【実施例】
【0106】
実施例
実施例1. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(2,2,5,5-d
4-シクロペンチル)プロパンニトリル(化合物107)の合成。
スキーム3. 化合物107の調製
【化12】
【0107】
工程1. ジエチル2,2,5,5-d
4-シクロペンタン-1,1-ジカルボキシレート(32)。エタノール中のジエチルマロネート(6.57mL、43.3mmol)の溶液(40mL)に、エタノール中21wt%のナトリウムエトキシドの溶液(32.3mL、86.6mmol)、次いで1,1,4,4-テトラジュートロ(tetradeutero)-1,4-ジブロモブタン(31、5.53mL、45.5mmol、CDN同位体、98原子%(atom %)D)を添加した。得られた溶液を還流で2時間撹拌して、次いで室温に冷却し、過剰な水で希釈した。次いで、蒸留によりエタノールの大部分を除去し、得られた水溶液を酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、黄色油状物の32を得て、これを精製することなく次に持ち越した。(9.45g、100%)。
【0108】
工程2. 2,2,5,5-d
4-シクロペンタン-1-カルボン酸(33)。エタノール中の32(9.45g、43.3mmol)の溶液(20mL)に、5Mの水酸化ナトリウムの溶液(20mL)を添加した。次いで、さらなる水(15mL)を添加して、反応物を還流で3時間撹拌した。室温に冷却して、反応物を過剰な水で希釈し、大部分のエタノールを蒸留により除去した。1N HClで水溶液を酸性にし(pH<2)、次いでジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた明るいオレンジ色の固体を圧力フラスコに移し、水(140mL)を添加した。圧力フラスコを密封し、反応物を160℃で15時間撹拌し、次いで室温に冷却した。反応物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、琥珀色の油状物の33を得て(4.37g、86%)、これを精製することなく使用した。
【0109】
工程3. 2,2,5,5-d
4-N-メトキシ-N-メチルシクロペンタンカルボキサミド(34)。アセトニトリル中の33(4.37g、37.0mmol)の溶液(60mL)に、0℃でN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(4.33g、44.4mmol)、TBTU(12.5g、38.9mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(19.0mL、111mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで1N HClで希釈して、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、透明油状物の34を得た(2.22g、37%)。MS (ESI) 162.3 [(M + H)
+].
【0110】
工程4. 2,2,5,5-d
4-シクロペンタン-1-カルボキシアルデヒド(35)。THF中の34(2.22g、13.8mmol)の溶液(50mL)に、0℃で1MのTHF中LiAlH
4の溶液(24.8mL、24.8mmol)を滴下した。反応物を0℃で1時間撹拌し、次いで水(940μL)、15% NaOH(940μL)および水(2.82mL)の逐次滴下によりクエンチした。クエンチした反応物を室温で30分間撹拌し、次いでCelite(登録商標)によりろ過し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、透明油状物の35を得て(850mg、60%)、これを精製することなく使用した。
【0111】
工程5. 3-(2,2,5,5-d
4-シクロペンチル)アクリロニトリル(36)。THF中のカリウムtert-ブトキシドの1M溶液(8.74mL、8.74mmol)に、0℃でTHF中のリン酸ジエチルシアノメチル(1.48mL、9.15mmol)の溶液(12mL)を滴下した。反応物を室温に暖め、15分間撹拌し、0℃に冷却した。次いでアルデヒド35(850mg、8.32mmol)をTHF中の溶液(3mL)として滴下した。反応物を室温で48時間撹拌して、次いで過剰な水で希釈し、ジエチルエーテル(1x50mL)および酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、明るいオレンジ色の油状物の36を得て(1.17g、>100%)、これを精製することなく使用した。
【0112】
工程6. (+/-)-(4-(1-(2-シアノ-1-(2,2,5,5-d
4-シクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((+/-)38)。アセトニトリル中の37(400mg、1.34mmol、Lin, Q. et al. Org. Lett., 2009, 11, 1999-2002に記載される調製物)の溶液(10mL)に、36(418mg、3.34mmol)、次いでDBU(421μL、2.81mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで、減圧下で濃縮した。得られた粗製混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせ、1N HClで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)での精製後、逆相カラムクロマトグラフィー(C18、0.1%ギ酸を含む5〜70%アセトニトリル/水)を行い、白色泡状物の(+/-)38を得た(68mg、12%)。1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.74 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 6.24 (s, 2H), 4.54 (td, J = 9.7, 4.3 Hz, 1H), 3.30-3.15 (m, 2H), 2.39 (d, J= 9.8 Hz, 1H), 1.68 - 1.36 (m, 4H), 1.08 (s, 9H); MS (ESI) 425.3 [(M + H)
+].
【0113】
工程7. (R)-(4-(1-(2-シアノ-1-(2,2,5,5-テトラジュートロシクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((R)-38)。ラセミ化合物(+/-)38(62mg)を、30mg/mLの濃度でアセトニトリルに溶解して、均一溶媒の(isocratic)方法を使用して1回の注入当たり500μLの(+/-)38溶液で、Daicel ChiralPak ADカラム(20x250mm、10μm)上の分取HPLCによりキラル分離(chiral separation)に供した:30%イソプロパノール(+0.1%ジエチルアミン)/70%ヘキサン(+0.1%ジエチルアミン)、流速17mL/分。これらの条件下で、ベースライン分離に達し、15.0分で(S)-38が溶出し、20.2分で(R)-38が溶出した。
【0114】
それぞれのエナンチオマーを含む画分をプールして、濃縮し、無色のフィルム状物質の28mgの(S)-38および無色のフィルム状物質の29mgの(R)-38を得た。
【0115】
工程8. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(2,2,5,5-テトラジュートロシクロペンチル)プロパンニトリル(化合物107)。化合物(R)-38(28mg、0.066mmol、1等量)を、20mLのシンチレーションバイアル中でメタノール(1mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(0.13mLの1M溶液、0.13mmol、2等量)を添加して、反応物を室温で18時間撹拌した。反応物を水(10mL)およびブライン(20mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。粗製の物質を、ジクロロメタン中0〜6%のメタノールで溶出するAnalogix自動クロマトグラフィーシステムを用いて精製した。生成物画分をプールし、蒸発させ、白色泡状物の化合物107を得た。キラル純度は、>99% ee (Chiralpak OD 4.6x250mm、10um、70%(ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)+30%(イソプロパノール+0.1%ジエチルアミン)、1mL/分、254nm保持時間=8.85分)であることが見いだされた。
【0116】
実施例2. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3,3,4,4-d
4-シクロペンチル)プロパンニトリル(化合物103)の合成。
スキーム4.化合物103の調製
【化13】
【0117】
工程1. ジエチル3,3,4,4-d
4-シクロペンタン-1,1-ジカルボキシレート(40)。エタノール中のジエチルマロネート(3.25mL、21.4mmol)の溶液(20mL)に、エタノール中の21wt%のナトリウムエトキシドの溶液(16.0mL、42.8mmol)、次いで2,2,3,3-テトラジュートロ-1,4-ジブロモブタン(39、4.95g、22.5mmol、CDN同位体、98原子%D)を添加した。得られた溶液を還流で2時間撹拌し、次いで室温に冷却して過剰の水で希釈した。次いで、エタノールの大部分を蒸留により除去し、得られた水溶液を酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮し、黄色油状物の40を得て、これを精製することなく次に持ち越した。(4.67g、100%)。
【0118】
工程2. 3,3,4,4-d
4-シクロペンタン-1-カルボン酸(41)。エタノール中の40(4.67g、21.4mmol)の溶液(10mL)に、5Mの水酸化ナトリウムの溶液(10mL)を添加した。次いで、さらなる水(10mL)を添加して、反応物を還流で3時間撹拌した。室温に冷却して、反応物を過剰の水で希釈し、エタノールの大部分を蒸留により除去した。1N HClを用いて水溶液を酸性にし(pH<2)、次いでジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた明るいオレンジ色の固体を圧力フラスコに移し、水(70mL)を添加した。圧力フラスコを密封し、反応物を160℃で15時間撹拌し、次いで室温に冷却した。反応物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮して、琥珀色の油状物の41を得て(1.93g、76%)、これを精製することなく使用した。
【0119】
工程3. 3,3,4,4-d
4-N-メトキシ-N-メチルシクロペンタンカルボキサミド(42)。アセトニトリル中の41(1.93g、16.3mmol)の溶液(30mL)に、0℃でN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(1.91g、19.6mmol)、TBTU(5.50g、17.1mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.52mL、48.9mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌し、次いで1N HClで希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜40%アセトン/ヘキサン)で精製して、透明油状物の42を得た(1.47g、56%)。MS (ESI) 162.3 [(M + H)
+].
【0120】
工程4. 3,3,4,4-d
4-シクロペンタン-1-カルボキシアルデヒド(43)。THF中の42(1.47g、9.12mmol)の溶液(35mL)に、0℃でTHF中の1MのLiAlH
4の溶液(16.4mL、16.4mmol)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃で水(623μL)、15%NaOH(623μL)および水(1.87mL)の逐次滴下によりクエンチした。クエンチした反応物を室温で30分間撹拌し、次いでCelite(登録商標)を用いてろ過し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、透明油状物の43を得て(767mg、82%)、これを精製することなく使用した。
【0121】
工程5. 3-(3,3,4,4-d
4-シクロペンチル)アクリロニトリル(44)。THF中のジエチルシアノメチルホスフェート(0.607mL、3.75mmol)の溶液(10mL)に、0℃で、THF中の1Mのカリウムtert-ブトキシドの溶液(3.75mL、3.75mmol)を滴下した。反応物を0℃で1時間撹拌した。次いで、アルデヒド43(767mg、7.51mmol)をTHF中の溶液(3mL)として滴下した。反応物を室温で15時間撹拌し、次いで過剰の1:1水/ブラインで希釈し、MTBE(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた油状物をCH
2Cl
2(100 ml)に溶解して、NaHSO
3(3x25mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮し、明るいオレンジ色の油状物の44を得て(537mg、57%)、これを精製することなく使用した。
【0122】
工程6. (+/-)-(4-(1-(2-シアノ-1-(3,3,4,4-d
4-シクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((+/-)45)。アセトニトリル中の37(514mg、1.72mmol、Lin, Q. et al. Org. Lett., 2009, 11, 1999-2002に記載される調製物)の溶液(15mL)に、44(537mg、4.29mmol)、次いでDBU(540μL、3.61mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで減圧下で濃縮した。得られた粗製の混合物を水で希釈して、酢酸エチル(3 x 50mL)で抽出した。有機層を合わせて、1N HClで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)での精製により、白色泡状物の(+/-)45を得た(368mg、50%)。1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.75 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.24 (s, 2H), 4.53 (td, J = 9.7, 4.2 Hz, 1H), 3.32 - 3.14 (m, 2H), 2.41 (q, J = 8.7 Hz, 1H), 1.79 (dd, J = 12.6, 7.6 Hz, 1H), 1.36 - 1.11 (m, 3H), 1.08 (s, 9H).; MS (ESI) 425.2 [(M + H)
+].
【0123】
工程7. (R)-(4-(1-(2-シアノ-1-(3,3,4,4-d
4-シクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((R)-45)。ラセミ化合物(+/-)45(151mg)を30mg/mLの濃度でアセトニトリルに溶解し、均一溶媒の方法を使用して、1回の注入当たり1000μLの(+/-)45の溶液で、Daicel ChiralPak ADカラム(20x250mm、10μm)上の分取HPLCによりキラル分離に供した:30%イソプロパノール(+0.1%ジエチルアミン)/70%ヘキサン(+0.1%ジエチルアミン)、流速17mL/分。これらの条件下でベースライン分離に達し、15.5分で(S)-45が溶出し、20.7分で(R)-45が溶出した。
【0124】
それぞれのエナンチオマーを含む画分を別々にプールして濃縮し、51mgの無色のフィルム状物の(S)-45および53mgの無色のフィルム状物の(R)-45を得た。
【0125】
工程8. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3,3,4,4-d
4-シクロペンチル)プロパンニトリル (化合物103)。20mLのシンチレーションバイアル中で(R)-45(53mg、0.13mmol、1等量)をメタノール(2mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(0.25mLの1M溶液、0.25mmol、2等量)を添加して、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)およびブライン(20mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗製の物質を、ジクロロメタン中0〜6%のメタノールで溶出するAnalogix自動化クロマトグラフィーシステムを用いて精製した。生成物画分をプールし、蒸発させて、主要不純物として不完全脱保護ヒドロキシメチル中間体を有する約90%の純度の白色泡状物の化合物103を得た。さらなるクロマトグラフィーにより純度をさらに向上することは不首尾であった。90%の純粋な物質をTHF(2mL)に溶解し、数滴の10%水酸化ナトリウム水溶液で、40℃で8時間処理し、化合物103の完全な変換を得た。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して白色泡状物を得た。該泡状物を最少量のアセトニトリルに溶解し、水で希釈し、凍結乾燥して、白色固体の化合物103を得た(14mg、35%収率)。キラル純度は、>99% ee (Chiralpak OD 4.6x250mm、10um、70%(ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)+30%(イソプロパノール+0.1%ジエチルアミン)、1mL/分、254nm保持時間=7.56分)であることが見いだされた。
【0126】
実施例3. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シクロペンチル-d
9)プロパンニトリル(化合物127)の合成
スキーム5. 化合物127の調製
【化14】
【0127】
工程1. ジエチル2,2,3,3,4,4,5,5-d
8-シクロペンタン-1,1-ジカルボキシレート(47)。エタノール中のジエチルマロネート(6.24mL、41.1mmol)の溶液(40mL)に、エタノール中21wt%のナトリウムエトキシドの溶液(30.7mL、82.2mmol)、次いで1,1,2,2,3,3,4,4-オクタジュートロ(octadeutero)-1,4-ジブロモブタン(46, 9.67g、43.2mmol、CDN同位体、98原子%D)を添加した。得られた溶液を還流で2時間撹拌し、次いで室温に冷却して過剰の水で希釈した。次いで、蒸留により大部分のエタノールを除去し、得られた水溶液を酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮し、黄色油状物の47を得て(9.12g、100%)、これを精製することなく次に持ち越した。
【0128】
工程2. パージュートロ(perdeutero)シクロペンタン-1-カルボン酸(48)。エタノール中の47(9.12g、41.1mmol)の溶液(20mL)に、5Mの水酸化ナトリウムの溶液(20mL)を添加した、次いでさらなる水(15mL)を添加して、反応物を還流で3時間撹拌した。室温に冷却して、反応物を過剰の水で希釈し、蒸留により大部分のエタノールを除去した。1N HClで水溶液を酸性にし(pH<2)、次いでジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた明るいオレンジ色の固体を圧力フラスコに移し、D
2O(120mL)を添加した。圧力フラスコを密封し、反応物を160℃で15時間撹拌し、次いで室温に冷却した。反応物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮し、黄色油状物の48を得て(4.58g、90%)、これを精製することなく使用した。
【0129】
工程3. N-メトキシ-N-メチル(シクロペンタン-d
9)カルボキサミド(49)。アセトニトリル中の48(4.58g、37.2mmol)の溶液(60mL)に、0℃でN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(4.35g、44.6mmol)、TBTU(12.5g、39.1mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(19.4mL、112mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで1N HClで希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、透明油状物の49を得た(3.41g、55%)。MS (ESI) 167.2 [(M + H)
+].
【0130】
工程4. パージュートロシクロペンタン-1-カルボキシアルデヒド(50)。THF中の49(3.41g、20.5mmol)の溶液(80mL)に、0℃で、THF中1MのLiAlH
4の溶液(37.0mL、37.0mmol)を滴下した。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃で、D
2O(1.41mL)、15%NaOD/D
2O(1.41mL)およびD
2O(4.23mL)の逐次滴下によりクエンチした。クエンチした反応物を室温で30分間撹拌し、次いでCelite(登録商標)を通してろ過し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を1N DCl/D
2Oで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して減圧下で濃縮し、透明油状物の50を得て(1.79g、82%)、これを精製することなく使用した。
【0131】
工程5. 3-(パージュートロシクロペンチル)アクリロニトリル(51)。THF中のジエチルシアノメチルホスフェート(1.35mL、8.34mmol)の溶液(25mL)に、0℃で、THF中1Mのカリウムtert-ブトキシドの溶液(8.34mL、8.34mmol)を滴下した。反応物を0℃で1時間撹拌した。次いでアルデヒド50(1.79g、16.7mmol)をTHF中の溶液(5mL)として滴下した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで過剰な1:1の水/ブラインで希釈し、MTBE(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮し、明るいオレンジ色の油状物の51を得て(1.61g、74%)、これを精製することなく使用した。
【0132】
工程6. (+/-)-(4-(1-(2-シアノ-1-(シクロペンチル-d
9)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((+/-)52)。アセトニトリル中の37(619mg、2.07mmol、Lin, Q. et al. Org. Lett., 2009, 11, 1999-2002に記載される調製物)の溶液(15mL)に、51(673mg、5.17mmol)、次いでDBU(650μL、4.35mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、減圧下で濃縮した。得られた粗製の混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、1N HClで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過して減圧下で濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)での精製により、白色泡状物の(+/-)52を得た(447mg、50%)。1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.75 (d, J= 3.7 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.24 (s, 2H), 4.53 (dd, J= 9.6, 4.2 Hz, 1H), 3.32 - 3.13 (m, 2H), 1.08 (s, 9H).; MS (ESI) 430.3[(M + H)
+].
【0133】
工程7. (R)-(4-(1-(2-シアノ-1-(シクロペンチル-d
9)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((R)-52)。ラセミ化合物(+/-)52(162mg)を30mg/mLの濃度でアセトニトリルに溶解し、均一溶媒の方法を使用して、1回の注入当たり1000μLの(+/-)52溶液で、Daicel ChiralPak ADカラム(20x250mm、10μm)上で分取HPLCによりキラル分離に供した:30%イソプロパノール(+0.1%ジエチルアミン)/70%ヘキサン(+0.1%ジエチルアミン)、流速17mL/分。これらの条件下で、ベースライン分離に達し、15.4分で(S)-52が溶出し、20.5分で(R)-52が溶出した。
【0134】
それぞれのエナンチオマーを含む画分を別々にプールして、濃縮して、61mgの無色のフィルム状物の(S)-52および63mgの無色のフィルム状物の(R)-52を得た。
【0135】
工程8. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シクロペンチル-d
9)プロパンニトリル(化合物127)。(R)-52(60mg、0.14mmol、1等量)を、20mLのシンチレーションバイアル中でメタノール(2mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(0.28mLの1M溶液、0.28mmol、2等量)を添加して、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)およびブライン(20mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗製の物質を、ジクロロメタン中0〜6%のメタノールで溶出するAnalogix自動化クロマトグラフィーシステムを使用して精製した。生成物画分をプールし、蒸発させて、主要な不純物として不完全な脱保護ヒドロキシメチル中間体を有する約90%の純度の白色泡状物の化合物127(34mg)を得た。さらなるクロマトグラフィーにより純度をさらに向上することは不首尾であった。90%純粋な物質をTHF(2mL)に溶解し、数滴の10%水酸化ナトリウム水溶液で、40℃で8時間処理し、化合物127への完全な変換が得られた。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、白色泡状物まで濃縮した。泡状物を最少量のアセトニトリルに溶解し、水で希釈し、凍結乾燥して白色固体の化合物127を得た(19mg、42%収率)。キラル純度は、>99%ee(Chiralpak OD 4.6x250mm、10um、70%(ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)+30%(イソプロパノール+0.1%ジエチルアミン)、1mL/分、254nm保持時間=7.55分)であることが見いだされた。
【0136】
実施例4. CYP3A4 Supersomes
TM中の代謝安定性の評価
ヒトCYP3A4 Supersomes
TM中の化合物103、107および127の代謝安定性の評価
SUPERSOMES
TMアッセイ。試験化合物、化合物103、107、127およびルキソリチニブの10mMのストック溶液をDMSO中に調製した。10mMのストック溶液をアセトニトリル(ACN)中15.6μMに希釈した。ヒトCYP3A4 supersomes
TM(1000pmol/mL、BD Gentest
TMProducts and Servicesから購入)を、3mM MgCl
2を含む0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4中で62.5pmol/mLに希釈した。希釈したsupersomesを、96ウェルポリプロピレンプレートのウェルに3ヶ所添加した。10μLアリコートの15.6μM試験化合物をsupersomesに添加し、混合物を10分間予備的に温めた。予め温めたNADPH溶液を添加して反応を開始した。最終反応容量は0.5mLであり、50pmol/mL CYP3A4 supersomes
TM、0.25μM試験化合物、および0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4中の2mM NADPHおよび3mM MgCl
2を含んだ。反応混合物を37℃でインキュベートし、50μLのアリコートを0、5、10、20および30分で取出し、内部標準を有する50μLの氷冷ACNを含んだ96ウェルプレートに添加して反応を停止した。プレートを4℃で20分間保存し、その後100mLの水をプレートのウェルに添加し、次いで沈殿したタンパク質をペレットになるまで遠心分離した。上清を別の96ウェルプレートに移し、Applied Bio-systems API 4000質量分析器を使用して、LC-MS/MSにより親の残存物の量について分析した。
【0137】
データ分析:試験化合物のインビトロ半減期(t
1/2値)を、LN(%親残留物)の直線回帰の傾斜 対 インキュベーション時間の関係から計算した:
インビトロt
1/2=0.693/k、式中k=-[%親残留物の直線回帰(ln)の傾斜 対 インキュベーション時間]。
【0138】
この実験の結果を表3および
図1に示す。表3に示されるように、ルキソリチニブの半減期は14.5分であると計算された。対照的に、化合物103、107および127のそれぞれは、supersomes中でより安定であり、それぞれ半減期は16.9、17.9および32.0分であると計算された。これは化合物103についてt
1/2の17%増加、化合物107についてt
1/2の23%増加、および化合物127についてt
1/2の121%増加を表す。
【表5】
【0139】
実施例5. ヒト肝臓ミクロソーム中の代謝安定性の評価
ミクロソームアッセイ:ヒト肝臓ミクロソーム(20mg/mL)はXenotech, LLC (Lenexa, KS)から入手する。β-ニコチンアミドアデニンリン酸ジヌクレオチド、還元型(NADPH)、塩化マグネシウム(MgCl
2)およびジメチルスルホキシド(DMSO)はSigma-Aldrichから購入する。
【0140】
代謝安定性の測定:試験化合物の7.5mMストック溶液をDMSO中に調製する。7.5mMストック溶液を、アセトニトリル(ACN)中で12.5〜50μMに希釈する。20mg/mLヒト肝臓ミクロソームを、3mM MgCl
2を含む0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4中0.625mg/mLに希釈する。希釈したミクロソームを、96ウェルの深ウェルポリプロピレンプレートのウェルに3ヶ所添加する。10μLアリコートの12.5〜50μM試験化合物をミクロソームに添加し、混合物を10分間予備的に温める。予め温めたNADPH溶液を添加して反応を開始する。最終反応容量は0.5mLであり、0.5mg/mLのヒト肝臓ミクロソーム、0.25〜1.0μMの試験化合物、ならびに0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4, および3mM MgCl
2中の2mM NADPHを含む。反応混合物を37℃でインキュベートし、50μLのアリコートを0、5、10、20および30分で取出し、反応を停止するための内部標準を有する50μLの氷冷ACNを含む浅ウェルの96ウェルプレートに添加する。プレートを4℃で20分間保存し、その後100μLの水をプレートのウェルに添加し、沈殿したタンパク質がペレットになるまで遠心分離する。上清を別の96ウェルプレートに移し、Applied Bio-systems API 4000質量分析器を使用してLC-MS/MSにより親残留物の量について分析する。式Iまたは式Aの化合物の非重水素化対応物および陽性対照7-エトキシクマリン(1μM)については同様の手順に従う。試験は3回行う。
【0141】
データ分析:試験化合物のインビトロt
1/2は、%親残留物の直線回帰(ln)の傾斜 対 インキュベーション時間の関係から計算する。
インビトロt
1/2=0.693/k
k=-[%親残留物の直線回帰(ln)の傾斜 対 インキュベーション時間]
【0142】
データ分析はマイクロソフトエクセルソフトウェアを使用して行う。
【0143】
さらに記載することはないが、前述の記載および例示的な実施例を使用して、当業者は、本発明の化合物を作製し、利用し、特許請求される方法を実施し得るものと信じる。前述の記載および実施例は、特定の好ましい態様の詳細な説明を単に提示するものであると理解されるべきである。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の改変および均等物がなされ得ることは当業者には明らかである。