特許第6367528号(P6367528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367528ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367528
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/245 20060101AFI20180723BHJP
   C03C 17/34 20060101ALI20180723BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C03C17/245 A
   C03C17/34 Z
   B32B17/06
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-126788(P2013-126788)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2014-9154(P2014-9154A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0069383
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ユン−ジン
(72)【発明者】
【氏名】ムン ドン グン
(72)【発明者】
【氏名】チャ ジ ユン
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−137251(JP,A)
【文献】 特開2004−004795(JP,A)
【文献】 特開2000−103648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00 − 23/00
B32B 1/00 − 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にドーパント層を形成するドーパント層形成ステップ
前記ドーパント層上に二酸化バナジウム(VO)を蒸着し、前記ドーパント層をなすドーパントを拡散させて、サーモクロミック薄膜を形成するサーモクロミック薄膜形成ステップ、及び、
前記サーモクロミック薄膜形成ステップの後に、ポストアニール(post−annealing)ステップをさらに含み、
前記ドーパントは、Mo、W、Cr、Ni、またはZrのいずれか一種であることを特徴とする、ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法。
【請求項2】
前記ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法は、
前記ドーパント層形成ステップの前に、前記基板上に遮断膜を形成するステップをさらに含み、
前記ドーパント層は、前記遮断膜上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法。
【請求項3】
前記ドーパント層の厚さは、5nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法。
【請求項4】
前記サーモクロミック薄膜の厚さは少なくとも50nmであることを特徴とする、請求項1に記載のドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法。
【請求項5】
前記サーモクロミック薄膜形成ステップは、スパッタリング(sputtering)蒸着法にて行うことを特徴とする、請求項1に記載のドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウ及びその製造方法に係り、より詳しくは、低い相転移温度を有するドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油などの化学エネルギー源の価格の急騰に伴い、新エネルギー源の開発の必要性が高まっている。また、これに相まって省エネルギー技術の重要性も高まってきている。実際に一般家庭におけるエネルギー消費量の60%以上が冷・暖房のために使われる。特に、一般住宅や建物における窓ガラスから無駄に逃げ出すエネルギーが24%にも達する。
【0003】
このため、窓の基本機能である建物の美観及び眺望特性を保ちつつも、窓の気密及び断熱特性を高めて窓ガラスから逃げ出すエネルギーを減らすための種々の努力がなされており、代表的に窓の大きさを調節する方法や高断熱窓を設置する方法などが実施されている。
【0004】
高断熱窓の種類には、複層ガラスにアルゴン(Ar)ガスなどを注入して熱交換現象を防ぐアルゴンガス注入複層ガラスと低放射(Low−E)ガラスなどがある。その他、熱的特性を持つ層をガラスにコートし、太陽光エネルギーの取り込みを調節するガラスなどが研究されている。
【0005】
特に、低放射ガラスは、ガラス表面に金属または金属酸化物を薄くコートして窓ガラスから入る太陽光線のうち、可視光線は最大限に透過させて室内を明るく保つようにする共に赤外線領域の輻射線は有効にカットし、また、冬季には建物中の暖房熱が外に逃げ出さないようにカットし、夏季には建物外の熱気の中への侵入をカットして、冷・暖房費を低減するという効果があるものの、可視光線以外の波長に対しては反射をする特性のため、特に冬季に太陽から出る赤外線領域を室内へ取り込むことができず、季節(温度)に応じて太陽光の透過率が調節されないという不具合を持っている。
【0006】
そこで、サーモクロミック(thermochromic)効果を有する物質をガラス上にコートし、ガラスが所定の温度以上になると可視光線は取り込むが近赤外線や赤外線はカットして室内温度が上昇しないようにするサーモクロミック・ウィンドウに関する技術が開発されている。
【0007】
図1は、ガラス基板の片面にVOからなるサーモクロミック薄膜をコートしてなるサーモクロミック・ウィンドウの相転移温度の前後における太陽光の透過率の変化を示すグラフである。
【0008】
図1に示すように、サーモクロミック物質をガラスにコートすることにより、相転移温度を前後にして太陽光の透過率、特に赤外線領域における透過率が変化することが分かり、これにより、建物などの冷・暖房エネルギー効率を向上させることができる。
【0009】
しかしながら、このようなサーモクロミック物質は高い相転移温度を有しており、実際に建築用ガラスなどへの活用には不向きである。特に、比較的に実用可能な温度に近い二酸化バナジウム(VO)でも68℃の相転移温度を有する。
【0010】
そこで、サーモクロミック物質からなるサーモクロミック薄膜の相転移温度を下げるために、サーモクロミック物質からなるサーモクロミック薄膜にドーパントをドープしている。
【0011】
従来、ドーパントのドーピング方法としては、サーモクロミック物質からなるターゲット(target)とドーパントからなるターゲットをコ・スパッタリング(co−sputtering)する方法とサーモクロミック物質にドーパントがドープされたターゲットを利用してスパッタリングする方法を用いていた。
【0012】
しかしながら、これらの方法による場合、ドーパントがサーモクロミック薄膜の全体に均一に分散して分布することにより、サーモクロミック薄膜の可視光透過率と相転移変換効率が減少するという不具合が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、低い相転移温度を有しつつも、高い可視光透過率と相転移変換効率を有するドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明は、基板、及び基板上に形成されるサーモクロミック薄膜を含み、前記サーモクロミック薄膜は、ドーパントがドープされたサーモクロミック物質からなり、前記ドーパントの濃度は、前記サーモクロミック薄膜の表面と裏面のいずれか一方の面から深さ方向に行くにつれて低くなることを特徴とするドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウを提供する。
【0015】
また、本発明のドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウは、前記基板と前記サーモクロミック薄膜との間に形成される遮断膜をさらに含んでいてよい。
【0016】
ここで、前記遮断膜は、SiO、Al、Nb、TiO、またはSiのいずれか一種の物質を含んでいてよい。
【0017】
また、前記遮断膜は、ドーパントをさらに含んでいてよい。
【0018】
また、前記ドーパントは、Mo、W、Cr、Ni、またはZrの少なくとも一種であってよい。
【0019】
また、前記サーモクロミック物質は、二酸化バナジウム(VO)、酸化チタン(III)(Ti)、酸化ニオブ(NbO)、及び硫化ニッケル(NiS)のいずれか一種からなるものであってよい。
【0020】
また、本発明は、基板上にドーパント層を形成するドーパント層形成ステップ、及び前記ドーパント層上にサーモクロミック物質を蒸着し、前記ドーパント層をなすドーパントを拡散させるサーモクロミック薄膜形成ステップを含むことを特徴とする、ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法を提供する。
【0021】
また、本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法は、サーモクロミック薄膜形成ステップの後に、ポストアニール(post−annealing)を施すステップをさらに含んでいてよい。
【0022】
また、前記ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法は、前記ドーパント層形成ステップの前に、前記基板上に遮断膜を形成するステップをさらに含み、前記ドーパント層は前記遮断膜上に形成されていてよい。
【0023】
前記ドーパント層の厚さは、5nm以下であることが好ましく、より好ましくは、前記サーモクロミック物質は二酸化バナジウム(VO)であり、前記サーモクロミック薄膜の厚さは少なくとも50nmであってよい。
【0024】
さらには、前記サーモクロミック薄膜形成ステップは、スパッタリング(sputtering)蒸着法にて行ってよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、サーモクロミック薄膜にドープされたドーパントがサーモクロミック薄膜の表面と裏面のいずれか一方の面から深さ方向に濃度勾配を有し且つ所定の領域のみにドープされることにより、ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウは、低い相転移温度を有しつつも、高い可視光透過率及び相転移変換効率を有することができる。
【0026】
また、遮断膜にドーパントがドープされることにより、遮断膜の屈折率を上げて可視光透過率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ガラス基板の片面にVOからなるサーモクロミック薄膜をコートしたサーモクロミック・ウィンドウの相転移温度の前後における太陽光の透過率の変化を示すグラフである。
図2】本発明の一実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウを概略的に示す断面図である。
図3】本発明の他の実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウを概略的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウ及びその製造方法について詳述する。
【0029】
なお、本発明を説明するにあたって、関連公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断された場合、その詳細な説明は省略することにする。
【0030】
図2は、本発明の一実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウを概略的に示す断面図である。
【0031】
図2を参照すると、本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウは、基板100、及びドーパントがドープされたサーモクロミック物質からなるサーモクロミック薄膜200を含んでなり、ドーパントの濃度は、サーモクロミック薄膜の表面と裏面のいずれか一方の面から深さ方向に行くにつれて低くなるように形成される。
【0032】
このように、サーモクロミック薄膜にドープされたドーパントがサーモクロミック薄膜の全体にわたって均一に分散してドープされず、サーモクロミック薄膜の表面から深さ方向に濃度勾配を有し且つ所定の領域のみにドープされることにより、本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウは低い相転移温度を有しつつも、高い可視光透過率及び相転移変換効率を有することができる。
【0033】
基板100は、サーモクロミック薄膜200の支持基材であって、好ましくは、ソーダライム(soda−lime)系の建築用ガラスが使用されていてよい。
【0034】
サーモクロミック薄膜200は、基板100上に形成され、ドーパントがドープされたサーモクロミック物質からなり、ドーパントの濃度は、図2において黒色のグラデーション(gradation)で示すように、サーモクロミック薄膜の表面と裏面のいずれか一方の面から深さ方向に行くにつれて低くなるように形成される。
【0035】
サーモクロミック物質は、特定の温度(相転移温度)で相転移するサーモクロミック現象によって結晶構造が変わることで物理的性質(電気伝導度、赤外線透過率など)が急変する物質であって、相転移を前後にして太陽光、特に、赤外線の遮断または反射率が変化する特性を持つ。このようなサーモクロミック物質は、二酸化バナジウム(VO)、酸化チタン(III)(Ti)、酸化ニオブ(NbO)、及び硫化ニッケル(NiS)のいずれか一種からなるものであってよい。
【0036】
サーモクロミック物質にドープされたドーパントは、サーモクロミック薄膜200の相転移温度を下げる。
【0037】
ドーパントのドーピング比(doping ration)が高いほどサーモクロミック薄膜200の相転移温度は低くなり、ドープされるドーパントは、Mo、W、Cr、Ni、またはZrのいずれか一種であってよい。
【0038】
また、本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウは、図3に示すように、基板100とサーモクロミック薄膜200との間に形成される遮断膜300をさらに含んでいてよい。
【0039】
一般に、サーモクロミック物質を蒸着してサーモクロミック薄膜を形成する工程は、高温で行われ、このとき、基板上にサーモクロミック物質を直接コートすると、基板中のイオンがコートされるサーモクロミック物質へ拡散していき、サーモクロミック物質がサーモクロミック特性を失うようになる。
【0040】
そこで、本発明は、基板100とサーモクロミック薄膜200との間に遮断膜300を形成し、遮断膜300が、基板100中のイオンがサーモクロミック薄膜200へ拡散していくことを防止する拡散バリア(diffusion barrier)の役割を果たすことができる。特に、基板100がソーダダイム系のガラス基板である場合、遮断膜300は、ガラス基板中のナトリウム(Na)イオンがサーモクロミック薄膜200へとナトリウム拡散(sodium diffusion)することを防止することができる。
【0041】
ここで、遮断膜300は、酸化物または窒化物薄膜からなるものであってよく、より好ましくは、SiO、Al、Nb、TiO、またはSiのいずれか一種の物質からなるものであってよい。
【0042】
また、遮断膜300には、屈折率を上げて可視光透過率を改善するためにドーパントをドープしていてよく、ドープされるドーパントは、Mo、W、Cr、Ni、またはZrのいずれか一種であってよい。
【0043】
以下、本発明の一実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法を説明する。
【0044】
図4は、本発明の一実施例に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【0045】
図4を参照すると、本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウを製造するために、まず、基板上にドーパント層を形成する(S100)。
【0046】
基板上に形成されるドーパント層は、Mo、W、Cr、Ni、またはZrのいずれか一種からなるものであってよい。
【0047】
ドーパント層は、5nmの厚さを有していてよく、好ましくは、1〜2nmの厚さを有していてよい。このように超薄膜形態でドーパント層を形成することにより、後述するサーモクロミック薄膜形成中にドーパント層をなすドーパントの全てが、サーモクロミック薄膜へ拡散していってドープされる。
【0048】
なお、このようなドーパント層の厚さは、サーモクロミック薄膜の厚さに応じて変わり得る。
【0049】
次いで、ドーパント層上にサーモクロミック物質を蒸着してサーモクロミック薄膜を形成する(S200)。
【0050】
サーモクロミック物質の蒸着は高温工程で行われるので、サーモクロミック物質の蒸着過程でドーパント層をなすドーパントは拡散していき、拡散していったドーパントは蒸着されるサーモクロミック薄膜にドープされる。これにより、サーモクロミック薄膜の表面から深さ方向にいくにつれて低くなる濃度勾配を持つドーパントがドープされたサーモクロミック薄膜が形成される。
【0051】
一例として、基板上に1〜2nmの厚さで形成されたドーパント層上にスパッタリング蒸着法にて二酸化バナジウム(VO)を50nm蒸着する場合、ドーパント層をなすドーパントは、400〜500℃の温度で行われる二酸化バナジウム(VO)蒸着工程の際に全て拡散していき、二酸化バナジウム(VO)薄膜としてドープされる。
【0052】
このように、拡散工程によってサーモクロミック薄膜の表面から所定の深さまでにドーパントがドープされることにより、ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの可視光透過率及び相転移変化効率を改善することができる。
【0053】
また、ドーパント層の厚さ及び蒸着工程を制御してサーモクロミック薄膜にドーパントがドープされる深さを調節することで可視光透過率を容易に制御することができ、ドーパント層の厚さを調節することでドープされるドーパントの量を容易に制御することができる。
【0054】
本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法は、サーモクロミック薄膜形成ステップ(S200)の後に、ポストアニール(post−annealing)を施すステップをさらに含んでいてよい。
【0055】
すなわち、サーモクロミック薄膜形成ステップ(S200)において、ドーパント層をなすドーパントの全てがサーモクロミック薄膜へと拡散していかずにドーパント層が残存する場合、これをサーモクロミック薄膜へと全て拡散させるために基板/ドーパント層/サーモクロミック薄膜からなる積層体を熱処理するポストアニールステップをさらに有していてよい。
【0056】
また、本発明に係るドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの製造方法は、ドーパント層形成ステップ(S100)の前に、基板上に遮断膜を形成するステップをさらに含んでいてよい。
【0057】
すなわち、基板とドーパント層との間に基板中のイオンがサーモクロミック薄膜へ拡散していくことを防止する拡散バリアの役割をする遮断膜を形成するステップを更に含んでいてよい。これは、サーモクロミック薄膜形成ステップ(S200)において、ドーパント層のドーパントとともに基板中のイオンがサーモクロミック薄膜へ拡散していくことを防止するためである。
【0058】
また、このように形成された遮断膜にサーモクロミック薄膜形成ステップ(S200)において拡散していくドーパントがドープされることで遮断膜の屈折率が上がり、ドーパントがドープされたサーモクロミック・ウィンドウの可視光透過率を向上させることができる。
【0059】
以上、本発明を限定された実施例や図面に基づいて説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者ならば、このような記載から種々の修正及び変形が可能である。
【0060】
よって、本発明の範囲は説明された実施例に局限されて決められてはならず、特許請求の範囲だけでなく、特許請求の範囲と均等なものなどによって決められるべきである。
【符号の説明】
【0061】
100 基板
200 ドーパントがドープされたサーモクロミック薄膜
300 遮断膜
図1
図2
図3
図4