(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラーが、全負荷と最小入力電圧とによって決まる最小周波数、および軽負荷と最大入力電圧とによって決まる最大周波数のうちの少なくとも1つに基づいてスイッチング周波数を変えるように構成されてなる、請求項1に記載の低入力電流高調波昇圧整流器。
前記ニュートラルノードと前記出力ステージの前記コンデンサーとの間に接続される阻止コンデンサーをさらに備えてなる、請求項1に記載の低入力電流高調波昇圧整流器。
各スイッチが、逆並列ダイオードを備えた金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である、請求項1に記載の低入力電流高調波昇圧整流器。
前記1つ以上のスイッチングコンバータステージが複数のスイッチングコンバータステージであり、各スイッチングコンバータステージが1つ以上の分断ステージのうちの対応する1つと結合されており、前記コントローラーが、インターリーブ方式または並列方式で、前記複数のスイッチングコンバータステージの前記複数のスイッチを動作させるようにさらに構成されてなる、請求項1に記載の低入力電流高調波昇圧整流器。
前記1つ以上のスイッチングコンバータステージが複数のスイッチングコンバータステージであり、各スイッチングコンバータステージが1つ以上の阻止コンデンサーを介して前記1つ以上の分断ステージのうちの対応する1つと結合されており、前記コントローラーが、インターリーブ方式または並列方式で、前記複数のスイッチングコンバータステージの前記複数のスイッチを動作させるようにさらに構成されてなる、請求項1に記載の低入力電流高調波昇圧整流器。
【背景技術】
【0002】
スイッチの数が少なく、各相電流を独立して能動的に整流することができない整流器と比較して、3つ以上のスイッチを有する力率改善(PFC)三相整流器は、優れた力率(以下、PFともいう)および全高調波歪(以下、THDともいう)を示すことが広く認識されている。しかしながら、コストが重視される用途では、単純化と低コストとのため、単一のスイッチまたは2つのスイッチを備えた整流器も依然として非常に魅力的なものである。
【0003】
図1には、最も一般的に用いられている従来の単一スイッチ三相整流器が示されている。この簡単な三相昇圧整流器は、不連続伝導モード(以下、DCMともいう)で動作することにより、すなわち昇圧インダクタに各スイッチングサイクルでそれらのエネルギーを完全に放出させることを可能とすることによって高調波の少ない整流を実行することができるようになっている。周知のように、DCM動作では、昇圧整流器のライン電流はそれぞれのライン電圧に従う傾向があるので、ライン電流のTHDやPFが向上する。インダクタ電流を直接制御することはできないので、帯域幅を狭くしかつ周波数を一定にするような制御を行うように出力電圧を調節するためにスイッチがもっぱら用いられている。文献に報告されているように、
図1の回路では、THDを10〜20%、PFを0.94〜0.96の範囲で達成することができる。これらは用途によっては十分である。
【0004】
一般的に、より良好なTHDを達成する際の主要な障害は、昇圧インダクタの放電時間がその充電時間と比較して比較的に長い点にある。すなわち、インダクタの充電電流(スイッチがオンである間)はそれぞれの相電圧に比例するので、電流歪みには寄与しない。しかしながら、各インダクタの放電電流(スイッチがオフである間)は、出力電圧と三つのすべての相電圧との間の差に比例するので、平均相電流にひずみが生じることになる。電流歪みを最小限に抑えるため、インダクタの放出時間は、インダクタのリセット電圧を増大させることによって可能な限り短縮される。
【0005】
ある与えられた入力電圧について、インダクタのリセット電圧は出力電圧を増大させることによってのみ増大させることができる。
図1の回路の出力電圧が既に高く(380−Vの三相ライン−ライン入力に対して約750V)、出力電圧がピーク相電圧の2倍よりも大きいことを昇圧オペレーションが必要としているため、出力電圧を増大させることによるTHDの向上は実用的なものではない。すなわち、出力電圧を増大させるためには、電圧定格のより高いコンポーネントを必要とし、これらのコンポーネントは、一般的に、より高価であり、導電量の増大およびスイッチング損失に起因して効率的でもない。
【0006】
この回路のTHDもさまざまな高調波注入技術によって向上させることができる。これらの技術は、電力ステージの再設計ではなく制御回路の改良に基づいてTHDを向上させるので、コストおよび効率を犠牲にしたものではない。しかしながら、報告されている高調波注入技術により得られる向上は比較的ささやかなものである。
【0007】
さらに、2つのスイッチを備えた三相整流器の実現に頼ることによりTHDおよびPFの性能を向上させることができる。
図2には、このクラスの三相整流器の1つの実施形態が示されている。この回路の詳細な動作は、1998年にIEEE応用電力工学会議(APEC)でD.Xuらによって公表された論文「三相PFCを部分的に実質的に力率1で分断する疑似ソフトスイッチング(Quasi−Soft−Switching Decoupled Three−phase PFC with Approximate Unity PowerFactor)」に記載されている。
【0008】
一般的に、この回路では、これらのスイッチコンポーネント間の電圧ストレスは、これらのスイッチおよび分割出力コンデンサーの中間点にニュートラルコンダクタを接続させることによって低下させられる。この接続により、相電流が部分的に分断される、すなわちライン周期のほとんどの部分において相電流がそれらに対応する相電圧にのみに依存するようになる、すなわちほとんどのライン周期においてPFC三相整流器が3つの独立したPFC単相整流器として動作するようになる。周知のように、PFC単相昇圧整流器では、コンバーターが常に遅い帯域幅出力制御を用いてDCMで動作させられると、ライン電流ひずみを削減することができる。したがって、
図2の回路をDCMで動作させることによって、そのPFCを達成することができる。
【0009】
図3には、ニュートラルが利用可能でないような用途、すなわち3線式電力ラインを用いるような用途の場合に仮想ニュートラルを作成するように
図2の回路が修正された従来の他の回路が示されている。仮想ニュートラルは、3つのライン電圧に対してコンデンサーC1、C2およびC3をY字状(「スター状」)に接続することによって得られる。この接続では、3つのコンデンサーの共通ノードにおけるポテンシャルが電源の中性点(ニュートラルポイント)におけるポテンシャルと同一であるので、平均コンデンサー電圧が相電圧と等しくなる。
図3の回路はYingらに付与された、表題が「補正用の三相電力FCCを備えた統合コンバーター(Integrated Converter Having Three−phase Power Factor Correction)」である米国特許第7,005,759号にさらに詳細に記載されている。
【0010】
図4には、スイッチの中間点と分割コンデンサーとの間の接続を削除することによりTHDがさらに向上された従来技術が示されている。この接続を削除すると、インダクタのリセット電圧が2倍になる、すなわち2分の1の出力電圧(V
o/2)からフル出力電圧(V
o)まで上昇し、このことによりインダクタ電流のリセット時間が短縮される。この電流のリセット(解除)時間が短縮されると、位相が分断される時間が位相が分断されない時間に対して短くなる。このことにより、THDはさらに向上することになる。
【0011】
図5には、
図4の回路が整流ダイオードD
o1およびD
o2無しで具象化されている従来の回路が示されている。
図5の回路の完全な解析は、2006年のIEEE電力工学専門家会議(PESC)でK.Nishimuraらにより公表された、表外が「4つの能動スイッチを備えた新規のプロトタイプ不連続インダクタモードで動作する三相PFC電力コンバーター(A Novel Prototype Discontinuous Inductor Current Mode Operated Three−phase PFC PowerConverter)」においてなされている。整流器を除去することにより効率の向上が補助されるものの、
図5の回路のインターリービングを不可能なものとしている。このことは問題となる恐れがある。というのは、DCMでまたはCCM/DCMの境界で動作するコンバーターの出力範囲を拡張するためにインターリービングが用いられることが多いからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図2〜
図5に記載の2つのスイッチを備えた三相整流器の主要な問題のうちの1つは、それらのEMI性能、とくにそれらの共通モードノイズである。すなわち、上記のすべての具体例では、6つのダイオードブリッジ整流器の上側レイルおよび下側レイルでは、それらに対応するスイッチが導通されるたびに高電圧が高速で変化する。さらに、
図4および
図5に記載の分割コンデンサーの無い具体例では、負荷は、これらの電圧変化を受け、共通モードノイズ問題を悪化させる。その結果、これらの回路は通常多段EMIフィルタを必要とする。このことは、それらのコストおよびサイズを増大させることになる。
【0013】
上述の具体例に関する他の問題は、負荷が、分割コンデンサーのPFCおよび電圧バランスを、負荷が分割コンデンサーの両端に接続されたときに同時に提供しないという点である。高定格コンポーネントよりもコスト効率が良くかつ効率が高い低定格コンポーネントを備えたものとして設計されている下流側のコンバーターを用いることを可能とするために、出力コンデンサーを分割することおよび分割コンデンサーの両端に負荷を接続することが今日の三相整流器において非常に多く用いられている。分割コンデンサーを用いたアプローチを用いるためには、これらの回路に、電圧平衡用回路が追加される必要があり、このことにより、そのコストが高価なものとなり、そのサイズもまた影響を受けることになる。
【0014】
したがって、EMI性能が向上した低入力電流高調波三相昇圧整流器の必要性が存在する。PFCと分割コンデンサーの電圧平衡とを同時に提供する低入力電流高調波三相昇圧整流器の必要性がさらに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡潔にいえば、本発明の1つの実施形態によれば、低電流高調波三相昇圧整流器は、ニュートラルノードと関連して三相入力電圧を受け取るための入力ステージと、少なくとも1つの負荷に接続するように構成されている出力ステージとを有している。出力ステージは、ニュートラルノードと接続されている複数の出力コンデンサーを有している。かかる整流器は、三相入力電圧の対応する位相とニュートラルノードとの間に接続されている1つ以上のコンデンサーと、1つ以上のスイッチングコンバータステージとをさらに有している。各スイッチングコンバータステージは、ニュートラルノードと接続されている複数のスイッチを有している。複数のスイッチは一定のデューティサイクルで動作している。一定のデューティサイクルとは実質的に50%デューティサイクルのことである。1つ以上のコンバータステージは、三相入力電圧の対応する位相に結合される1つ以上の昇圧インダクタと、1つ以上の昇圧インダクタとコンバータステージの複数のスイッチとの間に結合される1つ以上の入力ブリッジダイオードと、1つ以上のコンバータステージの複数のスイッチの両端に接続される1つ以上のフライングコンデンサーとをさらに有している。
【0016】
かかる整流器は、少なくとも1つの負荷および入力電圧のうちの少なくとも1つの状態に基づいて複数のスイッチのスイッチング周波数を変えるように構成されている1つ以上のコントローラーと、1つ以上の分断ステージとを有している。各分断ステージは、1つ以上のスイッチングコンバータステージのうちの少なくとも1つから出力ステージを電磁誘導的に分断するように構成されている。
【0017】
本発明のさらに詳細な特徴のうちのいくつかによれば、複数のスイッチのうちの1つ以上のスイッチは、当該1つ以上のスイッチの両端の電圧が実質的にゼロでオンとなる。他の実施形態では、コントローラーは、全負荷と最小入力電圧とによって決まる最小周波数、および軽負荷と最大入力電圧とによって決まる最大周波数のうちの少なくとも1つに基づいてスイッチング周波数を変えるように構成されている。さらに他の実施形態では、コントローラーは、軽負荷と無負荷との間の範囲にわたってバーストモードで動作するように構成されている。
【0018】
本発明のさらに詳細な特徴によれば、誘導性素子同士が磁気的に結合されている。誘導性素子は1つ以上の誘導加熱コイルを有していてもよい。誘導加熱コイルは、対応するコイル選択スイッチと結合されていてもよい。他の実施形態では、出力コンデンサーのそれぞれ一つが少なくとも1つの負荷の両端に接続されるように構成されている。さらに他の実施形態では、出力コンデンサーのそれぞれ一つの両端の電圧は実質的に等しい。さらに他の実施形態では、出力ステージの出力コンデンサーは、三相4線式入力システムの入力ニュートラルワイヤと接続されている。
【0019】
本発明のさらに詳細な特徴によれば、かかる整流器は、ニュートラルノードと出力ステージのコンデンサーとの間に接続される阻止コンデンサーをさらに備えている。さらに他の実施形態では、1つ以上の阻止ダイオードは、複数のスイッチと1つ以上のフライングコンデンサーと間に接続されている。他の態様では、1つ以上の突入電流制御回路は、入力電圧とコンデンサーとの間に接続されていてもよい。入力ステージは、入力電磁障害(EMI)フィルタをさらに有していてもよい。入力ブリッジダイオードは同期整流器であってもよい。各スイッチは、逆並列ダイオードを備えた金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、または、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であってもよい。
【0020】
本発明のさらに詳細な特徴によれば、1つ以上のスイッチングコンバータステージは、複数のスイッチングコンバータステージであり、各スイッチングコンバータステージは、1つ以上の分断ステージのうちの対応する1つと結合されている。 コントローラーは、インターリーブ方式または並列方式で、複数のスイッチングコンバータステージの複数のスイッチを動作させるようにさらに構成されている。1つ以上のスイッチングコンバータステージは、1つ以上の阻止コンデンサーを介して1つ以上の分断ステージのうちの対応する分断ステージと結合されていてもよい。
【0021】
簡潔にいえば、本発明の他の実施形態によれば、低電流高調波三相昇圧整流器は、ニュートラルノードと関連して三相入力電圧を受け取るための入力ステージと、少なくとも1つ負荷に接続するように構成された出力ステージとを有している。出力ステージは、ニュートラルノードと結合されている複数の出力コンデンサーを有している。かかる整流器は、三相入力電圧の対応する位相とニュートラルノードと間に結合される1つ以上のコンデンサーと、少なくとも二つのスイッチングコンバータステージをさらに有している。各スイッチングコンバータステージは、ニュートラルノードと接続されている複数のスイッチを有しており、複数のスイッチは、一定のデューティサイクルで動作しており、一定のデューティサイクルとは実質的に50%デューティサイクルのことである。スイッチングコンバータステージは、三相入力電圧の対応する位相と結合されている1つ以上の昇圧インダクタと、1つ以上の昇圧インダクタと少なくとも2つのコンバータステージの複数のスイッチとの間で接続されている1つ以上の入力ブリッジダイオードと、少なくとも2つのコンバータステージの複数のスイッチの両端に接続されている1つ以上のフライングコンデンサーとをさらに有している。
【0022】
かかる整流器は、少なくとも1つの負荷または入力電圧のうちの少なくとも1つ状態に基づいて対応するスイッチングコンバータステージの複数のスイッチのスイッチング周波数を変えるように構成されている1つ以上のコントローラーと、1つ以上の分断ステージとをさらに有している。分断ステージは、複数のスイッチングコンバータステージから出力ステージを分離するように構成されている1つ以上の変圧器を有している。変圧器は、複数のスイッチングコンバータステージ間に結合されている1つ以上の一次巻線を含んでいる。コントローラーは、位相シフト制御を用いて複数のスイッチングコンバータステージの複数のスイッチを動作させるように構成されている。
【0023】
本発明のさらに詳細な特徴によれば、変圧器は、1つ以上の阻止コンデンサーを介して複数のスイッチングコンバータステージ間に結合されている1つ以上の一次巻線をさらに有している。他の実施形態では、かかる整流器は、変圧器の二次側に中央タップ巻線および複数の整流器をさらに有している。さらに他の実施形態では、かかる整流器は、変圧器の二次側に全波整流器をさらに有している。さらに他の実施形態では、かかる整流器は、変圧器の二次側に倍電流整流器をさらに有している。さらなる実施形態では、かかる整流器は、変圧器の二次側に同期整流器をさらに有している。さらなる実施形態では、かかる整流器は、変圧器の二次側にフィルタをさらに有している。
【0024】
簡潔にいえば、本発明のさらに他の実施形態によれば、低電流高調波三相昇圧整流器は、ニュートラルノードと関連して三相入力電圧を受け取るための入力ステージと、少なくとも1つの負荷に接続するように構成されている出力ステージとを有している。出力ステージは、ニュートラルノードと接続されている複数の出力コンデンサーを有している。かかる整流器は、三相入力電圧の対応する位相とニュートラルノードと間に接続される1つ以上のコンデンサーと、1つ以上のスイッチングコンバータステージをさらに有している。各スイッチングコンバータステージは、ニュートラルノードと接続されている複数のスイッチを有しており、複数のスイッチは、一定のデューティサイクルで動作しており、一定のデューティサイクルとは実質的に50%デューティサイクルのことである。1つ以上のコンバータステージは、三相入力電圧の対応する位相に結合される1つ以上の昇圧インダクタをと、1つ以上昇圧インダクタとコンバータステージの複数のスイッチとの間に結合される1つ以上の入力ブリッジダイオードと、1つ以上のコンバータステージの複数のスイッチの両端に結合さされる1つ以上のフライングコンデンサーとをさらに有している。
【0025】
かかる整流器は、少なくとも1つの負荷および入力電圧のうちの少なくとも1つ状態に基づいて対応するスイッチングコンバータステージの複数のスイッチのスイッチング周波数を変えるように構成されている1つ以上のコントローラーと、1つ以上の分断ステージとをさらに有している。分断ステージは、1つ以上のスイッチングコンバータステージのうちの少なくとも1つから出力ステージを分離するように構成されている1つ以上の変圧器を有している。かかる整流器は、少なくとも1つの変圧器を介して1つ以上のスイッチングコンバータステージの複数のスイッチと接続される複数の補助スイッチをさらに有している。コントローラーは、位相シフト変調およびパルス幅変調のうちの少なくとも1つに従って複数の補助スイッチを動作させるように構成されている。
【0026】
本発明のさらに詳細な特徴のうちのいくつかによれば、少なくとも1つの変圧器を介して1つ以上のスイッチングコンバータステージの複数のスイッチと結合されている複数の補助スイッチは、少なくとも1つのフルブリッジコンバーターを形成している。他の実施形態では、変圧器は、補助スイッチの接合点とニュートラルノードとの間に結合される一次巻線を有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】単一スイッチ・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図2】ニュートラルワイヤ接続を備えた電力システムのための2スイッチ・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図3】仮想ニュートラルおよび分割出力コンデンサーを備えた2スイッチ・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図4】ニュートラルワイヤ接続および単一出力コンデンサーを備えた2スイッチ・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図5】出力ダイオード整流器の無い2スイッチ・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図6】本発明のある実施形態かかる2スイッチ・ZVS(ゼロ電圧スイッチング)・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図7】本発明のある実施形態に従って電流および電圧の基準方向を示す、
図6の回路の単純化モデルを示す図である。
【
図8a】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8b】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8c】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8d】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8e】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8f】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8g】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8h】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8i】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図8j】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の位相幾何学的ステージを示す図である。
【
図9】本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図6の回路の重要な波形を示す図である。
【
図10】本発明のある実施形態に従って、2つの別個の負荷を有する2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図11】本発明のある実施形態に従って、2つの別個のインダクタと二つの別個の負荷を有する2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図12】本発明のある実施形態に従って、仮想ニュートラルと2つの分割された出力コンデンサーの中間点との間に阻止コンデンサーを備えている2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図13】本発明のある実施形態に従って、入力ソースニュートラルと2つの分割された出力コンデンサーの中間点との間にカップリングを有する2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図14】本発明のある実施形態に従って、結合されたインダクタおよび2つの阻止ダイオードを有する2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図15】本発明のある実施形態に従って、突入電流コントローラーを有する2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図16】本発明のある実施形態にかかる、入力ブリッジ整流器が複数の被制御スイッチからなる2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図17】本発明のある実施形態に従って、2つの一次巻線を有する変圧器を備えた2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図18】本発明のある実施形態に従って、中央タップ一次巻線変圧器を有する2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図19】本発明のある実施形態に従って、2つの一次巻線を有する変圧器を備えた4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フルブリッジ出力三相昇圧整流器を示す図である。
【
図20】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図19の回路の4つのスイッチの位相シフト制御されたゲート波形を示す図である。
【
図21】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図19の回路の4つのスイッチのPWMゲート波形を示す図である。
【
図22】本発明のある実施形態に従って、
図19の回路に結合されたコントローラーを示すブロックダイアグラムである。
【
図23】本発明のある実施形態にかかる単一の一次巻線を有する変圧器を備えた4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フルブリッジ出力三相昇圧整流器を示す図である。
【
図24】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図23の中で回路の4つのスイッチの位相シフトゲート波形を示す図である。
【
図25】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図23の回路の4つのスイッチのPWMゲート波形を示す図である。
【
図26】本発明のある実施形態かかる
図23の回路と結合されたコントローラーを示すブロックダイアグラムである。
【
図27】本発明のある実施形態による、2つの一次巻線変圧器およびDC電流阻止コンデンサーを備えた4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フルブリッジ出力三相昇圧整流器。
【
図28】本発明のある実施形態にかかる単一一次巻線を有する変圧器とDC電流阻止コンデンサーとを有する4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フルブリッジ出力三相昇圧整流器を示す図である。
【
図29】本発明のある実施形態にかかる2つの変圧器と2つの出力フィルタインダクタとを有する4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フォワード出力三相昇圧整流器を示す図である。
【
図30】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図29の回路の4つのスイッチのPWMゲート波形を示す図である。
【
図31】本発明のある実施形態にかかる、2つの変圧器と1つの出力フィルタインダクタを有する4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フォワード出力三相昇圧整流器を示す図である。
【
図32】本発明のある実施形態にかかる、2つの変圧器と1つの出力フィルタインダクタを有する4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フライバック出力三相昇圧整流器を示す図である。
【
図33】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図29の回路の4つのスイッチのPWMゲート波形を示す図である。
【
図34】本発明のある実施形態にかかるインターリーブ・2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図35】本発明のある実施形態に従って、DC電流阻止コンデンサーを有するインターリーブ・2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図36】本発明のある実施形態にかかるインターリーブ・2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図37】本発明のある実施形態に従って、DC電流阻止コンデンサーを有するインターリーブ・2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図38】本発明のある実施形態に従って、さらなる位相制御を有するインターリーブ・2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図39】本発明のある実施形態に従って、スイッチングサイクル時に
図38の回路の4つのスイッチの位相シフト制御されたゲート波形を示す図である。
【
図40】本発明のある実施形態に従って、2つの変圧器とさらなる位相シフト制御を有するインターリーブ・2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図41】本発明のある実施形態にかかる共振コンポーネントを有する2スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図42】本発明のある実施形態に従って、共振コンポーネントを有する4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図43】本発明のある実施形態にかかる誘導加熱コイル及び2つの共振コンデンサーに接続された2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図44】本発明のある実施形態にかかる誘導加熱コイル及び2つの共振コンデンサーを有する2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図45】本発明のある実施形態にかかる誘導加熱コイル及び1つの共振コンデンサーに接続された4スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【
図46】本発明のある実施形態にかかる複数の誘導加熱コイル及び選択装置を備えた2スイッチ・ZVS・PFC・DCM三相昇圧整流器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、幅広い負荷の範囲で複数のスイッチをソフトスイッチングすることにより入力電流のTHDを低くしPFを高くする三相整流器にかかる実施形態に関するものである。下記には、分離されていない実施形態および分離されている実施形態について記載されている。分離されていない実施形態では、直列に接続される下流側コンバーターが用いられたとき、共通モードノイズが削減され、分割コンデンサーの平衡(バランス)が自動的に取られる。分離されている実施形態では、入力側から出力側が電気的に分離される。さらに、さらなるスイッチを用いてさらなる位相シフト変調方式制御またはパルス幅変調方式(PWM)制御を採用することによって、分離されている実施形態では、不必要な電圧リプルを最小限に抑えるようにそれらの出力電圧をしっかりと制御することができる。回路もそれらの電流リプルおよび電圧リプルを削減するためにインターリーブされてもよい。
【0029】
図6は、本発明のある実施形態にかかる2つのスイッチを有する、ZVS、PFC、DCM方式を用いた低入力電流高調波三相昇圧整流器を示すブロックダイアグラムである。回路の入力は、三相入力端子とEMIフィルタを介して結合されている昇圧インダクタL1、L2およびL3と、Y字(「スター状」)構成で接続されている3つのコンデンサーC1、C2およびC3とからなっている。フィルタコンデンサーの共通点Nは、スイッチS1とスイッチS2との間の中間点に接続され、さらに分割出力コンデンサーCo1と分割出力コンデンサーCo2との中間点に接続されている。インダクタ電流をリセットするために用いられるコンデンサーCRは、直列に接続されているスイッチの両端に接続され、結合インダクタLcによって出力ステージから分断されている。
【0030】
整流器は、ニュートラルノードと関連して三相入力電圧を受け取るための入力ステージと、少なくとも1つの負荷と接続されるように構成されている出力ステージとを有している。出力ステージは、ニュートラルノードNと結合されている複数の出力コンデンサーCo1、Co2を有している。
【0031】
整流器は、三相入力電圧の対応する位相とニュートラルノードNとの間で結合される1つ以上のコンデンサーC1、C2およびC3と、1つ以上のスイッチングコンバータステージとをさらに有している。各スイッチングコンバータステージは、ニュートラルノードNと結合される複数のスイッチS1およびS2を有している。各スイッチは、逆並列ダイオードを備えた金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であってもよいし、または、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であってもよい。
【0032】
図6には、ニュートラルノードと結合されているスイッチS1、S2を有している1つのスイッチングコンバータステージが示されている。スイッチS1およびS2は、実質的に50%のデューティサイクルに相当する一定のデューティサイクルで動作する。1つ以上のコンバータステージは、三相入力電圧の対応する位相と結合されている1つ以上の昇圧インダクタL1、L2およびL3と、1つ以上の昇圧インダクタと1つ以上のコンバータステージの複数のスイッチとの間で結合されている1つ以上の入力ブリッジダイオードD1〜D6と、1つ以上のコンバータステージの複数のスイッチの両端と結合されている1つ以上のフライングコンデンサーCRとを有している。
【0033】
整流器は、少なくとも1つの負荷または入力電圧のうちの少なくとも1つの状態(condition)に基づいて複数のスイッチのスイッチング回数(switching frequency)を変更するように構成されている1つ以上のコントローラーと、1つ以上の分断ステージとを有している。各分断ステージは、1つ以上のスイチングコンバータステージのうちの少なくとも1つから出力ステージを電磁誘導的に(inductively)分断するように構成されている1つ以上の誘導性素子、たとえばインダクタLcまたは変圧器を有している。
【0034】
たとえば、出力コンデンサーの各々は少なくとも1つの負荷の両端に結合されるように構成されており、また、各出力コンデンサーの両端の電圧は実質的に等しくなっている。
【0035】
整流器は、入力電流のTHDが低く、広い負荷の範囲においてスイッチのソフトスイッチングにともなうPFが高い。このことは、昇圧インダクタをDCMで動作させ、整流器の出力電圧を可変周波数制御を用いて制御することにより達成される。それに加えて、整流器は、直列接続されている下流側のコンバーターが用いられる場合、共通モードノイズが削減され、分割コンデンサーが自動的に平衡をとるようになっている。
【0036】
整流器が複数のスイッチングコンバータステージを有し、各スイッチングコンバータステージが1つ以上の分断ステージのうちの対応する1つと結合されている場合、コントローラーは、複数のスイッチングコンバータステージのうちの複数のスイッチをインターリーブ方式でまたは並列方式で動作させるようにさらに構成されてもよい。1つ以上のスイッチングコンバータステージは、1つ以上の阻止コンデンサーを介して1つ以上の分断ステージのうちの対応する分断ステージと結合されるようになっていてもよい。
【0037】
Y字状の接続をしているコンデンサーC1、C2およびC3の主要な目的は、仮想接地、すなわち3線式電力システムでは物理的に得られない、入力(電源)電圧と同一の電位を有するニュートラルなノードを形成するためである。仮想ニュートラルNをスイッチS1とS2との間の中間点に直接接続させることによって、3つの入力電流の分断が達成される。このような分断回路では、3つのインダクタのうちの各々の電流は、それに対応する相電圧のみに依存し、このことによりTHDが削減され、PFが増大される。
【0038】
詳細にいえば、
図6の回路では、ブリッジダイオードD1〜D6は、スイッチS1がオンのとき正入力電圧のみがスイッチS1を介して電流の移送を可能とし、スイッチS2がオンのとき負入力電圧のみがスイッチS2を介して電流の移送を可能とする。スイッチは、当該スイッチの両端の電圧が実質的にゼロであるときにオンになるようになっていてもよい。したがって、スイッチS1がオンの場合、正電圧半線サイクルと同一位相にあるいずれの昇圧インダクタも正電流を移送し、スイッチS2がオンの場合、負電圧半線サイクルと同一位相にあるいずれの昇圧インダクタも負電流を移送する。スイッチS1がオフである間、正位相電圧に接続されているインダクタ内の蓄積エネルギーはコンデンサーCRに移送され、スイッチS2がオフである間、負位相電圧に接続されているインダクタ内の蓄積エネルギーはコンデンサーCRに移送される。
【0039】
すべてのスイッチングサイクルにおいて、コンデンサーCRの各端子の電圧が、高いdV/dt特性とともに変化するので、これらの高速な高電圧遷移から出力を分離するために「フライング」コンデンサーCRと出力との間に結合インダクタLcが接続される。これらの高速な高電圧遷移は、通常、受け入れがたい共通モードEMIノイズを生じる。結合インダクタLcを用いると、出力の共通モードノイズは、それがS1−S2−CRループから構成される比較的小さな領域に含まれるので、非常に低いものとなる。さらに、出力とスイッチS1およびS2との間のインピーダンスを提供する結合インダクタLcが存在するために、複数の整流器の並列方式/インターリーブ方式での運用が可能となる。
【0040】
図7には、本発明のある実施形態に従って、電流および電圧の基準方向を示す
図6の回路の単純化モデルが示されている。動作解析を単純化するために、
図6に示されている入力フィルタコンデンサーおよび出力フィルタコンデンサーのリップル電圧を無視できると仮定されているので、入力フィルタコンデンサーおよび出力フィルタコンデンサーの両端の電圧は、定電圧電源VAN、VBN、VCN、Vo1およびVo2として表わすことができる。さらに、オン状態では、半導体がゼロ抵抗示す、すなわち半導体が短絡しているものと仮定される。しかしながら、スイッチの出力容量はこの解析では無視されない。
【0041】
図6の結合インダクタLcは、磁化インダクタンスLMおよび漏れインダクタンスLLK1、LLK2を備えた2つの巻線を有する理想的な変圧器としてモデル化される。最後に、コンデンサーCRの両端の平均電圧が出力電圧Vo=Vo1+Vo2と等しいので、コンデンサーCRは定電圧電源としてモデル化される。
図7には、単純化された整流器の回路図が示されている。
図7の電流および電圧の基準方向は、VAN>0、VBN<0、およびVCN<0である場合の線サイクルの60度セグメントに相当する。
【0042】
動作説明をさらに容易にするために、
図8には、本発明のある実施形態に従ってスイッチングサイクル時の
図7の回路の位相幾何学のステージを示し、
図9には、本発明のある実施形態に従う電力ステージにおける主要波形が示されている。
【0043】
図9のスイッチS1およびS2のゲートドライブタイミングダイアグラム図から分かるように、
図6の回路では、スイッチS1とスイッチS2とは、相補的に動作し、一方のスイッチのターンオフと他方のスイッチのターンオフとの間の不感時間が短くなっている。このゲーティング戦略により、両方のスイッチがZVSを達成することができるようになっている。しかしながら、変わりうる入力電圧および/または出力負荷に対してZVSを維持するために、整流器には可変スイッチング回数制御が採用されている。
【0044】
最小周波数は全負荷および最小入力電圧によって決まり、最大周波数は軽負荷および最大入力電圧によって決まる。必要ならば、不必要に高い周波数での運転を回避するために、整流器は、負荷が無いときまたは負荷が軽めのとき、制御されたバーストモードまたはパルススキップモードで動作することができる。いうまでもなく、一定周波数PWM制御を含む他の制御戦略を当該回路に適用されてもよい。しかしながら、PWM制御では、ZVSを維持することができない。
【0045】
図8(a)および
図9に示されているように、t=T1でスイッチがオフになる前に、インダクタ電流iL1はスイッチS1を通って流れる。インダクタ電流iL1の傾斜はVAN/L1と等しく、t=T1でのインダクタ電流のピークは、実質的に次の式で表される。
【0047】
この式で、VANはライン−ニュートラル間の電圧であり、Tsはスイッチング周期である。スイッチS1のターンオフとスイッチS2のターンオンとの間の不感時間が、スイッチング周期Tsと比較して非常に小さいので、式(1)において不感時間の影響は無視できる。T0とT1との間の期間中、電流io1は−Vo1/(LM+LLK1)の速度で減少し、電流io2は(VCR−Vo1)/(LM+LLK2)の速度で増大する。磁化電流iMは電流io1と電流io2との間の差である。
【0048】
特筆すべき点は、結合インダクタLMの磁化インダクタンス値は、当該結合インダクタのリップル電流が整流器の動作に著しく影響を与えないように、十分に大きくなるように設計されている点である。
図6に示されているように、インダクタLcの2つ巻線は、飽和されることなくコアにおける小さなギャップによって大きな磁化インダクタンスを得ることができるように2つの巻線の差分電流からの磁束が取り消されるように結合されている。電流io1および電流io2の影響が無視できるので、これらの電流については、
図8の位相幾何学ステージで示されているものの、さらなる説明は行わない。
【0049】
t=T1で、スイッチS1がオフになると、
図8(b)に示されているように、インダクタ電流iL1がスイッチS1の出力容量を充電し始める。スイッチS1およびスイッチS2の両端の電圧の和が「フライング」コンデンサー電圧VCRに固定されている、スイッチS2の出力容量は、スイッチS1の出力容量の充電速度と同じ速度で放電される。
図8(c)および
図9に示されているように、この期間は、スイッチS2の出力容量が完全に放電され、スイッチS2の逆並列ボディダイオードがt=T2で導通し始める時に終了する。
【0050】
スイッチS2のボディダイオードには順バイアスがかけられているので、インダクタ電流iL2およびiL3は直線的に増大し始める。t=T3では、
図8(d)に示されているように、スイッチS2はZVSでオンになり、インダクタ電流iL2およびiL3はスイッチS2の逆並列ダイオードからスイッチS2に通電される。この期間は、インダクタ電流iL1がt=T4でゼロまで減少した時に終了する。DCM動作を維持するために、t=T3とt=T4との間の時間は、スイッチン周期Tsの2分の1未満である。このことは、インダクタ電流iL1の上昇勾配が下降勾配よりも小さいということを意味する。その結果、「フライング」コンデンサーCRの両端の最小電圧VCR(MIN)は、出力電圧Voと等しく、次の式で表される。
【0052】
この式で、VAN−PKはライン−ニュートラル間のピーク電圧である。
【0053】
特筆すべき点は、T2〜T4の間、インダクタ電流iL2およびiL3がインダクタ電流iL1とは反対の方向に向かって流れるので、スイッチS2を流れる平均電流が削減され、提案されている整流器のスイッチは、電力損失が削減される。
【0054】
t=T4とt=T5との間の期間、
図8(e)に示されているように、インダクタ電流iL2およびiL3はスイッチS2を流れ続ける。
図9に示されているように、この期間中のインダクタ電流iL2およびiL3の傾斜は、それぞれVBN/L2およびVCN/L3と等しい。スイッチS.2がt=T5でオフになる瞬間におけるインダクタ電流のピークは次の式で表される。
【0057】
式(1)、(3)および(4)から分かるように、各インダクタ電流のピークはそれに対応する入力電圧に比例している。
【0058】
t=T5でスイッチS2がオフになった後、
図8(f)に示されるように、インダクタ電流iL2およびiL3は、同時に、スイッチS2の出力容量を充電し、スイッチS1の出力容量を放出し始める。この期間は、
図8(g)および
図9に示されているように、スイッチS1の出力容量が完全放電され、その逆並列ダイオードが導通し始めるt=T6で終了する。t=T6の後、スイッチS1をZVSでオンにすることができる。
図9では、スイッチS1はt=T7でオンにされている。
図8(h)に示されているように、いったんスイッチS1がオンになると、次第に増えていくインダクタ電流iL1がインダクタ電流iL2およびiL3とは反対方向に向かってスイッチS1を通って流れていくので、スイッチS1は、電流iL1と電流iL2および電流iL3の和との差だけを移送する。この期間は、インダクタ電流iL3がt=T8でゼロまで減少した時に終了する。T8〜T9の期間、
図8(i)に示されているように、次第に減少するインダクタ電流iL2がスイッチS1を流れ続ける。最後に、
図8(j)に示されているように、t=T9でインダクタ電流ij2がゼロに達した後、新しいスイッチングサイクルが開始される。
【0059】
図6に示されている回路では、
図9に記載のインダクタ電流波形に示されているように、関連するスイッチがオンである期間における各昇圧インダクタの充電電流がそれに対応する位相電圧に比例しており、その放電電流が「フライング」コンデンサー電圧VCRとそれに対応する位相電圧との差に比例しているので、スイッチングサイクル時の各昇圧インダクタの平均インダクタ電流〈IL(AVG)〉Tsは次の式で表される。
【0061】
この式で、L=L1=L2=L3であり、ωはライン電圧の角周波数である。
【0062】
入力電圧から出力電圧への変換比Mを次のように定義し、
【0064】
フライングコンデンサーCRの両端の電圧が出力電圧Voと等しい、すなわちVCR=Voであることを思い出すと、式(5)の平均インダクタ電流〈IL(AVG)〉Tsを次の式のように書き換えることができる。
【0066】
特筆すべき点は、式(7)の平均インダクタ電流IL(AVG)の表現が、DCMで動作する単相一定周波数昇圧PFCの平均インダクタ電流の表現と同じであるという点である。式(7)における平均インダクタ電流の電流歪みは、分母項(M−sinωt)によりもたらされ、それは電圧変換比Mに依存する。
【0067】
さまざまなMの平均インダクタ電流の高調波成分が表Iに要約されている。
【0069】
トリプレン高調波のパスが提供される場合、すなわち三相入力源および仮想のニュートラルNが直接接続されている場合の平均昇圧インダクタ電流のTHDおよび高調波Mは、式(6)に記載の入力電圧から出力電圧への変換比のことである。
【0070】
表Iから分かるように、第三高調波が支配的な歪み成分である。しかしながら、3線式電力システムでは、ニュートラルワイヤが利用可能ではない(または、接続されていない)ので、ライン電流は、トリプレン高調波(3次高調波および3次高調波の奇数倍の高調波)を含むことができない。その結果、表Iによれば、残りの高調波が合計電流ひずみの1%未満しか寄与しないので、提案されている回路では、THDが非常に低く、PFが高い。特筆すべき点は、ライン電流が3次高調波を含むことができず、フィルタコンデンサーC1〜C3の電圧が、3次高調波を含み、自動的にインダクタ電流の3次高調波を取り除く必要があるという点にある。
【0071】
この回路は、他の多くの実施形態で実装することができる。たとえば、
図10は、本発明のある実施形態に従って2つの独立した負荷を備えたものとして実装させたものである。提案されている2つのスイッチを備えた整流器が2つの出力コンデンサーの両端の電圧のバランスを自動的にとるので、電圧平衡用回路を追加する必要はない。インダクタLcの巻線の両端の平均電圧がゼロであるため、
図10の回路では、スイッチS1およびS2の両端の平均電圧がそれぞれコンデンサーCo1およびCo2の両端の電圧Vo1およびVo2と等しくなるので、電圧のバランスが自動的に取られることになる。スイッチが実質的に50%デューティサイクルで運用されるため、スイッチの平均電圧がVCR/2と等しくなり、その結果、Vo1=Vo2=VCR/2となる。
【0072】
図6の実施形態は、本発明のある実施形態に従って、
図11に示されているような二つの独立したインダクタを備えたものとして具象化することもできるし、本発明のある実施形態に従って
図12に示されているような阻止コンデンサーCBを備えたものとして具象化されてもよい。阻止コンデンサーは、ニュートラルノードと出力コンデンサーとの間に接続されている。
図12に示されているような阻止コンデンサーCBを追加することによって、スイッチS1とスイッチS2との間のノードからコンデンサーCo1とコンデンサーCo2との間のノードまで循環するいかなるDC電流をも防止することができる。
【0073】
図13には、入力源が本発明のある実施形態にかかる4線式三相システムである場合、コンデンサーCo1とコンデンサーCo2との間のノードを入力源のニュートラルワイヤに接続させることができるのが示されている。
図13に示されている回路は、共通接地ac電圧出力を提供するために、三相入力源のニュートラルワイヤへの接続を必要ようとする分離されていない無停電電源装置(UPS)システムにとくに役に立つ。
【0074】
図14には、
図6の実施形態が本発明のある実施形態に従って、2つの阻止ダイオードを備えたものとして具象化されてもよいことが示されている。阻止ダイオードは、複数のスイッチと1つ以上のフライングコンデンサーとの間に結合されるようになっていてもよい。2つのさらなるダイオードDB1およびDB2を加えることによって、ゲート信号の偶発的なオーバーラッピングによるスイッチのシュートスルー故障を防ぐことができるようになる。
【0075】
回路の実施形態が昇圧タイプ整流器に基づくものであるので、入力電圧が入力源に接続される瞬間または入力電圧がそのドロップアウトから回復される瞬間に充電電流が存在する。
【0076】
図15には、本発明のある実施形態に従って、高スパイク電流を防止またはバイパスするために突入電流制御回路を加えることができることが示されている。突入電流制御回路は、入力電圧とコンデンサーとの間に接続されるようになっていてもよい。
【0077】
図16には、本発明のある実施形態に従って、
図6の実施形態を6つの入力ダイオードに代えて6つの被制御スイッチを備えたものとしても具象化できることが示されている。6つのスイッチSR1〜SR6を用いることにより、双方向エネルギーの流れが可能となり、このことは、必要ならばソース電流の位相角を補償するための望ましい機能である。
【0078】
図17には、本発明のある実施形態に従って出力が分離されている実施形態が示されている。
図17の分離された回路の一次側は、
図6に示されている回路の結合インダクタLcが2つの一次巻線と1つの中央タップ二次巻線とからなる変圧器TRと取り替えられている点以外、
図6に示されている回路と同等である。変圧器TRの二次側では、整流器Do1およびDo2ならびに出力フィルタコンポーネントLoおよびCoは、変圧器TRの二次巻線と出力との間に結合されている。
【0079】
図18には、本発明のある実施形態に従って、中央タップ一次巻線および中央タップ二次巻線からなる分離された変圧器TRを備えた実施形態が示されている。回路のPFを高くTHDを低くするために、スイッチS1およびS2のスイッチング回数およびデューティサイクルは、ライン周波数の半サイクルの間ほとんど一定である必要がある。その結果、使用された制御フィードバックの帯域幅は、ライン周波数よりはるかに低い必要があり、このことは、整流されたライン周波数、すなわちラインの基本周波数よりも6倍高い周波数で出力電圧のかなりのリップルを生じる。
【0080】
一般的に、ほとんどの電源は、一次PFC整流器ステージと二次分離DC−DCコンバータステージテージとからなる2つの縦列ステージを有している。その結果、一次PFC整流器の出力電圧が整流されたライン周波数電圧リプルを含んでいるものの、二次分離DC−DCコンバータステージは、それ自身の高周波帯域幅フィードバック調節器によってその出力電圧を調整することができる。2つのステージの機能を組み合わせて単一のステージにするため、出力電圧のしっかりとした調整は避けられないことである。
【0081】
図19には、しっかりと制御された分離出力を提供する本発明のある実施形態に従って2つの一次巻線を有した変圧器を備えた4スイッチ・分離・ZVS・PFC・DCM・入力フルブリッジ出力・三相昇圧整流器が示されている。整流器は、ニュートラルノードと関連して三相入力電圧を受け取る入力ステージと、少なくとも1つの負荷と接続されるように構成されている出力ステージとを有している。出力ステージは、ニュートラルノードと接続されている複数の出力コンデンサーを有している。
【0082】
整流器は、三相入力電圧の対応する位相とニュートラルノードと間に接続される1つ以上のコンデンサーと、1つ以上のスイッチングコンバータステージをさらに有している。各スイッチングコンバータステージは、ニュートラルノードと接続されている複数のスイッチを有しており、複数のスイッチは、一定のデューティサイクルで動作しており、一定のデューティサイクルとは実質的に50%デューティサイクルのことである。1つ以上のコンバータステージは、三相入力電圧の対応する位相に結合される1つ以上の昇圧インダクタをと、1つ以上昇圧インダクタとコンバータステージの複数のスイッチとの間に結合される1つ以上の入力ブリッジダイオードと、1つ以上のコンバータステージの複数のスイッチの両端に結合さされる1つ以上のフライングコンデンサーとをさらに有している。
【0083】
整流器は、少なくとも1つの負荷および入力電圧の少なくとも1つ状態に基づいて対応するスイッチングコンバータステージの複数のスイッチのスイッチング周波数を変えるように構成されている1つ以上のコントローラーと、1つ以上の分断ステージとをさらに有している。分断ステージは、1つ以上のスイッチングコンバータステージのうちの少なくとも1つから出力ステージを分離するように構成されている1つ以上の変圧器を有している。
【0084】
整流器は、少なくとも1つの変圧器を介して1つ以上のスイッチングコンバータステージの複数のスイッチと接続される複数の補助スイッチS3およびS4をさらに有している。コントローラーは、位相シフト変調およびパルス幅変調のうちの少なくとも1つに従って複数の補助スイッチを動作させるように構成されている。
【0085】
複数の補助スイッチは少なくとも1つのフルブリッジコンバーターを形成しうる。変圧器は、補助スイッチの接合点とニュートラルノードとの間に結合される一次巻線を有していてもよい。変圧器は、スイッチングコンバータステージ間で、ニュートラルノードに1つ以上の阻止コンデンサーを介して結合される1つ以上の一次巻線を有していてもよい。
【0086】
本発明のある実施形態にかかる
図20および
図21に記載のタイミングダイアグラム図に示されているように、主スイッチS1およびS2と共に動作するさらなるスイッチS3およびS4を追加することにより、分離された実施形態により、高いPFおよび低いTHDに加えてその出力電圧のしっかりとした制御を達成することができる。
図20には、スイッチS1〜S4のゲート波形が示されている。S1とS2のスイッチングは時刻T0で生じ、S3とS4のスイッチングは時刻T1で生じる。2つのスイッチングイベント間の位相シフトにより、
図20に示されているような変圧器TRの両端にPWM電圧波形VPが形成される。高いPFおよび低いTHDを達成するためにすべてのスイッチS1〜S4がゆっくり変わるスイッチング回数および約50%デューティサイクルの近傍で動作しているものの、提案されている制御方法は、出力電圧をしっかりと調整することができる位相シフトアングルを変えることによるさらなる制御を提供している。
【0087】
図21には、スイッチS3およびS4のPWMゲーティングを採用する他の制御スキームが示されている。
図22には、提案されている制御スキームのすべての例が簡略化されたブロックダイアグラムで示されている。フライングコンデンサーCR1の両端の電圧は低帯域幅周波数制御によって制御され、出力電圧は高帯域位相シフト制御またはPWM制御によって制御される。特筆すべき点は、フライングコンデンサーCR2の両端の電圧または出力電圧をフライングコンデンサーCR1の両端の電圧に代えて低帯域幅周波数制御によって制御することができる。
【0088】
図23には、本発明のある実施形態に従って、
図19の実施形態を、単一の一次巻線と中央タップ二次巻線とからなるトランスフォーマを備えたものとしても具象化することができることが示されている。
図24および
図25には、スイッチS1〜S4のタイミングダイアグラム図および変圧器TRの一次電圧VPが示されている。これらはそれぞれ、本発明のある実施形態かかる位相シフト制御およびPWM制御を表わしている。
図26は、本発明のある実施形態にかかる制御スキームを示す簡略化されたブロックダイアグラム図である。
【0089】
図27および
図28には、本発明のある実施形態に従って、
図19の実施形態および
図23の実施形態を阻止コンデンサーCBを備えたものとしても具象化することができることが示されている。
図27および
図28に示されているような阻止コンデンサーCBを追加することによって、変圧器TRの一次巻線のいかなるDC電流をも除去することができる。
図17〜
図28に示されている分離回路が変圧器の中央タップ二次巻線および2つの出力ダイオード備えた出力回路を示しているものの、倍電流整流器、フルブリッジ整流器、倍電圧コンデンサーを備えた半ブリッジ整流器の如きいかなる公知の出力整流器をこれらの具象化に用いることができる。それに加えて、具象化において、フィルタダイオードに代えて、制御回路を備えた同期整流器を採用することができる。
【0090】
図29には、本発明のある実施形態に従って、しっかりと制御されるインターリーブ分離フォワードタイプ出力を備えた実施形態が示されている。一方のフォワードタイプ構成の一次側は、スイッチS2およびS3、変圧器TR1、ダイオードDR1およびスイッチS1のボディダイオードによって形成され、一方のフォワードタイプ構成の二次側は、ダイオードDo1およびDo2および出力インダクタLo1によって形成されている。他方のフォワードタイプ構成の一次側は、スイッチS1およびS4、変圧器TR2、ダイオードDR2、およびスイッチS2のボディダイオードによって形成され、他方のフォワードタイプ構成の二次側は、ダイオードDo3およびDo4、および出力インダクタL02によって形成されている。
【0091】
図30には、本発明のある実施形態に従って、スイッチS1〜S4および変圧器TR1およびTR2の一次電圧VP1およびVp2のゲート波形が示されている。スイッチS2およびスイッチS3が同時にオンになると、変圧器TR1の一次巻線の両端に電圧VCRが引き起こされる。スイッチS3が時刻T1でオフになった後、変圧器TR1の磁化電流は、ダイオードDR1およびスイッチS1のボディダイオードを通って流れる。その結果、
図30に示されるように磁化電流が完全にリセットされる時まで変圧器TR1の一次巻線の両端には負電圧−VCRが誘発される。
図30に示されているように、スイッチS1およびS4のスイッチングによって、同様の電圧波形が変圧器TR2の両端に誘発される。特筆すべき点は、高いPFおよび低いTHDを達成するために、スイッチS1およびS2は常に実質的に50%のデューティサイクルを維持している点である。
【0092】
図31には、本発明のある実施形態に従って、
図29の実施形態を単一の出力インダクタLoおよび3つの出力ダイオードDo1〜Do3を備えたものとしても具象化することができることが示されている。
【0093】
図32には、本発明のある実施形態に従ってしっかりと制御されるインターリーブ分離フライバックタイプ出力を備えた実施形態が示されている。1つのフライバックタイプの構成は、スイッチS2およびS3、変圧器TR1およびダイオードDo1によって形成されている。他のフライバックタイプの構成は、スイッチS1およびS4、変圧器TR2およびダイオードDo2によって形成されている。
【0094】
図33には、本発明のある実施形態に従って、スイッチS1〜S4、変圧器TR1およびTR2の一次電圧VP1およびVP2のゲート波形が示されている。スイッチS2およびスイッチS3が同時にオンになると、変圧器TR1の一次巻線の両端に電圧VCRが誘発される。スイッチS3が時刻T1でオフになった後、変圧器TR1の磁化電流がダイオードDo1を通って出力コンデンサーCoへと流れる。
【0095】
その結果、
図30に示されているように変圧器TR1がDCMで動作すれば、変圧器TR1の磁化電流がゼロ達するときまで 反映された出力電圧−nVoが変圧器TR1の一次巻線の両端に誘発される。ここで、nは変圧器TR1の巻数比のことである。変圧器TR1の磁化インダクタンスが十分に大きい場合、磁化電流は連続的となる。
図33に示されているように、スイッチS1およびS4のスイッチングによって、同様の電圧波形が変圧器TR2の両端に誘発される。
【0096】
図34には、
図6の実施形態を本発明のある実施形態に従って並列方式またはインターリーブ方式で運転させることができることが示されている。簡単な並列方式運転では、スイッチS1およびS3は1つのゲート信号によって駆動され、スイッチS2およびS4は他の相補的なゲート信号によって駆動される。インターリーブ方式運転では、スイッチS1およびS4は一緒に駆動され、スイッチS2およびS3は相補的な信号によって同時に駆動される。この回路内で並列方式運転/インターリーブ方式運転が可能となるのは、結合インダクタLcが出力とスイッチとの間に分断インピーダンスを提供しているからである。
【0097】
図35には、本発明のある実施形態に従って阻止コンデンサーCBを追加することにより、スイッチS1〜S4の間のノードから出力コンデンサーCo1と出力コンデンサーCo2との間のノードまで循環するいかなるDC電流をも防止することができることが示されている。
【0098】
図36には、本発明のある実施形態によって
図17の実施形態を並列方式またはインターリーブ方式で運転することができることが示されている。簡単な並列方式運転では、スイッチS1およびS3は同一信号によって駆動され、スイッチS2およびS4は相補的な信号で一緒に駆動される。インターリーブ方式運転では、スイッチS1およびS4は一緒に駆動され、スイッチS2およびS3は相補的な信号によって同時に駆動される。
【0099】
図37には、本発明のある実施形態に従って阻止コンデンサーCBを追加することにより、スイッチS1とスイッチS2との間のノードからスイッチS3とスイッチS4との間のノードまで循環するいかなるDC電流でも防止することができることが示されている。
【0100】
図38には、2つの分離されたPFC整流器が本発明のある実施形態に従って並列に接続された場合、さらなるスイッチを必要とすることなくしっかりとした出力制御が達成されることができるということが示されている。整流器は、ニュートラルノードと関連して三相入力電圧を受け取るために入力ステージと、少なくとも1つの負荷と接続されるように構成されている出力ステージとを有している。出力ステージは、ニュートラルノードと接続されている複数の出力コンデンサーを有している。
【0101】
整流器は、三相入力電圧の対応する位相とニュートラルノードとの間に接続されている1つ以上のコンデンサーと、少なくとも2つのスイッチングコンバータステージ、すなわち分離されているPFC整流器とをさらに有している。分離されているPFC整流器の各々は、ニュートラルノードと接続されている複数のスイッチを有しており、複数のスイッチは一定のデューティサイクルで動作し、一定のデューティサイクルとは約50%デューティサイクルのことである。スイッチングコンバータステージは、三相入力電圧の対応する位相と結合されている1つ以上の昇圧インダクタと、1つ以上の昇圧インダクタと少なくとも2つのコンバータステージの複数のスイッチとの間で接続されている1つ以上の入力ブリッジダイオードと、少なくとも2つのコンバータステージの複数のスイッチの両端に結合されている1つ以上のフライングコンデンサーとをさらに有している。
【0102】
整流器は、少なくとも1つの負荷または入力電圧のうちの少なくとも1つの状態に基づいて対応するスイッチングコンバータステージの複数のスイッチのスイッチング周波数を変えるように構成されている1つ以上のコントローラーと、1つ以上の分断ステージとをさらに有している。分断ステージは、複数のスイッチングコンバータステージから出力ステージを分離するように構成されている1つ以上の変圧器を有している。変圧器は、複数のスイッチングコンバータステージ間に結合されている1つ以上の一次巻線を含んでいる。コントローラーは、位相シフト制御を用いて複数のスイッチングコンバータステージの複数のスイッチを動作させるように構成されている。
【0103】
変圧器は、ニュートラルノードに対する1つ以上の阻止コンデンサーを介して複数のスイッチングコンバータステージ間に結合されている1つ以上の一次巻線を有していてもよい。
【0104】
図39には、本発明のある実施形態にかかるスイッチS1〜S4のゲート波形が示されている。第一のPFCステージのS1およびのS2のスイッチングは時刻T0で生じ、第二のPFCステージのS3およびS4のスイッチングは時刻T1で生じる。これら2つのスイッチングイベント間のこの位相シフトにより、
図39に示されているような変圧器TRの2つの一次巻線の両端にPWM電圧波形VP1およびVP2を形成する。スイッチS1〜S4は、スイッチング周波数をゆっくり変化させ、実質的に50%デューティサイクルの近傍で動作して高いPFおよび低いTHDを達成するとともに、位相シフトアングルの変化により出力電圧がしっかりと調整される。
【0105】
図40には、本発明のある実施形態に従って、
図39の実施形態を2つの変圧器TR1およびTR2を用い、二次巻線を直列に接続して電流を共有して、具象化することもできることが示されている。
【0106】
図41には、本発明のある実施形態に従って、出力が分離され、半ブリッジ共振タイプの構成を有する他の実施形態が示されており、
図42には、本発明のある実施形態にかかるフルブリッジ共振タイプの構成を有するものが示されている。直列共振回路、並列共振回路、LLC共振回路、LCC共振回路およびLLCC共振回路の如きいかなる共振タンク回路をも採用することができる。
【0107】
図43には、本発明のある実施形態に従って、
図6に示されている整流器の結合インダクタを2つの誘導加熱コイルと交換することができることが示されている。従って、1つ以上の誘導加熱コイルが整流器の誘導性素子であってもよい。共振コンデンサーCR1およびCR2と誘導加熱コイルとは、金属製の型枠(metal pan)の如き抵抗を備えた任意の導体材料に磁気エネルギーを伝える共振タンクを形成する。この金属型は、結合磁気エネルギーによって誘発されるうず電流損によって熱くなる。
【0108】
図44には、本発明のある実施形態に従かかる誘導加熱コイルおよび半ブリッジ構成を備えた回路の他の実施形態が示されている、
図45には、本発明のある実施形態にかかる誘導加熱コイルおよびフルブリッジ構成を備えた回路が示されている。
図46には、本発明のある実施形態に従って、直列接続されたスイッチによって回路と誘導加熱コイルを結合させることができることが示されている。直列接続をしているスイッチは対応するコイル選択スイッチであってもよい。