(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記復路情報推定手段は、復路情報を生成するための探索条件を設定し、この探索条件に基づいて経路探索を行って前記復路を推定する、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るサーバ2の概略構成を示すブロック図である。サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える情報処理装置である。
【0013】
通信部21は、ユーザが使用する端末装置(不図示)など、外部の装置とネットワークを介して通信を行うインターフェースである。
【0014】
記憶部22は例えばハードディスク等の固定型データストレージであり、経路情報データベース221、イベント情報データベース222、経路ネットワーク情報データベース2231、地図情報データベース2232、POI情報データベース2233、ユーザ情報データベース224および復路情報データベース225を格納する。
【0015】
経路情報データベース221は制御部23により生成される経路情報を蓄積したデータベースである。経路情報データベース221のデータ構造の例は
図4および
図5を用いて後述する。
【0016】
イベント情報データベース222はイベントに関する情報を蓄積したデータベースである。イベント情報データベース222のデータ構造の一例を
図2に示している。図示のように、イベント情報データベース222は、イベントIDをインデックスとして、インベントが開催されるイベント会場と、イベント内容と、イベントの開始日時および終了日時とが関連付けられている。開始日時はイベントそのものの開始日時でもよいしイベント会場の開場日時であってもよい。終了日時はコンサートのようにある程度確定している情報であるのが望ましい。スポーツのように終了日時が確定できない場合は、平均的な試合時間や試合内容(対戦チームや出場予定選手など)などから推定される日時でもよいし、終了日時の情報が含まれなくてもよい。また、展示会など、イベントが開始日時から終了日時まで複数日におよぶこともあってもよい。
【0017】
図1に戻り、経路ネットワーク情報データベース2231は、経路ネットワーク情報として、例えば交通ネットワーク情報を含んでおり、経路探索に用いられる。
【0018】
交通ネットワーク情報は鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0019】
地図情報データベース2232は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図データは道路を表した地図である。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。地図情報データベース2232は地図を描画するために用いられる。
【0020】
POI情報データベース2233はPOI(Point Of Interest)の位置情報などを含む。ここで、POIの位置(座標)情報は、POIの位置座標、POIの電話番号、POIの住所、ならびに、POIの存在する地点の立地(都市部、郊外、港湾部、および、駅周辺等)および用途制限等を含んでいる。また、POI情報は、POIの名称、種別(カテゴリ)、URL、営業時間、取扱商品、平均価格(例えば、平均使用料金など)、評判、ランキング、立ち寄りやすさ、レコメンドスコア、写真データ、クーポン情報、口コミ(例えば、口コミ評価およびユーザコメントなど)、使用条件、使用可能性、施設規模、POI ID、当該POI情報へのアクセス回数またはアクセス頻度等の参照率、および、当該POI情報の更新日時等の情報を含んでいる。POI情報は地点検索やPOIの詳細情報を参照するために用いられる。
【0021】
ここで、POIとは、便利な場所や興味のある場所などとして人が知覚する特定の地点および施設などであって、店舗(例えば、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、飲食店等)、会社、事務所、公共施設(例えば、官庁、学校、駅)、娯楽施設(例えば、映画館、劇場、遊園地等)、および、屋外施設(例えば、公園、バスターミナル、屋外駐車場等)等である。また、POIは、一時的に行われるイベント(例えば、祭り、コンサート、フリーマーケット、スポーツの試合等)のに関する情報であってもよい。
【0022】
ユーザ情報データベース224は各端末装置のユーザ情報を蓄積したデータベースである。ユーザ情報データベース224のデータ構造の一例を
図3に示している。図示のように、ユーザIDをインデックスとして、自宅、自宅の最寄駅、勤務(通学)地、勤務(通勤)地の最寄駅、通勤(通学)経路、お気に入り地点、お気に入り探索条件、イベント後の行動パターン(イベント後に特定の地点に立ち寄る傾向があるか否かなど)などが関連付けられている。お気に入り探索条件は、通常時の探索条件(例えば時間を優先するか、料金を優先するか)と、イベント復路用の探索条件(例えば混雑しない経路を優先する)とを別個に設定されていてもよい。
【0023】
これらのユーザ情報は、ユーザ自ら予め登録しておいてもよいし、ユーザの行動履歴や検索履歴などからサーバ2が自動で取得してもよい。
【0024】
図1に戻り、復路情報データベース225は復路情報を蓄積したものである。復路情報とは、経路情報データベース221に蓄積された経路情報のそれぞれに対応する復路を示す情報であり、制御部23により生成される。復路情報データベース225のデータ構造の例は、
図6を用いて後述する。
【0025】
なお記憶部22を必ずしもサーバ2内に設けなくてもよい。すなわち、各データベースの少なくとも一部をネットワークを介して接続される別個の装置内に記憶してもよい。
【0026】
続いて、制御部23について説明する。制御部23は、探索要求取得部231と、経路探索部232と、往路判定部233と、復路情報推定部234と、分析対象設定部235と、移動需要分析部236とを有する。これらの各部の機能は、サーバ2内のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0027】
探索要求取得部231はネットワークおよび通信部21を介して端末装置から探索要求を取得する。探索要求には探索条件が含まれる。探索条件は、少なくとも出発地および目的地を含んでおり、1または複数の経由地を含んでいてもよい。また、探索条件は出発希望日時または到着希望日時を含んでいる。さらに、探索条件は、有料道路を使用するか否か、特急列車を使用するか否か、などの条件を含んでいてもよい。
【0028】
経路探索部232は、探索条件に基づき、経路ネットワーク情報データベース2231を参照して経路探索を行う。これにより、出発地から目的地までの経路を示す経路情報が生成される。経路情報は1または複数の交通手段の組み合わせにより構成される。探索要求が出発希望日時を含んでいた場合、経路情報には到着予定日時が含まれる。一方、探索要求が到着希望日時を含んでいた場合、経路情報には出発予定日時が含まれる。
【0029】
往路判定部233は生成された経路情報が示す経路が往路であるか否かを判定する。
【0030】
一例として、往路判定部233はイベント情報データベース222を参照して判定を行ってもよい。より具体的には、経路情報における目的地がイベント情報データベース222に登録されたイベント会場である場合に、往路判定部233は当該経路が往路であると判定してもよい。より正確に判定するために、経路情報における目的地がイベント会場であり、かつ、到着希望(予定)日時がイベントの開始日時に近い場合に、往路判定部233は往路であると判定してもよい。また、目的地がイベント会場近辺のホテルなどである場合に、往路判定部233は当該経路が往路であると判定してもよい。
【0031】
また、目的地に対応するPOIが、POI情報においてイベント会場にカテゴライズされている場合、イベント情報データベース222を参照しなくても、往路判定部233は当該経路が往路であると判定することができる。
【0032】
別の例として、往路判定部233はユーザ情報データベース224を参照して判定を行ってもよい。より具体的には、経路情報における出発地がユーザの自宅や勤務地(あるいはそれらの最寄駅)などである場合、往路判定部233は当該経路が往路であると判定してもよい。逆に、目的地がユーザの自宅や勤務地である場合は、往路判定部233は当該経路が往路ではないと判定してもよい。あるいは、経路情報における目的地がユーザの勤務地である場合に、往路判定部233は当該経路が往路であると判定してもよい。
【0033】
また、往路判定部233はイベント情報データベース222およびユーザ情報データベース224の両方を参照して判定を行ってもよい。例えば、経路情報における出発地がユーザの自宅や勤務地であり、かつ、目的地がイベント会場である場合に、往路判定部233は当該経路が往路であると判定してもよい。これにより判定の精度を向上できる。
【0034】
あるいは、往路判定部233は、探索により得られた経路ではなく、探索条件のみに基づいて簡易に往路判定を行ってもよい。
【0035】
以上、探索要求取得部231、経路探索部232および往路判定部233の処理を経て、経路情報データベース221が生成される。
【0036】
図4は、経路情報データベース221のデータ構造の一例を示す図である。この経路情報データベース221では、経路情報IDをインデックスとして、端末ID、探索実行日時、地点情報、時刻情報および往路フラグが関連付けられている。
【0037】
端末IDは経路探索要求を行った端末装置を特定するものである。なお、端末装置を特定するIDに代えて、経路探索要求を行ったユーザを特定するユーザIDであってもよい。探索実行日時は、探索要求に応じて経路探索部232が経路探索を行った日時である。
【0038】
地点情報は、経路情報における出発地および目的地を少なくとも含んでおり、さらに1または複数の経由地を含んでいてもよい。各地点情報の表現法は任意であり、駅名、施設名、住所、緯度および経度などにより表されることができる。また、ユーザ情報と紐づけて、ユーザの自宅や勤務先などで地点情報を表現してもよい。
【0039】
時刻情報は、出発予定日時および到着希望日時の組、または、出発希望日時および到着予定日時の組を含んでいる。すなわち、出発希望日時が探索条件として設定された経路情報の場合には前者の組が含まれ、到着希望日時が探索条件として設定された経路情報の場合には後者の組が含まれる。また、時刻情報は経由予定日時を含んでいてもよい(不図示)。
【0040】
また、
図4の経路情報データベース221の特徴として、各経路情報が往路であるか否かを示す往路フラグが含まれる。往路フラグは往路判定部233による判定結果に基づくものである。
【0041】
図5は、経路情報データベース221のデータ構造の別の例を示す図である。この経路情報データベース221では、往路判定部233により往路であると判定された経路情報のみが蓄積される。よって、
図5の経路情報データベース221は往路フラグを含んでいなくてもよい。
【0042】
いずれにしても、経路情報データベース221には往路である経路を示す経路情報が蓄積される。なお、以上はサーバ2自身が経路探索を行って経路情報データベース221を生成する例であるが、予め経路情報データベース221が生成されてサーバ2の外部に蓄積されていてもよい。後者の場合、以降の復路情報推定部234などは、外部に蓄積された経路情報データベース221を参照して処理を行えばよい。
【0043】
図1に戻り、復路情報推定部234は、経路情報データベース221に蓄積された往路である経路のそれぞれについて、その復路を示す復路情報を生成する。一例として、復路情報推定部234は、復路情報推定用の探索条件を設定し、経路ネットワーク情報データベース2231を参照して経路探索を行うことにより、復路情報を生成する。復路情報用の探索条件は、単純には、往路である経路の出発地および目的地を入れ替えたものとすることができる。また、出発時刻をイベントの終了時刻とすることができる。
【0044】
しかしながら、復路情報推定部234は、以下のように探索条件における出発地や目的地を補正してもよいし、適宜経由地を追加してもよい。また、復路情報推定部234は探索条件における日時情報を補正してもよい。
【0045】
例えば、復路情報推定部234は、ユーザ情報データベース224を参照し、復路情報推定用の探索条件の少なくとも一部を設定してもよい。具体例として、往路の出発地がユーザの勤務先であっても、ユーザの自宅を復路の目的地に設定してもよい。また、往路の目的地がユーザの勤務地である場合、当該勤務地を復路の出発地に設定し、ユーザの自宅を復路の目的地に設定するとともに、勤務終了時刻に基づいて出発時刻を設定してもよい。勤務終了時刻は、予めユーザ情報データベース224に登録されていてもよいし、ユーザの行動パターンから推定してもよい。
【0046】
あるいは、イベント後行動パターンに応じて、特定の場所(お気に入りの居酒屋など)が登録されている場合、経由地としてその特定の場所を設定してもよい。あるいは、特定の場所でなくても、立ち寄る場所に何らかの傾向(チェーン店の喫茶店、観光地など)がある場合、そのような場所を検索して経由地に設定してもよい。また、ユーザ情報データベース224がイベント復路用のお気に入り探索条件を含んでいる場合、この探索条件を考慮してもよい。
【0047】
また、復路情報推定部234は、イベント情報データベース222を参照し、復路情報推定用の探索条件の少なくとも一部を設定してもよい。具体例として、イベントの終了時間や、イベント会場が閉じる時刻に応じて、出発日時を設定してもよい。イベント情報データベース222にイベントの終了日時についての情報がない場合、イベント内容から推定して出発日時を設定してもよい。例えば、花見やショッピングの場合は平均的な滞在時間と、往路の到着時刻とから、復路の出発日時を設定してもよい。
【0048】
さらに、イベント会場の近辺に店や観光地などの立ち寄り地点がある場合、一部のユーザが立ち寄り地点に立ち寄るとして、復路情報推定用の探索条件を設定してもよい。例えば、インベント会場であるT野球場の近辺に、大型店舗A、小型店舗B、観光地Cがある場合、任意の1%のユーザについては店舗Aを経由地とし、任意の0.1%のユーザについては店舗Bを経由地とし、任意の0.5%のユーザについては観光地Cを経由地としてもよい。
【0049】
その他、一部のユーザは混雑を避ける経路を選択することも考えられるため、例えば任意の7%のユーザについては混雑を避ける経路を優先する探索条件とし、他のユーザについては短時間で移動できる経路を優先する探索条件としてもよい。
【0050】
もちろん、復路情報推定部234は、イベント情報データベース222およびユーザ情報データベース224の両方を参照して、復路情報推定用の探索条件の少なくとも一部を設定してもよい。例えば、イベントの終了時間に出発したのでは、ユーザの自宅まで終電に間に合わないこともあり得る。そのような場合には、イベント会場からユーザの自宅まで終電で移動することを探索条件として設定してもよい。
【0051】
その他、復路情報推定部234は気象情報を考慮して復路情報推定用の探索条件を設定してもよい。例えば、雨の予報である場合には、どこも経由せずにイベント会場から自宅へ移動する探索条件としてもよい。また、復路情報推定部234はイベントの結果を考慮して復路情報推定用の探索条件を設定してもよい。例えば、イベントが日本チームと外国チームとのスポーツの試合であって、日本チームが勝った場合には上記のように経由地を設定し、日本チームが負けた場合にはどこも経由せずにイベント会場から自宅へ移動する探索条件としてもよい。
【0052】
図4および
図5を用いてより具体的な例を示す。経路情報IDが002である経路情報では、目的地がT野球場であり、到着希望日時が2013年1月12日12時である。
図2を参照すると、同日の12時30分からT野球場で野球の試合が開催される。そこで、復路情報推定部234は、出発地をT野球場、目的地をH駅(経路情報IDが002である経路情報における出発地)、出発時刻を16時(野球の平均試合時間が3時間強であるため)として経路探索を行い、復路情報を生成する。
【0053】
生成された復路情報は復路情報データベース225に蓄積される。復路情報データベース225のデータ構造の一例を
図6に示す。復路情報データベース225では、復路情報IDをインデックスとして、対応する経路情報IDと、地点情報と、時刻情報とが関連付けられている。
【0054】
対応する経路情報IDとは、
図4または
図5などの経路情報データベース221におけるどの経路情報に対する復路情報であるかを示している。例えば、
図6における復路情報IDが301である復路情報は、
図4または
図5における経路情報IDが002である経路情報を往路とする復路である。地点情報および時刻情報は、経路情報データベース221におけるものと同様である。
【0055】
また、復路情報推定部234は、1つの往路に対して、複数の復路を推定してもよい。この場合、復路情報推定部234は複数の復路のそれぞれに重み係数を設定する。重み係数の和が1になるようにする。復路の候補が複数あり、いずれか1つに特定できない場合に特に有効な手法である。なお、重み係数は、復路の数で等分してもよいし、ランダムに割り振ってもよいし、実際に使用される可能性が高い復路(移動に要する時間が短い経路や、料金が安い経路など)ほど重み係数を大きくしてもよい。
【0056】
図7は、復路情報データベース225のデータ構造の別の例を示す図であり、復路情報推定部234が1つの復路に対して1または複数の復路を推定する場合のものである。経路情報IDが005である経路情報に対して、4つの復路、すなわち、復路情報IDが3031〜3034の復路が推定されている。そして、重み係数は、順に、0.5,0.3,0.1,0.1に設定されている。この重み係数を考慮して、後の移動需要分析が行われる。なお、1つの往路から1つのみの復路が推定された場合、その重み係数は1とする。
【0057】
図1に戻り、分析対象設定部235は、移動需要分析部236によって行われる移動需要分析の対象となる分析対象を設定する。分析対象には場所と日時が含まれる。分析対象は、例えば「2013年1月12日15時〜18時のT野球場」などと設定される。
【0058】
分析対象の場所とは、特定の地点、エリア、区間などである。ここで地点は、出発地・経由地・目的地などの停留地点であり、駅名、POIの名称、緯度・経度・高度、住所、および電話番号等の情報で表されてもよい。エリアは、「A駅周辺」、「B市」、「C地方」などで表されてもよい。また、区間は、路線や道路などである。
【0059】
分析対象の日時とは、日付や時刻、期間等の情報で表されてもよい。そのほか、時間帯や曜日、移動体種別、利用者属性などのあらゆる情報を分析対象として、その一または複数を組み合わせて分析対象としてもよい。
【0060】
分析対象は予め定められたものでもよい。また、分析対象は、ユーザにより設定された分析対象を端末装置から、分析対象設定部235が受け付けたものであってもよい。あるいは、分析対象は、サーバ2の外部から、分析対象設定部235が取得したものであってもよい。
【0061】
移動需要分析部236は、復路情報データベース225に蓄積された復路情報に基づいて、分析対象の移動需要を分析し、移動需要情報を生成する。移動需要情報とは、分析対象の混雑度や利用人数などに関する情報である。以下、移動需要情報の生成について、より具体的に説明する。
【0062】
まず移動需要分析部236は設定された分析対象に関連する復路情報を復路情報データベース225から抽出する。
【0063】
例えば分析対象が「2013年1月12日15時〜18時のT野球場」であったとする。この場合、移動需要分析部236は、上記「2013年1月12日15時〜18時」の範囲内に「T野球場」(およびその最寄駅)を出発する、経由する、または、到着する復路情報を抽出する。
図6の例では、復路情報IDが301の復路情報が抽出される。なお、日時の範囲には設定された日時に所定のマージンを加えたものであってもよい。さらに分析対象の日時と、他の日時との比較を行うために、移動需要分析部236は、分析対象の日時の範囲外に「T野球場」を出発などする復路情報を抽出してもよい。
【0064】
続いて、移動需要分析部236は抽出された経路情報に対して統計処理などを行って、移動需要情報を生成する。
【0065】
具体的な処理の例としては、移動需要分析部236は抽出された復路情報の数に基づいて混雑度を算出してもよい。さらに、移動需要分析部236は、抽出された復路情報の数を、予め保持している通常時(イベントが開催されない時)の数と比較してもよい。あるいは、移動需要分析部236は、抽出された復路情報の数を、分析対象のキャパシティなどの情報と比較してもよい。得られる移動需要は、数値で表されてもよいし、数値に基づく評価(例えば、混雑度:高、混雑度:中)で表されてもよい。
【0066】
図7に示すように、各往路に重み係数が設定されている場合、重み係数を考慮して復路情報の数をカウントしてもよい。
図7の例において、「T野球場」を含む復路の数は1.5となる。
【0067】
このような移動需要分析の結果、復路情報の少なくとも一部(すなわち抽出された復路情報)に含まれる分析対象場所における、分析対象日時の移動需要が予測される。
【0068】
図8は、
図1のサーバ2の処理動作の一例を示すフローチャートである。探索要求取得部231が端末装置から探索要求を受信すると(ステップS1)、経路探索部232は探索条件に基づいて経路探索を行う(ステップS2)。そして、往路判定部233は、必要に応じて、イベント情報データベース222やユーザ情報データベース224を参照し、生成された経路情報が往路であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0069】
以上の処理の結果が、経路情報データベース221に記録される(ステップS4)。このとき、
図4に示すように、往路か否かの判定結果を示すフラグとともに経路情報が記録されてもよいし、
図5に示すように、往路と判定された経路情報のみが記録されてもよい。
【0070】
続いて、復路情報推定部234は、往路である経路情報から復路を推定し、復路情報を生成する(ステップS5)。復路情報は復路情報データベース225に記録される(ステップS6)。
【0071】
サーバ2は、移動需要分析を開始するまで、以上の処理を行う(ステップS7のNO)。なお、復路情報推定部234は、1つの経路情報が生成される度に、対応する復路情報を生成してもよい。また、定期的に、あるいは、経路情報が一定数集まった段階で、復路情報推定部234が復路情報を生成してもよい。もしくは、移動需要分析を開始する時点で、復路情報推定部234が復路情報を生成してもよい。
【0072】
続いて、サーバ2は移動需要分析を開始する(ステップS7のYES)。そのタイミングは任意であり、定期的に移動需要分析を行ってもよいし、外部からの要求に応じて移動需要分析をおこなってもよい。
【0073】
移動需要分析を行うために、まず分析対象設定部235は分析対象を設定する(ステップS8)。次いで、移動需要分析部236は、設定された分析対象に関連する復路情報を、復路情報データベース225から取得する(ステップS9)。そして、移動需要分析部236は、取得された復路情報に基づいて移動需要分析を行い、移動需要情報を生成する(ステップS10)。
【0074】
このように、第1の実施形態では、往路である経路情報から復路情報を推定し、推定された復路情報を用いて移動需要情報を生成する。そのため、復路についての経路探索要求がない場合であっても、復路についての移動需要情報を生成できる。
【0075】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、往路である経路情報から推定された復路情報を用いて、移動需要分析を行うものであった。これに対し、以下に説明する第2の実施形態では、復路の経路が実際に探索された場合には、推定された復路情報に代えて、経路探索によって生成された復路情報を用いるものである。
【0076】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るサーバ2aの概略構成を示すブロック図である。
図9では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0077】
図9のサーバ2aの制御部23aは、復路判定部237をさらに有する。復路判定部237は、探索要求取得部231が取得した探索要求に基づいて生成された経路情報が、経路情報データベース221に既に記録された往路である経路情報についての復路であるか否かを判定する。例えば以下のようにして、復路判定部237は判定する。
【0078】
探索要求には、この探索要求を行った端末装置を特定する端末IDを含めておく。そして、復路判定部237は、取得された探索要求に含まれる端末IDが、経路情報データベース221に存在するか否かを確認する。存在し、かつ、経路情報データベース221における該当する経路情報の目的地が、新たに取得された探索要求における探索条件の出発地と一致している場合に、復路判定部237は復路であると判定することができる。
【0079】
復路と判定された場合、復路判定部237は、当該探索要求に応じて経路探索部232により生成された経路情報を、復路情報として、復路情報データベース225に記録する。既に復路情報推定部234により復路情報が推定されて復路情報データベース225に記録されていることもある。この場合、復路判定部237は、既に記録されている推定された復路情報を、実際に経路探索によって生成された新たな復路情報に置換する。
【0080】
図10は、
図9のサーバ2aの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図8と共通する処理動作は簡略化して描いている。
【0081】
図8と同様に、探索要求が受信され(ステップS1)、経路探索が行われる(ステップS2)。そして、生成された経路情報について、往路判定部233が往路であるか否かを判定するとともに、復路判定部237が復路であるか否かを判定する(ステップS3’)。
【0082】
復路でないと判定された場合、以降の処理は
図8と同様である。復路であると判定された場合、復路判定部237は生成された経路情報を、復路情報として復路情報データベース225に記録(あるいは置換)する(ステップS6)。以降の処理は、
図8と同様である。
【0083】
結果として、復路の経路探索が行われた往路については、推定された復路情報ではなく、実際の経路探索により得られた復路情報が移動需要分析に用いられる。一方、復路の経路探索が行われなかった往路については、推定された復路情報が用いられる。すなわち、移動需要分析部236が移動需要分析に用いる復路情報には、推定された復路情報と、実際の復路情報とが混在することもあり得る。
【0084】
このように、第2の実施形態では、復路の経路探索が行われた復路については、実際の経路探索により得られた復路情報を用いるため、より高精度に移動需要分析を行うことができる。
【0085】
なお、経路探索により生成され、復路であると判定された復路情報と、復路情報推定部234により推定された復路情報との差分に基づいて、復路情報推定部234によるその後の復路推定アルゴリズムをブラッシュアップしてもよい。これにより、復路情報の精度を向上できる。
【0086】
例えば、
図3において、ユーザU001のイベント後の行動パターンは「直帰」となっている。しかしながら、実際に経路探索により得られた復路情報では、経由地「G1店」が含まれていたとする。この場合、復路判定部237は、ユーザU001のイベント後行動パターンを「直帰」から「G1店」に更新する。これにより、復路情報推定部234は、この情報を考慮して、次回以降の復路情報推定用の探索条件を設定することになる。
【0087】
あるいは、上述したように、当初は7%のユーザについては復路として混雑を避ける経路を優先する探索条件とし、他のユーザについては短時間で移動できる経路を優先する探索条件としていたとする。ところが、実際の混雑を避ける経路を優先する探索条件としたユーザは3%であった場合、以降は3%のユーザについて混雑を避ける経路を優先する探索条件としてもよい。
【0088】
(第3の実施形態)
以下に説明する第3の実施形態は、生成された移動需要情報を端末装置に送信するものである。
【0089】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。情報処理システムは、端末装置1と、サーバ2bとを備えている。なお、
図11では簡略化のために1台のみの端末装置1を描いているが、実際には複数の端末装置1がある。
図11では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0090】
端末装置1はユーザが使用するものであり、携帯電話、スマートフォンもしくはタブレット端末装置等のモバイル電子機器などであってもよいし、パーソナルコンピュータやカーナビゲーション装置等の据え置き型電子機器であってもよい。端末装置1はネットワーク3を介してサーバ2bと通信するが、ネットワーク3は有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0091】
端末装置1は、通信部11と、操作入力部12と、出力部13と、制御部14とを有する。
【0092】
通信部11はネットワーク3を介して制御部14とサーバ2との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0093】
操作入力部12はユーザが端末装置1に操作を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル電子機器におけるタッチパネルやマイク等や、据え置き型電子機器におけるキーボード、タッチパッドもしくはダイヤルボタン等である。操作入力部12を用いて、ユーザは探索条件を設定したり、探索要求をサーバ2bに送信したりする。
【0094】
出力部13は端末装置1から各種情報を出力するインターフェースであり、例えば映像を表示する液晶ディスプレイである。具体的には、出力部は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、移動需要情報などを表示する。あるいは、出力部13は移動需要情報などを音声で出力するスピーカであってもよい。
【0095】
また、出力部13は情報などをユーザへ直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部13は、外部に接続される表示手段および/または音声再生手段に映像信号および/または音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、端末装置1内あるいは外部の記憶装置へ出力して記憶させるものでもよい。
【0096】
制御部14は、情報送信部141と、情報受信部142とを有する。情報送信部141は、探索要求などの情報を、通信部11からネットワーク3を介してサーバ2bへ送信する。情報受信部142は、移動需要情報などの情報を、ネットワーク3および通信部11を介してサーバ2bから受信する。
【0097】
また、本実施形態におけるサーバ2bの制御部23bは、送信先決定部238と、情報送信部239とをさらに有する。送信先決定部238は、移動需要分析部236により生成された移動需要情報を、どの端末装置1に送信するかを決定する。より具体的には、移動需要分析部236は、生成された移動需要情報と関連する端末装置1を、送信先の端末装置1として決定する。情報送信部239は、決定された端末装置1に、移動需要情報を送信する。
【0098】
なお、端末装置1は個人ユーザが使用するものであってもよいし、店舗や鉄道事業者などの法人ユーザが使用するものであってもよい。後者の場合、一例として端末装置1は店舗に配置され、移動需要に基づいて商品の仕入れ量やスタッフ数を調整するために利用され得る。このような端末装置1の場合、単に移動需要を受信できればよいため、情報送信部141を省略してもよい。あるいは、情報送信部141を設け、当該店舗の近辺を分析対象とする移動需要情報の生成および配信をサーバ2bに要求してもよい。
【0099】
図12は、
図11の情報処理装置システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図8と共通する部分は簡略化している。移動需要分析部236が移動需要分析を行って移動需要情報を生成すると(ステップS10)、送信先決定部238は移動需要情報の送信先を決定する(ステップS21)。
【0100】
例えば、送信先決定部238は、経路情報データベース221における端末IDに基づいて、移動需要分析に用いられた復路情報に対応する往路の探索要求を行った端末装置1を、送信先としてもよい。
【0101】
また、送信先決定部238は、ユーザ情報データベース224に基づいて、移動需要分析の分析対象を頻繁に利用しているユーザの端末装置1を、送信先としてもよい。
【0102】
あるいは、送信先決定部238は、分析対象の近くに自宅や勤務先があるユーザの端末装置1を、送信先としてもよい。また、送信先決定部238は、分析対象の近辺にある店舗などの端末装置1を、送信先としてもよい。さらに、送信先決定部238は、移動需要が増加する区間の少なくとも一部と、通勤経路(例えば、ユーザ情報データベース224に定期区間として登録されている)の少なくとも一部が重なるユーザの端末装置1を、送信先としてもよい。
【0103】
なお、送信先決定部238は、分析対象の移動需要が通常時と比較してそれほど高くない場合、どの端末装置1にも移動需要情報を送信しないことにしてもよい。また、送信先決定部238は、車両に座れない程度に移動需要が増加した場合に限って、いずれかの端末装置1に移動需要情報を送信することにしてもよい。
【0104】
以上のようにして決定された端末装置1に、情報送信部239は移動需要情報を送信する(ステップS22)。一例として、情報送信部239は移動需要情報を含むメールを端末装置1へプッシュ配信してもよい。
【0105】
端末装置1の情報受信部142はサーバ2bから移動需要情報を受信する(ステップS31)。そして、出力部14は移動需要情報を出力する(ステップS32)。以下、出力部14がディスプレイであるとして、このディスプレイに表示される画面の例をいくつか挙げる。
【0106】
図13は、出力部14に表示される移動需要情報の一例を示す図である。
図13は個人ユーザが使用する端末装置1の出力部14に表示される移動需要情報を例示している。
【0107】
図13(a)に示すように、分析対象の移動需要が急騰している場合、その旨のメッセージを「混雑予報」として表示してもよい。より具体的には、混雑が見込まれる場所(同図では「XX線」)、時間(同図では「22:00頃」)、混雑の原因となるイベント(同図では「BD館でのコンサート」)を表示するのが望ましい。逆に、
図13(b)に示すように、イベントは開催されるがそれほど移動需要が増えない場合、その旨のメッセージを表示してもよい。
【0108】
このような移動需要情報に基づいて、ユーザは移動の経路や時間帯を検討することができる。
【0109】
図14は、出力部14に表示される移動需要情報の別の例を示す図である。
図14(a)は鉄道事業者が使用する端末装置1の出力部14に表示される移動需要情報を例示している。図示のように、どの駅のどのホームの移動需要が急騰しているかを表示することで、移動需要情報を駅員の配置などに利用することができる。
【0110】
図14(b)は駅構内の店が使用する端末装置1の出力部14に表示される移動需要情報を例示している。図示のように、移動需要が急騰していることを表示することで、移動需要情報を商品の在庫調整などに利用することができる。
【0111】
図15は、出力部14に表示される移動需要情報のまた別の例を示す図である。同図の横軸は時刻である。縦軸は、ある1つの分析対象地点または区間について、ステップS9で取得された復路情報の数である。このように、分析対象の地点または区間における時刻毎の混雑予測情報を、移動需要情報として表示してもよい。
【0112】
図16は、出力部14に表示される移動需要情報のまた別の例を示す図である。同図の横軸は時刻である。縦軸は、ある2つの分析対象地点または区間(同図の例では、T野球場とBD館)について、ステップS9で取得された復路情報の数である。このように、複数の分析対象の地点または区間における時刻毎の混雑予測情報を、移動需要情報として表示してもよい。これにより、ユーザは、どの地点あるいは区間が相対的に混雑しているかを容易に比較できる。
【0113】
図17は、出力部14に表示される移動需要情報のまた別の例を示す図である。同図の横軸は時刻である。縦軸は、ある1つの分析対象地点または区間について、ステップS9で取得された復路情報の数であり、より詳しくは、分析対象日時における復路情報の数と、平均的な復路情報の数とを示している。これにより、イベントが開催されるときと、開催されないときとで、混雑状況を容易に比較できる。
【0114】
なお、平均的な復路情報の数とは、分析対象日時以外の日時における復路情報の数の平均値である。この数は、所定期間における平均でもよいし、所定期間における分析対象日時と類似する属性(曜日、祝日、天気など)の日時における平均でもよい。
【0115】
このように、第3の実施形態では、移動需要情報を、関連するユーザの端末装置1に送信する。そのため、ユーザは自身に関する分析対象の移動需要を把握できる。
【0116】
なお、移動需要分析の分析対象を含む経路を探索したユーザの端末装置1を送信先とする場合、情報送信部239は、そのような経路探索が要求されたタイミングで、要求を行った端末装置1に移動需要情報を送信してもよい。
【0117】
また、
図11のサーバ2b内に、第2の実施形態における復路判定部237を設けて、第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせてもよい。
【0118】
上述した各実施形態では、経路情報が経路探索の結果である例を示しているが、経路探索要求に含まれる探索条件を経路情報として用いてもよい。
【0119】
なお、
図1などでは、1つのサーバ2内に記憶部22および制御部23を設ける例を示している。しかしながら、各データベースや処理部の少なくとも一部を、ネットワーク接続された他の装置内に設けてもよい。この場合、通信部21が他の装置と通信することで、
図1と同等の機能を実現できる。
図1のように1台の装置内にすべての構成を設ける場合であっても、複数の装置に分散して設ける場合であっても、「システム」と表現することができる。
【0120】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0121】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0122】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。