含んでもよい。制御ロジックおよび/またはデータは、通信経路1326を介してコンピュータシステム1300に送受信されてもよい。
【0133】
一実施形態において、制御ロジック(ソフトウェア)が記憶されている有形のコンピュータ使用可能または読み取り可能媒体を備えている有形の装置または製造物も、本明細書において、コンピュータプログラム製品またはプログラム記憶装置と称する。これは、コンピュータシステム1300、主記憶装置1308、補助記憶装置1310、取り外し可能な記憶ユニット1318および1322、ならびにそれらのいずれかの組み合わせを具現化した有形の製造物を含むが、これらに限定されない。そのような制御ロジックは、1つ以上のデータ処理装置(コンピュータシステム1300等)によって実行される場合、そのようなデータ処理装置を本明細書に記載の通りに動作させる。
【0134】
本開示に含まれる教示に基づいて、図13に示したものとは別のデータ処理装置、コンピュータシステム、および/またはコンピュータアーキテクチャを用いて本発明をどのように実施および使用するかということは、当業者にとって明らかであろう。特に、本明細書に記載のものとは別のソフトウェア、ハードウェア、および/またはオペレーティングシステム手段と共に、実施形態を実行してもよい。
【0135】
特許請求の範囲の解釈については、〔発明の概要〕および〔要約〕ではなく、〔発明を実施するための形態〕が用いられることを意図している。〔発明の概要〕および〔要約〕には、発明者らによって考えられた本発明の実施形態の1つ以上の例であってすべての例ではないものが記載されており、したがって、本発明および付随する特許請求の範囲を如何様にも限定することは意図しない。
【0136】
本発明の実施形態を、特定の機能の実施およびそれらの関係性を示す機能的構成要素を用いて上述した。説明の便宜上、これらの機能的構成要素の境界を本明細書において任意に規定した。特定された機能およびそれらの関係性が適切に機能する限り、代わりの境界を規定してもよい。
【0137】
上述した特定の実施形態の説明によって本発明の一般特性が完全に明らかになり、したがって、過度の実験を行うことなく、本発明の一般概念の範囲内において、関連技術の知識を適用することにより、そのような特定の実施形態を様々な用途に合わせて容易に変更および/または適合させることが可能である。したがって、そのような適合および変更は、本明細書に記載の教示および指示に基づき、開示した実施形態の同等物の意味および範囲に含まれることを意図する。本明細書における語法または専門用語は、説明を目的としたものであって限定を目的としたものではなく、したがって、本明細書における専門用語または語法は、教示および指示に鑑みて当業者によって解釈されると理解されるべきである。
【0138】
本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的実施形態のいずれにも限定されず、下記に示す特許請求の範囲およびその同等物によってのみ規定されるものである。
【要約】
低コヒーレンス干渉法(LCI)のデータを用いて処置をモニタリングしながらRFアブレーションを行うシステムおよび方法を記載する。カテーテルは、遠位部、近位部、マルチプレクサ、および遠位部と近位部との間に結合した鞘部を備える。遠位部は、照射線をサンプルへ送出しサンプルによって反射または散乱した放射線を受光するように構成された、いくつかの相互に連結した光学ポートを備える。相互に連結した光学ポートは、遠位部を囲うように配置された剛性部および柔軟部を有する基体上に形成される。ホルダーは、相互に連結した光学素子を固定の空間的関係に保つ。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13